ガス浄化システムおよびガス浄化方法
【課題】リーン燃焼によって生じ、酸素が共存する排ガス中に含まれる窒素酸化物(NOx)、炭化水素類(HC)、一酸化炭素(CO)等の各種有害物質を、より高効率に分解処理することが可能なガス浄化システムおよびガス浄化方法である。
【解決手段】ガス浄化システム10は、酸素が共存するガスXが流れるガス排出路11上に設けられ、ガスXに対して放電処理を行って触媒反応活性種を生成する放電反応部12と、触媒反応活性種によりそれぞれ活性化され、窒素酸化物を還元分解する第1の触媒13A並びに炭化水素類および一酸化炭素を酸化分解する第2の触媒13Bを有する触媒反応部13とを備える。
【解決手段】ガス浄化システム10は、酸素が共存するガスXが流れるガス排出路11上に設けられ、ガスXに対して放電処理を行って触媒反応活性種を生成する放電反応部12と、触媒反応活性種によりそれぞれ活性化され、窒素酸化物を還元分解する第1の触媒13A並びに炭化水素類および一酸化炭素を酸化分解する第2の触媒13Bを有する触媒反応部13とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放電プラズマの作用によりガス中の有害物質に対して浄化処理を施すガス浄化システムおよびガス浄化方法に係り、特にリーン燃焼排ガス、ディーゼル車排ガス、リーン燃焼ガソリン車排ガス等の酸素共存下のガスに含まれる窒素酸化物(NOx)、炭化水素類(HC)、一酸化炭素(CO)等の各種有害物質を分解処理するガス浄化システムおよびガス浄化方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車の排ガス等のガスに含まれるNOx、HC、CO等の有害物質を分解除去するガス浄化システムとして、主として2つのタイプのものが提案されている。
【0003】
一方のタイプのものは、ガソリン車から排出される燃焼排ガスのガス排出路に三元触媒を設け、当該三元触媒によって燃焼排ガスに含まれるNOx、HC、COを分解除去するガス浄化システムである(例えば非特許文献1参照)。
【0004】
現状のガソリン車から排出される排ガスの浄化においては、三元触媒によって燃焼排ガスに含まれるNOx、HC、COを分解除去するガス浄化システムが実際に用いられている。しかし、排ガス中に酸素が共存すると、三元触媒によってHC、COを酸化分解することはできるものの、NOxの還元分解が困難となる。
【0005】
そこで、ガソリン車から排出される排ガスの浄化の場合には、エンジン燃焼条件として燃費悪化を甘受しつつ、空燃比(エンジンに供給される空気と燃料の重量比)を理論空燃比(ガソリン車の場合14.7前後)の近傍に制御し、排ガス中のO2の濃度を極力抑えて還元雰囲気にされる。そしてHC、COによるNOxの還元を行うことにより、NOx、HC、COの3つの成分が同時に分解処理される。
【0006】
また、他方のタイプのものは、排ガスに酸素が共存することとなるリーン燃焼によって生じた自動車から排出される排ガスのガス排出路に放電を行う放電反応部とNOx還元触媒を設けた触媒反応部とを設け、放電およびNOx還元触媒の作用によりNOxを還元分解処理するガス浄化システムである(例えば特許文献1参照)。
【0007】
このガス浄化システムでは、放電によって、排ガス中のNOxのうち、NOがNO2に効率良く酸化される。尚、排ガス中のNOxは、NOとNO2で構成され、9割以上がNOである。また、排ガス中の炭化水素(HC)の一部は部分酸化されて[HCO]となり、別の一部は完全酸化されてCO2となる。これらの反応は、電気エネルギを利用したものであるため、触媒のみでは不可能な約250℃以下の低温域でも行うことが可能である。
【0008】
次に、放電で生成されたNO2、[HCO]は触媒反応部に導かれるが、これらはNOx還元触媒上の触媒反応活性種となる。このため、触媒反応部では、NOx還元反応が律速反応となり、NOx還元触媒のみでは不可能な低負荷時の低温域であってNOxの還元分解が可能となる。
【特許文献1】特開2002−233733号公報
【非特許文献1】「日本エネルギー学会誌」第77巻 第5号(1998年)p382−389
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
近年、エンジン燃焼条件として空燃比を理論空燃比より大きくし、燃費に優れたリーン燃焼がしばしば採用される。これに伴い、定置型ディーゼルエンジン排ガス等のリーン燃焼排ガス、ディーゼル車排ガスおよびリーン燃焼ガソリン車排ガス等の酸素共存下の排ガスに含まれるNOx、HC、CO等の各種有害物質の排出規制が次第に強化されている。
【0010】
しかしながら、リーン燃焼により生じた排ガスは、O2が共存する酸化雰囲気となる。このため、従来の三元触媒を用いたガス浄化システムでは、HCおよびCOの酸化分解を行うことが可能ではあるが、NOxの還元分解をすることが困難であるという問題がある。この結果、エンジン燃焼条件をリーン燃焼とすることが困難となり、ガソリン車の燃費悪化に繋がっている。
【0011】
一方、従来の放電およびNOx還元触媒を利用したガス浄化システムでは、NOxの還元剤となるHCやCOのうち、未反応のHCやCOがNOx還元触媒の下流側に残存してしまい、HCやCOの浄化が十分できないという課題がある。
【0012】
本発明はかかる従来の事情に対処するためになされたものであり、酸素が共存するガス中に含まれる窒素酸化物(NOx)、炭化水素類(HC)、一酸化炭素(CO)等の各種有害物質を、より高効率に分解処理することが可能なガス浄化システムおよびガス浄化方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係るガス浄化システムは、上述の目的を達成するために、請求項1に記載したように、酸素が共存するガスが流れるガス排出路上に設けられ、前記ガスに対して放電処理を行って触媒反応活性種を生成する放電反応部と、前記触媒反応活性種によりそれぞれ活性化され、窒素酸化物を還元分解する第1の触媒並びに炭化水素類および一酸化炭素を酸化分解する第2の触媒を有する触媒反応部とを備えることを特徴とするものである。
【0014】
また、本発明に係るガス浄化方法は、上述の目的を達成するために、請求項4記載したように、酸素が共存するガスに対して放電処理を行って触媒反応活性種を生成するステップと、窒素酸化物を還元分解する第1の触媒並びに炭化水素類および一酸化炭素を酸化分解する第2の触媒を前記触媒反応活性種によりそれぞれ活性化して前記ガス中の窒素酸化物の還元分解反応並びに炭化水素類および一酸化炭素の酸化分解反応を行うステップとを有することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係るガス浄化システムおよびガス浄化方法においては、酸素が共存するガス中に含まれる窒素酸化物(NOx)、炭化水素類(HC)、一酸化炭素(CO)等の各種有害物質を、より高効率に分解処理することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明に係るガス浄化システムおよびガス浄化方法の実施の形態について添付図面を参照して説明する。
【0017】
図1は本発明に係るガス浄化システムの第1の実施形態を示す構成図である。
【0018】
ガス浄化システム10は窒素酸化物(NOx)、炭化水素類(HC)、一酸化炭素(CO)等の各種有害物質を含む排ガスXが流れるガス排出路11上に設けられる。ガス浄化システム10はガス排出路11の上流側から放電反応部12および触媒反応部13を備え、放電反応部12には電力を供給するための放電用電源14がリード線15を介して接続される。
【0019】
放電反応部12は、ガス排出路11を流れる排ガスXに対して放電処理を行うことにより触媒反応活性種を生成する機能を有する。また、放電用電源14は、パルス状電圧や交流電圧を放電反応部12にリード線15を介して印加することにより、放電反応部12が放電処理を行う際の電力供給を行う機能を有する。
【0020】
図2は、図1に示すガス浄化システム10の放電反応部12の一例を示す詳細構成図である。
【0021】
放電反応部12は、導体電極20を対向電極21に対向配置して構成される。対向電極21は、板状あるいは箔状とすることができる。また、好適には、少なくとも対向電極21側が誘電体22により覆われて導体電極20と対向電極21とが誘電体22を介さずに直接対向する部位が存在しないように構成される。例えば、対向電極21は薄板状とされ、補強材を兼ねる2枚の板状の誘電体22に挟持される。
【0022】
一方、導体電極20は、複数の棒状の電極である棒状電極20aを固定用電極20bに固定して構成される。棒状電極20aは丸棒や角材で構成することができる。そして、2つの固定用電極20bと誘電体22とで仕切られた空間が排ガスXの流路とされる。
【0023】
さらに、このように構成された導体電極20の固定用電極20bと対向電極21とは、それぞれリード線15を介して放電用電源14と接続され、放電用電源14から導体電極20と対向電極21との間に所要の電圧を印加して放電を行うことができるように構成される。
【0024】
一方、ガス排出路11の放電反応部12に対して下流側には、触媒反応部13が設けられる。触媒反応部13には、第1の触媒13Aおよび第2の触媒13Bとが設けられる。第1の触媒13Aおよび第2の触媒13Bの配置順序は任意であり、混在していてもよい。
【0025】
第1の触媒13Aは、放電反応部12において生成された触媒反応活性種により活性化され、放電反応部12を経由した排ガスXに含まれるNOxを還元分解する還元触媒である。還元触媒は、酸素雰囲気下でHCおよびCOの一方あるいは双方を還元剤とするNOx選択還元触媒であることが反応効率上望ましい。還元触媒の例としては、HCを還元剤とするアルミナ系、ゼオライト系、貴金属系等のNOx還元触媒が挙げられる。但し、HCまたはCOを還元剤としないアンモニア等の還元触媒を用いることも可能である。
【0026】
また第2の触媒13Bは、放電反応部12において生成された触媒反応活性種により活性化され、放電反応部12を経由した排ガスXに含まれるHCおよびCOを酸化分解する酸化触媒である。酸化触媒の例としては、Pt、Pd、Rh等の貴金属担持の酸化触媒が挙げられる。
【0027】
次にガス浄化システム10の作用について説明する。
【0028】
例えば、エンジン燃焼条件をリーン燃焼とするガソリン車から排ガスXが生成され、ガス排出路11上の放電反応部12の上流側に導かれる。この排ガスXは、リーン燃焼により生じたものであるため、排ガスXには、酸素共存下でNOx、HC、CO等の各種有害物質が含まれることとなる。
【0029】
ガス排出路11内に導かれた有害物質を含む排ガスXは、放電反応部12内に導かれる。このとき、放電用電源14から放電反応部12の各棒状電極20aと対向電極21との間にパルス状電圧や交流電圧が印加される。このため、各棒状電極20aと対向電極21との間に放電が起こり、放電に伴って排ガスXの流路には放電プラズマが生成される。ここで、対向電極21は誘電体22によって覆われているため、誘電体22と導体電極20とで挟まれた放電空間には、誘電体22が介在することとなり、放電は大気圧放電をアーク放電に至らしめず安定に維持することが可能な誘電体バリア放電となる。
【0030】
また、導体電極20の放電発生部分の形状が棒状構造とされる一方、対向電極21は平面状とされるため、放電発生部分である各棒状電極20aでは電気力線がより密となるように電界が形成される。このため、より低い電圧印加で高エネルギの放電を開始させることができる。
【0031】
そして、放電の電気エネルギにより、排ガスXからオゾンO3、OH、HO2ラジカル等の化学的活性種が効率良く生成される。すなわち、放電空間に導かれた排ガスXが、誘電体バリア放電によって生成される高速電子(e)と反応し、化学的活性種が生成される。
【0032】
図3は、図1に示すガス浄化システム10の放電反応部12における化学的活性種の生成反応式を示す図である。
【0033】
図3に示すように、放電反応部12では、排ガスX中の母ガス成分であるO2、H2O、N2ガス分子等の分子に高速電子(e)が衝突し、高速電子衝突作用によって、オゾンO3、OH、HO2ラジカル等の化学的活性種(ラジカル)が生成される。これらの化学的活性種は、放電反応部12にてNOをNO2に酸化処理すると共に、炭化水素類(HC)の一部を部分酸化して[HCO]を生成し、また別の一部を完全に酸化分解してCO2等の物質を生成する。
【0034】
図4は、図1に示すガス浄化システム10の放電反応部12におけるNOおよびHCの酸化反応式を示す図である。
【0035】
図4に示すように放電反応部12において、排ガスX中のNOおよびHCは、それぞれ化学的活性種の作用により酸化される。
【0036】
ただし、図4に示すように、OラジカルとNO2との逆反応により、NO2からNOが生成され、NOの酸化効率の低下要因となる。このため、この逆反応を抑制する観点から、放電反応部12における排ガスXの滞留時間をOラジカルとNO2との反応を十分に抑制することが可能となるような所要時間以下とすることが望ましい。また、逆に、放電反応部12と触媒反応部13との間のガス排出路11における排ガスXの滞留時間は、NOおよびHCの酸化反応並びにオゾン(O3)の生成反応が十分に行われるように所用時間以上とすることが望ましい。
【0037】
そして、化学的活性種の作用により酸化されずに残留したNOおよびHC並びに[HCO]、NO2を含んだ状態で排ガスXは、放電反応部12の下流側のガス排出路11に排出される。ここで、化学的活性種であるオゾン(O3)は長寿命であるため、未反応のオゾン(O3)も排ガスXに含まれて放電反応部12の下流側のガス排出路11に排出されることとなる。
【0038】
次に、放電反応部12から排出された排ガスXは、オゾン(O3)を含んだ状態で触媒反応部13の内部に導かれる。触媒反応部13では、第1の触媒13Aおよび第2の触媒13Bによる触媒反応により排ガスX中のNOx、HCおよびCOが還元分解および酸化分解されて除去され、3成分が順次あるいは同時に浄化される。
【0039】
図5は、図1に示すガス浄化システム10の触媒反応部13における第1の触媒13AによるNOxの還元反応プロセスを示す図である。
【0040】
図5に示すように放電反応部12において放電の作用により生成される[HCO]、NO2は、触媒反応部13における第1の触媒13Aの触媒反応活性種となる。このため、NOx還元反応は、律速反応となり、第1の触媒13A単独では不可能な約250℃以下の低温域であっても高率良くNOxを還元分解することができる。さらに、図5に示すように、O3も第1の触媒13AにおいてNOをNO2に酸化する作用を有する。このため、O3もNOx還元分解に寄与する。
【0041】
図6は、図1に示すガス浄化システム10の触媒反応部13における第2の触媒13BによるHCおよびCOの酸化反応プロセスを示す図である。
【0042】
図6に示すように放電反応部12において放電の作用により生成される[HCO]、O3は、触媒反応部13における第2の触媒13Bの触媒反応活性種となる。このため、HCおよびCOの酸化反応は、律速反応となり、第2の触媒13B単独では不可能な約250℃以下の低温域であっても高率良くHCおよびCOを酸化分解することができる。
【0043】
そして、触媒反応部13において、NOx、HCおよびCOが還元分解および酸化分解されて除去され、三成分が同時に浄化された排ガスXは、触媒反応部13の下流側のガス排出路11に排出される。
【0044】
以上のガス浄化システム10によれば、放電を行う放電反応部12の下流側にNOxを還元分解する第1の触媒13AおよびHCおよびCOを酸化分解する第2の触媒13Bを設け、放電反応により得られた触媒反応活性種を利用して第1の触媒13Aおよび第2の触媒13Bの双方を活性化するように構成したため、第1の触媒13Aによる還元反応および第2の触媒13Bによる酸化反応をそれぞれ促進して酸素が共存する排ガスX中に含まれる窒素酸化物(NOx)、炭化水素類(HC)、一酸化炭素(CO)の3成分を極めて高効率に順次あるいは同時に分解処理することができる。特に、第1の触媒13Aあるいは第2の触媒13B単独では活性化が困難な低温域においても第1の触媒13Aおよび第2の触媒13Bを十分に活性化して、NOx、HCおよびCOを高効率に浄化することができる。
【0045】
図7は、図1に示すガス浄化システム10の触媒反応部13における第1の触媒13AによるNOxの低減量の向上効果を示す図である。
【0046】
図7において横軸は、NOxを含む排ガスXの温度℃を示し、縦軸はNOxの低減量(ppm)を示す。また図7中の点線および白丸印は、放電を伴わずにNOx還元触媒のみの作用により排ガスX中のNOxを還元分解した場合のNOx低減量を示すデータD1であり、実線および黒丸印は放電により生じた触媒反応活性種により第1の触媒13AであるNOx還元触媒を活性化させて排ガスX中のNOxを還元分解した場合のNOx低減量を示すデータD2である。尚、排ガスX中の酸素濃度は15vol%とした。
【0047】
図7によれば、放電を伴わずにNOx還元触媒のみの作用により排ガスX中のNOxを還元分解した場合には、排ガスXの温度が約400℃以上の高温域ではNOx低減量が多くNOxの低減効果が確認できるものの、排ガスXの温度が約250℃以下の低温域ではNOx低減量が少なく、NOxの低減効果が十分に得られない恐れがあることが分かる。
【0048】
これに対して、放電により生じた触媒反応活性種によりNOx還元触媒を活性化させて排ガスX中のNOxを還元分解した場合には、排ガスXの温度が約400℃以上の高温域のみならず、約250℃以下の低温域を含めて全ての温度領域に亘ってNOx低減量が多くNOxの低減効果が確認できる。このため、ガス浄化システム10により排ガスX中のNOxを還元分解すれば、NOx還元触媒のみを用いて排ガスXの浄化を行った場合に比べて、特に約250℃以下の低温域において分解効率が格段に向上していることが分かる。
【0049】
図8は、図1に示すガス浄化システム10の触媒反応部13における第2の触媒13BによるHCの低減量の向上効果を示す図である。
【0050】
図8において横軸は、HCを含む排ガスXの温度℃を示し、縦軸はHCの低減量(ppm)を示す。また図8中の点線および白丸印は、放電を伴わずにHC酸化触媒のみの作用により排ガスX中のHCを酸化分解した場合のHC低減量を示すデータD3であり、実線および黒丸印は放電により生じた触媒反応活性種により第2の触媒13BであるHC酸化触媒を活性化させて排ガスX中のHCを酸化分解した場合のHC低減量を示すデータD4である。尚、排ガスX中のHCはプロピレンC3H6とし、酸素濃度は15vol%とした。
【0051】
図8によれば、放電を伴わずにHC酸化触媒のみの作用により排ガスX中のHCを酸化分解した場合には、排ガスXの温度が約400℃以上の高温域ではHC低減量が多くHCの低減効果が確認できるものの、排ガスXの温度が約350℃以下の低温域ではHC低減量が著しく低下し、HCの低減効果が十分に得られない恐れがあることが分かる。
【0052】
これに対して、放電により生じた触媒反応活性種によりHC酸化触媒を活性化させて排ガスX中のHCを酸化分解した場合には、排ガスXの温度が約400℃以上の高温域のみならず、約350℃以下の低温域を含めて全ての温度領域に亘ってHC低減量が多くHCの低減効果が確認できる。このため、ガス浄化システム10により排ガスX中のHCを酸化分解すれば、HC酸化触媒のみを用いて排ガスXの浄化を行った場合に比べて、特に約350℃以下の低温域において分解効率が格段に向上していることが分かる。
【0053】
図9は、図1に示すガス浄化システム10の触媒反応部13における第2の触媒13BによるCOの低減量の向上効果を示す図である。
【0054】
図9において縦軸は、縦軸はCOの低減率(%)を示す。また、図9において左側の棒グラフは、放電を伴わずにCO酸化触媒のみの作用により排ガスX中のCOを酸化分解した場合のCO低減率を示すデータD5であり、右側の棒グラフは放電により生じた触媒反応活性種により第2の触媒13BであるCO酸化触媒を活性化させて排ガスX中のCOを酸化分解した場合のCO低減率を示すデータD6である。尚、CO酸化触媒としてPt担持の酸化触媒を用い、排ガスX中の酸素濃度は21vol%とした。
【0055】
図9によれば、放電を伴わずにCO酸化触媒のみの作用により排ガスX中のCOを酸化分解した場合に比べ、放電により生じた触媒反応活性種によりCO酸化触媒を活性化させて排ガスX中のCOを酸化分解した場合の方が、CO低減率が大きいことが分かる。これは、放電により触媒反応活性種であるオゾン(O3)が生成され、CO酸化触媒が活性化されたためであると考えられる。
【0056】
このため、ガス浄化システム10により排ガスX中のCOを酸化分解すれば、CO酸化触媒のみを用いて排ガスXの浄化を行った場合に比べて、分解効率が格段に向上していることが分かる。
【0057】
図10は、図1に示すガス浄化システム10の触媒反応部13における第1の触媒13Aおよび第2の触媒13BによるNOx,HC,COの低減量の向上効果を概念的に説明する図である。
【0058】
図10(a)は放電により生じた触媒反応活性種によりNOx還元触媒を活性化させて排ガスX中のNOxを還元分解した場合とNOx還元触媒のみでNOxを還元分解した場合のそれぞれにおける排ガスXの温度とNOxの分解率との関係を概念的に比較した図である。図10(a)の横軸は排ガスXの温度℃を示し、縦軸はNOx分解率(%)を示す。また図10(a)中の点線は、放電を伴わずにNOx還元触媒のみの作用により排ガスX中のNOxを還元分解した場合のNOx低減率を示すデータD7であり、実線は放電により生じた触媒反応活性種により第1の触媒13AであるNOx還元触媒を活性化させて排ガスX中のNOxを還元分解した場合のNOx低減率を示すデータD8である。
【0059】
図7に示す実験結果から図10(a)に示すように、放電により生じた触媒反応活性種によって第1の触媒13AであるNOx還元触媒を活性化させることにより、排ガスXの温度が低温域になる程、NOx低減率が向上することが期待される。
【0060】
図10(b)は放電により生じた触媒反応活性種により酸化触媒を活性化させて排ガスX中のHCおよびCOを酸化分解した場合と酸化触媒のみでHCおよびCOを酸化分解した場合のそれぞれにおける排ガスXの温度とHCおよびCOの分解率との関係を概念的に比較した図である。図10(b)の横軸は排ガスXの温度℃を示し、縦軸はHCおよびCOの分解率(%)を示す。また図10(b)中の点線は、放電を伴わずに酸化触媒のみの作用により排ガスX中のHCおよびCOを酸化分解した場合のHCおよびCOの分解率を示すデータD9であり、実線は放電により生じた触媒反応活性種により第2の触媒13Bである酸化触媒を活性化させて排ガスX中のHCおよびCOを酸化分解した場合のHCおよびCOの分解率を示すデータD10である。
【0061】
図8および図9に示す実験結果から図10(b)に示すように、放電により生じた触媒反応活性種によって第2の触媒13Bである酸化触媒を活性化させることにより、排ガスXの温度が低温域になる程、HCおよびCOの分解率が向上することが期待される。
【0062】
図10(c)は放電により生じた触媒反応活性種によりNOx還元触媒および酸化触媒の双方を活性化させて排ガスX中のNOx、HCおよびCOを還元分解ないし酸化分解した場合とNOx還元触媒および酸化触媒のみでNOx、HCおよびCOを還元分解ないし酸化分解した場合のそれぞれにおける排ガスXの温度とNOx、HCおよびCOの分解率との関係を概念的に比較した図である。図10(c)の横軸は排ガスXの温度℃を示し、縦軸はNOx、HCおよびCOの分解率(%)を示す。また図10(c)中の点線は、放電を伴わずに還元触媒および酸化触媒のみの作用により排ガスX中のNOx、HCおよびCOを還元分解ないし酸化分解した場合のNOx、HCおよびCOの分解率を示すデータD11であり、実線は放電により生じた触媒反応活性種により第1の触媒13AであるNOx還元触媒および第2の触媒13Bである酸化触媒をそれぞれ活性化させて排ガスX中のNOx、HCおよびCOを還元分解ないし酸化分解した場合のNOx、HCおよびCOの分解率を示すデータD12である。
【0063】
ガス浄化システム10の触媒反応部13には第1の触媒13AであるNOx還元触媒および第2の触媒13Bである酸化触媒の双方が設けられ、かつ触媒反応部13の上流側において放電反応部12における放電により触媒反応活性種が生成されるため、図10(a)および図10(b)に示す結果から図10(c)に示すような効果が期待される。すなわち、図10(a)に示すNOxの分解率の向上効果および図10(b)に示すHCおよびCOの分解率の向上効果の和として図10(c)に示すようにNOx、HCおよびCOの3成分に対する分解率の向上効果を期待することができる。そして、ガス浄化システム10によれば、放電により生じた触媒反応活性種によって第1の触媒13AであるNOx還元触媒および第2の触媒13Bである酸化触媒の双方を活性化させることにより、排ガスXの温度が低温域になる程、NOx、HCおよびCOの3成分に対する分解率が向上することが期待される。
【0064】
図11は本発明に係るガス浄化システムの第2の実施形態を示す構成図である。
【0065】
図11に示された、ガス浄化システム10Aでは、放電反応部12、触媒反応部13および放電用電源14によりガス浄化ユニット30を形成し、複数のガス浄化ユニット30をガス排出路11上に設けた構成が図1に示すガス浄化システム10と相違する。他の構成および作用については図1に示すガス浄化システム10と実質的に異ならないため同一の構成については同符号を付して説明を省略する。
【0066】
すなわちガス浄化システム10Aでは、放電反応部12、触媒反応部13および放電用電源14によりガス浄化ユニット30が形成される。そして、ガス浄化ユニット30が所要の数だけ複数個ガス排出路11上に設けられる。図11は、2つのガス浄化ユニット30をガス排出路11上に設けた例を示す。尚、放電反応部12および触媒反応部13のみでガス浄化ユニット30を形成し、放電用電源14を各ガス浄化ユニット30の一部あるいは全部に共通に構成することもできる。
【0067】
さらに、各ガス浄化ユニット30におけるNOx、HCおよびCOの少なくとも1つの分解量は、ガス排出路11の上流側に設けられたガス浄化ユニット30における分解量程、大きくなるように構成される。すなわち、各ガス浄化ユニット30におけるNOx、HCおよびCOの少なくとも1つの分解量をガス排出路11の上流側からη1、η2、・・・、ηnとするとη1≧η2≧・・・≧ηnの関係となるように各ガス浄化ユニット30が構成される。つまり、各ガス浄化ユニット30の放電反応部12における消費電力や第1の触媒13Aおよび第2の触媒13Bの量あるいは材質が適宜調整されて、NOx、HCおよびCOの少なくとも1つの分解量が設定される。
【0068】
このため、ガス浄化システム10Aによれば、図1に示すガス浄化システム10と同等な効果に加え、ガス排出路11の上流側のガス浄化ユニット30において分解されずに残留したNOx、HCまたはCOが排ガスX中に存在したとしても、後段のガス浄化ユニット30により更に分解処理することができる。このため、より一層排ガスX中のNOx、HCおよびCOを高効率に分解処理することが可能となる。さらに、このとき各ガス浄化ユニット30におけるNOx、HCまたはCOの分解量がガス排出路11の下流側になるにつれて小さくなるように勾配が設けられているため、消費電力や第1の触媒13Aおよび第2の触媒13Bの量を節約してエネルギ効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明に係るガス浄化システムの第1の実施形態を示す構成図。
【図2】図1に示すガス浄化システムの放電反応部の一例を示す詳細構成図。
【図3】図1に示すガス浄化システムの放電反応部における化学的活性種の生成反応式を示す図。
【図4】図1に示すガス浄化システムの放電反応部におけるNOおよびHCの酸化反応式を示す図。
【図5】図1に示すガス浄化システムの触媒反応部における第1の触媒によるNOxの還元反応プロセスを示す図。
【図6】図1に示すガス浄化システムの触媒反応部における第2の触媒によるHCおよびCOの酸化反応プロセスを示す図。
【図7】図1に示すガス浄化システムの触媒反応部における第1の触媒によるNOxの低減量の向上効果を示す図。
【図8】図1に示すガス浄化システムの触媒反応部における第2の触媒によるHCの低減量の向上効果を示す図。
【図9】図1に示すガス浄化システムの触媒反応部における第2の触媒によるCOの低減量の向上効果を示す図。
【図10】図1に示すガス浄化システムの触媒反応部における第1の触媒および第2の触媒によるNOx,HC,COの低減量の向上効果を概念的に説明する図。
【図11】本発明に係るガス浄化システムの第2の実施形態を示す構成図。
【符号の説明】
【0070】
10,10A ガス浄化システム
11 ガス排出路
12 放電反応部
13 触媒反応部
13A 第1の触媒
13B 第2の触媒
14 放電用電源
15 リード線
20 導体電極
20a 棒状電極
20b 固定用電極
21 対向電極
22 誘電体
30 ガス浄化ユニット
X 排ガス
【技術分野】
【0001】
本発明は、放電プラズマの作用によりガス中の有害物質に対して浄化処理を施すガス浄化システムおよびガス浄化方法に係り、特にリーン燃焼排ガス、ディーゼル車排ガス、リーン燃焼ガソリン車排ガス等の酸素共存下のガスに含まれる窒素酸化物(NOx)、炭化水素類(HC)、一酸化炭素(CO)等の各種有害物質を分解処理するガス浄化システムおよびガス浄化方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車の排ガス等のガスに含まれるNOx、HC、CO等の有害物質を分解除去するガス浄化システムとして、主として2つのタイプのものが提案されている。
【0003】
一方のタイプのものは、ガソリン車から排出される燃焼排ガスのガス排出路に三元触媒を設け、当該三元触媒によって燃焼排ガスに含まれるNOx、HC、COを分解除去するガス浄化システムである(例えば非特許文献1参照)。
【0004】
現状のガソリン車から排出される排ガスの浄化においては、三元触媒によって燃焼排ガスに含まれるNOx、HC、COを分解除去するガス浄化システムが実際に用いられている。しかし、排ガス中に酸素が共存すると、三元触媒によってHC、COを酸化分解することはできるものの、NOxの還元分解が困難となる。
【0005】
そこで、ガソリン車から排出される排ガスの浄化の場合には、エンジン燃焼条件として燃費悪化を甘受しつつ、空燃比(エンジンに供給される空気と燃料の重量比)を理論空燃比(ガソリン車の場合14.7前後)の近傍に制御し、排ガス中のO2の濃度を極力抑えて還元雰囲気にされる。そしてHC、COによるNOxの還元を行うことにより、NOx、HC、COの3つの成分が同時に分解処理される。
【0006】
また、他方のタイプのものは、排ガスに酸素が共存することとなるリーン燃焼によって生じた自動車から排出される排ガスのガス排出路に放電を行う放電反応部とNOx還元触媒を設けた触媒反応部とを設け、放電およびNOx還元触媒の作用によりNOxを還元分解処理するガス浄化システムである(例えば特許文献1参照)。
【0007】
このガス浄化システムでは、放電によって、排ガス中のNOxのうち、NOがNO2に効率良く酸化される。尚、排ガス中のNOxは、NOとNO2で構成され、9割以上がNOである。また、排ガス中の炭化水素(HC)の一部は部分酸化されて[HCO]となり、別の一部は完全酸化されてCO2となる。これらの反応は、電気エネルギを利用したものであるため、触媒のみでは不可能な約250℃以下の低温域でも行うことが可能である。
【0008】
次に、放電で生成されたNO2、[HCO]は触媒反応部に導かれるが、これらはNOx還元触媒上の触媒反応活性種となる。このため、触媒反応部では、NOx還元反応が律速反応となり、NOx還元触媒のみでは不可能な低負荷時の低温域であってNOxの還元分解が可能となる。
【特許文献1】特開2002−233733号公報
【非特許文献1】「日本エネルギー学会誌」第77巻 第5号(1998年)p382−389
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
近年、エンジン燃焼条件として空燃比を理論空燃比より大きくし、燃費に優れたリーン燃焼がしばしば採用される。これに伴い、定置型ディーゼルエンジン排ガス等のリーン燃焼排ガス、ディーゼル車排ガスおよびリーン燃焼ガソリン車排ガス等の酸素共存下の排ガスに含まれるNOx、HC、CO等の各種有害物質の排出規制が次第に強化されている。
【0010】
しかしながら、リーン燃焼により生じた排ガスは、O2が共存する酸化雰囲気となる。このため、従来の三元触媒を用いたガス浄化システムでは、HCおよびCOの酸化分解を行うことが可能ではあるが、NOxの還元分解をすることが困難であるという問題がある。この結果、エンジン燃焼条件をリーン燃焼とすることが困難となり、ガソリン車の燃費悪化に繋がっている。
【0011】
一方、従来の放電およびNOx還元触媒を利用したガス浄化システムでは、NOxの還元剤となるHCやCOのうち、未反応のHCやCOがNOx還元触媒の下流側に残存してしまい、HCやCOの浄化が十分できないという課題がある。
【0012】
本発明はかかる従来の事情に対処するためになされたものであり、酸素が共存するガス中に含まれる窒素酸化物(NOx)、炭化水素類(HC)、一酸化炭素(CO)等の各種有害物質を、より高効率に分解処理することが可能なガス浄化システムおよびガス浄化方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係るガス浄化システムは、上述の目的を達成するために、請求項1に記載したように、酸素が共存するガスが流れるガス排出路上に設けられ、前記ガスに対して放電処理を行って触媒反応活性種を生成する放電反応部と、前記触媒反応活性種によりそれぞれ活性化され、窒素酸化物を還元分解する第1の触媒並びに炭化水素類および一酸化炭素を酸化分解する第2の触媒を有する触媒反応部とを備えることを特徴とするものである。
【0014】
また、本発明に係るガス浄化方法は、上述の目的を達成するために、請求項4記載したように、酸素が共存するガスに対して放電処理を行って触媒反応活性種を生成するステップと、窒素酸化物を還元分解する第1の触媒並びに炭化水素類および一酸化炭素を酸化分解する第2の触媒を前記触媒反応活性種によりそれぞれ活性化して前記ガス中の窒素酸化物の還元分解反応並びに炭化水素類および一酸化炭素の酸化分解反応を行うステップとを有することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係るガス浄化システムおよびガス浄化方法においては、酸素が共存するガス中に含まれる窒素酸化物(NOx)、炭化水素類(HC)、一酸化炭素(CO)等の各種有害物質を、より高効率に分解処理することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明に係るガス浄化システムおよびガス浄化方法の実施の形態について添付図面を参照して説明する。
【0017】
図1は本発明に係るガス浄化システムの第1の実施形態を示す構成図である。
【0018】
ガス浄化システム10は窒素酸化物(NOx)、炭化水素類(HC)、一酸化炭素(CO)等の各種有害物質を含む排ガスXが流れるガス排出路11上に設けられる。ガス浄化システム10はガス排出路11の上流側から放電反応部12および触媒反応部13を備え、放電反応部12には電力を供給するための放電用電源14がリード線15を介して接続される。
【0019】
放電反応部12は、ガス排出路11を流れる排ガスXに対して放電処理を行うことにより触媒反応活性種を生成する機能を有する。また、放電用電源14は、パルス状電圧や交流電圧を放電反応部12にリード線15を介して印加することにより、放電反応部12が放電処理を行う際の電力供給を行う機能を有する。
【0020】
図2は、図1に示すガス浄化システム10の放電反応部12の一例を示す詳細構成図である。
【0021】
放電反応部12は、導体電極20を対向電極21に対向配置して構成される。対向電極21は、板状あるいは箔状とすることができる。また、好適には、少なくとも対向電極21側が誘電体22により覆われて導体電極20と対向電極21とが誘電体22を介さずに直接対向する部位が存在しないように構成される。例えば、対向電極21は薄板状とされ、補強材を兼ねる2枚の板状の誘電体22に挟持される。
【0022】
一方、導体電極20は、複数の棒状の電極である棒状電極20aを固定用電極20bに固定して構成される。棒状電極20aは丸棒や角材で構成することができる。そして、2つの固定用電極20bと誘電体22とで仕切られた空間が排ガスXの流路とされる。
【0023】
さらに、このように構成された導体電極20の固定用電極20bと対向電極21とは、それぞれリード線15を介して放電用電源14と接続され、放電用電源14から導体電極20と対向電極21との間に所要の電圧を印加して放電を行うことができるように構成される。
【0024】
一方、ガス排出路11の放電反応部12に対して下流側には、触媒反応部13が設けられる。触媒反応部13には、第1の触媒13Aおよび第2の触媒13Bとが設けられる。第1の触媒13Aおよび第2の触媒13Bの配置順序は任意であり、混在していてもよい。
【0025】
第1の触媒13Aは、放電反応部12において生成された触媒反応活性種により活性化され、放電反応部12を経由した排ガスXに含まれるNOxを還元分解する還元触媒である。還元触媒は、酸素雰囲気下でHCおよびCOの一方あるいは双方を還元剤とするNOx選択還元触媒であることが反応効率上望ましい。還元触媒の例としては、HCを還元剤とするアルミナ系、ゼオライト系、貴金属系等のNOx還元触媒が挙げられる。但し、HCまたはCOを還元剤としないアンモニア等の還元触媒を用いることも可能である。
【0026】
また第2の触媒13Bは、放電反応部12において生成された触媒反応活性種により活性化され、放電反応部12を経由した排ガスXに含まれるHCおよびCOを酸化分解する酸化触媒である。酸化触媒の例としては、Pt、Pd、Rh等の貴金属担持の酸化触媒が挙げられる。
【0027】
次にガス浄化システム10の作用について説明する。
【0028】
例えば、エンジン燃焼条件をリーン燃焼とするガソリン車から排ガスXが生成され、ガス排出路11上の放電反応部12の上流側に導かれる。この排ガスXは、リーン燃焼により生じたものであるため、排ガスXには、酸素共存下でNOx、HC、CO等の各種有害物質が含まれることとなる。
【0029】
ガス排出路11内に導かれた有害物質を含む排ガスXは、放電反応部12内に導かれる。このとき、放電用電源14から放電反応部12の各棒状電極20aと対向電極21との間にパルス状電圧や交流電圧が印加される。このため、各棒状電極20aと対向電極21との間に放電が起こり、放電に伴って排ガスXの流路には放電プラズマが生成される。ここで、対向電極21は誘電体22によって覆われているため、誘電体22と導体電極20とで挟まれた放電空間には、誘電体22が介在することとなり、放電は大気圧放電をアーク放電に至らしめず安定に維持することが可能な誘電体バリア放電となる。
【0030】
また、導体電極20の放電発生部分の形状が棒状構造とされる一方、対向電極21は平面状とされるため、放電発生部分である各棒状電極20aでは電気力線がより密となるように電界が形成される。このため、より低い電圧印加で高エネルギの放電を開始させることができる。
【0031】
そして、放電の電気エネルギにより、排ガスXからオゾンO3、OH、HO2ラジカル等の化学的活性種が効率良く生成される。すなわち、放電空間に導かれた排ガスXが、誘電体バリア放電によって生成される高速電子(e)と反応し、化学的活性種が生成される。
【0032】
図3は、図1に示すガス浄化システム10の放電反応部12における化学的活性種の生成反応式を示す図である。
【0033】
図3に示すように、放電反応部12では、排ガスX中の母ガス成分であるO2、H2O、N2ガス分子等の分子に高速電子(e)が衝突し、高速電子衝突作用によって、オゾンO3、OH、HO2ラジカル等の化学的活性種(ラジカル)が生成される。これらの化学的活性種は、放電反応部12にてNOをNO2に酸化処理すると共に、炭化水素類(HC)の一部を部分酸化して[HCO]を生成し、また別の一部を完全に酸化分解してCO2等の物質を生成する。
【0034】
図4は、図1に示すガス浄化システム10の放電反応部12におけるNOおよびHCの酸化反応式を示す図である。
【0035】
図4に示すように放電反応部12において、排ガスX中のNOおよびHCは、それぞれ化学的活性種の作用により酸化される。
【0036】
ただし、図4に示すように、OラジカルとNO2との逆反応により、NO2からNOが生成され、NOの酸化効率の低下要因となる。このため、この逆反応を抑制する観点から、放電反応部12における排ガスXの滞留時間をOラジカルとNO2との反応を十分に抑制することが可能となるような所要時間以下とすることが望ましい。また、逆に、放電反応部12と触媒反応部13との間のガス排出路11における排ガスXの滞留時間は、NOおよびHCの酸化反応並びにオゾン(O3)の生成反応が十分に行われるように所用時間以上とすることが望ましい。
【0037】
そして、化学的活性種の作用により酸化されずに残留したNOおよびHC並びに[HCO]、NO2を含んだ状態で排ガスXは、放電反応部12の下流側のガス排出路11に排出される。ここで、化学的活性種であるオゾン(O3)は長寿命であるため、未反応のオゾン(O3)も排ガスXに含まれて放電反応部12の下流側のガス排出路11に排出されることとなる。
【0038】
次に、放電反応部12から排出された排ガスXは、オゾン(O3)を含んだ状態で触媒反応部13の内部に導かれる。触媒反応部13では、第1の触媒13Aおよび第2の触媒13Bによる触媒反応により排ガスX中のNOx、HCおよびCOが還元分解および酸化分解されて除去され、3成分が順次あるいは同時に浄化される。
【0039】
図5は、図1に示すガス浄化システム10の触媒反応部13における第1の触媒13AによるNOxの還元反応プロセスを示す図である。
【0040】
図5に示すように放電反応部12において放電の作用により生成される[HCO]、NO2は、触媒反応部13における第1の触媒13Aの触媒反応活性種となる。このため、NOx還元反応は、律速反応となり、第1の触媒13A単独では不可能な約250℃以下の低温域であっても高率良くNOxを還元分解することができる。さらに、図5に示すように、O3も第1の触媒13AにおいてNOをNO2に酸化する作用を有する。このため、O3もNOx還元分解に寄与する。
【0041】
図6は、図1に示すガス浄化システム10の触媒反応部13における第2の触媒13BによるHCおよびCOの酸化反応プロセスを示す図である。
【0042】
図6に示すように放電反応部12において放電の作用により生成される[HCO]、O3は、触媒反応部13における第2の触媒13Bの触媒反応活性種となる。このため、HCおよびCOの酸化反応は、律速反応となり、第2の触媒13B単独では不可能な約250℃以下の低温域であっても高率良くHCおよびCOを酸化分解することができる。
【0043】
そして、触媒反応部13において、NOx、HCおよびCOが還元分解および酸化分解されて除去され、三成分が同時に浄化された排ガスXは、触媒反応部13の下流側のガス排出路11に排出される。
【0044】
以上のガス浄化システム10によれば、放電を行う放電反応部12の下流側にNOxを還元分解する第1の触媒13AおよびHCおよびCOを酸化分解する第2の触媒13Bを設け、放電反応により得られた触媒反応活性種を利用して第1の触媒13Aおよび第2の触媒13Bの双方を活性化するように構成したため、第1の触媒13Aによる還元反応および第2の触媒13Bによる酸化反応をそれぞれ促進して酸素が共存する排ガスX中に含まれる窒素酸化物(NOx)、炭化水素類(HC)、一酸化炭素(CO)の3成分を極めて高効率に順次あるいは同時に分解処理することができる。特に、第1の触媒13Aあるいは第2の触媒13B単独では活性化が困難な低温域においても第1の触媒13Aおよび第2の触媒13Bを十分に活性化して、NOx、HCおよびCOを高効率に浄化することができる。
【0045】
図7は、図1に示すガス浄化システム10の触媒反応部13における第1の触媒13AによるNOxの低減量の向上効果を示す図である。
【0046】
図7において横軸は、NOxを含む排ガスXの温度℃を示し、縦軸はNOxの低減量(ppm)を示す。また図7中の点線および白丸印は、放電を伴わずにNOx還元触媒のみの作用により排ガスX中のNOxを還元分解した場合のNOx低減量を示すデータD1であり、実線および黒丸印は放電により生じた触媒反応活性種により第1の触媒13AであるNOx還元触媒を活性化させて排ガスX中のNOxを還元分解した場合のNOx低減量を示すデータD2である。尚、排ガスX中の酸素濃度は15vol%とした。
【0047】
図7によれば、放電を伴わずにNOx還元触媒のみの作用により排ガスX中のNOxを還元分解した場合には、排ガスXの温度が約400℃以上の高温域ではNOx低減量が多くNOxの低減効果が確認できるものの、排ガスXの温度が約250℃以下の低温域ではNOx低減量が少なく、NOxの低減効果が十分に得られない恐れがあることが分かる。
【0048】
これに対して、放電により生じた触媒反応活性種によりNOx還元触媒を活性化させて排ガスX中のNOxを還元分解した場合には、排ガスXの温度が約400℃以上の高温域のみならず、約250℃以下の低温域を含めて全ての温度領域に亘ってNOx低減量が多くNOxの低減効果が確認できる。このため、ガス浄化システム10により排ガスX中のNOxを還元分解すれば、NOx還元触媒のみを用いて排ガスXの浄化を行った場合に比べて、特に約250℃以下の低温域において分解効率が格段に向上していることが分かる。
【0049】
図8は、図1に示すガス浄化システム10の触媒反応部13における第2の触媒13BによるHCの低減量の向上効果を示す図である。
【0050】
図8において横軸は、HCを含む排ガスXの温度℃を示し、縦軸はHCの低減量(ppm)を示す。また図8中の点線および白丸印は、放電を伴わずにHC酸化触媒のみの作用により排ガスX中のHCを酸化分解した場合のHC低減量を示すデータD3であり、実線および黒丸印は放電により生じた触媒反応活性種により第2の触媒13BであるHC酸化触媒を活性化させて排ガスX中のHCを酸化分解した場合のHC低減量を示すデータD4である。尚、排ガスX中のHCはプロピレンC3H6とし、酸素濃度は15vol%とした。
【0051】
図8によれば、放電を伴わずにHC酸化触媒のみの作用により排ガスX中のHCを酸化分解した場合には、排ガスXの温度が約400℃以上の高温域ではHC低減量が多くHCの低減効果が確認できるものの、排ガスXの温度が約350℃以下の低温域ではHC低減量が著しく低下し、HCの低減効果が十分に得られない恐れがあることが分かる。
【0052】
これに対して、放電により生じた触媒反応活性種によりHC酸化触媒を活性化させて排ガスX中のHCを酸化分解した場合には、排ガスXの温度が約400℃以上の高温域のみならず、約350℃以下の低温域を含めて全ての温度領域に亘ってHC低減量が多くHCの低減効果が確認できる。このため、ガス浄化システム10により排ガスX中のHCを酸化分解すれば、HC酸化触媒のみを用いて排ガスXの浄化を行った場合に比べて、特に約350℃以下の低温域において分解効率が格段に向上していることが分かる。
【0053】
図9は、図1に示すガス浄化システム10の触媒反応部13における第2の触媒13BによるCOの低減量の向上効果を示す図である。
【0054】
図9において縦軸は、縦軸はCOの低減率(%)を示す。また、図9において左側の棒グラフは、放電を伴わずにCO酸化触媒のみの作用により排ガスX中のCOを酸化分解した場合のCO低減率を示すデータD5であり、右側の棒グラフは放電により生じた触媒反応活性種により第2の触媒13BであるCO酸化触媒を活性化させて排ガスX中のCOを酸化分解した場合のCO低減率を示すデータD6である。尚、CO酸化触媒としてPt担持の酸化触媒を用い、排ガスX中の酸素濃度は21vol%とした。
【0055】
図9によれば、放電を伴わずにCO酸化触媒のみの作用により排ガスX中のCOを酸化分解した場合に比べ、放電により生じた触媒反応活性種によりCO酸化触媒を活性化させて排ガスX中のCOを酸化分解した場合の方が、CO低減率が大きいことが分かる。これは、放電により触媒反応活性種であるオゾン(O3)が生成され、CO酸化触媒が活性化されたためであると考えられる。
【0056】
このため、ガス浄化システム10により排ガスX中のCOを酸化分解すれば、CO酸化触媒のみを用いて排ガスXの浄化を行った場合に比べて、分解効率が格段に向上していることが分かる。
【0057】
図10は、図1に示すガス浄化システム10の触媒反応部13における第1の触媒13Aおよび第2の触媒13BによるNOx,HC,COの低減量の向上効果を概念的に説明する図である。
【0058】
図10(a)は放電により生じた触媒反応活性種によりNOx還元触媒を活性化させて排ガスX中のNOxを還元分解した場合とNOx還元触媒のみでNOxを還元分解した場合のそれぞれにおける排ガスXの温度とNOxの分解率との関係を概念的に比較した図である。図10(a)の横軸は排ガスXの温度℃を示し、縦軸はNOx分解率(%)を示す。また図10(a)中の点線は、放電を伴わずにNOx還元触媒のみの作用により排ガスX中のNOxを還元分解した場合のNOx低減率を示すデータD7であり、実線は放電により生じた触媒反応活性種により第1の触媒13AであるNOx還元触媒を活性化させて排ガスX中のNOxを還元分解した場合のNOx低減率を示すデータD8である。
【0059】
図7に示す実験結果から図10(a)に示すように、放電により生じた触媒反応活性種によって第1の触媒13AであるNOx還元触媒を活性化させることにより、排ガスXの温度が低温域になる程、NOx低減率が向上することが期待される。
【0060】
図10(b)は放電により生じた触媒反応活性種により酸化触媒を活性化させて排ガスX中のHCおよびCOを酸化分解した場合と酸化触媒のみでHCおよびCOを酸化分解した場合のそれぞれにおける排ガスXの温度とHCおよびCOの分解率との関係を概念的に比較した図である。図10(b)の横軸は排ガスXの温度℃を示し、縦軸はHCおよびCOの分解率(%)を示す。また図10(b)中の点線は、放電を伴わずに酸化触媒のみの作用により排ガスX中のHCおよびCOを酸化分解した場合のHCおよびCOの分解率を示すデータD9であり、実線は放電により生じた触媒反応活性種により第2の触媒13Bである酸化触媒を活性化させて排ガスX中のHCおよびCOを酸化分解した場合のHCおよびCOの分解率を示すデータD10である。
【0061】
図8および図9に示す実験結果から図10(b)に示すように、放電により生じた触媒反応活性種によって第2の触媒13Bである酸化触媒を活性化させることにより、排ガスXの温度が低温域になる程、HCおよびCOの分解率が向上することが期待される。
【0062】
図10(c)は放電により生じた触媒反応活性種によりNOx還元触媒および酸化触媒の双方を活性化させて排ガスX中のNOx、HCおよびCOを還元分解ないし酸化分解した場合とNOx還元触媒および酸化触媒のみでNOx、HCおよびCOを還元分解ないし酸化分解した場合のそれぞれにおける排ガスXの温度とNOx、HCおよびCOの分解率との関係を概念的に比較した図である。図10(c)の横軸は排ガスXの温度℃を示し、縦軸はNOx、HCおよびCOの分解率(%)を示す。また図10(c)中の点線は、放電を伴わずに還元触媒および酸化触媒のみの作用により排ガスX中のNOx、HCおよびCOを還元分解ないし酸化分解した場合のNOx、HCおよびCOの分解率を示すデータD11であり、実線は放電により生じた触媒反応活性種により第1の触媒13AであるNOx還元触媒および第2の触媒13Bである酸化触媒をそれぞれ活性化させて排ガスX中のNOx、HCおよびCOを還元分解ないし酸化分解した場合のNOx、HCおよびCOの分解率を示すデータD12である。
【0063】
ガス浄化システム10の触媒反応部13には第1の触媒13AであるNOx還元触媒および第2の触媒13Bである酸化触媒の双方が設けられ、かつ触媒反応部13の上流側において放電反応部12における放電により触媒反応活性種が生成されるため、図10(a)および図10(b)に示す結果から図10(c)に示すような効果が期待される。すなわち、図10(a)に示すNOxの分解率の向上効果および図10(b)に示すHCおよびCOの分解率の向上効果の和として図10(c)に示すようにNOx、HCおよびCOの3成分に対する分解率の向上効果を期待することができる。そして、ガス浄化システム10によれば、放電により生じた触媒反応活性種によって第1の触媒13AであるNOx還元触媒および第2の触媒13Bである酸化触媒の双方を活性化させることにより、排ガスXの温度が低温域になる程、NOx、HCおよびCOの3成分に対する分解率が向上することが期待される。
【0064】
図11は本発明に係るガス浄化システムの第2の実施形態を示す構成図である。
【0065】
図11に示された、ガス浄化システム10Aでは、放電反応部12、触媒反応部13および放電用電源14によりガス浄化ユニット30を形成し、複数のガス浄化ユニット30をガス排出路11上に設けた構成が図1に示すガス浄化システム10と相違する。他の構成および作用については図1に示すガス浄化システム10と実質的に異ならないため同一の構成については同符号を付して説明を省略する。
【0066】
すなわちガス浄化システム10Aでは、放電反応部12、触媒反応部13および放電用電源14によりガス浄化ユニット30が形成される。そして、ガス浄化ユニット30が所要の数だけ複数個ガス排出路11上に設けられる。図11は、2つのガス浄化ユニット30をガス排出路11上に設けた例を示す。尚、放電反応部12および触媒反応部13のみでガス浄化ユニット30を形成し、放電用電源14を各ガス浄化ユニット30の一部あるいは全部に共通に構成することもできる。
【0067】
さらに、各ガス浄化ユニット30におけるNOx、HCおよびCOの少なくとも1つの分解量は、ガス排出路11の上流側に設けられたガス浄化ユニット30における分解量程、大きくなるように構成される。すなわち、各ガス浄化ユニット30におけるNOx、HCおよびCOの少なくとも1つの分解量をガス排出路11の上流側からη1、η2、・・・、ηnとするとη1≧η2≧・・・≧ηnの関係となるように各ガス浄化ユニット30が構成される。つまり、各ガス浄化ユニット30の放電反応部12における消費電力や第1の触媒13Aおよび第2の触媒13Bの量あるいは材質が適宜調整されて、NOx、HCおよびCOの少なくとも1つの分解量が設定される。
【0068】
このため、ガス浄化システム10Aによれば、図1に示すガス浄化システム10と同等な効果に加え、ガス排出路11の上流側のガス浄化ユニット30において分解されずに残留したNOx、HCまたはCOが排ガスX中に存在したとしても、後段のガス浄化ユニット30により更に分解処理することができる。このため、より一層排ガスX中のNOx、HCおよびCOを高効率に分解処理することが可能となる。さらに、このとき各ガス浄化ユニット30におけるNOx、HCまたはCOの分解量がガス排出路11の下流側になるにつれて小さくなるように勾配が設けられているため、消費電力や第1の触媒13Aおよび第2の触媒13Bの量を節約してエネルギ効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明に係るガス浄化システムの第1の実施形態を示す構成図。
【図2】図1に示すガス浄化システムの放電反応部の一例を示す詳細構成図。
【図3】図1に示すガス浄化システムの放電反応部における化学的活性種の生成反応式を示す図。
【図4】図1に示すガス浄化システムの放電反応部におけるNOおよびHCの酸化反応式を示す図。
【図5】図1に示すガス浄化システムの触媒反応部における第1の触媒によるNOxの還元反応プロセスを示す図。
【図6】図1に示すガス浄化システムの触媒反応部における第2の触媒によるHCおよびCOの酸化反応プロセスを示す図。
【図7】図1に示すガス浄化システムの触媒反応部における第1の触媒によるNOxの低減量の向上効果を示す図。
【図8】図1に示すガス浄化システムの触媒反応部における第2の触媒によるHCの低減量の向上効果を示す図。
【図9】図1に示すガス浄化システムの触媒反応部における第2の触媒によるCOの低減量の向上効果を示す図。
【図10】図1に示すガス浄化システムの触媒反応部における第1の触媒および第2の触媒によるNOx,HC,COの低減量の向上効果を概念的に説明する図。
【図11】本発明に係るガス浄化システムの第2の実施形態を示す構成図。
【符号の説明】
【0070】
10,10A ガス浄化システム
11 ガス排出路
12 放電反応部
13 触媒反応部
13A 第1の触媒
13B 第2の触媒
14 放電用電源
15 リード線
20 導体電極
20a 棒状電極
20b 固定用電極
21 対向電極
22 誘電体
30 ガス浄化ユニット
X 排ガス
【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸素が共存するガスが流れるガス排出路上に設けられ、前記ガスに対して放電処理を行って触媒反応活性種を生成する放電反応部と、前記触媒反応活性種によりそれぞれ活性化され、窒素酸化物を還元分解する第1の触媒並びに炭化水素類および一酸化炭素を酸化分解する第2の触媒を有する触媒反応部とを備えることを特徴とするガス浄化システム。
【請求項2】
前記第1の触媒を、酸素雰囲気下において炭化水素類および一酸化炭素の少なくとも一方を還元剤とする窒素酸化物選択還元触媒により構成したことを特徴とする請求項1記載のガス浄化システム。
【請求項3】
前記放電反応部および前記触媒反応部により形成されたガス浄化ユニットを前記ガス排出路上に複数設け、かつ前記各ガス浄化ユニットの窒素酸化物、炭化水素類および一酸化炭素の少なくとも1つの分解量が、前記ガス排出路に設けられた前記ガス浄化ユニットにおいて上流側程大きくなるように構成したことを特徴とする請求項1記載のガス浄化システム。
【請求項4】
酸素が共存するガスに対して放電処理を行って触媒反応活性種を生成するステップと、窒素酸化物を還元分解する第1の触媒並びに炭化水素類および一酸化炭素を酸化分解する第2の触媒を前記触媒反応活性種によりそれぞれ活性化して前記ガス中の窒素酸化物の還元分解反応並びに炭化水素類および一酸化炭素の酸化分解反応を行うステップとを有することを特徴とするガス浄化方法。
【請求項1】
酸素が共存するガスが流れるガス排出路上に設けられ、前記ガスに対して放電処理を行って触媒反応活性種を生成する放電反応部と、前記触媒反応活性種によりそれぞれ活性化され、窒素酸化物を還元分解する第1の触媒並びに炭化水素類および一酸化炭素を酸化分解する第2の触媒を有する触媒反応部とを備えることを特徴とするガス浄化システム。
【請求項2】
前記第1の触媒を、酸素雰囲気下において炭化水素類および一酸化炭素の少なくとも一方を還元剤とする窒素酸化物選択還元触媒により構成したことを特徴とする請求項1記載のガス浄化システム。
【請求項3】
前記放電反応部および前記触媒反応部により形成されたガス浄化ユニットを前記ガス排出路上に複数設け、かつ前記各ガス浄化ユニットの窒素酸化物、炭化水素類および一酸化炭素の少なくとも1つの分解量が、前記ガス排出路に設けられた前記ガス浄化ユニットにおいて上流側程大きくなるように構成したことを特徴とする請求項1記載のガス浄化システム。
【請求項4】
酸素が共存するガスに対して放電処理を行って触媒反応活性種を生成するステップと、窒素酸化物を還元分解する第1の触媒並びに炭化水素類および一酸化炭素を酸化分解する第2の触媒を前記触媒反応活性種によりそれぞれ活性化して前記ガス中の窒素酸化物の還元分解反応並びに炭化水素類および一酸化炭素の酸化分解反応を行うステップとを有することを特徴とするガス浄化方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2006−122850(P2006−122850A)
【公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−317263(P2004−317263)
【出願日】平成16年10月29日(2004.10.29)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年10月29日(2004.10.29)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
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