説明

ガス分析装置

【課題】高い検出感度を得ることが可能なガス分析装置を提供する。
【解決手段】ガス分析装置は、その内部に分析対象のガスが導入された中空ファイバ4と、中空ファイバ4の一方端側に配置されて、中空ファイバ4の内部に光を照射する投光部12と、中空ファイバ4の他方端側に配置されて、中空ファイバ4の内部を通過した光を検出する検出部13と、検出部13で検出された光に基づいて、分析対象のガスを分析するための点灯制御/信号検出部21およびシステム制御部22とを備える。投光部12は、発光波長が異なる複数の赤外線LED2a〜2cを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はガス分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
変圧器、リアクトル等の油入電気機器の内部の絶縁油の状態を監視する方法として、油中のガスを分析する装置を用いた方法が提案されている。たとえば特開平11−142832号公報(特許文献1)に、このような方法の具体例が開示される。
【0003】
上記の文献で示されたガス分析方法では、油入電気機器本体から絶縁油が採取されて、次に、その絶縁油に溶存するガスが抽出される。抽出されたガスはキャリアガスと混合されて、混合ガスは分離カラムに通される。分離カラムには、ガスの種類によって分離時間が異なるカラム充填材が装填される。分離時間ごとのガス濃度が、酸化物半導体を利用したガスセンサにより検出される。その分離時間とガス濃度とによってガスの成分及び量が検出される。
【0004】
また、特開2009−92511号公報(特許文献2)には、検出対象のガスを通す中空ファイバと、その中空ファイバの内部に光を照射する発光部と、中空ファイバの内部に照射された光の戻り光を検出する検出部と、その戻り光に基づいてガスを分析する分析部とを備えたガス検出装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−142832号公報
【特許文献2】特開2009−92511号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特開平11−142832号公報に記載された従来のガス分析装置では、絶縁油から抽出された複数のガス成分が1つのセンサによって測定される。たとえば水分量が多いといったような何らかの理由によって、分離カラム内でのガスの成分の分離が不十分となる可能性がある。このような場合にはガス成分を適切に検出できない。また、絶縁油から抽出されたガスには、硫黄あるいはシリコンといった、ガスセンサの劣化を引き起こしやすい特定物質が含まれうる。このような特定物質によってガスセンサの寿命が短くなるという問題も発生しうる。
【0007】
一方、特許文献2に記載された構成によれば、光源からの光を導く光ファイバと、中空ファイバからの戻り光を受光部に導く光ファイバとが、ファイバ分岐部を介して中空ファイバの一端に接続される。しかしながらこの構成によれば、受光部側の光ファイバに入射する戻り光の光量が小さくなる可能性がある。戻り光は中空ファイバ内部を反射しながら進むため、戻り光の入射角が適切な範囲内になければ、その戻り光が受光部側の光ファイバに入射できない可能性がある。あるいは、戻り光が光源側の光ファイバに入射することも可能性として考えられる。戻り光の強度が低下することによって分析装置の感度が低下することが起こりうる。
【0008】
本発明の目的は、高い検出感度を得ることが可能なガス分析装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のある局面に係るガス分析装置は、その内部に分析対象のガスが導入された中空ファイバと、中空ファイバの一方端側に配置されて、中空ファイバの内部に光を照射する投光部と、中空ファイバの他方端側に配置されて、中空ファイバの内部を通過した光を検出する検出部と、検出部で検出された光に基づいて、分析対象のガスを分析する分析部とを備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ガス分析装置の検出感度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】NDIR法によるガス分析方法の原理を説明した図である。
【図2】実施の形態1に係るガス分析装置の構成図である。
【図3】赤外線LEDのスペクトル幅の例およびガス(一酸化炭素およびアセチレン)の吸収域を説明した図である。
【図4】チョッパ制御を利用したガス分析装置の構成を示した図である。
【図5】実施の形態2に係るガス分析装置の構成図である。
【図6】実施の形態3に係るガス分析装置の光源部、検出部および中空ファイバに関する部分の構成を示した図である。
【図7】実施の形態4に係るガス分析装置の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して詳しく説明する。なお、同一または相当する部分には同一の参照符号を付して、その説明を繰返さない。
【0013】
本発明の実施の形態では、NDIR(非分散赤外吸収分光)法による分析を用いたガス分析装置を提示する。図1は、NDIR法によるガス分析方法の原理を説明した図である。図1を参照して、透過セル1に、ガス流入口1aと、ガス排出口1bとが設けられる。分析対象のガスは、方向aに沿ってガス流入口1aから透過セル1の内部に導入され、方向bに沿ってガス排出口1bから透過セル1の外部に排出される。
【0014】
光源2は透過セル1の内部に赤外光を照射する。検出器3は、透過セル1を透過した赤外光を受光する。検出器3から出力される受光信号に基づいて、赤外光の吸収スペクトルが求められる。この吸収スペクトルからガスの種類および量が決定される。
【0015】
しかしながら透過セル1の光路長が短いため、図1に示された構成では、ガスによって吸収される赤外光の吸収量が小さい。このため図1に示された構成では、高精度の測定が困難である。さらに、目的のガスの吸収スペクトルが他のガスの吸収スペクトルに近接している場合には、光源2のスペクトルが干渉しあう。このため測定が困難になる可能性がある。
【0016】
本発明の実施の形態では、中空ファイバの内部に測定対象のガスおよび赤外光が通される。中空ファイバを長くすることによって赤外光の光路長を長くすることが可能である。赤外光の光路長を長くすることによって赤外光の吸収量が大きくなる。したがって本発明の実施の形態によれば、ガス分析装置の検出感度を高めることができる。
【0017】
以下、各実施の形態について詳細に説明する。各実施の形態に係るガス分析装置は、油入電気機器内の絶縁油に溶存するガスを分析する目的で使用される。ただし、このような用途に限定されず、本発明は、一般的なガス分析の用途にも利用可能である。
【0018】
[実施の形態1]
図2は、実施の形態1に係るガス分析装置の構成図である。図2を参照して、実施の形態1に係るガス分析装置は、光源部12と、中空ファイバ4と、検出部13と、点灯制御/信号検出部21と、システム制御部22とを備える。
【0019】
油入電気機器11は、たとえば油入変圧器、油入リアクトルであり、その内部には絶縁油が満たされている。ガス抽出機構16は油入電気機器11と配管14a,14bを通して接続される。絶縁油に溶存するガスを抽出するための抽出容器15がガス抽出機構16内に設けられている。
【0020】
ガス抽出機構16には抽出容器15の内部を減圧するためのポンプ(図示せず)が設けられる。抽出容器15の内部を減圧することにより、抽出容器15の内部の絶縁油からガスが抽出される。抽出されたガスは配管18を通じて検出部13に送られる。配管18の途中には、ガスに含まれるミスト(水、油など)および硫黄成分などを除去するためのフィルタ17が設けられる。
【0021】
光源部12は、複数の赤外線LED(Light Emitting Diode)2a〜2cと、各LEDから発せられた光を集光するためのレンズ5とを含む。図2では3個のLEDが示されているが、LEDの個数は限定されるものではない。さらに、複数のLEDの発光波長は互いに異なっている。なお、この明細書では「発光波長」とは、発光スペクトルの中心波長を意味するものとする。検出部13は、赤外光を検出する検出器3を含む。
【0022】
光源部12と検出部13とは中空ファイバ4によって接続される。したがって中空ファイバ4の一方端に光源部12が配置され、中空ファイバ4の他方端に検出部13が配置される。中空ファイバ4は、円筒形母材にNi,Al,Auなどのメッキを行ない、その後に円筒形母材をエッチングするなどの種々の方法によって作成可能であるのでここでは詳細な説明を繰り返さない。
【0023】
点灯制御/信号検出部21は、赤外線LED2a〜2cの点灯を制御するとともに、検出器3からの受光信号を受信する。システム制御部22は、点灯制御/信号検出部21およびガス抽出機構16(たとえばポンプのモータなど)を制御する。さらにシステム制御部22は、点灯制御/信号検出部21から受光信号を受光して、その受光信号に基づいて多変量解析を実行する。
【0024】
点灯制御/信号検出部21とシステム制御部22とは、検出部13で検出された赤外光に基づいて、分析対象のガスを分析する分析部を実現する。なお、点灯制御/信号検出部21とシステム制御部22とは一体的に形成されていてもよい。また、必要に応じて、パーソナルコンピュータ等にデータを転送するための外部ポートがシステム制御部22に用意されていてもよい。
【0025】
次に実施の形態1に係るガス分析装置の動作について説明する。まず、絶縁油を油入電気機器11から配管14aを経由して採取する。採取された絶縁油は抽出容器15に送られる。絶縁油に溶存するガスを抽出するために、抽出容器15が減圧される。これにより絶縁油からガスが抽出される。抽出されたガスは、抽出容器15の内部から配管18へと送り出される。配管18の途中に設けられたフィルタ17によって、ガスに含まれるミストおよび硫黄成分などが除去される。フィルタ17を通ったガスは検出部13へと送られる。
【0026】
まず検出部13にガスを送り込んで検出部13をガスで充満させる。次に、光源部12側に設けられたポンプ20を動作させる。これにより、検出部13の内部のガスが中空ファイバ4の内部を通って検出部13から光源部12へと流れ、さらに光源部12から配管19を通じて外部に排出される。この結果、中空ファイバ4の内部に分析対象のガスが導入される。
【0027】
中空ファイバ4の内部をガスが流れている状態において、点灯制御/信号検出部21は、赤外線LED2a〜2cを点灯させる。赤外線LED2a〜2cの各々が発する赤外光はレンズ5によって集光されて、中空ファイバ4の一方端へと導かれる。中空ファイバ4の一方端に導かれた赤外光は中空ファイバ4の内部を伝達して中空ファイバ4の他方端から出射する。このときに中空ファイバ4の内部では、検出部13から光源部12へと流れるガスによって赤外光が吸収される。中空ファイバ4の他方端から出射された赤外光は、検出部13側の検出器3で受光される。検出器3は受光強度に応じた強度を有する電気信号を出力する。
【0028】
点灯制御/信号検出部21は、赤外線LED2a,2b,2cの点灯を時間的に切替える。検出器3からの出力信号は、点灯制御/信号検出部21に送られる。点灯制御/信号検出部21は、各光源(赤外線LED)に対する検出部13の受光強度のデータを取得して、そのデータをシステム制御部22に送る。システム制御部22は、点灯制御/信号検出部21からのデータを用いて多変量解析を実施する。これにより目的のガスの量(あるいは濃度)の測定値が得られる。
【0029】
図3は、赤外線LEDのスペクトル幅の例およびガス(一酸化炭素およびアセチレン)の吸収域を説明した図である。図3を参照して、一般に、赤外線LEDから発せられる赤外光は単色光ではなく、あるスペクトル幅を持っている。一例を示すと、中心波長が1500nmである場合のスペクトル幅は200nm(=±100nm)である。
【0030】
測定目的のガスをアセチレンとする。アセチレンの吸収域は波長1531nm付近にある。一方、測定目的以外のガスとして一酸化炭素を考える。一酸化炭素の吸収域は波長1565nm付近にある。すなわち測定目的のガスの赤外吸収波長は、それと異なるガスの赤外吸収波長に近接している。
【0031】
たとえば、図3で「LED1」と示される赤外線LEDのみが光源部12に設けられているとする。この光源から発せられる赤外光の中心波長は1550nmである。この場合、アセチレンと一酸化炭素との両方の赤外光吸収が検出されることになる。
【0032】
実施の形態1では、発光波長が互いに異なる複数の光源(赤外線LED)を光源部12に設ける。絶縁油から抽出されたガスにアセチレンと一酸化炭素とが含まれる場合、たとえば発光波長がそれぞれ1550nm、1650nm、1700nmとなる3つの赤外光LED(図3では、LED1,LED2,LED3と示す)が選ばれる。なお、図2に示した構成では、赤外線LED2a〜2cの発光波長が、それぞれ1550nm、1650nm、1700nmであればよい。
【0033】
点灯制御/信号検出部21は、複数の赤外線LEDの発光を時間的に切替えて、検出部13での受光強度のデータを取得する。各LEDの発光波長は予め分かっているため、その発光波長と受光強度とが関連付けられたデータが得られる。システム制御部22は、そのデータに基づいて多変量解析を実行して、目的のガスの濃度を求める。なお、アセチレンおよび一酸化炭素の各々の赤外吸収スペクトルは予め求められており、システム制御部22は、その赤外吸収スペクトルを予め記憶する。この赤外吸収スペクトルのデータを目的のガスの測定に用いることができる。
【0034】
実施の形態1では、赤外光を発する光源が赤外線LEDによって実現される。したがって、点灯制御/信号検出部21によって光源のチョッパ制御を実行できる。図4は、チョッパ制御を利用したガス分析装置の構成を示した図である。
【0035】
図4を参照して、点灯制御/信号検出部21は、赤外線LED2a〜2cをチョッパ制御するための制御信号を赤外線LED2a〜2cに与えるとともに、ロックインアンプ23にも与える。ロックインアンプ23は、点灯制御/信号検出部21からの制御信号を参照信号に用いて、検出器3からの出力信号に含まれるノイズ成分を除去することで検出器3からの出力信号のS/N比を向上させる。したがって図4に示した構成によれば、より高感度の検出が可能となる。
【0036】
このように、実施の形態1によれば、赤外光とガスとがともに中空ファイバの内部に存在する。これにより透過セルを用いた場合に比べて赤外光の吸収量を増加させることができる。この結果、検出感度を高めることができる。
【0037】
また、ガスセンサを用いた分析を行なう場合、分析対象のガスによってガスセンサが劣化するため、分析装置の寿命がガスセンサの寿命に依存する。実施の形態1によれば、ガスセンサが不要となる。したがって分析装置の長寿命化を図ることができる。
【0038】
さらに実施の形態では、中空ファイバ4の一方端に赤外光が入射され、中空ファイバ4の他方端から赤外光が取り出される。中空ファイバ4の一方の端部において赤外光が入射および出射される構成では、中空ファイバ4から出射された赤外光を中空ファイバ4に入射される赤外光から分離することは難しい。中空ファイバ4から出射された赤外光と中空ファイバ4に入射される赤外光とが混合した場合には、検出器で検出される光の強度が真の強度よりも大きくなる(あるいは小さくなる)可能性がある。このような場合には、検出精度が低下しうる。この実施の形態では、赤外光が一方向に沿って進行するため、中空ファイバ4からの出射光と中空ファイバ4への入射光とが混合することを防止できる。したがって実施の形態1によれば検出感度を高めることができる。
【0039】
さらにこの実施の形態では、波長が異なる赤外光を発する複数の光源が用いられ、それら複数の光源の点灯が時間的に切り替えられる。そして各光源を点灯させたときの検出部での出力信号に基づいて多変量解析が実行される。これにより、検出感度を高めることが可能になる。さらにロックインアンプを使用することで、検出部での出力信号からノイズ成分を除去することができるので、検出感度をさらに高めることができる。
【0040】
[実施の形態2]
図5は、実施の形態2に係るガス分析装置の構成図である。図2および図5を参照して、実施の形態2に係るガス分析装置は、光源部12の構成の点において実施の形態1に係るガス分析装置と異なっている。具体的には、実施の形態2では、光源部12は、ハロゲンランプ2dと、複数の赤外線バンドパスフィルタ6a〜6cと、光チョッパ6dとを備える。
【0041】
赤外線バンドパスフィルタ6a〜6cは、分析対象のガスに含まれる特定のガス成分(たとえばアセチレン、一酸化炭素など)の吸収波長の赤外光のみを通過させるように、その通過帯域が定められる。したがって赤外線バンドパスフィルタ6a〜6cの通過帯域は互いに異なっている。
【0042】
ハロゲンランプ2dから発せられる赤外光のスペクトルは、赤外線バンドパスフィルタ6a〜6cの通過帯域を包含する。言い換えると、ハロゲンランプ2dから発せられる赤外光のスペクトルは、目的のガスの吸収波長をカバーすることができる。ただし、目的のガスの吸収波長をカバーすることが可能な広帯域光源であれば、ハロゲンランプに限定されず、実施の形態2に係るガス分析装置に適用可能である。
【0043】
光チョッパ6dは、周知の構成を適用することが可能であり、たとえばステンレスやアルミの薄板によって形成された遮光板およびその遮光板を回転するモータ等によって構成される。点灯制御/信号検出部21からの制御信号によって光チョッパ6dが駆動される。これにより、赤外線バンドパスフィルタ6a〜6cの各々を通過した光を中空ファイバ4の一方端に導入するか否かを切替えることができる。すなわち、実施の形態1と同様に光源をチョッパ制御することが可能になる。実施の形態2に係るガス分析装置の他の部分の構成は、実施の形態1に係るガス分析装置の対応する部分の構成と同様であるので以後の説明は繰り返さない。
【0044】
実施の形態2によれば複数のLEDを不要とすることができる。さらに、実施の形態2によればレンズを不要とすることも可能である。
【0045】
[実施の形態3]
図6は、実施の形態3に係るガス分析装置の光源部、検出部および中空ファイバに関する部分の構成を示した図である。図2および図6を参照して、実施の形態3に係るガス分析装置では、中空ファイバ4に加えて中空ファイバ4aが用いられる。中空ファイバ4aには赤外線に対して不活性なガス(赤外線の吸収量が小さいガス)が封入される。すなわち中空ファイバ4aの両端は閉じられている。なお中空ファイバ4aには空気が封入されてもよい。
【0046】
光源部12には、反射板7が設けられる。赤外線LED2aから発せられた赤外光は、反射板7によって反射され、中空ファイバ4,4aを伝播して検出器3に到達する。実施の形態1,2と同様に、測定対象のガスは中空ファイバ4の内部を通る。
【0047】
中空ファイバ4aに封入されたガスを通過した赤外光の強度が検出器3によって検出される。検出された強度は、中空ファイバ4を通過した赤外光の強度を測定するときの基準として用いられる。不活性ガスは中空ファイバ4aの内部に封入されるので、安定した状態に保つことが可能である。
【0048】
なお、図6では1つの光源のみ示しているが、光源の数は複数でもよい。この場合、実施の形態1と同様に、複数の赤外線LEDをチョッパ制御することが好ましい。
また図6に示した部分以外のガス分析装置の構成は、図2に示された構成と同様であるので以後の説明は繰り返さない。
【0049】
また、2つの中空ファイバに対して検出器3が共通に設けられているが、2つの中空ファイバにそれぞれ対応して2つの検出器が設けられてもよい。
【0050】
実施の形態3によれば、1つの光源から分岐された光が、対象のガスが存在する中空ファイバ4と、不活性ガスが封入された中空ファイバ4aとに入射される。中空ファイバ4aに封入されたガスを通過した赤外光の強度が検出器3によって検出され、中空ファイバ4を通過した赤外光の強度を測定するときの基準として用いられる。これにより、感度を安定させることができるだけでなく、実施の形態1,2よりも検出感度を向上させることもできる。
【0051】
[実施の形態4]
図7は、実施の形態4に係るガス分析装置の構成図である。図2および図7を参照して、実施の形態6に係るガス分析装置は、対象ガスが中空ファイバ4に流入する直前の位置にフィルタ24が設けられる点において実施の形態1に係るガス分析装置と異なっている。図7には、配管18の出口にフィルタ24が設けられているが、中空ファイバ4から出射される赤外光を遮らない限りにおいて、フィルタ24の位置は限定されない。
【0052】
フィルタ24は、水分及び汚れ成分をガスから取り除くためのフィルタである。たとえばガスに含まれる水分は、エアードライヤによって取り除かれる。また、汚れ成分の除去は、多孔質フィルタを用いて対象ガス以外の成分を除去することにより行なわれる。
【0053】
実施の形態4に係るガス分析装置の他の部分の構成は、実施の形態1に係るガス分析装置の対応する部分の構成と同様であるので以後の説明は繰り返さない。また、実施の形態2、実施の形態3の各々に係るガス分析装置に図7で示したフィルタ24を含めてもよい。
【0054】
実施の形態4によれば、対象ガスが中空ファイバ4に流入する直前の位置にフィルタ24が設けられるため、中空ファイバの状態を良好に保つことができる。したがって、検出感度を良好に保つことができる。
【0055】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものでないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0056】
1 透過セル、1a ガス流入口、1b ガス排出口、2 光源、2a〜2c 赤外光LED、2d ハロゲンランプ、3 検出器、4,4a 中空ファイバ、5 レンズ、6a〜6c 赤外線バンドパスフィルタ、6d 光チョッパ、7 反射板、11 油入電気機器、12 光源部、13 検出部、14a,14b,18,19 配管、15 抽出容器、16 ガス抽出機構、17,24 フィルタ、20 ポンプ、21 点灯制御/信号検出部、22 システム制御部、23 ロックインアンプ、a,b 方向。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
その内部に分析対象のガスが導入された第1の中空ファイバと、
前記第1の中空ファイバの一方端側に配置されて、前記第1の中空ファイバの内部に光を照射する投光部と、
前記第1の中空ファイバの他方端側に配置されて、前記第1の中空ファイバの内部を通過した光を検出する検出部と、
前記検出部で検出された光に基づいて、前記分析対象のガスを分析する分析部とを備える、ガス分析装置。
【請求項2】
前記投光部は、波長が異なる光を時間的に切替えて照射し、
前記分析部は、前記検出部で検出された光の強度と、当該検出された光の波長との間の関係に基づく多変量解析によって、前記分析対象のガスを分析する、請求項1に記載のガス分析装置。
【請求項3】
前記投光部は、発光波長が互いに異なる複数の赤外線発光ダイオードを含み、
前記分析部は、前記複数の赤外線発光ダイオードをチョッパ制御するための制御信号を発生させ、
前記ガス分析装置は、
前記制御信号を参照信号として用いることによって、前記検出部からの出力信号のS/N比を高めて前記分析部に与えるロックインアンプをさらに備える、請求項2に記載のガス分析装置。
【請求項4】
前記投光部は、
赤外光を発生させる広帯域光源と、
前記分析対象のガスに含まれる複数の成分にそれぞれ対応して設けられる複数のバンドパスフィルタと、
複数のバンドパスフィルタの各々を通過した光を前記第1の中空ファイバの前記一方端に導入するか否かを切替える光チョッパとを含み、
前記複数のバンドパスフィルタの各々の通過帯域は、前記複数の成分のうちの対応する成分の吸収波長を含み、
前記広帯域光源の発光スペクトルは、前記複数のバンドパスフィルタの各々の通過帯域を包含する、請求項2に記載のガス分析装置。
【請求項5】
その内部にガスが封入されるとともに前記投光部からの光が通される第2の中空ファイバをさらに備え、
前記検出部は、前記第1および第2の中空ファイバの各々の内部を通過した光を検出し、
前記分析部は、前記第1の中空ファイバの内部を通過した光の強度の基準として、前記第2の中空ファイバの内部を通過して、前記検出部によって検出された光の強度を用いる、請求項1に記載のガス分析装置。
【請求項6】
油入電気機器から採取された絶縁油から前記分析対象のガスを抽出するための抽出装置と、
抽出されたガスを前記第1の中空ファイバの前記他方端から前記第1の中空ファイバの内部に導入するための導入装置と、
前記抽出されたガスを第1の中空ファイバの前記他方端に導入する前に前記抽出されたガスを通すフィルタとをさらに備える、請求項1から5のいずれか1項に記載のガス分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−242311(P2012−242311A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−114409(P2011−114409)
【出願日】平成23年5月23日(2011.5.23)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】