ガラス板の曲げ成形方法及びガラス板の曲げ成形装置
【課題】ガラス板の搬送面にスリップに起因する疵を付けることなく、ガラス板を搬送しながらガラス板を、略円錐台状に曲げ成形することができるガラス板の曲げ成形方法及びガラス板の曲げ成形装置を提供する。
【解決手段】ガラス板14の搬送面を形成するローラコンベアの複数のローラ20−1〜20−32を、ガラス板14の搬送位置に応じて、傾斜手段により上下方向に傾動させるとともに、上下動駆動手段によって上下動させる。そして、モーションコントローラにより、この湾曲面がローラコンベアの上流側から下流側に向けて波の伝播のように走行するように傾斜手段及び上下動駆動手段を制御する。これにより、ガラス板14は、ローラコンベアによって搬送されながら、自重により湾曲面に沿った所定の曲率で、かつ湾曲面の一部に形成される円錐面によって略円錐台状に曲げ成形される。
【解決手段】ガラス板14の搬送面を形成するローラコンベアの複数のローラ20−1〜20−32を、ガラス板14の搬送位置に応じて、傾斜手段により上下方向に傾動させるとともに、上下動駆動手段によって上下動させる。そして、モーションコントローラにより、この湾曲面がローラコンベアの上流側から下流側に向けて波の伝播のように走行するように傾斜手段及び上下動駆動手段を制御する。これにより、ガラス板14は、ローラコンベアによって搬送されながら、自重により湾曲面に沿った所定の曲率で、かつ湾曲面の一部に形成される円錐面によって略円錐台状に曲げ成形される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はガラス板の曲げ成形方法及びガラス板の曲げ成形装置に係り、特に自動車の窓用に使用されるガラス板を略円錐台状に曲げ形成するガラス板の曲げ成形方法及びガラス板の曲げ成形装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車用窓ガラスを曲げ成形する技術として、本願出願人は特許文献1において、加熱炉で軟化点近くまで加熱したガラス板を、所望の曲率のガラス板に曲げ成形する曲げ成形方法を提案している。この曲げ成形方法は、加熱炉内で加熱されたガラス板を、ローラコンベアの複数のローラで形成される搬送面に沿って搬送する。そして、ローラをガラス板の搬送位置に応じて上下動させることにより、搬送面の一部をガラス板搬送方向に湾曲させてガラス板を自重により所望の曲率に曲げ成形する。この曲げ成形方法は、ガラス板の搬送方向にのみ曲率を有する単曲の曲げ成形に好適な装置である。
【0003】
また、本願出願人は特許文献2において、ローラコンベアの複数のローラを湾曲ローラとし、これらのローラをガラス板の搬送位置に応じて上下動させる曲げ成形方法も提案している。この曲げ成形方法は、ガラス板の搬送方向と搬送方向に直交する方向とに曲率を有する複曲の曲げ成形に好適な方法である。
【0004】
上記の特許文献1、2に開示された曲げ成形方法は、自動車のサイドガラスに適した曲げ成形方法として提案されている。
【0005】
ところで、表面形状が略円錐台状である自動車用リアガラスの曲げ成形においては、略円錐台状のプレス面を有する雄金型によってガラス板をプレス成形する装置が主流であったが、ガラス板を搬送しながら円錐台状に曲げ成形する方法も提案されている。
【0006】
図11は、特許文献3に開示された曲げ成形装置150のローラ構成を示した概略平面図である。この曲げ成形方法は、曲げ形成温度に加熱されたガラス板152を、回転円錐形状を有する縦方向軌道に沿って搬送することにより、円錐台状に曲げ成形する成形方法である。すなわち、この曲げ成形装置150は、ガラス板152の曲げ区域154に配置されるとともに、半径R1を有する縦方向の円筒輪郭に従って複数本のローラ156、156…が取り付けられて構成される。これらのローラ156、156…は、ガラス板152を円錐台状に曲げ形成するために、平面視において隣接するローラ156、156…が互いに非平行状態で配設されている。ガラス板152は、これらのローラ156、156…によって形成される縦方向の円筒輪郭に沿って上昇しながら搬送されることにより、ガラス板152の自重等の作用によって円錐台状に曲げ形成される。
【0007】
また、ローラ156、156…はその端部が、湾曲した金属製の外側弧と内側弧とに軸受を介して回転自在に取り付けられ、外側弧は内側弧よりも大きな曲率半径を有している。したがって、これらのローラ156、156…上を搬送されるガラス板152は、外側弧に対向する縁部が内側弧に対向する縁よりも単位時間当たりで長い距離を通過する。よって、ガラス板152は、その両縁部に速度差がついた状態で曲げ区域を通過する。その速度差を吸収するために、ローラ156、156…は、外側弧の端部の径が内側弧の端部の径よりも大きい円錐台形状のものが使用されている。
【0008】
なお、本明細書において、「搬送方向に(沿って)曲げ成形される」とは、曲げ成形されたガラス板の形状が、搬送方向に直交する軸のまわりに湾曲した形状になることを意味する。換言すると、曲げ成形されたガラス板は、搬送方向に直交する軸に垂直な断面が湾曲形状となる。また、「搬送方向に直交する方向に曲げ成形される」とは、曲げ成形されたガラス板の形状が、搬送方向軸のまわりに湾曲した形状になることを意味する。換言すると、曲げ成形されたガラス板は、搬送方向軸に垂直な断面が湾曲形状となる。
【0009】
以下に示す複数のローラで形成される湾曲面の形状についても、「搬送方向に(沿って)曲がった」、「搬送方向に湾曲した」等の説明は「搬送方向に(沿って)曲げ成形される」の意味と同旨である。搬送方向に直交する方向に関する湾曲面の説明も「搬送方向に直交する方向に曲げ成形される」の意味と同旨である。また、本明細書における「・・・方向に直交」は、水平面上であって・・・方向に垂直な方向を意味する。本明細書における「上」、「下」は、水平面に対しそれぞれ「上」、「下」を意味する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】国際公開第99/65833号パンフレット
【特許文献2】特開2004−99332号公報
【特許文献3】特開平4−231332号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
特許文献3の曲げ成形方法は、図11の如く再加熱区域158のローラ160、160…によって直線状に搬送されてきたガラス板152を、曲げ区域154のローラ156、156…によって、回転円錐形状を有する縦方向軌道に沿って搬送させる。すなわち、ガラス板152は、再加熱区域158から曲げ区域154に搬送方向が変更されて搬送される。このため、再加熱区域158と曲げ区域154との境界部分を通過中のガラス板152は、再加熱区域158の直線状の搬送力と曲げ区域154の縦方向軌道の搬送力を受けることによって、前記境界部分でローラ156、160との間でスリップが発生する。このスリップによってガラス板152の搬送面(裏面)に疵が付くという問題があった。
【0012】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、ガラス板の搬送面にスリップに起因する疵を付けることなく、ガラス板を搬送しながらガラス板を、略円錐台状に曲げ成形することができるガラス板の曲げ成形方法及びガラス板の曲げ成形装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、前記目的を達成するために、加熱されたガラス板を、搬送方向に対し直交方向に配置された複数の搬送ローラからなるローラコンベアによって搬送しながら、各搬送ローラを上下動させ搬送面に前記搬送方向に曲率を有する所定の湾曲面を形成させて、該湾曲面上に前記ガラス板を位置させ、搬送方向下流側の各搬送ローラを順次上下動させることにより前記ガラス板の移動に連動して該湾曲面を前記搬送方向へ移動させる上下動成形工程を含むガラス板の曲げ成形方法において、前記上下動成形工程と同時に、前記各搬送ローラを水平面に対して傾斜させ、前記湾曲面に略円錐台状の一部である円錐面を形成させ、搬送方向下流側の各搬送ローラを水平面に対して順次傾斜させることにより前記ガラス板の移動に連動して前記円錐面を前記搬送方向へ移動させる傾斜工程を含むことを特徴とするガラス板の曲げ成形方法を提供する。
【0014】
すなわち、本発明は、ガラス板の自重によって前記ガラス板を搬送方向に曲げ成形するガラス板の曲げ成形方法において、前記ガラス板を略円錐台状の湾曲面を有するガラス板に曲げ成形する発明である。なお、本発明は、ガラス板の自重のみを利用した曲げ成形に限定するものではなく、搬送ローラの上方に配した成形ローラと搬送ローラとでガラス板を挟み込んで成形してもよいし、上方の成形ローラの代わりにガラス板の所望の曲げ形状に沿った表面を有するプレスモールドであってもよい。
【0015】
本発明によれば、搬送ローラを水平面に対して順次傾斜させることにより円錐面を形成させるため、ローラコンベアによってガラス板を搬送しながらの曲げ成形であっても、成形中のガラス板の搬送方向を変更することなく、ガラス板を略円錐台状に曲げ成形できる。よって本発明によれば、ガラス板の搬送面にスリップに起因する疵を付けることなく、ガラス板を搬送しながらガラス板を、略円錐台状に曲げ成形できる。
【0016】
ガラス板の搬送面を形成するローラコンベアの複数のローラを、ガラス板の搬送位置に応じて、上下動させるとともに、水平面に対して傾動させる。これにより、ガラス板が搬送されている位置のローラによって斜めに傾斜した略円錐台状の一部である湾曲面が形成される。そして、この湾曲面がローラコンベアの上流側から下流側に向けて波の伝播のように走行する。これにより、ガラス板は、ローラコンベアによって搬送されながら、自重により湾曲面に形成される略円錐台状の面によって略円錐台状に曲げ成形される。
【0017】
また、本発明は、前記傾斜工程は、前記ガラス板の平面視の形状が略台形形状であって、その上辺及び底辺が前記搬送方向に沿うように搬送され、前記上辺付近に当接している前記ローラコンベアの各々の搬送ローラの高さが、前記底辺付近に当接している各々の搬送ローラの高さよりも低くなるように各搬送ローラを水平面に対して傾斜させることが好ましい。
【0018】
自動車用のフロントガラスやリアガラスは、略台形形状の平板状ガラス板を円錐台状に曲げ成形することで製品化される。また、自動車の車体形状の関係から、ガラス板の上辺部の曲率半径は、底辺部の曲率半径よりも小さい。したがって、本発明によれば、このような形状のフロントガラスやリアガラスを曲げ成形することができる。
【0019】
なお、上記ローラの高さ位置の設定は、各々のローラの初期位置が水平位置であることが前提である。これに対して、ローラの初期位置を予め水平位置から傾けておくことも考えられる。例えば、ガラス板の底辺部が当接するローラを、上辺部が当接するローラよりも低くなるように傾けておくことで、つまり、湾曲面を形成する際のローラの高さの差を予め相殺しておくことで、実際に湾曲面を形成する際のローラの高さを等しくすることができる。
【0020】
また、本発明は、前記円錐面を形成している前記搬送ローラのうち、最も下降している搬送ローラは、水平面に対して前記円錐面を含む円錐の円錐角の半分の角度傾斜されることが好ましい。
【0021】
さらに、本発明は、前記円錐面の円錐角を、ガラス板の搬送方向下流に向かうに従って大きくなるように前記湾曲面を形成させることが好ましい。
【0022】
このように搬送方向下流に向かうに従って円錐面の円錐角を大きくなるようにすることによって、ガラス板が下流側に搬送されるに従って、湾曲面が深くなるため、徐々に曲げ成形することができ、歪みが発生しにくい。
【0023】
また、本発明は、前記円錐面を形成している前記搬送ローラは、前記最も下降している搬送ローラを中心に、搬送方向上流側及び下流側に向かうに従って、搬送ローラの傾斜角が大きくなることが好ましい。
【0024】
また、本発明は、前記搬送ローラとして、前記搬送方向に直交した方向に湾曲した湾曲ローラを用いることが好ましい。
【0025】
直棒状のローラを使用した場合にはガラス板を単純な略円錐台状に曲げ形成することができる。一方、湾曲ローラを使用した場合には、略円錐台状に中央部が膨らんだ樽形形状にガラス板を曲げ成形することができる。
【0026】
前記湾曲ローラの構成としては、可撓自在に構成されたフレキシブルシャフトと、前記フレキシブルシャフトを回転軸とする複数のリングローラと、前記フレキシブルシャフトを所望の曲率に撓ませることにより、複数のリングローラで形成される前記搬送面を湾曲させる搬送面湾曲手段と、を有していることが好ましい。
【0027】
また、本発明は、前記ガラス板を略円錐台状に曲げ成形した後、前記搬送ローラとして、前記搬送方向に直交した方向に湾曲した湾曲ローラを用いて、前記ガラス板を樽形状に曲げ成形する工程を含むことが好ましい。
【0028】
搬送ローラを上下動及び傾動させることでガラス板を略円錐台状に曲げ成形した後に、搬送方向下流側に設置した湾曲ローラを上下動及び傾動させることでガラス板を樽形状に曲げ成形することができる。このように一方向ずつ曲げ成形することでガラス板に歪みが発生し難くなる。
【0029】
また、本発明は、ガラス板を曲げ成形可能な温度まで加熱する加熱手段と、搬送方向に対し直交方向に配置された複数の搬送ローラからなるローラコンベアと、各搬送ローラを上下動させる上下動駆動手段と、各搬送ローラを上下動させることによって前記搬送方向に曲率を有する所定の湾曲面を形成させ、該湾曲面上に前記ガラス板を位置させ、搬送方向下流側の各搬送ローラを順次上下動させることにより前記ガラス板の移動に連動して該湾曲面を前記搬送方向へ移動させる制御手段と、を含むガラス板の曲げ成形装置において、前記各搬送ローラを水平面に対して傾斜させる傾斜手段を備え、前記制御手段は、前記上下動駆動手段により前記各搬送ローラを順次上下動させるのと同時に、前記傾斜手段により前記各搬送ローラを水平面に対して傾斜させ、前記湾曲面に略円錐台状の一部である円錐面を形成させ、搬送方向下流側の各搬送ローラを水平面に対して順次傾斜させることにより前記ガラス板の移動に連動して前記円錐面を前記搬送方向へ移動させるように制御することを特徴とするガラス板の曲げ成形装置を提供する。
【0030】
ガラス板を略円錐台状に曲げ成形するための曲げ成形装置は、ローラコンベア、上下動駆動手段、傾斜手段、及び制御手段を備えている。ガラス板の搬送面を形成するローラコンベアの複数のローラを、ガラス板の搬送位置に応じて、上下動駆動手段によって上下動させるとともに、傾斜手段により水平面に対して傾動させる。これにより、ガラス板が搬送されている位置のローラによって斜めに傾斜した略円錐台状の一部である湾曲面が形成される。そして、制御手段は、この湾曲面がローラコンベアの上流側から下流側に向けて波の伝播のように走行するように上下動駆動手段及び傾斜手段を制御する。これにより、ガラス板は、ローラコンベアによって搬送されながら、自重により湾曲面に形成される略円錐台状の面によって略円錐台状に曲げ成形される。
【0031】
ローラコンベアの複数のローラは、ガラス板の搬送方向に直交する方向に配置されている。すなわち、ローラコンベアの複数のローラは、隣接するローラと平行に配置されている。また、ローラは平面視において平行を維持した状態で傾動、及び上下動を行う。よって、ローラコンベアによって搬送中のガラス板は、ローラとの間でスリップは発生せず、よって、ガラス板の搬送面にスリップに起因する疵は発生しない。更に、ローラを傾動させる動作と、ローラを上下動させる動作を同一の手段で兼用することが好ましい。
【0032】
本発明のローラコンベアの各々のローラの上下動は、鉛直方向における初期位置から下降→上昇を経て初期位置に戻る動きを、一周期の動きとする。この場合、各ローラは、(a:初期状態)一単位のガラス板の搬送方向前辺が搬送されてきた時を下降の始まりとし、(b)一単位のガラス板が通過している間を下降→上昇の一周期の動きとし、(c:終状態)一単位のガラス板の搬送方向後辺が搬送されてきた時にもとの位置に戻る。こうして、一単位のガラス板があるローラ上を通過する間に、そのローラは初期状態から終状態までの一周期の上下動を行う。複数のガラス板を連続的に曲げ成形する際には、一単位のガラス板が順次搬送されてくるので、次単位以降のガラス板に対し、各ローラを(a)、(b)、(c)の順に繰り返し上下動させる。
【0033】
こうした各ローラの上下動により下に凸形状の湾曲面を形成する場合、一単位のガラス板は次のように搬送される。ガラス板の搬送方向前辺及び搬送方向後辺があるローラ上に位置する時、そのローラは初期状態(終状態)にある。そのため、ガラス板の搬送方向前辺及び搬送方向後辺の鉛直方向位置は、各ローラの初期状態の位置に保たれる。初期状態にある各ローラで形成される仮想面(水平状態にある)の鉛直方向の高さレベルを、「搬送レベル」と呼ぶ。一方、ガラス板の搬送方向前辺と搬送方向後辺との間の部分であるガラス板の中央部分が位置する各ローラは、一周期の上下動のうちの中間状態にある。そのため、ガラス板の中央部分は搬送レベルよりも下方に位置する(中央部分が下方に垂れ下がる)。したがって、一単位のガラス板は、搬送方向前辺と搬送方向後辺とが搬送レベルに保たれながら、中央部分が搬送レベルよりも下方に位置するように搬送される。
【0034】
なお、「一単位のガラス板」とは、通常は1枚のガラス板を意味する。必要に応じて2枚以上のガラス板を積層した状態で搬送すると、2枚以上のガラス板を同時に曲げ成形できる。このように、「一単位のガラス板」は2枚以上のガラス板が積層された状態で搬送される場合を含む。そして、本発明のガラス板の曲げ成形装置及び方法は、一単位のガラス板の曲げ成形を順次連続的に行い、複数単位のガラス板を連続的に曲げ成形できる。一単位のガラス板が1枚のガラス板であるかガラス板が複数枚積層された状態であるかは、本発明のガラス板の曲げ成形方法及び装置の基本的な動作に大きな影響を与えない。そこで、本明細書では、「一単位」なる語を省略する。
【0035】
ところで、ローラが上下動した場合、ガラス板の水平方向成分の搬送速度は、ローラの上下位置に依存することとなる。この場合、複数のローラの角速度が一定であると、水平方向成分の搬送速度は、下方側のローラの方が上方側のローラよりも速くなる。このような速度のアンバランス現象が生じると、ローラとガラス板との間でスリップが発生し、ガラス板に疵が付く場合がある。そこで、複数のローラを独立して回転させる回転駆動手段を備え、そして、制御手段によりガラス板の水平方向成分の搬送速度が等しくなるように前記回転駆動手段を制御することが好ましい。これにより、前記不具合は解消するので、疵のないガラス板を得ることができる。
【0036】
各ローラにより形成される所望の湾曲面とは、ガラス板を搬送しているローラの位置に応じて必要とされる湾曲面である。具体的には、ガラス板を曲げ成形するゾーンのうちの最下流の位置では、この位置の各ローラで形成される湾曲面は、ガラス板の搬送方向についての最終的に得ようとするガラス板の曲げ形状に概略一致した湾曲形状を有する。
【発明の効果】
【0037】
本発明によれば、ガラス板の搬送面にスリップに起因する疵を付けることなく、ガラス板を略円錐台状に曲げ成形することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明に係るガラス板の曲げ成形装置が適用された湾曲ガラス板の製造装置の一実施形態を示す斜視図
【図2】(A)〜(D)はガラス板がローラコンベアによって搬送されながら湾曲成形される状態を時系列的に見た斜視図
【図3】(A)〜(D)は図2(A)〜(D)に対応した側面図
【図4】(A)は図3(A)の4A−4A線に沿う縦断面図、(B)は図3(B)の4B−4B線に沿う縦断面図、(C)は図3(C)の4C−4C線に沿う縦断面図、(D)は図3(D)の4D−4D線に沿う縦断面図
【図5】図2(D)の詳細を示した斜視図
【図6】図5の側面図
【図7】ローラの傾斜手段及び上下動駆動機構の構成を示した構造図
【図8】ローラによって搬送面に円錐面を形成する形態を立体的に説明した図
【図9】図8の11−11線から見た7本のローラの傾斜角度を示した図
【図10】湾曲ローラが適用された傾斜手段及び上下動駆動機構の構成を示した構造図
【図11】従来のガラス板の曲げ成形装置のガラス板搬送路を示した平面図
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、添付図面に従って本発明の実施の形態に係るガラス板の曲げ成形方法及びその装置の好ましい形態について詳説する。
【0040】
図1は、実施の形態のガラス板の曲げ成形装置10が適用された湾曲ガラス板の製造装置12の一実施形態を示す斜視図である。
【0041】
同図に示す湾曲ガラス板の製造装置12は、自動車のリアガラスに好適な略円錐台状の一部である曲面(円錐面)を有するガラス板14を製造する設備である。なお、この製造装置12は、リアガラスに限定されるものではなく、単曲の曲面を有するサイドガラスであっても製造することができる。また、風冷強化装置の代わりに徐冷装置を設置すれば、フロントガラスを製造することが可能である。
【0042】
図1に示す製造装置12は、ガラス板14の流れ方向上流側から下流側に向けて曲げ成形装置10、及び風冷強化装置16が配置されて構成される。また、曲げ成形装置10は、上流側から下流側に向けて加熱炉(加熱手段)18、及び曲げ成形用ローラコンベア(以下、単にローラコンベアということがある)20が配置されて構成されている。製造装置12の各部の駆動制御は、コンピュータ等で構成されたモーションコントローラ(制御手段)22によって行われる。
【0043】
まず、製造装置12によるガラス板14の曲げ成形工程について説明する。
【0044】
曲げ成形前の平板状ガラス板14は、加熱炉18の入口において搬送位置が位置決めされた後、ローラコンベア24によって加熱炉18内に搬入される。本態様のガラス板14は、リアガラスの形状に対応する平面視の形状が略台形形状のものであり、その上辺部14A及び底辺部14Bが、矢印Aで示すローラコンベア24の搬送方向に沿って搬送される。ガラス板14は、加熱炉18内での搬送中に加熱炉18のヒータによって加熱されていき、加熱炉18の出口において曲げ成形温度(600〜700℃程度)まで加熱される。このガラス板14は、加熱炉18の下流側に設置された曲げ成形用ローラコンベア20によって、ローラコンベア24の搬送方向と同方向に搬送される。
【0045】
ガラス板14は、ローラコンベア20による搬送中に、ローラコンベア20の後述する、上下方向及び傾斜方向の曲げ成形動作によって所定の曲率で、かつ円錐台状に曲げ成形される。曲げ成形されたガラス板14は、ローラコンベア20の出口から、風冷強化装置16用のローラコンベア26によって、ローラコンベア20の搬送方向と同方向に風冷強化装置16に向けて搬送される。
【0046】
風冷強化装置16は、ローラコンベア26を挟んで上下に配置された上部吹口ヘッド28と下部吹口ヘッド30とを備えている。ガラス板14はローラコンベア26による搬送中に、これらの吹口ヘッド28、30からガラス板14の表面、裏面(搬送面)に向けて吹き出されるエアによって風冷強化される。このとき、風冷強化装置16の冷却能は、ガラス板14の厚みに応じて適宜設定される。風冷強化されたガラス板14は、風冷強化装置16の出口からローラコンベア32によって、ローラコンベア26の搬送方向と同方向に次工程の検査装置(図示せず)に向けて搬送される。以上の如くガラス板14は、上流側から下流側に配設されたローラコンベア24、20、26、32によって矢印Aで示す同一方向に搬送されながら、加熱、成形、風冷強化が順に行われる。以上が製造装置12によるガラス板14の製造工程の流れである。また、前述の如くガラス板14を同一方向に搬送することにより、ガラス板14の搬送面にスリップに起因する疵発生を防止することができる。
【0047】
次に、図1〜図6を参照しながらローラコンベア20、傾斜手段、及び上下動駆動手段について説明する。
【0048】
なお、図2(A)〜(D)は、ガラス板14がローラコンベア20によって搬送されながら湾曲成形される状態を時系列的に見た斜視図である。図3(A)〜(D)は、図2(A)〜(D)に対応した側面図である。図4(A)は、図3(A)の4A−4A線に沿う縦断面図であり搬送方向Aの下流側から見た図である。同様に、図4(B)は、図3(B)の4B−4B線に沿う縦断面図であり搬送方向Aの下流側から見た図、図4(C)は、図3(C)の4C−4C線に沿う縦断面図であり搬送方向Aの下流側から見た図、図4(D)は、図3(D)の4D−4D線に沿う縦断面図であり搬送方向Aの下流側から見た図である。図5は、図2(D)の詳細を示した斜視図であり、図6は、図5の側面図である。
【0049】
図2、図3に示すようにローラコンベア20は、複数本の搬送ローラ(実施例では32本の搬送ローラ:以下「ローラ」と称する)20−1、20−2…20−32から構成されている。これらのローラ20−1、20−2…20−32は、矢印Aで示したガラス板14の搬送方向に対して直交方向に配設されるとともに、平面視において互いに平行に配置されている。また、これらのローラ20−1、20−2…20−32はストレート状に形成された直棒状ローラであり、これらのローラ20−1、20−2…20−32で形成される搬送面に沿って、ローラ20−1、20−2…20−32の回転によりガラス板14が矢印A方向に所定の速度で搬送される。
【0050】
ローラ20−1、20−2…20−32は、回転駆動手段によって各々が独立して回転駆動されるとともに、傾斜手段を兼用する上下方向駆動手段によって各々が独立して傾動、及び上下動される。回転駆動手段と上下方向駆動手段は、図1に示したモーションコントローラ22によってその動作が制御されている。
【0051】
図7は、各ローラ20−1、20−2…20−32の回転駆動手段と上下方向駆動手段とを示した構造図である。なお、各ローラ20−1、20−2…20−32は、回転駆動手段と上下方向駆動手段とについてそれぞれ同一の構造を有しているので、図7では便宜上ローラ20−1の構造のみ説明し、他のローラ20−2〜20−32側の構造についてはその説明を省略する。また、図7は、ローラ20−1をガラス板搬送方向の下流側から見た正面図である。
【0052】
ローラ20−1の両端部の下方には、一対の支柱34、36が立設されている。支柱34の外側側面には直動ガイドを構成するガイドレール38が上下方向に設けられており、このガイドレール38に昇降体40のガイドブロック42、42が係合されている。したがって、昇降体40は、ガイドレール38に沿って昇降自在に設けられる。
【0053】
昇降体40の上部には、軸受44を介してローラ支持部46が設けられている。軸受44の回動軸は、ガラス板14の搬送方向Aと平行である。よって、ローラ支持部46は、搬送方向Aに直交する方向に回動自在となっている。ローラ支持部46には、ローラ20−1の左端部が軸受48に回転自在に支持され、この左端部にサーボモータ50のスピンドルがギヤ51、53を介して連結されている。
【0054】
支柱36も同様に、その外側側面には直動ガイドを構成するガイドレール52が上下方向に設けられ、このガイドレール52に昇降体54のガイドブロック56、56が係合されている。したがって、昇降体54は、ガイドレール52に沿って昇降自在に設けられる。
【0055】
昇降体54の上部には、リンク58を介してローラ支持部60が設けられている。リンク58は、ピン62を介して昇降体54に回動自在に連結されるとともに、ピン64を介してローラ支持部60に回動自在に連結されている。ピン62、64は、ガラス板14の搬送方向Aと平行に設けられている。よって、ローラ支持部60は、搬送方向Aに直交する方向に回動自在となっている。また、ローラ支持部60には、ローラ20−1の右端部が軸受66に回転自在に支持されている。
【0056】
したがって、上記構成においてサーボモータ50を駆動することにより、ローラ20−1は所定の角速度で回転される。以上が回転駆動手段の構造である。
【0057】
一方、昇降体40の下部には、ラック68が下方に向けて延設され、このラック68にピニオン70が噛合されている。ピニオン70には、サーボモータ72のスピンドルが連結されている。
【0058】
また、昇降体54も同様に、その下部には、ラック74が下方に向けて延設され、このラック74にピニオン76が噛合されている。ピニオン76には、サーボモータ78のスピンドルが連結されている。
【0059】
サーボモータ72、78を、図1に示すモーションコントローラ22によって同期をとって同方向に回転させることにより、ローラ20−1が水平方向を維持した状態で上下動される。また、サーボモータ72、78の回転量を、モーションコントローラ22によってそれぞれ異なる量に制御することにより、ローラ20−1が軸受44とリンク58の回動動作により傾動する。例えば、サーボモータ72の回転量をサーボモータ78の回転量よりも多く設定することにより、ローラ20−1が図7において右下がりに傾動する。以上が傾動手段を兼用する上下方向駆動手段の構造である。
【0060】
前述した回転駆動手段、及び上下方向駆動手段は、他のローラ20−1、20−2…20−32の全てに設けられており、これらの手段のサーボモータ50、72、78が、図1のモーションコントローラ22によって制御されている。モーションコントローラ22によってローラ20−1〜20−32をそれぞれ上下動、及び傾動制御することにより、ローラ20−1〜20−32で形成される湾曲した搬送面の一部に略円錐台状の一部である円錐面が形成され、ガラス板14はその略円錐面に沿って自重により略円錐台状に曲げ成形される。
【0061】
図8は、ローラ20−1〜20−32によってガラス板14の搬送面に円錐面を形成する形態を立体的に説明した図である。また、図9は、図8の11−11線から見た7本のローラの傾斜角度を示した図であり、ここでは、ローラ20−1〜20−32のうち、7本のローラ20−12〜20−18を例示して説明する。
【0062】
図8において、実線Aは円錐角2θの円錐であり、実線Bは、円錐Aの一部に形成される円錐面を示している。この円錐面Bが図9に示した7本のローラ20−12〜20−18によって形成されている。すなわち、7本のローラ20−12〜20−18は、最も下降しているローラ20−15を中心に、搬送方向上流側及び下流側に向かうに従って、ローラの傾斜角が大きくなることが好ましい。また、図9に示したように、円錐面Bを形成しているローラ20−12〜20−18のうち、最も下降しているローラ20−15を、水平面に対して、円錐台状を含む円錐Aの円錐角2θの半分の角度θで傾斜させることが好ましい。これにより、図8に示した円錐面Bを形成できる。
【0063】
また、最も下降しているローラ20−15は、円錐面Bを半分に分割したと仮定したときの仮想分割面と円錐面Bとの交線に沿わせることが好ましく、その場合、直棒状のローラであっても交線に一致させて、すなわち円錐面Bと完全に一致させて配置することが可能である。一方、最も下降しているローラ20−15に隣接する前後のローラ20−12〜14、20−16〜18は、直棒状のローラの場合、円錐面Bと完全に一致しない。しかし、求められる成形精度にもよるが、そのズレは僅かであるので無視できる場合が多い。特にガラス板とローラとが接触する部分に対応する円錐面のみを考慮して、すなわち、その部分の円錐面とローラとの差の最大値が最小となるようにローラの傾斜を決定することで、このズレをさらに小さくできる。また、後述する湾曲ローラを用いる事で円錐面Bと完全に一致させることも可能である。
【0064】
なお、直棒状のローラを、ガラス板の搬送位置に応じて上下動させることにより、搬送面の一部をガラス板搬送方向に湾曲させてガラス板を曲げ成形する従来の曲げ成形方法では、図8の二点鎖線で示す円柱Cの一部の湾曲面Dを形成できるが、円錐面Bを形成することはできない。
【0065】
次に、モーションコントローラ22について説明する。
【0066】
モーションコントローラ22は、外部入力手段からガラス板14の型式が入力されると、その型式のガラス板14の曲率に対応するローラ20−1、20−2…20−32の角速度制御データ及び上下移動制御データ(傾斜角度制御データを含む)を作成する。そして、モーションコントローラ22は、角速度制御データに基づきサーボモータ50を制御するとともに、上下移動制御データに基づきサーボモータ72、78を制御する。すなわち、モーションコントローラ22は、ガラス板14がローラ20−1、20−2…20−32による搬送中に略円錐台状に曲げ成形されるように、ローラ20−1、20−2…20−32を多軸制御する。
【0067】
次に、ローラ20−1、20−2…20−32の多軸制御によるガラス板14の曲げ動作について、図2、図3を用いて説明する。基本的なローラ20−1、20−2…20−32の運動は、ガラス板14の搬送にともない、ローラ20−1→20−32の順に傾斜して下降、上昇運動するものである。なお、これらの図においてローラ20−1、20−2、20−32は水平状態を維持し運動していないが、ガラス板13の型式に応じて運動するものである。
【0068】
また、ローラ20−1〜20−32は水平位置を初期位置としている。更に、ローラ20−3〜20−31の傾動時には、図4(B)、(C)、(D)の如く、ガラス板14の上辺部14Aに当接しているローラ20−13、20−16、20−18の右端部の高さが、底辺部14Bに当接しているローラ20−13、20−16、20−18の左端部の高さよりも低くなるように上下動駆動手段によって設定される。これにより、上辺部14Aの曲率半径が底辺部14Bの曲率半径よりも小さく曲げ形成される。
【0069】
上辺部14Aと底辺部14Bの曲率半径を変えた理由は以下の理由による。すなわち、自動車用のリアガラスは、略台形形状の平板状ガラス板14を略円錐台状に曲げ成形することで製品化されるが、自動車の車体形状の関係から、リアガラスの上辺部の曲率半径は、底辺部の曲率半径よりも小さいからである。したがって、上記の如く、上辺部14Aと底辺部14Bの曲率半径を変えることにより、リアガラスに適した略円錐台状のガラス板を製造することができる。
【0070】
なお、上述したローラ20−1〜20−32の高さ位置の設定は、各々のローラ20−1〜20−32の初期位置が水平位置であることが前提である。これに対して、ローラ20−1〜20−32の初期位置を予め水平位置から傾けておくことも考えられる。例えば、ガラス板14の底辺部14Bが当接するローラの左端部を、上辺部14Aが当接するローラの右端部よりも低くなるように傾けておくことで、つまり、湾曲面を形成する際のローラの高さの差を予め相殺しておくことで、実際に湾曲面を形成する際のローラの高さを等しくすることができる。ガラス板14を搬送面に沿って安定して搬送するためには、後者の初期設定が好ましいが、リアガラスを略円錐台状に成形するためのローラの傾斜角度は約2°であるので、前者の初期設定であっても安定搬送の観点から問題は無い。
【0071】
次に、モーションコントローラ22によるローラ20−1〜20−32の運動制御(作用)について図2〜図4を参照して説明する。
【0072】
図2(A)、図3(A)、図4(A)の如く、加熱されたガラス板14がローラ20−3〜20−21上に到達した時には、全てのローラ20−1〜20−32は最上位置(初期位置)にあり、ローラ20−1〜20−32で形成される搬送面は水平である。
【0073】
この位置からガラス板14が搬送されると、ローラ20−3が傾動(底辺部14Bよりも上辺部14Aの高さが低くなるように傾動:以下、傾動方向は同じ)していき、以降のローラ20−4〜20−23が下降するとともに傾動していく。
【0074】
図2(B)、図3(B)、図4(B)は、図2(A)、図3(A)、図4(A)の状態からローラ2本分だけガラス板14が搬送された状態を示している。この状態において、ローラ20−5〜20−23で形成される搬送面はローラ20−13、20−14の位置を深さのピークとする曲率の大きな搬送面に形成される。また、ローラ20−5〜20−23の傾斜角度も所望の角度よりも小さく設定されている。この搬送面に沿ってガラス板14が搬送されることにより、ガラス板14が自重により搬送面に沿った形状、つまり、曲率半径の大きい緩やかな下に凸の湾曲状に変形されていく。
【0075】
この位置からガラス板14が更に搬送されると、ローラ20−6〜20−26の傾動角度が徐々に大きくなるとともに、下降移動量も徐々に大きくなる。
【0076】
図2(C)、図3(C)、図4(C)は、図2(B)、図3(B)、図4(B)の状態からローラ3本分だけガラス板14が搬送された状態を示している。この状態において、ローラ20−8〜20−26で形成される搬送面はローラ20−16、20−17の位置を深さのピークとする曲率の小さな搬送面に形成される。また、ローラ20−8〜20−26の傾斜角度も所望の角度に近づいた角度に設定されている。この搬送面に沿ってガラス板14が搬送されることにより、ガラス板14が自重により搬送面に沿った形状、つまり、曲率半径の小さい下に凸の湾曲状に変形されていく。なお、このとき、ローラ20−3〜20−5は基準位置に復帰し、次のガラス板14が搬送されてくるまで、その運動が停止されている。
【0077】
この位置からガラス板14が更に搬送されると、ローラ20−7〜20−27の傾動角度が更に大きくなるとともに、下降移動量も更に大きくなる。
【0078】
図2(D)、図3(D)、図4(D)は、図2(C)、図3(C)、図4(C)の状態からローラ2本分だけガラス板14が搬送された状態であって、最終製品形状にガラス板14が曲げ成形された状態を示している。この状態において、ローラ20−10〜20−28で形成される搬送面はローラ20−18、20−19の位置を深さのピークとする曲率が更に小さい搬送面に形成される。また、ローラ20−10〜20−28の傾斜角度も所望の角度に設定されている。
【0079】
この搬送面に沿ってガラス板14が図5、及び図6の如く搬送されることにより、ガラス板14が自重により搬送面に沿った形状に曲げ成形される。すなわち、所望の曲率であって下に凸の湾曲状、及びこの搬送面の一部に形成される略円錐台状の面に沿って略円錐台状に成形される。以上がモーションコントローラ22に制御されたローラ20−1〜20−32によるガラス板14の曲げ成形動作である。
【0080】
このように、ローラコンベア20の各ローラは、1枚のガラス板14の搬送の際に、ガラス板14の通過にともない一周期の下降・上昇運動を行う。これにより、ガラス板14が位置しているローラの群により下に凸形状の略円錐台状面が形成され、この略円錐台状面をガラス板14の搬送とともに進行させる。ガラス板14の搬送方向前辺及び搬送方向後辺は搬送レベルに保たれ、ガラス板14の中央部分は各ローラの下降位置、及び傾斜角度に応じて搬送レベルの斜め下方に垂れ下がる。こうして、ガラス板14は各ローラにより搬送されながら、略円錐台状に曲げ成形される。
【0081】
したがって、実施の形態の曲げ成形装置10によれば、加熱炉18とローラコンベア20の搬送方向を同一としたので、ガラス板14の搬送面にスリップに起因する疵を付けることなく、ガラス板14をローラコンベア20によって搬送しながらガラス板14を、略円錐台状に曲げ成形することができる。
【0082】
なお、ガラス板14は、ローラコンベア20の下流へ行くにしたがって大きく曲げられるので、上記の略円錐台状面の振幅は下流ほど大きい。すなわち、各ローラの下降・上昇運動による振幅は、ローラコンベア20の下流ほど大きい。
【0083】
つまり、図8に示した円錐面Bの円錐角θを、ガラス板14の搬送方向下流に向かうに従って大きくなるように湾曲面を形成させることが好ましい。
【0084】
このように搬送方向下流に向かうに従って円錐面Bの円錐角θを大きくなるようにすることによって、ガラス板14が下流側に搬送されるに従って、湾曲面が深くなるため、徐々に曲げ成形することができ、歪みが発生しにくい。
【0085】
また、実施の形態に係るガラス板の曲げ成形装置及び曲げ成形方法は、大量のガラス板14の曲げ成形に用いられる。すなわち、複数枚のガラス板14を1枚ずつ順次連続して搬送することによって、大量のガラス板14の曲げ成形が行われる。そのため、ローラコンベア20の各ローラ20−1〜20−32は、順次搬送されてくるガラス板14を曲げ成形するために、傾動及び上下動を繰り返している。したがって、曲げ成形装置10では、複数の下に凸形状の略円錐台状の波が、加熱炉18側から風冷強化装置16に向けて順次進行する。そして、加熱炉18側から風冷強化装置16に向かうに従って、波の振幅が増大する。
【0086】
更に、実施の形態では、曲げ成形装置10の下流側に風冷強化装置16を設けている。風冷強化装置16によって曲げ成形後のガラス板14を急冷することにより、強化処理された曲げガラス板14を得ることができる。
【0087】
なお、搬送面の曲率の変更は、得ようとするガラス板14の形状データに基づいて行うことが好ましい。特に、車両窓用のガラス板は、その形状がCADデータとして予め準備されているので、このCADデータをモーションコントローラ22にリンクさせれば、曲率変更を容易に行うことができる。
【0088】
また、風冷強化装置16側のローラコンベア26も、曲げ成形装置10のローラコンベア20と同様に、回転駆動手段と傾動手段兼用の上下方向駆動手段とを備え、これらの手段を別の又は同一のモーションコントローラ22で制御することが好ましい。この場合、ローラコンベア26の各ローラの上下位置を変更して、ローラコンベア26による搬送面の形状をガラス板14の形状である略円錐台状面にすればよい。
【0089】
更に、ローラコンベア26の各ローラの本数に対応させて、風冷強化装置16の上部吹口ヘッド28、及び下部吹口ヘッド30を分割することが好ましい。この場合、分割した上部吹口ヘッド28及び下部吹口ヘッド30は、それに対応するローラの上下移動に連動してガラス板14との距離が一定となるように上下移動させればよい。こうして、全面において均一な強度を有するガラス板14を得ることができる。
【0090】
ところで実施の形態では、ローラコンベア20のローラとして直棒状のローラ20−1〜20−32を例示したが、これに限定されるものではない。例えば、図10に示すように、鉛直下方に向けて凸状に湾曲した湾曲ローラ120を有するローラコンベアを使用することにより、搬送方向と直交する方向に湾曲した湾曲面をガラス板14に作ることができる。そしてさらに、ガラス板14を湾曲ローラで搬送中に、ローラコンベアの各湾曲ローラを波の伝播のように上下動させることにより、搬送方向に湾曲した湾曲面をガラス板14に作ることができる。これらの結果、ガラス板14には、2方向に曲率を有する湾曲面が形成されるとともに、円錐台状であって樽形状のガラス板14を得ることができる。なお、図10では、図7に示した構造と同一又は類似の部材について同一の符号を付している。このため、ここではその説明を省略する。また、湾曲ローラ120の曲率を変更する機構も公知であるので、ここではその説明を省略する。
【0091】
また、実施の形態においては、まず直棒状のローラ20−1〜20−32によってガラス板14を円錐台状に曲げ成形した後、その下流側で、ガラス板14の搬送方向に直交した方向に湾曲した湾曲ローラを用い、ガラス板14を樽形状に曲げ成形する工程を備えることが好ましい。
【0092】
ローラ20−1〜20−32を上下動及び傾動させることでガラス板14を略円錐台状に曲げ成形した後に、搬送方向下流側に設置した前記湾曲ローラを上下動及び傾動させることでガラス板14を樽形状に曲げ成形できる。このように一方向ずつ曲げ成形することでガラス板14に歪みが発生し難くなるという利点がある。
【符号の説明】
【0093】
10…曲げ成形装置、12…湾曲ガラス板の製造装置、14…ガラス板、16…風冷強化装置、18…加熱炉、20…ローラコンベア、20−1〜20−32…ローラ、22…モーションコントローラ、24…ローラコンベア、26…ローラコンベア、28…上部吹口ヘッド、30…下部吹口ヘッド、34…支柱、36…支柱、38…ガイドレール、40…昇降体、42…ガイドブロック、44…軸受、46…ローラ支持部、48…軸受、49…ピン、50…サーボモータ、52…ガイドレール、54…昇降体、56…ガイドブロック、58…リンク、60…ローラ支持部、62…ピン、64…ピン、66…軸受、68…ラック、70…ピニオン、72…サーボモータ、74…ラック、76…ピニオン、78…サーボモータ、120…湾曲ローラ
【技術分野】
【0001】
本発明はガラス板の曲げ成形方法及びガラス板の曲げ成形装置に係り、特に自動車の窓用に使用されるガラス板を略円錐台状に曲げ形成するガラス板の曲げ成形方法及びガラス板の曲げ成形装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車用窓ガラスを曲げ成形する技術として、本願出願人は特許文献1において、加熱炉で軟化点近くまで加熱したガラス板を、所望の曲率のガラス板に曲げ成形する曲げ成形方法を提案している。この曲げ成形方法は、加熱炉内で加熱されたガラス板を、ローラコンベアの複数のローラで形成される搬送面に沿って搬送する。そして、ローラをガラス板の搬送位置に応じて上下動させることにより、搬送面の一部をガラス板搬送方向に湾曲させてガラス板を自重により所望の曲率に曲げ成形する。この曲げ成形方法は、ガラス板の搬送方向にのみ曲率を有する単曲の曲げ成形に好適な装置である。
【0003】
また、本願出願人は特許文献2において、ローラコンベアの複数のローラを湾曲ローラとし、これらのローラをガラス板の搬送位置に応じて上下動させる曲げ成形方法も提案している。この曲げ成形方法は、ガラス板の搬送方向と搬送方向に直交する方向とに曲率を有する複曲の曲げ成形に好適な方法である。
【0004】
上記の特許文献1、2に開示された曲げ成形方法は、自動車のサイドガラスに適した曲げ成形方法として提案されている。
【0005】
ところで、表面形状が略円錐台状である自動車用リアガラスの曲げ成形においては、略円錐台状のプレス面を有する雄金型によってガラス板をプレス成形する装置が主流であったが、ガラス板を搬送しながら円錐台状に曲げ成形する方法も提案されている。
【0006】
図11は、特許文献3に開示された曲げ成形装置150のローラ構成を示した概略平面図である。この曲げ成形方法は、曲げ形成温度に加熱されたガラス板152を、回転円錐形状を有する縦方向軌道に沿って搬送することにより、円錐台状に曲げ成形する成形方法である。すなわち、この曲げ成形装置150は、ガラス板152の曲げ区域154に配置されるとともに、半径R1を有する縦方向の円筒輪郭に従って複数本のローラ156、156…が取り付けられて構成される。これらのローラ156、156…は、ガラス板152を円錐台状に曲げ形成するために、平面視において隣接するローラ156、156…が互いに非平行状態で配設されている。ガラス板152は、これらのローラ156、156…によって形成される縦方向の円筒輪郭に沿って上昇しながら搬送されることにより、ガラス板152の自重等の作用によって円錐台状に曲げ形成される。
【0007】
また、ローラ156、156…はその端部が、湾曲した金属製の外側弧と内側弧とに軸受を介して回転自在に取り付けられ、外側弧は内側弧よりも大きな曲率半径を有している。したがって、これらのローラ156、156…上を搬送されるガラス板152は、外側弧に対向する縁部が内側弧に対向する縁よりも単位時間当たりで長い距離を通過する。よって、ガラス板152は、その両縁部に速度差がついた状態で曲げ区域を通過する。その速度差を吸収するために、ローラ156、156…は、外側弧の端部の径が内側弧の端部の径よりも大きい円錐台形状のものが使用されている。
【0008】
なお、本明細書において、「搬送方向に(沿って)曲げ成形される」とは、曲げ成形されたガラス板の形状が、搬送方向に直交する軸のまわりに湾曲した形状になることを意味する。換言すると、曲げ成形されたガラス板は、搬送方向に直交する軸に垂直な断面が湾曲形状となる。また、「搬送方向に直交する方向に曲げ成形される」とは、曲げ成形されたガラス板の形状が、搬送方向軸のまわりに湾曲した形状になることを意味する。換言すると、曲げ成形されたガラス板は、搬送方向軸に垂直な断面が湾曲形状となる。
【0009】
以下に示す複数のローラで形成される湾曲面の形状についても、「搬送方向に(沿って)曲がった」、「搬送方向に湾曲した」等の説明は「搬送方向に(沿って)曲げ成形される」の意味と同旨である。搬送方向に直交する方向に関する湾曲面の説明も「搬送方向に直交する方向に曲げ成形される」の意味と同旨である。また、本明細書における「・・・方向に直交」は、水平面上であって・・・方向に垂直な方向を意味する。本明細書における「上」、「下」は、水平面に対しそれぞれ「上」、「下」を意味する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】国際公開第99/65833号パンフレット
【特許文献2】特開2004−99332号公報
【特許文献3】特開平4−231332号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
特許文献3の曲げ成形方法は、図11の如く再加熱区域158のローラ160、160…によって直線状に搬送されてきたガラス板152を、曲げ区域154のローラ156、156…によって、回転円錐形状を有する縦方向軌道に沿って搬送させる。すなわち、ガラス板152は、再加熱区域158から曲げ区域154に搬送方向が変更されて搬送される。このため、再加熱区域158と曲げ区域154との境界部分を通過中のガラス板152は、再加熱区域158の直線状の搬送力と曲げ区域154の縦方向軌道の搬送力を受けることによって、前記境界部分でローラ156、160との間でスリップが発生する。このスリップによってガラス板152の搬送面(裏面)に疵が付くという問題があった。
【0012】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、ガラス板の搬送面にスリップに起因する疵を付けることなく、ガラス板を搬送しながらガラス板を、略円錐台状に曲げ成形することができるガラス板の曲げ成形方法及びガラス板の曲げ成形装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、前記目的を達成するために、加熱されたガラス板を、搬送方向に対し直交方向に配置された複数の搬送ローラからなるローラコンベアによって搬送しながら、各搬送ローラを上下動させ搬送面に前記搬送方向に曲率を有する所定の湾曲面を形成させて、該湾曲面上に前記ガラス板を位置させ、搬送方向下流側の各搬送ローラを順次上下動させることにより前記ガラス板の移動に連動して該湾曲面を前記搬送方向へ移動させる上下動成形工程を含むガラス板の曲げ成形方法において、前記上下動成形工程と同時に、前記各搬送ローラを水平面に対して傾斜させ、前記湾曲面に略円錐台状の一部である円錐面を形成させ、搬送方向下流側の各搬送ローラを水平面に対して順次傾斜させることにより前記ガラス板の移動に連動して前記円錐面を前記搬送方向へ移動させる傾斜工程を含むことを特徴とするガラス板の曲げ成形方法を提供する。
【0014】
すなわち、本発明は、ガラス板の自重によって前記ガラス板を搬送方向に曲げ成形するガラス板の曲げ成形方法において、前記ガラス板を略円錐台状の湾曲面を有するガラス板に曲げ成形する発明である。なお、本発明は、ガラス板の自重のみを利用した曲げ成形に限定するものではなく、搬送ローラの上方に配した成形ローラと搬送ローラとでガラス板を挟み込んで成形してもよいし、上方の成形ローラの代わりにガラス板の所望の曲げ形状に沿った表面を有するプレスモールドであってもよい。
【0015】
本発明によれば、搬送ローラを水平面に対して順次傾斜させることにより円錐面を形成させるため、ローラコンベアによってガラス板を搬送しながらの曲げ成形であっても、成形中のガラス板の搬送方向を変更することなく、ガラス板を略円錐台状に曲げ成形できる。よって本発明によれば、ガラス板の搬送面にスリップに起因する疵を付けることなく、ガラス板を搬送しながらガラス板を、略円錐台状に曲げ成形できる。
【0016】
ガラス板の搬送面を形成するローラコンベアの複数のローラを、ガラス板の搬送位置に応じて、上下動させるとともに、水平面に対して傾動させる。これにより、ガラス板が搬送されている位置のローラによって斜めに傾斜した略円錐台状の一部である湾曲面が形成される。そして、この湾曲面がローラコンベアの上流側から下流側に向けて波の伝播のように走行する。これにより、ガラス板は、ローラコンベアによって搬送されながら、自重により湾曲面に形成される略円錐台状の面によって略円錐台状に曲げ成形される。
【0017】
また、本発明は、前記傾斜工程は、前記ガラス板の平面視の形状が略台形形状であって、その上辺及び底辺が前記搬送方向に沿うように搬送され、前記上辺付近に当接している前記ローラコンベアの各々の搬送ローラの高さが、前記底辺付近に当接している各々の搬送ローラの高さよりも低くなるように各搬送ローラを水平面に対して傾斜させることが好ましい。
【0018】
自動車用のフロントガラスやリアガラスは、略台形形状の平板状ガラス板を円錐台状に曲げ成形することで製品化される。また、自動車の車体形状の関係から、ガラス板の上辺部の曲率半径は、底辺部の曲率半径よりも小さい。したがって、本発明によれば、このような形状のフロントガラスやリアガラスを曲げ成形することができる。
【0019】
なお、上記ローラの高さ位置の設定は、各々のローラの初期位置が水平位置であることが前提である。これに対して、ローラの初期位置を予め水平位置から傾けておくことも考えられる。例えば、ガラス板の底辺部が当接するローラを、上辺部が当接するローラよりも低くなるように傾けておくことで、つまり、湾曲面を形成する際のローラの高さの差を予め相殺しておくことで、実際に湾曲面を形成する際のローラの高さを等しくすることができる。
【0020】
また、本発明は、前記円錐面を形成している前記搬送ローラのうち、最も下降している搬送ローラは、水平面に対して前記円錐面を含む円錐の円錐角の半分の角度傾斜されることが好ましい。
【0021】
さらに、本発明は、前記円錐面の円錐角を、ガラス板の搬送方向下流に向かうに従って大きくなるように前記湾曲面を形成させることが好ましい。
【0022】
このように搬送方向下流に向かうに従って円錐面の円錐角を大きくなるようにすることによって、ガラス板が下流側に搬送されるに従って、湾曲面が深くなるため、徐々に曲げ成形することができ、歪みが発生しにくい。
【0023】
また、本発明は、前記円錐面を形成している前記搬送ローラは、前記最も下降している搬送ローラを中心に、搬送方向上流側及び下流側に向かうに従って、搬送ローラの傾斜角が大きくなることが好ましい。
【0024】
また、本発明は、前記搬送ローラとして、前記搬送方向に直交した方向に湾曲した湾曲ローラを用いることが好ましい。
【0025】
直棒状のローラを使用した場合にはガラス板を単純な略円錐台状に曲げ形成することができる。一方、湾曲ローラを使用した場合には、略円錐台状に中央部が膨らんだ樽形形状にガラス板を曲げ成形することができる。
【0026】
前記湾曲ローラの構成としては、可撓自在に構成されたフレキシブルシャフトと、前記フレキシブルシャフトを回転軸とする複数のリングローラと、前記フレキシブルシャフトを所望の曲率に撓ませることにより、複数のリングローラで形成される前記搬送面を湾曲させる搬送面湾曲手段と、を有していることが好ましい。
【0027】
また、本発明は、前記ガラス板を略円錐台状に曲げ成形した後、前記搬送ローラとして、前記搬送方向に直交した方向に湾曲した湾曲ローラを用いて、前記ガラス板を樽形状に曲げ成形する工程を含むことが好ましい。
【0028】
搬送ローラを上下動及び傾動させることでガラス板を略円錐台状に曲げ成形した後に、搬送方向下流側に設置した湾曲ローラを上下動及び傾動させることでガラス板を樽形状に曲げ成形することができる。このように一方向ずつ曲げ成形することでガラス板に歪みが発生し難くなる。
【0029】
また、本発明は、ガラス板を曲げ成形可能な温度まで加熱する加熱手段と、搬送方向に対し直交方向に配置された複数の搬送ローラからなるローラコンベアと、各搬送ローラを上下動させる上下動駆動手段と、各搬送ローラを上下動させることによって前記搬送方向に曲率を有する所定の湾曲面を形成させ、該湾曲面上に前記ガラス板を位置させ、搬送方向下流側の各搬送ローラを順次上下動させることにより前記ガラス板の移動に連動して該湾曲面を前記搬送方向へ移動させる制御手段と、を含むガラス板の曲げ成形装置において、前記各搬送ローラを水平面に対して傾斜させる傾斜手段を備え、前記制御手段は、前記上下動駆動手段により前記各搬送ローラを順次上下動させるのと同時に、前記傾斜手段により前記各搬送ローラを水平面に対して傾斜させ、前記湾曲面に略円錐台状の一部である円錐面を形成させ、搬送方向下流側の各搬送ローラを水平面に対して順次傾斜させることにより前記ガラス板の移動に連動して前記円錐面を前記搬送方向へ移動させるように制御することを特徴とするガラス板の曲げ成形装置を提供する。
【0030】
ガラス板を略円錐台状に曲げ成形するための曲げ成形装置は、ローラコンベア、上下動駆動手段、傾斜手段、及び制御手段を備えている。ガラス板の搬送面を形成するローラコンベアの複数のローラを、ガラス板の搬送位置に応じて、上下動駆動手段によって上下動させるとともに、傾斜手段により水平面に対して傾動させる。これにより、ガラス板が搬送されている位置のローラによって斜めに傾斜した略円錐台状の一部である湾曲面が形成される。そして、制御手段は、この湾曲面がローラコンベアの上流側から下流側に向けて波の伝播のように走行するように上下動駆動手段及び傾斜手段を制御する。これにより、ガラス板は、ローラコンベアによって搬送されながら、自重により湾曲面に形成される略円錐台状の面によって略円錐台状に曲げ成形される。
【0031】
ローラコンベアの複数のローラは、ガラス板の搬送方向に直交する方向に配置されている。すなわち、ローラコンベアの複数のローラは、隣接するローラと平行に配置されている。また、ローラは平面視において平行を維持した状態で傾動、及び上下動を行う。よって、ローラコンベアによって搬送中のガラス板は、ローラとの間でスリップは発生せず、よって、ガラス板の搬送面にスリップに起因する疵は発生しない。更に、ローラを傾動させる動作と、ローラを上下動させる動作を同一の手段で兼用することが好ましい。
【0032】
本発明のローラコンベアの各々のローラの上下動は、鉛直方向における初期位置から下降→上昇を経て初期位置に戻る動きを、一周期の動きとする。この場合、各ローラは、(a:初期状態)一単位のガラス板の搬送方向前辺が搬送されてきた時を下降の始まりとし、(b)一単位のガラス板が通過している間を下降→上昇の一周期の動きとし、(c:終状態)一単位のガラス板の搬送方向後辺が搬送されてきた時にもとの位置に戻る。こうして、一単位のガラス板があるローラ上を通過する間に、そのローラは初期状態から終状態までの一周期の上下動を行う。複数のガラス板を連続的に曲げ成形する際には、一単位のガラス板が順次搬送されてくるので、次単位以降のガラス板に対し、各ローラを(a)、(b)、(c)の順に繰り返し上下動させる。
【0033】
こうした各ローラの上下動により下に凸形状の湾曲面を形成する場合、一単位のガラス板は次のように搬送される。ガラス板の搬送方向前辺及び搬送方向後辺があるローラ上に位置する時、そのローラは初期状態(終状態)にある。そのため、ガラス板の搬送方向前辺及び搬送方向後辺の鉛直方向位置は、各ローラの初期状態の位置に保たれる。初期状態にある各ローラで形成される仮想面(水平状態にある)の鉛直方向の高さレベルを、「搬送レベル」と呼ぶ。一方、ガラス板の搬送方向前辺と搬送方向後辺との間の部分であるガラス板の中央部分が位置する各ローラは、一周期の上下動のうちの中間状態にある。そのため、ガラス板の中央部分は搬送レベルよりも下方に位置する(中央部分が下方に垂れ下がる)。したがって、一単位のガラス板は、搬送方向前辺と搬送方向後辺とが搬送レベルに保たれながら、中央部分が搬送レベルよりも下方に位置するように搬送される。
【0034】
なお、「一単位のガラス板」とは、通常は1枚のガラス板を意味する。必要に応じて2枚以上のガラス板を積層した状態で搬送すると、2枚以上のガラス板を同時に曲げ成形できる。このように、「一単位のガラス板」は2枚以上のガラス板が積層された状態で搬送される場合を含む。そして、本発明のガラス板の曲げ成形装置及び方法は、一単位のガラス板の曲げ成形を順次連続的に行い、複数単位のガラス板を連続的に曲げ成形できる。一単位のガラス板が1枚のガラス板であるかガラス板が複数枚積層された状態であるかは、本発明のガラス板の曲げ成形方法及び装置の基本的な動作に大きな影響を与えない。そこで、本明細書では、「一単位」なる語を省略する。
【0035】
ところで、ローラが上下動した場合、ガラス板の水平方向成分の搬送速度は、ローラの上下位置に依存することとなる。この場合、複数のローラの角速度が一定であると、水平方向成分の搬送速度は、下方側のローラの方が上方側のローラよりも速くなる。このような速度のアンバランス現象が生じると、ローラとガラス板との間でスリップが発生し、ガラス板に疵が付く場合がある。そこで、複数のローラを独立して回転させる回転駆動手段を備え、そして、制御手段によりガラス板の水平方向成分の搬送速度が等しくなるように前記回転駆動手段を制御することが好ましい。これにより、前記不具合は解消するので、疵のないガラス板を得ることができる。
【0036】
各ローラにより形成される所望の湾曲面とは、ガラス板を搬送しているローラの位置に応じて必要とされる湾曲面である。具体的には、ガラス板を曲げ成形するゾーンのうちの最下流の位置では、この位置の各ローラで形成される湾曲面は、ガラス板の搬送方向についての最終的に得ようとするガラス板の曲げ形状に概略一致した湾曲形状を有する。
【発明の効果】
【0037】
本発明によれば、ガラス板の搬送面にスリップに起因する疵を付けることなく、ガラス板を略円錐台状に曲げ成形することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明に係るガラス板の曲げ成形装置が適用された湾曲ガラス板の製造装置の一実施形態を示す斜視図
【図2】(A)〜(D)はガラス板がローラコンベアによって搬送されながら湾曲成形される状態を時系列的に見た斜視図
【図3】(A)〜(D)は図2(A)〜(D)に対応した側面図
【図4】(A)は図3(A)の4A−4A線に沿う縦断面図、(B)は図3(B)の4B−4B線に沿う縦断面図、(C)は図3(C)の4C−4C線に沿う縦断面図、(D)は図3(D)の4D−4D線に沿う縦断面図
【図5】図2(D)の詳細を示した斜視図
【図6】図5の側面図
【図7】ローラの傾斜手段及び上下動駆動機構の構成を示した構造図
【図8】ローラによって搬送面に円錐面を形成する形態を立体的に説明した図
【図9】図8の11−11線から見た7本のローラの傾斜角度を示した図
【図10】湾曲ローラが適用された傾斜手段及び上下動駆動機構の構成を示した構造図
【図11】従来のガラス板の曲げ成形装置のガラス板搬送路を示した平面図
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、添付図面に従って本発明の実施の形態に係るガラス板の曲げ成形方法及びその装置の好ましい形態について詳説する。
【0040】
図1は、実施の形態のガラス板の曲げ成形装置10が適用された湾曲ガラス板の製造装置12の一実施形態を示す斜視図である。
【0041】
同図に示す湾曲ガラス板の製造装置12は、自動車のリアガラスに好適な略円錐台状の一部である曲面(円錐面)を有するガラス板14を製造する設備である。なお、この製造装置12は、リアガラスに限定されるものではなく、単曲の曲面を有するサイドガラスであっても製造することができる。また、風冷強化装置の代わりに徐冷装置を設置すれば、フロントガラスを製造することが可能である。
【0042】
図1に示す製造装置12は、ガラス板14の流れ方向上流側から下流側に向けて曲げ成形装置10、及び風冷強化装置16が配置されて構成される。また、曲げ成形装置10は、上流側から下流側に向けて加熱炉(加熱手段)18、及び曲げ成形用ローラコンベア(以下、単にローラコンベアということがある)20が配置されて構成されている。製造装置12の各部の駆動制御は、コンピュータ等で構成されたモーションコントローラ(制御手段)22によって行われる。
【0043】
まず、製造装置12によるガラス板14の曲げ成形工程について説明する。
【0044】
曲げ成形前の平板状ガラス板14は、加熱炉18の入口において搬送位置が位置決めされた後、ローラコンベア24によって加熱炉18内に搬入される。本態様のガラス板14は、リアガラスの形状に対応する平面視の形状が略台形形状のものであり、その上辺部14A及び底辺部14Bが、矢印Aで示すローラコンベア24の搬送方向に沿って搬送される。ガラス板14は、加熱炉18内での搬送中に加熱炉18のヒータによって加熱されていき、加熱炉18の出口において曲げ成形温度(600〜700℃程度)まで加熱される。このガラス板14は、加熱炉18の下流側に設置された曲げ成形用ローラコンベア20によって、ローラコンベア24の搬送方向と同方向に搬送される。
【0045】
ガラス板14は、ローラコンベア20による搬送中に、ローラコンベア20の後述する、上下方向及び傾斜方向の曲げ成形動作によって所定の曲率で、かつ円錐台状に曲げ成形される。曲げ成形されたガラス板14は、ローラコンベア20の出口から、風冷強化装置16用のローラコンベア26によって、ローラコンベア20の搬送方向と同方向に風冷強化装置16に向けて搬送される。
【0046】
風冷強化装置16は、ローラコンベア26を挟んで上下に配置された上部吹口ヘッド28と下部吹口ヘッド30とを備えている。ガラス板14はローラコンベア26による搬送中に、これらの吹口ヘッド28、30からガラス板14の表面、裏面(搬送面)に向けて吹き出されるエアによって風冷強化される。このとき、風冷強化装置16の冷却能は、ガラス板14の厚みに応じて適宜設定される。風冷強化されたガラス板14は、風冷強化装置16の出口からローラコンベア32によって、ローラコンベア26の搬送方向と同方向に次工程の検査装置(図示せず)に向けて搬送される。以上の如くガラス板14は、上流側から下流側に配設されたローラコンベア24、20、26、32によって矢印Aで示す同一方向に搬送されながら、加熱、成形、風冷強化が順に行われる。以上が製造装置12によるガラス板14の製造工程の流れである。また、前述の如くガラス板14を同一方向に搬送することにより、ガラス板14の搬送面にスリップに起因する疵発生を防止することができる。
【0047】
次に、図1〜図6を参照しながらローラコンベア20、傾斜手段、及び上下動駆動手段について説明する。
【0048】
なお、図2(A)〜(D)は、ガラス板14がローラコンベア20によって搬送されながら湾曲成形される状態を時系列的に見た斜視図である。図3(A)〜(D)は、図2(A)〜(D)に対応した側面図である。図4(A)は、図3(A)の4A−4A線に沿う縦断面図であり搬送方向Aの下流側から見た図である。同様に、図4(B)は、図3(B)の4B−4B線に沿う縦断面図であり搬送方向Aの下流側から見た図、図4(C)は、図3(C)の4C−4C線に沿う縦断面図であり搬送方向Aの下流側から見た図、図4(D)は、図3(D)の4D−4D線に沿う縦断面図であり搬送方向Aの下流側から見た図である。図5は、図2(D)の詳細を示した斜視図であり、図6は、図5の側面図である。
【0049】
図2、図3に示すようにローラコンベア20は、複数本の搬送ローラ(実施例では32本の搬送ローラ:以下「ローラ」と称する)20−1、20−2…20−32から構成されている。これらのローラ20−1、20−2…20−32は、矢印Aで示したガラス板14の搬送方向に対して直交方向に配設されるとともに、平面視において互いに平行に配置されている。また、これらのローラ20−1、20−2…20−32はストレート状に形成された直棒状ローラであり、これらのローラ20−1、20−2…20−32で形成される搬送面に沿って、ローラ20−1、20−2…20−32の回転によりガラス板14が矢印A方向に所定の速度で搬送される。
【0050】
ローラ20−1、20−2…20−32は、回転駆動手段によって各々が独立して回転駆動されるとともに、傾斜手段を兼用する上下方向駆動手段によって各々が独立して傾動、及び上下動される。回転駆動手段と上下方向駆動手段は、図1に示したモーションコントローラ22によってその動作が制御されている。
【0051】
図7は、各ローラ20−1、20−2…20−32の回転駆動手段と上下方向駆動手段とを示した構造図である。なお、各ローラ20−1、20−2…20−32は、回転駆動手段と上下方向駆動手段とについてそれぞれ同一の構造を有しているので、図7では便宜上ローラ20−1の構造のみ説明し、他のローラ20−2〜20−32側の構造についてはその説明を省略する。また、図7は、ローラ20−1をガラス板搬送方向の下流側から見た正面図である。
【0052】
ローラ20−1の両端部の下方には、一対の支柱34、36が立設されている。支柱34の外側側面には直動ガイドを構成するガイドレール38が上下方向に設けられており、このガイドレール38に昇降体40のガイドブロック42、42が係合されている。したがって、昇降体40は、ガイドレール38に沿って昇降自在に設けられる。
【0053】
昇降体40の上部には、軸受44を介してローラ支持部46が設けられている。軸受44の回動軸は、ガラス板14の搬送方向Aと平行である。よって、ローラ支持部46は、搬送方向Aに直交する方向に回動自在となっている。ローラ支持部46には、ローラ20−1の左端部が軸受48に回転自在に支持され、この左端部にサーボモータ50のスピンドルがギヤ51、53を介して連結されている。
【0054】
支柱36も同様に、その外側側面には直動ガイドを構成するガイドレール52が上下方向に設けられ、このガイドレール52に昇降体54のガイドブロック56、56が係合されている。したがって、昇降体54は、ガイドレール52に沿って昇降自在に設けられる。
【0055】
昇降体54の上部には、リンク58を介してローラ支持部60が設けられている。リンク58は、ピン62を介して昇降体54に回動自在に連結されるとともに、ピン64を介してローラ支持部60に回動自在に連結されている。ピン62、64は、ガラス板14の搬送方向Aと平行に設けられている。よって、ローラ支持部60は、搬送方向Aに直交する方向に回動自在となっている。また、ローラ支持部60には、ローラ20−1の右端部が軸受66に回転自在に支持されている。
【0056】
したがって、上記構成においてサーボモータ50を駆動することにより、ローラ20−1は所定の角速度で回転される。以上が回転駆動手段の構造である。
【0057】
一方、昇降体40の下部には、ラック68が下方に向けて延設され、このラック68にピニオン70が噛合されている。ピニオン70には、サーボモータ72のスピンドルが連結されている。
【0058】
また、昇降体54も同様に、その下部には、ラック74が下方に向けて延設され、このラック74にピニオン76が噛合されている。ピニオン76には、サーボモータ78のスピンドルが連結されている。
【0059】
サーボモータ72、78を、図1に示すモーションコントローラ22によって同期をとって同方向に回転させることにより、ローラ20−1が水平方向を維持した状態で上下動される。また、サーボモータ72、78の回転量を、モーションコントローラ22によってそれぞれ異なる量に制御することにより、ローラ20−1が軸受44とリンク58の回動動作により傾動する。例えば、サーボモータ72の回転量をサーボモータ78の回転量よりも多く設定することにより、ローラ20−1が図7において右下がりに傾動する。以上が傾動手段を兼用する上下方向駆動手段の構造である。
【0060】
前述した回転駆動手段、及び上下方向駆動手段は、他のローラ20−1、20−2…20−32の全てに設けられており、これらの手段のサーボモータ50、72、78が、図1のモーションコントローラ22によって制御されている。モーションコントローラ22によってローラ20−1〜20−32をそれぞれ上下動、及び傾動制御することにより、ローラ20−1〜20−32で形成される湾曲した搬送面の一部に略円錐台状の一部である円錐面が形成され、ガラス板14はその略円錐面に沿って自重により略円錐台状に曲げ成形される。
【0061】
図8は、ローラ20−1〜20−32によってガラス板14の搬送面に円錐面を形成する形態を立体的に説明した図である。また、図9は、図8の11−11線から見た7本のローラの傾斜角度を示した図であり、ここでは、ローラ20−1〜20−32のうち、7本のローラ20−12〜20−18を例示して説明する。
【0062】
図8において、実線Aは円錐角2θの円錐であり、実線Bは、円錐Aの一部に形成される円錐面を示している。この円錐面Bが図9に示した7本のローラ20−12〜20−18によって形成されている。すなわち、7本のローラ20−12〜20−18は、最も下降しているローラ20−15を中心に、搬送方向上流側及び下流側に向かうに従って、ローラの傾斜角が大きくなることが好ましい。また、図9に示したように、円錐面Bを形成しているローラ20−12〜20−18のうち、最も下降しているローラ20−15を、水平面に対して、円錐台状を含む円錐Aの円錐角2θの半分の角度θで傾斜させることが好ましい。これにより、図8に示した円錐面Bを形成できる。
【0063】
また、最も下降しているローラ20−15は、円錐面Bを半分に分割したと仮定したときの仮想分割面と円錐面Bとの交線に沿わせることが好ましく、その場合、直棒状のローラであっても交線に一致させて、すなわち円錐面Bと完全に一致させて配置することが可能である。一方、最も下降しているローラ20−15に隣接する前後のローラ20−12〜14、20−16〜18は、直棒状のローラの場合、円錐面Bと完全に一致しない。しかし、求められる成形精度にもよるが、そのズレは僅かであるので無視できる場合が多い。特にガラス板とローラとが接触する部分に対応する円錐面のみを考慮して、すなわち、その部分の円錐面とローラとの差の最大値が最小となるようにローラの傾斜を決定することで、このズレをさらに小さくできる。また、後述する湾曲ローラを用いる事で円錐面Bと完全に一致させることも可能である。
【0064】
なお、直棒状のローラを、ガラス板の搬送位置に応じて上下動させることにより、搬送面の一部をガラス板搬送方向に湾曲させてガラス板を曲げ成形する従来の曲げ成形方法では、図8の二点鎖線で示す円柱Cの一部の湾曲面Dを形成できるが、円錐面Bを形成することはできない。
【0065】
次に、モーションコントローラ22について説明する。
【0066】
モーションコントローラ22は、外部入力手段からガラス板14の型式が入力されると、その型式のガラス板14の曲率に対応するローラ20−1、20−2…20−32の角速度制御データ及び上下移動制御データ(傾斜角度制御データを含む)を作成する。そして、モーションコントローラ22は、角速度制御データに基づきサーボモータ50を制御するとともに、上下移動制御データに基づきサーボモータ72、78を制御する。すなわち、モーションコントローラ22は、ガラス板14がローラ20−1、20−2…20−32による搬送中に略円錐台状に曲げ成形されるように、ローラ20−1、20−2…20−32を多軸制御する。
【0067】
次に、ローラ20−1、20−2…20−32の多軸制御によるガラス板14の曲げ動作について、図2、図3を用いて説明する。基本的なローラ20−1、20−2…20−32の運動は、ガラス板14の搬送にともない、ローラ20−1→20−32の順に傾斜して下降、上昇運動するものである。なお、これらの図においてローラ20−1、20−2、20−32は水平状態を維持し運動していないが、ガラス板13の型式に応じて運動するものである。
【0068】
また、ローラ20−1〜20−32は水平位置を初期位置としている。更に、ローラ20−3〜20−31の傾動時には、図4(B)、(C)、(D)の如く、ガラス板14の上辺部14Aに当接しているローラ20−13、20−16、20−18の右端部の高さが、底辺部14Bに当接しているローラ20−13、20−16、20−18の左端部の高さよりも低くなるように上下動駆動手段によって設定される。これにより、上辺部14Aの曲率半径が底辺部14Bの曲率半径よりも小さく曲げ形成される。
【0069】
上辺部14Aと底辺部14Bの曲率半径を変えた理由は以下の理由による。すなわち、自動車用のリアガラスは、略台形形状の平板状ガラス板14を略円錐台状に曲げ成形することで製品化されるが、自動車の車体形状の関係から、リアガラスの上辺部の曲率半径は、底辺部の曲率半径よりも小さいからである。したがって、上記の如く、上辺部14Aと底辺部14Bの曲率半径を変えることにより、リアガラスに適した略円錐台状のガラス板を製造することができる。
【0070】
なお、上述したローラ20−1〜20−32の高さ位置の設定は、各々のローラ20−1〜20−32の初期位置が水平位置であることが前提である。これに対して、ローラ20−1〜20−32の初期位置を予め水平位置から傾けておくことも考えられる。例えば、ガラス板14の底辺部14Bが当接するローラの左端部を、上辺部14Aが当接するローラの右端部よりも低くなるように傾けておくことで、つまり、湾曲面を形成する際のローラの高さの差を予め相殺しておくことで、実際に湾曲面を形成する際のローラの高さを等しくすることができる。ガラス板14を搬送面に沿って安定して搬送するためには、後者の初期設定が好ましいが、リアガラスを略円錐台状に成形するためのローラの傾斜角度は約2°であるので、前者の初期設定であっても安定搬送の観点から問題は無い。
【0071】
次に、モーションコントローラ22によるローラ20−1〜20−32の運動制御(作用)について図2〜図4を参照して説明する。
【0072】
図2(A)、図3(A)、図4(A)の如く、加熱されたガラス板14がローラ20−3〜20−21上に到達した時には、全てのローラ20−1〜20−32は最上位置(初期位置)にあり、ローラ20−1〜20−32で形成される搬送面は水平である。
【0073】
この位置からガラス板14が搬送されると、ローラ20−3が傾動(底辺部14Bよりも上辺部14Aの高さが低くなるように傾動:以下、傾動方向は同じ)していき、以降のローラ20−4〜20−23が下降するとともに傾動していく。
【0074】
図2(B)、図3(B)、図4(B)は、図2(A)、図3(A)、図4(A)の状態からローラ2本分だけガラス板14が搬送された状態を示している。この状態において、ローラ20−5〜20−23で形成される搬送面はローラ20−13、20−14の位置を深さのピークとする曲率の大きな搬送面に形成される。また、ローラ20−5〜20−23の傾斜角度も所望の角度よりも小さく設定されている。この搬送面に沿ってガラス板14が搬送されることにより、ガラス板14が自重により搬送面に沿った形状、つまり、曲率半径の大きい緩やかな下に凸の湾曲状に変形されていく。
【0075】
この位置からガラス板14が更に搬送されると、ローラ20−6〜20−26の傾動角度が徐々に大きくなるとともに、下降移動量も徐々に大きくなる。
【0076】
図2(C)、図3(C)、図4(C)は、図2(B)、図3(B)、図4(B)の状態からローラ3本分だけガラス板14が搬送された状態を示している。この状態において、ローラ20−8〜20−26で形成される搬送面はローラ20−16、20−17の位置を深さのピークとする曲率の小さな搬送面に形成される。また、ローラ20−8〜20−26の傾斜角度も所望の角度に近づいた角度に設定されている。この搬送面に沿ってガラス板14が搬送されることにより、ガラス板14が自重により搬送面に沿った形状、つまり、曲率半径の小さい下に凸の湾曲状に変形されていく。なお、このとき、ローラ20−3〜20−5は基準位置に復帰し、次のガラス板14が搬送されてくるまで、その運動が停止されている。
【0077】
この位置からガラス板14が更に搬送されると、ローラ20−7〜20−27の傾動角度が更に大きくなるとともに、下降移動量も更に大きくなる。
【0078】
図2(D)、図3(D)、図4(D)は、図2(C)、図3(C)、図4(C)の状態からローラ2本分だけガラス板14が搬送された状態であって、最終製品形状にガラス板14が曲げ成形された状態を示している。この状態において、ローラ20−10〜20−28で形成される搬送面はローラ20−18、20−19の位置を深さのピークとする曲率が更に小さい搬送面に形成される。また、ローラ20−10〜20−28の傾斜角度も所望の角度に設定されている。
【0079】
この搬送面に沿ってガラス板14が図5、及び図6の如く搬送されることにより、ガラス板14が自重により搬送面に沿った形状に曲げ成形される。すなわち、所望の曲率であって下に凸の湾曲状、及びこの搬送面の一部に形成される略円錐台状の面に沿って略円錐台状に成形される。以上がモーションコントローラ22に制御されたローラ20−1〜20−32によるガラス板14の曲げ成形動作である。
【0080】
このように、ローラコンベア20の各ローラは、1枚のガラス板14の搬送の際に、ガラス板14の通過にともない一周期の下降・上昇運動を行う。これにより、ガラス板14が位置しているローラの群により下に凸形状の略円錐台状面が形成され、この略円錐台状面をガラス板14の搬送とともに進行させる。ガラス板14の搬送方向前辺及び搬送方向後辺は搬送レベルに保たれ、ガラス板14の中央部分は各ローラの下降位置、及び傾斜角度に応じて搬送レベルの斜め下方に垂れ下がる。こうして、ガラス板14は各ローラにより搬送されながら、略円錐台状に曲げ成形される。
【0081】
したがって、実施の形態の曲げ成形装置10によれば、加熱炉18とローラコンベア20の搬送方向を同一としたので、ガラス板14の搬送面にスリップに起因する疵を付けることなく、ガラス板14をローラコンベア20によって搬送しながらガラス板14を、略円錐台状に曲げ成形することができる。
【0082】
なお、ガラス板14は、ローラコンベア20の下流へ行くにしたがって大きく曲げられるので、上記の略円錐台状面の振幅は下流ほど大きい。すなわち、各ローラの下降・上昇運動による振幅は、ローラコンベア20の下流ほど大きい。
【0083】
つまり、図8に示した円錐面Bの円錐角θを、ガラス板14の搬送方向下流に向かうに従って大きくなるように湾曲面を形成させることが好ましい。
【0084】
このように搬送方向下流に向かうに従って円錐面Bの円錐角θを大きくなるようにすることによって、ガラス板14が下流側に搬送されるに従って、湾曲面が深くなるため、徐々に曲げ成形することができ、歪みが発生しにくい。
【0085】
また、実施の形態に係るガラス板の曲げ成形装置及び曲げ成形方法は、大量のガラス板14の曲げ成形に用いられる。すなわち、複数枚のガラス板14を1枚ずつ順次連続して搬送することによって、大量のガラス板14の曲げ成形が行われる。そのため、ローラコンベア20の各ローラ20−1〜20−32は、順次搬送されてくるガラス板14を曲げ成形するために、傾動及び上下動を繰り返している。したがって、曲げ成形装置10では、複数の下に凸形状の略円錐台状の波が、加熱炉18側から風冷強化装置16に向けて順次進行する。そして、加熱炉18側から風冷強化装置16に向かうに従って、波の振幅が増大する。
【0086】
更に、実施の形態では、曲げ成形装置10の下流側に風冷強化装置16を設けている。風冷強化装置16によって曲げ成形後のガラス板14を急冷することにより、強化処理された曲げガラス板14を得ることができる。
【0087】
なお、搬送面の曲率の変更は、得ようとするガラス板14の形状データに基づいて行うことが好ましい。特に、車両窓用のガラス板は、その形状がCADデータとして予め準備されているので、このCADデータをモーションコントローラ22にリンクさせれば、曲率変更を容易に行うことができる。
【0088】
また、風冷強化装置16側のローラコンベア26も、曲げ成形装置10のローラコンベア20と同様に、回転駆動手段と傾動手段兼用の上下方向駆動手段とを備え、これらの手段を別の又は同一のモーションコントローラ22で制御することが好ましい。この場合、ローラコンベア26の各ローラの上下位置を変更して、ローラコンベア26による搬送面の形状をガラス板14の形状である略円錐台状面にすればよい。
【0089】
更に、ローラコンベア26の各ローラの本数に対応させて、風冷強化装置16の上部吹口ヘッド28、及び下部吹口ヘッド30を分割することが好ましい。この場合、分割した上部吹口ヘッド28及び下部吹口ヘッド30は、それに対応するローラの上下移動に連動してガラス板14との距離が一定となるように上下移動させればよい。こうして、全面において均一な強度を有するガラス板14を得ることができる。
【0090】
ところで実施の形態では、ローラコンベア20のローラとして直棒状のローラ20−1〜20−32を例示したが、これに限定されるものではない。例えば、図10に示すように、鉛直下方に向けて凸状に湾曲した湾曲ローラ120を有するローラコンベアを使用することにより、搬送方向と直交する方向に湾曲した湾曲面をガラス板14に作ることができる。そしてさらに、ガラス板14を湾曲ローラで搬送中に、ローラコンベアの各湾曲ローラを波の伝播のように上下動させることにより、搬送方向に湾曲した湾曲面をガラス板14に作ることができる。これらの結果、ガラス板14には、2方向に曲率を有する湾曲面が形成されるとともに、円錐台状であって樽形状のガラス板14を得ることができる。なお、図10では、図7に示した構造と同一又は類似の部材について同一の符号を付している。このため、ここではその説明を省略する。また、湾曲ローラ120の曲率を変更する機構も公知であるので、ここではその説明を省略する。
【0091】
また、実施の形態においては、まず直棒状のローラ20−1〜20−32によってガラス板14を円錐台状に曲げ成形した後、その下流側で、ガラス板14の搬送方向に直交した方向に湾曲した湾曲ローラを用い、ガラス板14を樽形状に曲げ成形する工程を備えることが好ましい。
【0092】
ローラ20−1〜20−32を上下動及び傾動させることでガラス板14を略円錐台状に曲げ成形した後に、搬送方向下流側に設置した前記湾曲ローラを上下動及び傾動させることでガラス板14を樽形状に曲げ成形できる。このように一方向ずつ曲げ成形することでガラス板14に歪みが発生し難くなるという利点がある。
【符号の説明】
【0093】
10…曲げ成形装置、12…湾曲ガラス板の製造装置、14…ガラス板、16…風冷強化装置、18…加熱炉、20…ローラコンベア、20−1〜20−32…ローラ、22…モーションコントローラ、24…ローラコンベア、26…ローラコンベア、28…上部吹口ヘッド、30…下部吹口ヘッド、34…支柱、36…支柱、38…ガイドレール、40…昇降体、42…ガイドブロック、44…軸受、46…ローラ支持部、48…軸受、49…ピン、50…サーボモータ、52…ガイドレール、54…昇降体、56…ガイドブロック、58…リンク、60…ローラ支持部、62…ピン、64…ピン、66…軸受、68…ラック、70…ピニオン、72…サーボモータ、74…ラック、76…ピニオン、78…サーボモータ、120…湾曲ローラ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱されたガラス板を、搬送方向に対し直交方向に配置された複数の搬送ローラからなるローラコンベアによって搬送しながら、各搬送ローラを上下動させ搬送面に前記搬送方向に曲率を有する所定の湾曲面を形成させて、該湾曲面上に前記ガラス板を位置させ、搬送方向下流側の各搬送ローラを順次上下動させることにより前記ガラス板の移動に連動して該湾曲面を前記搬送方向へ移動させる上下動成形工程を含むガラス板の曲げ成形方法において、
前記上下動成形工程と同時に、前記各搬送ローラを水平面に対して傾斜させ、前記湾曲面に略円錐台状の一部である円錐面を形成させ、搬送方向下流側の各搬送ローラを水平面に対して順次傾斜させることにより前記ガラス板の移動に連動して前記円錐面を前記搬送方向へ移動させる傾斜工程を含むことを特徴とするガラス板の曲げ成形方法。
【請求項2】
前記傾斜工程は、
前記ガラス板の平面視の形状が略台形形状であって、その上辺及び底辺が前記搬送方向に沿うように搬送され、前記上辺付近に当接している前記ローラコンベアの各々の搬送ローラの高さが、前記底辺付近に当接している各々の搬送ローラの高さよりも低くなるように各搬送ローラを水平面に対して傾斜させる請求項1に記載のガラス板の曲げ成形方法。
【請求項3】
前記円錐面を形成している前記搬送ローラのうち、最も下降している搬送ローラは、水平面に対して前記円錐面を含む円錐の円錐角の半分の角度傾斜される請求項1または2に記載のガラス板の曲げ成形方法。
【請求項4】
前記円錐面の円錐角を、ガラス板の搬送方向下流に向かうに従って大きくなるように前記湾曲面を形成させる請求項3に記載のガラス板の曲げ成形方法。
【請求項5】
前記円錐面を形成している前記搬送ローラは、前記最も下降している搬送ローラを中心に、搬送方向上流側及び下流側に向かうに従って、搬送ローラの傾斜角が大きくなる請求項1から4のいずれかに記載のガラス板の曲げ成形方法。
【請求項6】
前記搬送ローラとして、前記搬送方向に直交した方向に湾曲した湾曲ローラを用いる請求項1から5のいずれかに記載のガラス板の曲げ成形方法。
【請求項7】
前記ガラス板を略円錐台状に曲げ成形した後、前記搬送ローラとして、前記搬送方向に直交した方向に湾曲した湾曲ローラを用いて、前記ガラス板を樽形状に曲げ成形する工程を含む請求項1から5のいずれかに記載のガラス板の曲げ成形方法。
【請求項8】
ガラス板を曲げ成形可能な温度まで加熱する加熱手段と、搬送方向に対し直交方向に配置された複数の搬送ローラからなるローラコンベアと、各搬送ローラを上下動させる上下動駆動手段と、各搬送ローラを上下動させることによって前記搬送方向に曲率を有する所定の湾曲面を形成させ、該湾曲面上に前記ガラス板を位置させ、搬送方向下流側の各搬送ローラを順次上下動させることにより前記ガラス板の移動に連動して該湾曲面を前記搬送方向へ移動させる制御手段と、を含むガラス板の曲げ成形装置において、
前記各搬送ローラを水平面に対して傾斜させる傾斜手段を備え、前記制御手段は、前記上下動駆動手段により前記各搬送ローラを順次上下動させるのと同時に、前記傾斜手段により前記各搬送ローラを水平面に対して傾斜させ、前記湾曲面に略円錐台状の一部である円錐面を形成させ、搬送方向下流側の各搬送ローラを水平面に対して順次傾斜させることにより前記ガラス板の移動に連動して前記円錐面を前記搬送方向へ移動させるように制御することを特徴とするガラス板の曲げ成形装置。
【請求項9】
前記ガラス板の平面視の形状が略台形形状であって、その上辺部及び底辺部が前記搬送方向に沿うように搬送され、前記上辺部に当接している前記ローラコンベアの各々の搬送ローラの高さが、前記底辺部に当接している各々の搬送ローラの高さよりも低くなるように各搬送ローラを水平面に対して傾斜させる前記傾斜手段によって設定される請求項8に記載のガラス板の曲げ成形装置。
【請求項10】
前記搬送ローラとして、前記搬送方向に直交した方向に湾曲した湾曲ローラを用いる請求項8又は9に記載のガラス板の曲げ成形装置。
【請求項1】
加熱されたガラス板を、搬送方向に対し直交方向に配置された複数の搬送ローラからなるローラコンベアによって搬送しながら、各搬送ローラを上下動させ搬送面に前記搬送方向に曲率を有する所定の湾曲面を形成させて、該湾曲面上に前記ガラス板を位置させ、搬送方向下流側の各搬送ローラを順次上下動させることにより前記ガラス板の移動に連動して該湾曲面を前記搬送方向へ移動させる上下動成形工程を含むガラス板の曲げ成形方法において、
前記上下動成形工程と同時に、前記各搬送ローラを水平面に対して傾斜させ、前記湾曲面に略円錐台状の一部である円錐面を形成させ、搬送方向下流側の各搬送ローラを水平面に対して順次傾斜させることにより前記ガラス板の移動に連動して前記円錐面を前記搬送方向へ移動させる傾斜工程を含むことを特徴とするガラス板の曲げ成形方法。
【請求項2】
前記傾斜工程は、
前記ガラス板の平面視の形状が略台形形状であって、その上辺及び底辺が前記搬送方向に沿うように搬送され、前記上辺付近に当接している前記ローラコンベアの各々の搬送ローラの高さが、前記底辺付近に当接している各々の搬送ローラの高さよりも低くなるように各搬送ローラを水平面に対して傾斜させる請求項1に記載のガラス板の曲げ成形方法。
【請求項3】
前記円錐面を形成している前記搬送ローラのうち、最も下降している搬送ローラは、水平面に対して前記円錐面を含む円錐の円錐角の半分の角度傾斜される請求項1または2に記載のガラス板の曲げ成形方法。
【請求項4】
前記円錐面の円錐角を、ガラス板の搬送方向下流に向かうに従って大きくなるように前記湾曲面を形成させる請求項3に記載のガラス板の曲げ成形方法。
【請求項5】
前記円錐面を形成している前記搬送ローラは、前記最も下降している搬送ローラを中心に、搬送方向上流側及び下流側に向かうに従って、搬送ローラの傾斜角が大きくなる請求項1から4のいずれかに記載のガラス板の曲げ成形方法。
【請求項6】
前記搬送ローラとして、前記搬送方向に直交した方向に湾曲した湾曲ローラを用いる請求項1から5のいずれかに記載のガラス板の曲げ成形方法。
【請求項7】
前記ガラス板を略円錐台状に曲げ成形した後、前記搬送ローラとして、前記搬送方向に直交した方向に湾曲した湾曲ローラを用いて、前記ガラス板を樽形状に曲げ成形する工程を含む請求項1から5のいずれかに記載のガラス板の曲げ成形方法。
【請求項8】
ガラス板を曲げ成形可能な温度まで加熱する加熱手段と、搬送方向に対し直交方向に配置された複数の搬送ローラからなるローラコンベアと、各搬送ローラを上下動させる上下動駆動手段と、各搬送ローラを上下動させることによって前記搬送方向に曲率を有する所定の湾曲面を形成させ、該湾曲面上に前記ガラス板を位置させ、搬送方向下流側の各搬送ローラを順次上下動させることにより前記ガラス板の移動に連動して該湾曲面を前記搬送方向へ移動させる制御手段と、を含むガラス板の曲げ成形装置において、
前記各搬送ローラを水平面に対して傾斜させる傾斜手段を備え、前記制御手段は、前記上下動駆動手段により前記各搬送ローラを順次上下動させるのと同時に、前記傾斜手段により前記各搬送ローラを水平面に対して傾斜させ、前記湾曲面に略円錐台状の一部である円錐面を形成させ、搬送方向下流側の各搬送ローラを水平面に対して順次傾斜させることにより前記ガラス板の移動に連動して前記円錐面を前記搬送方向へ移動させるように制御することを特徴とするガラス板の曲げ成形装置。
【請求項9】
前記ガラス板の平面視の形状が略台形形状であって、その上辺部及び底辺部が前記搬送方向に沿うように搬送され、前記上辺部に当接している前記ローラコンベアの各々の搬送ローラの高さが、前記底辺部に当接している各々の搬送ローラの高さよりも低くなるように各搬送ローラを水平面に対して傾斜させる前記傾斜手段によって設定される請求項8に記載のガラス板の曲げ成形装置。
【請求項10】
前記搬送ローラとして、前記搬送方向に直交した方向に湾曲した湾曲ローラを用いる請求項8又は9に記載のガラス板の曲げ成形装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−158477(P2012−158477A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−17011(P2011−17011)
【出願日】平成23年1月28日(2011.1.28)
【出願人】(000000044)旭硝子株式会社 (2,665)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年1月28日(2011.1.28)
【出願人】(000000044)旭硝子株式会社 (2,665)
【Fターム(参考)】
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