説明

ガラス型の洗浄方法

【課題】脈理発生を抑制可能とする、ガラス型の洗浄方法、および、この洗浄方法を採用したプラスチックレンズの製造方法を提供する。
【手段】本発明のガラス型の洗浄方法は、ガラス型をアルカリ洗浄剤に接触させた後、ガラス型をすすぐ工程を含み、ガラス型をアルカリ洗浄剤に接触させる前に第1の酸の水溶液に接触させる第1酸処理、および、ガラス型をアルカリ洗浄剤に接触させた後ガラス型のすすぎが終了する前にガラス型を第2の酸の水溶液に接触させる第2酸処理、のうちの少なくとも一方の酸処理を行い、第1の酸の水溶液の酸濃度および第2の酸の水溶液の酸濃度は、0.1重量%〜98重量%であり、アルカリ洗浄剤は、水溶性アルカリ化合物を1重量%〜30重量%含有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラス型の洗浄方法、およびこれを用いたプラスチックレンズの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プラスチックレンズは、無機レンズに比べて軽くて割れ難く染色し易い。加えて、ハードコート層に関する技術の向上と、より高い屈折率を有する樹脂材料の開発とによって、より薄くて軽いプラスチックレンズの製造が可能となっている。これらの技術進歩により、眼鏡レンズの分野をはじめとする多くの分野で、プラスチックレンズは無機レンズに代わって普及してきた。
【0003】
従来、プラスチックレンズを構成する樹脂として最も多用されてきたのは、ジエチレングリコールビスアリルカーボネートをラジカル重合させることにより得られる樹脂である。しかし、最近では、この樹脂よりも屈折率が高い樹脂材料が開発されている。その代表的なものは、含硫ウレタン樹脂、含硫エポキシ樹脂、ポリチオ(メタ)アクリレート樹脂、含硫ポリ(メタ)アクリレート樹脂、エピスルフィド樹脂等の含硫黄樹脂である。含硫黄樹脂を用いて成形されたプラスチックレンズ基材の屈折率は1.55以上と高い。
【0004】
プラスチックレンズ基材の成形には一般的に1対のガラス型が用いられる。この1対の成形型が、固定用テープまたはガスケット等のシール材によりシールされることにより、シール材と1対のガラス型とで囲まれたキャビティーが形成される。このキャビティーに重合性モノマー等を注入し、重合性モノマーを重合硬化させることによりプラスチックレンズ基材が得られる。得られたプラスチックレンズ基材は所定の洗浄剤組成物を用いて洗浄される(例えば、特許文献1参照)。一方、ガラス型については、脱型後、洗浄され、複数のプラスチックレンズを成形するために何度も繰り返し使用される。ガラス型の再使用前には、使用により付着した汚れが除去される。ガラス型に付着した汚れとしては、例えば下記(1)〜(5)等が挙げられる。
(1)プラスチックレンズ基材を構成する樹脂およびその未重合物
(2)ガスケットからブリードアウトした可塑剤
(3)固定用テープの粘着剤
(4)作業者の指紋
(5)雰囲気中のほこり
【0005】
これらの中でも、上記樹脂は高度に架橋しており非常に強固にガラス型に固着しているため、極めて除去し難い。
【0006】
ガラス型を洗浄するための洗浄剤としては、従来から、アルカリ洗浄剤が使用されてきた。しかし、屈折率が1.55以上の含硫黄プラスチックレンズ基材を形成したときにガラス型に付着する樹脂は、従来のより屈折率が低いプラスチックレンズ基材を形成したときにガラス型に付着する樹脂よりも、より強固にガラス型に付着している。そのため、ガラス型に付着した樹脂の剥離はより難しく、その上ガラス型への付着量も多い。それゆえ、洗浄剤としてより高濃度のアルカリ洗浄剤が使用されるようになった。
【特許文献1】特開2001−129500号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、ガラス型を洗浄するための洗浄剤として上記高濃度アルカリ洗浄剤を用いる場合、洗浄後のガラス型を繰り返し用いて、複数のプラスチックレンズを形成すると、プラスチックレンズに脈理が発生することがある。脈理はガラス中に生じた均質なマトリックス部分とは異なる屈折率をもった部分のことで、通常糸すじのような形状を示すため脈理と呼ばれる。プラスチックレンズにおいてもガラスと同様の脈理が発生する場合がある。放射線状の脈理が発生したプラスチックレンズは廃棄せざるを得ない場合もある。よって脈理の発生は、ランニングコストの上昇をもたらし非常に好ましくない。
【0008】
しかし、上記脈理発生の抑制に有効な洗浄方法、およびプラスチックレンズの製法方法はいまだ開示されていない。
【0009】
本発明は、脈理発生を抑制可能とする、ガラス型の洗浄方法、および、この洗浄方法を採用したプラスチックレンズの製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のガラス型の洗浄方法は、プラスチックレンズ基材用成形型を構成するガラス型の洗浄方法であって、前記ガラス型をアルカリ洗浄剤に接触させた後、前記ガラス型をすすぐ工程を含み、前記ガラス型をアルカリ洗浄剤に接触させる前に第1の酸の水溶液に接触させる第1酸処理、および、前記ガラス型をアルカリ洗浄剤に接触させた後前記ガラス型のすすぎが終了する前に前記ガラス型を第2の酸の水溶液に接触させる第2酸処理、のうちの少なくとも一方の酸処理を行い、前記第1の酸の水溶液の酸濃度は、0.1重量%〜98重量%であり、前記第2の酸の水溶液の酸濃度は、0.1重量%〜98重量%であり、前記アルカリ洗浄剤は、水溶性アルカリ化合物を1重量%〜30重量%含有する。
【0011】
本発明のプラスチックレンズの製造方法は、所定の間隔で対向して配置された1対のガラス型を含む成形型を用いてプラスチックレンズ基材を成形する成形工程と、前記成形型を前記プラスチックレンズから脱型する脱型工程と、前記脱型工程後、上記本発明のガラス型の洗浄方法を用いて前記ガラス型を洗浄する洗浄工程と、を含み、前記1対のガラス型は、複数のプラスチックレンズ基材を成形するために、前記洗浄工程を経て繰り返し使用される。
【発明の効果】
【0012】
本発明のガラス型の洗浄方法、または、これを用いたプラスチックレンズの製造方法によれば、脈理の発生が抑制されたプラスチックレンズを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に、本発明の好ましい一例についてより詳細に説明する。
【0014】
図1に、本発明のプラスチックレンズの製造方法の一例のフロー図を示している。図1に示したフロー図は、本発明のプラスチックレンズの製造方法の一例である眼鏡用プラスチックレンズの製造方法について説明するものである。
【0015】
図1に示すように、本実施形態のプラスチックレンズの製造方法は、プラスチックレンズ基材を成形する成形工程(S1)と、脱型工程(S2)と、ガラス型洗浄工程(S3)と、外周研削工程(S4)と、アニール工程(S6)と、内面研磨工程(S7)と、染色工程(S9)と、ハードコート層形成工程(S13)と、反射防止層形成工程(S15)と、防汚層形成工程(S16)とを含んでいる。
【0016】
なお、内面研磨工程(S7)と、染色工程(S9)と、反射防止層形成工程(S15)と、防汚層形成工程(S16)は、必ずしも必要ではなく、無くてもよい。洗浄工程(S5、S8、S10、S12、S14)では、リンス液として、例えば、純水等が用いられる。
【0017】
まず、成形工程(S1)では、1対のガラス型を所定の間隔で対向するように配置し、1対のガラス型の間に例えば環状のガスケットを配置する。そして、この状態をクリップ等の保持具を用いて保持する。これにより、1対のガラス型とガスケットによりキャビティーが形成される。
【0018】
次に、キャビティーに、プラスチックレンズ基材原料として重合性組成物を注入する。次いで、重合性組成物を例えば熱重合により重合させる。
【0019】
重合性組成物が重合することによって得られるプラスチックレンズ基材は、含硫ウレタン樹脂、含硫エポキシ樹脂、ポリチオ(メタ)アクリレート樹脂及びエピスルフィド樹脂からなる群より選ばれる1種以上を含んでいると好ましい。これらの樹脂をプラスチックレンズ基材が含んでいると、屈折率が例えば1.55以上のプラスチックレンズを製造でき、薄いプラスチックレンズを製造できる。
【0020】
ガラス型としては、従来からプラスチックレンズ基材の成形に用いられるガラス型として公知のものを用いればよい。例えば、ガラス型は、イオン交換によりガラス中のNa+の一部がK+に置きかえられて、表面付近に圧縮応力を発生させた化学強化ガラスからなると好ましい。
【0021】
ガスケットには、従来からプラスチックレンズの成形型を構成するガスケットとして公知のものを用いればよい。また、このガスケットに代えて固定用テープを用いてもよい。固定用テープについても、従来からプラスチックレンズの成形型を構成するテープとして公知のものを用いればよい。
【0022】
次に、保持具による成形型の保持を解除し、成形型をプラスチックレンズから取り外す脱型を行う(S2)。
【0023】
次に、ガラス型の洗浄を行う(S3)。このガラス型の洗浄工程(S3)では、ガラス型へのアルカリ洗浄剤の接触と、すすぎと、酸処理とを行う洗浄処理が1回以上行なわれる。
【0024】
図2は、上記洗浄処理の一例のフロー図である。図2に示した例では、まず、ガラス型に対して、第1の酸の水溶液を接触させる第1酸処理が行なわれる。次いで必要に応じて、すすぎが1回以上行なわれ、その後、ガラス型に対するアルカリ洗浄剤の接触が行われる。次に、必要に応じて、すすぎが1回以上行なわれ、その後、ガラス型に対して、第2の酸の水溶液を接触させる第2酸処理が行われる。次いで、すすぎが1回以上行われる。
【0025】
図3は、上記洗浄処理の他の一例のフロー図である。図3に示した例では、ガラス型に対して、第1酸処理が行なわれてから、必要に応じて、すすぎが1回以上行なわれ、その後、アルカリ洗浄剤の接触が行われる。次いで、ガラス型に対して、1回以上すすぎが行われる。
【0026】
図4は、上記洗浄処理のさらに別の例のフロー図である。図4に示した例では、ガラス型に対して、まず、アルカリ洗浄剤の接触が行われる。次いで、必要に応じて、すすぎが1回以上行なわれ、その後、ガラス型に対して、第2酸処理が行われてから、すすぎが1回以上行われる。
【0027】
このように、ガラス型の洗浄工程(S3)(図1参照)において、第1酸処理および第2酸処理のうちの少なくとも一方の酸処理を行うと、後述する実施例の結果が示すように、脈理の発生が抑制される。脈理発生の抑制のメカニズムについては明らかではない。しかし、すすぎが不十分な場合に脈理が生じる傾向があり、ガラス型の使用回数が増えると脈理が発生し易くなる傾向があった。よって、これらの傾向から、本発明者らは脈理発生の抑制メカニズムを下記のように考えている。
【0028】
ガラス型は、アルカリ洗浄剤との接触後、水等のリンス液によりすすがれる。すすぎが不十分であるとガラス型の表面にアルカリ洗浄剤に由来するアルカリ成分が残ることがあり得る。この場合、ガラス型が次のプラスチックレンズの成形に使用されると、上記残留アルカリ成分によりプラスチックレンズ材料の良好な重合が妨げられて、脈理が発生していると考えられる。
【0029】
また、ガラス型を繰り返し使用するうちに、アルカリ成分、具体的には、アルカリ洗浄剤等に由来するアルカリ金属イオンおよび/または水酸化アルカリ等がガラス型の表面から浸入し、これらがガラス型の表面およびそれより深い領域にまで蓄積していると考えられる。これらのアルカリ成分は時間経過とともにガラス型表面およびその近傍に浸出する。これらのアルカリ成分の存在によりプラスチックレンズ基材原料の良好な重合が妨げられて、脈理が発生していると考えられる。
【0030】
第1酸処理では、主として、第1の酸の水溶液と上記アルカリ成分との反応により、ガラス型表面およびその近傍の脱アルカリ成分化が促進されていると推測される。一方、第2酸処理では、残留アルカリ成分と第2の酸の水溶液との反応により、ガラス型表面の脱アルカリ成分化が促進され、そして、第2酸処理後に行なわれるすすぎ処理とあいまって、ガラス型表面の清浄化が良好に行なわれていると推測される。
【0031】
よって、上記第1酸処理および第2酸処理のうちの少なくとも一方の酸処理を行うことによって、脈理の発生が抑制されているものと推測される。
【0032】
そのため、洗浄工程(S3)において洗浄処理の回数は多い方が好ましいが、プラスチックレンズの生産性を考慮すると、1回〜2回が好ましい。洗浄処理を複数回行う場合、最後の洗浄処理は、ガラス型を用いて成形型を組み立てる直前に行うと好ましい。
【0033】
第1酸処理における、第1の酸の水溶液とガラス型との接触方法は特に限定されるものではない。上記接触方法には、例えば、浸漬法、浸漬揺動法、浸漬攪拌法、浸漬バブリング法、スプレー法、液中噴流法、浸漬超音波洗浄法等を用いればよい。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なかでも下記組み合わせが好適である。
(1)浸漬超音波洗浄法/浸漬攪拌法
(2)浸漬超音波洗浄法/浸漬揺動法
(3)浸漬超音波洗浄法/浸漬攪拌法/浸漬揺動法
【0034】
第1の酸の水溶液の温度、接触時間等の条件についても特に限定されるものではないが、例えば、第1の酸の水溶液の温度は0℃〜100℃が適当であり、アルカリ成分の除去能を向上させ、かつ、水分蒸発による粘度上昇を抑制する観点から20〜80℃が好ましく、30〜80℃がより好ましく、40〜60℃がさらに好ましい。
【0035】
第2酸処理における、第2の酸の水溶液とガラス型との接触方法も特に限定されるものではなく、例えば、第1酸処理の場合と同様でよい。第2の酸の水溶液の温度、および接触時間についても、第1酸処理の場合と同様でよい。
【0036】
アルカリ洗浄剤とガラス型との接触方法は、特に限定されるものではなく、例えば、第1酸処理の場合と同様でよい。アルカリ洗浄剤の温度、接触時間などの条件も特に限定されるものではなく、プラスチックレンズ基材の汚染の程度、汚れの成分等に応じて適宜調整すればよい。例えば、アルカリ洗浄剤の温度は、20〜80℃が好ましいが、剥離性の向上および水分の蒸発を抑制する観点から、35〜60℃がより好ましい。接触時間については、一般的に30秒〜20分間程度が好ましい。
【0037】
(アルカリ洗浄剤)
洗浄処理に用いられるアルカリ洗浄剤の種類、濃度等については、(a)プラスチックレンズ基材を構成する樹脂およびその未重合物、(b)ガスケットからブリードアウトした可塑剤、(c)固定用テープの粘着剤、(d)作業者の指紋、および(e)雰囲気中のほこり等の汚れを除去できる限り特に制限はない。アルカリ洗浄剤は、例えば、下記水溶性アルカリ化合物を水等に溶解して得たものであると好ましい。
【0038】
上記水溶性アルカリ化合物としては、特に限定されるものではなく、例えば水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物;オルソ珪酸ナトリウム、メタ珪酸ナトリウム、セスキ珪酸ナトリウム(例えば、一号珪酸ナトリウム、二号珪酸ナトリウム、三号珪酸ナトリウム)等の珪酸塩;リン酸水素二ナトリウム、リン酸三ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム等のリン酸塩;炭酸二ナトリウム、炭酸二カリウム、炭酸水素カリウム等の炭酸塩;ホウ酸ナトリウム等のホウ酸塩等が挙げられる。これらの水溶性アルカリ化合物はそれぞれ単独で用いてもよいが、2種以上を併用してもよい。なかでも、上記(a)〜(e)の汚れの除去能が高い、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムのうちの少なくとも1種の水溶性アルカリ化合物が好ましく、上記除去能がより高い、水酸化ナトリウムが好ましい。
【0039】
水溶性アルカリ化合物のアルカリ洗浄剤における配合量は、汚れの除去能とガラス型の腐食の抑制とを両立させる観点から1〜30重量%であることを要するが、同様の観点から、3〜20重量%であると好ましく、6〜15重量%であるとより好ましく、10〜15重量%であるとさらに好ましい。
【0040】
アルカリ洗浄剤に含まれる水としては、超純水、純水、イオン交換水、蒸留水、通常の水道水等が用いられる。
【0041】
アルカリ洗浄剤には、必要な洗浄性が確保される限りにおいて、必要に応じて通常洗浄剤に含まれる公知の成分が配合されていてもよい。かかる成分としては、例えば、界面活性剤、キレート剤、金属イオン封鎖剤、防腐剤、防錆剤、消泡剤、酸化防止剤、窒素原子数が1〜5で分子量が50〜300の範囲にあるアミン系化合物、ヤシ脂肪酸メチルや酢酸ベンジル等のエステル、炭化水素系溶剤またはアルコール類等の溶剤等が挙げられる。
【0042】
界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤が挙げられる。
【0043】
キレート剤としては、例えば、ヒドロキシエチルアミノ酢酸、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、エチレンジアミンテトラ酢酸等のアミノカルボン酸又はその塩等が挙げられる。
【0044】
消泡剤としては、例えば、シリコーンオイル、高級アルコール、高級脂肪酸やその塩、プルロニック型コポリマー、テトラニック型コポリマー、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等が挙げられる。
【0045】
アルカリ洗浄剤が、窒素原子数が1〜5で分子量が50〜300の範囲にあるアミン系化合物を含んでいると、固定テープ由来の粘着剤や低分子樹脂汚れなどの極性汚れの洗浄性やすすぎ性が向上する。このアミン系化合物のうち、アルカノールアミン、モルホリン、環式アミン、ポリアミン、直鎖または分岐鎖アルキルのアミンは、炭化水素や水等の他の成分との相溶性がよくアルカリ洗浄剤のすすぎ性を向上させるので、好ましい。
【0046】
(第1の酸の水溶液、第2の酸の水溶液)
第1酸処理で用いられる第1の酸の水溶液、第2酸処理で用いられる第2の酸の水溶液は、いずれも、例えば下記の水溶性酸を水に溶解させることにより得ることができる。
【0047】
水溶性酸は、無機酸、有機酸のいずれか一方であってもよいし両方であってもよい。しかし、強い酸性を示しアルカリ成分の除去能が高い点においては無機酸が好ましい。洗浄工程で用いられる洗浄器具の金属部材の腐食を抑制し、かつ、すすぎ性が良好である点からは有機酸が好ましい。上記金属部材は、例えば、アルミニウム、ニッケル、銅、亜鉛、錫等の金属類、真鍮、黄銅、またはハンダ等の合金類等からなる。
【0048】
無機酸としては、オキソ酸、ペルオキソ酸、水素酸等が挙げられる。オキソ酸としては、ホウ酸、ヨウ素酸、硝酸、リン酸、硫酸、次亜塩素酸、過塩素酸、亜硝酸、次亜リン酸、亜リン酸、亜硫酸等が挙げられる。ペルオキソ酸としては、過硫酸、過炭酸、過リン酸、過酢酸、過安息香酸等が挙げられる。水素酸としては、臭化水素酸、塩酸、ヨウ化水素酸、硫化水素酸等が挙げられる。これらはそれぞれ単独で用いてもよいが、2種以上を併用してもよい。なかでも、残留アルカリ成分の除去能が高く、酸としての持続性がよい、硝酸、リン酸、硫酸、または塩酸が好ましい。
【0049】
有機酸としては、カルボン酸、チオカルボン酸、過酸、メルカプタン、スルホン酸、ホスファチジン酸、ジチオカルボン酸、スルフィン酸、ホスホン酸、ホスフィン酸等の水溶性有機酸が挙げられる。
【0050】
有機酸の具体例としては、蟻酸、酢酸、プロピオン酸等の炭素数が1〜18の直鎖飽和モノカルボン酸;アクリル酸、クロトン酸、ビニル酢酸等の直鎖不飽和モノカルボン酸;イソ酪酸、イソバレリン酸、ピバリン酸等の分岐飽和モノカルボン酸;メタクリル酸、チグリン酸等の分岐不飽和モノカルボン酸;シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸等の飽和多価カルボン酸類;マレイン酸、シトラコン酸等の不飽和多価カルボン酸;乳酸、グルコン酸、酒石酸、リンゴ酸、クエン酸等のヒドロキシカルボン酸;シクロヘキサンカルボン酸等の脂環式カルボン酸;ポリアクリル酸,ポリマレイン酸等の飽和多価カルボン酸;o−チオ酢酸等のチオカルボン酸;過酢酸等の過酸;ベンゼンスルホン酸,トルエンスルホン酸,ナフタリンスルホン酸等;ナフトールスルホン酸;タウリン,ナフチルアミンスルホン酸;スルホ安息香酸等のスルホン酸;ジチオカルボン酸、スルフィン酸、ホスホン酸、ホスフィン酸等が挙げられる。これらはそれぞれ単独で用いてもよいが、2種以上を併用してもよい。
【0051】
なかでも、残留アルカリ成分の除去能が高く、酸としての持続性がよい、カルボン酸である蟻酸、酢酸、プロピオン酸、アクリル酸、メタクリル酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、マレイン酸、シトラコン酸、乳酸、グルコン酸、酒石酸、リンゴ酸、クエン酸、ポリアクリル酸及びポリマレイン酸がより好ましい。
【0052】
第1の酸の水溶液に含まれる上記水溶性酸の含有量、および第2の酸の水溶液に含まれる上記水溶性酸の含有量は、ガラス型表面上のアルカリ成分を除去するために、0.1重量%以上であることを要する。上記含有量の上限については、アルカリ成分を除去する観点からは、高ければ高い程好ましい。しかし、通常98重量%を越える濃度の酸水溶液の調整は困難であることから、第1の酸の水溶液に含まれる上記水溶性酸の含有量、および第2の酸の水溶液に含まれる上記水溶性酸の含有量は、ともに0.1重量%〜98重量%であればよい。
【0053】
第1の酸の水溶液に含まれる上記水溶性酸の含有量は、脈理発生の抑制効果を高め、かつ、酸の持続性をよくする観点から、1重量%〜50重量%であると好ましく、さらに取り扱いの安全性を考慮すると、5重量%〜30重量%であるとより好ましい。
【0054】
第2の酸の水溶液に含まれる上記水溶性酸の含有量は、脈理発生の抑制効果を高め、かつ、すすぎの負荷を低減する観点から、水溶性酸が無機酸である場合は、0.1重量%〜5重量%であると好ましく、水溶性酸が有機酸である場合は、0.2重量%〜10重量%であると好ましい。さらに取り扱いの安全性を考慮すると、水溶性酸が無機酸である場合は、0.1重量%〜3重量%であるとより好ましく、水溶性酸が有機酸である場合は、0.2重量%〜5重量%であるとより好ましい。
【0055】
なお、第1の酸の水溶液に含まれる水溶性酸と、第2の酸の水溶液に含まれる水溶性酸とは、その種類および/または濃度について、同じであってもよいが、異なっていてもよい。
【0056】
しかし、第1酸処理の後には、ガラス型とアルカリ洗浄剤との接触が行なわれるので、第1の酸の水溶液の酸濃度は、第2の酸の水溶液の酸濃度よりも高い方が好ましい。より高い濃度の第1の酸の水溶液を用いて第1酸処理を行えば、ガラス型の表面およびその近傍を効果的に脱アルカリ化でき好ましい。第1の酸の水溶液中の水溶性酸には、例えば、硝酸、硫酸、塩酸等の水溶性無機酸が好適に使用される。
【0057】
なお、図2および図3に示した例では、第1酸処理の後、1回以上のすすぎ処理を経てから、ガラス型とアルカリ洗浄剤との接触が行なわれている。このすすぎ処理を行えばアルカリ洗浄剤の消費を抑制できるので、当該すすぎ処理は1回以上行うと好ましいが、必ずしも行わなくてもよい。
【0058】
一方、第2酸処理では、主として、残留アルカリ成分と第2の酸の水溶液との反応により、ガラス型表面の脱アルカリ成分化(中性化)が促進される。この脱アルカリ成分化、洗浄器具を構成する金属部材の腐食抑制、かつ、第2酸処理後のすすぎ性の観点から、第2の酸の水溶液中の水溶性酸には、硝酸、酢酸、シュウ酸、乳酸、グルコン酸、酒石酸、リンゴ酸、クエン酸等が好適に使用される。
【0059】
なお、図2および図4に示した洗浄処理の一例では、アルカリ洗浄剤をガラス型に接触させた後、1回以上のすすぎ処理を経てから、第2酸処理が行なわれている。このすすぎ処理を行えば、第2の酸の水溶液の消費を抑制できるので、当該すすぎ処理は1回以上行うと好ましい。
【0060】
洗浄処理中に行なわれるすすぎは、第1の酸の水溶液、第2の酸の水溶液、アルカリ洗浄液等と接触したガラス型を清浄化するために行なわれる。したがって、すすぎに用いられるリンス液としては、ガラス型を清浄化できるものであれば特に限定されないが、例えば、水道水、イオン交換水、純水等がすすぎの容易性の観点から好ましい。
【0061】
上記リンス液と成型ガラス型との接触方法、および、リンス液の温度や接触時間、すすぎ回数等のすすぎ条件については特に限定されるものではない。接触方法については、例えば、第1酸処理の場合と同様に行えばよいし、上記すすぎ条件については、第1の酸の水溶液の酸濃度、第2の酸の水溶液の酸濃度、またはアルカリ洗浄剤のアルカリ濃度等に応じて適宜調整すればよい。
【0062】
ガラス型の洗浄を行う一方で、プラスチックレンズ基材については、その外周の研削を行う(S4)(図1参照)。研削方法は、湿式または乾式のいずれであってもよい。次いで、洗浄により研削屑等をプラスチックレンズ基材から除去した後(S5)、プラスチックレンズ基材を加熱処理(アニール)してプラスチックレンズを得る(S6)。
【0063】
次いで、必要に応じてプラスチックレンズの凹面を研磨する(S7)。この工程を経ることにより、プラスチックレンズを所望の度数とすることができる。次いで、純水等を用いて、研磨剤等を除去する(S8)。
【0064】
次に、必要に応じて、プラスチックレンズを染色し(S9)、次いで、染色後のプラスチックレンズを、純水等を用いて清浄化する(S10)。染色は、従来から公知の染色液および染色方法を用いて行えばよい。
【0065】
次に、プラスチックレンズの両主表面をエッチングすることにより粗化する(S11)。粗化は、ハードコート層とプラスチッレンズとの密着性を高めるために行う。エッチング液には、例えば、アルカリ水溶液等が用いられる。次に、プラスチックレンズを、純水等を用いてすすいだ後(S12)、両主表面上にハードコート層を形成する(S13)。ハードコート層の形成は、従来から公知の材料、形成方法を用いて行えばよい。
【0066】
次に、プラスチックレンズを、純水等を用いて清浄化した後(S14)、反射防止層および防汚コート層をこの順で形成する(S15,S16)。ハードコート層の形成および防汚コート層の形成は、それぞれ、従来から公知の材料、形成方法を用いて行えばよい。
【0067】
以上、眼鏡用プラスチックレンズの製造方法の一例、およびこれに用いられるガラス型の洗浄方法の一例について説明したが、プラスチックレンズの用途はこれに限定されない。本発明は、例えば、照明用、カメラ用、または光学素子用のプラスチックレンズの製造方法、およびこれに用いるガラス型の洗浄方法にも適用できる。また、プラスチックレンズの形態は特に限定されるものではなく、例えば、球面レンズ、非球面レンズ、シリンドリカルレンズ等のいずれであってもよい。
【実施例】
【0068】
〔ガラス型について〕
表1に示した各実施例および各比較例の実施用に、5組のガラス型を用意した。ただし、これらのガラス型は、既に2枚のプラスチックレンズ基材の成形に用いられている。当該2枚のプラスチックレンズ基材の成形前には、表1に記載の○を付した項目からなる洗浄処理がなされて(表1中の「ガラス型」の欄を参照)繰り返し使用されている。この洗浄処理では、アルカリ洗浄剤として表2に記載のNo5のアルカリ洗浄剤が用いられている。上記プラスチックレンズ基材の原料は、実施例および比較例のそれと同じである。
【0069】
なお、ガラス型には、コーニング社製硝材8−8C75を用いて研削成形された直径78mmの1対の型(上型カーブ+0.00、下型カーブ+10.00)を、硝酸カリウム(和光純薬工業(株)製試薬,純度99%)の融液(430℃)に12時間浸漬し、次いで冷却および水洗することにより化学強化されたものを用いた。
【0070】
〔プラスチックレンズ基材の成形〕
1.プラスチックレンズ基材原料の調製
含硫ウレタン系モノマー(三井化学(株)製、MR−8A)50.6質量部に、紫外線吸収剤(共同薬品(株)製、Viosord−583)0.05質量部(500ppm)と、内部離型剤(マエダ化成(株)製、Zelec UN)0.06質量部とを加え、これらを窒素雰囲気下で混合した。次いで、得られた混合物に、含硫ウレタン系モノマー(三井化学(株)製、MR−8B1)23.9質量部を加え、これらを均一になるまで攪拌により混合して相互に溶解させ、調整物Aを得た。
【0071】
次に、含硫ウレタン系モノマー(三井化学(株)製、MR−8B2)25.5質量部に、触媒(三共有機合成(株)製、STANN BDC)0.02質量部を加え、これらを窒素雰囲気下で混合し相互に溶解させて、調整物Bを得た。次いで、調整物Aと調整物Bとをよく混合してプラスチックレンズ基材原料を得た。
【0072】
次に、得られたプラスチックレンズ基材原料を0.13〜0.40kPaの減圧雰囲気下に30分以上置くことにより、脱泡を行った。脱泡は、真空ポンプを用いて行った。
【0073】
2.ガラス型の洗浄および重合
1対のガラス型(上型カーブ+0.00、下型カーブ+10.00)に対して、下記表1に記載の手順で洗浄処理をした後、当該1対のガラス型とテープとを用いてプラスチックレンズ基材用成形型を形成した。なお、洗浄処理の詳細は、後述の〔ガラス型の洗浄〕に記載の通りである。
【0074】
上記成形型のキャビティーに上記プラスチックレンズ基材原料を注入し、プラスチックレンズ基材原料を、40℃で15時間、44℃で1時間、48℃で1時間、51℃で1時間、55℃で1時間、66℃で1時間、76℃で1時間、87℃で1時間、98℃で1時間、109℃で1時間、119℃で1時間、130℃で4時間、合計29時間加熱することによって、重合し、固形化して、プラスチックレンズ基材(屈折率1.60)を得た。
【0075】
〔ガラス型の洗浄〕
脱型後のガラス型に対して、表1に記載の洗浄処理を行った。例えば、実施例1では、第1酸処理(第1の酸の水溶液の温度40℃、5分間)、すすぎ(リンス液温度25℃、5分間)、すすぎ(リンス液温度30℃、5分間)、アルカリ洗浄剤接触(アルカリ洗浄剤の温度60℃、1分間)、すすぎ(リンス液温度25℃、1分間)、すすぎ(リンス液温度30℃、1分間)、すすぎ(リンス液温度30℃、1分間)、すすぎ(リンス液温度30℃、1分間)、すすぎ(リンス液温度30℃、1分間)をこの順に行った。
【0076】
アルカリ洗浄剤とガラス型との接触、すすぎ、第1酸処理、第2酸処理、エアーブロー、および乾燥は、それぞれ下記の通り行った。
【0077】
1.アルカリ洗浄剤とガラス型との接触
プラスチックレンズ基材から脱型したガラス型を所定の温度に保持された表2または表3に記載のアルカリ洗浄剤に浸漬し、この状態で超音波洗浄装置(シャープ(株)製、商品名:SILENTSONIC UT−204、39kHz、200W)を用いてガラス型に超音波振動を与えた。
【0078】
2.すすぎ
ガラス型を所定温度のイオン交換水に浸漬し、この状態で超音波洗浄装置(シャープ(株)製、商品名:SILENTSONIC UT−204、39kHz、200W)を用いてガラス型に超音波振動を与えた。
【0079】
3.エアーブローおよび乾燥
最後のすすぎが行なわれた後、ガラス型に対して1分間エアーブローをし、次いで、送風定温乾燥機((株)東洋製作所、商品名:FV−630)を用いてガラス型を乾燥させた。送風定温乾燥機内の温度は80℃とし、乾燥時間は10分間とした。
【0080】
4.第1酸処理
所定温度に保持された第1の酸の水溶液にガラス型を所定時間浸漬した。
【0081】
5.第2酸処理
所定温度に保持された第2の酸の水溶液にガラス型を所定時間浸漬した。
【0082】
第1酸処理および第2酸処理には、表4または表5に記載の酸の水溶液のいずれかを用いた。
【0083】
【表1】

【0084】
【表2】

【0085】
【表3】

【0086】
【表4】

【0087】
【表5】

【0088】
【表6】

【0089】
【表7】

【0090】
〔洗浄性評価〕
下記(式1)から洗浄率(%)を求め、平均値(n=5)を表6および表7に示した。ここで用いたガラス型は、既に2枚のプラスチックレンズ基材の成形のために繰り返し使用され、樹脂汚れがガラス型の側面等に付着している。なお、この汚れは、ガラス型の表面のうちのキャビティーを構成する面には付着していないので、プラスチックレンズ型の成形には影響しない。
【0091】
(式1)
洗浄率(%)=〔w3/(w1−w4)〕×100
w1:所定のプラスチックレンズ基材の成形後であって、洗浄処理前のガラス型の重量(所定のプラスチックレンズ基材の成形前からガラス型にこびりついていた樹脂汚れの重量も含む。)
w2:洗浄処理後のガラス型の重量
w3:洗浄処理により除去された汚れの重量(=w1−w2)
w4:汚れが全く付いていないガラス型の重量
【0092】
〔脈離発生性評価〕
得られたプラスチックレンズ基材(n=5)について、目視にて脈理の発生状況を調べ、表6および表7に示した。なお、脈理発生程度の評価基準は下記のとおりとした。
【0093】
(脈理発生程度の評価基準)
○:脈理は見られない。
△:リング状の脈理は見られるが、放射線状の脈理は見られない。
×:リング状の脈理と放射線状の脈理の両者が見られる。
【0094】
表6、7に示した結果から、ガラス型の洗浄処理において、第1酸処理および第2酸処理のうちの少なくとも一方の酸処理を行うことにより、脈理の発生を抑制できることが確認できた。
【産業上の利用可能性】
【0095】
本発明のガラス型の洗浄方法の一例によって洗浄されたガラス型を用いれば、プラスチックレンズについて脈理の発生を抑制できる。本発明のガラス型の洗浄方法および、これを用いたプラスチックレンズの製造方法は、屈折率が1.55以上の含硫黄プラスチックレンズや、度数+5.00以上の凸レンズの製造に適しており、プラスチックレンズの製造歩留まりを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】本発明のプラスチックレンズの製造方法の一例を説明するフロー図
【図2】図1に示した製造方法における洗浄工程の一例を説明する概念図
【図3】図1に示した製造方法における洗浄工程の他の例を説明する概念図
【図4】図1に示した製造方法における洗浄工程のさらに別の例を説明する概念図

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラスチックレンズ基材用成形型を構成するガラス型の洗浄方法であって、
前記ガラス型をアルカリ洗浄剤に接触させた後、前記ガラス型をすすぐ工程を含み、
前記ガラス型をアルカリ洗浄剤に接触させる前に第1の酸の水溶液に接触させる第1酸処理、および、前記ガラス型をアルカリ洗浄剤に接触させた後前記ガラス型のすすぎが終了する前に前記ガラス型を第2の酸の水溶液に接触させる第2酸処理、のうちの少なくとも一方の酸処理を行い、
前記第1の酸の水溶液の酸濃度は、0.1重量%〜98重量%であり、
前記第2の酸の水溶液の酸濃度は、0.1重量%〜98重量%であり、
前記アルカリ洗浄剤は、水溶性アルカリ化合物を1重量%〜30重量%含有するガラス型の洗浄方法。
【請求項2】
前記第1の酸の水溶液の酸濃度は、前記第2の酸の水溶液の酸濃度よりも高い請求項1に記載のガラス型の洗浄方法。
【請求項3】
前記プラスチックレンズは、含硫ウレタン樹脂、含硫エポキシ樹脂、ポリチオ(メタ)アクリレート樹脂及びエピスルフィド樹脂からなる群より選ばれる1種以上を含む請求項1または2に記載のガラス型の洗浄方法。
【請求項4】
前記プラスチックレンズ基材の屈折率は、1.55以上である請求項1〜3のいずれかの項に記載のガラス型の洗浄方法。
【請求項5】
前記第1の酸は、オキソ酸、水素酸、ペルオキソ酸、カルボン酸、チオカルボン酸、過酸、メルカプタン、スルホン酸、ホスファチジン酸、ジチオカルボン酸、スルフィン酸、ホスホン酸及びホスフィン酸からなる群より選ばれる1種以上の酸を含む請求項1〜4のいずれかの項に記載のガラス型の洗浄方法。
【請求項6】
前記第2の酸は、オキソ酸、水素酸、ペルオキソ酸、カルボン酸、チオカルボン酸、過酸、メルカプタン、スルホン酸、ホスファチジン酸、ジチオカルボン酸、スルフィン酸、ホスホン酸及びホスフィン酸からなる群より選ばれる1種以上の酸を含む請求項1〜5のいずれかの項に記載のガラス型の洗浄方法。
【請求項7】
プラスチックレンズの製造方法であって、
所定の間隔で対向して配置された1対のガラス型を含む成形型を用いてプラスチックレンズ基材を成形する成形工程と、
前記成形型を前記プラスチックレンズ基材から脱型する脱型工程と、
前記脱型工程後、請求項1〜6のいずれかの項に記載のガラス型の洗浄方法を用いて前記ガラス型を洗浄する洗浄工程と、を含み、
前記1対のガラス型は、複数のプラスチックレンズ基材を成形するために、前記洗浄工程を経て繰り返し使用されるプラスチックレンズの製造方法。
【請求項8】
前記洗浄工程において、前記ガラス型をアルカリ洗浄剤に接触させる洗浄剤接触と、前記ガラス型をすすぐすすぎ処理と、前記酸処理とからなる洗浄処理を、複数回行う請求項7に記載のプラスチックレンズの製造方法。
【請求項9】
前記プラスチックレンズは眼鏡用プラスチックレンズである請求項7または8に記載のプラスチックレンズの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−143052(P2008−143052A)
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−333397(P2006−333397)
【出願日】平成18年12月11日(2006.12.11)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】