説明

ガス発生装置

【課題】ホルダ本体とスクイブとを樹脂成形部により一体化していても、成形不良が発生しがたく、かつ、安定して作動させることが可能なガス発生装置の提供。
【解決手段】ガス発生装置S1は、ハウジング17とスクイブ13とを有する。ハウジング13が、ハウジング本体18と、スクイブ13を保持するホルダ23と、を備える。ホルダ23が、金属製のホルダ本体24と、ホルダ本体24とスクイブ13との間に介在される樹脂成形部31と、を備えて、スクイブ13が、樹脂成形部31の成形時に、ホルダ23とともに一体成形されて、ホルダ23に支持される。ホルダ本体24が、スクイブ13の点火部13aを支持可能に内方に突出する支持部26を備える。支持部26が、外表面側を全域にわたって樹脂成形部31により覆われるとともに、ハウジング本体18の軸方向に沿った断面形状を、先端26aにかけて、先細りとして、構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃焼時にガスを発生するガス発生剤を内部に充填させたハウジングと、ハウジング内に収納されてガス発生剤に点火可能とされるスクイブと、を有する構成のガス発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ガス発生装置としては、ハウジングが、ガス発生剤を収納させる筒状のハウジング本体と、スクイブを保持するホルダと、を備えており、ホルダが、金属製のホルダ本体と、ホルダ本体とスクイブとの間に介在される合成樹脂製の樹脂成形部と、を備える構成のものがあった。この従来のガス発生装置では、ホルダ本体が、樹脂成形部の外周側を覆う略筒形状の外筒部と、外筒部におけるガス発生剤側の端部から内方に突出するとともに外筒部の周方向の全域にわたって連続的に形成される突出部と、を備える構成であり、樹脂成形部は、外筒部の内周側において突出部から先端側を露出させているスクイブの導電性ピンの外方を覆うような略筒状のカバー部と、突出部におけるガス発生剤側においてスクイブの点火部の外周側を隙間なく覆うように配置される点火部保持部と、を備える構成である。そして、突出部は、外周側を全域にわたって樹脂成形部により覆われる構成である(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−217059公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
すなわち、従来のガス発生装置では、ホルダ本体に形成される突出部は、外形形状を、略ドーナツ板状としており、ホルダ本体とスクイブとの間に介在される樹脂成形部も、この突出部が進入してくる領域を、くびれさせたような外形形状とされている。そのため、樹脂成形部の成形時に、溶融させた合成樹脂を、ハウジング本体の軸方向の一方の端面側に設けられたゲートから、点火部と突出部との間や、ホルダ本体における突出部に形成される開口部分とスクイブの導電性ピンとの間、等の狭い隙間に流す必要があるが、従来のガス発生装置では、突出部が、ハウジング本体の軸方向に沿った断面において、厚さを略一定として構成されていることから(特許文献1の図2参照)、製造時の樹脂流れが良好でない場合があり、成形不良の発生を抑制する点に、改善の余地があった。
【0005】
本発明は、上述の課題を解決するものであり、ホルダ本体とスクイブとを樹脂成形部により一体化していても、成形不良が発生しがたく、かつ、安定して作動させることが可能なガス発生装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るガス発生装置は、燃焼時にガスを発生するガス発生剤を内部に充填させたハウジングと、ハウジング内に収納されてガス発生剤に点火可能とされるスクイブと、を有する構成とされて、
ハウジングが、ガス発生剤を収納させる収納部を構成する略筒形状の金属製のハウジング本体と、スクイブを保持するホルダと、を備える構成とされ、
スクイブが、ガス発生剤に点火可能にガス発生剤側に配置される点火部と、点火部からハウジング本体の軸方向に略沿って延びる一対の導電性ピンと、を備え、
ホルダが、金属製のホルダ本体と、ホルダ本体とスクイブとの間に介在される合成樹脂製の樹脂成形部と、を備えて、
スクイブが、樹脂成形部の成形時に、ホルダとともに一体成形されて、ホルダに支持される構成とされ、
樹脂成形部が、点火部の外周側をガス発生剤側の領域を除いて略全域にわたって隙間なく覆って点火部を保持する点火部保持部と、導電性ピンにおけるハウジング本体の軸直交方向の外方を覆い可能な略筒状のカバー部と、を備える構成のガス発生装置であって、
ホルダ本体が、
樹脂成形部の外周側を覆う略筒形状の外筒部と、
点火部保持部とカバー部との間の領域において、作動時におけるスクイブの点火部を支持可能に、外筒部から内方に突出するとともに、外筒部の周方向の全域にわたって連続的に形成される支持部と、
を備える構成とされ、
支持部が、外筒部から突出する外表面側を全域にわたって樹脂成形部により覆われるとともに、ハウジング本体の軸方向に沿った断面形状を、先端にかけて、先細りとして、構成されていることを特徴とする。
【0007】
本発明のガス発生装置では、ホルダ本体が、外筒部から内方に突出するとともに、外筒部の周方向の全域にわたって連続的に形成されて、作動時のスクイブの点火部を支持する支持部を有する構成であるものの、この支持部は、ハウジング本体の軸方向に沿った断面形状を、先端にかけて、先細りとして、構成されている。そのため、樹脂成形部の成形によるスクイブとホルダ本体との一体成形時に、支持部の厚みを先端側にかけて一定とする場合と比較して、支持部と点火部との間の隙間を大きく確保することができることから、ハウジング本体の軸方向の一方の端面側に設けられたゲートから、合成樹脂を流入させる際に、点火部と支持部との間の隙間や、支持部における導電性ピンを突出させるための開口部分と導電性ピンとの間の隙間等の、狭い隙間への樹脂流れを良好とすることができ、成形不良が発生することを、極力防止することができる。また、本発明のガス発生装置では、支持部を先端にかけて先細りとしていることから、支持部の厚みを先端側にかけて一定とする場合と比較して、支持部と点火部との間の隙間を大きく確保しやすく、支持部に形成される開口を極力小さくすることができる。換言すれば、本発明のガス発生装置では、支持部の内側への突出量を極力大きくすることができる。そのため、作動時に、反動でガス発生剤側から遠ざかるように移動しようとするスクイブの点火部を、金属製の支持部により確実に支持させることができる。
【0008】
したがって、本発明のガス発生装置では、ホルダ本体とスクイブとを樹脂成形部により一体化していても、成形不良が発生しがたく、かつ、安定して作動させることができる。
【0009】
また、本発明のガス発生装置において、ハウジング本体に、ホルダにおけるガス発生剤側の端面に当接可能な環状当接部を配設させて、ハウジング本体を、環状当接部をハウジング本体の軸方向に沿ってホルダ側に押圧するようにして、連結手段によりホルダに対して連結させる構成とする場合、
樹脂成形部において、点火部保持部近傍であって、支持部とハウジング本体の軸方向に沿って重なる領域に、環状当接部におけるホルダ側の面を全周にわたって当接されるフランジ部を、配設させる構成とすることが好ましい。
【0010】
ガス発生装置を上記構成とすれば、ハウジング本体とホルダとの連結時に、ホルダの樹脂成形部に形成されるフランジ部が、ハウジング本体の環状当接部と当接されることから、連結作業時、環状当接部をホルダ側に向かって押圧する押圧力が、フランジ部を押し込むように作用することとなっても、フランジ部は、ホルダ本体や環状当接部と比較して、弾性変形するような態様となる。すなわち、上記構成のガス発生装置では、フランジ部が、環状当接部によって押圧されて変形することとなっても、ホルダとハウジング本体との連結後に、連結手段による連結状態を維持しつつ、環状当接部との間の隙間を生めるように復元するような態様となることから、環状当接部との間に隙間を生じることを極力防止することができる。また、上記構成のガス発生装置では、支持部と環状当接部とフランジ部とが、ハウジング本体の軸方向に沿って相互に重なるように並設されていることから、環状当接部を当接させて押圧状態のフランジ部を、支持部により支持させることができて、連結手段によるホルダとハウジング本体との連結時に、環状当接部を押圧する押圧力が、フランジ部を必要以上に大きく押し込むことも、抑制できる。
【0011】
すなわち、上記構成のガス発生装置では、ホルダの樹脂成形部に形成されるフランジ部が、Oリングのような作用を奏することとなって、ハウジング本体の環状当接部との間に隙間を生じ難く、かつ、ホルダの支持部との間にも隙間が生じ難いことから、ハウジング本体とホルダとの間に隙間が生じ難く、ハウジング内の気密性を良好に保持することができる。そのため、ハウジング本体内に湿気が進入し難く、スクイブの作動時におけるガス発生剤の良好な燃焼状態を、長期間にわたって確保することができる。
【0012】
さらに、上記構成のガス発生装置において、支持部を、元部側の部位のハウジング本体の軸方向に沿った厚さ寸法をフランジ部におけるハウジング本体の軸方向に沿った厚さ寸法よりも大きくするように、構成し、
連結手段として、環状当接部の外周縁の裏面側を略全周にわたって覆うように、ハウジング本体の軸方向に沿って押圧してかしめられるかしめ部を、ホルダ本体に、形成し、
かしめ部を、環状当接部に対してハウジング本体の軸方向に沿って相互に重なるように、支持部側から延びて、環状当接部外周縁の裏面側を、略全周にわたって覆うように、配置させる構成とすることが好ましい。
【0013】
ガス発生装置を上記構成とすれば、かしめ部によって、ハウジング本体をホルダに対して強固に連結させることができる。また、ホルダ本体側に、支持部側から延びるかしめ予定部を形成し、このかしめ予定部を、環状当接部の外周縁の裏面側を略全周にわたって覆うように、ハウジング本体の軸方向に沿って押圧してかしめれば、かしめ部が形成されて、ハウジング本体をホルダに対して連結させることができることから、高い寸法精度を必要とせず、安価に製造することができる。また、支持部が、元部側の部位のハウジング本体の軸方向に沿った厚さ寸法を、フランジ部におけるハウジング本体の軸方向に沿った厚さ寸法よりも大きく設定されていることから、かしめ部によるハウジング本体のホルダへの連結時に、支持部によって、フランジ部を安定して支持することができる。
【0014】
さらにまた、上記構成のガス発生装置において、支持部におけるハウジング本体の軸方向に沿った断面形状を、先端をガス発生剤側に向けるように、傾斜させて構成すれば、支持部をハウジング本体の軸直交方向に略沿わせて配設させる場合と比較して、フランジ部を支持している支持部の元部側の部位を、ガス発生剤から離れた位置に配置させることができることから、ホルダ本体に形成されるかしめ部の位置も、支持部をハウジング本体の軸直交方向に略沿わせて配設させる場合と比較して、ガス発生剤から離れた側(導電性ピン側)に配置させることが可能となる。そのため、ホルダ本体のハウジング本体の軸方向に沿った長さ寸法を、小さくすることも可能となる。
【0015】
さらにまた、上記ガス発生装置では、支持部によりスクイブの点火部を強固に支持できることから、作動時において、ガス発生剤を燃焼させて発生するガスにより、インフレーターに配置される破裂板を破裂させる構成のインフレーターの作動装置にも、好適に使用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態であるガス発生装置を用いた作動装置を有するインフレーターの概略縦断面図である。
【図2】図1のインフレーターにおける作動装置の部位を示す部分拡大断面図である。
【図3】図2の作動装置におけるかしめ部のかしめ工程を説明する部分拡大断面図である。
【図4】本発明の他の実施形態である作動装置の概略縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。実施形態では、エアバッグに膨張用ガスを供給するハイブリッドタイプのインフレーター1の作動装置として使用されているガス発生装置を、例に採り説明する。なお、実施形態では、特に断らない限り、インフレーター1における後述するガス充填部3の軸方向(作動装置S1における後述するカップ18の軸方向)に沿った方向を上下方向とし、インフレーター1における口金部4側(作動装置S1のカップ18側)を上方とし、作動装置S1のスクイブ13側を下方として、説明をする。
【0018】
実施形態のインフレーター1は、図1に示すように、外形形状を略円柱状としたシリンダタイプとされるもので、略円筒状のガス充填部3の一端(上端)側に、ガス吐出口5を備えた口金部4を配設させ、他端(下端)側に、ガス発生装置としての作動装置S1を配設させた構成とされている。
【0019】
ガス充填部3は、鋼製の金属パイプから形成されるもので、軸方向の両端側を開口させた略円筒状として、軸方向に沿った両端側を、それぞれ、口金部4、及び、作動装置S1を収納させるケース部9、により閉塞されて、内部に、窒素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガス、又は、それらの混合ガス等からなる加圧ガスを充填させた構成とされている。
【0020】
口金部4は、鋼等の金属材料から形成されるもので、図1に示すように、ガス充填部3の一端(上端)側を閉塞するように配設されている。この口金部4は、元部4a(下端)側の周縁を溶接されてガス充填部3に固定されるとともに、先端4b(上端)側に、複数のガス吐出口5を備える構成とされている。実施形態の場合、口金部4は、先端4b側の部位を、元部4a側の部位よりも小径として、ガス吐出口5を、先端4b側において、略円筒状の外周面の周方向に沿った全域にわたって多数配設させた構成とされている。
【0021】
また、口金部4の元部4a側には、口金部4とガス充填部3とを区画してガス吐出口5を塞ぐように、破裂板7が、配設されている(図1参照)。この破裂板7は、作動装置S1の作動時に、作動装置S1のカップ18内に充填されたガス発生剤15が燃焼して発生した燃焼ガスがガス充填部3内に流出されて、ガス充填部3内に充填された加圧ガスが昇温され、ガス充填部3内の内圧が上昇した際に、破裂して、口金部4をガス充填部3に連通させ、ガス吐出口5から膨張用ガスを吐出させることとなる。
【0022】
ガス発生装置としての作動装置S1は、図1,2に示すように、ガス充填部3の他端(下端)側を閉塞するように配設されるケース部9内に、収納されている。このケース部9は、鋼等の金属材料から形成されるもので、両端側を開口させた略円筒状とされており、実施形態の場合、作動装置S1のホルダ23を収納させる下端側の領域を上端側より大径として、構成されている。また、このケース部9は、下端側の部位を、作動装置S1における後述するホルダ本体24側に押圧するようにかしめることにより、作動装置S1を保持する構成とされている。ケース部9におけるガス充填部3側(上端側)の端部には、作動装置S1とガス充填部3とを区画するように、破裂板10が、配設されている。この破裂板10は、作動装置S1におけるスクイブ13の作動時において、カップ18における後述する天井壁部21に形成される破断予定部間の部位が開いて、ガス発生剤15の燃焼により発生した燃焼ガスがケース部9内に充満されてケース部9の内圧が上昇した際に、破裂して、作動装置S1とガス充填部3とを連通させ、ガス発生剤15の燃焼により発生した燃焼ガスを、ガス充填部3内に流出させることとなる。
【0023】
ガス発生装置としての作動装置S1は、図2に示すように、燃焼時に燃焼ガスを発生するガス発生剤15を内部に充填させたハウジング17と、ハウジング17内に収納されてガス発生剤15に点火可能とされるスクイブ13と、を備える構成とされている。
【0024】
スクイブ13は、ハウジング17における後述するホルダ23に保持されるようにして、ハウジング17内に収納されている。このスクイブ13は、カップ18内に充填されるガス発生剤15に点火可能にガス発生剤15側に配置される点火部13aと、点火部13aからカップ18(ハウジング本体)の軸方向に沿って下方に延びる一対の導電性ピン13cと、を備えている。このスクイブ13は、点火部13aにおけるガス発生剤15側となる上面側を露出させ、かつ、導電性ピン13cをハウジング17外となる下方に露出させるように、ホルダ23に保持されている。このスクイブ13は、ホルダ23における後述する樹脂成形部31に周囲を保持されるもので、樹脂成形部31の形成時に、スクイブ13と後述するホルダ本体24とをインサート成形することにより、ホルダ23と一体的に成形されて、ホルダ23に保持されている。点火部13a内には、図示しない点火薬が充填されており、導電性ピン13cの導電時に、この点火薬が着火されて燃焼し、点火部13aから火炎が発生して、この火炎が、ハウジング17におけるカップ18内に充填されたガス発生剤15を燃焼させることとなる。
【0025】
ハウジング17は、ガス発生剤15を収納させる収納部を構成する金属製のハウジング本体としてのカップ18と、スクイブ13を保持するホルダ23と、カップ18とホルダ23とを連結させる連結手段CMと、を備えて構成されている。
【0026】
ハウジング本体としてのカップ18内に収納されるガス発生剤15は、燃焼時に燃焼ガスを発生可能な所定の薬剤を、所定形状に成形して構成されるもので、ハウジング17内(詳細に説明すれば、実施形態の場合、ハウジング17におけるスクイブ13の上方となるカップ18と、ホルダ23の樹脂成形部31と、の間の隙間)に、充填されている(図2参照)。
【0027】
ハウジング本体としてのカップ18は、実施形態の場合、有底の円筒のカップ状として構成されるもので、ホルダ23から延びる略円筒状の周壁部19と、周壁部19におけるホルダ23から離れた上端側を塞ぐように構成される略円板状の天井壁部21と、を備える構成とされている。カップ18におけるホルダ23側となる開口18a(周壁部19の下端側)の周縁には、外方に鍔状に突出する略円環状の環状当接部20が、全周にわたって形成されている。カップ18は、実施形態の場合、アルミニウム合金等の金属製とされており、ガス発生剤15を内部に充填させた状態で、開口18aの周縁に形成される環状当接部20を、ホルダ23の樹脂成形部31における後述するフランジ部33に当接させ、ホルダ本体24から延びる連結手段CMとしてのかしめ部28を、環状当接部20の外周縁の裏面(上面20b)側を全周にわたって覆うようにかしめることにより、ホルダ23と連結されている。実施形態の場合、環状当接部20は、下面20a(先端面)を、スクイブ13における点火部13aの下面13bと上下方向で略一致させるような位置に、配設されている(図2参照)。なお、実施形態の場合、カップ18は、周壁部19の内径寸法を、樹脂成形部31の後述する点火部保持部32を挿通可能に、点火部保持部32の外径寸法より若干大きくして、構成されている。また、カップ18における天井壁部21には、スクイブ13の作動時に破断可能とされる図示しない薄肉の破断予定部が、天井壁部21の中央から略放射状に延びる線状として、形成されている。そして、天井壁部21は、スクイブ13の作動時に、この破断予定部を破断させ、破断予定部間の部位を、周壁部19との境界部位付近を中心として、放射状に開かせ(図2の二点鎖線参照)、ガス発生剤15が燃焼して発生したガスを、カップ18外であるケース部9の内部に放出させることとなる。
【0028】
ホルダ23は、金属製のホルダ本体24と、ホルダ本体24とスクイブ13との間に介在される合成樹脂製の樹脂成形部31と、を備えて構成されている。
【0029】
ホルダ本体24は、実施形態の場合、アルミニウム合金やステンレス鋼(SUS)等からなる金属製とされて、ホルダ23の外周側の領域を構成する略円筒状の外筒部25と、外筒部25の上端(カップ18側の端部)近傍となる位置に形成される支持部26と、を備えている。外筒部25は、支持部26の下方の領域において、樹脂成形部31の外周側(具体的には、後述するカバー部35の外周側)を覆うように、構成されている。この外筒部25は、導電性ピン13cを保護するために、ある程度の長さを必要とする部位であり、かつ、カバー部35にリード線を結線させた図示しないコネクタを接続させる際に、カバー部35の下端側を、外筒部25の軸直交方向の外側に向かって弾性的に撓み可能(復元可能)なように、カバー部35の下端側の領域を露出させている。
【0030】
支持部26は、樹脂成形部31における後述する点火部保持部32とカバー部35との間の領域において、スクイブ13の点火部13aを支持可能に、外筒部25から内方に突出するとともに、外筒部25の周方向の全域にわたって連続的に形成されている。実施形態の場合、支持部26は、外筒部25の軸直交方向に略沿うように、形成されている。また、支持部26は、図2に示すように、外筒部25の軸方向(ハウジング本体としてのカップ18の軸方向であって、上下方向)に沿った断面形状を、先端26aにかけて、先細りとして、構成されるとともに、先端26aを、点火部13aの下方の領域に進入させるようにして、点火部13aの下方を支持可能に構成されている。詳細に説明すれば、実施形態の場合、支持部26は、先端26a側の領域を、点火部13aの側面から、点火部13の外径寸法の1/5程度進入させるように、構成されている。実施形態の場合、支持部26は、先端26a側の部位の厚さT1を、元部26b側の部位の厚さT2の2/3程度として、構成されている(図2参照)。
【0031】
すなわち、支持部26は、中央側にかけて厚みを漸減させるとともに、中央となる位置に略円形の開口26cを有した略ドーナツ板状とされている。そして、支持部26の中央に形成される開口26cは、スクイブ13の導電性ピン13cを挿通可能として、構成されており、導電性ピン13cを除いた領域を樹脂成形部31の連結部36によって埋められている。また、支持部26は、フランジ部33を安定して支持可能に、元部26b側の部位の厚さ(上下方向に沿った厚さ寸法)T2を、樹脂成形部31の後述するフランジ部33の厚さ寸法T3よりも、大きく設定されている(図2参照)。また、この支持部26は、外筒部25から突出する外表面側を全域にわたって、樹脂成形部31により覆われている。そして、支持部26と点火部13aとの離隔距離t1(図3参照)、支持部26の先端26aと導電性ピン13cとの離隔距離t2(開口26cの開口幅寸法、図3参照)、及び、支持部26と樹脂成形部31のカバー部35内周面との離隔距離t3(図3参照)は、ともに、樹脂成形部31の成形時に良好な樹脂流れを確保可能で、かつ、極力小さな寸法に、設定されている。
【0032】
ホルダ本体24におけるカップ18側となる端部側(上端側)には、カップ18に設けられる環状当接部20の外周縁を略全域にわたって覆うようにかしめられて、カップ18とホルダ23とを連結させる連結手段CMとしてのかしめ部28が、形成されている。
【0033】
この連結手段CMとしてのかしめ部28は、支持部26側から延びるように形成されるもので、実施形態の場合、かしめ前の状態では、図3に示すように、外筒部25の上端における外周縁の全周から、外周面を一致させるようにして上方に延びるように形成される略円筒状のかしめ予定部29として、構成されている。そして、かしめ時には、環状当接部20を樹脂成形部31のフランジ部33に当接させるようにして、カップ18をホルダ23上に載置させた状態で、環状当接部20より上方に突出しているかしめ予定部29の先端(上端)側の部位29aを、カップ18の軸心側に倒して、カップ18の軸方向(上下方向)に沿うように、下方(ホルダ23側)に向かって押圧してかしめれば、かしめ部28を形成することができる。かしめ予定部29は、肉厚を、外筒部25よりも薄肉(実施形態の場合、外筒部25の肉厚の1/2程度)として、かつ、外筒部25からの突出距離(長さ寸法)を、かしめ部28の形成時に、環状当接部20における外周面20cから上面20b(裏面)にかけての領域を全域にわたって覆い可能な寸法に、設定されている。また、かしめ予定部29は、環状当接部20を挿通可能として、かつ、環状当接部20の外周側を略隙間なく覆い可能に、内径寸法を、環状当接部20の外径寸法と略一致させるように構成されている。そして、このかしめ部28は、支持部26側から延びて、樹脂成形部31におけるフランジ部33の外周側を覆うとともに、環状当接部20の外周側を、外周面から上面20b(裏面)にかけての全域にわたって覆うこととなり、環状当接部20に対して、カップ18の軸方向(上下方向)に沿って相互に重なるように、配置されることとなる。
【0034】
樹脂成形部31は、ホルダ本体24とスクイブ13との間に介在されるもので、実施形態の場合、スクイブ13の点火部13aを保持する点火部保持部32と、スクイブ13の導電性ピン13cの周囲を覆うカバー部35と、点火部保持部32とカバー部35とを連結するように構成される連結部36と、を備えている。
【0035】
点火部保持部32は、点火部13aにおける外周側を、ガス発生剤15側となる上面側の領域を除いて略全域にわたって隙間なく覆って、点火部13aを保持している。実施形態の場合、点火部保持部32は、点火部13aの外周側において、カップ18の周壁部19との間や、支持部26との間に、介在されるように、構成されるもので、実施形態の場合、点火部13aの側面の下側3/4程度の領域と下面とを、全面にわたって隙間なく覆っている。この点火部保持部32は、上述したように、カップ18内に挿入可能に、外径寸法を、カップ18の周壁部19の内径寸法より若干小さく設定されている。
【0036】
点火部保持部32の下端側(ホルダ本体24側)には、カップ18の環状当接部20を当接させるフランジ部33が、カップ18の周方向に沿った全周にわたって外方に突出するように形成されている。このフランジ部33は、外径寸法を、環状当接部20の外径寸法と略一致させて構成され、上面33a側において、環状当接部20におけるホルダ23側となる先端面(下面20a)を全周(全面)にわたって、当接させる構成である。実施形態の場合、フランジ部33の上面33aは、スクイブ13における点火部13aの下面13bと上下方向で略一致させるような位置に、形成されている(図2参照)。また、フランジ部33の下面33b側は、ホルダ本体24の支持部26により、全周(全面)にわたって支持される構成である。すなわち、実施形態では、環状当接部20、フランジ部33、及び、支持部26が、カップ18の軸方向(上下方向)に沿って相互に重なるように、並設されている。そして、フランジ部33は、上下方向に沿った厚さ寸法3を、支持部26における元部26b側の部位の厚さ寸法T2より小さくして、かつ、かしめ部28によるカップ18とホルダ23とを連結させる際の破損を抑制可能な寸法に、設定されている。
【0037】
カバー部35は、点火部保持部32の下方となる支持部26の下方において、導電性ピン13cにおけるカップ18(ハウジング本体)の軸直交方向の外方を覆うとともに、導電性ピン13cの下端側を露出させるように、下方を開口させ、上方を閉塞させた略円筒形状とされている。このカバー部35は、ホルダ本体24の外筒部25により、上半分程度の領域の外周側を覆われている。また、カバー部35における下端側の内周面には、図示しないリード線を結線させたコネクタに接続させる際に、コネクタに形成される突起部を嵌合可能な凹部(図符号省略)が、形成されている。連結部36は、点火部保持部32とカバー部35とを連結するように、ホルダ本体24における支持部26の開口26c内を埋めつつ、導電性ピン13cの上端側の周囲を隙間なく覆っている部位である。そして、実施形態のホルダ23は、樹脂成形部31の形成時に、ホルダ本体24とスクイブ13とをインサート成形することにより、ホルダ本体24、樹脂成形部31、及び、スクイブ13を、一体的に構成している。
【0038】
実施形態の場合、樹脂成形部31は、6,6−ナイロン、6−ナイロン等のポリアミド樹脂に、ガラス繊維を含有させた合成樹脂製とされている。樹脂成形部31を構成する合成樹脂は、ポリアミド樹脂に限られるものではなく、かしめ部28のかしめ時において、カップ18の軸方向(上下方向)に沿って下方に押し込むような押圧力が作用した際に、弾性変形し、かつ、かしめ後に、かしめ部28のかしめ状態を維持されつつ、復元可能とされるように、縦弾性係数(ヤング率)を低く設定されたものであれば、使用可能である。具体的には、樹脂成形部31を構成する合成樹脂は、縦弾性係数(ヤング率)を、20GPa以下(望ましくは、5〜15GPaの範囲内)に設定されたものを使用することが望ましい。また、実施形態の場合、樹脂成形部31は、ガス発生剤15の燃焼時に、火炎に曝されるため、難燃性のものを使用することが望ましく、さらには、実施形態では、樹脂成形部31は、インサート成形により、スクイブ13及びホルダ本体24と一体的に成形されることから、熱可塑性樹脂から成形する必要がある。そして、これらの点を考慮して、実施形態では、ガラス繊維入りのポリアミド樹脂により、樹脂成形部31を形成している。具体的には、実施形態では、ガラス繊維を30重量%含有させた6,6−ナイロンにより、樹脂成形部31を形成している。
【0039】
実施形態の作動装置S1は、以下のようにして製造することができる。まず、所定形状の図示しない金型に、ホルダ本体24とスクイブ13とをセットし、溶融させた合成樹脂を、ゲートGから、金型のキャビティ内に充満させるように、ホルダ本体24とスクイブ13との間に流入させて、固化させ、ホルダ本体24とスクイブ13とを一体化させた樹脂成形部31を形成する。実施形態の場合、金型内に合成樹脂を流すゲートGは、成形後にバリ取り等の作業が不要となることを考慮して、図2の二点鎖線で示すように、点火部13aの側方となる点火部保持部32の上面に面した位置に、配設されている。勿論、このような点を考慮しなければ、金型内に合成樹脂を流すゲートを、樹脂成形部におけるカバー部の内周面側に設けてもよい。なお、樹脂成形部31の成形時に使用する金型は、外周側を成形する少なくとも二つの割型と、カバー部35の内周側を成形するスライドコアを設けた少なくとも二つの割型と、を設けて構成されている。
【0040】
その後、スクイブ13を一体化させたホルダ23のフランジ部33に、ガス発生剤15を内部に充填させたカップ18の環状当接部20を当接させるようにして、ホルダ23にカップ18を被せ、環状当接部20より上方に突出しているかしめ予定部29の先端(上端)側の部位29aを、カップ18の軸方向に沿うように、下方(ホルダ23側)に向かって押圧してかしめて、連結手段CMとしてのかしめ部28を形成し、ホルダ23とカップ18とを連結させれば、作動装置S1を製造することができる。そして、このようにして製造した作動装置S1は、予め、内部に加圧ガスを充填させた状態のガス充填部3から延びるケース部9内に収納させ、ケース部9の先端(下端)側を、ホルダ本体24側に押圧するようにかしめれば、インフレーター1に取り付けることができる。
【0041】
そして、このような作動装置S1を有したインフレーター1では、エアバッグ装置として車両に搭載した状態において、作動装置S1のスクイブ13に、図示しないリード線を介して作動信号が入力されると、スクイブ13の点火部13aが点火され、カップ18内に充填されたガス発生剤15が燃焼して、燃焼ガスが発生することとなる。また、実施形態の作動装置S1は、スクイブ13の作動時に、カップ18の天井壁部21に形成された破断予定部を破断させ、天井壁部21における破断予定部間の部位を開かせることとなり、ガス発生剤15の燃焼により発生した燃焼ガスが、ケース部9内に充満されてケース部9内の内圧を上昇させて、ガス充填部3とケース部9とを区画している破裂板10を破裂させることとなる。そして、ガス発生剤15を燃焼させて発生した燃焼ガスが、ガス充填部3内に流出し、ガス充填部3内に充填された加圧ガスを昇温させることにより、ガス充填部3内の内圧を上昇させて、ガス充填部3における口金部4側を閉塞している破裂板7を破裂させ、燃焼ガスとガス充填部3内に充填されている加圧ガスとが、膨張用ガスとして、口金部4のガス吐出口5からエアバッグ内に吐出されることとなる。
【0042】
そして、実施形態のインフレーター1に使用される作動装置S1(ガス発生装置)では、ホルダ本体24が、外筒部25から内方に突出するとともに、外筒部25の周方向の全域にわたって連続的に形成されて、作動時のスクイブ13の点火部13aを支持する支持部26を有する構成であるものの、この支持部26は、ハウジング本体としてのカップ18の軸方向に沿った断面形状を、先端26aにかけて、先細りとして、構成されている。そのため、樹脂成形部31の成形によるスクイブ13とホルダ本体24との一体成形時に、支持部26の厚みを先端側にかけて一定とする場合と比較して、支持部26と点火部13aとの間の隙間(図3におけるt1の部位)を大きく確保することができることから、カップ18の軸方向(上下方向)の一方の端面側(実施形態の場合、点火部保持部32の上面側)に設けられたゲートGから、合成樹脂を流入させる際に、点火部13aと支持部26との間の隙間(図3におけるt1の部位)や、支持部26における導電性ピン13cを突出させるための開口26cと導電性ピン13cとの間の隙間の隙間(図3におけるt2の部位)等の、狭い隙間への樹脂流れを良好とすることができ、成形不良が発生することを、極力防止することができる。また、実施形態の作動装置S1では、支持部26を先端26aにかけて先細りとしていることから支持部26の厚みを先端側にかけて一定とする場合と比較して、支持部26と点火部13aとの間の隙間(図3におけるt1の部位)を大きく確保しやすく、支持部26に形成される開口26cを極力小さくすることができる。換言すれば、実施形態の作動装置S1では、支持部26の内側への突出量を極力大きくすることができる。そのため、作動時に、反動でガス発生剤15側から遠ざかるように移動しようとするスクイブ13の点火部13aを、金属製の支持部26により確実に支持させることができる。
【0043】
したがって、実施形態のインフレーター1の作動装置S1では、ホルダ本体24とスクイブ13とを樹脂成形部31により一体化していても、樹脂成形部31の成形時に発生する樹脂流れ不良による成形不良が発生しがたく、かつ、安定して作動させることができる。
【0044】
また、実施形態の作動装置S1では、ハウジング本体としてのカップ18に、ホルダ23におけるガス発生剤15側の端面に当接可能な環状当接部20を配設させて、樹脂成形部31における点火部保持部32の近傍であって、支持部26とカップ18の軸方向に沿って重なる領域に、環状当接部20におけるホルダ23側の面を全周にわたって当接されるフランジ部33を、配設させ、カップ18を、環状当接部20をカップ18の軸方向(上下方向)に沿ってホルダ23側に押圧するようにして、連結手段CMによりホルダ23に対して連結させている。そのため、実施形態の作動装置S1では、カップ18とホルダ23との連結時に、ホルダ23の樹脂成形部31に形成されるフランジ部33が、カップ18の環状当接部20と当接されることから、連結手段CM(かしめ部28)による連結作業時(かしめ時)、環状当接部20をホルダ23側に向かって押圧する押圧力が、フランジ部33を押し込むように作用することとなっても、フランジ部33は、ホルダ本体24や環状当接部20と比較して、弾性変形するような態様となる。
【0045】
すなわち、実施形態の作動装置S1では、フランジ部33が、環状当接部20によって押圧されて変形することとなっても、ホルダ23とカップ18との連結後に、連結手段CMによる連結状態(かしめ部28によるかしめ状態)を維持しつつ、環状当接部20との間の隙間を埋めるように復元するような態様となることから、環状当接部20との間に隙間を生じることを極力防止することができる。また、実施形態のガス発生装置S1では、支持部26と環状当接部20とフランジ部33とが、カップ18の軸方向に沿って相互に重なるように並設されていることから、環状当接部20を当接させて押圧状態のフランジ部33を、支持部26により支持させることができて、連結手段CMによるホルダ23とカップ18との連結時に、環状当接部20を押圧する押圧力が、フランジ部33を必要以上に大きく押し込むことも、抑制できる。その結果、連結手段CMによる連結作業性(かしめ部28のかしめ作業性)も良好である。
【0046】
すなわち、実施形態の作動装置S1では、ホルダ23の樹脂成形部31に形成されるフランジ部33が、Oリングのような作用を奏することとなって、カップ18の環状当接部20との間に隙間を生じ難く、かつ、ホルダ23の支持部26との間にも隙間が生じ難いことから、カップ18とホルダ23との間に隙間が生じ難く、ハウジング17内の気密性を良好に保持することができる。そのため、カップ18内に湿気が進入し難く、スクイブ13の作動時におけるガス発生剤15の良好な燃焼状態を、長期間にわたって確保することができる。
【0047】
また、実施形態の作動装置S1では、ホルダ23とカップ18(ハウジング本体)を連結させる連結手段CMとして、ホルダ23(ホルダ本体24)において支持部26側から延びるように形成されて、環状当接部20の外周側の裏面(上面20b)側を略全面にわたって覆うように、カップ18の軸方向)上下方向に沿って押圧してかしめられるかしめ部28を、用いている。そのため、実施形態の作動装置S1では、ホルダ本体24側に、支持部26側から延びるかしめ予定部29を形成し、このかしめ予定部29を、環状当接部20の外周側の裏面(上面20b)側を略全周にわたって覆うように、カップ18の軸方向(上下方向)に沿って押圧してかしめれば、かしめ部28が形成されて、カップ18をホルダ23に対して連結させることができることから、高い寸法精度を必要とせず、安価に製造することができる。なお、このような点を考慮しなければ、例えば、カップにおける環状当接部の外周面に雄ねじを設け、ホルダ本体における外筒部の内周面に雌ねじを設けて、カップとホルダとをねじ結合により連結させるように、構成してもよい。また、実施形態の作動装置S1では、支持部26が、元部26b側の部位のカップ18の軸方向(上下方向)に沿った厚さ寸法T2を、フランジ部33における上下方向に沿った厚さ寸法T3よりも大きく設定されていることから、かしめ部28によるカップ18のホルダへ23の連結時に、支持部26によって、フランジ部33を安定して支持することができる。
【0048】
また、作動装置S2として、図4に示すものを使用してもよい。この作動装置S2は、図4に示すように、ハウジング17Aを構成するカップ18A及びホルダ23A以外は、前述の作動装置S1と同一の構成であり、同一の部材には、同一の図符号を付して詳細な説明を省略する。ホルダ23Aは、ホルダ本体24Aにおける支持部26Aの外形形状と、かしめ部28Aの上下方向での位置と、を異ならせ、それに合わせて樹脂成形部31Aの外形形状を異ならせている以外は、前述の作動装置S1におけるホルダ23と同様の構成であり、同一の部材には、同一の図符号の末尾に「A」を付して、詳細な説明を省略する。
【0049】
作動装置S2におけるホルダ本体24Aの支持部26Aは、先端26aにかけて先細りとされつつ、カップ18A(ハウジング本体)の軸方向(上下方向)に沿った断面形状を、先端26aをガス発生剤15側となる上方に向けるように、傾斜させて構成されている。換言すれば、支持部26Aは、作動装置S1の支持部26と比較して、元部26b側をガス発生剤15から離れた下方に配置させている。そして、この作動装置S2のホルダ23Aでは、支持部26Aの元部26b側の領域が、下方に位置していることから、支持部26Aの元部26b側により支持されているフランジ部33Aの厚さを一定量確保させた状態で、ホルダ18Aにおける環状当接部20A及びかしめ部28Aを、作動装置S1と比較して下方に位置させることができる。この作動装置S2では、環状当接部20Aの下面20a(フランジ部33Aの上面33a)は、スクイブ13における点火部13aの下面13bより下方に位置しており、かしめ部28Aの上面が、点火部13aの下面13bと上下で略一致した位置に、配置されている。なお、作動装置S2では、フランジ部33Aの上下方向に沿った厚さ寸法T4は、作動装置S1におけるフランジ部33の厚さ寸法T3より小さく設定されているが、かしめ部28Aのかしめ時にも、破損を抑制可能な寸法に、設定されている。そして、この作動装置S2では、カップ18Aは、環状当接部20Aが下方に位置している分、周壁部19Aを下方に延ばすようにして、作動装置S1におけるカップ18よりも上下の長さを大きく設定されている。
【0050】
また、この作動装置S2においても、支持部26Aは、先端26aを、点火部13aの下方の領域に進入させるようにして、点火部13aの下方を支持可能に構成されており、外周側を全域にわたって、樹脂成形部31Aにより覆われている。そして、この作動装置S2においても、支持部26Aと点火部13aとの離隔距離t4(図4参照)、支持部26Aの先端26aと導電性ピン13cとの離隔距離t5(開口26cの開口幅寸法、図2参照)、及び、支持部26Aと樹脂成形部31Aのカバー部35A内周面との離隔距離t6は、それぞれ、樹脂成形部31Aの成形時に良好な樹脂流れを確保可能で、かつ、極力小さな寸法(上述した作動装置S1における離隔距離t1,t2,t3と略一致させた距離)に、設定されている。なお、作動装置S2において、カバー部35Aは、導電性ピン13bのカバー部35Aからの突出量を、作動装置S1における導電性ピン13bのカバー部35からの突出量と一致させるように、構成されている。
【0051】
そして、このような構成の作動装置S2(ガス発生装置)では、上述の作動装置S1のごとく、支持部26をカップ18の軸直交方向に略沿わせて配設させる場合と比較して、支持部26Aの元部26b側の位置を、支持部26Aの傾斜量分だけ、ホルダ本体24Aに対してガス発生剤15側(ハウジング本体側)から離れた側となるとなる下方に位置させることができる。すなわち、作動装置S2では、作動装置S1と比較して、かしめ部28Aのスクイブ13に対する位置を、作動装置S1におけるかしめ部28のスクイブ13に対する位置より相対的に下げることができる。そのため、作動装置S2におけるホルダ本体24Aによりスクイブ13の外周側を覆う領域を作動装置S1と比較して、小さくすることが可能となって、作動装置S2では、ホルダ本体24Aのカップ18の軸方向(上下方向)に沿った長さ寸法L1(図4参照)を、作動装置S1におけるホルダ本体24の上下方向に沿った長さ寸法L2(図2参照)と比較して、小さくすることができる。そのため、図4の二点鎖線で示すようなインフレーター1Aのケース部9A(図1のインフレーター1のケース部9よりも、ホルダを収納する大径の領域の長さ寸法を小さく設定されている)に、好適に収納させることができる。勿論、逆に、支持部を、先端をカバー部側(下方)に向けるように傾斜させれば、ホルダ本体の上下方向に沿った長さ寸法を長くすることも可能となる。すなわち、実施形態の作動装置S1,S2では、支持部26,26Aのカップ18の軸直交方向に対する傾斜角度を変更すれば、ホルダ本体24,24Aの上下方向(ハウジング本体の軸方向)に沿った長さ寸法を適宜調整することができ、使用するインフレーターの外形形状に応じて、容易に設計変更することが可能である。
【0052】
また、この作動装置S2においても、支持部26Aにおける元部26b側の領域と環状当接部20Aとの間に介在されるフランジ部33Aが、環状当接部20Aによって押圧されて変形することとなっても、ホルダ23Aとカップ18Aとの連結後に、かしめ部28Aによるかしめ状態)を維持しつつ、環状当接部20Aとの間の隙間を生めるように復元するような態様となって、環状当接部20Aとの間に隙間を生じることを極力防止することができる。すなわち、作動装置S2においても、ホルダ23Aの樹脂成形部31Aに形成されるフランジ部33Aが、Oリングのような作用を奏することとなって、カップ18Aの環状当接部20Aとの間に隙間を生じ難く、かつ、ホルダ23Aの支持部26Aとの間にも隙間が生じ難いことから、カップ18Aとホルダ23Aとの間に隙間が生じ難く、ハウジング17A内の気密性を良好に保持することができる。
【0053】
なお、実施形態では、ガス発生装置として、インフレーター1の作動装置S1,S2として使用されているものを例に採り説明しているが、本発明のガス発生装置は、マイクロガスジェネレータや、パイロタイプのインフレーターの作動装置としても、使用することができる。実施形態の作動装置S1,S2は、支持部26,26Aによりスクイブ13の点火部13aを強固に支持できることから、実施形態のインフレーター1のごとく、作動時において、ガス発生剤15を燃焼させて発生するガスにより、ケース部9とガス充填部3とを区画している破裂板10を破裂させる際にケース部9の内圧が高くなった際にも、ガス発生剤15側から遠ざかるように移動しようとするスクイブ13の点火部13aを、支持部26,26Aの先端26a側の領域により確実に支持させることができて、このような構成のインフレーター1の作動装置に、好適に使用することができる。
【符号の説明】
【0054】
1…インフレーター、
3…ガス充填部、
9…ケース部、
10…破裂板、
13…スクイブ、
13a…点火部、
13c…導電性ピン、
15…ガス発生剤、
17,17A…ハウジング、
18,18A…ハウジング本体(カップ)、
18a…開口、
20,20A…環状当接部、
20a…下面(先端面)、
23,23A…ホルダ、
24,24A…ホルダ本体、
26,26A…支持部、
26a…先端、
26b…元部、
26c…開口、
28,28A…かしめ部、
31,31A…樹脂成形部、
32,32A…点火部保持部、
33,33A…フランジ部、
35,35A…カバー部、
CM…連結手段、
S1,S2…作動装置(ガス発生装置)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼時にガスを発生するガス発生剤を内部に充填させたハウジングと、該ハウジング内に収納されて前記ガス発生剤に点火可能とされるスクイブと、を有する構成とされて、
前記ハウジングが、前記ガス発生剤を収納させる収納部を構成する略筒形状の金属製のハウジング本体と、前記スクイブを保持するホルダと、を備える構成とされ、
前記スクイブが、前記ガス発生剤に点火可能に前記ガス発生剤側に配置される点火部と、該点火部から前記ハウジング本体の軸方向に略沿って延びる一対の導電性ピンと、を備え、
前記ホルダが、金属製のホルダ本体と、該ホルダ本体と前記スクイブとの間に介在される合成樹脂製の樹脂成形部と、を備えて、
前記スクイブが、前記樹脂成形部の成形時に、前記ホルダとともに一体成形されて、前記ホルダに支持される構成とされ、
前記樹脂成形部が、前記点火部の外周側を前記ガス発生剤側の領域を除いて略全域にわたって隙間なく覆って前記点火部を保持する点火部保持部と、前記導電性ピンにおける前記ハウジング本体の軸直交方向の外方を覆い可能な略筒状のカバー部と、を備える構成のガス発生装置であって、
前記ホルダ本体が、
前記樹脂成形部の外周側を覆う略筒形状の外筒部と、
前記点火部保持部と前記カバー部との間の領域において、作動時における前記スクイブの前記点火部を支持可能に、前記外筒部から内方に突出するとともに、前記外筒部の周方向の全域にわたって連続的に形成される支持部と、
を備える構成とされ、
前記支持部が、前記外筒部から突出する外表面側を全域にわたって前記樹脂成形部により覆われるとともに、前記ハウジング本体の軸方向に沿った断面形状を、先端にかけて、先細りとして、構成されていることを特徴とするガス発生装置。
【請求項2】
前記ハウジング本体が、前記ホルダにおける前記ガス発生剤側の端面に当接可能な環状当接部を有し、該環状当接部を前記ハウジング本体の軸方向に沿って前記ホルダ側に押圧するようにして、連結手段により前記ホルダに対して連結される構成とされ、
前記樹脂成形部が、前記点火部保持部近傍であって、前記支持部と前記ハウジング本体の軸方向に沿って重なる領域に、前記環状当接部における前記ホルダ側の面を全周にわたって当接されるフランジ部を、有していることを特徴とする請求項1に記載のガス発生装置。
【請求項3】
前記支持部が、元部側の部位の前記ハウジング本体の軸方向に沿った厚さ寸法を、前記フランジ部における前記ハウジング本体の軸方向に沿った厚さ寸法よりも大きくするように、構成され、
前記連結手段として、前記環状当接部の外周縁の裏面側を略全周にわたって覆うように、前記ハウジングの軸方向に沿って押圧してかしめられるかしめ部が、前記ホルダ本体に、形成され、
前記かしめ部が、前記環状当接部に対して前記ハウジング本体の軸方向に添って相互に重なるように、前記支持部側から延びて、前記環状当接部外周縁の裏面側を略全面にわたって覆うように、配置されていることを特徴とする請求項2に記載のガス発生装置。
【請求項4】
前記支持部が、前記ハウジング本体の軸方向に沿った断面形状を、先端を前記ガス発生剤側に向けるように、傾斜させて構成されていることを特徴とする請求項3に記載のガス発生装置。
【請求項5】
前記ガス発生装置が、インフレーターの作動装置として使用されるもので、作動時において、前記ガス発生剤を燃焼させて発生するガスにより、前記インフレーターに配置される破裂板を破裂させる構成とされていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のガス発生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−76489(P2012−76489A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−220990(P2010−220990)
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(000241463)豊田合成株式会社 (3,467)
【Fターム(参考)】