説明

ガラス管の検査装置、及び当該検査装置を備えたランプ製造装置

【課題】ランプ製造に際してガラス管の検査を効率よく行うことのできる検査装置及び当該検査装置を備えたランプ製造装置を提供する。
【解決手段】冷陰極蛍光灯1を製造するランプ製造装置は、長手方向中央部を含み、塗布液が塗布されることで蛍光体層が形成された塗膜部33と、一端部を含み、一旦形成された蛍光体層を除去することで形成された塗膜剥離部32と、他端部を含み、塗布液が塗布されなかった非塗布部31とからなるガラス管11のうち、塗膜部33の検査及び塗膜剥離部32の検査を行う検査装置41を備えている。検査装置41は、ガラス管11に光を照射可能な照射手段44、45と、照射手段44、45とはガラス管11を介して反対側に設けられ、ガラス管11を透過した透過光を撮像可能な撮像手段46、47と、撮像手段46、47による撮像に際し、非塗布部31を保持する案内レール55及び押え板61とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷陰極蛍光灯等のランプの製造に際してガラス管の検査を行うための検査装置、及び当該検査装置を備えたランプ製造装置を含む技術分野に属するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、液晶表示装置等のバックライト用光源として、冷陰極蛍光灯(CCFL)が使用される。かかる蛍光灯は、一般的に、内周面の所定部位に蛍光体層が形成されるとともに、不活性ガス及び水銀蒸気が導入されるバルブ部と、バルブ部の両端にて封止されるとともに、バルブ部内に高電圧を放出する電極マウントとを備える。
【0003】
かかる冷陰極蛍光灯は、例えば、次のように製造される。まず、ガラス管を用意し、内壁面に蛍光体層を形成する。次に、ガラス管の一端部にマウントを封止する。より詳しくは、マウントは、電極部、電極部から延びるリード線、及びリード線の基端部側に設けられたガラス製のビードからなり、ガラス管と前記ビードとが相互に溶着させられることで封止される。続いて、ガラス管の他端側に2ヶ所の縮径部を形成する。2ヶ所の縮径部のうちガラス管の一端側に位置する縮径部に別のマウントを仮止めし、他端側に位置する縮径部に水銀合金部材を挿入する。
【0004】
そして、ガラス管内を排気しつつ、不活性ガスを導入する。この際、不純物の排出効率をより高めるために、ガラス管の加熱が行われる。その後、ガラス管は徐冷され、ガラス管の他端部が封止される。
【0005】
その後、別装置において、高周波加熱を行うことによりガラス管内に水銀蒸気を放出させる。そして、前記仮止めされていた残りのマウントを封止する。より詳しくは、ガラス管を所定位置に位置決めした状態で、別のマウントの仮止めされている縮径部外周を加熱し、相互に溶着し、その後、不要部位、つまり、水銀合金部材の存在する部位を切除する。かかる一連の工程を経ることで、換言すれば各種工程のための複数の加工装置を経ることでランプとしての冷陰極蛍光灯が得られる。勿論、上記手順はあくまでも一例である。
【0006】
ところで、一般に、ガラス管は、マウントを設置して封止する工程よりも前の段階で検査が行われ、欠陥があるものは排除されることとなる(例えば、特許文献1参照)。これにより、欠陥のあるガラス管を用いた冷陰極蛍光灯を製造してしまうといった事態を回避することができ、製造効率の向上、省資源化等が図られる。
【特許文献1】特開平8−94329号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上記特許文献1に記載の検査装置は、ガラス管の中央部を回転支持手段により支持して、ガラス管を回転させつつ、ガラス管を透過する光をカメラで撮像し、良否判定を行うものである。しかしながら、上記特許文献1に記載の検査装置では、ガラス管の端部の損傷に関する検査を行えるものの、ガラス管の中央部に関しては、検査を行うことができない(回転支持手段の存在によりガラス管の中央部に光を透過させることができない)構成となっている。このため、ガラス管に形成された蛍光体層の塗布斑の検査を行う場合には、別途の工程及び構成が必要となってしまう。さらに、上記特許文献1の検査装置では、撮像に際してガラス管が動いたり、位置ずれしたりするおそれがあり、検査精度の低下を招いてしまうことが懸念される。
【0008】
これに対し、ガラス管の一端部側を把持してガラス管の撮像を行うことも考えられるが、この場合、把持された部位にある傷の検査を行うことができないため、別途、他端部側を把持して一端部側の撮像を行う必要が生じてしまう。
【0009】
本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであり、その目的は、ランプ製造に際してガラス管の検査を効率よく行うことのできる検査装置及び当該検査装置を備えたランプ製造装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
以下、上記目的等を解決するのに適した各手段につき、項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果を付記する。
【0011】
手段1.ランプの製造過程において用いられ、
ガラス管の内壁面に対して塗布液を塗布し、前記ガラス管の一端部及び長手方向中央部を含む塗布液が塗布された塗布部と、前記ガラス管の他端部を含む塗布液が塗布されていない非塗布部とを形成するとともに、前記ガラス管の内壁面に塗布された塗布液を乾燥させて蛍光体層を形成し、さらに、前記ガラス管の内壁面に形成された前記蛍光体層のうち前記一端部における前記蛍光体層を剥がすことで、塗膜剥離部を形成してなるガラス管を検査するガラス管の検査装置であって、
前記ガラス管に対して光を照射可能な照射手段と、
前記照射手段とは前記ガラス管を介して反対側に設けられ、前記ガラス管を透過した透過光を撮像可能な撮像手段と、
前記撮像手段から出力される画像信号を処理する画像処理装置と、
前記撮像手段による撮像に際し、前記非塗布部を保持する保持手段とを備え、
前記画像処理装置は、前記蛍光体層が形成されている部位である塗膜部の検査と前記塗膜剥離部の検査とを行うことを特徴とするガラス管の検査装置。
【0012】
手段1によれば、検査装置は、撮像手段による撮像に際してガラス管を保持する保持手段を備えているため、撮影に際してガラス管の変位を防止することができ、検査精度を向上させることができる。
【0013】
また、蛍光体層が形成されたガラス管に関しては、蛍光体層の斑等の検査を行う他に、ガラス管の傷の有無についての検査を行うことが望ましい。ところで、ガラス管の傷に関する鋭意検討の結果、当該傷は主として塗膜剥離部において形成されることが明らかとなった。すなわち、塗膜剥離部に関しては、一旦形成された蛍光体層を除去(剥離)する作業を必要とし、当該除去作業に際し、ガラス管に傷が形成されるおそれがあることが検証により明らかとなったのである。これに対し、非塗布部に関しては塗布液が塗布されないことから、非塗布部において、蛍光体層の斑の検査や、蛍光体層の剥離作業に際して形成されるおそれのある傷の検査を行わずとも特段の支障がないといえる。
【0014】
さて、本手段1によれば、保持手段は、ガラス管のうち、上記の通り、傷などの検査を実質的に要しない非塗布部を保持する構成となっている。このため、例えば、保持手段が塗膜剥離部を保持することで塗膜剥離部の検査が阻害されてしまったり、保持手段が塗膜部を保持することで塗膜部の検査が阻害されてしまったりするといった事態を回避することができる。すなわち、ガラス管の保持手段により保持される位置を途中で変更することなく、一つの検査装置によってガラス管に関して必要な検査、つまり、蛍光体層の斑の検査及び塗膜剥離部の傷の検査を確実に行うことができる。従って、例えば、ガラス管の一端部を保持して他端部側及び塗膜部の検査を行った後、ガラス管の他端部を保持して一端部側の検査を行ったり、或いは、ガラス管の一端部を保持して塗膜部の検査を行った後、塗膜部を保持して両端部側の検査を行ったりするといった必要がなくなり、ガラス管の検査を効率的に行うことができる。
【0015】
手段2.前記照射手段は、前記塗膜部の検査時には、前記塗膜部に光を照射するとともに、前記塗膜剥離部の検査時には、前記塗膜剥離部に光を照射し、
前記塗膜剥離部の検査時においては、前記照射手段は、当該照射手段から発せられた光が、前記塗膜剥離部を透過して前記塗膜剥離部を検査する前記撮像手段へと直接入射することのない位置で発光することを特徴とする手段1に記載のガラス管の検査装置。
【0016】
手段2によれば、塗膜剥離部が損傷していない場合、照射手段から発せられ、ガラス管の塗膜剥離部を透過した光は基本的に塗膜剥離部を検査するための撮像手段に直接(直線的に)入射しないのであるが、塗膜剥離部が損傷している場合、照射手段からの光がかかる損傷部位において拡散し、当該拡散した光が撮像手段に入射することとなる。このため、例えば、照射手段の光が撮像手段に直接入射する場合に比べ、塗膜剥離部を撮像した画像のうち損傷部位に対応する部位と、非損傷部位に対応する部位との明暗の差を明確にすることができる。従って、ガラス管の傷の検査の精度を向上させることができる。
【0017】
手段3.前記照射手段は、前記ガラス管のうち前記塗膜部に光を照射する第1照射手段と、前記塗膜剥離部に光を照射する第2照射手段とを備え、
前記撮像手段は、前記ガラス管を挟んで前記第1照射手段とは反対側に設置され、前記塗膜部を透過した光を撮像可能な第1撮像手段と、前記ガラス管を挟んで前記第2照射手段とは反対側に設置され、前記塗膜剥離部を透過した光を撮像可能な第2撮像手段とを備え、
前記第2照射手段は、当該第2照射手段から発せられた光が前記第2撮像手段から外れる方向に照射される位置に設けられていることを特徴とする手段1又は2に記載のガラス管の検査装置。
【0018】
手段3によれば、塗膜剥離部が損傷していない場合、第2照射手段から発せられ、ガラス管の塗膜剥離部を透過した光は基本的に第2撮像手段に入射しないのであるが、塗膜剥離部が損傷している場合、第2照射手段からの光がかかる損傷部位において拡散し、当該拡散した光が第2撮像手段に入射することとなる。このため、例えば、第2照射手段の光が第2撮像手段に直接入射するように第2照射手段及び第2撮像手段を相対配置する場合に比べ、塗膜剥離部を撮像した画像のうち損傷部位に対応する部位と、非損傷部位に対応する部位との明暗の差を明確にすることができる。従って、基本的に上記手段2と同様の作用効果が奏される。
【0019】
尚、「前記第2撮像手段は、前記ガラス管の長手方向において前記塗膜剥離部と同じ位置に設置され、前記第2照射手段は、前記ガラス管の長手方向において前記塗膜剥離部からずれた位置に設置されていること」としてもよい。
【0020】
手段4.前記第1照射手段が発光状態とされ、前記第2照射手段が非発光状態とされる第1の状態と、
前記第1照射手段が非発光状態とされ、前記第2照射手段が発光状態とされる第2の状態とに切替え可能に構成され、
前記第1撮像手段による撮像が行われる場合に前記第1の状態に切替わり、前記第2撮像手段による撮像が行なわれる場合に前記第2の状態に切替わることを特徴とする手段3に記載のガラス管の検査装置。
【0021】
手段4によれば、第1撮像手段の撮像に際して第2照射手段からの光が第1撮像手段に入射したり、第2撮像手段の撮像に際して第1照射手段からの光が第2撮像手段に入射したりすることに起因して、塗膜部及び塗膜剥離部の各検査精度の低下を招いてしまうといった事態を防止することができる。
【0022】
手段5.前記撮像手段による撮像が行われる撮像区間において、前記ガラス管を回動変位させる回動手段を備えていることを特徴とする手段1乃至4のいずれかに記載のガラス管の検査装置。
【0023】
手段5によれば、回転手段によりガラス管を回転させつつガラス管を撮像することによって、数少ない撮像手段でガラス管の全周をくまなく撮像することができる。従って、検査精度の向上を図りつつ、検査効率の向上、検査装置の構成の簡素化等を図ることができる。
【0024】
手段6.前記回動手段は、前記ガラス管の前記非塗布部を上下に挟持する上下一対の作業片を有するチャックを前記ガラス管の搬送方向に沿って複数備えるとともに、前記複数のチャックはいずれも同期して同じ動作を行う構成であって、
前記チャックが、前記一対の作業片で前記ガラス管を挟持した状態で所定角度回動しつつ前記ガラス管の搬送方向下流側に所定距離変位してから前記作業片による挟持状態を解除し、前記ガラス管を挟持していない状態で所定角度反対向きに回動しつつ前記ガラス管の搬送方向上流側に所定距離戻って次の前記ガラス管を挟持するといった一連の動作を反復して所定回数行うことで、前記ガラス管の全周を前記撮像手段により撮像可能としたことを特徴とする手段5に記載のガラス管の検査装置。
【0025】
手段6のように、複数のチャックが反復動作を行うことで、効率的にガラス管の全周を撮像手段により撮像することができ、製造作業効率の向上を図ることができる上、各チャック(各作業片)の変位量を極力小さいものとすることができ、検査装置の大型化を抑止することができる。
【0026】
また、各チャックの作業片は上下一対で設けられ、ガラス管を上下に把持する構成となっているとともに、本手段では、各チャックによるガラス管の一回の回動角度を、各作業片が互いに隣接する作業片や、隣接する作業片が挟持するガラス管に当接しない程度の比較的小さい角度に設定することができるため、ガラス管の搬送方向における各チャックの間隔、ひいてはガラス管同士の間隔を詰めることができる。従って、ガラス管の搬送方向における撮像区間(撮像が必要とされる範囲)を短くすることができる。結果として、画角の大きな撮像手段を用意したり、検査装置を大型化したりする必要がなくなり、コストの削減や製造効率の向上等を図ることができる。
【0027】
手段7.前記ガラス管の長手方向において、前記非塗布部の長さと前記塗膜剥離部の長さとが異なる構成であって、
前記ガラス管の端部における前記蛍光体層が形成されていない部位の長さに基づき、前記ガラス管の向きを判定する向き判定手段を備えていることを特徴とする手段1乃至6のいずれかに記載のガラス管の検査装置。
【0028】
手段7によれば、向き判定手段により、検査装置に供給されたガラス管の向きが適切であるか否かを判別することができる。従って、保持手段が非塗布部ではなく塗膜剥離部を保持してしまうといった事態を確実に防止することができる。尚、向き判定手段により向きが反対であると判定された場合に、その旨を報知する報知手段を設けたり、向き判定手段により否定判定された場合に、対象のガラス管を、その他のガラス管と区別する(検査装置から排出する)選別手段を設けたり、向き判定手段により向きが反対であると判定された場合に、ガラス管を反転させる姿勢矯正手段を設けたりすることとしてもよい。
【0029】
手段8.手段1乃至7のいずれかに記載のガラス管の検査装置を備えたことを特徴とするランプ製造装置。
【0030】
手段8のように、検査装置をランプ製造装置に備えることで、ランプの製造過程において、ガラス管に傷や蛍光体層の斑があるような不良品を効率的に除外できる等のメリットが生じる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下に、一実施形態について図面を参照しつつ説明する。図1(f)に示すように、本実施形態におけるランプを構成する冷陰極蛍光灯1は、ガラスよりなるバルブ2と、バルブ2の両端において封止状態で設けられた第1マウント3及び第2マウント4とを備えている。バルブ2の内壁面(散点模様を付した部位)には、蛍光体層5が設けられているとともに、バルブ2内部には水銀蒸気が存在している。各マウント3,4は、電極部21、該電極部21から延びるリード線22及びリード線22の基端部側に設けられたガラス製のビード23からなる。
【0032】
かかる冷陰極蛍光灯1は、図示しないランプ製造装置が用いられることにより、次のようにして製造される。先ず、図1(a)に示すように、ガラス管11の内壁面の所定部位に蛍光体層5を形成する。
【0033】
ここで、ガラス管11に蛍光体層5を形成する工程について図2を参照しつつ説明する。先ず、図2(a)に示すように円筒状の透明なガラス管11を用意し、ガラス管11を長手方向が鉛直方向となるように保持する。次に、ガラス管11の下端部を蛍光体層5の原料となる塗布液に漬け、ガラス管11の上端部からガラス管11内の空気を吸引し、ガラス管11内に塗布液を吸い上げる。塗布液がガラス管11内の所定の高さ位置まで充填された時点で、ガラス管11内の空気の吸引を解除するとともに、ガラス管11を回転させ、ガラス管11内から塗布液を排出する。以上のようにして、ガラス管11の下端部及び長手方向略中央部を含む部位の内壁面に(図2(b)の散点模様で示す範囲に)塗布液が付着される。
【0034】
続いて、ガラス管11の上端部からガラス管11内に乾燥空気を送風し、ガラス管11の内周面に付着された塗布液を乾燥させる。これにより、図2(b)に示すように、ガラス管11のうち塗布液が付着された部位に蛍光体層5が形成される。もちろん、塗布液が付着されていない部位(以下、非塗布部31と称する)については、蛍光体層5は形成されない。尚、蛍光体層5は、ガラス管11の内壁面に塗布された塗布液が焼成されることで形成されることとしてもよい。
【0035】
その後、ガラス管11の内壁面に形成された蛍光体層5のうち、ガラス管11の下端部の内壁面及び外壁面に形成された蛍光体層5を、所定の研磨手段を用いて除去する(剥がす)。これにより、図2(c)に示すように、ガラス管11のうち非塗布部31とは反対側の端部についても、蛍光体層5の形成されていない部位として構成されることとなる。以下、蛍光体層5を剥がした部位を塗膜剥離部32と称し、蛍光体層5が形成されている部位を塗膜部33と称する。以上のようにして、塗布液が塗布されなかった非塗布部31と、蛍光体層5が形成された塗膜部33と、蛍光体層5が剥がされた塗膜剥離部32とからなるガラス管11が製造される。
【0036】
また、上記のように製造されたガラス管11は、以後の工程に移る前に、詳しくは後述する検査装置41にて蛍光体層5の斑やガラス管11の傷等の検出を目的とする検査が行われ、欠陥があるものは排除される。これにより、不良なガラス管11を用いた冷陰極蛍光灯1を製造してしまうといった事態を回避することができ、製造効率の向上、省資源化等が図られる。
【0037】
上記検査を経て、ガラス管11は、図1(b)に示すように、バーナー等により、ガラス管11の一端部において、第1マウント3が封止される。第1マウント3の封止に際しては、ガラス管11の塗膜剥離部32と第1マウント3のビード23とが互いに溶着させられる。また、ガラス管11の非塗布部31に第1縮径部15、第2縮径部16がそれぞれバーナー等で形成され、第1縮径部15に第2マウント4が仮止めされる。さらに、第2縮径部16に水銀合金部材18が挿入される。水銀合金部材18としては、例えば、金属製の筒体内に、水銀蒸気を放出可能な水銀合金を封入したものが好適に用いられる。また、第1縮径部15は、塗膜部33と非塗布部31との境界部近傍に形成され、第2縮径部16は、非塗布部31の中間位置に形成される。
【0038】
続いて、ガラス管11内が脱気されつつ、ガラス管11内にアルゴン等の不活性ガス(希ガス)が導入される。この際、不純物の排出効率をより高めるために、ガラス管11の加熱が行われる。その後、ガラス管11は徐冷され、図1(c)に示すように、ガラス管11の非塗布部31側の端部が封止される。
【0039】
次いで、図1(d)に示すように、ボンバータ24(高周波加熱装置)を用いて、ガラス管11内の水銀合金部材18を加熱し、ガラス管11内に水銀蒸気を放出せしめる。この加熱処理により、水銀蒸気が放出され、かかる水銀蒸気が塗膜部33の内周側に流入する。
【0040】
次に、ガラス管11は、図1(e)に示すように、ガラス管11の第1縮径部15にて係止されていた第2マウント4を封止する。より詳しくは、ガラス管11の所定位置に位置決めした状態で、ガラス管11の第1縮径部15外周に沿って、バーナー25を相対回転させながら、ビード23及びガラス管11を加熱し、相互に溶着する。その後、図1(f)に示すように、前記ビードシール方式で封止した封着部を残して非塗布部31を切除することで、主として塗膜部33により構成され、内部に水銀蒸気が封印されたバルブ2が形成される。このように一連の工程を経ることによって、冷陰極蛍光灯1が得られる。
【0041】
さて、ランプ製造装置の概略は以上のとおりであるが、以下においては図3〜図6等に基づき、検査装置41についてより具体的に説明する。尚、本実施形態では、図1の(b)〜(f)に関しては、一連の流れ作業で行われるが、(a)の蛍光体層5の形成工程に関しては、別の製造ラインで行われ、(a)から(b)〜(f)の作業に移る際には、人手にてガラス管11が運ばれ、(b)〜(f)の製造ラインに供給される。また、検査装置41は、(b)〜(f)と同一の製造ラインの先頭に設置され、ガラス管11に欠陥がある場合には、(b)〜(f)の工程に移る前に、かかるガラス管11が製造ラインから排除される。
【0042】
図3、図4に示すように、検査装置41は、ガラス管11を搬送する第1送りプレート42及び第2送りプレート43と、送りプレート42、43により搬送されるガラス管11の塗膜部33に対して下方から光を照射可能な第1照射手段44、及び塗膜剥離部32に対して斜め下方から光を照射可能な第2照射手段45と、送りプレート42、43により搬送されるガラス管11の塗膜部33の上方に配置され、塗膜部33を透過する光を撮像可能な第1撮像手段46、及び塗膜剥離部32の上方に配置され、塗膜剥離部32を透過する光を撮像可能な第2撮像手段47と、撮像手段46、47から出力される画像信号を処理する画像処理装置(図示略)とを備えている。尚、検査装置41には、ガラス管11が寝かされた状態で(長手方向が水平方向となる姿勢で)供給され、検査装置41においては、ガラス管11はその長手方向と直交する方向に搬送される。
【0043】
第1照射手段44は、送りプレート42、43により搬送されるガラス管11の塗膜部33の直下方に設けられている。第1撮像手段46は、ガラス管11を挟んで第1照射手段44と対向する位置に設けられており、第1照射手段44から照射される光のうち、ガラス管11の塗膜部33を透過した光を撮像可能となっている。また、本実施形態では、第1撮像手段46は、ガラス管11の長手方向に沿って一列に並んで設置される複数台のカメラにより構成されており、当該複数台のカメラが、塗膜部33をガラス管11の長手方向において分担して撮像する構成となっている。尚、図3の一点差線は各カメラの撮像範囲を示している。
【0044】
第2撮像手段47は、送りプレート42、43により搬送されるガラス管11の塗膜剥離部32の直上方に設けられている。本実施形態では、第2撮像手段は1台のカメラにより構成されている。第2照射手段45は、ガラス管11を挟んで第2撮像手段47とは反対側に設けられるのではあるが、塗膜剥離部32の直下方の位置からガラス管11の長手方向に外れた位置に設けられ、塗膜剥離部32に対して斜めに光を照射する構成となっている。すなわち、第2照射手段45は、当該第2照射手段45から発せられた光が第2撮像手段47から外れる方向に照射されるようにして設けられている。このため、塗膜剥離部32が損傷していない場合、第2照射手段45から発せられ、ガラス管11の塗膜剥離部32を透過した光は基本的に第2撮像手段47に入射しないようになっている。一方、塗膜剥離部32が損傷している場合、第2照射手段45からの光がかかる損傷部位において拡散し、当該拡散した光が第2撮像手段47に入射するようになっている。従って、第2撮像手段47に撮像された画像は、塗膜剥離部32の損傷部位がその他の部位よりも明るくなるため、その明暗の差によって損傷を把握できる構成となっている。尚、撮像手段46、47によって撮像された画像データは、撮像手段46、47においてデジタル信号に変換された上で、デジタル信号の形で画像処理装置に入力されるようになっている。
【0045】
第1送りプレート42及び第2送りプレート43は、図3に示すように、ガラス管11の塗膜部33の塗膜剥離部32側の部位の下部を支持するようにして設けられている。また、図4に示すように、第1送りプレート42及び第2送りプレート43の上辺部には、ガラス管11の下部を収容可能な第1支持凹部51及び第2支持凹部52が形成されている。本実施形態では、第1支持凹部51及び第2支持凹部52は、それぞれガラス管11の搬送方向において8つずつ形成されており、いずれも同じ形状をなしている。また、図3に示すように、検査装置41は、非塗布部31の下端部を支持する案内レール55を備えている。そして、送りプレート42、43及び案内レール55により、ガラス管11が所定の高さ位置を維持しつつ搬送されるようになっている。加えて、第1送りプレート42及び第2送りプレート43は、第1照射手段44から発せられて塗膜部33に入射する光を阻害しないように、透明な材料により構成されている。
【0046】
次に、第1送りプレート42及び第2送りプレート43の動作について図6を参照して説明する。尚、図6では、便宜上、第1送りプレート42及び第2送りプレート43の搬送方向下流側の端部のみ(図4の左側の支持凹部51、52のみ)を図示する。
【0047】
図6(a)の状態では、第2送りプレート43の第2支持凹部52が、第1送りプレート42の第1支持凹部51よりも下方に位置するとともに、8つ全ての第1支持凹部51及び第2支持凹部52が上下に重複した状態となっている。また、図6(a)の状態では、全ての第1支持凹部51にそれぞれガラス管11が収容された状態となっている。
【0048】
次に、図6(a)の状態から、第1送りプレート42がガラス管11の搬送方向下流側(図6の左側)に変位し、図6(b)に示すように、第2支持凹部52に対して、第1支持凹部51がガラス管11の搬送方向において凹部1つ分だけずれた状態(6つの第1支持凹部51及び第2支持凹部52が上下に重複した状態)となる。これにより、第1支持凹部51に収容されているガラス管11が凹部1つ分だけ搬送方向下流側に搬送されることとなる。
【0049】
次に、図6(c)に示すように、第2支持凹部52の高さ位置が第1支持凹部51と一致するまで第2送りプレート43が上昇する。この状態では、ガラス管11は第1支持凹部51及び第2支持凹部52に収容された状態となる。
【0050】
次に、図6(d)に示すように、第1支持凹部51が第2支持凹部52よりも下方に位置するまで第1送りプレート42が下降する。この状態では、第1送りプレート42がガラス管11から離間し、第2送りプレート43のみで塗膜部33の塗膜剥離部32側の部位が支持される。
【0051】
次に、第1送りプレート42がガラス管11の搬送方向上流側(図6の右側)に変位し、図6(e)に示すように、8つ全ての第2支持凹部52及び第1支持凹部51が上下に重複した状態となる。
【0052】
次に、図6(f)に示すように、第1支持凹部51の高さ位置が第2支持凹部52と一致するまで第1送りプレート42が上昇する。この状態では、ガラス管11は第1支持凹部51及び第2支持凹部52に収容された状態となる。
【0053】
次に、第2支持凹部52が第1支持凹部51よりも下方に位置するまで第2送りプレート43が下降することで、上記した図6(a)の状態となる。
【0054】
以上のような第1送りプレート42及び第2送りプレート43の動作が繰り返されることにより、ガラス管11は間欠的に所定距離ずつ搬送されることとなる。
【0055】
また、本実施形態では、ガラス管11の間欠的な搬送に際し、ガラス管11が回動する構成となっている。より詳しく説明すると、検査装置41は、ガラス管11の搬送に際してガラス管11を把持するとともに、第1送りプレート42及び第2送りプレート43によるガラス管11の搬送に伴って、ガラス管11を所定角度回動させる回動手段としてのチャック57を備えている。チャック57は、第1送りプレート42及び第2送りプレート43により搬送されるガラス管11の非塗布部31を挟持可能な上下一対の作業片58を備えている。作業片58の横幅は、ガラス管11の直径よりも小さく構成されている。また、チャック57は、第1送りプレート42の変位に伴ってガラス管11の搬送方向に沿って変位するとともに、当該変位に際して45度回動する構成となっている。さらに、本実施形態では、チャック57は、第1送りプレート42の第1支持凹部51のうち、図4の一番左側の第1支持凹部51を除く7つの第1支持凹部51に対応して7つ設けられている。当該7つのチャック57は、いずれも同期して同じ動作を行う構成となっている。
【0056】
チャック57の動作を説明すると、図6(a)のときに、第1支持凹部51に収容されているガラス管11のうち図4の一番左側のガラス管11を除く7つのガラス管11を、図5の実線で示すように、一対の作業片58により挟持する。また、図6(b)のときに、チャック57は、第1送りプレート42の変位に伴ってガラス管11の搬送方向下流側(図4、図5の左側)に変位するとともに、時計回り方向に45度回動する(図5二点鎖線参照)。このとき、一対の作業片58により挟持されているガラス管11についても、時計回り方向に45度回動することとなる。
【0057】
さらに、チャック57は、図6(c)のときに、一対の作業片58によるガラス管11の挟持状態を解除し、図6(e)のときに、第1送りプレート42の変位に伴って、ガラス管11の搬送方向上流側(図4、図5の右側)に変位するとともに、反時計回り方向に45度回動する(基の位置、基の姿勢に戻る)。
【0058】
また、本実施形態では、図6(c)〜図6(f)のタイミングで、第1撮像手段46及び第2撮像手段47による撮像が順次行われる。さらに、本実施形態では、撮像時においてガラス管11が保持される構成となっている。
【0059】
より詳しく説明すると、検査装置41は、案内レール55と対向する位置において押え板61を備えている。押え板61は、昇降可能に設けられ、第2支持凹部52に収容されたガラス管11と当接する位置と、ガラス管11から離間した位置との間を変位する構成となっている。加えて、押え板61は、8つある第2支持凹部52にそれぞれ設置された全てのガラス管11と当接可能な長さとなっている。
【0060】
本実施形態では、図6(c)のときに押え板61が第2支持凹部52に収容されたガラス管11と当接するまで下降する。これにより、押え板61及び案内レール55によって、ガラス管11の非塗布部31が挟持され、ガラス管11の姿勢が維持されることとなる。
【0061】
そして、図6(d)のときに、第1照射手段44が発光状態とされ、第2照射手段45が非発光状態とされるとともに、第1撮像手段46による塗膜部33の撮像が行われる。本実施形態では、8つの第2支持凹部52にそれぞれ収容された8つのガラス管11の塗膜部33が一度に撮像される。
【0062】
続いて、図6(e)のときに、第1照射手段44が非発光状態とされ、第2照射手段45が発光状態とされるとともに、第2撮像手段47による塗膜剥離部32の撮像が行われる。本実施形態では、8つの第2支持凹部52にそれぞれ収容された8つのガラス管11の塗膜剥離部32が一度に撮像される。
【0063】
その後、図6(f)のときに押え板61が上昇し、押え板61とガラス管11と離間する。尚、本実施形態では、押え板61及び案内レール55が保持手段を構成する。
【0064】
以上のように、第1撮像手段46及び第2撮像手段47により撮像が行われる撮像区間に送られたガラス管11は、8つある第1支持凹部51及び第2支持凹部52を1つずつ搬送方向下流側(図4では左)に45度回動しながらシフトするとともに、各第2支持凹部52に収容された状態において全部で8回撮像されることとなる。これにより、ガラス管11の全周を確実に撮像することができる。
【0065】
尚、図4の一番左側の第1支持凹部51に収容されたガラス管11は、図6(b)のときに撮像区間外に送られ、図6(c)のときに第1支持凹部51から排出される。また、撮像区間の手前に位置したガラス管11は、図6(c)のときに図示しない送り手段により、撮像区間に送られ、図4の一番右側の第2支持凹部52に収容される。
【0066】
加えて、画像処理装置は、第1撮像手段46の画像信号から得た画像データに基づき、蛍光体層5の斑を検出可能に構成されるとともに、第2撮像手段47の画像信号から得た画像データに基づき、塗膜剥離部の表面異常(傷)を検出可能に構成されている。また、画像処理装置によって不良品判定された場合、その不良品判定となったガラス管11は、画像処理装置により制御される図示しないガラス管排出機構によって排出されることとなる。
【0067】
また、本実施形態の検査装置41は、上記した蛍光体層5の斑やガラス管11の傷の検査に先駆けて、ガラス管11の向き(姿勢)が適切であるか否かを検出する図示しない向き判定手段を備えている。向き判定手段は、検査装置41に供給されるガラス管11の塗膜剥離部32に対応して設置される撮像手段を備えている。当該撮像手段は、ガラス管11の端部を撮像し、画像データを画像処理装置に出力する構成となっている。そして、画像処理装置は、かかる撮像手段から送られた画像データのうち、蛍光体層5の形成されていない部位の長さが塗膜剥離部32の長さとほぼ一致するか否かを判別する。すなわち、本実施形態では、ガラス管11の長手方向において、非塗布部31の形成範囲が塗膜剥離部32の形成範囲よりも長くなっており、前記判別にて否定判別される場合には、検査装置41に対してガラス管11が反対向きに供給されていることとなる。このように、前記判別にて否定判別された場合(向きが反対である場合)には、対象のガラス管11が図示しない排出手段により検査装置41から排除される構成となっている。従って、押え板61及び案内レール55が非塗布部31ではなく塗膜剥離部32を保持し、第2撮像手段47が非塗布部31を撮像してしまうといった事態を確実に防止することができる。尚、排出手段に代えて、向き判定手段によりガラス管11の向きが適切ではないと判別された場合に、その旨を報知する報知手段や、対象のガラス管11の向きを直す姿勢矯正手段等を設けることとしてもよい。
【0068】
以上詳述したように、本実施形態によれば、検査装置41は、撮像手段46、47による撮像に際してガラス管11を保持することのできる押え板61及び案内レール55を備えているため、撮影に際してガラス管11の変位を防止することができ、検査精度を向上させることができる。
【0069】
また、ガラス管11のうち塗膜剥離部32に関しては、一旦蛍光体層5が形成された後、蛍光体層5が剥がされることで形成されるため、蛍光体層5を剥離させる際に、ガラス管11に対して傷がつくおそれがある。従って、ガラス管11に関しては、蛍光体層5の斑の検査の他に、塗膜剥離部32の傷の検査を行う必要がある。これに対し、非塗布部31に関しては塗布液が塗布されないことから、非塗布部31において、蛍光体層5の斑の検査や、蛍光体層5の剥離作業に際して形成されるおそれのある傷の検査を行わずとも特段の支障がないといえる。
【0070】
さて、本実施形態によれば、押え板61及び案内レール55は、ガラス管11のうち、上記の通り、傷などの検査を実質的に要しない非塗布部31を保持する構成となっている。このため、例えば、押え板61及び案内レール55が塗膜剥離部32を保持することで(押え板61により)塗膜剥離部32の検査が阻害されてしまったり、塗膜部33を保持することで塗膜部33の検査が阻害されてしまったりするといった事態を回避することができる。すなわち、ガラス管11の押え板61及び案内レール55により保持される位置を途中で変更することなく、一つの検査装置41によってガラス管11に関して必要な検査、つまり、蛍光体層5の斑の検査及び塗膜剥離部32の傷の検査を確実に行うことができる。従って、例えば、ガラス管11の一端部を保持して他端部側及び塗膜部33の検査を行った後、ガラス管11の他端部を保持して一端部側の検査を行ったり、或いは、ガラス管11の一端部を保持して塗膜部33の検査を行った後、塗膜部を保持して両端部側の検査を行ったりするといった必要がなくなり、ガラス管11の検査を効率的に行うことができる。
【0071】
さらに、本実施形態では、第2照射手段45は、当該第2照射手段45から発せられた光が第2撮像手段47から外れる方向に照射されるように設置されている。このため、例えば、第2照射手段45の光が第2撮像手段47に直接入射するように第2照射手段45及び第2撮像手段47を相対配置する場合に比べ、塗膜剥離部32を撮像した画像のうち損傷部位に対応する部位と、非損傷部位に対応する部位との明暗の差を明確にすることができる。従って、ガラス管11の傷の検査の精度を向上させることができる。
【0072】
加えて、第1撮像手段による撮像が行われる場合には、第1照射手段44が発光状態とされるとともに、第2照射手段45が非発光状態とされ、第2撮像手段47による撮像が行なわれる場合には、第1照射手段44が非発光状態とされるとともに、第2照射手段45が発光状態とされる。このため、第1撮像手段46の撮像に際して第2照射手段45からの光が第1撮像手段46に入射したり、第2撮像手段47の撮像に際して第1照射手段44からの光が第2撮像手段47に入射したりすることに起因して、塗膜部33及び塗膜剥離部32の各検査精度の低下を招いてしまうといった事態を防止することができる。
【0073】
また、ガラス管11は、撮像区間において、チャック57により45度ずつ7回ほど回動させられ、各姿勢で撮像手段46、47に撮像されることとなる。このため、数少ない撮像手段46、47でガラス管11の全周をくまなく撮像することができる。従って、検査精度の向上を図りつつ、検査効率の向上、検査装置41の構成の簡素化等を図ることができる。
【0074】
さらに、同期して同じ動作を行うチャック57が複数設けられるとともに、各チャック57は、図6の(a)〜(f)の動作を繰り返し行うこととなる。このため、効率的にガラス管11の全周を撮像手段46、47により撮像することができ、製造作業効率の向上を図ることができる上、各チャック57(各作業片58)の変位量を極力小さいものとすることができ、検査装置41の大型化を抑止することができる。また、各チャック57の作業片58は上下一対で設けられ、ガラス管11を上下に把持する構成となっているとともに、各チャック57によるガラス管11の一回の回動角度が45度に設定され、各作業片58が互いに隣接する作業片58や、隣接する作業片58が挟持するガラス管11に当接しないようになっている。このため、ガラス管11の搬送方向における各チャック57の間隔、ひいてはガラス管11同士の間隔を詰めることができる。従って、ガラス管11の搬送方向における撮像区間を短くすることができ、結果として、画角の大きな撮像手段を用意したり、検査装置41を大型化したりする必要がなくなり、コストの削減や製造効率の向上等を図ることができる。
【0075】
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
【0076】
(a)上記実施形態では、第1撮像手段46及び第2撮像手段47の撮像時において、チャック57によるガラス管11の保持状態(一対の作業片58による挟持状態)が解除される構成となっているが、撮像時においてもチャック57によりガラス管11が保持される構成としてもよい。例えば、上記実施形態において、7つのチャック57に加え、図6(a)の段階で、撮像区間の手前側に位置するガラス管11を把持し、図6(b)の段階でかかるガラス管11をガラス管11の搬送方向下流側に変位させるチャックを設けるとともに、第1送りプレート42に対し、当該チャックにより変位させられたガラス管11の塗膜部33のうち塗膜剥離部32側の部位を第1支持凹部51に支持されるその他のガラス管11と同じ高さ位置で支持する支持片部を設けることとしてもよい。当該構成を採用する場合、押え板61を省略することも可能である。尚、撮像手段46、47の撮像時において、押え板61及び案内レール55とチャック57によりガラス管11を保持する構成を採用する場合には、押え板61及び案内レール55とチャック57とが保持手段を構成し、チャック57のみでガラス管11を保持する構成を採用する場合には、チャック57が保持手段を構成する。
【0077】
(b)また、撮像区間におけるガラス管11の搬送方法は特に限定されるものではなく、第1撮像手段46及び第2撮像手段47の撮像時にガラス管11の非塗布部31が保持される構成であればよい。但し、ガラス管11の全周にわたってより正確な検査を行うべく、撮像区間においてガラス管11を回動させる構成とすることが望ましい。
【0078】
加えて、上記実施形態では、チャック57の回動角度が45度に設定されているが、特にこのような構成に限定されるものではない。但し、チャック57間の距離を詰める、ガラス管11の全周を確実に撮像する、撮像区間に設置されるチャック57の設置数の増大を抑制するといった観点からすると、各チャック57の回動角度は30度〜60度とするのが望ましく、45度とするのがより望ましい。尚、ガラス管11を回動させる構成についても特に限定されるものではなく、例えば、例えば、チャック57が撮像区間においてガラス管11を放すことなくガラス管11を把持したまま搬送方向下流側に変位しつつ、当該チャック57がモータ等の駆動に基づいて360度回動するといった構成を採用してもよい。また、上記実施形態では、撮像区間にガラス管11が1つずつ供給され、撮像区間からガラス管11が1つずつ排出される構成となっているが、例えば、一度に複数のガラス管11が撮像区間に供給され、撮像区間にある複数のガラス管11が一度に撮像区間から排出される構成としてもよい。
【0079】
(c)上記実施形態では、冷陰極蛍光灯1を構成するガラス管11の検査を行なう検査装置41について具現化しているが、その他のランプを構成するガラス管の検査を行う検査装置に具現化することも可能である。
【0080】
(d)上記実施形態では、図1(a)のガラス管11に蛍光体層5を形成する工程と、その他の工程(検査装置41を用いた検査工程、第1マウント3の封止工程等)とが別のラインで行われる構成となっているが、同一のラインにより行われる構成、すなわち、ガラス管11に蛍光体層5を形成した後、人手を介さずに、検査装置41による検査工程に移る構成としてもよい。この場合、ガラス管11が反対向きで検査装置41に供給されてしまうといった事態を抑制することができ、従って、検査装置41から向き判定手段を省略することも可能である。
【0081】
(e)上記実施形態において、非塗布部31に対して光を照射する照射手段と、当該照射手段とはガラス管11を介して反対側に設けられ、非塗布部31を透過する光を撮像可能な撮像手段とを設け、非塗布部31(非塗布部31のうち塗膜部33側の部位)の傷の検査を行うこととしてもよい。尚、上記実施形態では、ガラス管11の検査に際して押え板61及び案内レール55にて保持される部位、すなわち、非塗布部31の一部が、後の第2マウント4を封止する工程において切除される。従って、押え板61及び案内レール55が、非塗布部31のうち後に切除される部位を保持する構成とすれば、例えば、非塗布部31のうち冷陰極蛍光灯1に残される部位の検査を行う場合であっても、かかる検査が押え板61及び案内レール55により阻害されてしまうといった事態を回避することができる。
【0082】
(f)上記実施形態では、塗膜部33の検査を行うときに塗膜部33に光を照射する第1照射手段44と、塗膜剥離部32の検査を行うときに塗膜剥離部32に光を照射する第2照射手段45とを別個に設けているが、特にこのような構成に限定されるものではなく、例えば、塗膜剥離部32及び塗膜部33(の一部)に対して光を照射可能な照射手段を設け、塗膜剥離部32及び塗膜部33の検査に際してそれぞれ塗膜剥離部32及び塗膜部33(の一部)に光を照射する構成としてもよい。この場合、塗膜部33及び塗膜剥離部32の検査に使用される照射手段を共通化することができ、構成の簡素化を図ることができる。但し、塗膜剥離部32の検査精度を向上させるといった観点からすると、上記照射手段は、塗膜剥離部32の検査に際して、当該照射手段から発せられ、塗膜剥離部32を透過した光が第2撮像手段47に直接入射することのないように(入射することのない位置で)、塗膜剥離部32に対して光を照射可能に構成されることが望ましい。
【0083】
(g)また、上記(f)の態様例として、面発光可能であり、かつ、発光部位を変更可能(例えば、複数の発光手段を備え、各発光手段を個別に点灯制御可能)に構成された照射手段を設け、塗膜部33の検査に際しては、第1照射手段として塗膜部33の検査に適した部位(発光することで、塗膜部33に光が照射されるとともに、当該光が塗膜部33を透過して第1撮像手段46に直接入射することとなる部位)が発光し、塗膜剥離部32の検査に際しては、第2照射手段として塗膜剥離部32の検査に適した部位(発光することで、塗膜剥離部32に光が照射されるとともに、当該光が塗膜剥離部32を透過して第2撮像手段47から外れる方向に照射されることとなる部位)が発光する構成としてもよい。
【0084】
尚、照射手段をスライド可能(或いは傾動可能)に設け、塗膜部33の検査に際しては、当該照射手段から発せられ、塗膜部33を透過した光が直接第1撮像手段46に入射する位置(向き)に変位し、塗膜剥離部32の検査に際しては、当該照射手段から発せられ、塗膜剥離部32を透過した光が直接第2撮像手段47に入射することのない位置(向き)に変位するといった構成を採用してもよい。
【0085】
(h)上記実施形態では、塗膜部33の検査を行うときに塗膜部33を撮像する第1撮像手段46と、塗膜剥離部32の検査を行うときに塗膜剥離部32を撮像する第2撮像手段47とを別個に設けているが、特にこのような構成に限定されるものではなく、例えば、適当な解像度で広い視野を撮像でき、塗膜剥離部32及び塗膜部33(の一部)を一度に撮像可能なカメラを撮像手段として設けることとしてもよい。この場合、塗膜部33及び塗膜剥離部32の検査に使用される撮像手段を共通化することができ、構成の簡素化を図ることができる。但し、塗膜剥離部32の検査精度を向上させるといった観点からすると、上記撮像手段には、基本的に、第2照射手段45から発せられ、塗膜剥離部32を透過した光が直接入射しない構成とすることが望ましい。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】(a)〜(f)は、一実施形態における冷陰極蛍光灯の製造工程を模式的に示すガラス管等の断面図である。
【図2】(a)〜(c)は、ガラス管の製造工程を模式的に示すガラス管の断面図である。
【図3】検査装置を模式的に示す説明図である。
【図4】検査装置を模式的に示す説明図である。
【図5】チャックの動作を説明する図である。
【図6】(a)〜(f)は、第1送りプレート及び第2送りプレートの動作を示す部分側面図である。
【符号の説明】
【0087】
1…冷陰極蛍光灯、11…ガラス管、31…非塗布部、32…塗膜剥離部、33…塗膜部、41…検査装置、44…第1照射手段、45…第2照射手段、46…第1撮像手段、47…第2撮像手段、55…案内レール、57…チャック、58…作業片、61…押え板。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ランプの製造過程において用いられ、
ガラス管の内壁面に対して塗布液を塗布し、前記ガラス管の一端部及び長手方向中央部を含む塗布液が塗布された塗布部と、前記ガラス管の他端部を含む塗布液が塗布されていない非塗布部とを形成するとともに、前記ガラス管の内壁面に塗布された塗布液を乾燥させて蛍光体層を形成し、さらに、前記ガラス管の内壁面に形成された前記蛍光体層のうち前記一端部における前記蛍光体層を剥がすことで、塗膜剥離部を形成してなるガラス管を検査するガラス管の検査装置であって、
前記ガラス管に対して光を照射可能な照射手段と、
前記照射手段とは前記ガラス管を介して反対側に設けられ、前記ガラス管を透過した透過光を撮像可能な撮像手段と、
前記撮像手段から出力される画像信号を処理する画像処理装置と、
前記撮像手段による撮像に際し、前記非塗布部を保持する保持手段とを備え、
前記画像処理装置は、前記塗膜部の検査と前記塗膜剥離部の検査とを行うことを特徴とするガラス管の検査装置。
【請求項2】
前記照射手段は、前記塗膜部の検査時には、前記塗膜部に光を照射するとともに、前記塗膜剥離部の検査時には、前記塗膜剥離部に光を照射し、
前記塗膜剥離部の検査時においては、前記照射手段は、当該照射手段から発せられた光が、前記塗膜剥離部を透過して前記塗膜剥離部を検査する前記撮像手段へと直接入射することのない位置で発光することを特徴とする請求項1に記載のガラス管の検査装置。
【請求項3】
前記照射手段は、前記ガラス管のうち前記塗膜部に光を照射する第1照射手段と、前記塗膜剥離部に光を照射する第2照射手段とを備え、
前記撮像手段は、前記ガラス管を挟んで前記第1照射手段とは反対側に設置され、前記塗膜部を透過した光を撮像可能な第1撮像手段と、前記ガラス管を挟んで前記第2照射手段とは反対側に設置され、前記塗膜剥離部を透過した光を撮像可能な第2撮像手段とを備え、
前記第2照射手段は、当該第2照射手段から発せられた光が前記第2撮像手段から外れる方向に照射される位置に設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載のガラス管の検査装置。
【請求項4】
前記第1照射手段が発光状態とされ、前記第2照射手段が非発光状態とされる第1の状態と、
前記第1照射手段が非発光状態とされ、前記第2照射手段が発光状態とされる第2の状態とに切替え可能に構成され、
前記第1撮像手段による撮像が行われる場合に前記第1の状態に切替わり、前記第2撮像手段による撮像が行なわれる場合に前記第2の状態に切替わることを特徴とする請求項3に記載のガラス管の検査装置。
【請求項5】
前記撮像手段による撮像が行われる撮像区間において、前記ガラス管を回動変位させる回動手段を備えていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のガラス管の検査装置。
【請求項6】
前記回動手段は、前記ガラス管の前記非塗布部を上下に挟持する上下一対の作業片を有するチャックを前記ガラス管の搬送方向に沿って複数備えるとともに、前記複数のチャックはいずれも同期して同じ動作を行う構成であって、
前記チャックが、前記一対の作業片で前記ガラス管を挟持した状態で所定角度回動しつつ前記ガラス管の搬送方向下流側に所定距離変位してから前記作業片による挟持状態を解除し、前記ガラス管を挟持していない状態で所定角度反対向きに回動しつつ前記ガラス管の搬送方向上流側に所定距離戻って次の前記ガラス管を挟持するといった一連の動作を反復して所定回数行うことで、前記ガラス管の全周を前記撮像手段により撮像可能としたことを特徴とする請求項5に記載のガラス管の検査装置。
【請求項7】
前記ガラス管の長手方向において、前記非塗布部の長さと前記塗膜剥離部の長さとが異なる構成であって、
前記ガラス管の端部における前記蛍光体層が形成されていない部位の長さに基づき、前記ガラス管の向きを判定する向き判定手段を備えていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のガラス管の検査装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれかに記載のガラス管の検査装置を備えたことを特徴とするランプ製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−270979(P2009−270979A)
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−122836(P2008−122836)
【出願日】平成20年5月9日(2008.5.9)
【出願人】(000106760)シーケーディ株式会社 (627)
【Fターム(参考)】