説明

ガスタービンエンジンの燃料ノズルアセンブリ

【課題】ガスタービンエンジン用燃焼器の燃料ノズルアセンブリの固有振動数が、ガスタービンエンジンの駆動周波数と類似または同じである場合、燃料ノズルアセンブリ周辺に応力が集中し、その結果、部品に穴が空いて燃料漏れが生じる場合があり、避ける必要がある。
【解決手段】燃料ノズルアセンブリは、燃焼器のエンドカバー304に接続された第1端部と、この第1端部の反対側に第2端部を備えたフランジ306と;このフランジの第2端部に接続された予混合管308とを有する。予混合管308は、その第1端部で、フランジの第2端部に接続されている。このフランジ306と予混合管308は、ガスタービンエンジンの駆動周波数とは異なる固有周波数を有するように製造されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概してガスタービンエンジンに関し、特に、ガスタービンエンジンの内部で使用するセンター燃料ノズルに関する。
【背景技術】
【0002】
公知のタービンエンジンには、燃焼器内で燃料と空気を混合して点火し、燃焼ガス流を生成し、高温ガス流路を介してこれをタービンに導入するものが少なくない。燃焼器には、圧縮空気が圧縮機から送り込まれる。燃焼器アセンブリには、通常、燃料ノズルを設置して、燃焼器の燃焼領域へ燃料や空気を導入し易くしている。燃料ガス流の熱エネルギーは、タービンにより、タービンシャフトを回転させる機械エネルギーに変換される。タービンの出力を用いて、例えば発電機やポンプなどの機械に動力が供給される。
【0003】
公知の燃料ノズルアセンブリには、燃料ノズル構造の基礎となっているエンドカバーから延在するフランジが設けられている。このフランジからは、予混合管が延在しており、旋回翼に接続している。燃料ノズルアセンブリの固有周波数は、基本的に、フランジと予混合管の形状及び長さに基づく関数である。公知の燃料ノズルアセンブリの場合、ガスタービンエンジンの駆動周波により、例えばフランジ、予混合管、旋回翼、及び/又は、これらの部品間の継手などの燃料ノズル部品や継手に、低サイクル疲労及び/又は高サイクル疲労が生じる可能性がある。更に、公知のノズルアセンブリの固有周波数が、ガスタービンエンジンロータの駆動周波数と類似又は同じである場合(ロータ周波数の等倍、2倍、3倍、4倍などの整数倍を含む)、燃料ノズルアセンブリ周辺に応力が集中し、その結果として、部品に穴が空いて燃料漏れが生じる可能性がある。
【0004】
公知の燃料ノズルアセンブリの多くは、様々な材料で製造され、様々な部品を有している。これらの部品は、フランジ、予混合管、及び/又は旋回翼の間の継手に沿わせるなどした状態で、継手に溶接又は蝋付けされている。それぞれの部品で材料特性が異なる場合、熱膨張率や収縮率も異なってくる。また、この継手は、溶接及び蝋付けから時間が経過するにつれて、ガスタービンエンジンの駆動周波を受けて、摩耗、クラックを生じ易く、早期に故障する可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第6926496号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態に係るガスタービンの燃料ノズルアセンブリを開示する。この燃料ノズルアセンブリは、フランジと予混合管を有する。フランジは、燃焼器のエンドカバーに接続された第1端部と、この第1端部の反対側に第2端部を有する。予混合管は、その第1端部で、フランジの第2端部に接続されている。このフランジと予混合管は、ガスタービンエンジンの駆動周波数とは異なる固有周波数を有する。
【0007】
本発明の別の実施形態による、ガスタービンエンジンを開示する。このガスタービンエンジンは、燃焼器と、フランジ及び予混合管を有する燃料ノズルアセンブリとを備える。フランジは、燃焼器のエンドカバーに接続された第1端部と、この第1端部の反対側に第2端部を有する。予混合管は、その第1端部で、フランジの第2端部に接続されている。このフランジと予混合管は、ガスタービンエンジンの駆動周波数とは異なる固有周波数を有する。
【0008】
本発明の更に別の実施形態に係るガスタービンエンジンの組立方法を開示する。この方法には、フランジの第1端部を燃焼器のエンドカバー表面に接続するとともに、この第1端部の反対側にあるフランジの第2端部を予混合管の第1端部に接続するステップが含まれる。この方法には、更に、エンジンの組み立て後、フランジと予混合管の固有周波数が、ガスタービンエンジンのロータ駆動周波数や、燃焼トーン、サイレントーンとは(ロータ周波数の等倍、2倍、3倍、4倍などの整数倍を含めて)異なるように、フランジと予混合管を製造するステップが含まれる。 本発明にかかる上述の態様を、様々に改変することができる。また、上述の態様に新たな特徴を追加した場合も、本発明にかかるものとみなされる。このような改変や追加を、独立して行っても、組み合わせることもできる。例えば、本発明に関して、以下に説明する実施形態の様々な特徴を、単独で実施しても、上述の態様のいずれかと組み合わせてもよい。

添付図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。これらの形態は、あくまでも例示的なものであって、排他的なものではない。なお、図面において、同様の構成要素には同様の参照符号が付与されている。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】例示的な燃焼タービンエンジンの概略図である。
【図2】図1のタービンエンジンに設置される例示的な燃料供給システムの部分図である。
【図3】図1のタービンエンジンに設置される例示的な燃料ノズルアセンブリの概略断面図である。
【図4】図3の燃料ノズルアセンブリから延在する例示的なフランジの概略断面図である。
【図5】図3の燃料ノズルアセンブリに設置される例示的な予混合管の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、例示的なガスタービンエンジン100の概略図である。一実施形態において、エンジン100は、圧縮機102と燃焼器104を有する。燃焼器104は、燃焼領域105と燃料ノズルアセンブリ106を含む。エンジン100は、更に、タービン108と、一般的な圧縮機/タービンシャフト110(ロータ110と称する場合もある)を有する。圧縮機102は、ロータ110に回転可能に接続されている。実施形態によっては、燃焼器104と燃料ノズルアセンブリ106を複数有するものもある。以下の説明では、特に明記しない限り、それぞれの要素について1つのみを取り上げて説明する。ここでは、ガスタービンエンジン100として、サウスカロライナ州グリーンビルにあるゼネラル・エレクトリック社が販売しているPG9371 9FBA型大容量ガスタービンエンジンを使用するが、本発明の実施に使用するエンジンは、いかなる特定のエンジンにも限定されない。例えば、サウスカロライナ州グリーンビルのゼネラル・エレクトリック社が販売しているMS7001FA(7FA)型、MS9001FA(9FA)型、MS7001FB(7FB)型、MS9001FB(9FB)型のエンジンなど、その他のガスタービンエンジンを使用してもよい。
【0011】
動作中、圧縮機102を通過した空気は、圧縮空気となって燃焼器104に供給される。このとき、燃焼器104と一体の燃料ノズルアセンブリ106には、大量の圧縮空気が供給される。燃焼器によっては、圧縮機102から希釈空気サブシステム(図1では図示せず)に供給される空気のうち一定量以上を受け取れるものもあるが、大抵の燃焼器では、一定量以上のシール漏れが発生する。燃料ノズルアセンブリ106は、燃焼領域105と流体的に連通している。燃料ノズルアセンブリ106は、また、燃料源(図1では図示せず)とも流体的に連通しており、燃料と空気を燃焼領域105に導入する。燃焼器104では、例えば天然ガス及び/又は燃料油などの、高温の燃焼ガス流を生成する燃料を点火して燃焼させる。燃焼器104は、タービン108と流体的に連通するように接続されており、このタービン108は、燃焼器104から排出された燃焼ガスによる熱エネルギーを、機械的な回転エネルギーに変換する。タービン108は、ロータ110に回転可能に接続されている。
【0012】
図2は、例示的な燃料供給アセンブリ200の部分図である。この燃料供給アセンブリ200は、燃焼器104(図1に示す)の部品としてタービンエンジン100(図1に示す)に設置される。一実施形態において、燃料供給アセンブリ200は、1つ以上の燃料供給口202と、空気噴霧カートリッジサブアセンブリ203とを有する。サブアセンブリ203は、複数の内部空気噴霧管205に接続された複数の空気供給管204を有する。燃料ノズルアセンブリ200は、更に、燃焼器エンドカバーサブアセンブリ206を含む。カバーサブアセンブリ206は、空気と燃料とを案内する複数の予混合燃料供給路218(後述)、エンドカバープレート208、複数のエンドカバー−燃焼器間ケーシングファスナ210を有する。一実施形態において、プレート208は、機械加工により形成されており、このプレート208の内部には、複数の管路211があり、予混合燃料供給路218、拡散燃料供給路220、複数の噴霧空気供給管204、燃料ノズル挿入サブアセンブリ212、複数のエンドカバー−燃焼器間ケーシングファスナ210、複数の挿入部−エンドカバー間ファスナ214、複数のキャップ−エンドカバー間ファスナ217が収容されている。なお、プレート208は、これらの要素を支持できる大きさに寸法決めされているが、プレート208の機能は、これらの要素を支持するだけとは限らない。また、既存のプレート208を、本発明の企図に基づいて改造してもよい。一実施形態において、カバーサブアセンブリ206が、ファスナ210によって燃焼器104(図1に示す)のケーシングに接続され、空気噴霧カートリッジサブアセンブリ203が、エンドカバープレート208に接続されている。
【0013】
燃料ノズルアセンブリ200は、更に、複数の燃料ノズル挿入サブアセンブリ212、燃料ノズルサブアセンブリ225を有する。燃料ノズルサブアセンブリ225は、複数の半径方向外側ノズル管216、複数の中間管223、キャップ装着フランジ222、複数の半径方向内側管221、環状の拡散燃料路219、燃料ノズルキャップ224を有する。一実施形態において、燃料ノズル挿入サブアセンブリ212は、ファスナ214によってエンドカバープレート208に接続されており、キャップ224は、ファスナ217とキャップ装着フランジ222によってエンドカバープレート208に接続されている。
【0014】
動作時、燃料は、1つ以上の供給口202を介して、燃料源(図2では図示せず)から燃料ノズルアセンブリ200に供給される。予混合燃料は、矢印で示すように、供給路218と燃料ノズル挿入サブアセンブリ212から、管216に供給される。拡散燃料は、矢印で示すように、管220から燃料路219に誘導される。燃焼空気は、矢印で示すように、圧縮機102(図1に示す)から空気供給管204に供給された後、管205に供給される。基本的に、複数の燃料ノズルアセンブリ200は、ロータ110(図1に示す)の周囲にそれぞれに対して間隔を空けて設置されており、これによって、燃焼ガスが循環し、燃焼器104内の温度がほぼ一様になる。ガスはその後、タービン108(図1に示す)に供給される。図1において点線で囲まれた、挿入サブアセンブリ212を含む燃料ノズルアセンブリ200の一部については、図3を参照しながら以下に詳説する。
【0015】
図3は、例示的な燃料ノズルアセンブリ300の概略拡大断面図である。一実施形態において、燃料ノズルアセンブリ300は、中心軸線302を有し、燃料ノズルフランジ306によってエンドカバー304に接続されている。予混合管308は、第1継手310によってフランジ306に接続され、半径方向外面312を有している。この実施形態においては、予混合管308を、電子ビーム溶接によってフランジ306に取り付けているが、予混合管308を、例えば蝋付けによってフランジ306に取り付けても、ネジ、ボルトなどのファスナを含め、燃料ノズルアセンブリ300が本明細書の記載のように適当に機能するものであれば、いかなる連結装置を用いてフランジ306に取り付けてもよい。予混合管308は、継手310から燃焼室311に向かって、調節可能な長さL1だけ延在している。一実施形態では、長さL1を調節することによって、燃料ノズルアセンブリ300の固有周波数を適当に調節し、フランジ306と予混合管アセンブリを、ガスタービンエンジン100(図1に示す)のロータ周波数の(等倍、2倍、3倍、4倍などの整数倍を含めた)倍数以外の周波数で、且つ、ガスタービンエンジン100の燃焼トーン、サイレントーンとは異なる固有周波数で動作させる。
【0016】
燃料ノズルアセンブリ300は、第2継手315と平行にフランジ306に接続された半径方向内側管314を有する。管308と管314により、略環状の主予混合燃料供給路316が画成されている。内側管314により、更に、拡散燃料路318が画成されている。一実施形態において、予混合燃料供給路316と拡散燃料路318は、複数の燃料源(図3には図示せず)と流体的に連通するように接続されている。
【0017】
燃料ノズルアセンブリ300は、略環状の吸気流コンディショナ(IFC)320を有する。一実施形態において、IFC320は、複数の貫通孔324を有する半径方向外壁322を有し、IFC320の後部において、壁322と面312との間に端壁326が延在している。壁322、壁326、面312のそれぞれの間には、略環状のIFCチャンバ328が画成されている。チャンバ328は、貫通孔324を介して冷却管路(図3では図示せず)と流体的に連通するように接続されている。燃料ノズルアセンブリ300は、更に、壁322に接続された管状トランジション部材330を有する。このトランジション部材330によって、略環状のトランジションチャンバ332が画成されており、トランジションチャンバ332は、主予混合燃料供給路316とほぼ同軸になるように設置されている。このトランジションチャンバ332とIFCチャンバ328の間には、IFC排気路334が延在している。
【0018】
一実施形態において、燃料ノズルアセンブリ300は、更に、ガス燃料注入に用いられる空気旋回翼アセンブリ、すなわちスウォズル(swozzle)アセンブリ340を有する。スウォズル340は、トランジション部材330に取り付けられた略管状のシュラウド342と、継手346と平行に管308に取り付けられた略管状のハブ344を有する。この実施形態においては、ハブ344を、電子ビーム溶接によって管308に取り付けているが、ハブ344を、例えば蝋付けによって管308に取り付けても、ネジ、ボルトなどの任意のファスナを含め、燃料ノズルアセンブリ300が本明細書の記載のように適当に機能するものであれば、いかなる連結装置を用いて管308に取り付けてもよい。シュラウド342とハブ344の間には、環状チャンバ348が画成されており、更に、複数の中空回転翼350が延在している。チャンバ348は、チャンバ332と流体的に連通するように接続されている。ハブ344は、予混合燃料供給路316と流体的に連通している複数の回転翼管路(図3では図示せず)を有する。中空回転翼350の内部には、複数の予混合ガスポート(図3では図示せず)が設けられている。また、ハブ344により、予混合燃料供給路316と流体的に連通するように接続された複数の補助回転翼管路(図3では図示せず)と、回転翼350の内部にある複数の補助ガスポート(図3では図示せず)が画成されている。吸気チャンバ348と主ガスポート及び補助ガスポートはそれぞれ、排気チャンバ352と流体的に連通するように接続されている。
【0019】
燃料ノズルアセンブリ300は、管状のシュラウド延伸部356と管状のハブ延伸部358によって形成される略環状の燃料−空気混合路354を有する。燃料−空気混合路354はチャンバ352と流体連通するように接続され、延伸部356と延伸部358は、シュラウド342とハブ344にそれぞれ接続されている。
【0020】
ハブ344には、更に、管状の火炎拡散ノズルアセンブリ360が接続されており、このアセンブリ360によって、環状の拡散燃料路318の少なくとも一部が画成されている。アセンブリ360はハブ延伸部358と共に、環状の空気路362を更に画成する。燃料ノズルアセンブリ300は、更に、ハブ延伸部358とアセンブリ360に接続されたスロットガスチップ363を有する。チップ363は、複数のガスインジェクタ364と空気インジェクタ366を有する。チップ363は、また、燃焼室311と流体的に連通するように接続されており、これによって、燃焼室311において燃料と空気が混合し易くなる。
【0021】
動作時、燃料ノズルアセンブリ300は、燃料ノズルアセンブリ300を取り囲むプレナム(図3では図示せず)を介して空気供給管204(図2に示す)から圧縮空気を受け取る。燃焼用の空気は、その殆どがIFC320を介してアセンブリ300に導入され、予混合部品に案内される。すなわち、空気は、貫通孔324からIFC320に流入し、チャンバ328で燃料と混合された後、IFC排気路334を通りIFC320から排出され、トランジションピースチャンバ332を通ってスウォズル吸気チャンバ348に流入する。また、空気供給管204に導入される高圧空気の残りは、拡散燃料路318に挿入された空気噴霧液体燃料カートリッジ(図3では図示せず)に導入される。
【0022】
燃料ノズルアセンブリ300は、予混合燃料供給路316を介して燃料源(図3では図示せず)から燃料を受け取る。燃料は、予混合燃料供給路316を通り、回転翼350の内部に設けられた複数の主ガスポートに導入される。
【0023】
トランジションピースチャンバ332からスウォズル吸気チャンバ348に導入された空気は、回転翼350で撹拌された後、燃料と混合され、スウォズル排気チャンバ352に案内され、先立って混合された燃料と空気が更に混合される。燃料−空気混合物はその後、燃料−空気混合路354に案内され、アセンブリ300から燃焼室311に排出される。更に、拡散燃料路318から流入した拡散燃料は、ガスインジェクタ364を介して燃焼室311に導入された後、空気インジェクタ366から排出された空気と混合され、燃焼する。
【0024】
図4は、燃料ノズルアセンブリ300に使用するフランジ306の概略断面図である。一実施形態において、フランジ306は、ガスタービンエンジン100の駆動周波数の整数倍以外の固有周波数を有するように製造されている。例えば、ガスタービンエンジン100の駆動周波数が約50Hzの場合、フランジ306は、50Hz、100Hz、150Hz、200Hzなどの50Hzの整数倍の周波数を実質的に除いた固有周波数を有する。この場合、フランジ306は、例えば約175Hz〜約180Hzの固有周波数を有するように製造される。この実施形態では、クラス9のガスタービンを使用しているが、ロータトーンが60Hzの整数倍の例えば120Hz、180Hz、240Hzとなる、クラス7のガスタービンを始め、様々な等級のガスタービンにも本発明を用いることができる。
【0025】
フランジ306は、中心軸線302を有するように製造され、装着部380と略円錐台形の本体部382を有する。この装着部380と本体部382によって、外側長さL2が画成されており、この長さL2を調節することで、固有周波数を所望の周波数になるように制御できる。これによって、燃料ノズルアセンブリ300を確実に所望の固有周波数で動作させることができる。本体部382は、例えば、燃料ノズルアセンブリ300を約175Hz〜約180Hzの周波数で動作させるために、角度A1を約10°として製造された収束形である。このときの長さL2は、燃料ノズルアセンブリ300が約175Hz〜約180Hzの周波数で動作するように、約3.75インチ(95.25mm)に設定されている。なお、本体部382の角度A1と長さL2はいずれも、燃料ノズルアセンブリ300が本明細書の記載のように機能するのであれば、いかなる値であってもよい。
【0026】
図5は、予混合管308の概略断面図である。一実施形態において、予混合管308は中心軸線302を有し、ガスタービンエンジン100の駆動周波数とは異なる固有周波数を有するように製造されている。例えば、ガスタービンエンジン100(図1に示す)の駆動周波数が50Hzの場合、予混合管308の長さL1は、予混合管308の固有周波数が50Hz又はその整数倍とは異なる値をとるように、約14インチ(357mm)に設定されるが、燃料ノズルアセンブリ300が本明細書の記載のように機能するのであれば、予混合管308の長さL1はいかなる長さであってもよい。
【0027】
一実施形態において、予混合管308は、燃料ノズルアセンブリ300のスウォズルアセンブリ340(図3に示す)において、先細部390を有し、これによって、より多量の気流を扱うことができる。先細部390の収束角度A2は、例えば約5°であるが、燃料ノズルアセンブリ300が本明細書の記載のように機能するのであれば、先細部390の収束角度A2は、いかなる値であってもよい。予混合管308は、更に、厚みTを有する外壁392を有する。外壁392の厚みTは、例えば約0.19インチ(4.76mm)であるが、燃料ノズルアセンブリ300が本明細書の記載のように機能するのであれば、いかなる値であってもよい。
【0028】
以上、燃料ノズルアセンブリの実施形態を例示しながら本発明を説明した。燃料と空気を混合してエンジンの燃料室へ供給する上述のシステムにより、エンジン内の周波数マージンのバランスがとれるだけでなく、燃焼室のすぐ上流側の設計の信頼性と柔軟性が高まる。すなわち、各燃料ノズルアセンブリのフランジと予混合管の構造設計と固有周波数を調整して最適化することによって、低サイクル疲労(LCF)や高サイクル疲労(HCF)を緩和し、周波数マージンや空気力学的特性を最適化することができる。本発明による燃料ノズルアセンブリでは、応力集中が緩和された結果、応力による燃料漏れを防ぐとともに、部品の固有周波数をより適切に調節することができる。従って、空気抵抗を最小限に抑え、ロータ速度や燃焼トーン、周波数マージンを最適化することができる。
【0029】
更に、本明細書に記載のシステム及び方法では、フランジと予混合管との間の継手を蝋付けする代わりに電子ビーム溶接によって接続するので、燃料ノズルアセンブリの構造的強度と柔軟性が高まる。更に、このシステム及び方法により、エンジン動作中の燃料ノズルアセンブリの耐久性が向上する。また、フランジと予混合管の形状、予混合管壁の厚みを適宜調節することによって、固有周波数マージンを適当に制御し、LCFやHCFを緩和することができる。その結果、製品の設計が最適化され、部品の耐久性が高まり、製品寿命が延びる。
【0030】
本明細書では、本発明の装置及び方法に関して、ガスタービンエンジンのノズルアセンブリを参照して説明してきたが、本発明の用途がこれに限定されないことは明らかであろう。また、本発明によるシステムの構成要素を、本明細書に記載の実施形態に限らず、単独で用いても、その他の構成要素と組合わせても、本発明の実施形態に含まれる。
【0031】
本明細書において、要素又はステップが単数名詞で記載されている場合、特に指定のない限り、それらが複数存在する可能性がある。また「一実施形態」という表現は、本発明にかかる特徴を有する実施形態が複数存在する可能性を排除するものではない。
【0032】
本明細書では、本発明を最良の形態を含めて開示するとともに、装置又はシステムの製造・使用及び方法の実施を始め、本発明を当業者が実施できるようにするため、例を用いて説明してきた。本発明の特許性を有する範囲は、特許請求の範囲によって規定され、当業者に自明な他の例も包含する。かかる他の例は、特許請求の範囲の文言上の差のない構成要素を有しているか、或いは特許請求の範囲の文言と実質的な差のない均等な構成要素を有していれば、特許請求の範囲に記載された技術的範囲に属する。
【符号の説明】
【0033】
100 ガスタービンエンジン
102 圧縮機
104 燃焼器
105 燃焼領域
106 燃料ノズルアセンブリ
108 タービン
110 ロータ
200 燃料ノズルアセンブリ
202 燃料供給口
203 サブアセンブリ
204 空気供給管
205 内部空気噴霧管
206 カバーサブアセンブリ
208 エンドカバープレート
210 燃焼器ケーシングファスナ
211 複数の管路
212 挿入サブアセンブリ
214 ファスナ
216 半径方向外側ノズル管
217 ファスナ
218 予混合燃料供給路
219 環状の拡散燃料路
220 拡散燃料供給路
221 半径方向内側管
222 キャップ装着フランジ
223 複数の中間管
224 燃料ノズルキャップ
225 ノズルサブアセンブリ
300 燃料ノズルアセンブリ
302 中心軸線
304 エンドカバー
306 フランジ
308 予混合管
310 第1継手
311 燃焼室
312 半径方向外面
314 内側管
315 第2継手
316 予混合燃料供給路
318 拡散燃料路
320 吸気流コンディショナ(IFC)
322 半径方向外壁
324 複数の貫通孔
326 端壁
328 環状のIFCチャンバ
330 トランジション部材
332 トランジションピースチャンバ
334 IFC排気路
340 旋回翼アセンブリ(スウォズルアセンブリ)
342 管状シュラウド
344 ハブ
346 継手
348 スウォズル吸気チャンバ
350 中空回転翼
352 スウォズル排気チャンバ
354 燃料−空気混合路
356 管状シュラウド延伸部
358 管状ハブ延伸部
360 火炎拡散ノズルアセンブリ
363 スロットガスチップ
364 複数のガスインジェクタ
366 空気インジェクタ
380 装着部
382 本体部
390 先細部
392 外壁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼器(104)のエンドカバー(304)に取り付けられた第1端部と、該第1端部の反対側に第2端部とを有するフランジ(222、306)と、
前記フランジの第2端部に、第1端部で接続された予混合管(308)とを備えた、燃焼器(104)を有するガスタービンエンジン(100)の燃料ノズルアセンブリ(200)であって、
前記フランジと前記予混合管が、ガスタービンエンジンの駆動周波数とは異なる固有周波数を有するように構成された、燃料ノズルアセンブリ(200)。
【請求項2】
前記予混合管(308)が、電子ビーム溶接によって前記フランジの第2端部に接続された、請求項1記載の燃料ノズルアセンブリ(200)。
【請求項3】
前記フランジ(222、306)が、該フランジの固有周波数を制御し得る角度をなして収束した略円錐台形の本体部(382)を有する、請求項1記載の燃料ノズルアセンブリ(200)。
【請求項4】
前記フランジ(222、306)と前記予混合管(308)の固有周波数が、前記ガスタービンエンジン(100)の駆動周波数の整数倍以外の値となるように構成された、請求項1記載の燃料ノズルアセンブリ(200)。
【請求項5】
前記フランジ(222、306)が、約175Hz〜約180Hzの固有周波数を有するように構成された、請求項4記載の燃料ノズルアセンブリ(200)。
【請求項6】
前記予混合管(308)の第2端部に、端部キャップアセンブリが接続された、請求項1記載の燃料ノズルアセンブリ(200)。
【請求項7】
前記端部キャップアセンブリが、電子ビーム溶接によって前記予混合管(308)の第2端部に接続された、請求項6記載の燃料ノズルアセンブリ(200)。
【請求項8】
前記予混合管(308)の第2端部が、前記燃料ノズルアセンブリの流れを促進する先細部を有する、請求項6記載の燃料ノズルアセンブリ(200)。
【請求項9】
電子ビーム溶接によって前記予混合管(308)の第2端部に接続された旋回翼アセンブリ(340)と、
電子ビーム溶接によって前記旋回翼アセンブリに接続されたチップ管とを更に有する、請求項6記載の燃料ノズルアセンブリ(200)。
【請求項10】
前記チップ管の下流側端部に、電子ビーム溶接によってチップアセンブリが更に接続された、請求項9記載の燃料ノズルアセンブリ(200)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−17338(P2011−17338A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−150705(P2010−150705)
【出願日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】