説明

ガラスの調製方法

本発明は、粉末の形態の原料から、炉中でガラスを精製する方法に関し、炉は3つの側壁、頭頂部、端壁および気体もしくは液体燃料注入器に結合された少なくとも1つの空気注入器を含んでおり、これらの注入器の少なくとも1つは該側壁、頭頂部または端壁上に配置されている。該方法は次のステップ、空気および気体もしくは液体燃料を該注入器を通して注入すること、および粉末形態の原料がガラス浴を覆っている帯域の直ぐ近くで少なくとも1つの火炎を発生させること、含んでいる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はガラスの調製方法に関する。本発明は、特に少なくとも1つの火炎がブランケットに接触する調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ガラスの調製には、ガラスの種類にもよるが、しばしば約1400℃から1700℃の高温を要する。従って、大量のエネルギーが、バッチ材料を溶融するために必要なだけでなく、バッチ材料間の化学反応、特にシリカ(たいていの工業用ガラスの主成分であり、そしてそれらの中で溶融点が最も高い)を溶解するための反応を促進するためにも必要である。高温はまた、溶融したガラス浴から気体含有物を取り除くためにも必要であり、このステップは「精製」として知られている。
【0003】
これらの気体含有物にはいくつかの由来がある。それらは主には粉末の材料の粒の間に捕捉された空気に由来しており、またガラスの溶融ステップにおいて起こるある種の化学反応に起因する脱気に由来している。従って、炭酸塩を基にするバッチ材料(例えば、炭酸ナトリウム、石灰石またはドロマイトなど)は大量の二酸化炭素を気体の形態で放出する。気体含有物はまた、ある種の気体のある種の条件下での脱可溶化反応(desolubilization)に由来するかもしれないし、または溶融したガラスと炉(耐火物セラミックスおよび/または金属)中に存在するある種の物質との化学的もしくは電気化学的な反応に由来する可能性もある。気体含有物は溶融ガラスの塊の中に捕捉されており、その直径の2乗に比例した速度でその中から逃げ出すことができる。従って、小さい気泡は(しばしば「種」として知られている)、極めて低速でしか逃げ出すことができない。気泡の上昇の速度は、更にガラスの粘度によって減速され、また気泡を炉の床面に向かって気泡を取り込みうる対流運動によって減速される可能性がある。温度が上がれば粘度は低下するので、従って、気体含有物のないガラスを得るには高温が必要である。
【0004】
ガラス製造用の炉では、エネルギーは通常はバーナーによってガラスに供給されるか、および/またはガラス中に沈められた電極によって供給される。
【0005】
大抵の工業用の炉においては、特に平板ガラス、ビンまたは繊維の製造においては、バーナーは炉の胸壁または端壁に設置されて、火炎をガラス浴の表面に平行に作り出すようにする。これは、火炎がガラス浴の表面に接触するようにならないので、特に「オーバーヘッド」バーナーと呼ばれる。この火炎はガラス浴を輻射によって、部分的には直接、またバーナーの上部に位置する頭頂部の存在により、頭頂部が熱の輻射を反射して、間接的に加熱する。
【0006】
平板ガラス用の溶融炉にしばしば用いられる「クロスファイアー」として知られる配置に従って、これらのオーバーヘッドバーナーが側壁または胸壁上に置かれ、そして火炎が溶融ガラスの流動方向と交差して広がる。次いで、バッチ材料の供給が通常は炉の端壁を通して行われる。
【0007】
包装分野(ビン、ポット、フラスコなど)において、よりしばしば用いられ、そして「馬蹄形燃焼」(horseshoe-fired)として知られる他の配置によれば、大きな火炎が炉の端壁から、溶融ガラスの流動方向へ広がる。
【0008】
用いられる酸化剤の性質に応じて2つの大きなバーナー群が用いられる。空気が酸化剤として用いられる場合には、復熱の技術が、大量の反応しない、従って不必要な窒素を加熱することに因るエネルギー損失を制限することを可能とする。最も日常的な技術によれば、燃焼反応によって発生した熱のいくらかは、耐火材料の多層構造で形成された復熱器または蓄熱器に貯蔵され、この熱は次いで燃焼のために用いられる空気を予熱するのに再利用される。
【0009】
酸素もまた酸化剤として用いることができ、これはこのような蓄熱器の建設を要しない。
【0010】
ガラスが溶融し難い場合や、または生産高の増大が要求される場合には、通常「ブースティング」が用いられる。例えば、赤外線を吸収するガラスの場合は、過剰なエネルギーを供給するために電極を炉の床面上で用いることができ、そしてそのようにして溶融を促進する。ガラス浴による赤外線の吸収は、実際に赤外線が床面に最も近接した層に浸透することを妨げる。
【0011】
他の溶融またはブースティング技術が概説されていて、それはガラス浴またはブランケットと直接接触する酸素バーナー火炎を発生させることからなっている。「ブランケット」は、溶融ガラスの浴が、未だ溶融していない粉末のバッチ材料によって覆われた帯域として知られている。この帯域はバッチ材料を炉中へと導入するのに用いられる原料投入口の近くに位置している。粉末のバッチ材料はまた「カレット」を含んでおり、これはすなわち粉砕された再利用ガラスである。
【0012】
出願WO82/04246は、ガラス浴がバッチ材料によって覆われていない箇所において、酸素バーナーの火炎がガラス浴に向けられたプロセスを記載している。出願EP546238は、酸素バーナーによって発生された火炎が、露出したガラス浴とブランケットの間の接合部分で溶融ガラスと接触しているプロセスを記載している。一方、出願EP1077901では、酸素火炎がブランケットに近接して形成されており、その酸素火炎が頭頂部に位置したバーナーに由来しており、そしてガラス浴に垂直に形成されている。酸素火炎は、その断熱温度が非常に高いので、従って、輻射による、また対流によるガラス浴またはブランケットへのエネルギーの移動を可能にし、その結果、生産量、すなわち、単位時間当たりに生産されるガラスの量を増大させる。
【0013】
しかしながら、これらの方法は、特にガラスの品質の観点から欠点が存在しないわけではない。
【0014】
この形式の方法は、アルカリ金属酸化物(ナトリウム、カリウムまたはリチウム酸化物)および/または酸化ホウ素などの揮発性成分の豊富なガラスの場合には、大量のフライオフ(fly-off)材料が生産されるので、用いることができない。これはそれらの成分が大量に減少していることを意味する。これらのフライオフ材料はガラスの品質や環境に対して有害であり(従って、特に高価な汚染制御システムへの投資を要求する)、そしてガラス組成の安定性や、従ってその物理化学的な特性に対して有害である。
【0015】
同様に、アルカリ金属酸化物が少ないガラスにおいては、過度の再沸騰に因り、精製の問題に遭遇する。
【0016】
最後に、頭頂部におけるバーナーの位置は、頭頂部の脆化の問題を生起する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明の目的の1つは、精製品質を損なうことなく、生産量を増大させながらガラスの溶融を改善することを可能にする方法を提供することによって、これらの欠点を克服することにある。本発明の他の目的は、炉の頭頂部の脆化を防ぐことである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の主題は、側壁、頭頂部、端壁および少なくとも1つの気体または液体燃料注入器と組み合わされた少なくとも1つの空気注入器を含む炉中で、粉末のバッチ材料からガラスを調製する方法であって、該注入器の少なくとも1つが側壁中、頭頂部中または端壁中に配置され、該方法が空気および気体もしくは液体燃料を該注入器を通して注入するステップを含み、そのように発生される火炎が粉末のバッチ材料がガラス浴を覆う帯域の直ぐ近くにのみ発生される、方法である。
【0019】
本発明によれば、従って、空気が酸化剤として用いられる。用語「空気」は、酸素富化されていないもの意味すると理解され、従って、80%の窒素に約20%の酸素を含んでいる。
【0020】
本発明者らは、空気を酸化剤として用いて生成される火炎は、いくつかの予想されない利点を兼ね備えることを可能とすることを見出した。
【0021】
このことは、おそらくは火炎温度が比較的低いことに因り、このような火炎が揮発性成分のフライオフを制限することを可能にする結果となるためである。更に、特にアルカリ金属の少ないガラスについては、精製品質に改善が見られる。このことは、このガラスは通常は硫酸ナトリウム、三酸化硫黄SOを用いて精製され、次いでガラス浴に溶解するためである。しかしながら、アルカリ金属酸化物の少ないガラスは、この成分に低い溶解性しか持たないので、過剰な再沸騰の危険を発生させる。精製品質を損なうこのような再沸騰が、実際に酸素火炎が用いられた場合に観察されるが、しかしながら空気を酸化剤として用いた火炎が用いられた場合には起こらない。溶融雰囲気の酸素に典型的な高含水量が、この再沸騰の原因のように思われる。
【0022】
本発明による方法は、また特に、しかし一意的ではないが、注入器が側壁または胸壁に位置している場合には、頭頂部の脆化の危険を減少させることを可能とする。この利点は、揮発性物質のフライオフの減少および燃焼雰囲気の差異の減少に由来している。
【0023】
空気火炎と酸素火炎との間の低い断熱火炎温度にもかかわらず、他方で、驚くべきことに、酸化剤の変更は生産量の重大な低下を伴わないように思われる。
【0024】
本発明の実施態様によれば、ほとんどのエネルギーはこのような方法を用いることによってガラス浴に供給される。本発明は、更にこの方法に特に用意した、更にはオーバーヘッドバーナーを有しない炉を使用する。
【0025】
しかしながら、他の方法も好ましく、そこでは注入器が過剰のエネルギー(ブースティング)を炉に供給するのに用いられ、炉は少なくとも1つのオーバーヘッドバーナーを含み、好ましくは炉には少なくとも1つのオーバーヘッドバーナーを含み、その酸化剤は空気であり、そして少なくとも1つの復熱器または蓄熱器を含んでいる。
【0026】
注入器の配置の、頭頂部にか、側壁にか、または端壁にかという選択は、特に既存の炉にブースティングエネルギーを供給することからなる方法の場合には、炉の構造に依存する。
【0027】
壁(胸壁)または端壁への配置は、頭頂部の脆化の危険性を制限することを可能にし、また既に稼動中の、頭頂部の温度が他の炉の構成部品の温度よりもずっと高い炉への導入を促進することを可能にする。
【0028】
本実施態様では、火炎軸と水平軸との間の角は、40°から80°の範囲が有利である。胸壁または端壁の上部が傾斜していて垂直ではないものを与えることもまた可能である。
【0029】
注入器の全ての形式の組み合わせも本発明の範囲に想定することができる。
【0030】
空気の注入と、天然ガスもしくは燃料オイルなどの気体もしくは液体燃料の注入は、従って、少なくとも1つの概ね円筒形の、燃料用の内部導管と、内部導管と同心の空気用の外部導管を含むバーナーを経由して行うことができる。しかしながら、燃料が単一の内部導管によって注入される場合には、気体の流量や流速を独立して制御することが不可能となる。従って、燃料が気体である場合には、燃料は2つの同心の内部導管を経由して2種の異なる圧力で注入することが好ましい。
【0031】
分離した注入器もまた用いることができ、燃料および気体の酸化剤は、頭頂部、端壁または側壁などの炉の異なる位置から注入することができる。そのように分離した2つの注入器は、空気の噴流と燃料の噴流の2つの噴流が、ブランケットの直ぐ近く、従って粉末のバッチ材料がガラス浴を覆っている帯域で出会うように制御され、この正確な場所において火炎を発生し、燃焼の場所である。空気はこのように炉の頭頂部に位置した注入器によって注入することが可能であり、また燃料は、炉の側壁に位置した注入器によって注入することができ、または逆も同様である。空気の注入器はいくつかの燃料注入器と組み合わせることが可能であり、または逆も同様である。
【0032】
どんな場合でも、火炎は粉末のバッチ材料がガラス浴を覆っている(ブランケット)帯域の直ぐ近くでのみ発生することが好ましく、これにより一方でバッチ材料への熱の移動を最大化しながら、頭頂部または側壁の過加熱を防ぐことが可能である。火炎自身は、ブランケットのほとんどを覆うようにブランケット上に広がるように制御されるのが有利である。「直ぐ近く」という用語は、炉の上部からブランケットにむけて方向付けられた火炎がブランケットの直ぐ上に位置した帯域において形成されることを意味していると理解されなければならず、火炎によって発生されたエネルギーは従って非常に効果的にバッチ材料へと、主として対流によって伝わる。
【0033】
バッチ材料への最適な熱の移動は、注入器の組み合わせの比推力が2N/MWから4N/MWの範囲、特に2.6N/MWから3.2N/MWの範囲の場合に行われることが観察されている。比推力は、本発明における意味としては、注入器の組み合わせの出力に関して空気と燃料の推力(モーメンタムの率)の合計として定義される。その結果、ブランケットの直ぐ近く(直ぐ上部)に単独で形成された火炎によって特徴付けられる、最適な熱の移動が得られる。
【0034】
注入器を出た燃料および空気流は、レイノルズ数(Re)が2000を超えるという意味で通常は層流ではない。このことにもかかわらず、比推力が適切に制御されている限り、2つの噴流の反応物の混合は観察されない。
【0035】
追加の空気の導入が、多段燃焼を起こすようになされることが有利である可能性がある。
【0036】
本発明によるプロセスの好ましい実施態様では、そしてまたバッチ材料への熱の移動を更に改善するために、酸化剤として用いられる空気は、炉に入る前に、少なくとも500℃まで予熱される。
【0037】
燃料の流量は、好ましくは50Sm/hから300Sm/hの範囲であり、注入器の組み合わせのそれぞれの出力は、0.5MWから3MWの範囲である。
【0038】
気体または液体燃料および空気は、化学量論比で導入することができる。その他の条件、不足当量の、従って、減少させた(不十分な空気)条件が、しかしながら場合によっては好ましい。これは例えば、高レドックス(0.3を超えて、更に0.5を超える)を有するガラスが望ましい場合であり、レドックスは、鉄の総量に対する還元された形(第一鉄)でガラス中に存在する鉄の量によって定義される。
【0039】
上記に示したように、本発明の方法は、アルカリ金属酸化物または酸化ホウ素などの揮発性物質を含むガラスの調製に最大限の利点を有している。本発明の方法は、従って、好ましくは、酸化ホウ素を3質量%を超えて、更に4質量%を超えて、および/またはアルカリ金属酸化物を12質量%を超えて、更に15質量%を超えて含む化学組成のガラスを製造するために用いられる。
【0040】
本発明による方法は、従って、断熱繊維および遮音繊維用のガラスの有利な調製を意図しており、その組成物は以下の成分を、質量パーセントで表し、下記に明示した限度で含んでいる。
SiO 45〜75%、
Al 0〜10%、
CaO 0〜15%、
MgO 0〜15%、
NaO 12〜20%、
O 0〜10%、
3〜10%、
Fe 0〜5%、および
0〜3%。
【0041】
本発明の方法はまた、アルカリ金属酸化物が少ないガラスの製造に特に適用され、特にアルカリ金属酸化物を2質量%未満、更に1質量%未満、更には0.5質量%未満含むガラスの製造に適用される。
【0042】
この種のガラスの中でLCD(液晶ディスプレー)用の基材として用いることのできるガラスがあり、その組成物は以下の成分を、質量パーセントで表し、下記に明示した限度で含んでいる。
SiO 58〜76%、
3〜18%、特に5〜16%
Al 4〜22%、
MgO 0〜8%、
CaO 1〜12%、
SrO 0〜5%、および
BaO 0〜3%。
【0043】
このガラスは、このように酸化ホウ素の存在とアルカリ金属酸化物の低含有量を組み合わせており、それが本発明の方法を特にその調製に適したものにしている。
【0044】
本発明の他の主題は、側壁、端壁および側壁もしくは端壁中に配置された少なくとも1つのバーナーを含む炉中で、粉末のバッチ材料からガラスを調製する方法であって、該方法が酸化剤および気体もしくは液体燃料を、上記の少なくとも1つのバーナーを通してまたはこれと組み合わせて注入するステップを含み、粉末のバッチ材料がガラス浴を覆う帯域の直ぐ近くで火炎が発生される、方法である。
【0045】
酸素バーナーまたは空気バーナーのどちらでも、バーナーを側壁および/または端壁中に配置することは、従って頭頂部の劣化の危険性を減少させるという利点を有している。
【0046】
本発明を説明するが、しかしながら制限するものではない、以下の例となる実施態様および図面を読むことによってより、本発明はよく理解されるであろう。
【0047】
図1および2は、本発明による方法を実施するのに用いられる炉の長手方向の断面を図式的に表している。
【0048】
図3は、実験的に得られた曲線を表しており、バッチ材料に伝えられた仕事率と比推力との間に観察された変化を表している。
【0049】
図4は、バーナーテストの間に撮られた写真を示している。
【0050】
図1は、バーナーを頭頂部に設置した実施態様を図示しており、一方で、図2に図示された実施態様では、バーナーは端壁に設置されている。
【0051】
両方のケースにおいて、炉は耐火材で建てられており、床面1、端壁2および頭頂部3を含んでいる。オーバーヘッドバーナー4は「クロスファイアー」として知られる配置で設置されており、従って側壁5または胸壁上に設置されている。図式的に空気に影響を与える4つのオーバーヘッドバーナー4が示されており、他の4つのバーナー(図示されていない)が他の側壁上に位置している。一般的な原則として、この種の工業的な炉は、6から8対のオーバーヘッドバーナーを含んでいる。通常の運転状況では、1つの同じ壁上のバーナーだけが同時に運転され、放射された燃焼ガスは反対側の壁の蓄熱器中に置かれた耐火性の多層構造を再加熱する。約20分間のサイクルの後で、これらのバーナーは機能を停止し、そして反対側の壁のバーナーが作動し、酸化剤として用いられる空気はちょうど再加熱された蓄熱器の耐火材の多層構造を廻って循環する際に予熱される。これらのオーバーヘッドバーナー4の火炎は、ガラス浴6の表面7に平行に展開する。
【0052】
粉末のバッチ材料は、バッチ原料投入機(示されていない)を経由して導入され、そしてガラス浴6の表面上にブランケット8を形成する。
【0053】
図1に示してあるのは、バーナー9の形で頭頂部に設置された注入器の組み合わせである。このバーナー9は2つの同心の円筒を含んでおり、内部の円筒は燃料を注入するように意図されており、この場合には燃料は天然ガスまたはメタン(CH)であり、外部の円筒は空気を注入するように意図されている。
【0054】
2つの流れは、ガラス浴6の表面7と概ね垂直に、帯域10へと非層流で流れ、次いでブランケット8と接触して反応し、火炎11を形成し、そこが空気と天然ガスの間の燃焼反応の場所である。
【0055】
図2では、バーナーは端壁2に配置されており、水平軸と約45°の角度を形成している。火炎14がブランケット8の直ぐ近くに発生している。
【0056】
火炎11は種々の現象を通じて溶融行動を促進させることを可能にする。ブランケットへの熱伝達のより大きな効率は、明らかにこの溶融動力学の増大に貢献する。火炎11の推力は、更に、ガラス浴6の対流による流れを修正し、そして粉末のバッチ材料がガラス浴6中へ浸透させて、それがその溶融速度と溶解速度を増大させる。ブランケットの近くにおいて燃焼を生み出すバーナーがなければ、ブランケットは反応することなしに、より長く浮かんでいることができ、そして更に、ガラス浴6のより大きな面積を覆うことができ、オーバーヘッドバーナーからガラス浴への熱の移動を減少させる。
【0057】
図示されていないが変形としては、バーナーは胸壁5、特にその上部に配置されており、火炎11がブランケットの直ぐ近くに発生するように適切な角度を形成している。
【0058】
図3は、バッチ材料に伝えられた仕事率と比推力との間の関係を示す曲線を表している。
【0059】
この関係は、炉の頭頂部に配置されたバーナーで実施された以下の試験で観察された。これらの試験の間、バーナーの比推力は注入速度を修正することにより変更された。
【0060】
バーナーの比推力は、x軸上に示されており、y軸はバッチ材料に伝えられた仕事率に関連付けられている(任意単位、最大仕事率を100%としている)。
【0061】
この曲線は、約3N/MWの比推力値がブランケットに伝えられる最大の仕事率に相関することを示しており、そして従って、火炎がブランケットの直ぐ近くにだけ発生する場合に相関する。
【0062】
図4はバーナーの比推力が3N/MWに等しい場合を正確に図示している。写真において、頭頂部に配置されたバーナーの先端とブランケットとを識別することが可能である。火炎はブランケットの直ぐ近くでのみ発生しており、そしてブランケットの上に広がり、その出力の主要部分を対流の力により伝達する。
【図面の簡単な説明】
【0063】
(原文記載なし)
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
側壁、頭頂部、端壁および気体または液体燃料の少なくとも1つの注入器と組み合わされた少なくとも1つの空気注入器を含む炉中で、粉末のバッチ材料からガラスを調製する方法であって、該注入器の少なくとも1つが側壁中、頭頂部中または端壁中に配置され、該方法が空気および気体もしくは液体燃料を該注入器を通して注入するステップを含み、そのように発生される火炎が、粉末のバッチ材料がガラス浴を覆う帯域の直ぐ近くにのみ発生される、方法。
【請求項2】
炉が、酸化剤が空気である少なくとも1つのオーバーヘッドバーナーおよび、少なくとも1つの蓄熱器もしくは復熱器を含むことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
空気の注入および、天然ガスまたは燃料オイルなどの気体もしくは液体燃料の注入が、燃料用の概ね円筒形の少なくとも1つの内部導管および内部導管と同心である空気用の外部導管を含むバーナーを通して行われることを特徴とする請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
気体燃料が、2つの同心の内部導管を通して、2つの異なる圧力で注入されることを特徴とする請求項3記載の方法。
【請求項5】
燃料および空気が、炉中の異なる場所から注入されることを特徴とする請求項1または2記載の方法。
【請求項6】
注入器の組み合わせの比推力が2N/MWから4N/MWの範囲、特には2.6N/MWから3.2N/MWの範囲にあることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
注入器から出る燃料および空気の流れが層流でないことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
酸化剤として用いられる空気が、炉に入る前に、500℃以上の温度に予熱されていることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
レドックスが0.3を超えるガラスを製造するために、燃料に対して不足当量の条件の下で、空気を導入することを特徴とする請求項1から8のいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
ガラスの化学組成が、3質量%、更には4質量%を超えた酸化ホウ素および/または12質量%、更には15質量%を超えたアルカリ金属酸化物を含むことを特徴とする請求項1から9のいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
製造されるガラスが2質量%未満のアルカリ金属酸化物を含むことを特徴とする請求項1から9のいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
側壁、端壁および側壁もしくは端壁中に配置された少なくとも1つのバーナーを含む炉中で、粉末のバッチ材料からガラスを調製する方法であって、該方法が酸化剤および気体もしくは液体燃料を、前記の少なくとも1つのバーナーを通してまたはこれと組み合わせて注入するステップを含み、粉末のバッチ材料がガラス浴を覆う帯域の直ぐ近くで火炎が発生される、方法。

【公表番号】特表2009−501124(P2009−501124A)
【公表日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−520930(P2008−520930)
【出願日】平成18年7月12日(2006.7.12)
【国際出願番号】PCT/FR2006/050709
【国際公開番号】WO2007/007012
【国際公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【出願人】(502425053)
【出願人】(500374146)サン−ゴバン グラス フランス (388)
【Fターム(参考)】