説明

ガス栓

【課題】 ガス栓本体(31)のせん収容部(30)の開放端部に筒状部(33)が連設され、せん収容部(30)内のせん(3)を回動操作する操作ハンドル(2)が筒状部(33)に回動自在に装着され、筒状部(33)と操作ハンドル(2)の裏面との間に防水パッキン(4)が介在されているガス栓に関し、輸送中や設置場所による振動がガス栓に与える悪影響を防止し、常に安定した防水性能を確保すること。
【解決手段】 防水パッキン(4)よりも外側の、筒状部(33)と操作ハンドル(2)の裏面との間に、保護リング(1)を介装し、保護リングは、筒状部(33)の開放部外周端と、それに対向する操作ハンドル(2)の装着部外周端とに同時に外嵌する環状筒部(11)と、その内周面から内方へ張り出し且つ前記開放部外周端と前記装着部外周端との間に介在させる環状フランジ部(12)とから構成されていること。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ガス栓、特に、屋外に設置されるガス栓において、ガス栓本体内への雨水等の侵入を防止するために、前記ガス栓本体と操作ハンドルとの間に防水パッキンを介在させたガス栓に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、ガスメータ用ガス栓のガス栓本体(31)及び操作ハンドル(2)は鋳鉄製であり、図4に示すように、ガス栓本体(31)に挿通するガス流路(31a)の中央部に、図面では上方に開放するせん収容部(30)が形成されていると共に、前記せん収容部(30)内には、操作ハンドル(2)の操作で回動可能な円錐台形のせん(3)が収容されている。
【0003】
前記せん収容部(30)の上方には筒状部(33)が延長形成されてあり、せん(3)の上面には、前記操作ハンドル(2)の係合部(22)に相対回動阻止状態に係合させて、せん(3)を回動操作するための操作軸(32)が突設されている。又、せん(3)にはガス通過孔(3a)が貫通しており、操作ハンドル(2)の回動に伴って、同図に示したような、せん(3)のガス通過孔(3a)とガス栓本体(31)のガス流路(31a)とを連通させた全開状態と、この状態から、せん(3)を90度回動させた全閉状態との間で回動するようになっている。
【0004】
前記操作軸(32)内のせん(3)の上面には、押えバネ(35)が収容されてあり、ガス栓本体(31)の筒状部(33)に操作ハンドル(2)を装着すると、せん(3)の上面と操作ハンドル(2)の裏面との間で、押えバネ(35)が圧縮され、せん(3)は、前記押えバネ(35)の付勢力によって、せん収容部(30)内に押し込まれた状態で収容される。
ガスメータ用のガス栓は、屋外に設置されるものであるから、ガス栓本体(31)内への雨水の浸入を防止しなければならない。このため、筒状部(33)と操作ハンドル(2)の裏面との間には、防水パッキン(4)が介在されている。
【0005】
図面に示した防水パッキン(4)は、外方に開放する断面略C字状の合成ゴム製の環状体であり、筒状部(33)の開放部外周端に突設されている環状凸部(34)の内方側に設けられた収納溝(36)内に密に収納され、操作ハンドル(2)の裏面に水密状態に接している。
このものでは、筒状部(33)の開放端面と操作ハンドル(2)の裏面との間が、防水パッキン(4)によって周方向にシールされることとなり、ガス栓本体(31)内への雨水等の水の浸入が防止される。ガス栓本体(31)内への水の浸入を防止することにより、せん収容部(30)及びせん(3)の摺動面における錆の発生を防止する構造となっている。
【特許文献1】特開2000−329251号公報
【特許文献2】特開2005−291308号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような屋外に設置されるガス栓のガス栓本体(31)及び操作ハンドル(2)は、共に鋳鉄製であることから重量がある。よって、輸送中の振動によって、または、幹線道路や鉄道の付近に設置された場合には、その振動によって、操作ハンドル(2)ががたついて、操作ハンドル(2)とガス栓本体(31)とがぶつかり合ったり、擦れ合ったりすることにより、操作ハンドル(2)やガス栓本体(31)に傷が付く不都合がある。さらに、操作ハンドル(2)は押えバネ(35)によって付勢されているものであるから、共振すると、前記振動が増幅され、これらに取り付けられているストッパーピン(23)等の部品が緩んでしまうこともある。
【0007】
図4に示したものでは、操作ハンドル(2)とガス栓本体(31)との間に防水パッキン(4)を介在させているが、前記防水パッキン(4)は、前記振動によって、押し潰され易く、操作ハンドル(2)の裏面とガス栓本体(31)の筒状部(33)とのぶつかり合いを阻止することはできず、従来の防水パッキン(4)を、操作ハンドル(2)とガス栓本体(31)との間の緩衝材として機能させることは困難である。
【0008】
そこで、操作ハンドル(2)及びガス栓本体(31)が振動しても、操作ハンドル(2)の裏面がガス栓本体(31)の筒状部(33)の環状凸部(34)にぶつかったり擦れ合ったりしないように、環状凸部(34)とそれに対応する操作ハンドル(2)の裏面との間の隙間(S)を大きく設定することが考えられる。しかしながら、前記隙間(S)を大きく設定しては、前記隙間(S)に向かって高水圧の水が噴射された場合、水が防水パッキン(4)を超えてガス栓本体(31)内に浸入するおそれがある。
【0009】
水の浸入を確実に防止できるほど、防水パッキン(4)の水密性及び気密性を高めると、防水パッキン(4)はガス栓本体(31)の筒状部(33)と操作ハンドル(2)の裏面との間に介在させているものであるから、両者間の摩擦力が大きくなり、操作ハンドル(2)の操作性が悪くなる。又、ガス栓本体(31)内の気密性が高くなりすぎると、外気温の変化によって内部の圧力が変動して、押えバネ(35)の付勢力以上の力がせん(3)に作用し、せん(3)がせん収容部(30)内に食い込んで、せん(3)の回動操作ができなくなることがある。
【0010】
本発明は、『ガス栓本体のせん収容部の開放端部に筒状部が連設されていると共に、前記せん収容部内に収容されているせんを回動操作する操作ハンドルが前記筒状部に回動自在に装着されてあり、前記筒状部と前記操作ハンドルの裏面との間に防水パッキンが介在されているガス栓』において、輸送中や設置場所によってガス栓へ伝わる振動が、操作ハンドルやガス栓本体に与える悪影響を防止すると共に、常に安定した防水性能を確保することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために講じた本発明の解決手段は、『前記防水パッキンよりも外側に位置する、前記筒状部と前記操作ハンドルの裏面との間に、保護リングが介装され、
前記保護リングは、前記筒状部の開放部外周端と、それに対向する前記操作ハンドルの装着部外周端とに同時に外嵌する環状筒部と、前記環状筒部から内方へ張り出し且つ前記開放部外周端と前記装着部外周端との間に介在される環状フランジ部とから構成されている』ことである。
ガス栓本体の筒状部の開放部外周端とそれに対向する操作ハンドルの装着部外周端に、保護リングの環状筒部を外嵌させることによって、ガス栓本体と操作ハンドルとは、外側から同時に支持された態様となる。これにより、ガス栓に振動が加えられた場合でも、操作ハンドルのがたつきを抑えることができる。又、前記開放部外周端とそれに対向する前記装着部外周端との間には、前記環状筒部から内方に張り出させた環状フランジ部を介在させているから、ガス栓本体と操作ハンドルとが外周端部相互において直接ぶつかり合ったり、擦れ合ったりすることがない。よって、これより内方の、操作ハンドルとガス栓本体の筒状部とが嵌合し合っている各部分においても、相互のぶつかり合いや擦れ合いは緩和される。
【0012】
又、前記保護リングは、防水パッキンよりも外側に設けられているから、ガス栓に直接雨水が激しく降り注いだり、高圧の散水が噴き付けられたりしても、防水パッキンに水が直接かかることがない。又、防水パッキンは保護リングによって、塵埃や塗料等といった水以外の外的衝撃や刺激からも保護される。
【0013】
(2)請求項2に係る発明のものは、請求項1に記載のガス栓において、『前記保護リングは、前記筒状部の前記開放部外周端に対して密嵌状態に固定されると共に、前記操作ハンドルの前記装着部外周端に対しては相対回動可能である』ことを特徴とするもので、操作ハンドルは、前記筒状部と保護リングに対して回動可能であるから、保護リングを装着しても操作ハンドルを操作する際の摩擦抵抗が大きくならず、操作ハンドルの操作性が悪くなることがない。
【0014】
(3)請求項3に係る発明のものは、上記各請求項に記載のガス栓において、『前記防水パッキンは、前記筒状部の前記開放部外周端と前記操作ハンドルの前記装着部外周端との間に向かって開放する断面略C字状の弾性材料製の環状体である』もので、前記筒状部の前記開放部外周端と前記操作ハンドルの前記装着部外周端との間には、前記保護リングが装着されているが、万一、保護リングを超えて、水が浸入してきても、浸入してきた水は、断面略C字状に構成されている前記防水パッキンの開放部で受け止められる。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に係る発明によれば、輸送中の振動や幹線道路や鉄道による振動がガス栓に作用しても、ガス栓本体の筒状部の開放部外周端とそれに対向する操作ハンドルの装着部外周端との間に装着させた保護リングによって、両者の振動が緩和され、ガス栓本体と操作ハンドルとのぶつかり合いや摺り合いを防止することができるので、振動によって、ガス栓本体や操作ハンドルが傷付いたり、ストッパーピン等の部品が緩んだりする不都合はなく、振動によるガス栓への悪影響を防止することができる。
【0016】
又、防水パッキンは保護リングによって、水や塵埃、或いは塗料等の外的衝撃や刺激から保護されるから、例えば、高圧水がガス栓に向かって噴射されても、防水パッキンが水圧によって捲り上げられて防水性能が劣化することがなく、水がガス栓本体内に浸入することを確実に防止することができる。よって、ガス栓本体内部が腐食してせんや操作ハンドルがガス栓本体に対して固着するといった不都合はない。又、塵埃がガス栓本体の筒状部と操作ハンドルの裏面との間に侵入することも防止できるから、操作ハンドルの操作性に支障を来たす不都合はない。さらに、この種のガス栓に接続される配管に塗装される保護用の塗料が、防水パッキン及びその取付部に付着し乾燥すると、固形物となって、防水パッキンの表面を硬化させてシール性を損なわせたり、剥げ落ちたペイントがガス栓の操作時に防水パッキンと擦れ合って防水パッキンを傷付けたりする不都合があるが、前記塗料は保護リングで堰き止められるため、塗料が防水パッキンに至らない。よって、上記したような不都合を防止することができ、防水パッキンの耐久性を向上させることができる。
【0017】
請求項2に係る発明によれば、操作ハンドルの操作性を損なうことなく、振動に対する緩衝機能を具備させ且つ防水性能を向上させたガス栓を提供することができる。
請求項3に係る発明によれば、万一、保護リングを超えて、水や塵埃等が前記隙間に浸入してきても、これら水や塵埃等は、防水パッキンのC字状に屈曲された開放部で受け止めることができ、ガス栓本体内への浸入を阻止することができるから、防水性能及び防塵性能を一層向上させることができる。よって、操作ハンドルの操作性が悪くなったり、外気温の変化によってガス栓の内部空間に圧力変動を生じさせたりする程、防水パッキンの気密性を高く設定する必要はない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下に、本発明を実施するための最良の形態について添付図面を参照しながら説明する。
図1は、本願発明の第1番目の実施の形態におけるガス栓の全体図であり、図2は防水パッキン及び保護リングの装着部分の要部拡大断面図である。
この実施の形態のガス栓本体(31)は、従来のものと同様に、図面において上方に開放し且つ逆円錐台形状のせん(3)を収容するせん収容部(30)と、その上方開放端に連続する筒状部(33)とを備えた構成となっている。
【0019】
又、せん(3)の上面には、操作ハンドル(2)の裏面に設けられた係合部(22)に係合させて操作ハンドル(2)を相対回動阻止状態に取り付けるための一対の操作軸(32)(32)が突設されていると共に、前記操作軸(32)(32)内に、せん(3)をせん収容部(30)内に弾性的に押し込むための押えバネ(35)が介在されている。
【0020】
筒状部(33)の内周壁からは、図2に示すように、円弧状の係合フランジ片(37)(37)が部分的に内方へ突設されていると共に、その基端部から環状凸部(38)が上方へ突設されている。そして、環状凸部(38)の外側基端部には、防水パッキン(4)を収容するための環状の収容溝(36)が形成されており、さらにその外周域には、筒状部(33)の開放部外周端の一部として、外周筒部(39)が周方向に突設されている。
【0021】
これに対し、操作ハンドル(2)の裏面には、前記係合フランジ片(37)(37)間から嵌り込んで、係合フランジ片(37)(37)に下方から係合する係合突片(24)(24)が外方へ張り出していると共に、前記環状凸部(38)が回動自在に嵌め込まれる環状凹溝(20)が下方に開放するように形成されている。
【0022】
又、操作ハンドル(2)の回動規制を行うために、ストッパーピン(23)が操作ハンドル(2)の所定位置を貫通するように捻じ込まれていると共に、ストッパーピン(23)の上方には、封印部材(27)が捻じ込まれて、ストッパーピン(23)の封印が行われている。
【0023】
係合突片(24)を係合フランジ片(37)にそれぞれ係合させ且つ環状凸部(38)を環状凹溝(20)内に嵌合させた、操作ハンドル(2)のガス栓本体(31)への取り付け状態にて、収容溝(36)と操作ハンドル(2)の裏面との間には、防水パッキン(4)が水密状態に収容される大きさの収容空間部(25)が形成されると共に、外周筒部(39)に対向する操作ハンドル(2)の裏面には、操作ハンドル(2)の装着部外周端の一部として、外周凸部(21)が下方へ向かって突設されている。外周筒部(39)の上面と外周凸部(21)の下面との間には所定幅の隙間(S)が形成されている。
【0024】
尚、収容空間部(25)は、前記環状凹溝(20)及び前記隙間(S)に連通する構成となっているが、収容空間部(25)内に防水パッキン(4)を密に収容すると、環状凹溝(20)側への通路は遮断され、防水パッキン(4)の開放部(44)が前記隙間(S)に向かって開放する態様となる。
【0025】
防水パッキン(4)は、外方へ向って開放する断面略C字状の弾性材料製の環状体であり、上片(41)は、外周凸部(21)とそれの内方に続く操作ハンドル(2)の裏面とに密に当接しており、下片(42)は外周筒部(39)とそれの内方に続く収容溝(36)とに密に当接しており、前記開放部(44)は、上片(41)と下片(42)とによって構成されている。
【0026】
さらに、せん(3)の頂面の上方におけるせん収容部(30)の内周面と操作軸(32)との間には、環状の保護シート(10)を介在させてあり、前記保護シート(10)と前記せん(3)の頂面との間にはグリス(40)を充填させている。
【0027】
そして、外周筒部(39)を含む筒上部(33)の開放部外周端と、それに対向する外周凸部(21)を含む操作ハンドル(2)の装着部外周端との間に、保護リング(1)を装着させる。
保護リング(1)は、外周筒部(39)の外周面と、外周凸部(21)の外周面とに同時に外嵌する環状筒部(11)と、環状筒部(11)の内周面から内方に向って張り出し且つ前記外周筒部(39)と外周凸部(21)との間に介在されている環状フランジ部(12)とから構成されている。
【0028】
環状筒部(11)は、外周筒部(39)の外周面には密着しているが、外周凸部(21)の外周面に対しては相対回動可能に接触し、又、環状フランジ部(12)は、外周筒部(39)の頂面に密着しているが、外周凸部(21)の下面には非接触状態となっている。これにより、保護リング(1)は、ガス栓本体(31)の筒状部(33)の開放部外周端に密に固定された態様となり、操作ハンドル(2)は、筒状部(33)及び保護リング(1)に対して回動可能となる。よって、操作ハンドル(2)の操作性を損なうことはない。
【0029】
保護リング(1)を装着させたガス栓に、輸送中の振動や幹線道路や鉄道からの振動が作用しても、ガス栓本体(31)の筒状部(33)の開放部外周端とそれに対向する操作ハンドル(2)の装着部外周端との間に、保護リング(1)を装着させることによって、操作ハンドル(2)のがたつきを緩和でき、外周凸部(21)が外周筒部(39)に直接ぶつかったり、擦れ合ったりするのを防止することができる。これに伴って、環状凸部(38)と環状凹溝(20)の内周面、係合フランジ片(37)の下面と係合突片(24)の上面、さらには、操作軸(32)と係合部(22)の各部等においての相互のぶつかり合いや擦れ合いも緩和される。このように、ガス栓に振動が作用しても、ガス栓本体(31)や操作ハンドル(2)の損傷を防止すると共に、振動によって、ストッパーピン(23)や封印部材(27)が緩んで脱落したりする不都合はない。
【0030】
又、防水パッキン(4)の外側に保護リング(1)を装着させているから、防水パッキン(4)に、雨水、塵埃、塗料等の外的衝撃や刺激が直接影響することがない。よって、防水パッキン(4)の耐久性が向上すると共に、ガス栓本体(31)内の防水効果・防塵効果が一層向上する。
【0031】
万一、保護リング(1)の装着箇所に高圧水が作用する等して、水や他の異物が保護リング(1)を超えて、外周筒部(39)と外周凸部(21)との間の隙間(S)に侵入して来ても、これら水や異物は、防水パッキン(4)の上片(41)と下片(42)とで構成されている開放部(44)で受け止められ、下片(42)の上面に貯留されるから、水や異物がガス栓本体(31)内に入り込むことはない。
【0032】
さらに、万一、水や異物が筒状部(33)内に入り込む場合があったとしても、これら水や異物は、保護シート(10)とグリス(40)によって確実に塞き止められ、せん(3)とせん収容部(30)との摺動面に至ることはない。よって、ガス栓本体(31)のせん収容部(30)とせん(3)の摺動面の錆付きによる固着を確実に防止することができる。
【0033】
このように、保護リング(1)を装着させることにより、操作ハンドル(2)とガス栓本体(31)とのぶつかり合いや擦れ合いを緩和させることができる上に、ガス栓の防水・防塵効果も一層確実なものとなる。
【0034】
図3は、防水パッキン(4)の変形例を示しており、合成ゴムによって、環状凸部(38)の頂面に密着する内方水平部(13)と、環状凹溝(20)の天井部分に密着する上垂直部(14)と、環状凸部(38)の基端部に密着する下垂直部(15)と、環状凹溝(20)の外側面に密着する外方張出部(16)とから構成されている。この防水パッキン(4)では、環状凹溝(20)の内周面と環状凸部(38)とにそれぞれ密に接触する部分を設けることにより、ガス栓本体(31)内の防水を確保していると共に、内方水平部(13)と外方張出部(16)によって、操作ハンドル(2)の横方向の振動が緩和され、上垂直部(14)と下垂直部(15)によって、操作ハンドル(2)の縦方向の振動が緩和される。
【0035】
このガス栓本体(31)の筒状部(33)の開放部外周端(18)と操作ハンドル(2)の裏面における装着部外周端(28)との隙間(S)に保護リング(1)を装着させる。開放部外周端(18)と装着部外周端(28)との外周面を環状筒部(11)で外嵌させて支持すると共に、隙間(S)に環状フランジ部(12)を介在させることにより、上記第1番目の実施の形態と同様に、操作ハンドル(2)のがたつきを緩和して、操作ハンドル(2)とガス栓本体(31)の筒状部(33)とのぶつかり合いを緩和させることができる。
【0036】
この実施の形態では、保護リング(1)による緩衝に加えて、防水パッキン(10)にも緩衝効果が期待できることにより、操作ハンドル(2)とガス栓本体(31)との振動による損傷を一層確実に防止することができると共に、防水効果も一層向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本願発明の第1番目の実施の形態のガス栓の全体断面図。
【図2】本願発明の第1番目の実施の形態のガス栓とそれに装着させる防水パッキン及び保護リングを示す要部拡大断面図。
【図3】本願発明の第2番目の実施の形態におけるガス栓とそれに装着させる防水パッキン及び保護リングを示す要部拡大断面図。
【図4】従来の防水パッキン付きのガス栓の全体断面図。
【符号の説明】
【0038】
(1) ・・・・・・保護リング
(11)・・・・・・環状筒部
(12)・・・・・・環状フランジ部
(2) ・・・・・・操作ハンドル
(20)・・・・・・嵌合凹部
(3) ・・・・・・せん
(30)・・・・・・せん収容部
(31)・・・・・・ガス栓本体
(33)・・・・・・筒状部
(4) ・・・・・・防水パッキン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス栓本体のせん収容部の開放端部に筒状部が連設されていると共に、前記せん収容部内に収容されているせんを回動操作する操作ハンドルが前記筒状部に回動自在に装着されてあり、前記筒状部と前記操作ハンドルの裏面との間に防水パッキンが介在されているガス栓において、
前記防水パッキンよりも外側に位置する、前記筒状部と前記操作ハンドルの裏面との間に、保護リングが介装され、
前記保護リングは、前記筒状部の開放部外周端と、それに対向する前記操作ハンドルの装着部外周端とに同時に外嵌する環状筒部と、前記環状筒部から内方へ張り出し且つ前記開放部外周端と前記装着部外周端との間に介在される環状フランジ部とから構成されていることを特徴とするガス栓。
【請求項2】
請求項1に記載のガス栓において、前記保護リングは、前記筒状部の前記開放部外周端に対して密嵌状態に固定されると共に、前記操作ハンドルの前記装着部外周端に対しては相対回動可能であることを特徴とするガス栓。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のガス栓において、前記防水パッキンは、前記筒状部の前記開放部外周端と前記操作ハンドルの前記装着部外周端との間に向かって開放する断面略C字状の弾性材料製の環状体であることを特徴とするガス栓。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−127789(P2009−127789A)
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−305278(P2007−305278)
【出願日】平成19年11月27日(2007.11.27)
【出願人】(000151977)株式会社藤井合金製作所 (66)
【出願人】(000161998)京葉瓦斯株式会社 (46)
【Fターム(参考)】