ガラスアンテナ
【課題】ガラス板面の片面に配置でき、簡単な構造の衛星波受信用ガラスアンテナを提供する。
【解決手段】芯線側給電点に接続した芯線側エレメントと、グランド側給電点を内部に有したグランド側エレメントとからなるガラスアンテナにおいて、前記グランド側エレメントは、略矩形状のグランド面状導体部を前記芯線側給電点と近接する位置に有し、前記グランド面状導体部の面内に少なくとも1つのグランド側給電点を設けてなり、前記芯線側エレメントは、前記芯線側給電点と対向する前記グランド面状導体部の一辺に対して鉛直になるように設けた仮想線に直交し、かつグランド面状導体部から遠ざかる方向に延伸した直交線条か、または、前記仮想線と略平行かつグランド面状導体部から遠ざかる方向に延伸した平行線条の少なくとも一方を有することを特徴とする。
【解決手段】芯線側給電点に接続した芯線側エレメントと、グランド側給電点を内部に有したグランド側エレメントとからなるガラスアンテナにおいて、前記グランド側エレメントは、略矩形状のグランド面状導体部を前記芯線側給電点と近接する位置に有し、前記グランド面状導体部の面内に少なくとも1つのグランド側給電点を設けてなり、前記芯線側エレメントは、前記芯線側給電点と対向する前記グランド面状導体部の一辺に対して鉛直になるように設けた仮想線に直交し、かつグランド面状導体部から遠ざかる方向に延伸した直交線条か、または、前記仮想線と略平行かつグランド面状導体部から遠ざかる方向に延伸した平行線条の少なくとも一方を有することを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平面、又は緩い曲面に装着される自動車等の車両の窓ガラスに設けられるVHF帯からマイクロ波帯の電波を受信できるアンテナに関し、特に、北米サテライトラジオ、欧州デジタルラジオの他、GPS、SDARS等の衛星通信に好適な円偏波アンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、GPS衛星通信(Global Positioning System、全地球無線測位システム)や、XMサテライト放送、シリウスサテライト放送等の欧米諸国の衛星デジタルラジオ放送サービスであるSDARS(Satellite Digital Audio Radio Service)の衛星通信や、VICS(Vehicle Information Communication System、道路交通情報通信システム)、ETC(electronic toll collection、電子料金徴収システム)等に利用されるマイクロ波帯用の平面アンテナとして、マイクロストリップアンテナが良く知られており、マイクロストリップアンテナは自動車の金属屋根や金属製のトランクリッドなどの広い金属板上に設置されることによって、高い仰角から到来する電波にも、低い仰角から到来する電波にも高い受信性能を発揮することができる。
【0003】
しかし、今般、主に自動車の外観デザイン上の問題から、衛星波受信用アンテナを自動車の金属屋根や金属製トランクリッドではなく、ダッシュボードの内部や窓ガラスに設けたいというニーズがあり、このようなダッシュボード内及び窓ガラスに設けたアンテナとして、特許文献1から5に記載されたものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2003/105278号公報
【特許文献2】特開2004−214820号公報
【特許文献3】特開2004−214819号公報
【特許文献4】特開2008−141765号公報
【特許文献5】特開2002−52957公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
自動車の窓ガラスに設けた前記特許文献1〜3に記載されたアンテナは、誘電体基板の片面のみに構成可能なコープレーナー形のアンテナである。このようなアンテナは、広い導体面積を必要とすることから、ガラス窓に配置すると視界を妨げる問題点があり、さらに、自動車に搭載した場合に性能が劣化してしまう問題点もある。
【0006】
また、特許文献4に記載されたアンテナは、窓ガラスに取り付けることを想定したマイクロストリップアンテナであるが、前記特許文献1〜3と同様に、窓ガラスを透した視界を妨げる問題点がある。
【0007】
また、特許文献5に記載の発明は、カーナビゲーション用車載式電子制御装置とGPS用のマイクロストリップアンテナを一体化し、前記マイクロストリップアンテナを前記カーナビゲーション用車載式電子制御装置と共に、ダッシュボード内部に搭載するカーナビゲーション車載式電子制御装置の搭載構造に関する発明である。このようにGPS用受信アンテナをダッシュボード内に搭載すると、ダッシュボード内部のさまざまな電装品・金属部品から電気的な影響を受け易く、アンテナ性能が劣化してしまう問題点がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、このような問題点を解決し、VHF帯からマイクロ波帯までガラス板面の片面に配置でき、簡単な構造で、視界を妨げることなく、所望の受信性能を得ることができる衛星波受信用の円偏波アンテナを提供することを目的とする。
【0009】
すなわち、本発明は、芯線側給電点に接続した芯線側エレメントと、グランド側給電点を内部に有したグランド側エレメントとからなるガラスアンテナにおいて、前記グランド側エレメントは、略矩形状のグランド面状導体部を前記芯線側給電点と近接する位置に有し、前記グランド面状導体部の面内に少なくとも1つのグランド側給電点を設けてなり、前記芯線側エレメントは、前記芯線側給電点と対向する前記グランド面状導体部の一辺に対して鉛直になるように設けた仮想線に直交し、かつグランド面状導体部から遠ざかる方向に延伸した直交線条か、または、前記仮想線と略平行かつグランド面状導体部から遠ざかる方向に延伸した平行線条の少なくとも一方を有することを特徴とするガラスアンテナである。
【0010】
また、本発明は、前記芯線側エレメントが、前記直交線条と、前記平行線条とを有し、前記直交線条と、前記平行線条との両方が前記芯線側給電点に接続されることを特徴とする上述のガラスアンテナである。
【0011】
また、本発明は、前記芯線側エレメントが、前記直交線条と、前記平行線条とを有し、前記平行線条は、前記芯線側給電点に接続され、前記直交線条は、前記平行線条の先端から前記平行線条に略直交する方向に延伸したことを特徴とする上述のガラスアンテナである。
【0012】
また、本発明は、前記芯線側エレメントの直交線条および平行線条の各々の長さをα・λ/8〜α・λ/3(α:ガラスの波長短縮率、λ:受信電波の平均波長)のいずれかの値とし、前記直交線条の長さと前記平行線条の長さの合計を略α・λ/2としたことを特徴とする上述のガラスアンテナである。
【0013】
また、本発明は、前記芯線側エレメントは、前記直交線条または前記平行線条のいずれか一方を有し、前記平行線条または前記直交線条の長さを略α・λ/2(α:ガラスの波長短縮率、λ:受信電波の平均波長)としたことを特徴とする上述のガラスアンテナである。
【0014】
また、本発明は、前記芯線側エレメントは、前記芯線側給電点に接続された前記直交線条を有し、前記直交線条は、該直交線条に対して略直交するように、該直交線条の先端から前記グランド面状導体部側に向けて延伸した補助平行線条を備えることを特徴とする上述のガラスアンテナである。
【0015】
また、本発明は、前記芯線側エレメントの直交線条および前記補助平行線条の各々の長さをα・λ/8〜α・λ/3(α:ガラスの波長短縮率、λ:受信電波の平均波長)のいずれかの値とし、前記直交線条の長さと前記補助平行線条の長さの合計を略α・λ/2としたことを特徴とする上述のガラスアンテナ。
【0016】
また、本発明は、前記グランド面状導体部の、芯線側給電点と近接していない辺の一辺を共有辺とする矩形状の閉ループ部を、前記グランド面状導体部の少なくとも1箇所に隣接して設けたことを特徴とする上述のガラスアンテナである。
【0017】
また、本発明は、前記グランド側エレメントのグランド面状導体部、又は閉ループ部のいずれかに接続される補助線条を有し、該補助線条を、前記芯線側エレメントの芯線側給電点から延伸している前記直交線条または平行線条のいずれかと同一方向かつ略平行に延伸したことを特徴とする上述のガラスアンテナである。
【0018】
また、本発明は、前記グランド側エレメントのグランド面状導体部に接続される補助線条を有し、該補助線条を、前記芯線側エレメントの芯線側給電点から延伸している前記直交線条または平行線条のいずれかと同一方向かつ略平行に延伸したことを特徴とする上述のガラスアンテナである。
【0019】
また、前記補助線条の長さをα・λ/4〜α・λ/2(α:ガラスの波長短縮率、λ:受信電波の平均波長)とし、前記補助線条と、該補助線条に略平行に延伸した前記直交線条または前記平行線条との間隔をα・λ/8〜α・λ/4としたことを特徴とする上述のガラスアンテナである。
【0020】
また、本発明は、前記グランド面状導体部の前記芯線側給電点に対向する辺の略中央部分に切欠部を設けたことを特徴とする上述のガラスアンテナである。
【発明の効果】
【0021】
本発明のアンテナによると、芯線側エレメントとして前記平行線条、または前記直交線条のいずれかを配設したことによって、芯線側エレメント10に誘起される電流とグランド側エレメント20に誘起される電流の位相がずれるとともに、芯線側エレメント10に誘起される電流とグラウンドエレメント20に誘起される電流の向きが直角となるために、偏波面の回転する円偏波を効率よく受信することが可能となる。
【0022】
また、芯線側エレメントの平行線条と直交線条とを略直交するように配設し、該平行線条の長さと該直交線条の長さの合計が略α・λ/2となるように、各線条の長さをそれぞれα・λ/8〜α・λ/3の間で調整することにより、芯線側エレメントに誘起される電流とグラウンド側エレメントに誘起される電流の位相をλ/4だけずれるようにすることができ、偏波面の回転する円偏波を芯線側エレメントとグランド側エレメントでより一層効率よく受信することが可能となる。
【0023】
また、前記矩形状のグランド面状導体部の芯線側給電点側とは対向していない一辺を共有辺とする矩形状の閉ループ部を隣接させたことで、この閉ループ部が摂動素子として機能し、グランド側エレメントが閉ループ部を有さず、グランド面状導体部だけの場合に比べ、より高効率に電波を受信することができる。
【0024】
また、前記グランド側エレメントの補助線条が、前記芯線側エレメントの芯線側給電点から延びている線条と同一方向かつ略平行に配設されることにより、本発明のアンテナに誘起される電流が、前記芯線側エレメントと前記グランド側エレメントの間を、ループを描くように流れるため、偏波面の回転する円偏波をより好適に受信できるアンテナとなる。
【0025】
このようにして、一点給電で簡単な構造の小型の平面アンテナを構成でき、窓ガラスに装着しても視界の妨げにならず、美観を損ねることもなく、小型かつ高性能のアンテナとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施例1のアンテナの構成を説明する図。
【図2】本発明の実施例2のアンテナの構成を説明する図。
【図3】本発明の実施例3のアンテナの構成を説明する図。
【図4】本発明の実施例4のアンテナの構成を説明する図。
【図5】本発明の実施例5のアンテナの構成を説明する図。
【図6】本発明の実施例6のアンテナの構成を説明する図。
【図7】本発明の実施例7のアンテナの構成を説明する図。
【図8】本発明の実施例8のアンテナの構成を説明する図。
【図9】本発明の実施例9のアンテナの構成を説明する図。
【図10】本発明の実施例10のアンテナの構成を説明する図。
【図11】本発明の実施例11のアンテナの構成を説明する図。
【図12】本発明の実施例12のアンテナの構成を説明する図。
【図13】本発明の実施例13のアンテナの構成を説明する図。
【図14】本発明の実施例14のアンテナの構成を説明する図。
【図15】本発明の実施例15のアンテナの構成を説明する図。
【図16】本発明の実施例16のアンテナの構成を説明する図。
【図17】本発明の実施例17のアンテナの構成を説明する図。
【図18】本発明の実施例1のアンテナを自動車の後部窓ガラスに配置した全体正面図。
【図19】本発明の実施例12のアンテナを自動車の後部窓ガラスに配置した全体正面図。
【図20】本発明の実施例1のアンテナの指向特性図。
【図21】本発明の実施例12のアンテナの衛星波の到来方向の仰角と平均利得の関係を示す図。
【図22】比較例(ダッシュボード内部に搭載したカーナビゲーション車載式電子制御装置のGPSアンテナ)の衛星波の到来方向の仰角と平均利得の関係を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1から図17に示したアンテナパターンは、窓ガラスの車内面側から見た図であり、該アンテナが受信する電波は車外から到来するものとして、それぞれ説明をおこなう。
【0028】
本発明のアンテナは、芯線側給電点11に接続した芯線側エレメント10と、グランド側給電点21を内部に有したグランド側エレメント20とから構成される。グランド側エレメント20は、略矩形状のグランド面状導体部22を有し、芯線側給電点11と近接する位置に設け、グランド面状導体部22の面内に少なくとも1つのグランド側給電点21を設けている。芯線側エレメント10は、図3、図4に示したように、芯線側給電点11からグランド面状導体部22の芯線側給電点11との対向辺に対して鉛直になるように結んだ仮想線30に略直交する直交線条12か、または、仮想線30と略平行で、グランド面状導体部22から遠ざかる方向に芯線側給電点11から延ばした平行線条13のいずれか一方を、芯線側給電点11に接続する構成とした。
【0029】
このような構成にすることにより、芯線側エレメント10に誘起される電流とグランド側エレメント20に誘起される電流の位相がずれるとともに、芯線側エレメント10に誘起される電流とグランド側エレメント20に誘起される電流の向きが直角となるために、円偏波を受信することができる。
【0030】
あるいは、図1に示したように、芯線側エレメント10が、芯線側給電点11から仮想線30に対して略直交方向に延ばした直交線条12と、その先端からグランド面状導体部22側に仮想線30と略平行に延ばした平行線条13とした構成とすることができる。
【0031】
さらにまた、図2に示したように、芯線側エレメント10は、芯線側給電点11から仮想線30に対して略直交方向に延ばした直交線条12と、芯線側給電点11からグランド面状導体部22から遠ざかる方向で、仮想線30に略平行に延ばした平行線条13との、直交する2つの方向に延ばすようにしてもよい。
【0032】
芯線側エレメント10の直交線条12、及び平行線条13の各長さは、それぞれα・λ/8〜α・λ/3(α:ガラスの波長短縮率、λ:受信電波の平均波長)とするのが好ましく、これにより、おのおのに誘起される電流の位相をλ/4だけずらすことができ、偏波面の回転する円偏波を芯線側エレメント10とグランド側エレメント20で効率よく受信することができる。
【0033】
芯線側エレメント10の直交線条12は、芯線側給電点11から仮想線30に略直交方向に配設した場合、平行線条13については、直交線条12の先端よりグランド面状導体部22側に向けて仮想線30に平行に伸ばす(図1、図5及び図7〜図11参照)、あるいは芯線側給電点11からグランド面状導体部22と離れる方向で仮想線30に平行に伸ばす(図2、図6及び図7参照)、のいずれか一方、あるいは両方向に伸ばす(図7参照)ようにしても良い。
【0034】
さらに、芯線側給電点11から仮想線30に平行に伸ばす平行線条13は、芯線側給電点11のどの位置から延ばしても良く、グランド面状導体部22と離れる方向で水平に延伸させれば良い。
【0035】
さらに、図8に示すように、平行線条13が、直交線条12の先端からグランド面状導体部22側に向けて仮想線30に平行に伸ばしている場合には、さらに、直交線条12の先端からグランド面状導体部22と離れる方向で仮想線30に平行に第2平行線条14を延伸させるようにしても良い。
【0036】
また、芯線側エレメント10について、図2、図9〜図10に示したように、芯線側エレメント10の直交線条12の芯線側給電点11から延伸させる方向とは逆方向に向けて、グランド面状導体部22の略方形の辺を共有辺とする矩形状の閉ループ部23を隣接させる(図2、図9〜図10参照)、または、図11に示したように、矩形状のグランド面状導体部22の芯線側給電点11側とは反対方向に面した側の辺を共有辺とする矩形状の閉ループ部23を隣接させるようにしても良い。すなわち、閉ループ部23は、芯線側給電点11側ではない辺であれば、いずれの辺でもよい。また、前述した閉ループ部23は、後述する実施例のうち、閉ループ部23を有さない、いずれの実施例とも組み合わせることができる。
【0037】
グランド面状導体部22の一辺を共有辺とした閉ループ部23を隣接させたのは、この閉ループ部23が摂動素子として機能し、グランド側エレメント20を略方形で面状のベタにした場合に比べ、より高効率に電波を受信することができるためである。
【0038】
また、グランド側エレメント20のグランド面状導体部22の形状は、略正方形から略長方形の矩形状の面状導体とするのが望ましく、グランド面状導体部22の仮想線30に平行な辺の長さはα・λ/4前後とした。
【0039】
また、グランド側エレメント20のグランド面状導体部22を面状導体ではなく、線条のエレメントとすることもできるが、いずれの場合もある程度の面積があるのが望ましい。
【0040】
さらに、グランド側エレメント20に、図9に示したような、グランド面状導体部22の仮想線30に平行な辺を共有辺とする矩形状の閉ループ部23内を略二分するような水平線条をさらに設けるようにしても良い。
【0041】
さらにまた、グランド側エレメント20について、図16に示したように、グランド面状導体部22の、芯線側給電点11と対向する辺を除く辺のうちの2辺に矩形状の閉ループ部23を隣接して設けてもよい。
【0042】
さらにまた、図10に示したように、グランド面状導体部22の芯線側給電点11に面する側の側辺の中央部近傍の一部に切欠部を設けるようにしても良い。これは、ハンダ付け等によって芯線側給電点11に固定する給電端子金具3の座金等が不慮にしてグランド面状導体部22に接触しショートしないようにするためである。
【0043】
芯線側給電点11とグランド側給電点21のそれぞれに、図示しない端子金具3の正極、負極をハンダ付け等によってそれぞれ固定した後、図示しない同軸ケーブルの芯線、外皮線を端子金具3の正極、負極にそれぞれ接続する。グランド側エレメント20に設ける給電点21の位置に端子金具3の台座を設ける場合、給電点は少なくとも1箇所あれば良いが、給電点を2箇所設けると端子金具3を安定してグランド側エレメント20のグランド面状導体部22に固着できる。また、給電点21は1箇所でも高いアンテナ性能を得ることができるが、図1乃至図17に示すように2箇所に設けたときに、高いアンテナ性能が得やすくなる。
【0044】
また、図12乃至図16に示したように、芯線側給電点11に設けた平行線条13の先端に、平行線条13と直交する右方向に延ばすように直交線条12を接続し、直交線条12、平行線条13の線条長さを、それぞれα・λ/8〜α・λ/3(λ:受信周波数の中間波長、α:ガラスの波長短縮率)とすることで、芯線側エレメント10とグランド側エレメント20に誘起される電流の流れが直角になり、該電流の位相が略λ/4だけずれるため、右円偏波を好適に受信できるアンテナとなる。
【0045】
さらに、また、図12及び図15乃至図17に示すように、グランド面状導体部22もしくは、閉ループ部23の一辺から、補助線条24を延ばしてもよい。その際、補助線条24のうちの、平行線条13と平行となる部分である補助線条24aの長さをα・λ/4〜α・λ/2とし、補助線条24aと平行線条13との間隔bをα・λ/8〜α・λ/4とし、補助線条24aの先端と、平行線条13の先端との水平方向(仮想線30に沿った方向)の間隔aを略α・λ/4とするとよい。このように補助線条24を設けることによって、補助線条24が摂動素子として機能し、芯線側エレメント10とグランド側エレメント20のそれぞれに誘起される電流の位相差を、紙面裏側から到来する右円偏波の電波をより好適に受信するように調整することができる。
【0046】
なお、前述した補助線条24は、後述するいずれの実施例のうち、補助線条24を有さない実施例とも組み合わせることができる。
【0047】
図12に記載のアンテナでは、補助線条24と閉ループ部23との接続点を、閉ループ23のコーナー部のうち、芯線側給電点11から最も遠いコーナー部に設けているが、必ずしも、前記コーナー部に設ける必要はなく、例えば、図15及び図16において、芯線側給電点との対向辺のコーナー部に設けているように、平行線条13よりも、右側に補助線条24を接続すればよい。ただし、補助線条24の先端と、平行線条13の先端との間隔aは、常に略α・λ/4の長さになるようにしなければ、補助線条24を摂動素子として十分に機能させることができない。
【0048】
また、図1及び図10に記載のアンテナは、車外側から到来する左円偏波の受信に好適なアンテナであるが、図17のように紙面の表側から見て直交線条の右側に、補助線条24を前記直交線条に対して平行かつ一定の間隔を設けてグランド面状導体部22の一辺に接続することで、芯線側エレメント10とグランド側エレメント20に誘起される電流が紙面表から見て反時計周りに回転するように変化するため、左円偏波を受信するのにより好適になるように調整することができる。
【0049】
前記本発明のアンテナの芯線側エレメントとグランド側エレメントの各エレメントの配置については、水平方向の中心線条、または垂直方向の中心線条で線対称に配置することもできる。
【0050】
前記本発明のアンテナを、車両の後部窓ガラス、側部窓ガラス及び前部窓ガラスのそれぞれに設置し、仰角20度から60度の低仰角から中仰角において、等方位的な指向特性を得ることができる。
【0051】
図18、図19は、自動車の後部窓ガラスに本発明のアンテナを搭載した例を車内側から示した説明図である。後部窓ガラス1の中央部には、複数の熱線からなるデフォッガが配置されている。デフォッガ熱線の両端はバスバーに接続され、各バスバーは、それぞれ、自動車のバッテリー電源及びグランドに接続されている。
【0052】
本発明のアンテナを自動車の後部窓ガラスに形成する場合には、自動車の後部窓ガラス1のデフォッガの下部に配置される。なお、アンテナは、後部窓ガラス1のうち、デフォッガ熱線から離れた位置であれば、任意の場所(例えば、右側又は左側)に配置することができる。なお、アンテナは、後部窓ガラス1の上部余白部ではなく、下部余白部に配置した方が、上方からの電波を受信するのに都合がよい。
【0053】
また、アンテナ1は、グランド側エレメント20が右側になるように配置したが、本発明のアンテナは、等方位的な指向特性を有するので、左右どちらの向き(例えば、グランド側エレメント20が左側)に配置してもよい。
【0054】
また、本発明のアンテナを、自動車の窓ガラスに1系統設けても優れた受信性能が得られるが、2系統以上配置し、ダイバーシティ受信すれば、一層安定した指向特性が得られる。
【0055】
本発明のアンテナは、車両のガラス板面にスクリーン印刷された導電性セラミックペーストを焼き付け形成されるが、他の絶縁体の面上にアンテナパターンを設けるようにしてもよい。
【0056】
例えば、建築物の窓ガラス、壁面、屋根に取り付けられるアンテナであってもよい。また、車両の窓ガラスに貼り付け可能なフィルム上にパターンを設け、該フィルムを所望の位置に貼り付けたアンテナであってもよい。
【実施例】
【0057】
以下に本発明の各実施例について、詳細に説明する。
【0058】
<実施例1>
図1は、本発明の実施例1のアンテナであり、自動車の窓ガラスの車内面に設けた車内視の図である。
【0059】
本発明の実施例1のアンテナは、芯線側エレメント10と、グランド面状導体部22、閉ループ部23とを有するグランド側エレメント20を備える。
【0060】
芯線側エレメント10は、正方形の芯線側給電点11のコーナーから直交線条12を延伸させ、その先端より直交線条12に直角に、グランド側エレメント20の方向に、平行線条13を延伸させる。
【0061】
一方、グランド側エレメント20は、図1に示すような略矩形状のグランド面状導体部22を有し、該グランド面状導体部22内にグランド側給電点21が設けられ、また、閉ループ部23は、前記グランド側エレメント20の略矩形状グランド面状導体部22の、仮想線30に平行な2辺のうち、平行線条13から遠い方の辺を共有辺とする長方形状の線条のエレメントである。
【0062】
芯線側給電点11は、グランド面状導体部22内に設けたグランド側給電点21に対応するように、グランド面状導体部22とは別の導体である芯線側エレメントに設けられた芯線側の給電点である。芯線側給電点11及びグランド側給電点21は、各々、給電端子金具3に接続された高周波ケーブルの芯線及びグランドと接続されている。なお、給電端子金具3は、高周波ケーブルを介して、受信機に接続されている。
【0063】
実施例1のアンテナの各寸法は、芯線側給電点11の縦横の長さを10mm、芯線側エレメント10の直交線条12、平行線条13の線条長さを、それぞれ25mm、30mmとし、グランド側エレメント20のグランド面状導体部22の仮想線30に対して直交方向の辺、平行方向の辺の長さを、それぞれ29mm、28mm、閉ループ部23の仮想線30に対して直交方向の辺、平行方向の辺の長さをそれぞれ10mm、28mmとし、芯線側給電点11とグランド側エレメント20間の間隔を3mmとした。
【0064】
実施例1のアンテナは、各エレメントの長さが約2.3GHzに共振するように調整されているが、本発明は該長さに限定されるものではない。
【0065】
なお、実施例1のアンテナは車両の窓ガラスの室内面にパターンを形成するものであるため、ガラスによる波長短縮率αを0.7として、各エレメント長を計算した。
【0066】
次に、実施例1のアンテナの作用について説明する。芯線側エレメント10の直交線条12、平行線条13の線条長さを、それぞれα・λ/8〜α・λ/4(λ:受信周波数の中間波長、α:ガラスの波長短縮率)とするのが良いとしたのは、これによって芯線側エレメント10とグランド側エレメント20に誘起される電流の位相を略λ/4だけずらすことができるためである。なお、芯線側エレメント10の直交線条12、平行線条13の線条長さを、それぞれα・λ/3程度まで長くしても同様の効果が得られる。
【0067】
さらに、直交線条12の長さと平行線条13の長さの合計を略α・λ/2としてもよい。
【0068】
また、前記各線条12、13を直交させるようにしたのは、偏波面の回転する円偏波を芯線側エレメント10とグランド側エレメント20で効率よく受信することが可能になるためである。
【0069】
さらに、グランド面状導体部22の4辺のうち、上辺に、閉ループ部23を設けることによって、この閉ループが摂動素子として機能し、グランド面状導体部22だけとした場合に比べて、より高効率に電波を受信することができる。なお、グランド面状導体部22の上辺ではなく、仮想線30に平行となる辺であれば同様の機能を発揮する。
【0070】
以上説明したように、実施例1のアンテナは、芯線側エレメントの平行線条13と直交線条12を略直交するように配設し、各線条の長さをそれぞれα・λ/8〜α・λ/3程度としたので、偏波面の回転する円偏波をより一層効率よく受信することが可能となる。
【0071】
さらにまた、グランド面状導体部22の、仮想線30に平行な2辺のうちの、平行線条13からは遠い方の辺を共有辺とする矩形状の閉ループ部23を隣接させたので、この閉ループ部23が摂動素子として機能し、より高効率に電波を受信することができる。
【0072】
車外側から到来する電波に対して、車内に形成された実施例1のアンテナは、左円偏波に対して好適なアンテナとなる。また、芯線側エレメント10とグランド側エレメント20の各線状の配置について、仮想線30に対して又は仮想線30に直交する直線に対して線対称に配置することで、右円偏波に好適なアンテナとなる。
【0073】
実施例1のアンテナを自動車の後部窓ガラスに搭載した場合(図18を参照)の、アンテナの指向特性は図20に示したようになる。図20は、車外側から左円偏波で到来する2.338GHzの電波を受信したときの受信電波の仰角(水平面に対する受信電波の到来する角度)を40度に設定して測定したときの指向特性図である。
【0074】
図20から分かるように、実施例1のアンテナは、水平面の全方位に等方位的な指向性を有することが分かる。このため、本発明の実施の形態のアンテナによると、様々な方位から到来する衛星放送波を確実に捕捉することができる。
【0075】
<実施例2>
図2は、本発明の実施例2のアンテナであり、自動車の窓ガラスの車内面に設けた車内視の図である。
【0076】
実施例2は、芯線側エレメント10の平行線条13の接続位置が実施例1と異なっている。すなわち、図1に示すような芯線側給電点11から仮想線30に直交する直交線条12の先端より延ばした平行線条13に代えて、図2に示すように芯線側の給電点11から直接、平行線条13をグランド面状導体部22から離れる方向に、仮想線30に平行に設けるようにした。その他の線条については実施例1と同一である。
【0077】
なお、実施例2のアンテナの各エレメントの寸法、作用については、前述した実施例1と同じである。
【0078】
以上説明したように、実施例2のアンテナは、実施例1と同様に芯線側エレメント10の直交線条12と平行線条13を略直交するように配設し、各線条の長さをそれぞれα・λ/8〜α・λ/4程度としたので、偏波面の回転する円偏波をより一層効率よく受信することが可能となる。なお、芯線側エレメント10の直交線条12、平行線条13の線条長さを、それぞれα・λ/3程度まで長くしても同様の効果が得られる。
【0079】
さらにまた、実施例1と同様にグランド面状導体部22の辺のうちの仮想線30に平行な辺を共有辺とする矩形状の閉ループ部23を隣接させたので、この閉ループ部23が摂動素子として機能し、より高効率に電波を受信することができる。
【0080】
<実施例3>
図3は、本発明の実施例3のアンテナの構成を示しており、自動車の窓ガラスの車内面に設けた車内視の図である。本発明の構成は、芯線側エレメント10とグランド側エレメント20とからなり、グランド側エレメント20は閉ループ部23を有しておらず、いずれも実施例1と異なっている。
【0081】
すなわち、芯線側エレメント10は、芯線側給電点11からグランド面状導体部22とは離れる方向で、仮想線30に平行方向に延ばした平行線条13からなり、仮想線30に直交する直交線条を有していない点、及びグランド面状導体部22に隣接する閉ループ部23を有していない点が実施例1と異なっている。平行線条13の長さは略α・λ/2とすることが望ましい。
【0082】
グランド側エレメント20は、矩形状で全面が導電性の面状導体であるグランド面状導体部22であって、該面状導体内にグランド側給電点21が設けられている。
【0083】
実施例3のアンテナによれば、芯線側エレメント10の平行線条13に誘起される電流とグランド側エレメント20に誘起される電流の位相がずれるとともに、芯線側エレメント10に誘起される電流とグランド側エレメント20に誘起される電流の流れる向きが直角となるために、円偏波を受信することができる。
【0084】
実施例3のアンテナは、実施例1のアンテナと同じ構成の線条には同じ符号を付し、その説明は省略する。
【0085】
芯線側給電点11は、グランド側エレメント20のグランド面状導体部22内に設けたグランド側給電点21に対応するように、グランド面状導体部22とは別の導体上に設けられた芯線側の給電点である。芯線側給電点11及びグランド側給電点21は、各々、給電端子金具3に接続された高周波ケーブルの芯線及びグランドと接続されている。なお、給電端子金具3は、高周波ケーブルを介して、受信機に接続されている。
【0086】
<実施例4>
図4は、本発明の実施例4のアンテナの構成を示しており、自動車の窓ガラスの車内面に設けた車内視の図である。本実施例のアンテナは、芯線側エレメント10とグランド側エレメント20とから構成され、芯線側エレメント10は仮想線30に平行となる平行線条を有さず、グランド側エレメント20のグランド面状導体部22に閉ループ部23を隣接させない点で、実施例1とは異なっている。
【0087】
すなわち、芯線側エレメント10については、芯線側給電点11からグランド面状導体部22と離れる方向で、仮想線30に直交する方向に延ばした直交線条12だけで構成されている点が実施例1と異なっている。直交線条12の長さは略α・λ/2とすることが望ましい。
【0088】
また、グランド側エレメント20については、実施例3と同様であり、グランド面状導体部22は矩形状の全面が導電性の面状導体であって、該面状導体内の一部にグランド側給電点21を設けた。
【0089】
実施例4のアンテナによれば、芯線側エレメント10の直交線条12に誘起される電流とグランド側エレメント20に誘起される電流の位相がずれるとともに、芯線側エレメント10に誘起される電流とグランド側エレメント20に誘起される電流の向きが直角となるために、円偏波を受信することができる。
【0090】
<実施例5>
図5は、本発明の実施例5のアンテナの構成を示しており、自動車の窓ガラスの車内面に設けた車内視の図である。本実施例5は、芯線側エレメント10とグランド側エレメント20とから構成され、芯線側エレメント10は実施例1と同一パターンであるが、グランド側エレメント20のグランド面状導体部22に閉ループ部23を隣接させない点が実施例1とは異なっている。
【0091】
すなわち、実施例5の構成は、芯線側エレメント10が、芯線側給電点11からグランド面状導体部22と離れ、かつ仮想線30に直交する方向に延ばした直交線条12の先端より、グランド面状導体部22の方向に、仮想線30に平行な平行線条13を延ばした構成であり、グランド側エレメント20のグランド面状導体部22については、長方形状の全面が導電性の面状導体であり、該面状導体内の一部にグランド側給電点21を設けたものである。
【0092】
実施例5のアンテナは、芯線側エレメントの直交線条と平行線条を略直交するように配設し、各線条の長さをそれぞれα・λ/8〜α・λ/4程度としたので、偏波面の回転する円偏波をより一層効率よく受信することが可能となった。なお、芯線側エレメント10の直交線条12、平行線条13の線条長さを、それぞれα・λ/3程度まで長くしても同様の効果が得られる。
【0093】
<実施例6>
図6は、本発明の実施例6のアンテナの構成を示しており、自動車の窓ガラスの車内面に設けた車内視の図である。本実施例6は、芯線側エレメント10とグランド側エレメント20とから構成され、芯線側エレメント10は実施例2と同一パターンであるが、グランド側エレメント20のグランド面状導体部22の長方形状の全面を導電体とし、閉ループ部23を有していない構成とした点が実施例2とは異なっている。
【0094】
すなわち、実施例6の構成は、芯線側エレメント10が、芯線側給電点11からグランド面状導体部22と離れる方向、かつ仮想線30に直交する方向に延ばした直交線条12と、芯線側給電点11からグランド面状導体部22と離れる方向、かつ仮想線30に平行に延ばした平行線条13とからなる構成であり、グランド側エレメント20については、グランド面状導体部22の長方形状の全面が導電性の面状導体であって、該面状導体内の一部にグランド側給電点21が設けられている。また、各線条長さは、実施例2と同一である。
【0095】
実施例6のアンテナは、芯線側エレメントの直交線条12と平行線条13を略直交するように配設し、各線条の長さをそれぞれα・λ/8〜α・λ/4程度としたので、偏波面の回転する円偏波をより一層効率よく受信することが可能となる。なお、芯線側エレメント10の直交線条12、平行線条13の線条長さを、それぞれα・λ/3程度まで長くしても同様の効果が得られる。
【0096】
<実施例7>
図7は、本発明の実施例7のアンテナの構成を示しており、自動車の窓ガラスの車内面に設けた車内視の図である。本実施例7は、芯線側エレメント10とグランド側エレメント20とから構成され、芯線側エレメント10は、実施例5の芯線パターンの一部を変形させた点が異なり、グランド側エレメント20の構成は実施例5と同一である。
【0097】
すなわち、本実施例7の構成は、芯線側エレメント10が、芯線側給電点11からグランド面状導体部22と離れる方向、かつ仮想線30に直交する方向に延ばした直交線条12と、その先端よりグランド面状導体部22側の仮想線30に平行に延ばした平行線条13と、芯線側の給電点11からグランド側エレメント20と離れる方向、かつ仮想線30に平行に延ばした第2平行線条14とからなる構成であり、グランド側エレメント20については、グランド面状導体部22の長方形状の全面が導電性の面状導体であって、グランド面状導体22内の一部にグランド側給電点21を設けたものである。また、各線条長さは、実施例5と同一である。
【0098】
本実施例のアンテナは、芯線側エレメント10の直交線条12と平行線条13を略直交するように配設し、さらに直交線条12と第2平行線条14を略直交するように配設して、各線条の長さをそれぞれα・λ/8〜α・λ/4程度としたので、偏波面の回転する円偏波をより一層効率よく受信することが可能となる。なお、芯線側エレメント10の直交線条12、平行線条13の長さを、それぞれα・λ/3程度まで長くしても同様の効果が得られる。
【0099】
<実施例8>
図8は、本発明の実施例8のアンテナの構成を示しており、自動車の窓ガラスの車内面に設けた車内視の図である。本実施例8は、芯線側エレメント10とグランド側エレメント20とから構成され、芯線側エレメント10は、実施例5の芯線パターンを変形させたもので、グランド側エレメント20の構成は実施例5と同一である。
【0100】
すなわち、本実施例8の構成は、芯線側エレメント10が、芯線側給電点11からグランド面状導体部22と離れる方向、かつ仮想線30に直交する方向に延ばした直交線条12と、その先端よりグランド面状導体部22の方向に、仮想線30に平行となるように延ばした平行線条13と、直交線条12の先端から平行線条13とは反対方向に延ばした第2平行線条14からなる構成である。
【0101】
一方、グランド側エレメント20については、グランド面状導体部22の長方形状の全面が導電性の面状導体であり、グランド面状導体22内の一部にグランド側給電点21を設けたものである。また、各線条長さは、実施例5と同一である。
【0102】
本実施例のアンテナは、芯線側エレメント10の直交線条12と平行線条13を略直交するように配設し、さらに各線条の長さをそれぞれα・λ/8〜α・λ/4程度としたので、偏波面の回転する円偏波をより一層効率よく受信することが可能となる。なお、芯線側エレメント10の直交線条12、平行線条13の線条長さを、それぞれα・λ/3程度まで長くしても同様の効果が得られる。
【0103】
<実施例9>
図9は、本発明の実施例9のアンテナの構成を示しており、自動車の窓ガラスの車内面に設けた車内視の図である。本実施例9は、芯線側エレメント10とグランド側エレメント20とから構成され、芯線側エレメント10は、実施例1の芯線パターンと同一であるが、グランド側エレメント20のグランド面状導体部22に設けた閉ループ部23が実施例1と異なる。
【0104】
すなわち、本実施例9の構成は、芯線側エレメント10が、芯線側給電点11からグランド面状導体部22と離れる方向で、仮想線30に直交する方向に延ばした直交線条12と、その先端よりグランド面状導体部22の方向に、仮想線30に平行となるように延ばした平行線条13とからなる構成であり、グランド側エレメント20については、グランド面状導体部22に隣接する長方形状の閉ループ部23の線条で囲まれた空白部を略二分するように仮想線30に平行な平行線条をさらに設けたものであり、グランド面状導体部22内の一部にグランド側給電点21を設けたものである。また、各線条長さは、実施例5と同一である。
【0105】
実施例9のアンテナは、芯線側エレメント10の直交線条12と平行線条13を略直交するように配設し、さらに各線条の長さをそれぞれα・λ/8〜α・λ/4程度とし、さらにグランド面状導体部22の、直交線条12が延びている方向とは反対方向の辺を共有辺とする閉ループ部23を設けたので、偏波面の回転する円偏波をより一層効率よく受信することが可能となる。なお、芯線側エレメント10の直交線条12、平行線条13の線条長さを、それぞれα・λ/3程度まで長くしても同様の効果が得られる。
【0106】
<実施例10>
図10は、本発明の実施例10のアンテナの構成を示しており、自動車の窓ガラスの車内面に設けた車内視の図である。本実施例10は、芯線側エレメント10とグランド側エレメント20とから構成され、芯線側エレメント10は、実施例1の芯線パターンと同一であり、グランド側エレメント20の面状導体部の一部に切欠部を設けた点で実施例1と異なる。
【0107】
すなわち、本実施例10の構成は、芯線側エレメント10が、芯線側給電点11からグランド面状導体部22と離れる方向で、仮想線30に直交する方向に延ばした直交線条12と、その先端よりグランド面状導体部22の方向に、仮想線30と平行になるように延ばした平行線条13とからなる構成であり、グランド側エレメント20については、グランド面状導体部22の仮想線30と平行となる2辺のうち、平行線条13から遠い方の辺を共有辺とする閉ループ部23を設け、さらに芯線側給電点11に対向する側の辺の中央部近傍の一部に切欠部を設けるようにした。
【0108】
これは、芯線側給電点11に固定する給電端子金具3の座金等が不慮にしてグランド面状導体部22に接触し、ショートしないようにするためである。
【0109】
実施例10のアンテナは、芯線側エレメント10の直交線条12と平行線条13を略直交するように配設し、さらに、各線条の長さをそれぞれα・λ/8〜α・λ/4程度とし、さらにグランド側エレメント20のグランド面状導体部22の仮想線30に平行な2辺のうち、平行線条13から遠い方の一辺を共有辺とする閉ループ部23を隣接して設けたので、偏波面の回転する円偏波をより一層効率よく受信することが可能となる。なお、芯線側エレメント10の直交線条12、平行線条13の線条長さを、それぞれα・λ/3程度まで長くしても同様の効果が得られる。
【0110】
<実施例11>
図11は、本発明の実施例11のアンテナの構成を示しており、自動車の窓ガラスの車内面に設けた車内視の図である。本実施例11は、芯線側エレメント10とグランド側エレメント20とから構成され、芯線側エレメント10は、実施例1の芯線パターンと同一であり、グランド側エレメント20の閉ループ部23の位置が実施例1と異なる。
【0111】
すなわち、本実施例11の構成は、芯線側エレメント10が、芯線側給電点11からグランド面状導体部22と離れる方向で、仮想線30に直交する方向に延ばした直交線条12と、その先端よりグランド面状導体部22の方向に、仮想線30となるように延ばした平行線条13とからなる構成であり、グランド側エレメント20については、グランド面状導体部22の辺のうち、芯線側給電点11と対向する辺とは反対側の一辺を共有辺とする閉ループ部23を設けたものである。
【0112】
このように、実施例11のアンテナは、芯線側エレメント10の直交線条12と平行線条13を略直交するように配設し、さらに各線条の長さをそれぞれα・λ/8〜α・λ/4程度とし、さらにまた、グランド側エレメント20のグランド面状導体部22の辺のうち、芯線側給電点11と対向する辺とは反対側の一辺を共有辺とする閉ループ部23を隣接して設けたので、偏波面の回転する円偏波をより一層効率よく受信することが可能となる。なお、芯線側エレメント10の直交線条12、平行線条13の線条長さを、それぞれα・λ/3程度まで長くしても同様の効果が得られる。
【0113】
<実施例12>
図12は、本発明の実施例12のアンテナであり、自動車の窓ガラスの車内面に設けた車内視の図である。実施例12は、芯線側エレメント10に関しては、平行線条13を芯線側給電点11に接続し、平行線条13の先端に、車内視で、平行線条13から右側(図の上方)に延びるように、直交線条12を配設している点が、実施例10と異なっている。また、グランド側エレメント20に関しては、閉ループ部23のコーナー部のうち、芯線側給電点11から最も遠いコーナー部からL字状の補助線条24を延ばしている点が、実施例10とは異なっている。補助線条24は、平行線条13と平行で一定の間隔bをあけて設けられている補助線条24aと、補助線条24aの先端と閉ループ部23を接続する補助線条24bから構成されている。
【0114】
実施例12のアンテナの各寸法は、芯線側給電点11の縦横の長さを10mm、芯線側エレメント10の平行線条13、直交線条12の各線条長さを、それぞれ60mm、20mmとし、グランド側エレメント20のグランド面状導体部22の仮想線30に平行となる辺、直交する辺の長さを、それぞれ30mm、20mm、閉ループ部23の仮想線30に平行な辺、直交する辺の長さをそれぞれ30mm、10mmとしている。また、補助線条24aを75mmとし、補助線条24bを20mmとして、平行線条13と補助線条24aとの間隔bを37mmに設定している。このとき、補助線条24aの端部と平行線条13の先端との間隔aを30mmに設定している。
【0115】
実施例12のアンテナは、約1.5GHzに共振するように各エレメントの寸法を調整しているが、本発明は該寸法に限定されるものではない。
【0116】
なお、実施例12のアンテナは車両の窓ガラスの室内面にパターンを形成するものであるため、ガラスによる波長短縮率αを0.7として、各エレメント長を計算した。
【0117】
次に、実施例12のアンテナの作用について説明する。芯線側エレメント10の直交線条12、平行線条13の線条長さを、それぞれα・λ/8〜α・λ/3(λ:受信周波数の中間波長、α:ガラスの波長短縮率)としているが、これは実施例1と同様に芯線側エレメント10とグランド側エレメント20に誘起される電流の位相を略λ/4だけずらすことができるためである。なお、芯線側エレメント10の直交線条12、平行線条13の線条長さは、望ましくはα・λ/8〜α・λ/4であることは、前述した実施例と同じである。
【0118】
また、補助線条24aの長さをα・λ/4〜α・λ/2とし、補助線条24aと平行線条13との間隔bをα・λ/8〜α・λ/4とし、補助線条24aの先端と平行線条13の先端との間隔aを略α・λ/4としている。このように補助線条24を設けることによって、補助線条24が摂動素子として機能し、芯線側エレメント10とグランド側エレメント20のそれぞれに誘起される電流の位相差を、紙面裏側から到来する右円偏波の電波をより好適に受信するように調整することができる。
【0119】
実施例12のアンテナと給電線との接続は、実施例1と同様なので、説明は省略する。
【0120】
本発明の実施例12のアンテナの特性は、図21のようになる。図21は、本発明の実施例12のアンテナを車両の後部窓ガラスに搭載した場合(図19参照)の周波数1.575GHzの車外から右円偏波で到来する電波に対する各仰角での、電波の到来方向を水平に360°回転した場合の利得(一周平均の利得)を示す図である。
【0121】
また、図22は、比較例であり、カーナビゲーション用車載式電子制御装置と一体となっているGPS用マイクロストリップアンテナを、自動車のダッシュボード内の所定の位置に配置したときの1.575GHzの周波数の車外から右円偏波で到来する電波に対する各仰角での一周平均の利得を示す図である。
【0122】
図21と図22を比較すると、本発明の実施例2のアンテナは、仰角0°〜仰角90°までの全ての仰角において、前記GPS用マイクロストリップアンテナに比べて高いアンテナ利得を得ていることがわかる。このため、本発明の実施例のアンテナは、GPS用アンテナとして使用した場合、前記GPSマイクロストリップアンテナに対して高い位置検出精度を保つことができる。
【0123】
<実施例13>
図13は、本発明の実施例13のアンテナの構成を示しており、自動車の窓ガラスの車内面に設けた車内視の図である。実施例13は、実施例3の変形例で芯線側エレメントの平行線条13の先端に、車内視で、平行線条13に直交する、直交線条12を右方向に延ばした点が、実施例3とは異なっている。
【0124】
グランド側エレメント20は、実施例3と同様に、矩形状で全面が導電性のグランド面状導体部22であって、該面状導体内にグランド側給電点21が設けられている。
【0125】
実施例13のアンテナは、芯線側エレメント10の平行線条13と直交線条12を略直交するように配設し、各線条の長さをそれぞれα・λ/8〜α・λ/3程度としたので、車外側から到来する右円偏波の電波をよく受信することが可能となる。なお、芯線側エレメント10の直交線条12、平行線条13の線条長さは、望ましくはα・λ/8〜α・λ/4であることは、前述した実施例と同じである。
【0126】
<実施例14>
図14は、本発明の実施例14のアンテナの構成を示しており、自動車の窓ガラスの車内面に設けた車内視の図である。実施例14は、芯線側エレメント10とグランド側エレメント20とから構成され、芯線側エレメント10の構成は実施例13と同一であるが、グランド側エレメント20のグランド面状導体部22の一辺を共有辺するように閉ループ部23を隣接させるとともに、芯線側給電点に面する辺の中央部近傍の一部に切欠部を設けた点が実施例13とは異なっている。
【0127】
実施例14のアンテナは、芯線側エレメント10の平行線条13と直交線条12を略直交するように配設し、各線条の長さをそれぞれα・λ/8〜α・λ/3程度とし、グランド側エレメント20のグランド面状導体部22の一辺を共有辺とするように隣接させた閉ループ部23には、グランド側エレメント20に誘起される電流分布が円偏波の受信に最適になるように調整する効果があるため、偏波面が回転する右円偏波をよく受信することが可能となる。なお、芯線側エレメント10の直交線条12、平行線条13の線条長さは、望ましくはα・λ/8〜α・λ/4であることは、前述した実施例と同じである。
【0128】
<実施例15>
図15は、本発明の実施例15のアンテナの構成を示しており、自動車の窓ガラスの車内面に設けた車内視の図である。実施例15は、芯線側エレメント10とグランド側エレメント20とから構成され、芯線側エレメント10の構成は実施例14と同一であるが、グランド側エレメント20のグランド面状導体部22より、L字状の補助線条24を延ばした点が実施例14と異なっている。
【0129】
実施例15のアンテナは、芯線側エレメント10の平行線条13と直交線条12を略直交するように配設し、各線条の長さをそれぞれα・λ/8〜α・λ/3程度とし、グランド側エレメント20のグランド面状導体部22の一辺を共有辺とするように隣接させた閉ループ部23と補助線条24を設けることにより、芯線側エレメント10とグランド側エレメント20に誘起される電流分布が、右円偏波を受信するのに最適になるように調整する効果が得られるため、右円偏波をよく受信することが可能となる。
【0130】
<実施例16>
図16は、本発明の実施例16のアンテナの構成を示しており、自動車の窓ガラスの車内面に設けた車内視の図である。実施例16は、芯線側エレメント10とグランド側エレメント20とから構成され、芯線側エレメント10は実施例14及び実施例15と同一パターンであるが、グランド側エレメント20のグランド面状導体部22の辺のうち、仮想線30と平行な2辺のそれぞれを共有辺とする閉ループ部23を隣接させ、車内視で平行線条13の右側に、補助線条24を平行線条に対して平行かつ一定の間隔を設けて閉ループ部23の一辺に接続している点が、実施例14および15と異なる。
【0131】
実施例16のアンテナは、芯線側エレメント10の平行線条13と直交線条12を略直交するように配設し、各線条の長さをそれぞれα・λ/8〜α・λ/3程度とし、グランド側エレメント20のグランド面状導体部22の2辺を共有辺とするように隣接させた2つの閉ループ部23と補助線条24を設けることにより、芯線側エレメント10とグランド側エレメント20に誘起される電流分布を車外側から到来する右円偏波を受信するのに最適になるように調整する効果が得られるため、右円偏波をよく受信することが可能となる。
【0132】
<実施例17>
図17は、本発明の実施例17のアンテナの構成を示しており、自動車の窓ガラスの車内面に設けた車内視の図である。本実施例17は、芯線側エレメント10とグランド側エレメント20とから構成され、芯線側エレメント10は実施例10と同一パターンであるが、グランド側エレメント20の閉ループ部23のコーナー部に補助線条24を設けた点が実施例10とは異なっている。
【0133】
前記実施例17のアンテナは、芯線側エレメントの平行線条と直交線条を略直交するように配設し、各線条の長さをそれぞれα・λ/8〜α・λ/3程度とし、グランド側エレメント20のグランド面状導体部22の一辺を共有辺とするように隣接させた閉ループ部23と補助線条24が、芯線側エレメント10とグランド側エレメント20の各々に誘起される電流分布を車外側から到来する左円偏波を受信するのに最適になるように調整する効果があるため、左円偏波をよく受信することが可能となる。
【符号の説明】
【0134】
1 窓ガラス板
2 デフォッガ
3 給電端子金具
10 芯線側エレメント
11 芯線側給電点
12 直交線条
13 平行線条
14 第2平行線条
20 グランド側エレメント
21 グランド側給電点
22 グランド面状導体部
23 閉ループ部
24 補助線条
30 仮想線
【技術分野】
【0001】
本発明は、平面、又は緩い曲面に装着される自動車等の車両の窓ガラスに設けられるVHF帯からマイクロ波帯の電波を受信できるアンテナに関し、特に、北米サテライトラジオ、欧州デジタルラジオの他、GPS、SDARS等の衛星通信に好適な円偏波アンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、GPS衛星通信(Global Positioning System、全地球無線測位システム)や、XMサテライト放送、シリウスサテライト放送等の欧米諸国の衛星デジタルラジオ放送サービスであるSDARS(Satellite Digital Audio Radio Service)の衛星通信や、VICS(Vehicle Information Communication System、道路交通情報通信システム)、ETC(electronic toll collection、電子料金徴収システム)等に利用されるマイクロ波帯用の平面アンテナとして、マイクロストリップアンテナが良く知られており、マイクロストリップアンテナは自動車の金属屋根や金属製のトランクリッドなどの広い金属板上に設置されることによって、高い仰角から到来する電波にも、低い仰角から到来する電波にも高い受信性能を発揮することができる。
【0003】
しかし、今般、主に自動車の外観デザイン上の問題から、衛星波受信用アンテナを自動車の金属屋根や金属製トランクリッドではなく、ダッシュボードの内部や窓ガラスに設けたいというニーズがあり、このようなダッシュボード内及び窓ガラスに設けたアンテナとして、特許文献1から5に記載されたものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2003/105278号公報
【特許文献2】特開2004−214820号公報
【特許文献3】特開2004−214819号公報
【特許文献4】特開2008−141765号公報
【特許文献5】特開2002−52957公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
自動車の窓ガラスに設けた前記特許文献1〜3に記載されたアンテナは、誘電体基板の片面のみに構成可能なコープレーナー形のアンテナである。このようなアンテナは、広い導体面積を必要とすることから、ガラス窓に配置すると視界を妨げる問題点があり、さらに、自動車に搭載した場合に性能が劣化してしまう問題点もある。
【0006】
また、特許文献4に記載されたアンテナは、窓ガラスに取り付けることを想定したマイクロストリップアンテナであるが、前記特許文献1〜3と同様に、窓ガラスを透した視界を妨げる問題点がある。
【0007】
また、特許文献5に記載の発明は、カーナビゲーション用車載式電子制御装置とGPS用のマイクロストリップアンテナを一体化し、前記マイクロストリップアンテナを前記カーナビゲーション用車載式電子制御装置と共に、ダッシュボード内部に搭載するカーナビゲーション車載式電子制御装置の搭載構造に関する発明である。このようにGPS用受信アンテナをダッシュボード内に搭載すると、ダッシュボード内部のさまざまな電装品・金属部品から電気的な影響を受け易く、アンテナ性能が劣化してしまう問題点がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、このような問題点を解決し、VHF帯からマイクロ波帯までガラス板面の片面に配置でき、簡単な構造で、視界を妨げることなく、所望の受信性能を得ることができる衛星波受信用の円偏波アンテナを提供することを目的とする。
【0009】
すなわち、本発明は、芯線側給電点に接続した芯線側エレメントと、グランド側給電点を内部に有したグランド側エレメントとからなるガラスアンテナにおいて、前記グランド側エレメントは、略矩形状のグランド面状導体部を前記芯線側給電点と近接する位置に有し、前記グランド面状導体部の面内に少なくとも1つのグランド側給電点を設けてなり、前記芯線側エレメントは、前記芯線側給電点と対向する前記グランド面状導体部の一辺に対して鉛直になるように設けた仮想線に直交し、かつグランド面状導体部から遠ざかる方向に延伸した直交線条か、または、前記仮想線と略平行かつグランド面状導体部から遠ざかる方向に延伸した平行線条の少なくとも一方を有することを特徴とするガラスアンテナである。
【0010】
また、本発明は、前記芯線側エレメントが、前記直交線条と、前記平行線条とを有し、前記直交線条と、前記平行線条との両方が前記芯線側給電点に接続されることを特徴とする上述のガラスアンテナである。
【0011】
また、本発明は、前記芯線側エレメントが、前記直交線条と、前記平行線条とを有し、前記平行線条は、前記芯線側給電点に接続され、前記直交線条は、前記平行線条の先端から前記平行線条に略直交する方向に延伸したことを特徴とする上述のガラスアンテナである。
【0012】
また、本発明は、前記芯線側エレメントの直交線条および平行線条の各々の長さをα・λ/8〜α・λ/3(α:ガラスの波長短縮率、λ:受信電波の平均波長)のいずれかの値とし、前記直交線条の長さと前記平行線条の長さの合計を略α・λ/2としたことを特徴とする上述のガラスアンテナである。
【0013】
また、本発明は、前記芯線側エレメントは、前記直交線条または前記平行線条のいずれか一方を有し、前記平行線条または前記直交線条の長さを略α・λ/2(α:ガラスの波長短縮率、λ:受信電波の平均波長)としたことを特徴とする上述のガラスアンテナである。
【0014】
また、本発明は、前記芯線側エレメントは、前記芯線側給電点に接続された前記直交線条を有し、前記直交線条は、該直交線条に対して略直交するように、該直交線条の先端から前記グランド面状導体部側に向けて延伸した補助平行線条を備えることを特徴とする上述のガラスアンテナである。
【0015】
また、本発明は、前記芯線側エレメントの直交線条および前記補助平行線条の各々の長さをα・λ/8〜α・λ/3(α:ガラスの波長短縮率、λ:受信電波の平均波長)のいずれかの値とし、前記直交線条の長さと前記補助平行線条の長さの合計を略α・λ/2としたことを特徴とする上述のガラスアンテナ。
【0016】
また、本発明は、前記グランド面状導体部の、芯線側給電点と近接していない辺の一辺を共有辺とする矩形状の閉ループ部を、前記グランド面状導体部の少なくとも1箇所に隣接して設けたことを特徴とする上述のガラスアンテナである。
【0017】
また、本発明は、前記グランド側エレメントのグランド面状導体部、又は閉ループ部のいずれかに接続される補助線条を有し、該補助線条を、前記芯線側エレメントの芯線側給電点から延伸している前記直交線条または平行線条のいずれかと同一方向かつ略平行に延伸したことを特徴とする上述のガラスアンテナである。
【0018】
また、本発明は、前記グランド側エレメントのグランド面状導体部に接続される補助線条を有し、該補助線条を、前記芯線側エレメントの芯線側給電点から延伸している前記直交線条または平行線条のいずれかと同一方向かつ略平行に延伸したことを特徴とする上述のガラスアンテナである。
【0019】
また、前記補助線条の長さをα・λ/4〜α・λ/2(α:ガラスの波長短縮率、λ:受信電波の平均波長)とし、前記補助線条と、該補助線条に略平行に延伸した前記直交線条または前記平行線条との間隔をα・λ/8〜α・λ/4としたことを特徴とする上述のガラスアンテナである。
【0020】
また、本発明は、前記グランド面状導体部の前記芯線側給電点に対向する辺の略中央部分に切欠部を設けたことを特徴とする上述のガラスアンテナである。
【発明の効果】
【0021】
本発明のアンテナによると、芯線側エレメントとして前記平行線条、または前記直交線条のいずれかを配設したことによって、芯線側エレメント10に誘起される電流とグランド側エレメント20に誘起される電流の位相がずれるとともに、芯線側エレメント10に誘起される電流とグラウンドエレメント20に誘起される電流の向きが直角となるために、偏波面の回転する円偏波を効率よく受信することが可能となる。
【0022】
また、芯線側エレメントの平行線条と直交線条とを略直交するように配設し、該平行線条の長さと該直交線条の長さの合計が略α・λ/2となるように、各線条の長さをそれぞれα・λ/8〜α・λ/3の間で調整することにより、芯線側エレメントに誘起される電流とグラウンド側エレメントに誘起される電流の位相をλ/4だけずれるようにすることができ、偏波面の回転する円偏波を芯線側エレメントとグランド側エレメントでより一層効率よく受信することが可能となる。
【0023】
また、前記矩形状のグランド面状導体部の芯線側給電点側とは対向していない一辺を共有辺とする矩形状の閉ループ部を隣接させたことで、この閉ループ部が摂動素子として機能し、グランド側エレメントが閉ループ部を有さず、グランド面状導体部だけの場合に比べ、より高効率に電波を受信することができる。
【0024】
また、前記グランド側エレメントの補助線条が、前記芯線側エレメントの芯線側給電点から延びている線条と同一方向かつ略平行に配設されることにより、本発明のアンテナに誘起される電流が、前記芯線側エレメントと前記グランド側エレメントの間を、ループを描くように流れるため、偏波面の回転する円偏波をより好適に受信できるアンテナとなる。
【0025】
このようにして、一点給電で簡単な構造の小型の平面アンテナを構成でき、窓ガラスに装着しても視界の妨げにならず、美観を損ねることもなく、小型かつ高性能のアンテナとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施例1のアンテナの構成を説明する図。
【図2】本発明の実施例2のアンテナの構成を説明する図。
【図3】本発明の実施例3のアンテナの構成を説明する図。
【図4】本発明の実施例4のアンテナの構成を説明する図。
【図5】本発明の実施例5のアンテナの構成を説明する図。
【図6】本発明の実施例6のアンテナの構成を説明する図。
【図7】本発明の実施例7のアンテナの構成を説明する図。
【図8】本発明の実施例8のアンテナの構成を説明する図。
【図9】本発明の実施例9のアンテナの構成を説明する図。
【図10】本発明の実施例10のアンテナの構成を説明する図。
【図11】本発明の実施例11のアンテナの構成を説明する図。
【図12】本発明の実施例12のアンテナの構成を説明する図。
【図13】本発明の実施例13のアンテナの構成を説明する図。
【図14】本発明の実施例14のアンテナの構成を説明する図。
【図15】本発明の実施例15のアンテナの構成を説明する図。
【図16】本発明の実施例16のアンテナの構成を説明する図。
【図17】本発明の実施例17のアンテナの構成を説明する図。
【図18】本発明の実施例1のアンテナを自動車の後部窓ガラスに配置した全体正面図。
【図19】本発明の実施例12のアンテナを自動車の後部窓ガラスに配置した全体正面図。
【図20】本発明の実施例1のアンテナの指向特性図。
【図21】本発明の実施例12のアンテナの衛星波の到来方向の仰角と平均利得の関係を示す図。
【図22】比較例(ダッシュボード内部に搭載したカーナビゲーション車載式電子制御装置のGPSアンテナ)の衛星波の到来方向の仰角と平均利得の関係を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1から図17に示したアンテナパターンは、窓ガラスの車内面側から見た図であり、該アンテナが受信する電波は車外から到来するものとして、それぞれ説明をおこなう。
【0028】
本発明のアンテナは、芯線側給電点11に接続した芯線側エレメント10と、グランド側給電点21を内部に有したグランド側エレメント20とから構成される。グランド側エレメント20は、略矩形状のグランド面状導体部22を有し、芯線側給電点11と近接する位置に設け、グランド面状導体部22の面内に少なくとも1つのグランド側給電点21を設けている。芯線側エレメント10は、図3、図4に示したように、芯線側給電点11からグランド面状導体部22の芯線側給電点11との対向辺に対して鉛直になるように結んだ仮想線30に略直交する直交線条12か、または、仮想線30と略平行で、グランド面状導体部22から遠ざかる方向に芯線側給電点11から延ばした平行線条13のいずれか一方を、芯線側給電点11に接続する構成とした。
【0029】
このような構成にすることにより、芯線側エレメント10に誘起される電流とグランド側エレメント20に誘起される電流の位相がずれるとともに、芯線側エレメント10に誘起される電流とグランド側エレメント20に誘起される電流の向きが直角となるために、円偏波を受信することができる。
【0030】
あるいは、図1に示したように、芯線側エレメント10が、芯線側給電点11から仮想線30に対して略直交方向に延ばした直交線条12と、その先端からグランド面状導体部22側に仮想線30と略平行に延ばした平行線条13とした構成とすることができる。
【0031】
さらにまた、図2に示したように、芯線側エレメント10は、芯線側給電点11から仮想線30に対して略直交方向に延ばした直交線条12と、芯線側給電点11からグランド面状導体部22から遠ざかる方向で、仮想線30に略平行に延ばした平行線条13との、直交する2つの方向に延ばすようにしてもよい。
【0032】
芯線側エレメント10の直交線条12、及び平行線条13の各長さは、それぞれα・λ/8〜α・λ/3(α:ガラスの波長短縮率、λ:受信電波の平均波長)とするのが好ましく、これにより、おのおのに誘起される電流の位相をλ/4だけずらすことができ、偏波面の回転する円偏波を芯線側エレメント10とグランド側エレメント20で効率よく受信することができる。
【0033】
芯線側エレメント10の直交線条12は、芯線側給電点11から仮想線30に略直交方向に配設した場合、平行線条13については、直交線条12の先端よりグランド面状導体部22側に向けて仮想線30に平行に伸ばす(図1、図5及び図7〜図11参照)、あるいは芯線側給電点11からグランド面状導体部22と離れる方向で仮想線30に平行に伸ばす(図2、図6及び図7参照)、のいずれか一方、あるいは両方向に伸ばす(図7参照)ようにしても良い。
【0034】
さらに、芯線側給電点11から仮想線30に平行に伸ばす平行線条13は、芯線側給電点11のどの位置から延ばしても良く、グランド面状導体部22と離れる方向で水平に延伸させれば良い。
【0035】
さらに、図8に示すように、平行線条13が、直交線条12の先端からグランド面状導体部22側に向けて仮想線30に平行に伸ばしている場合には、さらに、直交線条12の先端からグランド面状導体部22と離れる方向で仮想線30に平行に第2平行線条14を延伸させるようにしても良い。
【0036】
また、芯線側エレメント10について、図2、図9〜図10に示したように、芯線側エレメント10の直交線条12の芯線側給電点11から延伸させる方向とは逆方向に向けて、グランド面状導体部22の略方形の辺を共有辺とする矩形状の閉ループ部23を隣接させる(図2、図9〜図10参照)、または、図11に示したように、矩形状のグランド面状導体部22の芯線側給電点11側とは反対方向に面した側の辺を共有辺とする矩形状の閉ループ部23を隣接させるようにしても良い。すなわち、閉ループ部23は、芯線側給電点11側ではない辺であれば、いずれの辺でもよい。また、前述した閉ループ部23は、後述する実施例のうち、閉ループ部23を有さない、いずれの実施例とも組み合わせることができる。
【0037】
グランド面状導体部22の一辺を共有辺とした閉ループ部23を隣接させたのは、この閉ループ部23が摂動素子として機能し、グランド側エレメント20を略方形で面状のベタにした場合に比べ、より高効率に電波を受信することができるためである。
【0038】
また、グランド側エレメント20のグランド面状導体部22の形状は、略正方形から略長方形の矩形状の面状導体とするのが望ましく、グランド面状導体部22の仮想線30に平行な辺の長さはα・λ/4前後とした。
【0039】
また、グランド側エレメント20のグランド面状導体部22を面状導体ではなく、線条のエレメントとすることもできるが、いずれの場合もある程度の面積があるのが望ましい。
【0040】
さらに、グランド側エレメント20に、図9に示したような、グランド面状導体部22の仮想線30に平行な辺を共有辺とする矩形状の閉ループ部23内を略二分するような水平線条をさらに設けるようにしても良い。
【0041】
さらにまた、グランド側エレメント20について、図16に示したように、グランド面状導体部22の、芯線側給電点11と対向する辺を除く辺のうちの2辺に矩形状の閉ループ部23を隣接して設けてもよい。
【0042】
さらにまた、図10に示したように、グランド面状導体部22の芯線側給電点11に面する側の側辺の中央部近傍の一部に切欠部を設けるようにしても良い。これは、ハンダ付け等によって芯線側給電点11に固定する給電端子金具3の座金等が不慮にしてグランド面状導体部22に接触しショートしないようにするためである。
【0043】
芯線側給電点11とグランド側給電点21のそれぞれに、図示しない端子金具3の正極、負極をハンダ付け等によってそれぞれ固定した後、図示しない同軸ケーブルの芯線、外皮線を端子金具3の正極、負極にそれぞれ接続する。グランド側エレメント20に設ける給電点21の位置に端子金具3の台座を設ける場合、給電点は少なくとも1箇所あれば良いが、給電点を2箇所設けると端子金具3を安定してグランド側エレメント20のグランド面状導体部22に固着できる。また、給電点21は1箇所でも高いアンテナ性能を得ることができるが、図1乃至図17に示すように2箇所に設けたときに、高いアンテナ性能が得やすくなる。
【0044】
また、図12乃至図16に示したように、芯線側給電点11に設けた平行線条13の先端に、平行線条13と直交する右方向に延ばすように直交線条12を接続し、直交線条12、平行線条13の線条長さを、それぞれα・λ/8〜α・λ/3(λ:受信周波数の中間波長、α:ガラスの波長短縮率)とすることで、芯線側エレメント10とグランド側エレメント20に誘起される電流の流れが直角になり、該電流の位相が略λ/4だけずれるため、右円偏波を好適に受信できるアンテナとなる。
【0045】
さらに、また、図12及び図15乃至図17に示すように、グランド面状導体部22もしくは、閉ループ部23の一辺から、補助線条24を延ばしてもよい。その際、補助線条24のうちの、平行線条13と平行となる部分である補助線条24aの長さをα・λ/4〜α・λ/2とし、補助線条24aと平行線条13との間隔bをα・λ/8〜α・λ/4とし、補助線条24aの先端と、平行線条13の先端との水平方向(仮想線30に沿った方向)の間隔aを略α・λ/4とするとよい。このように補助線条24を設けることによって、補助線条24が摂動素子として機能し、芯線側エレメント10とグランド側エレメント20のそれぞれに誘起される電流の位相差を、紙面裏側から到来する右円偏波の電波をより好適に受信するように調整することができる。
【0046】
なお、前述した補助線条24は、後述するいずれの実施例のうち、補助線条24を有さない実施例とも組み合わせることができる。
【0047】
図12に記載のアンテナでは、補助線条24と閉ループ部23との接続点を、閉ループ23のコーナー部のうち、芯線側給電点11から最も遠いコーナー部に設けているが、必ずしも、前記コーナー部に設ける必要はなく、例えば、図15及び図16において、芯線側給電点との対向辺のコーナー部に設けているように、平行線条13よりも、右側に補助線条24を接続すればよい。ただし、補助線条24の先端と、平行線条13の先端との間隔aは、常に略α・λ/4の長さになるようにしなければ、補助線条24を摂動素子として十分に機能させることができない。
【0048】
また、図1及び図10に記載のアンテナは、車外側から到来する左円偏波の受信に好適なアンテナであるが、図17のように紙面の表側から見て直交線条の右側に、補助線条24を前記直交線条に対して平行かつ一定の間隔を設けてグランド面状導体部22の一辺に接続することで、芯線側エレメント10とグランド側エレメント20に誘起される電流が紙面表から見て反時計周りに回転するように変化するため、左円偏波を受信するのにより好適になるように調整することができる。
【0049】
前記本発明のアンテナの芯線側エレメントとグランド側エレメントの各エレメントの配置については、水平方向の中心線条、または垂直方向の中心線条で線対称に配置することもできる。
【0050】
前記本発明のアンテナを、車両の後部窓ガラス、側部窓ガラス及び前部窓ガラスのそれぞれに設置し、仰角20度から60度の低仰角から中仰角において、等方位的な指向特性を得ることができる。
【0051】
図18、図19は、自動車の後部窓ガラスに本発明のアンテナを搭載した例を車内側から示した説明図である。後部窓ガラス1の中央部には、複数の熱線からなるデフォッガが配置されている。デフォッガ熱線の両端はバスバーに接続され、各バスバーは、それぞれ、自動車のバッテリー電源及びグランドに接続されている。
【0052】
本発明のアンテナを自動車の後部窓ガラスに形成する場合には、自動車の後部窓ガラス1のデフォッガの下部に配置される。なお、アンテナは、後部窓ガラス1のうち、デフォッガ熱線から離れた位置であれば、任意の場所(例えば、右側又は左側)に配置することができる。なお、アンテナは、後部窓ガラス1の上部余白部ではなく、下部余白部に配置した方が、上方からの電波を受信するのに都合がよい。
【0053】
また、アンテナ1は、グランド側エレメント20が右側になるように配置したが、本発明のアンテナは、等方位的な指向特性を有するので、左右どちらの向き(例えば、グランド側エレメント20が左側)に配置してもよい。
【0054】
また、本発明のアンテナを、自動車の窓ガラスに1系統設けても優れた受信性能が得られるが、2系統以上配置し、ダイバーシティ受信すれば、一層安定した指向特性が得られる。
【0055】
本発明のアンテナは、車両のガラス板面にスクリーン印刷された導電性セラミックペーストを焼き付け形成されるが、他の絶縁体の面上にアンテナパターンを設けるようにしてもよい。
【0056】
例えば、建築物の窓ガラス、壁面、屋根に取り付けられるアンテナであってもよい。また、車両の窓ガラスに貼り付け可能なフィルム上にパターンを設け、該フィルムを所望の位置に貼り付けたアンテナであってもよい。
【実施例】
【0057】
以下に本発明の各実施例について、詳細に説明する。
【0058】
<実施例1>
図1は、本発明の実施例1のアンテナであり、自動車の窓ガラスの車内面に設けた車内視の図である。
【0059】
本発明の実施例1のアンテナは、芯線側エレメント10と、グランド面状導体部22、閉ループ部23とを有するグランド側エレメント20を備える。
【0060】
芯線側エレメント10は、正方形の芯線側給電点11のコーナーから直交線条12を延伸させ、その先端より直交線条12に直角に、グランド側エレメント20の方向に、平行線条13を延伸させる。
【0061】
一方、グランド側エレメント20は、図1に示すような略矩形状のグランド面状導体部22を有し、該グランド面状導体部22内にグランド側給電点21が設けられ、また、閉ループ部23は、前記グランド側エレメント20の略矩形状グランド面状導体部22の、仮想線30に平行な2辺のうち、平行線条13から遠い方の辺を共有辺とする長方形状の線条のエレメントである。
【0062】
芯線側給電点11は、グランド面状導体部22内に設けたグランド側給電点21に対応するように、グランド面状導体部22とは別の導体である芯線側エレメントに設けられた芯線側の給電点である。芯線側給電点11及びグランド側給電点21は、各々、給電端子金具3に接続された高周波ケーブルの芯線及びグランドと接続されている。なお、給電端子金具3は、高周波ケーブルを介して、受信機に接続されている。
【0063】
実施例1のアンテナの各寸法は、芯線側給電点11の縦横の長さを10mm、芯線側エレメント10の直交線条12、平行線条13の線条長さを、それぞれ25mm、30mmとし、グランド側エレメント20のグランド面状導体部22の仮想線30に対して直交方向の辺、平行方向の辺の長さを、それぞれ29mm、28mm、閉ループ部23の仮想線30に対して直交方向の辺、平行方向の辺の長さをそれぞれ10mm、28mmとし、芯線側給電点11とグランド側エレメント20間の間隔を3mmとした。
【0064】
実施例1のアンテナは、各エレメントの長さが約2.3GHzに共振するように調整されているが、本発明は該長さに限定されるものではない。
【0065】
なお、実施例1のアンテナは車両の窓ガラスの室内面にパターンを形成するものであるため、ガラスによる波長短縮率αを0.7として、各エレメント長を計算した。
【0066】
次に、実施例1のアンテナの作用について説明する。芯線側エレメント10の直交線条12、平行線条13の線条長さを、それぞれα・λ/8〜α・λ/4(λ:受信周波数の中間波長、α:ガラスの波長短縮率)とするのが良いとしたのは、これによって芯線側エレメント10とグランド側エレメント20に誘起される電流の位相を略λ/4だけずらすことができるためである。なお、芯線側エレメント10の直交線条12、平行線条13の線条長さを、それぞれα・λ/3程度まで長くしても同様の効果が得られる。
【0067】
さらに、直交線条12の長さと平行線条13の長さの合計を略α・λ/2としてもよい。
【0068】
また、前記各線条12、13を直交させるようにしたのは、偏波面の回転する円偏波を芯線側エレメント10とグランド側エレメント20で効率よく受信することが可能になるためである。
【0069】
さらに、グランド面状導体部22の4辺のうち、上辺に、閉ループ部23を設けることによって、この閉ループが摂動素子として機能し、グランド面状導体部22だけとした場合に比べて、より高効率に電波を受信することができる。なお、グランド面状導体部22の上辺ではなく、仮想線30に平行となる辺であれば同様の機能を発揮する。
【0070】
以上説明したように、実施例1のアンテナは、芯線側エレメントの平行線条13と直交線条12を略直交するように配設し、各線条の長さをそれぞれα・λ/8〜α・λ/3程度としたので、偏波面の回転する円偏波をより一層効率よく受信することが可能となる。
【0071】
さらにまた、グランド面状導体部22の、仮想線30に平行な2辺のうちの、平行線条13からは遠い方の辺を共有辺とする矩形状の閉ループ部23を隣接させたので、この閉ループ部23が摂動素子として機能し、より高効率に電波を受信することができる。
【0072】
車外側から到来する電波に対して、車内に形成された実施例1のアンテナは、左円偏波に対して好適なアンテナとなる。また、芯線側エレメント10とグランド側エレメント20の各線状の配置について、仮想線30に対して又は仮想線30に直交する直線に対して線対称に配置することで、右円偏波に好適なアンテナとなる。
【0073】
実施例1のアンテナを自動車の後部窓ガラスに搭載した場合(図18を参照)の、アンテナの指向特性は図20に示したようになる。図20は、車外側から左円偏波で到来する2.338GHzの電波を受信したときの受信電波の仰角(水平面に対する受信電波の到来する角度)を40度に設定して測定したときの指向特性図である。
【0074】
図20から分かるように、実施例1のアンテナは、水平面の全方位に等方位的な指向性を有することが分かる。このため、本発明の実施の形態のアンテナによると、様々な方位から到来する衛星放送波を確実に捕捉することができる。
【0075】
<実施例2>
図2は、本発明の実施例2のアンテナであり、自動車の窓ガラスの車内面に設けた車内視の図である。
【0076】
実施例2は、芯線側エレメント10の平行線条13の接続位置が実施例1と異なっている。すなわち、図1に示すような芯線側給電点11から仮想線30に直交する直交線条12の先端より延ばした平行線条13に代えて、図2に示すように芯線側の給電点11から直接、平行線条13をグランド面状導体部22から離れる方向に、仮想線30に平行に設けるようにした。その他の線条については実施例1と同一である。
【0077】
なお、実施例2のアンテナの各エレメントの寸法、作用については、前述した実施例1と同じである。
【0078】
以上説明したように、実施例2のアンテナは、実施例1と同様に芯線側エレメント10の直交線条12と平行線条13を略直交するように配設し、各線条の長さをそれぞれα・λ/8〜α・λ/4程度としたので、偏波面の回転する円偏波をより一層効率よく受信することが可能となる。なお、芯線側エレメント10の直交線条12、平行線条13の線条長さを、それぞれα・λ/3程度まで長くしても同様の効果が得られる。
【0079】
さらにまた、実施例1と同様にグランド面状導体部22の辺のうちの仮想線30に平行な辺を共有辺とする矩形状の閉ループ部23を隣接させたので、この閉ループ部23が摂動素子として機能し、より高効率に電波を受信することができる。
【0080】
<実施例3>
図3は、本発明の実施例3のアンテナの構成を示しており、自動車の窓ガラスの車内面に設けた車内視の図である。本発明の構成は、芯線側エレメント10とグランド側エレメント20とからなり、グランド側エレメント20は閉ループ部23を有しておらず、いずれも実施例1と異なっている。
【0081】
すなわち、芯線側エレメント10は、芯線側給電点11からグランド面状導体部22とは離れる方向で、仮想線30に平行方向に延ばした平行線条13からなり、仮想線30に直交する直交線条を有していない点、及びグランド面状導体部22に隣接する閉ループ部23を有していない点が実施例1と異なっている。平行線条13の長さは略α・λ/2とすることが望ましい。
【0082】
グランド側エレメント20は、矩形状で全面が導電性の面状導体であるグランド面状導体部22であって、該面状導体内にグランド側給電点21が設けられている。
【0083】
実施例3のアンテナによれば、芯線側エレメント10の平行線条13に誘起される電流とグランド側エレメント20に誘起される電流の位相がずれるとともに、芯線側エレメント10に誘起される電流とグランド側エレメント20に誘起される電流の流れる向きが直角となるために、円偏波を受信することができる。
【0084】
実施例3のアンテナは、実施例1のアンテナと同じ構成の線条には同じ符号を付し、その説明は省略する。
【0085】
芯線側給電点11は、グランド側エレメント20のグランド面状導体部22内に設けたグランド側給電点21に対応するように、グランド面状導体部22とは別の導体上に設けられた芯線側の給電点である。芯線側給電点11及びグランド側給電点21は、各々、給電端子金具3に接続された高周波ケーブルの芯線及びグランドと接続されている。なお、給電端子金具3は、高周波ケーブルを介して、受信機に接続されている。
【0086】
<実施例4>
図4は、本発明の実施例4のアンテナの構成を示しており、自動車の窓ガラスの車内面に設けた車内視の図である。本実施例のアンテナは、芯線側エレメント10とグランド側エレメント20とから構成され、芯線側エレメント10は仮想線30に平行となる平行線条を有さず、グランド側エレメント20のグランド面状導体部22に閉ループ部23を隣接させない点で、実施例1とは異なっている。
【0087】
すなわち、芯線側エレメント10については、芯線側給電点11からグランド面状導体部22と離れる方向で、仮想線30に直交する方向に延ばした直交線条12だけで構成されている点が実施例1と異なっている。直交線条12の長さは略α・λ/2とすることが望ましい。
【0088】
また、グランド側エレメント20については、実施例3と同様であり、グランド面状導体部22は矩形状の全面が導電性の面状導体であって、該面状導体内の一部にグランド側給電点21を設けた。
【0089】
実施例4のアンテナによれば、芯線側エレメント10の直交線条12に誘起される電流とグランド側エレメント20に誘起される電流の位相がずれるとともに、芯線側エレメント10に誘起される電流とグランド側エレメント20に誘起される電流の向きが直角となるために、円偏波を受信することができる。
【0090】
<実施例5>
図5は、本発明の実施例5のアンテナの構成を示しており、自動車の窓ガラスの車内面に設けた車内視の図である。本実施例5は、芯線側エレメント10とグランド側エレメント20とから構成され、芯線側エレメント10は実施例1と同一パターンであるが、グランド側エレメント20のグランド面状導体部22に閉ループ部23を隣接させない点が実施例1とは異なっている。
【0091】
すなわち、実施例5の構成は、芯線側エレメント10が、芯線側給電点11からグランド面状導体部22と離れ、かつ仮想線30に直交する方向に延ばした直交線条12の先端より、グランド面状導体部22の方向に、仮想線30に平行な平行線条13を延ばした構成であり、グランド側エレメント20のグランド面状導体部22については、長方形状の全面が導電性の面状導体であり、該面状導体内の一部にグランド側給電点21を設けたものである。
【0092】
実施例5のアンテナは、芯線側エレメントの直交線条と平行線条を略直交するように配設し、各線条の長さをそれぞれα・λ/8〜α・λ/4程度としたので、偏波面の回転する円偏波をより一層効率よく受信することが可能となった。なお、芯線側エレメント10の直交線条12、平行線条13の線条長さを、それぞれα・λ/3程度まで長くしても同様の効果が得られる。
【0093】
<実施例6>
図6は、本発明の実施例6のアンテナの構成を示しており、自動車の窓ガラスの車内面に設けた車内視の図である。本実施例6は、芯線側エレメント10とグランド側エレメント20とから構成され、芯線側エレメント10は実施例2と同一パターンであるが、グランド側エレメント20のグランド面状導体部22の長方形状の全面を導電体とし、閉ループ部23を有していない構成とした点が実施例2とは異なっている。
【0094】
すなわち、実施例6の構成は、芯線側エレメント10が、芯線側給電点11からグランド面状導体部22と離れる方向、かつ仮想線30に直交する方向に延ばした直交線条12と、芯線側給電点11からグランド面状導体部22と離れる方向、かつ仮想線30に平行に延ばした平行線条13とからなる構成であり、グランド側エレメント20については、グランド面状導体部22の長方形状の全面が導電性の面状導体であって、該面状導体内の一部にグランド側給電点21が設けられている。また、各線条長さは、実施例2と同一である。
【0095】
実施例6のアンテナは、芯線側エレメントの直交線条12と平行線条13を略直交するように配設し、各線条の長さをそれぞれα・λ/8〜α・λ/4程度としたので、偏波面の回転する円偏波をより一層効率よく受信することが可能となる。なお、芯線側エレメント10の直交線条12、平行線条13の線条長さを、それぞれα・λ/3程度まで長くしても同様の効果が得られる。
【0096】
<実施例7>
図7は、本発明の実施例7のアンテナの構成を示しており、自動車の窓ガラスの車内面に設けた車内視の図である。本実施例7は、芯線側エレメント10とグランド側エレメント20とから構成され、芯線側エレメント10は、実施例5の芯線パターンの一部を変形させた点が異なり、グランド側エレメント20の構成は実施例5と同一である。
【0097】
すなわち、本実施例7の構成は、芯線側エレメント10が、芯線側給電点11からグランド面状導体部22と離れる方向、かつ仮想線30に直交する方向に延ばした直交線条12と、その先端よりグランド面状導体部22側の仮想線30に平行に延ばした平行線条13と、芯線側の給電点11からグランド側エレメント20と離れる方向、かつ仮想線30に平行に延ばした第2平行線条14とからなる構成であり、グランド側エレメント20については、グランド面状導体部22の長方形状の全面が導電性の面状導体であって、グランド面状導体22内の一部にグランド側給電点21を設けたものである。また、各線条長さは、実施例5と同一である。
【0098】
本実施例のアンテナは、芯線側エレメント10の直交線条12と平行線条13を略直交するように配設し、さらに直交線条12と第2平行線条14を略直交するように配設して、各線条の長さをそれぞれα・λ/8〜α・λ/4程度としたので、偏波面の回転する円偏波をより一層効率よく受信することが可能となる。なお、芯線側エレメント10の直交線条12、平行線条13の長さを、それぞれα・λ/3程度まで長くしても同様の効果が得られる。
【0099】
<実施例8>
図8は、本発明の実施例8のアンテナの構成を示しており、自動車の窓ガラスの車内面に設けた車内視の図である。本実施例8は、芯線側エレメント10とグランド側エレメント20とから構成され、芯線側エレメント10は、実施例5の芯線パターンを変形させたもので、グランド側エレメント20の構成は実施例5と同一である。
【0100】
すなわち、本実施例8の構成は、芯線側エレメント10が、芯線側給電点11からグランド面状導体部22と離れる方向、かつ仮想線30に直交する方向に延ばした直交線条12と、その先端よりグランド面状導体部22の方向に、仮想線30に平行となるように延ばした平行線条13と、直交線条12の先端から平行線条13とは反対方向に延ばした第2平行線条14からなる構成である。
【0101】
一方、グランド側エレメント20については、グランド面状導体部22の長方形状の全面が導電性の面状導体であり、グランド面状導体22内の一部にグランド側給電点21を設けたものである。また、各線条長さは、実施例5と同一である。
【0102】
本実施例のアンテナは、芯線側エレメント10の直交線条12と平行線条13を略直交するように配設し、さらに各線条の長さをそれぞれα・λ/8〜α・λ/4程度としたので、偏波面の回転する円偏波をより一層効率よく受信することが可能となる。なお、芯線側エレメント10の直交線条12、平行線条13の線条長さを、それぞれα・λ/3程度まで長くしても同様の効果が得られる。
【0103】
<実施例9>
図9は、本発明の実施例9のアンテナの構成を示しており、自動車の窓ガラスの車内面に設けた車内視の図である。本実施例9は、芯線側エレメント10とグランド側エレメント20とから構成され、芯線側エレメント10は、実施例1の芯線パターンと同一であるが、グランド側エレメント20のグランド面状導体部22に設けた閉ループ部23が実施例1と異なる。
【0104】
すなわち、本実施例9の構成は、芯線側エレメント10が、芯線側給電点11からグランド面状導体部22と離れる方向で、仮想線30に直交する方向に延ばした直交線条12と、その先端よりグランド面状導体部22の方向に、仮想線30に平行となるように延ばした平行線条13とからなる構成であり、グランド側エレメント20については、グランド面状導体部22に隣接する長方形状の閉ループ部23の線条で囲まれた空白部を略二分するように仮想線30に平行な平行線条をさらに設けたものであり、グランド面状導体部22内の一部にグランド側給電点21を設けたものである。また、各線条長さは、実施例5と同一である。
【0105】
実施例9のアンテナは、芯線側エレメント10の直交線条12と平行線条13を略直交するように配設し、さらに各線条の長さをそれぞれα・λ/8〜α・λ/4程度とし、さらにグランド面状導体部22の、直交線条12が延びている方向とは反対方向の辺を共有辺とする閉ループ部23を設けたので、偏波面の回転する円偏波をより一層効率よく受信することが可能となる。なお、芯線側エレメント10の直交線条12、平行線条13の線条長さを、それぞれα・λ/3程度まで長くしても同様の効果が得られる。
【0106】
<実施例10>
図10は、本発明の実施例10のアンテナの構成を示しており、自動車の窓ガラスの車内面に設けた車内視の図である。本実施例10は、芯線側エレメント10とグランド側エレメント20とから構成され、芯線側エレメント10は、実施例1の芯線パターンと同一であり、グランド側エレメント20の面状導体部の一部に切欠部を設けた点で実施例1と異なる。
【0107】
すなわち、本実施例10の構成は、芯線側エレメント10が、芯線側給電点11からグランド面状導体部22と離れる方向で、仮想線30に直交する方向に延ばした直交線条12と、その先端よりグランド面状導体部22の方向に、仮想線30と平行になるように延ばした平行線条13とからなる構成であり、グランド側エレメント20については、グランド面状導体部22の仮想線30と平行となる2辺のうち、平行線条13から遠い方の辺を共有辺とする閉ループ部23を設け、さらに芯線側給電点11に対向する側の辺の中央部近傍の一部に切欠部を設けるようにした。
【0108】
これは、芯線側給電点11に固定する給電端子金具3の座金等が不慮にしてグランド面状導体部22に接触し、ショートしないようにするためである。
【0109】
実施例10のアンテナは、芯線側エレメント10の直交線条12と平行線条13を略直交するように配設し、さらに、各線条の長さをそれぞれα・λ/8〜α・λ/4程度とし、さらにグランド側エレメント20のグランド面状導体部22の仮想線30に平行な2辺のうち、平行線条13から遠い方の一辺を共有辺とする閉ループ部23を隣接して設けたので、偏波面の回転する円偏波をより一層効率よく受信することが可能となる。なお、芯線側エレメント10の直交線条12、平行線条13の線条長さを、それぞれα・λ/3程度まで長くしても同様の効果が得られる。
【0110】
<実施例11>
図11は、本発明の実施例11のアンテナの構成を示しており、自動車の窓ガラスの車内面に設けた車内視の図である。本実施例11は、芯線側エレメント10とグランド側エレメント20とから構成され、芯線側エレメント10は、実施例1の芯線パターンと同一であり、グランド側エレメント20の閉ループ部23の位置が実施例1と異なる。
【0111】
すなわち、本実施例11の構成は、芯線側エレメント10が、芯線側給電点11からグランド面状導体部22と離れる方向で、仮想線30に直交する方向に延ばした直交線条12と、その先端よりグランド面状導体部22の方向に、仮想線30となるように延ばした平行線条13とからなる構成であり、グランド側エレメント20については、グランド面状導体部22の辺のうち、芯線側給電点11と対向する辺とは反対側の一辺を共有辺とする閉ループ部23を設けたものである。
【0112】
このように、実施例11のアンテナは、芯線側エレメント10の直交線条12と平行線条13を略直交するように配設し、さらに各線条の長さをそれぞれα・λ/8〜α・λ/4程度とし、さらにまた、グランド側エレメント20のグランド面状導体部22の辺のうち、芯線側給電点11と対向する辺とは反対側の一辺を共有辺とする閉ループ部23を隣接して設けたので、偏波面の回転する円偏波をより一層効率よく受信することが可能となる。なお、芯線側エレメント10の直交線条12、平行線条13の線条長さを、それぞれα・λ/3程度まで長くしても同様の効果が得られる。
【0113】
<実施例12>
図12は、本発明の実施例12のアンテナであり、自動車の窓ガラスの車内面に設けた車内視の図である。実施例12は、芯線側エレメント10に関しては、平行線条13を芯線側給電点11に接続し、平行線条13の先端に、車内視で、平行線条13から右側(図の上方)に延びるように、直交線条12を配設している点が、実施例10と異なっている。また、グランド側エレメント20に関しては、閉ループ部23のコーナー部のうち、芯線側給電点11から最も遠いコーナー部からL字状の補助線条24を延ばしている点が、実施例10とは異なっている。補助線条24は、平行線条13と平行で一定の間隔bをあけて設けられている補助線条24aと、補助線条24aの先端と閉ループ部23を接続する補助線条24bから構成されている。
【0114】
実施例12のアンテナの各寸法は、芯線側給電点11の縦横の長さを10mm、芯線側エレメント10の平行線条13、直交線条12の各線条長さを、それぞれ60mm、20mmとし、グランド側エレメント20のグランド面状導体部22の仮想線30に平行となる辺、直交する辺の長さを、それぞれ30mm、20mm、閉ループ部23の仮想線30に平行な辺、直交する辺の長さをそれぞれ30mm、10mmとしている。また、補助線条24aを75mmとし、補助線条24bを20mmとして、平行線条13と補助線条24aとの間隔bを37mmに設定している。このとき、補助線条24aの端部と平行線条13の先端との間隔aを30mmに設定している。
【0115】
実施例12のアンテナは、約1.5GHzに共振するように各エレメントの寸法を調整しているが、本発明は該寸法に限定されるものではない。
【0116】
なお、実施例12のアンテナは車両の窓ガラスの室内面にパターンを形成するものであるため、ガラスによる波長短縮率αを0.7として、各エレメント長を計算した。
【0117】
次に、実施例12のアンテナの作用について説明する。芯線側エレメント10の直交線条12、平行線条13の線条長さを、それぞれα・λ/8〜α・λ/3(λ:受信周波数の中間波長、α:ガラスの波長短縮率)としているが、これは実施例1と同様に芯線側エレメント10とグランド側エレメント20に誘起される電流の位相を略λ/4だけずらすことができるためである。なお、芯線側エレメント10の直交線条12、平行線条13の線条長さは、望ましくはα・λ/8〜α・λ/4であることは、前述した実施例と同じである。
【0118】
また、補助線条24aの長さをα・λ/4〜α・λ/2とし、補助線条24aと平行線条13との間隔bをα・λ/8〜α・λ/4とし、補助線条24aの先端と平行線条13の先端との間隔aを略α・λ/4としている。このように補助線条24を設けることによって、補助線条24が摂動素子として機能し、芯線側エレメント10とグランド側エレメント20のそれぞれに誘起される電流の位相差を、紙面裏側から到来する右円偏波の電波をより好適に受信するように調整することができる。
【0119】
実施例12のアンテナと給電線との接続は、実施例1と同様なので、説明は省略する。
【0120】
本発明の実施例12のアンテナの特性は、図21のようになる。図21は、本発明の実施例12のアンテナを車両の後部窓ガラスに搭載した場合(図19参照)の周波数1.575GHzの車外から右円偏波で到来する電波に対する各仰角での、電波の到来方向を水平に360°回転した場合の利得(一周平均の利得)を示す図である。
【0121】
また、図22は、比較例であり、カーナビゲーション用車載式電子制御装置と一体となっているGPS用マイクロストリップアンテナを、自動車のダッシュボード内の所定の位置に配置したときの1.575GHzの周波数の車外から右円偏波で到来する電波に対する各仰角での一周平均の利得を示す図である。
【0122】
図21と図22を比較すると、本発明の実施例2のアンテナは、仰角0°〜仰角90°までの全ての仰角において、前記GPS用マイクロストリップアンテナに比べて高いアンテナ利得を得ていることがわかる。このため、本発明の実施例のアンテナは、GPS用アンテナとして使用した場合、前記GPSマイクロストリップアンテナに対して高い位置検出精度を保つことができる。
【0123】
<実施例13>
図13は、本発明の実施例13のアンテナの構成を示しており、自動車の窓ガラスの車内面に設けた車内視の図である。実施例13は、実施例3の変形例で芯線側エレメントの平行線条13の先端に、車内視で、平行線条13に直交する、直交線条12を右方向に延ばした点が、実施例3とは異なっている。
【0124】
グランド側エレメント20は、実施例3と同様に、矩形状で全面が導電性のグランド面状導体部22であって、該面状導体内にグランド側給電点21が設けられている。
【0125】
実施例13のアンテナは、芯線側エレメント10の平行線条13と直交線条12を略直交するように配設し、各線条の長さをそれぞれα・λ/8〜α・λ/3程度としたので、車外側から到来する右円偏波の電波をよく受信することが可能となる。なお、芯線側エレメント10の直交線条12、平行線条13の線条長さは、望ましくはα・λ/8〜α・λ/4であることは、前述した実施例と同じである。
【0126】
<実施例14>
図14は、本発明の実施例14のアンテナの構成を示しており、自動車の窓ガラスの車内面に設けた車内視の図である。実施例14は、芯線側エレメント10とグランド側エレメント20とから構成され、芯線側エレメント10の構成は実施例13と同一であるが、グランド側エレメント20のグランド面状導体部22の一辺を共有辺するように閉ループ部23を隣接させるとともに、芯線側給電点に面する辺の中央部近傍の一部に切欠部を設けた点が実施例13とは異なっている。
【0127】
実施例14のアンテナは、芯線側エレメント10の平行線条13と直交線条12を略直交するように配設し、各線条の長さをそれぞれα・λ/8〜α・λ/3程度とし、グランド側エレメント20のグランド面状導体部22の一辺を共有辺とするように隣接させた閉ループ部23には、グランド側エレメント20に誘起される電流分布が円偏波の受信に最適になるように調整する効果があるため、偏波面が回転する右円偏波をよく受信することが可能となる。なお、芯線側エレメント10の直交線条12、平行線条13の線条長さは、望ましくはα・λ/8〜α・λ/4であることは、前述した実施例と同じである。
【0128】
<実施例15>
図15は、本発明の実施例15のアンテナの構成を示しており、自動車の窓ガラスの車内面に設けた車内視の図である。実施例15は、芯線側エレメント10とグランド側エレメント20とから構成され、芯線側エレメント10の構成は実施例14と同一であるが、グランド側エレメント20のグランド面状導体部22より、L字状の補助線条24を延ばした点が実施例14と異なっている。
【0129】
実施例15のアンテナは、芯線側エレメント10の平行線条13と直交線条12を略直交するように配設し、各線条の長さをそれぞれα・λ/8〜α・λ/3程度とし、グランド側エレメント20のグランド面状導体部22の一辺を共有辺とするように隣接させた閉ループ部23と補助線条24を設けることにより、芯線側エレメント10とグランド側エレメント20に誘起される電流分布が、右円偏波を受信するのに最適になるように調整する効果が得られるため、右円偏波をよく受信することが可能となる。
【0130】
<実施例16>
図16は、本発明の実施例16のアンテナの構成を示しており、自動車の窓ガラスの車内面に設けた車内視の図である。実施例16は、芯線側エレメント10とグランド側エレメント20とから構成され、芯線側エレメント10は実施例14及び実施例15と同一パターンであるが、グランド側エレメント20のグランド面状導体部22の辺のうち、仮想線30と平行な2辺のそれぞれを共有辺とする閉ループ部23を隣接させ、車内視で平行線条13の右側に、補助線条24を平行線条に対して平行かつ一定の間隔を設けて閉ループ部23の一辺に接続している点が、実施例14および15と異なる。
【0131】
実施例16のアンテナは、芯線側エレメント10の平行線条13と直交線条12を略直交するように配設し、各線条の長さをそれぞれα・λ/8〜α・λ/3程度とし、グランド側エレメント20のグランド面状導体部22の2辺を共有辺とするように隣接させた2つの閉ループ部23と補助線条24を設けることにより、芯線側エレメント10とグランド側エレメント20に誘起される電流分布を車外側から到来する右円偏波を受信するのに最適になるように調整する効果が得られるため、右円偏波をよく受信することが可能となる。
【0132】
<実施例17>
図17は、本発明の実施例17のアンテナの構成を示しており、自動車の窓ガラスの車内面に設けた車内視の図である。本実施例17は、芯線側エレメント10とグランド側エレメント20とから構成され、芯線側エレメント10は実施例10と同一パターンであるが、グランド側エレメント20の閉ループ部23のコーナー部に補助線条24を設けた点が実施例10とは異なっている。
【0133】
前記実施例17のアンテナは、芯線側エレメントの平行線条と直交線条を略直交するように配設し、各線条の長さをそれぞれα・λ/8〜α・λ/3程度とし、グランド側エレメント20のグランド面状導体部22の一辺を共有辺とするように隣接させた閉ループ部23と補助線条24が、芯線側エレメント10とグランド側エレメント20の各々に誘起される電流分布を車外側から到来する左円偏波を受信するのに最適になるように調整する効果があるため、左円偏波をよく受信することが可能となる。
【符号の説明】
【0134】
1 窓ガラス板
2 デフォッガ
3 給電端子金具
10 芯線側エレメント
11 芯線側給電点
12 直交線条
13 平行線条
14 第2平行線条
20 グランド側エレメント
21 グランド側給電点
22 グランド面状導体部
23 閉ループ部
24 補助線条
30 仮想線
【特許請求の範囲】
【請求項1】
芯線側給電点に接続した芯線側エレメントと、グランド側給電点を内部に有したグランド側エレメントとからなるガラスアンテナにおいて、
前記グランド側エレメントは、略矩形状のグランド面状導体部を前記芯線側給電点と近接する位置に有し、前記グランド面状導体部の面内に少なくとも1つのグランド側給電点を設けてなり、
前記芯線側エレメントは、前記芯線側給電点と対向する前記グランド面状導体部の一辺に対して鉛直になるように設けた仮想線に直交し、かつグランド面状導体部から遠ざかる方向に延伸した直交線条か、または、前記仮想線と略平行かつグランド面状導体部から遠ざかる方向に延伸した平行線条の少なくとも一方を有することを特徴とするガラスアンテナ。
【請求項2】
前記芯線側エレメントが、前記直交線条と、前記平行線条とを有し、
前記直交線条と、前記平行線条との両方が前記芯線側給電点に接続されることを特徴とする請求項1に記載のガラスアンテナ。
【請求項3】
前記芯線側エレメントが、前記直交線条と、前記平行線条とを有し、
前記平行線条は、前記芯線側給電点に接続され、
前記直交線条は、前記平行線条の先端から前記平行線条に略直交する方向に延伸したことを特徴とする請求項1に記載のガラスアンテナ。
【請求項4】
前記芯線側エレメントの直交線条および前記平行線条の各々の長さをα・λ/8〜α・λ/3(α:ガラスの波長短縮率、λ:受信電波の平均波長)のいずれかの値とし、
前記直交線条の長さと前記平行線条の長さの合計を略α・λ/2としたことを特徴とする請求項2又は3に記載のガラスアンテナ。
【請求項5】
前記芯線側エレメントは、前記直交線条または前記平行線条のいずれか一方を有し、
前記平行線条または前記直交線条の長さを略α・λ/2(α:ガラスの波長短縮率、λ:受信電波の平均波長)としたことを特徴とする請求項1に記載のガラスアンテナ。
【請求項6】
前記芯線側エレメントは、前記芯線側給電点に接続された前記直交線条を有し、
前記直交線条は、該直交線条に対して略直交するように、該直交線条の先端から前記グランド面状導体部側に向けて延伸した補助平行線条を備えることを特徴とする請求項1に記載のガラスアンテナ。
【請求項7】
前記芯線側エレメントの直交線条および前記補助平行線条の各々の長さをα・λ/8〜α・λ/3(α:ガラスの波長短縮率、λ:受信電波の平均波長)のいずれかの値とし、
前記直交線条の長さと前記補助平行線条の長さの合計を略α・λ/2としたことを特徴とする請求項6に記載のガラスアンテナ。
【請求項8】
前記グランド面状導体部の、芯線側給電点と近接していない辺の一辺を共有辺とする矩形状の閉ループ部を、前記グランド面状導体部の少なくとも1箇所に隣接して設けたことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一つに記載のガラスアンテナ。
【請求項9】
前記グランド側エレメントのグランド面状導体部、又は閉ループ部のいずれかに接続される補助線条を有し、該補助線条を、前記芯線側エレメントの芯線側給電点から延伸している前記直交線条または平行線条のいずれかと同一方向かつ略平行に延伸したことを特徴とする請求項8に記載のガラスアンテナ。
【請求項10】
前記グランド側エレメントのグランド面状導体部に接続される補助線条を有し、該補助線条を、前記芯線側エレメントの芯線側給電点から延伸している前記直交線条または平行線条のいずれかと同一方向かつ略平行に延伸したことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一つに記載のガラスアンテナ。
【請求項11】
前記補助線条の長さをα・λ/4〜α・λ/2(α:ガラスの波長短縮率、λ:受信電波の平均波長)とし、前記補助線条と、該補助線条に略平行に延伸した前記直交線条または前記平行線条との間隔をα・λ/8〜α・λ/4としたことを特徴とする請求項9又は10に記載のガラスアンテナ。
【請求項12】
前記グランド面状導体部の前記芯線側給電点に対向する辺の略中央部分に切欠部を設けたことを特徴とする請求項1乃至11のいずれか一つに記載のガラスアンテナ。
【請求項1】
芯線側給電点に接続した芯線側エレメントと、グランド側給電点を内部に有したグランド側エレメントとからなるガラスアンテナにおいて、
前記グランド側エレメントは、略矩形状のグランド面状導体部を前記芯線側給電点と近接する位置に有し、前記グランド面状導体部の面内に少なくとも1つのグランド側給電点を設けてなり、
前記芯線側エレメントは、前記芯線側給電点と対向する前記グランド面状導体部の一辺に対して鉛直になるように設けた仮想線に直交し、かつグランド面状導体部から遠ざかる方向に延伸した直交線条か、または、前記仮想線と略平行かつグランド面状導体部から遠ざかる方向に延伸した平行線条の少なくとも一方を有することを特徴とするガラスアンテナ。
【請求項2】
前記芯線側エレメントが、前記直交線条と、前記平行線条とを有し、
前記直交線条と、前記平行線条との両方が前記芯線側給電点に接続されることを特徴とする請求項1に記載のガラスアンテナ。
【請求項3】
前記芯線側エレメントが、前記直交線条と、前記平行線条とを有し、
前記平行線条は、前記芯線側給電点に接続され、
前記直交線条は、前記平行線条の先端から前記平行線条に略直交する方向に延伸したことを特徴とする請求項1に記載のガラスアンテナ。
【請求項4】
前記芯線側エレメントの直交線条および前記平行線条の各々の長さをα・λ/8〜α・λ/3(α:ガラスの波長短縮率、λ:受信電波の平均波長)のいずれかの値とし、
前記直交線条の長さと前記平行線条の長さの合計を略α・λ/2としたことを特徴とする請求項2又は3に記載のガラスアンテナ。
【請求項5】
前記芯線側エレメントは、前記直交線条または前記平行線条のいずれか一方を有し、
前記平行線条または前記直交線条の長さを略α・λ/2(α:ガラスの波長短縮率、λ:受信電波の平均波長)としたことを特徴とする請求項1に記載のガラスアンテナ。
【請求項6】
前記芯線側エレメントは、前記芯線側給電点に接続された前記直交線条を有し、
前記直交線条は、該直交線条に対して略直交するように、該直交線条の先端から前記グランド面状導体部側に向けて延伸した補助平行線条を備えることを特徴とする請求項1に記載のガラスアンテナ。
【請求項7】
前記芯線側エレメントの直交線条および前記補助平行線条の各々の長さをα・λ/8〜α・λ/3(α:ガラスの波長短縮率、λ:受信電波の平均波長)のいずれかの値とし、
前記直交線条の長さと前記補助平行線条の長さの合計を略α・λ/2としたことを特徴とする請求項6に記載のガラスアンテナ。
【請求項8】
前記グランド面状導体部の、芯線側給電点と近接していない辺の一辺を共有辺とする矩形状の閉ループ部を、前記グランド面状導体部の少なくとも1箇所に隣接して設けたことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一つに記載のガラスアンテナ。
【請求項9】
前記グランド側エレメントのグランド面状導体部、又は閉ループ部のいずれかに接続される補助線条を有し、該補助線条を、前記芯線側エレメントの芯線側給電点から延伸している前記直交線条または平行線条のいずれかと同一方向かつ略平行に延伸したことを特徴とする請求項8に記載のガラスアンテナ。
【請求項10】
前記グランド側エレメントのグランド面状導体部に接続される補助線条を有し、該補助線条を、前記芯線側エレメントの芯線側給電点から延伸している前記直交線条または平行線条のいずれかと同一方向かつ略平行に延伸したことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一つに記載のガラスアンテナ。
【請求項11】
前記補助線条の長さをα・λ/4〜α・λ/2(α:ガラスの波長短縮率、λ:受信電波の平均波長)とし、前記補助線条と、該補助線条に略平行に延伸した前記直交線条または前記平行線条との間隔をα・λ/8〜α・λ/4としたことを特徴とする請求項9又は10に記載のガラスアンテナ。
【請求項12】
前記グランド面状導体部の前記芯線側給電点に対向する辺の略中央部分に切欠部を設けたことを特徴とする請求項1乃至11のいずれか一つに記載のガラスアンテナ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【公開番号】特開2011−147102(P2011−147102A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−196850(P2010−196850)
【出願日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000002200)セントラル硝子株式会社 (1,198)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000002200)セントラル硝子株式会社 (1,198)
【Fターム(参考)】
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