ガス警報器
【課題】動作点検をに短時間で行うことのできるガス警報器を提供する。
【解決手段】被検知ガスの存在を検知した検知出力Gが、警報動作レベルW2を超えたときに警報動作し、警報動作レベルW2として、通常動作状態では警報レベルL3を設定し、点検動作状態では警報レベルL3よりも低い警報点検レベルL2を設定するガス警報器であって、点検動作状態において、警報動作を開始して所定時間T3経過後に、警報動作レベルW2として警報レベルL2を設定する。
【解決手段】被検知ガスの存在を検知した検知出力Gが、警報動作レベルW2を超えたときに警報動作し、警報動作レベルW2として、通常動作状態では警報レベルL3を設定し、点検動作状態では警報レベルL3よりも低い警報点検レベルL2を設定するガス警報器であって、点検動作状態において、警報動作を開始して所定時間T3経過後に、警報動作レベルW2として警報レベルL2を設定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検知ガスの存在を検知した検知出力が、所定の警報動作レベルを超えたときに警報動作するガス警報器に関する。
【背景技術】
【0002】
ガス漏れ等を検知して報知するガス警報器は、有事に正しく動作させるために定期的に点検が施されることが好ましい。そして、従来、この種のガス警報器としては、被検知ガスの存在を検知するガス検知手段をそのまま用いて、点検を行うものが知られている。
つまり、例えば、ガス検知手段と報知手段とを有するガス警報器の点検者が、このガス検知手段に、被検知ガス、もしくはこの被検知ガスと同等のガス検知能を示す点検用ガスを供給して、ガス検知手段のガス検知動作や、報知手段の報知動作の動作の確認が行われている。
【0003】
このような点検動作を行う場合、都市ガス警報器のように炭化水素ガスを検知するガス警報器に対しては、点検者が点検用ガスとして入手が容易なライターに充填されているイソブタンガスなどを代用する場合が多い。そしてこのようなガスは非常に濃いので、点検開始時には、ガス検知手段に短時間で濃いガスが急激に供給されて、早く警報手段が動作し始める。しかし、供給された点検用ガスは容易には拡散消散せず、警報動作は長時間にわたって持続することになる。そうすると、警報手段を短時間で作動させたとしても、結局作動停止を待つまでに長時間を要することになり、点検時間は短くはならない。また、妨害ガスフィルタなど、ガス警報器内の他の部材に点検用ガスが吸着し、ガス検知手段に徐々に拡散供給されるような場合、このような現象はより顕著に現れる。
【0004】
このような課題に対して、ガス警報器の動作点検を容易かつ確実に短時間で行えるガス警報器及びその点検機構が、本願の発明者より提案されている(例えば特許文献1)。これは、例えば、通常動作時には、被検知ガスの存在を検知した検知出力が、所定出力の警報出力を超えたときに警報動作する警報機構を備えたガス警報器において、点検動作時には、前記検知出力が、通常のガス検知を行う際の前記所定出力よりも低い警報点検出力を超えたときに前記警報機構に警報動作を行わせるように警報点検レベルを設定するようにしたものである。つまり、警報機構が警報動作をはじめるまでに、上昇させなければならない出力は低く、短時間で警報点検出力に達して警報動作させられることになり、その時間内に供給する点検用ガス量も少なくなる。従って、ガス警報器の点検に用いられた点検用ガスが拡散して、前記検知出力が前記警報動作の不要になるレベルにまで低下するのに長時間を要せず、迅速に点検作業を進行できるようになるというものである。
【0005】
【特許文献1】特開平2002−269657号公報(第2−3頁、第3、4図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、活性炭が用いられた妨害ガスフィルタなどに点検用のガスが付着して、この活性炭が失活することを防止するために、点検用ガスの注入孔を側面に設け、天井部に妨害ガスフィルタを設けたキャップをガスセンサ素子に被せる場合がある。この場合、妨害ガスフィルタを経由せずに、キャップの側面部に設けた注入孔よりキャップ内部のガスセンサ素子へ点検用ガスを導くことができるが、一度キャップ内部に入った点検用ガスの抜けは悪くなる。その結果、点検用ガスが拡散して、特許文献1に示した警報点検レベルを下回るまでの時間も長くなってしまう。このため、長期に亘って警報動作が継続することになる。この警報動作は、しばしば警報音を伴うものであるため、例えば、このような警報音が2〜3分に亘って続くことは、使用者に不安を抱かせることにもなる。
【0007】
本発明は上記課題に鑑みてなされたもので、動作点検を短時間で行うことのできるガス警報器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための本発明に係るガス警報器の特徴構成は、被検知ガスの存在を検知した検知出力が、警報動作レベルを超えたときに警報動作し、前記警報動作レベルとして、通常動作状態では警報レベルを設定し、点検動作状態では前記警報レベルよりも低い警報点検レベルを設定するものであって、前記点検動作状態において、警報動作を開始して所定時間経過後に、前記警報動作レベルとして前記警報レベルを設定する点にある。
【0009】
この特徴構成によれば、ガス警報器の警報動作が正しく作動することを確認した後、不必要に長時間に亘って警報動作を継続させることがない。また、通常動作時に警報動作を作動させるしきい値である警報レベルを警報動作レベルに設定することによって上記効果を得ているので、万が一、点検動作状態にガス漏れが発生した場合でも、警報装置が正しく警報動作する。従って、ガス警報器の安全性を確保したままで点検時間を短縮することができる。
【0010】
さらに上記目的を達成するための本発明に係るガス警報器の特徴構成は、被検知ガスの存在を検知した検知出力が、警報動作レベルを超えたときに警報動作し、前記警報動作レベルよりも低い予備警報動作レベルを超えたときに予備警報動作すると共に、通常動作状態では、前記警報動作レベルとして警報レベルを、前記予備警報動作レベルとして予備警報レベルを設定し、点検動作状態では、前記警報動作レベルとして前記警報レベルよりも低い警報点検レベルを、前記予備警報動作レベルとして前記予備警報レベルよりも低い予備警報点検レベルを設定して、前記点検動作状態において所定時間経過した後、前記通常動作状態に遷移するものであって、前記通常動作状態の開始時に前記検知出力が、前記予備警報レベルを超えている場合は、所定の待機時間が経過するまで、前記予備警報動作しない点にある。
【0011】
この特徴構成によれば、通常動作状態に移行した後にガス警報器内に残留した点検用ガスによる影響で予備警報動作することを、好適に防止することができる。その結果、使用者に不安感を抱かせることもなくなる。また、警報動作と予備警報動作との内、低いレベルでの報知動作である予備警報動作のみを所定の待機期間に亘って動作させないようにして、高いレベルの報知動作である警報動作については、制約をかけていないので、万が一、この待機期間中にガス漏れが発生した場合でも、警報動作する。従って、ガス警報器の安全性を確保したままで、不必要な予備警報動作を抑制することができる。
【0012】
また上記目的を達成するための本発明に係るガス警報器の特徴構成は、被検知ガスの存在を検知した検知出力が、警報動作レベルを超えたときに警報動作し、前記警報動作レベルよりも低い予備警報動作レベルを超えたときに予備警報動作すると共に、通常動作状態では、前記警報動作レベルとして警報レベルを、前記予備警報動作レベルとして予備警報レベルを設定し、点検動作状態では、前記警報動作レベルとして前記警報レベルよりも低い警報点検レベルを、前記予備警報動作レベルとして前記予備警報レベルよりも低い予備警報点検レベルを設定して、前記点検動作状態において所定時間経過した後、前記通常動作状態に遷移するものであって、前記通常動作状態の開始時に前記検知出力が前記予備警報レベルを超えている場合は、前記予備警報レベルを下回るまで、前記予備警報動作しない点にある。
【0013】
この特徴構成によれば、通常動作状態に移行した後にガス警報器内に残留した点検用ガスによる影響で予備警報動作することを、好適に防止することができる。その結果、使用者に不安感を抱かせることもなくなる。また、警報動作と予備警報動作との内、低いレベルでの報知動作である予備警報動作のみに対して、一旦、予備警報レベルを下回るまで、動作させないようにしている。高いレベルの報知動作である警報動作については、制約をかけていないので、万が一、この待機期間中にガス漏れが発生した場合でも、警報動作する。従って、ガス警報器の安全性を確保したままで、不必要な予備警報動作を抑制することができる。
【0014】
さらに上記目的を達成するための本発明に係るガス警報器の特徴構成は、被検知ガスの存在を検知した検知出力が、警報動作レベルを超えたときに警報動作し、前記警報動作レベルよりも低い予備警報動作レベルを超えたときに予備警報動作すると共に、通常動作状態では、前記警報動作レベルとして警報レベルを、前記予備警報動作レベルとして予備警報レベルを設定し、点検動作状態では、前記警報動作レベルとして前記警報レベルよりも低い警報点検レベルを、前記予備警報動作レベルとして前記予備警報レベルよりも低い予備警報点検レベルを設定して、前記点検動作状態において所定時間経過した後、前記通常動作状態に遷移するものであって、前記点検動作状態において、警報動作を開始して所定の時間経過後に、前記警報動作レベルを前記警報レベルに設定し、前記予備警報動作レベルを前記予備警報レベルに設定すると共に、前記通常動作状態の開始時に前記検知出力が、前記予備警報レベルを超えている場合は、所定の待機時間が経過するまで、予備警報動作しない点にある。
【0015】
この特徴構成によれば、ガス警報器の警報動作が正しく作動することを確認した後、不必要に長時間に亘って警報動作及び予備警報動作を継続させることがない。また、通常動作時に警報動作及び予備警報動作を作動させるしきい値である警報レベル及び予備警報レベルを警報動作レベル及び予備警報動作レベルに設定することによって上記効果を得ているので、万が一、点検動作状態にガス漏れが発生した場合には、警報装置が正しく警報動作及び予備警報動作する。従って、ガス警報器の安全性を確保したままで点検時間を短縮することができる。
【0016】
さらにこの特徴構成によれば、通常動作状態に移行した後にガス警報器内に残留した点検用ガスによる影響で警報装置が作動することを、好適に防止することができる。その結果、使用者に不安感を抱かせることもなくなる。また、警報動作と予備警報動作との内、低いレベルでの報知動作である予備警報動作のみを所定の待機期間に亘って動作させないようにして、高いレベルの報知動作である警報動作については、制約をかけていないので、万が一、この待機期間中にガス漏れが発生した場合でも、警報装置は正しく警報動作する。従って、ガス警報器の安全性を確保したままで、警報装置の不必要な作動を抑制することができる。
【0017】
さらにこの特徴構成に加えて、前記点検動作状態において、前記予備警報動作レベルを前記予備警報レベルに設定した後は、前記点検動作状態において予備警報動作しないようにすることもできる。
【0018】
このように構成すると、警報動作を確認した後、警報装置は直ちに被検知ガスを検知していないことを示す報知状態となるので、点検作業がさらに早く完了する。点検作業に際して、ガス警報器に点検用ガスを供給すると、まず予備警報状態となり、次に警報状態となるので、警報状態までの確認が完了すれば点検作業としては充分である。従って、警報状態の後に、再度予備警報状態を確認する必要性は低く、このように構成することによって点検作業が早く完了する。
【0019】
また、上記各特徴構成を有するガス警報器は、電源投入時から所定の立上時間経過後に点検動作状態となると好ましい。
点検スイッチによって点検状態となり、その後所定の点検時間経過後、通常動作状態へ復帰したり、点検スイッチによって点検状態となり、復帰スイッチによって通常動作状態となるようなガス警報器に対して、上記各特徴を有するように構成することによっても、本発明の効果は充分に得られるものである。しかし、電源投入時から所定の立上時間経過後に点検動作状態となれば、点検漏れが生じることもなく、また、前記点検時間経過後に通常動作状態となると、点検を行った際に通常動作状態に戻すことを忘れるなどの不都合を発生することもないので、より好ましい構成となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の実施形態に係るガス警報器の一例を示す概略ブロック図である。図1に示すように、本例のガス警報器は、被検知ガスの存在を検知するガス検知部1と、このガス検知部1が所定濃度以上の被検知ガスを検知したことを判断する制御部2と、ガス濃度が異常であることやガス警報器の状態を報知するための警報装置3とを備えている。
【0021】
[ガス検知部]
図2は、図1のガス検知部が有するガスセンサの一例を示す斜視図である。被検知ガスを検知するガス検知部1には、ガスセンサ40が設けられており、このガスセンサ40に、被検知ガスとして例えば可燃性ガスに感度を有するガス検知素子4を備えている。ガスセンサ40の被検知ガスが流入する被検知ガス流入孔には、例えば、妨害ガスを吸着する活性炭等が含有された通気性の多孔質シート14が備えられている。また、点検時には、多孔質シート14を介さず被検知ガスを直接ガス検知素子4に到達させることが可能なように、点検用ガス注入孔としてのピンホール15が設けられている。このガスセンサ40(ガス検知素子4)は、図1に示すようにブリッジ回路等に組み込んで出力信号を得られる構成とされており、このガスセンサ40で得られた被検知ガスの検知出力Gは、出力部16を経て制御部2へ出力される。尚、このブリッジ回路は、制御部2内の計測部9内のタイマー(後述する第二タイマー)に基づく制御によって所定の間隔DTでパルス的に通電して、ブリッジ出力を得るように構成することができる(制御経路は不図示)。
【0022】
図3は、図2のガスセンサが有するガス検知素子の一例を示す斜視図である。このガス検知素子は、例えば、図3に示すように白金、パラジウム、白金−パラジウム合金等の貴金属線コイル11上に、酸化スズ等の金属酸化物半導体を主成分とする感応層12を塗布焼成して形成してある熱線型半導体式ガス検知素子である。さらに、その感応層12の外表面には、他の妨害ガスを除去して可燃性ガスの選択性を向上させるフィルタ層13を設けてあっても良い。
【0023】
[制御部]
続いて制御部2の構成について図1に基づいて説明する。制御部2は好適には、マイクロコンピュータ(マイコン)や論理回路などを用いて構成される。制御部2を一つのマイコンで構成しても良いし、例えばフラッシュメモリやA/DコンバータやOPアンプなどの複数の素子と組み合わせて構成しても良い。
【0024】
制御部2へ入力された検知出力Gは、レベル設定部6に設定された所定のしきい値を超えているかどうかを比較部5において判定される。このしきい値レベルは記憶部10に格納されている。本例においては、警報動作レベルW2と、警報動作レベルW2よりも低いレベルの予備警報動作レベルW1の二つのしきい値に対して、これらを超えているかどうかが判定される。従って、レベル設定部6には、これら二つに対してしきい値が設定されており、これらしきい値は記憶部10から読み出されて設定される。以下、この二つのしきい値、警報動作レベルW2と予備警報動作レベルW1とを有する構成に基づいて説明するが、勿論、一つのしきい値(例えば警報動作レベルW2)のみを有する構成であっても本発明を適用することは可能である。
【0025】
上記警報動作レベルW2及び予備警報動作レベルW1と、検知出力Gとの比較部5における判定結果に基づいて、主制御部7は報知の可否を判断する。主制御部7は、報知の必要があると判断した場合は、警報制御部8に警報装置3を駆動するように指示を出す。警報制御部8は、警報装置3の各部に対し、それぞれに応じた警報動作(報知動作)を行うように制御する。具体的には、主制御部7は、比較部5から検知出力Gが、警報動作レベルW2を超えているとの判定結果を受け取ると、警報制御部8に対して警報動作を起動するように指示を出す。警報動作レベルW2は超えていないが、予備警報動作レベルW1を超えているとの判定結果を受け取ると、警報制御部8に対して予備警報動作を起動するように指示を出す。予備警報動作レベルW1にも達していない場合は警報制御部8に対して現在の制御を継続するように指示を出す。勿論、新たな指示を出さずに警報制御部8が現在の制御を継続していても良い。尚、制御部2内の計測部9には、タイマーやカウンターが含まれており、ガス検知部1から検知出力Gを得る所定の間隔DTを計測したり、後述する本例のガス警報器の各種動作状態の期間を計測したりする機能を受け持っている。
【0026】
[警報装置]
続いて警報装置3の構成について図1に基づいて説明する。制御部2の警報制御部8によって制御される警報装置3の各部とは、例えば、緑色LED(発光ダイオード)31、赤色LED32、ブザー33である。尚、本例で、緑色LED31は、ガス警報器に電源が投入されていることを示すパイロットランプでもある。例えば、この緑色LED31は、電源投入後、本例のガス警報器が初期化処理中などの期間には点滅し、電源投入後所定の立上時間T1を経過すると点灯する。この立上時間T1は、本例では計測部9内の第一タイマーによって計測されている。制御部2において、検知出力Gが警報動作レベルW2を超えていると判定され、警報動作するように制御された場合には、赤色LED32は点灯し、ブザー33は鳴動する。同様に予備警報動作するように制御された場合には、赤色LED32は点滅し、ブザー33は停止する。
【0027】
[制御フロー]
本例のガス警報器は、電源投入後、所定の立上時間T1を経過すると点検動作状態となり、この点検動作状態を所定の点検時間T2の間継続し、点検動作状態を終えると通常動作状態となるように制御されている。これらの時間の計測は計測部9内の第一タイマーで行われている。勿論、点検スイッチなどが設けられ、このスイッチによって点検状態となり、その後所定の点検時間T2経過後、通常動作状態へ復帰したり、点検スイッチによって点検状態となり、復帰スイッチによって通常動作状態となるように制御されていても良い。本例のように、電源投入時から所定の立上時間T1経過後に点検動作状態となれば、点検漏れが生じることもなく、また、点検時間T2経過後に通常動作状態となると、点検を行った際に通常動作状態に戻すことを忘れるなどの不都合を発生することもないので、より好ましい構成となる。
【0028】
次に、本実施形態のガス警報器の制御を図4〜6に基づいて説明する。図4〜6は、本発明の実施形態に係るガス警報器の制御の一例を示すフローチャートである。本例のガス警報器は、図4に示すように電源投入後、所定の立上時間T1を経過するまでの間に初期化処理を含む立上動作を行い(#100)、この立上動作状態の後、図5に示すように所定の点検時間T2を経過するまで点検動作状態となって点検動作を行い(#200)、この点検動作状態を終えると、図6に示すように通常動作状態となって通常動作を行う(#300)ように制御されている。以下、各処理の詳細について説明する。
【0029】
[立上動作]
図4に基づいて、立上動作について説明する。本例のガス警報器は、電源投入によって動作を開始し(#0)、まず始めに初期化処理(#1)を行う。ここで、初期化処理とは、制御部2内の各部への初期値の設定などであり、例えば、計測部9が有する第一タイマー、第二タイマー及びカウンターのリセットや、緑色LED31を点滅動作させる動作指示などである。また、レベル設定部6が有する警報動作レベルW2及び予備警報動作レベルW1はそれぞれ、通常動作状態の時の値よりも低い値に設定される(#2)。即ち、警報動作レベルW2は警報レベルではなく、警報点検レベルである所定の第二段階レベルL2に設定される。予備警報動作レベルW1は予備警報レベルではなく、予備警報点検レベルである所定の第一段階レベルL1に設定される。
【0030】
尚、本例では通常動作状態において、警報動作レベルW2に設定される警報レベルは第三段階レベルL3であり、予備警報動作レベルW1に設定される予備警報レベルは第二段階レベルL2である。各段階レベルL1〜L3は、
第三段階レベルL3 > 第二段階レベルL2 > 第一段階レベルL1
の関係であり、立上動作時にレベル設定部6に設定される警報動作レベルW2及び予備警報動作レベルW1は、通常動作状態の警報動作レベルW2及び予備警報動作レベルW1に対して、一段階ずつ低い値である。尚、本例では、L1〜L3の三段階を設け、点検動作の際の警報動作レベルW2と、通常動作の際の予備警報動作レベルW1とを同じ第二段階レベルL2としているが、これを異ならせて例えばL1〜L4の四段階を設けるようにしても良い。
【0031】
続いて、第一タイマーが所定の立上時間T1を経過したか否かを確認する(#3)。本例では、この立上時間T1を30秒に設定している。第一タイマーは初期化ステップ#1でゼロにリセットされているので、これは電源投入から立上時間T1を経過したか否かを確認していることになる。そして、立上時間T1を経過していない場合はステップ#3を繰り返す。この間、緑色LED31は警報制御部8によって点滅させられており、立上動作状態であることを報知している。
【0032】
立上時間T1を経過したことが確認されると(#3)、検知出力Gを取り込むと共に、緑色LED31を点灯させて、立上動作の終了を報知する。同時に第一タイマー、第二タイマーをゼロにリセットする(#4)。第二タイマーはガス検知部1からの検知出力Gを取り出す所定の間隔DTを計測しており、本例ではこの所定の間隔DTを10秒としている。
【0033】
次にガス検知部1からの検知出力Gが予備警報動作レベルW1(=第一段階レベルL1)を超えているかどうかを判定する(#5)。ここで、予備警報動作レベルW1を超えていた場合は、ガス漏れ中に電源が投入された可能性があるので、点検動作の処理(#200)には移行せず、図中$2の経路より通常動作の処理(#300)へ移行する。予備警報動作レベルW1を超えていない場合は、図中$1の経路より、点検動作の処理(#200)に移行する。
【0034】
[点検動作]
続いて図5に基づいて、点検動作について説明する。点検動作状態に入ると、第二タイマーが所定の間隔DTを経過したか否か確認し(#6)、経過していなければ経過するまで確認を繰り返す。そして、所定の間隔DTを経過したことを確認すると、第二タイマーをリセットすると共に、検知出力Gを取り込み(#7)、続いて検知出力Gの判定が行われる。尚、判定に用いる警報動作レベルW2及び予備警報動作レベルW1は、すでにステップ#2にて点検動作状態用の値に設定されているので、そのまま用いられる。
【0035】
まず、検知出力Gが予備警報動作レベルW1(=予備警報点検レベル=第一段階レベルL1)を超えているか否かを判定する(#8)。予備警報動作レベルW1を超えていると判断されると、次に、警報動作レベルW2(=警報点検レベル=第二段階レベルL2)を超えているか否かを判定する(#9)。警報動作レベルW2を超えていると判定されると、警報制御部8によって警報装置3を警報動作させるように指示し(#10a)、計測部9が有するカウンターをインクリメント(+1)する(#11a)。これにより、赤色LED32が点灯し、ブザー33が鳴動する。ステップ#9で警報動作レベルW2を超えていないと判定されると、警報制御部8によって警報装置3を予備警報動作させるように指示し(#10b)、その後計測部9の有するカウンターをリセットする(#11b)。このカウンターは警報動作中である期間を計測するために設けられているので、警報動作を行っていない時にはリセットされる。従って、ステップ#8で予備警報動作レベルW1を超えていないと判定された場合にも、ステップ11bでこのカウンターはリセットされる。
【0036】
ステップ#10aで警報動作の指示を出し、ステップ#11aで警報動作の継続時間を計測するカウンターをインクリメントすると、次にステップ#12において、
カウンターの値 = 所定の確認時間/所定の間隔 = T3/DT
を満足するか否かを確認する。この所定の確認時間T3とは、点検動作状態において検知出力Gが、継続して警報レベルを超えたことを充分に確認できたとみなす時間であり、本例では30秒としている。すでに述べたように本例では、所定の間隔DTごとに検知出力Gを得るようにしており、この所定の間隔DTは10秒である。従ってT3/DT=3であり、カウンターの値が3に達していれば、被検知ガスの検知出力Gが所定の確認時間T3の30秒間継続して警報動作レベルW2を超えたことになる。
【0037】
ここで、検知出力Gが所定の確認時間T3である30秒間継続して警報動作レベルW2を超えていれば、警報動作レベルW2を第二段階レベルL2から第三段階レベルL3へ、予備警報レベルを第一段階レベルL1から第二段階レベルL2へと設定変更する(#13)。
第三段階レベルL3 > 第二段階レベルL2 > 第一段階レベルL1
の関係であり、警報動作レベルW2及び予備警報動作レベルW1は、点検動作状態でありながら、通常動作時のしきい値へと一段階ずつ高いしきい値へと上がったことになる。このように制御することによって、確認時間T3(=30秒間)の間の警報動作の確認の後、しきい値レベルを上げるので、ガス警報器内部に拡散しきれていないガスが残っていても、警報動作を早期に終了させることができる。
【0038】
続いて、第一タイマーが所定の点検時間T2を経過したかどうか確認する(#14)。所定の点検時間T2とは、本例のガス警報器が点検動作状態を継続する時間であり、本例では3分30秒としている。第一タイマーの値が点検時間T2に達しておらず、点検動作状態を継続する場合は、ステップ#6へ戻り点検動作の制御(#200)を継続する。第一タイマーの値が点検時間T2に達している場合は、$2の経路で通常動作の制御(#300)へ移行し、以下に説明する通常動作の制御(#300)が行われる。
【0039】
[通常動作]
続いて図6に基づいて通常動作について説明する。通常動作状態に移行すると、まず、警報動作又は予備警報動作を行っているか否かを確認し(#15)、行っている場合は第一タイマーをリセットし(#16a)、行っていない場合は第一タイマーに所定の待機時間T4をセットする(#16b)。点検動作状態の終盤に被検知ガスを注入されて、警報動作又は予備警報動作を行う状態となった場合には、通常動作状態に移行しても被検知ガスが拡散しきれず、少なくとも予備警報動作状態が継続する場合がある。そこで、通常動作状態に移行した時点において、警報動作又は予備警報動作を行っている場合は、点検動作が延長されることを見越して、通常動作状態への移行時から待機時間T4の間は、予備警報動作しないように、後段の判定処理(#22)で制御するためである。尚、本例では、ステップ#15において「警報又は予備警報指示中か?」という判定を行うようにしたが、「検知出力は予備警報レベル(=第二段階レベルL2)を超えているか?」としても良い。
【0040】
通常動作状態に移行した時点において警報動作又は予備警報動作を行っていない場合は、ステップ16bで第一タイマーに待機時間T4をセットしているが、これは後段の判定処理(#22)において、すでに待機時間T4が過ぎているものとして判定されるようにするためである。
【0041】
続いて、警報動作レベルW2を警報レベルである第三段階レベルL3、予備警報動作レベルW1を予備警報レベルである第二段階レベルL2に設定する(#17)。点検動作(#200)においてステップ#13を経由するとは限らず、また立上動作(#100)から直接通常動作状態となる場合もあり、これらの場合は、警報動作レベルW2及び予備警報動作レベルW1は、点検動作状態に適した設定のままであるので、ステップ#17において、通常動作に適した値に再設定する必要がある。この設定が済むと、ステップ#18で所定の間隔DTごとに被検知ガスの検知出力Gを取り込んで、検知出力Gのレベル判定を行う。
【0042】
点検動作状態の時と同様に、まず、検知出力Gが予備警報動作レベルW1(=予備警報レベル=第二段階レベルL2)を超えているか否かを判定する(#20)。予備警報動作レベルW1を超えていなければ、ステップ18へ戻り、所定の間隔DTで検知出力Gの判定を繰り返す。予備警報動作レベルW1を超えていれば、次に警報動作レベルW2(=警報レベル=第三段階レベルL3)を超えているか否かを判定する(#21)。ここで、警報レベルW1を超えていれば、上述の待機時間T4には関係なく、警報装置3の赤色LED32を点灯させ、ブザー33を鳴動させるように制御する(#23b)。一方、警報動作レベルW2を超えていなければ、このときの検知出力Gは予備警報動作をすべき値であるので、第一タイマーが待機時間T4を経過しているか否かを確認し(#22)、待機時間T4を超えていれば、警報装置3の赤色LED33を点滅させる(#23a)。待機時間T4を超えていなければ、ステップ18へ戻る。以降、この通常動作状態を繰り返し実行する。
【0043】
ここで、待機時間T4の間、報知動作しないように制御されるのは予備警報動作のみであり、警報動作については報知するように制御されている。このように制御することによって、万が一、待機時間T4の間に本当のガス漏れがあった場合には、警報動作は行うので、ガス漏れ検知の空白期間を作らずに好適である。
【0044】
本例では、待機時間T4を設けて、この間予備警報動作を停止させる例について説明したが、例えば、検知出力Gが予備警報動作レベルW1を下回るまで予備警報動作を停止させるようにすることもできる。この場合は、図6に示すフローチャートで、ステップ#22のNo側への分岐後に「第一タイマーをリセット」、ステップ#20のNo側に分岐した後に「第一タイマーにT4をセット」とする処理を加えれば良い。このようにすると、ステップ#22でNo側へ分岐した場合には常に待機時間T4がリセットされるので、ステップ#22でYes側へ分岐することが無くなり、その間予備警報動作は起動されない。そして、この間に被検知ガスが拡散し、検知出力Gが予備警報動作レベルW1を下回ると、ステップ#20のNo側への分岐後に第一タイマーがT4にセットされるので、次に検知出力Gが予備警報動作レベルW2を超えた時には、ステップ#22から#23aへと分岐し、予備警報動作が起動される。
【0045】
また、上記を組み合わせるともでき、検知出力Gが予備警報動作レベルW1を下回るか、あるいは、待機時間T4を経過するまで、予備警報動作を起動しないようにすることもできる。この場合は、図6に示すフローチャートで、ステップ#20のNo側に分岐した後に「第一タイマーにT4をセット」とする処理を加えれば良い。検知出力Gが予備警報動作レベルW1を下回るまでに待機時間T4が経過すれば、ステップ#22から#23aへ分岐し、待機時間T4が経過するまでに検知出力Gが予備警報動作レベルW1を下回れば、ステップ#20のNo側への分岐後に第一タイマーにT4がセットされるので、それ以降は、予備警報動作が起動されるようになる。
【0046】
尚、所定の確認時間T3及び所定の待機時間T4は、設定変更が可能であり、好適には本例におけるガス検出部1からの検知出力Gをサンプリングする所定の間隔DTの単位で設定できるように構成すると良い。例えば、本例では間隔DTが10秒であるので、確認時間T3を30秒(DT×3)、待機時間T4を60秒(DT×6)とした例を示した。この設定については、記憶部10に設定しておくことが可能である。例えば、記憶部10が8ビットのビット幅を有するメモリを有する場合は、ハードウェア構成上は0〜255の数値の設定が可能であり、確認時間T3及び待機時間T4は、理論上0〜2550秒の範囲を10秒間隔で設定できる。実際には、ソフトウェアプログラムや実動作上の仕様などから好適な範囲を設定可能範囲として定める。
【0047】
以下、図7から図11に基づいて、上記フローに沿った動作例について説明する。尚、この動作例においては、電源投入後30秒で点検動作状態となり、点検動作状態を3分30秒継続した後、通常動作状態となるように制御されている。また、警報動作レベルW2を実線で、予備警報動作レベルW1を点線で示している。
[第一動作例]
図7に示すように、点検動作状態では、警報動作レベルW2は第二段階レベルL2に、予備警報動作レベルW1は第一段階レベルL1に設定されている。ガス検知部1による検知出力Gが、1分30秒付近で予備警報動作レベルW1(=第一段階レベルL1)を超えると赤色LED32を点滅させて、予備警報動作を行う。そして、さらに上昇した検知出力Gが、1分40秒付近で警報動作レベルW2(=第二段階レベルL2)を超えると、赤色LED32を点灯させると共にブザー33を鳴動させて、警報動作を行う。この警報動作状態が所定の確認時間T3(本例では30秒)継続すると、警報動作レベルW2は第二段階レベルL2から第三段階レベルL3に、予備警報動作レベルW1は第一段階レベルL1から第二段階レベルL2へと更新される。そのため、検知出力Gは、警報動作レベルW2(=第三段階レベルL3)を下回り、警報動作状態から予備警報動作状態へと遷移する。その後、検知出力Gが予備警報動作レベルW1(第二段階レベルL2)を下回ると、予備警報状態も終了し、警報装置3は電源投入時から2分40秒の時点で正常状態を示す報知状態となる。このように短期間で点検を完了できる。
【0048】
ここで、本発明に係るガス警報器のような制御がなされず、図8に示すように点検動作状態の間は、警報動作レベルW2及び予備警報動作レベルW1が固定されていると、同じ波形の検知出力Gであっても、警報動作状態は1分に亘って継続する。予備警報状態を終了して警報装置3が正常状態を示す報知状態となるのは、電源投入時から3分20秒の時点である。従って、点検の終了までに長時間を要することになる。
【0049】
[第二動作例]
図9に示す検知出力Gは、点検動作状態の終盤(3分50秒付近)になって警報動作レベルW2(=第二段階レベルL2)を超えるような波形である。従って、警報状態が30秒間継続する前に点検動作状態から通常動作状態へと移行し、それに伴って警報動作レベルW2は、第二段階レベルL2から第三段階レベルL3に、予備警報動作レベルW1は第一段階レベルL1から第二段階レベルL2へと更新される。その結果、第二段階レベルL2は上回るものの第三段階レベルL3を下回る検知出力Gは、警報動作状態から予備警報状態へと遷移することになる。
【0050】
しかし、すでにガス警報器としては通常動作状態に入っているので、この報知は使用者に誤認を生じさせ、誤認に基づく不安を与える可能性がある。従って、図9に示すように、通常動作状態へ遷移した直後から、点検用ガスの拡散に充分と考えられる期間、例えば所定の待機時間T4(本例では60秒)の間については、予備警報動作を行わないようにしている。尚、この間に本当のガス漏れが生じた場合には、検知出力Gが警報レベル(=第三段階レベルL3)を超えて警報状態となり、ガス漏れを報知するので安全上の問題はない。
【0051】
ここで、本発明に係るガス警報器のように所定の待機時間T4を設けた制御がなされない場合は、図9と同様の波形の検知出力Gであったとしても、図10に示すように、通常動作状態に遷移した後に予備警報状態が継続してしまう。
【0052】
[第三動作例]
上記第二動作例で、通常動作状態に遷移した直後は、点検用ガスの影響に起因する予備警報動作を一定期間行わせないようにする動作例を説明した。これを、点検動作状態においても、採用することができる。点検用ガスを供給すると、まず予備警報状態となり、次に警報状態となるので、警報状態までの確認が完了すれば点検作業としては充分である。従って、警報状態の後に現れる予備警報状態の再度の確認は必ずしも必要なものではない。そこで、点検動作状態において、一度警報動作状態となり、この警報動作状態を所定の確認時間T3継続した後は、予備警報動作をさせないように制御しておいても良い。
【0053】
このように制御するには、例えば、図5に示したフローチャートのステップ#13において、警報動作レベルW2と予備警報動作レベルW1とを共に第三段階レベルL3に設定すれば良い。このように制御すると、一度警報動作状態となり、この警報動作状態を所定の確認時間T3継続した後は、警報動作レベルW2と予備警報動作レベルW1とが同じしきい値となる。従って、この設定以降、点検動作中(#200)においては、ステップ#8でYes側に分岐した場合には、ステップ#9も必ずYes側に分岐することとなり、ステップ#10bの予備警報動作指示へと分岐することがなくなるので、結果として予備警報動作を行わせないようにすることができる。
【0054】
このように動作した場合の例を、第一動作例と同じ波形の検知出力Gについて示したものが、図11である。点検動作状態における一度警報動作状態となってこの警報動作状態を所定の確認時間T3継続した後の所定の時間T5(点検完了時間T5)は、予備警報動作を行わせないようにしている。図7と比較して、さらに短時間で点検が完了している。
【0055】
以上説明したように本発明によって、動作点検を短時間で行うことのできるガス警報器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の実施形態に係るガス警報器の一例を示す概略ブロック図
【図2】図1のガス検知部が有するガスセンサの一例を示す斜視図
【図3】図2のガスセンサが有するガス検知素子の一例を示す斜視図
【図4】本発明の実施形態に係るガス警報器の制御の一例を示すフローチャート
【図5】本発明の実施形態に係るガス警報器の制御の一例を示すフローチャート
【図6】本発明の実施形態に係るガス警報器の制御の一例を示すフローチャート
【図7】本発明の実施形態に係るガス警報器のガス検知動作の第一の例を示す図
【図8】ガス警報器のガス検知動作の第一の例を示す図
【図9】本発明の実施形態に係るガス警報器のガス検知動作の第二の例を示す図
【図10】ガス警報器のガス検知動作の第二の例を示す図
【図11】本発明の実施形態に係るガス警報器のガス検知動作の第三の例を示す図
【符号の説明】
【0057】
G 検知出力
L3 第三段階レベル
L2 第二段階レベル
T3 確認時間
W2 警報動作レベル
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検知ガスの存在を検知した検知出力が、所定の警報動作レベルを超えたときに警報動作するガス警報器に関する。
【背景技術】
【0002】
ガス漏れ等を検知して報知するガス警報器は、有事に正しく動作させるために定期的に点検が施されることが好ましい。そして、従来、この種のガス警報器としては、被検知ガスの存在を検知するガス検知手段をそのまま用いて、点検を行うものが知られている。
つまり、例えば、ガス検知手段と報知手段とを有するガス警報器の点検者が、このガス検知手段に、被検知ガス、もしくはこの被検知ガスと同等のガス検知能を示す点検用ガスを供給して、ガス検知手段のガス検知動作や、報知手段の報知動作の動作の確認が行われている。
【0003】
このような点検動作を行う場合、都市ガス警報器のように炭化水素ガスを検知するガス警報器に対しては、点検者が点検用ガスとして入手が容易なライターに充填されているイソブタンガスなどを代用する場合が多い。そしてこのようなガスは非常に濃いので、点検開始時には、ガス検知手段に短時間で濃いガスが急激に供給されて、早く警報手段が動作し始める。しかし、供給された点検用ガスは容易には拡散消散せず、警報動作は長時間にわたって持続することになる。そうすると、警報手段を短時間で作動させたとしても、結局作動停止を待つまでに長時間を要することになり、点検時間は短くはならない。また、妨害ガスフィルタなど、ガス警報器内の他の部材に点検用ガスが吸着し、ガス検知手段に徐々に拡散供給されるような場合、このような現象はより顕著に現れる。
【0004】
このような課題に対して、ガス警報器の動作点検を容易かつ確実に短時間で行えるガス警報器及びその点検機構が、本願の発明者より提案されている(例えば特許文献1)。これは、例えば、通常動作時には、被検知ガスの存在を検知した検知出力が、所定出力の警報出力を超えたときに警報動作する警報機構を備えたガス警報器において、点検動作時には、前記検知出力が、通常のガス検知を行う際の前記所定出力よりも低い警報点検出力を超えたときに前記警報機構に警報動作を行わせるように警報点検レベルを設定するようにしたものである。つまり、警報機構が警報動作をはじめるまでに、上昇させなければならない出力は低く、短時間で警報点検出力に達して警報動作させられることになり、その時間内に供給する点検用ガス量も少なくなる。従って、ガス警報器の点検に用いられた点検用ガスが拡散して、前記検知出力が前記警報動作の不要になるレベルにまで低下するのに長時間を要せず、迅速に点検作業を進行できるようになるというものである。
【0005】
【特許文献1】特開平2002−269657号公報(第2−3頁、第3、4図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、活性炭が用いられた妨害ガスフィルタなどに点検用のガスが付着して、この活性炭が失活することを防止するために、点検用ガスの注入孔を側面に設け、天井部に妨害ガスフィルタを設けたキャップをガスセンサ素子に被せる場合がある。この場合、妨害ガスフィルタを経由せずに、キャップの側面部に設けた注入孔よりキャップ内部のガスセンサ素子へ点検用ガスを導くことができるが、一度キャップ内部に入った点検用ガスの抜けは悪くなる。その結果、点検用ガスが拡散して、特許文献1に示した警報点検レベルを下回るまでの時間も長くなってしまう。このため、長期に亘って警報動作が継続することになる。この警報動作は、しばしば警報音を伴うものであるため、例えば、このような警報音が2〜3分に亘って続くことは、使用者に不安を抱かせることにもなる。
【0007】
本発明は上記課題に鑑みてなされたもので、動作点検を短時間で行うことのできるガス警報器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための本発明に係るガス警報器の特徴構成は、被検知ガスの存在を検知した検知出力が、警報動作レベルを超えたときに警報動作し、前記警報動作レベルとして、通常動作状態では警報レベルを設定し、点検動作状態では前記警報レベルよりも低い警報点検レベルを設定するものであって、前記点検動作状態において、警報動作を開始して所定時間経過後に、前記警報動作レベルとして前記警報レベルを設定する点にある。
【0009】
この特徴構成によれば、ガス警報器の警報動作が正しく作動することを確認した後、不必要に長時間に亘って警報動作を継続させることがない。また、通常動作時に警報動作を作動させるしきい値である警報レベルを警報動作レベルに設定することによって上記効果を得ているので、万が一、点検動作状態にガス漏れが発生した場合でも、警報装置が正しく警報動作する。従って、ガス警報器の安全性を確保したままで点検時間を短縮することができる。
【0010】
さらに上記目的を達成するための本発明に係るガス警報器の特徴構成は、被検知ガスの存在を検知した検知出力が、警報動作レベルを超えたときに警報動作し、前記警報動作レベルよりも低い予備警報動作レベルを超えたときに予備警報動作すると共に、通常動作状態では、前記警報動作レベルとして警報レベルを、前記予備警報動作レベルとして予備警報レベルを設定し、点検動作状態では、前記警報動作レベルとして前記警報レベルよりも低い警報点検レベルを、前記予備警報動作レベルとして前記予備警報レベルよりも低い予備警報点検レベルを設定して、前記点検動作状態において所定時間経過した後、前記通常動作状態に遷移するものであって、前記通常動作状態の開始時に前記検知出力が、前記予備警報レベルを超えている場合は、所定の待機時間が経過するまで、前記予備警報動作しない点にある。
【0011】
この特徴構成によれば、通常動作状態に移行した後にガス警報器内に残留した点検用ガスによる影響で予備警報動作することを、好適に防止することができる。その結果、使用者に不安感を抱かせることもなくなる。また、警報動作と予備警報動作との内、低いレベルでの報知動作である予備警報動作のみを所定の待機期間に亘って動作させないようにして、高いレベルの報知動作である警報動作については、制約をかけていないので、万が一、この待機期間中にガス漏れが発生した場合でも、警報動作する。従って、ガス警報器の安全性を確保したままで、不必要な予備警報動作を抑制することができる。
【0012】
また上記目的を達成するための本発明に係るガス警報器の特徴構成は、被検知ガスの存在を検知した検知出力が、警報動作レベルを超えたときに警報動作し、前記警報動作レベルよりも低い予備警報動作レベルを超えたときに予備警報動作すると共に、通常動作状態では、前記警報動作レベルとして警報レベルを、前記予備警報動作レベルとして予備警報レベルを設定し、点検動作状態では、前記警報動作レベルとして前記警報レベルよりも低い警報点検レベルを、前記予備警報動作レベルとして前記予備警報レベルよりも低い予備警報点検レベルを設定して、前記点検動作状態において所定時間経過した後、前記通常動作状態に遷移するものであって、前記通常動作状態の開始時に前記検知出力が前記予備警報レベルを超えている場合は、前記予備警報レベルを下回るまで、前記予備警報動作しない点にある。
【0013】
この特徴構成によれば、通常動作状態に移行した後にガス警報器内に残留した点検用ガスによる影響で予備警報動作することを、好適に防止することができる。その結果、使用者に不安感を抱かせることもなくなる。また、警報動作と予備警報動作との内、低いレベルでの報知動作である予備警報動作のみに対して、一旦、予備警報レベルを下回るまで、動作させないようにしている。高いレベルの報知動作である警報動作については、制約をかけていないので、万が一、この待機期間中にガス漏れが発生した場合でも、警報動作する。従って、ガス警報器の安全性を確保したままで、不必要な予備警報動作を抑制することができる。
【0014】
さらに上記目的を達成するための本発明に係るガス警報器の特徴構成は、被検知ガスの存在を検知した検知出力が、警報動作レベルを超えたときに警報動作し、前記警報動作レベルよりも低い予備警報動作レベルを超えたときに予備警報動作すると共に、通常動作状態では、前記警報動作レベルとして警報レベルを、前記予備警報動作レベルとして予備警報レベルを設定し、点検動作状態では、前記警報動作レベルとして前記警報レベルよりも低い警報点検レベルを、前記予備警報動作レベルとして前記予備警報レベルよりも低い予備警報点検レベルを設定して、前記点検動作状態において所定時間経過した後、前記通常動作状態に遷移するものであって、前記点検動作状態において、警報動作を開始して所定の時間経過後に、前記警報動作レベルを前記警報レベルに設定し、前記予備警報動作レベルを前記予備警報レベルに設定すると共に、前記通常動作状態の開始時に前記検知出力が、前記予備警報レベルを超えている場合は、所定の待機時間が経過するまで、予備警報動作しない点にある。
【0015】
この特徴構成によれば、ガス警報器の警報動作が正しく作動することを確認した後、不必要に長時間に亘って警報動作及び予備警報動作を継続させることがない。また、通常動作時に警報動作及び予備警報動作を作動させるしきい値である警報レベル及び予備警報レベルを警報動作レベル及び予備警報動作レベルに設定することによって上記効果を得ているので、万が一、点検動作状態にガス漏れが発生した場合には、警報装置が正しく警報動作及び予備警報動作する。従って、ガス警報器の安全性を確保したままで点検時間を短縮することができる。
【0016】
さらにこの特徴構成によれば、通常動作状態に移行した後にガス警報器内に残留した点検用ガスによる影響で警報装置が作動することを、好適に防止することができる。その結果、使用者に不安感を抱かせることもなくなる。また、警報動作と予備警報動作との内、低いレベルでの報知動作である予備警報動作のみを所定の待機期間に亘って動作させないようにして、高いレベルの報知動作である警報動作については、制約をかけていないので、万が一、この待機期間中にガス漏れが発生した場合でも、警報装置は正しく警報動作する。従って、ガス警報器の安全性を確保したままで、警報装置の不必要な作動を抑制することができる。
【0017】
さらにこの特徴構成に加えて、前記点検動作状態において、前記予備警報動作レベルを前記予備警報レベルに設定した後は、前記点検動作状態において予備警報動作しないようにすることもできる。
【0018】
このように構成すると、警報動作を確認した後、警報装置は直ちに被検知ガスを検知していないことを示す報知状態となるので、点検作業がさらに早く完了する。点検作業に際して、ガス警報器に点検用ガスを供給すると、まず予備警報状態となり、次に警報状態となるので、警報状態までの確認が完了すれば点検作業としては充分である。従って、警報状態の後に、再度予備警報状態を確認する必要性は低く、このように構成することによって点検作業が早く完了する。
【0019】
また、上記各特徴構成を有するガス警報器は、電源投入時から所定の立上時間経過後に点検動作状態となると好ましい。
点検スイッチによって点検状態となり、その後所定の点検時間経過後、通常動作状態へ復帰したり、点検スイッチによって点検状態となり、復帰スイッチによって通常動作状態となるようなガス警報器に対して、上記各特徴を有するように構成することによっても、本発明の効果は充分に得られるものである。しかし、電源投入時から所定の立上時間経過後に点検動作状態となれば、点検漏れが生じることもなく、また、前記点検時間経過後に通常動作状態となると、点検を行った際に通常動作状態に戻すことを忘れるなどの不都合を発生することもないので、より好ましい構成となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の実施形態に係るガス警報器の一例を示す概略ブロック図である。図1に示すように、本例のガス警報器は、被検知ガスの存在を検知するガス検知部1と、このガス検知部1が所定濃度以上の被検知ガスを検知したことを判断する制御部2と、ガス濃度が異常であることやガス警報器の状態を報知するための警報装置3とを備えている。
【0021】
[ガス検知部]
図2は、図1のガス検知部が有するガスセンサの一例を示す斜視図である。被検知ガスを検知するガス検知部1には、ガスセンサ40が設けられており、このガスセンサ40に、被検知ガスとして例えば可燃性ガスに感度を有するガス検知素子4を備えている。ガスセンサ40の被検知ガスが流入する被検知ガス流入孔には、例えば、妨害ガスを吸着する活性炭等が含有された通気性の多孔質シート14が備えられている。また、点検時には、多孔質シート14を介さず被検知ガスを直接ガス検知素子4に到達させることが可能なように、点検用ガス注入孔としてのピンホール15が設けられている。このガスセンサ40(ガス検知素子4)は、図1に示すようにブリッジ回路等に組み込んで出力信号を得られる構成とされており、このガスセンサ40で得られた被検知ガスの検知出力Gは、出力部16を経て制御部2へ出力される。尚、このブリッジ回路は、制御部2内の計測部9内のタイマー(後述する第二タイマー)に基づく制御によって所定の間隔DTでパルス的に通電して、ブリッジ出力を得るように構成することができる(制御経路は不図示)。
【0022】
図3は、図2のガスセンサが有するガス検知素子の一例を示す斜視図である。このガス検知素子は、例えば、図3に示すように白金、パラジウム、白金−パラジウム合金等の貴金属線コイル11上に、酸化スズ等の金属酸化物半導体を主成分とする感応層12を塗布焼成して形成してある熱線型半導体式ガス検知素子である。さらに、その感応層12の外表面には、他の妨害ガスを除去して可燃性ガスの選択性を向上させるフィルタ層13を設けてあっても良い。
【0023】
[制御部]
続いて制御部2の構成について図1に基づいて説明する。制御部2は好適には、マイクロコンピュータ(マイコン)や論理回路などを用いて構成される。制御部2を一つのマイコンで構成しても良いし、例えばフラッシュメモリやA/DコンバータやOPアンプなどの複数の素子と組み合わせて構成しても良い。
【0024】
制御部2へ入力された検知出力Gは、レベル設定部6に設定された所定のしきい値を超えているかどうかを比較部5において判定される。このしきい値レベルは記憶部10に格納されている。本例においては、警報動作レベルW2と、警報動作レベルW2よりも低いレベルの予備警報動作レベルW1の二つのしきい値に対して、これらを超えているかどうかが判定される。従って、レベル設定部6には、これら二つに対してしきい値が設定されており、これらしきい値は記憶部10から読み出されて設定される。以下、この二つのしきい値、警報動作レベルW2と予備警報動作レベルW1とを有する構成に基づいて説明するが、勿論、一つのしきい値(例えば警報動作レベルW2)のみを有する構成であっても本発明を適用することは可能である。
【0025】
上記警報動作レベルW2及び予備警報動作レベルW1と、検知出力Gとの比較部5における判定結果に基づいて、主制御部7は報知の可否を判断する。主制御部7は、報知の必要があると判断した場合は、警報制御部8に警報装置3を駆動するように指示を出す。警報制御部8は、警報装置3の各部に対し、それぞれに応じた警報動作(報知動作)を行うように制御する。具体的には、主制御部7は、比較部5から検知出力Gが、警報動作レベルW2を超えているとの判定結果を受け取ると、警報制御部8に対して警報動作を起動するように指示を出す。警報動作レベルW2は超えていないが、予備警報動作レベルW1を超えているとの判定結果を受け取ると、警報制御部8に対して予備警報動作を起動するように指示を出す。予備警報動作レベルW1にも達していない場合は警報制御部8に対して現在の制御を継続するように指示を出す。勿論、新たな指示を出さずに警報制御部8が現在の制御を継続していても良い。尚、制御部2内の計測部9には、タイマーやカウンターが含まれており、ガス検知部1から検知出力Gを得る所定の間隔DTを計測したり、後述する本例のガス警報器の各種動作状態の期間を計測したりする機能を受け持っている。
【0026】
[警報装置]
続いて警報装置3の構成について図1に基づいて説明する。制御部2の警報制御部8によって制御される警報装置3の各部とは、例えば、緑色LED(発光ダイオード)31、赤色LED32、ブザー33である。尚、本例で、緑色LED31は、ガス警報器に電源が投入されていることを示すパイロットランプでもある。例えば、この緑色LED31は、電源投入後、本例のガス警報器が初期化処理中などの期間には点滅し、電源投入後所定の立上時間T1を経過すると点灯する。この立上時間T1は、本例では計測部9内の第一タイマーによって計測されている。制御部2において、検知出力Gが警報動作レベルW2を超えていると判定され、警報動作するように制御された場合には、赤色LED32は点灯し、ブザー33は鳴動する。同様に予備警報動作するように制御された場合には、赤色LED32は点滅し、ブザー33は停止する。
【0027】
[制御フロー]
本例のガス警報器は、電源投入後、所定の立上時間T1を経過すると点検動作状態となり、この点検動作状態を所定の点検時間T2の間継続し、点検動作状態を終えると通常動作状態となるように制御されている。これらの時間の計測は計測部9内の第一タイマーで行われている。勿論、点検スイッチなどが設けられ、このスイッチによって点検状態となり、その後所定の点検時間T2経過後、通常動作状態へ復帰したり、点検スイッチによって点検状態となり、復帰スイッチによって通常動作状態となるように制御されていても良い。本例のように、電源投入時から所定の立上時間T1経過後に点検動作状態となれば、点検漏れが生じることもなく、また、点検時間T2経過後に通常動作状態となると、点検を行った際に通常動作状態に戻すことを忘れるなどの不都合を発生することもないので、より好ましい構成となる。
【0028】
次に、本実施形態のガス警報器の制御を図4〜6に基づいて説明する。図4〜6は、本発明の実施形態に係るガス警報器の制御の一例を示すフローチャートである。本例のガス警報器は、図4に示すように電源投入後、所定の立上時間T1を経過するまでの間に初期化処理を含む立上動作を行い(#100)、この立上動作状態の後、図5に示すように所定の点検時間T2を経過するまで点検動作状態となって点検動作を行い(#200)、この点検動作状態を終えると、図6に示すように通常動作状態となって通常動作を行う(#300)ように制御されている。以下、各処理の詳細について説明する。
【0029】
[立上動作]
図4に基づいて、立上動作について説明する。本例のガス警報器は、電源投入によって動作を開始し(#0)、まず始めに初期化処理(#1)を行う。ここで、初期化処理とは、制御部2内の各部への初期値の設定などであり、例えば、計測部9が有する第一タイマー、第二タイマー及びカウンターのリセットや、緑色LED31を点滅動作させる動作指示などである。また、レベル設定部6が有する警報動作レベルW2及び予備警報動作レベルW1はそれぞれ、通常動作状態の時の値よりも低い値に設定される(#2)。即ち、警報動作レベルW2は警報レベルではなく、警報点検レベルである所定の第二段階レベルL2に設定される。予備警報動作レベルW1は予備警報レベルではなく、予備警報点検レベルである所定の第一段階レベルL1に設定される。
【0030】
尚、本例では通常動作状態において、警報動作レベルW2に設定される警報レベルは第三段階レベルL3であり、予備警報動作レベルW1に設定される予備警報レベルは第二段階レベルL2である。各段階レベルL1〜L3は、
第三段階レベルL3 > 第二段階レベルL2 > 第一段階レベルL1
の関係であり、立上動作時にレベル設定部6に設定される警報動作レベルW2及び予備警報動作レベルW1は、通常動作状態の警報動作レベルW2及び予備警報動作レベルW1に対して、一段階ずつ低い値である。尚、本例では、L1〜L3の三段階を設け、点検動作の際の警報動作レベルW2と、通常動作の際の予備警報動作レベルW1とを同じ第二段階レベルL2としているが、これを異ならせて例えばL1〜L4の四段階を設けるようにしても良い。
【0031】
続いて、第一タイマーが所定の立上時間T1を経過したか否かを確認する(#3)。本例では、この立上時間T1を30秒に設定している。第一タイマーは初期化ステップ#1でゼロにリセットされているので、これは電源投入から立上時間T1を経過したか否かを確認していることになる。そして、立上時間T1を経過していない場合はステップ#3を繰り返す。この間、緑色LED31は警報制御部8によって点滅させられており、立上動作状態であることを報知している。
【0032】
立上時間T1を経過したことが確認されると(#3)、検知出力Gを取り込むと共に、緑色LED31を点灯させて、立上動作の終了を報知する。同時に第一タイマー、第二タイマーをゼロにリセットする(#4)。第二タイマーはガス検知部1からの検知出力Gを取り出す所定の間隔DTを計測しており、本例ではこの所定の間隔DTを10秒としている。
【0033】
次にガス検知部1からの検知出力Gが予備警報動作レベルW1(=第一段階レベルL1)を超えているかどうかを判定する(#5)。ここで、予備警報動作レベルW1を超えていた場合は、ガス漏れ中に電源が投入された可能性があるので、点検動作の処理(#200)には移行せず、図中$2の経路より通常動作の処理(#300)へ移行する。予備警報動作レベルW1を超えていない場合は、図中$1の経路より、点検動作の処理(#200)に移行する。
【0034】
[点検動作]
続いて図5に基づいて、点検動作について説明する。点検動作状態に入ると、第二タイマーが所定の間隔DTを経過したか否か確認し(#6)、経過していなければ経過するまで確認を繰り返す。そして、所定の間隔DTを経過したことを確認すると、第二タイマーをリセットすると共に、検知出力Gを取り込み(#7)、続いて検知出力Gの判定が行われる。尚、判定に用いる警報動作レベルW2及び予備警報動作レベルW1は、すでにステップ#2にて点検動作状態用の値に設定されているので、そのまま用いられる。
【0035】
まず、検知出力Gが予備警報動作レベルW1(=予備警報点検レベル=第一段階レベルL1)を超えているか否かを判定する(#8)。予備警報動作レベルW1を超えていると判断されると、次に、警報動作レベルW2(=警報点検レベル=第二段階レベルL2)を超えているか否かを判定する(#9)。警報動作レベルW2を超えていると判定されると、警報制御部8によって警報装置3を警報動作させるように指示し(#10a)、計測部9が有するカウンターをインクリメント(+1)する(#11a)。これにより、赤色LED32が点灯し、ブザー33が鳴動する。ステップ#9で警報動作レベルW2を超えていないと判定されると、警報制御部8によって警報装置3を予備警報動作させるように指示し(#10b)、その後計測部9の有するカウンターをリセットする(#11b)。このカウンターは警報動作中である期間を計測するために設けられているので、警報動作を行っていない時にはリセットされる。従って、ステップ#8で予備警報動作レベルW1を超えていないと判定された場合にも、ステップ11bでこのカウンターはリセットされる。
【0036】
ステップ#10aで警報動作の指示を出し、ステップ#11aで警報動作の継続時間を計測するカウンターをインクリメントすると、次にステップ#12において、
カウンターの値 = 所定の確認時間/所定の間隔 = T3/DT
を満足するか否かを確認する。この所定の確認時間T3とは、点検動作状態において検知出力Gが、継続して警報レベルを超えたことを充分に確認できたとみなす時間であり、本例では30秒としている。すでに述べたように本例では、所定の間隔DTごとに検知出力Gを得るようにしており、この所定の間隔DTは10秒である。従ってT3/DT=3であり、カウンターの値が3に達していれば、被検知ガスの検知出力Gが所定の確認時間T3の30秒間継続して警報動作レベルW2を超えたことになる。
【0037】
ここで、検知出力Gが所定の確認時間T3である30秒間継続して警報動作レベルW2を超えていれば、警報動作レベルW2を第二段階レベルL2から第三段階レベルL3へ、予備警報レベルを第一段階レベルL1から第二段階レベルL2へと設定変更する(#13)。
第三段階レベルL3 > 第二段階レベルL2 > 第一段階レベルL1
の関係であり、警報動作レベルW2及び予備警報動作レベルW1は、点検動作状態でありながら、通常動作時のしきい値へと一段階ずつ高いしきい値へと上がったことになる。このように制御することによって、確認時間T3(=30秒間)の間の警報動作の確認の後、しきい値レベルを上げるので、ガス警報器内部に拡散しきれていないガスが残っていても、警報動作を早期に終了させることができる。
【0038】
続いて、第一タイマーが所定の点検時間T2を経過したかどうか確認する(#14)。所定の点検時間T2とは、本例のガス警報器が点検動作状態を継続する時間であり、本例では3分30秒としている。第一タイマーの値が点検時間T2に達しておらず、点検動作状態を継続する場合は、ステップ#6へ戻り点検動作の制御(#200)を継続する。第一タイマーの値が点検時間T2に達している場合は、$2の経路で通常動作の制御(#300)へ移行し、以下に説明する通常動作の制御(#300)が行われる。
【0039】
[通常動作]
続いて図6に基づいて通常動作について説明する。通常動作状態に移行すると、まず、警報動作又は予備警報動作を行っているか否かを確認し(#15)、行っている場合は第一タイマーをリセットし(#16a)、行っていない場合は第一タイマーに所定の待機時間T4をセットする(#16b)。点検動作状態の終盤に被検知ガスを注入されて、警報動作又は予備警報動作を行う状態となった場合には、通常動作状態に移行しても被検知ガスが拡散しきれず、少なくとも予備警報動作状態が継続する場合がある。そこで、通常動作状態に移行した時点において、警報動作又は予備警報動作を行っている場合は、点検動作が延長されることを見越して、通常動作状態への移行時から待機時間T4の間は、予備警報動作しないように、後段の判定処理(#22)で制御するためである。尚、本例では、ステップ#15において「警報又は予備警報指示中か?」という判定を行うようにしたが、「検知出力は予備警報レベル(=第二段階レベルL2)を超えているか?」としても良い。
【0040】
通常動作状態に移行した時点において警報動作又は予備警報動作を行っていない場合は、ステップ16bで第一タイマーに待機時間T4をセットしているが、これは後段の判定処理(#22)において、すでに待機時間T4が過ぎているものとして判定されるようにするためである。
【0041】
続いて、警報動作レベルW2を警報レベルである第三段階レベルL3、予備警報動作レベルW1を予備警報レベルである第二段階レベルL2に設定する(#17)。点検動作(#200)においてステップ#13を経由するとは限らず、また立上動作(#100)から直接通常動作状態となる場合もあり、これらの場合は、警報動作レベルW2及び予備警報動作レベルW1は、点検動作状態に適した設定のままであるので、ステップ#17において、通常動作に適した値に再設定する必要がある。この設定が済むと、ステップ#18で所定の間隔DTごとに被検知ガスの検知出力Gを取り込んで、検知出力Gのレベル判定を行う。
【0042】
点検動作状態の時と同様に、まず、検知出力Gが予備警報動作レベルW1(=予備警報レベル=第二段階レベルL2)を超えているか否かを判定する(#20)。予備警報動作レベルW1を超えていなければ、ステップ18へ戻り、所定の間隔DTで検知出力Gの判定を繰り返す。予備警報動作レベルW1を超えていれば、次に警報動作レベルW2(=警報レベル=第三段階レベルL3)を超えているか否かを判定する(#21)。ここで、警報レベルW1を超えていれば、上述の待機時間T4には関係なく、警報装置3の赤色LED32を点灯させ、ブザー33を鳴動させるように制御する(#23b)。一方、警報動作レベルW2を超えていなければ、このときの検知出力Gは予備警報動作をすべき値であるので、第一タイマーが待機時間T4を経過しているか否かを確認し(#22)、待機時間T4を超えていれば、警報装置3の赤色LED33を点滅させる(#23a)。待機時間T4を超えていなければ、ステップ18へ戻る。以降、この通常動作状態を繰り返し実行する。
【0043】
ここで、待機時間T4の間、報知動作しないように制御されるのは予備警報動作のみであり、警報動作については報知するように制御されている。このように制御することによって、万が一、待機時間T4の間に本当のガス漏れがあった場合には、警報動作は行うので、ガス漏れ検知の空白期間を作らずに好適である。
【0044】
本例では、待機時間T4を設けて、この間予備警報動作を停止させる例について説明したが、例えば、検知出力Gが予備警報動作レベルW1を下回るまで予備警報動作を停止させるようにすることもできる。この場合は、図6に示すフローチャートで、ステップ#22のNo側への分岐後に「第一タイマーをリセット」、ステップ#20のNo側に分岐した後に「第一タイマーにT4をセット」とする処理を加えれば良い。このようにすると、ステップ#22でNo側へ分岐した場合には常に待機時間T4がリセットされるので、ステップ#22でYes側へ分岐することが無くなり、その間予備警報動作は起動されない。そして、この間に被検知ガスが拡散し、検知出力Gが予備警報動作レベルW1を下回ると、ステップ#20のNo側への分岐後に第一タイマーがT4にセットされるので、次に検知出力Gが予備警報動作レベルW2を超えた時には、ステップ#22から#23aへと分岐し、予備警報動作が起動される。
【0045】
また、上記を組み合わせるともでき、検知出力Gが予備警報動作レベルW1を下回るか、あるいは、待機時間T4を経過するまで、予備警報動作を起動しないようにすることもできる。この場合は、図6に示すフローチャートで、ステップ#20のNo側に分岐した後に「第一タイマーにT4をセット」とする処理を加えれば良い。検知出力Gが予備警報動作レベルW1を下回るまでに待機時間T4が経過すれば、ステップ#22から#23aへ分岐し、待機時間T4が経過するまでに検知出力Gが予備警報動作レベルW1を下回れば、ステップ#20のNo側への分岐後に第一タイマーにT4がセットされるので、それ以降は、予備警報動作が起動されるようになる。
【0046】
尚、所定の確認時間T3及び所定の待機時間T4は、設定変更が可能であり、好適には本例におけるガス検出部1からの検知出力Gをサンプリングする所定の間隔DTの単位で設定できるように構成すると良い。例えば、本例では間隔DTが10秒であるので、確認時間T3を30秒(DT×3)、待機時間T4を60秒(DT×6)とした例を示した。この設定については、記憶部10に設定しておくことが可能である。例えば、記憶部10が8ビットのビット幅を有するメモリを有する場合は、ハードウェア構成上は0〜255の数値の設定が可能であり、確認時間T3及び待機時間T4は、理論上0〜2550秒の範囲を10秒間隔で設定できる。実際には、ソフトウェアプログラムや実動作上の仕様などから好適な範囲を設定可能範囲として定める。
【0047】
以下、図7から図11に基づいて、上記フローに沿った動作例について説明する。尚、この動作例においては、電源投入後30秒で点検動作状態となり、点検動作状態を3分30秒継続した後、通常動作状態となるように制御されている。また、警報動作レベルW2を実線で、予備警報動作レベルW1を点線で示している。
[第一動作例]
図7に示すように、点検動作状態では、警報動作レベルW2は第二段階レベルL2に、予備警報動作レベルW1は第一段階レベルL1に設定されている。ガス検知部1による検知出力Gが、1分30秒付近で予備警報動作レベルW1(=第一段階レベルL1)を超えると赤色LED32を点滅させて、予備警報動作を行う。そして、さらに上昇した検知出力Gが、1分40秒付近で警報動作レベルW2(=第二段階レベルL2)を超えると、赤色LED32を点灯させると共にブザー33を鳴動させて、警報動作を行う。この警報動作状態が所定の確認時間T3(本例では30秒)継続すると、警報動作レベルW2は第二段階レベルL2から第三段階レベルL3に、予備警報動作レベルW1は第一段階レベルL1から第二段階レベルL2へと更新される。そのため、検知出力Gは、警報動作レベルW2(=第三段階レベルL3)を下回り、警報動作状態から予備警報動作状態へと遷移する。その後、検知出力Gが予備警報動作レベルW1(第二段階レベルL2)を下回ると、予備警報状態も終了し、警報装置3は電源投入時から2分40秒の時点で正常状態を示す報知状態となる。このように短期間で点検を完了できる。
【0048】
ここで、本発明に係るガス警報器のような制御がなされず、図8に示すように点検動作状態の間は、警報動作レベルW2及び予備警報動作レベルW1が固定されていると、同じ波形の検知出力Gであっても、警報動作状態は1分に亘って継続する。予備警報状態を終了して警報装置3が正常状態を示す報知状態となるのは、電源投入時から3分20秒の時点である。従って、点検の終了までに長時間を要することになる。
【0049】
[第二動作例]
図9に示す検知出力Gは、点検動作状態の終盤(3分50秒付近)になって警報動作レベルW2(=第二段階レベルL2)を超えるような波形である。従って、警報状態が30秒間継続する前に点検動作状態から通常動作状態へと移行し、それに伴って警報動作レベルW2は、第二段階レベルL2から第三段階レベルL3に、予備警報動作レベルW1は第一段階レベルL1から第二段階レベルL2へと更新される。その結果、第二段階レベルL2は上回るものの第三段階レベルL3を下回る検知出力Gは、警報動作状態から予備警報状態へと遷移することになる。
【0050】
しかし、すでにガス警報器としては通常動作状態に入っているので、この報知は使用者に誤認を生じさせ、誤認に基づく不安を与える可能性がある。従って、図9に示すように、通常動作状態へ遷移した直後から、点検用ガスの拡散に充分と考えられる期間、例えば所定の待機時間T4(本例では60秒)の間については、予備警報動作を行わないようにしている。尚、この間に本当のガス漏れが生じた場合には、検知出力Gが警報レベル(=第三段階レベルL3)を超えて警報状態となり、ガス漏れを報知するので安全上の問題はない。
【0051】
ここで、本発明に係るガス警報器のように所定の待機時間T4を設けた制御がなされない場合は、図9と同様の波形の検知出力Gであったとしても、図10に示すように、通常動作状態に遷移した後に予備警報状態が継続してしまう。
【0052】
[第三動作例]
上記第二動作例で、通常動作状態に遷移した直後は、点検用ガスの影響に起因する予備警報動作を一定期間行わせないようにする動作例を説明した。これを、点検動作状態においても、採用することができる。点検用ガスを供給すると、まず予備警報状態となり、次に警報状態となるので、警報状態までの確認が完了すれば点検作業としては充分である。従って、警報状態の後に現れる予備警報状態の再度の確認は必ずしも必要なものではない。そこで、点検動作状態において、一度警報動作状態となり、この警報動作状態を所定の確認時間T3継続した後は、予備警報動作をさせないように制御しておいても良い。
【0053】
このように制御するには、例えば、図5に示したフローチャートのステップ#13において、警報動作レベルW2と予備警報動作レベルW1とを共に第三段階レベルL3に設定すれば良い。このように制御すると、一度警報動作状態となり、この警報動作状態を所定の確認時間T3継続した後は、警報動作レベルW2と予備警報動作レベルW1とが同じしきい値となる。従って、この設定以降、点検動作中(#200)においては、ステップ#8でYes側に分岐した場合には、ステップ#9も必ずYes側に分岐することとなり、ステップ#10bの予備警報動作指示へと分岐することがなくなるので、結果として予備警報動作を行わせないようにすることができる。
【0054】
このように動作した場合の例を、第一動作例と同じ波形の検知出力Gについて示したものが、図11である。点検動作状態における一度警報動作状態となってこの警報動作状態を所定の確認時間T3継続した後の所定の時間T5(点検完了時間T5)は、予備警報動作を行わせないようにしている。図7と比較して、さらに短時間で点検が完了している。
【0055】
以上説明したように本発明によって、動作点検を短時間で行うことのできるガス警報器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の実施形態に係るガス警報器の一例を示す概略ブロック図
【図2】図1のガス検知部が有するガスセンサの一例を示す斜視図
【図3】図2のガスセンサが有するガス検知素子の一例を示す斜視図
【図4】本発明の実施形態に係るガス警報器の制御の一例を示すフローチャート
【図5】本発明の実施形態に係るガス警報器の制御の一例を示すフローチャート
【図6】本発明の実施形態に係るガス警報器の制御の一例を示すフローチャート
【図7】本発明の実施形態に係るガス警報器のガス検知動作の第一の例を示す図
【図8】ガス警報器のガス検知動作の第一の例を示す図
【図9】本発明の実施形態に係るガス警報器のガス検知動作の第二の例を示す図
【図10】ガス警報器のガス検知動作の第二の例を示す図
【図11】本発明の実施形態に係るガス警報器のガス検知動作の第三の例を示す図
【符号の説明】
【0057】
G 検知出力
L3 第三段階レベル
L2 第二段階レベル
T3 確認時間
W2 警報動作レベル
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検知ガスの存在を検知した検知出力が、警報動作レベルを超えたときに警報動作し、前記警報動作レベルとして、通常動作状態では警報レベルを設定し、点検動作状態では前記警報レベルよりも低い警報点検レベルを設定するガス警報器であって、
前記点検動作状態において、警報動作を開始して所定時間経過後に、前記警報動作レベルとして前記警報レベルを設定するガス警報器。
【請求項2】
被検知ガスの存在を検知した検知出力が、警報動作レベルを超えたときに警報動作し、前記警報動作レベルよりも低い予備警報動作レベルを超えたときに予備警報動作すると共に、
通常動作状態では、前記警報動作レベルとして警報レベルを、前記予備警報動作レベルとして予備警報レベルを設定し、
点検動作状態では、前記警報動作レベルとして前記警報レベルよりも低い警報点検レベルを、前記予備警報動作レベルとして前記予備警報レベルよりも低い予備警報点検レベルを設定して、
前記点検動作状態において所定時間経過した後、前記通常動作状態に遷移するガス警報器であって、
前記通常動作状態の開始時に前記検知出力が、前記予備警報レベルを超えている場合は、所定の待機時間が経過するまで、前記予備警報動作しないガス警報器。
【請求項3】
被検知ガスの存在を検知した検知出力が、警報動作レベルを超えたときに警報動作し、前記警報動作レベルよりも低い予備警報動作レベルを超えたときに予備警報動作すると共に、
通常動作状態では、前記警報動作レベルとして警報レベルを、前記予備警報動作レベルとして予備警報レベルを設定し、
点検動作状態では、前記警報動作レベルとして前記警報レベルよりも低い警報点検レベルを、前記予備警報動作レベルとして前記予備警報レベルよりも低い予備警報点検レベルを設定して、
前記点検動作状態において所定時間経過した後、前記通常動作状態に遷移するガス警報器であって、
前記通常動作状態の開始時に前記検知出力が前記予備警報レベルを超えている場合は、前記予備警報レベルを下回るまで、前記予備警報動作しないガス警報器。
【請求項4】
被検知ガスの存在を検知した検知出力が、警報動作レベルを超えたときに警報動作し、前記警報動作レベルよりも低い予備警報動作レベルを超えたときに予備警報動作すると共に、
通常動作状態では、前記警報動作レベルとして警報レベルを、前記予備警報動作レベルとして予備警報レベルを設定し、
点検動作状態では、前記警報動作レベルとして前記警報レベルよりも低い警報点検レベルを、前記予備警報動作レベルとして前記予備警報レベルよりも低い予備警報点検レベルを設定して、
前記点検動作状態において所定時間経過した後、前記通常動作状態に遷移するガス警報器であって、
前記点検動作状態において、警報動作を開始して所定の時間経過後に、前記警報動作レベルを前記警報レベルに設定し、前記予備警報動作レベルを前記予備警報レベルに設定すると共に、
前記通常動作状態の開始時に前記検知出力が、前記予備警報レベルを超えている場合は、所定の待機時間が経過するまで、予備警報動作しないガス警報器。
【請求項5】
前記点検動作状態において、前記予備警報動作レベルを前記予備警報レベルに設定した後は、前記点検動作状態において予備警報動作しない請求項4に記載のガス警報器。
【請求項6】
電源投入時から所定の立上時間経過後に点検動作状態となる請求項1から5のいずれか一項に記載のガス警報器。
【請求項1】
被検知ガスの存在を検知した検知出力が、警報動作レベルを超えたときに警報動作し、前記警報動作レベルとして、通常動作状態では警報レベルを設定し、点検動作状態では前記警報レベルよりも低い警報点検レベルを設定するガス警報器であって、
前記点検動作状態において、警報動作を開始して所定時間経過後に、前記警報動作レベルとして前記警報レベルを設定するガス警報器。
【請求項2】
被検知ガスの存在を検知した検知出力が、警報動作レベルを超えたときに警報動作し、前記警報動作レベルよりも低い予備警報動作レベルを超えたときに予備警報動作すると共に、
通常動作状態では、前記警報動作レベルとして警報レベルを、前記予備警報動作レベルとして予備警報レベルを設定し、
点検動作状態では、前記警報動作レベルとして前記警報レベルよりも低い警報点検レベルを、前記予備警報動作レベルとして前記予備警報レベルよりも低い予備警報点検レベルを設定して、
前記点検動作状態において所定時間経過した後、前記通常動作状態に遷移するガス警報器であって、
前記通常動作状態の開始時に前記検知出力が、前記予備警報レベルを超えている場合は、所定の待機時間が経過するまで、前記予備警報動作しないガス警報器。
【請求項3】
被検知ガスの存在を検知した検知出力が、警報動作レベルを超えたときに警報動作し、前記警報動作レベルよりも低い予備警報動作レベルを超えたときに予備警報動作すると共に、
通常動作状態では、前記警報動作レベルとして警報レベルを、前記予備警報動作レベルとして予備警報レベルを設定し、
点検動作状態では、前記警報動作レベルとして前記警報レベルよりも低い警報点検レベルを、前記予備警報動作レベルとして前記予備警報レベルよりも低い予備警報点検レベルを設定して、
前記点検動作状態において所定時間経過した後、前記通常動作状態に遷移するガス警報器であって、
前記通常動作状態の開始時に前記検知出力が前記予備警報レベルを超えている場合は、前記予備警報レベルを下回るまで、前記予備警報動作しないガス警報器。
【請求項4】
被検知ガスの存在を検知した検知出力が、警報動作レベルを超えたときに警報動作し、前記警報動作レベルよりも低い予備警報動作レベルを超えたときに予備警報動作すると共に、
通常動作状態では、前記警報動作レベルとして警報レベルを、前記予備警報動作レベルとして予備警報レベルを設定し、
点検動作状態では、前記警報動作レベルとして前記警報レベルよりも低い警報点検レベルを、前記予備警報動作レベルとして前記予備警報レベルよりも低い予備警報点検レベルを設定して、
前記点検動作状態において所定時間経過した後、前記通常動作状態に遷移するガス警報器であって、
前記点検動作状態において、警報動作を開始して所定の時間経過後に、前記警報動作レベルを前記警報レベルに設定し、前記予備警報動作レベルを前記予備警報レベルに設定すると共に、
前記通常動作状態の開始時に前記検知出力が、前記予備警報レベルを超えている場合は、所定の待機時間が経過するまで、予備警報動作しないガス警報器。
【請求項5】
前記点検動作状態において、前記予備警報動作レベルを前記予備警報レベルに設定した後は、前記点検動作状態において予備警報動作しない請求項4に記載のガス警報器。
【請求項6】
電源投入時から所定の立上時間経過後に点検動作状態となる請求項1から5のいずれか一項に記載のガス警報器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2006−11922(P2006−11922A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−189487(P2004−189487)
【出願日】平成16年6月28日(2004.6.28)
【出願人】(000000284)大阪瓦斯株式会社 (2,453)
【出願人】(000190301)新コスモス電機株式会社 (112)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年6月28日(2004.6.28)
【出願人】(000000284)大阪瓦斯株式会社 (2,453)
【出願人】(000190301)新コスモス電機株式会社 (112)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]