説明

ガス充填システム、ガス充填方法、車両

【課題】個々のガスタンクの特性について予め登録しておかなくとも、ガスタンクに適した充填速度で充填を行うことができるガス充填システムを課題とする。
【解決手段】本発明のガス充填システム1は、ガスタンク30と、ガスタンク30にガスを充填するガス充填装置2と、充填開始から所定時間(t秒)が経過するまでに変化したガスタンク30内の温度上昇量△T及び圧力上昇量△Pを算出する制御装置24と、を備える。制御装置24は、予め作成した充填速度マップ群から、算出した温度上昇量△T及び圧力上昇量△Pに基づいて充填速度マップ(Ma,Mb)を選択し、ガス充填装置2は、制御装置24が選択した充填速度マップを用いてガス充填を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば車両に搭載されるガスタンクに、例えば水素ステーションに設置されるガス充填装置からガスを充填するガス充填システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ガスタンクを搭載した車両は、ガス充填時にガスステーションに立ち寄って、ガス充填装置の充填ノズルからガスタンクにガスを充填される。水素ガスの場合、充填に伴ってガスタンク内で温度及び圧力が上昇するため、これらが基準値を超えないように充填量を調整する必要がある。この点に鑑み、特許文献1では、充填中に水素タンク内の温度を測定し、その温度が所定値よりも大きい場合に、プレクーラ付きの充填経路に切り替えることで、温度上昇を抑制し十分な充填量を確保しようとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−147005号公報
【特許文献2】特開2005−127430号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、充填中のガスタンクの温度上昇の度合いは、ガスタンクの放熱性によって大きく異なる。放熱性に優れたガスタンクであれば、充填速度(充填流量)を大きくすることも可能であり、そうすることで充填時間を短縮することもできる。しかし、特許文献1では、ガスタンクの放熱性及び充填時間について配慮されておらず、改善の余地があった。
また、特許文献2のように、ガスタンクの形状及び容量に応じた最大充填速度値をガスステーション側のデータベースに予め登録しておき、充填時にそれを読み出す方法では、ガスタンクが開発される度にデータベースを更新する必要があり、現実的に困難である。
【0005】
本発明は、個々のガスタンクの特性について予め把握しておかなくとも、ガスタンクに適した充填速度で充填を行うことができる、ガス充填システム及びガス充填方法並びに車両を提供することをその目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明のガス充填システムは、ガスタンクと、ガスタンクにガスを充填するガス充填装置と、充填開始から所定時間が経過するまでに変化したガスタンク内の温度上昇量及び圧力上昇量を算出し、予め作成した充填速度マップ群から、算出した温度上昇量及び圧力上昇量に基づいて充填速度マップを選択する制御装置と、を備える。ガス充填装置は、制御装置が選択した充填速度マップを用いてガス充填を行う運転制御部を有する。
【0007】
また、本発明のガス充填方法は、ガス充填装置からガスタンクにガスを充填するガス充填方法において、ガス充填装置によるガス充填を開始するステップと、充填開始から所定時間が経過するまでに変化したガスタンク内の温度上昇量及び圧力上昇量を算出するステップと、予め作成した充填速度マップ群から、算出した温度上昇量及び圧力上昇量に基づいて充填速度マップを選択するステップと、選択した充填速度マップを用いて、ガス充填装置によるガス充填を行うステップと、を備えたものである。
【0008】
本発明によれば、温度上昇量及び圧力上昇量からガスタンクの放熱性を把握でき、この把握した放熱性に基づいて充填速度マップを選択しているので、ガスタンクに適した充填速度でガス充填を行うことができる。これにより、ガスタンク内を安定した状態に保ちながら、所定の充填量(満充填の場合の充填量と、指定量充填の場合の充填量)をできるだけ短時間で充填することができる。また、温度上昇量及び圧力上昇量の算出からガスタンクの放熱性を把握するので、個々のガスタンクの放熱性について予め登録しておいたり、ガスタンク毎に充填速度マップ群を更新したりしなくて済む。加えて、算出するものが温度上昇量及び圧力上昇量の両方であるため、ガスタンクの容積の大きさに関わらず、放熱性を把握することができる。
【0009】
好ましくは、運転制御部は、充填開始から所定時間が経過するまでは、一定の充填速度でガス充填を行うとよい。こうすることで、充填速度マップ群を簡素化することができる。この場合、一定の充填速度は、充填速度マップで規定される充填速度よりも小さいことがより好ましい。こうすることで、ガスタンクの放熱性を把握する過程において、ガスタンク内の状態が基準値を超えることを確実性良く抑制できる。
【0010】
好ましくは、制御装置は、算出した圧力上昇量に対する温度上昇量の比に基づいて、充填速度マップを選択するとよい。こうすることで、例えば圧力上昇量及び温度上昇量を所定の範囲ごとに規定する充填速度マップに比べて、充填速度マップを簡素化することができる。
【0011】
より好ましくは、充填速度マップ群は、前記比が小さいほど充填速度が大きくなるように、個々の充填速度マップを構成しているとよい。これにより、例えば温度上昇量が小さい場合には、それが大きい場合よりも短時間で所定の充填量を充填することができる。
【0012】
好ましくは、ガス充填装置は、ガス供給源と、このガス供給源とガスタンクとの間に設けられてガス供給源からのガスを冷却する冷却装置と、を有するとよい。そして、制御装置は、冷却装置により冷却されたガスの温度にも基づいて、充填速度マップを選択するとよい。このような構成によれば、冷却装置の冷却能力を加味した充填が可能となる。
【0013】
同様に、ガス充填システムは、外気温センサを更に備えるとよく、制御装置は、外気温センサが検出した外気温にも基づいて、充填速度マップを選択するとよい。
【0014】
好ましくは、ガス充填システムは、制御装置が選択した充填速度マップを用いてガスタンクへの充填が行われている旨又は行われた旨を表示する表示装置を更に備えるとよい。この構成によれば、充填作業者が、ガスタンクの放熱性に適した充填がなされていること又はなされたことを視覚を通じて確認することができる。
【0015】
好ましくは、ガスタンクは、車両に搭載され、且つ、制御装置は、ガス充填装置に設けられており、ガス充填システムは、車両側で取得されるガスタンク内の温度及び圧力の情報を通信によりガス充填装置側の制御装置に伝える通信手段を更に備えるとよい。この構成によれば、車両とガス充填装置とを通信させることができるため、車両側で取得される上記情報をガス充填装置側に手動で入力しなくて済む。また、車両側で取得される情報を受け取った後は、ガス充填装置側の主導でガス充填を行うことができる。
【0016】
より好ましくは、ガス充填システムは、通信手段による通信履歴を記憶する記憶装置を更に備えるとよい。この構成によれば、例えば車両の点検時に通信履歴を確認することで、ガスタンクの放熱性に適した充填速度マップにて充填されていたか否かを確認することができる。
【0017】
本発明の車両は、上記のガス充填システムに用いられるものであり、ガスタンク内の温度及び圧力の情報を取得する温度センサ及び圧力センサと、通信手段の一部として、温度センサ及び圧力センサで取得した情報をガス充填装置側の通信機に送信する通信機と、を備えるものである。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】実施形態に係るガス充填システムの概略図である。
【図2】実施形態に係るガス充填システムの構成図である。
【図3】実施形態に係るガス充填システムの充填フローを示すフローチャートである。
【図4】実施形態の第1の変形例に係るガス充填システムの充填フローを示すフローチャートである。
【図5】第1の変形例に係る充填フローに用いる充填速度マップ群の一例を示す図である。
【図6】第1の変形例に係る充填フローに用いる充填速度マップの一例を示す図である。
【図7】実施形態に係るガス充填装置の制御装置の機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。ここでは、ガス充填システム及びガス充填方法として、燃料電池システムを搭載した燃料電池車両に対して、水素ガスをガス充填装置から充填する例を説明する。なお、燃料電池システムは、公知のとおり、燃料ガス(例えば水素ガス)と酸化ガス(例えば空気)の電気化学反応によって発電する燃料電池などを備える。
【0020】
図1に示すように、ガス充填システム1は、例えば水素ステーションなどに設置されるガス充填装置2と、ガス充填装置2から水素ガスを供給される車両3と、を備える。
【0021】
図2に示すように、ガス充填装置2は、水素ガスを貯蔵するカードル(ガス供給源)11と、水素ガスを車載のガスタンク30に向けて放出する充填ノズル12と、これらを結ぶガス流路13と、を有する。充填ノズル12は、充填カップリングとも称される部品であり、水素ガスの充填に際して、車両3のレセプタクル32に接続される。充填ノズル12とレセプタクル32によって、ガス充填装置2とガスタンク32とを接続する接続ユニットが構成される。
【0022】
ガス流路13には、カードル11側から順に、カードル11からの水素ガスを圧縮して吐出する圧縮機14と、圧縮機14によって所定圧力まで昇圧された水素ガスを蓄えておく蓄圧器15と、蓄圧器15からの水素ガスの流量を調整する流量制御弁16と、水素ガスの流量を計測する流量計17と、ガス流路13を流れる水素ガスを予備冷却するプレクーラ18と、プレクーラ18の下流側にて水素ガスの温度を検出する温度センサ19と、が設けられる。また、ガス充填装置2は、通信機21、表示装置22、外気温センサ23及び制御装置24を備え、制御装置24に各種の機器が電気的に接続される。なお、図示省略したが、蓄圧器13又はその下流側には、充填時にガス流路13を開く遮断弁が設けられる。
【0023】
流量制御弁16は、電気的に駆動される弁であり、駆動源として例えばステップモータを備える。流量制御弁16は、制御装置24からの指令に従って、ステップモータにより弁開度が変更されることで、水素ガスの流量を調整する。これにより、ガスタンク30への水素ガスの充填流量が制御される。この制御された充填流量が流量計17によって計測され、その計測結果を受けて所望の充填流量となるように、制御装置24は、流量制御弁16をフィードバック制御する。なお、流量制御弁16以外の流量制御装置を用いることも可能である。
【0024】
プレクーラ18は、熱交換により、蓄圧器15からの室温程度である水素ガスを所定の低温(例えば−20℃)に冷却する。プレクーラ18による熱交換の形式としては、隔壁式、中間媒体式及び蓄熱式のいずれも用いることができ、構造としては公知のものを適用することができる。一例を挙げると、プレクーラ18は、水素ガスが流れる管路部を有し、この管路部を冷媒が流れる容器に収容することで、水素ガスと冷媒との間で熱交換を行う。この場合、容器への冷媒の供給量及び供給温度を調整することで、水素ガスの冷却温度を調整するようにしてもよい。このようにして、プレクーラ18により冷却された水素ガス温度は温度センサ19にて検出され、その検出信号が制御装置24に入力される。
【0025】
通信機21は、例えば、赤外線通信等の無線通信を行う通信インターフェースを有する。表示装置22は、充填中における充填流量の情報など、各種情報を画面に表示する。表示装置22は、所望の充填量などを選択又は指定するための操作パネルを表示画面に具備するものであってもよい。
【0026】
制御装置24は、内部にCPU,ROM,RAMを備えたマイクロコンピュータとして構成される。CPUは、制御プログラムに従って所望の演算を実行して、種々の処理や制御を行う。ROMは、CPUで処理する制御プログラムや制御データを記憶し、RAMは、主として制御処理のための各種作業領域として使用される。制御装置24は、図2において一点鎖線で示した制御線にて接続されている通信機21等のほか、カードル11、圧縮機14、蓄圧器15及びプレクーラ18とも電気的に接続されており、ガス充填装置2全体を統括制御する。また、制御装置24は、ガス充填装置2にて把握可能な情報を通信機21を用いて、車両3に送信する。
【0027】
図7に示すように、制御装置24は、充填速度の制御を実現するための機能ブロックとして、記憶部61、演算部62、マップ選択部63及び運転制御部64を備える。記憶部61は、上記のROMやRAMなどからなり、例えば、後述する充填速度マップ群(複数の充填速度マップ)を予め記憶する。演算部62は、充填速度の制御に必要な各種の演算を行うものであり、例えば、ガスタンク30内の水素ガスの温度及び圧力の各上昇量を算出する。マップ選択部63は、後述のように、演算部62による算出結果に基づいて充填速度マップを選択する。運転制御部64は、マップ選択部63により選択された充填速度マップを記憶部61から読み出し、その読み出した充填速度マップに基づいて各種機器に制御指令を送信し、水素ガス充填を行うように各種機器を制御する。
【0028】
車両3は、上記したガスタンク30及びレセプタクル32を備える。ガスタンク30は、燃料電池への燃料ガス供給源であり、例えば35MPa又は70MPaの水素ガスを貯留可能な高圧タンクである。ガスタンク30を複数搭載する場合には、ガスタンク30は燃料電池に対して並列に接続される。ガスタンク30内の水素ガスは、図示省略した供給管路を介して燃料電池に供給される。一方、ガスタンク30への水素ガスの補給は、ガス充填装置2からレセプタクル32及び充填管路34を介して行われる。充填管路34には、例えば、水素ガスの逆流を防止するための逆止弁36が設けられる。温度センサ40及び圧力センサ42は、ガスタンク30内の水素ガスの温度及び圧力をそれぞれ検出するものであり、供給管路又は充填管路34に設けることができる。
【0029】
また、車両3は、ガス充填装置2の通信機21との間で各種情報を送受信する通信機44と、ガス充填装置2の制御装置24と同様にマイクロコンピュータとして構成された制御装置46と、各種情報を画面に表示する表示装置48と、を備える。通信機44は、通信機21に対応した形式のものであり、例えば、赤外線通信等の無線通信を行う通信インターフェースを有する。通信器44は、充填ノズル12をレセプタクル32に接続した状態で通信機21との間で通信できるように、レセプタクル32に組み込まれるか、あるいは車両3のリッドボックス内に固定される。制御装置46は、温度センサ40及び圧力センサ42を含む各種のセンサの検出結果を受けて、車両3を統括制御する。また、制御装置46は、車両3にて把握可能な情報を通信機44を用いて、ガス充填装置2に送信する。表示装置48は、例えばカーナビゲーションシステムの一部としても用いることが可能なものである。
【0030】
上記のガス充填システム1において、車両3に水素ガスを充填する場合、先ず、充填ノズル12をレセプタクル32に接続する。この状態にて、ガス充填装置2を作動させる。すると、蓄圧器15に貯められていた水素ガスが、プレクーラ18によって冷却された後、充填ノズル12からガスタンク30へ放出されて充填される。
本実施形態のガス充填システム1及びガス充填方法では、充填の初期段階でガス充填装置2が車両3側からの情報をもとにガスタンク30の放熱性を判断することで、ガスタンク30に適した充填速度の制御を行っている。
【0031】
次に、図3のフローチャートを参照して、ガス充填システム1における充填速度の制御(ガス充填方法)について説明する。
【0032】
先ず、充填作業者によって、上記の充填ノズル12とレセプタクル32の接続作業がなされ、ガス充填装置2からガスタンク30への水素ガスの放出を許可する充填開始操作がなされると、予備充填が開始される(ステップS1)。これにより、プレクーラ18によって冷却された水素ガスがガスタンク30へと放出される。水素ガスがガスタンク30に流入すると、それに伴ってガスタンク30内の水素ガスの温度及び圧力(以下、「タンク温度」及び「タンク圧力」という。)が上昇していく。
【0033】
ステップS1による予備充填は、所定のt秒間、一定の充填速度で行われる(ステップS2)。所定のt秒の長さは、充填に起因して起きるタンク温度及びタンク圧力の変化からガスタンク30の放熱性を把握できる長さであればよい。このため、例えば60秒であれば十分と言え得るが、これでは充填時間の総時間が長くなるおそれがある。一方、1〜2秒では短すぎて、タンク温度及びタンク圧力の変化を十分に検出できない可能性がある。このような点を踏まえると、所定のt秒の長さは、充填時間の総時間並びにタンク温度及びタンク圧力の変化を検出可能な時間のバランスを考慮して決めることが好ましく、好ましい一例を挙げると、30秒である。また、予備充填における一定の充填速度としては、本充填(ステップS7)を行う場合の充填速度よりも遅いことが好ましい。なお、充填速度の単位は、g/min又はMpa/minを用いて表されることが一般的であるが、本実施形態の説明ではMpa/minを用いることにする。
【0034】
次のステップS3では、所定のt秒間に変化したタンク温度上昇量△T及びタンク圧力上昇量△Pが算出される。この算出は、車両3側で取得したタンク温度及びタンク圧力の情報をもとに、ガス充填装置2側の制御装置24の演算部62で行われる。
【0035】
詳述すると、車両3側の制御装置46には、温度センサ40及び圧力センサ42によって予備充填開始直後に読み込まれたタンク温度及びタンク圧力(以下、それぞれ「タンク初期温度」及び「タンク初期圧力」という場合がある。)の検出信号が入力される。また、制御装置46には、予備充填開始から所定のt秒後に読み込まれたタンク圧力及びタンク温度の検出信号が入力される。制御装置46は、通信機44を利用して、この二つのタイミングにおけるタンク圧力及びタンク温度の検出値をガス充填装置2の通信機21に伝える。この通信結果を受けて、ガス充填装置2の制御装置24は、タンク温度上昇量△T及びタンク圧力上昇量△Pを算出する。タンク温度上昇量△Tとしては、所定のt秒後のタンク温度からタンク初期温度を減算した値を用いればよいが、所定のt秒後のタンク温度をタンク初期温度で除算した値(すなわちタンク温度上昇率)を用いてもよい。この点、タンク圧力上昇量△Pも同様である。
【0036】
次のステップS4では、タンク圧力上昇量△Pに対するタンク温度上昇量△Tの比(以下、「上昇比△T/△P」という。)が閾値X以上であるか否かが判断される。この判断は、ガス充填装置2側の制御装置24のマップ選択部63で行われる。
【0037】
詳述すると、上昇比△T/△Pの大きさからガスタンク30の放熱性を把握することができる。ガスタンクは、その材料、表面積及び構造等によって、放熱性又は温度上昇率が異なる。例えば、ガスタンク30のライナーとしてアルミニウムを用いた場合には、樹脂(ポリエチレンなど)を用いた場合よりも、放熱性は優れたものとなる。また、樹脂ライナーにおける樹脂の特性や配合割合によっても、放熱性は異なるものとなる。このように、放熱性は、現在又は将来のガスタンク30において必ずしも同じというわけではない。そこで、本実施形態では、上昇比△T/△Pについて、予めシミュレーションや評価結果により得た閾値Xと比べることで、ガスタンク30の放熱性を判断している(ステップS4)。
【0038】
その結果、上昇比△T/△Pが閾値X以上である場合には、ガスタンク30の放熱性が比較的低いと判断し、制御装置24のマップ選択部63は、充填速度マップMaを選択する(ステップS4:Yes,ステップS5)。一方、そうでない場合には、ガスタンク30の放熱性が比較的高いと判断し、制御装置24のマップ選択部63は、充填速度マップMbを選択する(ステップS4:No,ステップS6)。
【0039】
充填速度マップMa、Mbは、充填速度マップ群の一部として予め制御装置24の記憶部61に記憶されている。制御装置24のマップ選択部63は、この充填速度マップ群から、上昇比△T/△Pに基づいて、充填速度マップMa、Mbのいずれかを選択する(ステップS5又はS6)。そして、制御装置24の運転制御部64は、その選択した充填速度マップを用いて、ガス充填装置2による水素ガスの本充填を開始する(ステップS7)。
【0040】
ここで、充填速度マップ群は、上昇比△T/△Pが小さいほど(つまり、ガスタンク30の放熱性が高いと判断されるほど。)、大きい充填速度での充填が行われるように個々の充填速度マップMa,Mbを構成している。充填速度マップ群の一例を示すと、例えば以下の表1に示すとおりである。充填速度マップ群における各充填速度マップは、後述する好ましい一例の充填速度マップMaのように(図6)、例えばタンク初期圧力及びタンク初期温度等の少なくとも一つの条件ごとに複数の充填速度を規定するものとして構成される。表1において充填速度マップMa,Mbのそれぞれについて示す一つの充填速度α、βは、このような条件が同じ場合の充填速度の一例である。

【0041】
充填速度α、βは、ガスタンク30内のタンク圧力及びタンク温度が基準値(例えば85℃)を超えることなく高速充填できる最適な充填速度を意味する。つまり、充填速度αであれば、比較的放熱性が低いガスタンク30内を安定した状態に保ちつつ、所定の充填量(満充填の場合の充填量と、指定量充填の場合の充填量)をできるだけ短時間で充填することができる。一方、充填速度βであれば、比較的放熱性が高いガスタンク30内を安定した状態に保ちつつ、さらに短時間で所定の充填量を充填することができる。具体例を一つ挙げると、ガスタンク30が、樹脂ライナー製の場合には充填速度マップMaを用いて充填速度αで充填され、アルミライナー製の場合には充填速度マップMbを用いて充填速度βで充填される。その結果、放熱性が優れるアルミライナー製のガスタンク30に対しては、より短時間での充填が可能となる。
【0042】
ステップS7による本充填の開始後は、充填速度マップに規定する充填速度となるようにガス充填装置2を制御する。具体的には、制御装置24の運転制御部64は、流量計17の計測結果を見ながら、決定した充填速度となるように流量制御弁16の開度を制御する。
【0043】
また、本充填中は、ガス充填装置2の表示装置22及び車両3の表示装置48の少なくとも一つに、ステップS5又はステップS6で選択した充填速度マップを用いて充填されている旨が表示される。すなわち、充填作業者は、ガス充填システム1における表示装置22,48の少なくとも一つの表示により、ガスタンク30の放熱性を含む諸条件に基づいて充填速度マップが選択された上で制御されている旨を確認することができる。その後、所定の充填量がガスタンク30に充填されると、ガス充填装置2からの水素ガスの供給が停止し、充填が終了する。なお、充填終了後にも又は充填終了後にのみ、表示装置22,48の少なくとも一つに、上記同様の表示を出すようにしてもよい。
【0044】
充填終了後は、ガス充填システム1における制御装置24、46の少なくとも一つの記憶部(例えば、上記の記憶部61や、上記のRAM。)が、通信手段としての通信機44−通信機21の通信履歴を一時的に記憶するとよい。この通信履歴としては、例えば、予備充填の際に通信機21から通信機44へと上記二つのタイミングにおけるタンク温度及びタンク圧力を送信したことの履歴が含まれるとよい。このような通信履歴はガス充填装置2及び車両3の両方に記憶させることもできるが、特に車両3に記憶させることが好ましい。車検などの際に、図3に示すフローにて充填が行われたか否かを簡単に確認することができるからである。
【0045】
以上説明した本実施形態によれば、車載のガスタンク30の放熱性をガス充填装置2で判断し、それに適した充填マップMa又はMbを用いてガスタンク30への充填制御を行うことができる。このため、ガスタンク30の放熱性に適した充填速度で充填でき、充填時間を短縮することができる。
【0046】
また、ガスタンク30の放熱性を判断するのに、本実施形態とは異なり、温度上昇量△Tのみを算出する方法を用いたのでは、タンク容積の大きさによってタンク温度の上がり方が変わってしまう。この点、圧力上昇量△Pのみを算出する方法を用いた場合も同様に、タンク容積の大きさによってタンク圧力の上がり方が変わってしまう。このため、放熱性を適切に把握することができない。これに対し、本実施形態によれば、温度上昇量△T及び圧力上昇量△Pの両方を算出する方法を用いているため、ガスタンク30の容積の大きさの影響を受けることなく、放熱性を適切に把握することができる。
【0047】
さらに、ガスタンク30の放熱性が算出により把握可能であるため、水素ステーションにおけるガス充填装置2にて、個々のガスタンク30の放熱性を予め登録しておく必要がない。加えて、充填速度マップ群のソフトウエアを新車ごとに更新しなくても済む。
【0048】
また、ガスタンク30の放熱性を把握する過程において(ステップS1〜3)、一定の充填速度としているので、充填速度マップ群を簡素化することができる。しかも、この一定の充填速度として、充填速度マップMa,Mbで規定される充填速度より小さいものを用いれば、放熱性を把握する過程においても、ガスタンク30内の状態を安定に保つことができる。さらに、放熱性の判断において(ステップS4)、上昇比△T/△Pを用いているので、温度上昇量△T及び圧力上昇量△Pを所定の範囲ごとに個々に規定する充填速度マップを用いずに済むため、個々の充填速度マップを簡素化することができる。
【0049】
なお、上記の説明では、充填速度マップ群に含まれる充填速度マップMa,Mbとして二つを示したが、もちろんこれに限るものではない。上昇比△T/△Pと比較する閾値の数などを増やした場合には、充填速度マップの数は三つ以上となる。例えば、閾値を二つにした場合には、以下の表2に示す充填速度マップ群を用いることができる。この場合には、図3のステップS4は、上昇比△T/△Pについて閾値X及びYの両方と比較することになる。その比較結果に基づき、三つの充填速度マップMa,Mb,Mcのいずれかが選択し(ステップS5及びS6と同様)、選択した充填速度マップに規定する充填速度にてガス充填を行うことになる。

【0050】
<変形例>
次に、本実施形態のいくつかの変形例について説明する。なお、各変形例は単独でも本実施形態に適用することができるが、他の変形例と組み合わせて適用することができる。
【0051】
<第1の変形例>
図4に示すように、図3に示すステップS4〜S6に代えて、ステップS14及びS15を用いることができる。なお、図4に示すステップS11〜S13及びS16は、図3に示すステップS1〜S3及びS7と同じであるので、説明を省略する。
【0052】
ステップS14では、上昇比△T/△P及びタンク初期圧力に基づいて、充填速度マップ群から充填速度マップを選択する。この場合に用いる充填速度マップ群の一例を図5に示すように、充填速度マップ群MMは、縦軸をタンク初期圧力、横軸を上昇比△T/△Pとして、複数の充填速度マップを規定する。ここでは、タンク初期圧力及び上昇比△T/△Pをそれぞれ3つの範囲ごとに設定することで、全部で9つの充填速度マップMa〜Miを規定している。ただし、もちろんこれらについて適宜設計変更することができる。ステップS14においては、例えば上昇比△T/△Pが閾値Aよりも小さく且つタンク初期圧力が10MPaである場合、充填速度マップMaが選択される。
【0053】
なお、上述の実施形態と同様に、充填速度マップ群MMは制御装置24の記憶部61に予め記憶されており、制御装置24のマップ選択部63にて充填速度マップMaが選択される。また、充填速度マップ群MMは、上昇比△T/△Pが小さいほど、大きい充填速度での充填が行われるように個々の充填速度マップMa〜Miを構成している。したがって、例えば充填速度マップMbでは、充填速度マップMaよりも充填速度が小さいが、充填速度マップMcよりも充填速度が大きいものが規定される。
【0054】
ステップS15では、制御装置24によって、タンク初期温度及びタンク初期圧力をもとに充填速度マップから充填速度が決定される。これは、制御装置24の運転制御部64によって行うことができる。上記の充填速度マップMaで一例を示すと、図6に示す充填速度マップMaは、縦軸をタンク初期圧力、横軸をタンク初期温度として複数の充填速度を規定する。また、充填速度マップMaは、複数のプレクーラ温度(例えばT1,T2,T3であり、T1<T2<T3の関係があるとする。)ごとに設けられる。プレクーラ温度は、プレクーラ18での水素ガスの温度であり、温度センサ19によって検出される。プレクーラ温度の検出信号を直接入力される制御装置24は、予備充填開始直後又は予備充填開始から所定のt秒後のプレクーラ温度を把握することになる。ステップS15においては、例えば、検出されたプレクーラ温度がT1、タンク初期圧力が40MPa、タンク初期温度が0℃である場合、充填速度がD4[Mpa/min]に決定される。その後、この決定した充填速度にて本充填が開始される(ステップS16)。
【0055】
ここで、充填速度マップMaにおける充填速度値の大小関係について、二つ説明する。
第1に、タンク初期圧力及びタンク初期温度が同じ条件であれば、プレクーラ温度が高いほど充填速度の値が小さくなる。例えば、タンク初期圧力が40MPa、タンク初期温度が0℃である場合、プレクーラ温度T2での充填速度は、プレクーラ温度T1での充填速度D4よりも小さい。
【0056】
第2に、プレクーラ温度が同じ条件であれば、タンク初期圧力が大きいほど又はタンク初期温度が小さいほど、充填速度を大きくすることが可能である。例えば、プレクーラ温度T1においては、充填速度マップMaにおける充填速度A1〜H8のうち、充填速度H1(タンク圧力80MPa,タンク温度−30℃)が最も大きく、充填速度A8(タンク圧力10MPa,タンク温度40℃)が最も小さくなる。
【0057】
なお、充填速度マップMaでは、タンク圧力を10Mpaごとに、タンク温度を10℃ごとに設定したが、もちろんこれらの幅は任意に設定することができる。プレクーラ温度についても、例えば2〜3℃、5℃又は10℃ごとに任意に設定することができる。
また、充填速度マップMb〜Miは、充填速度マップMaと同様の構成であるが、充填速度が互いに異なる。充填速度マップMa〜Miにおける各充填速度は、上記同様に、タンク初期圧力、タンク初期温度及びプレクーラ温度の各条件下において、ガスタンク30内のタンク圧力及びタンク温度が基準値を超えることなく高速充填できる充填速度を意味する。
【0058】
以上説明した第1の変形例によれば、上記実施形態と同様の作用効果を奏することに加えて、以下の作用効果を奏する。すなわち、充填速度マップMa〜Miのいずれかを選択する際に上昇比△T/△Pのみならずタンク初期圧力も加味しているので(ステップS14)、より一層ガスタンク30の特性に適した充填速度マップを選択することができる。また、選択した充填速度マップから充填速度を決定する際にプレクーラ温度を加味しているので、プレクーラ18の冷却能力に応じた最適な充填を行うことができる。
【0059】
なお、本変形例の別の実施例においては、各充填速度マップMa〜Miを複数のプレクーラ温度ごとに設定しないようにすることもできる。あるいはプレクーラ温度に代えて外気温を用いることで、各充填速度マップMa〜Miを複数の外気温ごとに設定することもできる。この外気温については、外気温センサ23によって検出することができる。
【0060】
<第2の変形例>
ガス充填システム1において、タンク温度上昇量△T及びタンク圧力上昇量△Pを算出するステップ(図3のステップS3、図4のステップS13)と、その後に充填速度マップを選択するステップ(図3のステップS4〜S6、図4のステップS14及びS15)とを別々の制御装置で行うこともできる。例えば、前者の算出ステップを車両3側の制御装置46で実行し、その算出結果を通信によりガス充填装置2に伝えて制御装置24にて後者の選択ステップを実行することもできる。この場合には、上記した演算部62に相当する演算部が制御装置46にある。
【0061】
またこれとは異なり、ガス充填システム1において、算出ステップ及び選択ステップ(図3のステップS3〜S6、図4のS13〜15)を車両3側の制御装置46で実行することも可能である。この場合には、車両3側で選択した充填速度マップを通信によりガス充填装置2に伝え、ガス充填装置2の制御装置24が、車両3側から伝えられた充填速度マップを用いてガス充填を行うことになる。この場合には、少なくとも、上記した演算部62及びマップ選択部63に相当する演算部及びマップ選択部が制御装置46にあり、制御装置24の運転制御部64が、制御装置46のマップ選択部で選択した充填速度マップに基づいて水素ガス充填を行う。
【0062】
要するに、ガス充填システム1には、上記の記憶部61、演算部62及びマップ選択部63を有する制御装置が具備されていればよく、この制御装置がガス充填装置2の制御装置24で構成されてもよいし(上記実施形態)、ガス充填装置2の制御装置24及び車両3側の制御装置46から構成されてもよい(第2の変形例)。
【0063】
<第3の変形例>
第3の変形例では、プレクーラ温度を検出する温度センサ19の位置を変更してもよい。温度センサ19は、プレクーラ18とガスタンク30の上流側との間の水素ガス温度を検出できればよいので、車両3側のレセプタクル32又は充填管路34に設けられてもよく、ガス充填装置2からガスタンク3に向けて放出された後の水素ガス温度を検出してもよい。また別の態様では、温度センサ19は、充填ノズル12に設けられてもよい、充填ノズル12での水素ガス温度を検出してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明のガス充填システム及びガス充填方法は、水素ガスのみならず、充填時に温度上昇が起きるガスに適用することができる。また、車両に限らず、航空機、船舶、ロボットなど、外部からのガスの充填先としてガスタンクを搭載した移動体に適用することができる。
【符号の説明】
【0065】
1:ガス充填システム、2:ガス充填装置、3:車両、11:ガス供給源、18:プレクーラ(冷却装置)、19:温度センサ、21:通信機(通信手段)、22:表示装置、23:外気温センサ、24:制御装置、30:ガスタンク、40:温度センサ、42:圧力センサ、46:制御装置、48:表示装置、64:運転制御部、△T:温度上昇量、△P:圧力上昇量、△T/△P:上昇比、MM:充填速度マップ群、Ma〜Mi:充填速度マップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスタンクと、当該ガスタンクにガスを充填するガス充填装置と、を備えたガス充填システムにおいて、
充填開始から所定時間が経過するまでに変化した前記ガスタンク内の温度上昇量及び圧力上昇量を算出し、予め作成した充填速度マップ群から、算出した温度上昇量及び圧力上昇量に基づいて充填速度マップを選択する制御装置を、更に備え、
前記ガス充填装置は、前記制御装置が選択した充填速度マップを用いてガス充填を行う運転制御部を有する、ガス充填システム。
【請求項2】
前記運転制御部は、前記充填開始から前記所定時間が経過するまでは、一定の充填速度でガス充填を行う、請求項1に記載のガス充填システム。
【請求項3】
前記制御装置は、算出した圧力上昇量に対する温度上昇量の比に基づいて、前記充填速度マップを選択する、請求項1又は2に記載のガス充填システム。
【請求項4】
前記充填速度マップ群は、前記比が小さいほど充填速度が大きくなるように、個々の充填速度マップを構成している、請求項3に記載のガス充填システム。
【請求項5】
前記ガス充填装置は、
ガス供給源と、
前記ガス供給源と前記ガスタンクとの間に設けられ、当該ガス供給源からのガスを冷却する冷却装置と、を有しており、
前記制御装置は、前記冷却装置により冷却されたガスの温度にも基づいて、前記充填速度マップを選択する、請求項1ないし4のいずれか一項に記載のガス充填システム。
【請求項6】
外気温センサを更に備え、
前記制御装置は、前記外気温センサが検出した外気温にも基づいて、前記充填速度マップを選択する、請求項1ないし5のいずれか一項に記載のガス充填システム。
【請求項7】
前記制御装置が選択した充填速度マップを用いて前記ガスタンクへの充填が行われている旨又は行われた旨を表示する表示装置を、更に備えた、請求項1ないし6のいずれか一項に記載のガス充填システム。
【請求項8】
前記ガスタンクは、車両に搭載され、且つ、前記制御装置は、前記ガス充填装置に設けられており、
当該ガス充填システムは、前記車両側で取得される前記ガスタンク内の温度及び圧力の情報を通信により前記ガス充填装置側の前記制御装置に伝える通信手段を、更に備えた、請求項1ないし7のいずれか一項に記載のガス充填システム。
【請求項9】
前記通信手段による通信履歴を記憶する記憶装置を、更に備えた、請求項8に記載のガス充填システム。
【請求項10】
請求項8又は9に記載のガス充填システムに用いられる車両において、
前記ガスタンク内の温度及び圧力の情報を取得する温度センサ及び圧力センサと、
前記通信手段の一部としての通信機であって、前記温度センサ及び圧力センサで取得した情報を前記ガス充填装置側の通信機に送信する通信機と、を備えた、車両。
【請求項11】
ガス充填装置からガスタンクにガスを充填するガス充填方法において、
前記ガス充填装置によるガス充填を開始するステップと、
充填開始から所定時間が経過するまでに変化した前記ガスタンク内の温度上昇量及び圧力上昇量を算出するステップと、
予め作成した充填速度マップ群から、算出した温度上昇量及び圧力上昇量に基づいて充填速度マップを選択するステップと、
選択した充填速度マップを用いて、前記ガス充填装置によるガス充填を行うステップと、を備えた、ガス充填方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−106583(P2011−106583A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−262794(P2009−262794)
【出願日】平成21年11月18日(2009.11.18)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(000002967)ダイハツ工業株式会社 (2,560)
【Fターム(参考)】