説明

ガードレール用板状ビーム及びガードレール

【課題】 自動車が衝突又は接触しても、自動車の車体の一部が自動車から剥がれ、破片となって板状ビームの表面に付着することを防止できるガードレール用板状ビーム及びガードレールを。
【解決手段】
張出域11と窪み域12を有するガードレール用の板状ビーム10であって、板状ビームの張出域に形成されるボルト挿入孔14がボルトの頭部分を収容することができる凹部17を有することを特徴とするガードレール用板状ビーム及びこの板状ビームを支柱の車道側にボルトによって固定してガードレール。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路に設置されるガードレール用の板状ビーム及びガードレールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ガードレールは、道路の脇、車道の中央分離帯、車道と歩道の境界部等に設けられ、車道を走行する自動車や自転車が車道から飛び出さないようにするとともに、歩道を通行する歩行者等を自動車から保護するためのものである。ガードレールは、一般に、支柱に板状ビームを取り付け、ボルトによって固定したものが用いられている。ボルトは、板状ビームに設けられたボルト挿入孔に挿入され、ブラケットを介して、支柱に固定される。通常は、ボルトの頭部分を車道側に位置させ、車道とは反対側にナットを配置し、締め付けることで、板状ビームが支柱に固定される。
【0003】
ガードレール用の板状ビームは、自動車がガードレールに衝突又は接触したときに、その衝撃を受け止めるために、金属板を屈曲させて、張出域と窪み域を形成することで、その剛性を高くしたものが用いられている。
【0004】
図6は従来例に係るガードレール用板状ビームの一例である。(a)は正面図、(b)は右側面図である。
【0005】
このガードレール用の板状ビーム10は金属板からなり、幅方向に屈曲させることによって、張出域11と窪み域12が形成されている。板状ビーム10の端部近傍には、張出域11の4個所と窪み域12の2個所に、それぞれ、ボルト挿入孔13と14が穿たれている。この板状ビーム10を支柱に取り付ける際には、窪み域のボルト挿入孔14にボルトが挿入され、支柱に取り付けられたブラケットとの間がナットで締め付けられる。
【0006】
そして、ガードレールは、板状ビームの複数枚を水平方向に連続して複数の支柱に取り付けることによって形成することになる。したがって、ガードレールの端部を除いて、支柱には2枚の板状ビームの端部を重ね合わせて、ボルト挿入孔の位置合わせをした上で、2枚の板状ビームの端部の窪み域のボルト挿入孔14にボルトを挿入して支柱に取り付けられたブラケットとの間で固定することになる。これに対して、張出域のボルト挿入孔13は、重ね合わせた2枚の板状ビームの端部を固定するためのボルトを挿入するためのものである。
【0007】
図7はこの従来例に係る板状ビームを取り付けてなるガードレールの一例である。(a)が車道からみた正面図、(b)は(a)のA−A断面図(右側面図)、(c)は(b)のB−B断面図(上面図)を示す。
【0008】
支柱5の一部を地中に埋め、直立させた後、ボルト等の固定手段(図示せず)によってブラケット6を取り付ける。図6に示す板状ビーム10を2枚用意し、それぞれの端部を重ね合わせて、ボルト挿入孔の位置合わせをした上で、2枚の板状ビーム10の端部の窪み域12のボルト挿入孔にボルト15を挿入し、ナット16で締め付けることで、板状ビーム10を支柱5に取り付けられたブラケット6との間で固定する。その後、2枚の板状ビーム10の端部の張出域11のボルト挿入孔にボルト15を挿入し、ナット16で締め付けることで、重ね合わせた2枚の板状ビームの端部を固定する。この作業を隣接する支柱に対して繰り返すことで、連続したガードレールを形成する。
【0009】
次に、自動車がガードレールに衝突又は接触したときに、その衝撃をさらに和らげることを狙ったガードレールも提案されている。
【0010】
例えば、特許文献1には、板状ビームの幅方向中央の窪み域に幅方向の両側の張出域より突出した弾性体を固定して、自動車が板状ビームに接触する前に弾性体と接触させることによって衝撃エネルギーを吸収させ、自動車と板状ビームの損傷の軽減を図ることが示されている。
【0011】
【特許文献1】特開2001−98518号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、このような弾性体を板状ビームに固定しただけでは、自動車の衝突又は接触による衝撃エネルギーは十分には吸収されない。自動車は相当の衝突エネルギーでもってガードレールにぶつかることになり、自動車と板状ビームの両方の損傷は避けられない。特に、支柱にブラケットを介して板状ビームを固定するためのボルトの頭部分は板状ビームの表面から突出しているから、ボルトの頭部分に衝突又は接触した自動車の車体部分は大きな損傷を受ける。このとき、損傷を受けた車体の一部が自動車から剥がれて、板状ビームのボルトの頭部分に付着する。
【0013】
本発明の目的は、ガードレールに自動車が衝突又は接触しても、自動車の車体の一部が自動車から剥がれ、破片となって板状ビームの表面に付着することを防止できる、ガードレール用の板状ビーム及びガードレールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者らは、ガードレールに自動車が衝突又は接触しても、損傷を受けた車体の一部が破片となって板状ビームの表面に付着することを防止するべく、検討を重ねた。その結果、次に示す(a)〜(g)の知見を得た。
【0015】
(a) ガードレールに自動車が衝突又は接触したときに、損傷を受けた車体の一部が破片となるのは、自動車の車体の一部がかぎ裂き形状の損傷を受けるためである。
【0016】
(b) ガードレールに自動車が衝突又は接触したときに、自動車の車体の一部がかぎ裂き形状の損傷を受けるのは、ボルトの頭部分がガードレールの板状ビームの表面から突出しているためである。
【0017】
(c) ガードレールに自動車が衝突又は接触したときに、損傷を受けた車体の一部から形成された破片が板状ビームに付着するのは、ボルトの頭部分が板状ビームの表面から突出しているために、そこに引っかかるからである。
【0018】
(d) したがって、ガードレールに自動車が衝突又は接触しても、損傷を受けた車体の一部が破片となって板状ビームの表面に付着することを防止するためには、ボルトの頭部分を板状ビームの表面から突出させなければよい。
【0019】
(e) そのためには、板状ビームに形成されるボルト挿入孔に凹部を形成し、その凹部にボルトの頭部分を収容すればよい。
【0020】
(f) 板状ビームは鋼板を屈曲させて張出域と窪み域が形成され、ボルト挿入孔はその両方に穿たれる。自動車がガードレールに衝突又は接触したときに、板状ビームの張出域に固定されたボルトの頭部分に自動車の車体が触れることになるので、まず板状ビームの張出域のボルト挿入孔に凹部を形成して、その凹部にボルトの頭部分を収容すればよい。さらに、板状ビームの窪み域のボルト挿入孔にも凹部を形成して、その凹部にボルトの頭部分を収容するのが好ましい。
【0021】
(g) ボルトの頭部分をボルト挿入孔の凹部に収容した上に、充填材をボルト挿入孔に注入又は塗付して、板状ビームの表面を面一にすると、さらに好ましい。
【0022】
本発明は、上記の知見に基づきなされたもので、その要旨は下記の(1)及び(2)のガードレール用板状ビームと、(3)〜(6)のガードレールにある。以下、総称して、本発明という。
【0023】
(1) 張出域と窪み域を有するガードレール用の板状ビームであって、板状ビームの張出域に形成されるボルト挿入孔がボルトの頭部分を収容することができる凹部を有することを特徴とするガードレール用板状ビーム。
【0024】
(2) 張出域と窪み域を有するガードレール用の板状ビームであって、板状ビームに形成されるボルト挿入孔がボルトの頭部分を収容することができる凹部を有することを特徴とするガードレール用板状ビーム。
【0025】
(3) 支柱とその支柱の車道側にボルトによって固定される板状ビームからなるガードレールであって、板状ビームの張出域に形成されるボルト挿入孔がボルトの頭部分を収容することができる凹部を有することを特徴とするガードレール。
【0026】
(4) 支柱とその支柱の車道側にボルトによって固定される板状ビームからなるガードレールであって、板状ビームに形成されるボルト挿入孔がボルトの頭部分を収容することができる凹部を有することを特徴とするガードレール
(5) 凹部を有するボルト挿入孔にボルトの頭部分が収容されていることを特徴とする、上記(3)又は(4)のガードレール。
【0027】
(6) 凹部を有するボルト挿入孔に収容されたボルトの頭部分の上に充填材の層を設けることを特徴とする、上記(5)のガードレール。
【発明の効果】
【0028】
本発明に係るガードレール用板状ビーム及びガードレールは、自動車が衝突又は接触しても、自動車の車体の一部が自動車から剥がれ、破片となって板状ビームの表面に付着することを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、図面を用いて本発明に係るガードレール用板状ビーム及びガードレールを説明する。
【実施例1】
【0030】
図1は、本発明に係るガードレール用板状ビームの一例である。(a)は正面図、(b)は右側面図を示す。
【0031】
このガードレール用の板状ビーム10は金属板からなり、幅方向に屈曲させることによって、張出域11と窪み域12が形成されている。板状ビーム10の端部近傍には、張出域11の4個所と窪み域12の2個所に、それぞれ、ボルト挿入孔13と14が穿たれている。そして、張出域11に穿たれたボルト挿入孔13には、挿入するボルトの頭部分を収容できるだけの凹部17が形成されている。この板状ビーム10を支柱に取り付ける際には、窪み域のボルト挿入孔14にボルトが挿入され、支柱に取り付けられたブラケットとの間がナットで締め付けられる。
【0032】
そして、ガードレールは、板状ビームの複数枚を水平方向に連続して複数の支柱に取り付けることによって形成することになる。したがって、ガードレールの端部を除いて、支柱には2枚の板状ビームの端部を重ね合わせて、ボルト挿入孔の位置合わせをした上で、2枚の板状ビームの端部の窪み域のボルト挿入孔14にボルトを挿入して支柱に取り付けられたブラケットとの間で固定することになる。これに対して、張出域のボルト挿入孔13は、重ね合わせた2枚の板状ビームの端部を固定するためのボルトを挿入するためのものである。
【0033】
図2は、この本発明に係る板状ビームを取り付けてなるガードレールの一例である。(a)が車道からみた正面図、(b)は(a)のA−A断面図(右側面図)、(c)は(b)のB−B断面図(上面図)を示す。
【0034】
支柱5の一部を地中に埋め、直立させた後、ボルト等の固定手段(図示せず)によってブラケット6を取り付ける。図1に示す板状ビーム10を2枚用意し、それぞれの端部を重ね合わせて、ボルト挿入孔の位置合わせをした上で、2枚の板状ビーム10の端部の窪み域12のボルト挿入孔にボルト15を挿入し、ナット16で締め付けることで、板状ビーム10を支柱5に取り付けられたブラケット6との間で固定する。その後、2枚の板状ビーム10の端部の張出域11のボルト挿入孔にボルト15を挿入し、ナット16で締め付けることで、重ね合わせた2枚の板状ビームの端部を固定する。この作業を隣接する支柱に対して繰り返すことで、連続したガードレールを形成する。
【0035】
なお、これは、2枚の板状ビーム10の片端のそれぞれを1本の支柱に取り付けるときの作業であり、支柱がガードレールの端部に位置する場合は1枚の板状ビーム10の片端のみが1本の支柱に取り付けられることになる。
【0036】
形成されたガードレールにおいて、張出域11のボルト挿入孔に固定されるボルト15は、その頭部分がボルト挿入孔に形成された凹部に収容されているため、張出域11から突出することはない。したがって、窪み域12のボルト挿入孔に固定されるボルト15は、その頭部分が窪み域12から突出しているものの、自動車がガードレールに衝突又は接触しても、自動車が張出域への衝突又は接触に止まっている限りは、ボルト15の頭は自動車の車体に触れないので、自動車の車体の一部が自動車から剥がれることはない。よって、破片となって板状ビームの表面に付着することを防止することができる。したがって、ガードレールの車道側で歩行者や自転車に乗った人が板状ビームの表面に付着した破片で怪我をするおそれがなくなるとともに、自動車が板状ビームの表面に付着した破片に接触して、車体の損傷を被ることもなくなる。
【0037】
ここで、張出域11のボルト挿入孔に固定されるボルト15に、頭部分が丸形のボルトを用いたが、ボルトの頭の形状はこれに限定されない。頭部分がボルト挿入孔に形成される凹部に収容されるものであればよく、たとえば、さらボルトや外面が六角形、四角形の形状を有するボルトを用いることができる。そして、窪み域12のボルト挿入孔に固定されるボルト15に、頭部分が丸形のボルトを用いたが、ボルトの頭の形状はこれに限定されない。たとえば、さらボルトや外面が六角形、四角形の形状を有するボルトを用いることができる。ただし、自動車がガードレールに衝突又は接触したときに、自動車の車体が窪み域まで触れる恐れがあるときは、頭部分が丸形のボルトを用いることが好ましい。
【0038】
また、板状ビームに穿たれる挿入孔の数は、張出域、窪み域とも、特に限定されることはない。さらに、ここでは、板状ビームに穿たれる挿入孔を張出域と窪み域に穿つ例を挙げたが、重ね合わせた2枚の板状ビームの端部を固定するためのボルトの挿入孔を、張出域と窪み域の間の中間域に設けてもよい。
【実施例2】
【0039】
図3は、本発明に係るガードレール用板状ビームの他の一例である。(a)は正面図、(b)は右側面図を示す。
【0040】
このガードレール用の板状ビーム10は金属板からなり、幅方向に屈曲させることによって、張出域11と窪み域12が形成されている。板状ビーム10の端部近傍には、張出域11の4個所と窪み域12の2個所に、それぞれ、ボルト挿入孔13と14が穿たれている。そして、張出域11に穿たれたボルト挿入孔13及び窪み域11に穿たれたボルト挿入孔14には、挿入するボルトの頭部分を収容できるだけの凹部17が形成されている。この板状ビーム10を支柱に取り付ける際には、窪み域のボルト挿入孔14にボルトが挿入され、支柱に取り付けられたブラケットとの間がナットで締め付けられる。
【0041】
そして、ガードレールは、板状ビームの複数枚を水平方向に連続して複数の支柱に取り付けることによって形成することになる。したがって、ガードレールの端部を除いて、支柱には2枚の板状ビームの端部を重ね合わせて、ボルト挿入孔の位置合わせをした上で、2枚の板状ビームの端部の窪み域のボルト挿入孔14にボルトを挿入して支柱に取り付けられたブラケットとの間で固定することになる。これに対して、張出域のボルト挿入孔13は、重ね合わせた2枚の板状ビームの端部を固定するためのボルトを挿入するためのものである。
【0042】
図4はこの本発明に係る板状ビームを取り付けてなるガードレールの他の一例である。(a)が車道からみた正面図、(b)は(a)のA−A断面図(右側面図)、(c)は(b)のB−B断面図(上面図)を示す。
【0043】
支柱5の一部を地中に埋め、直立させた後、ボルト等の固定手段(図示せず)によってブラケット6を取り付ける。図3に示す板状ビーム10を2枚用意し、それぞれの端部を重ね合わせて、ボルト挿入孔の位置合わせをした上で、2枚の板状ビーム10の端部の窪み域12のボルト挿入孔にボルト15を挿入し、ナット16で締め付けることで、板状ビーム10を支柱5に取り付けられたブラケット6との間で固定する。その後、2枚の板状ビーム10の端部の張出域11のボルト挿入孔にボルト15を挿入し、ナット16で締め付けることで、重ね合わせた2枚の板状ビームの端部を固定する。この作業を隣接する支柱に対して繰り返すことで、連続したガードレールを形成する。
【0044】
なお、これは、2枚の板状ビーム10の片端のそれぞれを1本の支柱に取り付けるときの作業であり、支柱がガードレールの端部に位置する場合は1枚の板状ビーム10の片端のみが1本の支柱に取り付けられることになる。
【0045】
形成されたガードレールにおいて、張出域11のボルト挿入孔に固定されるボルト15は、その頭部分がボルト挿入孔に形成された凹部に収容されているため、張出域11から突出することはない。また、窪み域12のボルト挿入孔に固定されるボルト15も、その頭部分がボルト挿入孔に形成された凹部に収容されているため、窪み域12から突出することはない。したがって、自動車がガードレールに衝突又は接触して、自動車の車体が板状ビーム10の窪み域12まで侵入したとしても、ボルト15の頭は自動車の車体に触れないので、自動車の車体の一部が自動車から剥がれることはない。よって、破片となって板状ビームの表面に付着することを防止することができる。したがって、ガードレールの車道側で歩行者や自転車に乗った人が板状ビームの表面に付着した破片で怪我をするおそれがなくなるとともに、自動車が板状ビームの表面に付着した破片に接触して、車体の損傷を被ることもなくなる。
【0046】
ここで、張出域11のボルト挿入孔に固定されるボルト15及び窪み域12のボルト挿入孔に固定されるボルト15の両方に、頭部分が丸形のボルトを用いたが、ボルトの頭の形状はこれに限定されない。頭部分がボルト挿入孔に形成される凹部に収容されるものであればよく、たとえば、さらボルトや外面が六角形、四角形の形状を有するボルトを用いることができる。
【0047】
また、板状ビームに穿たれる挿入孔の数は、張出域、窪み域とも、特に限定されることはない。さらに、ここでは、板状ビームに穿たれる挿入孔を張出域と窪み域に穿つ例を挙げたが、重ね合わせた2枚の板状ビームの端部を固定するためのボルトの挿入孔を、張出域と窪み域の間の中間域に設けてもよい。
【実施例3】
【0048】
図5は、この本発明に係るガードレールの他の一例である。(a)が車道からみた正面図、(b)は(a)のA−A断面図(右側面図)、(c)は(b)のB−B断面図(上面図)を示す。
【0049】
板状ビーム10として図3に示したものを用いることと、支柱5への2枚の板状ビーム10の取り付け方法は、図4で説明したのと同じである。図4に示したガードレールと異なる点は、2枚の板状ビーム10の端部の窪み域12のボルト挿入孔にボルト挿入孔にボルト15を挿入し、ナット16で締め付け、そして、2枚の板状ビーム10の端部の張出域11のボルト挿入孔にボルト15を挿入し、ナット16で締め付けた後に、ボルト挿入孔の凹部17に収容されたボルトの頭部分の上に充填材18が注入されていることである。
【0050】
なお、ボルトの頭部分の上に注入される充填材18としては、エポキシ樹脂系の充填材のほか、ウレタン、ポリエチレンなどの合成樹脂等を用いることができる。また、充填剤を注入する代わりに、充填材を塗布してもよい。あるいは、シート状又はテープ状の充填材を貼付してもよい。
【0051】
形成されたガードレールにおいて、張出域11のボルト挿入孔に固定されるボルト15は、その頭部分がボルト挿入孔に形成された凹部に収容された上に、充填材18が注入されて、ボルト挿入孔の凹みがなくなって平坦化しているため、張出域11の表面と面一となっている。また、窪み域12のボルト挿入孔に固定されるボルト15も、その頭部分がボルト挿入孔に形成された凹部に収容された上に、充填材18が注入されて、ボルト挿入孔の凹みがなくなって平坦化しているため、窪み域11の表面と面一となっている。
【0052】
したがって、自動車がガードレールに衝突又は接触して、自動車の車体が板状ビーム10の窪み域12まで侵入したとしても、ボルト15の頭は自動車の車体に触れないので、自動車の車体の一部が自動車から剥がれることはない。よって、破片となって板状ビームの表面に付着することを防止することができる。したがって、ガードレールの車道側で歩行者や自転車に乗った人が板状ビームの表面に付着した破片で怪我をするおそれがなくなるとともに、自動車が板状ビームの表面に付着した破片に接触して、車体の損傷を被ることもなくなる。
【0053】
ここで、張出域11のボルト挿入孔に固定されるボルト15及び窪み域12のボルト挿入孔に固定されるボルト15の両方に、頭部分が丸形のボルトを用いたが、ボルトの頭の形状はこれに限定されない。頭部分がボルト挿入孔に形成される凹部に収容されるものであればよく、たとえば、さらボルトや外面が六角形、四角形の形状を有するボルトを用いることができる。
【0054】
また、板状ビームに穿たれる挿入孔の数は、張出域、窪み域とも、特に限定されることはない。さらに、ここでは、板状ビームに穿たれる挿入孔を張出域と窪み域に穿つ例を挙げたが、重ね合わせた2枚の板状ビームの端部を固定するためのボルトの挿入孔を、張出域と窪み域の間の中間域に設けてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明によれば、自動車が衝突又は接触しても、自動車の車体の一部が自動車から剥がれ、破片となって板状ビームの表面に付着することを防止できるガードレール用板状ビーム及びガードレールを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明に係るガードレール用板状ビームの一例である。(a)は正面図、(b)は右側面図を示す。
【図2】本発明に係る板状ビームを取り付けてなるガードレールの一例である。(a)が車道からみた正面図、(b)は(a)のA−A断面図(右側面図)、(c)は(b)のB−B断面図(上面図)を示す。本発明にかかる弛緩防止金物の一例を示す平面図である。
【図3】本発明に係るガードレール用板状ビームの他の一例である。(a)は正面図、(b)は右側面図を示す。
【図4】図4はこの本発明に係る板状ビームを取り付けてなるガードレールの他の一例である。(a)が車道からみた正面図、(b)は(a)のA−A断面図(右側面図)、(c)は(b)のB−B断面図(上面図)を示す。
【図5】この本発明に係るガードレールの他の一例である。(a)が車道からみた正面図、(b)は(a)のA−A断面図(右側面図)、(c)は(b)のB−B断面図(上面図)を示す。
【図6】従来例に係るガードレール用板状ビームの一例である。(a)は正面図、(b)は巳日側面図である。
【図7】従来例に係る板状ビームを取り付けてなるガードレールの一例である。(a)が車道からみた正面図、(b)は(a)のA−A断面図(右側面図)、(c)は(b)のB−B断面図(上面図)を示す。
【符号の説明】
【0057】
5 支柱
6 ブラケット
10 板状ビーム
11 張出域
12 窪み域
13 張出域のボルト挿入孔
14 窪み域のボルト挿入孔
15 ボルト
16 ナット
17 ボルト挿入孔の凹部
18 充填材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
張出域と窪み域を有するガードレール用の板状ビームであって、板状ビームの張出域に形成されるボルト挿入孔がボルトの頭部分を収容することができる凹部を有することを特徴とするガードレール用板状ビーム。
【請求項2】
張出域と窪み域を有するガードレール用の板状ビームであって、板状ビームに形成されるボルト挿入孔がボルトの頭部分を収容することができる凹部を有することを特徴とするガードレール用板状ビーム。
【請求項3】
支柱とその支柱の車道側にボルトによって固定される板状ビームからなるガードレールであって、板状ビームの張出域に形成されるボルト挿入孔がボルトの頭部分を収容することができる凹部を有することを特徴とするガードレール。
【請求項4】
支柱とその支柱の車道側にボルトによって固定される板状ビームからなるガードレールであって、板状ビームに形成されるボルト挿入孔がボルトの頭部分を収容することができる凹部を有することを特徴とするガードレール
【請求項5】
凹部を有するボルト挿入孔にボルトの頭部分が収容されていることを特徴とする、請求項3又は4に記載のガードレール。
【請求項6】
凹部を有するボルト挿入孔に収容されたボルトの頭部分の上に充填材の層を設けることを特徴とする、請求項5に記載のガードレール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−9462(P2007−9462A)
【公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−189285(P2005−189285)
【出願日】平成17年6月29日(2005.6.29)
【出願人】(000101949)住友金属建材株式会社 (44)
【出願人】(000231110)JFE建材株式会社 (150)
【出願人】(000192615)神鋼建材工業株式会社 (61)
【出願人】(000003528)東京製綱株式会社 (139)
【出願人】(000006839)日鐵建材工業株式会社 (371)
【Fターム(参考)】