説明

ガラスを製造するための装置および方法

【課題】 多区画ガラス溶解炉を利用したガラスの製造方法および装置を提供する。
【解決手段】 ガラスメルト18を第1の溶融炉12に提供する。ガラスメルト18を、接続管20を通して、第1の溶融炉12から第2の溶融炉14に流す。接続管20の第1の領域内30のガラスメルト18を、第1の加熱装置により加熱する。接続管20の第2の領域40内のガラスメルト18を、第2の加熱装置により加熱する。第1の溶融炉12と、第2の溶融炉14と、第1および第2の溶融炉を接続する接続管20とを備えた、ガラスを製造する装置10も提供される。接続管20の第1の領域内のガラスメルト18を加熱するよう構成された第1の加熱装置と、接続管20の第2の領域内のガラスメルト18を加熱するよう構成された第2の加熱装置とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラスの製造装置および方法、特に、多区画ガラス溶解炉を利用する装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイ(LCD)は、照明用外部光源に依存するパッシブ型のフラットパネルディスプレイである。アルカリを含まないアルミノケイ酸塩ガラスが、LCDシートガラス用に一般的に用いられている。この系列のガラスは、バッチ(ガラス供給)材料が充填される位置で、溶融炉(溶解炉)の表面に、安定した発泡層を形成する傾向がある。発泡層は、仕上がりガラスにおいて、ガラスが分配システムに入る前に除去されないと、固体の「石」か、明らかな「固まり(knot)」欠陥となる可能性のある固体シリカ内包物を含有している。この発泡層は、溶解炉の前壁に達すると、溶解炉出口を介して、ガラス分配システムへ固体およびガス状内包物を分配する可能性があることが示されている。これらの固体内包物は、仕上がりガラスにおいて固体欠陥となり得る。発泡層はまた、ガラスメルトの自由表面の上の燃焼バーナーにより供給される熱からガラスメルトを絶縁する。バーナーの結果として生じる効率の悪さとは、メルトを形成するのに必要なエネルギーの大半が、メルトの自由表面より下に沈んだ電極からのジュール熱により提供されるということである。得られる比較的高レベルの電力によって、電極の寿命が短くなり、溶解炉の頻繁な修理が必要になる。
【0003】
2つ以上の区画を備えた単一溶解炉は、発泡層にあるシリカ内包物が、ガラス分配システムに入るのを防ぐことができる。第1の区画と第2の区画を分離する壁が、第1の区画の発泡層が、第2の区画に入るのを防ぐ。これまで、溶解炉を多区画へ分割するのは、1つ以上のスロット形のスロート(1つの大きなガラスバッチを2つの小さな区画に分割する)を備えた内部冷却隔壁か、トンネル形のスロートにより接続された2つの別のチャンバによりなされてきた。
【0004】
隔壁の場合には、隔壁の両側が熱く、通常、ガラスによる壁の腐食が比較的早い。すなわち、プロセス寿命が短い。隔壁の上部が破損したり、内部冷却に失敗したりすると、溶融有効性が失われ、冷却水がガラスメルトへと直接(かつ爆発的に)放出される。さらに、隔壁が溶融耐火性ジルコニアから構成されている場合には、隔壁の電気抵抗が低くなり、両面が熱くなる。ガラス浴を加熱するのに用いる電流の一部が、隔壁を通り、独立してそれを加熱し、潜在的に、壁を破損させたり、メルト中にジルコニア内包物を形成したりする。通常、隔壁の有効性は時間的に限られており、ガラス溶融プロセスの寿命を限定する要素となる。
【0005】
これらの問題に取り組む従来のやり方は、溶解炉を拡大することである。泡のない表面を得るためには、現在の溶融表面積を少なくとも倍にする必要があると予測される。さらに、固体およびガス状内包物を所望のレベルまで減少させるには、さらに倍にする必要があり、合計の拡大溶解炉のサイズは、現在の表面積の3倍となる。溶融炉の寸法をこのように増やすと、資本および操業経費が増大し、電極(典型的に酸化スズ)の数がどうしても増えるため、メルトのスズ石失透が生じるレベルまで、ガラス中の酸化スズの量も増えることとなる。
【0006】
溶解炉は、共通の壁を共有しない区画へと分割することもできる。この場合、第1および第2の区画は、トンネル形スロートにより接続された自壁を有していてもよい。これによって、壁は外側冷却されるが、第1の区画から第2の区画へと通過する際にガラスが温度を失う著しい非加熱領域が溶解炉内に形成される。固体内包物を溶融、またはガス状内包物を清澄する第2の区画の有効性は、ガラスが、第1の区画から出るときよりも冷たい第2の区画に入るときに減少する。また、耐火性スロートカバーは、ガラスレベルを磨滅させ、最終的に、発泡層が、第1から第2の区画へ通過できてしまう。スロートからの漏れによって、プロセスが完全に停止される恐れがある。
【0007】
発泡層に混入した固体およびガス状内包物が分配システムに入らないようにするのに効果的な2区画溶解炉については、第1と第2の区画間の分離が、その完全性を保持しなければならない。そうでなければ、溶解炉は1つの大きな容器となって、発泡層が前壁へと前方へ移動し、固体内包物が発泡層からガラス分配システムへ分配されてしまう。
【0008】
2つ以上の区画から構成される溶融プロセスが有効であるとき、発泡層は、第2の区画において形成されず、固体内包物を溶融またはそれに入るガス状内包物を清澄するための追加の時間および温度を第2の区画において利用できる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
一例の態様において、ガラスを製造する方法が提供される。本方法には、ガラスメルトを第1の溶融炉に提供する工程と、ガラスメルトを、接続管を通して、第1の溶融炉から第2の溶融炉へ流す工程とが含まれる。ガラスメルトは、第2の溶融炉の上流に位置する接続管の第1の領域および第1の領域の下流に位置する接続管の第2の領域を流れる。本方法には、第1の領域内のガラスメルトを、第1の加熱装置により加熱する工程と、第2の領域内のガラスメルトを、第2の加熱装置により加熱する工程とをさらに含む。
【0010】
他の例の態様において、ガラスを製造する装置が提供される。本装置は、第1の溶融炉と、第2の溶融炉と、第1の溶融炉から第2の溶融炉までガラスメルトを移動させるための、第1および第2の溶融炉を接続する接続管とを含む。接続管は、第1の領域を画成する第1の部分と、第2の領域を画成する第2の部分とを含む。第1の領域は、第2の溶融炉の上流に位置し、第2の領域は、第1の領域の下流に位置する。本装置は、接続管の第1の領域内のガラスメルトを加熱するよう構成された第1の加熱装置と、接続管の第2の領域内のガラスメルトを加熱するよう構成された第2の加熱装置とをさらに含む。
【0011】
このように、本発明は、これに限られるものではないが、以下の態様および/または実施形態を含む。
【0012】
C1.
ガラスメルトを第1の溶融炉に提供する工程と、
ガラスメルトを、接続管を通して、第1の溶融炉から第2の溶融炉まで流す工程であって、ガラスメルトが、第2の溶融炉の上流に位置する接続管の第1の領域および第1の領域の下流に位置する接続管の第2の領域に流れる工程と、
第1の領域内のガラスメルトを、第1の加熱装置により加熱する工程と、
第2の領域内のガラスメルトを、第2の加熱装置により加熱する工程と
を含むガラスを製造する方法。
【0013】
C2.C1の方法において、第1の加熱装置は、第2の加熱装置から独立して操作される。
【0014】
C3.C1またはC2の方法において、第1の加熱装置は、接続管の第1の部分に電流を流すことにより、接続管の第1の領域内のガラスメルトを加熱し、第2の加熱装置は、接続管の第2の部分に電流を流すことにより、接続管の前記第2の領域内のガラスメルトを加熱する。
【0015】
C4.C3の方法において、接続管の第2の部分は、第2の溶融炉の後壁内に少なくとも部分的に配置された下流折返し端部構造を含み、電流は、下流折返し端部構造を流れる。
【0016】
C5.C1〜C4のいずれかの方法において、第1の加熱装置および第2の加熱装置の少なくとも1つにより加えられた熱を、測定した温度に基づいて、自動的に調整する工程をさらに含む。
【0017】
C6.C1〜C5のいずれかの方法において、接続管の第1の領域の上流に位置する接続管の第3の領域内のガラスメルトを加熱する工程を含み、第3の加熱装置は、接続管の第3の領域内のガラスメルトを加熱する。
【0018】
C7.C1〜C6のいずれかの方法において、第2の溶融炉の後壁内に少なくとも部分的に配置された下流折返し端部構造を加熱する工程をさらに含む。
【0019】
C8.C1〜C7のいずれかの方法において、第1の溶融炉の前壁内に少なくとも部分的に配置された上流折返し端部構造を加熱する工程をさらに含む。
【0020】
C9.C1〜C8のいずれかの方法において、ガラスメルトが、接続管の第1の領域および第2の領域を通過する際、ガラスメルトの温度を、約1570℃〜約1620℃の範囲内に維持する。
【0021】
C10.
第1の溶融炉と、
第2の溶融炉と、
第1の溶融炉から第2の溶融炉までガラスメルトを移動させるための、第1および第2の溶融炉を接続する接続管であって、第2の溶融炉の上流に位置する第1の領域を画成する第1の部分と、第1の領域の下流に位置する第2の領域を画成する第2の部分とを含む接続管と、
接続管の第1の領域内のガラスメルトを加熱するよう構成された第1の加熱装置と、
接続管の第2の領域内のガラスメルトを加熱するよう構成された第2の加熱装置と
を含むガラスを製造するための装置。
【0022】
C11.C10の装置において、接続管は、下流折返し端部構造を有する。
【0023】
C12.C11の装置において、下流折返し端部構造は、第2の溶融炉の後壁内に少なくとも部分的に配置されている。
【0024】
C13.C12の装置において、下流折返し端部構造は、後壁を通して延在しており、下流折返し端部構造の端部は、後壁の内部表面から、第2の溶融炉の内部領域へ突出している。
【0025】
C14.C11〜C13のいずれかの装置において、接続管は、第1の溶融炉の前壁内に少なくとも部分的に配置された上流折返し端部構造をさらに含む。
【0026】
C15.C11〜C14のいずれかの装置において、下流折返し端部構造は、間隙を画成しており、耐火性材料が、間隙内に少なくとも部分的に配置されている。
【0027】
C16.C11〜C15のいずれかの装置において、下流折返し端部構造は、第2の部分に対して同心の第1の部分を含む。
【0028】
C17.C10〜C16のいずれかの装置において、接続管は、上流折返し端部構造を含む。
【0029】
C18.C10〜C17のいずれかの装置において、第1の部分は、前記第2の部分から電気的に絶縁されており、第1の加熱装置は、電流を第1の部分に流して、接続管の第1の領域内のガラスメルトを加熱するよう構成されており、第2の加熱装置は、電流を第2の部分に流して、接続管の第2の領域内のガラスメルトを加熱するように構成されている。
【0030】
C19.C10〜C18のいずれかの装置において、接続管の第1の領域の上流に位置する接続管の第3の領域内のガラスメルトを加熱するよう構成された第3の加熱装置をさらに含む。
【0031】
C20.C10〜C19のいずれかの装置において、第1の加熱装置および第2の加熱装置の少なくとも1つにより加えられた熱を、測定した温度に基づいて、自動的に調整するよう構成された制御装置をさらに含む。
【図面の簡単な説明】
【0032】
本発明のこれらおよびその他の特徴、態様および利点は、本発明の以下の詳細な説明を、添付の図面を参照して読むとより良く理解される。
【図1】本発明の一実施形態による装置の概略断面側面図である。
【図2】第1および第2の溶融炉を接続する接続管の一例を示す図1の装置の拡大図である。
【図3】第1および第2の溶融炉を接続する接続管の他の例を含む装置の他の例の実施形態の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
例示が目的であり限定のためではない以下の詳細な説明において、具体的な詳細を開示する実施形態を、本発明を完全に理解をするために規定する。しかしながら、本開示内容の利点を受ける当業者には、本発明は、本明細書に開示された具体的な詳細から離れた他の実施形態において実施できることは明白であろう。さらに、周知の装置、方法および材料の記載は、本発明の記載を不明瞭にしないよう省いてある。最後に、適用可能であれば、同じ参照番号は同じ構成要素を参照している。
【0034】
様々な多区画溶融装置が、本発明の1つ以上の態様を含むことができる。例えば、本発明の態様を、その全内容が参考文献として本明細書に援用される2005年12月29日出願の米国特許出願公開第2007/0151297号明細書に開示された多区画溶融装置に従って用いてよい。
【0035】
図1に示すとおり、ガラスを製造するための一例の装置10は、互いに分離された第1の溶融炉12と第2の溶融炉14のような2つ以上の溶融炉を含むことができる。例えば、第1の溶融炉12および第2の溶融炉14は、各炉に含まれるガラスメルトの2つの容積間に共通壁を共有せずに構成してよい。一例において、第1の溶融炉12は、前壁12aを含み、第2の溶融炉14は後壁14aを含む。前壁12aは、第2の溶融炉14へ移動するときに、ガラスメルトが出る壁と考えることができる。後壁14aは、前壁12aを出た後に、ガラスメルトが入る壁と考えることができる。図示するとおり、前壁12aは、後壁14aから間隔をあけることができ、後壁14aに面することもできる。ただし、さらなる実施形態において、壁は互いに外方に向いている。前壁12aはまた、後壁14aに対して実質的に平行に示されているが、前壁は、さらなる実施例においては、後壁に対して角度を成す、または別の配向とすることができる。第1の溶融炉および第2の溶融炉は、ガラスメルトプロセス条件に耐え得る様々な材料から構築することができる。例えば、炉は、焼成フリントクレイ、シリマナイト、ジルコンまたはその他耐火性材料で構成された非金属耐火性ブロックから構築することができる。
【0036】
例示の実施形態において、第2の溶融炉14は、第1の溶融炉12より溶融速度が遅い。例えば、第1の溶融炉12の溶融速度は、供給材料を溶液に入れるのに必要な最小溶融速度に等しいか、それより早いものを選択することができる。第2の溶融炉14は、第1の溶融炉12の溶融速度の約50%〜90%の溶融速度とすることができる。本明細書で用いる溶融速度は、炉からのガラスの流量で除算した表面積の単位、例えば、1日当たりのトン数で除算した平方メートル(m/トン/日)で表わすことができる。このように与えられた流量について、必要な炉の寸法は容易に計算できる。一例を挙げると、第2の溶融炉14の長さLは、第1の溶融炉12の長さLの約30%〜50%の間とすることができる。第2の溶融炉14内のガラスメルトの操作深さdは、溶融温度と、炉内のメルトの滞留時間の両方を最大にするものを選択することができ、第1の溶融炉12内のガラスメルトの深さdの約65%〜110%の間とすることができる。
【0037】
図1および2にさらに示すとおり、装置10はまた、第1の溶融炉12から第2の溶融炉14までガラスメルト18を移動させるための、第1の溶融炉12および第2の溶融炉14を接続する接続管20も含むことができる。接続管20は、接続管の長手方向軸に実質的に垂直な面に沿って円形断面を有する円筒管を含む。さらなる実施例において、接続管は、楕円、曲線、多角形またはその他の断面形状を有する。
【0038】
接続管20は、ガラスの温度および化学的性質と適合性のある様々な材料を含むことができる。例えば、接続管20は、ガラスメルトの汚染を最少にしながら、約1650℃という高温でその構造的完全性を維持するように設計することができる。接続管20はまた、接続管20を流れる溶融ガラスの温度を増大または維持するために、比較的容易に加熱されるように設計されていてもよい。例えば、接続管20は、白金族またはその合金から選択される耐火性金属を含むことができる。白金族金属−ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウムおよび白金−は、耐化学攻撃性、優れた高温特性および安定した電気的特性という特徴を有している。その他の例示の耐火性金属としては、モリブデンおよびタングステンの合金を挙げることができる。
【0039】
接続管20は、様々な構成を有することができる。例えば、図2に示すとおり、接続管20は、第1の領域32を画成する第1の部分30と、第2の領域42を画成する第2の部分40とを有することができる。図示するとおり、第1の領域32は、第2の溶融炉14の上流に位置し、第2の領域42は、第1の領域32の下流に位置させることができる。第1の部分30および第2の部分40は、互いに一体化または分離することができる。さらに、図示するとおり、第1の部分30は、第2の部分40から電気的に絶縁させることができる。ただし、さらなる例においては、第1および第2の部分は電気通信していてもよい。第1の部分30は、様々なやり方で、第2の部分40から電気的に絶縁できる。図示するとおり、第1の部分30を、第2の部分40から分離および間隔をあけて、電気的絶縁を与えることができる。ガラスメルトの部分が、第1の部分30と第2の部分40との間の領域に溶け出し、各電気接点間でガラス栓17として適所で凝固する。凝固したガラス栓17は、第1の部分30と第2の部分40との間の電気的絶縁を維持しながら、第1と第2の部分の間の間隙を充填して、接続管内にガラスメルトを含ませる役割を果たす。
【0040】
図2に示すとおり、第1の溶融炉12からのガラスメルトは、第1の溶融炉12においてガラスメルト18の表面より下に沈んだ第1の溶融炉12の前壁12aの開口部から出るように設計することができる。同様に、第1の溶融炉12からのガラスメルトは、第2の溶融炉14のガラスメルト18の表面より下に沈んだ第2の溶融炉14の後壁14aの同様の開口部から入る。図2に示すとおり、接続管20は、第1の端部22と、第1の端部22の反対の第2の端部24とを含む。各端部22、24に近接する接続管20の一部は、各溶融炉の耐火性壁に近接またはその中に配置できる。例えば、接続管20の一部は、第1の溶融炉12の前壁12aに近接またはその中に配置することができ、接続管20の一部は、第2の溶融炉14の後壁14aに近接またはその中に配置することができる。各端部22、24は、各炉壁の幅を超えて中点近くに配置でき、各炉の下部近傍にさらに配置することができる。
【0041】
一例において、第1の端部22は、第1の溶融炉12の前壁12a内に少なくとも部分的に配置することができる。例えば、図2に示すとおり、第1の端部22は、前壁12aを通して延在しており、第1の端部22は、前壁12aの内部表面から「P1」の距離だけ、第1の溶融炉12の内部領域へ突出している。突出距離「P1」によって、ガラスメルトが、接続管20の第1の端部22へ引かれる際、前壁12aの内部表面に沿ったガラスメルトの流れが減少する。前壁12aの内部表面に沿ったガラスメルトの流れが減少すると、前壁12aの加速のついた腐食およびガラスメルトにおける耐火性石またはコードの増大を防ぐ補助となる。同様に、第2の端部24は、第2の溶融炉14の後壁14a内に少なくとも部分的に配置させることができる。例えば、図2に示すとおり、第2の端部24は、後壁14aを通して延在しており、第2の端部24は、後壁14aの内部表面から「P2」の距離だけ、第2の溶融炉14の内部領域へ突出している。突出距離「P2」によって、ガラスメルトが、第2の端部24を出て、第2の溶融炉14内のガラスメルトの表面まで上がり始める際、後壁14aの内部表面に沿ったガラスメルトの流れが減少する。後壁14aの内部表面に沿ったガラスメルトの流れが減少すると、後壁14aの加速のついた腐食およびガラスメルトにおける耐火性石またはコードの増大を防ぐ補助となる。突出距離「P1」および「P2」は、それぞれ、約0.5インチ(1.27cm)〜約1インチ(2.54cm)とすることができるが、その他の突出距離もさらなる例においては可能である。
【0042】
ガラスメルト18は、炉内で加熱することができるが、炉の耐火性壁自体は、直接加熱されない。実際、炉の壁は、ガラスメルトが、第1の溶融炉12の前壁12aから第2の溶融炉14の後壁14aへ通過する際、ガラスメルトに対してヒートシンクとして作用する。さらに、ガラスメルトが、第1の溶融炉12の前壁12aおよび第2の溶融炉14の後壁14aから接続管20を通過する際、対流および放射が大幅な熱損失の原因となる。壁開口部および炉間の非加熱接続管を通過する溶融ガラスは、100℃、恐らくそれ以上の温度を失う。第2の溶融炉14に入るメルトの温度が、第2の炉内のメルトの温度より大幅に冷たい場合、潜在的な欠点となり得る。例えば、第2の溶融炉14に入るガラスメルトが、大幅に冷たいと(例えば、100℃)、第2の溶融炉14に入る冷たいガラスは、第2の溶融炉14の下部に沈んで、炉出口へ直接流れる傾向がある。第2の溶融炉14の下部へのこの短絡によって、第2の溶融炉14内のガラスメルトの対流時間が減少する恐れがある。従って、望ましくない石および固まりが、第2の溶融炉14に残り、ガラスメルト内で完全な溶解がなされず、別の面では対流時間が長くなる。
【0043】
本発明の態様は、ガラスメルトが第1の溶融炉12から第2の溶融炉14へ通過する際の熱損失を補うための2つ以上の加熱装置を含むことができる。さらに、2つ以上の加熱装置は、ガラスメルトの有利な温度制御を提供しながら、接続管20の過熱を防ぐ補助をする。図2に示すとおり、一例において、装置10は、接続管20の第1の領域32内のガラスメルトを加熱するよう構成された第1の加熱装置と、接続管20の第2の領域42内のガラスメルトを加熱するよう構成された第2の加熱装置とを含む。別個の加熱装置を提供することにより、ある装置構成において、単一の加熱機構で生じる可能性のある接続管の部分の過熱を防ぐ補助となり得る。例えば、第2の溶融炉14に入るガラスメルトの温度を上げようとすると、単一の加熱装置だと、接続管20の中間部分を過熱する必要がある。少なくとも2つの加熱装置を提供することにより、ガラスメルトが第1の溶融炉12から第2の溶融炉14まで移動する際、熱がガラスメルトに連続的に、増加しながら加わる。
【0044】
第1の加熱装置および第2の加熱装置は、ガラスメルトを様々なやり方で加熱する。例えば、接続管は、誘導、放射ヒーター、伝導ヒーター、対流ヒーターまたはその他加熱構成または加熱構成の組み合わせにより加熱される。示したとおり、第1の加熱装置および第2の加熱装置は、両方共、抵抗加熱構成を含むが、一方または両方の加熱装置が他の加熱構成を含んでいてもよい。抵抗加熱構成は、電流、例えば、交流を、接続管20の部分に流すことにより、接続管20の部分を加熱するように設計することができる。実際、図示するとおり、第1の加熱装置は、それぞれ、接続管20の第1の部分30と電気通信するよう配置された第1の電気接点60aと第2の電気接点60bを含むことができる。本明細書全体に記載した様々な電気接点は様々な構造を含むことができる。図2の第1の電気接点60aで記載したとおり、各電気接点は、接続管に付加した白金ディスク70を含むことができる。ニッケルリング72を、白金ディスク70に溶接することができ、環形流路74で、ニッケルリング72と白金ディスク70間を画成する。冷却流体を、環形流路74に循環させて、接点を冷却し、接続管と電気通信する電線路を提供することができる。
【0045】
第1の部分30は、第1の電気接点60aと第2の電気接点60bとの間の電気路を画成する。第1の電気接点60aは、継電器80と通信する第1の電線路61aを含むことができる。同様に、第2の電気接点60bは、継電器80と通信する第2の電線路61bを含むことができる。継電器80は、電源82を含む第1の回路を選択的に開閉することができる。第1の回路を閉じると、電源82は電気を流して、電気接点60a、60b間に延在する接続管20の第1の部分30を加熱する。このように、第1の回路を閉じると、第1の加熱装置は、接続管20の第1の領域32内のガラスメルトを加熱することができる。あるいは、継電器80が第1の回路を開くと、接続管20の第1の部分30の加熱を防ぐ。
【0046】
第1の加熱装置と同様に、第2の加熱装置は、それぞれ、接続管20の第2の部分40と電気通信するよう配置された第3の電気接点62aと第4の電気接点62bを含むことができる。第2の部分40は、第3の電気接点62aと第4の電気接点62bとの間の電気路を画成する。第3の電気接点62aは、継電器80と通信する第3の電線路63aを含むことができる。同様に、第4の電気接点62bは、継電器80と通信する第4の電線路63bを含むことができる。継電器80は、電源82を含む第2の回路を選択的に開閉することができる。第2の回路を閉じると、電源82は電気を流して、電気接点62a、62b間に延在する接続管20の第2の部分40を加熱する。このように、第2の回路を閉じると、第2の加熱装置は、接続管20の第2の領域42内のガラスメルトを加熱することができる。あるいは、継電器80が第2の回路を開くと、接続管20の第2の部分40の加熱を防ぐ。
【0047】
一例において、制御装置を提供すると、加熱装置の少なくとも1つにより加えられた熱を自動的に調整することができる。例えば、制御装置は、信号を継電器80に送って、第1の回路を開閉して、第1の加熱装置による加熱を制御するように構成されたコンピュータ84を含むことができる。加えて、または、この代わりに、コンピュータ84は、信号を継電器80に送って、第2の回路を開閉して、第2の加熱装置による加熱を制御するように構成することができる。一例において、制御装置は、測定された温度に基づいて、加熱装置の少なくとも1つにより加えられた熱を自動的に調整することができる。例えば、第1の加熱装置に、第1の温度ゲージ31を提供する、および/または第2の加熱装置に、第2の温度ゲージ41を提供することができる。一例において、コンピュータ84は、第1の温度ゲージ31からの温度フィードバックに基づいて、第1の回路を自動的に開閉することができる。同様に、コンピュータ84は、第2の温度ゲージ41からの温度フィードバックに基づいて、第2の回路を自動的に開閉することができる。従って、制御装置は、測定した温度に基づいて、第1および/または第2の加熱装置を自動的に始動または停止することができる。上述したとおり、継電器80は、第1および第2の回路を開閉することにより機能する。さらなる例において、制御装置は、電気接点間に印加された電圧を修正することにより機能する。このように、制御装置は、対応の測定された温度に基づいて、ヒーターにより加えられた熱を連続的に修正することができる。
【0048】
図2に示すとおり、接続管20の第1の端部22は、第1の溶融炉12の前壁12aの開口部内に位置する実質的に折返されていない端部構造を含むことができる。ただし、さらなる例において、第1の端部22は開口部に近接および開口部外に位置していてもよい。接続管20の第2の端部24は、第1の端部22に関して記載したのと同様の構造を有することができる。例えば、第2の端部24は、第2の溶融炉14の後壁14a内に挿入された直線管を含むことができる。しかしながら、直線管として第1または第2の溶融炉へと通過する電流により直接加熱される接続管20を単に挿入しても、通路は十分に加熱されない。実際、電流は、炉外に位置する2つの接続部間の直線管を流れる。しかしながら、接触点間の管の部分のみが加熱される。このように、電流は、炉の壁内の管の部分に流れず、管のその部分の加熱はなされない。本発明の態様によれば、前壁12aおよび/または後壁14a内の管の部分を加熱してもよい。例えば、後述するとおり、接続管20の第1の端部22に、上流折返し端部構造を与え、および/または接続管20の第2の端部24に、下流折返し端部構造を与えることができる。
【0049】
図2に、任意の下流折返し端部構造44を含む接続管20の第2の端部24を示す。一例において、下流折返し端部構造44は、第2の溶融炉14の後壁14a内に少なくとも部分的に配置することができる。例えば、下流折返し端部構造は、後壁14aを通して延在しており、下流折返し端部構造44の端部は、後壁14aの内部表面から「P2」の距離だけ、第2の溶融炉14の内部領域へ突出している。折返し端部構造を与えることにより、第2の溶融炉14の後壁14a内に配置された折返し端部構造の部分を尚加熱しながら、第2の溶融炉14の外側に電気接点を配置することができる。実際、図示するとおり、第3の電気接点62aを、折返し端部構造44の第1の部分46の端部に配置し、第4の電気接点62bを、折返し端部構造44の第2の部分47の端部に配置することができる。第1の部分46と第2の部分47は、端部48により結合することができる。電流は、第3の電気接点62aから、第1の部分46を通って、第2の溶融炉14の後壁14aへと通る。電流は、端部48を通って、後壁14aから戻って第2の部分47を通ることにより方向を変える。このように、接続管20の第2の領域42は、後壁14a内で少なくとも部分的に加熱でき、第3および第4の電気接点62a、62bは、後壁14aの外側に配置される。
【0050】
さらに示すとおり、下流折返し端部構造44は間隙を画成することができる。間隙は、折返し端部構造44の第1の部分46と後壁14aとの間に絶縁バリアを提供する。従って、示すとおり、第1の部分46を、第2の部分47から間隔をあけて、その間に間隙を画成することができる。図示するとおり、耐火性材料45を、間隙内に少なくとも部分的に配置することができる。耐火性材料45は、さらに絶縁を与え、スペーサとしても機能して、第1の部分46と第2の部分47との間に相対的なサポートを与える。図示するとおり、例示の下流折返し端部構造は、管の端部を含むことができ、これを裏返して、自身に折返し、第1の部分46が、第2の部分47に対して同心となるようにする。
【0051】
第2の溶融炉14に入る溶融ガラスの温度は、第1の溶融炉12を出るガラスメルトの温度より大いに影響がある。従って、図2に示すとおり、構成には、折返し端部構造を含む第2の端部24のみを提供することができる。あるいは、図3に示すとおり、接続管120の第1の端部122および第2の端部124の両方共、折返し端部構造を有している。実際、第1の端部122は、前壁12a内に少なくとも部分的に配置された上流折返し端部構造54を含み、第2の端部124は、後壁14a内に少なくとも部分的に配置された下流折返し端部構造44を含む。例えば、上流折返し端部構造54は、前壁12aを通して延在し、上流折返し端部構造54は、前壁12aの内部表面から「P1」の距離だけ、第1の溶融炉12の内部領域へ突出している。加えて、または、この代わりに、下流折返し端部構造44は、後壁14aを通して延在し、下流折返し端部構造の端部は、後壁14aの内部表面から「P2」の距離だけ、第2の溶融炉14の内部領域へ突出している。上述したとおり、突出距離「P1」および「P2」によって、前壁12aおよび後壁14aの内部表面にそれぞれ沿ったガラスメルトの流れが減少する。内部表面に沿ったガラスメルトの流れが減少すると、各壁の加速のついた腐食およびガラスメルトにおける耐火性石またはコードの増大を防ぐ補助となる。突出距離「P1」および「P2」は、それぞれ、約0.5インチ(1.27cm)〜約1インチ(2.54cm)とすることができるが、その他の突出距離もさらなる例においては可能である。
【0052】
上流折返し端部構造54は、接続管120の第1の部分30の一部とすることができる。あるいは、図示するとおり、接続管120は、上流折返し端部構造54を含む、第3の領域52を画成する第3の部分50を含むことができる。第3の部分50および第1の部分30は、互いに一体化または分離することができる。さらに、図示するとおり、第3の部分50は、第1の部分30から電気的に絶縁させることができる。ただし、さらなる例においては、第3および第1の部分は電気通信していてもよい。第3の部分50は、様々なやり方で、第1の部分30から電気的に絶縁できる。図示するとおり、第3の部分50を、第1の部分30から分離および間隔をあけて、電気的絶縁を与えることができる。ガラスメルトの部分が、第3の部分50と第1の部分30との間の領域に溶け出し、第3の部分50と第1の部分30との間の電気的絶縁を維持しながら、各電気接点間の適所で凝固して、接続管内にガラスメルトを含ませる。
【0053】
上流折返し端部構造54は、提供される場合、下流折返し端部構造44の実質的な鏡像となり、同様のやり方で動作する。このように、図3に図示するとおり、装置110は、接続管120の第1の領域32の上流に位置する接続管120の第3の領域52内のガラスメルトを加熱するよう構成された第3の加熱装置を含むことができる。第3の加熱装置は、それぞれ、接続管120の第3の部分50と電気通信するよう配置された第5の電気接点64aおよび第6の電気接点64bを含むことができる。第3の部分50は、第5の電気接点64aと第6の電気接点64bとの間の電気路を画成する。第5の電気接点64aは、継電器80と通信する第5の電線路65aを含むことができる。同様に、第6の電気接点64bは、継電器80と通信する第6の電線路65bを含むことができる。継電器80は、電源82を含む第3の回路を選択的に開閉することができる。第3の回路を閉じると、電源82は電気を流して、電気接点64a、64b間に延在する接続管120の第3の部分50を加熱する。このように、第3の回路を閉じると、第3の加熱装置は、接続管120の第3の領域52内のガラスメルトを加熱することができる。あるいは、継電器80が第1の回路を開くと、接続管120の第3の部分50の加熱を防ぐ。
【0054】
一例において、制御装置を提供すると、第1、第2および第3の加熱装置により加えられた熱を自動的に調整することができる。例えば、制御装置は、図2に示した装置10に関して記載したとおり、第1および第2の加熱装置を自動的に調整することができる。同様に、制御装置は、図3に示す第3の加熱装置により加えられた熱を自動的に調整することができる。例えば、コンピュータ84が、信号を継電器80に送って、第3の回路を開閉して、第3の加熱装置による加熱を制御することができる。一例において、第3の加熱装置に、第3の温度ゲージ51を提供すると、コンピュータ84は、第3の温度ゲージ51からの温度フィードバックに基づいて、第3の回路を自動的に開閉することができる。継電器80は、従って、第3の回路を開閉することにより機能する。さらなる例において、制御装置は、電気接点間に印加された電圧を修正することにより機能する。このように、制御装置は、対応の測定された温度に基づいて、ヒーターにより加えられた熱を連続的に修正することができる。
【0055】
本発明の態様に従って、ガラスを製造する例示の方法を説明する。ガラスを製造する方法は、ガラスメルト18を第1の溶融炉12に提供する工程を含む。図1に示すとおり、ガラス供給材料は、矢印15で示されるように、第1の溶融炉12に供給される。供給材料は、第1の溶融炉12へ、ガラス形成成分を一緒に混合し、別個の処理量として、第1の溶融炉12へ導入されるバッチプロセスにより導入されるか、または供給材料は、連続的に混合されて、第1のガラス溶解炉へ導入される。矢印15で示されるように、供給材料は、炉構造の開口部またはポートを通して、バッチプロセスの場合には、プッシュバーまたはスクープを用いることにより、導入され、連続供給溶解炉の場合には、スクリューまたはオーガ装置を用いる。供給材料成分の量および種類は、ガラス「レシピ」を含む。バッチプロセスは、少量のガラスに用いることができ、約数トンのガラスまでの容量を有する炉に用いることができ、大規模業務用連続供給炉は、1,500トンを超えるガラスに適用でき、1日に数百トンのガラスを分配することができる。
【0056】
供給材料は、第1の溶融炉12において、供給材料の上の1つ以上のバーナーから出る燃料空気(または燃料酸素)火炎により、内部溶解炉壁に典型的に装着された電極間を通る電流により、またはその両方により、加熱される。同じく耐火性ブロックからできた壁上のクラウン構造は、溶融炉をカバーし、燃焼加熱炉において、燃料の燃焼のための隙間を与える。
【0057】
あるプロセスにおいて、供給材料は、まず、燃料空気火炎により加熱する。すると、供給材料が溶融し始め、供給材料の抵抗性が減少する。電流は、その後、供給材料/溶融混合物を通って、加熱および溶融プロセスが完了する。加熱中、供給材料の反応によって、様々なガスが放出され、一般的に、ブリスターまたはシードと呼ばれる内包物が、ガラスメルト内に形成される。シードはまた、供給材料の粒子間の隙間内に捕捉された空気の結果として、そして耐火性ブロック自体のメルトへの溶解からも形成される。シードを構成するガスは、例えば、O、CO、CO、SO、Ar、NおよびNOのいずれか1つまたは混合物を含む。除去されないと、シードは、ガラス製造プロセスを通過して、最終的なガラス製品までいき望ましくない。ガス状内包物の除去は、清澄とも呼ばれる。固体内包物はまた、溶融および溶解が不完全な場合、例えば、メルトが溶融中、適切な温度で滞留時間が不十分な場合、最終製品に侵入する可能性もある。メルトを含む固体内包物は、完全に溶融しておらず、メルトの残りと均一になっていない未溶融供給材料(石)およびガラスメルトの小さな領域(固まり)であり、バルクメルトとは異なる屈折率を有している。
【0058】
溶融中、発泡層16が、メルトの表面に形成される。これは、アルカリを含まないアルミノケイ酸塩ガラスに特に当てはまる。理論に拘束されることは望むところではないが、泡沫塊は、アルミナおよびシリカ層化の程度によると考えられ、より粘性であるが、あまり緻密でないシリカを多く含むガラスは、あまり粘性でないが、より重いアルミナを多く含むガラスの上に浮く。メルトを通して上方へ上がるシードは、粘性のシリカを多く含むガラスに捕捉されて、メルトの上に発泡層を形成する。この泡沫塊にはまた、原材料と、溶融プロセスの副生成物も含まれる。
【0059】
図2を参照すると、本発明の方法には、ガラスメルト18を、接続管20を通して、第1の溶融炉12から第2の溶融炉14まで流す工程もさらに含まれる。図示するとおり、ガラスメルトは、第1の経路18aに沿って、第2の溶融炉14の上流に位置する接続管20の第1の領域32を通って流れる。ガラスメルトは、第1の経路18aに沿って、第1の領域32の下流に位置する接続管20の第2の領域42を通って流れ続ける。本方法には、第1の領域32内のガラスメルトを第1の加熱装置により加熱する工程がさらに含まれる。一例において、第1の加熱装置は、ガラスメルトが第1の溶融炉12で維持されるのと実質的に同じ温度にガラスメルトを維持する機能を果たす。例えば、第1の加熱装置は、約1570℃〜約1620℃、例えば、約1600℃〜約1620℃の温度範囲内に、第1の領域32においてガラスメルトを維持するよう構成することができる。
【0060】
本方法には、ガラスメルトを、第2の領域42内で、第2の加熱装置により加熱する工程がさらに含まれる。一例において、第2の加熱装置はまた、ガラスメルトを、第1の溶融炉で維持したのと実質的に同じ温度でガラスメルトを維持する機能も果たす。例えば、第2の加熱装置は、約1570℃〜約1620℃、例えば、約1600℃〜約1620℃の温度範囲内に、第2の領域42においてガラスメルトを維持するよう構成することができる。第2の加熱装置は、ガラスメルトを、第2の溶融炉14に、第2の溶融炉14内のガラスメルトの平均温度より約20℃高い温度で導入できるように設計することができる。第2の溶融炉14に入るガラスメルトの比較的高温によって、回転パターン19が生じる。実際、第2の溶融炉14に入るガラスメルトは、ガラスメルトの表面が持ち上がる傾向があり、ガラス泡13がガラスメルト18の表面で放出されるにつれて、清澄がより容易に生じる。ガラスメルトが冷却されるにつれて、下に流れ、ガラスメルトの一部が、回転パターン19を移動する際、後壁14aに向かって戻って、第2の溶融炉14に再び再生される。このように、第2の溶融炉14に入る比較的熱いガラスメルトによって、ガラスメルト18の循環が補助されて、第2の溶融炉14内での残りの時間が増え、また、ガラスメルトが流れる際の、ガラスメルト表面による清澄プロセスも補助する。
【0061】
第1の溶融炉12と第2の溶融炉14との間の接続管20周囲の雰囲気を制御して、雰囲気内の所定の水素部圧を与えることができ有利である。2005年4月27日出願の米国特許出願公開第2006/0242996号明細書に開示されているとおり、接続管20外および接続管20と接触する水素分圧を用いて、耐火性金属容器内の溶融ガラス中のガス状内包物の除去を制御することができる。かかる制御は、容器を囲む筺体で容器を囲むことにより促進され、容器を囲む筺体は、耐火性金属容器と接触する雰囲気も囲む。第1の溶融炉12の前壁12aを通って出る際、ガラスの冷却を用いて、1種類または複数種類の多価清澄剤を、酸素と共に、ガラス内に再充填することができる。溶融炉の壁外の接続管20と接触する雰囲気の水素分圧を後に下げることにより、接続管20を流れ、かつ接続管20から出るガラスメルトからの水素浸透を促進して、酸素を放出し、接続管を通過する溶融ガラス内で活発に発泡させることができる。この酸素の大量放出によって、メルト内のシードの凝固を補助することができる。清澄剤の再充填を用いると、第2の溶融炉14内での初期の清澄および後の清澄工程、例えば、第2の溶融炉14の下流かつ流体連通している清澄容器11内において、改善することができる。接続管20と接触する雰囲気の水素分圧は、例えば、接続管20と接触する雰囲気の有効露点を制御することにより制御される。
【0062】
本発明によれば、第1の溶融炉12のメルトの表面とは異なり、第2の溶融炉14内のガラスメルトの表面には、泡、微粒子および本明細書に記載したようなその他汚染物が実質的にない。第2の溶融炉14におけるメルトの泡のない表面は、メルトの表面上に位置する燃料バーナー(図示せず)の熱効率を上げることができる。第1の溶融炉12において存在する発泡層16は、燃焼バーナーにより生成される熱からガラスメルトの表面を断熱する役割を果たす。従って、第1の溶融炉12における溶融で生成された熱の約75%は、電流のジュール熱により生じ、約25%は、ガラスメルト18上の燃料−酸素バーナーによるものである。電気溶融は、エネルギー効率が良いが、電極近くの側壁の局部温度は、非常に高く、電気溶融だと、主に燃料溶融よりも、耐火物寿命が通常短い。一方、第2の溶融炉14におけるガラスメルト18の実質的に泡のない表面によって、電気ジュール加熱よりも、燃料−酸素バーナーにより、大量の熱がメルトに寄与する。
【0063】
本発明の上述した実施形態、特に、「好ましい」実施形態は、実施の単なる可能な例であり、本発明の原理を明確に理解するために単に規定されたものであることを強調しておかなければならない。多くの変形および修正を、本発明の趣旨および原理から実質的に逸脱することなく、本発明の上述した実施形態で行える。かかる変形および修正は全て、本開示内容および本発明の範囲内に含まれ、特許請求の範囲により保護されるものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラスメルトを第1の溶融炉に提供する工程と、
前記ガラスメルトを、接続管を通して、前記第1の溶融炉から第2の溶融炉まで流す工程であって、前記ガラスメルトが、前記第2の溶融炉の上流に位置する前記接続管の第1の領域および前記第1の領域の下流に位置する前記接続管の第2の領域に流れる工程と、
前記第1の領域内の前記ガラスメルトを、第1の加熱装置により加熱する工程と、
前記第2の領域内の前記ガラスメルトを、第2の加熱装置により加熱する工程と
を含むことを特徴とする、ガラスを製造する方法。
【請求項2】
前記第1の加熱装置は、前記接続管の第1の部分に電流を流すことにより、前記接続管の前記第1の領域内の前記ガラスメルトを加熱し、前記第2の加熱装置は、前記接続管の第2の部分に電流を流すことにより、前記接続管の前記第2の領域内の前記ガラスメルトを加熱することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記接続管の前記第2の部分は、前記第2の溶融炉の後壁内に少なくとも部分的に配置された下流折返し端部構造を含み、前記電流は、前記下流折返し端部構造を流れることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第2の溶融炉の後壁内に少なくとも部分的に配置された下流折返し端部構造を加熱する工程をさらに含むことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の溶融炉の前壁内に少なくとも部分的に配置された上流折返し端部構造を加熱する工程をさらに含むことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
第1の溶融炉と、
第2の溶融炉と、
前記第1の溶融炉から前記第2の溶融炉までガラスメルトを移動させるための、前記第1および第2の溶融炉を接続する接続管であって、前記第2の溶融炉の上流に位置する第1の領域を画成する第1の部分と、前記第1の領域の下流に位置する第2の領域を画成する第2の部分とを含む接続管と、
前記接続管の前記第1の領域内のガラスメルトを加熱するよう構成された第1の加熱装置と、
前記接続管の前記第2の領域内のガラスメルトを加熱するよう構成された第2の加熱装置と
を含むことを特徴とする、ガラスを製造するための装置。
【請求項7】
前記接続管は、下流折返し端部構造を有することを特徴とする、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記下流折返し端部構造は、前記第2の溶融炉の後壁内に少なくとも部分的に配置されていることを特徴とする、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記下流折返し端部構造は、前記後壁を通して延在しており、前記下流折返し端部構造の端部は、前記後壁の内部表面から、前記第2の溶融炉の内部領域へ突出していることを特徴とする、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記第1の部分は、前記第2の部分から電気的に絶縁されており、前記第1の加熱装置は、電流を前記第1の部分に流して、前記接続管の前記第1の領域内の前記ガラスメルトを加熱するよう構成されており、前記第2の加熱装置は、電流を前記第2の部分に流して、前記接続管の前記第2の領域内の前記ガラスメルトを加熱するように構成されていることを特徴とする、請求項6〜9のいずれか一項に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−126433(P2010−126433A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−268413(P2009−268413)
【出願日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【出願人】(397068274)コーニング インコーポレイテッド (1,222)
【復代理人】
【識別番号】100116540
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 香
【復代理人】
【識別番号】100139723
【弁理士】
【氏名又は名称】樋口 洋
【Fターム(参考)】