ガス放出手段を備えたバイポーラ電池、その製造方法およびバイポーラ電池を用いた組電池。
【課題】 内部でガスが発生しても、電極間距離の発生および外装の破裂を防止することが可能なバイポーラ電池を提供する。
【解決手段】 集電体にガス拡散手段を設け、更にシール部にシール部用ガス放出手段および/または外装に外装用ガス放出手段を設けることを特徴とする。
【解決手段】 集電体にガス拡散手段を設け、更にシール部にシール部用ガス放出手段および/または外装に外装用ガス放出手段を設けることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はバイポーラ電池に関する。より詳細にはバイポーラ電池のガス放出手段に関する。
【背景技術】
【0002】
環境保護運動の高まりを背景として電気自動車(EV)、ハイブリット自動車(HEV)、または燃料電池車(FCV)の導入が促進されている。EV、HEV、またはFCV等への利用といった高出力および高エネルギー密度を要求される用途では、単一の大型電池は事実上作れず、複数個の電池を接続して構成した組電池を使用することが一般的である。このような用途に用いる電池として、バイポーラ電池が有望視されている。
【0003】
しかし、バイポーラ電池は、高速充放電、高温使用または過充電等により電解質が分解してガスを発生したり、製造時に除去しきれずに電池内に残留してしまった水分や電解液等の成分が熱により気化してガスを発したりする。その結果、発生したガスにより電極間に距離が生じたり、外装が破裂したりする。電極間に距離が生じた場合、空隙が絶縁部分となり電池性能が失われる。また、外装が破裂した場合、電解液が飛散して搭載された機器の損傷を招くおそれがある。
【0004】
特許文献1では、内側面から熱融着性樹脂フィルム、金属箔および剛性を有する樹脂フィルムをこの順序で積層した積層フィルムからなる外装材を用い、ガス放出機構として熱融着性樹脂フィルムに孔を開口し、剛性を有する樹脂フィルムに切れ込みを入れている。
【特許文献1】特開平11−102674号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上述のガス放出機構は薄型二次電池に対応するもので、単電池を複数積層したバイポーラ電池でのガス発生による電極間距離の発生を防止することはできない。
【0006】
本発明は、電池内部でガスが発生しても、電極間に距離が生じず、外装が破裂しないバイポーラ電池を提供することを目的とする。
【0007】
また、シール部またはタブシール部による封止構造を有するバイポーラ電池の場合、例えば自動車用として用いた場合など、振動によりシール部またはタブシール部が剥離するおそれがある。
【0008】
本発明は、振動を受けてもシール部またはタブシール部が剥離し難いバイポーラ電池を提供することも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、バイポーラ電池におけるガス発生機構を詳細に検討した結果、少なくとも集電体にガス拡散手段を設け、さらにガス拡散手段と併せて、シール部にシール部用ガス放出手段を設け、タブシール部にタブシール部用ガス放出手段を設け、外装に外装用ガス放出手段を設けることにより、上記の問題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
【0010】
また、本発明者は、ガス拡散手段を設ける手法を用いて、制振手段を設けられることを見出し、本発明を完成させた。
【発明の効果】
【0011】
本発明によるバイポーラ電池は、発生したガスを電池内の一定の部位に溜め込まないようにする手段を有しているため、例えば、高速充放電、高温使用または過充電等により電池内部にガスが発生しても、電極間に距離が生じたり、外装が破裂したりしない。
【0012】
また、本発明によるバイポーラ電池は制振性に優れるため、振動により、シール部が剥離するおそれが少ない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
(第1実施の形態)
図1は本発明のガス拡散手段、シール部用ガス放出手段、タブシール部用ガス放出手段、外装用ガス放出手段および制振手段の作製の一例を示したバイポーラ電池の断面概略図である。
【0014】
図1に示すように、本発明の第1は、正極活物質層50、集電体20、および負極活物質層70がこの順序で積層されてなるバイポーラ電極と、前記バイポーラ電極に挟まれた電解質層60と、外装40と、タブを兼ね備えた端部集電体29と、を含み、集電体にガス拡散手段1を備えることを特徴とするバイポーラ電池である。
【0015】
また、本発明は、集電体20同士の間にシール部30を備え、シール部30にシール部用ガス放出手段2を備えること;外装40同士の間にタブシール部31を備え、タブシール部31にタブシール部用ガス放出手段3を備えること;外装40に外装用ガス放出手段4を備えること;および、集電体20に制振手段5を備えること、よりなる群から選択される少なくとも一種を更に有していてもよい。
【0016】
高速充放電、高温使用または過充電等により、例えば、図1の符号Eで示す部位からガス10が発生したとする。この場合、集電体20にガス拡散手段1が設けられていると、発生したガス10が、ガス拡散手段1を通じて電池の内部空間に拡散するため、ガス10が電極間に溜まり電極間に空隙を生じさせない。
【0017】
符号Eで示す部位の電解質の分解が激しい場合や、符号Eで示す部位以外の複数の部位からガス10が発生した場合や、電池が高温環境下に曝された場合など、ガス拡散手段1の能力が限界を超えるおそれがある場合でも、シール部用ガス放出手段2を設けられていることで、ガス10が電池の更なる内部空間に拡散することができる。また、ガス拡散手段1を端部集電体29と端部集電体29に連なる集電体20に設け、なおかつタブシール部31にもタブシール部用ガス放出手段3を設けることにより、ガス10を電池外部に放出することができる。また、ガス拡散手段1を端部集電体29と端部集電体29に連なる集電体20に設け、なおかつ外装40に外装用ガス放出手段4を設けることによっても、ガス10を電池外部に放出することができる。また、端部集電体29にガス拡散手段1を設けず、連なる集電体20にガス拡散手段1を設けた場合でも、シール部用ガス放出手段2と組み合わせ、更にタブシール部用ガス放出手段3および/または外装用ガス放出手段4を設けることで、ガス10を電池外部に放出することができ、電極間の距離の発生や、外装が破裂して電解液が飛散することを防ぐことができる。
【0018】
本発明は上述のガス拡散手段、シール部用ガス放出手段、タブシール部用ガス放出手段および外装用ガス放出手段の組み合わせに限定されない。
【0019】
図1では、両端部の集電体の厚みと大きさを変えて、正極端子または負極端子として機能するタブを兼ね備えた端部集電体29としているが、タブを兼ね備えた端部集電体29を用いずに、正極端子または負極端子として機能するタブを別個に用意してもよい。
【0020】
[正極活物質層]
正極活物質層は正極活物質を含み、正極活物質としては遷移金属とリチウムとの化合物、遷移金属酸化物、遷移金属硫化物、PbO2、AgOまたはNiOOHなどを用いることができる。遷移金属とリチウムとの化合物の例として、スピネルLiMn2O4などのリチウム−Mn系複合酸化物;LiCoO2などのリチウム−コバルト系複合酸化物;LiNiO2などのリチウム−ニッケル系複合酸化物;LiFeO2などのリチウム−鉄系複合酸化物;LiFePO4などの遷移金属とリチウムとのリン酸化合物;または遷移金属とリチウムとの硫酸化合物などが挙げられる。遷移金属酸化物の例として、V2O5、MnO2、MoO3などが挙げられる。遷移金属硫化物の例としてTiS2、MoS2などが挙げられる。
【0021】
正極活物質の平均粒子径は0.1〜10μmが好ましく。より好ましくは0.1〜5μmである。平均粒子径が10μm以下である場合、電極抵抗が低減する点で好ましい。
【0022】
正極活物質層には、正極活物質以外にも電解質、電解質塩、導電助剤、などを含むことができる。電解質および電解質塩の詳細については、後述の電解質層の項に記載する。導電助剤の例としてアセチレンブラック、カーボンブラック、またはグラファイトなどが挙げられる。
【0023】
正極活物質層の厚みは、特に限定するものではなく出力重視やエネルギー重視などの電池の使用目的、イオン伝導性を考慮して決定すべきである。一般的な正極活物質層の厚みは5〜500μmである。
【0024】
[集電体]
集電体は、圧延等の方法により作製された金属箔からなるものや、スプレーコート等の方法により作製された金属箔以外の薄膜からなるものがある。
【0025】
金属箔からなるものとしては、特に限定されないが、例えば、ニッケル材とアルミニウム材とを貼り合せたクラッド材の箔、ニッケル箔、ニッケル系合金の箔、アルミニウム箔、またはステンレス箔などがあげられる。コスト面では、アルミニウム箔を用いることが好ましい。
【0026】
金属箔以外の薄膜からなるものとしては、特に限定されないが、例えば、アルミニウム、鋼、チタン、ニッケル、ステンレス、またはこれらの合金の粉末とバインダーとの混合物などがあげられる。これらの金属粉末は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合してもよい。バインダーとしては、エポキシ樹脂などがあげられる。金属の粉末に対するバインダーの混合量は2〜40質量%が好ましく、より好ましくは4〜30質量%である。金属の粉末に対するバインダーの混合量が40質量%以下である場合、導電性を阻害せず、2質量%以上である場合、集電体が必要な強度を保つことができる。
【0027】
集電体の厚みは、3〜100μmが好ましく、より好ましくは5〜50μmである。集電体の厚みが3μm以上である場合、強度の点から好ましい。また、集電体の厚みが100μm以下である場合、電池の薄型化の点から好ましい。
【0028】
[タブを兼ね備えた端部集電体]
タブを兼ね備えた端部集電体は、上述の集電体の項で記載したものと同様のものを用いることができる。
【0029】
タブを兼ね備えた端部集電体の厚みは、30〜500μmが好ましく、より好ましくは50〜300μmである。
【0030】
また、タブを兼ね備えた端部集電体を用いずに、正極端子または負極端子として機能するタブを別個に用意する場合、タブは、ニッケル材とアルミニウム材とを貼り合せたクラッド材の箔、ニッケル箔、ニッケル系合金の箔、アルミニウム箔、またはステンレス箔などがあげられる。コスト面では、アルミニウム箔を用いることが好ましい。タブの厚みは、0.1〜2mmが好ましい。正極端子として機能するタブと負極端子として機能するタブは、同一の材質を用いてもよいし、異なる材質のものを用いてもよい。さらに、これらのタブは、材質の異なるものを多層に積層したものであってもよい。
【0031】
[負極活物質層]
負極活物質層は、負極活物質を含み、負極活物質としては、金属酸化物、遷移金属とリチウムとの複合酸化物、カーボンなどを用いることができ、これらは単独で用いてもよいし2種以上を併用してもよい。金属酸化物の例として、TiO、Ti2O3またはTiO2などが挙げられる。遷移金属とリチウムとの複合酸化物の例として、Li4/3Ti5/3O4などが挙げられる。
【0032】
負極活物質の平均粒子径は0.05〜50μmが好ましく。より好ましくは0.1〜20μmである。平均粒子径が50μm以下である場合、電極抵抗が低減する点で好ましい。
【0033】
負極活物質層には、負極活物質以外にも電解質、電解質塩、導電助剤、などを含むことができる。電解質および電解質塩の詳細については、後述の電解質層の項に記載する。導電助剤は、上述の正極活物質層の項で記載したものと同じである。
【0034】
負極活物質層の厚みは、特に限定するものではなく出力重視やエネルギー重視などの電池の使用目的、イオン伝導性を考慮して決定すべきである。一般的な負極活物質層の厚みは5〜500μmである。
【0035】
[電解質層]
電解質層を形成する電解質としては固体高分子電解質またはゲル電解質が挙げられる。
【0036】
固体高分子電解質としては、例えばポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、またはこれらの共重合体などが挙げられる。
【0037】
ゲル電解質は、高分子電解質からなる骨格中に電解液を含んだものである。骨格としてはイオン導伝性を有する固体高分子電解質、またはイオン導伝性を持たない高分子を用いることができる。
【0038】
電解液は電解質塩と可塑剤とからなる。電解質塩として例えば、LiPF6、LiBF4、LiClO4、LiAsF6、LiTaF6、LiAlCl4、またはLi2B10Cl10などの無機陰イオン塩、もしくは;Li(CF3SO2)2N、またはLi(C2F5SO2)2Nなどの有機陰イオン塩が挙げられる。これらは1種単独で可塑剤と混合してよいし、2種以上を可塑剤と混合してもよい。可塑剤として例えば、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネートなどの環状カーボネート類;ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、またはジエチルカーボネートなどの鎖状カーボネート類;テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジブトキシエタンなどのエーテル類;γ−ブチロラクトンなどのラクトン類;アセトニトリルなどのニトリル類;プロピオン酸メチルなどのエステル類;ジメチルホルムアミドなどのアミド類;および酢酸メチル、ギ酸メチルなどのエステル類などが挙げられる。これらは1種単独で電解質塩と混合してよいし、2種以上を電解質塩と混合してもよい。
【0039】
ゲル電解質に用いられる、イオン導伝性を有する固体高分子電解質として、例えばポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、またはこれらの共重合体などが挙げられる。ゲル電解質に用いられる、イオン導伝性を持たない高分子として、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリビニルクロライド、ポリアクリロニトリル、またはポリメチルメタクリレートなどが挙げられる。
【0040】
ゲル電解質において、固体高分子電解質と電解液との比率は、順番に質量比で20:80〜98:2が好ましい。
【0041】
[外装]
外装材として、ラミネートシートを用いることが好ましい。ラミネートシートとしては、熱融着性樹脂フィルム、金属箔、剛性を有する樹脂フィルムがこの順序で積層された高分子金属複合フィルムを用いることが好ましい。熱融着性樹脂として、例えば、ポリエチレン(以下、PEと記載)、エチレンビニルアセテート(以下、EVAと記載)、アイオノマー樹脂などを用いることができる。金属箔として、例えば、アルミニウム、ニッケル、ステンレス、銅またはこれらの合金を箔にしたものなどを用いることができる。剛性を有する樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETと記載)、ナイロン(登録商標)などを用いることができる。
【0042】
[ガス拡散手段]
本発明のバイポーラ電池では、集電体およびタブを兼ね備えた端部集電体にガス拡散手段を備えることを特徴とするものである。以下、図を用いて説明する。図2は、本発明のガス拡散手段の一例を示した集電体またはタブを兼ね備えた端部集電体(以下、これらを合わせて集電体と記載する場合もある。)の部分斜視概略図であり、ガス拡散手段の形状、大きさなどはこれらに限定されない。
【0043】
集電体に設けるガス拡散手段としては、図2Aに示すように、集電体20に穴21を備えた形態;図2Bに示すように、集電体20に穴21を設けて更に穴21に樹脂膜22を配置した形態;図2Cに示すように、集電体20に穴21を設けて更に穴21に不織布23を配置した形態;図2Dに示すように、集電体20に穴21を設けて更に穴21に網24を配置した形態;図2Eに示すように、集電体20に穴21を設けて更に穴21を金属箔25で塞いだ形態;図2Fに示すように、集電体20に穴21を設けて更に穴21をセラミックス薄膜26で塞いだ形態;および、図2Gに示すように、集電体20に切れ込み27を設けた形態よりなる群から選択される少なくとも一種であることが好ましい。つまり、これらは、集電体ごとに異なっていてもよいし、同じでもよい。また、一つの集電体に複数の形態のガス拡散手段が備えられていてもよい。
【0044】
タブを兼ね備えた端部集電体29にも同様なガス拡散手段を設けることができる。
【0045】
次に、図3は、ガス拡散手段の作製部位の一例を示した単電池の部分平面概略図である。図1および図3に示すように、集電体にガス拡散手段を備える位置は、正極活物質層および負極活物質層が積層されている部位よりも外側に設け、シール部を備える場合は、正極活物質層および負極活物質層が積層されている部位とシール部との間に設けることが好ましい。
【0046】
集電体に穴を設けることで、電極間で発生したガスが穴を通じて電池内部の空間に拡散する。その結果、電極間にガスが溜まり空隙を作ることを防ぐことができる。
【0047】
集電体に設ける穴の面積は、強度やガスの通過効率の点から集電体の面積の0.5〜7%が好ましく、より好ましくは1〜3%である。穴の形状は特に限定されず、丸や矩形など適宜決定することができ、加工しやすい点では、丸が好ましい。穴の数は特に限定されないが、前記面積の範囲内で設けることが好ましい。集電体の強度を保つために、穴の周囲は、樹脂などでコーティングされていてもよい。
【0048】
集電体に樹脂膜を配置した穴を設けることで、電極間で発生したガスが樹脂膜を透過するか、樹脂膜と集電体との未接着部分を通過するか、樹脂膜と集電体との接着部分を剥離するか、樹脂膜を破ることにより、電池内部の空間に拡散する。その結果、電極間にガスが溜まり空隙を作ることを防ぐことができる。
【0049】
樹脂膜を配置した穴の面積は、強度やガスの通過効率の点から集電体の面積の0.5〜7%が好ましく、より好ましくは1〜3%である。穴の形状は特に限定されず、丸や矩形など適宜決定することができ、加工しやすい点では、丸が好ましい。穴の数は特に限定されず、適宜決定することができる。樹脂膜の厚さは10〜500μmが好ましく、より好ましくは15〜100μmである。用いる樹脂膜は特に限定されず、例えば、ポリプロピレン(以下、PPと記載)、PE、ポリイミド、テフロン(登録商標)、アクリル樹脂などを好ましく用いることができる。
【0050】
本発明では、ガス透過性を有する樹脂膜を用いてもよいし、電極間のガス発生の際に内圧により破れる強度の樹脂膜を用いてもよい。ガス透過性を有する樹脂膜としてはシリコンゴム膜、ガス透過性プラスチックが好ましい。
【0051】
集電体に不織布を配置した穴を設けることで、電極間で発生したガスが不織布を透過するか、不織布と集電体との未接着部分を通過するか、不織布と集電体との接着部分を剥離するか、不織布を破ることにより、電池内部の空間に拡散する。その結果、電極間にガスが溜まり空隙を作ることを防ぐことができる。
【0052】
不織布を配置した穴の面積は、強度やガスの通過効率の点から集電体の面積の0.5〜7%が好ましく、より好ましくは1〜3%である。穴の形状は特に限定されず、丸や矩形など適宜決定することができ、加工しやすい点では、丸が好ましい。穴の数は特に限定されず、適宜決定することができる。不織布の厚さは10〜500μmが好ましく、より好ましくは15〜100μmである。用いる不織布は特に限定されず、例えば、コットン、麻、竹、パルプ、羊毛もしくは絹などの天然繊維;レーヨン、キュプラまたはアセテートなどの化学繊維;ポリアミド系繊維、ポリエステル系繊維、ポリアクリロニトリル系繊維、ポリビニルアルコール系繊維、ポリプロピレン系繊維、ポリ塩化ビニリデン系繊維もしくはポリウレタン系繊維などの合成繊維;ガラス繊維、金属繊維もしくは炭素繊維などの無機繊維またはこれらの繊維の組み合わせからなるものを用いることができる。
【0053】
本発明では、ガス透過性を有する不織布を用いてもよいし、電極間のガス発生の際に内圧により破れる強度の不織布を用いてもよい。ガス透過性を有する不織布としては、PP、ガラス繊維およびPEよりなるものが好ましく、内圧により破れる強度の不織布としてはPPおよびPEよりなるものが好ましい。
【0054】
集電体に網を配置した穴を設けることで、電極間で発生したガスが網目を透過することにより、電池内部の空間に拡散する。その結果、電極間にガスが溜まり空隙を作ることを防ぐことができる。
【0055】
網を配置した穴の面積は、強度やガス通過効率の点から集電体の面積の0.5〜7%が好ましく、より好ましくは1〜3%である。穴の形状は特に限定されず、丸や矩形など適宜決定することができ、加工しやすい点では、丸が好ましい。穴の数は特に限定されず、前記面積の範囲内で設けることが好ましい。
【0056】
網の材質としては特に限定されず、例えば、ナイロン(登録商標)、テトロン(登録商標)、ポリエチレン、ケブラー(登録商標)、ダイニーマ(登録商標)、などの樹脂;負極側では銅、ニッケルなどの金属、正極側ではアルミなどの金属;またはガラス繊維などを用いることができる。電解液に腐食され難いという点ではニッケルが好ましい。網の種類については特に限定されず、本目網や蛙又網などの結節網、ラッセル網などの無結節網、綟子網または織網など適宜決定することができる。
【0057】
集電体に金属箔で塞がれてなる穴を設けることで、電極間で発生したガスが内圧により金属箔と集電体との未接着部分を通過するか、内圧により金属箔と集電体との接着部分を剥離するか、内圧により金属箔を破ることにより、電池内部の空間に拡散する。その結果、電極間にガスが溜まり空隙を作ることを防ぐことができる。
【0058】
金属箔で塞がれてなる穴の面積は、強度やガス通過効率の点から集電体の面積の0.5〜7%が好ましく、より好ましくは1〜3%である。穴の形状は特に限定されず、丸や矩形など適宜決定することができ、加工しやすい点では、丸が好ましい。穴の数は特に限定されず、前記面積の範囲内で設けることが好ましい。金属箔の厚さは3〜30μmが好ましく、より好ましくは5〜10μmである。金属箔としては特に限定されず、例えば正極側ではAl、負極側では銅、ニッケルまたはこれらの合金などを用いることができる。電解液に腐食され難いという点ではニッケルが好ましい。
【0059】
集電体にセラミックス薄膜で塞がれてなる穴を設けることで、電極間で発生したガスがセラミックス薄膜と集電体との未接着部分を通過するか、セラミックス薄膜と集電体との接着部分を剥離するか、セラミックス薄膜を破ることにより、電池内部の空間に拡散する。その結果、電極間にガスが溜まり空隙を作ることを防ぐことができる。
【0060】
セラミックス薄膜で塞がれてなる穴の面積は、強度やガス通過効率の点から集電体の面積の0.5〜7%が好ましく、より好ましくは1〜3%である。穴の形状は特に限定されず、丸や矩形など適宜決定することができ、加工しやすい点では、丸が好ましい。穴の数は特に限定されず、前記面積の範囲内で設けることが好ましい。セラミック薄膜の厚さは10〜100μmが好ましく、より好ましくは20〜50μmである。セラミックス薄膜としては特に限定されず、例えばSiO2などを用いることができる。
【0061】
集電体に切れ込みを設けることで、電極間で発生したガスが切れ込みを開口・通過して電池内部の空間に拡散する。その結果、電極間にガスが溜まり空隙を作ることを防ぐことができる。
【0062】
切れ込みの長さは、電極の長さ(長手方向)に対して0.5〜10%が好ましく、より好ましくは1〜5%である。切れ込みの数は特に限定されず、適宜決定することができる。切れ込みの形状は限定されず、一文字、十文字、アステリスクまたはコの字など適宜決定することができる。切れ込みは、集電体を貫通していてもよいし、貫通していなくてもよい。
【0063】
上述のガス拡散手段は更に他のガス拡散手段と組み合わせて用いてもよい。
【0064】
上述のガス拡散手段の内、穴、網、切れ込みは特に電解質として、電解液を含まない固体高分子電解質を備えたバイポーラ電池に有用である。
【0065】
単電池を複数積層する場合、特に限定されないが、少なくとも最外層にガスの拡散手段を設けることが好ましく、より好ましくは、全ての集電体にガス拡散手段を設けることである。
【0066】
[シール部]
本発明のバイポーラ電池は、集電体同士の間にシール部を備えることができる。シール部は、正極活物質層、電解質層および負極活物質層を取り囲むように配置されるため、電解質層としてゲル電解質を用いた場合に、電解液の漏出を防ぐことができる。
【0067】
シール部は、特開2004−158343号公報に記載のように、熱融着性のある第一の樹脂同士の間に、第一の樹脂よりも融点が高く非導電性の第二の樹脂が集電体と並行になるように介在している構造が好ましい。第一の樹脂と第二の樹脂の組み合わせとしては、第一の樹脂が180℃未満の融点を有し、第二の樹脂が180℃以上の融点を有し第一の樹脂と熱融着させることのできるものが製法上好ましい。これらの樹脂としては、特に限定されないが、例えば、第一の樹脂としてポリプロピレン、ポリエチレン、ポリウレタンまたは熱可塑オレフィンゴムなどが挙げられ、第二の樹脂として、ナイロン(登録商標)6、ナイロン(登録商標)66、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリスチレンなどのポリアミド系樹脂またはシリコンゴムなどが挙げられる。
【0068】
[タブシール部]
本発明のバイポーラ電池は、電池要素を取り囲むように外装同士の間にタブシール部を備えることができる。タブのある部分は、タブと外装との間に配置されるようにタブシール部を備えることができる。
【0069】
タブシール部は、上述のシール部の項で記載した第一の樹脂と第二の樹脂とを好ましく用いることができる。
【0070】
また、タブシール部として樹脂を設けずに、外装の融着部をタブシール部としてもよい。
【0071】
[シール部用ガス放出手段]
本発明では、シール部にガス放出手段(以下、シール部用ガス放出手段と記載)を備えることができる。
【0072】
以下、図を用いて説明する。図4は、本発明のシール部用ガス放出手段の一例を示した電池要素の部分断面概略図である。シール部用ガス放出手段の形状、大きさなどはこれらに限定されない。
【0073】
シール部用ガス放出手段として、図4Aの符号32に示すように、少なくとも一部のシール部の接着強度がその他のシール部30の接着強度よりも低く形成される形態;図4Bに示すように、少なくとも一部のシール部30に異物33を挟み込む形態;および図4Cに示すように、少なくとも一部のシール部30に切れ込み34を入れる形態;よりなる群から選択される少なくとも一種であることが好ましい。つまり、これらは、シール部ごとに異なっていてもよいし、同じでもよい。また、一つのシール部に複数の形態のシール部用ガス放出手段が備えられていてもよい。
【0074】
少なくとも一部のシール部の接着強度をその他のシール部の接着強度よりも小さく形成することにより、ガス拡散手段を通じて電池内部の空間に拡散したガスの体積が増加した際には、内圧が接着強度の弱いシール部に集中する。そして、接着強度の弱いシール部が剥離し、ガスが電池内部の新たな空間に拡散する。その結果、電極間にガスが溜まり空隙を作ったり、ガスが電池要素の内圧を上昇させて外装を破ったりすることを防ぐことができる。
【0075】
少なくとも一部のシール部の接着強度をその他のシール部の接着強度よりも小さく形成する場合、全体のシール部の0.1〜5%の層に弱いシール部を作るのが好ましく、より好ましくは0.5〜3%の層である。
【0076】
また、一つの層を形成するシール部を全て弱くしてもよいし、一つの層を形成するシール部の一部分を弱くしてもよい。
【0077】
一部のシール部の接着強度を弱くした際の接着強度は、単電池を4層形成したものに対して、25℃で引張速度200mm/minによるT型剥離強度測定を行った際に0.1N/15mm〜1N/15mmまで剥離しないことが好ましく、より好ましくは0.2N/15mm〜0.7N/15mmである。シール部の接着強度を弱くしない際の接着強度は、単電池を4層形成したものに対して、25℃で引張速度200mm/minによるT型剥離強度測定を行った際に1N/15mm〜30N/15mmまで剥離しないことが好ましく、より好ましくは2N/15mm〜25N/15mmである。
【0078】
少なくとも一部のシール部に異物を挟み込むことにより、ガス拡散手段を通じて電池内部の空間に拡散したガスの体積が増加した際には、内圧が異物を挟み込んだシール部に集中する。そして、異物が貫通するように挟み込まれたシール部の場合、異物が内圧により押し出され、異物が押し出された跡に貫通孔が出現し、ガスが電池内部の新たな空間に拡散する。また、異物が貫通しない程度に挟み込まれたシール部の場合、内圧によりシール部が歪んだ際に異物が挟み込まれている部分に応力が集中し、シール部が裂け、ガスが電池内部の新たな空間に拡散する。これらの結果、電極間にガスが溜まり空隙を作ったり、ガスが電池要素の内圧を上昇させて外装を破ったりすることを防ぐことができる。
【0079】
少なくとも一部のシール部に異物を挟み込む場合、全体のシール部の0.1〜5%に異物を挟み込むことが好ましく、より好ましくは0.5〜3%である。
【0080】
また、一つの層を形成するシール部の全てに異物を挟み込んでもよいし、一つの層を形成するシール部の一部分に異物を挟み込んでもよい。
【0081】
異物はシール部を貫通していてもよいし、貫通していなくてもよい。
【0082】
本発明でいう異物とは、シール部を形成する物質とは異なる物質からなるものを指し、バイポーラ電池の製造工程において、シール部と融着を起こさない物質であることが好ましい。
【0083】
異物としては、特に限定されないがシール部を熱融着させる際の温度よりも高い融点を有するものが好ましく、例えば、金、アルミニウム、銅、ニッケル、シリコンまたはチタンなどの純金属;鋼、ステンレス鋼、またはジュラルミンなどの合金;Al2O3、ZrO2、BeO、TiO2、Si3N4またはBNなどのセラミックス;ポリアリレート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルケトン、ポリイミド、PP、PEまたは四フッ化樹脂などの樹脂などがあげられる。但し、異物がシール部を貫通する場合には、異物として電解液により腐食されにくい物質を選択するか、電解質により腐食されにくい物質でコーティングすることが好ましい。電解液により腐食されにくい物質としては、金、アルマイト処理化アルミニウムまたはニッケルなどが好ましい。異物の形状は特に限定されず、プレート状、円錐状など適宜決定することができ、加工しやすい点では丸が好ましい。
【0084】
少なくとも一部のシール部に切れ込みを入れることにより、ガス拡散出手段を通じて電池内部の空間に拡散したガスの体積が増加した際には、内圧が切れ込みを入れたシール部に集中する。そして、切れ込みが貫通するように入れられたシール分の場合、内圧により切れ込みが開口し、ガスが電池内部の新たな空間に拡散する。また、切れ込みが貫通しない程度に入れられたシール部の場合、内圧によりシール部が歪んだ際に切れ込みの入った部分に応力が集中し、シール部が裂け、ガスが電池内部の新たな空間に拡散する。これらの結果、電極間にガスが溜まり空隙を作ったり、ガスが電池要素の内圧を上昇させて外装を破ったりすることを防ぐことができる。
【0085】
少なくとも一部のシール部に切れ込みを入れる場合、全体のシール部の0.05〜3%に切れ込みを入れることが好ましく、より好ましくは0.1〜2%である。
【0086】
切れ込みを入れる場合、一つの層を形成するシール部の全てに切れ込みを入れてもよいし、一つの層を形成するシール部の一部分に切れ込みを入れてもよい。
【0087】
切れ込みは、シール部を貫通していてもよいし、貫通していなくてもよい。
【0088】
切れ込みの形状としては特に限定されないが、例えば、切れ目;U字型、V字型(図9E参照)および角型の溝など適宜決定することができ、加工しやすい点では、角型が好ましい。
【0089】
上述のシール部用ガス放出手段は更に他のシール部用ガス放出手段と組み合わせて用いてもよい。
【0090】
[タブシール部用ガス放出手段]
本発明では、タブシール部にガス放出手段(以下、タブシール部用ガス放出手段と記載)を備えることができる。
【0091】
タブシール部用ガス放出手段は、シール部用ガス放出手段と同様の態様で設けることができる。
【0092】
タブシール部用ガス放出手段は、全体の0.1〜3%に設けることが好ましく、より好ましくは0.3〜2%である。また、一つの層を形成するタブシール部の全てにタブシール部用ガス放出手段を設けてもよいし、一つの層を形成するタブシール部の一部にタブシール部用ガス放出手段を設けてもよい。
【0093】
[外装用ガス放出手段]
本発明では、外装にガス放出手段(以下、外装用ガス放出手段と記載)を備えることができる。
【0094】
以下、図面を用いて説明する。図5は、外装用ガス放出手段の一例を示した外装の部分平面概略図であり、外装用ガス放出手段の形状、大きさなどはこれらに限定されない。
【0095】
外装用ガス放出手段としては、図5Aに示すように、外装40にあけた穴41を樹脂膜で塞いだ形態;図5Bに示すように、外装40にあけた穴41を不織布43で塞いだ形態;図5Cに示すように、外装40にあけた穴41を金属箔44で塞いだ形態;図5Dに示すように、外装40にあけた穴41をセラミックス薄膜45で塞いだ形態;および、図5Eに示すように、外装40に切れ込み46を設けた形態よりなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。つまり、一つの外装にこれらの複数の形態のガス拡散手段が備えられていてもよい。
【0096】
外装に樹脂膜で塞がれてなる穴を設けることで、電池内部に拡散したガスの体積が増加した際には、内圧により、樹脂膜と外装との接着部分を剥離するか、内圧により樹脂膜を破ることにより、ガスを電池外部に放出する。その結果、電極間にガスが溜まり空隙を作ったり、外装を破ったりすることを防ぐことができる。
【0097】
樹脂膜で塞がれてなる穴の面積は、強度やガスの通過効率の点から外装の面積の0.5〜7%が好ましく、より好ましくは1〜3%である。穴の形状は特に限定されず、丸や矩形など適宜決定することができ、加工しやすい点では、丸が好ましい。穴の数は特に限定されず、適宜決定することができる。樹脂膜の厚さは10〜500μmが好ましく、より好ましくは15〜100μmである。用いる樹脂膜の材質は特に限定されず、例えば、PP、PE、ポリイミド、テフロン(登録商標)、アクリル樹脂などを用いることができる。
【0098】
本発明では、電極間のガス発生の際に内圧により樹脂膜が破れる機構を想定している場合には、内圧の上昇により破れる強度の樹脂膜を用いることが好ましい。
【0099】
外装に不織布で塞がれてなる穴を設けることで、電池内部に拡散したガスの体積が増加した際には、内圧により、不織布と外装との接着部分を剥離するか、内圧により不織布を破ることにより、ガスを電池外部に放出する。その結果、電極間にガスが溜まり空隙を作ったり、外装を破ったりすることを防ぐことができる。
【0100】
不織布で塞がれてなる穴の面積は、強度やガスの通過効率の点から外装の面積の0.5〜7%が好ましく、より好ましくは1〜3%である。穴の形状は特に限定されず、丸や矩形など適宜決定することができ、加工しやすい点では、丸が好ましい。穴の数は特に限定されず、前記表面積の範囲内で設けることが好ましい。不織布の厚さは10〜500μmが好ましく、より好ましくは15〜100μmである。用いる不織布の材質は特に限定されず、例えばガラス繊維などを用いることができる。
【0101】
本発明では、ガスバリヤー性が高い不織布を用いることが好ましい。また、電極間のガス発生の際に内圧により不織布が破れる機構を想定している場合には、内圧の上昇により破れる強度の不織布を用いることが好ましい。
【0102】
外装に金属箔で塞がれてなる穴を設けることで、電池内部に拡散したガスの体積が増加した際には、内圧により金属箔と外装との接着部分を剥離するか、内圧により金属箔を破ることにより、ガスを電池外部に放出する。その結果、電極間にガスが溜まり空隙を作ったり、外装を破ったりすることを防ぐことができる。
【0103】
金属箔で塞がれてなる穴の面積は、強度やガスの通過効率の点から外装の面積の0.5〜7%が好ましく、より好ましくは1〜3%である。穴の形状は特に限定されず、丸や矩形など適宜決定することができ、加工しやすい点では、丸が好ましい。穴の数は特に限定されず、前記表面積の範囲内で設けることが好ましい。金属箔の厚さは3〜30μmが好ましく、より好ましくは5〜10μmである。金属箔の材質としては特に限定されない。
【0104】
本発明では、電極間のガス発生の際に内圧により金属箔が破れる機構を想定している場合には、内圧の上昇により破れる強度の金属箔を用いることが好ましい。
【0105】
外装にセラミックス薄膜で塞がれてなる穴を設けることで、電池内部に拡散したガスの体積が増加した際には、内圧により、セラミックス薄膜と外装との接着部分を剥離するか、内圧によりセラミックス薄膜を破ることによりガスを電池外部に放出する。その結果、電極間にガスが溜まり空隙を作ったり、外装を破ったりすることを防ぐことができる。
【0106】
セラミックス薄膜で塞がれてなる穴の面積は、強度やガスの通過効率の点から集電体の面積の0.5〜7%が好ましく、より好ましくは1〜3%である。穴の形状は特に限定されず、丸や矩形など適宜決定することができ、加工しやすい点では、丸が好ましい。穴の数は特に限定されず、前記面積の範囲内で設けることが好ましい。セラミックス薄膜の厚さは10〜100μmが好ましく、より好ましくは20〜50μmである。セラミックス薄膜の材質としては特に限定されず、例えばSiO2またはこれらの混合物などを用いることができる。
【0107】
本発明では、電極間のガス発生の際に内圧によりセラミックス薄膜が破れる機構を想定している場合には、内圧の上昇により破れる強度のセラミックス薄膜を用いることが好ましい。
【0108】
外装に切れ込みを設けることで、電池内部に拡散したガスの体積が増加した際には、内圧により切れ込みが開口することによりガスを電池外部に放出する。その結果、電極間にガスが溜まり空隙を作ったり、外装を破ったりすることを防ぐことができる。
【0109】
切れ込みの長さは、電極の長さ(長手方向)に対して0.5〜10%、より好ましくは1〜5%である。切れ込みの数は特に限定されず、適宜決定することができる。切れ込みの形状は限定されず、一文字、十文字、アステリスクまたはコの字など適宜決定することができる。切れ込みは外装を貫通していないことが好ましい。
【0110】
上述の外装用ガス放出手段は更に他の外装用ガス放出手段と組み合わせて用いてもよい。
【0111】
また、外装用ガス放出手段を設ける位置は、特に限定されないが、前記ガス拡散手段またはシール部用ガス放出手段を設けた場所から、排出されたガスがスムーズに到達し、バイポーラ電池外へとガスを放出しやすい位置であることが好ましい。
[制振手段]
本発明では、ガス拡散手段を設ける手法を用いて、制振手段を設けることができる。
【0112】
以下、図面を用いて説明する。図6は、本発明の制振手段を概略図として示したものであり、詳細には、図6Aは制振手段の作製部位を示した単電池の部分平面概略図であり、図6B〜図6Dは制振手段の一例を示した集電体の部分平面概略図である。制振手段の形状、大きさなどはこれらに限定されない。
【0113】
集電体に設ける制振手段としては、図6Bに示すように、集電体20が放射状となるように穴21を備えた形態;図6Cに示すように、集電体20に升目状に穴21を備えた形態;図6Dに示すように、集電体20に櫛目状に穴21を備えた形態よりなる群から選択された少なくとも一種とすることが好ましい。つまり、これらは、集電体ごとに異なってもよいし、同じでもよい。また、一つの集電体の正極活物質層および負極活物質層を挟んだ両側に異なる制振手段が備えられてもよい。
【0114】
集電体の一部を放射状とした場合には、制振を必要とする領域の中央部分から外側に向けて放射状に集電体が加工されることにより、最も振幅の大きい中央部分(以下、重心と記載)の振動を効率よく抑制することができる。放射状の形状は特に限定されず適宜決定され、例えば、全ての線が重心を通るようにしてもよいし、重心以外の点から線が分岐していてもよい。特に、図7に示すように、重心を通りかつ制振を要する領域の長辺と平行な方向に伸長する線100を重心Gの位置する点を内分点として含んでN等分(例えば、6等分)する。次に、内分するN−1個の内分点(例えば、5点)101のうち両端から最も近い各々の内分点の位置する領域から制振を要する領域の外周部に向けて放射状に集電体を加工することにより、複数次数の振動モードに対しても効率よく振動を抑制することができる。
【0115】
集電体に升目状の穴を開けた場合には、格子状であるため振動を効率よく抑制することができる。
【0116】
集電体に櫛目状の穴を開けた場合には、櫛型であるため振動を効率よく抑制することができる。
【0117】
制振手段は、図1の符号5に示すように、シール部とタブのシール部との間に設けることが好ましい。また、制振手段は、ガス拡散手段を兼ね備えていてもよい。
【0118】
(第2実施の形態)
図1に示すように、本発明の第2は、集電体20にガス拡散手段1を設ける段階と、正極活物質層50、集電体20、負極活物質層70、および電解質層60を積層する段階と、端子としてのタブ29を設ける段階と、を有するバイポーラ電池の製造方法である
また、本発明は、シール部にシール部用ガス放出手段を設ける段階およびシール部を集電体同士の間に設ける段階;タブシール部にタブシール部用ガス放出手段を設ける段階およびタブシール部を集電体同士の間に設ける段階;外装用ガス放出手段を設ける段階および外装を用いて外装をパッケージングする段階;ならびに、集電体に制振手段を設ける段階、よりなる群から選択される少なくとも一種を更に有していてもよい。
【0119】
以下に本発明のバイポーラ電池の製造方法について説明するが、本発明は以下に記載のバイポーラ電池の製造方法に限定されない。
【0120】
[集電体の形成段階]
金属板を圧延し、金属箔を作製し、これを集電体とする。金属箔としては、上述の集電体の項で記載したものを好ましく用いることができる。
【0121】
また、他の方法として、溶媒に金属粉末とバインダーとを添加して、これらを混合することにより、集電体のペーストを作製する。集電体のペーストをスプレーコートにより基板に成膜した後、乾燥させて薄膜を形成し、これを集電体とする。溶媒としては、NMP(N−メチル−2ピロリドン)などを用いることができる。金属粉末としては、上述の集電体の項で記載したものを好ましく用いることができる。スプレーコートにより成膜する際には、装置としてスプレーコーターなどを用いることができ、室温で行うことが好ましい。乾燥は、70〜130℃で3〜60分、乾燥機を用いて行うことが好ましい。基板としては、ガラス板、Si基板などを用いることができる。
【0122】
スプレーコートにより集電体を形成する場合、基板に集電体の薄膜を作製する方法以外にも、直接、正極活物質層や負極活物質層にスプレーコートしてもよく、この場合、複雑な形状の正極活物質層または負極活物質層にも成膜できることや、基板に成膜したものを正極活物質層または負極活物質層に積層する方法よりも作業手順が短いことなどから、ガス拡散手段や制振手段を設けない単電池を作製する際に有効である。
【0123】
[タブを兼ね備えた端部集電体の形成段階]
タブを兼ね備えた端部集電体は、上述の集電体の形成段階と同様にして作製することができる。
【0124】
また、特開2004−139775号公報に記載のように、対向する一組の集電体の間に放熱部材を設けたものを、タブを兼ね備えた端部集電体としてもよい。
【0125】
また、タブを兼ね備えた端部集電体を作製せずに、正極端子または負極端子として機能するタブを用意してもよい。
【0126】
[正極活物質層の調製段階]
スラリー粘度の調整溶媒に、正極活物質層を添加し、正極活物質層のスラリーを作製する。正極活物質層のスラリーには、正極活物質以外にも、電解質、電解質塩、導電助剤などを添加することができる。スラリー粘度の調整溶媒としては、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)やアセトンなどを用いることができる。正極活物質、電解質、電解質塩、導電助剤としては、上述の正極活物質層の項で記載したものを好ましく用いることができる。
【0127】
[正極活物質層の形成段階]
集電体の片面に正極活物質層のスラリーをナイフコーターなどを用いて塗布したものを乾燥して薄膜を形成し、これを正極活物質層とする。乾燥は、40〜150℃で5分〜20時間、真空乾燥機を用いることができる。
【0128】
また、他の方法として、基材に正極活物質層のスラリーをナイフコーターなどを用いて塗布・乾燥して、基材から薄膜を剥離し、これを正極活物質層とする方法もある。この方法は、複雑な形状の正極活物質層を作製する際に有効である。基材としては、ポリエチレンフィルム、ポリエステルフィルムなどの剥離性能の高いフィルム材や、ガラス板、ポリプロピレンフィルムなどに剥離剤をコートしたものなどを用いることができる。
【0129】
[負極活物質層の調製段階]
スラリー粘度の調整溶媒に、負極活物質層を添加し、負極活物質層のスラリーを作製する。負極活物質層のスラリーには、負極活物質以外にも、電解質、電解質塩、導電助剤などを添加することができる。スラリー粘度の調整溶媒としては、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)やアセトンなどを用いることができる。負極活物質、電解質、電解質塩、導電助剤としては、上述の負極活物質層の項で記載したものを好ましく用いることができる。
【0130】
[負極活物質層の形成段階]
集電体の片面に負極活物質層のスラリーをナイフコーターなどを用いて塗布したものを乾燥して薄膜を形成し、これを負極活物質層とする。乾燥は、40〜150℃で5分〜20時間、真空乾燥機を用いることができる。また、80〜160℃で30〜36時間、乾燥空気で乾燥させてもよい。
【0131】
また、他の方法として、基材に負極活物質層のスラリーをナイフコーターなどを用いて塗布・乾燥して、基材から薄膜を剥離し、これを負極活物質層とする方法もある。この方法は、複雑な形状の負極活物質層を作製する際に有効である。基材としては、ポリエチレンフィルム、ポリエステルフィルムなどの剥離性能の高いフィルム材や、ガラス板、ポリプロピレンフィルムなどに剥離剤をコートしたものなどを用いることができる。
【0132】
[電解質層の形成段階]
電解質として、固体高分子電解質を用いて電解質層を形成する場合、溶媒に固体高分子電解質と熱重合開始剤とを溶解し、電解質層のペーストを作製する。次に、ナイフコーター、スプレーコーターなどを用いて基材に塗布し、40〜80℃で5〜120分、乾燥機を用いて乾燥と同時に熱重合を行い薄膜を硬化させる、基材から薄膜を剥離し、これを電解質層とする。固体高分子電解質としては、上述の電解質層の項で記載したものを好ましく用いることができる。溶媒としては、PC、EC、DMCなどを用いることができる。熱重合開始剤としては、アゾビスイソブチロニトリル、およびt−ヘキシルパーオキシピパレートなどを用いることができる。基材としては、ガラス板、Si基板などを用いることができる。
【0133】
電解質として、ゲル電解質を用いて電解質層を形成する場合、電解質塩と可塑剤とを混合し、電解液を調製する。次に、固体高分子電解質、電解液、および光重合開始剤を混合することにより電解質層のペーストを作製する。次に、ナイフコーター、スプレーコーターなどを用いて透明な基材に塗布し、UV照射することにより、必要な強度を有するように硬化させる。透明な基材から薄膜を剥離し、これを電解質層とする。電解質塩、可塑剤、および固体高分子電解質としては、上述の電解質層の項で記載したものを好ましく用いることができる。光重合開始剤としては、ベンジルジメチルケタールなどを用いることができる。基材としては、ガラス板などを用いることができる。
【0134】
[シール部の形成段階]
一組の第一の樹脂を用いて第二の樹脂を挟み込み、切断機、打ち抜き器により集電体の周囲に沿った環状に加工することによりシール部とした。第一の樹脂および第二の樹脂としては、上述のシール部の項で記載したものを好ましく用いることができる。
【0135】
[タブシール部の形成段階]
一組の第一の樹脂を用いて第二の樹脂を挟み込み、切断機、打ち抜き器により外装の周囲に沿った環状に加工することによりシール部とした。第一の樹脂および第二の樹脂としては、上述のタブシール部の項で記載したものを好ましく用いることができる。
【0136】
[電池要素の作製段階]
図1に示すように、正極活物質層50、集電体20、負極活物質層70、および電解質層60、を積層する。さらに、タブを兼ね備えた端部集電体29またはタブ(図示せず)を積層する。この場合、正極活物質層50、集電体20、負極活物質層70、および電解質層60は全て別個に薄膜を形成しているものを積層してもよいし、例えば、集電体20の両側にそれぞれ正極活物質層50または負極活物質層70が配置されているものと、電解質層60の薄膜とを積層してもよい。タブを兼ね備えた端部集電体29も、予め、正極活物質層50または負極活物質層70を配置したものを用いてもよいし、それぞれ別個に薄膜を形成しているものを積層してもよい。
【0137】
単電池層の積層数は図1に限定されない。
【0138】
次に、積層したものをヒートシーラーにより加熱圧着する。加熱圧着する際の温度と圧力は用いる材質により異なるが、温度は、100〜400℃が好ましく、より好ましくは120〜300℃であり、圧力は0.5〜3kg/cm2が好ましく、より好ましくは0.7〜2.5kg/cm2である。
【0139】
電池要素にシール部30が加わる場合には、正極活物質層50と負極活物質層70とを取り囲むように集電体20同士の間に配置されるように、シール部30も積層する。
【0140】
シール部30を用いる場合の加熱圧着する際の温度と圧力は用いる材質により異なるが、温度は、100〜400℃が好ましく、より好ましくは120〜300℃であり、圧力は0.5〜3kg/cm2が好ましく、より好ましくは0.7〜2.5kg/cm2である。
【0141】
タブを兼ね備えた端部集電体29を用いずにタブを用いる場合、タブと最外層の集電体20とは、超音波溶接により溶接することができる。
【0142】
[外装の形成段階]
熱融着性樹脂フィルム、金属箔、および剛性を有する樹脂フィルムをこの順序で積層しし、これを外装とした。
【0143】
熱融着性樹脂フィルム、金属箔、および剛性を有する樹脂フィルムは、上述の外装の項で記載したものを好ましく用いることができる。
【0144】
[バイポーラ電池の作製段階]
図1に示すように、外装40を用いて電池要素を挟み込み、ヒートシーラーにより加熱圧着する。加熱圧着する際の温度と圧力は用いる材質により異なるが、温度は、100〜400℃が好ましく、より好ましくは120〜300℃であり、圧力は0.5〜3kg/cm2が好ましく、より好ましくは0.7〜2.5kg/cm2である。
【0145】
外装40を用いて、電池要素を挟み込む場合、一枚の外装を二つ折りにしてその間に電池要素を挟みこんでもよいし、二枚の外装を対向させてその間に電池要素を挟みこんでもよい。
【0146】
タブシール部31を用いる場合には、電池要素を取り囲むように外装40同士の間にタブシール部31を設けることが好ましい。タブのある部分は、タブと外装40との間に配置されるようにタブシール部31を設ける。この場合、ヒートシーラーにより加熱圧着する。加熱圧着する際の温度と圧力は用いる材質により異なるが、温度は、100〜400℃が好ましく、より好ましくは120〜300℃であり、圧力は0.5〜3kg/cm2が好ましく、より好ましくは0.7〜2.5kg/cm2である。
【0147】
[ガス拡散手段設置段階]
図2に示すように、ガス拡散手段として、穴21、樹脂膜22を配置した穴21、不織布23を配置した穴21、網24を配置した穴21、金属箔25で塞がれてなる穴21、セラミックス薄膜26で塞がれてなる穴21、および切れ込27みよりなる群から選択される少なくとも一種を好ましく用いることができる。
【0148】
穴を設ける場合、例えば、ポンチにより穴を形成することができる。
【0149】
樹脂膜を配置した穴を設ける場合、樹脂膜は熱溶着などにより集電体に配置することができる。熱溶着する場合、温度は、100〜400℃が好ましく、より好ましくは120〜250℃であり、圧力は、0.5〜3kg/cm2が好ましく、より好ましくは0.7〜2.5kg/cm2である。
【0150】
樹脂膜を集電体に配置する場合、穴の外周を全て接着してもよいし、未接着の部分を残してもよい。未接着の部分を残す場合、穴の外周の3〜90%が好ましく、より好ましくは10〜80%である。
【0151】
また、内圧により樹脂膜が破れる構造を想定している場合、予め樹脂膜に貫通しない程度の切れ込みを入れておいてもよい。
【0152】
不織布を配置した穴を設ける場合、不織布は熱溶着などにより集電体に配置することができる。熱溶着する場合、温度は、100〜400℃が好ましく、より好ましくは120〜250℃であり、圧力は、0.5〜3kg/cm2が好ましく、より好ましくは0.7〜2.5kg/cm2である。
【0153】
不織布を集電体に配置する場合、穴の外周を全て接着してもよいし、未接着の部分を残してもよい。未接着の部分を残す場合、穴の外周の3〜90%が好ましく、より好ましくは10〜80%である。
【0154】
また、内圧により不織布が破れる構造を想定している場合、予め不織布に貫通しない程度の切れ込みを入れておいてもよい。
【0155】
網を配置した穴を設ける場合、網として樹脂を用いる場合には、熱溶着により集電体に配置するこができる。網として金属を用いる場合には圧着により集電体に配置することができる。熱溶着する場合、温度は、100〜400℃が好ましく、より好ましくは120〜250℃であり、圧力は、0.5〜3kg/cm2が好ましく、より好ましくは0.7〜2.5kg/cm2である。圧着する場合、温度は、50〜200℃が好ましく、より好ましくは100〜200℃であり、圧力は、100〜1000kg/cm2が好ましく、より好ましくは200〜700kg/cm2である。
【0156】
金属箔で塞がれてなる穴の場合、金属箔は圧着などにより集電体に配置することができる。圧着する場合、温度は、50〜200℃が好ましく、より好ましくは100〜200℃であり、圧力は、100〜200℃が好ましく、より好ましくは100〜200℃である。
【0157】
金属箔を集電体に配置する場合、穴の外周を全て接着してもよいし、未接着の部分を残してもよい。未接着の部分を残す場合、穴の外周の3〜90%が好ましく、より好ましくは10〜80%である。
【0158】
また、内圧により金属箔が破れる構造を想定している場合、予め金属箔に貫通しない程度の切れ込みを入れておいてもよい。
【0159】
セラミックス薄膜で塞がれてなる穴の場合、セラミックス薄膜はPPを目的物同士の間に配置た後、熱でPPを溶解して目的物同士を溶着させる方法(以下、PP熱溶着と記載)などにより集電体に配置することができる。
【0160】
セラミックス薄膜を集電体に配置する場合、穴の外周を全て接着してもよいし、未接着の部分を残してもよい。未接着の部分を残す場合、穴の外周の3〜90%が好ましく、より好ましくは10〜80%である。
【0161】
また、内圧によりセラミックス薄膜が破れる構造を想定している場合、予めセラミックス薄膜に貫通しない程度の切れ込みを入れておいてもよい。
【0162】
切れ込みを設ける場合、例えばダイヤモンドカッターにより切れ込みを形成することができる。
【0163】
集電体には、ガス拡散手段を先に設けてから積層してもよいし、積層してからガス拡散手段を設けてもよい。
【0164】
[シール部用ガス放出手段設置段階]
シール部にシール部用ガス放出手段を設ける場合、シール部用ガス放出手段を設けてから積層することが好ましい。
【0165】
図4に示すように、シール部用ガス放出手段として、少なくとも一部のシール部30の接着強度をその他のシール部30の接着強度よりも低く形成すること32;少なくとも一部のシール部30に異物33を挟み込むこと;および少なくとも一部のシール部30に切れ込み34を入れること;よりなる群から選択される少なくとも一種を好ましく用いることができる。
【0166】
少なくとも一部のシール部の接着強度をその他のシール部の接着強度よりも低く形成する場合、特に限定されないが、方法の一つとして、一部のシール部の集電体との接着面積を小さくする方法がある。この場合、一部のシール部自体を小さくしてもよいし、集電体との接触部分に凹凸を設けてもよい。他の方法として、一部のシール部の材質として、他のシール部の材質よりも耐熱温度の高いものを用いる方法もある。
【0167】
少なくとも一部のシール部に異物を挟み込む場合、例えば、異物にシーラントを巻きシールするようにして、異物を挟み込むことができる。
【0168】
少なくとも一部のシール部に切れ込みを入れる場合、例えば、カッターにより切れ込みを形成することができる。
【0169】
[タブシール部用ガス放出手段設置段階]
タブシール部にタブシール部用ガス放出手段を設ける場合、タブシール部用ガス放出手段を設けてから積層することが好ましい。
【0170】
タブシール部用ガス放出手段として、少なくとも一部のシール部の接着強度をその他のシール部の接着強度よりも低く形成すること;少なくとも一部のタブシール部に異物を挟み込むこと;および少なくとも一部のタブシール部に切れ込みを入れること;よりなる群から選択される少なくとも一種を好ましく用いることができる。
【0171】
少なくとも一部のタブシール部の接着強度をその他のタブシール部の接着強度よりも低く形成する場合、特に限定されないが、方法の一つとして、一部のタブシール部の集電体との接着面積を小さくする方法がある。この場合、一部のタブシール部自体を小さくしてもよいし、集電体との接触部分に凹凸を設けてもよい。他の方法として、一部のタブシール部の材質として、他のタブシール部の材質よりも耐熱温度の高いものを用いる方法もある。
【0172】
少なくとも一部のタブシール部に異物を挟み込む場合、例えば、異物にシーラントを巻きシールして、異物を挟み込むことができる。
【0173】
少なくとも一部のタブシール部に切れ込みを入れる場合、例えば、カッターにより切れ込みを形成することができる。
【0174】
[外装用ガス放出手段設置段階]
外装に外装用ガス放出手段を設ける場合、外装用ガス放出手段を設けてから電池要素をパッケージングすることが好ましい。
【0175】
図5に示すように、外装用ガス放出手段としては、樹脂膜42で塞がれてなる穴41、不織布43で塞がれてなる穴41、金属箔44で塞がれてなる穴41、セラミックス薄膜45で塞がれてなる穴41および切れ込46みよりなる群から選択される少なくとも1種を好ましく用いることができる。
【0176】
穴を設ける場合、例えば、ポンチにより穴を形成することができる。
【0177】
樹脂膜で塞がれてなる穴を設ける場合、樹脂膜は熱溶着などにより外装に配置することができる。熱溶着する場合、温度は、100〜400℃が好ましく、より好ましくは120〜250℃であり、圧力は、0.5〜3kg/cm2が好ましく、より好ましくは0.7〜2.5kg/cm2である。
【0178】
不織布で塞がれてなる穴を設ける場合、不織布は熱溶着などにより外装に配置することができる。熱溶着する場合、温度は、100〜400℃が好ましく、より好ましくは120〜250℃であり、圧力は、0.5〜3kg/cm2が好ましく、より好ましくは0.7〜2.5kg/cm2である。
【0179】
金属箔で塞がれてなる穴の場合、金属箔はPP熱溶着などにより外装に配置することができる。熱溶着する場合、温度は、100〜400℃が好ましく、より好ましくは120〜250℃であり、圧力は、0.5〜3kg/cm2が好ましく、より好ましくは0.7〜2.5kg/cm2である。
【0180】
セラミックス薄膜で塞がれてなる穴の場合、セラミックス薄膜はPP熱溶着などにより外装に配置することができる。PP熱溶着する場合、温度は、100〜400℃が好ましく、より好ましくは120〜250℃であり、圧力は、0.5〜3kg/cm2が好ましく、より好ましくは0.7〜2.5kg/cm2である。
【0181】
切れ込みを設ける場合、例えばカッターにより切れ込みを形成することができる。また、外装を作製する段階で、熱融着性樹脂フィルム及び剛性を有する樹脂フィルムの少なくとも一つに切れ込みを設けておいてから、熱融着性樹脂フィルム、金属箔、剛性を有する樹脂フィルムの順に積層し、超音波溶融法等により作製した外装を用いてもよい。
【0182】
[制振手段設置段階]
図6に示すように、制振手段として、集電体が放射状となるように穴を備えた形態(図6B);集電体に升目状に穴を備えた形態(図6C);集電体に櫛目状に穴を備えた形態(図6D)よりなる群から選択された少なくとも一種とすることが好ましい。
【0183】
穴を設ける場合、例えば、ポンチにより穴を形成することができる。
【0184】
集電体には、制振手段を先に設けてから積層してもよいし、積層してから制振手段を設けてもよい。
【0185】
(第3実施の形態)
本発明の第3は、バイポーラ電池を複数個、並列および/または直列に接続したことを特徴とする組電池である。
【0186】
本発明では、バイポーラ電池を複数個全て並列に接続してもよいし、複数個全て直列に接続してもよいし、複数個直列に接続したものを更に並列に接続してもよい。バイポーラ電池の接続数は直列に接続する場合、2〜150個が好ましく、より好ましくは5〜120個である。
【実施例】
【0187】
次に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、これらの実施例は何ら本発明を制限するものではない。
【0188】
(実施例1)
以下、実施例2〜23、比較例1、および参考例1〜3で用いたバイポーラ電池の作製方法について説明する。但し、実施例および参考例のガス拡散手段、タブシール部用ガス放出手段、外装用ガス放出手段および制振手段の作製方法及び作製手順については、各実施例、各参考例の項で説明を行う。
【0189】
<集電体およびタブを兼ね備えた端部集電体の作製>
集電体として厚みが20μm、外形寸法が100mm×70mmのサス箔を用意し、タブを兼ね備えた端部集電体として厚みが100μm、外形寸法が50mm×40mmのNi箔を用意した。
【0190】
<正極活物質層の作製>
スラリー粘度の調製溶媒としてNMPに、導電助剤としてアセチレンブラックと、正極活物質としてLiMn2O4と、バインダーとしてPVDFを添加して混合することにより、正極活物質層のスラリーを調製した。
【0191】
これを、ナイフコーターを用いて集電体の片面に塗布し、150℃で1時間、真空で乾燥させて正極活物質層とした。正極活物質層の厚みは100μm、塗布面積は60mm×40mmであった。
【0192】
また、タブを兼ね備えた端部集電体の片面にもナイフコーターを用いて正極活物質層のスラリーを塗布し、150℃で1時間、真空で乾燥させて正極活物質層とした。正極活物質層の厚みは100μm、塗布面積は60mm×40mmであった。
【0193】
<負極活物質層の作製>
スラリー粘度の調製溶媒としてNMPに、導電助剤としてアセチレンブラックと、負極活物質としてLi4Ti5O12と、バインダーとしてPVDFを添加して混合することにより、負極活物質層のスラリーを調製した。
【0194】
これを、片面に正極活物質層を形成した集電体の他の片面に塗布し、150℃で1時間、真空で乾燥させて負極活物質層とした。負極活物質層の厚みは120μm、塗布面積は70mm×45mmであった。
【0195】
また、タブを兼ね備えた端部集電体の片面にもナイフコーターを用いて負極活物質層のスラリーを塗布し、150℃で1時間、真空で乾燥させて負極活物質層とした。負極活物質層の厚みは100μm、塗布面積は70mm×45mmであった。
【0196】
<電解質層の作製>
厚さ50μmのPP不織布に、ポリエチレンオキシドとポリプロピレンオキシドとの共重合体5質量%、EC+DMC(1:3)95質量%、EC+DMC電解液に対して1.0MのLi(C2F5SO2)2Nからなるゲル電解質を保持させて電解質層とした。電解質層の厚みは100μm、外形寸法は75mm×47mmであった。
【0197】
<シール部の作製>
第一の樹脂として融点94℃の変性PP、第二の樹脂として融点200℃のポリアミド系樹脂を用意し、第一の樹脂で第二の樹脂を挟み込み、集電体の周囲に沿った形状に加工してシール部とした。外形寸法は100mm×70mmであった。
【0198】
<タブシール部の作製>
第一の樹脂として融点94℃の変性PP、第二の樹脂として融点200℃のポリアミド系樹脂を用意し、第一の樹脂で第二の樹脂を挟み込み、外装の周囲に沿った形状に加工してシール部とした。外形寸法は130mm×100mmであった。
【0199】
<電池要素の作製>
電解質層と、正極活物質層および負極活物質層で挟み込まれた集電体からなるバイポーラ電極、正極活物質層を積層したタブを兼ね備えた端部集電体、負極活物質層を積層したタブを兼ね備えた端部集電体、ならびにシール部を用いて図1に示すように単電池を7層積層した。次に、加熱圧着し、厚さ360μm、外形寸法100mm×70mmの電池要素を作製した。
【0200】
<外装の作製>
熱融着性樹脂フィルムとしてPP、金属箔としてアルミニウム、および剛性を有する樹脂フィルムとしてPPをこの順序で積層することにより作製したラミネートシートを用意し、外装とした。外装の厚みは200μmであった。
【0201】
<バイポーラ電池の作製>
外形寸法120×70mmの外装、電池要素、およびタブシール部を用いて、図1に示すように積層した。次に、外周をヒートシーラーにより加熱圧着することによりバイポーラ電池を作製した。
【0202】
(実施例2〜7および比較例1)
ガス拡散手段として、穴、樹脂膜を配置した穴、不織布を配置した穴、網を配置した穴、金属箔で塞がれてなる穴、または切れ込みを集電体に設けてそれぞれ実施例2〜7とした。各実施例の詳細については図8および表1に示す。
【0203】
ガス拡散手段は、タブを兼ね備えた端部集電体を含む集電体の全層に設けた。
【0204】
ガス拡散手段の作製方法は、実施例2の穴の場合、実施例1の手順の中で、集電体およびタブを兼ね備えた端部集電体を作製した後で、ポンチにより穴を設け、次にこれらに正極活物質層や負極活物質層を塗布した。実施例2〜6も同様の手順でガス拡散手段を設けた。
【0205】
比較例1として、ガス拡散手段を設けていないこと以外は実施例2〜7と同様のバイポーラ電池を用いた。
【0206】
実施例2〜7および比較例1のバイポーラ電池をそれぞれ5個ずつ用いて、0.2Cの電流値で定電流−定電圧、12時間充電で、満充電後に半充電とした際の内部抵抗の増加率を評価した。より詳細には、バイポーラ電池の電圧を16.8Vに充電した後、電圧を下げずに60℃で1週間放置後に電圧を14.4Vとした際の内部抵抗の増加率を放電により測定し、評価した。初期値を1として、5個の平均を求めた結果を表1に示す。
【0207】
【表1】
【0208】
表1からは、実施例2〜7と比較して、比較例1の内部抵抗上昇率が約4倍となっていることがわかる。また、評価後、電池を樹脂によって固めて、ダイヤモンドカッターによりバイポーラ電池を切断し、断面を顕微鏡で観察を行った。更に、X線スキャンを用いて電極間の広がりを確認した。
【0209】
顕微鏡での観察およびX線スキャンの結果、実施例2〜7は、電極間が若干広がっているものの、大きく広がっているところは確認されなかった。これらに対し、比較例1は、ある電極間が大きく広がっていることが確認された。
【0210】
(実施例8〜11および参考例2)
実施例2で用いたものと同様のバイポーラ電池を用意し、図9に示すように、タブシール部用ガス放出手段として、一部のタブシール部の接着強度を低くする、タブシール部に金属箔を挟み込む、タブシール部に切れ目状の切れ込みを入れる、タブシール部に角型の溝の切れ込み入れる、という加工を行い、それぞれ実施例8〜11とした。各実施例の詳細については図9および表2に示す。
【0211】
タブシール部用ガス放出手段の作製方法は、実施例8の一部のタブシール部の接着強度を低くする場合、実施例1の手順の中で、シール部を作製した後で、カットすることによりシール部の外形寸法を小さくし、次に集電体同士の間に積層した。実施例9〜11も同様の手順でシール部用ガス放出手段を設けた。
【0212】
参考例1として、タブシール部用ガス放出手段を設けていないこと以外は実施例8〜11と同様のバイポーラ電池を用いた。
【0213】
実施例8〜11および参考例1のバイポーラ電池をそれぞれ5個ずつ用いて0.2Cの電流値で定電流−定電圧、12時間充電で、満充電にした後に、高温下に置いた際のガス放出までの時間を測定した。より詳細には、バイポーラ電池の電圧を16.8Vに充電した後、100℃に設定したオーブン内に設置し、ガス放出までの時間を測定し評価した。ガス放出の確認は目視で確認を行った。5個の平均を求めた結果を表2に示す。
【0214】
【表2】
【0215】
参考例2は60分経過後もガスを放出しなかったため、180分後にオーブンの温度を30℃にまで下げたが、外装はガス発生が原因となり膨張していた。
【0216】
(実施例12〜15および参考例3)
実施例2で用いたものと同様のバイポーラ電池を用意し、外装部用ガス放出手段として、薄い樹脂膜を配置した穴、金属箔で塞がれてなる穴、切れ込み(一文字)、切れ込み(十文字)を外装に設けてそれぞれ実施例12〜15とした。各実施例の詳細については図10および表3に示す。
【0217】
外装用ガス放出手段の作製方法は、実施例12の樹脂膜で塞がれてなる穴の場合、実施例1の手順の中で、外装を作製した後で、ポンチにより穴を設け、次に樹脂膜を170℃、圧力0.7kg/cm2でヒートシーラーにより熱溶着した。次に、この外装を用いて、電池要素およびタブシール部をパッケージングした。実施例13〜15も同様の手順で外装用ガス放出手段を設けた。
【0218】
参考例2として、外装部用ガス放出手段を設けていないこと以外は実施例12〜15と同様のバイポーラ電池を用いた。
【0219】
実施例12〜15および参考例2のバイポーラ電池をそれぞれ5個ずつ用いて、0.2Cの電流値で定電流−定電圧、12時間充電で、満充電にした後に、高温下に置いた際のガス放出までの時間を測定した。より詳細には、バイポーラ電池の電圧を16.8Vに充電した後、100℃に設定したオーブン内に設置し、ガス放出までの時間を目視での観察により測定し、評価した。5個の平均を求めた結果を表3に示す。
【0220】
【表3】
【0221】
参考例2は60分経過後もガスを放出しなかったため、180分後にオーブンの温度を30℃にまで下げたが、外装はガス発生が原因となり膨張していた。
【0222】
(実施例16〜23および参考例3)
集電体に各制振手段を設けてそれぞれ実施例16〜23とした。各実施例の詳細については図11および表4に示す。
【0223】
制振手段はタブを兼ね備えた端部集電体を含む集電体に設けた。
【0224】
制振手段の作成方法は、実施例16の場合、実施例1の手順の中で、タブを兼ね備えた端部集電体を作製した後で、カッターにより穴を設け、次にこれらに正極活物質層または負極活物質層を塗布した。実施例17〜23も同様の手順で制振手段を設けた。
【0225】
参考例3として、制振手段を設けていないこと以外は実施例16〜23と同様のバイポーラ電池を用いた。
【0226】
実施例16〜23および参考例3のバイポーラ電池をそれぞれ5個ずつ用いて、半充電した後、平らな板に電池を貼り付けて振動を与えた後、シール部に剥離が発生しているか観察を行った。より詳細には、図11に示すようにバイポーラ電池の電圧を14.4Vに充電した後、2×5cmの両面テープ90を2枚用いて、振動台の面積が30cm×30cmの振動試験機80(エミック社製FM−2051型)に固定し、60℃、50Hzで30時間放置した後、シール部30とタブシール部31との間を切断し、顕微鏡により観察を行った。結果を表4に示す。
【0227】
【表4】
【0228】
参考例では、上下両方のタブシール部に剥離が見られた。
【図面の簡単な説明】
【0229】
【図1】ガス拡散手段、シール部用ガス放出手段、タブシール部ガス放出手段および外装用ガス放出手段の作製部位の一例を示したバイポーラ電池の断面概略図である。
【図2】ガス拡散手段の一例を示した集電体の部分斜視概略図である。
【図3】図3は、ガス拡散手段の作製部位の一例を示した単電池の部分平面概略図である。
【図4】シール部用ガス放出手段の一例を示した電池要素の部分断面概略図である。
【図5】外装用ガス放出手段の一例を示した外装の部分平面概略図である。
【図6】図6Aは制振手段の作製部位を示した単電池の部分平面概略図であり、図6B〜図6Dは制振手段の一例を示した集電体の部分平面概略図である。
【図7】制振手段の一例を示した集電体の部分平面概略図である。
【図8】図8Aは実施例2〜7のガス拡散手段作製部位を示したバイポーラ電極の平面概略図であり、図8B〜図8Gは実施例2〜7のガス拡散手段を示した集電体の部分平面概略図である。
【図9】図9Aは実施例8〜11のシール部用ガス放出手段の作製部位を示したシール部の平面概略図であり、図9B〜図9Eは実施例8〜11のシール部用ガス放出手段を示した電池要素の部分断面概略図である。図9Fは参考例を示した電池要素の部分断面概略図である。
【図10】図10Aは実施例12〜15の外装用ガス放出手段の作製部位を示したバイポーラ電池の断面概略図であり、図10B〜図10Eは実施例12〜15の外装用ガス放出手段を示した外装の部分平面概略図である。
【図11】図11Aは実施例16〜23の制振手段の作製部位を示したバイポーラ電池の断面概略図であり、図11B〜図11Iは実施例16〜23の制振手段を示した集電体の部分平面概略図である。
【符号の説明】
【0230】
1 ガス拡散手段、
2 シール部用ガス放出手段、
3 タブシール部用ガス放出手段、
4 外装用ガス放出手段、
5 制振手段、
10 ガス、
20 集電体、
21 穴、
22 樹脂膜、
23 不織布、
24 網、
25 金属箔、
26 セラミックス薄膜、
27 切れ込み、
29 タブを兼ね備えた端部集電体、
30 シール部、
31 タブシール部、
32 接着強度が弱いシール部、
33 異物、
34 切れ込み、
40 外装、
41 穴、
42 樹脂膜、
43 不織布、
44 金属箔、
45 セラミックス薄膜、
46 切れ込み、
50 正極活物質層、
60 電解質層、
70 負極活物質層、
80 振動試験装置、
90 両面テープ、
100 重心を通りかつ制振を要する領域の長辺と平行な方向に伸長する線、
101 内分点、
E ガス発生部位、
G 最も振幅の大きい中央部分。
【技術分野】
【0001】
本発明はバイポーラ電池に関する。より詳細にはバイポーラ電池のガス放出手段に関する。
【背景技術】
【0002】
環境保護運動の高まりを背景として電気自動車(EV)、ハイブリット自動車(HEV)、または燃料電池車(FCV)の導入が促進されている。EV、HEV、またはFCV等への利用といった高出力および高エネルギー密度を要求される用途では、単一の大型電池は事実上作れず、複数個の電池を接続して構成した組電池を使用することが一般的である。このような用途に用いる電池として、バイポーラ電池が有望視されている。
【0003】
しかし、バイポーラ電池は、高速充放電、高温使用または過充電等により電解質が分解してガスを発生したり、製造時に除去しきれずに電池内に残留してしまった水分や電解液等の成分が熱により気化してガスを発したりする。その結果、発生したガスにより電極間に距離が生じたり、外装が破裂したりする。電極間に距離が生じた場合、空隙が絶縁部分となり電池性能が失われる。また、外装が破裂した場合、電解液が飛散して搭載された機器の損傷を招くおそれがある。
【0004】
特許文献1では、内側面から熱融着性樹脂フィルム、金属箔および剛性を有する樹脂フィルムをこの順序で積層した積層フィルムからなる外装材を用い、ガス放出機構として熱融着性樹脂フィルムに孔を開口し、剛性を有する樹脂フィルムに切れ込みを入れている。
【特許文献1】特開平11−102674号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上述のガス放出機構は薄型二次電池に対応するもので、単電池を複数積層したバイポーラ電池でのガス発生による電極間距離の発生を防止することはできない。
【0006】
本発明は、電池内部でガスが発生しても、電極間に距離が生じず、外装が破裂しないバイポーラ電池を提供することを目的とする。
【0007】
また、シール部またはタブシール部による封止構造を有するバイポーラ電池の場合、例えば自動車用として用いた場合など、振動によりシール部またはタブシール部が剥離するおそれがある。
【0008】
本発明は、振動を受けてもシール部またはタブシール部が剥離し難いバイポーラ電池を提供することも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、バイポーラ電池におけるガス発生機構を詳細に検討した結果、少なくとも集電体にガス拡散手段を設け、さらにガス拡散手段と併せて、シール部にシール部用ガス放出手段を設け、タブシール部にタブシール部用ガス放出手段を設け、外装に外装用ガス放出手段を設けることにより、上記の問題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
【0010】
また、本発明者は、ガス拡散手段を設ける手法を用いて、制振手段を設けられることを見出し、本発明を完成させた。
【発明の効果】
【0011】
本発明によるバイポーラ電池は、発生したガスを電池内の一定の部位に溜め込まないようにする手段を有しているため、例えば、高速充放電、高温使用または過充電等により電池内部にガスが発生しても、電極間に距離が生じたり、外装が破裂したりしない。
【0012】
また、本発明によるバイポーラ電池は制振性に優れるため、振動により、シール部が剥離するおそれが少ない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
(第1実施の形態)
図1は本発明のガス拡散手段、シール部用ガス放出手段、タブシール部用ガス放出手段、外装用ガス放出手段および制振手段の作製の一例を示したバイポーラ電池の断面概略図である。
【0014】
図1に示すように、本発明の第1は、正極活物質層50、集電体20、および負極活物質層70がこの順序で積層されてなるバイポーラ電極と、前記バイポーラ電極に挟まれた電解質層60と、外装40と、タブを兼ね備えた端部集電体29と、を含み、集電体にガス拡散手段1を備えることを特徴とするバイポーラ電池である。
【0015】
また、本発明は、集電体20同士の間にシール部30を備え、シール部30にシール部用ガス放出手段2を備えること;外装40同士の間にタブシール部31を備え、タブシール部31にタブシール部用ガス放出手段3を備えること;外装40に外装用ガス放出手段4を備えること;および、集電体20に制振手段5を備えること、よりなる群から選択される少なくとも一種を更に有していてもよい。
【0016】
高速充放電、高温使用または過充電等により、例えば、図1の符号Eで示す部位からガス10が発生したとする。この場合、集電体20にガス拡散手段1が設けられていると、発生したガス10が、ガス拡散手段1を通じて電池の内部空間に拡散するため、ガス10が電極間に溜まり電極間に空隙を生じさせない。
【0017】
符号Eで示す部位の電解質の分解が激しい場合や、符号Eで示す部位以外の複数の部位からガス10が発生した場合や、電池が高温環境下に曝された場合など、ガス拡散手段1の能力が限界を超えるおそれがある場合でも、シール部用ガス放出手段2を設けられていることで、ガス10が電池の更なる内部空間に拡散することができる。また、ガス拡散手段1を端部集電体29と端部集電体29に連なる集電体20に設け、なおかつタブシール部31にもタブシール部用ガス放出手段3を設けることにより、ガス10を電池外部に放出することができる。また、ガス拡散手段1を端部集電体29と端部集電体29に連なる集電体20に設け、なおかつ外装40に外装用ガス放出手段4を設けることによっても、ガス10を電池外部に放出することができる。また、端部集電体29にガス拡散手段1を設けず、連なる集電体20にガス拡散手段1を設けた場合でも、シール部用ガス放出手段2と組み合わせ、更にタブシール部用ガス放出手段3および/または外装用ガス放出手段4を設けることで、ガス10を電池外部に放出することができ、電極間の距離の発生や、外装が破裂して電解液が飛散することを防ぐことができる。
【0018】
本発明は上述のガス拡散手段、シール部用ガス放出手段、タブシール部用ガス放出手段および外装用ガス放出手段の組み合わせに限定されない。
【0019】
図1では、両端部の集電体の厚みと大きさを変えて、正極端子または負極端子として機能するタブを兼ね備えた端部集電体29としているが、タブを兼ね備えた端部集電体29を用いずに、正極端子または負極端子として機能するタブを別個に用意してもよい。
【0020】
[正極活物質層]
正極活物質層は正極活物質を含み、正極活物質としては遷移金属とリチウムとの化合物、遷移金属酸化物、遷移金属硫化物、PbO2、AgOまたはNiOOHなどを用いることができる。遷移金属とリチウムとの化合物の例として、スピネルLiMn2O4などのリチウム−Mn系複合酸化物;LiCoO2などのリチウム−コバルト系複合酸化物;LiNiO2などのリチウム−ニッケル系複合酸化物;LiFeO2などのリチウム−鉄系複合酸化物;LiFePO4などの遷移金属とリチウムとのリン酸化合物;または遷移金属とリチウムとの硫酸化合物などが挙げられる。遷移金属酸化物の例として、V2O5、MnO2、MoO3などが挙げられる。遷移金属硫化物の例としてTiS2、MoS2などが挙げられる。
【0021】
正極活物質の平均粒子径は0.1〜10μmが好ましく。より好ましくは0.1〜5μmである。平均粒子径が10μm以下である場合、電極抵抗が低減する点で好ましい。
【0022】
正極活物質層には、正極活物質以外にも電解質、電解質塩、導電助剤、などを含むことができる。電解質および電解質塩の詳細については、後述の電解質層の項に記載する。導電助剤の例としてアセチレンブラック、カーボンブラック、またはグラファイトなどが挙げられる。
【0023】
正極活物質層の厚みは、特に限定するものではなく出力重視やエネルギー重視などの電池の使用目的、イオン伝導性を考慮して決定すべきである。一般的な正極活物質層の厚みは5〜500μmである。
【0024】
[集電体]
集電体は、圧延等の方法により作製された金属箔からなるものや、スプレーコート等の方法により作製された金属箔以外の薄膜からなるものがある。
【0025】
金属箔からなるものとしては、特に限定されないが、例えば、ニッケル材とアルミニウム材とを貼り合せたクラッド材の箔、ニッケル箔、ニッケル系合金の箔、アルミニウム箔、またはステンレス箔などがあげられる。コスト面では、アルミニウム箔を用いることが好ましい。
【0026】
金属箔以外の薄膜からなるものとしては、特に限定されないが、例えば、アルミニウム、鋼、チタン、ニッケル、ステンレス、またはこれらの合金の粉末とバインダーとの混合物などがあげられる。これらの金属粉末は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合してもよい。バインダーとしては、エポキシ樹脂などがあげられる。金属の粉末に対するバインダーの混合量は2〜40質量%が好ましく、より好ましくは4〜30質量%である。金属の粉末に対するバインダーの混合量が40質量%以下である場合、導電性を阻害せず、2質量%以上である場合、集電体が必要な強度を保つことができる。
【0027】
集電体の厚みは、3〜100μmが好ましく、より好ましくは5〜50μmである。集電体の厚みが3μm以上である場合、強度の点から好ましい。また、集電体の厚みが100μm以下である場合、電池の薄型化の点から好ましい。
【0028】
[タブを兼ね備えた端部集電体]
タブを兼ね備えた端部集電体は、上述の集電体の項で記載したものと同様のものを用いることができる。
【0029】
タブを兼ね備えた端部集電体の厚みは、30〜500μmが好ましく、より好ましくは50〜300μmである。
【0030】
また、タブを兼ね備えた端部集電体を用いずに、正極端子または負極端子として機能するタブを別個に用意する場合、タブは、ニッケル材とアルミニウム材とを貼り合せたクラッド材の箔、ニッケル箔、ニッケル系合金の箔、アルミニウム箔、またはステンレス箔などがあげられる。コスト面では、アルミニウム箔を用いることが好ましい。タブの厚みは、0.1〜2mmが好ましい。正極端子として機能するタブと負極端子として機能するタブは、同一の材質を用いてもよいし、異なる材質のものを用いてもよい。さらに、これらのタブは、材質の異なるものを多層に積層したものであってもよい。
【0031】
[負極活物質層]
負極活物質層は、負極活物質を含み、負極活物質としては、金属酸化物、遷移金属とリチウムとの複合酸化物、カーボンなどを用いることができ、これらは単独で用いてもよいし2種以上を併用してもよい。金属酸化物の例として、TiO、Ti2O3またはTiO2などが挙げられる。遷移金属とリチウムとの複合酸化物の例として、Li4/3Ti5/3O4などが挙げられる。
【0032】
負極活物質の平均粒子径は0.05〜50μmが好ましく。より好ましくは0.1〜20μmである。平均粒子径が50μm以下である場合、電極抵抗が低減する点で好ましい。
【0033】
負極活物質層には、負極活物質以外にも電解質、電解質塩、導電助剤、などを含むことができる。電解質および電解質塩の詳細については、後述の電解質層の項に記載する。導電助剤は、上述の正極活物質層の項で記載したものと同じである。
【0034】
負極活物質層の厚みは、特に限定するものではなく出力重視やエネルギー重視などの電池の使用目的、イオン伝導性を考慮して決定すべきである。一般的な負極活物質層の厚みは5〜500μmである。
【0035】
[電解質層]
電解質層を形成する電解質としては固体高分子電解質またはゲル電解質が挙げられる。
【0036】
固体高分子電解質としては、例えばポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、またはこれらの共重合体などが挙げられる。
【0037】
ゲル電解質は、高分子電解質からなる骨格中に電解液を含んだものである。骨格としてはイオン導伝性を有する固体高分子電解質、またはイオン導伝性を持たない高分子を用いることができる。
【0038】
電解液は電解質塩と可塑剤とからなる。電解質塩として例えば、LiPF6、LiBF4、LiClO4、LiAsF6、LiTaF6、LiAlCl4、またはLi2B10Cl10などの無機陰イオン塩、もしくは;Li(CF3SO2)2N、またはLi(C2F5SO2)2Nなどの有機陰イオン塩が挙げられる。これらは1種単独で可塑剤と混合してよいし、2種以上を可塑剤と混合してもよい。可塑剤として例えば、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネートなどの環状カーボネート類;ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、またはジエチルカーボネートなどの鎖状カーボネート類;テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジブトキシエタンなどのエーテル類;γ−ブチロラクトンなどのラクトン類;アセトニトリルなどのニトリル類;プロピオン酸メチルなどのエステル類;ジメチルホルムアミドなどのアミド類;および酢酸メチル、ギ酸メチルなどのエステル類などが挙げられる。これらは1種単独で電解質塩と混合してよいし、2種以上を電解質塩と混合してもよい。
【0039】
ゲル電解質に用いられる、イオン導伝性を有する固体高分子電解質として、例えばポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、またはこれらの共重合体などが挙げられる。ゲル電解質に用いられる、イオン導伝性を持たない高分子として、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリビニルクロライド、ポリアクリロニトリル、またはポリメチルメタクリレートなどが挙げられる。
【0040】
ゲル電解質において、固体高分子電解質と電解液との比率は、順番に質量比で20:80〜98:2が好ましい。
【0041】
[外装]
外装材として、ラミネートシートを用いることが好ましい。ラミネートシートとしては、熱融着性樹脂フィルム、金属箔、剛性を有する樹脂フィルムがこの順序で積層された高分子金属複合フィルムを用いることが好ましい。熱融着性樹脂として、例えば、ポリエチレン(以下、PEと記載)、エチレンビニルアセテート(以下、EVAと記載)、アイオノマー樹脂などを用いることができる。金属箔として、例えば、アルミニウム、ニッケル、ステンレス、銅またはこれらの合金を箔にしたものなどを用いることができる。剛性を有する樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETと記載)、ナイロン(登録商標)などを用いることができる。
【0042】
[ガス拡散手段]
本発明のバイポーラ電池では、集電体およびタブを兼ね備えた端部集電体にガス拡散手段を備えることを特徴とするものである。以下、図を用いて説明する。図2は、本発明のガス拡散手段の一例を示した集電体またはタブを兼ね備えた端部集電体(以下、これらを合わせて集電体と記載する場合もある。)の部分斜視概略図であり、ガス拡散手段の形状、大きさなどはこれらに限定されない。
【0043】
集電体に設けるガス拡散手段としては、図2Aに示すように、集電体20に穴21を備えた形態;図2Bに示すように、集電体20に穴21を設けて更に穴21に樹脂膜22を配置した形態;図2Cに示すように、集電体20に穴21を設けて更に穴21に不織布23を配置した形態;図2Dに示すように、集電体20に穴21を設けて更に穴21に網24を配置した形態;図2Eに示すように、集電体20に穴21を設けて更に穴21を金属箔25で塞いだ形態;図2Fに示すように、集電体20に穴21を設けて更に穴21をセラミックス薄膜26で塞いだ形態;および、図2Gに示すように、集電体20に切れ込み27を設けた形態よりなる群から選択される少なくとも一種であることが好ましい。つまり、これらは、集電体ごとに異なっていてもよいし、同じでもよい。また、一つの集電体に複数の形態のガス拡散手段が備えられていてもよい。
【0044】
タブを兼ね備えた端部集電体29にも同様なガス拡散手段を設けることができる。
【0045】
次に、図3は、ガス拡散手段の作製部位の一例を示した単電池の部分平面概略図である。図1および図3に示すように、集電体にガス拡散手段を備える位置は、正極活物質層および負極活物質層が積層されている部位よりも外側に設け、シール部を備える場合は、正極活物質層および負極活物質層が積層されている部位とシール部との間に設けることが好ましい。
【0046】
集電体に穴を設けることで、電極間で発生したガスが穴を通じて電池内部の空間に拡散する。その結果、電極間にガスが溜まり空隙を作ることを防ぐことができる。
【0047】
集電体に設ける穴の面積は、強度やガスの通過効率の点から集電体の面積の0.5〜7%が好ましく、より好ましくは1〜3%である。穴の形状は特に限定されず、丸や矩形など適宜決定することができ、加工しやすい点では、丸が好ましい。穴の数は特に限定されないが、前記面積の範囲内で設けることが好ましい。集電体の強度を保つために、穴の周囲は、樹脂などでコーティングされていてもよい。
【0048】
集電体に樹脂膜を配置した穴を設けることで、電極間で発生したガスが樹脂膜を透過するか、樹脂膜と集電体との未接着部分を通過するか、樹脂膜と集電体との接着部分を剥離するか、樹脂膜を破ることにより、電池内部の空間に拡散する。その結果、電極間にガスが溜まり空隙を作ることを防ぐことができる。
【0049】
樹脂膜を配置した穴の面積は、強度やガスの通過効率の点から集電体の面積の0.5〜7%が好ましく、より好ましくは1〜3%である。穴の形状は特に限定されず、丸や矩形など適宜決定することができ、加工しやすい点では、丸が好ましい。穴の数は特に限定されず、適宜決定することができる。樹脂膜の厚さは10〜500μmが好ましく、より好ましくは15〜100μmである。用いる樹脂膜は特に限定されず、例えば、ポリプロピレン(以下、PPと記載)、PE、ポリイミド、テフロン(登録商標)、アクリル樹脂などを好ましく用いることができる。
【0050】
本発明では、ガス透過性を有する樹脂膜を用いてもよいし、電極間のガス発生の際に内圧により破れる強度の樹脂膜を用いてもよい。ガス透過性を有する樹脂膜としてはシリコンゴム膜、ガス透過性プラスチックが好ましい。
【0051】
集電体に不織布を配置した穴を設けることで、電極間で発生したガスが不織布を透過するか、不織布と集電体との未接着部分を通過するか、不織布と集電体との接着部分を剥離するか、不織布を破ることにより、電池内部の空間に拡散する。その結果、電極間にガスが溜まり空隙を作ることを防ぐことができる。
【0052】
不織布を配置した穴の面積は、強度やガスの通過効率の点から集電体の面積の0.5〜7%が好ましく、より好ましくは1〜3%である。穴の形状は特に限定されず、丸や矩形など適宜決定することができ、加工しやすい点では、丸が好ましい。穴の数は特に限定されず、適宜決定することができる。不織布の厚さは10〜500μmが好ましく、より好ましくは15〜100μmである。用いる不織布は特に限定されず、例えば、コットン、麻、竹、パルプ、羊毛もしくは絹などの天然繊維;レーヨン、キュプラまたはアセテートなどの化学繊維;ポリアミド系繊維、ポリエステル系繊維、ポリアクリロニトリル系繊維、ポリビニルアルコール系繊維、ポリプロピレン系繊維、ポリ塩化ビニリデン系繊維もしくはポリウレタン系繊維などの合成繊維;ガラス繊維、金属繊維もしくは炭素繊維などの無機繊維またはこれらの繊維の組み合わせからなるものを用いることができる。
【0053】
本発明では、ガス透過性を有する不織布を用いてもよいし、電極間のガス発生の際に内圧により破れる強度の不織布を用いてもよい。ガス透過性を有する不織布としては、PP、ガラス繊維およびPEよりなるものが好ましく、内圧により破れる強度の不織布としてはPPおよびPEよりなるものが好ましい。
【0054】
集電体に網を配置した穴を設けることで、電極間で発生したガスが網目を透過することにより、電池内部の空間に拡散する。その結果、電極間にガスが溜まり空隙を作ることを防ぐことができる。
【0055】
網を配置した穴の面積は、強度やガス通過効率の点から集電体の面積の0.5〜7%が好ましく、より好ましくは1〜3%である。穴の形状は特に限定されず、丸や矩形など適宜決定することができ、加工しやすい点では、丸が好ましい。穴の数は特に限定されず、前記面積の範囲内で設けることが好ましい。
【0056】
網の材質としては特に限定されず、例えば、ナイロン(登録商標)、テトロン(登録商標)、ポリエチレン、ケブラー(登録商標)、ダイニーマ(登録商標)、などの樹脂;負極側では銅、ニッケルなどの金属、正極側ではアルミなどの金属;またはガラス繊維などを用いることができる。電解液に腐食され難いという点ではニッケルが好ましい。網の種類については特に限定されず、本目網や蛙又網などの結節網、ラッセル網などの無結節網、綟子網または織網など適宜決定することができる。
【0057】
集電体に金属箔で塞がれてなる穴を設けることで、電極間で発生したガスが内圧により金属箔と集電体との未接着部分を通過するか、内圧により金属箔と集電体との接着部分を剥離するか、内圧により金属箔を破ることにより、電池内部の空間に拡散する。その結果、電極間にガスが溜まり空隙を作ることを防ぐことができる。
【0058】
金属箔で塞がれてなる穴の面積は、強度やガス通過効率の点から集電体の面積の0.5〜7%が好ましく、より好ましくは1〜3%である。穴の形状は特に限定されず、丸や矩形など適宜決定することができ、加工しやすい点では、丸が好ましい。穴の数は特に限定されず、前記面積の範囲内で設けることが好ましい。金属箔の厚さは3〜30μmが好ましく、より好ましくは5〜10μmである。金属箔としては特に限定されず、例えば正極側ではAl、負極側では銅、ニッケルまたはこれらの合金などを用いることができる。電解液に腐食され難いという点ではニッケルが好ましい。
【0059】
集電体にセラミックス薄膜で塞がれてなる穴を設けることで、電極間で発生したガスがセラミックス薄膜と集電体との未接着部分を通過するか、セラミックス薄膜と集電体との接着部分を剥離するか、セラミックス薄膜を破ることにより、電池内部の空間に拡散する。その結果、電極間にガスが溜まり空隙を作ることを防ぐことができる。
【0060】
セラミックス薄膜で塞がれてなる穴の面積は、強度やガス通過効率の点から集電体の面積の0.5〜7%が好ましく、より好ましくは1〜3%である。穴の形状は特に限定されず、丸や矩形など適宜決定することができ、加工しやすい点では、丸が好ましい。穴の数は特に限定されず、前記面積の範囲内で設けることが好ましい。セラミック薄膜の厚さは10〜100μmが好ましく、より好ましくは20〜50μmである。セラミックス薄膜としては特に限定されず、例えばSiO2などを用いることができる。
【0061】
集電体に切れ込みを設けることで、電極間で発生したガスが切れ込みを開口・通過して電池内部の空間に拡散する。その結果、電極間にガスが溜まり空隙を作ることを防ぐことができる。
【0062】
切れ込みの長さは、電極の長さ(長手方向)に対して0.5〜10%が好ましく、より好ましくは1〜5%である。切れ込みの数は特に限定されず、適宜決定することができる。切れ込みの形状は限定されず、一文字、十文字、アステリスクまたはコの字など適宜決定することができる。切れ込みは、集電体を貫通していてもよいし、貫通していなくてもよい。
【0063】
上述のガス拡散手段は更に他のガス拡散手段と組み合わせて用いてもよい。
【0064】
上述のガス拡散手段の内、穴、網、切れ込みは特に電解質として、電解液を含まない固体高分子電解質を備えたバイポーラ電池に有用である。
【0065】
単電池を複数積層する場合、特に限定されないが、少なくとも最外層にガスの拡散手段を設けることが好ましく、より好ましくは、全ての集電体にガス拡散手段を設けることである。
【0066】
[シール部]
本発明のバイポーラ電池は、集電体同士の間にシール部を備えることができる。シール部は、正極活物質層、電解質層および負極活物質層を取り囲むように配置されるため、電解質層としてゲル電解質を用いた場合に、電解液の漏出を防ぐことができる。
【0067】
シール部は、特開2004−158343号公報に記載のように、熱融着性のある第一の樹脂同士の間に、第一の樹脂よりも融点が高く非導電性の第二の樹脂が集電体と並行になるように介在している構造が好ましい。第一の樹脂と第二の樹脂の組み合わせとしては、第一の樹脂が180℃未満の融点を有し、第二の樹脂が180℃以上の融点を有し第一の樹脂と熱融着させることのできるものが製法上好ましい。これらの樹脂としては、特に限定されないが、例えば、第一の樹脂としてポリプロピレン、ポリエチレン、ポリウレタンまたは熱可塑オレフィンゴムなどが挙げられ、第二の樹脂として、ナイロン(登録商標)6、ナイロン(登録商標)66、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリスチレンなどのポリアミド系樹脂またはシリコンゴムなどが挙げられる。
【0068】
[タブシール部]
本発明のバイポーラ電池は、電池要素を取り囲むように外装同士の間にタブシール部を備えることができる。タブのある部分は、タブと外装との間に配置されるようにタブシール部を備えることができる。
【0069】
タブシール部は、上述のシール部の項で記載した第一の樹脂と第二の樹脂とを好ましく用いることができる。
【0070】
また、タブシール部として樹脂を設けずに、外装の融着部をタブシール部としてもよい。
【0071】
[シール部用ガス放出手段]
本発明では、シール部にガス放出手段(以下、シール部用ガス放出手段と記載)を備えることができる。
【0072】
以下、図を用いて説明する。図4は、本発明のシール部用ガス放出手段の一例を示した電池要素の部分断面概略図である。シール部用ガス放出手段の形状、大きさなどはこれらに限定されない。
【0073】
シール部用ガス放出手段として、図4Aの符号32に示すように、少なくとも一部のシール部の接着強度がその他のシール部30の接着強度よりも低く形成される形態;図4Bに示すように、少なくとも一部のシール部30に異物33を挟み込む形態;および図4Cに示すように、少なくとも一部のシール部30に切れ込み34を入れる形態;よりなる群から選択される少なくとも一種であることが好ましい。つまり、これらは、シール部ごとに異なっていてもよいし、同じでもよい。また、一つのシール部に複数の形態のシール部用ガス放出手段が備えられていてもよい。
【0074】
少なくとも一部のシール部の接着強度をその他のシール部の接着強度よりも小さく形成することにより、ガス拡散手段を通じて電池内部の空間に拡散したガスの体積が増加した際には、内圧が接着強度の弱いシール部に集中する。そして、接着強度の弱いシール部が剥離し、ガスが電池内部の新たな空間に拡散する。その結果、電極間にガスが溜まり空隙を作ったり、ガスが電池要素の内圧を上昇させて外装を破ったりすることを防ぐことができる。
【0075】
少なくとも一部のシール部の接着強度をその他のシール部の接着強度よりも小さく形成する場合、全体のシール部の0.1〜5%の層に弱いシール部を作るのが好ましく、より好ましくは0.5〜3%の層である。
【0076】
また、一つの層を形成するシール部を全て弱くしてもよいし、一つの層を形成するシール部の一部分を弱くしてもよい。
【0077】
一部のシール部の接着強度を弱くした際の接着強度は、単電池を4層形成したものに対して、25℃で引張速度200mm/minによるT型剥離強度測定を行った際に0.1N/15mm〜1N/15mmまで剥離しないことが好ましく、より好ましくは0.2N/15mm〜0.7N/15mmである。シール部の接着強度を弱くしない際の接着強度は、単電池を4層形成したものに対して、25℃で引張速度200mm/minによるT型剥離強度測定を行った際に1N/15mm〜30N/15mmまで剥離しないことが好ましく、より好ましくは2N/15mm〜25N/15mmである。
【0078】
少なくとも一部のシール部に異物を挟み込むことにより、ガス拡散手段を通じて電池内部の空間に拡散したガスの体積が増加した際には、内圧が異物を挟み込んだシール部に集中する。そして、異物が貫通するように挟み込まれたシール部の場合、異物が内圧により押し出され、異物が押し出された跡に貫通孔が出現し、ガスが電池内部の新たな空間に拡散する。また、異物が貫通しない程度に挟み込まれたシール部の場合、内圧によりシール部が歪んだ際に異物が挟み込まれている部分に応力が集中し、シール部が裂け、ガスが電池内部の新たな空間に拡散する。これらの結果、電極間にガスが溜まり空隙を作ったり、ガスが電池要素の内圧を上昇させて外装を破ったりすることを防ぐことができる。
【0079】
少なくとも一部のシール部に異物を挟み込む場合、全体のシール部の0.1〜5%に異物を挟み込むことが好ましく、より好ましくは0.5〜3%である。
【0080】
また、一つの層を形成するシール部の全てに異物を挟み込んでもよいし、一つの層を形成するシール部の一部分に異物を挟み込んでもよい。
【0081】
異物はシール部を貫通していてもよいし、貫通していなくてもよい。
【0082】
本発明でいう異物とは、シール部を形成する物質とは異なる物質からなるものを指し、バイポーラ電池の製造工程において、シール部と融着を起こさない物質であることが好ましい。
【0083】
異物としては、特に限定されないがシール部を熱融着させる際の温度よりも高い融点を有するものが好ましく、例えば、金、アルミニウム、銅、ニッケル、シリコンまたはチタンなどの純金属;鋼、ステンレス鋼、またはジュラルミンなどの合金;Al2O3、ZrO2、BeO、TiO2、Si3N4またはBNなどのセラミックス;ポリアリレート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルケトン、ポリイミド、PP、PEまたは四フッ化樹脂などの樹脂などがあげられる。但し、異物がシール部を貫通する場合には、異物として電解液により腐食されにくい物質を選択するか、電解質により腐食されにくい物質でコーティングすることが好ましい。電解液により腐食されにくい物質としては、金、アルマイト処理化アルミニウムまたはニッケルなどが好ましい。異物の形状は特に限定されず、プレート状、円錐状など適宜決定することができ、加工しやすい点では丸が好ましい。
【0084】
少なくとも一部のシール部に切れ込みを入れることにより、ガス拡散出手段を通じて電池内部の空間に拡散したガスの体積が増加した際には、内圧が切れ込みを入れたシール部に集中する。そして、切れ込みが貫通するように入れられたシール分の場合、内圧により切れ込みが開口し、ガスが電池内部の新たな空間に拡散する。また、切れ込みが貫通しない程度に入れられたシール部の場合、内圧によりシール部が歪んだ際に切れ込みの入った部分に応力が集中し、シール部が裂け、ガスが電池内部の新たな空間に拡散する。これらの結果、電極間にガスが溜まり空隙を作ったり、ガスが電池要素の内圧を上昇させて外装を破ったりすることを防ぐことができる。
【0085】
少なくとも一部のシール部に切れ込みを入れる場合、全体のシール部の0.05〜3%に切れ込みを入れることが好ましく、より好ましくは0.1〜2%である。
【0086】
切れ込みを入れる場合、一つの層を形成するシール部の全てに切れ込みを入れてもよいし、一つの層を形成するシール部の一部分に切れ込みを入れてもよい。
【0087】
切れ込みは、シール部を貫通していてもよいし、貫通していなくてもよい。
【0088】
切れ込みの形状としては特に限定されないが、例えば、切れ目;U字型、V字型(図9E参照)および角型の溝など適宜決定することができ、加工しやすい点では、角型が好ましい。
【0089】
上述のシール部用ガス放出手段は更に他のシール部用ガス放出手段と組み合わせて用いてもよい。
【0090】
[タブシール部用ガス放出手段]
本発明では、タブシール部にガス放出手段(以下、タブシール部用ガス放出手段と記載)を備えることができる。
【0091】
タブシール部用ガス放出手段は、シール部用ガス放出手段と同様の態様で設けることができる。
【0092】
タブシール部用ガス放出手段は、全体の0.1〜3%に設けることが好ましく、より好ましくは0.3〜2%である。また、一つの層を形成するタブシール部の全てにタブシール部用ガス放出手段を設けてもよいし、一つの層を形成するタブシール部の一部にタブシール部用ガス放出手段を設けてもよい。
【0093】
[外装用ガス放出手段]
本発明では、外装にガス放出手段(以下、外装用ガス放出手段と記載)を備えることができる。
【0094】
以下、図面を用いて説明する。図5は、外装用ガス放出手段の一例を示した外装の部分平面概略図であり、外装用ガス放出手段の形状、大きさなどはこれらに限定されない。
【0095】
外装用ガス放出手段としては、図5Aに示すように、外装40にあけた穴41を樹脂膜で塞いだ形態;図5Bに示すように、外装40にあけた穴41を不織布43で塞いだ形態;図5Cに示すように、外装40にあけた穴41を金属箔44で塞いだ形態;図5Dに示すように、外装40にあけた穴41をセラミックス薄膜45で塞いだ形態;および、図5Eに示すように、外装40に切れ込み46を設けた形態よりなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。つまり、一つの外装にこれらの複数の形態のガス拡散手段が備えられていてもよい。
【0096】
外装に樹脂膜で塞がれてなる穴を設けることで、電池内部に拡散したガスの体積が増加した際には、内圧により、樹脂膜と外装との接着部分を剥離するか、内圧により樹脂膜を破ることにより、ガスを電池外部に放出する。その結果、電極間にガスが溜まり空隙を作ったり、外装を破ったりすることを防ぐことができる。
【0097】
樹脂膜で塞がれてなる穴の面積は、強度やガスの通過効率の点から外装の面積の0.5〜7%が好ましく、より好ましくは1〜3%である。穴の形状は特に限定されず、丸や矩形など適宜決定することができ、加工しやすい点では、丸が好ましい。穴の数は特に限定されず、適宜決定することができる。樹脂膜の厚さは10〜500μmが好ましく、より好ましくは15〜100μmである。用いる樹脂膜の材質は特に限定されず、例えば、PP、PE、ポリイミド、テフロン(登録商標)、アクリル樹脂などを用いることができる。
【0098】
本発明では、電極間のガス発生の際に内圧により樹脂膜が破れる機構を想定している場合には、内圧の上昇により破れる強度の樹脂膜を用いることが好ましい。
【0099】
外装に不織布で塞がれてなる穴を設けることで、電池内部に拡散したガスの体積が増加した際には、内圧により、不織布と外装との接着部分を剥離するか、内圧により不織布を破ることにより、ガスを電池外部に放出する。その結果、電極間にガスが溜まり空隙を作ったり、外装を破ったりすることを防ぐことができる。
【0100】
不織布で塞がれてなる穴の面積は、強度やガスの通過効率の点から外装の面積の0.5〜7%が好ましく、より好ましくは1〜3%である。穴の形状は特に限定されず、丸や矩形など適宜決定することができ、加工しやすい点では、丸が好ましい。穴の数は特に限定されず、前記表面積の範囲内で設けることが好ましい。不織布の厚さは10〜500μmが好ましく、より好ましくは15〜100μmである。用いる不織布の材質は特に限定されず、例えばガラス繊維などを用いることができる。
【0101】
本発明では、ガスバリヤー性が高い不織布を用いることが好ましい。また、電極間のガス発生の際に内圧により不織布が破れる機構を想定している場合には、内圧の上昇により破れる強度の不織布を用いることが好ましい。
【0102】
外装に金属箔で塞がれてなる穴を設けることで、電池内部に拡散したガスの体積が増加した際には、内圧により金属箔と外装との接着部分を剥離するか、内圧により金属箔を破ることにより、ガスを電池外部に放出する。その結果、電極間にガスが溜まり空隙を作ったり、外装を破ったりすることを防ぐことができる。
【0103】
金属箔で塞がれてなる穴の面積は、強度やガスの通過効率の点から外装の面積の0.5〜7%が好ましく、より好ましくは1〜3%である。穴の形状は特に限定されず、丸や矩形など適宜決定することができ、加工しやすい点では、丸が好ましい。穴の数は特に限定されず、前記表面積の範囲内で設けることが好ましい。金属箔の厚さは3〜30μmが好ましく、より好ましくは5〜10μmである。金属箔の材質としては特に限定されない。
【0104】
本発明では、電極間のガス発生の際に内圧により金属箔が破れる機構を想定している場合には、内圧の上昇により破れる強度の金属箔を用いることが好ましい。
【0105】
外装にセラミックス薄膜で塞がれてなる穴を設けることで、電池内部に拡散したガスの体積が増加した際には、内圧により、セラミックス薄膜と外装との接着部分を剥離するか、内圧によりセラミックス薄膜を破ることによりガスを電池外部に放出する。その結果、電極間にガスが溜まり空隙を作ったり、外装を破ったりすることを防ぐことができる。
【0106】
セラミックス薄膜で塞がれてなる穴の面積は、強度やガスの通過効率の点から集電体の面積の0.5〜7%が好ましく、より好ましくは1〜3%である。穴の形状は特に限定されず、丸や矩形など適宜決定することができ、加工しやすい点では、丸が好ましい。穴の数は特に限定されず、前記面積の範囲内で設けることが好ましい。セラミックス薄膜の厚さは10〜100μmが好ましく、より好ましくは20〜50μmである。セラミックス薄膜の材質としては特に限定されず、例えばSiO2またはこれらの混合物などを用いることができる。
【0107】
本発明では、電極間のガス発生の際に内圧によりセラミックス薄膜が破れる機構を想定している場合には、内圧の上昇により破れる強度のセラミックス薄膜を用いることが好ましい。
【0108】
外装に切れ込みを設けることで、電池内部に拡散したガスの体積が増加した際には、内圧により切れ込みが開口することによりガスを電池外部に放出する。その結果、電極間にガスが溜まり空隙を作ったり、外装を破ったりすることを防ぐことができる。
【0109】
切れ込みの長さは、電極の長さ(長手方向)に対して0.5〜10%、より好ましくは1〜5%である。切れ込みの数は特に限定されず、適宜決定することができる。切れ込みの形状は限定されず、一文字、十文字、アステリスクまたはコの字など適宜決定することができる。切れ込みは外装を貫通していないことが好ましい。
【0110】
上述の外装用ガス放出手段は更に他の外装用ガス放出手段と組み合わせて用いてもよい。
【0111】
また、外装用ガス放出手段を設ける位置は、特に限定されないが、前記ガス拡散手段またはシール部用ガス放出手段を設けた場所から、排出されたガスがスムーズに到達し、バイポーラ電池外へとガスを放出しやすい位置であることが好ましい。
[制振手段]
本発明では、ガス拡散手段を設ける手法を用いて、制振手段を設けることができる。
【0112】
以下、図面を用いて説明する。図6は、本発明の制振手段を概略図として示したものであり、詳細には、図6Aは制振手段の作製部位を示した単電池の部分平面概略図であり、図6B〜図6Dは制振手段の一例を示した集電体の部分平面概略図である。制振手段の形状、大きさなどはこれらに限定されない。
【0113】
集電体に設ける制振手段としては、図6Bに示すように、集電体20が放射状となるように穴21を備えた形態;図6Cに示すように、集電体20に升目状に穴21を備えた形態;図6Dに示すように、集電体20に櫛目状に穴21を備えた形態よりなる群から選択された少なくとも一種とすることが好ましい。つまり、これらは、集電体ごとに異なってもよいし、同じでもよい。また、一つの集電体の正極活物質層および負極活物質層を挟んだ両側に異なる制振手段が備えられてもよい。
【0114】
集電体の一部を放射状とした場合には、制振を必要とする領域の中央部分から外側に向けて放射状に集電体が加工されることにより、最も振幅の大きい中央部分(以下、重心と記載)の振動を効率よく抑制することができる。放射状の形状は特に限定されず適宜決定され、例えば、全ての線が重心を通るようにしてもよいし、重心以外の点から線が分岐していてもよい。特に、図7に示すように、重心を通りかつ制振を要する領域の長辺と平行な方向に伸長する線100を重心Gの位置する点を内分点として含んでN等分(例えば、6等分)する。次に、内分するN−1個の内分点(例えば、5点)101のうち両端から最も近い各々の内分点の位置する領域から制振を要する領域の外周部に向けて放射状に集電体を加工することにより、複数次数の振動モードに対しても効率よく振動を抑制することができる。
【0115】
集電体に升目状の穴を開けた場合には、格子状であるため振動を効率よく抑制することができる。
【0116】
集電体に櫛目状の穴を開けた場合には、櫛型であるため振動を効率よく抑制することができる。
【0117】
制振手段は、図1の符号5に示すように、シール部とタブのシール部との間に設けることが好ましい。また、制振手段は、ガス拡散手段を兼ね備えていてもよい。
【0118】
(第2実施の形態)
図1に示すように、本発明の第2は、集電体20にガス拡散手段1を設ける段階と、正極活物質層50、集電体20、負極活物質層70、および電解質層60を積層する段階と、端子としてのタブ29を設ける段階と、を有するバイポーラ電池の製造方法である
また、本発明は、シール部にシール部用ガス放出手段を設ける段階およびシール部を集電体同士の間に設ける段階;タブシール部にタブシール部用ガス放出手段を設ける段階およびタブシール部を集電体同士の間に設ける段階;外装用ガス放出手段を設ける段階および外装を用いて外装をパッケージングする段階;ならびに、集電体に制振手段を設ける段階、よりなる群から選択される少なくとも一種を更に有していてもよい。
【0119】
以下に本発明のバイポーラ電池の製造方法について説明するが、本発明は以下に記載のバイポーラ電池の製造方法に限定されない。
【0120】
[集電体の形成段階]
金属板を圧延し、金属箔を作製し、これを集電体とする。金属箔としては、上述の集電体の項で記載したものを好ましく用いることができる。
【0121】
また、他の方法として、溶媒に金属粉末とバインダーとを添加して、これらを混合することにより、集電体のペーストを作製する。集電体のペーストをスプレーコートにより基板に成膜した後、乾燥させて薄膜を形成し、これを集電体とする。溶媒としては、NMP(N−メチル−2ピロリドン)などを用いることができる。金属粉末としては、上述の集電体の項で記載したものを好ましく用いることができる。スプレーコートにより成膜する際には、装置としてスプレーコーターなどを用いることができ、室温で行うことが好ましい。乾燥は、70〜130℃で3〜60分、乾燥機を用いて行うことが好ましい。基板としては、ガラス板、Si基板などを用いることができる。
【0122】
スプレーコートにより集電体を形成する場合、基板に集電体の薄膜を作製する方法以外にも、直接、正極活物質層や負極活物質層にスプレーコートしてもよく、この場合、複雑な形状の正極活物質層または負極活物質層にも成膜できることや、基板に成膜したものを正極活物質層または負極活物質層に積層する方法よりも作業手順が短いことなどから、ガス拡散手段や制振手段を設けない単電池を作製する際に有効である。
【0123】
[タブを兼ね備えた端部集電体の形成段階]
タブを兼ね備えた端部集電体は、上述の集電体の形成段階と同様にして作製することができる。
【0124】
また、特開2004−139775号公報に記載のように、対向する一組の集電体の間に放熱部材を設けたものを、タブを兼ね備えた端部集電体としてもよい。
【0125】
また、タブを兼ね備えた端部集電体を作製せずに、正極端子または負極端子として機能するタブを用意してもよい。
【0126】
[正極活物質層の調製段階]
スラリー粘度の調整溶媒に、正極活物質層を添加し、正極活物質層のスラリーを作製する。正極活物質層のスラリーには、正極活物質以外にも、電解質、電解質塩、導電助剤などを添加することができる。スラリー粘度の調整溶媒としては、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)やアセトンなどを用いることができる。正極活物質、電解質、電解質塩、導電助剤としては、上述の正極活物質層の項で記載したものを好ましく用いることができる。
【0127】
[正極活物質層の形成段階]
集電体の片面に正極活物質層のスラリーをナイフコーターなどを用いて塗布したものを乾燥して薄膜を形成し、これを正極活物質層とする。乾燥は、40〜150℃で5分〜20時間、真空乾燥機を用いることができる。
【0128】
また、他の方法として、基材に正極活物質層のスラリーをナイフコーターなどを用いて塗布・乾燥して、基材から薄膜を剥離し、これを正極活物質層とする方法もある。この方法は、複雑な形状の正極活物質層を作製する際に有効である。基材としては、ポリエチレンフィルム、ポリエステルフィルムなどの剥離性能の高いフィルム材や、ガラス板、ポリプロピレンフィルムなどに剥離剤をコートしたものなどを用いることができる。
【0129】
[負極活物質層の調製段階]
スラリー粘度の調整溶媒に、負極活物質層を添加し、負極活物質層のスラリーを作製する。負極活物質層のスラリーには、負極活物質以外にも、電解質、電解質塩、導電助剤などを添加することができる。スラリー粘度の調整溶媒としては、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)やアセトンなどを用いることができる。負極活物質、電解質、電解質塩、導電助剤としては、上述の負極活物質層の項で記載したものを好ましく用いることができる。
【0130】
[負極活物質層の形成段階]
集電体の片面に負極活物質層のスラリーをナイフコーターなどを用いて塗布したものを乾燥して薄膜を形成し、これを負極活物質層とする。乾燥は、40〜150℃で5分〜20時間、真空乾燥機を用いることができる。また、80〜160℃で30〜36時間、乾燥空気で乾燥させてもよい。
【0131】
また、他の方法として、基材に負極活物質層のスラリーをナイフコーターなどを用いて塗布・乾燥して、基材から薄膜を剥離し、これを負極活物質層とする方法もある。この方法は、複雑な形状の負極活物質層を作製する際に有効である。基材としては、ポリエチレンフィルム、ポリエステルフィルムなどの剥離性能の高いフィルム材や、ガラス板、ポリプロピレンフィルムなどに剥離剤をコートしたものなどを用いることができる。
【0132】
[電解質層の形成段階]
電解質として、固体高分子電解質を用いて電解質層を形成する場合、溶媒に固体高分子電解質と熱重合開始剤とを溶解し、電解質層のペーストを作製する。次に、ナイフコーター、スプレーコーターなどを用いて基材に塗布し、40〜80℃で5〜120分、乾燥機を用いて乾燥と同時に熱重合を行い薄膜を硬化させる、基材から薄膜を剥離し、これを電解質層とする。固体高分子電解質としては、上述の電解質層の項で記載したものを好ましく用いることができる。溶媒としては、PC、EC、DMCなどを用いることができる。熱重合開始剤としては、アゾビスイソブチロニトリル、およびt−ヘキシルパーオキシピパレートなどを用いることができる。基材としては、ガラス板、Si基板などを用いることができる。
【0133】
電解質として、ゲル電解質を用いて電解質層を形成する場合、電解質塩と可塑剤とを混合し、電解液を調製する。次に、固体高分子電解質、電解液、および光重合開始剤を混合することにより電解質層のペーストを作製する。次に、ナイフコーター、スプレーコーターなどを用いて透明な基材に塗布し、UV照射することにより、必要な強度を有するように硬化させる。透明な基材から薄膜を剥離し、これを電解質層とする。電解質塩、可塑剤、および固体高分子電解質としては、上述の電解質層の項で記載したものを好ましく用いることができる。光重合開始剤としては、ベンジルジメチルケタールなどを用いることができる。基材としては、ガラス板などを用いることができる。
【0134】
[シール部の形成段階]
一組の第一の樹脂を用いて第二の樹脂を挟み込み、切断機、打ち抜き器により集電体の周囲に沿った環状に加工することによりシール部とした。第一の樹脂および第二の樹脂としては、上述のシール部の項で記載したものを好ましく用いることができる。
【0135】
[タブシール部の形成段階]
一組の第一の樹脂を用いて第二の樹脂を挟み込み、切断機、打ち抜き器により外装の周囲に沿った環状に加工することによりシール部とした。第一の樹脂および第二の樹脂としては、上述のタブシール部の項で記載したものを好ましく用いることができる。
【0136】
[電池要素の作製段階]
図1に示すように、正極活物質層50、集電体20、負極活物質層70、および電解質層60、を積層する。さらに、タブを兼ね備えた端部集電体29またはタブ(図示せず)を積層する。この場合、正極活物質層50、集電体20、負極活物質層70、および電解質層60は全て別個に薄膜を形成しているものを積層してもよいし、例えば、集電体20の両側にそれぞれ正極活物質層50または負極活物質層70が配置されているものと、電解質層60の薄膜とを積層してもよい。タブを兼ね備えた端部集電体29も、予め、正極活物質層50または負極活物質層70を配置したものを用いてもよいし、それぞれ別個に薄膜を形成しているものを積層してもよい。
【0137】
単電池層の積層数は図1に限定されない。
【0138】
次に、積層したものをヒートシーラーにより加熱圧着する。加熱圧着する際の温度と圧力は用いる材質により異なるが、温度は、100〜400℃が好ましく、より好ましくは120〜300℃であり、圧力は0.5〜3kg/cm2が好ましく、より好ましくは0.7〜2.5kg/cm2である。
【0139】
電池要素にシール部30が加わる場合には、正極活物質層50と負極活物質層70とを取り囲むように集電体20同士の間に配置されるように、シール部30も積層する。
【0140】
シール部30を用いる場合の加熱圧着する際の温度と圧力は用いる材質により異なるが、温度は、100〜400℃が好ましく、より好ましくは120〜300℃であり、圧力は0.5〜3kg/cm2が好ましく、より好ましくは0.7〜2.5kg/cm2である。
【0141】
タブを兼ね備えた端部集電体29を用いずにタブを用いる場合、タブと最外層の集電体20とは、超音波溶接により溶接することができる。
【0142】
[外装の形成段階]
熱融着性樹脂フィルム、金属箔、および剛性を有する樹脂フィルムをこの順序で積層しし、これを外装とした。
【0143】
熱融着性樹脂フィルム、金属箔、および剛性を有する樹脂フィルムは、上述の外装の項で記載したものを好ましく用いることができる。
【0144】
[バイポーラ電池の作製段階]
図1に示すように、外装40を用いて電池要素を挟み込み、ヒートシーラーにより加熱圧着する。加熱圧着する際の温度と圧力は用いる材質により異なるが、温度は、100〜400℃が好ましく、より好ましくは120〜300℃であり、圧力は0.5〜3kg/cm2が好ましく、より好ましくは0.7〜2.5kg/cm2である。
【0145】
外装40を用いて、電池要素を挟み込む場合、一枚の外装を二つ折りにしてその間に電池要素を挟みこんでもよいし、二枚の外装を対向させてその間に電池要素を挟みこんでもよい。
【0146】
タブシール部31を用いる場合には、電池要素を取り囲むように外装40同士の間にタブシール部31を設けることが好ましい。タブのある部分は、タブと外装40との間に配置されるようにタブシール部31を設ける。この場合、ヒートシーラーにより加熱圧着する。加熱圧着する際の温度と圧力は用いる材質により異なるが、温度は、100〜400℃が好ましく、より好ましくは120〜300℃であり、圧力は0.5〜3kg/cm2が好ましく、より好ましくは0.7〜2.5kg/cm2である。
【0147】
[ガス拡散手段設置段階]
図2に示すように、ガス拡散手段として、穴21、樹脂膜22を配置した穴21、不織布23を配置した穴21、網24を配置した穴21、金属箔25で塞がれてなる穴21、セラミックス薄膜26で塞がれてなる穴21、および切れ込27みよりなる群から選択される少なくとも一種を好ましく用いることができる。
【0148】
穴を設ける場合、例えば、ポンチにより穴を形成することができる。
【0149】
樹脂膜を配置した穴を設ける場合、樹脂膜は熱溶着などにより集電体に配置することができる。熱溶着する場合、温度は、100〜400℃が好ましく、より好ましくは120〜250℃であり、圧力は、0.5〜3kg/cm2が好ましく、より好ましくは0.7〜2.5kg/cm2である。
【0150】
樹脂膜を集電体に配置する場合、穴の外周を全て接着してもよいし、未接着の部分を残してもよい。未接着の部分を残す場合、穴の外周の3〜90%が好ましく、より好ましくは10〜80%である。
【0151】
また、内圧により樹脂膜が破れる構造を想定している場合、予め樹脂膜に貫通しない程度の切れ込みを入れておいてもよい。
【0152】
不織布を配置した穴を設ける場合、不織布は熱溶着などにより集電体に配置することができる。熱溶着する場合、温度は、100〜400℃が好ましく、より好ましくは120〜250℃であり、圧力は、0.5〜3kg/cm2が好ましく、より好ましくは0.7〜2.5kg/cm2である。
【0153】
不織布を集電体に配置する場合、穴の外周を全て接着してもよいし、未接着の部分を残してもよい。未接着の部分を残す場合、穴の外周の3〜90%が好ましく、より好ましくは10〜80%である。
【0154】
また、内圧により不織布が破れる構造を想定している場合、予め不織布に貫通しない程度の切れ込みを入れておいてもよい。
【0155】
網を配置した穴を設ける場合、網として樹脂を用いる場合には、熱溶着により集電体に配置するこができる。網として金属を用いる場合には圧着により集電体に配置することができる。熱溶着する場合、温度は、100〜400℃が好ましく、より好ましくは120〜250℃であり、圧力は、0.5〜3kg/cm2が好ましく、より好ましくは0.7〜2.5kg/cm2である。圧着する場合、温度は、50〜200℃が好ましく、より好ましくは100〜200℃であり、圧力は、100〜1000kg/cm2が好ましく、より好ましくは200〜700kg/cm2である。
【0156】
金属箔で塞がれてなる穴の場合、金属箔は圧着などにより集電体に配置することができる。圧着する場合、温度は、50〜200℃が好ましく、より好ましくは100〜200℃であり、圧力は、100〜200℃が好ましく、より好ましくは100〜200℃である。
【0157】
金属箔を集電体に配置する場合、穴の外周を全て接着してもよいし、未接着の部分を残してもよい。未接着の部分を残す場合、穴の外周の3〜90%が好ましく、より好ましくは10〜80%である。
【0158】
また、内圧により金属箔が破れる構造を想定している場合、予め金属箔に貫通しない程度の切れ込みを入れておいてもよい。
【0159】
セラミックス薄膜で塞がれてなる穴の場合、セラミックス薄膜はPPを目的物同士の間に配置た後、熱でPPを溶解して目的物同士を溶着させる方法(以下、PP熱溶着と記載)などにより集電体に配置することができる。
【0160】
セラミックス薄膜を集電体に配置する場合、穴の外周を全て接着してもよいし、未接着の部分を残してもよい。未接着の部分を残す場合、穴の外周の3〜90%が好ましく、より好ましくは10〜80%である。
【0161】
また、内圧によりセラミックス薄膜が破れる構造を想定している場合、予めセラミックス薄膜に貫通しない程度の切れ込みを入れておいてもよい。
【0162】
切れ込みを設ける場合、例えばダイヤモンドカッターにより切れ込みを形成することができる。
【0163】
集電体には、ガス拡散手段を先に設けてから積層してもよいし、積層してからガス拡散手段を設けてもよい。
【0164】
[シール部用ガス放出手段設置段階]
シール部にシール部用ガス放出手段を設ける場合、シール部用ガス放出手段を設けてから積層することが好ましい。
【0165】
図4に示すように、シール部用ガス放出手段として、少なくとも一部のシール部30の接着強度をその他のシール部30の接着強度よりも低く形成すること32;少なくとも一部のシール部30に異物33を挟み込むこと;および少なくとも一部のシール部30に切れ込み34を入れること;よりなる群から選択される少なくとも一種を好ましく用いることができる。
【0166】
少なくとも一部のシール部の接着強度をその他のシール部の接着強度よりも低く形成する場合、特に限定されないが、方法の一つとして、一部のシール部の集電体との接着面積を小さくする方法がある。この場合、一部のシール部自体を小さくしてもよいし、集電体との接触部分に凹凸を設けてもよい。他の方法として、一部のシール部の材質として、他のシール部の材質よりも耐熱温度の高いものを用いる方法もある。
【0167】
少なくとも一部のシール部に異物を挟み込む場合、例えば、異物にシーラントを巻きシールするようにして、異物を挟み込むことができる。
【0168】
少なくとも一部のシール部に切れ込みを入れる場合、例えば、カッターにより切れ込みを形成することができる。
【0169】
[タブシール部用ガス放出手段設置段階]
タブシール部にタブシール部用ガス放出手段を設ける場合、タブシール部用ガス放出手段を設けてから積層することが好ましい。
【0170】
タブシール部用ガス放出手段として、少なくとも一部のシール部の接着強度をその他のシール部の接着強度よりも低く形成すること;少なくとも一部のタブシール部に異物を挟み込むこと;および少なくとも一部のタブシール部に切れ込みを入れること;よりなる群から選択される少なくとも一種を好ましく用いることができる。
【0171】
少なくとも一部のタブシール部の接着強度をその他のタブシール部の接着強度よりも低く形成する場合、特に限定されないが、方法の一つとして、一部のタブシール部の集電体との接着面積を小さくする方法がある。この場合、一部のタブシール部自体を小さくしてもよいし、集電体との接触部分に凹凸を設けてもよい。他の方法として、一部のタブシール部の材質として、他のタブシール部の材質よりも耐熱温度の高いものを用いる方法もある。
【0172】
少なくとも一部のタブシール部に異物を挟み込む場合、例えば、異物にシーラントを巻きシールして、異物を挟み込むことができる。
【0173】
少なくとも一部のタブシール部に切れ込みを入れる場合、例えば、カッターにより切れ込みを形成することができる。
【0174】
[外装用ガス放出手段設置段階]
外装に外装用ガス放出手段を設ける場合、外装用ガス放出手段を設けてから電池要素をパッケージングすることが好ましい。
【0175】
図5に示すように、外装用ガス放出手段としては、樹脂膜42で塞がれてなる穴41、不織布43で塞がれてなる穴41、金属箔44で塞がれてなる穴41、セラミックス薄膜45で塞がれてなる穴41および切れ込46みよりなる群から選択される少なくとも1種を好ましく用いることができる。
【0176】
穴を設ける場合、例えば、ポンチにより穴を形成することができる。
【0177】
樹脂膜で塞がれてなる穴を設ける場合、樹脂膜は熱溶着などにより外装に配置することができる。熱溶着する場合、温度は、100〜400℃が好ましく、より好ましくは120〜250℃であり、圧力は、0.5〜3kg/cm2が好ましく、より好ましくは0.7〜2.5kg/cm2である。
【0178】
不織布で塞がれてなる穴を設ける場合、不織布は熱溶着などにより外装に配置することができる。熱溶着する場合、温度は、100〜400℃が好ましく、より好ましくは120〜250℃であり、圧力は、0.5〜3kg/cm2が好ましく、より好ましくは0.7〜2.5kg/cm2である。
【0179】
金属箔で塞がれてなる穴の場合、金属箔はPP熱溶着などにより外装に配置することができる。熱溶着する場合、温度は、100〜400℃が好ましく、より好ましくは120〜250℃であり、圧力は、0.5〜3kg/cm2が好ましく、より好ましくは0.7〜2.5kg/cm2である。
【0180】
セラミックス薄膜で塞がれてなる穴の場合、セラミックス薄膜はPP熱溶着などにより外装に配置することができる。PP熱溶着する場合、温度は、100〜400℃が好ましく、より好ましくは120〜250℃であり、圧力は、0.5〜3kg/cm2が好ましく、より好ましくは0.7〜2.5kg/cm2である。
【0181】
切れ込みを設ける場合、例えばカッターにより切れ込みを形成することができる。また、外装を作製する段階で、熱融着性樹脂フィルム及び剛性を有する樹脂フィルムの少なくとも一つに切れ込みを設けておいてから、熱融着性樹脂フィルム、金属箔、剛性を有する樹脂フィルムの順に積層し、超音波溶融法等により作製した外装を用いてもよい。
【0182】
[制振手段設置段階]
図6に示すように、制振手段として、集電体が放射状となるように穴を備えた形態(図6B);集電体に升目状に穴を備えた形態(図6C);集電体に櫛目状に穴を備えた形態(図6D)よりなる群から選択された少なくとも一種とすることが好ましい。
【0183】
穴を設ける場合、例えば、ポンチにより穴を形成することができる。
【0184】
集電体には、制振手段を先に設けてから積層してもよいし、積層してから制振手段を設けてもよい。
【0185】
(第3実施の形態)
本発明の第3は、バイポーラ電池を複数個、並列および/または直列に接続したことを特徴とする組電池である。
【0186】
本発明では、バイポーラ電池を複数個全て並列に接続してもよいし、複数個全て直列に接続してもよいし、複数個直列に接続したものを更に並列に接続してもよい。バイポーラ電池の接続数は直列に接続する場合、2〜150個が好ましく、より好ましくは5〜120個である。
【実施例】
【0187】
次に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、これらの実施例は何ら本発明を制限するものではない。
【0188】
(実施例1)
以下、実施例2〜23、比較例1、および参考例1〜3で用いたバイポーラ電池の作製方法について説明する。但し、実施例および参考例のガス拡散手段、タブシール部用ガス放出手段、外装用ガス放出手段および制振手段の作製方法及び作製手順については、各実施例、各参考例の項で説明を行う。
【0189】
<集電体およびタブを兼ね備えた端部集電体の作製>
集電体として厚みが20μm、外形寸法が100mm×70mmのサス箔を用意し、タブを兼ね備えた端部集電体として厚みが100μm、外形寸法が50mm×40mmのNi箔を用意した。
【0190】
<正極活物質層の作製>
スラリー粘度の調製溶媒としてNMPに、導電助剤としてアセチレンブラックと、正極活物質としてLiMn2O4と、バインダーとしてPVDFを添加して混合することにより、正極活物質層のスラリーを調製した。
【0191】
これを、ナイフコーターを用いて集電体の片面に塗布し、150℃で1時間、真空で乾燥させて正極活物質層とした。正極活物質層の厚みは100μm、塗布面積は60mm×40mmであった。
【0192】
また、タブを兼ね備えた端部集電体の片面にもナイフコーターを用いて正極活物質層のスラリーを塗布し、150℃で1時間、真空で乾燥させて正極活物質層とした。正極活物質層の厚みは100μm、塗布面積は60mm×40mmであった。
【0193】
<負極活物質層の作製>
スラリー粘度の調製溶媒としてNMPに、導電助剤としてアセチレンブラックと、負極活物質としてLi4Ti5O12と、バインダーとしてPVDFを添加して混合することにより、負極活物質層のスラリーを調製した。
【0194】
これを、片面に正極活物質層を形成した集電体の他の片面に塗布し、150℃で1時間、真空で乾燥させて負極活物質層とした。負極活物質層の厚みは120μm、塗布面積は70mm×45mmであった。
【0195】
また、タブを兼ね備えた端部集電体の片面にもナイフコーターを用いて負極活物質層のスラリーを塗布し、150℃で1時間、真空で乾燥させて負極活物質層とした。負極活物質層の厚みは100μm、塗布面積は70mm×45mmであった。
【0196】
<電解質層の作製>
厚さ50μmのPP不織布に、ポリエチレンオキシドとポリプロピレンオキシドとの共重合体5質量%、EC+DMC(1:3)95質量%、EC+DMC電解液に対して1.0MのLi(C2F5SO2)2Nからなるゲル電解質を保持させて電解質層とした。電解質層の厚みは100μm、外形寸法は75mm×47mmであった。
【0197】
<シール部の作製>
第一の樹脂として融点94℃の変性PP、第二の樹脂として融点200℃のポリアミド系樹脂を用意し、第一の樹脂で第二の樹脂を挟み込み、集電体の周囲に沿った形状に加工してシール部とした。外形寸法は100mm×70mmであった。
【0198】
<タブシール部の作製>
第一の樹脂として融点94℃の変性PP、第二の樹脂として融点200℃のポリアミド系樹脂を用意し、第一の樹脂で第二の樹脂を挟み込み、外装の周囲に沿った形状に加工してシール部とした。外形寸法は130mm×100mmであった。
【0199】
<電池要素の作製>
電解質層と、正極活物質層および負極活物質層で挟み込まれた集電体からなるバイポーラ電極、正極活物質層を積層したタブを兼ね備えた端部集電体、負極活物質層を積層したタブを兼ね備えた端部集電体、ならびにシール部を用いて図1に示すように単電池を7層積層した。次に、加熱圧着し、厚さ360μm、外形寸法100mm×70mmの電池要素を作製した。
【0200】
<外装の作製>
熱融着性樹脂フィルムとしてPP、金属箔としてアルミニウム、および剛性を有する樹脂フィルムとしてPPをこの順序で積層することにより作製したラミネートシートを用意し、外装とした。外装の厚みは200μmであった。
【0201】
<バイポーラ電池の作製>
外形寸法120×70mmの外装、電池要素、およびタブシール部を用いて、図1に示すように積層した。次に、外周をヒートシーラーにより加熱圧着することによりバイポーラ電池を作製した。
【0202】
(実施例2〜7および比較例1)
ガス拡散手段として、穴、樹脂膜を配置した穴、不織布を配置した穴、網を配置した穴、金属箔で塞がれてなる穴、または切れ込みを集電体に設けてそれぞれ実施例2〜7とした。各実施例の詳細については図8および表1に示す。
【0203】
ガス拡散手段は、タブを兼ね備えた端部集電体を含む集電体の全層に設けた。
【0204】
ガス拡散手段の作製方法は、実施例2の穴の場合、実施例1の手順の中で、集電体およびタブを兼ね備えた端部集電体を作製した後で、ポンチにより穴を設け、次にこれらに正極活物質層や負極活物質層を塗布した。実施例2〜6も同様の手順でガス拡散手段を設けた。
【0205】
比較例1として、ガス拡散手段を設けていないこと以外は実施例2〜7と同様のバイポーラ電池を用いた。
【0206】
実施例2〜7および比較例1のバイポーラ電池をそれぞれ5個ずつ用いて、0.2Cの電流値で定電流−定電圧、12時間充電で、満充電後に半充電とした際の内部抵抗の増加率を評価した。より詳細には、バイポーラ電池の電圧を16.8Vに充電した後、電圧を下げずに60℃で1週間放置後に電圧を14.4Vとした際の内部抵抗の増加率を放電により測定し、評価した。初期値を1として、5個の平均を求めた結果を表1に示す。
【0207】
【表1】
【0208】
表1からは、実施例2〜7と比較して、比較例1の内部抵抗上昇率が約4倍となっていることがわかる。また、評価後、電池を樹脂によって固めて、ダイヤモンドカッターによりバイポーラ電池を切断し、断面を顕微鏡で観察を行った。更に、X線スキャンを用いて電極間の広がりを確認した。
【0209】
顕微鏡での観察およびX線スキャンの結果、実施例2〜7は、電極間が若干広がっているものの、大きく広がっているところは確認されなかった。これらに対し、比較例1は、ある電極間が大きく広がっていることが確認された。
【0210】
(実施例8〜11および参考例2)
実施例2で用いたものと同様のバイポーラ電池を用意し、図9に示すように、タブシール部用ガス放出手段として、一部のタブシール部の接着強度を低くする、タブシール部に金属箔を挟み込む、タブシール部に切れ目状の切れ込みを入れる、タブシール部に角型の溝の切れ込み入れる、という加工を行い、それぞれ実施例8〜11とした。各実施例の詳細については図9および表2に示す。
【0211】
タブシール部用ガス放出手段の作製方法は、実施例8の一部のタブシール部の接着強度を低くする場合、実施例1の手順の中で、シール部を作製した後で、カットすることによりシール部の外形寸法を小さくし、次に集電体同士の間に積層した。実施例9〜11も同様の手順でシール部用ガス放出手段を設けた。
【0212】
参考例1として、タブシール部用ガス放出手段を設けていないこと以外は実施例8〜11と同様のバイポーラ電池を用いた。
【0213】
実施例8〜11および参考例1のバイポーラ電池をそれぞれ5個ずつ用いて0.2Cの電流値で定電流−定電圧、12時間充電で、満充電にした後に、高温下に置いた際のガス放出までの時間を測定した。より詳細には、バイポーラ電池の電圧を16.8Vに充電した後、100℃に設定したオーブン内に設置し、ガス放出までの時間を測定し評価した。ガス放出の確認は目視で確認を行った。5個の平均を求めた結果を表2に示す。
【0214】
【表2】
【0215】
参考例2は60分経過後もガスを放出しなかったため、180分後にオーブンの温度を30℃にまで下げたが、外装はガス発生が原因となり膨張していた。
【0216】
(実施例12〜15および参考例3)
実施例2で用いたものと同様のバイポーラ電池を用意し、外装部用ガス放出手段として、薄い樹脂膜を配置した穴、金属箔で塞がれてなる穴、切れ込み(一文字)、切れ込み(十文字)を外装に設けてそれぞれ実施例12〜15とした。各実施例の詳細については図10および表3に示す。
【0217】
外装用ガス放出手段の作製方法は、実施例12の樹脂膜で塞がれてなる穴の場合、実施例1の手順の中で、外装を作製した後で、ポンチにより穴を設け、次に樹脂膜を170℃、圧力0.7kg/cm2でヒートシーラーにより熱溶着した。次に、この外装を用いて、電池要素およびタブシール部をパッケージングした。実施例13〜15も同様の手順で外装用ガス放出手段を設けた。
【0218】
参考例2として、外装部用ガス放出手段を設けていないこと以外は実施例12〜15と同様のバイポーラ電池を用いた。
【0219】
実施例12〜15および参考例2のバイポーラ電池をそれぞれ5個ずつ用いて、0.2Cの電流値で定電流−定電圧、12時間充電で、満充電にした後に、高温下に置いた際のガス放出までの時間を測定した。より詳細には、バイポーラ電池の電圧を16.8Vに充電した後、100℃に設定したオーブン内に設置し、ガス放出までの時間を目視での観察により測定し、評価した。5個の平均を求めた結果を表3に示す。
【0220】
【表3】
【0221】
参考例2は60分経過後もガスを放出しなかったため、180分後にオーブンの温度を30℃にまで下げたが、外装はガス発生が原因となり膨張していた。
【0222】
(実施例16〜23および参考例3)
集電体に各制振手段を設けてそれぞれ実施例16〜23とした。各実施例の詳細については図11および表4に示す。
【0223】
制振手段はタブを兼ね備えた端部集電体を含む集電体に設けた。
【0224】
制振手段の作成方法は、実施例16の場合、実施例1の手順の中で、タブを兼ね備えた端部集電体を作製した後で、カッターにより穴を設け、次にこれらに正極活物質層または負極活物質層を塗布した。実施例17〜23も同様の手順で制振手段を設けた。
【0225】
参考例3として、制振手段を設けていないこと以外は実施例16〜23と同様のバイポーラ電池を用いた。
【0226】
実施例16〜23および参考例3のバイポーラ電池をそれぞれ5個ずつ用いて、半充電した後、平らな板に電池を貼り付けて振動を与えた後、シール部に剥離が発生しているか観察を行った。より詳細には、図11に示すようにバイポーラ電池の電圧を14.4Vに充電した後、2×5cmの両面テープ90を2枚用いて、振動台の面積が30cm×30cmの振動試験機80(エミック社製FM−2051型)に固定し、60℃、50Hzで30時間放置した後、シール部30とタブシール部31との間を切断し、顕微鏡により観察を行った。結果を表4に示す。
【0227】
【表4】
【0228】
参考例では、上下両方のタブシール部に剥離が見られた。
【図面の簡単な説明】
【0229】
【図1】ガス拡散手段、シール部用ガス放出手段、タブシール部ガス放出手段および外装用ガス放出手段の作製部位の一例を示したバイポーラ電池の断面概略図である。
【図2】ガス拡散手段の一例を示した集電体の部分斜視概略図である。
【図3】図3は、ガス拡散手段の作製部位の一例を示した単電池の部分平面概略図である。
【図4】シール部用ガス放出手段の一例を示した電池要素の部分断面概略図である。
【図5】外装用ガス放出手段の一例を示した外装の部分平面概略図である。
【図6】図6Aは制振手段の作製部位を示した単電池の部分平面概略図であり、図6B〜図6Dは制振手段の一例を示した集電体の部分平面概略図である。
【図7】制振手段の一例を示した集電体の部分平面概略図である。
【図8】図8Aは実施例2〜7のガス拡散手段作製部位を示したバイポーラ電極の平面概略図であり、図8B〜図8Gは実施例2〜7のガス拡散手段を示した集電体の部分平面概略図である。
【図9】図9Aは実施例8〜11のシール部用ガス放出手段の作製部位を示したシール部の平面概略図であり、図9B〜図9Eは実施例8〜11のシール部用ガス放出手段を示した電池要素の部分断面概略図である。図9Fは参考例を示した電池要素の部分断面概略図である。
【図10】図10Aは実施例12〜15の外装用ガス放出手段の作製部位を示したバイポーラ電池の断面概略図であり、図10B〜図10Eは実施例12〜15の外装用ガス放出手段を示した外装の部分平面概略図である。
【図11】図11Aは実施例16〜23の制振手段の作製部位を示したバイポーラ電池の断面概略図であり、図11B〜図11Iは実施例16〜23の制振手段を示した集電体の部分平面概略図である。
【符号の説明】
【0230】
1 ガス拡散手段、
2 シール部用ガス放出手段、
3 タブシール部用ガス放出手段、
4 外装用ガス放出手段、
5 制振手段、
10 ガス、
20 集電体、
21 穴、
22 樹脂膜、
23 不織布、
24 網、
25 金属箔、
26 セラミックス薄膜、
27 切れ込み、
29 タブを兼ね備えた端部集電体、
30 シール部、
31 タブシール部、
32 接着強度が弱いシール部、
33 異物、
34 切れ込み、
40 外装、
41 穴、
42 樹脂膜、
43 不織布、
44 金属箔、
45 セラミックス薄膜、
46 切れ込み、
50 正極活物質層、
60 電解質層、
70 負極活物質層、
80 振動試験装置、
90 両面テープ、
100 重心を通りかつ制振を要する領域の長辺と平行な方向に伸長する線、
101 内分点、
E ガス発生部位、
G 最も振幅の大きい中央部分。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極活物質層、集電体および負極活物質層がこの順序で積層されてなるバイポーラ電極と、
前記バイポーラ電極に挟まれた電解質層と、
外装と、
端子としてのタブと、
を含み、前記集電体に、ガス拡散手段を備えることを特徴とするバイポーラ電池。
【請求項2】
前記ガス拡散手段は、穴、樹脂膜を配置した穴、不織布を配置した穴、網を配置した穴、金属箔で塞がれてなる穴、セラミックス薄膜で塞がれてなる穴、および切れ込みよりなる群から選択される少なくとも一種であることを特徴とする請求項1に記載のバイポーラ電池。
【請求項3】
前記電解質層は、高分子固体電解質層またはゲル電解質層であることを特徴とする請求項1または2に記載のバイポーラ電池。
【請求項4】
前記集電体同士の間にシール部を備え、前記シール部にシール部用ガス放出手段を備えることを特徴とする請求項1〜3に記載のバイポーラ電池。
【請求項5】
前記シール部用ガス放出手段は、少なくとも一部の前記シール部の接着強度がその他の前記シール部の接着強度よりも低く形成されてなることを特徴とする請求項4に記載のバイポーラ電池。
【請求項6】
前記シール部用ガス放出手段は、少なくとも一部の前記シール部に異物を挟み込んでなることを特徴とする請求項4または5に記載のバイポーラ電池。
【請求項7】
前記シール部用ガス放出手段は、少なくとも一部の前記シール部に切れ込みを入れてなることを特徴とする請求項4〜6のいずれかに記載のバイポーラ電池。
【請求項8】
前記外装同士の間にタブシール部を備え、前記タブシール部にタブシール部用ガス放出手段を備えることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のバイポーラ電池。
【請求項9】
前記タブシール部用ガス放出手段は、少なくとも一部の前記タブシール部の接着強度がその他の前記タブシール部の接着強度よりも低く形成されてなることを特徴とする請求項8に記載のバイポーラ電池。
【請求項10】
前記タブシール部用ガス放出手段は、少なくとも一部の前記タブシール部に異物を挟み込んでなることを特徴とする請求項8または9に記載のバイポーラ電池。
【請求項11】
前記タブシール部用ガス放出手段は、少なくとも一部の前記タブシール部に切れ込みを入れてなることを特徴とする請求項8〜10のいずれかに記載のバイポーラ電池。
【請求項12】
前記外装において、外装用ガス放出手段を備えることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載のバイポーラ電池。
【請求項13】
前記外装用ガス放出手段は、樹脂膜で塞がれてなる穴、不織布で塞がれてなる穴、金属箔で塞がれてなる穴、セラミックス薄膜で塞がれてなる穴および切れ込みよりなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項12に記載のバイポーラ電池。
【請求項14】
前記集電体に制振手段を備えることを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載のバイポーラ電池。
【請求項15】
前記制振手段は、一部が放射状の集電体であることを特徴とする請求項14に記載のバイポーラ電池。
【請求項16】
前記制振手段は、升目状および/または櫛目状の穴を備えた集電体であることを特徴とする請求項14または15に記載のバイポーラ電池。
【請求項17】
集電体にガス拡散手段を設ける段階と、
正極活物質層、前記集電体、負極活物質層および電解質層を積層する段階と、
端子としてのタブを設ける段階と、
外装を用いて電池要素をパッケージングする段階と、を有するバイポーラ電池の製造方法。
【請求項18】
シール部にシール部用ガス放出手段を設ける段階と、
前記シール部を前記集電体同士の間に設ける段階と、を有する請求項17に記載のバイポーラ電池の製造方法。
【請求項19】
タブシール部にタブシール部用ガス放出手段を設ける段階と、
前記外装同士の間に、タブシール部を設ける段階と、を有する請求項17または18に記載のバイポーラ電池の製造方法
【請求項20】
前記外装に外装用ガス放出手段を設ける段階を有する請求項17〜19のいずれかに記載のバイポーラ電池の製造方法。
【請求項21】
前記集電体に制振手段を設ける段階を有する請求項17〜20のいずれかに記載のバイポーラ電池の製造方法。
【請求項22】
請求項1〜16のいずれかに記載のバイポーラ電池を複数個、並列および/または直列に接続したことを特徴とする組電池。
【請求項1】
正極活物質層、集電体および負極活物質層がこの順序で積層されてなるバイポーラ電極と、
前記バイポーラ電極に挟まれた電解質層と、
外装と、
端子としてのタブと、
を含み、前記集電体に、ガス拡散手段を備えることを特徴とするバイポーラ電池。
【請求項2】
前記ガス拡散手段は、穴、樹脂膜を配置した穴、不織布を配置した穴、網を配置した穴、金属箔で塞がれてなる穴、セラミックス薄膜で塞がれてなる穴、および切れ込みよりなる群から選択される少なくとも一種であることを特徴とする請求項1に記載のバイポーラ電池。
【請求項3】
前記電解質層は、高分子固体電解質層またはゲル電解質層であることを特徴とする請求項1または2に記載のバイポーラ電池。
【請求項4】
前記集電体同士の間にシール部を備え、前記シール部にシール部用ガス放出手段を備えることを特徴とする請求項1〜3に記載のバイポーラ電池。
【請求項5】
前記シール部用ガス放出手段は、少なくとも一部の前記シール部の接着強度がその他の前記シール部の接着強度よりも低く形成されてなることを特徴とする請求項4に記載のバイポーラ電池。
【請求項6】
前記シール部用ガス放出手段は、少なくとも一部の前記シール部に異物を挟み込んでなることを特徴とする請求項4または5に記載のバイポーラ電池。
【請求項7】
前記シール部用ガス放出手段は、少なくとも一部の前記シール部に切れ込みを入れてなることを特徴とする請求項4〜6のいずれかに記載のバイポーラ電池。
【請求項8】
前記外装同士の間にタブシール部を備え、前記タブシール部にタブシール部用ガス放出手段を備えることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のバイポーラ電池。
【請求項9】
前記タブシール部用ガス放出手段は、少なくとも一部の前記タブシール部の接着強度がその他の前記タブシール部の接着強度よりも低く形成されてなることを特徴とする請求項8に記載のバイポーラ電池。
【請求項10】
前記タブシール部用ガス放出手段は、少なくとも一部の前記タブシール部に異物を挟み込んでなることを特徴とする請求項8または9に記載のバイポーラ電池。
【請求項11】
前記タブシール部用ガス放出手段は、少なくとも一部の前記タブシール部に切れ込みを入れてなることを特徴とする請求項8〜10のいずれかに記載のバイポーラ電池。
【請求項12】
前記外装において、外装用ガス放出手段を備えることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載のバイポーラ電池。
【請求項13】
前記外装用ガス放出手段は、樹脂膜で塞がれてなる穴、不織布で塞がれてなる穴、金属箔で塞がれてなる穴、セラミックス薄膜で塞がれてなる穴および切れ込みよりなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項12に記載のバイポーラ電池。
【請求項14】
前記集電体に制振手段を備えることを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載のバイポーラ電池。
【請求項15】
前記制振手段は、一部が放射状の集電体であることを特徴とする請求項14に記載のバイポーラ電池。
【請求項16】
前記制振手段は、升目状および/または櫛目状の穴を備えた集電体であることを特徴とする請求項14または15に記載のバイポーラ電池。
【請求項17】
集電体にガス拡散手段を設ける段階と、
正極活物質層、前記集電体、負極活物質層および電解質層を積層する段階と、
端子としてのタブを設ける段階と、
外装を用いて電池要素をパッケージングする段階と、を有するバイポーラ電池の製造方法。
【請求項18】
シール部にシール部用ガス放出手段を設ける段階と、
前記シール部を前記集電体同士の間に設ける段階と、を有する請求項17に記載のバイポーラ電池の製造方法。
【請求項19】
タブシール部にタブシール部用ガス放出手段を設ける段階と、
前記外装同士の間に、タブシール部を設ける段階と、を有する請求項17または18に記載のバイポーラ電池の製造方法
【請求項20】
前記外装に外装用ガス放出手段を設ける段階を有する請求項17〜19のいずれかに記載のバイポーラ電池の製造方法。
【請求項21】
前記集電体に制振手段を設ける段階を有する請求項17〜20のいずれかに記載のバイポーラ電池の製造方法。
【請求項22】
請求項1〜16のいずれかに記載のバイポーラ電池を複数個、並列および/または直列に接続したことを特徴とする組電池。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2006−86049(P2006−86049A)
【公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−270777(P2004−270777)
【出願日】平成16年9月17日(2004.9.17)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年9月17日(2004.9.17)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】
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