説明

ガス抜きキャップ

【課題】中央の噴出口41の周囲に頭皮マッサージ用の突起42を複数突設したステムアタッチメントCを装着し、且つステムの傾倒により内臓吐出弁を開放するチルドタイプの噴射機構を備えたエアゾール容器Bに装着するキャップであって、使用後に簡単な操作でガス抜きを行えるガス抜きキャップAを提案する。
【解決手段】頂部に折り返し用の押圧板部12画成し、下方へ折り返し状態の押圧板部12を所定折り返し角度で係止する係止手段を設け、押圧板部12により頭皮マッサージ用の突起42を押圧してステムアタッチメントCを傾倒させて吐出弁を開弁する如く構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はガス抜きキャップに関し、詳しくは、頭皮タッチ式のステムアタッチメントを備えたエアゾール容器に装着して、使用後容器内の残ガスを排出する機能を備えたガス抜きキャップに関する。
【背景技術】
【0002】
中央の噴出口の周囲に頭皮マッサージ用の突起を複数突設したステムアタッチメントをエアゾール容器に嵌着して、塗布剤の塗布と同時にマッサージを行えるエアゾール容器が提案されている。(例えば、特許文献1参照)
【0003】
上記容器は使用時に容器本体を手で持ってステムアタッチメントの複数の突起を患部にあて、それに強く押し付けてステムを押し込むと、ステムから噴射した塗布剤が中央の噴出口から噴出し、また、突起により患部をマッサージできる如く構成している。
【特許文献1】特開平10−029658号公報
【0004】
上記のものはステムを押し下げることにより内蔵吐出弁が開弁してガス圧で収納液を噴出する如く構成したものであるが、類似のアタッチメントを使用してステムを傾倒させることにより内蔵吐出弁が開弁して収納液を噴出する所謂チルドタイプの噴射装置を備えたものも知られている。
【0005】
エアゾール容器は、収納液を使い切った後に噴出用ガスが残存しており、容器を廃棄する場合にガスが残ったままでは,爆発等種々の不都合が生じる虞れがある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記した点に鑑みてなされたもので、通常はカバーキャップとして使用することができ、使用後に簡単な操作でガス抜きを行え、また、構造も簡単で安価に製造できる利点を備えたガス抜きキャップを提案する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の手段として以下の通り構成した。即ち、ステムを傾倒することにより開弁してガス圧で収納液を噴出するチルドタイプの噴出機構を備えたエアゾール容器Bに対して、噴出口41の周囲に頭皮マッサージ用の突起42を複数突設したステムアタッチメントCを装着したエアゾール容器B用のガス抜きキャップであって、頂部に折り返し用の押圧板部12を画成し、下方へ折り返し状態の押圧板部12を所定折り返し角度で係止する係止手段を設け、押圧板部12により頭皮マッサージ用の突起42を押圧してステムアタッチメントCを傾倒させて吐出弁を開弁する如く構成した。
【0008】
第2の手段として以下の通り構成した。即ち、前記第1の手段に於いて、係止手段を、所定の折り返し角度に折り返した押圧板部12の上面に当接係止する角度設定用の係止突起15を設けて構成した。
【0009】
第3の手段として以下の通り構成した。即ち、前記第1の手段に於いて、係止手段を、所定の折り返し角度に折り返した押圧板部12の上面に当接係止する角度設定用の係止突起15と、押圧板部12の側部が乗り越え係合して押圧板部12の戻りを防止する戻り防止用の係止突起17とを設けて構成した。
【0010】
第4の手段として以下の通り構成した。即ち、前記第1の手段に於いて、係止手段を、所定の折り返し角度に折り返した押圧板部12の上面に当接係止する角度設定用の係止突起15と、押圧板部12の両側部所定位置に突設した一対の係合突起16がそれぞれ乗り越え係合して押圧板部12の戻りを防止する戻り防止用の係止突起17とを設けて構成した。
【0011】
第5の手段として以下の通り構成した。即ち、前記第1の手段に於いて、係止手段を、押圧板部12の両側所定位置に突設した一対の係合突起16がそれぞれ多段に乗り越え係合して押圧板部12の角度設定と戻り防止とを行う複数の凹部形成用の係止突起18を設けて構成した。
【発明の効果】
【0012】
本発明のガス抜きキャップは、チルドタイプの噴射装置を備え、頭皮マッサージ用の突起を備えたステムアタッチメントを装着したエアゾール容器Bに対して好適なガス抜きキャップであり、通常はカバーキャップとして使用することが出来、使用後に簡単な操作でガス抜きを行え、また、構造も簡単で安価に製造できる利点を備えている。
【0013】
係止手段を、所定の折り返し角度に折り返した押圧板部12の上面に当接係止する角度設定用の係止突起15を設けて構成した場合には、構造が極めて簡単でより製造が容易となる利点がある。
【0014】
係止手段を、所定の折り返し角度に折り返した押圧板部12の上面に当接係止する角度設定用の係止突起15と、押圧板部12の側部が乗り越え係合して押圧板部12の戻りを防止する戻り防止用の係止突起17とを設けて構成した場合には、ガス抜き時にエアゾール容器Bから取り外した状態で押圧板部12を所定の折り返し角度に固定しておくことができ、エアゾール容器Aに再び装着する際に押圧板部12を押さえておく等の面倒がなく行える。
【0015】
係止手段を、所定の折り返し角度に折り返した押圧板部12の上面に当接係止する角度設定用の係止突起15と、押圧板部12の両側部所定位置に突設した一対の係合突起16がそれぞれ乗り越え係合して押圧板部の戻りを防止する戻り防止用の係止突起17とを設けて構成した場合には、同様にエアゾール容器Bに再び装着する際に押圧板部12を押さえる等の面倒がなく再装着操作を容易に行えるとともに、係合突起16が戻り防止用の係止突起17を乗り越え係合するため、より容易な乗り越え係合が可能となる。
【0016】
係止手段を、押圧板部12の両側所定位置に突設した一対の係合突起16がそれぞれ多段に乗り越え係合して押圧板部12の角度設定と戻り防止とを行う複数の凹部形成用の係止突起18を設けて構成した場合には、同様にエアゾール容器Bに再び装着する際に押圧板部12を押さえる等の面倒がなく再装着操作を容易に行えるとともに、ステムアタッチメントCの基板40の大きさ等に対応して複数のエアゾール容器に応用できる利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施例の形態を図面を参照して説明する。
【0018】
図1乃至図4はガス抜きキャップAの一例を示す。ガス抜きキャップAは、エアゾール容器Bに着脱自在に装着して使用する。また、エアゾール容器Bは、上端にステムアタッチメントCを嵌着している。
【0019】
エアゾール容器Bは、胴部30の上端に環状壁31を立設し、その内部中央に正立付勢状態で傾倒可能なステム(図示せず)を突設している。そして、ステムを傾倒させることにより内蔵吐出弁(図示せず)が開いてガス圧で収容液をステムより噴出する如く構成した公知のチルドタイプの噴射機構を備えている。また、胴部30の外周上部にはガス抜きキャップAを係止させるための上向き段部32を設けている。
【0020】
ステムアタッチメントCは、ステムに嵌着し、環状壁31内に傾倒が可能な状態で下部を収納した基板40の中央に、内部をステム内と連通させた噴出口41を突設し、その周囲に複数の柔軟な頭皮マッサージ用の突起42を突設し、ステムの傾倒に伴って傾倒可能に装着している。換言すれば、ステムアタッチメントCを傾倒させればステムが傾倒する如く装着している。
【0021】
ガス抜きキャップAは、周壁10上端縁より頂壁11を延設した下端開口の筒状をなし、頂壁11に押圧板部12を折り返し可能に画成している。押圧板部12は頂壁11の前後方向中間部に横設したヒンジ13と、ヒンジ13両端に両端を連結した半楕円形状の切溝14とで画成されている。
【0022】
また、下方へ折り返し状態の押圧板部12を所定折り返し角度で係止する係止手段を備えている。本例に於ける係止手段は、折り返した押圧板部12の上面に当接係止して所定の折り返し角度で押圧板部12を係止する角度設定用の係止突起15を周壁10の後部上端部に突設して構成している。尚、図示例で角度設定用の係止突起15を1枚設けた例を示しているが、当然2枚以上で構成されていても良く、また、その突設部位も、上記要件を満たしていれば種々の形態を選択でき、例えば頂壁11裏面より垂設した形態であっても良い。
【0023】
上記の如きガス抜きキャップAは、図1に示す如く、周壁10下端部をエアゾール容器Bの胴部30外周に、下端を上向き段部32に当接して、嵌合させてエアゾール容器Bに着脱可能に装着している。収容液が残存する場合は通常のカバーキャップとして使用する。また、収容液が無くなった使用後には、図1の状態からガス抜きキャップAを外した後、押圧板部12を押し込んで折り返し、その状態で再びエアゾール容器Bに装着すると、図2に示す如く、押圧板部12は頭皮マッサージ用の突起42を介して基板40を押圧して傾け、それに伴ってステムを傾けてエアゾール容器B内の内蔵吐出弁を開弁し、残存ガスを噴出することができる。
【0024】
図5乃至図8は他の例を示すもので、図1の例に於いて、係止手段として、所定の折り返し角度に折り返した押圧板部12の上面に当接係止する角度設定用の係止突起15と、押圧板部12の両側部に突設した一対の係合突起16が乗り越え係合して押圧板部12の戻りを防止する戻り防止用の係止突起17とを設けて構成した例を示す。本例に於いて、角度設定用の係止突起15は図1の例と同様である。また、係合突起16は押圧板部12両側所定位置に一体に突設したもので、前部の縦辺が傾斜辺をなす台形状に形成している。また、戻り防止用の係止突起17は、周壁10上端部両側の所定位置にそれぞれ突設した板状をなしている。その他の構成は図1の例と同様であるため、同符号を付して説明を省略する。
【0025】
この場合には、収容液が無くなった使用後には、図5の状態からガス抜きキャップAを外した後、押圧板部12を押し込んで折り返し、押圧板部12の上面に角度設定用の係止突起15を当接係止するとともに、両側の係合突起16を戻り防止用の係止突起17後面に乗り越え係合させて押圧板部12を所定の折り曲げ角度に係止固定する。しかる後、図6に示す如くエアゾール容器Bに装着すると、押圧板部12は頭皮マッサージ用の突起42を介して基板40を押圧して傾け、エアゾール容器B内の内蔵吐出弁を開弁して残存ガスを噴出することができる。尚、本例では押圧板部12両側に係合突起16を突設しているが、係合突起16を突設せずに、押圧板部12の側部を直接戻り防止用の係止突起17に係合させる如く構成しても良い。
【0026】
図9乃至図12は更に他の例を示すもので、係止手段として、押圧板部12の両側所定位置に突設した一対の係合突起16がそれぞれ多段に乗り越え係合して押圧板部12の角度設定と戻り防止とを行う複数の凹部形成用の係止突起18を設けて構成している。係合突起16は図5の例と同様に前部の縦辺が傾斜辺をなす台形状に形成している。また、凹部形成用の係止突起18は周壁10両側所定位置に所定間隔をあけて複数突設したもので、一対の凹部形成用の係止突起18間に係合突起16を嵌合させて角度設定と戻り防止とを行っている。尚、その他の構成は図1の例と同様であるため、同符号を付して説明を省略する。
【0027】
この場合には、収容液が無くなった使用後には、図9の状態からガス抜きキャップAを外した後、押圧板部12を押し込んで折り返し、両側の係合突起16を所定の凹部形成用の係止突起18間に乗り越え嵌合させて押圧板部12を所定の折り曲げ角度に係止固定する。しかる後、図10に示す如くエアゾール容器Bに装着すると、押圧板部12は頭皮マッサージ用の突起42を介して基板40を押圧して傾け、エアゾール容器B内の内蔵吐出弁を開弁して残存ガスを噴出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】ガス抜きキャップの縦断面図である。(実施例1)
【図2】ガス抜きキャップの縦断面図である。(実施例1)
【図3】ガス抜きキャップの斜視図である。(実施例1)
【図4】ガス抜きキャップの平面図である。(実施例1)
【図5】ガス抜きキャップの縦断面図である。(実施例2)
【図6】ガス抜きキャップの縦断面図である。(実施例2)
【図7】ガス抜きキャップの斜視図である。(実施例2)
【図8】ガス抜きキャップの平面図である。(実施例2)
【図9】ガス抜きキャップの縦断面図である。(実施例3)
【図10】ガス抜きキャップの縦断面図である。(実施例3)
【図11】ガス抜きキャップの斜視図である。(実施例3)
【図12】ガス抜きキャップの平面図である。(実施例3)
【符号の説明】
【0029】
A…ガス抜きキャップ
10…周壁,11…頂壁,12…押圧板部,13…ヒンジ,14…切溝,
15…角度設定用の係止突起,16…係合突起,17…戻り防止用の係止突起, 18…凹部形成用の係止突起
B…エアゾール容器
30…胴部,31…環状壁,32…上向き段部
C…ステムアタッチメント
40…基板,41…噴出口,42…頭皮マッサージ用の突起

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステムを傾倒することにより開弁してガス圧で収納液を噴出するティルトタイプの噴出機構を備えたエアゾール容器Bに対して、噴出口41の周囲に頭皮マッサージ用の突起42を複数突設したステムアタッチメントCを装着したエアゾール容器B用のガス抜きキャップであって、頂部に折り返し用の押圧板部12を画成し、下方へ折り返し状態の押圧板部12を所定折り返し角度で係止する係止手段を設け、押圧板部12により頭皮マッサージ用の突起42を押圧してステムアタッチメントCを傾倒させて吐出弁を開弁する如く構成したことを特徴とするガス抜きキャップ。
【請求項2】
係止手段を、所定の折り返し角度に折り返した押圧板部12の上面に当接係止する角度設定用の係止突起15を設けて構成した請求項1記載のガス抜きキャップ。
【請求項3】
係止手段を、所定の折り返し角度に折り返した押圧板部12の上面に当接係止する角度設定用の係止突起15と、押圧板部12の側部が乗り越え係合して押圧板部12の戻りを防止する戻り防止用の係止突起17とを設けて構成した請求項1記載のガス抜きキャップ。
【請求項4】
係止手段を、所定の折り返し角度に折り返した押圧板部12の上面に当接係止する角度設定用の係止突起15と、押圧板部12の両側部所定位置に突設した一対の係合突起16がそれぞれ乗り越え係合して押圧板部12の戻りを防止する戻り防止用の係止突起17とを設けて構成した請求項1記載のガス抜きキャップ。
【請求項5】
係止手段を、押圧板部12の両側所定位置に突設した一対の係合突起16がそれぞれ多段に乗り越え係合して押圧板部12の角度設定と戻り防止とを行う複数の凹部形成用の係止突起18を設けて構成した請求項1記載のガス抜きキャップ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−107716(P2009−107716A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−284556(P2007−284556)
【出願日】平成19年10月31日(2007.10.31)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】