説明

ガス化ガス製造システム及び方法

【課題】ガス化ガスの製造で発生した排水をボイラ水として有効活用する。
【解決手段】ボイラ2で生成した水蒸気を用いて可燃性原料をガス化するガス化手段と、該ガス化手段で生成されたガス化ガスを精製するガス精製手段と、を具備し、ガス精製手段は、ガス化ガスの精製から発生した排水に有機成分除去処理及び窒素成分除去処理を施すことによりボイラ2に供するためのボイラ水を生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス化ガス製造システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1、2には、石炭のガス化設備で発生した生成ガス(ガス化ガス)を精製する技術として、生成ガス中に含まれる塩化水素、シアン化水素、アンモニアを水洗塔で洗浄水に吸収させ、該洗浄水をストリッパで減圧すると共に蒸気で加熱してシアン化水素、アンモニアを気体として分離し、分離したシアン化水素、アンモニアを燃焼炉で燃焼処理する一方、洗浄水の一部を水洗塔に戻してリサイクルすることが記載されている。また、特許文献1に記載されたガス化ガスの精製装置では、各種の精製処理を経た排水に安水活性汚泥処理設備で活性汚泥処理を施す。なお、上記ガス化設備では、原料である可燃性廃棄物や石炭にボイラで発生させた水蒸気を付加し900℃程度まで加熱することによりガス化ガスを発生させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−045857号公報
【特許文献2】特開2006−232904号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述したようにガス化設備には水蒸気を発生させるボイラが不可欠である。これに対して、例えば原料となる低品位炭が採掘される地域では水の入手が困難な場合が多く、このような地域に建設されたガス化設備では、ボイラ水が極めて貴重なものとなっている。上述した従来技術は、このような貴重なボイラ水を考慮に入れたものではなく、ボイラ水の入手を考慮した石炭ガス化システムの開発が切望されている。
【0005】
また、上記排水の活性汚泥処理では、有機成分を十分に除去することができず、特にガス化ガスの製造過程に何らかの不具合が発生してガス化ガスに規定値を超えるタール成分が混入した場合に排水処理が不安定にあるという問題がある。したがって、活性汚泥処理は、ガス化ガスの製造過程で発生する排水の処理として好ましいものではない。
【0006】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、ガス化ガスの製造過程で発生した排水をボイラ水として有効活用することを目的とするものである。また、本発明は、ガス化ガスの製造過程で発生した排水を安定して処理することをも目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明では、ガス化ガス製造システムに係る第1の解決手段として、ボイラで生成した水蒸気を用いて可燃性原料をガス化するガス化手段と、該ガス化手段で生成されたガス化ガスを精製するガス精製手段と、を具備し、前記ガス精製手段は、ガス化ガスの精製から発生した排水に有機成分除去処理及び窒素成分除去処理を施すことにより前記ボイラに供するためのボイラ水を生成する、という手段を採用する。
【0008】
ガス化ガス製造システムに係る第2の解決手段として、上記第1の解決手段において、前記ガス精製手段は、無機イオン除去処理あるいは蒸留処理のいずれか一方あるいは両方をさらに施す、という手段を採用する。
【0009】
ガス化ガス製造システムに係る第3の解決手段として、上記第1または第2の解決手段において、前記ガス精製手段は、排水に有機成分除去処理を施す設備として、少なくとも凝集沈殿槽を備える、という手段を採用する。
【0010】
ガス化ガス製造システムに係る第4の解決手段として、上記第1〜第3のいずれかの解決手段において、前記ガス精製手段は、排水に窒素成分除去処理を施す設備としてアンモニアトリッピング装置を備える、という手段を採用する。
【0011】
ガス化ガス製造システムに係る第5の解決手段として、上記第2〜第4のいずれかの解決手段において、前記ガス精製手段は、無機イオン除去処理を施す設備としてイオン交換膜を備える、という手段を採用する。
【0012】
また、本発明では、ガス化ガス製造方法に係る第1の解決手段として、ボイラで生成した水蒸気を用いて可燃性原料からガス化ガスを生成し、該ガス化ガスに不純物を除去する精製処理を施すガス化ガス製造方法であって、前記精製処理から発生した排水に有機成分除去処理及び有機成分除去処理を施すことにより前記ボイラに供するためのボイラ水を生成する、という手段を採用する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ガス化ガスの精製で発生した排水から有機成分及び窒素成分を除去するので、ボイラ水として要求される程度の排水を清浄化してボイラ水として有効活用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態に係るガス化ガス製造システムのシステム構成図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るガス化ガス製造システムにおける排水処理装置8の機能構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態について説明する。
本実施形態に係るガス化ガス製造システムは、図1に示すように、ガス化炉1、ボイラ2、酸化改質炉3、直接冷却器4、間接冷却器5、コンプレッサ6、脱硫・脱CO装置7、また排水処理装置8によって構成されている。このような各構成要素のうち、ガス化炉1及びボイラ2及び排水処理装置8はガス化手段を構成し、また酸化改質炉3、直接冷却器4、間接冷却器5、コンプレッサ6及び脱硫・脱CO装置7は、ガス精製手段を構成している。
【0016】
以下に詳説するが、このようなガス化ガス製造システムは、可燃性原料を水蒸気を用いてガス化ガスにガス化すると共に、当該ガス化ガスに不純物を除去するための精製処理を施して製品ガス(ガス化ガス)を製造する設備である。なお、本実施形態における可燃性原料は、石炭である。
【0017】
ガス化炉1は、投入口から投入された可燃性原料にボイラ2から供給された水蒸気を混合させて例えば900℃程度まで加熱することにより、可燃性原料をガス化する装置である。すなわち、ガス化炉1は、燃焼室を備えており、当該燃焼室で燃料を燃焼させて発生する熱を用いて水蒸気と混合した状態の可燃性原料を900℃程度まで加熱することによりガス化ガスを発生させる。このようなガス化炉1で発生したガス化ガスは、ガス化炉1から酸化改質炉3に排出される。
【0018】
ボイラ2は、上記ガス化炉1の燃焼室で発生する熱を用いて排水処理装置8から供給されたボイラ水を加熱して水蒸気を発生させる装置である。すなわち、このボイラ2は、上記ガス化炉1の排熱を回収してボイラ水を気化させる排熱回収ボイラであり、自らが発生した水蒸気をガス化炉1に供給する。酸化改質炉3は、水素を燃料として燃焼させて得られる熱によってガス化ガスを例えば1100〜1300℃まで加熱することにより酸化改質する装置である。この酸化改質炉3には、改質処理されたガス化ガスの排出口近傍に冷却水を噴霧する冷却水噴霧装置が備えられており、当該冷却水の噴霧によって例えば1000〜1200℃まで冷却したガス化ガスを直接冷却器4に排出する。
【0019】
直接冷却器4は、上記酸化改質炉3から供給されたガス化ガスに冷却水を噴霧することにより直接冷却する装置である。この直接冷却器4は、冷却後のガス化ガスを間接冷却器5に排出すると共に、当該直接冷却に供された後の冷却水を排水として排水処理装置8に排出する。間接冷却器5は、熱交換器であり、冷却水との熱交換によってガス化ガスを間接冷却してコンプレッサ6に排出すると共に、当該間接冷却に供された後の冷却水を排水として排水処理装置8に排出する。
【0020】
コンプレッサ6は、ガス化ガス中に含まれるタール成分の飽和蒸気濃度を低下させるために、ガス化ガスを例えば1〜5MPaまで昇圧する装置である。なお、このコンプレッサ6では、上記タール成分等の一部成分が凝縮水としてある程度凝縮する。コンプレッサ6は、このような凝縮水を排水として排水処理装置8に排出する。脱硫・脱CO装置7は、ガス化ガスに含まれる硫黄(S)及び二酸化炭素(CO)を除去する装置である。脱硫や脱COの方式についてはいくつかのものが知られているが、この脱硫・脱CO装置7としては何れの方式のものでも良い。
【0021】
排水処理装置8は、上記直接冷却器4、間接冷却器5及びコンプレッサ6から供給される各排水を浄化処理し、ボイラ水として上記ボイラ2に供給するものである。この排水処理装置8は、本ガス化ガス製造システムを構成する各種構成要素のうち、最も特徴的な構成要素であり、図2に示すように沈殿池8a、凝集沈殿槽8b、アンモニアトリッピング装置8c、第1蒸留装置8d、第1イオン交換装置8e、第2蒸留装置8f、第2イオン交換装置8g及び選択装置8hから構成されている。
【0022】
沈殿池8aは、静置分離法に基づいて有機成分を沈殿させて排水から分離するものであり、上澄水を処理水として凝集沈殿槽8bに排水する。凝集沈殿槽8bは、上記処理水に凝集剤を添加することにより処理水中に残存する有機成分を強制的に凝集除去するものであり、有機成分を強制凝集除去した処理水をアンモニアトリッピング装置8cに排水する。アンモニアトリッピング装置8cは、凝集沈殿槽8bから供給された処理水中に含まれる窒素成分(アンモニアとして存在する)を水と化学反応させることによりアンモニアガスとして分離除去する装置である。アンモニアトリッピング装置8cは、窒素成分を除去した処理水を第1蒸留装置8d、第2蒸留装置8f及び第2イオン交換装置8gに排水する。
【0023】
第1蒸留装置8dは、アンモニアトリッピング装置8cから供給された処理水に蒸留処理を施すことにより処理水中に残存するタール成分等の各種固形物を除去するものである。この第1蒸留装置8dは、タール成分等の固形物が除去された蒸留水を第1イオン交換装置8eに排水する。第1イオン交換装置8eは、上記蒸留水に含まれる無機イオンをイオン交換膜によって除去する装置である。この第1イオン交換装置8eは、無機イオンが除去されたイオン交換膜の透過水を選択装置8hに排水する。
【0024】
第2蒸留装置8fは、上記第1蒸留装置8dと同様に、アンモニアトリッピング装置8cから供給された処理水に蒸留処理を施すことにより、処理水中に残存するタール成分等の固形物を除去するものである。この第2蒸留装置8fは、蒸留水を選択装置8hに排水する。第2イオン交換装置8gは、アンモニアトリッピング装置8cから供給された処理水に含まれる無機イオンをイオン交換膜によって除去する装置である。この第2イオン交換装置8gは、イオン交換膜の透過水を選択装置8hに排水する。
【0025】
選択装置8hは、上記第1イオン交換装置8e、第2蒸留装置8f、第2イオン交換装置8gあるいはアンモニアトリッピング装置8cのいずれか1つを択一的に選択する装置である。この選択装置8hは、自らが選択した装置から供給される透過水、蒸留水あるいは処理水をボイラ水として上記ボイラ2に供給する。
【0026】
なお、上記第1蒸留装置8d及び第2蒸留装置8fは、ガス化ガス製造システムの全体的なエネルギー効率を向上させるために、ガス化炉1の排熱を利用して蒸留処理を行うことが好ましい。
【0027】
次に、本ガス化ガス製造システムの動作について詳しく説明する。
本ガス化ガス製造システムでは、ガス化手段によって水蒸気を用いて可燃性原料からガス化ガスが生成され、当該ガス化ガスはガス精製手段によって生成されることによって製品ガスとなる。そして、このガス精製手段によるガス化ガスの精製過程において各種の排水が発生するが、これら排水は、ガス精製手段の構成要素である排水処理装置8によってボイラ水として再利用できるまでに浄化されてガス化手段を構成するボイラ2に供給される。
【0028】
すなわち、直接冷却器4、間接冷却器5及びコンプレッサ6で発生した各排水は、排水処理装置8において最上流に位置する沈殿池8に順次供給される。このような排水は、水を主成分とするが、直接冷却器4においてガス化ガスと気液接触したものやコンプレッサ6において凝縮したもの等であり、ガス化炉1における生成過程や酸化改質炉3における酸化改質過程でタール成分や有機成分、また無機成分を不純物として含むものである。このような排水は、上記不純物に起因してボイラ2がボイラ水として要求する純度を下回るものである。
【0029】
一般的に、ボイラは低圧ボイラと高圧ボイラとに分類されるが、高圧ボイラは低圧ボイラよりも純度の高いボイラ水を必要とするように設計されている。また、このような分類に各々属するボイラにおいても設計仕様に応じてボイラ水に求められる純度(水質)は異なる。したがって、上記排水をボイラ水に利用するためには、不純物を除去することによりボイラ種別や設計仕様に応じて要求される純度まで排水を浄化する必要がある。
【0030】
本ガス化ガス製造システムの排水処理装置8において最上流に位置する沈殿池8aは、上記直接冷却器4、間接冷却器5及びコンプレッサ6から順次供給される排水を一定期間静置することにより当該排水に含まれる比較的沈殿し易い有機成分を沈殿させて分離除去する。しかしながら、沈殿池8aにおける有機成分の除去は必ずしも十分なものではないので、沈殿池8aの処理水(上澄み水)は、後段の凝集沈殿槽8bに導入されて凝集剤が添加され、残存する有機成分が強制的に凝集沈殿処理される。このような沈殿池8a及び凝集沈殿槽8bによって排水中の有機成分は、ボイラ2が要求するボイラ水の残存有機成分の許容値を満足するものとなる。
【0031】
そして、沈殿池8a及び凝集沈殿槽8bにおいて有機成分が除去された処理水は、アンモニアトリッピング装置8cにおいてボイラ2が要求するボイラ水の残存窒素成分の許容値を満足するように窒素成分がアンモニアとして分離除去される。そして、アンモニアトリッピング装置8cにおいて窒素成分が除去された処理水は、第1蒸留装置8d、第2蒸留装置8fあるいは第2イオン交換装置8gで択一的に処理されることによりタール成分等の固形物除去あるいは無機イオン除去が行われた後に、選択装置8hからボイラ2にボイラ水として供給される。
【0032】
すなわち、アンモニアトリッピング装置8cから第1蒸留装置8dに供給された処理水は、当該第1蒸留装置8dでタール成分等の固形物が除去され、さらに第1イオン交換装置8eにおいて無機イオンが除去された後に、選択装置8hを介してボイラ2にボイラ水として供給される。一方、アストリッピング装置8cから第2蒸留装置8fに供給された処理水は、当該第2蒸留装置8fでタール成分等の固形物が除去された後に、選択装置8hを介してボイラ2にボイラ水として供給される。一方、アンモニアトリッピング装置8cから第2イオン交換装置8gに供給された処理水は、当該第2イオン交換装置8gにおいて無機イオンが除去された後に、選択装置8hを介してボイラ2にボイラ水として供給される。
【0033】
選択装置8hは、このような3つの処理経路であられたボイラ水とアンモニアトリッピング装置8cから排出された処理水をそのままボイラ水とする処理経路のうち、ボイラ2がボイラ水として要求する純度(水質)を満足する処理経路で処理された処理水を選択してボイラ2に供給する。すなわち、第1蒸留装置8dと第1イオン交換装置8eとからなる処理経路(第1処理経路)は、タール成分等の固形物と無機イオンとの両方を除去するものなので、3つの処理経路のうち最も純度の高い(水質が最も良好な)ボイラ水をボイラ2に提供できるものである。
【0034】
一方、第2蒸留装置8fからなる処理経路(第2処理経路)は、タール成分等の固形物のみを除去するものであり、よって第1処理経路を経て生成されたボイラ水よりも無機イオンの残存量が多いボイラ水をボイラ2に提供するものである。一方、第2イオン交換装置8gからなる処理経路(第3処理経路)は、無機イオンのみを除去するものであり、よって第1処理経路を経て生成されたボイラ水よりもタール成分等の固形物の残存量が多いボイラ水をボイラ2に提供するものである。一方、アンモニアトリッピング装置8cから排出された処理水をそのままボイラ水とする処理経路(第4処理経路)は、第1処理経路を経て生成されたボイラ水よりもタール成分等の固形物及び無機イオンの残存量が多いボイラ水をボイラ2に提供するものである。
【0035】
このような本実施形態によれば、ガス化ガスの精製で発生した排水から有機成分を少なくとも除去するので、排水をボイラ水として有効活用することができる。また、選択装置8hによってタール成分等の固形物と無機イオンの除去処理を択一的に選択できるので、有機成分の除去に加えて、必要に応じてタール成分等の固形物あるいは/及び無機イオンが除去されたボイラ水をボイラ2に供給することができる。
また、本実施形態によれば、活性汚泥処理を利用することなく排水を処理するので、ガス化ガスの製造過程で発生した排水を安定して処理することをも目的としている。
【0036】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、例えば以下のような変形例が考えられる。
(1)上記実施形態では石炭を可燃性原料とし、この関係で排水にタール成分や有機成分、また無機成分が不純物としてまれるが、可燃性原料は石炭に限定されるものではない。ガス化炉1に供される可燃性原料としては、石炭の他に、例えば都市ごみ、産業廃棄物、汚泥、農業廃棄物等の各種廃棄物等の固形燃料やバイオマス等が考えられ、可燃性原料の性状に応じて排水に含まれる不純物は異なるので、タール成分や有機成分、また無機成分の他にボイラ水として不都合な成分(例えば塩素成分やシアン成分)を除去する装置を追加しても良い。
【0037】
(2)上記実施形態では、第1〜第4処理経路を選択装置8hで択一的に選択するようにしたが、本発明はこれに限定されない。例えば排水処理装置8を沈殿池8a、凝集沈殿槽8b及びアンモニアトリッピング装置8cのみから構成するようにしても良く、また沈殿池8a、凝集沈殿槽8b及びアンモニアトリッピング装置8cに第1蒸留装置8d及び第1イオン交換装置8eのみを加えた構成、あるいは沈殿池8a、凝集沈殿槽8b及びアンモニアトリッピング装置8cに第2蒸留装置8fのみを加えた構成、あるいは沈殿池8a、凝集沈殿槽8b及びアンモニアトリッピング装置8cに第2イオン交換装置8gのみを加えた構成としても良い。
【0038】
(3)上記実施形態では、ガス精製手段を酸化改質炉3、直接冷却器4、間接冷却器5、コンプレッサ6、脱硫・脱CO装置7及び排水処理装置8によって構成するようにしたが、本発明はこれに限定されない。本発明の要旨は、ガス化ガスの製造過程で発生する排水をボイラ水とすることにあるので、排水をボイラ水とするために必要な装置以外の装置構成は種々の構成が取り得る。
【0039】
(4)上記実施形態では、排水処理装置8で得られる処理水をボイラ水としてボイラ2に供給するようにしたが、排水処理装置8が出力する処理水の量がボイラ2が必要とするボイラ水の量を上回る場合には、排水処理装置8が出力する処理水の一部を冷却水として酸化改質炉3、直接冷却器4、間接冷却器5に供給するようにしても良い。
【符号の説明】
【0040】
1…ガス化炉、2…ボイラ、3…酸化改質炉、4…直接冷却器、5…間接冷却器、6…コンプレッサ、7…脱硫・脱CO装置、8…排水処理装置、8a…沈殿池、8b…凝集沈殿槽、8c…アンモニアトリッピング装置、8d…第1蒸留装置、8e…第1イオン交換装置、8f…第2蒸留装置、8g…第2イオン交換装置、8h…選択装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボイラで生成した水蒸気を用いて可燃性原料をガス化するガス化手段と、
該ガス化手段で生成されたガス化ガスを精製するガス精製手段と、を具備し、
前記ガス精製手段は、ガス化ガスの精製から発生した排水に有機成分除去処理及び窒素成分除去処理を施すことにより前記ボイラに供するためのボイラ水を生成する
ことを特徴とするガス化ガス製造システム。
【請求項2】
前記ガス精製手段は、無機イオン除去処理あるいは蒸留処理のいずれか一方あるいは両方をさらに施すことを特徴とする請求項1記載のガス化ガス製造システム。
【請求項3】
前記ガス精製手段は、排水に有機成分除去処理を施す設備として、少なくとも凝集沈殿槽を備えることを特徴とする請求項1または2記載のガス化ガス製造システム。
【請求項4】
前記ガス精製手段は、排水に窒素成分除去処理を施す設備としてアンモニアトリッピング装置を備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のガス化ガス製造システム。
【請求項5】
前記ガス精製手段は、無機イオン除去処理を施す設備としてイオン交換膜を備えることを特徴とする請求項2〜4のいずれか一項に記載のガス化ガス製造システム。
【請求項6】
ボイラで生成した水蒸気を用いて可燃性原料からガス化ガスを生成し、該ガス化ガスに不純物を除去する精製処理を施すガス化ガス製造方法であって、
前記精製処理から発生した排水に有機成分除去処理及び有機成分除去処理を施すことにより前記ボイラに供するためのボイラ水を生成することを特徴とするガス化ガス製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−1686(P2012−1686A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−140505(P2010−140505)
【出願日】平成22年6月21日(2010.6.21)
【出願人】(000000099)株式会社IHI (5,014)
【Fターム(参考)】