説明

ガス昇温低減装置

【課題】 高圧ガス配管と、これに接続される弁類との間に設け、高圧ガス配管から弁類に流れる、高圧ガスの流量を減少させることで、弁類内のガス温度の上昇を緩和させる、ガス温度上昇低減装置を提供する。
【解決手段】 本体10は、内径の異なる四つのガス流路12,13,8,11を備え、第二のガス流路13の内部には可動部材としてのボール5を収め、第三のガス流路8の内部にはボール5を付勢するコイルスプリング6を収め、本体10の第三のガス流路8に相当する部分の内壁に、副流路7を形成する。副流路7は第二のガス流路13と第四のガス流路11とに連通しており、ガスはここを通過して開閉弁1に徐々に流入するため、開閉弁1内でのガスの温度上昇が緩和される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高圧ガス配管と、これに接続される弁類との間に設け、弁類内におけるガス温度の上昇を緩和させる昇温低減装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に高圧ガスを供給する設備では、貯蔵タンク内の液化ガスを蒸発器を用いて気化させたのち、圧力調整弁を用いてガス圧を調節し、開閉弁を介して、高圧ガスを貯蔵ボンベに充填したり、ユースポイントへ供給する方法が採られている。これら圧力調整弁や開閉弁などの弁類を、閉塞状態から開放するに際し、弁類下流側のガス圧が低く、弁類上流側のガス圧が高い時は、これらガスの差圧により、ガスが急激に下流側配管に流入し、下流側配管に設置されている弁類が閉となっている場合、該弁類内でガスの断熱圧縮が起こり、ガスの温度が大幅に上昇し、該弁類内のガスケットやダイヤフラムなどの有機材料などで形成されている部材が劣化することがある。これら部材はガスの漏れを抑制しており、その劣化により、高圧ガスを安全かつ確実に供給することができなくなる。
【0003】
したがって、上記ガスケット等の部材の劣化を抑制するためには、弁類内のガス温度の上昇を緩和する装置の使用が望まれるが、従来、かかる機能を有する装置は実用化されておらず、高圧ガスを供給する時は、ガスの圧力が弁類内で徐々に上昇するように、弁類の開放操作を標準化することにより、弁類内のガス温度の上昇を抑制している。
なお、本発明に関わる先行技術に関する文献は承知していない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、弁類の開放操作の如何によらず、弁類内のガス温度の上昇を緩和することができる昇温低減装置であって、高圧ガス配管と、これに接続される弁類との間に設け、高圧ガス配管から弁類に流れる、高圧ガスの流量を弁類近傍で制御することにより、弁類内のガス温度の上昇を緩和させる、ガス温度上昇低減装置を提供することを解決すべき課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、
請求項1に記載の発明は、高圧ガス配管と、これに接続される弁類との間に間挿され、高圧ガス配管から弁類に流れる、高圧ガスの流量を制御し、弁類内におけるガス温度の上昇を緩和させる昇温低減装置であって、この昇温低減装置は、中空筒体からなり、この筒体内部に高圧ガスが流れるガス流路が形成されており、このガス流路の上流側には、高圧ガスの流れに沿って往復移動する可動部材が収められ、ガス流路の下流側には、上記可動部材を上流側に向けて付勢するとともに、高圧ガスの通過を許容する付勢部材が収められ、
上記付勢部材の外側の中空筒体には、高圧ガスが常時通過可能な副流路が形成されており、高圧ガス配管から高圧ガスが流入した時に、可動部材が下流側に移動して付勢部材を圧縮することにより高圧ガスの流量調整を行うようにしたことを特徴とする昇温低減装置である。
【0006】
請求項2に記載の発明は、中空筒体の内面に、可動部材を案内するための支持体が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の昇温低減装置である。
【0007】
請求項3に記載の発明は、可動部材がガス流路の上流側へ移動した時に、ガス流路の上流側を閉塞することを特徴とする請求項1または2に記載の昇温低減装置である。
【0008】
請求項4に記載の発明は、中空筒体の内面に、熱放散用スリットが設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の昇温低減装置である。
【0009】
請求項5に記載の発明は、中空筒体の外表面に、放熱板が設けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の昇温低減装置である。
【0010】
請求項6に記載の発明は、高熱伝導度の材料で形成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の昇温低減装置である。
【0011】
請求項7に記載の発明は、高圧ガスを供給する設備であって、高圧ガス配管と弁類との間に、請求項1〜6のいずれか一項に記載の昇温低減装置が設けられていることを特徴とする高圧ガス供給設備である。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明によれば、高圧ガス配管から昇温低減装置内へ高圧ガスが流入した時には、可動部材がガスの圧力を受けて下流側へ移動し、続いて付勢部材を付勢力に抗して下流側へ圧縮する間、可動部材が流入するガスの量を低減するとともに、流入したガスは、ガス流路を通って少量ずつ下流側へ逃げていく。さらに、可動部材がガス流路の下流側をふさいだ後は、付勢部材の外側の中空筒体に形成された副流路が、ガスを少量ずつ下流側へ逃がすことにより、弁類内へ流れる高圧ガスの流量を減少させ、弁類内におけるガスの温度上昇を緩和することができる。
【0013】
請求項2の発明によれば、ガス流路内の可動部材の動きを円滑にすることで、昇温低減装置内でのガスの流量制御を容易にすることができる。
また、請求項3の発明によれば、ガスが弁類から昇温低減装置内へ逆流した時に、可動部材がガス流路の上流側を閉塞してガスを遮断し、高圧ガス配管へのガスの逆流を停止することができる。
【0014】
請求項4の発明によれば、昇温低減装置内のガスが持つ熱を、中空筒体の内面に設けた熱放散用スリットを通じて、中空筒体の外部に効率よく放散させることで、該装置内のガスの温度を下げることができる。
また、請求項5の発明によれば、中空筒体の外表面に放熱板を設けることで、中空筒体が持つ熱を、中空筒体外部に効率よく放散させることで、該装置内のガスの温度を下げることができる。
【0015】
請求項6の発明によれば、中空筒体、可動部材、付勢部材など、昇温低減装置を構成する各部材を、高熱伝導度の材料で形成することにより、昇温低減装置が持つ熱を、効率よく外部に放散させることにより、該装置内のガスの温度を下げることができる。
【0016】
高圧ガスを供給する設備において、高圧ガス配管と弁類との間に、上記の昇温低減装置を設けることにより、弁類内でガスの圧力が徐々に上昇するように弁類の開放操作を厳密に調整することなく、弁類内のガスの温度上昇を緩和することができ、弁類内の有機材料等で形成されたガスケット等の部材の劣化を抑制することができ、もって高圧ガスの圧力制御、封止あるいは供給を、正確にかつ安定して行うことができる。
またガスケット等の部材は、従来の有機材料等で形成されたものを使用でき、特殊な材料で形成されたものを使用する必要がないため、安価に施工することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明を詳しく説明する。
図1ないし図3は、本発明のガスの昇温低減装置の一例を示すものである。図1は図2のI−I破線に沿った昇温低減装置の要部縦断面図であり、開閉弁と接続された状態を示すものである。なおこの例では、開閉弁としてボールバルブを例示しているが、本発明の昇温低減装置は、これ以外の各種弁あるいは圧力調整弁にも、接続して使用することができる。
符号1は、開閉弁であり、その内部にはガス流路を備えたボール状の弁体2が設けられ、弁体2が閉塞状態の時に、開閉弁1と弁体2との隙間より、ガスが下流側へ漏れることを防止するための、ガスケット3が設けられている。ガスケット3は、発火温度が300ないし500℃の有機材料で形成されたものが、多く使用されている。
【0018】
符号4は昇温低減装置を示し、この装置4は本体10と、可動部材としてのボール5と、付勢部材としてのコイルスプリング6とから概略構成されている。
本体10は概観が概略筒体であって、その筒体内部には高圧ガスが流れるガス流路が設けられた、中空筒体の形状からなるものである。本体10の一端は、接続部15で高圧ガス配管(図示略)に接続され、本体10の他端は、接続部16で開閉弁1に接続されており、開閉弁1を開放した時には、高圧ガスはガス流路内を、接続部15側から接続部16側へ流れる。
【0019】
本体10の内部のガス流路は、内径の異なる四つの円筒形状のガス流路が、順次連結された構造からなり、上流側には、高圧ガス配管(図示略)に接続される第一のガス流路12が形成され、この第一のガス流路12の下流側には第二のガス流路13が形成され、第二のガス流路13の下流側には第三のガス流路8が形成され、第三のガス流路8の下流側に第四のガス流路11が形成され、第四のガス流路11は下流側で開閉弁1に接続されている。
【0020】
これら四つのガス流路12,13,8および11は、いずれも同一の中心軸を持ち、直列に配置されており、また、第二のガス流路13の内径は、第一のガス流路12および第三のガス流路8の内径よりも大きく、第四のガス流路11の内径は、第三のガス流路8の内径よりも小さくされている。
【0021】
第二のガス流路13の内部には、該ガス流路に沿って上流側および下流側に動くことができるボール5が収められており、ボール5の外径は、第一のガス流路12および第三のガス流路8の内径よりも大きくされている。
さらに、本体10の第二のガス流路13に相当する部分の内壁には、この内壁から突出するように、4個の支持体9,9,9,9が設けられている。この支持体9は、第二のガス流路13の長手方向に沿って延びるリブ状のものであって、上記内壁に放射状に配置されている。これら支持体9,9,9,9は、第二のガス流路13内でのボール5の往復移動を案内するためのものであって、ボール5は、その外表面がこれら支持体9,9,9,9の少なくとも一つの先端面に接しつつ往復移動し、かつボール5が第二のガス流路13の中止軸線上に位置するようになっている。
【0022】
なお図1では、便宜上、支持体9は二つ描いているが、図示していない残り二つの支持体も、同様の構造を有するものである。
また、この例では、支持体9の数が四つの場合を例示しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、三つ以上であれば、いくつであっても良く、その形状もリブ状に限定されるものではない。またボール5は、楕円球状、直方体状などその他の形状のものに代えることができる。
【0023】
また、本体10の第二のガス流路13に相当する部分の内壁には、4個の熱放散用スリット14,14,14,14が形成されている。
この熱放散用スリット14は、本体10の長手方向に伸びる角溝状のものであって、上記内壁に対して、上記4個の支持体9,9,9,9を避けるようにして、放射状に配置されている。
なおこの例では、熱放散用スリット14は、数が四つの場合を例示しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、いくつであっても良いが、複数個、具体的には四つ以上設けることが望ましい。またその配置場所は、必ずしも対称関係になくても良く、形状も角溝状以外のものであっても良い。
【0024】
第三のガス流路8中には、伸縮自在な付勢部材としてのコイルスプリング6が収められている。このコイルスプリング6は、その一端が、第三のガス流路8と第四のガス流路11の境界に形成された段差面に固定され、上流方向に付勢するよう設けられている。コイルスプリング6の中心軸方向の長さは、ガス流路8の中心軸方向の長さよりも長く、コイルスプリング6の他端は、第二のガス流路13の内部に突出している。
なおこの例では、付勢部材としてコイルスプリングを例示しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、ガスを第二のガス流路13内から開閉弁1へ通過させる流路を備えていれば、板ばねなど他の形状のものも使用することができる。
【0025】
また、図3は図1のIII−III破線に沿った断面図である。図3に示すように、本体10の第三のガス流路8に相当する部分の内壁には、4個の副流路7,7,7,7が形成されている。
この副流路7は、本体10の長手方向に延びる角溝からなるもので、上記内壁に対して、放射状に配置されている。これらの副流路7,7,7,7は、第二のガス流路13と第四のガス流路11とに連通しており、ボール5が下流側に最大移動したとしても、ガスが副流路7を通過できるようになっている。
【0026】
なお、この例では、副流路7は、数が四つの場合を例示しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、いくつであっても良いが、複数個、具体的には四つ以上設けることが望ましい。またその配置場所は、必ずしも対称関係になくても良く、形状も角溝以外のものであっても良い。
【0027】
本体10の外表面には、放熱板(図示略)が設けられており、また、装置4を構成する各部材は、いずれも放熱効果の高い、銅合金等の高熱伝導性の材料で形成されている。
【0028】
このように構成された昇温低減装置4は、以下のように作動する。
装置4の上流側に接続されている高圧ガス配管の開閉弁(図示略)と開閉弁1がともに閉じられており、該高圧ガス配管の開閉弁より上流側のガスの圧力が高く、装置4内のガスの圧力が低い場合、該高圧ガス配管の開閉弁を急激に開放すると、装置4の第一のガス流路12の中に、高圧ガスが急激に流入する。第一のガス流路12に流入したガスは、第二のガス流路13内の上流側に位置しているボール5に当り、ボール5は、流入したガスの圧力により、支持体9に沿って下流側へ移動する。
【0029】
下流側へ移動したボール5は、コイルスプリング6に接触し、コイルスプリング6の付勢力に抗してコイルスプリング6を縮ませ、さらに下流側へと移動する。この間、第二のガス流路13内に流入した高圧ガスは、第二のガス流路13と第三のガス流路8との境界に形成された段差面とボール5との間を通り、さらに第三のガス流路8内でのコイルスプリング6の隙間を通過して、第四のガス流路11および開閉弁1へ流入する。第二のガス流路13内への高圧ガスの流入がさらに続くと、ボール5は、その外径よりも小さい内径を有する第三のガス流路8の、上流側開口部の縁に圧着して停止し、該開口部を閉塞する。ただしこの時以降も、第三のガス流路8の内面に設けられた副流路7は、ボール5で閉塞されることはなく、第二のガス流路13内のガスは、少量ずつ副流路7内を通過し、第四のガス流路11内へ流入する。
【0030】
よって、ボール5が第三のガス流路8の開口部を閉塞しても、副流路7が高圧ガスを少量ずつ第四のガス流路11内へ流入させるため、開閉弁1内に流入するガスの流量が低減される。したがって、第三のガス流路8、第四のガス流路11および開閉弁1内のガスの圧力が瞬時に上がることはなく、もって開閉弁1内でのガスの温度上昇は緩和される。
【0031】
また、高圧ガス配管から装置4内に、高圧ガスが急激に流入して、装置4内ではガスの断熱圧縮が起こり、ガスの温度が上昇するが、熱放散用スリット14、副流路7および本体10の外表面に設けられた放熱板(図示略)により、装置4から外部へのガスの熱の放散が促進される。
さらに、装置4を構成する各部材が、高熱伝導性の材料で形成されており、装置4から外部へのガスの熱の放散が促進される。
もって、開閉弁1へ流入するガスの温度の上昇が緩和される。
【0032】
さらに、第三のガス流路8および第四のガス流路11へのガスの流入が続くと、開閉弁1の近傍のガス流路内のガスの圧力が徐々に大きくなり、ボール5に対して上流方向へ作用する力、すなわち、上流方向へのガスの圧力とコイルスプリング6の付勢力とを合わせた力が、ボール5に対して下流方向へ作用する力、すなわち、下流方向へのガスの圧力を上回り、ボール5は、上流側へと移動して、第三のガス流路8の上流側開口部を開放する。
さらにガスの流入が続き、定常状態に達すると、ボール5に作用する上流方向への力と下流方向への力がつりあい、ボール5は、第二のガス流路13内で、第一のガス流路12を閉塞しない位置で止まる。
【0033】
この例では、装置4が、装置4の長手方向が水平方向を向くように設置された場合を例示しており、ガスが開閉弁1から高圧ガス配管方向へ逆流してきた時には、ボール5は、逆流ガスの圧力を受けて上流側へ移動し、第一のガス流路12の下流側開口部の縁に密着して停止するとともに、第一のガス流路12を閉塞して、高圧ガス配管へのガスの逆流を停止させる。
【0034】
一方、本発明の装置4の設置方法は、これに限定されるものではなく、例えば、装置4の長手方向が鉛直方向を向き、かつ第一のガス流路12が下になるように設置された場合は、開閉弁1閉塞時には、ボール5は常時、第一のガス流路12の下流側開口部の縁に乗った状態で、該ガス流路を閉塞する。すなわち、開閉弁1から高圧ガス配管方向へガスが逆流していない場合でも、第一のガス流路12を常時閉塞することができる。
これに対し、開閉弁1開放時には、ボール5に作用する高圧ガス配管からのガスの圧力が重力よりも大きくなると、ボール5は浮き上がって第一のガス流路12を開放し、開閉弁1へガスを供給することができる。
【0035】
このように、本発明のガス昇温低減装置は、高圧ガス供給設備の、高圧ガス配管と弁類との間に設けられ、高圧ガス配管から弁類へ流れる高圧ガスの流量を制御し、瞬時の圧力上昇を防止し、弁類へ流れる高圧ガスの温度を低減することで、弁類内のガスの温度上昇を緩和し、弁類内の有機材料等で形成されたガスケット、ダイヤフラム等の部材を劣化させることなく、高圧ガスの圧力制御、封止あるいは供給を、正確にかつ安定して行うことができる。
【0036】
また弁類内の部材は、特殊な材質のものを使用する必要がなく、従来から使用しているものをそのまま使用できるため、安価に施工することができる。
さらに、弁類から高圧ガス配管へのガスの逆流を停止する機能を有するので、高圧ガス供給設備全体の安全性を高めることができる。
なお、熱放散用スリット14および本体10外表面の放熱板は、適宜選択して設ければよい。
また、第一のガス流路12と第二のガス流路13の内径は、同寸法であっても良いが、第二のガス流路13の内径を第一のガス流路12の内径より大きくすることにより、断熱圧縮する前のガスを第二のガス流路13内で断熱膨張させることができ、一旦温度を下げることができ好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0037】
高圧ガスの需要は、近年増加する傾向にあり、特に従来よりも高い圧力、具体的には20MPaを超える、より高圧でのガスの取り扱いが増加している。例えば、身近なところでは、医療分野で使用される酸素の充填であり、さらに今後注目されるものは、環境調和型化学プロセスを志向した超臨界流体、なかでも、難分解性の有害化学物質の分解無害化に有効な手段と考えられている、超臨界水酸化処理法に必要な、高圧酸素の提供などである。また水素自動車への水素の充填にも適用可能である。
これら高圧ガスの取り扱い機会の増加に際し、本発明のガス昇温低減装置は、従来の弁類の開放操作の標準化に代わる、有効で安全かつ確実な、高圧ガスの取り扱い手段を提供するものである。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明のガス昇温低減装置の一例を示す断面図である。
【図2】本発明のガス昇温低減装置を構成する、可動部材を収めた筒体の一例を示す断面図である。
【図3】本発明のガス昇温低減装置を構成する、付勢部材を収めた筒体の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0039】
1・・・開閉弁、 2・・・弁体、 3・・・ガスケット、 4・・・昇温低減装置、 5・・・ボール、 6・・・コイルスプリング、 7・・・副流路、 8・・・第三のガス流路、 11・・・第四のガス流路、 12・・・第一のガス流路、 13・・・第二のガス流路、 9・・・支持体、 10・・・本体、 14・・・熱放散用スリット、 15・・・高圧ガス配管連結部、 16・・・開閉弁連結部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
高圧ガス配管と、これに接続される弁類との間に間挿され、高圧ガス配管から弁類に流れる、高圧ガスの流量を制御し、弁類内におけるガス温度の上昇を緩和させる昇温低減装置であって、
この昇温低減装置は、中空筒体からなり、この筒体内部に高圧ガスが流れるガス流路が形成されており、
このガス流路の上流側には、高圧ガスの流れに沿って往復移動する可動部材が収められ、
ガス流路の下流側には、上記可動部材を上流側に向けて付勢するとともに、高圧ガスの通過を許容する付勢部材が収められ、
上記付勢部材の外側の中空筒体には、高圧ガスが常時通過可能な副流路が形成されており、
高圧ガス配管から高圧ガスが流入した時に、可動部材が下流側に移動して付勢部材を圧縮することにより高圧ガスの流量調整を行うようにしたことを特徴とする昇温低減装置。
【請求項2】
中空筒体の内面に、可動部材を案内するための支持体が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の昇温低減装置。
【請求項3】
可動部材がガス流路の上流側へ移動した時に、ガス流路の上流側を閉塞することを特徴とする請求項1または2に記載の昇温低減装置。
【請求項4】
中空筒体の内面に、熱放散用スリットが設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の昇温低減装置。
【請求項5】
中空筒体の外表面に、放熱板が設けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の昇温低減装置。
【請求項6】
高熱伝導度の材料で形成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の昇温低減装置。
【請求項7】
高圧ガスを供給する設備であって、高圧ガス配管と弁類との間に、請求項1〜6のいずれか一項に記載の昇温低減装置が設けられていることを特徴とする高圧ガス供給設備。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−214486(P2006−214486A)
【公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−26559(P2005−26559)
【出願日】平成17年2月2日(2005.2.2)
【出願人】(000231235)大陽日酸株式会社 (642)
【Fターム(参考)】