説明

ガスセンサ

【課題】通気部の防水機能の経時劣化を防ぐと共に、防水性及び通気性に優れたガスセンサを提供すること。
【解決手段】センサ素子10と、ハウジング11と、大気側カバー2と、リード線13と、弾性部材3とを有するガスセンサ1。弾性部材3は、軸方向に形成されると共に先端側に開口した縦穴314と、リード挿通穴313とを設けてなると共に、第1中間面310と、第2中間面320とを軸方向中間部分33に設けてなる。第1中間面310と第2中間面320との間には、環状の通気フィルタ4が挟圧された状態で保持されている。該通気フィルタ4は、縦穴314と連通すると共に弾性部材3の外側面に露出した状態で配設されている。大気側カバー2は、弾性部材3を第1中間面310よりも基端側の部分において径方向内側に加締めると共に、弾性部材3を軸方向から圧縮するように加締めており、空気導入口231を設けている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車エンジン等の内燃機関における空燃比制御等に使用するフィルタを内蔵したガスセンサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、自動車エンジン等の内燃機関の排気系に設置され、排気ガス中の酸素濃度等を検知するガスセンサがある。
上記ガスセンサ9は、図18に示すごとく、被測定ガス中の特定ガス濃度を検出するセンサ素子910を内蔵している。そして、該センサ素子910は絶縁碍子912を介してハウジング911に挿嵌保持され、該ハウジング911の基端側には、大気側カバー92が固定されている。
【0003】
また、大気側カバー92の基端部には、図18に示すごとく、該基端部を密閉する弾性部材93が配設されている。また、該弾性部材93は、センサ素子910と電気的に接続されたリード線913を挿通させている。
また、図18に示すごとく、大気側カバー92の基端側には、外周カバー95が固定されており、大気側カバー92と外周カバー95とは、軸方向の加締め部923において径方向内側に加締められている。
【0004】
更に、防水機能を有する通気フィルタ94が、大気側カバー92と外周カバー95との間に挟持されており、軸方向二箇所の加締め部950により加締め固定されている。そして、基準ガスとしての大気は、外周カバー95に設けられた空気導入口951から通気フィルタ94を介して大気側カバー92に設けられた空気連通口921へと導入され、その後、ガスセンサ9内部へと導入される。
【0005】
しかしながら、上記従来のガスセンサ9において、通気フィルタ94は、上記のごとく、大気側カバー92と外周カバー95との間に配設されているため、大気側カバー92又は外周カバー95を介して通気フィルタ94に熱が加わり易い。そのため、内燃機関の排気系においてガスセンサ9の使用を重ねることにより、通気フィルタ94は熱劣化していき、通気フィルタ94の加締め部950の防水性が低下し、空気連通口921からガスセンサ9の内部に外部の水分が浸入してしまうおそれがある。
【0006】
また、図19に示すごとく、通気フィルタ94を弾性部材93によって挟み込む構成としたガスセンサ9が提案されている(特許文献1参照)。該ガスセンサ9は、それぞれが軸方向に貫通した通気貫通孔934を有する2つの部材93a、93bからなる弾性部材93と、上記2つの部材93a、93bに挟持された状態で配設された通気フィルタ94とを有する。
【0007】
しかしながら、該ガスセンサ9においても以下のような問題がある。
即ち、弾性部材93は大気側カバー92の加締め部923によって、径方向内側に向かって加締められているため、通気貫通孔934も径方向内側に向かって押圧されることとなる。そのため、通気貫通孔934の形状が変化してしまい、場合によっては、通気貫通孔934を通過する大気の量を充分に確保することが困難となるおそれがある。
【0008】
【特許文献1】特開2001−235445号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、かかる従来の問題点に鑑みてなされたもので、通気部の防水機能の経時劣化を防ぐと共に、防水性及び通気性に優れたガスセンサを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、被測定ガス中の特定ガス濃度を検出するセンサ素子と、該センサ素子を挿嵌保持するハウジングと、該ハウジングの基端側に配設された大気側カバーと、上記センサ素子と電気的に接続されたリード線と、該リード線を挿通させると共に上記大気側カバーの基端部を密閉する弾性部材とを有するガスセンサにおいて、
上記弾性部材は、軸方向に形成されると共に先端側に開口した縦穴と、上記リード線を挿嵌するリード挿通穴とを設けてなると共に、上記センサ素子側を向いた第1中間面と、該第1中間面に対向する第2中間面とを軸方向中間部分に設けてなり、
上記第1中間面と上記第2中間面との間には、環状の通気フィルタが挟圧された状態で保持されており、
該通気フィルタは、上記縦穴と連通すると共に上記弾性部材の外側面に露出した状態で配設されており、
上記大気側カバーは、上記弾性部材を上記第1中間面よりも基端側の部分において径方向内側に向かって加締めると共に、上記弾性部材を軸方向から圧縮するように加締めており、上記通気フィルタと連通する空気導入口を設けていることを特徴とするガスセンサにある(請求項1)。
【0011】
次に、本発明の作用効果につき説明する。
上記弾性部材の上記第1中間面と上記第2中間面との間には、環状の通気フィルタが挟圧された状態で保持されている。そのため、上記ガスセンサの使用により上記通気フィルタに熱が加わって収縮等の熱劣化が生じても、上記通気フィルタと上記弾性部材との密着性を確保することができる。
【0012】
即ち、上記通気フィルタの熱劣化が生じても、上記通気フィルタを押圧する方向に付勢された上記弾性部材の弾性力により、上記通気フィルタの収縮等の変形分に追従して上記通気フィルタと上記弾性部材との界面の密着を保つ。その結果、通気部の防水機能の経時劣化を防ぐことができる。このように、上記弾性部材の弾性力によって、上記通気フィルタの熱劣化を補うことができる。
【0013】
また、上記大気側カバーは、上記弾性部材を上記第1中間面よりも基端側の部分において径方向内側に向かって加締めている。従って、上記大気側カバーは、上記リード挿通穴が形成され、かつ上記縦穴が形成されていない部分において上記弾性部材を径方向内側に加締めることができる。それ故、上記リード線と上記弾性部材との間の隙間の発生を充分に防ぎつつ、上記縦穴の変形を防ぐことができる。そのため、上記ガスセンサの基端部における防水を確保しつつ、上記縦穴を通過する大気の量を充分に確保することができる。
【0014】
また、このように、ガスセンサの基端部に上記構造を採用して通気機能を有する部分と上記リード線の保持機能を有する部分とを分離して配置することにより、上記ガスセンサは、防水機能と通気機能との両立を図ることができる。
【0015】
以上のごとく、本発明によれば、通気部の防水機能の経時劣化を防ぐと共に、防水性及び通気性に優れたガスセンサを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明において、上記ガスセンサとして、例えば、NOxセンサ、酸素センサ、及び空燃比センサ等がある。
また、本明細書においては、自動車エンジン等の各種車両用内燃機関の排気管内に設置する側を先端側、その反対側を基端側として説明する。
【0017】
上記弾性部材は、上記第1中間面と上記第2中間面との間に形成された小径部と、該小径部の先端側及び基端側にそれぞれ形成された大径部とを有し、上記通気フィルタは、上記小径部の外周に沿って配設されていることが好ましい(請求項2)。
この場合には、上記通気フィルタを、上記第1中間面と上記第2中間面との間に確実に保持することができる。
【0018】
上記弾性部材は、上記第1中間面を有する第1部材と、上記第2中間面を有する第2部材とを、別体として有しており、上記通気フィルタは、上記第1部材と上記第2部材との間において、軸方向に押圧された状態で保持されていることが好ましい(請求項3)。
【0019】
この場合には、複雑な加工を行うことなく、上記弾性部材を容易に作製することができると共に、上記通気フィルタを、上記弾性部材へと容易に組み付けることができる。
また、上記通気フィルタを、上記第1部材と上記第2部材とから容易に挟圧することができる。そして、この押圧力により、上記弾性部材と上記通気フィルタとの間に隙間が生じることを防ぎ、防水機能の経時劣化をより一層防止することができる。
【0020】
上記第1部材は、基端側に設けた大径部と先端側に設けた小径部とを有し、上記第2部材は、軸方向に開口部を形成したリング形状を有し、上記小径部と上記開口部とを嵌合して上記第1部材と上記第2部材とが互いに組み付けられていても良い(請求項4)。
この場合には、上記第1部材と上記第2部材とを容易に安定して互いに組み付けることができる。
【0021】
上記大気側カバーは、上記弾性部材を覆う保護カバーと、該保護カバーの先端側において該保護カバーの内側に嵌合される受けカバーとを有し、上記弾性部材は、上記受けカバーの基端部と上記保護カバーの基端部とによって軸方向から圧縮するように加締められていることが好ましい(請求項5)。
この場合には、複雑な加工を行うことなく、上記大気側カバーを容易に作製することができる。
【0022】
上記受けカバーと上記保護カバーとの嵌合部は、周状に複数形成された加締め部と該加締め部の間に形成された隙間部とを有し、上記空気導入口は、上記保護カバーにおける、上記嵌合部よりも先端側に形成されていることが好ましい(請求項6)。
この場合には、外部からの汚損物等が上記通気フィルタに直接到達することを防ぎ、目詰まりを抑制することができる。
【0023】
上記通気フィルタは、多孔質のPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)からなることが好ましい(請求項7)。
この場合には、防水性、耐熱性及び耐久性に優れると共に、大気の導通を阻害することのない通気フィルタを得ることができる。
【0024】
上記通気フィルタは、多孔質の焼結金属であっても良い(請求項8)。
この場合には、耐熱性に優れると共に、上記弾性部材へ容易に嵌合することができ、かつ大気の導通を阻害することのない通気フィルタを得ることができる。
【実施例】
【0025】
(実施例1)
本発明の実施例にかかるガスセンサにつき、図1〜図8を用いて説明する。
本例のガスセンサ1は、図1に示すごとく、被測定ガス中の特定ガス濃度を検出するセンサ素子10と、該センサ素子10を挿嵌保持するハウジング11と、該ハウジング11の基端側に配設された大気側カバー2と、センサ素子10と電気的に接続されたリード線13と、該リード線13を挿通させると共に大気側カバー2の基端部を密閉する弾性部材3とを有する。
【0026】
弾性部材3は、図1〜図7に示すごとく、軸方向に形成されると共に先端側に開口した縦穴314と、リード線13を挿嵌するリード挿通穴313とを設けてなる。また、センサ素子10側を向いた第1中間面310と、該第1中間面310に対向する第2中間面320とを軸方向中間部分33に設けてなる。
そして、第1中間面310と第2中間面320との間には、図1〜図3に示すごとく、環状の通気フィルタ4が挟圧された状態で保持されている。
【0027】
該通気フィルタ4は、図1〜図4、図6に示すごとく、縦穴314と連通すると共に弾性部材3の外側面に露出した状態で配設されている。
大気側カバー2は、図1〜図3に示すごとく、弾性部材3を第1中間面310よりも基端側の部分において径方向内側に向かって加締めると共に、弾性部材3を軸方向から圧縮するように加締めており、通気フィルタ4と連通する空気導入口231を設けている。
【0028】
次に、本例のガスセンサ1につき詳細に説明する。
図1に示すごとく、センサ素子10は、ハウジング11に保持された被測定ガス側絶縁碍子121に挿嵌保持されている。そして、センサ素子10の基端部を覆うように大気側絶縁碍子122がハウジング11の基端側に配されている。一方、ハウジング11の先端側には、センサ素子10の先端部を保護する素子側カバー14が設けられている。
【0029】
センサ素子10には、特定ガス濃度を検知する検出部と、該検出部を加熱するためのヒータと、これらに電気的に接続された端子とが設けてある(図示略)。
上記各端子は、大気側絶縁碍子122の内部に配された接続端子130を介して4本のリード線13とそれぞれ接続されている。
該リード線13は、図1〜図3に示すごとく、大気側カバー2の内側を経由して、大気側カバー2の基端側に設けられた弾性部材3のリード挿通穴313に挿通され、ガスセンサ1の外部へと延設されている。
【0030】
大気側カバー2は、上記のごとく、軸方向の一箇所において弾性部材3を第1中間面310よりも基端側の部分において径方向内側に加締める加締め部211を有する。即ち、本例の弾性部材3は、大気側カバー2の加締め部211のみによって径方向内側に加締められている。そして、加締め部211により、弾性部材3のリード挿通穴313の内側面とリード線13とを密着させている。
大気側カバー2は、図1〜図3に示すごとく、弾性部材3を覆う保護カバー21と、該保護カバー21の先端側において該保護カバー21の内側に嵌合される受けカバー22とを有する。
【0031】
受けカバー22と保護カバー21との嵌合部23は、図1、図8に示すごとく、周状に複数形成された加締め部230と該加締め部230の間に形成された隙間部232とを有する。
受けカバー22の基端部と保護カバー21の先端部とは、加締め部230により、径方向内側に向かって変形した状態で加締められている。
空気導入口231は、図1に示すごとく、保護カバー21における、嵌合部23よりも先端側に形成されている。
【0032】
弾性部材3は、図1〜図7に示すごとく、第1中間面310と第2中間面320との間に形成された小径部312と、該小径部312の先端側及び基端側にそれぞれ形成された大径部311とを有する。また、図1〜図4、図6に示すごとく、小径部312の外周に沿って多孔質のPTFEからなる通気フィルタ4が配設されている。また、本例の弾性部材3の大径部311と小径部312とは、一体的に形成されており、弾性部材3は、1つの部材からなる。そのため、ガスセンサ1の部品点数及び構成要素を低減することができる。
【0033】
また、弾性部材3は、図1〜図3に示すごとく、受けカバー22の基端部と保護カバー21の基端部とによって軸方向から圧縮するように加締められている。
また、本例の縦穴314は、弾性部材3の第1中間面310より先端側のみに形成されており、加締め部211により径方向内側に向かって加締められる基端側の大径部311には、縦穴は形成されていない。
【0034】
また、本例のガスセンサ1には、図1〜図3、図6に示すごとく、保護カバー21と通気フィルタ4との間に隙間5が設けてある。これにより、ガスセンサ1の外部の熱が、大気側カバー2から通気フィルタ4へと伝わることを抑制することができ、通気フィルタ4の熱劣化自体を抑制することもできる。
【0035】
次に、本例のガスセンサにおける大気の導入経路につき説明する。
図1〜図3、図8に示すごとく、保護カバー21の空気導入口231から導入された大気は、その後、保護カバー21と受けカバー22との間に形成されている隙間部232を通って通気フィルタ4の周囲に達する。
【0036】
そして、大気は、図1〜図4、図6に示すごとく、通気フィルタ4を介して縦穴314へと導入される。ここで、本例のガスセンサ1は、弾性部材3の外側面に露出した通気フィルタ4のいずれの部分からでも縦穴314へと大気を導入することができる。
そして、縦穴314を介してガスセンサ1の内部へと導入された大気は、最終的には、センサ素子10内部に設けられた基準ガス空間へと導入される。
【0037】
次に、本例の作用効果につき説明する。
図1〜図3に示すごとく、弾性部材3の第1中間面310と第2中間面320との間には、環状の通気フィルタ4が挟圧された状態で保持されている。そのため、ガスセンサ1の使用により通気フィルタ4に熱が加わって収縮等の熱劣化が生じても、通気フィルタ4と弾性部材3との密着性を確保することができる。
【0038】
即ち、通気フィルタ4の熱劣化が生じても、通気フィルタ4を押圧する方向に付勢された弾性部材3の弾性力により、通気フィルタ4の収縮等の変形分に追従して通気フィルタ4と弾性部材3との界面の密着を保つ。その結果、通気部の防水機能の経時劣化を防ぐことができる。このように、弾性部材3の弾性力によって、通気フィルタ4の熱劣化を補うことができる。
【0039】
また、図1〜図3、図5に示すごとく、大気側カバー2は、弾性部材3を第1中間面310よりも基端側の部分において径方向内側に向かって加締めている。従って、本例において、大気側カバー2は、リード挿通穴313が形成され、かつ縦穴314が形成されていない部分において、弾性部材3を径方向内側に加締めている。それ故、リード線13と弾性部材3との間の隙間の発生を充分に防ぎつつ、縦穴314の変形を防ぐことができる。そのため、ガスセンサ1の基端部における防水を確保しつつ、縦穴314を通過する大気の量を充分に確保することができる。
【0040】
また、このように、ガスセンサ1の基端部に上記構造を採用して通気機能を有する部分とリード線13の保持機能を有する部分とを分離して配置することにより、ガスセンサ1は、防水機能と通気機能との両立を図ることができる。
【0041】
また、通気フィルタ4は、図1〜図4、図6に示すごとく、縦穴314と連通すると共に弾性部材3の外側面に露出した状態で配設されている。これにより、通気フィルタ4が弾性部材3の外側面に露出している部分のいずれの部分からでも大気を導入することができるため、通気性に充分に優れたガスセンサ1を得ることができる。
【0042】
また、弾性部材3は、図1〜図7に示すごとく、第1中間面310と第2中間面320との間に形成された小径部312と、該小径部312の先端側及び基端側にそれぞれ形成された大径部311とを有し、通気フィルタ4は、小径部312の外周に沿って配設されている。これにより、通気フィルタ4を、第1中間面310と第2中間面320との間に確実に保持することができる。
【0043】
また、大気側カバー2は、図1〜図3に示すごとく、保護カバー21と受けカバー22とを有し、弾性部材3は、受けカバー22の基端部と保護カバー21の基端部とによって軸方向から圧縮するように加締められている。これにより、複雑な加工を行うことなく、大気側カバー2を容易に作製することができる。
【0044】
また、受けカバー22と保護カバー21との嵌合部23は、図1、図8に示すごとく、加締め部230と隙間部232とを有し、空気導入口231は、保護カバー21における、嵌合部23よりも先端側に形成されている。そのため、外部からの汚損物等が通気フィルタ4に直接到達することを防ぎ、目詰まりを抑制することができる。
通気フィルタ4は、多孔質のPTFEからなるため、防水性、耐熱性及び耐久性に優れると共に、大気の導通を阻害することのない通気フィルタ4を得ることができる。
【0045】
以上のごとく、本例によれば、通気部の防水機能の経時劣化を防ぐと共に、防水性及び通気性に優れたガスセンサを得ることができる。
【0046】
尚、本例は、積層型センサ素子10を有するガスセンサ1の例であるが、本発明の構成は、有底筒状のコップ型センサ素子を有するガスセンサにも適用することができる。
また、通気フィルタ4は、多孔質の焼結金属からなるものであっても良い。
【0047】
(実施例2)
本例は、図9〜図15に示すごとく、2つの部材からなる弾性部材3を有するガスセンサ1の例である。即ち、弾性部材3は、図9〜図12、図15に示すごとく、第1中間面310を有する第1部材31と、第2中間面320を有する第2部材32とを、別体として有している。
【0048】
第1部材31は、図9〜図15に示すごとく、基端側に設けた大径部311と先端側に設けた小径部312とを有する。
また、第2部材32は、軸方向に開口部322を形成したリング形状を有する。
そして、第1部材31と第2部材32とは、図9〜図12、図15に示すごとく、小径部312と開口部322とを嵌合して第1部材31と第2部材32とが互いに組み付けられている。
縦穴314は、第1部材31の小径部312の外周面に、軸方向に形成されている。
【0049】
通気フィルタ4は、図9〜図12に示すごとく、第1部材31の第1中間面310と第2部材32の第2中間面320との間において、軸方向に押圧された状態で保持されている。
その他は、実施例1と同様である。
【0050】
弾性部材3は、図9〜図12、図15に示すごとく、第1中間面310を有する第1部材31と、第2中間面320を有する第2部材32とを、別体として有している。これにより、複雑な加工を行うことなく、弾性部材3を容易に作製することができると共に、通気フィルタ4を、弾性部材3へと容易に組み付けることができる。また、これにより、通気フィルタ4を、第1部材31と第2部材32とから容易に挟圧することができる。そして、この押圧力により、弾性部材3と通気フィルタ4との間に隙間が生じることを防ぎ、防水機能の経時劣化をより一層防止することができる。
【0051】
また、小径部312と開口部322とを嵌合して第1部材31と第2部材32とが互いに組み付けられているため、第1部材31と第2部材32とを容易に安定して互いに組み付けることができる。
【0052】
(実施例3)
本例は、図16、図17に示すごとく、弾性部材3の第2部材32の外周に、溝部324がガスセンサ1の軸方向に形成されているガスセンサ1の例である。
尚、本例では、図17に示すごとく、溝部324の軸方向と直交する方向の断面形状は、略半円形となっている。
その他は、実施例2と同様である。
【0053】
本例の場合には、軸方向に直交する方向における溝部324の断面積分だけ、通気フィルタ4が大気と接する面積を広く取ることができる。これにより、より一層通気性に優れたガスセンサ1を得ることができる。
その他、実施例2と同様の効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】実施例1における、ガスセンサの断面説明図。
【図2】実施例1における、ガスセンサの基端部の断面説明図であって、図6における、E−E線断面説明図。
【図3】実施例1における、ガスセンサの基端部の断面説明図であって、図6における、F−F線断面説明図。
【図4】実施例1における、通気フィルタと弾性部材との展開図。
【図5】図2における、B−B線断面説明図。
【図6】図2における、C−C線断面説明図。
【図7】図2における、D−D線断面説明図。
【図8】図1における、A−A線断面説明図。
【図9】実施例2における、ガスセンサの断面説明図。
【図10】実施例2における、ガスセンサの基端部の断面説明図であって、図14における、J−J線断面説明図。
【図11】実施例2における、ガスセンサの基端部の断面説明図であって、図14における、K−K線断面説明図。
【図12】実施例2における、通気フィルタと弾性部材との展開図。
【図13】図10における、G−G線断面説明図。
【図14】図10における、H−H線断面説明図。
【図15】図10における、I−I線断面説明図。
【図16】実施例3における、ガスセンサの基端部の断面説明図。
【図17】図16における、L−L線断面説明図。
【図18】従来例における、ガスセンサの断面説明図。
【図19】従来例における、基端部の構成を変更したガスセンサの断面説明図。
【符号の説明】
【0055】
1 ガスセンサ
10 センサ素子
11 ハウジング
13 リード線
2 大気側カバー
231 空気導入口
3 弾性部材
310 第1中間面
313 リード挿通穴
314 縦穴
320 第2中間面
33 軸方向中間部分
4 通気フィルタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定ガス中の特定ガス濃度を検出するセンサ素子と、該センサ素子を挿嵌保持するハウジングと、該ハウジングの基端側に配設された大気側カバーと、上記センサ素子と電気的に接続されたリード線と、該リード線を挿通させると共に上記大気側カバーの基端部を密閉する弾性部材とを有するガスセンサにおいて、
上記弾性部材は、軸方向に形成されると共に先端側に開口した縦穴と、上記リード線を挿嵌するリード挿通穴とを設けてなると共に、上記センサ素子側を向いた第1中間面と、該第1中間面に対向する第2中間面とを軸方向中間部分に設けてなり、
上記第1中間面と上記第2中間面との間には、環状の通気フィルタが挟圧された状態で保持されており、
該通気フィルタは、上記縦穴と連通すると共に上記弾性部材の外側面に露出した状態で配設されており、
上記大気側カバーは、上記弾性部材を上記第1中間面よりも基端側の部分において径方向内側に向かって加締めると共に、上記弾性部材を軸方向から圧縮するように加締めており、上記通気フィルタと連通する空気導入口を設けていることを特徴とするガスセンサ。
【請求項2】
請求項1において、上記弾性部材は、上記第1中間面と上記第2中間面との間に形成された小径部と、該小径部の先端側及び基端側にそれぞれ形成された大径部とを有し、上記通気フィルタは、上記小径部の外周に沿って配設されていることを特徴とするガスセンサ。
【請求項3】
請求項1又は2において、上記弾性部材は、上記第1中間面を有する第1部材と、上記第2中間面を有する第2部材とを、別体として有しており、上記通気フィルタは、上記第1部材と上記第2部材との間において、軸方向に押圧された状態で保持されていることを特徴とするガスセンサ。
【請求項4】
請求項3において、上記第1部材は、基端側に設けた大径部と先端側に設けた小径部とを有し、上記第2部材は、軸方向に開口部を形成したリング形状を有し、上記小径部と上記開口部とを嵌合して上記第1部材と上記第2部材とが互いに組み付けられていることを特徴とするガスセンサ。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項において、上記大気側カバーは、上記弾性部材を覆う保護カバーと、該保護カバーの先端側において該保護カバーの内側に嵌合される受けカバーとを有し、上記弾性部材は、上記受けカバーの基端部と上記保護カバーの基端部とによって軸方向から圧縮するように加締められていることを特徴とするガスセンサ。
【請求項6】
請求項5において、上記受けカバーと上記保護カバーとの嵌合部は、周状に複数形成された加締め部と該加締め部の間に形成された隙間部とを有し、上記空気導入口は、上記保護カバーにおける、上記嵌合部よりも先端側に形成されていることを特徴とするガスセンサ。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項において、上記通気フィルタは、多孔質のPTFEからなることを特徴とするガスセンサ。
【請求項8】
請求項1〜6のいずれか一項において、上記通気フィルタは、多孔質の焼結金属からなることを特徴とするガスセンサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2007−271516(P2007−271516A)
【公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−99192(P2006−99192)
【出願日】平成18年3月31日(2006.3.31)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】