説明

ガラス板パレット、ガラス板積載方法、ガラス板梱包体、およびガラス板の取り出し方法

【課題】ガラス板パレットにおいて、ガラス板を載置台上に積載したり載置台から取り出したりする作業を、ガラス板を汚したり傷つけたりすることなく迅速に行うことができるようにする。
【解決手段】パレット1は、シート8をガラス板7の少なくとも1辺からガラス板7の側方に延在させて配置できる載置面2aを有する底板2と、ガラス板7の側方に延在されたシート8を載置面2aの方に押し付ける下面4aとこの下面4aに平行な上面4fとを有し、底板2上に積み重ねられた複数のシート押え部材4と、この複数のシート押え部材4の底板2に対する位置を載置面2aに沿う方向において固定するシート押えガイド部材3と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラス板パレット、ガラス板積載方法、ガラス板梱包体、およびガラス板の取り出し方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、たとえば、フォークリフトや輸送トラックなどによってガラス板を輸送する際、複数枚のガラス板を重ねてガラス板パレットに収容し、ガラス板パレットごと輸送することが知られている。
このようなガラス板パレットとして、たとえば、特許文献1に記載のガラス板梱包箱が知られている。
特許文献1に記載のガラス板梱包箱は、搬送中にガラス板同士が干渉して傷がつくことを防止するため、合紙をガラス板の間に挟んだ状態で複数のガラス板を積載する。
このガラス板梱包箱は、底板上に側面視L字状の台座が斜めに配置され、この台座上に、合紙でガラス板を挟んだ状態で、複数のガラス板を斜めに立て掛けて積載している。その際、合紙はガラス板の上辺よりも上方に突出されている。
また、特許文献1には、合紙およびガラス板はロボット等で吸着した状態で台座に載置することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−132490号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記のような従来のガラス板パレットには、以下のような問題があった。
特許文献1に記載の技術ではガラス板の間に合紙が挟まれているため、合紙が挟まれている状態では搬送中にガラス板同士が干渉して傷がつくことを防止できるものの、ガラス板をガラス板梱包箱から移載する際には、合紙が外れやすいという問題がある。
すなわち、特許文献1では、積載された最上段の合紙およびガラス板はロボット等で吸着することにより一体に取り出される。しかし、取り出されるガラス板の裏面側の合紙は、押えがなくなるためガラス板の取り出し時に発生する風圧などによって位置が不安定になり、残されたガラス板上で、めくれたり位置ずれしたりする。これによりガラス板の表面が露出されやすくなる。ガラス板の表面が露出されてしまうと、ガラス板の汚れや傷を防止することができなくなるという問題がある。
また、めくれたり、位置ずれしたりした合紙は、次のガラス板取り出し作業を行うまでに位置を整える作業を手作業によって行わねばならず、ガラス板取り出し作業の作業効率が低下するという問題がある。
たとえば、合紙などのシート部材をガラス板の端部で側面に沿って折り曲げてからガラス板の裏面側に折り曲げ、折り曲げた端部を下側のガラス板との間に挟んで積載していくことによってシート部材が容易にめくれたり位置ずれしたりしないようにすることも考えられる。しかしこの場合には、シート部材の端部を折り曲げる作業が必要となり、ガラス板を迅速に積載することができないという問題がある。
【0005】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、ガラス板を載置台上に積載したり載置台から取り出したりする作業を、ガラス板を汚したり傷つけたりすることなく迅速に行うことができるガラス板パレットおよびガラス板梱包体を提供することを目的とする。
また、本発明は、ガラス板を載置台上に積載する作業を、ガラス板を汚したり傷つけたりすることなく迅速に行うことができるガラス板積載方法を提供することを目的とする。 また、本発明は、本発明のガラス板梱包体から、ガラス板を汚したり傷つけたりすることなく迅速に取り出すことができるガラス板の取り出し方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明のガラス板パレットは、ガラス板とシート部材とを交互に重ねて積載するガラス板パレットであって、前記シート部材を前記ガラス板の少なくとも1辺から前記ガラス板の側方に延在させて配置できる載置面を有する載置台と、前記ガラス板の側方に延在された前記シート部材を前記載置面の方に押し付ける下面と該下面に平行な上面とを有し、前記載置台上に積み重ねられた複数のシート押え部材と、該複数のシート押え部材を前記載置面に沿う方向において係合するシート押え部材係合部と、を備えることを特徴とする。
この発明によれば、ガラス板とシート部材とを交互に重ね、シート部材がガラス板の少なくとも1辺からガラス板の側方に延在された状態として、これらガラス板とシート部材とを載置台の載置面上に積載し、シート押え部材の下面によって、ガラス板の側方に延在されたシート部材を載置面の方に押し付けることができる。
さらに、交互に重ねられたガラス板およびシート部材の上に他のガラス板および他のシート部材を交互に重ねて、これら他のガラス板の側方からに延在させた他のシート部材を、他のシート押え部材の下面によって、すでに配置されたシート押え部材の上面の方に押し付けることができる。
このとき、シート押え部材は、シート押え部材係合部によって、載置面に沿う方向に係合されているため、載置面に沿う方向においてシート部材を押さえる位置を一定に保って、シート押え部材を積み重ねることができる。
【0007】
また、本発明のガラス板パレットでは、前記複数のシート押え部材を前記載置面の方に押し付ける荷重付加部材を備えることが好ましい。
この場合、荷重付加部材によって複数積み重ねられたシート押え部材が載置面の方に押し付けられるため、シート部材への押圧力を強化することができ、複数のシート押え部材の間の押圧力のばらつきも低減することができる。
【0008】
本発明のガラス板積載方法は、ガラス板とシート部材とを交互に重ねて載置面上に積載するガラス板積載方法であって、1枚以上の前記ガラス板を、前記シート部材と交互に重ねられかつ該シート部材が前記ガラス板の少なくとも1辺から該ガラス板の側方に延在された状態で、前記載置面上に配置し、前記載置面の方に下面が向けられるとともに前記載置面に沿う方向の位置が規制されたシート押え部材によって、前記ガラス板の側方に延在された前記シート部材を前記載置面の方に押し付け、前記シート部材で覆われたガラス板上に他のガラス板を配置し、前記シート押え部材および前記他のガラス板上に、他のシート部材を配置し、前記他のガラス板および前記他のシート部材を、それぞれ1以上交互に重ねて配置した後、前記他のガラス板の側方に延在された前記他のシート部材上に、前記載置面の方に下面が向けられるとともに前記載置面に沿う方向の位置が規制された他のシート押え部材を積み重ね、該他のシート押え部材の下面を、前記他のシート部材の下側の前記シート押え部材の方に押し付ける、ことを特徴とする。
この発明によれば、載置面上に、1枚以上の前記ガラス板を、シート部材と交互に重ねられかつシート部材がガラス板の少なくとも1辺からこのガラス板の側方に延在された状態で配置し、シート押え部材によってガラス板の側方に延在されたシート部材を載置面の方に押し付けることにより、シート部材の位置を固定して、ガラス板とシート部材とを積載することができる。また、この上に、他のガラス板および他のシート部材を、それぞれ1以上交互に重ねて配置し、すでに配置されたシート押え部材の上に他のシート押え部材を積み重ねる。これにより、他のシート部材を他のシート押え部材の下側のシート押え部材の方に押し付け、他のシート部材の位置を固定して、他のガラス板と他のシート部材とを積載することができる。
【0009】
本発明のガラス板梱包体は、載置面を有する載置台と、前記載置面上に配置され、ガラス板とシート部材とが交互に重ねられ、かつ前記シート部材が前記ガラス板の少なくとも1辺から前記ガラス板の側方にそれぞれ延在された積層体と、前記シート部材が延在された前記ガラス板の側方の前記載置台上において、前記積層体の積層方向に沿う方向に積み重ねられた複数のシート押え部材と、該複数のシート押え部材を前記載置面に沿う方向において係合するシート押え部材係合部と、を備え、前記ガラス板の側方に延在されたシート部材が、前記積層方向における前記載置面の方から前記積層方向に重ねられた複数枚ずつに分けられて、前記載置面と該載置面に隣接するシート押え部材との間、および前記積層方向において互いに隣接するシート押え部材同士の間にそれぞれ挟持されるとともに、前記複数のシート押え部材によって前記載置面の方に押し付けられている、ことを特徴とする。
この発明によれば、本発明のガラス板パレットの載置面に、本発明のガラス板積載方法によって、ガラス板とシート部材とを積載して形成されるガラス板梱包体になっているため、本発明のガラス板積載方法と同様な作用を備える。
【0010】
本発明のガラス板取り出し方法は、本発明のガラス板梱包体から前記ガラス板を取り出すガラス板取り出し方法であって、前記シート押え部材が前記シート押え部材係合部によって係合されているとともに前記載置面の方に押し付けられている状態で、前記積層体の上層側から、前記ガラス板を取り出していく、ことを特徴とする。
この発明によれば、積層体の上層側からガラス板を取り出す際、シート押え部材がシート押え部材係合部によって係合されているとともに載置面の方に押し付けられている状態としておくため、取り出すガラス板の下側のシート部材がめくれたり位置ずれしたりすることなく、ガラス板を取り出すことができる。
【0011】
また、本発明のガラス板取り出し方法では、前記ガラス板を取り出す際に、該ガラス板を覆うシート部材とともに吸着して取り出すことが好ましい。
この場合、取り出すガラス板をシート部材に覆われたまま取り出すことができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明のガラス板パレットおよびガラス板梱包体によれば、シート押え部材係合部と複数のシート押え部材とを備えることにより、積載されたガラス板の下面側のシート部材の位置を容易に固定することができるため、ガラス板を載置台上に積載したり載置台から取り出したりする作業を、ガラス板を汚したり傷つけたりすることなく迅速に行うことができるという効果を奏する。
また、本発明のガラス板積載方法によれば、ガラス板を覆うシート部材をガラスの側方に延在させて、シート押え部材によって載置面側に押し付けるだけで容易に挟持して固定することができるため、積載作業をガラス板を汚したり傷つけたりすることなく迅速に行うことができるとう効果を奏する。
また、本発明のガラス板取り出し方法によれば、本発明のガラス板梱包体から、ガラス板の側方に延在されたシート部材が、複数のシート押え部材によって載置面の方に押し付けられている状態でガラス板を取り出すため、ガラス板を汚したり傷つけたりすることなく迅速に取り出すことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るガラス板パレットの構成を示す模式的な斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係るガラス板梱包体の模式的な平面図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係るガラス板梱包体の模式的な正面図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係るガラス板パレットに用いるシート押え部材の構成を示す模式的な斜視図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係るガラス板パレットに用いる荷重付加部材の構成を示す模式的な斜視図である。
【図6】本発明の第1の実施形態に係るガラス板パレットのガラス板積載時におけるシート押え部材近傍のガラス板積層体の断面構成を示す模式図、およびそのa部の部分拡大図である。
【図7】本発明の第1の実施形態に係るガラス板積載方法のフローを示すフローチャートである。
【図8】本発明の第1の実施形態に係るガラス板積載方法の工程説明図である。
【図9】本発明の第1の実施形態に係るガラス板梱包体からガラス板を取り出す工程を説明する工程説明図である。
【図10】本発明の第1の実施形態に係るガラス板パレットの変形例のガラス板積載時における模式的な平面図である。
【図11】本発明の第1の実施形態に係るガラス板パレットの変形例のガラス板積載時における模式的な正面図である。
【図12】本発明の第2の実施形態に係るガラス板パレットの構成を示す模式的な正面図である。
【図13】図12におけるA視図である。
【図14】図12におけるB視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下では、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。すべての図面において、実施形態が異なる場合であっても、同一または相当する部材には同一の符号を付し、共通する説明は省略する。
【0015】
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態に係るガラス板パレットおよびガラス板梱包体について説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係るガラス板パレットの構成を示す模式的な斜視図である。図2は、本発明の第1の実施形態に係るガラス板梱包体の模式的な平面図である。図3は、本発明の第1の実施形態に係るガラス板梱包体の模式的な正面図である。図4は、本発明の第1の実施形態に係るガラス板パレットに用いるシート押え部材の構成を示す模式的な斜視図である。図5は、本発明の第1の実施形態に係るガラス板パレットに用いる荷重付加部材の構成を示す模式的な斜視図である。
なお、各図は模式図であり、見易さのため、各部の形状、個数などは、誇張または省略して描かれている。また、以下の図面も同様である。
【0016】
図1に示す本実施形態のパレット1(ガラス板パレット)は、図2、3に示すように、ガラス板7とシート8(シート部材、図2、3参照)とを交互に重ねてガラス板積層体9(積層体)を形成し、これを水平に積載するものである。
まず、パレット1に積載するガラス板7、シート8について説明する。
ガラス板7の形状は、特に限定されないが、以下では一例として、W×D×tの大きさを有する矩形板の場合の例で説明する。ここで、W、Dは、ガラス板7の平面視の2辺の長さ、tはガラス板7のガラス板厚を示す。図示の例では、W>Dの関係にある。
シート8は、ガラス板7の表面に汚れや傷が付かないように保護するとともに、ガラス板7を重ねた状態で搬送する際にガラス板7同士が互いに接触しないようにする部材である。本実施形態では、(W+ΔW)×D×t(ただし、ΔW>0、t<t)の大きさを有する矩形状のシートを採用している。ここで、tはシート8の厚さを示す。
このため、ガラス板7の長さDの辺に、シート8の長さDの辺を位置合わせしてガラス板7上にシート8を重ねると、シート8は、位置合わせされた辺の対辺側で、ガラス板7からΔWだけ側方に延在する状態に配置される。ΔWの寸法は、後述するシート押え部材4の厚さに適宜の押え代を加えた寸法に設定する。
また、シート8の厚さは、湾曲が容易な厚さとされる。たとえば、0.05mm〜0.3mm程度の厚さとすることが好ましい。
【0017】
シート8の材質は、従来、ガラス板の積載における合紙に用いられている適宜の材質を採用することができる。たとえば、紙、合成樹脂シート、合成紙、および不織布などを採用することができる。本実施形態では、厚さ方向に通気できる材質からなり、これにより、エア吸着機構よって、シート8を間に挟んだままガラス板7を吸着できるようになっている。
また、シート8は、ガラス板7の表面に粉塵を付着させないように、発塵が抑えられる素材を用いることが好ましい。
【0018】
パレット1の概略構成は、図1〜3に示すように、水平に配置された平面視矩形状の底板2(載置台)と、底板2の外形の4辺の近傍に配置されそれぞれ底板2から底板2の上側に向かって延ばされた側面押え部材5A、5B、5Cおよびシート押えガイド部材3(シート押え部材係合部)と、シート押えガイド部材3に嵌め込まれて底板2の上側に積み重ねられた平板状の複数のシート押え部材4と、複数のシート押え部材4全体を底板2側に押し付ける荷重付加部材6(図2、3参照)とを備える。
なお、側面押え部材5A、5B、5Cおよびシート押えガイド部材3は、図2に示すように、底板2を平面視したときに、底板2の外形に沿う時計回り方向に、側面押え部材5A、5C、5B、シート押えガイド部材3の順で配置されている。
【0019】
底板2は、側面押え部材5A、5B、5C、シート押えガイド部材3が設けられた上面側に、ガラス板7を積載するため平坦な載置面2aが形成された平面視矩形状の載置台である。
載置面2aは、4辺が底板2の平面視の外形線に平行な矩形領域とされ、少なくとも、(W+ΔW)×Dの大きさを有する矩形よりも大きな矩形状に形成される。これにより、載置面2a上には、シート8を広げた状態で配置できるようになっている。
また、図1〜3は模式図のため、底板2は1枚の平板として描かれているが、載置面2aの裏面側は、例えば格子状のフレームなどで構成されていてもよい。また、例えば、フォークリフトで移動できるようにフォーク差し込み口などが設けられていてもよい。
【0020】
側面押え部材5A、5Bは、底板2上で載置面2aを間に挟んで、ガラス板7の幅Dよりわずかに大きな隙間をあけて対向している。側面押え部材5A、5Bの載置面2aからの高さは、パレット1に積載するガラス板7の最大積載高さ以上に設定されている。
また、側面押え部材5A、5Bは、互いに対向する側に、載置面2aに直交する平面に沿う押え面5a、5bをそれぞれ有している。このため、押え面5a、5bの間には、複数のガラス板7を、その長さWの各側面が押え面5a、5bにそれぞれ沿って整列するように配置することができる。
押え面5a、5bは、載置面2a上に積載されるガラス板7の載置面2a上の位置を規制する1対の位置規制面になっている。
また、押え面5a、5bは、軟質の緩衝材に覆われている。軟質の緩衝材としては、例えば、合成樹脂の発泡体、ゴム材料などを採用することができる。このため、たとえば輸送中の衝撃などによってガラス板7の側面が押え面5a、5bに当たってもガラス板7が傷つかないようになっている。
図示の側面押え部材5A、5Bは、模式図のため、平板状に描かれているが、これは一例である。側面押え部材5A、5Bにおいて、それぞれ押え面5a、5bと反対側の面の構造は特に限定されない。たとえば、補強支柱や補強リブなどを設けた構成としてもよい。
また、側面押え部材5A、5Bの材質は、金属材料や樹脂材料などを採用することができる。
【0021】
側面押え部材5Cは、押え面5a、5bの間に積載された複数のガラス板7の長さDの側面を載置面2a上の位置を規制するため、載置面2aに直交する平面に沿う押え面5cを有している。押え面5cは、押え面5a、5bと同様に、載置面2a上に積載されるガラス板7を載置面2aに沿う方向における位置規制面になっている。また、押え面5cの材質は、押え面5a、5bと同様の軟質の緩衝材に覆われている。また、側面押え部材5Cにおいて、押え面5cと反対側の面の構造は、特に限定されず、側面押え部材5A、5Bと同様の構造を採用することができる。
【0022】
シート押えガイド部材3は、載置面2aに沿う方向において側面押え部材5Cと対向する位置に配置されている。
シート押えガイド部材3の詳細構成は、図2、3に示すように、平板部3cと、1値の側板部3dと、1対の突条部3eとを備える。
平板部3cは、平面視で底板2の外形に沿う幅がwとされ、載置面2aに直交する方向に延ばされた側面視矩形状に設けられた部分である。
側板部3dは、平面視における平板部3cの幅wの両端部をそれぞれ基端として、平板部3cに対して直角かつ側面押え部材5C側に向う方向にそれぞれ延ばされた板状部である。
突条部3eは、平面視における各側板部3dの先端から、平板部3cと平行かつ平板部3cの幅wの内側に向かって突出され、載置面2aに直交する方向に沿って延ばされたている。
なお、各側板部3dおよび各突条部3eは、それぞれ底板2から平板部3cと同じ高さまで連続して設けられている。
【0023】
これにより、シート押えガイド部材3の平面視の形状は、図2に示すように、平板部3c、側板部3d、突条部3eで囲まれた1対の係合溝部3bが対向して形成され、各突条部3eの突出方向の先端に位置する1対の先端面3aがそれぞれ間隔をあけて対向されている。各係合溝部3bは、それぞれ底板2から平板部3cと同じ高さまで連続して設けられている。
図2に示すように、各係合溝部3bの平面視の溝幅はdとされ、各先端面3aの平面視の対向間隔はwとされている。また、図3に示すように、各突条部3eの突出方向に直交する方向の幅はuとされている。
また、シート押えガイド部材3の材質は、側面押え部材5A、5B、5C等と同様に金属材料や樹脂材料などを採用することができる。
【0024】
シート押え部材4は、図4に示すように、一方向に長い平面視矩形状の板状部材において長手方向に対向する両端部にそれぞれ溝部4cが設けられた平面視H字状の外形を有する。
各溝部4cは、それぞれ溝側面4h、溝底面4d、溝側面4jで構成された角溝状とされ、シート押え部材4の上面4fから下面4aに向かって貫通するとともに、シート押え部材4の長手方向の側面に開口している。
シート押え部材4の厚さはhとされ、上面4fと下面4aとは互いに平行な平面からなる。
また、各溝部4cの溝深さは等しく、溝底面4dは、互いにw(ただし、w<w)だけ間をあけて対向され、各溝部4cの溝幅はいずれもu(ただし、u>u)とされている。
また、各溝部4cの平面視の位置は、溝側面4hがシート押え部材4の短手方向の側面4gから、d(ただし、d<d)のだけ離れた位置に設けられ、溝側面4hに対向する溝側面4jは、シート押え部材4の側面4gと反対側の側面4bからd(ただし、d≧ΔW)だけ離れた位置に設けられている。
【0025】
このような形状により、シート押え部材4の側面4g側の両端部には、各溝部4cの溝側面4hを構成する係合突片部4eが形成されている。
各係合突片部4eは、図2に示すように、シート押え部材4の各溝部4c内にシート押えガイド部材3の各突条部3eが入るように、シート押え部材4を嵌め込んだときに、各係合溝部3bに嵌る大きさに形成されている。
【0026】
シート押え部材4の厚さhは、複数個をシート押えガイド部材3の高さ寸法よりも小さく、シート押えガイド部材3の高さの範囲で複数個を積み重ねることができる。
本実施形態では、シート押え部材4の厚さhは、ガラス板7の板厚をガラス板厚t、シート8の厚さをシート厚さtとするとき、(t+t)の整数倍としている。ただし、シート押え部材4の厚さhは、ガラス板厚tとシート厚さtとの比や、シート押え部材4の硬さなどに応じて、(t+t)の整数倍の近傍値を採用してもよい。
以下では、一例として、厚さhが、(t+t)の5倍の場合の例で説明する。
たとえば、ガラス板厚tが3.3(mm)のガラス板7、シート板厚tが0.1(mm)のシート8を積載する場合、h=5×(3.3+0.1)=17(mm)を採用することができる。この場合、シート押え部材4は、後述する荷重付加部材6が掛けられた状態において、0.5(mm)(=5×0.1)程度は厚さ方向に圧縮できる弾性を有する構成であることが好ましい。
【0027】
シート押え部材4の材質は、たとえば、合成樹脂またはゴム材料が好ましく、合成樹脂の発泡体がより好ましい。合成樹脂の発泡体の好ましい例としては、たとえばポリエチレン樹脂の発泡体を挙げることができる。
また、シート押え部材4は、シート押え部材4を積み重ねる個数にもよるが、荷重付加部材6を用いる本実施形態では、シート押え部材4を積み重ねたときに自重の影響が少なくなるように、軽量であることが好ましい。
また、少なくとも、下面4a、上面4fは、シート8が傷ついたり発塵したりすることなく滑らかに摺動でき、シート8に対する摩擦特性が安定している材質を採用することが好ましい。
ただし、シート押え部材4の材料構成は、単一の材質には限定されず、たとえば、摩擦特性が良好な材質を、下面4a、上面4fなどの表面に設けた複合材料を採用してもよい。また、たとえば、側面4bは、ガラス板7の積載時には、シート8を介してガラス板7の側面と対向されるため、側面4bに押え面5a、5b、5cと同様に表面に軟質の緩衝材を設けてもよい。
【0028】
荷重付加部材6は、複数積み重ねられたシート押え部材4を載置面2aの方に押し付けるための押圧力をシート押え部材4に加えるもので、本実施形態では、図2、3、5に示すように、伸縮性を有するベルト部材、たとえばゴムベルトからなる。
荷重付加部材6は、シート押えガイド部材3に嵌め込まれ、複数積み重ねられたシート押え部材4の溝底面4dに沿うとともに、積み重ね方向の最上段のシート押え部材4の各溝部4cの間の上面4fを跨ぐ経路に沿って掛けられ、両端に設けられた固定部6a、6bが底板2もしくはシート押えガイド部材3に固定されている。
固定部6a、6bの構成例としては、例えば、金属や剛性のある樹脂材料からなり、底板2もしくはシート押えガイド部材3に設けられた係止部に引っかけるフックなどが挙げられる。このため、荷重付加部材6は、固定部6a、6bのいずれかを外すことにより、積み重ねられたシート押え部材4に掛けられた状態を解除することができるようになっている。
【0029】
次に、パレット1にガラス板7を積載した場合の構成、すなわち、本実施形態のガラス板梱包体100の構成について説明する。
図6(a)、(b)は、本発明の第1の実施形態に係るガラス板パレットのガラス板積載時におけるシート押え部材近傍のガラス板積層体の断面構成を示す模式図である。図6(c)は、図6(b)におけるa部の部分拡大図である。
【0030】
ガラス板梱包体100において、ガラス板7とシート8とは、図2、3に示すように、交互に重ねられてパレット1の底板2の載置面2a上に水平に積載されている。より詳細には、図6(a)に示すように、載置面2a上に1枚のシート8が積載され、その上にガラス板7、シート8が5組積載されてガラス板積層体9を構成し、この最上面のシート8の上に、同様な構成のガラス板積層体9がさらに積載され、合計N組(Nは自然数)が積載されている。以下では、これらガラス板積層体9の位置等を区別する必要がある場合には、積層方向の下層側(載置面2a側)から順に、ガラス板積層体9A、9B、…、9M、9Nと称する。すなわち、ガラス板積層体9Nは最上層のガラス板積層体9を表している。また、ガラス板積層体9Mは、ガラス板積層体9Aから数えて(N−1)番目のガラス板積層体9を表す。
【0031】
各ガラス板積層体9において、ガラス板7の側面は、長さWの側面がそれぞれ側面押え部材5A、5Bの押え面5a、5bに挟まれた位置に配置され、長さDの側面の一方が、面押え部材5Cの押え面5cに突き当てられて配置されている。また、ガラス板7に重ねられたシート8もガラス板7と同様の位置関係に配置されている。
また、ガラス板7において、押え面5cと反対側の長さDの側面では、図6(a)、(b)に示すように、シート8はガラス板7の側面の位置(延在開始位置)から側方に延在されている。
この延在方向には、シート押えガイド部材3の各係合溝部3bおよび各先端面3aの間に嵌め込まれたシート押え部材4がガラス板積層体9と同数積み重ねられている。すなわち、ガラス板積層体9A、9B、…、9M、9Nに対応して、それぞれシート押え部材4A、4B、…、4M、4Nがこの順に積み重ねられている。
各シート押え部材4は、シート押えガイド部材3に嵌め込まれているため、載置面2aに沿う方向においては、シート押えガイド部材3の係合溝部3bおよび突条部3eが係合する位置を限度として位置規制されている。
たとえば、シート押え部材4が載置面2aに沿う方向において側面押え部材5C側に向かう外力を受けるとシート押え部材4は、外力の方向に移動するが、溝部4cの溝側面4hが突条部3eと係合すると、その位置でシート押え部材4の移動が停止し位置が固定される。
【0032】
各ガラス板7の側方に延在されたシート8は、図6(a)に示すように、ガラス板積層体9Aにおいては、シート押え部材4Aの下面4aによって載置面2aに押し付けられて、シート押え部材4Aの下面4aと載置面2aとの間に挟持されている。
また、図6(b)に示すように、ガラス板積層体9Nにおいては、シート押え部材4Nの下面4aによってシート押え部材4Nの下側のシート押え部材4Mの上面4fに押し付けられて、シート押え部材4Nの下面4aとシート押え部材4Mの上面4fとの間に挟持されている。
また、説明を省略するが、ガラス板積層体9B、…、9Mにおけるシート8は、ガラス板積層体9Nにおけるシート8と同様にして、積層方向に隣接するシート押え部材4同士の間に挟持されている。
【0033】
このため、各ガラス板積層体9のガラス板7の側方に延在されたシート8はシート押え部材4によって押さえつけられることにより、ガラス板7の側面における延在開始位置から積層方向における下方側の挟持された位置まで、ガラス板7の側面を覆うようにガラス板7の積層方向に沿って配置されている。
各ガラス板積層体9における5枚のシート8は、いずれも延在長さがΔWであるため、挟持される長さは、シート8の延在開始位置の積層方向の高さによって異なる。すなわち、図6(b)に示すように、ガラス板積層体9Nにおけるシート8を積層方向の下側から順に、シート8n、8n、8n、8n、8nとすると、図6(c)に示すように、シート押え部材4Mの上面4fに対して延在開始位置が最も近いシート8nの挟持長さが最も長く、シート8n、8n、8n、8nの挟持長さが順次短くなる。このため、各シート8の端部が、シート押え部材4Mの上面4fに沿う方向にずれて挟持されている。この結果、シート押え部材4Mの上面4fとシート押え部材4Nの下面4aとの間では、階段状をなして積層されている。これにより、挟持された各シート8の端部のシート面は、シート押え部材4Nの下面4aと直に当接する当接部C、C、C、C、Cが形成されている。
【0034】
ガラス板梱包体100において、N組のシート押え部材4A、…、4Nには、図2、3、5に示すように、シート押え部材4A、…、4Nの各溝部4cの溝底面4dに沿うとともに、シート押え部材4Nの各溝部4cの間の上面4fを跨ぐ経路に沿って、荷重付加部材6が掛けられている。この荷重付加部材6は、底板2に対して固定部6a、6bで固定されている。これにより、各シート押え部材4は、載置面2aの方に押圧され、各ガラス板積層体9のガラス板7の側方に延在されたシート8は、各シート押え部材4によって略一定の押圧力で押圧されたて挟持されている。
【0035】
シート押え部材4およびガラス板積層体9の積載組数Nは、積載高さがシート押えガイド部材3、側面押え部材5A、5B、5Cの高さを超えない範囲で、適宜設定することができる。
ただし、シート押えガイド部材3に嵌め込むシート押え部材4の数は、積載するガラス板7の枚数によらず一定とすることが好ましい。このようにすれば、本実施形態のように、荷重付加部材6としてゴムベルトなどを採用する場合、荷重付加部材6の張力が一定になり、ガラス板7の積載枚数に応じて荷重付加部材6の張力を調整する手間を省くことができる。
なお、シート押え部材4の数とガラス板積層体9とは、同数である必要はなく、ガラス板7の積載枚数が少なくてもよい場合には、ガラス板積層体9の積載数をシート押え部材4の積載数より減らしてもよい。
【0036】
ガラス板積層体9Nより下方の各ガラス板積層体9を構成するガラス板7およびシート8の各枚数を、以下ではブロック積載枚数と称する。本実施形態のブロック積載枚数は5枚である。
なお、本実施形態では、一例として、最上段のガラス板積層体9Nにおいても、ガラス板7およびシート8をブロック積載枚数だけ配置した場合の例で説明するが、ガラス板積層体9Nの積載枚数は、1枚以上ブロック積載枚数以下の適宜数を採用することができる。
【0037】
次に、本実施形態のパレット1を用いたガラス板積載方法について説明する。
図7は、本発明の第1の実施形態に係るガラス板積載方法のフローを示すフローチャートである。図8(a)、(b)は、本発明の第1の実施形態に係るガラス板積載方法の工程説明図である。
【0038】
本実施形態のガラス板積載方法は、図7に示すステップS1〜S8を以下に説明する順に行う。
ステップS1では、シート押え部材4を取り外した状態で、パレット1の載置面2a上に、1枚のシート8を広げて、シート8の外形の3辺が側面押え部材5A、5B、5Cの押え面5a、5b、5cに当接または近接するように積載する
次に、ステップS2では、ガラス板7の長さWの2辺および長さDの1辺をそれぞれ側面押え部材5A、5B、5Cに位置合わせした状態で、上方から下ろして、パレット1に積載する。
本実施形態では、ガラス板7の積載場所は、平面上にシート8が敷かれて構成される。以下では、ガラス板7の積載場所を「積載部」と称する。ここでいう積載部は、1枚目のガラス板7の積載時では、ステップS1において載置面2a上に積載されたシート8で構成された平面である。また、2枚目以降のガラス板7の積載時では、後述するステップS3で配置されたシート8で構成された平面である。
【0039】
次にステップS3では、シート8をガラス板7の少なくとも1辺からガラス板7の側方に延在させた状態でステップS2で積載された前記ガラス板7上に配置する。本実施形態では、シート8の長さWの2辺および長さDの1辺をそれぞれ側面押え部材5A、5B、5Cに位置合わせした状態で、上方から下ろして、ステップS2で積載されたガラス板7上に配置する。これにより、シート8の側面押え部材5Cと反対側の端部が、ガラス板7のシート押えガイド部材3側の側方に延在された状態で配置される。
【0040】
次にステップS4では、積載済みのガラス板7の枚数が、予定された全積載枚数(以下、単に全積載枚数という。)に達したかどうか判断する。
積載済みのガラス板7の枚数が全積載枚数に達した場合には、ステップS6に移行する。
積載済みのガラス板7の枚数が全積載枚数に達していない場合には、ステップS5に移行する。
【0041】
ステップS5では、積載済みのガラス板7がブロック積載枚数に達したかどうか判断する。
積載済みのガラス板7の枚数がブロック積載枚数に達した場合には、ステップS6に移行する。
積載済みのガラス板7の枚数がブロック積載枚数に達していない場合には、ステップS2に移行し、ステップS2からの各ステップを繰り返す。ただし、ステップS2における積載部は、最近のステップS3において配置されたシート8で構成された平面を意味するものとする。
【0042】
ステップS6は、載置面2aの方に下面4aが向けられるとともに載置面2aに沿う方向の位置が固定されたシート押え部材4によって、ガラス板7の側方に延在されたシート8を載置面2aの方に押し付ける工程である。
本実施形態では、シート押え部材4の各係合突片部4eがシート押えガイド部材3の各係合溝部3bに嵌め込まれるとともに、下面4aが載置面2aの方に向けられたシート押え部材4によって、ガラス板7の側方に延在された複数枚のシート8をまとめて載置面2aの方に押し付ける。
本実施形態では、最初にブロック積載枚数に達したときには、図8(a)に示すように、5枚のガラス板7に対応して5枚のシート8の端部がガラス板7の側方に延在されている。そこでシート押え部材4によりこれらを上方から載置面2aの方にまとめて押し付ける。
なお、このとき、荷重付加部材6は、シート押え部材4に触れないように取り外すかまたは退避させておく。
【0043】
シート押え部材4の側面4bは、ガラス板7の側面と5×t以上隙間を開けて対向されているため、各シート8の端部は、この隙間の間を通ってガラス板7の側方で下方に曲げられてから載置面2aとシート押え部材4Aの下面4aとの間に挟持される(図6(a)参照)。このとき、シート8の端部は、側面4bと各ガラス板7の側面と、および下面4aと積載部との間の隙間によって位置規制され、成り行きでS字状に曲げられていく。
シート8のこのような曲がり変形は、シート押え部材4をシート押えガイド部材3に嵌め込んで載置面2aの方に押し付けていくだけで実現される。このため、たとえば手作業でシート8を折り曲げる場合に比べて格段に容易に各シート8を曲げることができる。
これにより、ガラス板積層体9Aが形成される。
このとき、シート押え部材4Aの上面4fとガラス板積層体9Aの最上面のシート8とは、挟持されたシート8の合計厚さ5×tだけ高さの差があるが、上述した寸法例では、h=17(mm)に対して5×t=0.5(mm)であるため、シート押え部材4Aの上面4fとガラス板積層体9Aの最上面との高さの差は、約3%と小さい。
ただし、このような寸法例は一例であって、予定枚数のガラス梱包後にガラス輸送に問題がない範囲であれば、上面4fとガラス板積層体9Aとの高さはもっと大きな差があってもよい。
【0044】
また、ガラス板7の枚数がブロック積載枚数の2倍以上に達してからステップS6に移行した場合には、図8(b)に示すように、ガラス板積層体9A上に、5枚のガラス板7およびシート8が積載された状態で、同様にしてステップS6が行われ、シート押え部材4Aの上面4fとシート押え部材4Bの下面4aとの間でシート8の端部が挟持される。
【0045】
次に、ステップS7では、積載済みのガラス板7の枚数が全積載枚数に達したかどうか判断する。
積載済みのガラス板7の枚数が全積載枚数に達した場合には、ステップS8に移行する。
積載済みのガラス板7の枚数が全積載枚数に達していない場合には、ステップS2に移行し、ステップS2からの各ステップを繰り返す。
【0046】
ステップS8は、各シート押え部材4を荷重付加部材6によって載置面2aの方に押し付ける工程である。本実施形態では、退避させておいた荷重付加部材6を最上段のシート押え部材4Nの上側から、シート押え部材4Nの各溝部4cの間を跨ぐように掛ける。このとき、荷重付加部材6の弾性張力によって各シート押え部材4が載置面2aの方に押圧される。これにより、載置面2aとシート押え部材4Aの下面4a、または互いに隣接するシート押え部材4同士の間の上面4fと下面4aとの間にそれぞれ挟持されたシート8が積層方向に押圧されて、より強固に挟持される。
また、本実施形態では、各シート押え部材4の側面4b側に生じていた、各上面4fと各ガラス板積層体9の各最上面との高さの差は、シート押え部材4が板厚方向に圧縮されることによって略解消される。ただし、予定枚数のガラス梱包後にガラス輸送に問題がない範囲であれば、上面4fと各ガラス板積層体9の最上面との高さの差は残っていてもよい。
このようにして、ガラス板積層体9A、…、9Nの各ガラス板7は、シート8に覆われた状態で梱包され、ガラス板梱包体100が形成される。
以上で、本実施形態のガラス板積載方法が終了する。
【0047】
本方法によれば、積載されたガラス板7の長さWの2つの側面および長さDの側面の一方は、それぞれ側面押え部材5A、5B、5Cによって載置面2aに沿う方向に囲まれて位置規制されている。また、側面押え部材5Cに対向する位置の長さDの側面は、下方に曲げられたシート8を介してシート押え部材4の側面4bに対向しており、側面4bによって位置規制されている。このため、パレット1の輸送中に水平方向に外力が作用しても、各ガラス板7の載置面2aに沿う方向の位置が側面押え部材5A、5B、5C、および側面4bによって規制され、荷崩れを起こすことがなく安全に輸送することができる。
また、各ガラス板7は、板面の全面がシート8によって覆われた状態で積層されているため、ガラス板7の板面が傷ついたり、汚れたりすることがない状態で輸送することができる。
また、ガラス板7およびシート8を交互に重ねて積載する際、シート押え部材4によって、載置面2a側に押し付けるだけで、ガラス板7から側方に延在されたシート8を挟持して、載置面2a上または下側のシート押え部材4の上面4f上に容易に固定することができる。このため、積載作業をガラス板7を汚したり傷つけたりすることなく迅速に行うことができる。
【0048】
次に、本実施形態のガラス板梱包体100からガラス板7を取り出す本実施形態のガラス板取り出し方法について説明する。
図9(a)、(b)は、本発明の第1の実施形態に係るガラス板梱包体からガラス板を取り出す工程を説明する工程説明図である。
【0049】
ガラス板梱包体100から積載されたガラス板7を取り出すには、まず、図9(a)に示すように、ガラス板積層体9の最上層のガラス板積層体9Nの上面にエア吸着ロボット10を吸着させる。ガラス板積層体9Nの上面はシート8nで覆われている。
シート8は厚さ方向に通気できる材質からなるため、エア吸着ロボット10によって最上面のシート8であるシート8nとシート8nに覆われたガラス板7であるガラス板7nとがともにエア吸着される。
このとき、荷重付加部材6は、シート押え部材4に掛けたままとしておく。これにより、各シート押え部材4は、シート押えガイド部材3によって載置面2aに沿う方向の移動が規制されているとともに載置面2aの方に押し付けられている状態である。
なお、図9(a)は部分断面図のため、エア吸着ロボット10の吸着部は1つしか描かれていないが、ガラス板7をあまり撓ませることなく移動させることができるように、エア吸着ロボット10の吸着部はガラス板7の板面上に適宜間隔で複数配置されている。
【0050】
次に、図9(b)に示すように、エア吸着ロボット10を上昇させる。これにより、シート8nおよびガラス板7nが上方に引き上げられる。
このとき、ガラス板7nの下側のシート8nと、シート8nで覆われていたガラス板7nとには、エア吸着ロボット10の吸着力が及ばない。また、シート押え部材4Mの上面4fとシート押え部材4Nの下面4aで挟持されたシート8nの当接部C(図6(c)参照)は、シート押え部材4M、4Nが、荷重付加部材6によって押圧されているため、シート押え部材4Nの下面4aと密着された状態を保っている。
また、シート押え部材4Nは、シート押えガイド部材3によって載置面2aに沿う方向の移動が規制されているとともに載置面2aの方に押し付けられているため、シート8nが引き上げられるにつれて、シート8nから摩擦力を受けても、シート押えガイド部材3に対する嵌め込みのガタの範囲を限度として載置面2aに沿う方向の位置が規制され、載置面2aの方に押し付けられているため、シート8nが引き上げられる間、一定位置にとどまっている。
したがって、エア吸着ロボット10の移動に伴って、シート8nのみがシート押え部材4Nの下面4aとシート8nとの間で摺動して、上方に引き抜かれる。
これにより、ガラス板7nは、その上面にシート8nが密着された状態で、パレット1の上方に取り出される。
【0051】
このとき、エア吸着ロボット10を適宜の速度で上昇させれば、シート8nが乱れないようにすることができる。例えば、特に好ましい吸着方法としては、吸着直後の初期動作をゆっくりさせ、シート押え部材4からシート8nが抜けてから速度を上げる方法を挙げることができる。
このようにすれば、ガラス板7nの取り出し中も、シート8nはめくれ上がらないため、ガラス板7nを覆う状態を保つことができる。この結果、ガラス板7nの上面はシート8nによってゴミや汚れの付着を防止することができる。
このようにして、エア吸着ロボット10によって、最上面側からシート8によって上面が覆われた状態で、1枚ずつガラス板7を取り出していくことができる。
【0052】
本実施形態のガラス板梱包体100およびガラス板取り出し方法によれば、シート8をシート押え部材4によって押さえた状態のままで、ガラス板梱包体の積層体の上側から、シート8とともにガラス板7を取り出していくため、取り出すガラス板7の下側のシート8がめくれたり、位置ずれしたりすることなく、順次ガラス板7を取り出すことができる。
このため、取り出されたガラス板7の下側のガラス板7にゴミが付着したり汚れたりすることを防止できる。また、次のガラス板7を取り出しを行う前に、シート8のめくれを戻したり、位置ずれを直したりする作業を行うことなく、迅速にガラス板7を取り出すことができる。
【0053】
以上に説明したように、本実施形態のパレット1およびガラス板梱包体100によれば、シート押えガイド部材3と、複数のシート押え部材4とを備えることにより、積載されたガラス板7の下面側のシート8の位置を容易に固定することができるため、ガラス板を載置台上に積載したり載置台から取り出したりする作業を、ガラス板を汚したり傷つけたりすることなく迅速に行うことができる。
【0054】
[変形例]
次に、本実施形態の変形例について説明する。
図10は、本発明の第1の実施形態に係るガラス板パレットの変形例のガラス板積載時における模式的な平面図である。図11は、本発明の第1の実施形態に係るガラス板パレットの変形例のガラス板積載時における模式的な正面図である。
【0055】
本変形例のパレット1A(ガラス板パレット)は、上記第1の実施形態のパレット1の荷重付加部材6に代えて、荷重付加部材11を備える。以下、上記第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
荷重付加部材11は、シート押えガイド部材3の上端部から、下方に配置されたシート押え部材4を上から覆う範囲に突出して設けられた固定板11bと、固定板11bの下面側に固定され、シート押え部材4Nの上面4fを押圧する押えバネ11aとを備える。
固定板11bをシート押えガイド部材3の上端部に固定する固定手段は、着脱可能に固定することができれば適宜の固定手段を採用することができる。本実施形態では、固定ネジ11cによってシート押えガイド部材3の上端部に着脱可能に固定されている。
押えバネ11aは、本実施形態では、一例としてシート押え部材4の長手方向に沿って載置面2aに直交する方向に伸縮する圧縮コイルバネを複数個採用している。ただし、押えバネ11aは、圧縮コイルバネには限定されず、たとえば、板バネや、棒状のゴム部材などシート押え部材4を上面4fから載置面2aの方に押圧できる適宜の弾性部材を採用することができる。
【0056】
本変形例のパレット1Aを用いたガラス板積載方法は、図7に示すステップS1〜S8にしたがって、略同様に行うことができる。以下では、上記第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
本変形例のステップS1では、固定ネジ11cを外して、押えバネ11aが固定された固定板11bをシート押えガイド部材3から取り外しておく。
また、本変形例のステップS8では、上記第1の実施形態と同様にして、シート押え部材4およびガラス板積層体9をN組積載する。そして、取り外しておいた固定板11bを押えバネ11aが最上段のシート押え部材4Nの上面4fを押圧する状態に配置する。そして、固定板11bを固定ネジ11cによってシート押えガイド部材3の上端部に固定する。
これにより、固定板11bとシート押え部材4Nの上面4fとの間で押えバネ11aが圧縮され、押えバネ11aからの弾性力によって各シート押え部材4が押圧される。このため、上記第1の実施形態と同様に、載置面2aと下面4a、または上面4fと下面4aとの間にそれぞれ挟持されたシート8が載置面2aの方に押圧される。
【0057】
本変形例によれば、上記第1の実施形態と同様に、取り出されるガラス板の裏面側のシート部材の位置を容易に固定することができるため、ガラス板を載置台上に積載したり載置台から取り出したりする作業を、ガラス板を汚したり傷つけることなく迅速に行うことができる。
【0058】
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態に係るガラス板パレットおよびガラス板梱包体について説明する。
図12は、本発明の第2の実施形態に係るガラス板パレットの構成を示す模式的な正面図である。図13は、図12におけるA視図である。図14は、図12におけるB視図である。
【0059】
本実施形態のパレット20(ガラス板パレット)は、図12〜14に示すように、ガラス板7とシート18(シート部材)とを交互に重ねて斜め方向に積載して、ガラス板梱包体200を形成するものである。以下では、上記第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
なお、ガラス板7の配置の向きは、適宜の向きに設定することができるが、本実施形態では、一例として、ガラス板7の長さWの辺が水平方向に沿った状態で積載される場合の例で説明する。
また、シート18は、上記第1の実施形態のシート8と外形寸法のみが異なる部材である。本実施形態のシート18の外形寸法は、(W+2×ΔW)×(D+ΔD)の矩形である。
ここで、ΔWはシート押え部材4の厚さhに適宜の押え代を加えた寸法であり、上記第1の実施形態のΔWと同様の寸法である。
また、ΔDは、0以上の適宜寸法を採用することができる。ただし、ΔDはガラス板7のガラス板厚tより大きな寸法とすれば、ガラス板7から側方に延出された部分を折り曲げた場合にガラス板7の側面を覆うことができるため、より好ましい。
【0060】
パレット20の概略構成は、図12に示すように、平面視矩形状の底板25と、底板25の外形の一辺に配置され底板25から鉛直上方に向かって延ばされた後支持板26と、底板25の法線に対して鋭角をなす角度θだけ傾斜して設けられた矩形状の背受け板23と、背受け板23の下端部から背受け板23に対して直交する方向に延ばされた底受け板21とを備える。
なお、図12は模式図のため、底板25が1枚の平板状に描かれているが、底板25は例えば格子状のフレームなどで構成されていてもよい。また、例えば、フォークリフトで移動できるようにフォーク差し込み口などが設けられていてもよい。
【0061】
背受け板23は、ガラス板7を底板25の法線に対して角度θだけ斜めに積載するため、平坦な載置面23aが形成された載置台であり、載置面23aの裏側の板面が、底板25上に設けられた三角ブロック状の傾斜ブロック27の傾斜面に支持され、傾斜ブロック27を介して底板25上に固定されている。また、背受け板23の上端部は後支持板26に当接した状態で固定されている。
図13に示すように、背受け板23の載置面23aは、シート18の長さ(W+2×ΔW)の辺を底受け板21に突き当てて配置したときに、シート18で覆われるよりも広い面積を有している。また、背受け板23の形状は、ガラス板7の配置の向きと同様に、水平方向に長い矩形状である。
背受け板23の角度θは、たとえば、4度〜15度の範囲が好ましい。
【0062】
背受け板23の載置面23a側には、底受け板21の近傍において、水平方向に幅(W+2×ΔW)をあけて、載置面23aに直交する方向に1対の側面押え板22が立設されている。
側面押え板22は、輸送中などに外力を受けて、ガラス板7が載置面23aに沿って水平方向移動することを防ぐ目的で設置するものであり、上記第1の実施形態の側面押え部材5Aと同様の構成を備える。このため、通常は側面押え板22がガラス板7の側面と直接当接することはないが、万一、ガラス板7が当接した場合にもガラス板7が傷つかないように、側面押え板22の互いに対向する押え面22aは、上記第1の実施形態の押え面5aと同様の軟質の緩衝材が設けられている。
【0063】
また、背受け板23の上側には、水平方向に対向して上記第1の実施形態と同様の構成を有する1対のシート押えガイド部材3が載置面23aに直交する方向に立設されている。各シート押えガイド部材3の1対の突条部3eの先端面3aによる開口が、互いに対向する位置関係に配置されている。
これら1対のシート押えガイド部材3には、上記第1の実施形態と同様に、N個のシート押え部材4が嵌め込まれ、載置面23aに直交する方向に積載されている。これら対向するシート押え部材4の側面4bの間の距離は、W+10×t以上になるように設定されている。
また、載置面23a上には、N個積み重ねられたシート押え部材4の積み重ね方向の最上面および溝底面4dに掛けられた荷重付加部材6がそれぞれ固定されている。
なお、図14には、N=3の場合の例が図示されているが、これは一例であって、Nは、上記第1の実施形態と同様に、2以上の適宜の値を採用することができる。
【0064】
底受け板21は、載置面23a上に積載されたガラス板7の下端側(長さWの辺側)の側面を支持する板状部材であり、三角ブロック状の傾斜ブロック24を介して底板25上に固定されている。底受け板21において、傾斜ブロック24に取り付けられた板面と反対側の板面には、上記第1の実施形態の側面押え部材5A等に形成された押え面5a等と同様の構成を有する受け面21aが形成されている。
【0065】
このような構成のパレット20によれば、図7に示すステップS1〜S8を行うことにより上記第1の実施形態のガラス板積載方法と略同様にして、ガラス板7とシート18とを交互に重ねて積載し、ガラス板梱包体200を形成することができる。
ただし、ガラス板7の載置面が斜めに傾斜された載置面23aであることと、シート押え部材4が水平方向に対向する2箇所に積み重ねられることとが上記第1の実施形態と異なるため、各ステップの具体的な実施態様は一部異なる。以下、本実施形態のガラス板積載方法について、上記第1の実施形態のガラス板積載方法と異なる点を中心に簡単に説明する。
【0066】
まず、本実施形態のステップS1では、載置面23a上にシート18を積載する。このとき、シート18の長さ(D+ΔD)の辺をそれぞれ1対の側面押え板22の押え面22aに沿って配置し、シート18の長さ(W+2×ΔW)の辺の一方を底受け板21の受け面21aに沿うように配置して積載する。
【0067】
次に、本実施形態のステップS2では、ガラス板7の長さ(W+2×ΔW)の辺側の側面が受け面21aに沿うとともに、ガラス板7の長さ(D+ΔD)の辺側の両側面が、側面押え板22の受け面21aから等しい距離だけ離れた位置関係になるように積載済みのシート18上にガラス板7を積載する。
【0068】
次に、本実施形態のステップS3では、積載されたガラス板7上にシート18を配置する。このとき、シート18は、積載済みのガラス板7の長さ(D+ΔD)の辺側の側面の位置から両側方に均等に延在されるように配置する。すなわち、1対のシート押えガイド部材3を有することに対応して、シート18をシート押えガイド部材3に対向するガラス板7の2辺から側方に延在するようにガラス板7上に配置する点が上記第1の実施形態と異なる。
具体的には、シート18の下端部および水平方向の側部がそれぞれ受け面21a、および一対の押え面22aに沿うように位置合わせしてから、シート18をガラス板7上に配置すればよい。
【0069】
次に行う本実施形態のステップS4、S5は上記第1の実施形態のステップS4、S5と同様のステップである。
このため、ガラス板7が予定された全積載枚数に達するか、またはガラス板7の枚数がブロック積載枚数に達すると、本実施形態のステップS6に移行する。
【0070】
本実施形態のステップS6は、ガラス板7の2つの長さ(D+ΔD)の辺側の側面の位置から側方に延在されたシート18をそれぞれシート押え部材4によって載置面23aの方に押し付ける点が上記第1の実施形態と異なる。
次に行う本実施形態のステップS7は上記第1の実施形態のステップS7と同様のステップである。
【0071】
本実施形態のステップS8は、2つのシート押えガイド部材3にそれぞれ嵌め込まれたそれぞれN個のシート押え部材4を、2つの荷重付加部材6によってそれぞれ載置面23aの方に押し付ける点が上記第1の実施形態と異なる。
以上に述べたようにステップS1〜S8を行うことによって本実施形態のガラス板積載方法が終了する。
これにより、パレット20の載置面23a上にガラス板7とシート8とが交互に重ねられたガラス板積層体が積載されたガラス板梱包体200が形成される。
【0072】
本実施形態における側面押え板22は水平方向に可動式であることが望ましい。この場合、ステップS8の終了後に、側面押え板22がガラス板7の側面に当接するように押し付けて固定することにより、ガラス板7の輸送などによる外力による水平方向への位置ずれを防止することができる。
また、ガラス板7を取り出すには、最初に側面押え板22を開放しておき、エア吸着ロボットが側面押え板22と干渉しないようにする。
また、ガラス移動後に複数のパレットを重ねて保管するために、背受け板23、傾斜ブロック24、シート押えガイド部材3、側面押え板22に分解機能、移動機能を持たせて、複数パレットを積み重ねるなどの収納機能を付与することがより好ましい
【0073】
本実施形態のパレット20は、ガラス板7における長さDの2つの側面からそれぞれの側方に延在させたシート18を、それぞれ複数のシート押え部材4によって載置面23aの方に押し付けるため、シート18がガラス板7の長さDの辺間を跨いで重ねられ、これにより、積載されたガラス板7の長さW方向の両端をシート18で押さえた状態で、シート18を固定することができる。このため、最上面のガラス板7を覆うシート18をより安定した状態でガラス板7の表面に密着させることができる。また、ガラス板7を載置面23aの方に、より強固に押し付けることができる。
また、ガラス板7を上記第1の実施形態と同様にしてエア吸着ロボット10によってパレット20から取り出す場合、取り出される最上段のガラス板7nの下側のシート8nがパレット20に残されるガラス板7nの長さDの辺間にまたがって2箇所で載置面23a側に押し付けられているため、シート8nがめくれ上がることを確実に防止することができる。このため、ガラス板7nをシート8nとともに迅速に取り出すことができる。
【0074】
なお、上記の説明では、荷重付加部材によって複数個積載されたシート押え部材の全体を載置面の方に押し付ける場合の例で説明したが、荷重付加部材は、シート部材を挟持する2つの部材間、すなわち載置台と最下段のシート押え部材との間、または隣接するシート押え部材同士の間にそれぞれ設けられていてもよい。
【0075】
また、上記の説明では、荷重付加部材を用いてシート押え部材を載置面の方に押し付ける場合の例で説明したが、シート押え部材の自重によって必要な押し付け力が得られる場合には、荷重付加部材を削除した構成としてもよい。この場合、より簡素な構成のガラス板パレットとすることができる。
この場合、複数のシート押え部材を水平に積み重ねるとシート部材が挟まれる高さ方向の位置によって押し付け力にばらつきが生じる可能性はある。ただし、ガラス板の取り出し時にガラス板とともにガラス板の上面を覆うシート部材を引き抜くことができる範囲であれば、押し付け力にはばらつきがあってもよい。
また、この場合、シート押え部材の質量や厚さを変えた部材を積み重ねるようにすれば、高さ方向の位置による押し付け力のばらつきを低減または解消することができるためより好ましい。
また、シート押え部材が1個の場合には押し付け力のばらつきは生じないため、荷重付加部材を削除しても良好にシート部材を押さえることができる。
また、上記第2の実施形態のように、ガラス板を斜めに積載する場合には、シート押え部材も斜めに積み重ねられるため、水平に積み重ねる場合に比べて高さ方向の位置による押し付け力のばらつきは小さくなる。
【0076】
また、上記の説明では、ガラス板積載方法は、ガラス板とシート部材とを交互に複数枚重ねてガラス板積層体を形成した後に、シート押え部材でガラス板の側方に延出されたシート部材を載置面側に押し付ける場合の例で説明したが、予めガラス板パレットの外部でガラス板積層体を形成しておき、このガラス板積層体ごとガラス板パレット内に積載するようにしてもよい。
【0077】
また、上記の説明では、シート押え部材が、シート押え部材係合部に設けられた係合溝部に嵌め込まれる係合突片部を有し、この係合溝部と係合突片部とが載置面に沿う方向に係合されることにより、シート押え部材の載置面に沿う方向の位置が規制される場合の例で説明したが、シート押え部材とシート押え部材係合部との係合構造は、このような構造に限定されるものではない。
【0078】
また、上記の各実施形態、変形例に説明したすべての構成要素は、本発明の技術的思想の範囲で適宜組み合わせて実施することができる。
たとえば、上記第1の実施形態の変形例の荷重付加部材11を上記第2の実施形態の荷重付加部材6に代えて用いてもよい。また、上記第1の実施形態において、ガラス板の3つの側面の位置、あるいは4つの側面の位置から側方にシート部材を延出させてそれぞれをシート押え部材で載置面側に押し付けるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0079】
1、1A、20 パレット(ガラス板パレット)
2 底板(載置台)
2a、23a 載置面
3 シート押えガイド部材(シート押え部材係合部)
3a ガイド開口部
3b 係合溝部
4、4A、4B、4M、4N シート押え部材
4a 下面
4b 側面
4c 係合溝部
4d 溝底面
4e 係合突片部
4f 上面
4g T字状突起
5A、5B、5C 側面押え部材
6、11 荷重付加部材
7、7n、7n、7n、7n、7n ガラス板
8、8n、8n、8n、8n、8n5、18、18n、18n5、 シート(シート部材)
9 ガラス板積層体(積層体)
9A、9B、9M、9N ガラス板積層体
21 底受け板
21a 受け面
22 側面押え板
22a 押え面
23 背受け板(載置台)
100、200 ガラス板梱包体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス板とシート部材とを交互に重ねて積載するガラス板パレットであって、
前記シート部材を前記ガラス板の少なくとも1辺から前記ガラス板の側方に延在させて配置できる載置面を有する載置台と、
前記ガラス板の側方に延在された前記シート部材を前記載置面の方に押し付ける下面と該下面に平行な上面とを有し、前記載置台上に積み重ねられた複数のシート押え部材と、
該複数のシート押え部材を前記載置面に沿う方向において係合するシート押え部材係合部と、
を備えることを特徴とするガラス板パレット。
【請求項2】
前記複数のシート押え部材を前記載置面の方に押し付ける荷重付加部材を備えることを特徴とする請求項1に記載のガラス板パレット。
【請求項3】
ガラス板とシート部材とを交互に重ねて載置面上に積載するガラス板積載方法であって、
1枚以上の前記ガラス板を、前記シート部材と交互に重ねられかつ該シート部材が前記ガラス板の少なくとも1辺から該ガラス板の側方に延在された状態で、前記載置面上に配置し、
前記載置面の方に下面が向けられるとともに前記載置面に沿う方向の位置が規制されたシート押え部材によって、前記ガラス板の側方に延在された前記シート部材を前記載置面の方に押し付け、
前記シート部材で覆われたガラス板上に他のガラス板を配置し、
前記シート押え部材および前記他のガラス板上に、他のシート部材を配置し、
前記他のガラス板および前記他のシート部材を、それぞれ1以上交互に重ねて配置した後、
前記他のガラス板の側方に延在された前記他のシート部材上に、前記載置面の方に下面が向けられるとともに前記載置面に沿う方向の位置が規制された他のシート押え部材を積み重ね、該他のシート押え部材の下面を、前記他のシート部材の下側の前記シート押え部材の方に押し付ける、
ことを特徴とするガラス板積載方法。
【請求項4】
載置面を有する載置台と、
前記載置面上に配置され、ガラス板とシート部材とが交互に重ねられ、かつ前記シート部材が前記ガラス板の少なくとも1辺から前記ガラス板の側方にそれぞれ延在された積層体と、
前記シート部材が延在された前記ガラス板の側方の前記載置台上において、前記積層体の積層方向に沿う方向に積み重ねられた複数のシート押え部材と、
該複数のシート押え部材を前記載置面に沿う方向において係合するシート押え部材係合部と、を備え、
前記ガラス板の側方に延在されたシート部材が、前記積層方向における前記載置面の方から前記積層方向に重ねられた複数枚ずつに分けられて、前記載置面と該載置面に隣接するシート押え部材との間、および前記積層方向において互いに隣接するシート押え部材同士の間にそれぞれ挟持されるとともに、前記複数のシート押え部材によって前記載置面の方に押し付けられている、
ことを特徴とするガラス板梱包体。
【請求項5】
請求項4に記載のガラス板梱包体から前記ガラス板を取り出すガラス板取り出し方法であって、
前記シート押え部材が前記シート押え部材係合部によって係合されているとともに前記載置面の方に押し付けられている状態で、前記積層体の上層側から、前記ガラス板を取り出していく、
ことを特徴とするガラス板取り出し方法。
【請求項6】
前記ガラス板を取り出す際に、該ガラス板を覆うシート部材とともに吸着して取り出す、
ことを特徴とする請求項5に記載のガラス板取り出し方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−207483(P2011−207483A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−73976(P2010−73976)
【出願日】平成22年3月29日(2010.3.29)
【出願人】(000000044)旭硝子株式会社 (2,665)
【Fターム(参考)】