説明

ガスメータ

【課題】低消費電力で高精度な計測値を得ることができるガスメータを提供する。
【解決手段】メインカウンタ262はメインクロックの発生に応じてそのカウントを開始し、他方の超音波センサで超音波が受信された時に停止し、サブクロック発生回路263は他方の超音波センサで超音波が受信された時に、所定周波数より高く且つ2倍未満の周波数のサブクロックの発生を開始し、比較判定回路265はサブクロックとメインクロックが同時に変化し、又は、メインクロックの1周期の間にサブクロックの立ち上がり又は立ち下がり変化が2回発生した時にサブクロック停止信号を出力し、サブカウンタ264はサブクロックの発生に応じてそのカウントを開始し、サブクロック停止信号を受け取った時に停止し、制御回路10はメインカウンタ及びサブカウンタの各カウント値に基づいて算出した超音波の伝搬時間に基づいてガスの流量を算出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一対の超音波センサ間で送受信される超音波の伝搬時間に基づいてガス流量を測定する超音波式のガスメータ(以下、本明細書では単に「ガスメータ」という)に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、超音波を用いてガスの流量を測定するガスメータが知られている。図9はこの種の従来のガスメータの要部の電気的な構成を機能的に示すブロック図である。このガスメータは、送信回路23、受信回路25、時間測定回路26及び制御回路10から構成されている。時間測定回路26は、更に、メインクロック発生回路261及びメインカウンタ262から構成されている。
【0003】
送信回路23は、制御回路10からの指示に応じて、第1超音波センサ(図示しない)に送信信号を送ると同時に、時間測定回路26のメインクロック発生回路261にメインクロック開始信号を送る。この送信回路23からの送信信号を受信した第1超音波センサは超音波を発生し、第2超音波センサ(図示しない)に送信する。
【0004】
受信回路25は、超音波を受信した第2超音波センサから送られてくる受信信号を受け取ると、メインカウンタ停止信号を生成してメインカウンタ262に送るとともに、その受信信号を制御回路10に送る。
【0005】
メインクロック発生回路261は、送信回路23からのメインクロック開始信号に応答してメインクロックの発生を開始する。このメインクロック発生回路261で発生されたメインクロックは、メインカウンタ262に送られる。
【0006】
メインカウンタ262は、メインクロック発生回路261からのメインクロックを受け取ることによりカウント動作を開始し、メインクロックの立ち上がり変化に同期してメインクロックの数をカウントする。また、メインカウンタ262は、受信回路25からのメインカウンタ停止信号に応答してカウント動作を停止する。メインカウンタ262でカウントされたカウント値は、制御回路10に送られる。
【0007】
制御回路10は、ガスメータの全体を制御する。具体的には、制御回路10は、受信回路25から受信信号を受けると、メインカウンタ262でカウントされたカウント値を読み出し、読み出したカウンタ値にメインクロックの周波数の逆数(1周期の時間)を乗算し、第1超音波センサと第2超音波センサとの間における超音波の伝搬時間を算出する。
【0008】
次に、このように構成された従来のガスメータの動作を、図10に示す波形図を参照しながら説明する。なお、図10では、メインクロックの1周期の時間を「t」としている。
【0009】
まず、制御回路10は、送信回路23に測定開始を指示する。これにより、送信回路23は、図10(A)に示すような送信信号を生成し、第1超音波センサに送る。同時に、送信回路23は、メインクロック発生回路261にメインクロック開始信号を送る。これにより、メインクロック発生回路261は、図10(D)に示すように、メインクロックの発生を開始する。
【0010】
メインカウンタ262の内容は、図10(E)に示すように、メインクロック発生回路261から送られてくるメインクロックの立ち上がり変化が発生する毎に、インクリメント(+1)される。受信回路25は、図10(C)に示すように、送信回路23による送信信号の送出からT時間が経過した後に、図10(B)に示すような第2超音波センサからの受信信号を受け取る。受信信号を受け取った受信回路25は、メインカウンタ停止信号を生成してメインカウンタ262に送る、これにより、メインカウンタ262のカウント動作が停止される。この時、メインカウンタ262のカウント値は「n」になっている。また、受信信号を受け取った受信回路25は、受信信号を制御回路10に送る。
【0011】
制御回路10は、受信回路25から受信信号を受けると、メインカウンタ262に保持されているカウント値「n」を読み出し、「T=t×n」を計算する。この計算により得られた時間Tが、超音波が第1超音波センサから第2超音波センサに到達するまでの伝搬時間として使用される。次に、制御回路10は、計算された伝搬時間から音速を減じてガスの流速を算出し、算出された流速に基づいてガスの流量を求める。
【0012】
従来の時間測定回路26では、伝搬時間Tの終了時点とメインクロックの立ち上がり変化とが非同期であるので、ガス流量の測定精度を決める分解能は、メインクロックの周波数に依存して決定されてしまう。そこで、従来は、高分解能で時間測定を行うために、例えば、のこぎり波のアナログ発振電圧を測定する方法(特許文献2参照)や、高速な第2のクロックを用いて測定する方法(特許文献1参照)が採用されている。
【0013】
特許文献1では、流体管路に設けられ超音波信号を送受信する第1振動子及び第2振動子と、振動子の送受信の切換手段と、振動子間相互の超音波伝搬を複数回行う繰り返し手段と、繰り返し開始時に低周波発振器の信号をカウントする第1計時手段とが設けられている。さらに、第1計時手段の設定時間後に高周波発振器の信号をカウントを開始し繰り返し終了時に停止する第2計時手段と、第1計時手段と第2計時手段から総時間を算出し、それぞれの総時間の差から流量を求める流量演算手段とが設けられている。これにより、必要なときのみ高周波数のカウントを行うので、高い分解能の計測値を低消費電力で行うことができる。
【0014】
また、特許文献2では、計測流体の上流側と下流側にそれぞれ送波器及び受波器を配置し、各送波器の超音波発信素子に駆動パルスを印加して相互に超音波を発生送信するとともに、送信された超音波を相互に受波器で受信し、各超音波の伝搬時間をクロック波を利用することにより求め該伝搬時間の差に基いて流速を測定する超音波流速測定方法において、クロック波と同期して該クロック波と同周期で直線性ののこぎり波を別途連続出力し、該のこぎり波の超音波受信時における電圧値と、のこぎり波の比例直線部における電圧値および時間の比例関係とから、超音波受信前の最終パルスクロック出力時から該超音波受信時までの端数時間が求められる。これにより、周期の短いクロック波を出力するクロック回路を利用しなくても伝搬時間を精度良く測定でき、ひいては高精度な流速測定を可能とする超音波流速測定方法の提供できる。
【特許文献1】特開平9−304139号公報
【特許文献2】特開平10−170319号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかしながら、特許文献1に開示されたアナログ発振電圧を測定する方法では、アナログ発信電圧を測定するための大規模な電気変換回路が必要であり、また、消費電流が増加するという問題がある。
【0016】
また、特許文献2に開示された高速な第2のクロックを用いて測定する方法では、高速な第2のクロックを発振させるために専用の回路が必要であり、消費電流が増加する。消費電流が増加すると電池駆動の装置では電池の消耗が早くなり、装置の寿命が短くなるという問題がある。
【0017】
本発明は、上述した問題を解消するためになされたものであり、低消費電力で高精度な計測値を得ることができるガスメータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記課題を解決するために、第1の発明に係るガスメータは、ガスの流路に配置された一対の超音波センサで送受される超音波の伝搬時間に基づいてガスの流量を測定するガスメータにおいて、一方の超音波センサから超音波が送信された時に、所定周波数のメインクロックの発生を開始するメインクロック発生回路と、メインクロック発生回路におけるメインクロックの発生に応じて該メインクロックのカウントを開始し、他方の超音波センサで超音波が受信された時にメインクロックのカウントを停止するメインカウンタと、他方の超音波センサで超音波が受信された時に、所定周波数より高く且つ2倍未満の周波数のサブクロックの発生を開始するサブクロック発生回路と、メインクロック発生回路からのメインクロックとサブクロック発生回路からのサブクロックとを比較し、サブクロックとメインクロックが同時に変化し、又は、メインクロックの1周期の間にサブクロックの立ち上がり又は立ち下がり変化が2回発生した時にサブクロック停止信号を出力する比較判定回路と、サブクロック発生回路におけるサブクロックの発生に応じて該サブクロックのカウントを開始し、比較判定回路からサブクロック停止信号を受け取った時にサブクロックのカウントを停止するサブカウンタと、メインカウンタでカウントされたカウント値とサブカウンタでカウントされたカウント値とに基づいて超音波の伝搬時間を算出し、該算出された伝搬時間に基づいてガスの流量を算出する制御回路とを備えたことを特徴とする。
【0019】
また、第2の発明に係るガスメータは、第1の発明に係るガスメータにおいて、サブクロック発生回路は、更に、サブクロックの周波数を可変にするための周波数調整回路を備えたことを特徴とする。
【0020】
また、第3の発明に係るガスメータは、第1の発明に係るガスメータにおいて、メインクロックの周期より長い周期を有する時計クロックを発生する時計クロック発生回路と、時計クロック発生回路で発生された時計クロックの所定周期の間に、メインクロック発生回路で発生されるメインクロック及びサブクロック発生回路で発生されるサブクロックを選択的にカウントする周波数測定カウンタ、とを更に備え、制御回路は、周波数測定カウンタでカウントされたメインクロックのカウント値及びサブクロックのカウント値に基づいて、メインカウンタでカウントされたメインクロックのカウント値及びサブカウンタでカウントされたサブクロックのカウント値で表される時間を補正した後に、超音波の伝搬時間を算出し、算出された伝搬時間に基づいてガスの流量を算出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係るガスメータによれば、超音波が送信されてから受信されるまでの時間を、所定周波数のメインクロックをカウントすることにより計算し、超音波が受信された後は所定周波数より高く且つ2倍未満の周波数のサブクロックを発生させ、このサブクロック用いて超音波が受信された時点とメインクロックのカウント時点との間の時間を計算し、これら両計算結果に基づいて超音波の伝搬時間を算出するように構成したので、アナログ発信電圧を測定するための大規模な電気変換回路や高速な第2のクロックを発振させるために専用の回路は不要であり、低消費電力で高精度な計測値を得ることができるガスメータを提供できる。
【0022】
具体的には、第1の発明に係るガスメータによれば、以下の作用によって超音波の伝搬時間を高分解能で測定することが可能になる。今、メインクロックの周波数をf1、サブクロックの周波数をf2とすると、周期(波長)はそれぞれ1/f1、1/f2である。サブクロックの周期1/f2を「(1/f1)×0.9」とすると、メインクロックとサブクロックの周期の差は、メインクロックの10分の1である。このとき、メインクロックとサブクロックとは、サブクロックが10クロック、メインクロックが9クロックで同期するという関係を有する。
【0023】
したがって、サブクロックが何クロック目でメインクロックと同期したかを比較判定すれば、メインクロックの時間を10分の1の分解能で測定できる。サブクロックの周波数をメインクロックの周波数に近づけることで、さらに高精度の時間測定が可能になる。また、サブクロックとして高速なクロックを使用しないので、低消費電流での動作が可能である。
【0024】
また、第2の発明に係るガスメータによれば、サブクロックの周波数を切り替えることができるので、超音波の伝搬時間を測定する際の分解能を変更したり、サブクロックの周波数を微調整することが可能になる。
【0025】
また、第3の発明に係るガスメータによれば、時計クロックを用いてメインクロック及びサブクロックの周波数を測定し、この測定結果に基づいてメインカウンタ及びサブカウンタで得られる各カウント値で表される時間を補正し、補正された後の各カウント値に基づいてガスの流量を計算するように構成したので、温度や電源電圧の変動により、メインククロックとサブクロックの周波数が変化しても、計算にて補正することが可能になる。その結果、常に、超音波の伝搬時間を正確に測定できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の実施例を図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下では、従来のガスメータと同一又は相当する構成部分には従来のガスメータと同一の符号を付して説明する。
【実施例1】
【0027】
本発明の実施例1に係るガスメータは、メインクロックとメインクロックの周波数より若干高い周波数のサブクロックを用いて、超音波の伝搬時間を高い分解能で測定するものである。
【0028】
図1は本発明の実施例1に係るガスメータの構造を概略的に示す図である。このガスメータは、外部から供給されるガスをガス流入口1から内部に導き、内部に形成されたガス流路3を経由してガス流出口5から需要家のガス機器(図示しない)に送り出すように構成されている。
【0029】
ガス流路3には、上流側から遮断弁50、第1超音波センサ21、第2超音波センサ22及び圧力センサ30が順次配置されている。また、ガスメータの内部には、制御回路10が設けられており、この制御回路10に、第1超音波センサ21、第2超音波センサ22、圧力センサ30、感振器40、遮断弁50、表示部60及び通信回路70(図2参照)が接続されている。第1超音波センサ21及び第2超音波センサ22は、後述する計量回路20の一部を構成する。感振器40はガスメータの所定部位に、表示部60はガスメータの前面にそれぞれ配置されている。
【0030】
図2は本発明の実施例1に係るガスメータの電気的な構成を示すブロック図である。このガスメータは、電気的には、制御回路10、計量回路20、圧力センサ30、感震器40、遮断弁50、表示部60及び通信回路70から構成されている。
【0031】
制御回路10は、例えばマイクロコンピュータ(マイコン)及びその周辺回路から構成されており、ガスメータの全体を制御する。
【0032】
計量回路20は、ガスの使用量を積算するため、及びガス漏れ等によりガスの流量が異常になった場合にガスの供給を停止するために設けられている。この計量回路20の詳細な構成及び動作は後述する。この計量回路20で得られた計量信号は制御回路10に送られる。
【0033】
圧力センサ30は、ガス流路3の内部の圧力を検出し、圧力信号として出力する。この圧力センサ30は、遮断弁50が開放されている通常の状態では、外部から需要家のガス機器に至るガス流路3の圧力を検出し、遮断弁50が閉じられている状態では、ガスメータから需要家のガス機器に至るガス流路3の圧力を検出する。圧力センサ30は、ガス漏れ等によりガスの圧力が異常になった場合にガスの供給を停止するために設けられている。この圧力センサ30から出力される圧力信号は制御回路10に送られる。
【0034】
感震器40は、ガスメータに加えられた振動を検出し、感震信号として出力する。感震器40は、地震等によりガスを供給することが妥当でない場合にガスの供給を停止するために設けられている。この感震器40から出力される感震信号は制御回路10に送られる。
【0035】
遮断弁50は、ガス流路3の途中であって、第1超音波センサ21の上流側に設けられている。遮断弁50は、制御回路10からの制御信号に応じて開閉され、ガス流路3内を流れるガスの遮断及び通過を制御するために使用される。
【0036】
表示部60は、LED(発光ダイオード)、LCD(液晶表示素子)といった表示部材から構成されている。表示部60は、制御回路10からの制御信号に応じて、ガスの使用量や、ガス漏れ等の異常が生じた場合に、その旨を表すメッセージを表示する。
【0037】
通信回路70は、図示しない有線又は無線の回線を介してセンタに接続されている。通信回路70は、制御回路10からの制御信号に応じて、通常は、需要家によるガスの積算使用量をセンタに送り、ガス漏れ等の異常が生じた場合に、その旨を表すメッセージをセンタに送る。
【0038】
次に、このように構成された本発明の実施例1に係るガスメータの概略的な動作を説明する。
【0039】
制御回路10は、計量回路20からの計量信号、圧力センサ30からの圧力信号及び感震器40からの感震信号を常に監視している。そして、所定周期毎に計量回路20からの計量信号に基づいてガスの使用量を算出し、表示部60に表示する。また、検針日が到来する毎に、ガスの使用量を表すデータを通信回路70を介してセンタに送信し、自動検針に供する。
【0040】
また、圧力センサ30からの圧力信号が所定値以下の圧力レベルを示した場合は、ガス漏れが発生したものと認識し、その旨を表すメッセージを表示部60に表示するとともに、通信回路70を介してセンタに送信する。また、感震器40からの感震信号が所定値以上の振動が加えられたことを示した場合は地震が発生したものと認識し、その旨を表すメッセージを表示部60に表示するとともに、通信回路70を介してセンタに送信する。
【0041】
次に、計量回路20の詳細を説明する。計量回路20は、図2に示すように、第1超音波センサ21、第2超音波センサ22、送信回路23、受信回路25、時間測定回路26、第1切替スイッチ27a及び第2切替スイッチ27bから構成されている。
【0042】
第1超音波センサ21及び第2超音波センサ22は、圧電素子から構成されており、ガス流路3の内部に対向して設置されている。第1超音波センサ21は、送信信号としての電気信号が印加されると超音波を発生する。この第1超音波センサ21で発生された超音波は、ガス流路3を通って第2超音波センサ22に達する。第2超音波センサ22は、受信した超音波を電気信号に変換して受信信号として出力する。同様に、第2超音波センサ22は、送信信号としての電気信号が印加されると超音波を発生する。この第2超音波センサ22で発生された超音波は、ガス流路3を通って第1超音波センサ21に達する。第1超音波センサ21は、受信した超音波を電気信号に変換して受信信号として出力する。
【0043】
ガス流路3を超音波が伝搬する時、ガス流路3にガスが流れていると、超音波の伝播は、ガスの流速に重畳される。したがって、第1超音波センサ21と第2超音波センサ22との間の超音波の伝搬時間はガスの流速に依存して差が生じる。制御回路10は、この伝搬時間の差に基づいてガスの流速及び流量を算出し、ガス使用量の積算や異常の検出を行う。
【0044】
送信回路23は、制御回路10からの指示に応答して送信信号及びメインクロック開始信号を生成する。この送信回路23で生成された送信信号は、第1超音波センサ21又は第2超音波センサ22に送られる。送信信号が第1超音波センサ21及び第2超音波センサ22の何れに送られるかは、制御回路10からの指示によって切り換えられる第1切替スイッチ27a又は第2切替スイッチ27bの設定状態によって決定される。また、送信回路23で生成されたメインクロック開始信号は、時間測定回路26に送られる。
【0045】
受信回路25は、第1超音波センサ21又は第2超音波センサ22から送られてくる受信信号を受け取る。第1超音波センサ21及び第2超音波センサ22の何れから受信信号を受け取るかは、制御回路10からの指示によって切り換えられる第1切替スイッチ27a又は第2切替スイッチ27bの設定状態によって決定される。受信信号を受け取った受信回路25は、サブクロック開始信号及びメインカウンタ停止信号を生成し、時間計測回路26に送る。
【0046】
時間測定回路26は、送信回路23から送信信号が出力されてから、受信回路25で受信信号が得られるまでの時間を測定する。この時間測定回路26で測定された時間を表す計量信号は、制御回路10に送られる。この時間測定回路26の詳細は後述する。
【0047】
第1切替スイッチ27a及び第2切替スイッチ27bは、上述したように、制御回路10からの指示にしたがって、超音波の伝播方向を切り替えるために、送信回路23及び受信回路25と第1超音波センサ21及び第2超音波センサ22との組み合わせを切り替える。これにより、ガスの流れ方向に伝搬する超音波の伝搬時間とガスの流れと逆方向に伝搬する超音波の伝搬時間とを測定することができ、両者から算出されるガスの流速から、音速の影響を排除することができる。
【0048】
以上のように構成される計量回路20においては、送信回路23からの送信信号によって第1超音波センサ21(又は第2超音波センサ22)で発生された超音波がガス流路3を伝搬し、第2超音波センサ22(又は第1超音波センサ21)で受信されることにより発生された受信信号を受信回路25で受信するまでの時間が測定される。この計量回路20における測定結果は制御回路10に送られる。制御回路10は、計量回路20から送られてくる超音波の伝播時間を表す計量信号からガス流路3を流れるガスの流速及び流量を算出する。
【0049】
次に、時間計測回路26の詳細を、図3に示すブロック図を参照しながら説明する。時間測定回路26は、メインクロック発生回路261、メインカウンタ262、サブクロック発生回路263、サブカウンタ264及び比較判定回路265から構成されている。
【0050】
メインクロック発生回路261は、送信回路23からのメインクロック開始信号に応答してメインクロックの発生を開始する。このメインクロック発生回路261で発生されたメインクロックはメインカウンタ262及び比較判定回路265に送られる。
【0051】
メインカウンタ262は、メインクロック発生回路261からメインクロックが供給されると同時にカウント動作を開始し、メインクロックの立ち上がり変化の数をカウントする。また、メインカウンタ262は、受信回路25からのメインカウンタ停止信号に応答してカウントを停止する。このメインカウンタ262でカウントされたカウント値は、制御回路10によって読み出される。
【0052】
サブクロック発生回路263は、受信回路25からのサブクロック開始信号に応答してサブンクロックの発生を開始する。サブクロックは、メインクロックの周波数より若干高周波数を有するように決定される。例えば、メインクロックの周波数が周期「t」を有する場合にサブクロックの周波数は「0.9t」の周期を有するように決定される。このサブクロック発生回路263で発生されたサブクロックはサブカウンタ264及び比較判定回路265に供給される。
【0053】
サブカウンタ264は、サブクロック発生回路263からサブクロックが供給されると同時にカウント動作を開始し、サブクロックの立ち上がり変化の数をカウントする。また、サブカウンタ264は、比較判定回路265からのサブカウンタ停止信号に応答してカウントを停止する。このサブカウンタ264でカウントされたカウント値は、制御回路10によって読み出される。
【0054】
比較判定回路265は、メインクロック発生回路261からのメインクロック及びサブクロック発生回路263からのサブクロックを入力して比較する。そして、この比較の結果、サブクロックとメインクロックとが同時に変換し、又は、メインクロックの1周期中にサブクロックの1周期が包含される場合に、判定信号を制御回路10に送ると共に、サブカウンタ停止信号をサブカウンタ264に送る。メインクロックの1周期中にサブクロックの1周期が包含されるかどうかの判定は、メインクロックの1周期中にサブクロックの立ち上がり変化が2回発生したかどうかを調べることにより行うことができる。制御回路10は、比較判定回路265からの判定信号を受け取った時に、メインカウンタ262及びサブカウンタ264の各カウント値を読み出し、超音波の伝搬時間を算出する。
【0055】
次に、本発明の実施例1に係るガスメータにおける超音波の伝搬時間を測定する動作を、図4に示した波形図を参照しながら説明する。図4では、メインクロックの周期を「t」、サブクロックの周期を「0.9t」としている。
【0056】
送信回路23は、図4(A)に示すように、第1超音波センサ21に送信信号を送ると同時に、メインクロック開始信号をメインクロック発生回路261に送る。これにより、メインクロック発生回路261は、図4(D)に示すような周期「t」のメインクロックの発生を開始する。メインカウンタ262の内容は、メインクロック発生回路261からのメインクロックの立ち上がり変化が発生する毎に「0、1、2、3、・・・」というようにインクリメント(+1)される。
【0057】
受信回路25は、図4(C)に示すように、送信回路23による送信信号の送出からT時間が経過した後に、図4(B)に示すような第2超音波センサ22からの受信信号を受け取る。受信回路25は、受信信号の所定番目(図4(B)に示した例では3番目)のゼロクロス点を検出すると、メインカウンタ262にメインカウンタ停止信号を送るとともに、サブクロック発生回路263にサブクロック開始信号を送る。
【0058】
メインカウンタ停止信号を受け取ったメインカウンタ262は、メインクロックのカウント動作を停止する。この時点でのメインカウンタ262のカウント値は「n」であるものとする。一方、サブクロック開始信号を受け取ったサブクロック発生回路263は、図4(F)に示すように、周期「0.9t」のサブクロックの発生を開始する。サブカウンタ264の内容は、サブクロック発生回路263からのサブクロックの立ち上がり変化が発生する毎に、「0、1、2、3、・・・」というようにインクリメント(+1)される。
【0059】
比較判定回路265は、メインクロック発生回路261からのメインクロック及びサブクロック発生回路263からのサブクロックを入力して比較する。この比較において、サブクロックとメインクロックとが同時に変換、又は、メインクロックの1周期中にサブクロックの立ち上がり変化が2回発生したことを判定すると、判定信号を制御回路10に送ると共に、サブカウンタ停止信号をサブカウンタ264に送る。なお、この比較判定回路265における比較判定処理は、後に更に詳細に説明する。
【0060】
図4に示した例では、サブカウンタ264のカウント値が「2」から「3」に変化する直前で、メインクロックの1周期中における2回目のサブクロックの立ち上がり変化が発生するので、このタイミングで判定信号が制御回路10に送られるとともに、サブカウンタ停止信号がサブカウンタ264に送られる。これにより、サブカウンタ264は、カウント動作を停止する。この時点でのサブカウンタ264のカウント値は「3」である。
【0061】
比較判定回路265から判定信号を受け取った制御回路10は、メインカウンタ262からカウント値「n」を、サブカウンタ264からカウント値「3」をそれぞれ読み出す。そして、これらのカウント値から伝搬時間Tを算出する。この場合、伝搬時間Tは、「T=t×n+(1−0.9)t×3」によって算出される。
【0062】
以上の構成により、メインクロックの1/10の精度の高分解能で超音波の伝搬時間を測定することができる。
【0063】
上述した比較判定回路265は、例えばソフトウェアの処理により構成することができる。この場合、比較判定回路265で行われる比較判定処理を、図5に示すフローチャートを参照しながら更に詳細に説明する。
【0064】
比較判定回路265で行われる比較判定処理では、まず、サブクロック発生回路263から供給されるサブクロックの立ち上がり変化が起こったかどうかが調べられる(ステップS1)。ここで、サブクロックの立ち上がり変化が起こったことが判断されると、比較判定回路265に内蔵される判定カウンタ(図示しない)がアップされる(ステップS2)。ステップS1で、立ち上がり変化が起こってないことが判断されると、ステップS4の処理に進む。
【0065】
次に、判定カウンタの内容が「2」であるかどうかが調べられる(ステップS3)。ここで、判定カウンタの内容が「2」でないことが判断されると、メインクロック発生回路261から供給されるメインクロックの立ち上がり変化が起こったかどうかが調べられる(ステップS4)。ここで、メインクロックの立ち上がり変化が起こったことが判断されると、判定カウンタがリセットされ、その内容がクリアされて(ステップS5)、ステップS1に戻る。また、ステップS4で、メインクロックの立ち上がり変化が起こってないことが判断されると、ステップS1に戻る。
【0066】
一方、判定カウンタの内容が「2」であることが判断されると、メインクロックの1周期の間にサブクロックの立ち上がりの変化が2回発生したことが認識され、判定信号が出力される(ステップS6)。
【0067】
上述した比較判定処理により判定信号が出力されるまでの過程は、図4に示す波形図に即して説明すると次のようになる。まず、最初のサブクロックの立ち上がり変化が発生すると、サブカウンタ264のカウント値が「1」になるとともに判定カウンタの内容は「1」になるが、次のサブクロックの立ち上がり変化に先行してメインクロックの立ち上がり変化が発生するので、判定カウンタの内容はクリアされ、「0」に戻る。2回目のサブクロックの立ち上がり変化が発生すると、サブカウンタ264のカウント値が「2」になるとともに判定カウンタの内容は「1」になるが、次のサブクロックの立ち上がり変化に先行してメインクロックの立ち上がり変化が発生するので、判定カウンタの内容はクリアされ、「0」に戻る。
【0068】
3回目のサブクロックの立ち上がり変化が発生すると、サブカウンタ264のカウント値が「3」になるとともに判定カウンタの内容は「1」になり、メインクロックの立ち上がり変化が発生する前に更に4回目のサブクロックの立ち上がり変化が発生するので、判定カウンタの内容はインクリメントされ、「2」になる。これにより、サブカウンタ264のカウント動作が停止されるとともに、判定信号が生成され、制御回路10に供給される。
【0069】
上述した比較判定回路265は、例えばハードウェアによるロジック回路で構成することもできる。図6は比較判定回路265をハードウェアによるロジック回路で構成した場合の回路図である。この比較判定回路265は、ダイレクトクリア端子CLRを備えた第1乃至第4フリップフロップ2651〜2654、オア回路2655から構成されている。
【0070】
第1フリップフロップ2651のクロック入力端子CK及び第4フリップフロップ2654のクロック入力端子CKにはサブクロックが供給される。第1フリップフロップ2651のデータ入力端子Dは自身の反転出力端子Qに接続されるとともに、第3フリップフロップ2653のクロック入力端子CKに接続されている。また、第1フリップフロップ2651の出力端子Qは、第2フリップフロップ2652のダイレクトクリア端子CLRに接続され、第1フリップフロップ2651のダイレクトクリア端子CLRは、第2フリップフロップ2652の反転出力端子Q及び第3フリップフロップ2653のダイレクトクリア端子CLRに接続されている。
【0071】
また、第2フリップフロップ2652の出力端子Qは、第4フリップフロップ2654のダイレクトクリア端子CLRに接続され、第3フリップフロップ2653の出力端子Qと第4フリップフロップ2654の出力端子Qとは、オア回路2655の入力側に接続される。オア回路2655の出力端子からは判定出力が出力される。
【0072】
第2フリップフロップ2652のクロック入力端子CKにはメインクロックが供給される。第2乃至第4フリップフロップ2652〜2654のデータ入力端子Dは電源にプルアップされている。
【0073】
このように構成される比較判定回路265は、次のように動作する。なお、初期状態では、第1〜第4フリップフロップ2651〜2653の全てはクリアされているものとする。
【0074】
第2フリップフロップ2652は、メインクロックが入力されることによりセットされる。これにより、第2フリップフロップ2652の反転出力端子Qから出力される信号は低レベル(以下、「Lレベル」という)になり、第1フリップフロップ2651がクリアされる。その結果、第1フリップフロップ2651の出力端子Qから出力される信号がLレベルになり、第2フリップフロップ2652はクリアされる。この状態で、第1フリップフロップ2651のダイレクトクリア端子CLRに供給される信号は高レベル(以下、「Hレベル」という)になるので、第1フリップフロップ2651は、1回目のサブクロックによる動作が可能になる。
【0075】
第1フリップフロップ2651及び第4フリップフロップ2654は、1回目のサブクロックが入力されることによりセットされ、その出力端子Qから出力される信号はLレベルからHレベルに変化し、反転出力端子Qから出力される信号はHレベルからLレベルに変化する。その結果、第2フリップフロップ2652のダイレクトクリア端子CLRに供給される信号はHレベルになるので、第2フリップフロップ2652は、再度メインクロックによる動作が可能になる。
【0076】
この状態で、2回目のサブクロックが第1フリップフロップ2651に入力される前に、メインクロックが第2フリップフロップ2652に入力されると、上述したように、第2フリップフロップ2652がセットされ、第1フリップフロップ2651は、2回目のサブクロックによる動作が可能になる。
【0077】
一方、メインクロックが第2フリップフロップ2652に入力される前に、2回目のサブクロックが第1フリップフロップ2651に入力されると、第1フリップフロップ2651は反転し、その出力端子Qから出力される信号はHレベルからLレベルに変化し、反転出力端子Qから出力される信号はLレベルからHレベルに変化する。第1フリップフロップ2651の反転出力端子Qから出力される信号がLレベルからHレベルに変化することにより第3フリップフロップ2653がセットされ、その出力端子QからHレベルがオア回路2655に入力されるので、オア回路2655の出力端子からは判定出力が出力される。
【0078】
以上の動作により、メインクロックの1周期の間にサブクロックの立ち上がり変化が2回発生したときに、判定信号が出力される機能が実現されている
以上説明したように、本発明の実施例1に係るガスメータによれば、従来メインクロックの周期tの分解能で測定していた伝搬時間Tを、(1−0.9)×t=0.1tの分解能で測定することが可能になる。その結果、超音波の伝搬時間に基づいて計算されるガス流量を、高精度な値で得ることが可能である。
【0079】
また、本発明の実施例1に係るガスメータは、高周波回路や、アナログ判定回路を含まないので、回路規模を小さくすることができ、消費電流を抑えることができる。
【0080】
なお、上述した実施例1では、送信回路23から送信信号を出力するタイミングでメインクロックの発生を開始させているが、メインクロックの発生を開始させるタイミングで、送信回路23を動作させて送信信号を出力するように構成できる。
【0081】
また、上述した実施例1では、メインカウンタ262及びサブカウンタ264は、メインクロックの立ち上がり変化及びサブクロックの立ち上がり変化に同期してそれぞれ動作するように構成したが、メインカウンタ262及びサブカウンタ264は、メインクロックの立ち下がり変化及びサブクロックの立ち下がり変化に同期してそれぞれ動作するように構成できる。
【実施例2】
【0082】
本発明の実施例2に係るガスメータは、実施例1に係るガスメータにおいて、時間測定回路に含まれるサブクロック発生回路に周波数調整機能を備えたものである。
【0083】
図7は本発明の実施例2に係るガスメータの時間測定回路に含まれるサブクロック発生回路263の構成を示す回路図である。
【0084】
このサブクロック発生回路263は、周波数調整回路2631、オペアンプOPA、DタイプのフリップフロップDFF、トランジスタQ1及びQ2、抵抗R1〜R3及びコンデンサC1から構成されている。
【0085】
周波数調整回路2631は、第1電圧源Vf1、第2電圧源Vf2、第3電圧源Vf3、第1スイッチSW1、第2スイッチSW2及び第3スイッチSW3から構成されている。第1電圧源Vf1、第2電圧源Vf2及び第3電圧源Vf3は、異なる電圧V1、V2及びV3をそれぞれ発生し、第1スイッチSW1、第2スイッチSW2及び第3スイッチSW3の一方の端子にそれぞれ供給する。
【0086】
第1スイッチSW1、第2スイッチSW2及び第3スイッチSW3は、例えば切替信号に応じて排他的にオンにされるトランジスタから構成されている。第1スイッチSW1、第2スイッチSW2及び第3スイッチSW3の各々の他方の端子は共通に接続され、周波数調整回路2631の出力としてオペアンプOPAの反転入力端子(−)に接続されている。
【0087】
トランジスタQ1は、PNPトランジスタから構成されている。このトランジスタQ1のエミッタは電源VCCに接続され、コレクタは抵抗R1の一方の端子に接続されている。このトランジスタQ1のベースには、受信回路25からのサブクロック開始信号が供給される。抵抗R1の他方の端子は、コンデンサC1を介して接地されている。
【0088】
トランジスタQ2は、NPNトランジスタから構成されている。このトランジスタS2のコレクタは、オペアンプOPAの非反転入力端子(+)に接続されるとともに、抵抗R1とコンデンサC1との接続点に接続されている。トランジスタQ2のエミッタは接地されている。トランジスタQ2のベースは、抵抗R2を介して接地されるとともに、抵抗R3を介してオペアンプOPAの出力端子及びフリップフロップDFFのクロック入力端子CKに接続されている。
【0089】
フリップフロップDFFの反転出力端子Qは、データ入力端子Dに接続されている。したがって、このフリップフロップDFFは、クロック入力端子CKに入力される信号の立ち上がり変化が発生する毎にトグル動作するTフリップフロップとして機能する。このフリップフロップDFFのノーマル出力端子Nから出力される信号は、サブクロックとしてサブカウンタ264及び比較判定回路265に供給される。
【0090】
次に、このように構成される本発明の実施例2に係るガスメータに含まれるサブクロック発生回路263の動作を説明する。
【0091】
今、制御回路10からの切替信号により、第1スイッチSW1がオンにされて、オペアンプOPAの反転入力端子には、第1電圧源Vf1からの電圧V1が供給されているものとする。このとき、オペアンプOPAの非反転入力は接地レベルになっており、オペアンプOPAの出力はLレベルになっているものとする。
【0092】
この状態において、サブクロック開始信号によりトランジスタQ1がオンにされると、抵抗R1を介してコンデンサC1が電源VCCに接続される。その結果、コンデンサC1の充電が開始されて、オペアンプOPAの非反転入力端子に印加される電圧は、徐々に高くなる。
【0093】
オペアンプOPAの非反転入力端子に印加される電圧が、反転入力端子に印加されている電圧V1以上になると、オペアンプOPAの出力は、Hレベルに変化する。このオペアンプOPAの出力がフリップフロップDFFのクロック入力端子CKに供給されることにより、その出力端子Qから出力されるサブクロックが反転される。
【0094】
また、オペアンプOPAの出力がHレベルになると、抵抗R3を介して、トランジスタQ2のベースにHレベルの電圧が印加され、トランジスタQ2がオンにされる。トランジスタQ2がオンにされると、コンデンサC1に充電された電荷が放電されるので、コンデンサC1の両端の電圧は徐々に低下する。そして、オペアンプOPAの非反転入力端子に印加される電圧が、反転入力端子に印加されている電圧V1以下になると、オペアンプOPAの出力は、Lレベルに反転する。
【0095】
これにより、トランジスタQ2がオフにされるので、再度、コンデンサC1に充電が開始される。以上の動作が繰り返されることにより、電圧V1に応じた周波数でオン/オフを繰り返すサブクロックが生成される。
【0096】
このように構成されるサブクロック発生回路263では、第1スイッチSW1、第2スイッチSW2及び第3スイッチSW3の何れかをオンにするかによりオペアンプOPAの反転入力端子に印加される電圧が切り替わるが、コンデンサC1の充電時間は一定であるので、オペアンプOPAの出力が反転するタイミングが変化する。したがって、第1スイッチSW1、第2スイッチSW2及び第3スイッチSW3の何れかをオンにするかによってサブクロックの周波数を変更することができる。
【0097】
以上説明したように、実施例2に係るガスメータによれば、サブクロック発生回路263で発生されるサブクロックの周波数を外部から切換えることができるので、メインクロックとサブクロックとの周期比を切換えられることができ、時間測定回路26の分解能力を切換えることができる。
【0098】
この構成により、通常は、低分解能で測定し、微妙な流量変化を測定したいときは高分解能で測定するといった応用が可能になる。また、電圧源で発生する電圧の種類を増加して細かい単位でオペアンプOPAに印加できるように構成することにより、サブクロックの周波数誤差を調整することも可能である。
【実施例3】
【0099】
本発明の実施例3に係るガスメータは、実施例1に係るガスメータにおいて、メインクロックの周波数とサブクロックの周波数を、時計用クロックを用いて補正することによりメインクロック及びサブクロックの精度を向上させるものである。
【0100】
実施例3に係るガスメータは、図8に示すように、実施例1に係るガスメータに時計クロック発生回路80及び周波数測定回路90が追加されて構成されている。
【0101】
時計クロック発生回路80は、時計クロックを発生する。計時クロックは、例えば、32.768kHzで発振する矩形波信号から構成されている。この時計クロック発生回路80で発生される時計クロックは、周波数測定回路90に送られるとともに、図示しない時計機構に送られる。
【0102】
周波数測定回路90は、切替スイッチ91と周波数測定カウンタ92とから構成されている。切替スイッチ91は、周波数測定カウンタ92に、メインクロック発生回路261からのメインクロックを送るかサブクロック発生回路263からのサブクロックを送るかを制御回路10からの指示に応じて切り替える。
【0103】
周波数測定カウンタ92は、時計クロック発生回路80からの時計クロックに応じて、メインクロック発生回路261又はサブクロック発生回路263から切替スイッチ91を介して送られてくるメインクロック又はサブクロックの数をカウントする。この周波数測定カウンタ92でカウントされたカウント値は、制御回路10に送られる。
【0104】
次に、このように構成される本発明の実施例3に係るガスメータにおける周波数測定の動作を説明する。ここで、メインクロックの周波数を6MHzとする。
【0105】
まず、切替スイッチ91が、制御回路10からの指示に応じて、メインクロック発生回路261と周波数測定カウンタ92とを接続するように切り替えられる。これにより、メインクロックが周波数測定カウンタ92に供給される。この状態において、時計クロック発生回路80からの時計クロックの立ち上がり変化が発生すると、周波数測定カウンタ92はカウント動作を開始し、入力されたメインクロックの数をカウントする。次に、時計クロックの立ち上がり変化が発生すると、周波数測定カウンタ92はカウント動作を停止する。周波数測定カウンタ92でカウントされたカウント値は、制御回路10によって読み出される。
【0106】
具体例を挙げて説明する。時計クロックの周波数は32.768kHzであるので、周波数測定カウンタ92におけるカウントの期間は、1/32768=約30.5μsecとなる。メインクロックの周波数が6MHzの場合は、約183カウントが、制御回路10によって読み出される。この場合、制御回路10はメインクロックの周期tを、約0.166μsecと計算できる。
【0107】
次に、切替スイッチ91が、制御回路10からの指示に応じて、サブクロック発生回路263と周波数測定カウンタ92とを接続するように切り替えられる。これにより、サブクロックが周波数測定カウンタ92に供給される。この状態において、時計クロック発生回路80からの時計クロックの立ち上がり変化が発生すると、周波数測定カウンタ92はカウント動作を開始し、入力されたサブクロックの数をカウントする。次に、時計クロックの立ち上がり変化が発生すると、周波数測定カウンタ92はカウント動作を停止する。周波数測定カウンタ92でカウントされたカウント値は、制御回路10によって読み出される。
【0108】
制御回路10は、メインカウンタ262でカウントしたカウント値に、周波数測定回路90で測定したメインクロックの周期を乗算するとともに、サブカウンタ264でカウントしたカウント値に、周波数測定回路90で測定したサブクロックの周期を乗算し、これら両乗算結果を加算して超音波の伝搬時間を算出する。
【0109】
以上説明したように、実施例3に係るガスメータによれば、メインクロック及びサブクロックの周波数を測定し、その測定結果に基づいて超音波の伝搬時間を算出するので、部品のバラツキや、経年変化によりメインクロック及びサブクロックの周波数が変化しても、制御回路10の計算上で、伝搬時間の測定値を補正することができる。
【0110】
なお、この実施例3に係るガスメータでは、実施例1に係るガスメータに周波数測定回路90を追加するように構成したが、実施例2に係るガスメータに周波数測定回路90を追加し、周波数測定回路90の測定結果に基づいて、周波数調整回路2631に供給する切替信号を決定するように構成することもできる。この構成によれば、何らかの原因でサブクロックの周波数が変化した場合に、自動的に元の周波数に戻すことができる。
【0111】
また、周波数測定カウンタ92は、時計クロックの1周期の間で発生されたメインクロック又はサブクロックをカウントするように構成したが、複数周期の間で発生されたメインクロック又はサブクロックをカウントするように構成することもできる。この構成によれば、測定精度を向上させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0112】
本発明は、ガスメータやガス検針システムに適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0113】
【図1】本発明の実施例1に係る超音波式のガスメータの構造を概略的に示す図である。
【図2】本発明の実施例1に係るガスメータの電気的な構成を示すブロック図である。
【図3】図2に示す時間測定回路の詳細な構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の実施例1に係るガスメータにおける時間測定の動作を説明するための波形図である。
【図5】図3に示す比較判定回路で行われる比較判定処理を示すフローチャートである。
【図6】図3に示す比較判定回路をロジック回路で構成した例を示す回路図である。
【図7】本発明の実施例2に係るガスメータの時間測定回路の構成を示す回路図である。
【図8】本発明の実施例3に係るガスメータで使用される周波数計測回路の構成を示すブロック図である。
【図9】従来のガスメータの要部の電気的な構成を示す機能的に示すブロック図である。
【図10】従来のガスメータの動作を説明するための波形図である。
【符号の説明】
【0114】
1 ガス流入口
3 ガス流路
5 ガス流出口
10 制御回路
20 計量回路
21 第1超音波センサ
22 第2超音波センサ
23 送信回路
25 受信回路
26 時間測定回路
261 メインクロック発生回路
262 メインカウンタ
263 サブクロック発生回路
264 サブカウンタ
265 比較判定回路
2631 周波数調整回路
2651〜2654 フリップフロップ
2655 オア回路
27a 第1切替スイッチ
27b 第2切替スイッチ
30 圧力センサ
40 感震器
50 遮断弁
60 表示部
70 通信回路
80 時計クロック発生回路
90 周波数測定回路
91 切替スイッチ
92 周波数計測カウンタ
OPA オペアンプ
DFF フリップフロップ
Q1、Q2 トランジスタ
R1〜R3 抵抗
C1 コンデンサ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスの流路に配置された一対の超音波センサで送受される超音波の伝搬時間に基づいてガスの流量を測定するガスメータにおいて、
一方の超音波センサから超音波が送信された時に、所定周波数のメインクロックの発生を開始するメインクロック発生回路と、
前記メインクロック発生回路におけるメインクロックの発生に応じて該メインクロックのカウントを開始し、他方の超音波センサで超音波が受信された時にメインクロックのカウントを停止するメインカウンタと、
前記他方の超音波センサで超音波が受信された時に、前記所定周波数より高く且つ2倍未満の周波数のサブクロックの発生を開始するサブクロック発生回路と、
前記メインクロック発生回路からのメインクロックと前記サブクロック発生回路からのサブクロックとを比較し、前記サブクロックと前記メインクロックが同時に変化し、又は、前記メインクロックの1周期の間に前記サブクロックの立ち上がり又は立ち下がり変化が2回発生した時にサブクロック停止信号を出力する比較判定回路と、
前記サブクロック発生回路におけるサブクロックの発生に応じて該サブクロックのカウントを開始し、前記比較判定回路からサブクロック停止信号を受け取った時にサブクロックのカウントを停止するサブカウンタと、
前記メインカウンタでカウントされたカウント値と前記サブカウンタでカウントされたカウント値とに基づいて前記超音波の伝搬時間を算出し、算出された伝搬時間に基づいてガスの流量を算出する制御回路と、
を備えたことを特徴とするガスメータ。
【請求項2】
前記サブクロック発生回路は、更に、
前記サブクロックの周波数を可変にするための周波数調整回路を備えたことを特徴とする請求項1記載のガスメータ。
【請求項3】
前記メインクロックの周期より長い周期を有する時計クロックを発生する時計クロック発生回路と、
前記時計クロック発生回路で発生された時計クロックの所定周期の間に、前記メインクロック発生回路で発生されるメインクロック及び前記サブクロック発生回路で発生されるサブクロックを選択的にカウントする周波数測定カウンタとを更に備え、
前記制御回路は、前記周波数測定カウンタでカウントされたメインクロックのカウント値及びサブクロックのカウント値に基づいて、前記メインカウンタでカウントされたメインクロックのカウント値及び前記サブカウンタでカウントされたサブクロックのカウント値で表される時間を補正した後に、前記超音波の伝搬時間を算出し、算出された伝搬時間に基づいてガスの流量を算出することを特徴とする請求項1記載のガスメータ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−3312(P2006−3312A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−182778(P2004−182778)
【出願日】平成16年6月21日(2004.6.21)
【出願人】(000220262)東京瓦斯株式会社 (1,166)
【出願人】(000000284)大阪瓦斯株式会社 (2,453)
【出願人】(000221834)東邦瓦斯株式会社 (440)
【出願人】(000116633)愛知時計電機株式会社 (126)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】