説明

ガス滅菌装置及びガス滅菌方法

ガス滅菌システムは、滅菌チャンバ、滅菌ガス源、及び滅菌ガス無害化機構を有する。実施形態は、滅菌チャンバに含湿空気を供給するシステム及び方法、滅菌チャンバの排気ガス流から二酸化窒素ガスを除去するためのシステム及び方法、滅菌ガス源、排気ガススクラバ、あるいは加湿システムの加湿源を取り外すあるいは交換するためのシステム及び方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2009年2月23日出願の米国仮出願第61/154625号による利益を主張するものであり、その内容全体を本明細書に援用する。
【0002】
本発明は、概して、窒素酸化物を用いた滅菌システム及び滅菌方法に関する。より詳しくは、本発明は、1つ又はそれ以上の滅菌対象物を収容する滅菌チャンバに対して、二酸化窒素ガスを供給するためのシステム及び方法に関する。実施形態は、滅菌チャンバに含湿空気を供給するためのシステム及び方法、滅菌チャンバの排気ガス流から二酸化窒素ガスを除去するためのシステム及び方法、及び、滅菌ガス源、排気ガススクラバ、あるいは加湿システムの加湿源を取り外すあるいは交換するためのシステム及び方法に関する。実施形態は、滅菌装置におけるユーザーインターフェースのためのハードウェア及びソフトウェア、及び、滅菌サイクル制御のためのハードウェア及びソフトウェアに関する。さらに、実施形態は、滅菌器のチャンバ、台座及びドアの構成に関し、これらについては、その装飾的な側面も含まれる。
【背景技術】
【0003】
バクテリア、胞子、菌類などの生物学的汚染物質を、薬品、圧力、及び熱によって、医療器具、医薬品などを含む様々な基材から除去するための滅菌方法は公知である。これに代えて、放射線による処理を用いることもでき、この方法では、熱や圧力に起因する滅菌対象の損傷を幾分避けることができる。また、別の方法として、エチレンオキシドガス、オゾンガス、過酸化水素ガスによる滅菌法も用いられている。
【0004】
特に、医薬製剤は熱や圧力による損傷を受けやすいため、これらの製剤の滅菌方法の選択肢としては、放射線照射が残る。しかし、この場合も、滅菌に適したエネルギー及び放射線透過特性を有する放射線照射を行うと、薬剤や基材あるいは運搬基材そのものに損傷を与える場合がある。また、形状記憶素材は、熱による相転移を生じやすい。こうした問題に対しては、本発明の実施形態に基づく方法によって対処することができる。
【発明の概要】
【0005】
本発明の一側面は、1つ又はそれ以上の滅菌対象物を収容する滅菌チャンバに対して、二酸化窒素ガスを供給するための装置に関する。当該装置は、滅菌チャンバ、滅菌ガス源、及び滅菌ガス浄化機構を含む。
【0006】
実施形態の側面は、滅菌チャンバに含湿空気を供給するためのシステム及び方法、滅菌チャンバの排気ガス流から二酸化窒素ガスを除去するためのシステム及び方法、及び、滅菌ガス源、排気ガススクラバ、あるいは加湿システムの加湿源を交換するためのシステム及び方法に関する。
【0007】
実施形態の側面は、滅菌装置におけるユーザーインターフェースのためのハードウェア及びソフトウェア、及び滅菌サイクルの制御のためのハードウェア及びソフトウェアに関する。
【0008】
実施形態の側面は、滅菌器のチャンバ、台座及びドアの構成に関し、これらについては、その装飾的な側面も含まれる。
【0009】
本発明の他の側面は、1つ又はそれ以上の滅菌対象物を収容する滅菌チャンバに対して、二酸化窒素ガスを供給するための方法に関する。
【0010】
本発明の他の側面は、上記装置又は方法を制御するよう構成されたシステムに関し、当該制御には、滅菌ガス濃度、湿度、温度、ガス循環、全圧又は分圧、滅菌対象物の曝露時間のうちの1つ又はそれ以上の制御が含まれる。
【0011】
本発明の実施形態の側面は、機械可読媒体上で実施される機械実行可能コードに関し、当該コードは、これを実行することにより本明細書に述べる方法を行うものである。
【0012】
本発明のこれらの目的及び特徴、ならびに関連する構成要素の動作方法及び機能、部品の組み合わせ、製造費用の節約については、以下の記載及び添付の請求の範囲を、添付図面を参照しつつ考慮することによって、より明らかになるであろう。なお、これらのすべてが本明細書の一部を構成しており、本明細書においては、共通の部材は異なる図面においても同様の参照番号によって示している。ただし、図面は図示及び説明の目的のためだけのものであり、本発明の範囲を画定するものではない。また、明細書及び請求の範囲に記載されている初出及び既出の単数形名詞は、文脈から明らかに当てはまらないとわかる場合を除き、複数の指示対象を含むものとする。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1a】本発明の一実施形態に基づく滅菌システムの斜視図である。
【図1b】本発明の一実施形態に基づく滅菌システムの斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態に基づく滅菌システムの機能的連結を示す概略図である。
【図3】本発明の一実施形態に基づく滅菌ガス供給サブ・システムの機能的連結を示す概略図である。
【図4a】本発明の一実施形態に基づく滅菌チャンバの正面切欠き図である。
【図4b】本発明の一実施形態に基づく滅菌チャンバの側面切欠き図である。
【図5】本発明の一実施形態に基づく滅菌器における加湿サブ・システムにおいて用いるコリソン(Collison)噴霧器を示す図である。
【図6】本発明の一実施形態に基づく、滅菌器の排気から滅菌ガスを除去するためのスクラバを示す図である。
【図7】本発明の一実施形態に基づく、消耗部品の交換プロセスを示すフローチャートである。
【図8】本発明の実施形態に基づく、滅菌ガス濃度を変化させた場合の結果を示すチャートである。
【図9】本発明の実施形態に基づく、滅菌ガス濃度を変化させた場合の結果を示すチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明者らは、加熱又は放射線照射による滅菌方法における問題点を鑑みた上で、窒素酸化物を用いるガス滅菌法によれば、滅菌対象基材の損傷を抑制しつつ良好な滅菌を行える判断した。特に、本発明者らは、二酸化窒素(NO2)が様々な生物学的対象に対する効果的な滅菌剤であることを明らかにした。
【0015】
一実施形態においては、空気及び水蒸気の存在下において低濃度(<21mg/L)の二酸化窒素ガスが、滅菌チャンバに供給される。幾つかの実施形態においては、約5〜15mg/Lの濃度、好ましくは約8〜11mg/Lの濃度が用いられる。5mg/Lより低い濃度を用いてもよいが、濃度が低くなるほど停止時間を長くする必要が生じる。以下に詳細に述べるように、滅菌処理は室温又は室温に近い温度で行われ、チャンバ内を排気する工程、滅菌ガスを導入する工程、及び、所定の圧力まで含湿空気を加える工程を伴う。滅菌対象物の物理的特性あるいは外装によって、真空→滅菌剤注入→含湿空気注入の一連のプロセスを何回か繰り返したり、順番を変えたりしてもよい。さらに、このような滅菌プロセスの繰り返しのうちの1回又は毎回において、乾燥空気注入工程及び休止工程を追加しても良い。プロセスの通常の動作温度及び動作圧力においては、二酸化窒素は気体状態を維持し理想気体として作用する。このサイクルにおいては、水分又は湿度のレベルをチェックしてもよく、これらのレベルが閾値を超えていれば、乾燥工程を組み入れてもよい。乾燥工程は、チャンバを加熱すること、チャンバの温度における水蒸気圧以下までチャンバ内を排気すること、あるいは、乾燥空気や乾燥不活性ガスなどの乾燥気体をチャンバに通過させることによって行ってもよい。
【0016】
二酸化窒素滅菌ガスを用いる滅菌器の一実施形態の概略を図1a及び図1bに示す。滅菌器10はハウジング12を有する。
【0017】
一実施形態においては、滅菌チャンバ18におけるドア16のハンドル14の高さが、平均的な使用者が立って使用するのに適した高さである、例えば約42インチとなるように、ハウジング12の寸法を決定する。このシステム全体としては、高さは約5フィート、幅は約20インチとしてもよい。任意の構成として、図示のようにハウジング12を一組の車輪20で支持することにより滅菌器10を簡単に移動させることができるようにしてもよい。
【0018】
ハウジング12の下部には第2のドア22が設けられており、これにより滅菌器10における保守点検が可能な部分へアクセスすることができる。特に、保守点検エリア24には消耗品を収容することができる。図示の実施形態においては、滅菌ガスモジュール26及びスクラバ28がこの保守点検エリア内に設けられており、さらに、水を貯留するための貯留部30も設けられている。この貯留部は、以下に述べるように、加湿システムによって用いられるものである。滅菌ガスモジュールは、蝶番34付きのドア32を有しており、これにより、以下に詳細に述べるように、ドアを開けて滅菌ガス源(図示せず)を交換できるようになっている。
【0019】
一実施形態において、滅菌チャンバ18にアクセスするための追加のドア(図示せず)をハウジング12に設け、滅菌器10がパス・スルー(pass-through)動作を行えるようにしてもよい。例えば、このようなパス・スルー滅菌装置を、クリーンルーム又は無菌エリアと、空気質、滅菌性、粒子負荷に対する制御レベルが低い、又は制御を行っていないエリアとの間の壁に設けた開口に取り付けてもよい。このような装置は、例えば、医療装置製造工場、製薬工場、病院の滅菌処理部における生産フロー、滅菌制御された研究所などで使用することができる。
【0020】
図2は、本発明に基づく滅菌器100の一実施形態のプロセス及び計装を示す概略図である。図では、流路のいくつかについて具体的な寸法を示しているが、これらは本発明を一切限定するものではなく、具体的な用途によって変更されるものである。滅菌器100の第1の部分は、チャンバ内の二酸化窒素ガスに加える空気の供給源である。コンプレッサー102は、周囲環境からの空気を圧縮する。周囲空気は、圧縮の前にマフラー104及びフィルター106を通過する。一般にコンプレッサーにとっても、その下流における圧縮空気の使用にとっても望ましくない塵及びその他の粒子状不純物は、フィルター106によって低減される。有利な構成としては、フィルター106は、滅菌器に供給される空気、特に加湿システムに供給される空気が実質的に病原体の無い状態となるように、空気流から微生物を除去する。もちろん、他の空気供給源を代わりに用いることも可能である。例えば、滅菌器が収容されている室に圧縮空気を供給する空気タンク又は固定空気供給システムによって空気を供給してもよい。
【0021】
図示のように、空気はコンプレッサー102から制御バルブ110を介してアキュムレーター108に供給される。図示の実施形態においては、アキュムレーター108内の圧力は、圧力計112を用いた、制御バルブ110へのフィードバック・ループによって制御される。任意の構成として、手動バルブ114及び116を設け、それぞれによってアキュムレーター108からの減圧及び排水を行えるようにしてもよい。水分離器109を設けることにより、アキュムレーターの下流側で空気流に水が入ることを確実に防止してもよい。
【0022】
二酸化窒素は、液体供給タンク118からシステムに供給される。液体供給タンク118からの流れは、手動バルブ120及びバルブ122によって制御される。圧力計124によって流路内の圧力を監視し、一対のソレノイドバルブ126、128によってプレ・チャンバ(pre-chamber)130内への流れを制御する。もう一対のバルブ132、134によってプレ・チャンバ130から滅菌チャンバ136への流れを制御する。図2では、チャンバ136への流路を単純なパイプ接続構造として示しているが、これに代えて、マニホールドを用いてこの流路を構成し、チャンバ内で滅菌ガスをより良好に分散できるようにしてもよい。図示の実施形態は気体状の二酸化窒素を移すことのみを対象としているが、液体状の二酸化窒素を蒸発前にプレ・チャンバに流入させることも想定される。二酸化窒素供給サブ・システムの動作を以下に詳細に述べる。
【0023】
滅菌チャンバ136を加湿するためのサブ・システムは、滅菌チャンバ136に供給する空気中に噴霧状の水を生成するコリソン(Collison)噴霧器138から始まる。このプロセスに用いる空気は、プレ・チャンバ130に用いる空気と同様に、アキュムレーター108によって提供される。加湿に用いる水は貯留部140に蓄えられており、貯留部140から噴霧器138への水流はソレノイドバルブ142によって制御される。レベルセンサ144によって噴霧器138内の水位を監視し、ソレノイドバルブ142の開放を制御する。噴霧器に加圧空気が入ると、この加圧空気によって、噴霧器内に蓄えられた水中にて音速の空気噴流が生成される。この空気噴流は、水を吸い込み、小さな水滴を形成し、これが霧化する。水分離器146は、含湿空気を通過させる一方で、液状の水が滅菌チャンバ136に入るのを防ぐ。空気孔148が噴霧器からの通気路を形成しており、これにより、貯留部140から噴霧器138へと水を流すことができる。適当なバルブを用いることによって、滅菌チャンバ136への含湿空気の流入を制御する。
【0024】
図示のように、滅菌チャンバ136に対しては、一組のバルブ150を介してアクセスできるようになっているため、チャンバ内雰囲気のサンプルを取り出して分析してもよい。この分析は、例えば、FTIR(フーリエ変換赤外分光法)、紫外線分光測光法、又はその他の図示しない適当な分光測光システムによって行ってもよい。分析のためのアクセスはテストプラットフォームに特に関連しており、滅菌器を製造環境において用いる際には実際には必要ではない場合もある。
【0025】
滅菌チャンバ136は、チャンバ内のガスの循環を促進するファン152を備えていてもよい。この循環によって、滅菌ガスが含湿空気と十分に混ざり、且つ、滅菌対象が滅菌ガスに対して十分に曝露される。
【0026】
圧力計154及び減圧バルブ156を設けることにより、滅菌チャンバ136内の圧力を制御してもよい。もちろん、減圧路からの排気に二酸化窒素が含まれている場合は、これを制御又は処理することにより作業エリアの汚染を避けなければならない。
【0027】
第一の排気路が、ソレノイドバルブ158を介してスクラバ160に至っており、排気が周囲環境に届く前に二酸化窒素を除去するあるいは捕捉するように構成されている。フィルター162は、排気から粒子を除去する。ポンプ164は、洗浄後の排気をシステムから押し出す。別のポンプ166を設けることによって、二酸化窒素センサ168を通過する流れを形成し、このセンサによって排気ガス中の二酸化窒素含有量を監視する。二酸化窒素のレベルが所定の閾値を超えている場合は、ソレノイドバルブ158を閉じて二酸化窒素が周囲環境に放出されないようにすることができる。もちろん、ポンプ166とセンサ168との間で順番を入れ替え、制御バルブの後ではなく前で二酸化窒素含有量の検知を行ってもよい。
【0028】
図3は滅菌ガス供給システムの一実施形態を示しており、このシステムは、図2に示した滅菌ガス供給サブ・システムと類似の設計のものである。液体状の二酸化窒素を収容しているタンク118が、滅菌ガス源として機能する。手動バルブ120によって、タンク118からのガス流を形成することができる。手動バルブ122によって、タンクからのガス流を二次的に制御することができる。一対のソレノイドバルブ126、128の作動によって、このバルブから滅菌システムにガスを流すことができる。図に示すように、タンク118からの流れを結果として制御する個別のバルブは、4個設けられている。もちろん、これ以外のバルブの配置も可能であり、余計なものは適宜減らしてもよい。
【0029】
使用中は、滅菌ガスが最後のソレノイドバルブ128からプレ・チャンバ130に流入し、プレ・チャンバ内で膨張し、投入量を測定することができる。図示のように、プレ・チャンバ130は圧力変換器180を備えており、この圧力変換器が、総圧力を測定し、チャンバのサイズを適切に把握した上で、任意の構成としてはさらに図示しない温度センサからの温度データを考慮した上で、これを投入量に換算してもよい。ソレノイドバルブ132は滅菌チャンバ136への流入を制御する。追加のソレノイドバルブ182はプレ・チャンバ内への乾燥空気の流入を制御する。
【0030】
図示の実施形態の1つの動作方法においては、チャンバ136及びプレ・チャンバ138を最初は低圧に保つ。これは、例えば、これらのチャンバ内を適当な真空ポンプ(例えば図2に示した、排気路のポンプ164)を用いて排気することによって行ってもよい。一実施形態においては、滅菌ガスの注入前に排気サイクルを繰り返し行う。例えば、一連の滅菌ガスプロセスを始める前に、これらのチャンバを排気し、空気を最充填し、再び排気してもよい。
【0031】
滅菌ガスの供給を始めるためには、バルブ182が閉じられた状態で、バルブ128を閉じ、バルブ132を開くことにより、チャンバ136とプレ・チャンバ130とを等しい低圧にする。次に、バルブ132を閉じ、滅菌チャンバ136からプレ・チャンバ130を遮断する。次に、バルブ126及び128を開き(この時、バルブ122及び手動バルブ120は既に開いている)、これにより、液体二酸化窒素源から蒸発したガスがプレ・チャンバ130に流入する。圧力変換器180をフィードバックに用い、所定の総量の二酸化窒素がプレ・チャンバ130内に溜まるようにソレノイドバルブ126を制御してもよい。
【0032】
もちろん、例えば圧力変換器180や温度計(図示せず)による測定によって、プレ・チャンバ130の容積、圧力、及び温度が把握できれば、プレ・チャンバ130内の二酸化窒素の総量を算出することができる。例えば、10〜20inHgの動作圧を生成することにより、約0.5グラムの滅菌剤を容積約60リットルの滅菌チャンバ136に供給することができる。この場合、滅菌チャンバ136内に約10mg/Lの濃度の滅菌ガスが生成される。
【0033】
1つの装置を同じ設定で用いる場合には、チャンバの容積は変わらず、温度も有意には変動しないため、他の計算工程を用いず圧力測定のみを用いた制御によって所定量の滅菌剤を投入できるようにしてもよい。例えば、プレ・チャンバ内の圧力が閾値に達した時点で適切な投入量がプレ・チャンバ内に存在し、この時点で供給源とプレ・チャンバとの連通を遮断してもよい。一実施形態としては、所望の投入量に対応する圧力設定値を示す表を、制御部にアクセス可能なメモリに記憶させておく。他の実施形態としては、投入量を圧力設定値と関連付けさせて示すグラフを、制御部にアクセス可能なメモリに記憶させておく。いずれの方法においても、充填動作中に測定した圧力を、表またはグラフに示されている設定圧力値と比較することができる。温度が変動しやすい場合は、測定した温度に基づいて調整を行ってもよい。調整値は計算によって求めてもよいし、メモリに記憶させた表またはグラフに示されたものでもよい。
【0034】
もちろん、他の種類の窒素酸化物がプレ・チャンバ内で発生する可能性もある。従って、投入可能な滅菌ガスの総量を計算する際に、様々な種の分圧を把握することは役に立つかもしれない。本発明者らは、観測した圧力において存在する第一位の他の種類は、二量体であるN24であると判断した。滅菌チャンバ136(通常プレ・チャンバよりもかなり大きい)においては、窒素酸化物の分圧はプレ・チャンバ130における分圧よりも実質的に低いため、二酸化窒素の二量化は起こりにくく、分圧は低いままであり、概して重要ではない。すなわち、たいていの場合には、NO2とN24との合計質量を、滅菌チャンバ136内のNO2の量として用いることができる。
【0035】
プレ・チャンバ130を加圧した後は、バルブ126及び128を閉じ、プレ・チャンバ130をガス源から遮断する。バルブ132を開き、プレ・チャンバ130から滅菌チャンバ136にガスを流入させる。バルブ182を開き、乾燥空気を滅菌チャンバ136に流入させ、プレ・チャンバ130に残留している滅菌ガスを滅菌チャンバ136内へと押し出す。最後に、バルブ182と132を閉じ、システムの他の部分から滅菌チャンバを遮断する。
【0036】
一実施形態においては、追加のチャンバを用いて滅菌ガスを滅菌チャンバに対して出し入れしてもよく、この場合の追加のチャンバは上記プレ・チャンバであってもよいし、別のチャンバであってもよい。例えば、十分な大きさのプレ・チャンバ又は副チャンバを用いて滅菌雰囲気を再利用してもよい。この場合、滅菌サイクルは他の実施形態について述べたのと同様に開始される。そして、プレ・チャンバ又は副チャンバを、経路を介して滅菌チャンバに対して開放する。この経路は、滅菌チャンバからもう1つのチャンバにガスを導くためのポンプを有していてもよい。次に、ガスを滅菌チャンバに再導入する。この再導入は、一度だけでも二度以上行ってもよく、一方のチャンバから他方のチャンバに連続的にガスを移してもよい。すべてのサイクルが同じであってもよいし、例えば、休止時間の長短、滅菌ガス濃度の高低、圧力の高低などのパラメータをサイクル毎に異ならせてもよい。本発明者らは、休止時間を長くし曝露サイクルを1回とするよりも、繰り返し曝露サイクルを行う方が滅菌には効果的であると判断した。滅菌ガスの除去及び再導入によれば、曝露サイクルを繰り返す際にガスを完全に排出させて新しい滅菌ガスを導入するのと同じ効果が得られる。
【0037】
滅菌剤の濃度又は2つのチャンバ間で移動させるガスの湿度は、滅菌曝露条件を維持するように調整してもよい。特に、チャンバ内のガスの減圧及び再加圧の際は、湿度変化が起こることが予想される。
【0038】
もちろん、他の設計及び方法を用いて滅菌ガスを滅菌チャンバ136に供給してもよい。例えば、液体源に代えて気体源を用いてもよい。こうした供給源は、1回のみ使用される供給源であってもよいし、図示のように複数回使用される供給源であってもよい。また、ここに述べた構成及び制御プロセスに代えて、他の構成及び制御プロセスを用いることもできる。液体又は固体の供給源材料を、あらかじめ気体に変換することなく、直接滅菌チャンバ136に供給してもよい。例えば、NOを生成する(使用の際にNO2に変換してもよい)ものとして既知の材料は、2005年9月15日出願の米国特許出願11/052745号明細書に記載されており、その内容全体を本明細書に援用する。また、濃度を変えてガスをチャンバに供給してもよい。すなわち、上述の方法では高濃度の滅菌ガスをチャンバに供給したが、供給前における空気との混合度合いを変更してもよい。
【0039】
一実施形態においては、乾燥空気ではなく、非反応性ガス又は混合気体を加えることによって滅菌ガスを希釈する。例えば、空気に代えてN2ガスを用いてもよい。この方法において、N2ガスは、空気を用いる実施形態と同様に、乾燥状態で用いてもよいし、滅菌チャンバ136に加える前に加湿してもよいし、滅菌チャンバ136内で加湿してもよい。
【0040】
図4a及び図4bは、滅菌チャンバ136の一実施形態をより詳細に示している。一実施形態においては、滅菌チャンバ136の内面にはペルフルオロアルコキシ(PFA)コーティングが施されている。PFAコーティングは、非多孔性あるいは疎水性として形成することができるため、チャンバの表面に不均一に水が形成されるのを抑制することができる。このように液状の水の形成を抑制する構造によれば、例えば滅菌雰囲気に対して加えられた水分が、当該雰囲気の成分として蒸発した状態を保つことができ、従って、チャンバ内の湿度を制御しやすくなる。さらに、このような平滑な表面では、チャンバ内の滅菌環境の洗浄及びメンテナンスが容易となる。もちろん、上記に代えて、例えばステンレス鋼などの、類似の特性を持つ材料を用いてもよい。
【0041】
図4aに示すように、滅菌チャンバ136は、滅菌中に対象物を保持するための台200を有していてもよい。図示の実施形態においては、台200は、容易にアクセスできるように、一対のレール202に摺動可能に取り付けられている。ポート204は、図2に示したような排気路及びスクラバ160に繋がっている。
【0042】
任意の構成として、モータ206をファン208に対して動作連結し、当該ファンを駆動することにより滅菌チャンバ160内の混合及び循環を促進してもよい。チャンバの上部には、バッフル210が設けられている。バッフルは、滅菌中の対象物に対してファンが直接風を吹き付けないように、且つ、チャンバ内で気体が良好に循環できるような空気流を形成できるように、設計及び配置される。特に、図示したようなチャンバの上側に沿う開口を有するバッフルが、概ね円筒形のチャンバに用いられた場合は、チャンバの外周部分に沿って循環し中央部を通って戻る空気流を形成する傾向にある。図4aの矢印は、そのような空気流の一例を示しており、この例の空気流は、バッフルの端部から開始し円筒部の面に沿って延びチャンバの中央部を上昇して戻る経路に沿って、チャンバ内を循環する。
【0043】
一実施形態においては、図2に示すように、コリソン(Collison)噴霧器138によって滅菌チャンバ136に水分を加える。図5は、本発明に基づくシステムにおける使用に適したタイプのコリソン噴霧器を示している。稼働の際には、コリソン噴霧器は圧縮空気源に取り付けられる。図2に示すように、これはアキュムレーター108からの別の経路であってもよい。もちろん、これに代えて別の圧縮空気源を用いてもよい。噴霧器が充填アダプターを備える構成とし、使用中に貯留部30から連続的に再充填されるようにしてもよい。
【0044】
代替の実施形態として、滅菌チャンバに水蒸気を直接加えてもよい。別の方法として、気化式、蒸気式、インペラー式、又は超音波式など、上記噴霧器とは異なる設計の加湿器を用いてもよい。液状の水、又は基材に含ませた水(スポンジ、タオル、又はその他の吸水性材料を濡らしたもの)を直接滅菌チャンバに供給して加湿してもよい。
【0045】
相対湿度はある程度温度に依存するので、チャンバ内において目標湿度レベルを達成するために必要な加湿空気の量を、温度データを用いて決定することも有益である。この場合、図示しない温度センサを滅菌チャンバ内に設けてもよい。
【0046】
上述のように、排気路は、システムの外に排出される前の排気流から滅菌ガスを除去するためのスクラバ160を有している。例えば、このスクラバ160は、図6に示したように、カートリッジフィルタータイプの装置として構成してもよい。このタイプのカートリッジを排気路に直列に配置し、ポンプ164によって滅菌チャンバ136から引き出されたガスがカートリッジを通過するようにしてもよい。
【0047】
一実施形態においては、カートリッジは、処理対象であるガスが導入される外側スリーブ領域を有するシリンダである。内側スリーブに設けた穿孔によって、ガスは処理媒体まで流れ、そこから排気路に通じる出口へと流れる。
【0048】
処理媒体は、反応性の窒素酸化物を非反応性の生成物に変えることができるように、又は、滅菌ガスに含まれるあらゆる有害物質を中和することができるように、選択する。スクラバ材料は粒状で用いてもよく、粒子が小さいほど単位体積あたりの表面積が大きい。一実施形態において、NOxの硝酸塩への酸化(すなわちNOをNO2に、NO2をNO3にする)には過マンガン酸ナトリウム材が適していることが判明した。特に、粒状のPurafil SP (14×28メッシュ)、活性アルミナを含む過マンガン酸ナトリウム、が適していることが判明した。一旦酸化されると、硝酸塩はナトリウムと結合して固体の塩を形成し、これは実質的に無毒、非腐食性、非反応性であり、容易に発火しない。一実施形態においては、カートリッジは数キログラムの過マンガン酸ナトリウムを約50lb/ft3の密度で有し、通常の使用率で最大約1カ月のあいだスクラブ性能を発揮する。実施形態においては、二酸化窒素のレベルが所定の安全基準未満まで減少した時に排気ガスが無害化されたと判断し、具体的には約5pp未満、より具体的には約1ppm未満まで減少した時に、無害化されたと判断する。ガスが直接戸外に排出される実施形態においては、より高いレベルの二酸化窒素を許容可能とし、10ppmのレベルでも十分に無害化されたと判断してもよい。
【0049】
一実施形態においては、排気サイクルは滅菌チャンバの一連の排気工程を含んでいてもよい。この方法においては、滅菌チャンバ内の圧力を、例えば90%低減し、滅菌ガスの10%を残して全て排気する。次に、空気又はその他の希釈用の気体をチャンバに充填し、上述の排気を再び行う。容易に理解できるように、各サイクルにおいて滅菌ガスを90%低減するので、3サイクル後には0.1%の滅菌ガスしかチャンバに残っていない。これを必要な回数だけ繰り返すことにより、チャンバの内部を安全な状態にする。排気の割合を高く(例えば99%)にすると、必要な繰り返し回数を減らすことができる一方、排気の割合を低く(例えば80%)にすると、所定の閾値に到達するために必要な繰り返し回数が多くなる。この方法によれば、測定圧力に基づいて排気サイクルを制御することが可能となり、チャンバの内部又はチャンバの出口に専用の二酸化窒素監視装置を設けなくても、内部の二酸化窒素のレベルを把握することができる。
【0050】
一実施形態においては、液体二酸化窒素のボトルの交換を制御することにより、安全性を高める。例えば、インターロックを設けることにより、全ての供給バルブが閉じられパージ工程が行われるまでは、取り外しが行えないようにする。任意の構成として、シリンダが未接続の間、排気ポンプをオンの状態に保つことにより、残留する滅菌ガスがすべてスクラバ及び排気路から排気されるようにし、システムの入力側を通って逆流しないようにしてもよい。滅菌ガスがライン中に存在する時は、同様のインターロックによってスクラバの取り外しあるいは交換を防止してもよい。
【0051】
図7は、本装置の消耗部品の交換プロセスの一実施形態を示すフローチャートである。このプロセスにおける入力及び出力は、例えば上述のグラフィカルユーザーインターフェースにおいて表示してもよいし、他のディスプレイ及び入力装置を用いて表示してもよい。
【0052】
このプロセスは、ステップ250においてメンテナンスコードを入力した際に開始する。ステップ252において、このメンテナンスコードをチェックする。入力されたコードが正しければ、ステップ254においてシリンダバルブを閉じ、ステップ256においてシリンダバルブが閉じたかどうかをチェックする。シリンダバルブが閉じると、ステップ258において、パージプロセスが行われる。ステップ260において、パージプロセスが完了したと判定されると、ステップ262において真空引きを開始し、シリンダの貯留部から空気を抜く。ステップ264において貯留部内で負圧が検出されると、ステップ266において使用者はシリンダ及びシールを取り外す。この時、ステップ268において、スクラバのカートリッジも取り外してもよい。次に、使用者は、ステップ270において新しいカートリッジ及び対応するサービスタグを取り付け、ステップ272において新しいガスシリンダ及びシールを取り付ける。取り付けが終わると、ステップ274において新しいボトルを開け、ステップ276においてリークチェックを行う。ステップ278において保守点検ドアを閉じ、新しいサービスタグを取り付ける。このプロセスでは、両方の消耗品を一度に取り換えているが、これらを別々に取り換えることも可能であり、そのような構成も本発明の範囲に含まれる。
【0053】
装置の制御は、グラフィカルユーザーインターフェースを用いて行ってもよい。グラフィカルユーザーインターフェースは、例えば、動作パラメータ(例えば、滅菌ガスの投入量あるいは濃度、圧力の限界値、サイクル、停止時間、目標圧力など)の制御、計測機器(例えばタイマー、温度計、圧力変換器など)の読み出し、及び、システムにおける種々のバルブ及びコンプレッサーの制御又は状態表示出力を含む。システム警告(例えば、インターロック警告)も、グラフィカルユーザーインターフェースによって表示してもよい。これに代えて、全プロセスを自動化することによって、使用者による入力の必要を無くし、ユーザーインターフェースに代えてディスプレイ又はその他の状態表示器を用いてもよい。
【0054】
一実施形態においては、滅菌サイクルの自動化に加えて、滅菌対象物の出し入れを含む全プロセスを自動化してもよい。この方法においては、滅菌対象物をチャンバに運び、滅菌サイクルの完了時にこれを取り除くことができるロボットアームを設ける。
【0055】
本発明を、現在のところ最も実用的で好ましい実施形態に基づいて説明のために詳細に述べたが、これは単に説明の目的のためのものであり、本発明はここに述べた実施形態に限定されない。すなわち、発明の趣旨及び添付の特許請求の範囲に含まれる変形例及び均等構成は、本発明に含まれる。例えば、本発明は、可能な範囲において、いずれかの実施形態の1つ又はそれ以上の特徴を、他の実施形態の1つ又はそれ以上の特徴と組み合わせることも意図している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物を滅菌する方法であって、順に、
液体二酸化窒素源に対して制御可能に流体連通しているプレ・チャンバを減圧する工程と、
制御した投入量の二酸化窒素を、前記液体二酸化窒素源から前記プレ・チャンバに流入させる工程と、
前記プレ・チャンバを前記液体二酸化窒素源から遮断する工程と、
前記プレ・チャンバと、前記対象物を収容している減圧された滅菌チャンバとの間の流体連通路を開く工程と、
前記対象物を、所定の時間、所定の圧力下で、所定濃度の気体状の二酸化窒素に対して曝露する工程と、を含む方法。
【請求項2】
前記流体連通路を開いた後に前記プレ・チャンバに加圧気体を供給することにより、前記加圧気体、及び前記プレ・チャンバ内に残留している一部の二酸化窒素を、前記滅菌チャンバに流入させる工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記制御した投入量の二酸化窒素を、前記液体二酸化窒素源から前記プレ・チャンバに流入させる工程は、
前記プレ・チャンバ内の圧力を測定する工程と、
前記所定濃度を実現できる投入量をもたらす所定の閾値に、測定した前記圧力が達した時に、前記プレ・チャンバを前記液体二酸化窒素源から遮断する工程と、をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記プレ・チャンバの温度を測定する工程をさらに含み、測定した前記温度に基づいて前記閾値を調整する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記二酸化窒素のガスの濃度は、約5mg/Lと約15mg/Lとの間の範囲である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記曝露する工程は、
前記対象物を、第1の所定時間、第1の所定圧力下で、第1の所定濃度の二酸化窒素に対して曝露する第1の曝露工程と、
前記第1の曝露工程の後に、前記滅菌チャンバから前記二酸化窒素を除去する除去工程と、
前記対象物を、第2の所定時間、第2の所定圧力下で、第2の所定濃度の二酸化窒素に対して曝露する第2の曝露工程と、を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の所定時間、圧力、及び濃度は、前記第2の所定時間、圧力、及び濃度と同じである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記除去工程は、前記滅菌チャンバ内を副チャンバ内に排気する工程を含み、前記第2の曝露工程は、前記副チャンバの内容物を前記滅菌チャンバに流入させる工程を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記第2の曝露工程は、前記除去工程中に凝縮して失われた水分を補うために前記チャンバを加湿する工程を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
液体二酸化窒素源と、
前記液体二酸化窒素源と流体連通しているプレ・チャンバと、
前記プレ・チャンバと連通し、前記プレ・チャンバ内に低圧を形成する真空源と、
前記プレ・チャンバが前記低圧である時に、前記液体二酸化窒素源から前記プレ・チャンバへの二酸化窒素の流入を制御することにより、制御した投入量の二酸化窒素を前記プレ・チャンバに充填するよう構成されたバルブ機構と、
充填された前記プレ・チャンバよりも低い圧力下にある時には、前記二酸化窒素の少なくとも一部が流入してくるように、前記プレ・チャンバと流体連通された滅菌チャンバと、
前記滅菌チャンバに対して制御されたレベルの水分を供給するように構成された加湿源と、
前記滅菌チャンバにおいて滅菌対象物が滅菌ガスに曝露される時間を制御するように構成された制御部と、
前記二酸化窒素のガスの排出前に当該ガスを無害化するよう構成された化学スクラバを有し、前記滅菌チャンバと流体連通している排気機構と、を有する滅菌装置。
【請求項11】
前記加湿源は、
噴霧器と、
制御下において前記噴霧器に対して水を供給するよう構成された流体貯留部と、
制御可能な加圧気体流が前記噴霧器を通過することにより、前記噴霧器内の水が前記加圧気体に取り込まれて前記滅菌チャンバに流入することができるように構成された、前記滅菌チャンバに繋がる流体連通路と、を有する、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記噴霧器を通過させられる制御可能な加圧気体流は、加圧気体源から供給され、バルブ機構によって制御することができる、請求項10に記載の装置。
【請求項13】
前記化学スクラバは、材料を収容する容器を有し、前記材料は、その構造内に二酸化窒素を吸収すること、吸着すること、及び化学結合することからなる群より選択される1つ又はそれ以上の方法によって、二酸化窒素を無害化する働きを行う、請求項10に記載の装置。
【請求項14】
前記化学スクラバは、酸化剤を収容する容器を有し、前記酸化剤は、二酸化窒素を酸化して無毒の固体塩を生成することによって、二酸化窒素を無害化する働きを行う、請求項10に記載の装置。
【請求項15】
液体二酸化窒素源と、
前記二酸化窒素源と流体連通している滅菌チャンバと、
前記滅菌チャンバと流体連通し、前記滅菌チャンバ内の圧力を下げる働きを行う真空源と、
前記液体二酸化窒素源から前記滅菌チャンバへの二酸化窒素の流入を制御することにより、所定量の二酸化窒素を含有する滅菌ガスを生成するよう構成されたバルブ機構と、
前記滅菌チャンバにおいて滅菌対象物が前記滅菌ガスに曝露される時間を制御するよう構成された制御部と、
前記二酸化窒素のガスの排出前に当該ガスを無害化するよう構成された化学スクラバを有し、前記滅菌チャンバと流体連通している排気機構と、を有する滅菌装置。
【請求項16】
前記滅菌チャンバの温度を測定するよう構成された温度センサと、
前記滅菌チャンバ内の湿度レベルを測定するよう構成された湿度センサと、をさらに備える請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記温度センサからの出力に応じて前記滅菌チャンバの前記温度を制御するよう構成された温度制御部と、
前記湿度センサからの出力に応じて前記湿度レベルを制御するよう構成された湿度制御部と、をさらに備える請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記滅菌チャンバは湾曲内面を有しており、
前記滅菌チャンバの周辺部分に配置されたファンと、
前記ファンに隣接して配置され、前記ファンからの空気流を前記チャンバの前記湾曲内面に沿うように導くことにより、前記滅菌チャンバ内における気体の循環及び混合を促進するバッフルと、をさらに有する、請求項15に記載の装置。
【請求項19】
前記滅菌チャンバの内面は疎水性の材料によって形成されている、請求項15に記載の装置。
【請求項20】
選択的に開閉を行うためのロックを有し、前記液体二酸化窒素源を収容しており、気密状である筐体と、
前記筐体と流体連結されており、前記筐体内に負圧を形成するよう構成された真空ポンプと、
前記筐体内で負圧が検知されない限りは前記筐体が開かないように、前記ロックを制御するよう構成されたインターロック制御部と、をさらに有する請求項15に記載の装置。

【図1a】
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【図1b】
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【図2】
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【図3】
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【図4a】
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【図4b】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2012−518485(P2012−518485A)
【公表日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−551275(P2011−551275)
【出願日】平成22年2月22日(2010.2.22)
【国際出願番号】PCT/US2010/024925
【国際公開番号】WO2010/096766
【国際公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【出願人】(506233162)ノクシライザー,インコーポレイテッド (4)
【氏名又は名称原語表記】NOXILIZER, INCORPORATED
【Fターム(参考)】