説明

ガスケット

【課題】ゴム等の弾性部材からなるガスケット本体を有し、シール対象の合体面が締結方向に対して傾斜している場合でも、ガスケット本体の倒れ変形を抑え、シール性を損うことなく合体面間に介在させることができるガスケットを提供する。
【解決手段】2部材1,2におけるシール対象空所1b、2b周りの合体面1a,2aが、締結方向7に対して直交することなく傾斜している合体面間に介在されるガスケット3であって、芯基板4と、芯基板の両面に固着一体とされた弾性体からなる断面山形の環状ガスケット本体5,6と、ガスケット本体は、シール対象空所周りの合体面の傾斜方向最上部側及び最下部側部分に位置する部位において、締結部材による締結方向と芯基板の板面方向4cとが鈍角をなす側に位置する斜面部5a0,5b0,6a0,6b0が、鋭角をなす側に位置する斜面部5b1,5a1,6b1,6a1よりなだらかとなる山形の断面形状とされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、締結部材によって締結される2部材間に介在されるガスケットであって、特に、シール対象空所周りの合体面が、前記締結部材による締結方向に対して傾斜している当該合体面間に介在される環状のガスケットに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車用エンジンのシリダヘッドとインテークマニホールドとの接合部分にはガスケットが介在される。特許文献1には、特に、V型エンジンのシリンダヘッドとインテークマニホールドとの間に介在されるガスケットが開示されている。V型エンジンの場合、シリンダヘッドがエンジン本体に対して斜めに形成され、その為、インテークマニホールドとの接合部分(双方の合体面)も、エンジン本体の体軸線(設置面に対する垂直線)に対して傾いた状態とされる。特許文献1では、このように傾いた部分をボルト等の締結部材で締結接合する場合、工具がインテークマニホールドに干渉して作業性が悪くなる為、ボルトの締結方向をエンジンの前記体軸線に沿うようにしている。その為、シリンダヘッドとインテークマニホールドとの合体面は、ボルトの締結方向に対して傾いた状態となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−306777号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図5は、特許文献1に開示されたガスケットとは形状が異なるが、前記のように、シリンダヘッドとインテークマニホールドとの合体面が、締結部材の締結方向に対して傾いた状態となる部分における当該合体面間に介在されるガスケットの一例を、模式的に示している。図に示すように、シリンダヘッド100及びインテークマニホールド101は、エンジン本体(不図示)の前記体軸線に対して傾斜した状態に形成されている。そして、シリンダヘッド100及びインテークマニホールド101は、この体軸線に沿った方向より、それぞれの合体面100a,101a間にガスケット102を介在させた状態で、ボルト(不図示)によって締結合体される。これによって、シリンダヘッド100及びインテークマニホールド101のそれぞれのシール対象空所100b、101bがシールされる。ガスケット102は、芯基板103と、該芯基板103の両面に固着一体とされたゴムの成型体からなる断面山形の環状ガスケット本体104,105とよりなる。
【0005】
図5では、シリンダヘッド100がアルミニウム等の金属製鋳造体から、インテークマニホールドが合成樹脂の成型体からなる例を示している。近時、自動車は燃費改善の為、各構成部品の軽量化が図られており、エンジンにおいてもインテークマニホールド等は合成樹脂製のものが使用されている。通常、金属製部材同士の接合部には、メタルガスケットが介在されて両者間のシールがなされるが、合成樹脂製部材と金属製部材との接合部では、締結圧によって合成樹脂性部材が変形する為、両者間にはゴム等の弾性部材からなるガスケットが介在されてそのシールがなされる。
【0006】
図示のようなシリンダヘッド100及びインテークマニホールド101の接合構造においては、前記ボルトによる締結の際、ガスケット本体104,105に対して、前記合体面100a,101aによって、1点鎖線106に沿った方向(ボルトの締結方向、即ち、前記体軸線に沿った方向)の圧縮応力が作用する。前記合体面100a,101aは、ボルトの締結方向に対して傾斜している為、図に示すように、両者の間に介在されるガスケット102もこれに倣って傾斜する。合体面100a,101aが2点鎖線で示す位置に至るよう締結されると、ガスケット本体104,105は、前記締結方向106に沿った締結圧(圧縮応力)を受け、当該締結方向106と芯基板103の板面方向103aとが鈍角をなす側に倒れるように変形する(ガスケット本体104,105の2点鎖線で示す部分参照)。このように、締結の際にガスケット本体104,105が倒れるように変形すると、合体面100a,101aとガスケット本体104,105との面圧が周方向で均一とならず、これがシール性に影響を及ぼすことになる。特に、合成樹脂製の部材と金属製の部材との接合部にゴム等の弾性材製のガスケットの使用が不可避であり、且つ、相互の合体面が締結部材の締結方向に対して傾斜している場合に、このような問題が生じ易く、その改善が望まれていた。
【0007】
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであり、ゴム等の弾性部材からなるガスケット本体を有し、シール対象の合体面が締結方向に対して傾斜している場合でも、ガスケット本体の倒れ変形を抑え、シール性を損うことなく合体面間に介在させることができるガスケットを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るガスケットは、締結部材によって締結合体される2部材におけるシール対象空所周りの合体面が、前記締結部材による締結方向に対して直交することなく傾斜している当該合体面間に介在されるガスケットであって、芯基板と、該芯基板の両面に固着一体とされた弾性体からなる断面山形の環状ガスケット本体とよりなり、前記ガスケット本体は、前記シール対象空所周りの合体面の前記傾斜方向最上部側及び最下部側部分に位置する部位において、前記締結部材による締結方向と芯基板の板面方向とが鈍角をなす側に位置する斜面部が、鋭角をなす側に位置する斜面部よりなだらかとなる山形の断面形状とされていることを特徴とする。
【0009】
本発明において、前記ガスケット本体は、前記傾斜方向の中間部分に位置する部位の断面形状が、略線対称の山形とされ、この中間部分に位置する部位と前記最上部側及び最下部側部分に位置する部位との間で、断面形状が周方向に沿って連続的に変化するよう形成されているものであることが望ましい。また、前記ガスケット本体を、ゴムの成型体からなるものとしても良い。
【0010】
また、本発明において、前記2部材が、内燃機関のシリンダヘッド及びインテークマニホールドであっても良い。この場合、前記シリンダヘッドが金属製、前記インテークマニホールドが合成樹脂製であっても良い。
【発明の効果】
【0011】
本発明のガスケットが介在される2部材におけるシール対象空所周りの合体面が、締結部材による締結方向に対して直交することなく傾斜しているから、この合体状態では、当該ガスケットも合体面に倣って傾斜した状態で介在される。本発明のガスケットは、芯基板と、該芯基板の両面に固着一体とされた弾性体からなる断面山形の環状ガスケット本体とよりなるから、前記締結合体の際にガスケット本体が双方の合体面によって圧縮され、この圧縮反力によって両合体面間がシールされる。そして、前記ガスケット本体は、前記シール対象空所周りの合体面の前記傾斜方向最上部側及び最下部側部分に位置する部位において、前記締結部材による締結方向と芯基板の板面方向とが鈍角をなす側に位置する斜面部が、鋭角をなす側に位置する斜面部よりなだらかとなる山形の断面形状とされているから、山形形状の頂点から芯基板への垂線に対して、前記鈍角をなす側に位置する斜面部が、前記鋭角をなす側に位置する斜面部より、実質的に厚肉に形成されることになる。従って、前記締結に伴う締結圧(圧縮応力)に対して、鈍角をなす側に位置する斜面部の抗力が大きく、締結時におけるガスケット本体の傾斜方向最上部側及び最下部側部分に位置する部位が倒れるように圧縮変形されることが少なくなる。これによって、環状ガスケット本体の周方向全体にわたる合体面との圧縮面圧が均一化され、所期のシール性が的確に発揮される。
【0012】
前記のように合体面が傾斜していても、傾斜方向中間部分においては、締結圧はガスケットの幅方向に対して略均一に作用するから、前記傾斜方向の中間部分に位置する部位の断面形状が、略線対称の山形とされている場合、この中間部分のガスケット本体が幅方向いずれかに倒れるように変形することがない。そして、中間部分に位置する部位と前記最上部側及び最下部側部分に位置する部位との間では、前記締結時におけるガスケット本体の幅方向に対する前記締結圧の作用する方向が連続的に変化するが、この中間部分に位置する部位と前記最上部側及び最下部側部分に位置する部位との間で、断面形状が周方向に沿って連続的に変化するよう形成されているものとすることにより、締結圧の変化に応じてガスケット本体の抗力も変化し、全周にわたる倒れ変形の防止がより効果的に発揮される。
【0013】
ガスケット本体がゴムの成型体からなるものとすれば、芯基板との固着一体化が加硫成型によって簡易になされると共に、前記断面形状が周方向に沿って連続的に変化するガスケット本体も簡易に形成することができる。そして、シール対象の合体面間に圧縮状態で介在された際のゴム特有の弾性反力によって面圧が好適に発現され、前記合体面間のシールがより確実になされる。
【0014】
前記2部材を、内燃機関のシリンダヘッド及びインテークマニホールドとした場合、シリンダヘッドとインテークマニホールドとの接合部での、合体面が締結方向に対して傾斜していることによる前記特有の問題点が可及的に解消される。また、シリンダヘッドが金属製、インテークマニホールドが合成樹脂製である場合でも、ガスケット本体が弾性部材からなるから、締結時にインテークマニホールドが変形する懸念がない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明のガスケットの一例を示す平面図である。
【図2】同ガスケットの使用例を示す図1におけるX−X線矢視部に対応する拡大断面図である。
【図3】図1におけるX−X線矢視部の部分破断拡大断面図である。
【図4】図1におけるY−Y線矢視部の部分破断拡大断面図である。
【図5】従来のガスケットの使用例を示す図2と同様図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。図1は自動車用V型エンジンにおけるシリンダヘッドとインテークマニホールドとの接合部に適用されるガスケットを示している。図に示すガスケット3は、6気筒V型エンジン(不図示)の片側のバンクに直列的に並ぶ3個のシリンダヘッドと、各シリンダヘッドに接合されるインテークマニホールドとの各合体面間に介在されるもので、3個の接合部を一括する1個のガスケットとして構成されている。図例のガスケット3は、後記する各接合部におけるシール対象空所に対応する3個の透孔4aを並列して開設した芯基板4と、該芯基板4の前記透孔4a周りの両面に固着一体とされた断面山形の環状ガスケット本体5,6とより構成されている。各ガスケット本体5,6は、内周側斜面部5a,6aと、外周側斜面部5b,6bとを備える断面山形の形状とされ、これら斜面部5a,6a,5b,6bの傾斜状態が周方向の部位によって異なるよう形成されている。芯基板4は、金属板或いは合成樹脂板からなり、インテークマニホールドをシリンダヘッドに締結させる為の締結部材としてのボルト用挿通孔4bが4箇所に形成されている。
【0017】
ガスケット本体5,6は、図例ではゴムの加硫成型体からなることを示しており、芯基板4の所定部位に加硫成型によって一体に形成される。ガスケット本体5,6を構成するゴム材としては、エチレンプロピレンゴム(EPDM)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、アクリルゴム(ACM)、水素化アクリロニトリルブタジエンゴム(HNBR)、シリコーンゴム(VMQ)、フロロシリコーンゴム(FVMQ)、フッ素ゴム(FKM)等が採用される。尚、ガスケット本体5,6を弾性樹脂の成型体によって構成することも可能である。
【0018】
前記ガスケット3は、図2に示すように、シリンダヘッドとインテークマニホールドとの合体面が、前記ボルトの締結方向(通常前記エンジンの設置面に垂直)に対して直交することなく傾斜している場合に適用されるよう構成されている。図1に示す白抜矢印は、矢先部が下向きとなる傾斜方向を示している。傾斜方向の上部側は、この白抜矢印の矢元側を、下部側は矢先側を意味している。前記ボルト用挿通孔4bは、ボルトの締結方向に対して斜めに配されることに伴い、この傾斜方向が長軸となる楕円形に形成されている。図2及び図3は、前記環状のガスケット本体5,6の前記傾斜方向最上部側部分及び最下部側部分を結ぶ線(図1のX−X線)に沿った断面図であり、更に、図2は、シリンダヘッド1及びインテークマニホールド2間に介在させた状態のこの部分に対応する断面図を示している。
【0019】
図2に示すように、シリンダヘッド1は、V型エンジンの本体(不図示)の体軸線(通常エンジンの設置面に対して垂直)に対してV型に傾斜した一対のバンク(不図示)に形成される。このシリンダヘッド1に締結部材としてのボルト(不図示)によって、前記ガスケット3を介してインテークマニホールド2が締結一体とされる。前記バンクは傾斜しているので、該バンクに形成されるシリンダヘッド1及びインテークマニホールド2の合体面1a,2aも図示のように傾斜している。図2に示す白抜矢印も、図1と同様にこの傾斜方向を示している。シリンダヘッド1及びインテークマニホールド2は、シール対象空所1b,2bを有し、前記ガスケット本体5,6は、これらシール対象空所1b,2bの開口周縁部に配される。図例では、シリンダヘッド1はアルミニウム等の金属製鋳造体からなり、またインテークマニホールド2は合成樹脂の成型体からなっていることを示している。
【0020】
前記シリンダヘッド1と、インテークマニホールド2とは、前記ボルトの図2に示す締結方向7に沿った締結によって締結一体とされる。図2に1点鎖線で示す締結方向7は、前記ボルトの締結位置を示すものではなく、シリンダヘッド1及びインテークマニホールド2の合体面1a,2a及び両合体面1a,2a間に介在されるガスケット3の相対的な傾斜状態を示す為に便宜上記載したものである。即ち、ガスケット3における図1のX−X線矢視断面に相当する部位(図3として示す部位と同等)は、シリンダヘッド1及びインテークマニホールド2の合体面1a,2a間に、図2に示すような状態で介在される。このような状態で、締結方向7に沿ったボルトによって合体面1a,2aが図2に示す2点鎖線位置に至るよう締結がなされると、ガスケット本体5,6は、前記締結方向7に沿った締結圧を受け、前記傾斜方向最上部側部分及び最下部側部分に位置する部位に対して、当該締結方向7と芯基板4の板面方向4cとが鈍角をなす側に倒そうとする力が作用する。
【0021】
而して、ガスケット本体5,6は、その前記傾斜方向最上部側部分及び最下部側部分に位置する部位において、前記締結部材による締結方向7と芯基板4の板面方向4cとが鈍角をなす側に位置する斜面部5a0,5b0,6a0,6b0が、鋭角をなす側に位置する斜面部5b1,5a1,6b1,6a1よりなだらかとなる断面山形の形状とされている。即ち、前記傾斜方向最上流側部分及び最下流側部分に位置する部位においては、各ガスケット本体5,6の頂点から芯基板4への垂線5c,6c(図3参照)に対して、なだらかな傾斜の斜面部5a0,5b0,6a0,6b0側が、急傾斜の斜面部5b1,5a1,6b1,6a1側より厚肉に形成されている。従って、前記締結に伴う締結圧に対して、斜面部5a0,5b0,6a0,6b0側の抗力が大きく、これによって、ガスケット本体5,6は、締結方向7と芯基板4の板面方向4cとが鈍角をなす側に倒れるようなことがなく、図2の2点鎖線で示すように、合体面1a,2aとの面圧が充分に得られるような状態で圧縮される。よって、この部分でのシール性が充分に確保される。
尚、前記鈍角をなす側に位置する斜面部5a0,5b0,6a0,6b0、及び、前記鋭角をなす側に位置する斜面部5b1,5a1,6b1,6a1の芯基板4に対する立ち上がり角度は、ガスケット本体5,6のサイズや締結方向7に対する前記合体面1a,2aの傾斜角度等を勘案して適宜設定されるものである。
【0022】
図4は、図1におけるY−Y線矢視断面図であって、前記ガスケット3における環状のガスケット本体5,6の前記傾斜方向中間部での断面形状を示している。このように、ガスケット本体5,6の傾斜方向中間部では、前記ボルトの締結方向7(図4では図示を省略)は、ガスケット本体5,6の幅方向に見て前記垂線5c,6cに沿った方向となる。従って、この部分では、ボルトによる締結圧は、ガスケット本体5,6の幅方向に均一に作用することになるから、この部分のガスケット本体5,6は、垂線5c,6cを中心とする略線対称の断面形状とされる。即ち、当該中間部分でのガスケット本体5,6の各一対の斜面部5a,5b及び6a,6bの傾斜角度は略同じとされる。そして、ガスケット本体5,6の各内周側斜面部5a,6a及び外周側斜面部5b,6bは、その周方向に沿って連続面となるよう形成されているから、この中間部分における斜面部5a,5b及び6a,6bは、前記最上部側部分及び最下部側部分におけるなだらかな傾斜の斜面部5a0,5b0,6a0,6b0と、急傾斜の斜面部5b1,5a1,6b1,6a1との略中間の傾斜角度をなすよう形成される。このように、当該中間部分でのガスケット本体5,6の断面形状を略線対称の山形の形状とすることにより、ボルトによる締結圧がガスケット本体5,6の幅方向に均一に作用し、この部分での前記合体面1a,2a(図2参照)との良好な面圧が確保される。
【0023】
前述のとおり、ガスケット本体5,6の各内周側斜面部5a,6a及び外周側斜面部5b,6bは、連続面として形成されているから、ガスケット本体5,6の周方向における図3及び図4に示す位置間の部分における断面形状は、前記傾斜方向中間部分に位置する部位における線対称の山形形状部から、傾斜方向最上部側部分及び最下部側部分に位置する部位における前記非線対称の山形形状部に連続的に変化するような形状とされる。前記中間部分に位置する部位と前記最上部側及び最下部側部分に位置する部位との間では、前記ボルトによる締結時におけるガスケット本体5,6の幅方向に対する前記締結圧の作用する方向が連続的に変化するが、この中間部分に位置する部位と前記最上部側及び最下部側部分に位置する部位との間で、断面形状が周方向に沿って連続的に変化するよう形成されているものとすることにより、締結圧の変化に応じてガスケット本体5,6の抗力も変化し、全周にわたる倒れ変形の防止がより効果的になされる。そして、インテークマニホールド2が合成樹脂の成型体からなるが、ガスケット本体5,6がゴムの成型体からなること、及び周方向に沿って均一な面圧をもって両合体面1a,2a間に介在されることによって、インテークマニホールド2が変形する懸念も生じない。
【0024】
尚、前記実施形態では、エンジンのシリンダヘッド1と、インテークマニホールド2との接合部に本発明のガスケット3を適用させる例について述べたが、これに限らず、締結方向に対して合体面が直交することなく傾斜している2部材であれば、本発明のガスケットが好ましく採用される。また、ガスケット3の平面形状も、図1に示すように、シール対象部が3個並設される場合に対応させた形状に限らず、シール対象部毎に個別に形成されるものであって良い。更に、前記実施形態では、金属製及び合成樹脂製の2部材間に適用する例について述べたが、金属製の部材同士、或いは合成樹脂製の部材同士の接合部にも適用することはもとより可能である。更にまた、ガスケット5,6の断面形状は図例のような山形形状に限らず、他の山形形状も設計事項として適宜採用可能である。加えて、ガスケット5,6は、芯基板4の外周縁部、透孔4aの内周縁部、更には、ボルト挿通孔4bの内周縁部を覆うように芯基板4の両面に繋がるように形成されていても良い。図例では、一部にこのような繋がり部が形成されている。
【符号の説明】
【0025】
1 シリンダヘッド(2部材の一方)
1a 合体面
1b シール対象空所
2 インテークマニホールド(2部材の他方)
2a 合体面
2b シール対象空所
3 ガスケット
4 芯基板
4c 板面方向
5,6 ガスケット本体
5a,5b 斜面部
6a,6b 斜面部
5a0,5b0 鈍角をなす側の斜面部
6a0,6b0 鈍角をなす側の斜面部
5a1,5b1 鋭角をなす側の斜面部
6a1,6b1 鋭角をなす側の斜面部
7 締結方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
締結部材によって締結合体される2部材におけるシール対象空所周りの合体面が、前記締結部材による締結方向に対して直交することなく傾斜している当該合体面間に介在されるガスケットであって、
芯基板と、該芯基板の両面に固着一体とされた弾性体からなる断面山形の環状ガスケット本体とよりなり、
前記ガスケット本体は、前記シール対象空所周りの合体面の前記傾斜方向最上部側及び最下部側部分に位置する部位において、前記締結部材による締結方向と芯基板の板面方向とが鈍角をなす側に位置する斜面部が、鋭角をなす側に位置する斜面部よりなだらかとなる山形の断面形状とされていることを特徴とするガスケット。
【請求項2】
請求項1に記載のガスケットにおいて、
前記ガスケット本体は、前記傾斜方向の中間部分に位置する部位の断面形状が、略線対称の山形とされ、この中間部分に位置する部位と前記最上部側及び最下部側部分に位置する部位との間で、断面形状が周方向に沿って連続的に変化するよう形成されていることを特徴とするガスケット。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のガスケットにおいて、
前記ガスケット本体は、ゴムの成型体からなることを特徴とするガスケット。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載のガスケットにおいて、
前記2部材が、内燃機関のシリンダヘッド及びインテークマニホールドであることを特徴とするガスケット。
【請求項5】
請求項4に記載のガスケットにおいて、
前記シリンダヘッドが金属製、前記インテークマニホールドが合成樹脂製であることを特徴とするガスケット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−2287(P2012−2287A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−138209(P2010−138209)
【出願日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【出願人】(000225359)内山工業株式会社 (204)
【Fターム(参考)】