説明

ガスタービンエンジンの制御装置

【課題】本発明は、サージングを迅速に抑制することができるガスタービンエンジンの制御装置を提供することを課題とする。
【解決手段】コンプレッサの入口流路に設けられた可変入口案内翼を角度制御することによって流量を調整した空気をコンプレッサに流入させ、コンプレッサで圧縮した空気を燃焼器に流入させ、燃焼器における燃焼ガスによってタービンを回転させるガスタービンエンジンの制御装置であって、コンプレッサでサージングが発生した場合には可変入口案内翼の角度保持を解除することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスタービンエンジンの制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ガスタービンエンジンでは、コンプレッサに空気が吸入されて圧縮され、燃焼器にその圧縮空気が流入して燃料とで燃焼され、その燃焼ガスによってタービンを回転させる。さらに、ガスタービンエンジンには、エンジンの性能を向上させるために、コンプレッサの入口流路に可変入口案内翼(VIGV[Variable Inlet GuideVane])を設けたものがある。可変入口案内翼は、コンプレッサで吸入される空気を整流し、コンプレッサでの空気の流量特性を可変にするデバイスである。
【0003】
ガスタービンエンジンの運転中に、コンプレッサに流入する空気が逆流するサージングが発生する場合がある。サージングはエンジンの不安定現象の一つであるので、サージングを抑制する方法が各種提案されている。例えば、特許文献1には、圧力などの状態量の変動値に基づいてサージングを検出し、変動値が閾値以下になるように羽根車の入口案内羽根の角度を変更し、サージングを抑制することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−42492号公報
【特許文献2】国際公開第2004/016951号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
サージングが発生した場合、迅速にサージングを解消させなければならない。しかし、上記のように入口案内羽根(可変入口案内翼に相当)に対する角度制御によってサージングを抑制する場合、入口案内羽根の角度をアクチュエータ(モータ)によって変化させる。そのため、入口案内羽根の角度が迅速に変化せず、サージングを迅速に抑制することができない。
【0006】
そこで、本発明は、サージングを迅速に抑制することができるガスタービンエンジンの制御装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るガスタービンエンジンの制御装置は、コンプレッサの入口流路に設けられた可変入口案内翼を角度制御することによって流量を調整した空気をコンプレッサに流入させ、コンプレッサで圧縮した空気を燃焼器に流入させ、燃焼器における燃焼ガスによってタービンを回転させるガスタービンエンジンの制御装置であって、コンプレッサでサージングが発生した場合には可変入口案内翼の角度保持を解除することを特徴とする。
【0008】
このガスタービンエンジンでは、コンプレッサに空気が吸入されて圧縮され、その圧縮空気を燃焼器に流入させる。そして、ガスタービンエンジンでは、燃焼器において流入された圧縮空気と燃料とで燃焼され、その燃焼ガスによってタービンを回転させる。さらに、ガスタービンエンジンでは、圧縮機の入口流路に可変入口案内翼が設けられ、可変入口案内翼の角度によって圧縮機への流入空気流量を変化させ、圧縮機の空気流量特性を変化させる。この際、制御装置では、燃焼器に供給する燃料の流量制御を行うとともに、可変入口案内翼の角度制御(所定の角度に変化させる制御、変化させた所定の角度を保持する制御)する。特に、制御装置では、ガスタービンエンジンの運転中にサージングが発生した場合、可変入口案内翼の角度保持を解除する。このように角度保持を解除すると、可変入口案内翼が角度変化自在な状態となり、サージングによる空気の逆流によって可変入口案内翼でモーメントが発生し、可変入口案内翼の角度がサージングを抑制する方向に迅速に変化する。その結果、空気の逆流が抑制され、サージングから回復する。このように、ガスタービンエンジンの制御装置は、サージングが発生した場合には可変入口案内翼の角度保持を解除することにより、サージングを迅速に抑制することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、サージングが発生した場合には可変入口案内翼の角度保持を解除することにより、サージングを迅速に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本実施の形態に係るガスタービンエンジンシステムの構成図である。
【図2】図1のガスタービンエンジンの模式図である。
【図3】サージング発生のメカニズムの説明図であり、(a)がサージングが発生していない場合であり、(b)がサージングは発生しないが流入空気流量が過大の場合であり、(c)が流入空気流量が過小のときにサージングが発生する場合である。
【図4】コンプレッサ回転速度が過大のときにサージングが発生する場合の説明図である。
【図5】図1の制御装置におけるサージング抑制処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明に係るガスタービンエンジンの制御装置の実施の形態を説明する。
【0012】
本実施の形態では、本発明に係るガスタービンエンジンの制御装置を、軸出力型で一軸式のガスタービンエンジンを制御する制御装置に適用する。本実施の形態では、ガスタービンエンジン、制御装置、負荷装置などからなるシステムをガスタービンエンジンシステムと呼ぶ。
【0013】
図1及び図2を参照して、ガスタービンエンジンシステム1について説明する。図1は、本実施の形態に係るガスタービンエンジンシステムの構成図である。図2は、図1のガスタービンエンジンの模式図である。
【0014】
ガスタービンエンジンシステム1では、制御装置2によってガスタービンエンジン3を燃料制御するとともに可変入口案内翼16を角度制御する。ガスタービンエンジン3は、コンプレッサ10、燃焼器11、タービン12を備えており、コンプレッサ10とタービン12とが回転軸13によって連結されている。コンプレッサ10では、回転軸13の回転によって回転駆動して大気中から空気を取り込み、その取り込んだ空気を圧縮する。この高温高圧の圧縮空気は、内部配管を介して燃焼器11に供給される。燃焼器11では、コンプレッサ10から圧縮空気が供給されるとともに制御装置2で制御された燃料アクチュエータ15から燃料が供給され、圧縮空気と燃料が混合して燃焼する。この高温高圧の燃焼ガスは、内部配管を介してタービン12に供給される。タービン12では、供給された燃焼ガスによって回転駆動して回転軸13を回転させるとともに出力軸14を回転させ、燃焼ガスを排気する。燃料アクチュエータ15は、燃焼器11に設けられ、制御装置2からの燃料流量信号を受信し、燃料流量信号に応じて燃料を燃焼器11内に噴射する。
【0015】
さらに、ガスタービンエンジン3は、コンプレッサ10に流入する空気を整流するために可変入口案内翼(VIGV)16を備えている。可変入口案内翼16は、コンプレッサ10に空気を取り込むための周状の入口配管17内に配置され、入口配管17の全周にわたって等間隔で多数の案内翼16a,・・・を有している。各案内翼16aは、アクチュエータ16bによって角度が変化する。案内翼16aの角度が0°の場合に入口配管17が全開状態となり、案内翼16aの角度が大きくなるほど入口配管17が閉じてゆく。案内翼16aの角度は、実用上、60°程度まで変化する。アクチュエータ16bは、制御装置2から角度制御信号を受信し、その角度制御信号に応じてモータに通電して駆動し、案内翼16aの角度を変化させる。アクチュエータ16bのモータには位置センサが設けられ、この位置センサの検出値から案内翼16aの角度を算出できる。また、アクチュエータ16bは、制御装置2から角度保持信号を受信した場合(可変入口案内翼16の角度保持機能をON)には案内翼16aの角度を保持するためにモータに通電し、制御装置2から角度保持解除信号を受信した場合(可変入口案内翼16の角度保持機能をOFF)には案内翼16aの角度保持を解除するためにモータの通電を停止する。
【0016】
ガスタービンエンジン3及びその周辺には、制御装置2での制御に必要な各種状態量を検出するために、各種センサ(図示せず)が設けられている。例えば、大気温度を検出するための温度センサ、大気圧力を検出するための圧力センサ、コンプレッサ10の出口圧力(燃焼器11の入口圧力)を検出するための圧力センサ、コンプレッサ10の出口空気温度(燃焼器11の入口空気温度)を検出するための温度センサ、回転軸13の回転数(エンジン回転数)を検出するための回転数センサがある。
【0017】
負荷装置4は、タービン12の出力軸14に連結され、タービン12の出力を利用する負荷装置である。タービン12では燃焼ガスが膨張する際にタービン出力を発生し、このタービン出力からエンジン運転に必要なコンプレッサ駆動馬力、補機駆動馬力、機械損失等を差し引いた残りが軸出力として負荷装置4で利用される。負荷装置4としては、例えば、飛行機のターボのファンがある。
【0018】
制御装置2は、CPU[Central Processing Unit]、ROM[Read Only Memory]、RAM[Random Access Memory]などからなり、ガスタービンエンジン3の燃料流量などを制御する電子制御ユニットである。制御装置2には、上記した各種センサからのセンサ信号が取り入れられる。そして、制御装置2では、負荷装置4での要求出力及び各センサ信号に基づいて燃焼器11に供給する燃料流量を設定する。さらに、制御装置2では、その燃料流量とするための燃料流量信号を設定し、その燃料流量信号を燃料アクチュエータ15に送信する。また、制御装置2では、エンジン状態などに基づいて可変入口案内翼16の目標角度を設定する。さらに、制御装置2では、その目標角度とするための角度制御信号を設定し、角度制御信号をアクチュエータ16bに送信する。また、制御装置2では、可変入口案内翼16の角度保持機能をONする場合には角度保持信号をアクチュエータ16bに送信し、可変入口案内翼16の角度保持機能をOFFする場合には角度保持解除信号をアクチュエータ16bに送信する。なお、制御装置2のROMには流量、補正係数などを設定するための各種マップ又は関数が記憶されている。
【0019】
特に、ガスタービンエンジン3の運転中、コンプレッサ10で空気が逆流し、サージングが発生する場合がある。サージングが発生した場合、ガスタービンエンジン3への影響を極力抑えるために、迅速に、サージングから回復させなければならいない。そこで、制御装置2では、サージング抑制処理を行う。
【0020】
ここで、図3及び図4を参照して、サージング発生のメカニズムについて説明しておく。図3は、サージング発生のメカニズムの説明図であり、(a)がサージングが発生していない場合であり、(b)が流入空気流量が過大のときにサージングが発生する場合であり、(c)が流入空気流量が過小のときにサージングが発生する場合である。図4は、コンプレッサ回転速度が過大のときにサージングが発生する場合の説明図である。ここでは、コンプレッサ10の回転速度ベクトルをU、空気流入速度ベクトルをC、相対空気流入速度ベクトルをWとする。
【0021】
図3(a)に示すように、可変入口案内翼16の各案内翼16aは、制御装置2によって所定の角度αに角度制御され、その所定の角度αが保持されている。この所定の角度αの各案内翼16aの作用により流入する空気に旋回流が与えられ、その空気の流入速度ベクトルはコンプレッサ10の方向にCとなる。この際、コンプレッサ10は回転しているので、その回転速度ベクトルは空気流入方向と直交する方向にUとなる。そのため、各コンプレッサ翼10aへの相対空気流入速度ベクトルは、空気流入速度ベクトルCと回転速度ベクトルUからベクトルWとなる。
【0022】
図3(a)には、サージングが発生していない正常な運転状態の場合を示している。この場合、相対空気流入速度ベクトルWの方向(空気のコンプレッサ翼10aへの流入角度θ)は、空気がコンプレッサ翼10aに沿って流れる方向となっている。そのため、その流入した空気は、コンプレッサ10に効率良く吸入される。
【0023】
図3(b)には、回転速度ベクトルUが一定のときに流入する空気流量が過大となった(空気流入速度ベクトルCの大きさが大きくなった)場合を示している。この場合、相対空気流入速度ベクトルWの方向は、コンプレッサ翼10aの内側に入る方向となる(空気のコンプレッサ翼10aへの流入角度θが大きくなる)。そのため、コンプレッサ翼10aの内側で空気の渦が発生し、空気がコンプレッサ翼10aに沿って流れずに剥離する。この場合、コンプレッサ翼10aでのサージングは発生しないが、剥離が激しくなるとコンプレッサ10の効率が悪化し、ひいてはガスタービンエンジン3の効率低下を招くことになる。この際、流入する空気流量が少なくなるように(空気流入速度が小さくなるように)可変入口案内翼16の各案内翼16aの角度が変化すると、空気のコンプレッサ翼10aへの流入角度θが小さくなり、空気の剥離が抑制され、コンプレッサ10の効率悪化を抑制できる。
【0024】
図3(c)には、回転速度ベクトルUが一定のときに流入する空気流量が過小となった(空気流入速度ベクトルCの大きさが小さくなった)場合を示している。この場合、相対空気流入速度ベクトルWの方向は、コンプレッサ翼10aの外側に出る方向となる(空気のコンプレッサ翼10aへの流入角度θが小さくなる)。そのため、コンプレッサ翼10aの外側で空気の渦が発生し、空気がコンプレッサ翼10aに沿って流れずに剥離する。この空気の剥離が激しくなると、高圧の空気が逆流する(サージングが発生する)。この際、流入する空気流量が多くなるように(空気流入速度が大きくなるように)可変入口案内翼16の各案内翼16aの角度が変化すると、空気のコンプレッサ翼10aへの流入角度θが大きくなり、空気の剥離が抑制され、サージングから回復する。
【0025】
また、図4には、流入する空気流量ベクトルCが一定のときにコンプレッサ10の回転速度が上昇した場合(回転速度ベクトルUの大きさが大きくなった)場合を示している。この場合、相対空気流入速度ベクトルWの方向は、コンプレッサ翼10aの外側に出る方向となる(空気のコンプレッサ翼10aへの流入角度θが小さくなる)。そのため、コンプレッサ翼10aの外側で空気の渦が発生し、空気がコンプレッサ翼10aに沿って流れずに剥離するため、上記と同様にサージングが発生する。この際、空位流入速度ベクトルがCからCになるように可変入口案内翼16の各案内翼16aの角度が変化すると、空気のコンプレッサ翼10aへの流入角度θが大きくなり、空気の剥離が抑制され、サージングから回復する。
【0026】
制御装置2では、ガスタービンエンジン3が運転中、一定時間毎に、サージングが発生したか否かを判定する。この判定方法としては、従来の方法を適用する。例えば、サージングではコンプレッサ10に流入する空気が逆流し、コンプレッサ10の出口空気圧力が急激に低下するので、一定時間毎に検出されたコンプレッサ10の出口圧力がサージング発生判定閾値以下になったか否かを判定し、サージング発生判定閾値以下になった場合にサージングが発生したと判定する。ここでは、サージングが発生した段階ではなく、サージングの予兆段階を判定するようにしてもよい。
【0027】
サージングが発生したと判定した場合、制御装置2では、可変入口案内翼16(案内翼16a)に対する角度保持機能をOFFするために、角度保持解除信号をアクチュエータ16bに送信する。これによって、各案内翼16aは、アクチュエータ16b(モータへの通電停止)による角度保持が解除され、自由に角度が変化する状態となる。サージング発生中はコンプレッサ10から空気が逆流し、その空気が旋回しながら案内翼16a側へ流れているので、その空気の流れによって各案内翼16aではモーメントが発生し、各案内翼16aの角度がサージングを抑制する向きに変化する。この際、制御装置2では、可変入口案内翼16に対する角度制御も行わない。
【0028】
一方、サージングが発生していないと判定した場合、制御装置2では、可変入口案内翼16に対する角度制御を継続して行う。この際、可変入口案内翼16に対する角度保持機能もONされている。
【0029】
可変入口案内翼16に対する角度保持をOFFした後、制御装置2では、一定時間毎に、サージングが解消したか否かを判定する。この判定方法としては、従来の方法を適用する。例えば、サージングが発生すると上記したようにコンプレッサ10の出口空気圧力が低下するが、そのサージングが解消すると空気がコンプレッサ10に効率良く吸入され、コンプレッサ10の出口空気圧力が上昇するので、一定時間毎に検出されたコンプレッサ10の出口圧力がサージング解消判定閾値以上になったか否かを判定し、サージング解消判定閾値以上になった場合にサージングが解消したと判定する。
【0030】
サージングが解消したと判定した場合、制御装置2では、可変入口案内翼16に対する角度保持機能をONするために、角度保持信号をアクチュエータ16bに送信する。また、制御装置2では、可変入口案内翼16に対する角度制御を再開する。
【0031】
サージングが解消しないと判定した場合、制御装置2では、燃料を遮断してガスタービンエンジン3を停止させるために、燃焼器11へ供給する燃料流量を0とするための燃料流量信号を設定し、その燃料流量信号を燃料アクチュエータ15に送信する。
【0032】
図1及び図2を参照して、制御装置2におけるサージング抑制処理の流れについて図5のフローチャートに沿って説明する。図5は、図1の制御装置におけるサージング抑制処理の流れを示すフローチャートである。制御装置2では、以下の処理を一定時間毎に繰り返し行っている。
【0033】
制御装置2では、一定時間毎に、各種センサから検出信号を受信し、大気温度、大気圧力、コンプレッサ10の出口温度や出口圧力及びエンジン回転数などを入力する。
【0034】
制御装置2では、サージングが発生したか否かを判定する(S1)。S1にてサージングが発生していないと判定した場合、制御装置2では、可変入口案内翼16に対する角度制御を行う(S2)。さらに、制御装置2では、通常の燃料制御を行う(S7)。
【0035】
一方、S1にてサージングが発生したと判定した場合、制御装置2では、可変入口案内翼16の角度保持機能をOFFするために、角度保持解除信号をアクチュエータ16bに送信する(S3)。この角度保持解除信号を受信すると、アクチュエータ16bでは、モータへの通電を停止する。これによって、可変入口案内翼16の各案内翼16aは、自由な状態となり、サージングによる逆流空気によってサージングが抑制する方向に角度が迅速に変化する。
【0036】
可変入口案内翼16の角度保持機能のOFF後、制御装置2では、サージングから回復したか否かを判定する(S4)。S4にてサージングから回復したと判定した場合、制御装置2では、可変入口案内翼16の角度保持機能をONするために、角度保持信号をアクチュエータ16bに送信する(S5)。そして、制御装置2では、可変入口案内翼16に対する角度制御を行う(S6)。さらに、制御装置2では、通常の燃料制御を行う(S7)。
【0037】
一方、S4にてサージングから回復しないと判定した場合、制御装置2では、燃焼器11への燃料遮断するための燃料流量信号を燃料アクチュエータ15に送信し(S8)、エンジン停止させる(S9)。
【0038】
このガスタービンエンジンシステム1(特に、制御装置2)によれば、サージングが発生した場合には可変入口案内翼16(各案内翼16a)の角度保持を解除することにより、サージングによる逆流空気を利用して各案内翼16aの角度をサージングを抑制する方向に迅速に変化させることができ、サージングを迅速に抑制することができる。また、既存のシステムを変更することなく(センサ追加などのシステムを複雑化させることなく)、サージング抑制機能を追加できる。また、通常エンジン運転時における可変入口案内翼16の機能を損なうことなく、サージングが発生したときだけサージング抑制性能を発揮できる。
【0039】
以上、本発明に係る実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されることなく様々な形態で実施される。
【0040】
例えば、本実施の形態では一基の一軸式の軸出力型のガスタービンエンジンに適用したが、抽気型エンジンにも適用可能であり、複数のガスタービンエンジンによって構成されるシステムにも適用可能であり、複数の軸式のガスタービンエンジンにも適用可能である。
【符号の説明】
【0041】
1…ガスタービンエンジンシステム、2…制御装置、3…ガスタービンエンジン、4…負荷装置、10…コンプレッサ、10a…コンプレッサ翼、11…燃焼器、12…タービン、13…回転軸、14…出力軸、15…燃料アクチュエータ、16…可変入口案内翼、16a…案内翼、16b…アクチュエータ、17…入口配管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンプレッサの入口流路に設けられた可変入口案内翼を角度制御することによって流量を調整した空気をコンプレッサに流入させ、コンプレッサで圧縮した空気を燃焼器に流入させ、燃焼器における燃焼ガスによってタービンを回転させるガスタービンエンジンの制御装置であって、
前記コンプレッサでサージングが発生した場合には前記可変入口案内翼の角度保持を解除することを特徴とするガスタービンエンジンの制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−180772(P2010−180772A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−24795(P2009−24795)
【出願日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】