説明

ガス充填システム

【課題】設備投資を低額に抑え、構成が簡単かつコンパクトで設置の自由度も高く、効率よくガスの充填を行うことのできるガス充填システムを提供する。
【解決手段】車輌に搭載された車載タンクに燃料ガスFを充填するためのガス充填システム1であって、燃料ガスを車載タンクへ充填するための充填ライン10、20と、冷凍機5からの冷媒Rが供給される冷却手段とを備え、冷却手段によって充填ラインを冷却するガス充填システム。冷却手段をガス充填装置内に設けることができる。冷却手段は、冷凍機からの冷媒で冷却される不凍液Nを収容したタンク2と、タンクの内部で不凍液を循環させるポンプ9とを備え、タンクの内部を充填ラインの一部が通過するように構成することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス充填システムに関し、特に、ガス燃料を用いて走行する車輌に搭載されている車載タンクにガスを充填するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年の環境問題に対応する車輌として、CNG、水素等のガス燃料を用いたCNG自動車、燃料電池自動車、水素自動車等の開発が活発に行われている。このようなガス燃料を用いて走行する車輌の普及を促進するには、車輌に搭載されている車載タンクに安定して効率よくガス燃料を充填する装置が必要となる。
【0003】
そこで、本出願人は、充填時間の長時間化やオーバラン量を可及的に抑え、ガス燃料を用いて走行する車輌の燃料タンクに高い精度で高圧ガスをプリセット充填することのできる高圧ガス充填装置を提案した(特許文献1参照)。
【0004】
この高圧ガス充填装置は、充填時間の長時間化等を抑えることができて有効であるが、燃料ガスが水素の場合には、高圧充填に伴って温度が発生し、車輌への充填効率が低下するという問題がある。
【0005】
そこで、従来、ガスを充填するための管路の内部を流れるガス燃料を冷却するシステムが存在する。このシステムは、図14に示すように、冷凍機75と、温度センサ72a及びポンプ72bとを備えた大型の第1の不凍液タンク72と、ガス充填装置74(74A〜74N)毎に設けられ、温度センサ73a及びポンプ73bとを備えた第2の不凍液タンク73と、第1の不凍液タンク72と第2の不凍液タンク73との間に配置されたポンプ79とで構成され、冷凍機75によって第1の不凍液タンク72を冷媒Rを介して冷却し、この第1の不凍液タンク72から配管77の内部を流れる不凍液Nによって、ガス充填装置74(74A〜74N)毎に設けた第2の不凍液タンク73を冷却し、さらに、第2の不凍液タンク73によってガス充填装置の管路78が冷却され、カードル76から供給された水素ガス等の燃料ガスFが冷却される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−337439号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上記従来のガス充填システム71においては、大型の第1の不凍液タンク72と、ガス充填装置74(74A〜74N)毎に設けた第2の不凍液タンク73とを設置しているため、設備投資にかかる費用が嵩むと共に、構成が複雑かつ大型であるため、ガス充填システム71の設置の自由度が損なわれるという問題があった。
【0008】
そこで、本発明は、上記従来のガス充填システムにおける問題点に鑑みてなされたものであって、設備投資を低額に抑えることができ、構成が簡単かつコンパクトで設置の自由度も高く、効率よくガスの充填を行うことのできるガス充填システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明は、車輌に搭載された車載タンクに燃料ガスを充填するためのガス充填システムであって、燃料ガスを車載タンクへ充填するための充填ラインと、冷凍機からの冷媒が供給される冷却手段とを備え、該冷却手段によって前記充填ラインを冷却することを特徴とする。
【0010】
そして、本発明によれば、冷凍機からの冷媒が供給される冷却手段によって充填ラインを冷却するため、従来のような大型の不凍液タンクが不要となり、設備投資を低額に抑えることができる。また、ガス充填システム全体の構成が簡単かつコンパクトになり、設置の自由度も高くなり、効率よくガスの充填を行うことができる。
【0011】
上記ガス充填システムにおいて、前記冷却手段をガス充填装置内に設けることができ、さらにコンパクトなシステムを実現することができる。
【0012】
上記ガス充填システムにおいて、前記冷却手段を、前記冷凍機からの冷媒で冷却される不凍液を収容したタンクと、該タンクの内部で前記不凍液を循環させるポンプとを備え、前記タンクの内部を前記充填ラインの一部が通過するように構成することができる。
【0013】
また、前記冷却手段を、前記冷凍機からの冷媒で冷却される不凍液を収容したタンクと、該タンクの内部に鉛直方向に延設された回転軸と、該回転軸に装着された回転羽根とを備え、前記回転軸を介して前記回転羽根を回転させることで、前記タンクの内部で前記不凍液を循環させ、前記タンクの内部を前記充填ラインの一部が通過するように構成することができる。
【0014】
さらに、前記冷却手段を、前記燃料ガスが流れる内管と、該内管を囲繞する外管とを備え、該外管と前記内管との間を、前記冷凍機からの冷媒で冷却される不凍液が流れるように構成することができる。
【発明の効果】
【0015】
以上のように、本発明によれば、設備投資を低額に抑え、構成が簡単かつコンパクトで設置の自由度も高く、効率よくガスの充填を行うことのできるガス充填システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明にかかるガス充填システムを説明するための概略図である。
【図2】本発明にかかるガス充填システムの第1の実施形態を示す全体構成図である。
【図3】図2のガス充填システムのガス充填装置のブロック図である。
【図4】図2のガス充填システムの動作を説明するためのフローチャートである。
【図5】図2のガス充填システムの動作を説明するためのフローチャートである。
【図6】図2のガス充填システムの動作を説明するためのフローチャートである。
【図7】本発明にかかるガス充填システムの第2の実施形態を示す全体構成図である。
【図8】図7のガス充填システムの不凍液タンクを示す概略斜視図である。
【図9】図7のガス充填システムの不凍液タンクの他の例を示す概略斜視図である。
【図10】本発明にかかるガス充填システムにおいて充填ラインを流れる燃料ガスを冷却する二重管を示す一部破断斜視図である。
【図11】図7のガス充填システムの動作を説明するためのフローチャートである。
【図12】図7のガス充填システムの動作を説明するためのフローチャートである。
【図13】図7のガス充填システムの動作を説明するためのフローチャートである。
【図14】従来のガス充填システムの一例を示す全体構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、本発明を実施するための形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0018】
図1は、本発明にかかるガス充填システムを説明するための概略図であって、このガス充填システム1は、トラック31に載積されたカードル7に充填された水素ガス等の燃料ガスFを、圧縮機32、蓄圧器33及びガス充填装置4(4A、4B)を介して冷却しながら車輌に搭載された車載タンク(不図示)に充填するために設けられる。尚、カードル7に充填された燃料ガスFは、蓄圧器33を介さずに、圧縮機32から直接ガス充填装置4(4A、4B)へ供給される場合もある。
【0019】
ガス充填システム1は、冷凍機5と、各々のガス充填装置4(4A、4B)毎に設けた不凍液タンク2とを備え、冷凍機5からの冷媒をバルブ6(6A、6B)を介して各々のガス充填装置4(4A、4B)の不凍液タンク2へ供給し、不凍液タンク2によって燃料ガスFを冷却しながら車載タンクに充填する。
【0020】
図2は、本発明にかかるガス充填システムの第1の実施形態を示し、このガス充填システム1は、冷凍機5と、各々のガス充填装置4(4A〜4N)毎に設けた不凍液タンク2と、カードル7に充填された燃料ガスF(F1、F2)を車輌に搭載された車載タンク(不図示)に供給するための2系統の充填ライン10、20を備え、充填ライン10、20を流れる燃料ガスF(F1、F2)が不凍液タンク2の内部の不凍液Nによって冷却される。冷凍機5からの冷媒Rは、バルブ6(6A〜6N)を介して各々のガス充填装置4(4A〜4N)の不凍液タンク2へ供給される。
【0021】
ガス充填装置4Aは、図3に示すように、スタートスイッチ(SW)35と、停止スイッチ(SW)36と、3つの温度センサ8、16、26と、4つの圧力センサ11、14、21、24と、2つの流量調節弁(以下、「調節弁」という)12、22と、バルブ6Aと、ポンプ9と、遮断弁15と、表示器38とを備え、これら全体を制御装置39で制御する。また、車載タンクへの燃料ガスF1の充填量を計数するため、充填パルス37が用いられる。
【0022】
図2に示すように、不凍液タンク2は、不凍液タンク2の内部の不凍液Nの温度を検知する温度センサ8と、不凍液タンク2の内部で不凍液Nを循環させるポンプ9とを備える。
【0023】
充填ライン10は、配管13の内部の圧力を検知する圧力センサ11と、配管13の内部を流れる燃料ガスF1の流量を調節する調節弁12と、不凍液タンク2の下流側の配管13’の内部の圧力を検知する圧力センサ14と、燃料ガスF1の流れを遮断する遮断弁15と、燃料ガスF1の流量を計測するメータ17と、メータ17を流れる燃料ガスF1の温度を検知する温度センサ16と、燃料ガスF1を車載タンク(不図示)に供給するノズル18とで構成される。尚、充填ライン10には高圧の燃料ガスF1が流れるため、特に不凍液タンク2の内部を通過する部分は、不凍液タンク2の内部での燃料ガスF1の漏れを考慮し、接続部が存在しないように構成することが好ましい。
【0024】
また、もう一方の充填ライン20も、充填ライン10と同様、配管23に、圧力センサ21と、調節弁22と、配管23’に、圧力センサ24と、遮断弁25と、メータ27と、温度センサ26と、ノズル28とを備える。
【0025】
次に、上記構成を有するガス充填システム1の動作について、図4〜図6を中心に参照しながら説明する。尚、以下の説明においては、ガス充填装置4Aの充填ライン10を介してカードル7に貯留されている燃料ガスF1を車載タンクに充填する場合を例にとって説明する。
【0026】
まず、非充填時(充填ライン10を介してカードル7に貯留されている燃料ガスF1を車載タンクに充填しない時)に、不凍液タンク2を−35℃に保持する動作について、図4を中心に参照しながら説明する。尚、同図のスタート直後の符号Aは、図5に示したフローに関連するものである。
【0027】
ステップS1において、温度センサ8によって検知された温度Tが−35℃より高いか否かを判断し、例えば、検知された温度Tが−34℃である場合には、−35℃より高いため(ステップS1;YES)、ステップS2において、冷凍機5及びポンプ9がオンであるか否かを判断し、冷凍機5及びポンプ9がオンである場合(ステップS2;YES)には、ステップS4でその状態を継続し、冷凍機5及びポンプ9がオフである場合(ステップS2;NO)には、ステップS3で冷凍機5及びポンプ9をオンし、バルブ6Aを開く。
【0028】
一方、ステップS1において、温度センサ8によって検知された温度Tが、例えば、−36℃である場合には、−35℃以下であるため(ステップS1;NO)、ステップS5において、冷凍機5及びポンプ9がオンであるか否かを判断し、冷凍機5及びポンプ9がオンである場合(ステップS5;YES)には、ステップS6で冷凍機5及びポンプ9をオフし、バルブ6Aを閉じる。一方、ステップS5において、冷凍機5及びポンプ9がオフである場合(ステップS5;NO)には、ステップS1に戻る。
【0029】
尚、上記動作では、冷凍機5の動作にポンプ9の駆動を同期させているが、冷凍機5の動作に関わらずポンプ9を連続運転してもよい。
【0030】
次に、充填時(充填ライン10を介してカードル7に貯留されている燃料ガスF1を車載タンクに充填している時)に、不凍液タンク2を−35℃に保持する動作について、図5を中心に参照しながら説明する。尚、同図の最下段の符号Aは、図4に示したフローの符号Aに繋がる。
【0031】
ステップS11において、ガス充填装置4Aのスタートスイッチ35がオンされると、ステップS12において、遮断弁15を開き、調節弁12を開き、ガス充填装置4Aの表示器38をリセットする。
【0032】
次に、冷凍機5の運転状況を確認するため、ステップS13において、冷凍機5及びポンプ9がオンであるか否かを判断し、冷凍機5及びポンプ9がオンである場合(ステップS13;YES)には、ステップS14でその状態を継続し、ステップS15で充填パルス37が発せられているか否かを判断し、充填パルス37が発せられている場合には、ステップS16で計数表示を行い、ステップS17で停止スイッチ36がオンとなるまでこの動作を繰り返す。
【0033】
一方、ステップS13において、冷凍機5及びポンプ9がオフである場合(ステップS13;NO)には、ステップS22で冷凍機5及びポンプ9をオンし、バルブ6Aを開き、ステップS14でその状態を継続し、ステップS15で充填パルス37をカウントし、ステップS16で計数表示を行い、ステップS17で停止スイッチ36がオンとなるまでこの動作を繰り返す。
【0034】
次に、ステップS17において、停止スイッチ36がオンとなった場合(ステップS17;YES)には、ステップS18で遮断弁15及び調節弁12を閉じる。
【0035】
次に、ステップS19において、温度センサ8によって検知された温度Tが−40℃より高いか否かを判断し、−40℃より高ければ(ステップS19;YES)、冷凍機5及びポンプ9のオン、並びにバルブ6Aの開状態を維持し、一方、温度センサ8によって検知された温度Tが−40℃以下であれば(ステップS19;NO)、ステップS21で冷凍機5及びポンプ9をオフし、バルブ6Aを閉じる。このステップS19〜S21の動作は、不凍液タンク2の内部が冷え過ぎるのを防止するためのものである。
【0036】
上記のように、充填ライン10を介してカードル7に貯留されている燃料ガスF1を車載タンクに充填している時に、不凍液タンク2を−35℃に保持することで、燃料ガスF1を冷却しながら車輌に搭載された車載タンクに充填することができる。
【0037】
次に、充填時(充填ライン10を介してカードル7に貯留されている燃料ガスF1を車載タンクに充填している時)における充填量の制御について、図6を参照しながら説明する。
【0038】
ステップS22において、温度センサ16及び圧力センサ11、14の測定値が所定の範囲にあるか否かを判断し、所定の範囲にあれば(ステップS22;YES)、調節弁12を作動させることなく、その状態を維持する。一方、温度センサ16及び圧力センサ11、14の測定値が所定の範囲になければ(ステップS22;NO)、ステップS23で調節弁12を作動させ、以後上記動作を繰り返す。
【0039】
尚、上記動作説明では、ガス充填装置4Aの充填ライン10を介してカードル7に貯留されている燃料ガスF1を車載タンクに充填する場合について説明したが、充填ライン20についても上記と同様の動作でカードル7に貯留されている燃料ガスF2を車載タンクに充填することができる。また、ガス充填装置4A以外のガス充填装置4(4B〜4N)についても、冷凍機5からの冷媒Rをバルブ6(6B〜6N)を介して各々のガス充填装置4(4B〜4N)の不凍液タンク2へ供給し、ガス充填装置4Aと同様に機能させることができる。
【0040】
次に、本発明にかかるガス充填システムの第2の実施形態について、図7〜図13を参照しながら説明する。
【0041】
このガス充填システム41は、冷凍機45と、各々のガス充填装置44(44A〜44N)毎に設けた不凍液タンク42とを備え、カードル7に充填された燃料ガスFを車輌に搭載された車載タンク(不図示)に供給するための充填ライン48の内部を流れる燃料ガスFが不凍液タンク42の内部の不凍液Nによって冷却される。冷凍機45からの冷媒Rは、バルブ46(46A〜46N)を介して各々のガス充填装置44(44A〜44N)へ供給される。
【0042】
ガス充填装置44Aは、ブロック図を省略するが、3つの温度センサ49、53、59と、2つの圧力センサ50、56と、調節弁51と、バルブ46Aと、不凍液タンク42の内部の不凍液Nを撹拌する撹拌装置42aと、遮断弁57等を備え、この他に、図示を省略するが、スタートスイッチと、停止スイッチと、表示器とを備え、これら全体を制御装置で制御する。また、車載タンクへの燃料ガスFの充填量を計数するため、充填パルスが用いられる。
【0043】
充填ライン48は、配管61の内部の温度及び圧力を各々検知する温度センサ49及び圧力センサ50と、配管61の内部を流れる燃料ガスFの流量を調節する調節弁51と、不凍液タンク42への経路を切り換える三方弁52と、三方弁52によって切り換えられる第1経路54及び第2経路55と、不凍液タンク42の下流側の配管61’の内部の圧力を検知する圧力センサ56と、燃料ガスFの流れを遮断する遮断弁57と、燃料ガスFの流量を計測するメータ58と、メータ58を流れる燃料ガスFの温度を検知する温度センサ59と、燃料ガスFを車載タンク(不図示)に供給するノズル60とで構成される。
【0044】
不凍液タンク42は、不凍液タンク42の内部の不凍液Nの温度を検知する温度センサ53と、不凍液タンク42の内部で不凍液Nを撹拌する撹拌装置42aとを備える。撹拌装置42aは、図8に示すように、鉛直方向に延設された回転軸42bを回転させ、回転軸42bの下端部に装着された回転羽根42cによって不凍液タンク42の内部の不凍液Nを撹拌する。
【0045】
また、撹拌装置42aに代えて、図9に示すように、不凍液タンク42の下部に連通する下方パイプ42dと、不凍液タンク42の上部に連通する上方パイプ42fとをボックス状の連結部42eで連結した対流促進手段によって、不凍液タンク42の内部の不凍液Nの対流を促進して温度の均一化を図ってもよい。
【0046】
さらに、不凍液タンク42の内部の不凍液Nによって、配管48を流れる燃料ガスFを冷却するには、図10に示すように、充填ライン61の配管(内管)48を囲繞する外管63を設け、内管62の内部に燃料ガスFを通過させ、内管62と外管63との間に不凍液Nを通過させ、燃料ガスFを冷却してもよい。
【0047】
次に、上記構成を有するガス充填システム41の動作について、図11〜図13を中心に参照しながら説明する。
【0048】
まず、温度センサ49によって測定されたカードル7からの燃料ガスFの温度に応じて不凍液タンク42の内部の配管61の管路長さを変化させる動作について、図11を中心に参照しながら説明する。尚、同図の最後の符号Aは、図12に示したフローに関連するものである。
【0049】
ステップS31において、ガス充填装置44Aのスタートスイッチがオンされると、ステップS32において、温度センサ49によって測定された温度Tが予め定められた所定の温度t1(例えば10℃)より高いか否かを判断する。
【0050】
温度センサ49によって測定された温度Tが温度t1より高い場合(ステップS32;YES)には、ステップS33で遮断弁57を開き、調節弁51を開き、三方弁52を第2経路55へ切り換え、表示器をリセットする。一方、温度センサ49によって測定された温度Tが温度t1以下の場合(ステップS32;NO)には、ステップS34で遮断弁57を開き、調節弁51を開き、三方弁52を第1経路54へ切り換え、表示器をリセットする。
【0051】
次に、冷凍機45の運転状況を確認するため、ステップS35において、冷凍機45及び撹拌装置42aがオンであるか否かを判断し、冷凍機45及び撹拌装置42aがオンである場合(ステップS35;YES)には、ステップS37でその状態を継続し、ステップS38で充填パルスが発せられているか否かを判断し、充填パルスが発せられている場合には、ステップS39で計数表示を行い、ステップS40で停止スイッチがオンとなるまでこの動作を繰り返す。
【0052】
一方、ステップS35において、冷凍機45及び撹拌装置42aがオフである場合(ステップS35;NO)には、ステップSで冷凍機45及び撹拌装置42aをオンし、バルブ46Aを開き、ステップS37でその状態を継続し、ステップS38で充填パルスをカウントし、ステップS39で計数表示を行い、ステップS40で停止スイッチがオンとなるまでこの動作を繰り返す。
【0053】
次に、ステップS40において、停止スイッチがオンとなった場合(ステップS40;YES)には、ステップS41で遮断弁57及び調節弁51を閉じる。
【0054】
次に、ステップS42において、温度センサ53によって検知された温度Tが−40℃より高いか否かを判断し、−40℃より高ければ(ステップS42;YES)、ステップS43で冷凍機45及び撹拌装置42aのオン、並びにバルブ46Aの開状態を維持し、一方、温度センサ53によって検知された温度Tが−40℃以下であれば(ステップS42;NO)、ステップS44で冷凍機45及び撹拌装置42aをオフし、バルブ6Aを閉じる。このステップS42〜S44の動作は、不凍液タンク42の内部が冷え過ぎるのを防止するためのものである。
【0055】
上記のように、本実施の形態においては、カードル7からの燃料ガスFの温度が高ければ、不凍液タンク42の内部の配管61の管路長さを長くし、燃料ガスFの温度が低ければ、不凍液タンク42の内部の配管61の管路長さを短くすることで、燃料ガスFの温度に応じて燃料ガスFを効率よく冷却することができる。
【0056】
次に、温度センサ49によって測定されたカードル7からの燃料ガスFの温度に応じて冷凍機45の作動温度を変化させる動作について、図12を中心に参照しながら説明する。尚、同図のスタート直後の符号Aは、、図11に示したフローの符号Aに繋がる。
【0057】
ステップS51において、温度センサ49によって測定された温度Tが予め定められた所定の温度t1(例えば10℃)より高いか否かを判断する。
【0058】
温度センサ49によって測定された温度Tが温度t1より高い場合(ステップS51;YES)には、ステップS52で冷凍機45の作動温度T’を−35℃に設定する。一方、温度センサ49によって測定された温度Tが温度t1以下の場合(ステップS51;NO)には、ステップS53で冷凍機45の作動温度T’を−30℃に設定する。ここでは、冷凍機45の作動温度T’を−30℃に設定したものとする。
【0059】
次に、ステップS54において、温度センサ53の測定温度Tが−30℃より高いか否かを判断し、例えば、検知された温度Tが−29℃である場合には、−30℃より高いため(ステップS54;YES)、ステップS55において、冷凍機45及び撹拌装置42aがオンであるか否かを判断し、冷凍機45及び撹拌装置42aがオンである場合(ステップS55;YES)には、ステップS57でその状態を継続し、冷凍機45及び撹拌装置42aがオフである場合(ステップS55;NO)には、ステップS56で冷凍機45及び撹拌装置42aをオンし、バルブ46Aを開く。
【0060】
一方、ステップS54において、温度センサ53の測定温度Tが、例えば、−31℃である場合には、−30℃以下であるため(ステップS54;NO)、ステップS58において、冷凍機45及び撹拌装置42aがオンであるか否かを判断し、冷凍機45及び撹拌装置42aがオンである場合(ステップS58;YES)には、ステップS59で冷凍機45及び撹拌装置42aをオフし、バルブ46Aを閉じる。一方、ステップS58において、冷凍機45及び撹拌装置42aがオフである場合(ステップ58;NO)には、ステップS51に戻る。
【0061】
次に、充填時(充填ライン48を介してカードル7に貯留されている燃料ガスFを車載タンクに充填している時)における充填量の制御について、図13を参照しながら説明する。
【0062】
ステップS61において、温度センサ59及び圧力センサ50、56の測定値が所定の範囲にあるか否かを判断し、所定の範囲にあれば(ステップS61;YES)、調節弁51を作動させることなく、その状態を維持する。一方、温度センサ59及び圧力センサ50、56の測定値が所定の範囲になければ(ステップS61;NO)、ステップS62で調節弁51を作動させ、以後上記動作を繰り返すことで、車載タンクへの充填量を制御する。
【0063】
また、ステップS63において、温度センサ59の測定温度Tが−20℃より高いか否かを判断し、例えば、測定温度Tが−19℃である場合には、−20℃より高いため(ステップS59;YES)、ステップS64において、三方弁52を第2経路55へ切り換える。一方、温度センサ59によって測定された温度Tが、例えば、−21℃である場合には、−20℃以下であるため(ステップS63;NO)、三方弁52を第1経路54へ切り換える。このように、温度センサ59の測定温度Tに応じて不凍液タンク42の内部の配管61の管路長さを変化させることで、不凍液タンク42で燃料ガスFが過冷却となった場合に充填効率が低下することを防止することができる。
【0064】
尚、上記動作説明では、ガス充填装置44Aの充填ライン48を介してカードル7に貯留されている燃料ガスFを車載タンクに充填する場合について説明したが、ガス充填装置44A以外のガス充填装置44(44B〜44N)についても、冷凍機45からの冷媒Rをバルブ46(46B〜46N)を介して各々のガス充填装置44(44B〜44N)の不凍液タンクへ供給し、ガス充填装置44Aと同様に機能させることができる。
【0065】
また、蓄圧器を有するガス充填装置については、蓄圧器を囲繞するように上記不凍液タンク2、42を設け、不凍液タンク2、42で蓄圧器を予冷してもよい。
【符号の説明】
【0066】
1 ガス充填システム
2 不凍液タンク
4(4A〜4N) ガス充填装置
5 冷凍機
6(6A〜6N) バルブ
7 カードル
8 温度センサ
9 ポンプ
10 充填ライン
11 圧力センサ
12 調節弁
13、13’ 配管
14 圧力センサ
15 遮断弁
16 温度センサ
17 メータ
18 ノズル
20 充填ライン
21 圧力センサ
22 調節弁
23、23’ 配管
24 圧力センサ
25 遮断弁
26 温度センサ
27 メータ
28 ノズル
31 トラック
32 圧縮機
33 蓄圧器
35 スタートスイッチ
36 停止スイッチ
37 充填パルス
38 表示器
39 制御装置
41 ガス充填システム
42 不凍液タンク
42a 撹拌装置
42b 回転軸
42c 回転羽根
42d 下方パイプ
42e 連結部
42f 上方パイプ
44(44A〜44N) ガス充填装置
45 冷凍機
46(46A〜46N) バルブ
48 充填ライン
49 温度センサ
50 圧力センサ
51 調節弁
52 三方弁
53 温度センサ
54 第1経路
55 第2経路
56 圧力センサ
57 遮断弁
58 メータ
59 温度センサ
60 ノズル
61、61’ 配管
62 配管(内管)
63 外管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車輌に搭載された車載タンクに燃料ガスを充填するためのガス充填システムであって、
燃料ガスを車載タンクへ充填するための充填ラインと、
冷凍機からの冷媒が供給される冷却手段とを備え、
該冷却手段によって前記充填ラインを冷却することを特徴とするガス充填システム。
【請求項2】
前記冷却手段は、ガス充填装置内に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のガス充填システム。
【請求項3】
前記冷却手段は、
前記冷凍機からの冷媒で冷却される不凍液を収容したタンクと、
該タンクの内部で前記不凍液を循環させるポンプとを備え、
前記タンクの内部を前記充填ラインの一部が通過することを特徴とする請求項1又は2記載のガス充填システム。
【請求項4】
前記冷却手段は、
前記冷凍機からの冷媒で冷却される不凍液を収容したタンクと、
該タンクの内部に鉛直方向に延設された回転軸と、
該回転軸に装着された回転羽根とを備え、
前記回転軸を介して前記回転羽根を回転させることで、前記タンクの内部で前記不凍液を循環させ、
前記タンクの内部を前記充填ラインの一部が通過することを特徴とする請求項1又は2記載のガス充填システム。
【請求項5】
前記冷却手段は、
前記燃料ガスが流れる内管と、
該内管を囲繞する外管とを備え、
該外管と前記内管との間を、前記冷凍機からの冷媒で冷却される不凍液が流れることを特徴とする請求項1又は2記載のガス充填システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−2581(P2013−2581A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−135887(P2011−135887)
【出願日】平成23年6月20日(2011.6.20)
【出願人】(000151346)株式会社タツノ (167)
【Fターム(参考)】