説明

ガスセンサ

【課題】構造の簡素化および小型化を図りつつ、検出素子の形状自由度を向上させることのできるガスセンサを得る。
【解決手段】ガスセンサ1は、被測定ガス中の特定ガス成分の濃度を検出する検出素子2と、導電性を有し、素子挿入孔に前記検出素子が挿入されたホルダ4と、を備えている。そして、アース電極26bとホルダ4とを、グラファイト12bを介して電気的に接続することで、アース電極26bをホルダ4にボディアースしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検出ガスに含まれる特定ガス成分の濃度を検出するガスセンサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ガスセンサとして、被測定ガスに含まれる特定ガス成分の濃度を検出する検出素子(ガス検出素子)と、この検出素子をパッキンを介して支持するホルダ(主体金具)と、を備え、例えば車両の排気管に設置されて排気ガス中の酸素濃度を検出するものが知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
この特許文献1に開示されるガスセンサでは、検出素子の外周に径方向外向きに突出した鍔部が設けられており、検出素子の先端部から当該鍔部の先端面にかけて設けられたアース電極(外側電極)を当該鍔部の先端面とホルダとの間に配置されたパッキンを介してホルダに接続させるとともに、ホルダを排気管に接続させることで、アース電極をボディアースしている。
【特許文献1】特開2005−10156号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、鍔部が形成されていない検出素子等を用いた場合、かかる従来技術のように、検出素子のアース電極をパッキンを介してホルダに接続することが難しい。このため、上記従来の技術では、検出素子の形状自由度の向上を図り難かった。
【0005】
そこで、本発明は、構造の簡素化および小型化を図りつつ、検出素子の形状自由度を向上させることのできるガスセンサを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、アース電極を有し、被測定ガス中の特定ガス成分の濃度を検出する検出素子と、導電性を有し、素子挿入孔に前記検出素子が挿入されたホルダと、を備えるガスセンサにおいて、前記アース電極と前記ホルダとが、グラファイトを介して電気的に接続されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、グラファイトによってアース電極とホルダとを電気的に接続しているため、鍔部が形成されていない検出素子等を用いた場合でも、アース電極を容易にボディアースさせることができる。したがって、ガスセンサの構造の簡素化および小型化を図りつつ、検出素子の形状自由度を向上させることができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明を具現化した実施形態について図面を参照して説明する。以下の実施形態では、内燃機関を搭載した自動車や2輪車等の車両の排気管に装着された空燃比検出用の酸素センサを例示する。
【0009】
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態にかかる酸素センサを排気管に取り付けられた状態で示す側面図、図2は、酸素センサの断面図(軸方向に沿った断面図)、図3は、酸素センサの要部の断面図(軸方向に沿った断面図)、図4は、検出素子を示す図であって、(a)は、検出素子の側面図、(b)は、図4(a)のC−C断面図、図5は、検出素子の分解斜視図、図6は、シール部の要部の断面図、図7は、図2のA−A断面図に対応する第1変形例を示す断面図である。
【0010】
[酸素センサ1の概要]
図1に示すように、本実施形態の酸素センサ1は、エンジン101に接続された排気管102における触媒103とエンジン101との間の位置もしくは触媒の下流側に設けられている。
【0011】
図2に示すように、本実施形態の酸素センサ1は、外面に段付きの外形略円柱状をなしている。酸素センサ1は、被測定ガス中の特定ガス成分の濃度を検出する検出素子2と、検出素子2が挿通されている筒状のホルダ4と、このホルダ4と検出素子2との間をシールし、且つ、検出素子2をホルダ4内に位置決めするシール部5と、検出素子2に接続された端子6と、ホルダ4の軸方向の一端部(上端部)側に配置され、端子6を支持している絶縁体である碍子7と、ホルダ4の軸方向の一端部(上端部)側に配置され、碍子7の外面を覆っているケーシング8と、ホルダ4の他端部(下端部)に固定されるとともにホルダ4より突出し、検出素子2の外面を覆うプロテクタ9と、を備えている。
【0012】
[検出素子2]
図2ないし図4に示すように、本実施形態に示す検出素子2は、断面略円柱状をした棒状に形成され、その軸方向の一端部(上端部)には、後述する出力電極25bおよびヒータ電極22bを有する接続部2aが形成され、その軸方向の他端部(下端部)には酸素検知部2bが形成されている。詳しくは、検出素子2は、接続部2aを有する小径円柱部2cとこの小径円柱部2cの外径D1よりも略大径に形成された大径円柱部2dとを有する段付き円柱状に形成されて小径円柱部2cに接続部2aが形成され、大径円柱部2dに酸素検知部2bが形成されている。小径円柱部2cの先端は、その全周に亘って面取りが施されている。
【0013】
出力電極25bは、検出素子2の外部に対して露出しており、出力電極25bと酸素検知部2bとは、相互に電気的に接続されている。検出素子2では、酸素検知部2bが被測定ガスである排ガスに含まれる特定ガス成分として酸素を検出し、その検出結果として酸素濃度を出力電極25bから電気信号で出力するようになっている。
【0014】
検出素子2は、詳細には、図4,図5に示すように、絶縁材料であるアルミナ等のセラミック材料により形成される細長い円柱ロッド状の基体21を有し、この基体21に接続部2aを構成する出力電極25bや、酸素検知部2bが形成されている。検出素子2は、このように基体21をロッド状に形成することにより、酸素センサ1をよりコンパクトな構成とすることができるとともに、取り付け時の方向やガスの流れ方向等による影響を受けなくすることができる。
【0015】
基体21の表面21a上には、ヒータパターン22が形成されており、このヒータパターン22は、絶縁層23によって被覆されている。そして、この基体21は、ヒータパターン22および絶縁層23とともに、ヒータ部28を構成している。
【0016】
ヒータパターン22は、例えばアルミナを混合した白金等の発熱性導体材料からなり、基体21の表面21aに曲面印刷等の手段を用いて形成されている。また、ヒータパターン22には、基体21の先端側から基体側に向けて延びる一対のリード部22aが一体的に連設されている。これらのリード部22aにおける基体21の基端側はヒータ電極22bとなっており、これらのヒータ電極22bが、図2に示すように端子6に接続されている。そして、ヒータパターン22は、外部のヒータ電源(図示せず)から各リード部22aを介して給電されることにより、例えば720〜800℃程度の温度に基体21を加熱する。
【0017】
絶縁層23は、ヒータパターン22をリード部22aと一緒に径方向外側から保護するために、例えばアルミナ等のセラミック材料を曲面印刷等の手段で基体21の外周側に厚膜印刷することにより形成されている。
【0018】
また、基体21の表面21a上には、ヒータパターン22とは別の位置に機能層30および当該機能層30の外面を覆う保護層31等が曲面印刷等の手段を用いて積層化するように形成されている。本実施形態では、この機能層30および保護層31は、ヒータパターン22に対して基体21の表面21a上における径方向の対向位置に設けられている。
【0019】
機能層30は、酸素イオン伝導性を有する固体電解質層24と、この固体電解質層24の基体21側に位置する参照電極層25と、この参照電極層25に対して固体電解質層24の反対側に位置する検出電極層26と、固体電解質層24の基体21側に位置し、固体電解質層24に向けて基準ガスである外気(大気)を導く空気通過層27を含んで構成されている。
【0020】
固体電解質層24は、例えばジルコニアの粉体中に所定重量%のイットリアの粉体を混合させてペースト状物により形成される。そして、固体電解質層24は、参照電極層25と検出電極層26との間で、周囲の酸素濃度差に応じた起電力を発生させ、その厚さ方向に酸素イオンを輸送する。
【0021】
これにより、固体電解質層24と一対の電極層である参照電極層25および検出電極層26とによって、酸素濃度を電気信号として取り出す酸素測定部29を形成する。
【0022】
また、固体電解質層24の一部は、空気通過層27に接している。すなわち、空気通過層27は、少なくとも基体21と固体電解質層24との界面に形成されている。
【0023】
参照電極層25および検出電極層26は、それぞれ白金等からなる導電性で、かつ酸素が通過できる材料により形成されている。そして、参照電極層25および検出電極層26にはそれぞれリード部25a,26aが一体的に延設されており、これらのリード部25a,26aを用いて参照電極層25と検出電極層26との間に現れた出力電圧を検出できるようになっている。詳しくは、これらリード部25a,26aにおける参照電極層25および検出電極層26側とは反対側の端部が、電極部としての出力電極25b、アース電極26bとなっている。アース電極26bは、本実施形態においては、酸素センサ1組み付け時における検出素子2の粉充填スペース4gに対応する部位に設けられており、保護層31,拡散層32に形成されたアース電極用窓部31a,32aによってアース電極26bの表面全体もしくは一部が外部に露出するように設けられている。一方、出力電極25bは、基体21の軸方向の一端側に保護層31よりも延出してアース電極26bとは軸方向にズレて外部に露出している(図示せず)。即ち、アース電極26bおよび出力電極25bは、検出素子2の外周に設けられている。
【0024】
空気通過層27は、例えばアルミナの粉体(所定重量%のジルコニアの粉体を混合してもよい)からなるペースト状物を曲面印刷等の手段を用いて基体21の表面21aの外周側に厚膜印刷することにより環状に形成されている。
【0025】
そして、空気通過層27は、連続気泡からなる空孔を有した多孔質構造に形成され、検出素子2の周囲を流れる被測定ガスの一部を、図5に示す軸方向の一端側の端面から矢示a方向(軸方向)へと空気通過層27の内部に拡散させつつ、この被測定ガスを参照電極層25に向けて透過させる機能を有している。
【0026】
また、本実施形態では、空気通過層27は、固体電解質層24の面積よりも小さい絶縁性材料(例えばアルミナ)と固体電解質(例えばジルコニア)とのセラミック混合体により形成されることで、固体電解質層24の焼結時において固体電解質層24と基体21との間の応力差を緩和する機能も備えている。
【0027】
さらに、固体電解質層24を除いた機能層30の外面(リード線部25a,26aおよび緩和層27の一部外面)には、保護層31が形成されており、この保護層31と絶縁層23の外面には、拡散層32が保護層31や固体電解質層24を覆うように形成されており、この拡散層32の外面には、スピネル保護層33が拡散層32の外面を含めた領域を覆うように形成されている。
【0028】
保護層31は、被測定ガス中の酸素が内面側に透過できない材料、例えば、アルミナ等のセラミック材料より形成されている。本実施形態では、図5に示すように、保護層31には、アース電極用窓部31aが形成されており、当該アース電極用窓部31aからアース電極26bが露出するようにしている。また、保護層31には、検出電極層用窓部31bが形成され、当該検出電極層用窓部31bから検出電極層26の全部または一部が露出している。これによって、測定ガス中の酸素が、検出電極層用窓部31bのみから検出電極層26に入り込むことができるようになる。
【0029】
拡散層32は、測定ガス中の有害ガス、ダスト等は内面側に通過できないが、測定ガス中の酸素は通過できる材質、例えば、アルミナと酸化マグネシウムの混合物の多孔質構造体によって形成されている。なお、拡散層32にも、アース電極用窓部32aが形成されており、当該アース電極用窓部32aからアース電極26bが露出するようにしている。また、拡散層32にも、保護層31と同様に検出電極層用窓部32bが形成され、当該検出電極層用窓部32bから検出電極層26の全部または一部が露出している。
【0030】
スピネル保護層33は、保護層31、拡散層32及び保護層31,拡散層32のそれぞれの検出電極層用窓部31b,32bから外部に露出している検出電極層26とともに、機能層30,ヒータ部28の外面を覆っており、測定ガス中の酸素を通過できる多孔質構造をしており、保護層31より荒い多孔質体によって形成されている。
【0031】
このような検出素子2は、一連の印刷工程で形成される。具体的には、まず、アルミナ等のセラミック材料を射出成形して基体21を製造した後、この基体21を回転させつつ、基体の表面21aの略半分の領域に、曲面スクリーン印刷によってヒータパターン22、リード部22aおよび絶縁層23を形成する。
【0032】
次に、基体21の表面21aで、且つ、ヒータパターン22の領域とは逆の半分の領域に、曲面スクリーン印刷によって空気通過層27を形成する。
【0033】
次に、基体21の表面21aに空気通過層27の上から白金等からなる導電性ペーストを曲面スクリーン印刷して参照電極層25及びそのリード部25aを一体に形成する。
【0034】
次に、参照電極層25及び空気通過層27の上面に例えば、ジルコニアとイットリアからなるペースト状物を曲面スクリーン印刷して空気通過層27の面積よりも大きく酸素イオン伝導性の固体電解質層24を形成する。
【0035】
次に、固体電解質層24の上面に白金等からなる導電性ペーストを曲面スクリーン印刷して検出電極層26及びそのリード部26aを一体に形成する。
【0036】
これらによって機能層30を形成するとともに、検出電極層26及び固体電解質層24の上面に、例えばアルミナと酸化マグネシウムからなるペースト状物を曲面スクリーン印刷して保護層31を形成する。
【0037】
ここで、保護層31は、両電極25,26のリード部25a,26a及び空気通過層27の一部を覆うように形成されており、リード部25a,26aを保護するとともに、空気通過層27をシールする機能を有している。
【0038】
このように、保護層31で両電極25,26のリード部25a,26a及び空気通過層27の一部を覆うことで、空気通過層27に導入される空気の漏れを確実に防止できるようにしている。
【0039】
次いで、固体電解質層24、保護層31および絶縁層23の一部外面を覆うように拡散層32が形成される。
【0040】
拡散層32は、焼成後に多孔質構造となり、固体電解質層24を保護するとともに、被測定ガスを検出電極層26に拡散する機能を有している。
【0041】
次いで、検出電極層26及び固体電解質層24の外面のみならず絶縁層23の外面、つまり、基体21の外面の円周方向の全領域に亘って、例えば、アルミナと酸化マグネシウムからなるペースト状物を曲面スクリーン印刷してスピネル保護層33を形成し、円柱状作成物を形成することで曲面スクリーン印刷工程を終了する。
【0042】
そして、このような一連の印刷工程を終えた円柱状作成物を高熱(たとえば1400〜1500℃)で焼成することにより一体的に焼結された検出素子2を得ることができる。このとき、空気通過層27にはジルコニアとアルミニウムの混合材料に、さらに例えばカーボン等の空孔形成剤(消失剤)を加えて混合したものをパターニングし、それを焼成することにより形成し、多孔質構造とする。
【0043】
また、参照電極層25は、貴金属材料(例えば白金等)に例えばテオブロミン等の空孔形成剤を加えて混合したものをパターニングし、それを焼成することにより形成することで、焼成時に空孔形成剤(消失剤)が焼き飛ばされて電極内に空孔ができ、電極を多孔質構造とすることができる。
【0044】
さらに、空気通過層27は、固体電解質層24を通じて参照電極層25へ輸送されてくる酸素を図示しない経路によって逃散させるガス逃散路としての機能もある。とくに、本実施形態の空気通過層27はセラミック混合体に空孔形成剤を混合して形成される。このように空孔形成剤を混合して形成することにより、焼成時に空孔形成剤が焼き飛ばされて層内に空孔ができ、空気通過層27を多孔質構造にすることができることから、参照電極層25から供給された余剰酸素を検出素子端部へ排出することができるので、酸素の圧力の上昇による素子割れを防止することが可能になる。
【0045】
[ホルダ4]
図2および図3に示すように、ホルダ4には、検出素子2が挿入されている素子挿入孔4aが形成されている。この素子挿入孔4aに挿入された検出素子2は、その酸素検知部2bがホルダ4の軸方向の他方側に露出している一方、接続部2aがホルダ4の軸方向の一方側に露出している。
【0046】
ホルダ4は、その上部に上方から見て六角形状を有する六角部4bを有し、この六角部4bに工具を嵌合してホルダ4に回転トルクを容易に作用させることができるようになっている。ホルダ4の下部の外面には、ネジ部4cが形成されている。ホルダ4の六角部4bとネジ部4cとの間には、ガスケット35が配置されている。
【0047】
また、ホルダ4の六角部4bの上面には、凸部4dが形成されている。凸部4dの上面は、碍子7の下端面7aと当接し碍子7におけるホルダ4側の端部(下端部)を支持する位置決め面4hとなっている。この凸部4dには、溝部4eが形成されている。そして、この溝部4eの内周壁が折り曲げられて加締め部4fとなっている。このホルダ4は、ステンレス等の金属によって形成されて、導電性を有している。
【0048】
[シール部5]
シール部5は、素子挿入孔4aの軸方向の一端部に位置する粉充填スペース(シール材収納スペース)4gと、この粉充填スペース4gの近傍に設けられた加締め部4fとを有している。粉充填スペース4gは、素子挿入孔4aの一部がホルダ4の先端側(酸素検知部2b側)からホルダ4の後端側(接続部2a側)へ向けて拡径されることで形成されている。シール部5は、粉充填スペース4gに充填剤(シール材)12とこの充填剤12を押圧する押圧部材13とを収容し、検出素子2の径方向で、検出素子2の中心へ向かう方向へ全周加締め等の手段を用いて曲げ加工することで加締め変形した加締め部4fによって押圧部材13を圧縮し、この圧縮力で充填剤12を圧縮状態で充填することによって検出素子2の外面2eとホルダ4の内周面4iとの間をシールし、且つ、検出素子2をホルダ4に位置決めしている。つまり、充填剤12は、検出素子2をホルダ4に位置決めし、押圧部材13は、充填剤12を押圧して充填剤12に検出素子2の位置決めをさせている。
【0049】
このシール部5による検出素子2の外面2eとホルダ4の内周面4iとの間のシールによって、ホルダ4の内部に外部の水分等が浸入するのが遮断されるとともに、排気管102の内部の排気ガス等がケーシング8の内部に浸入するのが遮断される。
【0050】
ここで、押圧部材13としては、例えば円筒形状のリング部材が使用されている。
【0051】
また、本実施形態では、充填剤12として未焼結のタルク12aと、導電性を有し、粒子形状が鱗片状のグラファイト12bを用い、当該タルク12aおよびグラファイト12bを検出素子2の軸c方向に積層配置して押圧部材13により押圧することでシール部5を形成している。そして、グラファイト12bを介してホルダ4と検出素子2のアース電極26bとを電気的に接続している。なお、タルク12aの替わりにステアタイト等のセラミック粉を用いることも可能である。
【0052】
本実施形態では、図6に示すように、シール部5は、検出素子2の軸c方向下側から、タルク12a、グラファイト12b、タルク12aの順に積層された3層構造をしており、検出素子2の外面に露出したアース電極26bがグラファイト12bの内周(内面)に当接している。そして、グラファイト12bの外周(外面)をホルダ4の内周面4iに当接させることで、検出素子2とホルダ4とを電気的に接続し、アース電極26bをホルダ4にボディアースさせている。
【0053】
また、本実施形態では、図6に示すように、圧縮状態におけるグラファイト12bの検出素子2の軸c方向の厚さt2を、アース電極26bの検出素子2の軸c方向の厚さt1よりも小さくしている。さらに、圧縮状態におけるグラファイト12bの検出素子2の軸c方向の中心M1とアース電極26bの検出素子2の軸c方向の中心M2とが軸c方向において略同一となるように配置されている。
【0054】
[端子6]
図2に示すように、本実施形態における端子6は、検出素子2の出力電極25bおよび一対のヒータ電極22bに対応して3つ設けられている。これらの端子6は、図面では酸素センサ1の軸心周りに略90度間隔に配置されている例を説明の便宜上示してあるが、これらの端子6は、図7に示すように、酸素センサ1の軸心周りに略120度間隔で配置されているのがより好適である。このように、端子6を略120度間隔(等間隔)で配置させることによって、各端子6間に一定長の距離をとることができ、各端子6間の接触等によるショートや各電極(ヒータ電極22b、出力電極25b)間の接触等によるショートを抑制することができる(絶縁効果)。この端子6は、板素材を折り曲げ加工等することにより形成されており、その一端部には、略板状の接触部6aが形成されている。端子6の他端部は、ばね性を有する形状に形成されている。具体的には、端子6の他端部には、板ばねである鉤状のばね部6bが形成されている。このばね部6bは、板素材を折返し加工することによって形成される。
【0055】
端子6は、ホルダ4の一端部側に配置されている。そして、ホルダ4の軸方向の一方にホルダ4から露出した検出素子2の出力電極25bおよび一対のヒータ電極22bに対して、ばね部6bがそのばね性を利用して圧接している。
【0056】
端子6の接触部6aは、結合部14を介してハーネス15の後述する芯線15aに接続されている。接触部6aは、結合部14に例えばスポット溶接によって固着されている。ここで、結合部14は、金属材料などの導電性を有する材料によって形成されている。よって、検出素子2の酸素検知部2bは、出力電極25b、端子6および結合部14を介して、ハーネス15の芯線15aと電気的に接続されている。
【0057】
[ハーネス15]
ハーネス15は、検出素子2の出力電極25bおよび一対のヒータ電極22bに対応して3つ設けられている。ハーネス15は、芯線15aとこの芯線15aを被覆している被覆材15bとから構成されている。芯線15aの端部は被覆材15bから露出しており、この芯線15aの露出部分が結合部14に接続されている。
【0058】
[ケーシング8]
ケーシング8は、碍子7を覆う筒状に形成されている。このケーシング8の軸方向一端部の内側には、シーリングラバー16が配置され、このシーリングラバー16を介してハーネス15がケーシング8の内部から外部に導き出されている。シーリングラバー16は、ケーシング8の加締め部8aによる加締めによって、径方向であってシーリングラバー16の中心部に向かう方向に縮径された状態でケーシング8に固定されている。この加締めによってシーリングラバー16とハーネス15との間、およびシーリングラバー16とケーシング8との間のシール性(気密性)が確保されている。シーリングラバー16は、フッ素ゴム等の耐熱性を有する材質から構成されている。
【0059】
ケーシング8の軸方向の他端部は、ホルダ4に嵌着されるとともに、例えばレーザ溶接等の溶接(例えば、全周溶接)によってホルダ4に固定されている。この溶接によってケーシング8とホルダ4との間のシール性が確保されている。なお、この溶接部分は、図1中に符号17で示している。ケーシング8の内形は、碍子7の外形よりも十分に大きく形成され、これによってケーシング8と碍子7との間には、空隙部36が形成されている。
【0060】
[碍子7]
図2に示すように、本実施形態による碍子7は、外形略円柱状に形成されてホルダ4の位置決め面4hに起立状態で配置されている。この碍子7は、絶縁材料からなり、その絶縁材料は、例えばセラミックスである。
【0061】
碍子7の下端面(他端面)7aには、軸方向一方側に向けて凹む凹部7dが形成されている。この凹部7dの内周面7eに沿って、複数の端子6のばね部6bが配置され、これら複数の端子6の間に検出素子2の接続部2aが嵌合されるようになっている。すなわち、検出素子2と碍子7とが組み付けられた状態では、端子6のばね部6bが、碍子7の凹部7dの内周面7eと検出素子2の接続部2aの外面との間に形成される空間Sに配置され、当該凹部7dの内周面7eと検出素子2の接続部2aとに挟持されるようになっている。このように挟持された端子6は、当該挟持によってばね部6bに生じる反発力により検出素子2の接続部2aに圧接し、以て、当該接続部2aと電気的に接続する。
【0062】
凹部7dの天井部7f(碍子7の上部)には、端子6が貫通挿入される取付孔7gが周方向に間隔をもって複数形成されている。本実施形態における端子6は、検出素子2の出力電極25bおよび一対のヒータ電極22bに対応して3つ設けられており、これらの端子6を碍子7の周方向に、例えば等配置した場合には、これらの端子6に挟持される検出素子2を凹部7dの略中心に配置しやすくなる。
【0063】
ここで、碍子7と検出素子2の接続部2aとの間に形成された空間Sは、シール部5、シーリングラバー16およびケーシング8とホルダ4との溶接部分17によって略気密性が保持されるが、ハーネス15における芯線15aと被覆材15bとの微小な隙間のみを介して外部と連通しており、かかる連通によって、ケーシング8の内部に酸素濃度検出に用いる基準大気が導入されるようになっている。
【0064】
碍子7におけるホルダ4側とは反対側の端部である上端部7hにおいては、その外周面に、周方向が該碍子7の周方向に沿った円環状の段差部7bが形成されている。この段差部7bには、弾性部材37が外嵌されている。ここで、この段差部7bに対応してケーシング8にも円環状の段差部8bが形成されており、碍子7の段差部7bとケーシング8の段差部8bとによって弾性部材37が圧縮状態で挟持されている。弾性部材37は、例えばCリング状やOリング状に形成されている。かかる構造は、弾性部材37の弾性力によって碍子7をホルダ4へ押し付けるとともに、碍子7の振動を抑制している。また、酸素センサ1が外力によって振動した場合、弾性部材37が弾性変形することで、碍子7の振れが吸収または抑制されるので、酸素センサ1の耐振性を向上させることができる。
【0065】
[プロテクタ9]
プロテクタ9は、有底筒状で、且つ、2重構造に形成されている。プロテクタ9とホルダ4との固定は、例えばレーザ溶接等による全周溶接または部分溶接や全周加締め、部分加締め等によってなされている。図2中には、当該固定が溶接の場合の溶接箇所19が示されている。
【0066】
プロテクタ9は、内側プロテクタ9aおよび外側プロテクタ9bを有している。これら内側プロテクタ9aおよび外側プロテクタ9bは、例えば金属材料、セラミックス材料等によって形成されている。プロテクタ9の内部には、ホルダ4から下方に突出した検出素子2の酸素検知部2bが挿入されている。かかる構造のプロテクタ9は、検出素子2の酸素検知部2bを覆うことで、酸素検知部2bを排気ガス中の異物等から保護する。
【0067】
プロテクタ9には、ガス流通用の流通孔9cが形成されており、検出ガスは、流通孔9cを経由してプロテクタ9の内部に進入して、酸素検知部2bに至る。
【0068】
かかる構成の酸素センサ1は、ホルダ4のネジ部4cを排気管102のネジ孔102aに螺入することにより排気管102に固定され、プロテクタ9で覆われた箇所が排気管102内に突出された状態で配置される。酸素センサ1と排気管102との間の気密および液密は、ガスケット35によって保持される。
【0069】
[酸素センサ1の動作]
このような構成の酸素センサ1において、排気管102内を流通するガスがプロテクタ9の流通孔9cより内部に流入すると、そのガス内の酸素が検出素子2の酸素検知部2bに入り込む。すると、酸素検知部2bがガスの酸素濃度を検出し、この検出した酸素濃度を電気信号に変換する。この電気信号の情報が端子6およびハーネス15を経て外部に出力される。
【0070】
[作用効果]
以上説明した本実施形態に示す酸素センサ1の作用効果をその作用効果を奏する構成とともに説明する。本実施形態によれば、検出素子2とホルダ4との間の粉充填スペース4gにグラファイト12bを充填し、当該グラファイト12bを介してアース電極26bとホルダ4とを電気的に接続しているため、従来技術による検出素子に形成される鍔部を設けることなく、アース電極26bを容易にボディアースさせることができる。また、当該鍔部とホルダとの間にパッキンを配置した場合には、パッキンによって検出素子の表面を傷つけてしまう場合があり、接触不良を引き起こす可能性があったが、本実施形態の構成を採用することによって、上述した問題点を解消することができる。すなわち、断面が丸型のロッド状の検出素子や、断面が矩形状のプレート状の検出素子等を用いた場合でも、アース電極を容易にボディアースさせることができる。したがって、ガスセンサの構造の簡素化および小型化を図りつつ、検出素子の形状自由度を向上させることができるようになる。また、検出素子2の形状が本実施形態に示すようなロッド状である場合、ガスセンサ1の外径を小さくすることができ、一層軽量化させることができる。また、これにより、車両振動等によってガスセンサ1が自重で振られることが抑制され、耐振性の向上が図られ、アース電極26bとホルダ4との電気的接続の高い信頼性を得ることができる。
【0071】
また、本実施形態によれば、図6に示すとおり、圧縮状態におけるグラファイト12bの検出素子2の軸c方向の厚さt2を、アース電極26bの検出素子2の軸c方向の厚さt1よりも小さくしているため、充填材(シール材)12を押圧部材13にて圧縮押圧する際にアース電極26bに対するグラファイト12bの相対位置が軸c方向へ若干ずれたとしても、グラファイト12bとアース電極26bとを確実に接触させることが可能となり、検出素子2とホルダ4との電気的接続を安定させることができる。
【0072】
また、本実施形態によれば、図6に示すとおり、圧縮状態におけるグラファイト12bの検出素子2の軸c方向の中心M1とアース電極26bの検出素子2の軸c方向の中心M2とを軸c方向において略同一となるように配置しているため、アース電極26bに対するグラファイト12bの軸c方向の一方側(例えば図6における上側)への位置ズレ(車両振動もしくはシール材の経時劣化等による検出素子の位置ズレ等)許容量と軸c方向の他方側(例えば図6における下側)への位置ズレ許容量とを同一にすることができる。そのため、充填剤12を圧縮した際のグラファイト12bの位置のばらつきをより確実に吸収できるようになる。
【0073】
また、本実施形態によれば、検出素子2は、棒状に形成され、アース電極26bは、検出素子の外周に設けられ、グラファイト12bが、検出素子2の外周を囲むように設けられているため、酸素センサ1の組立時において検出素子2が軸c方向を中心に回転してしまった場合においてもグラファイト12bを容易にアース電極26bに接触させることができ、酸素センサ1の組立容易性の向上を図ることができる。
【0074】
また、本実施形態によれば、粒子形状が例えば鱗片状のグラファイト12bを用いているため、充填剤12を圧縮した際に、グラファイト12bを密に圧縮することができ、充填剤12による検出素子2とホルダ4との間のシール性を高くすることができる。
【0075】
また、本実施形態によれば、タルク12aの間にグラファイト12bを挟んだ状態で積層しているため、高温の排気ガスが直接グラファイト12bに接触するのが抑制され、耐熱性を向上させることができる。これによって、グラファイトの熱による特性変化を抑制することができ、安定的に導通を確保することができる。また、本実施形態のタルク12aもグラファイト12bと同様の鱗片状の粒子形状であるため、押圧部材13による圧縮押圧の際に、少ない圧力によってタルク12a、グラファイト12bを緻密に形成でき、シール性を容易に向上させることができる。
【0076】
また、本実施形態においては粉充填スペース4gをホルダ4の一端側(図2における上側)近傍に形成したが、ホルダ4とグラファイト12bを介したアース電極26bとの電気的接続を確保する場合においては、粉充填スペース4gをホルダ4の他端側(図2における下側)近傍に形成してもよい。
【0077】
また、粉充填スペース4gは、排気管102よりもホルダ4の一端側(図2における少なくとも酸素センサ1のネジ部4cよりも上側)近傍に形成することで、本実施形態に記載の作用効果を良好に維持することができる。例えばネジ部4cの領域に粉充填スペース4gを形成(グラファイト12bまたはシール材12を充填)した場合、酸素センサ1を排気管102に取り付ける際に、ネジ部4cから粉充填スペース4gに負荷が加わり、グラファイト12b(またはシール材12)の耐久性が低下してしまうおそれがあるが、粉充填スペース4gを排気管102よりもホルダ4の一端側近傍に形成することで、かかるおそれが生じてしまわないようにすることができる。
【0078】
また、ネジ部4cよりもホルダ4の一端側(図2における上側)にグラファイト12b(またはシール材12)を配置することで、充填材の耐熱性を向上することができる。
【0079】
(第1実施形態の変形例)
図8は、第1実施形態の第2変形例を示すシール部の要部の断面図、図9は、第1実施形態の第3変形例を示すシール部の要部の断面図である。なお、それぞれの変形例にかかる酸素センサは、上記第1実施形態にかかる酸素センサと同様の構成要素を有している。よって、それら同様の構成要素については共通の符号を付与するとともに、重複する説明を省略する。
【0080】
第2変形例にかかる酸素センサ1Aでは、シール部5が、検出素子2の軸c方向下側から、グラファイト12b、タルク12aの順に積層した2層構造をしている点が上記第1実施形態と異なっており、その他の構成は上記第1実施形態と基本的に同一である。
【0081】
そして、上記第1実施形態と同様に、検出素子2の外面に露出したアース電極26bをグラファイト12bの内周に当接させ、グラファイト12bの外周をホルダ4の内周面4iに当接させることで、検出素子2とホルダ4とを電気的に接続し、アース電極26bをホルダ4にボディアースさせている。
【0082】
また、第3変形例にかかる酸素センサ1Bでは、シール部5が、検出素子2の軸c方向下側から、タルク12a、グラファイト12bの順に積層した2層構造をしている点が上記第1実施形態と異なっており、その他の構成は上記第1実施形態と基本的に同一である。
【0083】
そして、上記第1実施形態および第1変形例と同様に、検出素子2の外面に露出したアース電極26bをグラファイト12bの内周に当接させ、グラファイト12bの外周をホルダ4の内周面4iに当接させることで、検出素子2とホルダ4とを電気的に接続し、アース電極26bをホルダ4にボディアースさせている。
【0084】
以上の第2および第3変形例によっても、上記第1実施形態とほぼ同様の作用、効果を奏することができる。
【0085】
(第2実施形態)
図10は、本実施形態にかかる検出素子を示す図であって、(a)は、検出素子の側面図、(b)は、図10(a)のD−D断面図、図11は、検出素子の分解斜視図、図12は、図2のB−B線に対応する部位で切断した断面図である。なお、本実施形態にかかる酸素センサは、上記第1実施形態にかかる酸素センサと同様の構成要素を有している。よって、それら同様の構成要素については共通の符号を付与するとともに、重複する説明を省略する。
【0086】
本実施形態では酸素センサとして、高温の被測定ガス中に配設され、ヒータによって検出素子を加熱、活性化する必要が無い場合に用いられるヒータレスタイプの酸素センサが用いられている点が上記第1実施形態と異なっており、その他の構成は、上記第1実施形態と基本的に同一である。
【0087】
すなわち、本実施形態の検出素子2Cでは、機能層30に対して基体21の表面21a上における径方向の対向位置に、ヒータパターンおよび絶縁層が設けられておらず、拡散層32が基体21の表面21aに直接設けられており、スピネル保護層33が、保護層31、拡散層32及び保護層31,拡散層32のそれぞれの検出電極層用窓部31b,32bから外部に露出している検出電極層26とともに、機能層30の外面を覆っている。
【0088】
なお、機能層30は、酸素イオン伝導性を有する固体電解質層24と、この固体電解質層24の基体21側に位置する参照電極層25と、この参照電極層25に対して固体電解質層24の反対側に位置する検出電極層26と、固体電解質層24の基体21側に位置し、固体電解質層24に向けて基準ガスである外気(大気)を導く空気通過層27を含んで構成されている。
【0089】
そして、本実施形態でも、上記第1実施形態と同様に、検出素子2Cの外面に露出したアース電極26bをグラファイト12bの内周に当接させ、グラファイト12bの外周をホルダ4の内周面4iに当接させることで、検出素子2とホルダ4とを電気的に接続し、アース電極26bをホルダ4にボディアースさせている。また、上記第1実施形態と同様に、出力電極25bは、アース電極26bよりも検出素子の軸c方向の一端部(上端部)側に設けられている。
【0090】
なお、本実施形態においても、上記第1実施形態の第2変形例や第3変形例のように、シール部を2層構造にすることが可能である。
【0091】
以上の本実施形態によっても、上記第1実施形態と同様の作用、効果を奏することができる。
【0092】
また、本実施形態のようにヒータレスタイプの酸素センサを用いた場合、図12に示すように、アース電極26bを、例えば、参照電極層25のリード部25aに接触しない程度に略全周にわたって形成することができるため、アース電極26bとグラファイト12bとの接触面積を大きくすることができる。その結果、グラファイト12bとアース電極26bとをより確実に接触させることが可能となり、検出素子2とホルダ4との電気的接続をより一層安定させることができる。
【0093】
以上、本発明にかかるガスセンサの好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限ることなく要旨を逸脱しない範囲で種々の実施形態を採用することができる。
【0094】
例えば、検出素子2が中空形状であっても本実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0095】
また、上記実施形態では、圧縮状態におけるグラファイト12bの検出素子2の軸c方向の厚さt2を、アース電極26bの検出素子2の軸c方向の厚さt1よりも小さくしているが、図13に示す第4変形例のように、圧縮状態におけるグラファイト12bの検出素子2の軸c方向の厚さt2と、アース電極26bの検出素子2の軸c方向の厚さt1とが略同一となるようにしてもよい。
【0096】
こうすれば、グラファイト12bとアース電極26bとの位置ズレがあった場合の許容量をその厚さ分だけ多くすることが可能となり、確実に接触させることが可能となり、検出素子2とホルダ4との電気的接続を安定させることができる。
【0097】
また、図14に示す第5変形例のように、圧縮状態におけるグラファイト12bの検出素子2の軸c方向の厚さt2を、アース電極26bの検出素子2の軸c方向の厚さt1よりも小さくしてもよい。
【0098】
こうすれば、検出素子2とホルダ4との電気的接続を安定させることができる上、アース電極26bを小さくすることができコスト削減を図ることができる。
【0099】
また、図15に示す第6変形例のように、グラファイト12bの軸c方向の中心M2とアース電極26bの軸c方向の中心M1とが当該軸c方向にズレて配置されるようにしても本発明を実施することができる。
【0100】
また、上記実施形態およびその変形例では、グラファイト12bが検出素子2の外面の全周にわたって配置したものを例示したが、検出素子2の外面の全周にわたって設ける必要はなく、アース電極26bとホルダ4とを電気的に接続することができる限り、様々な形状とすることが可能である。
【0101】
また、上記実施形態において説明した保護層31、拡散層32には、それぞれ1つのアース電極用窓部31a、32aを形成したが、アース電極26bの形状に合わせて基体21の周方向に2つ以上の窓部を設けてもよい。
【0102】
この場合、酸素センサ1の組立時において、検出素子2が軸c方向を中心に回転してしまった場合においても、どれかの窓部にアース電極26bを露出させることができ、グラファイト12bとの接触をより確実に行うことができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】本発明の第1実施形態にかかる酸素センサを排気管に取り付けられた状態で示す側面図。
【図2】本発明の第1実施形態にかかる酸素センサの断面図(軸方向に沿った断面図)。
【図3】本発明の第1実施形態にかかる酸素センサの要部の断面図(軸方向に沿った断面図)。
【図4】本発明の第1実施形態にかかる検出素子を示す図であって、(a)は、検出素子の側面図、(b)は、図4(a)のC−C断面図。
【図5】本発明の第1実施形態にかかる検出素子の分解斜視図。
【図6】本発明の第1実施形態にかかるシール部の要部の断面図。
【図7】本発明の第1実施形態の第1変形例にかかる酸素センサを図2のA−A線に対応する部位で切断した断面図。
【図8】本発明の第1実施形態の第2変形例にかかるシール部の要部の断面図。
【図9】本発明の第1実施形態の第3変形例にかかるシール部の要部の断面図。
【図10】本発明の第2実施形態にかかる検出素子を示す図であって、(a)は、検出素子の側面図、(b)は、図10(a)のD−D断面図。
【図11】本発明の第2の実施形態にかかる検出素子の分解斜視図。
【図12】本発明の第2の実施形態にかかる酸素センサを図2のB−B線に対応する部位で切断した断面図。
【図13】本発明のシール部の第4変形例にかかる要部断面図。
【図14】本発明のシール部の第5変形例にかかる要部断面図。
【図15】本発明のシール部の第6変形例にかかる要部断面図。
【符号の説明】
【0104】
1,1A,1B 酸素センサ(ガスセンサ)
2,2C 検出素子
4 ホルダ
4a 素子挿入孔
4c ネジ部
4g 粉充填スペース(シール材収納スペース)
5 シール部
12 充填剤(シール材)
12b グラファイト
13 押圧部材
26b アース電極
102 排気管
c 検出素子の軸
t1 アース電極の軸方向の厚さ
t2 グラファイトの軸方向の厚さ
M1 アース電極の軸方向の中心
M2 グラファイトの軸方向の中心

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アース電極を有し、被測定ガス中の特定ガス成分の濃度を検出する検出素子と、
導電性を有し、素子挿入孔に前記検出素子が挿入されたホルダと、を備えるガスセンサにおいて、
前記アース電極と前記ホルダとが、グラファイトを介して電気的に接続されていることを特徴とするガスセンサ。
【請求項2】
前記ホルダの一端側には、前記ガスセンサを排気管に取り付けるネジ部が形成されており、
前記アース電極と前記ホルダとが、前記ネジ部もしくは前記排気管よりも前記ホルダの他端側で前記グラファイトを介して電気的に接続されていることを特徴とする請求項1に記載のガスセンサ。
【請求項3】
前記ガスセンサは、前記検出素子と前記ホルダとの間に設けられたシール材収納スペース内にシール材を充填することで、当該検出素子と前記ホルダとの間をシールするシール部を備え、
前記グラファイトは、前記シール部に近接するとともに、前記ネジ部もしくは前記排気管よりも前記ホルダの他端側に配置されることを特徴とする請求項2に記載のガスセンサ。
【請求項4】
前記グラファイトは、前記アース電極と前記ホルダとの間で、前記検出素子に対して全周配置されることを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか1項に記載のガスセンサ。
【請求項5】
前記シール材と前記グラファイトは、前記シール材収納スペース内に前記検出素子の軸方向に積層して配置されるとともに、押圧部材によって圧縮された状態で配置されており、
圧縮状態における前記グラファイトの前記軸方向の厚さが、前記アース電極の前記軸方向の厚さと略等しいことを特徴とする請求項3に記載のガスセンサ。
【請求項6】
前記シール材と前記グラファイトは、前記シール材収納スペース内に前記検出素子の軸方向に積層して配置されるとともに、押圧部材によって圧縮された状態で配置されており、
圧縮状態における前記グラファイトの前記軸方向の厚さが、前記アース電極の前記軸方向の厚さよりも大きいことを特徴とする請求項3に記載のガスセンサ。
【請求項7】
前記シール材と前記グラファイトは、前記シール材収納スペース内に前記検出素子の軸方向に積層して配置されるとともに、押圧部材によって圧縮された状態で配置されており、
圧縮状態における前記グラファイトの前記軸方向の厚さが、前記アース電極の前記軸方向の厚さよりも小さいことを特徴とする請求項3に記載のガスセンサ。
【請求項8】
前記アース電極と前記グラファイトとは、圧縮状態における前記グラファイトの前記軸方向の中心と前記アース電極の前記軸方向の中心とが当該軸方向において略同一となるように配置されていることを特徴とする請求項5〜7のうちいずれか1項に記載のガスセンサ。
【請求項9】
前記グラファイトの粒子形状が鱗片状であることを特徴とする請求項1〜8のうちいずれか1項に記載のガスセンサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2010−78436(P2010−78436A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−246578(P2008−246578)
【出願日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【出願人】(509186579)日立オートモティブシステムズ株式会社 (2,205)
【Fターム(参考)】