説明

ガスセンサ

【課題】電極パッドの磨耗を防ぐことができるガスセンサを提供すること。
【解決手段】ガスセンサ1は、被測定ガス中の特定ガス濃度を検出するためのセンサ素子2と、該センサ素子2を加熱するための略円柱形状のヒータ3と、センサ素子2を挿通保持するハウジング4と、該ハウジング4の基端側においてヒータ3の基端部30を覆うように配設された端子ユニット5とを有する。端子ユニット5は、一対の絶縁碍子51と、該各絶縁碍子51の内側面510に配設されヒータ3の基端部30の表面に設けた一対の電極パッド300にそれぞれ接触する一対の金属端子52と、一対の絶縁碍子51を互いに近づく方向に押圧する押圧部材53とを有している。一対の絶縁碍子51は、互いに非接触の状態で組み合わされている。ヒータ30の基端部30は、端子ユニット51によって3点以上の支点において接触支持されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被測定ガス中の特定ガス濃度を検出するガスセンサに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の内燃機関等の排気系には、例えば、排ガス中の酸素や窒素酸化物等の特定ガスの濃度を測定するガスセンサが配設されている。
該ガスセンサとして、被測定ガス中の特定ガス濃度を検出するためのセンサ素子を、ハウジングに挿通保持させてなるものがある。また、上記ガスセンサは、図18に示すように、上記センサ素子の内側に挿通されるとともに該センサ素子を加熱するための略円柱形状のヒータ93を有する(例えば、特許文献1参照)。そして、上記ハウジングの基端側には、ヒータ93の基端部930を覆うように配設された絶縁碍子が配設されている。
【0003】
かかるガスセンサにおいては、図18に示すように、ヒータ93の基端部930に設けられた一対の電極パッド933が、外部の電源と電気的に接続された一対の接点端子部952と接触した状態で、これらを固定するためのかしめ部材911によって内側に向かってかしめ固定されている。
【0004】
【特許文献1】特開2005−310767号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、かかる構成のガスセンサにおいては、一対の接点端子部952によって一対の電極パッド933を挟持した状態でヒータ93を接触支持している。すなわち、一対の接点端子部952は、実質的に、一対の電極パッド933とそれぞれ1点でのみ接触することとなる。このため、ヒータ93の基端部930を一対の接点端子部952によって十分に接触支持できているとは言い難い。そしてそのため、ヒータ93が、一対の電極パッド933と一対の接点端子部952との接触点を支点として揺れてしまうおそれがある。
その結果、電極パッド933と接点端子部952との接触部分において、電極パッド933が摩耗してしまうという問題が生じる。
【0006】
本発明は、かかる従来の問題点に鑑みてなされたもので、電極パッドの摩耗を防ぐことができるガスセンサを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、被測定ガス中の特定ガス濃度を検出するためのセンサ素子と、該センサ素子を加熱するための略円柱形状のヒータと、上記センサ素子を挿通保持するハウジングと、該ハウジングの基端側において上記ヒータの基端部を覆うように配設された端子ユニットとを有するガスセンサであって、
上記端子ユニットは、一対の絶縁碍子と、該絶縁碍子の内側面に配設され上記ヒータの基端部の表面に設けた一対の電極パッドにそれぞれ接触する一対の金属端子と、上記一対の絶縁碍子を互いに近づく方向に押圧する押圧部材とを有しており、
上記一対の絶縁碍子は、互いに非接触の状態で組み合わされており、
上記ヒータの基端部は、上記端子ユニットによって3点以上の支点において接触支持されていることを特徴とするガスセンサにある(請求項1)。
【0008】
次に、本発明の作用効果について説明する。
上記ヒータの基端部は、上記端子ユニットによって3点以上の支点において接触支持されている。すなわち、ヒータの基端部は、一対の電極パッドと一対の金属端子とにおいて、少なくともそれぞれ1点ずつ接触しているとともに、さらに端子ユニットのいずれかの部位において少なくとももう1点接触している。このように本発明においては、ヒータの基端部が3点で支持されていることにより、ヒータが振り子状に振動することを抑制することができる。このため、ヒータの基端部と端子ユニットとが相対的に揺動することを抑制することができる。
【0009】
そしてこれにより、電極パッドと金属端子とを一体的に動かすことができ、電極パッドと金属端子との接触部分を支点としてヒータが揺れることを防ぐことができる。その結果、ガスセンサが外部から振動を受けても、電極パッドと金属端子との接触部分において電極パッドが摩耗することを防ぐことができる。
また、上記一対の絶縁碍子は、互いに非接触の状態で組み合わされている。このため、押圧部材による押圧力をヒータの基端部と端子ユニットとの接触点に確実に伝えることができ、端子ユニットによるヒータの基端部の保持力を十分に得ることができる。
【0010】
以上のとおり、本発明によれば、電極パッドの磨耗を防ぐことができるガスセンサを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明(請求項1)において、上記ガスセンサとしては、例えば、自動車エンジン等の各種内燃機関の排気管に設置して、排ガス等の被測定ガス中の酸素濃度に応じた限界電流値によって空燃比を測定するA/Fセンサ、排気ガス中の酸素濃度を測定する酸素センサ、また排気管に設置する三元触媒の劣化検知等に利用するNOx等の大気汚染物質濃度を調べるNOxセンサ等がある。
なお、本明細書において、ガスセンサを例えば内燃機関の排気系等に挿入する側を先端側、その反対側を基端側として説明する。
また、本発明において、上記接触支持とは、上記ヒータの基端部を点接触により支持している場合のみならず、線接触や面接触により支持していることをも含むものとする。
【0012】
また、上記ヒータの基端部は、上記一対の金属端子によって2点の支点において接触支持されているとともに、上記一対の絶縁碍子によって2点以上の支点において接触支持されていることが好ましい(請求項2)。
この場合には、一対の金属端子及び一対の絶縁碍子によって、ヒータが振り子状に振動することを十分に抑制することができる。このため、ヒータの基端部と端子ユニットとが相対的に揺動することを十分に抑制することができる。
【0013】
また、上記一対の金属端子による上記ヒータの基端部の支点と上記一対の絶縁碍子による上記ヒータの基端部の支点とは軸方向位置においてずれており、上記押圧部材は、上記一対の金属端子による上記ヒータの基端部の支点における軸方向位置と上記一対の絶縁碍子による上記ヒータの基端部の支点における軸方向位置との間において、上記一対の絶縁碍子を互いに近づく方向に押圧していることが好ましい(請求項3)。
この場合には、一対の金属端子と一対の絶縁碍子とに確実に押圧力を作用させることができる。
【0014】
また、上記一対の金属端子は、該一対の金属端子によって上記ヒータの基端部を接触支持する支点を含む軸方向の断面において、上記ヒータの基端部における径方向外側に向かって突出してなる接触部を有することが好ましい(請求項4)。
この場合には、電極パッドと金属端子との接触信頼性を容易に向上させることができるとともに接点荷重を安定的に作用させることができる。
【0015】
また、上記一対の金属端子は、上記ヒータの基端部を接触支持する支点を含む軸方向に直交する方向の断面において、上記ヒータの基端部における径方向外側に向かって突出してなる接触部を有するよう構成することもできる(請求項5)。
この場合には、ヒータの基端部と端子ユニットとが相対的に揺動することを十分に抑制することができるとともに、端子ユニットによってヒータの基端部を確実に保持してヒータの基端部の横揺れを防止しすることができる。
【0016】
また、上記ヒータの基端部は、上記端子ユニットによって6点以上の支点において接触支持されていることが好ましい(請求項6)。
この場合には、端子ユニットによって、ヒータが振り子状に振動することを一層抑制することができる。このため、ヒータの基端部と端子ユニットとが相対的に揺動することを一層抑制することができる。
【0017】
また、上記絶縁碍子は、軸方向に直交する断面が略V字状のヒータ当接部を有し、該ヒータ当接部において上記ヒータの基端部と当接していることが好ましい(請求項7)。
この場合には、一対の絶縁碍子におけるヒータ当接部によってヒータの基端部が少なくとも4点において接触支持されることとなり、ヒータの基端部と端子ユニットとが相対的に揺動することを一層防ぐことができる。
【0018】
また、上記金属端子は、径方向内側に向かって付勢された付勢力を有することが好ましい(請求項8)。
この場合には、電極パッドと金属端子との接触信頼性を容易に向上することができ、両者間の電気的導通を容易に図ることができる。
【0019】
また、上記ヒータの基端部は、上記絶縁碍子によって、軸方向に異なるそれぞれ2点以上において接触支持されていることが好ましい(請求項9)。
この場合には、絶縁碍子によって、ヒータが振り子状に振動することを一層抑制することができる。このため、ヒータの基端部と端子ユニットとが相対的に揺動することを一層抑制することができる。
【0020】
また、上記ヒータの基端部は、上記電極パッドの基端側及び先端側において、上記絶縁碍子によって、接触支持されていることが好ましい(請求項10)。
この場合には、絶縁碍子によって、ヒータを安定して保持することができる。これにより、ヒータの基端部と端子ユニットとが相対的に揺動することをより一層抑制することができる。
【実施例】
【0021】
(実施例1)
本発明の実施例に係るガスセンサについて、図1〜図9とともに説明する。
本例のガスセンサ1は、図1に示すように、被測定ガス中の特定ガス濃度を検出するためのセンサ素子2と、該センサ素子2を加熱するための略円柱形状のヒータ3と、センサ素子2を挿通保持するハウジング4と、該ハウジング4の基端側においてヒータ3の基端部30を覆うように配設された端子ユニット5とを有する。
【0022】
端子ユニット5は、図1〜図7に示すように、一対の絶縁碍子51と、該絶縁碍子51の内側面510に配設されヒータ3の基端部30の表面に設けた一対の電極パッド300にそれぞれ接触する一対の金属端子52と、一対の絶縁碍子51を互いに近づく方向に押圧する押圧部材53とを有している。
【0023】
そして、一対の絶縁碍子51は、図3、図5〜図7に示すように、互いに非接触の状態で組み合わされている。
ヒータ3の基端部30は、端子ユニット5によって3点以上の支点において接触支持されている。なお、本例においては、後述するように、ヒータ3の基端部30は端子ユニット5によって6点の支点において接触支持されている。
【0024】
本例のガスセンサ1について詳細に説明する。
本例のガスセンサ1は、上記のとおり、センサ素子2とヒータ3とハウジング4と端子ユニット5とを有する。
ハウジング4は、金属製のハウジングからなる。そして、該ハウジング4は、先端側に配設されたネジ部40において自動車等の内燃機関の排気管に螺合されて取り付けられる(図示略)。
【0025】
ハウジング4の先端側には、図1に示すように、センサ素子2の先端部を覆う内側カバー111と外側カバー112とからなる素子カバー11が配設されている。内側カバー111、外側カバー112には、ガス導入孔113がそれぞれ形成されている。
また、ハウジング4の基端側には、端子ユニット5を覆うように大気側カバー12が接合されている。大気側カバー12の基端部は、ゴムブッシュ13によって閉塞されており、ゴムブッシュ13の内部を外部リード線14が貫通している。
センサ素子2は、有底筒状のコップ型のセンサ素子である。
ヒータ3は、コップ型のセンサ素子2の内側に挿通される略円柱形状のヒータである。
【0026】
以下に、端子ユニット5を構成する各部材について説明する。
本例において端子ユニット5は、上記のとおり、一対の絶縁碍子51と、一対の金属端子52と、2個の押圧部材53とからなる。
【0027】
押圧部材53は、図3、図4に示すように、板状のばね部材からなり、平板状の底板部531と、該底板部531の両端から同じ面側へ屈曲した一対の立ち上がり部532とからなる略コの字状の部材である。そして、該一対の立ち上がり部532の先端部付近に、絶縁碍子51に当接する当接部533が形成されている。
【0028】
金属端子52は、外部リード線14に接続されるリード部521と、電極パッド300と接触する接点端子部522とからなる。そして、リード部521と接点端子部522とは、図6に示すように、軸方向に直交する断面が平行であるとともに互いに段状にずれた状態で形成されている。
なお、本例において、金属端子52の接点端子部522自体は、径方向内側に向かう付勢力を有していない。
【0029】
また、図6に示すように、接点端子部522は、ヒータ3の基端部30を接触支持する支点を含む軸方向の断面において、平板状の基板部552aと、ヒータ3の基端部30における径方向内側に向かって突出してなる接触部522bとを有する。また、接触部522bは、軸方向に弓なりに形成されている。
【0030】
そして、ヒータ3の基端部30と端子ユニット5とは、図2、図4、図6、図8、図9に示すように、一対の金属端子52に形成された接点端子部522と一対の電極パッド300とにおいてそれぞれ1点接触している。これにより、電極パッド300は、外部リード線14及び金属端子52を介して外部の電源(図示略)と電気的に導通している。
【0031】
絶縁碍子51は、図5、図7に示すように、軸方向に直交する断面が略V字状のヒータ当接部511を有している。該ヒータ当接部511は、例えば、互いに80〜100°傾斜した一対の当接面518によって構成することができる。本例においては、ヒータ当接部511は、互いに90°傾斜した一対の当接面518によって構成されている。
【0032】
絶縁碍子51の先端側には、図3、図4に示すように、金属端子52の接点端子部522の先端部523を外方に向かって屈曲させた状態で収容する孔部515が、絶縁碍子51の内側面510と外側面519とを貫通した状態で形成されている。
絶縁碍子51の内側面510には、図2、図4、図6、図7に示すように、上記リード部521の位置決めを行うリード位置決め部513と、上記接点端子部522の位置決めを行う端子位置決め部514とが設けられている。
絶縁碍子51の外側面519には、図3、図4に示すように、押圧部材53の当接部533を当接させるための凹状の当接座部512が設けられている。
【0033】
上記端子ユニット5は、以下のように構成されている。
すなわち、一対の絶縁碍子51には、図4に示すように、それぞれ金属端子52が取り付けられている。ここで、金属端子52のリード部521は上記リード位置決め部513に、金属端子52の接点端子部522は上記端子位置決め部514に嵌合されている。
そして、一対の絶縁碍子51は、図5〜図7に示すように、ヒータ3の基端部30を挟み込むとともに互いに非接触の状態で、金属端子52を取り付けた内側面510同士を対向させるようにして組み合わされている。
【0034】
また、図3、図4に示すように、2個の押圧部材53が、上記のとおり組み合わされた一対の絶縁碍子51を先端側から挟み込んでいる。このとき、押圧部材53の当接部533は、絶縁碍子51の外側面519に形成された当接座部512に当接している。
【0035】
次に、本例のガスセンサ1における、ヒータ3の基端部30と端子ユニット5との接触状態について、図2、図3、図6〜図9を用いて説明する。
なお、同図における符号6は、ヒータ3の基端部30と端子ユニット5との接触点を示すものである。
【0036】
金属端子52における接点端子部522と電極パッド300とは、図2、図3、図6、図8、図9に示すように、1点接触している。したがって、一対の接点端子部522と一対の電極パッド300とは、計2点において接触している。
また、ヒータ3の基端部30とヒータ当接部511とは、図2、図7〜図9に示すように、2点接触している。したがって、ヒータ3は、電極パッド300よりも先端側において、一対の絶縁碍子51におけるヒータ当接部511によって計4点で接触支持されている。
【0037】
このように、ヒータ3は、一対の電極パッド300と一対の金属端子52とにおいて2点、ヒータ3の基端部30とヒータ当接部511とにおいて4点接触している。すなわち、ヒータ3の基端部30は、端子ユニット5によって6点の支点において接触支持されている。
【0038】
次に、ヒータ3の基端部30と端子ユニット5との組付け手順の例について説明する。
まず、金属端子52のリード部521がリード位置決め部513に、金属端子52の接点端子部522が端子位置決め部514にそれぞれ嵌合されるようにして、金属端子52を絶縁碍子51の内側面510に配設する。その後、押圧部材53により絶縁碍子51を挟み込むにより端子ユニット5が組み立てられる。
このとき、押圧部材53は、図3に示すように、一対の金属端子52によるヒータ3の基端部30の支点における軸方向位置と一対の絶縁碍子51によるヒータ3の基端部30の支点における軸方向位置との間において、一対の絶縁碍子51を互いに近づく方向に押圧している。
【0039】
次いで、押圧部材53の押圧力よりも大きい力を加えることにより、端子ユニット2における一対の絶縁碍子51を、一対の金属端子52の間にヒータ32の基端部30の直径よりも大きい隙間ができるまで互いに引き離す。
【0040】
次いで、ヒータ3の基端部30を、一対の金属端子52の間に挿入していく。
このとき、金属端子52の接点端子部522の先端部523は、図3に示すように、上記孔部515に収容されている。このため、ヒータ3の基端部30が挿入されるに当たって、ヒータ3の基端部30と金属端子52の先端部523とが衝突することに起因してヒータ3が損傷することがない。
【0041】
なお、本例において、押圧部材53を、板状のばね部材により形成したが、押圧部材53は、かかる構成に限られず、一対の絶縁碍子51を互いに近づく方向に押圧するという構成を有していれば、どのような形状であってもよい。
【0042】
次に、本例の作用効果について説明する。
ヒータ3の基端部30は、端子ユニット5によって3点以上の支点において接触支持されている。すなわち、ヒータ3の基端部30は、一対の電極パッド300と一対の金属端子52とにおいて、少なくともそれぞれ1点ずつ接触しているとともに、さらに端子ユニット5のいずれかの部位において少なくとももう1点接触している。このように本発明においては、ヒータ3の基端部30が3点で支持されていることにより、ヒータ3が振り子状に振動することを抑制することができる。このため、ヒータ3の基端部30と端子ユニット5とが相対的に揺動することを抑制することができる。
【0043】
これにより、電極パッド300と金属端子52とを一体的に動かすことができ、電極パッド300と金属端子52との接触部分を支点としてヒータ3が揺れることを防ぐことができる。その結果、ガスセンサ1が外部から振動を受けても、電極パッド300と金属端子52との接触部分において電極パッド300が摩耗することを防ぐことができる。
また、一対の絶縁碍子51は、互いに非接触の状態で組み合わされている。このため、押圧部材53による押圧力をヒータ3の基端部30と端子ユニット5との接触点6に確実に伝えることができ、端子ユニット5によるヒータ3の基端部30の保持力を十分に得ることができる。
【0044】
また、ヒータ3の基端部30は、端子ユニット5に6点以上接触支持しているため、端子ユニット5によって、ヒータ3の基端部30と端子ユニット5とが相対的に揺動することを十分に抑制することができる。
また、絶縁碍子51は、軸方向に直交する断面が略V字状のヒータ当接部511を有し、該ヒータ当接部511においてヒータ3と当接している。これにより、一対の絶縁碍子51におけるヒータ当接部511によってヒータ3の基端部30が4点において接触支持されることとなり、ヒータ3の基端部30と端子ユニット5とが相対的に揺動することを一層防ぐことができる。
【0045】
また、押圧部材53は、一対の金属端子52によるヒータ3の基端部30の支点における軸方向位置と一対の絶縁碍子51によるヒータ3の基端部30の支点における軸方向位置との間において、一対の絶縁碍子51を互いに近づく方向に押圧している。このため、一対の金属端子52と一対の絶縁碍子51とに確実に押圧力を作用させることができる。
【0046】
また、一対の金属端子52は、該一対の金属端子52によってヒータ3の基端部30を接触支持する支点を含む軸方向の断面において、ヒータ3の基端部30における径方向内側に向かって突出してなる接触部522bを有する。このため、電極パッド300と金属端子52との接触信頼性を容易に向上させることができるとともに接点荷重を安定的に作用させることができる。
【0047】
以上のとおり、本例によれば、電極パッドの磨耗を防ぐことができるガスセンサを提供することができる。
【0048】
なお、本例では、図9に示す位置においてヒータ3の基端部30を金属端子52によって1点にて接触支持するとともに絶縁碍子によって2点にて接触支持する例を説明したが、端子ユニット5による接触支持方法は上記に限られるものではない。すなわち、図9に示す位置において例えばヒータ3の基端部30を金属端子52によって3点にて接触支持するよう構成することもできる。また、図9に示す位置においてヒータ3の基端部30を金属端子52によって2点にて接触支持するとともに絶縁碍子51によって1点にて接触支持することにより、計3点にて接触支持するよう構成することもできる。
【0049】
(実施例2)
本例は、図10〜図13に示すように、金属端子52が、径方向内側に向かって付勢された付勢力を有する端子ユニット5の例である。
なお、図11〜図13における符号6は、ヒータ3の基端部30と端子ユニット5との接触点を示すものである。
【0050】
すなわち、ヒータ3の基端部30は、図11に示すように、絶縁碍子51によって、軸方向に異なるそれぞれ2点以上において接触支持されている。そして、本例においては、ヒータ3の基端部30は、一対の絶縁碍子51によって、一対の電極パッド300の基端側及び先端側の6点の支点において接触支持されている。
【0051】
具体的には、図12に示すように、ヒータ3の基端部30は、絶縁碍子51の基端側において曲面状に形成されたヒータ当接部511において、絶縁碍子51の先端側と1点接触している。したがって、ヒータ3の基端部30は、図11、図12に示すように、一対の絶縁碍子51の基端側において計2点接触している。
【0052】
また、図13に示すように、絶縁碍子51は、先端側において、軸方向に直交する断面が略V字状のヒータ当接部511を有する。そして、ヒータ3の基端部30は、ヒータ当接部511において絶縁碍子51と2点接触している。したがって、ヒータ3の基端部30は、図11、図13に示すように、一対の絶縁碍子51における先端側において計4点接触している。
このように、本例においては、ヒータ3の基端部30と端子ユニット5とは、計6点において接触している。
【0053】
なお、金属端子52は、上記のとおり径方向内側に向かう付勢力を有しているが、電極パッド300と外部の電源との電気的導通を図るために電極パッド300に接触しているだけであり、ヒータ3の基端部30を接触支持しているわけではない。
また、本例においては、絶縁碍子51の内側面510の基端側には曲面状のヒータ当接部511が形成されているが、基端側にも先端側と同様に軸方向に直交する断面が略V字状のヒータ当接部511を設けることができる。かかる場合には、ヒータ3の基端部30と端子ユニット5とは計8点の支点によって接触することとなる。
その他は、実施例1と同様である。
【0054】
本例の場合には、金属端子52は、径方向内側に向かって付勢された付勢力を有するため、電極パッド300と金属端子52との接触信頼性を容易に向上することができ、両者間の電気的導通を容易に図ることができる。
また、ヒータ3の基端部30は、絶縁碍子51によって、軸方向に異なるそれぞれ2点以上において接触支持されている。これにより、端子ユニット5によって、ヒータ3の基端部30をより一層確実に接触支持することができ、電極パッド300の摩耗をより一層防ぐことができる。
【0055】
特に本例においては、ヒータ3の基端部30は、電極パッド300の基端側及び先端側において、絶縁碍子51によって、接触支持されているため、絶縁碍子51によって、ヒータ3を安定して保持することができる。これにより、ヒータ3の基端部30と端子ユニット5とが相対的に揺動することをより一層抑制することができる。
その他、実施例1と同様の作用効果を有する。
【0056】
(実施例3)
本例は、図14、図15に示すように、ヒータ3の基端部30と端子ユニット5とにおける種々の接触状態を示す例である。
なお、同図における符号6は、ヒータ3の基端部30と端子ユニット5との接触点を示すものである。
また、本例において使用した符号は、図2において使用した符号に準ずる。
【0057】
すなわち、図14に示す接触状態において、一対の金属端子52に設けられた接点端子部522と一対の電極パッド300とは、ガスセンサ1の軸方向位置において互いにずれた状態で、それぞれ1点ずつ接触している。また、ヒータ3は、電極パッド300よりも先端側において絶縁碍子51の内側面510と1点接触している。したがって、図14に示す接触状態においては、ヒータ3の基端部30と端子ユニット5とは、計3点で接触している。
【0058】
また、図15に示す接触状態において、一対の電極パッド300と一対の接点端子部522とは、ガスセンサ1の軸方向における同位置においてそれぞれ1点ずつ接触している。さらに、ヒータ3の基端部30と絶縁碍子51の内側面510とが、電極パッド300よりも先端側であって、電極パッド300と接点端子部522との接触点6における軸方向の延長線上においても接触している。このように、図15に示す接触状態においては、ヒータ3と端子ユニット5とは、計4点で接触している。
その他は、実施例1と同様の構成及び作用効果を有する。
【0059】
(実施例4)
本例は、図16、図17に示すように、一対の金属端子52が、ヒータ3の基端部30を接触支持する支点を含む軸方向に直交する方向の断面において、ヒータ3の基端部30の径方向外側に向かって突出してなる接触部522bを有するガスセンサ1の例である。
すなわち、金属端子52における接点端子部522は、平板状の基板部522aと、該基板部522aよりもヒータ3の基端部30の径方向内側において形成されるとともに径方向外側に向かって突出する曲面からなる接触部522bとを有する。そして、かかる接触部522bと電極パッド300とが接触している。
その他、実施例1と同様の構成を有する。
【0060】
本例の場合には、ヒータ3の基端部30と端子ユニット5とが相対的に揺動することを十分に抑制することができるとともに、端子ユニット5によってヒータ3の基端部30を確実に保持してヒータ3の基端部30の横揺れを防止することができる
その他は、実施例1と同様の作用効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】実施例1における、ガスセンサの縦断面図。
【図2】実施例1における、端子ユニットの縦断面図。
【図3】図2における模式化したA−A線断面図。
【図4】実施例1における、模式化した端子ユニットの斜視図。
【図5】実施例1における、端子ユニットの下面図。
【図6】図2におけるB−B線断面図。
【図7】図2におけるC−C線断面図。
【図8】実施例1における、ヒータの基端部における端子ユニットとの接触点を示す斜視図。
【図9】図8に直交する方向のヒータの斜視図。
【図10】実施例2における、端子ユニットの縦断面図。
【図11】実施例2における、ヒータの基端部における端子ユニットとの接触点を示す斜視図。
【図12】図10におけるD−D線断面図。
【図13】図10におけるE−E線断面図。
【図14】実施例3における、ヒータの基端部における端子ユニットとの接触点を示す斜視図。
【図15】実施例3における、別のヒータの基端部における端子ユニットとの接触点を示す斜視図。
【図16】実施例4における、模式化した端子ユニットの斜視図。
【図17】実施例4における、ヒータの基端部と一対の金属端子との接触状態を示す横断面図。
【図18】従来例における、ヒータの斜視図。
【符号の説明】
【0062】
1 ガスセンサ
2 センサ素子
3 ヒータ
30 基端部
300 電極パッド
4 ハウジング
5 端子ユニット
51 絶縁碍子
510 内側面
52 金属端子
53 押圧部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定ガス中の特定ガス濃度を検出するためのセンサ素子と、該センサ素子を加熱するための略円柱形状のヒータと、上記センサ素子を挿通保持するハウジングと、該ハウジングの基端側において上記ヒータの基端部を覆うように配設された端子ユニットとを有するガスセンサであって、
上記端子ユニットは、一対の絶縁碍子と、該絶縁碍子の内側面に配設され上記ヒータの基端部の表面に設けた一対の電極パッドにそれぞれ接触する一対の金属端子と、上記一対の絶縁碍子を互いに近づく方向に押圧する押圧部材とを有しており、
上記一対の絶縁碍子は、互いに非接触の状態で組み合わされており、
上記ヒータの基端部は、上記端子ユニットによって、3点以上の支点において接触支持されていることを特徴とするガスセンサ。
【請求項2】
請求項1において、上記ヒータの基端部は、上記一対の金属端子によって2点の支点において接触支持されているとともに、上記一対の絶縁碍子によって2点以上の支点において接触支持されていることを特徴とするガスセンサ。
【請求項3】
請求項2において、上記一対の金属端子による上記ヒータの基端部の支点と上記一対の絶縁碍子による上記ヒータの基端部の支点とは軸方向位置においてずれており、上記押圧部材は、上記一対の金属端子による上記ヒータの基端部の支点における軸方向位置と上記一対の絶縁碍子による上記ヒータの基端部の支点における軸方向位置との間において、上記一対の絶縁碍子を互いに近づく方向に押圧していることを特徴とするガスセンサ。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項において、上記一対の金属端子は、該一対の金属端子によって上記ヒータの基端部を接触支持する支点を含む軸方向の断面において、上記ヒータの基端部における径方向内側に向かって突出してなる接触部を有することを特徴とするガスセンサ。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれか一項において、上記一対の金属端子は、上記ヒータの基端部を接触支持する支点を含む軸方向に直交する方向の断面において、上記ヒータの基端部における径方向外側に向かって突出してなる接触部を有することを特徴とするガスセンサ。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項において、上記ヒータの基端部は、上記端子ユニットによって6点以上の支点において接触支持されていることを特徴とするガスセンサ。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項において、上記絶縁碍子は、軸方向に直交する断面が略V字状のヒータ当接部を有し、該ヒータ当接部において上記ヒータの基端部と当接していることを特徴とするガスセンサ。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項において、上記金属端子は、径方向内側に向かって付勢された付勢力を有することを特徴とするガスセンサ。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項において、上記ヒータの基端部は、上記絶縁碍子によって、軸方向に異なるそれぞれ2点以上において接触支持されていることを特徴とするガスセンサ。
【請求項10】
請求項9において、上記ヒータの基端部は、上記電極パッドの基端側及び先端側において、上記絶縁碍子によって、接触支持されていることを特徴とするガスセンサ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate


【公開番号】特開2009−115780(P2009−115780A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−195723(P2008−195723)
【出願日】平成20年7月30日(2008.7.30)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】