説明

ガス測定モジュール

人工呼吸器回路内のガスが、前記人工呼吸器回路内に挿入される気道アダプタ内に含まれるスペクトロメータにより分析される。前記スペクトロメータは、反射部材から形成され、これは電磁放射の通路を曲げながら電磁放射を処理し、前記気道アダプタのフォームファクタを改善する。さらに、気道アダプタ内のスペクトロメータの寸法により、屈折素子の代わりに反射素子の製造に伴うコスト節約により前記気道アダプタのコストを大きく低減する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人工呼吸器回路内に挿入可能であり、前記人工呼吸器回路内のガス成分を検出するように構成されるマイクロスペクトロメータを保持する、ガス測定モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
ガス分析装置は医学的応用で広く使用され、患者の呼吸ガス(主流分析装置)の主通路内、又は前記主流に通常は平行な補助通路内のいずれかに設けられる装置として特徴付けられる。主流分析装置は、前記対象体の呼気され及び吸気された呼吸ガスが、前記分析装置に設けられる気道アダプタを通じて通るように配置される。副流ガス分析装置は、測定のために主呼吸回路から空気を取り出す気道アダプタに接続される。ガス成分を測定するために治療的設定の呼吸回路に接続され得るガス測定モジュール内に含むための主流及び副流は、前記ガス測定モジュールを患者の気道に又は前記患者の比較的近い位置で患者と交流する呼吸回路内に設けられるように設計される必要がある。その結果、治療設定で受け入れられるために、前記ガス分析装置は、前記ガス分析装置を収容する前記ガス測定モジュールが、便利で快適なフォームファクタ及び/又は重みを有するように設計される必要がある。さらに、前記ガス分析装置は、治療的設定での使用に伴う通常に機械的扱い及び温度変動により実質的に影響を受けないほど丈夫である必要がある。
【0003】
スキャニングスペクトロメータを適用するガス分析装置を有するガス分析モジュールが知られているが、電磁放射を処置するためのこれらのシステムに通常適用される光学系は一般には、前記スペクトロメータの全体のフォームファクタ及び全体として前記ガス測定モジュールに悪い影響を与える形状を持つ光学路を形成する。この影響は、前記光学系及び/又は前記電磁放射を適切に処理するために前記光学系の経路長及び方向の1つ又は両方による。さらに、従来の光学系により必要とされる光学系のサイズ及び/又は光学系の経路長及び方向を低減しようとする試みは、光学系構成が、治療的設定に十分耐えることができず、及び/又は光学系コンポーネントが非常に高価なものとなる結果となり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、人工呼吸器回路内に挿入可能であり、前記人工呼吸器回路内のガス成分を検出するように構成されるマイクロスペクトロメータを保持する、ガス測定モジュールを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の1つの側面は、対象体の気道と流体交流する人工呼吸器回路内に挿入されるように構成されるガス測定モジュールに関する。1つの実施態様では、前記ガス測定モジュールはチャンバ、赤外線放射源、コリメート化反射光学素子、回折反射光学素子及び光感受性検出装置を含む。前記チャンバは、第1の開口部と第2の開口部を持ち、前記第1の開口部と第2の開口部の間に流路を形成し、前記ガス測定モジュールが前記人工呼吸器回路に挿入される場合に、対象体の気道からのガスが前記流路を通って輸送される。前記赤外線放射源は赤外線電磁放射を放射するように構成される。コリメート化反射光学素子は、前記赤外線放射源から放射される赤外線放射を受け、前記受けた赤外線電磁放射をコリメート又は実質的にコリメートし、かつ前記コリメート又は実質的にコリメートされた赤外線電磁放射を、前記チャンバにより形成される前記流路を通る光路に沿って方向づけるように構成される。前記回折反射光学素子は、前記コリメート又は実質的にコリメートされた赤外線電磁放射前記光路に沿って受け、かつ前記受けたコリメート又は実質的にコリメートされた赤外線電磁放射を回折するように構成される。前記光感受性検出装置は、前記回折反射光学素子から前記チャンバにより形成される前記流路を通った回折された赤外線電磁放射を受け、かつ前記受けた赤外線電磁放射の1以上のパラメータに関する情報を伝達する出力シグナルを生成するように構成される。
【0006】
本発明の他の側面は、対象体の気道と流体交流する人工呼吸器回路内に挿入されるように構成されるガス測定モジュール内のガスを分析する方法に関する。1つの実施態様では、前記方法は、赤外線電磁放射を生成し;前記生成された赤外線電磁放射を反射的にコリメート又は実質的にコリメートし;前記コリメート又は実質的にコリメートされた赤外線電磁放射を、前記対象体の気道からのガスの流れ内の前記ガス測定モジュールにより形成される流路を通る光路に沿って方向付け;前記コリメート又は実質的にコリメートされた赤外線電磁放射を反射的に回折し;及び前記回折され前記流路を通った前記赤外線電磁放射の1以上のパラメータに関する情報を伝達する出力シグナルを生成する。
【0007】
本発明の他の側面は、ガスを分析するためのシステムであり、前記システムは、対象体の気道と流体交流する人工呼吸器回路内に挿入されるように構成されるシステムである。1つの実施態様では、前記システムは、赤外線電磁放射を生成する手段と;前記生成された赤外線電磁放射を反射的にコリメート又は実質的にコリメートする手段と;前記コリメート又は実質的にコリメートされた赤外線電磁放射を、前記対象体の気道からのガスの流れ内で前記システムで形成される流路を通る光路に沿って方向付け;前記コリメート又は実質的にコリメートされた赤外線電磁放射を反射的に回折し;及び前記回折され前記流路を通った前記赤外線電磁放射の1以上のパラメータに関する情報を伝達する出力シグナルを生成する手段とを有する。
【0008】
本発明のこれらの及びその他の課題、構成、及び特徴は、操作の方法及び関連する構造要素及び部品の組み合わせの機能及び製造上の経済性と同様に、以下の詳細な説明及び特許請求の範囲を、本明細書の部分を形成する添付図面を参照して考慮することでより明らかとなる。種々の図面で、類似の参照符号は対応する部品について付されている。本発明の1つの実施態様では、ここで図示される構成コンポーネントは正しい比で描かれている。しかしながら、明確に理解されるべきことは、図面は例示及び説明の目的のためだけであり、本発明をなんら限定するものではないということである。さらに、理解されるべきことは、ここで実施態様において示され説明される構造的特徴は、他の実施態様においても好ましく使用できるものである、ということである。しかしながら、明確に理解されるべきことは、図面は例示及び説明の目的のためだけであり、本発明をなんら限定するものではないということである。明細書及び特許請求の範囲で使用されるように、単数用語「ひとつの」、「前記」は、特別に明記されない限り、複数要素をも意味する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、本発明の1以上の実施態様による、人工呼吸器回路内のガスの成分を分析するように構成されるシステムを示す。
【図2】図2は、本発明の1以上の実施態様による、ガス測定モジュールに含まれるスペクトロメータのコンポーネントを示す。
【図3】図3は、本発明の1以上の実施態様による、ガス測定モジュールに含まれるスペクトロメータのコンポーネントを示す。
【図4】図4は、本発明の1以上の実施態様による、ガス測定モジュールに含まれるスペクトロメータのコンポーネントを示す。
【図5】図5は、本発明の1以上の実施態様による、ガス測定モジュールに含まれるスペクトロメータのコンポーネントを示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、対象体14が人工呼吸器治療から受ける人工呼吸器回路12内のガスの成分を分析するように構成されるシステム10を示す。1つの実施態様では、前記人工呼吸器回路12が、人工呼吸器回路12を通じて対象体14の気道へ呼吸可能ガスの加圧フローを生成するように構成される圧力生成装置の1端部に接続される。しかし、これはなにも限定することを意図するものではない。1つの実施態様で、システム10がガス測定モジュール16を含む。
【0011】
人工呼吸器回路12は回路導管18及び対象体インタフェース装具20を含む。いくつかの異なる治療シナリオで、対象体14の気道は、対象体14の気道と流体交流する人工呼吸器回路12を置くように係合される。前記対象体14の気道が係合され、対象体インタフェース装具20により、人工呼吸器回路12と流体交流するように配置される。前記対象体インタフェース装具20は、対象体14の気道の1以上のオリフィスと、密閉又は密閉されずに係合し得る。対象体インタフェース装具20の例には、例えば気管内チューブ、鼻カニューレ、気管切開チューブ、鼻マスク、経口/鼻マスク、フルフェイスマスク、トータルフェイスマスク、部分的再呼吸マスク又はその他のインタフェース装具が含まれ、これらは対象体の気道を有するガスのフローと交流する。本発明はこれらの例には限定されず、全ての対象体インタフェースの実施を含むものである。
【0012】
前記回路導管18は、対象体インタフェース装具20へ及びからガスを輸送するように構成される。非限定的例示により、導管18はフレキシブル導管を含み得る。本開示の目的で、回路導管18は、加圧ガスフローを対象体インタフェース20へ及び/又は対象体インタフェース20から輸送するチューブ部材に限定される必要はない。前記回路導管18は、対象体インタフェース装具20により対象体14の気道と流体交流するように配置される、全ての中空体、容器及び/又はチャンバを含み得る。例えば、ここで意味する回路導管18は、実際の対象体インタフェース装具20に位置されるチャンバとして形成され得る。このチャンバは、ガス源及び/又は周囲雰囲気と流体交流し得る。
【0013】
前記ガス測定モジュール16は、人工呼吸器回路12内のガスの成分を分析するように構成される。従ってガス測定モジュール16は、回路導管18と交流するように置かれるように構成される。これは、回路導管18内にガス測定モジュール16の挿入を含み得る。この挿入は選択的に除去可能及び/又は実質的に固定であり得る。1つの実施態様では、人工呼吸器回路12は、ガス測定モジュール16をそこに除去可能に受けるように構成される回路導管18内にドックを含む。前記ガス測定モジュール16は、ガス測定モジュールに設けられる第1の開口部22と第2の開口部24を含むチャンバを形成し、ガス測定モジュール16が回路導管18内に挿入される場合に、ガスが、前記チャンバにより形成される前記第1の開口部22と第2の開口部24との間の流路を通って対象体14の気道へ及び/又は気道から、輸送される。いくつかの実施態様では、前記チャンバは(主流チャンバではなくむしろ)副流チャンバとして形成される。これらの実施態様では、前記第1の開口部22と第2の開口部24との間のガス測定モジュール16を通じるガスが、分析のために副流チャンバ内に引き込まれる。
【0014】
前記ガス測定モジュール16は、ガス測定モジュール16により形成されるチャンバ内にガスの成分の分析を促進する光学的及び/又は電子的コンポーネントを保持する。これらのコンポーネントは、例えば回折格子スペクトロメータを形成する。治療的設定でガス測定モジュール16の使用を実施するために、組成分析を行うガス測定モジュール16の光学的及び/又は電子的コンポーネントは、ガス測定モジュール16のフォームファクタを最小化するように構成される。例えば、ガス測定モジュール16があまりに大きく及び/又は扱いにくい場合、その実施は困難となり(例えば不注意による断線及び/又は破損など)、対象体14にとって不快なものとなり、及び/又はその他の欠点を有し得る。
【0015】
図2は、ガス測定モジュール16のコンポーネントの例示的構成を示し、ガス測定モジュール16内のガスの成分分析を可能とするものである。図2では、前記ガス測定モジュール16で形成されるチャンバが壁28で囲まれた要素26として識別される。理解されるべきことは、チャンバ26が、壁28で形成されただけのものとして図示されるで、ガス性成分を分析するガス測定モジュール16のコンポーネントをより容易に見ることを可能とする、ということである。さらにチャンバ26が平坦な平行壁28により囲まれるように図示されるものも例示的なものである。例えばチャンバ26は丸い断面及び/又はその他の形状の断面を持つように成形され得る。
【0016】
図2に示されるガス測定モジュール16において、放射源30及びコリメート化反射光学素子32がチャンバ26を形成する壁28の一方側に配置されていることを見ることができる。前記放射源30は、赤外線スペクトル内の電磁放射34を放射するように構成される。1つの実施態様では、前記電磁放射34は、二酸化炭素及び一酸化窒素に関連する第1の波長(例えば、約3.5と約5ミクロンの間)及び/又は1以上の麻酔剤に関連する第2の波長の電磁放射を含む。
【0017】
1つの実施態様では、ガス測定モジュール16内に形成される光学システムは、放射源30とコリメート化反射光学素子32との間に設けられるスリット36を含む。この実施態様では、前記光学システムは、前記電磁放射の放射源としてスリット36を画像化する。これは、前記電磁放射を処理する際に拡大による前記システムにおける「放射源」の解像度を増加する。
【0018】
前記コリメート化反射光学素子32は、電磁放射34をコリメートしてコリメートされた電磁放射38のビームを生成するように構成され、かかるビームはチャンバ26内の前記フロー通路を通る光学路に沿って方向づけられる。図2に見られるように、コリメート化反射光学素子32は、放射源30が電磁放射38の光学軸からはずれるように設けられ、むしろ電磁放射38の光学路からさえはずれるように設けられ得る。このことは、従来の放射源/反射装置構成であって、前記放射源が前記コリメート化反射装置から反射されるコリメートされた光の光学路(光軸上でない場合)中にある構成に比べてフォームファクタを改善することとなる。
【0019】
理解されるべきことは、従来の放射源/反射装置構成が電磁放射38をコリメートするために使用される場合にはガス測定モジュール16において、コリメート化反射光学素子32と壁38の間の距離は放射源30の大きさ、及び電磁放射34が放射源30から適切な断面サイズの電磁放射ビーム38を放出するために必要となる距離は、大きくなる、ということである。この大きな距離が必要であるということは、ガス測定モジュール16の全体のフォームファクタに影響を与え、及びそれ自体が大きな幅を持つガス測定モジュール16にすることとなる。これと対照的に、電磁放射38の光学軸からはずれた放射源30を持つことで、放射源30の大きさに伴うガス測定モジュール16の容積及び電磁放射34を放出するために必要とされる距離は、ガス測定モジュール16の長さ及び/又は高さで実行されるように位置付けられることができ、ガス測定モジュール16の幅には大きくは影響されない。
【0020】
前記コリメート化反射光学素子32は、コリメートするための屈折素子を必要とするシステムに比べて機能強化を提供することができる。これらの材料は高価であり、作業が難しいという傾向がある。特にガス測定モジュール16で使用され得るサイズにおいてである。さらに、これらの屈折材料は、比較的大きな空間を必要とする傾向がある。一方で屈折素子は、コリメート化反射光学素子32よりもより大きな視野を適用することができる。しかし、この有利点は、それを得るためのコスト、サイズ及び製造容易性を考慮すると、結局、電磁放射34をコリメートするための反射素子を使用する際の不利点をはるかに超えるということとなる。特にここで説明されるマイクロスペクトロメータ設計に関して、コリメート化反射光学素子32によりガス測定モジュール16に与えられる視野は十分である。
【0021】
図3は、放射源30により放射された電磁放射34が、コリメート化反射光学素子32によりコリメートされ曲げられる方法を示す光線軌跡を示す。図3で示される実施態様では、コリメート化反射光学素子32は非対称的かつ非球面の反射表面を有する。例えば、前記反射表面は、軸はずれ放物断面から形成される放物線状反射装置であり得る。図3はさらに、放射源30がどのようにして電磁放射38の光学路からはずれているかを示す。上で説明したように、ガス測定モジュール16の幅を低減するために放射源30を位置づけることにより、電磁放射の中心光線40が、コリメート化反射光学素子32上に、電磁放射38がチャンバ26に入る壁28の平面に関して鋭角を持つ光路に沿って入射する。壁28が丸められている実施態様では、この平面は、中心光線40がチャンバ26に入る壁28に接線方向にある平面となる。例えばこの角度θは45度未満であり得る。
【0022】
1つの実施態様では、コリメート化反射光学素子32は、成形プラスチック及び/又はその他の材料から作られる。前記コリメート化反射光学素子32の反射表面は、金、アルミニウム及び/又はその他の反射材料、及び/又はその他のコーティング及び/又は材料により作られ得る。上で説明した放射源30及びコリメート化反射光学素子32の構成のために、壁28からコリメート化反射光学素子32への距離(図3でdとして示され、チャンバ26の幅に対応する必要がある)は、約2mm未満であり得る。
【0023】
図2に戻り、チャンバ26を通る電磁放射38に対応するために、壁28は一対の光学的透明窓42を含む。前記窓42は、例えばシリコン、ゲルマニウム、サファイア及び/又はその他の材料から形成され得る。
【0024】
図4は図3で示される視野からガス測定チャンバ26の反対側でのガス測定モジュール16のコンポーネントを示す。特に図4では、回折反射光学素子44、焦点化反射光学素子46及び光感受性検出装置48が示される。
【0025】
前記回折反射光学素子44は、電磁放射38がチャンバ26を横切る後に電磁放射38を回折するように構成される。回折反射光学素子44により回折された電磁放射38の少なくとも一部が回折電磁放射ビーム50を形成し、焦点化反射光学素子46に入射するようになる。回折反射光学素子44での電磁放射の回折は、回折反射光学素子44の反射表面で形成された回折素子により効果が奏される。前記回折素子は格子線を含み得る。前記格子線は、約20ミクロン及び/又はその他の波長に関係した間隔で、間隔付され得る。チャンバ26内のガスの成分の有用な分析に必要とされる赤外線スペクトル部分につき分析を実行するために、回折反射光学素子44は回転軸につき振動される。前記回転軸は前記回折格子に平行であり、理想的には前記回折格子の面内である。1つの実施態様では、回折反射光学素子44は、複製化又は成形プラスチック及び/又はその他の材料から形成され、金、アルミニウム又はその他の反射材料で反射表面を与えるためにコーティングされている。
【0026】
図2に関して説明したように、スリット36は、放射源30とコリメート化反射光学素子32の間に置かれ、ガス測定モジュール16の分解能を改善する。前記スリット36は、スリット36からの電磁放射がガス測定モジュール16の反射装置32により回折反射光学素子44の上に投影される際に、回折反射光学素子44上に形成される回折格子に実質的に平行である方向に向けられる。
【0027】
図4を再び参照すると、焦点化反射光学素子46は、電磁放射50を受けとり、かつ電磁放射50を光感受性検出装置48上に焦点化するように構成される。1つの実施態様では、焦点化光学素子46は、複製又は成形プラスチック及び/又はその他の材料から形成され、金、アルミニウム又はその他の反射材料で反射表面を与えるためにコーティングされている。
【0028】
前記光感受性検出装置48は、焦点化反射光学素子46で焦点化された電磁放射50を受け、かつ前記受けた電磁放射50の1以上のパラメータに関する情報を伝達するためのシグナルを生成する。前記1以上のパラメータには、例えば波長及び/又はその他のパラメータの関数として強度が含まれる。(図示されていない)スリットが光感受性検出装置に設けられ得る。これにより、光感受性検出装置により検知された電磁放射50のパラメータが、電磁放射38の特定の波長範囲の表示を与えることとなり、この表示は、電磁放射38がチャンバ26を通過した後に、モニタされるべき分子種に対応するものである。
【0029】
チャンバ26内のガスのスペクトル的特徴は、チャンバ内のガス成分により変化するものであり、電磁放射38がチャンバ26を通過した後の電磁放射38の特定の波長の強度を検出することは、チャンバ26内のガスの成分の決定を可能とする。かかる決定は、光感受性検出装置48により生成される出力シグナルを受け取るように構成されるプロセッサ(図示されていない)により実行され得る。所定の時間で光感受性検出装置48に入射する電磁放射50の波長を決定するために、前記プロセッサは、所定の時間での回折反射光学素子44のスキャン位置及び/又は周波数に関する情報が提供され得る。
【0030】
図5は、スキャナモジュール52及び検出装置モジュール54を示すガス測定モジュール16を示す。前記スキャナモジュール52は、その回転軸につき回折反射光学素子44を振動させるように構成される。この振動は、所定の周波数及び/又は範囲を有する。スキャナモジュール52の1以上の例示は、例えば米国特許第7、605、370号(2009年10月20日発効)に「Microspectrometer Gas Analyzer」として開示され(以下「370特許」とする)、この全開示は参照されて本明細書に援用される。
【0031】
前記検出モジュール54は、電磁放射50内の複数のスペクトルバンドを検出するように構成され得る。別々のバンドを検出するために、検出装置モジュール54は1以上のビームスプリッタを含み、これにより電磁放射を複数の別々のビームに分け、回折反射光学素子44として異なるスペクトルバンドを受けるように構成される複数の光感受性検出装置がその範囲で振動される。例えば、かかるコリメート素子、回折素子、ビームスプリッタ、焦点化素子及び光感受性検出装置は、前記370特許に記載されている。理解されるべきことは、この開示及び370特許での開示における光学素子の具体的な構成はなんらを限定するものではない、ということである。本開示の範囲には、回折反射光学素子44がチャンバ26のその他の側に位置される実施態様、非限定的例示が含まれる。その他の可能な構成はまた明確であろう。
【0032】
図5から分かるように、回折反射光学素子44、焦点化光学素子46及び/又は検出モジュール54は、回折反射光学素子44及び検出モジュール54との間の電磁放射50の光路が、電磁放射38が通過する位置での壁28に実質的に平行である。このことは、回折反射光学素子44と検出モジュール54との間の電磁放射50を適切に処理するために必要とされる前記光学長さを、前記全距離をガス測定モジュール16に追加することなくガス測定モジュール16内で達成することを可能とする。上で説明したように、このことは、治療的設定におけるガス測定モジュール16の使用可能性、心地よさ及び/又はその他の面を改善することができる。
【0033】
本発明はここまで、現在時点で最も実用的であり好ましい実施態様と考えられるものに基づいて説明することを目的として記載されてきたが、理解されるべきことは、かかる詳細な記載は前記目的のためだけのものであるということ、及び本発明は開示された実施態様には限定されるものではなくむしろ、添付の特許請求の範囲の本発明の本質及び範囲内である全ての変更・変法及び均等な構成をも含む、ということである。例えば理解されるべきことは、本発明は、可能な限り、全ての実施態様の1以上の特徴がその他の全ての実施態様の1以上の特徴と組み合わされ得る、ということである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象体の気道と流通交流する人工呼吸器回路内に挿入されるように構成されるガス測定モジュールであり、前記ガス測定モジュールが:
第1の開口部と第2の開口部を有するチャンバを含み、前記チャンバが、前記第1の開口部と第2の開口部との間の流路を形成するように構成され、前記ガス測定モジュールが前記人工呼吸器回路に挿入され、前記対象体の気道からガスが前記流路を通じて輸送され;
赤外線電磁放射を放射するように構成される赤外線放射源と;
前記赤外線放射源により放射された赤外線放射を受け、前記受けた赤外線電磁放射をコリメートし、かつ前記コリメート又は実質的にコリメートされた赤外線電磁放射を前記チャンバにより形成される前記流路を通る光学路に沿って方向づけるように構成される、コリメート化反射光学素子と;
前記光学路に沿ったコリメート又は実質的にコリメートされた赤外線電磁放射を受け、かつ前記受けたコリメート又は実質的にコリメートされた赤外線電磁放射を回折するように構成される、回折反射光学素子と;及び
前記回折反射光学素子から前記チャンバにより形成された前記流路を通った回折された赤外線電磁放射を受け、かつ前記受けた赤外線電磁放射の1以上のパラメータに関する情報を伝達するための出力シグナルを生成するように構成される、光感受性検出装置を含む、ガス測定モジュール。
【請求項2】
請求項1に記載のガス測定モジュールであり、前記コリメート化反射光学素子が、前記受けた赤外線電磁放射をコリメート又は実質的にコリメートするように、及び前記コリメート又は実質的にコリメートされた赤外線電磁放射を、前記流路を横切るような方向に前記チャンバで形成された流路内に方向付けるように構成される、ガス測定モジュール。
【請求項3】
請求項1に記載のガス測定モジュールであり、前記コリメート化反射光学素子が、非対称性放物線断面である反射表面を持つ、ガス測定モジュール。
【請求項4】
請求項1に記載のガス測定モジュールであり、さらに、前記回折反射光学素子からの回折された赤外線放射反射を受け、かつ前記回折された赤外線電磁放射を前記光感受性検出装置に焦点化するように構成される、焦点化反射光学素子を含む、ガス測定モジュール。
【請求項5】
請求項1に記載のガス測定モジュールであり、さらに、前記回折反射光学素子を回転軸に沿って振動させるように構成されるスキャナを含む、ガス測定モジュール。
【請求項6】
対象体の気道と流通交流する人工呼吸器回路内に挿入されるように構成されるガス測定モジュール内でガスを分析する方法であり、前記方法が:
赤外線電磁放射を生成し;
前記生成された赤外線電磁放射を反射的にコリメート又は実質的にコリメートし;
前記コリメート又は実質的にコリメートされた赤外線電磁放射を、前記対象体の気道からガスが流れるガス測定モジュールにより形成される流路を通る光路に沿って方向付け;
前記コリメート又は実質的にコリメートされた赤外線電磁放射を反射的に回折し;及び
回折され前記流路を通った赤外線電磁放射の1以上のパラメータに関連した情報を伝達する出力シグナルを生成する、方法。
【請求項7】
請求項6に記載の方法であり、
前記生成された赤外線電磁放射を反射的にコリメート又は実質的にコリメートし、及び前記コリメート又は実質的にコリメートされた赤外線電磁放射を、前記対象体の気道からガスが流れるガス測定モジュールにより形成される流路を通る光路に沿って方向付けることが、単一の反射光学素子で実行される、方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法であり、前記単一の反射光学素子が、非対称的放物線断面である表面を有する、方法。
【請求項9】
請求項6に記載の方法であり、さらに、前記回折された赤外線電磁放射を、光感受性検出装置に焦点化することを含み、前記光感受性検出装置は出力シグナルを生成するように構成される、方法。
【請求項10】
請求項6に記載の方法であり、さらに回折反射光学素子を操作することを含み、前記回折反射光学素子が回転軸回りに振動する前記回折を実行するように構成される、方法。
【請求項11】
ガスを分析するように構成されるシステムであり、前記システムは対象体の気道と流通交流する人工呼吸器回路内に挿入されるように構成されるシステムであり、前記システムが:
赤外線電磁放射を生成する手段と;
前記生成された赤外線放射をコリメート又は実質的にコリメートする手段と;
前記対象体の気道からのガスが流れる前記システムにより形成される流路を通る光路に沿って前記コリメート又は実質的にコリメートされた赤外線放射を方向付ける手段と;
前記コリメート又は実質的にコリメートされた赤外線電磁放射を反射的に回折する手段;及び
前記回折されかつ前記流路を通った赤外線電磁放射の1以上のパラメータに関する情報を伝達する出力シグナルを生成する手段とを含む、システム。
【請求項12】
請求項11に記載のシステムであり、前記生成された赤外線電磁放射を反射的にコリメート又は実質的にコリメートするため及び、前記コリメート又は実質的にコリメートされた赤外線電磁放射を、前記システムにより形成される流路を通る光路に沿って方向づける手段が、単一の反射光学素子を含む、システム。
【請求項13】
請求項12に記載のシステムであり、前記単一の反射光学素子が、非対称的放物線断面の反射表面を有する、システム。
【請求項14】
請求項11に記載のシステムであり、さらに、前記回折された赤外線電磁放射を前記出力シグナルを生成するための手段の上に焦点化する手段を含む、システム。
【請求項15】
請求項11に記載のシステムであり、さらに、前記回折のための手段を回転軸の周りで振動させる手段を含む、システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2013−513793(P2013−513793A)
【公表日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−542659(P2012−542659)
【出願日】平成22年12月1日(2010.12.1)
【国際出願番号】PCT/IB2010/055535
【国際公開番号】WO2011/070485
【国際公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】