説明

ガス均質化システム

ガス均質化のためのシステムおよびプロセスを開示する。これは、ガスの生成および下流側のアプリケーションにおける電気への変換の分野において応用できる。該均質化システムは、ガスの特徴(組成、流量、圧力、温度)における差異を最小限に留めることで、一定の品質を有するガスの定常流を下流側の機器に供給する。この均質化システムは、特定の端部アプリケーションに対して出力ガスの流れを最適化するために、または異なる投入原料に対して出力ガスの流れを最適化するために、調整することができる。これは、プロセスの費用効率を高く維持しつつ、全体的な変換効率が最大限となることを確実なものにする。かかる均一で、定常な出力ガスの流れは、発電(例えば、内部燃焼エンジンおよび燃焼タービンエンジンを用いて)、化学合成(例えば、エタノール、メタノール、水素、メタン、一酸化炭素、炭化水素等の化合物)、燃料電池技術、およびポリジェネレーション(polygeneration)プロセス(電気と合成燃料との併産に繋がるプロセス)の幅広い領域において広範囲に応用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスの産生(production)および下流側のアプリケーションにおけるエネルギーへの変換の分野に関する。具体的には、本発明は、実質的に一定の特徴を有するガスの定常流の生成において有用な、ガス均質化システムに関連する。
【背景技術】
【0002】
ガス化は、都市固形廃棄物(MSW)、または石炭等の炭素質原料の、可燃性ガスへの変換を可能にするプロセスである。ガスは、電気、蒸気を生成するために、または化学物質および液体燃料を産生(produce)するための基本原材料として、使用され得る。
【0003】
ガスの考えられる使用法として:内部処理および/またはその他の外部目的用の蒸気の産生のため、または、蒸気タービンによる電気の生成のためのボイラー内における燃焼;電気の生成のためのガスタービンまたはガスエンジン内における直接的な燃焼;燃料電池;メタノールおよびその他の液体燃料の産生;プラスチックおよび肥料等の化学物質の産生のためのさらなる原料として;別個の産業用燃料ガスとしての、水素および一酸化炭素両方の抽出;ならびにその他の産業上の用途が挙げられる。
【0004】
概して、ガス化プロセスは、炭素質原料を、制御および/または限定された量の酸素および任意選択で蒸気とともに加熱チャンバ(ガス化装置)内へ送給することからなる。過剰な酸素によって動作してCO、HO、SO、およびNOを産生する焼却または燃焼とは対照的に、ガス化プロセスは、CO、H、HS、およびNHを含む生ガス組成物を産生する。清浄化後、興味深い一次ガス化産物はHおよびCOである。
【0005】
有用な原料は、あらゆる都市廃棄物、産業活動によって産生された廃棄物、および生物医学的廃棄物、下水、汚泥、石炭、重油、石油コークス、重油精製残留物、製油所廃棄物、炭化水素汚染土壌、バイオマス、および農業廃棄物、タイヤ、ならびにその他の有害廃棄物を含み得る。原料の起源に応じて、揮発物は、HO、H、N、O、CO、CO、CH、HS、NH、C、また、アセチレン類、オレフィン類、芳香族類、タール類、炭化水素液(油)、および炭化物(カーボンブラックおよび灰)等の不飽和炭化水素を含む場合がある。
【0006】
原料を加熱したとき、発生する第1の成分は水である。乾燥原料の温度が上昇すると、熱分解が起こる。熱分解中、原料は熱で分解されて、タール類、フェノール類、および光揮発性炭化水素ガスを放出し、その一方で、当該原料は炭化物に変換される。
【0007】
炭化物は、有機および無機材料からなる残留固体を含む。熱分解後、炭化物は乾燥原料よりも高濃度の炭素を有し、活性炭素の源としての役割を果たし得る。高温(>1,200℃)で動作するガス化装置内、または高温ゾーンを有するシステム内において、無機鉱物質が溶解またはガラス化され、スラグと呼ばれる溶融ガラス状物質を形成する。
【0008】
スラグは溶解されガラス化された状態であるため、通常は無害であると考えられ、無害材料として埋立地において処分、または鉱石、路盤、もしくはその他の建設材料として販売され得る。加熱プロセスにおいて極度に燃料が無駄になること、ならびに、有用な合成ガスおよび固体材料に変換され得る材料を残留廃棄物として処分するのはさらに無駄であることから、廃棄材料を焼却によって処分することは、あまり望ましいことでなくなりつつある。
【0009】
ガス化プロセスを実現する手段は様々に異なるが、ガス化装置内の雰囲気(酸素濃度または空気もしくは蒸気含有量)、ガス化装置の設計、内部および外部加熱手段、ならびにプロセスの動作温度という4つの主要な工学的要因に依存する。産生ガスの品質に影響を及ぼす要因として、原料組成、調製、および粒径;ガス化装置加熱速度;滞留時間;乾燥またはスラリー送給システムのいずれを用いるか、原料反応物流動形状、乾燥灰またはスラグ鉱物除去システムの設計を含むプラント構成;直接的または間接的な熱生成および移送方法を使用するか;ならびに、合成ガス清浄化システムが挙げられる。ガス化は、通常、約650℃〜1,200℃の範囲の温度で、真空下、大気圧下、または最大約100気圧の圧力下のいずれかで実行される。
【0010】
ガス化プロセスによって産生された熱を捕捉し、そのような熱を利用して電気を生成するための多数のシステムが提案されており、一般に複合発電システムとして知られている。
【0011】
産生ガス中のエネルギーは、プロセスによってガス化システム全体に産生された相当な量の回収可能な顕熱と相まって、概してプロセスを駆動するために十分な電気を産生し、それによって局所的な電力消費の費用を軽減することができる。大量の炭素質原料をガス化するために必要な電力の量は、当該原料の化学組成に直接的に左右される。
【0012】
ガス化プロセスにおいて生成されたガスが、「低品質の」炭素質原料により低温ガス化装置内において生成される傾向がある種類のガス等、多種多様な揮発物を含む場合、当該ガスは概してオフガスと称される。原料の特徴およびガス化装置内における条件によって、COおよびHが支配的な化学種であるガスが生成される場合、当該ガスを合成ガスと称する。いくつかのガス化施設では、ガス品質コンディショニングシステムを冷却および清浄する前に、生オフガスまたは生合成ガスをより精製されたガス組成物に変換するための技術を用いる。
【0013】
材料をガス化するためにプラズマ加熱技術を利用することは、長年に渡って商業的に使用されてきた技術である。プラズマは、少なくとも部分的にイオン化され、ガス原子、ガスイオン、および電子で構成される、高温発光ガスである。プラズマは、このようにして、あらゆるガスによって産生され得る。ガスは、中性(例えば、アルゴン、ヘリウム、ネオン)、還元的(例えば、水素、メタン、アンモニア、一酸化炭素)、または酸化的(例えば、酸素、二酸化炭素)である可能性があるため、これによってプラズマ中における化学反応の優れた制御を与える。バルク相において、プラズマは電気的に中性である。
【0014】
いくつかのガス化システムでは、プラズマ熱を用いて、高温でガス化プロセスを駆動する、および/または、ガス状分子がプラズマ熱と接触した際におけるその他の投入物もしくは反応物の添加の有無にかかわらず、長鎖揮発物およびタール類をより小さい分子に変換、再構成、または再形成することにより、オフガス/合成ガスを精製し、それらのガスは、その構成原子に解離することになる。これらの原子の多くはその他の投入された分子と反応して新たな分子を形成することになり、一方、その他は自身と再結合する場合がある。プラズマ熱と接触している分子の温度が低下すると、すべての原子が完全に再結合する。投入ガスは化学量論的に制御され得るため、出力ガスは、例えば、相当レベルの一酸化炭素およびわずかなレベルの二酸化炭素を産生するように制御され得る。
【0015】
プラズマ加熱によって達成可能な超高温(3,000〜7,000℃)は、あらゆる形態または組み合わせの液体、気体、および固体を含む、受け取ったままの状態の廃棄物を含む事実上あらゆる投入原料が適応し得る、高温ガス化プロセスを可能にする。プラズマ技術は、すべての反応を同時に生じさせるために一次ガス化チャンバ内に位置付けられてもよいし(高温ガス化)、それらを順次に生じさせるためにシステム内に位置付けられてもよいし(高温精製を伴う低温ガス化)、その何らかの組み合わせであってもよい。
【0016】
炭素質原料のガス化中に産生されたガスは、通常、極めて熱いが、少量の不要な化合物を含有する場合があり、それを使用可能な産物に変換するために、さらなる処置を必要とする。炭素質材料が気体状態に変換されると、金属、硫黄化合物、および灰等の望ましくない物質をガスから除去することができる。例えば、ガス化中に産生されたガスから粒子状物質および酸性ガスを除去するために、多くの場合、乾式濾過システムおよび湿式スクラバが使用される。ガス化プロセス中に産生されたガスを処置するためのシステムを含む、多数のガス化システムが開発されている。
【0017】
これらの要因は、例えば、米国特許第6,686,556号、第6,630,113号、第6,380,507号、第6,215,678号、第5,666,891号、第5,798,497号、第5,756,957号、および米国特許出願第2004/0251241号、第2002/0144981号において記載されている種々の異なるシステムの設計において、考慮されている。また、米国特許第4,141,694号、第4,181,504号、第4,208,191号、第4,410,336号、第4,472,172号、第4,606,799号、第5,331,906号、第5,486,269号、および第6,200,430号を含む、種々の用途において使用するための、合成用ガスの産生のために石炭をガス化するための異なる技術に関する、多数の特許がある。
【0018】
先行技術のシステムおよびプロセスは、変化に応じて連続的に取り扱われなくてはならない課題に、十分に取り組んでこなかった。これらのタイプのガス化システムのいくつかは、ガス化反応から有用なガスを生成するプロセスを調整するための手段を説明している。したがって、プロセスの全体効率を最大化する様式で炭素質原料を十分にガス化することができるシステム、および/または、プロセス全体を含むステップを提供することは、当該技術分野において著しい進歩となるであろう。
【0019】
上述のとおり、ガス化システムからのガスは、ガスから電気という形態のエネルギーへの変換や、燃料電池もしくは化学原料等の化学的用途等の様々な用途に利用することができる。ガスを電流に直接変換するために使用される設備は、ガスタービンおよびガスエンジンを備える。これらの機器は、特徴の非常に限られた範囲内で機能するように設計されており、あるガスの特徴における変化に対して非常に敏感であることが多い。ガスの特徴における逸脱は、エンジン動作の効率に影響を及ぼすほかに、エンジン動作に悪影響を与える可能性がある。例えば、ガスの特徴における変化は、排出、効率、ノックおよび燃焼の安定性に影響を及ぼし、エンジンの維持要件を増加する可能性がある。従って、これらのガス利用機器は、ガスの特長が特定の限度内に維持されている場合に、最も効率よく作動する。
【0020】
例えば、化学組成、流速、温度、圧力、および相対湿度等、ガス化システムによって産生されるガスの特徴は、原料組成における変動や、例えば、ガス化プロセス中に起こる反応条件に起因して、経時的に自然と大きく変化する。ガスの特徴には1分ごとに変化するものもあり、2分ごとに変化する特徴もある。一定の特徴を有するガス定常流は、ガス組成が確実に均質になるようにガスが完全に混合され、温度、圧力、および流速等その他の特徴が調整された場合にのみ、産生される。
【0021】
米国特許第6,398,921号は、発電用の内部燃焼エンジンの使用における、燃料ガスの産生のためのガス化プロセスについて説明している。エンジンに燃料を供給する前に、燃料ガスは清浄化され、圧縮されて、制限サージ貯蔵用のタンクに貯蔵される。燃料ガスは、エンジンに必要な入口圧力まで調節されるが、燃料ガスはその他の特徴、つまりその組成については調節されない。従って、ガスの特徴(組成、流速、圧力、温度)における差異を最小限に留めることによって、下流側の機器から必要とされる一定の品質を有するガスの定常流を供給する、ガス均質化システムの必要性が残る。
【0022】
この背景情報は、出願者の考える既知の情報を、本発明にできるだけ関連性のあるものにする目的で提供される。前述した情報のいずれも、本発明に対する従来の技術から構成されることの承諾を、必ずしも意図するものでも、解釈されるものでもない。
【図面の簡単な説明】
【0028】
添付の図面を参照する以下の詳細な説明において、本発明のこれらおよびその他の特性はより明白になる。
【図1A】図1Aは、本発明の一実施形態に従ったガス均質化システムの説明図であり、ガスは単一源から単一の均質化チャンバへ配送された後に、ガスコンディショニングスキッドを経由して単一のエンジンへと配送される。
【図1B】図1Bは、本発明の一実施形態に従ったガス均質化システムの説明図であり、ガスは単一源から単一の均質化チャンバへ配送された後に、加熱器、フィルタ、および圧力調節弁を経由してエンジンへと配送される。
【図2】図2は、本発明の一実施形態に従ったガス均質化システムの説明図であり、ガスは単一源から単一の均質化チャンバへ配送された後に、加熱器ならびに複数のフィルタおよび圧力調節弁を経由して複数のエンジンへと配送される。
【図3】図3は、本発明の一実施形態に従ったガス均質化システムの説明図であり、ガスは複数の源から単一の均質化チャンバへ配送された後に、各エンジンがそれぞれのガスコンディショニングスキッドを有する複数のエンジンへと配送される。
【図4】図4は、本発明の一実施形態に従ったガス均質化システムの説明図であり、ガスは複数の源から単一の均質化チャンバへと配送された後に、各エンジンがそれぞれガスコンディショニングスキッドを有する複数のエンジンへと配送される。
【図5】図5は、本発明の一実施形態に従ったガス均質化システムの説明図であり、ガスは平行な2つの流れから複数のエンジンへと配送され、各流れは、単一の均質化チャンバへと配送される単一のガス源を備える。
【図6】図6は、本発明の一実施形態に従った一定体積均質化チャンバの説明図である。
【図7】図7は、本発明の一実施形態に従った可変体積均質化チャンバの設計および機能性の説明図である。
【図8】図8は、本発明の一実施形態に従った、圧力弁とコンプレッサとの組み合わせとして構成された均質化チャンバの説明図である。
【図9】図9は、本発明の一実施形態に従った、二重膜ガスホルダとして構成された均質化チャンバの説明図である。
【図10A】図10Aは、本発明の一実施形態に従った、吸収型ガスホルダとして構成された均質化チャンバの説明図である。
【図10B】図10Bは、吸収材料の設計を示す、吸収型ガスホルダの断面図である。
【図11】図11は、本発明の一実施形態に従った、地下一定体積大口径パイプとして構成された均質化チャンバの説明図である。
【図12】図12は、本発明の一実施形態に従った、並列に配置された複数の一定体積均質化チャンバを示す図である。
【図13】図13は、本発明の一実施形態に従った、ガス/液体分離器を示す図である。
【図14A】図14Aは、本発明の一実施形態に従った、圧力ブロワとして構成された通風誘導デバイスを示す図である。
【図14B】図14Bは、本発明の一実施形態に従った、真空ポンプとして構成された通風誘導デバイスを示す図である。
【図15】図15は、本発明の一実施形態に従ったガス化プロセスのフロー図である。
【図16】図16A〜図16Dは、本発明の実施形態に従った圧力調節デバイスを示す図である。
【図17】図17A〜図17Dは、本発明の実施形態に従った流量調節デバイスを表す図である。
【図18】図18は、本発明の一実施形態に従った制御弁を表す図である。
【図19】図19A〜図19Kは、本発明の実施形態に従った、圧力トランスミッタ用の取り付けおよびブラケットデバイスを示す図である。
【図20A】図20Aは、本発明の一実施形態に従った軸流コンプレッサを示す図である。
【図20B】図20Bは、本発明の一実施形態に従った往復動コンプレッサを示す図である。
【図20C】図20Cは、本発明の一実施形態に従った回転スクリューコンプレッサを示す図である。
【図20D】図20Dは、本発明の一実施形態に従った一段階遠心コンプレッサを示す図である。
【図20E】図20Eは、本発明の一実施形態に従った二段階遠心コンプレッサを示す図である。
【図21A】図21Aは、本発明の実施形態に従った、1.5”×2”から3”×4の逃がし弁機構を示す図である。
【図21B】図21Bは、本発明の実施形態に従った、4”×6”から12”×16”の逃がし弁機構を示す図である。
【図22】図22は、本発明の一実施形態に従った、ガス化複合発電(IGCC)パワープラントと液相メタノールプロセス(LPMEOHe)反応器とを組み合わせた、統合システムのフロー図である。
【図23】図23は、ガス化複合発電(IGCC)パワープラントおよびフィッシャートロプシュ(F−T)法による液体の併産が用いられた、本発明の一実施形態に従った統合システムのフロー図である。
【図24】図24は、本発明のある実施形態に従った一定体積均質化チャンバの説明図である。
【図25】図25は、本発明の一実施形態に従った、ガス制御システム(GCS)およびガス貯蔵タンクの説明図である。
【図26】図26は、本発明の一実施形態に従った、都市固形廃棄物(MSW)プラズマガス化プラントのフロー図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
定義
本明細書で使用される場合、「約」という用語は、記載される値から+/−10%の変動のことをいう。
【0030】
「ガスの組成」という用語は、ガス中の化学種の全体的な組成のことをいう。しかしながら、実際には、この用語は、概して下流側のアプリケーションに最も関連性のある化学成分の種および濃度を表現するために使用される。例えば、ガスタービンに好適であるガス組成は、概して合成用ガス中の窒素、一酸化炭素、二酸化炭素、水および/または水素の量で表される。また化学組成は、特定の化学種(すなわち「HSフリー」であるガス等、下流側のアプリケーションへ移送するのに望ましくない種)を欠損すると認識されてもよい。ガスを生成するために使用される原料の組成、ならびにガス化プロセス、ガス清浄化およびコンディショニングが実行される様式に依存して、ガスの化学組成は大きく異なってもよい。当業者には明白である文脈によって、ガスの組成は微量の要素を企図したり企図しなかったりする。
【0031】
「ガスの特徴」という用語は、化学組成、温度、圧力、流れの速度等を含む、ガスの該当する科学的および物理的な品質をいう。文脈によって、それには色、臭い等を含んでもよいことを当業者は理解するであろう。
【0032】
LHVは低位発熱量を意味する。
HHVは高位発熱量を意味する。
【0033】
本願において、「検知要素」という用語は、プロセス、プロセスデバイス、プロセス入力、またはプロセス出力の特徴を検知するように構成されたシステムの任意の要素を説明するものとして定義され、そのような特徴は、システムの1つ以上の局所的、領域的、および/または大域的プロセスを監視、調節、および/または制御する際に使用可能な特徴値によって表現され得る。ガス化システムの文脈の中で検知要素とみなされるものは、プロセス、流体および/または材料の温度、圧力、流量、組成、および/またはその他のそのような特徴、さらに、システム内における任意の所与の地点における材料の位置および/または性質、ならびに、システム内で使用される任意のプロセスデバイスのあらゆる動作特徴の検知のための、センサ、検出器、モニタ、アナライザ、またはそれらの任意の組み合わせを含み得るが、これらに限定されない。検知要素の上記の例は、それぞれガス化システムの文脈の中で関連するものであるが、本開示の文脈の中で具体的に関連するものでない場合もあるため、本願において検知要素として定義される要素は、これらの例を踏まえて限定および/または不適切に解釈されるべきではないことが、当業者には十分に理解されるであろう。
【0034】
本願において、「応答要素」という用語は、それと動作可能に関連付けられたプロセスデバイスを動作させるために、1つ以上の所定の、計算された、固定された、および/または調整可能な制御パラメータに従って、検知された特徴に応答するように構成されたシステムの任意の要素を説明するものとして定義され、1つ以上の制御パラメータは、望ましいプロセス結果を提供するものとして定義される。ガス化システムの文脈の中で応答要素とみなされるものは、静的な、事前設定された、および/または動的に可変のドライバ、動力源、ならびに、1つ以上の制御パラメータに基づいて、機械的、電気的、磁気的、空気圧式、油圧式の、またはそれらの組み合わせであってもよいアクションをデバイスに行わせるように構成可能なその他任意の要素を含み得るが、これらに限定されない。ガス化システムの文脈の中でプロセスデバイスとみなされ、それに対して1つ以上の応答要素が動作可能に連結され得るものは、材料および/または原料投入手段、プラズマ熱源等の熱源、添加剤投入手段、種々のガスブロワおよび/またはその他のそのようなガス循環デバイス、種々のガス流量および/または圧力調節器、ならびに、ガス化システム内のあらゆる局所的、領域的、および/または大域的プロセスに対して影響を及ぼすように動作可能なその他のプロセスデバイスを含み得るが、これらに限定されない。応答要素の上記の例は、それぞれガス化システムの文脈の中で関連するものであるが、本開示の文脈の中で具体的に関連するものでない場合もあるため、本願において応答要素として定義される要素は、これらの例を踏まえて限定および/または不適切に解釈されるべきではないことが、当業者には十分に理解されるであろう。
【0035】
別段の定義がない限り、本願において使用する全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されているものと同じ意味を有する。
【0036】
発明の概要
本発明は、下流側のアプリケーションの要件を満たすために、ガスの化学組成を均質化するための、そして流速、圧力、および温度等その他のガスの特徴を調整するための、均質化システムを提供する。調節ガスと呼ばれる、得られる出力ガスの流れは、実質的に連続的かつ定常であり、下流側のアプリケーションに好適である実質的に十分に制御された特徴を有する。
【0037】
本発明は、様々な大きさおよび形状を有する1つ以上のチャンバを備えるシステムを提供し、該チャンバの主な目的は、例えば、該当する科学成分の濃度における変動を減少することによって、一定のガスの出力流を得るためにガスの組成を均質化することである。出力ガス中の化学成分の濃度は、該当する化学成分の許容範囲内でのみ変化する。チャンバの形状は、固定屋根式または浮き屋根式の、標準的なガス貯蔵タンクから、大口径パイプまで及んでもよい。均質化チャンバについて考慮すべき重要な点は、ガスがその化学成分の十分な均質化を可能にするために不可欠な滞留時間を達成することを確実にする、その体積である。その他の考慮すべき点は、圧力および温度(特に周囲温度)を含む。
【0038】
ガスエンジンおよびガスタービン等の下流側のアプリケーションは、ガスの圧力および低位発熱量(LHV)のように、ガスの特徴の限定された変化率および限定された全体的な変化のみに耐えることが可能であり、その範囲外では、性能、信頼性、またはアプリケーションの排出が影響を受ける可能性がある。従って、アプリケーションの性能を最適化するために、差異をできる限り安定させることが有利である。本発明のシステムは、アプリケーションに許容された速度および範囲内のみで変化する、調節ガスを配送する能力を提供し、そうすることで、システムが実質的に費用効率が可能な限り最も高い様式においてエネルギーを産生することができる範囲内に、ガスの品質が留まるようになる。従って、一実施形態において、本発明の調節ガスは、ガスのLHVおよび圧力の変化率内にあるガスであり、LHVおよび圧力の全体的な変化が、下流側のアプリケーションの許容限度内であるガスである。
【0039】
ガス均質化システムに関連付けられたコンポーネントおよびプロセスを定義する前に、投入ガスおよび調節ガスの特徴の概要を以下に提供する。
【0040】
投入ガスの特徴
本発明の均質化システムに入るガスの組成は、ガス化プロセスによって決定される。ガス化プロセス中に行われる調整により、特定の端部アプリケーション(例えば、発電のためのガスタービン)に対してガスが最適化されること、または異なる原料、すなわち、石炭や都市固形廃棄物(MSW)のような異なる炭素源、からのガス生成に対してガスが最適化されることが可能になる。従って、ガスの組成は、ガス化プロセスの動作パラメータを調整することにより、使用される異なる種類の原料に従って、特定のエネルギー生成技術(例えば、特定のガスエンジンまたはガスタービン)、および最良の全体的な変換効率に合わせることが可能である。
【0041】
システムに入るガスは、ガス化システムから得られてもよい。投入ガスの好適な例は、ガス化装置、ガスコンディショニングシステム(Gas Conditioning System:GCS)、固体残渣ガスコンディショナ等から得られるガスを含む。一実施形態において、投入ガスは、HSスクラバ、HClスクラバまたは活性炭層から得られるクリーンガスである。
【0042】
ガス化システムから出るガスは、対象組成物の規定範囲内であってもよいが、原料の組成ならびに送給量、気流および温度の変動等のガス化プロセスにおけるばらつきのために、経時的にガスの特徴が変動してもよい。
【0043】
組成および差異
典型的に、ガス化システムを出る時のガスの主な組成物は、一酸化炭素、窒素、二酸化炭素、水素、および水である傾向がある。また非常に少量のメタン、エチレン、塩化水素および硫化水素が存在してもよい。
【0044】
異なる化学成分の正確な比率は、使用される原料の種類に依存する。例えば、石炭から産生されるガス(都市固形廃棄物と比較すると、概して炭素質原料の比較的等しい組成だと考えられる)は、特定の一連の動作条件下において、約26%の一酸化炭素、約11.5%の二酸化炭素、約28%の水素および約31%の水蒸気を生じる。亜瀝青炭のガス化(約23.1MJ/kgで25.1%の含水率に好適な組成を有する)は、別の一連の動作条件下において、それぞれ約18.2%、約6.9%、約17.8%および約15.1%の一酸化炭素、二酸化炭素、水素、および水を生じる。実際、泥炭から褐炭(水分およそ70%、エネルギー含量およそ8〜10MJ/kg)、黒炭(水分およそ3%、エネルギー含量約24〜28MJ/kg)、無煙炭(事実上水分はなく、エネルギー含量は最大約32MJ/kg)に及ぶ、異なる種類の石炭があり、各々が産生されるガスにおいて大幅なばらつきを呈してもよい。
【0045】
圧力および温度
ガス組成の制御と同様に、ガスの圧力および温度も、これらのパラメータを下流側のアプリケーションによって規定された許容限度内に維持するために、ガス化システムにおいて監視および制御することができる。しかしながら、これらの制御にも関わらず、ガスの圧力および温度の両方における変動は、典型的には経時的に発生する。圧力の場合、変動は1秒ごとに、温度では1分ごとに発生する可能性がある。本発明の一実施形態において、圧力の差異の限度は約0.145psi/秒を下回るように選択される。
【0046】
調節ガスの特徴
上述したとおり、本発明のガス均質化システムから出る調節ガスは、下流側のアプリケーションの仕様を満たす、実質的に安定した特徴を有する。典型的に、機器製造者は特定の機器に許容される要件および公差を提供する。ガスエンジンまたはガスタービンに対するかかるガスのパラメータは、当業者には既知である。本発明の一実施形態において、約30秒間に最大約1%の変化率を有するために、ガスエンジンは調節ガス組成のLHVを必要としてもよい。本発明の一実施形態において、最低でも約12%の水素を含有するガスであれば、ガスエンジンは約50BTU/scfという低いHHVのガスを許容することができる。本発明の一実施形態において、調節ガスは、タービンエンジンに使用するウォッベ指数(T(R度)/sq.rt(比重)として定義される)が設計値の+/−4%である必要がある。また、タービンエンジンは、約300Btu/scfの最小LHVおよび約475psigの最低圧力を必要としてもよい。本発明の一実施形態において、エンジンは、相対湿度が最大約80%である場合、露点温度プラス約20°Fを上回るか、またはそれに等しい、調節ガスの温度を必要とする。
【0047】
ガス均質化システム
上述したとおり、本発明は、ガスを収集し、均質化チャンバ内のガス組成の化学物質における変動を軽減するシステムを提供する。本発明のその他の要素は、下流側のアプリケーションにとって許容可能な範囲内になるように、流速、湿度、温度および圧力等のガスの特徴を任意選択的に調整する。そうすることで、システムは、ガスエンジンまたはガスタービンのような下流側のアプリケーションに配送される、実質的に一定の特徴を有するガスの連続的な流れを産生するために、ガスの特徴を調節する。またシステムは、プロセスのエネルギー論および出力を最適化するために、フィードバック制御システムを備えてもよい。
【0048】
図1Aは、調節ガスの産生のために、本発明の一実施形態に従って構成された、ガス均質化システム1を示す。ガス均質化システム1は、チラー110;ガス/液体分離器12;逃がし弁16および圧力制御弁18が接続された均質化チャンバ14;ガス/液体分離器22および加熱器24を備えるガスコンディショニングスキッド20;フィルタ26;および圧力調節弁28を備える。調節ガスは、後に好適な導管を通って、順次エンジン130へと方向付けられてもよい。
【0049】
図1Aの矢印が示すように、ガスは、ガスの温度が適切に調整されるチラー110から均質化システム1に入る。その後ガスは、ガスの湿度が調節される好適な導管手段によって、分離器12に配送される。続いて、ガスは、入口導管手段を経由して均質化チャンバ14に入る。いったん均質化チャンバ14に入ると、ガスは混合または混和され、安定した組成を有するガスになる。混合または混和されたガスのガス流速および圧力は、混合または混和されたガスが均質化チャンバから出る時点で、さらに調節される。その後、好適な導管手段が、混合または混和されたガスを、混合または混和されたガスの温度および湿度の調節が行われるガスコンディショニングスキッド20へと運ぶ。好適な導管手段によって運ばれた混合または混和されたガスは、フィルタ26により濾過され、圧力調節弁28により圧力が調節される。その結果生じた調節ガスは、下流側のアプリケーションの要件を満たし、好適な導管手段を通ってエンジン130に方向付けられてもよい。
【0050】
典型的には、ガスが生成されると、ガス化プロセスから均質化チャンバに運ばれる。均一な投入ガスの流速を確実にするため、通風誘導デバイスを採用してもよい。同様に、投入ガス流のガス組成、流速、温度および圧力等の要因が、該当する特徴の所望の範囲に適合していることを確実にするため、熟練の技術者には既知であるように、投入ガスは均質化の前に監視システムで監視されてもよい。これらの要因の分析結果を考慮して、ガスは均質化チャンバへと方向付けられる。
【0051】
図1Bは、本発明の一実施形態に従った、調節ガスの産生のために構成されたガス均質化システム100を示す。ガス均質化システム100は、チラー110;ガス/液体分離器112;逃がし弁116および圧力制御弁118が接続された均質化チャンバ114;加熱器124;フィルタ126;および圧力調節弁128を備える調節ガスは、後に好適な導管を通って、順次エンジン130へと方向付けられてもよい。
【0052】
図2は、本発明の一実施形態に従って構成され、調節ガスの産生のために構成されたガス均質化システム200を示す。ガス均質化システム200は、チラー210;ガス/液体分離器212;逃がし弁216および圧力制御弁218が接続された均質化チャンバ214;加熱器224;フィルタ232;一連のフィルタ226;一連の圧力調節弁228を備える。このように、ガスは単一源から得られ、調節ガスは、単一の均質化チャンバ214を経由して一連のエンジン230へと配送される。
【0053】
図3は、本発明の一実施形態に従って構成され、調節ガスの産生のために構成されたガス均質化システム300を示す。ガス均質化システム300は、チラー310;ガス/液体分離器312;逃がし弁316および圧力制御弁318が連結された均質化チャンバ314;各スキッドが、ガス/液体分離器322および加熱器324を備える、一連のガスコンディショニングスキッド320;一連のフィルタ326;および一連の圧力調節弁328を備える。このように、調節ガスは、単一の均質化チャンバ314および一連のガスコンディショニングスキッド320を経由して、単一源から一連のエンジン330へと配送される。
【0054】
図4は、本発明の一実施形態に従って構成され、調節ガスの産生のために構成されたガス均質化システム400を示す。ガス均質化システム400は、単一の均質化チャンバ414に送給される一連のチラー410および一連のガス/液体分離器412;各スキッドが、ガス/液体分離器422および加熱器424を備える、一連のガスコンディショニングスキッド420;一連のフィルタ426;および一連の圧力調節弁428を備える。このように、調節ガスは、複数のガス源から生成され、単一の均質化チャンバ414を経由して、一連のエンジン430へと配送される。
【0055】
図5は、本発明の一実施形態に従って構成され、調節ガスの産生のために構成されたガス均質化システム500を示す。ガス均質化システム500は、各流れは、チラー510、ガス/液体分離器512、均質化チャンバ514、加熱器524、およびフィルタ532を備える、平行する2つの流れであるコンポーネント500aおよび500bを備える。2つの流れ500aおよび500bからの調節ガスは、組み合わされ、一連のフィルタ526、および一連の圧力調節弁528を経由して、一連のエンジン530へと配送される。
【0056】
上の図は、ガス均質化システムの例示的な構成に関連するものであり、従って、決して本発明の範囲を限定することを意図するものではない。当業者には明白であるように、ガス均質化システムのその他の好適な構成は、下流側のアプリケーションの要件を満たす、調節ガスの生成において有用である。従って、かかる構成もまた本明細書において企図される。
【0057】
1均質化チャンバ
前述のとおり、本発明のガス均質化チャンバは、ガス化システムから産生されるガスを受け取って、均質化チャンバ内のガスの化学組成における変動を軽減するために、ガスの混合または混和を促進する。圧力、温度、および流速等、その他のガス特徴における揺らぎも、ガスの混合中に削減され得る。
【0058】
本発明の一実施形態において、チャンバの寸法は、チャンバのサイズを可能な限り実質的に最小化することを目的として、上流側のガス化システムの性能特徴および下流側アプリケーションの要件に準じて設計される。ガス均質化チャンバは、ガス化プロセスからのガスを受けて、外乱および/または揺らぎを抑制し、実質的に一貫した化学組成を有する大量のガスを達成するために、ガスの十分な混合または混和を可能にする一定の滞留時間の間、ガスを保持するように設計される。
【0059】
本発明の一実施形態において、均質化チャンバの寸法は、コンバータとアナライザサンプルプローブとの間のプロセス滞留時間を含むシステム総応答時間、ならびに、サンプルシステムのためのシステム総応答時間、分析、およびプラント制御システム(Plant Control System;PCS)までの送出時間に基づいて算出され得る。
【0060】
滞留時間
滞留時間は、ガスが下流側アプリケーションに方向付けられる前に均質化チャンバ内に残存する平均時間である。滞留時間は、受け入れられる公差値の範囲内のガス特徴を達成するために、ガス化反応における揺らぎの変化率の影響を抑制するための、関連するガス化システムの応答時間に略比例する。例えば、ガス組成物は、特定の下流側アプリケーションに許容されるガス組成公差の範囲内であるか否かを判断するため、さらに、ガス化プロセスに対して何らかの調整を施し、逸脱に合わせて調整するために十分長い時間、均質化チャンバ内に保持される。このようにして、システムは、高速プロセス遅延を有する上流側の制御によって、下流側アプリケーションの仕様を満たすことができるように、ガス特徴における変化率に影響を及ぼすことができる。一実施形態において、滞留時間は、約1%の低位発熱量(Lower Heating Value;LHV)/30秒における最大変化および約0.145psi/秒の圧力における最大変化によって判断される。
【0061】
均質化チャンバ内のガスの滞留時間は、ガス特徴における変動の量によって判断される。すなわち、ガス特徴における変動の量が小さいほど、この変動を補正するために均質化チャンバ内において必要とされる滞留時間は短くなる。
【0062】
本発明の異なる実施形態に応じて、滞留時間は約1分未満〜約20分の間で変動し得る。一実施形態において、滞留時間は約15〜約20分の範囲である。一実施形態において、滞留時間は約10〜約15分の範囲である。一実施形態において、滞留時間は約5〜約10分の範囲である。本発明の一実施形態において、滞留時間は約3〜約5分の範囲である。本発明の一実施形態において、滞留時間は約1〜約3分の範囲である。本発明の一実施形態において、滞留時間は約1分未満の端数からの範囲である。
【0063】
一実施形態において、滞留時間は約20分である。一実施形態において、滞留時間は約18分である。一実施形態において、滞留時間は約15分である。一実施形態において、滞留時間は約13分である。一実施形態において、滞留時間は約10分である。一実施形態において、滞留時間は約8分である。一実施形態において、滞留時間は約6分である。一実施形態において、滞留時間は約4分である。一実施形態において、滞留時間は約3分である。一実施形態において、滞留時間は約2分である。一実施形態において、滞留時間は約1分である。一実施形態において、滞留時間は約1分未満である。
【0064】
体積容量
前述のように、均質化チャンバの体積容量は、特定の下流側アプリケーションに必要な滞留時間および原料の不均質性により予測される揺らぎに関連する。本発明の一実施形態において、可変ガス容積は、約0〜290mの範囲である一実施形態において、可変ガス容積は、約0〜1,760mの範囲である。一実施形態において、可変ガス容積は、約0〜2,050mの範囲である。一実施形態において、可変ガス容積は、約0〜30,000mの範囲である。本発明の一実施形態において、均質化チャンバは、約290mの最大容量を有する。一実施形態において、均質化チャンバは、約1,800mの最大容量を有する。本発明の一実施形態において、均質化チャンバは、約2,300mの最大容量を有する。本発明の一実施形態において、均質化チャンバは、約30,000mの最大容量を有する。
【0065】
設計圧力ならびに低圧および高圧チャンバ/システムの可能性
選択された下流側アプリケーションは、均質化チャンバの動作圧力に直接的に影響を与えることができる。例えば、ガスエンジンは、約1.2〜3.0psigのガス圧力を必要とし、一方、ガスタービンは、約250〜600psigのガス圧力を必要とするであろう。それに対応して、選択されたアプリケーションに必要な動作圧力に適応するために、均質化チャンバの機械設計圧力が算出される。一実施形態において、均質化チャンバは、ガスエンジンにおいて使用するためのガス圧力を維持するのに適した機械設計圧力を有する一実施形態において、均質化チャンバは、ガスタービンにおいて使用するためのガス圧力を維持するのに適した機械設計圧力を有する。一実施形態において、均質化チャンバは、約5.0psigの機械設計圧力を有する。本発明の一実施形態において、均質化チャンバは、約10.0psigの機械設計圧力を有する。本発明の一実施形態において、均質化チャンバは、約25.0psigの機械設計圧力を有する。本発明の一実施形態において、均質化チャンバは、約100〜約600psigの範囲の機械設計圧力を有する。
ガスエンジン等の下流側アプリケーションの要件を満たすために、低圧力システムはガスタービン等のその他のアプリケーションよりも有利となり、この場合、より高圧のガス流がより適切となることも、当業者であれば十分に理解できる。
【0066】
設計温度
均質化チャンバは、収容されているガス、および下流側アプリケーションの仕様に適応する機械設計温度公差を有する。一般に、これらの温度は、−約40℃〜約300℃の範囲となるであろう。本発明の一実施形態において、チャンバの機械設計温度は、−約37℃〜約93℃の範囲である。
【0067】
均質化チャンバの種類および形状
当業者であれば、上記で論じた均質化システムの機能要件が満足されるという条件で、均質化チャンバは種々の形状で形成され得ることを十分に理解するであろう。当業者は、チャンバの形状およびサイズが、上記で論じたように、特定の設計に必要なガススループットおよび滞留時間に左右されることも十分に理解するであろう。均質化チャンバのタイプを選択する上で、コストおよび保守がさらなる検討事項である。
【0068】
異なるタイプの均質化チャンバとしては、ガス留と、ガスホルダと、標準的な燃料タンクおよびサージタンク等の可変容積および固定容積のタンクとを含むがこれらに限定されない。このように、本発明の一実施形態に従って、均質化チャンバは、標準的な燃料タンクである。本発明の一実施形態に従って、均質化チャンバは、サージタンク等の固定容積のタンクである。本発明の一実施形態に従って、均質化チャンバは、可変容積のタンクである。本発明の一実施形態に従って、均質化チャンバは、ガス留またはガスホルダである。
【0069】
図6を参照すると、本発明の一実施形態に従った均質化チャンバ614は、固定体積タンク600、ガス入口640、ガス出口642、ガス逃がし出口644、排水口646、1つ以上の圧力/温度ノズル648および1つ以上のレベル切替ノズル650を備える。タンク600の排水口646は、円錐底排出システム647の機能であり、寒冷地で凝縮液の凍結を防ぐために、絶縁手段または浸漬ヒーター等その他の好適な手段に関連付けられていてもよい。任意選択的に、タンク600は、ガスの混合を強化するために羽根またはバッフルを備え、その選択、形状、数および設置は当業者に理解される。
【0070】
図7を参照して、本発明の一実施形態に従った均質化チャンバ714をここに説明する。均質化チャンバ714(浮き屋根式の均質化チャンバとしても知られる)は、圧力における小さな変動に対応することが可能である。均質化チャンバ714は、ガス入口751を有する可変体積タンク700、およびピストン752に接続されたダイヤフラム753(ともにタンクの体積を減少または増加させる役割を果たす)を備える。
【0071】
図8を参照して、本発明の一実施形態に従った均質化チャンバ814をここに説明する。均質化チャンバ814(圧力容器としても知られる)は、ガス出口854およびガス入口856を備える。ガス入口は、圧力容器800に貯蔵される前にガスを圧縮する機能を果たす、コンプレッサ858に接続されている。ガスは圧力容器に貯蔵される前に圧縮されるため、圧力容器は従来の低圧タンクより小さくてもよいことを、当業者は、容易に理解するであろう。
【0072】
図9を参照すると、本発明の一実施形態に従った均質化チャンバ914は、ガス入口968およびガス出口970に接続され、内側の膜960および外側の膜962によって画定された、ガス収容チャンバ900を備える。ガスが収容チャンバ900から出る際、外膜962と関連付けられたブロワ964は、膜間の領域965に膨張を提供する。収容チャンバ900にガスが添加されると、膨張された領域965の圧力を調整器967が調整する。
【0073】
図10Aを参照して、本発明の一実施形態に従った均質化チャンバ1014をここに説明する。この実施形態では、均質化チャンバ1014は、ガス入口1072およびガス出口1074を有する一定体積タンク1000から成る、吸収型ガスホルダである。典型的には、吸収剤の高密度貯蔵のために、ガス吸収ホルダは従来の低圧貯蔵タンクよりも少ない空間を占める。図10Bは、ガス分子を吸収する役割を果たす、タンク1000の断面図を示す。
【0074】
図11を参照して、本発明の一実施形態に従った均質化チャンバ1114をここに説明する。この実施形態では、均質化チャンバは、必要な滞留時間を提供するための大きさの直径を有するパイプである。固定体積のパイプ1100は、ガス入口手段1180およびガス出口手段1182を備える。この均質化チャンバの実施形態は、ガスを均質化するための最短滞留時間を必要とするアプリケーションに、特に適している。
【0075】
一般に、本発明の均質化チャンバは地上に位置する。しかしながら、審美的理由のために、または、燃料による地上の汚染を許可しない管轄区域において、均質化チャンバが地下に位置し得ることが検討されている。したがって、一実施形態において、均質化チャンバは地下にある。一実施形態において、均質化チャンバは地上にある。本発明の一実施形態において、均質化チャンバは、その一部が地下にあるように位置付けられる。
【0076】
本発明の均質化チャンバは、1つを超えるチャンバを有する均質化システムとして構成され得る、または、並列に流体的に相互接続された1つ以上の単一均質化チャンバとして構成され得ることがさらに検討される。図12は、各均質化チャンバ1214が、単一のガス入口マニホールド1290および単一のガス出口マニホールド1292に接続された、並行して設置された複数の固定体積の均質化チャンバを示す。図12で使用されるような固定容積の均質化チャンバのぞれぞれは、システム全体について単一のガス入口および単一のガス出口があるという条件で、上記の実施形態の1つ、例えば、圧力容器、二重膜ガスホルダ、多重吸収型ガスホルダ等として独立に選択され得ることを、当業者であれば容易に十分理解するであろう。当業者であれば、所与の目的のためのそのような設計の適合性を解明することができるであろう。
【0077】
材料
ガス化システムからのガスは、毒性が高く可燃性である場合があり、ほとんどの場合、極端な温度変化、雨、日光、雪、風等の種々の環境条件にさらされる戸外に収納されることが知られている。したがって、均質化チャンバは、適切に安全な材料から製造されることになる。材料の限定的でない例としては、プラスチック(PVC)、鋼、ガラス繊維強化プラスチックまたは鋼等の複合材料、および合金鋼が挙げられる。適切な内面被覆を含む金属のように、これらの材料の組み合わせを含むガス均質化チャンバも本願において検討されている被覆された金属は、例えば、そのような被覆によって提供される付加的な環境保護により、地下に位置するそれらのチャンバに有用となり得る。被覆された金属は、政府の規制を満足するためにも必要とされ得る。
【0078】
均質化チャンバ内におけるガスの監視
当業者であれば、ガスが下流側の要件を満たすか否か、および、そのような要件を満足するためにはどのような調整が必要であるかを判断するために、ガス均質化プロセス中、投入されたガス特徴が監視されることを十分に理解するであろう。ガス特徴の監視は、均質化チャンバ内で、または、均質化チャンバへのガス配送前に、発生し得る。ガス監視設備は、検知要素、応答要素、ならびに、ガスの組成、流速、温度、および圧力を監視および/または調節することができるコントローラの形態をとり得る。
【0079】
ガスの特徴を監視することは、プロセス制御システムの役割であってもよい(図15および以下に示す制御システムのセクションを参照)。したがって、本発明の一実施形態において、産生されたガスがリアルタイムで分析され、必要な調整を施すためにガス化システムの動作が適宜調整される、フィードバックループが実装され得る。一実施形態において、均質化チャンバは、ガス組成、温度、流速、および圧力等のガス特徴を分析するための1つ以上の検知要素を備え、各検知要素の構成は、当業者には容易に理解されるであろう。例えば、温度は、熱電温度計、またはその他の温度センサフォーマットを使用して計測でき、圧力は、絶対圧センサ、ゲージ圧センサ、真空圧力センサ、差圧センサ、またはその他の圧力センサを使用して計測でき、流速は、流量計またはその他の流量センサを使用して計測でき、ガス組成は、音響特性に基づくガス組成センサ、または、容易に理解されるようなその他のガス組成センサを使用して計測できる。
【0080】
一実施形態において、特定の検知要素を、ガスの複数の特徴を計測するように構成してもよく、これらのタイプのセンサは、当業者によって容易に理解されるであろう。
【0081】
一実施形態において、均質化チャンバは、ガス組成、温度、流速、および圧力等のガス特徴を調節するために、1つ以上の応答要素への送出の命令を生成するように構成された1つ以上のコントローラをさらに含む。本文脈内で企図される応答要素は、上で定義および説明されるように、所与の関連する制御パラメータを調整することにより所与のプロセスに影響を及ぼすように構成された、プロセス関連デバイスに動作可能に連結された様々な制御要素を含むが、これらに限定されない。例えば、本文脈内において、1つ以上の応答要素を介して動作可能なプロセスデバイスは、流量弁、圧力弁、加熱器、ブロワ等を含むが、これらに限定されない。
【0082】
本発明の一実施形態において、フィードバックループに関連するフィードバックの頻度は、コントローラによって設定されたパラメータ、およびシステム内でこれらのパラメータが調整可能な速度に、直接依存してもよい。フィードバックの頻度は、監視される条件に依存して変化してもよく、またはフィードバックの頻度は、固定頻度もしくはランダムな頻度であってもよい。
【0083】
本発明の一実施形態において、チャンバ内の異なる場所でサンプリングするガス特徴の能力を提供し、それにより、その中のガスの均質性の評価のための手段を提供するために、均質化チャンバ内に複数の検知要素が位置付けられる。さらに、1つ以上の検知要素の正確な動作、例えば障害検出を確実にするために、均質化チャンバ内に1つ以上の冗長な検知要素を位置付けてもよいまた、一実施形態において、2つ以上の検知要素を使用して同じパラメータを評価してもよく、当該パラメータの計測値は、2つ以上の検知要素によって決定された読み出し間の相関として定義される。
【0084】
本発明の一実施形態において、コントローラは、ガスに関連する1つ以上のパラメータを変更する制御命令を決定するために、均質化チャンバに関連付けられた1つ以上の検知要素に動作可能に連結される。例えば、コントローラは、様々な種類の計算デバイス、コンピュータ、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、またはその他の計算デバイスの形式(コントローラに動作可能に連結された周辺デバイスからのパラメータを監視するための中央演算処理装置(CPU)および周辺入力/出力デバイスを含む)を1つ以上備えてもよい。例えば、周辺デバイスは、1つ以上の検知要素および/または1つ以上の応答要素を含んでもよい。また、これらの入力/出力デバイスは、コントローラに動作可能に連結された周辺デバイスと連絡したり、それを制御することを、CPUに許可することができる。コントローラは、メモリデバイスに動作可能に連結されてもよい。例えば、メモリデバイスはコントローラ内に統合されてもよく、あるいは好適な通信リンクを介して計算デバイスに接続されたメモリデバイスであってもよい。メモリデバイスは、電子的に消去可能なプログラム可能読み出し専用メモリ(EEPROM)、電子的にプログラム可能な読み出し専用メモリ(EPROM)、非揮発性ランダムアクセスメモリ(NVRAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、プログラム可能読み出し専用メモリ(PROM)、フラッシュメモリ、またはその他いずれのデータ保存用の非揮発性メモリとして構成されてもよい。均質化チャンバに関連付けられ、コントローラに連結され、CPUによる実行または処理のために提供されてもよい、1つ以上の検知要素を、監視または制御するために、メモリは、データを保存し、例えば、プログラムコード、ソフトウェア、マイクロコードまたはファームウェア等の命令を制御するために使用することができる。任意選択的に、コントローラは、該コントローラに連結された応答要素を制御するために、ユーザ指定の動作条件を制御信号に変換する手段を提供する。コントローラは、例えば、当業者には周知であるように、キーボード、タッチパッド、タッチスクリーン、コンソール、視覚または音響入力デバイス等のユーザインタフェースを経由して、ユーザ指定のコマンドを受信することが可能である。
【0085】
制御システム
本発明の一実施形態において、図15に例示されるような制御システムは、本明細書に開示される様々なシステムおよび/またはサブシステムに実装された、および/または、それらによって実装される、1つ以上のプロセスを制御するために、および/または、かかるプロセスに影響を与えるために、本明細書で企図される1つ以上のプロセスデバイスの制御を提供するために、提供されてもよい。概して、制御システムは、所定のシステム、サブシステム、もしくはコンポーネントに関連する、および/または、その中でもしくはそれと共同して、本発明の様々な実施形態が行われてもよい、ガス化システムのようなシステム内に実装された1つ以上の大域的プロセスに関連する、様々な局所的および/または領域的なプロセスを動作可能に制御することができ、規定の結果を得るためにこれらのプロセスに影響を及ぼすように適合した、様々な制御パラメータを調整する。従って、様々な検知要素および応答要素は、制御システム中に、またはその1つ以上のコンポーネントに関連して分配されてもよく、様々なプロセス、反応物および/または産物の特徴を取得するため、これらの特徴を、所望の結果を達成することにつながるかかる特徴の好適な範囲と比較するため、そして、1つ以上の制御可能なプロセスデバイスを介して、1つ以上の進行中のプロセスに変更を実行することにより応答するために、使用される。
【0086】
制御システムは、概して、例えば、実装されたシステム、プロセス、そのために提供されるインプット、および/またはそれによって生成される出力に関連する、1つ以上の特徴を検知するための1つ以上の検知要素を備える。1つ以上の計算プラットフォームは、検知された特徴を表す特徴値にアクセスするために、これらの検知要素に通信可能にリンクされ、これらの特徴が、選択された動作および/または下流側の結果に好適であると特徴付けるために定義された、かかる値の所定範囲と特徴値を比較するように、そして特徴値をこの所定範囲に維持することにつながる1つ以上のプロセス制御パラメータを計算するように、構成される。複数の応答要素は、従って、システム、プロセス、入力および/または出力に影響を及ぼすように動作する、1つ以上のプロセスデバイスに動作可能にリンクされてもよく、それによって検知された特徴を調整し、算出されたプロセス制御パラメータにアクセスし、それに従ってプロセスデバイスを操作するために、計算プラットフォームに通信可能にリンクされてもよい。
【0087】
一実施形態において、制御システムは、フィードバック、フィードフォワードおよび/または炭素質原料のガスへの変換に関連する様々なシステム、プロセス、入力および/または出力の予測制御を提供し、それに関連して実行される1つ以上のプロセスの効率を促進する。例えば、様々なプロセスの特徴は、これらのプロセスを左右するように評価および制御可能に調整されてもよく、当該特徴は、発熱量および/または原料の組成、産生ガスの特徴(例えば、発熱量、温度、圧力、流量、組成、炭素含有量等)、かかる特徴に許容される変動の度合い、および入力コスト対出力値を含んでもよいが、これらに限定されない。熱源出力、添加剤送給率(例えば、酸素、酸化剤、蒸気等)、原料送給率(例えば、1つ以上の個別および/または混合原料)、ガスおよび/またはシステム圧力/流量調節器(例えば、ブロワ、逃がし弁および/または制御弁、フレア等)を含んでもよいが、これらに限定されない様々な制御パラメータに対する、継続的および/またはリアルタイムの調整は、1つ以上のプロセスに関連する特徴が、設計および/または下流側の仕様に従って評価および最適化される様式において、実行することができる。
【0088】
代替として、またはそれに加えて、制御システムは、適切な動作を保証するために、そして任意選択的に、規制基準が適用される場合には、実装されたプロセスがその基準内であることを確実にするために、所与のシステムの様々なコンポーネントの動作を監視するように構成されてもよい。
【0089】
一実施形態に従って、制御システムは、所与のシステムの総エネルギー衝撃を監視および制御にさらに使用されてもよい。例えば、所与のシステムは、例えば、実装された1つ以上のプロセスを最適化することにより、または再びこれらのプロセスによって生成されたエネルギーの回復(例えば、廃熱)を増進することにより、そのエネルギー衝撃が減少されるか、または再び最小限化されるように操作されてもよい。代替として、またはそれに加えて、制御システムは、制御されたプロセスを介して生成された産生ガスの組成および/またはその他の特徴(例えば、温度、圧力、流量等)を調整するように構成されてもよく、そうすることで、かかる特徴は、下流側での使用に好適であるばかりでなく、効率的および/または最適な使用のために実質的に最適化される。例えば、電気を産生するための所与の種類のガスエンジンを駆動するために、産生ガスが使用される実施形態において、これらの特徴が、かかるエンジンの最適な入力特徴に最も適合するように、産生ガスの特徴が調整されてもよい。
【0090】
一実施形態において、様々なコンポーネント内での反応物および/または産物の滞留時間に関する、あるいはプロセス全体における様々なプロセスについての、限度または性能ガイドラインが満足および/または最適化されるように、制御システムは所与のプロセスを調整するように構成されてもよい。例えば、上流プロセスの速度は、後に続く1つ以上の下流側のプロセスに実質的に対応するように制御されてもよい。
【0091】
また、様々な実施形態において、制御システムは、継続的および/またはリアルタイムで、所与のプロセスの様々な態様の順次および/または同時制御に適合することが可能である。
【0092】
概して、制御システムは、所有のアプリケーションに好適な、いずれの種類の制御システムアーキテクチャを備えてもよい。例えば、制御システムは、実質的に集中型の制御システム、分散型制御システム、またはそれらの組み合わせを備えてもよい。集中制御システムは、概して、種々のローカルおよび/またはリモート検知デバイスと通信を行うように構成される中央コントローラと、制御されているプロセスに関連する種々の特徴をそれぞれ検知するように構成される応答要素とを備え、制御されたプロセスに直接的または間接的に影響を及ぼすように適合された1つ以上の制御可能なプロセスデバイスを介して、それに応答することになる。集中アーキテクチャを使用して、集中処理装置によりほとんどの計算が集中的に実装されるため、プロセスの制御を実装するために必要なハードウェアおよび/またはソフトウェアのほとんどは、同じ場所に位置する
【0093】
分散制御システムは、概して、局所的および/または領域的特徴を監視するために各検知および応答要素とそれぞれ通信を行うことができる2つ以上の分散コントローラを備え、局所的プロセスまたはサブプロセスに影響を及ぼすように構成された局所的および/または領域的プロセスデバイスを介して、それに応答することになる。種々のネットワーク構成を介して分散コントローラ間で通信を行うこともでき、第1のコントローラによって検知された特徴は、そこで応答するための第2のコントコーラへ伝達されることができ、そのような遠位の応答は、第1の場所で検知された特徴に対して影響を与える場合がある。例えば、下流側の産生ガスの特徴は、下流側の監視デバイスによって検知され、上流側のコントローラによって制御されるコンバータと関連付けられた制御パラメータを調整することによって調整され得る。分散アーキテクチャにおいて、コントローラ間に制御ハードウェアおよび/またはソフトウェアも分配され、この場合、同じではあるがモジュール構成された制御スキームが各コントローラにおいて実装され得る、または、種々の協調型のモジュラー制御スキームがそれぞれのコントローラにおいて実装され得る。
【0094】
あるいは、制御システムは、分離しているが通信可能にリンクされた局所的、領域的、および/または大域的制御サブシステムに細分され得る。そのようなアーキテクチャは、所与のプロセス、または一連の相関するプロセスを行い、その他の局所的制御サブシステムとの最小限の相互作用で局所的に制御することを可能にする場合がある。大域的マスタ制御システムは、続いて各それぞれの局所的制御サブシステムと通信を行い、大域的結果のために局所的プロセスに必要な調整を指示することができる。
【0095】
本発明の制御システムは、上記のアーキテクチャ、または当該技術分野において一般的に知られているその他任意のアーキテクチャのいずれを使用してもよく、それらは本開示の一般的範囲および本質の範囲内であるとみなされる。例えば、本発明の文脈において制御および実行されるプロセスは、適用する場合は、関連する上流または下流側のプロセスに使用されるいずれの集中型および/または遠隔の制御システムとの任意選択的な外部通信が行われる専用の局所的な環境において制御されてもよい。あるいは、制御システムは、領域的および/または大域的プロセスを共同で制御するために設計された領域的および/または大域的な制御システムからなるサブコンポーネントを備えてもよい。例えば、モジュール式制御システムは、必要に応じて領域的および/または大域的な制御のためにモジュール間通信を提供する一方で、制御モジュールがシステムの様々なサブコンポーネントを双方向に制御するように設計されてもよい。
【0096】
制御システムは、概して、1つ以上の集中型のネットワーク化および/また分散型プロセッサ、様々な検知要素から検知された最新の特徴を受信するための1つ以上の入力、および新しいまたは更新された制御パラメータを様々な応答要素に伝達するための1つ以上の出力を備える。また制御システムの1つ以上の計算プラットフォームは、様々な所定のおよび/または再調整された制御パラメータ、設定されたまたは好ましいシステムおよびプロセスの特徴の動作範囲、システム監視および制御ソフトウェア、動作上のデータ等を保存するための、1つ以上の局所的および/または遠隔のコンピュータ可読媒体(例えば、ROM、RAM、着脱可能媒体、局所的および/またはネットワークアクセス媒体等から成ってもよい。任意選択的に、計算プラットフォームは、シミュレーションデータおよび/またはシステムパラメータの最適化およびモデリング手段の処理を行うために、直接的または様々なデータ保存デバイスを介して、アクセスしてもよい。また、計算プラットフォームは、制御システムへ管理アクセス(システムの更新、維持、変更、新規システムモジュールおよび/または設備への適合等)を提供するための、1つ以上の任意選択的なグラフィカルユーザインタフェースおよび入力周辺機器のほか、外部ソースとデータおよび情報を伝達するための、様々な任意選択的な出力周辺機器(例えば、モデム、ネットワーク接続、プリンター等)を装備していてもよい。
【0097】
処理システムおよびいずれか1つのサブ処理システムは、ハードウェアのみ、またはハードウェアとソフトウェアとのいずれの組み合わせから成ってもよい。サブ処理システムのうちのいずれかは、例えば、Pコントローラ、Iコントローラ、PIコントローラ、PDコントローラ、PIDコントローラ等、0個以上の比例(P)、積分(I)、または微分(D)コントローラのいずれの組み合わせを備えてもよい。P、I、およびDコントローラの組み合わせの理想的な選択は、その組み合わせが制御することを意図するガス化システムの反応プロセスの一部の動特性および遅延時間、ならびに動作条件の範囲、そして組み合わせコントローラの動特性および遅延時間に依存することは、当業者には明らかである。これらの組み合わせは、検知要素を介して特徴値を継続的に監視することができ、該特徴値を特定値と比較して、各々の制御要素に応答要素を介して影響を与えて適当な調節を行い、観察値と特定の値との間の差異を低減することができる、アナログ配線の形態において実装可能であることは、当業者には明らかである。さらに、上記組み合わせは、ハードウェアとソフトウェアが混在するデジタル環境で実装可能であることは、当業者には明らかである。付加的な任意のサンプリング、データ収集、およびデジタル処理が対象とする効果は、当業者に周知である。P、I、Dの組み合わせ制御は、フィードフォワードおよびフィードバック制御スキームにおいて実装可能である。
【0098】
補正制御またはフィードバック制御では、適切な検知要素を介して監視される制御パラメータまたは制御変数の値は、特定の値または範囲と比較される。制御信号は、2つの値の間の変動に基づいて決定され、該変動を低減するために制御要素に提供される。従来のフィードバックまたは応答制御システムは、適応および/または予測コンポーネントを備えるようにさらに適合させてもよく、所与の条件に対する応答は、補償アクションにおける潜在的なオーバーシュートを制限する一方で、反応の応答を検知した特徴に提供するために、モデル化した反応、および/または以前に観察された反応に従って合わせてもよいことが理解されるであろう。例えば、所与のシステム構成に提供される取得データおよび/または過去のデータは、システムおよび/またはプロセスの特徴に対する応答を調整するためにともに使用されてもよく、該特徴は、以前の応答を監視して所望の結果を提供するように調整された最適値から所与の範囲内にあることが検知されたものである。かかる適合および/または予測制御スキームは当業者には周知であり、それ自体は本発明が開示する一般的な範囲および性質から逸脱するとは考慮されない。
【0099】
2)ガス入口機構および上流側コンポーネント
1つ以上の導管を備える入口手段は、ガスをガス化システムから均質化チャンバへと運ぶのに使用される。上述のとおり、システムの上流コンポーネントは、任意選択的に1つ以上のチラー、ガス/液体分離器、強制通風デバイス、温度および圧力コントローラを含んでもよいガス監視システム、および制御弁を含んでもよい。
【0100】
導管
ガスは、所定の温度および圧力でガスを運ぶように設計された導管を経由して、本発明のガス化システムから均質化チャンバへと移送される。これらの導管は、チューブ、パイプ、ホース等の形態をとることが可能であることを、当業者は理解するであろう。
図1を参照すると、本発明の一実施形態に従って、ガスは、単一のガス化システムから繋がる単一の導管を用いて、単一の均質化チャンバへと移送される。図4および図5を参照すると、本発明の実施形態に従って、ガスは、1つ以上のガス化システムから繋がる複数の導管を用いて、同時に1つ以上のガス化チャンバへと移送されてもよい。本発明の一実施形態において、複数のガス導管は、複数のガス化システムから複数の均質化チャンバへと、ガスを配送する。
【0101】
チラーおよびガス/液体分離器
1つ以上のチラーおよび/または1つ以上のガス/液体分離器を、本明細書に記載されるガス均質化システムに組み込む必要がある時を、当業者は理解するであろう。チラーシステムは当該技術分野において周知であり、これらに限定されないが、シェルアンドチューブ式もしくはプレートアンドフレーム式の熱交換器、またはその他の温度修正デバイスを含む。これらのシステムは、冷却水、冷蔵水、および/またはその他の好適な液体等、様々な冷却液を利用することができる。図13に示されるリザーバ型分離機のような、ガス/液体分離器も当該技術分野において周知である。
【0102】
強制通風デバイス
通常、ガスは生成された時点でガス化システムから抽出されるため、その流れは典型的に不均質である。ガス化システムが気圧未満の圧力で動作している時、強制通風デバイスが、均質化チャンバを通してガスを運ぶことができる。強制通風デバイスは、均質化チャンバより前であればいずれの場所に位置してもよい。当該分野において理解されるとおり、好適な通風デバイスは、これらに限定されないが、送風機および真空ポンプ、またはその他の流れ誘導デバイスを含む。一実施形態において、図14Aに示すような圧力ブロワは遠心ポンプと同様に機能し、ブロワの羽根が空気をブロワの中心に吸い込み、高い圧力で半径方向に空気を放出する。もう1つの実施形態において、図14Bに示す真空ポンプは、ブロワと同様に設計されているが、上流の圧力が実質的に真空である場合にのみ動作可能である。
【0103】
ガス均質化チャンバの前にあるガス監視システム
上に論じられるように、投入ガスの特徴は均質化チャンバ内で、あるいは投入前に監視することができる。一実施形態において、監視システムは入口手段の一部であってもよく、ガスの特徴の詳細な評価を提供することが可能な、1つ以上の検知要素等の自動化設備を備えてもよい。例えば、これらの特徴は、ガス圧および温度の継続的な監視、そして産生ガス流量および組成物の連続的な監視を含んでもよい。当業者は、ガスに関する上記情報を収集するために必要なサンプリングデバイスを、容易に理解するであろう。例えば、容易に理解されるように、温度は、熱電温度計またはその他の温度センサの形式を用いて測定することができ;圧力は、絶対圧力センサ、ゲージ圧力センサ、真空圧力センサ、差圧センサまたはその他の圧力センサを用いて測定することができ、流速は、流量計またはその他の流量センサを用いて測定することができ、ガス組成は、音響特性に基づくガス組成検出器、またはその他のガス組成センサを用いて測定することができる。
【0104】
一実施形態において、特定の検知要素は、ガスの複数の特徴を測定するように構成されてもよく、これらの種類の検知要素は当業者には容易に理解されるだろう。
【0105】
さらに、一実施形態において、監視システムは、プロセス制御システムの統合されたオンライン部分としてフィードバックシステムに動作可能に接続された、ガスを分析するための手段を含んでもよい(上記、制御システムのセクションを参照)。かかる統合オンラインガス分析によって提供される利点は、プロセス制御の微調整を行う能力、ならびに様々なガスのアプリケーションに対して強化された、制御および均質化能力である。
【0106】
ガス監視システムは、ガスの特徴を監視して、ガス組成、流速、圧力、または温度等の特徴の調整を行う必要がある時を決定するための検知要素を備える。異なる種類のかかる検知要素は、商業的に容易に入手可能であり、これらに限定されないが、流量計、熱電温度計、流速計、高温計、ガスセンサ、ガスアナライザ、またはその他の検知および測定デバイスを含む。
【0107】
一実施形態において、例えば、ガス圧等の特徴を調整する必要性が検知されると、流量弁を調節するために信号が応答要素へと送信され、均質化チャンバに入るガスの流速が低下または増加される。信号を生成して応答要素へ送信するための異なる種類の信号手段が用いられてもよい。例えば、容易に理解されるように、信号は、ラジオ波通信、赤外線通信、ブルートゥース(Bluetooth:登録商標)通信、有線もしくは無線通信、またはその他の通信技術を用いて送信されてもよい。
【0108】
本発明の一実施形態において、1つ以上のガス生成に関連するパラメータを修正するための制御命令を決定するために、コントローラは、1つ以上の検知要素および応答要素に動作可能に連結する。例えば、コントローラは、様々な種類の計算デバイス、コンピュータ、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、または、中央演算処理装置(CPU)、およびコントローラに動作可能に連結された周辺デバイスからのパラメータを監視するための周辺入力/出力デバイスを含むその他の計算デバイスの形式を、1つ以上備えることができる。例えば、周辺デバイスは、1つ以上の検知要素および/または1つ以上の応答要素を含んでもよい。また、これらの入力/出力デバイスは、CPUが、コントローラに動作可能に連結された周辺デバイスと通信し、制御することを許可することが可能である。コントローラは、メモリデバイスに動作可能に連結されてもよい。例えば、メモリデバイスは、コントローラに統合されてもよく、または、好適な通信リンクを介して計算デバイスに接続されたメモリデバイスであってもよい。メモリデバイスは、電子的に消去可能なプログラム可能読み出し専用メモリ(EEPROM)、電子的にプログラム可能な読み出し専用メモリ(EPROM)、非揮発性ランダムアクセスメモリ(NVRAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、プログラム可能読み出し専用メモリ(PROM)、フラッシュメモリ、またはその他いずれのデータ保存用の非揮発性メモリとして構成されてもよい。均質化チャンバに関連付けられ、コントローラに連結され、CPUによる実行または処理のために提供されてもよい、1つ以上の検知要素を、監視または制御するために、メモリは、データを保存し、例えば、プログラムコード、ソフトウェア、マイクロコードまたはファームウェア等の命令を制御するために使用することができる。任意選択的に、コントローラは、該コントローラに連結された応答要素を制御するために、ユーザ指定の動作条件を制御信号に変換する手段を提供する。コントローラは、例えば、当業者には周知であるように、キーボード、タッチパッド、タッチスクリーン、コンソール、視覚または音響入力デバイス等のユーザインタフェースを経由して、ユーザ指定のコマンドを受信することが可能である。
【0109】
ガス監視システムは、下流側のアプリケーションの一般的な基準を満足させるように、調節ガスの産生を制御するために使用される。そうでない場合は、ガスが基準に準拠するように、ガス化プロセスに適切な調整が行われる。代替として、またはガス監視設備と連携して、ガス入口手段は、非準拠のガス、すなわち下流側のアプリケーションの要件に満たないガスを、放出するためのダイバータ出口を備えてもよい。こうすることで、非準拠のガスは、例えば、図1〜図5に示されるフレアスタックのような、燃焼炉または焼却炉へ非準拠のガスを方向付けることができる、例えば、ダイバータを通って処分される。従って、ガス組成が、下流側のアプリケーションの要件から極端に外れた場合は、ガスを迂回させることができる。一実施形態において、本発明の入口手段は、ガス監視設備を含む。一実施形態において、入口手段は、ダイバータと共同して機能するガス監視設備を含む。
【0110】
圧力制御システム
本発明のいくつかの実施形態において、ガス入口手段は、均質化チャンバに入るガスの流速を制御する、ひいてはチャンバ内のガスの圧力を制御するための機構を、さらに備えてもよい。この圧力制御サブシステムは、当該技術分野において既知である従来の弁または停止システムを備えてもよい。圧力調節デバイスの制限されないいくつかの例を、図16A〜図16Dに示す。圧力制御システムは監視システムからの信号に応答し、ガスの流速を制御して、ガスを適切に方向付けることができる。一実施形態において、本発明の圧力制御は、準拠および非準拠のガスを均質化チャンバおよび燃焼炉もしくは焼却炉へ方向付けることができる、または、準拠および非準拠のガスを各々ガス化システムのガス化装置へ送ることができる、弁を含む。
【0111】
当業者には理解されるように、ガスの流れを制御するための好適な弁が所望される。図17A〜図17Dおよび図18は、各々、流量調節デバイスおよび制御源の、制限されない例を提供する。かかる流量調節デバイスおよび弁は、少なくとも約10%から約100%まで、ガスの流速を低下および増加させることができる。上述のように、ガスの流速は、コントローラを介して監視および調整される。例えば、本発明の一実施形態において、システム内の圧力が100%増加した場合、圧力制御機構は、この圧力を低下させるために必要なとおりブロワの1分間の回転数(RPM)を調整するために、ガスブロワに信号を送信することができる。
【0112】
ガス均質化システムとともに用いられる圧力トランスミッタ取付および装着デバイスも、本明細書に企図され、商業的に容易に入手可能である。それらの制限されない例を、図19A〜図19Kに提供する。)
【0113】
3)調節ガス出口機構および下流側コンポーネント
ガス均質化システムは、調節ガスを均質化チャンバから下流側のアプリケーション(例えば、ガスエンジンまたはガスタービン)へと移送するための出口手段を備えてもよい。出口手段は、調節ガスを均質化チャンバから下流側のアプリケーションへと運ぶための1つ以上の導管を備える。システムは、温度および圧力制御機構を含んでもよいガス監視システムを、任意選択的に含んでもよい。
【0114】
出口導管
調節ガスは、所定の温度および圧力でガスを運ぶように設計された調節ガス用の導管を経由して、均質化チャンバから下流側のアプリケーションへと移送される。これらの導管がチューブ、パイプ、ホース等の形態をとることができることを、当業者は理解するであろう。
【0115】
図1を参照すると、本発明の一実施形態に従って、調節ガスは、単一の均質化チャンバから単一の導管を用いて下流側のアプリケーションへと移送される。図2、図3、および図4を参照すると、本発明のその他の実施形態に従って、調節ガスは、複数の導管を用いて、単一の均質化チャンバから複数の下流側のアプリケーションへと移送されてもよい。
【0116】
本発明の一実施形態において、各々が対応する導管を有する複数の均質化チャンバは、調節ガスを共通の下流側のアプリケーションへと同時に配送する。本発明の一実施形態において、出口機構は、調節ガスを、複数の均質化チャンバから複数の下流側のアプリケーションへと配送する、複数の調節ガス用導管を含む。
【0117】
調節ガスの再利用も、本明細書で企図される。容易に理解されるように、均質化チャンバから得られた調節ガスは、例えば、完全なガス化システムの様々な好適な上流側の位置で、適切な導管システムを用いてシステムに再度入るように方向付けられてもよい。
【0118】
ガス監視システム
すでに説明したように、ガスが均質化チャンバに入る前に、または均質化チャンバに滞留中に、ガスを監視/制御するために、監視システムが使用される。同様に、監視システムは、調節ガスが下流側のアプリケーションへと配送される前に、調節ガスを監視するために使用されてもよい。こうすることで、特徴を確認して制御する役割を果たすことができる。
【0119】
そのため、調節ガスの出口手段は、検知要素、応答要素および/または、調節ガスのすべてもしくはいくつかの特徴(すなわち、組成、圧力、流速、および温度)を監視および/または調節する制御デバイスを、任意選択的にさらに1つ以上備えてもよい。例えば、コントローラは、調節ガスがリアルタイムで分析され、システムに関連する調整が行われる、フィードバックループを介して作用してもよい。本発明の一実施形態において、検知要素は調節ガスの圧力および流速を分析し、コントローラを介して分析されたデータから、調節ガスの流速を遅らせるために、または均質化均質化チャンバから余剰ガスを排出して燃焼させるために、信号が送信される。一実施形態において、検知要素は調節ガスの温度を分析し、調節ガスを下流側のアプリケーションに好適な温度に調整するために、コントローラは加熱器および/またはチラーに信号を送信する。
【0120】
上に論じられるように、ガス監視システムは、そこに関連付けられた1つ以上のコントローラを備えてもよい。一実施形態において、コントローラは、均質化チャンバ内のガスを評価するガス監視システムに関連付けられ、別のコントローラは、均質化チャンバに到達する前にガスを評価するガス監視システムに関連付けられる。この構成において、2つのコントローラは単独で動作することが可能であり、また、監視される場所のいずれかにおけるガスの状態を変更するために、接続された1つ以上の応答要素に対して命令を提供することが可能である。一実施形態において、これら2つのコントローラはスレーブ構成において動作しており、マスターコントローラは、これら2つのコントローラに動作可能に連結され、該マスターコントローラは、監視される場所におけるガスの特徴の、より効率的かつ無駄のない調整を可能にするため、上記2つのコントローラに命令を提供する。
【0121】
本発明の一実施形態において、ガス監視システムは、均質化チャンバ内のガスを評価するガス監視システムと、均質化チャンバに到達する前にガスを評価するガス監視システムと、に関連付けられた、1つ以上の検知要素および応答要素と動作可能に連結された、単一のコントローラを備える。この構成は、監視される場所におけるガスの特徴の、効率的かつ無駄のない調整を提供することもできるが、この単一コントローラの構成では、マスターコントローラおよびスレーブコントローラを用いた構成と比較すると、検知要素および応答要素との動作可能な接続がより複雑になる可能性がある。
【0122】
流量および圧力の調節
調節ガスの出口手段は、均質化チャンバから下流側のアプリケーションまでの、調節ガスの流速を制御するための手段をさらに備えてもよい。代替として作動するか、または出口手段で動作可能な制御システムと連携して、均質化チャンバの圧力が制御されてもよい。出口手段での圧力制御は、当該技術分野において既知である従来の弁または停止システムを備えてもよい。上に論じられるように、流速および圧力制御システムは、均質化チャンバから調節ガスが流出する時に、該ガスの特徴を監視するために用いられる、監視システムからの信号に応答する。例えば、制御システムは、1つ以上の応答要素を経由してガスの流速および圧力を制御するために調節することができる、圧力調節弁を備えてもよい。
【0123】
加熱器およびガス/液体分離器
調節ガスの出口手段は、均質化チャンバから調節ガスが流出する時に、該ガスを加熱するための手段をさらに備えてもよい。ガス/液体分離器を本発明のシステムに組み込むことが有利である時を、当業者は理解するであろう。
【0124】
ガスの温度および湿度に関する下流側のアプリケーションの動作要件は、調節ガスが下流側のアプリケーションへと移送される前に満たす必要がある対象温度を決定する。例えば、典型的にガスエンジンは、効率的に動作するために、約40℃を上回る温度および約80%以下の相対湿度を必要とする。図13は、リザーバ型ガス/液体分離器の一実施形態の例を提供する。当該システムとともに使用するための加熱器の制限されない例には、シェルアンドチューブ式、電熱式、グリコール水式の加熱器等を含む。当該システムとともに用いることのできる加熱器および分離器が商業的に容易に入手可能であることを、当業者は理解するであろう。
【0125】
フィルタ
典型的に、ガスエンジンおよびガスタービン等の下流側のアプリケーションは、ガス産生プロセスのいずれかの時点においてガスに入る可能性のある微量の要素に対して敏感である。このため、システムは、ガスの流速に対するフィルタの影響を実質的に制限する一方で、これらの潜在的に妨害となる汚染物質を排除するために、適切な細孔径を有する1つ以上のフィルタを備えてもよい。一実施形態において、フィルタは、エンジンへの共通ヘッダに関連付けられる。一実施形態において、各エンジンガストレーンは、各々フィルタを有する。
【0126】
一実施形態において、上述したフィルタリングの手法が両方とも用いられ、2段階フィルタリングプロセスとして構成されてもよい。
【0127】
圧力調節弁
調節ガスの出口デバイスは、下流側のアプリケーションに配送される前に、調節ガスの圧力を制御するための、圧力調節弁デバイスをさらに備えてもよい。
【0128】
ガスコンプレッサ
下流側のアプリケーションが、調節ガスに必要とされる、特定のガスの特徴を決定付けることを、当業者は理解するであろう。例えば、ガスエンジンの効率的な動作に必要なガス圧は、ガスタービンのそれとは異なる。上に論じられるように、ガスタービンは、比較的高いガス圧を必要とする。従って、高いガス圧を必要とするこれらの実施形態において、ガス加圧のための手段を均質化システムに含んでもよいことが企図される。ガス加圧デバイスは、当該技術分野において周知であり、図20A、図20B、図20C、図20D、および図20Eに各々示される、軸流コンプレッサ、往復動コンプレッサ、回転スクリューコンプレッサ、遠心コンプレッサ等、様々な設計のガスコンプレッサを含んでもよい。その他の実装は、当業者には理解されるように、斜流もしくは混流コンプレッサ、スクロールコンプレッサ、またはその他のガス加圧デバイスを含む。
【0129】
4)制御弁を有する緊急流出ポート
圧力制御システムは、制御弁を有する1つ以上の緊急流出ポートを付加的に備えてもよい。例えば上流側の誤動作、または下流側のガスエンジンの故障のために、ガス流量が迅速に低下できない場合は、緊急制御弁が開き、緊急流出ポートからガスを放出することができる。逃がし弁の制限されない2つの例を、図21Aおよび図21Bに各々示す。
【0130】
緊急弁は、ガス圧に著しい変化(約<1%)が起こらないように、迅速に開くことができる。緊急流出ポートおよび対応する弁は、本発明の均質化システム内のいずれの時点に位置してもよいことを、当業者は理解するであろう。一実施形態において、緊急流出ポートは、均質化チャンバ内に位置する。一実施形態において、緊急流出ポートは入口手段内に位置する。一実施形態において、緊急流出ポートは、出口手段内に位置する。
【0131】
ガス均質化システムのアセンブリ
ガス均質化システムのアセンブリには、様々な締結手段、コネクタ手段、装着および/または持ち上げ手段、基礎および/または係止手段、接地ラグ手段等の提供を必要とする可能性がある。かかる手段は商業的に容易に入手可能であること、およびそれらの設置についても、当業者は十分理解するであろう。
【0132】
下流側アプリケーション
本発明に従ったシステムは、規定の特徴を有する、実質的に連続的かつ定常なガス流である、調節ガスを生成するように構成される。この調節ガスは、1つ以上の下流側のアプリケーションへと配送され、次にこれらの1つ以上の下流側のアプリケーションに使用される。例えば、下流側のアプリケーションは、ガスタービン、燃焼エンジン、または調節ガスを動作に必要とする、その他の好適なアプリケーションであってもよい。
【0133】
燃焼タービンエンジン
本発明の一実施形態において、下流側のアプリケーションは、OをCOおよびHと組み合わせて、CO、HOおよびエネルギーを生成する燃焼タービンエンジンであり、該エネルギーは熱および圧力の形態をとる。燃焼プロセスの間にガスが膨張するにつれて、多段階出力タービン中に膨張し、軸流エアコンプレッサおよび発生器を駆動して電気を生成する。燃料ガス、つまり調節ガスは、燃焼が起こると、燃焼タービンの圧縮比とほぼ同一の圧力でガスタービンに送給されるように、十分なレベルまで加圧されなければならない。
調節ガスは、1つ以上の燃焼タービンエンジンに配送することができ、該調節ガスは、エンジンに配送される前に圧縮されてもよく、またはガス化プロセス全体が、調節ガスを必要な圧力で配送するために十分な所定の圧力で動作してもよい。調節ガスの圧力は、特定の燃焼タービンエンジンの圧縮比に依存して、約100〜600psigの範囲であってもよい。
【0134】
一実施形態において、調節ガスは、燃焼タービンエンジンの燃料システムに入る前に、処理設備および当該システムに関連付けられた配管で選別された可能性のある、いずれの微量の粒子状物質のを収集するために、さらにフィルタリングされてもよい。
【0135】
一実施形態において、必要に応じて、冷却および圧縮されたガスを事前に加熱するために予熱システムを利用してもよい。予熱システムは、当該システム内の代替の位置にあるガス冷却システムからの廃熱を使用するように構成されてもよい。例えば、廃熱は、例えばガスがガス化プロセスを出た後で冷却された時に、システムの上流から抽出することができる。また廃熱は、システムの下流から抽出されてもよく、またタービンから回収されてもよい。一実施形態において、廃熱は、システムの上流および下流の両方から抽出される。
【0136】
一実施形態において、調節ガスの予熱は、燃焼タービンエンジンの燃焼チャンバ内に導入される燃料ガスである清浄化された調節ガスの所望の温度を下回る温度になるように、ガス冷却システムが、調節ガスをスクラバに要求される温度まで冷却する場合に有用である可能性がある。一実施形態において、NOxの形成を制御するために、いくつかの燃焼タービンエンジンとともに蒸気注入を用いてもよく、この構成は、乾燥排出技術の代替を成してもよい。
【0137】
内部燃焼エンジン
本発明の一実施形態において、下流側のアプリケーションは、内部燃焼エンジンである。コンプレッサ、燃焼炉、およびガスタービンが内部燃焼エンジンに取って代わられることを除けば、内部燃焼エンジンは、上で論じられた類似するプロセスを用いてエネルギーを産生することができる。内部燃焼エンジンは、特に、小規模ガス化電子変換ユニット用のタービンと比較すると、利用しやすく、費用効率が高い可能性がある。空気および補助燃料は、燃料ガス、つまり調節ガスの組成に基づいて、所定の様式において内部燃焼エンジンに送給されてもよい。
【0138】
大幅に効率を向上し、かつ公害を減少するために、環境面で魅力的なガス化システム向けの、低排出内部燃焼エンジン発生器システムが提供されてもよい。例えば、火花点火式の内部燃焼エンジンは、非常に小さなユニットに使うのに安価であり、タービンに比べると始動および停止がしやすいので有利である。
【0139】
本発明の一実施形態において、所望する電力レベルの産生を円滑に行うため、特に始動する際に内部燃焼エンジンを稼動するために、補助燃料を使用してもよく、この補助燃料は水素を豊富に含んだガス、プロパン、天然ガス、ディーゼル燃料等であってもよい。必要な補助燃料の量は、例えば、ガス化する炭素質原料の低位発熱量および全体的なガス化システムの出力要件に依存して、変化してもよい。
【0140】
燃料電池技術
本発明の一実施形態において、下流側のアプリケーションは燃料電池である。PM、HCL、およびHS等の汚染物質を比較的高温(SOFC、約1000℃;MCFC、約650℃)で除去した後、高温燃料電池(例えば、固体酸化物燃料電池(SOFC)または溶融炭酸塩型燃料電池(MCFC))の要件を満足させる調節ガスを産生するために、ガス化システムからのガスを、ガス均質化システムに送給してもよい。燃料電池の性能劣化を防ぐために、汚染物質に関する厳しい条件を満足しなければならないため、蒸留側のガスコンディショニングシステム(GCS)の構成は、燃料電池の動作条件に適合するように変化してもよい。また、ガスおよび酸化物の組成も、高温燃料電池の効率または出力を最適化するために調整される必要がある。
【0141】
溶融炭酸塩型燃料電池(MCFC)は、LiAlOセラミックマトリックス中で安定化させたアルカリ(Li、Na、およびK)炭酸塩の組み合わせである、電解質を含有する従って、本発明の一実施形態において、ガス状投入燃料の混合物は、一酸化炭素、水素、メタン、および炭化水素を含むが、全炭化水素、粒子積み込み、硫黄(HSの形態で)、アンモニア、およびハロゲン(例えばHCl)は制限される。約1200°F(650℃)の動作温度では、塩混合物は液体であり、良好なイオン導電体である。
【0142】
MCFCの陰極処理は、電子を陰極に放出する一方で、水と二酸化炭素(CO)を産生する、電解質からの水素と炭酸イオン(CO)との間の反応を含む。陽極処理は、酸化流からの酸素およびCOを陽極からの電子と結合し、電解質に入る炭酸イオンを産生する。燃料ガス中のCO含有量が不十分である場合は、排気流からのCOを再利用することができる。本発明の一実施形態において、MCFCは、付加的な電気を生成するためにタービンへと送給されてもよい高圧流において使用できるほど、十分高温の過剰な熱を産生する。複合発電動作(蒸気タービンによる出力生成および燃料電池による発電)において、完成されたMCFCシステムに対する約60%の超過電気効率が企図される。
【0143】
固体酸化物燃料電池(SOFC)は、液体の代わりに硬質セラミック電解質を使用し、約1,000℃(約1,800°F)までの温度で動作する。この種類の燃料電池では、他の酸化物の組み合わせも電解質として使用されてきたが、酸化ジルコニウムと酸化カルシウムの混合物が結晶格子を形成する。固体電解質は、両側を特殊な多孔質電極材料でコーティングされている。比較的高い動作温度で、酸素イオン(負電荷を有する)が結晶格子を通って移動する。
【0144】
負の電荷を帯びた酸素イオンの流れが燃料を酸化するために電解質を横断して移動する一方で、水素および一酸化炭素を含有する燃料ガスは陰極を通過する。陽極では、通常空気から酸素が供給される。陰極で生成された電子は、外部負荷を通って陽極まで移動し、電流を運ぶ回路を完結する。
【0145】
本発明の一実施形態において、生成効率は約60%まで及んでもよい。溶融炭酸塩型燃料電池と同様に、固体酸化物電池は、「併産生」(“co−generation”)の機会(すなわち暖房および冷房、生産加工、またはより多くの電気を生成するための蒸気タービンの駆動に使用する蒸気を生成するための、廃熱を用いた熱と電力の複合アプリケーション)を提供する高い動作温度を必要とする可能性がある。
【0146】
(高温)燃料電池は、システムから提供される水素および(主にSOFCs中)および一酸化炭素を消費する。燃料ガスに含まれるメタンは、高温燃料電池において部分的に再形成され、再び水素および一酸化炭素になる。燃料電池を出るガス混合物は、依然として有用な量のメタンおよび一酸化炭素ガスを含んでいる可能性が高い。これらの高温ガスは、本発明の均質化システムへと方向付けられてもよく、または反応容器中で使用される蒸気の産生に使用することができる、より多くの熱交換器へと迂回させてもよい。
【0147】
代替的に、本発明の一実施形態に従って、高温であるが浄化されたガスは、合成ガスを異なる2つのガス流に分けるために、高温水素膜フィルタリングシステムに投入されてもよい。一方の流れは純粋な水素から成り、他方の流れは純粋な一酸化炭素(CO)から成る。本発明の一実施形態において、二酸化炭素(CO)の回収、およびその蒸気中の潜在的エネルギーの変換を促進するために、一酸化炭素は、ガス燃焼ボイラー内で燃焼してもよく、または、コンプレッサへと輸送されて容器に封入されてもよい。本発明の一実施形態において、水素(H)は、燃料電池内でエネルギーへと変換されてもよく、または、Hが安全に貯蔵または輸送されるように、コンプレッサへと輸送された後に、黒鉛ナノファイバ貯蔵媒体または無水アルミニウム貯蔵媒体のいずれかを収容する容器へと送給されてもよい。
【0148】
本発明の一実施形態において、水素送給ラインは、高温水素膜フィルタリングシステムから、燃料電池スタックの燃料供給としてそこに提供されてもよい。このシステムの燃料電池スタックは、典型的には、陰極で水素ガスを、陽極でCOを使用して電気を産生する、融解炭酸塩型である。ガス中に存在する一酸化炭素は、余分な水素および熱(約1500°Fまで)を産生し、蒸気、二酸化炭素、および水を産生するために回収することができる。
【0149】
一酸化炭素を、高温水素膜フィルタリングシステムから従来のガス燃焼ボイラーへと方向付けるために、一酸化炭素ラインが提供されてもよい。ガス燃焼ボイラーは、COおよびガス化システムによって製造されるCOの潜在的なエネルギー値が、より高いコスト効率で回収されるように、COを燃焼する。
【0150】
いくつかの上流側のガス化システムは、1つより多くの燃料または原料をボイラーに投入するように設計され、必要なまたは所望される出力生成の増加量に汎用性を提供する。付加的な燃料源の制限されない例は、天然ガスや、有機廃棄物の嫌気性消化から得られるガス(バイオガスとも呼ばれる)を含む。
【0151】
当業者には理解されるように、選択される特定の出力生成デバイスに依存して、発電機の効率を最大化するために、ガス化システム内で生成されるガスに加えて他の種類の燃料を含むことが有益である可能性がある。かかる任意選択的である付加的な燃料は、天然ガス、油、およびその他の従来の炭化水素ベース燃料を含んでもよい。任意選択的な燃料は、発電機が消費するBTUおよびエネルギーの大半を提供することを意図するものではなく、全体的なシステム効率を向上できる場合にのみ含まれることに、注目すべきである。従って、付加的な燃料は、典型的に当該システムの使用には必要ではない。
【0152】
本発明の一実施形態に従った代替の構成は、窒素酸化物、一酸化炭素、または未燃炭化水素の排出を大幅に減少したCOおよびHOの産生とともに、溶融炭酸塩型燃料電池の使用を許可するガス化システムを利用する。ここでは、水素とともに、一酸化炭素が燃料電池に送給される。これらの燃料電池は、溶融炭酸塩型であってもよく、または一酸化炭素を貴重な燃料として消費するその他の種類の燃料電池であってもよい。
【0153】
本発明の一実施形態において、下流側のアプリケーションは、冷却した純粋な水素を利用するプロトン交換膜燃料電池(PEMFC)スタックを含む。その他の燃料電池のように、当該燃料の化学エネルギーは、直接電気に転換される。電気は、以下の電気化学反応を介して生成される:
【0154】
陰極:2H=>4H+4e
陽極:O+4H+4e=>2H
【0155】
これらの反応は、典型的には低温(例えば、<100℃)で起こり、陽極の白金触媒層で水素が電子および正電荷を有する水素イオン(プロトンに)に分解し、プロトンがプロトン交換膜(電解質)を通過して、陽極触媒でそれらの電気化学的酸化が起こる。電解質(固体ポリマー膜)が水で飽和した場合は、陰極および陽極の流れを注意深く制御する必要がある。また、陰極側の低量のCO(例えば、約1ppmよりも高いレベル)およびHSの触媒毒が、水素の純度要件に影響を与える可能性がある。
【0156】
当業者には理解されるように、他の種類の燃料電池と比較して、PEMFCは、典型的に所与の体積および重量に対してより多くの電力を生成し、付加的に迅速な始動が可能である。従って、本発明の一実施形態に従った、PEMFCスタックの現段階での効率は約35〜45%の値を達成する。
【0157】
一実施形態において、当該システムは、タービンを駆動して電気を生成するために、水素ガスの使用を許可するように構成される。これは、合成ガスの高い燃焼温度により重要な内部コンポーネントを損傷することなく可能であり、窒素酸化物の排出を大幅に減少することにつながる。一実施形態において、高温水素膜からの水素は噴霧水注入システム内に投入されてもよく、エネルギーを機械力へと変換して電気を提供する発生器を駆動するためのガスタービンまたは内部燃焼エンジン内で、混合ガスが燃える前に脱イオン水が添加される。ここでは、水が内部温度を制限する働きをするため、重要な内部コンポーネントへの損傷を防ぐことができる。また、噴霧水注入システムは、かかる代替燃料を容易には大量入手できない可能性がある場所および/または時間に、本発明が、動作することを可能にする。また、注水噴霧器の使用は、合成ガスおよび/または代替燃料との混合物の高温での燃焼による亜酸化窒素の排出を、顕著に減少する可能性がある。
【0158】
ポリジェネレーション
本発明に従って、下流側のアプリケーションはポリジェネレーション(polygeneration)を含んでもよい。従って、ガス化システムからのガスは、ポリジェネレーションの要件を満足する調節ガスを産生するために、ガス均質化システムに送給されてもよい。ポリジェネレーションは、以下にさらに詳細に説明する電気と合成燃料の併産を伴い、石炭を用いる大規模なガス化複合発電(IGCC)プラントにおいて利用することができる。産生される潜在的な合成燃料は、エタノール、メタノール、ジメチルエーテル(DME)、およびフィッシャートロプシュ(F−T)法による液体(ディーゼル、ガソリン)を含む。
【0159】
i)電気とメタノールの併産
本発明の一実施形態において、ガス化システムから得られるガスに基づくシステムは、化学原料またはエネルギー担体のいずれかとして使用することができる、電気とメタノールの併産を可能にする。エネルギー担体として、メタノールは多くの潜在的用途を有する。メタノール(MeOH)は、将来のための、潜在的によりクリーンな代替燃料である。魅力的な可能性の1つとして、モバイルアプリケーション用の燃料電池における使用が挙げられる。メタノールは、容易に水素へと再形成することができ、水素よりも容易に貯蔵および輸送できる。
【0160】
本発明の一実施形態において、液相メタノールプロセス(LPMEOHe)とIGCCパワープラントとを組み合わせたシステム構成が企図される。典型的には、従来のガス相メタノール産生技術と比較すると、このシステムは1回反応器を通過させて高い合成ガス変換レベルに到達させることが可能であり、従来技術よりも精製コストが低い。また、かかるシステムは、広範囲のガス組成、特に一酸化炭素の豊富なガス混合物から、高品質メタノールを産生することができる。本発明の一実施形態に従って、図22は、メタノール/電気併産システムのプロセスフロー図を表す。
【0161】
ii)電気とイソブタノールの併産
ガソリン添加剤としてのメチル−t−ブチルエーテル(MTBE)およびその他の三級アルキルエーテルの需要が、それらを産生する代替経路に対する注目を集めてきた。本発明の一実施形態において、COの水素化を介したイソブタノール−メタノール混合物を合成するためのシステムが企図される。一実施形態において、イソブタノール合成において形成されるイソブタノール/メタノール混合物は、MTBEを得るための触媒を介しても反応することが可能である。
【0162】
iii)電気と炭化水素の併産
本発明の一実施形態に従って、ガス化プラントは、電気およびフィッシャートロプシュ(F−T)法による液体燃料を併産することができる。F−T反応における直接的なガス処理は、H/COの比率を増加させるための付加的なステップ(水性ガスシフト)の必要性を削除する。鉄F−T触媒のような触媒が持つ特有の水性ガスシフト作用は、H/CO比率の低い合成ガスの直接的なプロセスを可能にする。水性ガスシフト(WGS)反応は、鉄ベースの触媒を介したF−T反応の間に炭化水素の産生と同時に起こる。これらの2つの反応を以下に示す:
【0163】
F−TS:nCO+2nH〜(−CH−)+nH0(1)
WGS:CO+HO〜CO+H(2)
【0164】
F−TおよびWGS反応の相対的な程度は、炭化水素の最大産生量を得られるように最適化する必要がある。一実施形態において、F−T反応は、軽ガスから重質ワックス(>C0)まで及ぶ、多種多様な炭化水素を産生するとりわけ、クリーンディーゼル(C10−C15)およびガソリン(C−C12)を得ることができる。それらは硫黄または窒素を含有せず、芳香族化合物の含有量が非常に低く、燃料の発火性能が高いことを示す高いセタン価を有する。
【0165】
本発明の一実施形態に従って、図23は、統合されたIGCCおよびF−Tによる液体の併産システムを示す。
【0166】
化学合成
炭素質原料のガス化から得られるガスも、化学物質の豊富な源である。本発明の一実施形態に従って、ガスは高品位輸送燃料のような液体燃料、つまり化学および精錬産業における原料としての役割を果たす様々な石油化学製品へと再結合されてもよい。例えば、従来の燃焼とは反対に、二酸化炭素は、体積の大きい燃焼排ガス中に希釈されてではなく、濃縮した流れの中でガス化装置から出る。こうすることにより、二酸化炭素はより効率的に捕捉され、商業目的に使用されたり、または封鎖されたりすることが可能である。
上記のように、合成ガスは、化学合成や、純粋な一酸化炭素および水素回収のための原料に欠かせない成分として使用することができる。理論上のCO:H比率は、水素合成には1、エタノール産生には1、メタノール産生には0.5、およびSNG合成には0.33である。本プロセスは、比率1を得ようとすると非常に競争が激しいが、通常、コストをある程度増やせば、異なる比率を産生するように修正することが可能である。極めて多くの製品を産生することが可能である。主な製品の制限されない例には以下を挙げることができる:
・エタノール(CO/Hから直接、またはメタノールから)
・混合アルコール(CO/Hから直接、またはメタノールから)
・メタノール
・メチル化を介したSNG
・パラフィンおよびオレフィン、ディーゼル、およびガソリン(フィッシャートロプシュ合成)
・ベンゼン、トルーエン、およびキシレン(メタノールからのモービル法)
・エチレン(メタノールからのモービル法)
・エチレン(修正されたフィッシャートロプシュ法(すなわちRuhrchemie法)を介したCO/H
・エチレン(分解法を介したFTパラフィン)
・分離による水素および一酸化炭素
【0167】
i)エタノール
本発明に従って、ガスからエタノールを合成するためのプロセスが企図される。本発明の一実施形態において、当該プロセスは、高温で特定の触媒を用いることを伴う触媒転換をに関連する。触媒によって、エタノール、メタノール、およびその他の高級アルコールの混合物が得られ、蒸留によって対象となる産物(エタノール)が95%の純度で得られる。
【0168】
本発明の一実施形態において、当該プロセスは、特定のバクテリアの存在下において37℃前後の中程度の温度で起こる発酵変換(fermentation conversion)に関連する。
【0169】

CO+1/2HO=1/6COH+2/3CO

+1/3CO=1/6COH+1/2H
【0170】
ii)メタノール
本発明に従って、ガスからメタノールを合成するためのプロセスが企図される。本発明の一実施形態において、ガスからのメタノールの産生は、一酸化炭素および水素が反応してメタノールを形成する、接触水素化反応に関連する。この反応は50〜100atmおよび250〜300℃で起こり、当該分野において既知である選択性の高いメタノールが得られる。反応は以下の通りである:
【0171】
CO+2H→CHOH
【0172】
産生したメタノールは、酢酸、または様々な消費者製品の製造に用いられるその他の誘導体を産生するために、COとさらに反応させてもよい。このように、合成ガスから産生されるメタノールは、様々なその他の化学物質の貴重な原料としての役割(例えば、無水酢酸、酢酸メチル、およびテレフタル酸ジメチルの製造において)を果たす。本発明によって産生されるガスは、プラスチックや肥料産業においても使用することができる。
【0173】
メタノールは、燃焼による排出量の少ない液体であり、発電タービンを稼動させるために使用することが可能であるとともに、自動車およびその他の車両の燃料でもある。
【0174】
iii)水素
本発明に従って、ガスから水素を合成するためのプロセスが企図される。本発明の一実施形態において、水素は、2段階で商業用に合成することができる。合成ガスは、まず、以下の方程式に従って触媒的に変換される。CO+HO=CO+H第2段階では、第1段階で産生された水素を、低温分離、圧力スイング吸着法、または拡散によって精製する
【0175】
iv)一酸化炭素
本発明に従って、ガスから一酸化炭素を合成するためのプロセスが企図される。本発明の一実施形態において、一酸化炭素はガスから分離プロセスを用いて商業用に合成することができる。分離プロセスは、液相にある一酸化炭素の低温での濃縮および蒸留、または一酸化炭素の選択的な吸収に基づいてもよい。
【0176】
v)メタン(代替天然ガスまたはSNG)
本発明に従って、ガスからメタンを合成するためのプロセスが企図される。本発明の一実施形態において、ガスは、特定の触媒の存在下において、メタン(CO+3H=CH+HO)に水素化することができる。変換は、流動床または液相プロセスにおいて実施することができる。変換に使用される触媒は、通常、メタンに対して高選択性であり、ごく少量の炭化水素が形成されるだけである。
【0177】
vi)炭化水素―フィッシャートロプシュ合成
本発明に従って、ガスから炭化水素を合成するためのプロセスが企図される。本発明の一実施形態において、鉄、コバルト、またはルテニウムを含有する触媒を用いたの一酸化炭素の接触水素化が炭化水素を産生する。フィッシャートロプシュ(FT)合成は、メタンからガソリン、ディーゼル、ワックスまでに及ぶ、多種多様な炭化水素を提供することができる。
【0178】
FT技術は、化学および精錬産業において、その中でも、石炭のガス化によって産生されるガスからガソリンおよびディーゼル燃料を産生するために、周知の技術分野である。FT産物におけるプロセス設計の違いは、主として、化学反応を調整し所望の産物を産生するためのプロセス圧力、温度、およびカスタム触媒の使用に対する変化に起因するものである。
【0179】
典型的には、1回通過させて単一の産物(例えば、エタノール)を産生することは、FT触媒には不可能である。従って、エタノールの収率を増加させるために、また本発明の一実施形態に従って、蒸留によって産物(メタノール)を分離し、圧縮段階でメタノールをHおよびCOに再導入することが必要となる。何回か通過させる必要がある。
【0180】
本明細書に記載する本発明をさらによく理解するために、次の実施例を記載する。これらの実施例は、本発明の例示的な実施形態を説明することを意図するものであって、決して本発明の範囲を制限するものではないことを理解されたい。
【0181】
実施例
実施例1
本発明の一実施形態に従った均質化チャンバの特徴を、以下のように定義する。
【0182】
一実施形態において、均質化チャンバは、短期間で産生ガスを混和することが可能であるため、ガス品質におけるばらつきが実質的に最小限となる十分な貯蔵部を提供し、該均質化チャンバは、雪、雨、および風の負荷に曝露される屋外に位置する。
【0183】
機能要件
投入ガスは、非常に毒性が高く、また燃えやすい可能性があるため、均質化チャンバの設計に際して、以下の必要な安全機能を考慮することができる。
【0184】
例えば、均質化チャンバは、以下の機能要件を満たすように設計される。

【0185】
均質化チャンバの設計には、以下の2つの条件を考慮すべきである。
(1)入口流量なしの最大ガス出口流速
(2)出口流量なしの最大ガス入口流速
【0186】
貯蔵されるガス組成の一実施形態を以下の通り定義する。
【0187】

【0188】
本発明の一実施形態において、均質化チャンバは、以下の開口部が提供されるように構成される。
○36”マンホール1つ(シェル)
○36”マンホール1つ(屋根)
○18”フランジ1つ(ガス入口用)
○18”フランジ1つ(ガス出口用)
○均質化チャンバ頂部に1”フランジ付きノズル4つ
○均質化チャンバ頂部に3”フランジ付きノズル2つ
○均質化チャンバ頂部に4”フランジ付き接続部2つ
○均質化チャンバ頂部に6”フランジ付き接続部2つ
○均質化チャンバの底部に、2”排水口1つ
【0189】
本発明の一実施形態において、均質化チャンバは、以下の要件を満足するように構成される。
1)必要なすべての開口部およびマンホールカバー、ブランクフランジの提供。
2)検査のために必要なすべての支持部および保守プラットフォーム、検査のためのアクセス用はしごを提供。
3)均質化チャンバ用に必要な持ち上げフックおよび接地ラグの提供。
【0190】
本発明の一実施形態において、均質化チャンバは以下の環境条件を考慮して設計される。
【0191】

【0192】
建設材料
建設材料は、設計条件およびガス組成に基づくものとする。

【0193】
信頼性および保全性
検査およびメンテナンスのための適切なアクセスが提供される。均質化チャンバは、非常に信頼度が高く、使用されるすべてのガスケットおよびフランジは、動作中のいかなる故障をも回避するための適切な基準を満たす。
【0194】
品質保証
産物がすべての要件を満たすことを保証する品質システムは以下の通りである。
各システムは、概して産業環境において、非常に高い信頼性および可用性とともに、何年も動作することが可能である。一実施形態において、システムは信頼性のために設計されており(すべてのコンポーネントに対する適切なディレーティングを含む)、インタフェース要件を含むすべての使用の構成要素に準拠していることを保証および示すために、包括的なシステムの検査および試験が実行される。
均質化チャンバは、概してシリアル番号によって追跡可能である。設備が要求仕様のすべての側面を満たすことを保証するために、試験データおよび合格証明書が、典型的に用いられる。
すべての試験および検査データは、ユニットシリアル番号で維持される。
【0195】
実施例2
本発明の一実施形態に従った均質化チャンバの特徴を、以下のように定義する。
本発明の一実施形態において、均質化チャンバは、ガス品質および圧力における短期間の混和によるばらつきが実質的に最小限となるようにガスの混和を可能にするための十分な貯蔵容器を提供し、上記均質化チャンバは、雪、雨、および風の負荷に曝露される屋外に位置する。
【0196】
均質化チャンバの支持構造物が、コンクリートの基礎と接合する。均質化チャンバは独立して立ち、均質化チャンバの寸法は、機械工学要件を満たすように設計される。典型的には、ガス均質化チャンバは、現場で組み立てられる単一のタンクを備える。
【0197】
一実施形態において、ガスから凝結した水が発生することがあるため、この目的のために底部の排水ノズルが均質化チャンバの設計に含まれる。均質化チャンバの排水を補助するために、均質化チャンバ底部は平坦ではない必要があり、例えば均質化チャンバは、スカート部を有する円錐形の底部を有するように構成される。一実施形態において、トレース/絶縁した排水配管が排水フランジを形成するために使用される。均質化チャンバ内の水は、床排水口へと重力排水されるため、均質化チャンバはやや高くなる。
【0198】
一実施形態において、均質化チャンバは以下の機能要件を満たすように構成される。
【0199】

【0200】
一実施形態において、均質化チャンバの建築材料は以下に示すガス組成を考慮するものとし、HClおよびHSのような含有物に起因して水による腐食が予期される。
【0201】

【0202】
本発明の一実施形態において、均質化チャンバは、以下の開口部が提供されるように構成される。
○均質化チャンバの底部付近に36”マンホール1つ
○頂部に逃がし用の6”フランジ1つ
○シェル上にガス入口用の16”フランジ1つ
○シェル上にガス出口用の16”フランジ1つ
○シェル上に1”フランジ6つ(圧力2、温度1、予備3)
○2”均質化チャンバの底部に2”フランジ1つ(排水口)
○底部円錐部にレベルスイッチ用の1”フランジ1つ
【0203】
本発明の一実施形態において、均質化チャンバは、以下の要件を満足するように構成される。
1}必要なすべての開口部およびマンホールカバー、ブラインドフランジの提供。
2)例えば手すりと一体化した、安全に均質化チャンバ頂部へ行くことができる、屋根および逃がし弁まで到達可能なはしごの提供。
3)必要な持ち上げフックおよび係止ボルトの提供。
4)コンクリート製環状壁の提供。
5)必要に応じて、均質化チャンバの内部および外部コーティングの提供。
6)均質化チャンバの底部の絶縁および熱トレーシングの提供。
7)コンクリートスラブの提供。
【0204】
本発明の一実施形態において、均質化チャンバは、図24に定義する仕様に従って構成される。
【0205】
材料および建築
均質化チャンバは厳しい産業(廃棄物処理)環境において動作するように設計および建築される。上述のように、建築材料は、設計条件およびガス組成に基づいている。水、HCl、HSによる腐食が、建築材料を選択する際に考慮される。
【0206】
実施例3
以下に、本発明の一実施形態に従ったガスブロワのための機能要件を提供する。
一実施形態において、ガスブロワはガス冷却器を含み、プラズマガス化システムからガスを抜き取るために使用される。ガスブロワは、以下に説明する仕様の通り、すべての設備および配管を介して十分な吸引を提供するように構成される。
【0207】
機能要件
投入ガスは可燃性であり、空気を含む爆発性混合物を生じるため、本発明の一実施形態において、すべての使用可能な液体、すなわちシールパージは、窒素を用いて行われる。本発明の一実施形態において、ブロワは10%〜100%の流量範囲内で可変速駆動(VSD)によって動作する。
【0208】
システムのエンジニアリングは、工学的な適正基準に基づいて、および適合するすべての州および国の定める規約、標準、およびOSHAガイドラインに従って行われる。ブロワは10%〜100%の流量範囲内で可変速駆動(VSD)によって動作する。
【0209】
ガスブロワは、例えば、以下の機能要件を満たすように、設計される。
【0210】

【0211】
本発明の一実施形態において、ガスブロワによってシステムに引き込まれたガス組成を、以下の通り定義する。
【0212】

【0213】
爆発性混合物を避けるために、本発明の一実施形態に従って、ブロワは、大気からの空気の取り入れが最小量からゼロとなるように構成される。ガスは毒性および可燃性である可能性があるため、本発明の一実施形態に従って、ブロワは、大気へのガス漏れが最小量からゼロとなるように構成される。本発明の一実施形態において、ブロワは漏れなし軸封を有する。一実施形態において、双方向における最新の漏れ検出システムが提供される。
【0214】
本発明の一実施形態において、ガスブロワは、以下の要件を満足するように構成される。
1.漏れなし軸封を有する防爆性モータの提供。
2.産生ガス冷却器の提供。
3.1mで80dBAの騒音規制要件を満たす音響ボックス付きサイレンサの提供。
4.ブロワおよびモータのための共通底板の提供。
5.モータ付き補助オイルポンプ、およびブロワ補助システムに必要なすべての器具類の提供。
6.すべての器具および制御の提供(すなわち、油圧の高低切り替え、高放出圧力および温度切り替え、差温および差圧切り替え)。一実施形態において、すべての切り替えは、CSA承認の放出圧力ゲージ、放出温度ゲージ、油圧および温度ゲージであるものとする。一実施形態において、すべての器具は共通の防爆性接続箱で配線され、VFDはブロワの上流側に実装した圧力トランスミッタによって制御されるものとする。
7.リークなし放出チェック弁の提供。
8.ブロワの過剰な圧力/真空/停止放出を防ぐための設備安全システムの提供(例えば、PRVおよび再利用ラインのようなシステム)。
【0215】
技術要件
一実施形態において、ブロワは、セクション2の機能要件を満足し、600V、3相、60Hzで動作する。
【0216】
環境面
産生ガスブロワおよび産生ガス冷却器は、雨、雪、および風に曝露されるであろう、建物の外に位置してもよい。従って、一実施形態において、ガスブロワは、以下の環境条件に耐えるように構成される。
【0217】

【0218】
ブロワのクラス
一実施形態において、ブロワは、異常な状態において爆発性のガスが存在するかもしれない環境で稼動するように構成される。例えば、ガスパイプまたは2mの距離内に実装されたすべての器具および電気デバイスはクラス1、ゾーン2と分類されるであろう。
【0219】
信頼性、保全性、および予備
ブロワは高信頼性であるものとする。故障箇所を切り離して修理するためのアクセスとともに、検査およびメンテナンスのための適切なアクセスが提供される。

ブロワは、継続的に動作可能である(24時間連続稼動)。プロセス安定化の最中に頻繁にブロワの動作を始動/停止することが企図される。ガスブロワは、頻繁に始動/停止を行っても高信頼性で稼動することができる。
【0220】
品質保証
産物がすべての要件を満たすことを保証する品質システムは、以下の通りである。
各システムは、産業環境において、非常に高い信頼性および可用性で何年も動作することが可能である。一実施形態において、システムは信頼性のために設計されており(すべてのコンポーネントに対する適切なディレーティングを含む)、インタフェース要件を含むすべての使用の構成要素に準拠していることを保証および示すために、包括的なシステムの検査および試験が実行される。
【0221】
材料および構造
建設材料は、設計条件およびガス組成に基づくものとする。例えば、電子回路板、コネクタ、および外部コンポーネントは、埃、湿気、および化学物質による問題を最小限に留めるために、コーティングされているか、さもなければ保護されているコントロールパネルおよびスイッチは堅牢な構造であり、作業用グローブを着用して操作するように設計されている。
【0222】
制御インタフェース
概して、モータ制御のための可変速駆動が用いられる。モータの過電圧、過負荷保護等が含まれる。
モータの状態、オン/オフ動作、速度切り替えは、DCSを介して遠隔で操作および監視される。
【0223】
実施例4
ガス均質化システムの稼動仕様
ガスの貯蔵およびガスの加熱
本発明の一実施形態において、正常化され冷却されたガスはガス貯蔵タンクに貯蔵される。ガス貯蔵タンクの目的は、その組成(低位発熱量:LHV)および圧力を均質化することである。ガスは、エンジンがエンジン温度要件を満たす前に、ガス貯蔵タンクの出口で加熱される。
【0224】
組成―LHV
一実施形態において、ガスの貯蔵は、短期間の混和による熱量の変動を避けるために、より十分に混和されるためのガス滞留時間を提供する。これは、廃棄物の様々な組成のために必要である。LHVが変動すると、エンジンが作動して電気を産生するが、不完全燃焼または燃料/空気の比率が悪いために、排出限界値から逸脱する可能性がある。
【0225】
一実施形態において、タンクの体積は約2分の保持時間に基づいている。約2分の保持時間は、約LHV変動1%/30秒というLHV変動仕様についてのガスエンジン保証基準を満たすように設計される。ガスアナライザまでの滞留時間(ガス貯蔵タンクの上流側)は、典型的には約30秒(分析およびフィードバックを含む)である。最大LHV変動は典型的には約10%である。従って、一実施形態において、これを平均してLHV変動を3%にするために、ガスエンジンの許容限度の上限を満たすように、1.5分間の貯蔵が提供される。それに応じて、2分間の貯蔵は多少の余裕があってもよい。
【0226】
圧力
一実施形態において、ガスエンジン燃料の仕様を満たすように、貯蔵タンクは2.5〜3.0psigで動作する。圧力制御弁を用いて使用中のガス圧が絶えず維持される。一実施形態において、ガスタンクは5psigの設計圧力を有し、異常な過剰圧力が発生した場合に対処するための逃がし弁が設置される。
【0227】
上で説明した2分間の保持時間は、圧力の変動を減少するために十分な貯蔵も提供する。一実施形態において、エンジンの許容可能な圧力変動は0.145PSI/秒である。ガスエンジンの下流側で故障があった場合は、プロセスを遅らせる時間を提供するため、または余剰ガスを燃焼するために、バッファが必要となる(制御システムの応答時間および30〜35秒のガス滞留時間に依存する)。
【0228】
体積の計算
一実施形態において、貯蔵タンクに入る冷却ガス流(26C)は、およそ8400Nm/時の速度である。
それは140Nm/分に相当し、必要な貯蔵体積は2分間では280mとなる。
【0229】
固定体積対可変体積
一実施形態において、プロセス中に急な圧力変動が起こらないように可変体積タンクよりも固定体積タンクが選ばれるが、廃棄物の性質によってLHV変動の可能性が存在する。例えば、可変体積タンクは、典型的に流量および圧力の変動を吸収するためにより有用である。しかし、タンクが空である場合は、LHV変動を補償する役には立たない。一方、固定体積はLHVを平均化するために有用である。また固定体積は、その構造およびメンテナンスの点において、典型的に可変体積タンクよりも信頼できる。
【0230】
実施例5
均質化チャンバの仕様
プラズマガス化プロセスによって産生されたガス(プラズマガス化コンバータから)は、酸性ガス、重金属、および粒子状物質等の不要な不純物を除去するためにプラント内で処理される。一実施形態において、産生されたクリーンかつ乾燥したガスは、ガスエンジン内で発電のために用いられる。コンバータからのガスは中和され、ガスエンジンで使用される前に一部脱水される。クリーンかつ乾燥したガスは、ガス均質化チャンバ内に貯蔵され、ガス品質における短期間のばらつきを最小限に留め、ガス流がガスエンジン等の下流側のアプリケーションに入手可能となるように、ガスが混和される。
【0231】
エンジン
一実施形態において、タンクまでのガス入口流速は、35C(7950Am/時または1.0PSIGで4675ACFM)で、8200Nm/時(4825SCFM)である。本発明の一実施形態において、均質化チャンバの貯蔵容量は約15分の産生率に匹敵する。
【0232】
プロセス要件
ガス流および組成における変動は、主に材料送給量および組成の変化、コンバータ内の空気流の変動および温度の変動に起因するものであると予測される。実験データによると、各トーチサイクルはおよそ3分であるとされている。ガス貯蔵コストならびにガス品質および流量変動の影響を最適化するためには、3〜5トーチサイクル(すなわち、10〜15分の産生)の貯蔵容量が必要である。
【0233】
本発明の一実施形態によると、最大流速9000m/時を考慮して、貯蔵タンクの最大容量は2300mであり、動作能力は0〜2050mである。
【0234】
本発明の一実施形態によると、ガスエンジンに必要なガス圧は、ガス貯蔵容器内で1.5psig(約105mbar)である。
【0235】
典型的に、冬季の水蒸気結露のために、排水システムはガス貯蔵タンクの内部に提供される。
【0236】
設計のプロセスの基礎
一実施形態において、ガスは、圧力容器の標準から貯蔵システムを除く低圧で貯蔵されるものとする。
【0237】
ガス組成
本発明の一実施形態によると、コンディショニングシステム(GCS)を出る
ガス組成は、以下の通りである。
【0238】
ガス組成(湿量基準)
【0239】

【0240】

【0241】
本発明の一実施形態において、以下の環境条件が考慮される。
【0242】

【0243】
貯蔵タンクの位置および条件
一実施形態において、ガス貯蔵容器は、雨、雪、および太陽に曝露される結露環境である屋外に位置するものとする。
設計周辺温度 : −40F
積雪負荷(最大降雪量): 150cm
【0244】
代替
本発明の異なる実施形態に従って、5つの代替貯蔵技術の選択肢を以下に提供する。
1)圧力容器に貯蔵した後、ガスを圧縮。
2)低圧で従来の金属製タンクにガスを貯蔵。
3)膜技術を用いて設計されたガスホルダにガスを貯蔵。
4)ガスの貯蔵をしない。
5)ドライシール式ガスホルダの中にガスを貯蔵。
【0245】
上記貯蔵技術の使用に関して考慮すべき事項を以下に示すが、決して本発明の範囲を制限することを意図するものではない。
1)ガスの圧縮および貯蔵
この選択肢を注意深く検討した結果、コンプレッサの動作コストは非常に高い。ガスエンジンは、低圧のガスを必要とするため、ガスが圧縮されると、ガスエンジンに使用する前に減圧しなければならない。従って、圧縮比に基づいてガスを圧縮するための多くの動作コストが必要となる。
【0246】
2)金属製タンクへの貯蔵
従来の金属製の貯蔵容器は、どうしても必要(主に圧縮されている場合)でない限り、ガスの貯蔵には高価な方法である。金属製の貯蔵タンクは、タンクの大きさによって、事前に、またはその場で(現場組み立て式)組み立てられる。アプリケーションの中には、大容量のタンクが必要となるため、現場組み立て式貯蔵タンクを必要とするものもある。火災の危険性を避けるために、ガスを適切に貯蔵することが非常に重要である。金属製貯蔵タンクは、様々な種類の金属および合金から作られる。最も一般的に使用される金属は、非常に安価で、容易に入手可能かつ良好な強度を有する、炭素鋼である。しかし、腐食性の液体には、様々な種類の金属合金が、貯蔵される液体の条件および種類に基づいて、用いられる。
【0247】
金属製貯蔵タンクの用途
(1)液体の貯蔵
(2)高圧力下での液体またはガスの貯蔵
(3)小容量または中容量の貯蔵容器。ある用途(主として液体の貯蔵)には大容量の貯蔵容器。
【0248】
金属製貯蔵タンクにガスを貯蔵することの典型的な利点
a)より優れた圧力制御、すなわち、過剰圧力に正確かつ安全に対処することができる。
b)必要な機器がより少ない。
c)業務用に設計する場合は、完全真空条件に適用可能。
d)幅広い温度範囲に対する選択肢が豊富。
e)安全面でより信頼できる。
【0249】
低圧での金属製貯蔵容器の欠点
a)大容量のため高価である。
b)大量のガスをタンクに充填したり、タンクを空にする際に圧力変動が起こる。
【0250】
炭化水素ガスは圧力容器および金属製タンクに貯蔵されるべきであるという、炭化水素を貯蔵する上での規制がいくつか存在する。
【0251】
3)ガスホルダに貯蔵(二重膜技術)
通常、ガスホルダは、天然ガスおよびバイオガスを貯蔵するために使用される。ガスホルダは、典型的には14”WG(0.5PSIG)未満の非常に低い圧力下で、典型的には大容量のガスを貯蔵することができる。このシステムは、耐久性のある2枚の膜を含む。外側の膜は、拘束されたケーブルで、定位置で膨張した状態にある。内側の膜は、貯蔵容器の上流側から産生されたガスまたは貯蔵容器の下流側で放出されたガスを、貯蔵または放出しながら、自由に移動する。空気処理システムが、2枚の膜の間に予め設定された動作圧力を維持する。これにより、内側の膜の位置に関わらず、外側の膜が定位置に保たれる。動作圧力は、設計範囲内で容易に変更することができる。
【0252】
ガスホルダからガスを排出する一方で、ファンは、エアチャンバ(2枚の膜の間の空間)に空気を提供する。ガスがホルダに加えられると、調整可能な圧力逃がし弁が2枚の膜の間に圧力を逃がして、ガスチャンバを膨張させる。
【0253】
二重膜ガスホルダの用途
(1)バイオガスの中間貯蔵容器
(2)嫌気性プロセスにおけるメタン汚泥除去

二重ガスホルダの利点
1)設置コストが低い。
2)急激な大量ガスの投入または抜き出しに容易に対応できる。
3)塗装のような定期的なメンテナンスが不必要である。
【0254】
ガスホルダ内のガス貯蔵容器の欠点
1}高圧の用途に不向きである(最大14”W.G−0.5PSIG)。
2)高温の用途に不向きである。
3)タンクの圧力制御により多くの機器および制御が必要である(より多くの逃がし弁が必要)。
【0255】
4)ガスの貯蔵を行わない
ガスを貯蔵する目的を知ることが重要である。例えば、ガスエンジンの原料組成および流れの変動の原因となる場合には、ガスの貯蔵を考慮すべきではない。用途に対してどれ程の組成変動が起こるのか、どれ程迅速に制御システムがそれらの変動に対応するのか、どれ程の組成および流れの変動にガスエンジンが耐えられるか、を評価することが重要である。
【0256】
以前の実験から、プロセスにおいて大幅なガス組成の変動があり得ることが分かった。ガス組成の変動は、ガスエンジンの需要範囲を上回るものであり、従って、均質化チャンバを使用してもよい。
【0257】
ガスを貯蔵しないことの利点
1)資本コストが必要ない。
2)計装コストが必要ない。

ガスを貯蔵しないことの欠点
1)ガスエンジンのガス流が不安定になる。
2)様々なガス組成がガスエンジンに入るため、ガスエンジンの性能に影響する。
3)ガス化プロセスをガスエンジンから切り離すことができず、そしてその逆の場合も同様である。
【0258】
いくつかのアプリケーションには、ガス組成における短期変動を避けるために、ガス貯蔵容器を有することが推奨される。
【0259】
ドライシール式のガス貯蔵システムは、一定のガス流速および圧力を提供することは明らかであるばかりでなく、必要な動作圧力、体積、および温度を満足することが可能である。
【0260】
5)ガスホルダ内での貯蔵(ドライシール)
ドライシール式のガスホルダは、典型的には頂部に中央ベントを有し、屋外にある金属製の円筒である。ガスホルダを充填する間はダイアフラムを上方に動かし、ガスホルダからガスを抜く間はダイアフラムを下方に動かすためのダイアフラムが、シェルの内側にある金属製ピストンに接続される。ダイアフラムは、貯蔵するガスの種類に依存して、様々な材料から作られる。
【0261】
ドライシールホルダの用途
1)鉄鋼業における中程度のガス貯蔵容器。
2)発電用にガスを緩衝するために鉱業および冶金産業

ドライシールホルダの利点
1)ドライシールガスホルダは、非常に大容量のガスに対応可能(30000mまで)である。
2)非常に大容量の投入および/または出力に適用可能。
3)比較的高い圧力の用途にも適用可能(2000mmWGまで)。
4)メンテナンスの手間があまり掛からない。
5)耐用年数15〜20年
6)ガスを入れる前に汚染水を除去する必要がない。
7)多種多様の温度に適用可能。
8)より軽い基礎が必要である。
【0262】
ドライシールホルダの欠点
1)非常に高圧の用途(2000mmWCを上回る)には不向きである。
2)より多くの機器が動作に必要である。
本発明の一実施形態によるドライシール均質化チャンバの機能説明
ドライシールガスホルダは、200m〜165,000mの範囲の総体積(幾何学量)を有する一方、15〜150ミリバールの稼動圧力範囲を有するように設計される。
【0263】
ドライシールガスホルダは、現地の気候条件および貯蔵された媒体からの化学物質による影響を緩和するため、対腐食処理で仕上げる。この抗腐食処理は、シール膜および環境と完全に適合する。
【0264】
ドライシールガスホルダは、4つの重要な要素を有する:
1.基礎
2.メインタンク
3.ピストン
4.シール膜
これらの各要素は、様々なサブ要素および関連付属品に分けることができる。
【0265】
基礎
コンクリートの徹底した基部は、その上に建築される鋼鉄のガスホルダ構造の重量に耐えられるように、またガスホルダ等に作用する激しい気象条件に耐えられるように、設計される。
【0266】
メインタンク
メインタンクは、カスタマーの規定する設計要件および気象条件に対応するように設計される。
【0267】
タンクには3つのサブ要素がある。
タンク底部
タンクの底部は、基礎に対してガス密閉シールを形成し、周囲への排水をしやすくするために円錐型である。底部は鋼鉄めっきで覆われている。外側の環状板は裏当て金に接合溶接され、充填板が上面のみに重ね溶接される。底部充填板に溶接される。
【0268】
ピストン支持構造物
ピストンは、減圧されると鋼鉄の骨格の上に戴置され、底板に溶接される。
【0269】
タンクシェル
タンクのシェルは、課せられた負荷およびユーザに供給された一般データに対応するように設計される。シェルは接合溶接設計であり、その鉛直高さの下側およそ40%(ガス空間として知られる)はガス気密性であり、そこからシールが傾斜する。シェルの残り上側60%(エア空間として知られる)は、アクセスおよび換気のための様々な開口部を有する
【0270】
シェルには以下の様々な付属品が取り付けられる。
階段塔
外部からガスホルダの屋根に接近するためのもので、またシェルに通じるドアを介してガスホルダの内部に進入することも含まれる。施錠された安全ゲートは、ガスホルダへのいかなる無断進入を避けるために、通常階段の下に位置する。
【0271】
シェルアクセスドア
外側の階段塔からガスホルダ内へ進入できるように、関連場所に位置するドア。
【0272】
シェルベント
ピストンが上昇すると、ガスホルダ内の空気が入れ替えられる。
【0273】
入口ノズル
貯蔵されたガスが、供給ガスのメインタンクからガスホルダに入れるようにする接続ノズル。
【0274】
出口ノズル
貯蔵ガスを取り出すために、このノズルは、減圧中にシール膜を保護するための逆真空グリッドを完備している。動作プロセスに依存して、入口および出口のノズルは接続を共有してもよい。
【0275】
シェル排水口
ガスホルダのガス空間内の凝縮液が、シールポット内に排水されるようにする。
シールポットは、ガスホルダ内の圧力を維持するように設計される。
【0276】
シェル作業用通路
メンテナンスのためにガス空間へ進入するのに使用される(ガスホルダの運転休止中のみ使用)。
【0277】
接地ボス
雷雨等の最中にガスホルダが安全であることを確実にするため。
【0278】
圧力逃がしパイプ
ガスホルダを作動した後、ピストン緩衝装置を用いて過剰な加圧から保護するための必要不可欠なフェイルセーフシステム。体積逃がし弁が、ガスホルダの屋根よりも上の安全な位置から、貯蔵ガスを大気へと逃がす。体積逃がし弁が開くと、リミットスイッチが作動する。
【0279】
体積逃がしリミットスイッチ
体積逃がし弁の状態を確認するために、制御室に信号を送信するために用いられる。
【0280】
平衡錘システム
ピストンのモーメントが確実に均衡を保つための、機械計測器のバランスシステム。ガスホルダのシェル上に位置する軌道を上下する平衡錘。ガスホルダの体積が既定の設定値に到達した場合に、信号を送るためにリミットスイッチを作動する。
【0281】
平衡錘リミットスイッチ
取り入れおよび取り出し弁等を操作するための信号を制御室に送信するために用いられる。
【0282】
含有量スケール
ガスホルダの上に、ガスホルダ内に貯蔵されたガスの体積を表示するスケールが塗料で描かれる。隣接する平衡錘に塗料で描かれた矢印が、現在の状況を示す。また、スケールには、シェルアクセスドアに関するピストンの位置も塗料で描かれる。
【0283】
シールの傾斜
シェルの内側に溶接されたこの傾斜部分で、シール膜がシェルに付着する。
【0284】
タンクの屋根
屋根は、現地の気候条件および雪や埃等の付加的な負荷の可能性に耐えるように設計される。ガスホルダの屋根は、ラジアル構造ではなくスラスト構造であり、片側を重ね溶接した鋼板でできたカバーを有する。屋根には以下の様々な付属品が取り付けられる。
【0285】
中央ベント
貯蔵体積の変化に伴い、ガスホルダからの空気の出し入れを行う。
【0286】
屋根のベント
シールの据付に使用される周辺の小さなノズル。
【0287】
屋根作業用通路
ガスホルダが満杯になった時、ピストンフェンダまで下って行けるようにする。
【0288】
外周手すり
屋根の外側をめぐる安全手すり。
【0289】
放射状歩道
階段から中央ベント等まで行くための歩道。
【0290】
体積逃がし弁アクチュエータ
ピストンフェンダがあるレベルに達すると、体積逃がし弁を稼動する機械アーム。
【0291】
平衡錘プーリー構造
平衡錘のローププーリーおよびロープ分離器を取り付ける鉄鋼構造物。
【0292】
ロードセルノズル
体積を記録する目的に使用されるロードセル機器のメンテナンス用アクセス。
【0293】
レーダーノズル
体積を記録する目的に使用されるレーダー機器のメンテナンス用アクセス。
【0294】
屋根内側ライトノズル
ガスホルダ内部のライトのメンテナンス用アクセス。
【0295】
ピストン
ガスがガスホルダに出入りする度に、ガスホルダピストンがシェル内で上下する。ピストンの重量(平衡錘の重量より少ない)が、ガスホルダが稼動する圧力を産生する。ピストンは、常に平衡を保つために、等しく分配された重さを加えるように設計される。
ピストンは次のサブ要素から成る:
【0296】
ピストンデッキ
外側の環状領域は、鉄鋼部戴置ボックス上に戴置する接合溶接した鉄鋼板から形成される。重ね溶接した充填板が、その下のガス空間内のガス圧に耐えるドーム形状を形成する。低圧ガスホルダでは上側のみが溶接されるのに対し、より高い圧力のガスホルダには、充填板の両側が重ね溶接される。完全に溶接されたピストンデッキは、ガスホルダが減圧されるとピストン支持構造物の上に戴置されるガス気密表面を形成する。
ピストンデッキ上には、以下の補助アイテムが見られる。
【0297】
ピストン作業用通路
メンテナンス目的でピストンの下からガス空間に入るために使用される(ガスホルダが運転休止中のみ使用)。
【0298】
ロードセルチェーン受け容器
ピストンが上昇する際に、ロードセルチェーンを集めるための容器。
【0299】
ピストンシール角度
環状板の上側に溶接されたこの傾斜部分で、シール膜がピストンに付着する。
【0300】
平衡錘ロープアンカー
ピストン周辺に均等に配置された、平衡錘のロープが固定された接続部。
【0301】
ピストンフェンダー
フェンダーは、ピストンデッキの環状板に固定された鋼鉄の枠構造物であり、隣接する板の支持構造物としての役割を果たす。ガスホルダの体積に依存して、シェルアクセスドアまたは屋根作業用通路のいずれかから、ピストンフェンダにアクセス可能である。
【0302】
ピストンフェンダには、以下が取り付けられる。

ピストンの歩道
ピストンフェンダの頂部を取り囲む、安全手すりを装備したプラットフォーム。検査目的に使用。

ピストンはしご
ピストン側の歩道からピストンデッキへアクセスするための安全ループを完備した段ばしご。

レーダー反射板
体積表示の記録およびピストンレベルの読み取りのために、レーダー信号をレーダー機器に跳ね返すために使用される。
隣接板
ピストンフェンダーの外側に固定され、シール膜の外周表面を形成し、稼動中にピストンが動くと隣接しながら回転する。

ピストントーションリング
トーションリングはピストンフェンダ基部の周りにあり、減圧中にピストンの形を維持する。ピストンの重量を増加するために、コンクリートのバラストをトーションリングに加えてもよく、後にガスホルダの圧力を必要なレベルまで上昇するために、実質的に費用効率の高い様式にもなり得る。

シール膜
シールは、シェルからピストンの隣接表面に(またその逆方向にも)回転し、ピストンに無摩擦の自己センタリング能力を提供する。減圧中、シールは、ガス出口ノズルをブロックすることによる真空ダメージからホルダを保護する、ガス密閉能力も提供する。ガスホルダの試運転中、シール膜が動作条件に設定される。この設定は、ガスホルダが減圧されるごとに、毎回実行されなければならない。
【0303】

【0304】

【0305】
実施例6
A都市固形廃棄物ガス化プラント
この実施例は、本発明の一実施形態に従った、ガス化システム、ガスコンディショナ、およびガス均質化システム等を含む、都市固形廃棄物(MSW)プラントを示す。
【0306】
プロセス概要
ガス化システムの粗ガスは、コンバータを出て、レキュペレータ(熱交換機)を通過する。レキュペレータはガスを冷却し、顕熱がコンバータ内に導入されるプロセスエアを予熱するために用いられる。冷却されたガスは、ガスコンディショニングシステム(GCS)に流れ込み、そこでガスはさらに冷却され、粒子状物質、金属、および酸性ガスが順次取り除かれる。この実施形態におけるGCSは、コンバータガスコンディショナーおよび固体残渣ガスコンディショナを備える。清浄化およびコンディショニングされたガス(所望の湿度で)は、電気を生成するガスエンジン内に送給される前に、ガス均質化チャンバ内に貯蔵される。システム内の主なコンポーネントの機能(設備)を、ガスが処理される順序に従って以下のセクションに示す(表1を参照)。設備外観およびMSWガス化プラントのプロセスの略図を図25および図26に示す。
【0307】

【0308】
レキュペレータ
ガスの顕熱を回収するために、改質器からの粗ガスを、レキュペレータと呼ばれるシェルチューブ式の熱交換機を用いて空気で冷却する。ガスはチューブ側を、空気はシェル側を流れて通る。ガス温度を1000℃から738℃まで低下させる一方、空気温度を周囲温度から600℃まで上昇させる。
【0309】
蒸発冷却器(段階1の処理)
このシステムは、制御下における水の直接注入により、ガス温度を250℃まで下げる(断熱飽和)。このプロセスは乾式クエンチプロセスとも呼ばれ、冷却する際に水が一切存在しない。水は霧状にされ、同時にガス流に噴霧される。水は、蒸発するときにガスから顕熱を吸収し、バグハウスに送給される前に、ガス温度をおよそ250℃まで低下する。
【0310】
幹式注入システム(段階2の処理)
活性炭は、非常に多孔性であり、水銀およびダイオキシンのような大きな分子種の表面吸着に寄与する特徴を有する。ホッパ内に貯蔵された活性炭は、空気圧で投入ガス流中に注入され、バグハウス内に捕捉される。こうして、金属とその他の汚染物質が、ガス流から分離される。あるいは、投入ガス流内にみられる重金属およびタールを、流れを遮ることなく制御および捕捉するために、長石、石灰、およびその他の吸着剤のような他の材料をガス流に注入することもできる。
【0311】
バグハウス(段階1の処理)
表面に重金属を有する粒子状物質および活性炭は、バグハウス内でガスから除去される。バグハウスでは、粒子状物質を含む濾過ケーキが形成される。この濾過ケーキは、バグハウスからの粒子状物質の除去を促進する。カドミウムや鉛のような重金属は、この温度では粒子状であり、バグハウス内で非常に高い収集効率で収集される。バグハウスに渡る圧力がある設定限度まで増加した場合は、袋を清浄するために窒素のパルスジェットが用いられる。袋の外側表面から落ちる固体は、底部ホッパ内に収集され、さらなる変換または処分のために、固体残渣コンディショナに送られる。)
【0312】
HCLスクラバ(段階2の処理)
バグハウスからのガス(粒子状物質の入っていない)は、ガス中のHClを除去するために、充填等内でアルカリ溶液を用いて洗浄する。スクラバ内部では、ガスを35℃まで冷却するために十分な接触領域が提供される。出口のHCl濃度は5ppmレベルにまで到達する。排水放出流は、処分のために排水貯蔵タンクに送られる。

【0313】
ガスブロワ(段階2の処理)
この時点で、コンバータの出口からエンジンまで、プロセスを通してガスに駆動力を提供するために、ガスブロワが必要になる。水銀研磨機は、圧力下でより優れた水銀除去効率を有するため、水銀研磨機の上流側に位置する。ブロワは、上流側のすべての容器の設計圧力降下を用いて設計される。また、下流側の設備の圧力損失に対する所望の圧力が、均質化チャンバ内で約2.1〜3.0psigの終圧を有するようにも設計される。

【0314】
炭素濾過床(段階2の処理)
ブロワによってガス圧が上昇し、ガス流中の重金属の最終的な研磨デバイスとして使用される炭素濾過床の前に、水冷式熱交換器によってガスをさらに冷却する。存在する場合には、ガス流からのダイオキシンのような、その他の有機汚染物質を吸収することも可能である。炭素濾過床は、99.0%を上回る水銀除去効率となるように設計される。

【0315】
S除去システム(段階2の処理)
S除去には、Shell Paques Biological手法を選択した。スクラバに炭素濾過床からのガスを通過させ、アルカリ溶液を再循環させることにより、HSを除去する。それから、アルカリ性を再生するために、スクラバからの硫化物含有溶液がバイオリアクタに送られる。バイオリアクタ内では硫黄の回収が起こり、硫化物が硫黄元素へと酸化され、硫黄の濾過、硫黄の殺菌、および規制要件を満たすために放出流の処分がその後に続く。HS除去システムは、出口での濃度が20ppm HSとなるように設計される。投入ガスがいったんHS除去システムを出ると、その他多くのコンポーネントのほかに、チラー、ガス/液体分離器、および均質化チャンバを備える、ガス均質化システムへと方向付けられる。

【0316】
固体残渣ガスコンディショナ(段階1の処理)
コンバータガスコンディショナーのバグハウスからの灰(活性炭および金属を含む可能性あり)は、定期的に窒素でパージされ、固体残渣コンディショナへと運ばれてガラス化される。固体残渣コンディショナから出るガスは、粒子状物質を除去するために固体残渣ガスコンディショナのバグハウスを通過するよう方向付けられ、活性炭床に入る前に熱交換器によって冷却される。固体残渣ガスコンディショナのバグハウスも、システム中の圧力降下に基づいて定期的にパージされる。固体残渣ガスコンディショナ内で収集された固体残渣は、適切な手段によって処分される。固体残渣ガスコンディショナからの可燃ガス(二次ガス流)は、回収されたエネルギーを完全に利用するためにコンバータガスコンディショナへと送り返される。

【0317】
ガス均質化システム
ガスエンジンの設計は、ガスが特定の相対湿度で特定の組成であることを必要とする。従って、清浄化されたガスがいったんHSスクラバを出ると、チラーを用いて35℃から26℃まで冷却される。これにより、ガス流から水がいくらか凝結する。この水は、ガス/液体分離器によって除去される。これは、出力ガスがエンジンを稼動するために用いられる実施形態において、エンジンに送られる前に、ガスの貯蔵後に40℃(エンジン要件)まで再加熱すると、ガスは80%の相対湿度を有することを確実にする。正常化および冷却されたガスは、処理動作からの出力を約2分維持するように設計された均質化チャンバ(例えば、貯蔵タンク)に入り、エンジンへと流れ込む、極めて一定のガス品質(調節ガス)を達成するために、ガスの「濃さ」における変動を混和する。均質化チャンバは、ガスエンジン燃料の仕様を満たすように、2.2〜3.0psigで動作する。いったん調節ガスが均質化チャンバを出ると、エンジン要件まで加熱され、ガスエンジンへと方向付けられる。

【0318】
ガスエンジン
GE Jenbacherガスエンジンセット5台が、プラントの規模に基づいて電気を産生するために使用される。Jenbacherガスエンジンは、往復エンジンの一種である。低位または中位の発熱量のガスを、高効率および低排出で燃焼することができる。各ガスエンジンは、1.0MWの容量を有する。従って、電気生成の総容量は5MWである。しかし、比較的低いガス発熱量のために(天然ガスのような燃料と比較して)、当該エンジンは、最も効率的な動作点で700kW程で動作するように出力レベルを下げられている。

【0319】
フレアスタック
密閉型のフレアスタックが、始動、停止、およびプロセス安定化の段階においてガスを燃焼するために使用される。いったんプロセスが安定化されると、フレアスタックは緊急目的のみに使用される。フレアスタックは、99.99%の分解効率を達成するものとする。
【0320】
実施例7
ガス均質化システムを備える都市固形廃棄物システムの高レベルプロセス制御
この実施例は、本発明の一実施形態に従った都市固形廃棄物(MSW)プラントの高レベル制御方式についての詳細を提供し、当該プラントは、ガス化システム、ガスコンディショナ、およびガス均質化システムを含む(この他にも含まれる)。高レベルプロセス制御は、ガス均質化システムのコンポーネントの制御を含む。MSWプラズマガス化プラントのプロセス制御方式の開発および実装に関して、2段階の手法が用いられる。
【0321】
フェーズ1:始動および試運転時の動作
始動および試運転には、単純なフロントトゥーバック制御(または供給主導型)方式が用いられ、コンバータはMSWの固定送給量で稼動し、プロセス変動は、下流側の設備(エンジン/ジェネレータおよびフレア)によって吸収される。プラントは、過剰なガス生成の小規模バッファで稼動され、継続的な小さなフレアを必要とする。この正常量を超えるガス生成はフレア量を増加し、不十分なガス生成は最初にまずバッファを侵食するが、最終的には発生器の電力出力を低減する必要があるかもしれない(発生器は、調整可能な出力設定点を介して50〜100%の電力出力で動作してもよい)。

【0322】
この制御スキームの利点を以下に示す。
複雑でないこと。プラントを始動および試運転する能力を向上し、より精巧な制御を実装するために動作データを利用することができる。初期段階から最終段階を切り離すため、プラントの一部に起こった問題が、プラントの残りの部分にまで続いて起こりにくい。継続的な小さいフレアが、フレアが始動/停止モードで運転された場合に起こる可能性がある、フレアスタックでの目に見える大きなフレアの危険性を排除する。

【0323】
フェーズ2:長期動作方式
MSWプラントの長期制御方式は、システムの最終段階にあるガスエンジン/発生器がプロセスを駆動する、バックトゥーフロント制御(または需要主導型制御)である。ガスエンジンは、燃料ガスのエネルギー含有量および生成される電力に依存して、一定の体積/時間の燃料を消費する。従って、制御システムの高レベルな目標は、十分な量のMSW/HCF原料がシステムに入り、常時フルパワーで発生器を稼動するために十分なエネルギー含有量を有するガスに変換されることを確実にし、ガス産生量をガス消費量に正確に合わせることで、ガスのフレアリングを回避し、MSW1トン当たりを消費して産生される電力が最適化されることを確実にすることである。
【0324】
フェーズ2の高レベルプロセス制御の略図を図15に示す。フェーズ1の動作は、ここに示す制御の略図のサブセットである。
【0325】
フェーズ1
プロセス制御の主な目標
a)ガス均質化チャンバ(例えば貯蔵タンク)内の圧力を安定させる。
b)生成されたガスの組成を安定させる。
c)コンバータ下方チャンバ内の材料のパイル高さを制御する。
d)コンバータ下方チャンバ内の温度を安定させる。
e)改質器内の温度を制御する。
f)コンバータのプロセス圧を制御する。

【0326】
目標の詳細

a)ガス均質化チャンバ内の圧力を安定させる
典型的に、ガスエンジンは、供給圧力における変化にどちらかというと耐えられない。Jenbacherエンジンの詳細は以下の通りである。
・最低圧力=約150mbar(2.18psig)
・最高圧力=約200mbar(2.90psig)
・燃料ガス圧力の許容変動=+/−10%(+/−17.5mbar、+/−0.25psi)
・ガス圧変動の最大量=約10mbar/秒(0.145psi/秒)
エンジンは、供給圧力における小規模な外乱に対処することができる入口調節器を有し、配管およびガス均質化チャンバ内での保持がこれらの変化をいくらか緩和する役割を果たすが、これは必然的に、依然としてコンバータで最も迅速に作用する制御ループである。
【0327】
最初のフェーズ1圧力制御方式は、コンバータが、継続的に炎を出す過剰なガス産生の小規模バッファを、十分なMSW送給量で生成するために稼動する動作施設に基づく。従って、ガス均質化チャンバの圧力制御は、ガス均質化チャンバからフレアまでのラインにある圧力制御弁が、必要に応じて均質化チャンバの圧力を所望の設定点に維持するように調整される、単純な圧力制御ループになる。
【0328】
b)生成されたガスの組成を安定させる
ガスエンジンは、多種多様な燃料値で動作することが可能なため、急激な変化率が見られない。一実施形態において、LHVの許容変化率は、ガスLHV/30秒で<1%の変動である。Hベースの燃料では、燃料ガスは単独で15%のHのみで十分であり、LHVは約50btu/scf(1.86MJ/nm)まで低くてもよい。一実施形態において、ガスのLHVは、4.0〜4.5MJ/nmの範囲であった。システムの体積およびガス均質化チャンバは、約2分に相当するガス産生を混ぜることにより、変化率を安定化するというタスクを大幅に簡略化する。
【0329】
一実施形態において、ガス組成は、ガス均質化チャンバの入口に実装されたガスアナライザによって測定される。この測定値に基づいて、コントローラは、ガス燃料値を安定させるために、燃料対空気の比率を調節する(すなわち、MSW送給量をわずかに増加/減少させる)。空気の添加に対してMSWまたはHCFのいずれかの原料を増加することで、ガスの燃料値が増加する。この制御作用は、極めて長い応答時間を有するため、短期変動に応答するためではなく、長期ドリフトを回避するためだけに調整される。
【0330】
HCFは、単独でかなり濃い(約2×LHV)燃料源であるが、典型的には1:20の比率でMSWとともに添加されるので、システムに添加される燃料という意味では、主力となる燃料ではない。システムにHCFを添加し過ぎることは経済的ではない。従って、HCFは、一次な制御としてではなく、ほんのわずかだけ用いられる。HCFは、システムから出るガス中に存在するCの総量を安定させるために、総原料に対して調整された比率(ガスアナライザで測定される)である。これによって、MSW燃料値における変動が緩和される。
【0331】
c)コンバータ内における材料の安定したインベントリを維持する
レベル制御システムは、コンバータ内で安定したパイル高さを維持することを必要とする。安定したレベル制御は、低レベルで起こる可能性があるプロセスエア注入による材料の流動化を回避するために、また高レベルで起こる制限された空気流に起因するパイルの不十分な温度分布を回避するために、必要である。安定したレベルを維持することは、一貫性のあるコンバータ滞留時間を維持することにもなる。
【0332】
一次ガス化装置における一連のレベルスイッチが、パイルの深さを測定する。レベルスイッチは、コンバータの片側にエミッタを、そして他方の側にレシーバを有するマイクロ波デバイスであり、コンバータ内部のその点での固体材料の有無を検知する。
【0333】
コンバータ内のインベントリは、送給量およびラム動作(および、それ程ではないが変換効率)の機能である。段階3のラムが、コンバータから灰を排出するための固定ストローク長および頻度で動くことにより、コンバータのスループットを設定する。次いで段階2のラムが、材料を段階3まで押すために必要なだけ動き、段階3の段階開始レベルスイッチの状態を「フル」に変更する。次いで段階1のラムが、材料を段階2まで押すために必要なだけ動き、段階2の段階開始レベルスイッチの状態を「フル」に変更する。その後、すべてのラムが同時に中止され、全部のシーケンスが繰り返される前に、予定の遅延が実行される。連続的なストローク長における変化を、ラムによる過剰な外乱を回避するためにレベルスイッチに要求されるストローク長となるように制限するために、付加的な構成が用いられてもよい。
【0334】
コンバータ底部での加熱状況を回避するために、ラムは極めて頻繁に動く必要がある。また、材料が流れずに堆積し、段階の終盤近くで集塊化することを避けるために、完全に各段階の終わりまで及ぶラムストロークが時々発生するようにプログラムされる必要がある。
【0335】
d)コンバータ下方チャンバ内の温度を安定させる
できる限り最高の変換効率を得るために、材料は、できるだけ長く高温で保たれる。しかし、温度が高くなり過ぎると、材料が解けて集塊化(クリンカーから)し始め、以下を引き起こす。1)利用できる表面面積が減少するので、ひいては変換効率が低下し、2)パイル中の空気流が凝集した塊の回りを迂回する原因となり、温度の問題を悪化させて集塊形成を促進し、3)ラムの正常動作の障害となり、4)灰除去スクリューの詰まりによるシステム停止の潜在的な原因となる。
【0336】
パイル内の温度分布は、2種類目の集塊(この場合、プラスチック溶融物)が形成し、残りの材料に対する結合剤としての役目を果たすことを回避するためにも、制御される。
【0337】
パイル内の温度制御は、プロセスエアの流量を所与の段階(すなわち、より多い/より少ない燃焼)へと変更することにより達成される。底部チャンバ内の各段階に提供されるプロセスエア流は、各段階の温度を安定させるために調整される。過剰なラムストロークを利用する温度制御は、ホットスポットを崩壊するためにも必要である可能性がある。
【0338】
e)改質器内の温度を制御する
プラズマトーチ出力は、改質器を出る温度が設計設定点(約1000℃)で安定するように調整される。これによって、一次ガス化で形成されたタールおよびすすが完全に分解される。プロセスエアを改質器に加えることは、ガスの燃焼による熱エネルギーを放出することで熱負荷の一部を担うことにもなる。プロセスエアの流速は、トーチ出力を良好な動作範囲に維持するように調整される。

【0339】
f)コンバータのプロセス圧力を制御する
コンバータの圧力は、ガスブロワの速度を調整することにより安定する。ブロワの最低動作頻度を下回る速度では、二次制御がオーバーライドし、再循環弁を代わりに調整する。また再循環弁が完全に閉じると、再び一次制御が従事する。
【0340】
フェーズ2
フェーズ2の動作には、上に挙げたプロセス制御の目的すべてが維持される。しかし、重要な新規要件は、ガスのフレアリングを排除し、MSW1トン当たりを消費して生成される電力量を最適化することである。これには、生成されるガスの流れが、エンジンが消費する燃料に正確に適合していることが必要となる。従って、バックトゥーフロント制御(または需要主導型制御)が、システムの後半にあるガスエンジン/発生器がプロセスを駆動する場所に実装されなければならない。
【0341】
コンバータから出るガス流を安定させるために、コンバータに入るプロセス空気流が増加される。MSWまたはHCFをシステムに加える速度を調整することは、最終的にガス流を変更することになるが、滞留時間が約45分強であること、そして材料を投入する時点で著しいガス化反応が起こらないことから、これらの調整による迅速な応答が起こる可能性はない(重要な応答は約15分で起こると予測される)。総空気流を調整することは、圧力を制御するための、可能な限り最も迅速な作用ループを提供する。短期的に見ると、コンバータ内の多くのインベントリのために、底部チャンバにより多くの空気を加えることが、必ずしも比例してガスを希釈することにはならない。付加的な空気がパイル内にさらに浸透し、さらに上にある材料と反応する。反対に、より少ない空気を加えることは、直ちにガスを濃縮するが、最終的には温度が降下し、反応率/ガス流が低下する原因となる。
【0342】
総空気流は、材料送給量に対する比率(MSW+HCF)であるため、空気流量を増加する手段は、材料の送給量を増加させる。コントロールの調整は、直ちに増加した空気の効果が分かるように設定される。送給量のためにコントローラを調整することは時間が掛かるが、最終的には、付加的な原料が功を奏して、ガス流を安定させるための長期的なソリューションを提供する。一実施形態において、MSW/HCF送給量の増加から、増加したガス流を見るまでの無駄な時間の空白を埋めるために、一時的に発生器の出力を減少することが、システムの動力に依存して必要である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスの特徴を調節するためのガス均質化システムであって、
a)ガス入口およびガス出口を備える均質化チャンバと、
b)前記ガスの1つ以上の特徴を監視するために、前記均質化チャンバに関連付けられた1つ以上の検知要素と、
c)前記ガスの1つ以上の特徴に変化を与えるために、前記均質化チャンバに関連付けられた1つ以上の応答要素と、
d)前記ガスの1つ以上の特徴を調整するために、前記1つ以上の応答要素に動作可能に接続された、1つ以上のプロセスデバイスと、を備え、
前記均質化チャンバは、前記1つ以上のガスの特徴の監視および調節を可能にするために十分な滞留時間に対応するように設計されることを特徴とするガス均質化システム。
【請求項2】
ガスの特徴を調節するためのガス均質化システムであって、
a)ガス入口およびガス出口を備える均質化チャンバと、
b)前記ガス出口と流体連通するガス入口機構であって、
i)1つ以上の入口導管と、
ii)前記ガスの化学組成、温度、流速、および圧力パラメータに関連するデータを監視するための1つ以上の検知要素と、を備えるガス入口機構と、
c)安定化ガスの出力を下流側のアプリケーションへと方向付けるために前記ガス出口と流体連通する、調節ガス出口機構であって、1つ以上の導管を備える出口機構と、
d)前記ガスの化学組成、温度、流速、および圧力パラメータを調節するために前記システムに関連付けられた、1つ以上のプロセスデバイスと、
e)前記ガスの化学組成、温度、流速、および圧力パラメータを最適化するために、前記システムに影響を与えるための前記1つ以上のプロセスデバイスに動作可能に関連付けられた1つ以上の応答要素と、を備え、
前記均質化チャンバは、前記ガスの組成、温度、流速、および圧力の監視および調節を可能にするために十分な滞留時間に対応するように設計されることを特徴とするガス均質化システム。
【請求項3】
前記均質化チャンバに均一な投入ガス流量を提供するための通風誘導デバイスをさらに備えることを特徴とする請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記均質化チャンバ上流の前記ガスの温度を調整するためのチラーをさらに備えることを特徴とする請求項2に記載のシステム。
【請求項5】
前記均質化チャンバ上流の前記ガスの湿度を調整するための、気体/液体分離器をさらに備えることを特徴とする請求項2に記載のシステム。
【請求項6】
前記均質化チャンバ下流の前記ガスの前記温度および湿度を調整するための、ガスコンディショニングスキッドをさらに備えることを特徴とする請求項2に記載のシステム。
【請求項7】
前記均質化チャンバ下流の前記ガスから不純物を除去するためのフィルタをさらに備えることを特徴とする請求項2に記載のシステム。
【請求項8】
1つ以上の緊急流出ポートをさらに備えることを特徴とする請求項2に記載のシステム。
【請求項9】
請求項2に記載のガス均質化システムを用いて、投入ガスを調節ガスへと変換するためのプロセスであって、前記プロセスは、
a)投入ガスを提供するステップと、
b)1つ以上の検知要素を経由して、化学組成、温度、流速、および圧力について前記システム内の前記ガスを監視するステップと、
c)前記ガスの前記化学組成、温度、流速、および/または圧力パラメータを最適化するために、前記1つ以上のプロセスデバイスを調整するための前記1つ以上の応答要素に指示を提供するステップであって、それにより前記下流側のアプリケーションの要件を満たす、調節ガスを産生するステップと、を備えることを特徴とするプロセス。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10A−B】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14A】
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【図14B】
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【図15】
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【図16A】
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【図16B】
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【図16C】
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【図16D】
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【図17A】
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【図17B】
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【図17C】
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【図17D】
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【図18】
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【図19A−C】
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【図19D−G】
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【図19H−K】
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【図20A】
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【図20B】
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【図20C】
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【図20D−E】
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【図21A】
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【図21B】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公表番号】特表2009−536097(P2009−536097A)
【公表日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−510129(P2009−510129)
【出願日】平成19年5月7日(2007.5.7)
【国際出願番号】PCT/US2007/068399
【国際公開番号】WO2007/131236
【国際公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【出願人】(508329977)プラスコエナジー アイピー ホールディングス、エス.エル.、ビルバオ、シャフハウゼン ブランチ (6)
【Fターム(参考)】