説明

キサンチン酸化酵素抑制効果および炎症誘発酵素抑制効果がある韓当帰抽出物を含む痛風治療用組成物

本発明は、キサンチン酸化酵素(xanthine oxidase)抑制を通じて血中または尿中の尿酸を減少させ、痛風治療に効果を有する韓当帰抽出物を含む痛風治療用組成物に関する。また、本発明は、炎症誘発酵素Cox−2を抑制する効果を有する韓当帰抽出物を含む痛風における炎症予防用組成物に関する。本発明の韓当帰抽出物は、その主成分であるデカーシンとデカーシノールアンゲレートを98重量%以上で構成した液体濃縮物であり、人間に投与するために抽出溶媒として水とエタノールだけで抽出し、また、純度を高めるために温度と溶解度差を用いた精製方法を使用したものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キサンチン酸化酵素(xanthine oxidase)の抑制を通じて血中または尿中の尿酸を減少させ、痛風治療に効果を有する韓当帰(ANGELICA GIGAS NAKAI)抽出物を含む痛風治療用組成物に関する。
【0002】
また、本発明は、炎症誘発酵素Cox−2を抑制する効果を有する韓当帰抽出物を含む痛風における炎症予防用組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
韓当帰は韓国が原産地であって、その使用範囲は補血剤として漢方薬剤に用いられてきた。最近の研究結果により、韓国産当帰の指標物質であるデカーシンとデカーシノールが血流改善作用と抗ヘリコバクター作用があると報告されており、本発明者らにより、純粋精製されたデカーシンが腎臓毒性の抑制と糖尿合併症による腎不全症の予防効果および糖尿性高血圧に効果があることを動物実験によって明らかにしたことがある(特許文献1参照)。
【0004】
また、韓当帰抽出方法に関し、本発明者らは特許登録を受けており(特許文献2参照)、これを改善し、主成分を95重量%以上含有するようにした韓当帰抽出物の抽出方法とそれを用いた抗酸化効果に対する特許を出願している(特許文献3参照)。
【0005】
それのみならず、脂質代謝改善効果を有する、韓当帰および智異山自生韓当帰の抽出物とその抽出方法に対する特許も出願している(特許文献4参照)
また、本発明者は、既存の方法より簡便で抽出量を多量確保できる濃縮方法を確保して製造し、これを液剤に製造して実験動物に経口的に投与する時に腸管吸収が容易であることを確認することができた。
【0006】
デカーシンとデカーシノールアンゲレート(decursinol angelate)は構造異性体として現在までよく知られてはいなかったが、本発明者らがその作用を研究してき、その分析法に関するのも確立して明らかにしたことがある(特許文献2参照)。
【0007】
デカーシンは室温で固体として存在し得るが、デカーシノールアンゲレートは−70℃においても液体として存在し、韓当帰ではデカーシンとデカーシノールアンゲレートの比率が約57:43程度であると本発明者らが明らかにしており、Mass分析を通じた正確な含量および比率を調べてみた結果、デカーシン50%〜54.5%、デカーシノールアンゲレート40%〜42%、デカーシノール0.1%〜0.3%、デカーシノール誘導体約2%〜3%、その他1%〜2%で構成された精製物質であることを明らかにした。
【0008】
痛風(Gout)は、血液中に尿酸が高い状態で長く持続して形成される尿酸の結晶体が体外に排出することができず、色々な組織に積もって多様な症状を誘発する代謝性疾患である。血中尿酸が増加する場合は、過度な尿酸の生産と腎臓による排せつ過程の異常から、十分に排出することができないために現れる。血中の尿酸数値が高いといって、直ちに痛風が発病するのではなく、高い尿酸数値によって尿酸結晶体が容易に形成され、色々な組織に蓄積した状態が10年〜20年間持続すれば、誘発因子によって痛風を起こすようになる。これは、主に40代〜50代の男性によく発病するが、食生活の変化および環境の変化によって発病年齢が益々低くなっており、女性は閉経期以後あるいは臓器移植後の免疫抑制剤の長期服用や利尿剤の長期服用によって腎機能が低下した女性に発病する可能性が高い。
【0009】
このような痛風の原因を調べてみれば、我々の体を構成している大部分の細胞は核を有しており、これは、遺伝情報を含む核酸からなっている。核酸はプリン(purine)やピリミジン(pyrimidine)で構成されており、細胞寿命が終われば破壊され、核の中のプリン体が分解され、尿酸(uric acid)が大量に作られ、尿酸ナトリウムの結晶が組織に蓄積することによって炎症を起こす疾病であり、高尿酸血症、痛風性関節炎、痛風性腎疾患、痛風性腎結石症などを起こすと知られている(非特許文献1参照)。
【0010】
プリン体の代謝過程中、アデニンはヒポキサンチン(hypoxanthine)とキサンチン(xanthine)を経て尿酸として作られ、グアニン(guanine)は直接キサンチン(xanthine)に代謝されて尿酸に分解されるが、この時にキサンチン酸化酵素(xanthine oxidase)が関与すると知られている。キサンチン酸化酵素がキサンチンを尿酸に転換させる時、スーパーオキシドラジカル(superoxide radical)を大量に生成することによって周辺細胞に酸化的ストレスを与え、痛風だけでなく、高血圧、高脂血症、動脈硬化症、糖尿病などのような疾患を伴うようになると知られている(非特許文献2参照)。
【0011】
【表2】

尿酸が生成される経路は大きく外因性尿酸(摂取した食べ物に含まれたプリン体から由来)と内因性尿酸(身体で破壊される細胞から由来)に区分することができる。このように作られた尿酸の大部分は腎臓において複雑な過程を経て小便に排出されるが、生産と排出のバランスが崩れると問題が発生する。正常男性の場合には、血中尿酸濃度は7mg/dl〜8mg/dl以下、正常女性の場合には、血中尿酸濃度は6mg/dl以下である。
【0012】
血中尿酸値は個人差があるが、8mg/dlを超過すれば、痛みが現れ、心臓や腎臓、脳の血管障害を起こす危険があり、10mg/dl以上であれば、発作が起こる。痛風は関節炎が最も一般的な症状であるが、急性または慢性的に腎機能の低下を招くこともある。
【0013】
痛風治療時、コルヒチン(colchicine、診断が確実ではない場合に使用)、非ステロイド性抗炎症薬(合併症がなく、診断が確実である場合に使用するか、消化性潰瘍、腎機能障害、浮腫悪化などの副作用の可能性が多い)、ステロイド(単発性関節炎において、関節腔内注射や筋肉注射として使用)を主に使用する。
【0014】
しかし、現代医学的に痛風を根本的に治療する薬は開発されていない。但し、抗高尿酸剤として尿酸生成抑制剤である「アロプリノール(allopurinol)」と尿酸腎臓排せつ促進剤である「プロベネシド(probenecid)」などがあるが、アロプリノールの場合には皮膚発疹、胃腸障害、骨髄抑制、かゆみ症、吐き気、筋肉痛などのような深刻な副作用があるため、安全で副作用が少なく且つ痛風を予防し治療できる物質の発明が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】国際公開第2000/023074
【特許文献2】大韓民国登録特許10−0509843
【特許文献3】大韓民国特許出願番号10−2007−45441
【特許文献4】大韓民国特許出願番号10−2008−4122
【非特許文献】
【0016】
【非特許文献1】Yagi K.,Chem.Phys.Lipids,45,p337,1987
【非特許文献2】Storch J et al.,Anal.Biochem.,169,p262,1988
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
上記のように既存の痛風治療薬は過度な副作用があるため、副作用がなく、治療および予防が可能な新しい痛風治療用組成物を提供しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
前記のような目的を達成するために、本発明は、キサンチン酸化酵素(xanthin oxidase)の活性を抑制し、炎症誘発酵素であるCox−2を抑制する効能を示し、体内において、オキソン酸カリウム(Potassium Oxonate)によって増加した尿酸(uric acid)の量を低下させる効能を有する、デカーシンおよびデカーシノールアンゲレートを有効成分とする韓当帰抽出物を含む痛風治療用組成物および痛風における炎症予防用組成物を提供することを目的とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明の韓当帰抽出物は、キサンチン酸化酵素(xanthin oxidase)の活性を抑制して、痛風時に増加する体内尿酸の量を低下させる効果があり、痛風における炎症誘発酵素であるCox−2の活性を抑制する効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】抽出精製されたデカーシンおよびデカーシノールアンゲレートが98重量%含まれた韓当帰抽出物である。
【図2】抽出精製されたデカーシンおよびデカーシノールアンゲレートが98重量%含まれたANGELICA GIGAS JIRI抽出物である。
【図3】正常対照群(normal control)、高尿酸血症対照群(Model contorl)、アロプリノール投与群(positive control)、韓当帰抽出物投与群(Decursin 50)の血中および尿中の尿酸濃度を示すグラフである。
【図4】正常対照群(normal control)、高尿酸血症対照群(Model contorl)、アロプリノール投与群(positive control)、韓当帰抽出物投与群(Decursin 50)の炎症誘発酵素であるCox−2(cyclooxygenase−2)の抑制効果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明は、キサンチン酸化酵素抑制(xanthine oxidase inhibition、XOI)作用により、血中または尿中の尿酸を減少させて、痛風治療に効果を示す韓当帰抽出物に関する。また、本発明は、炎症誘発酵素抑制効果のある韓当帰抽出物に関する。
【0022】
本発明の韓当帰抽出物は、本発明者らが出願した大韓民国特許出願10−2007−45441の方法によって製造された。
【0023】

1.韓当帰抽出物の製造
原料である韓国産および北朝鮮産韓当帰を40メッシュ(40mesh)以下に細かく粉砕して、水分含量を5%以下に乾燥し、薬用アルコールまたは酒精アルコールを粉砕韓当帰の2倍から4倍添加して12時間以上十分に抽出し、これを濾過して定量した。この場合には、濃縮物に含有されたデカーシンとデカーシノールアンゲレートの含量が33%であった。
【0024】
この濃縮物を蒸発乾燥して粘性の高い物質を得た。この物質1kg当たり薬用アルコールまたは酒精アルコール1リットルを入れて主成分を溶かし、−20℃で10時間放置して、生成された沈殿物を遠心分離して除去した後に上澄液を得た。上澄液を蒸発乾燥して濃縮物を得た。
【0025】
この濃縮物に60%エタノール50リットルを入れて溶出した。この場合には、濃縮物に含有されたデカーシンとデカーシノールアンゲレートは330gであり、60%エタノール50リットルに溶けられる主成分の量も330gであることを利用した。
【0026】
溶出後遠心分離して60%エタノール層だけを得た。これを蒸発乾燥して濃縮物を得ることができた。これを99%アルコールに溶かして上澄液を取り、最終濃縮物を得た(図1参照)。
【0027】
このように濃縮した韓当帰抽出物を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で分析した代表的な結果は、デカーシンおよびデカーシノールアンゲレートの総含量は98重量%を示し、この抽出物を用いて以下の実験を行った。
【0028】

2.キサンチン酸化酵素抑制効果(Xanthine Oxidase Inhibition)実験
本実験では、キサンチンを基質にし、キサンチン酸化酵素を酵素にして、酵素−基質反応実験を行った。キサンチン酸化酵素抑制活性はストライプらの方法(Stripe F.et al.,J.Biol.Chem,244.,p3855−3863,1969)によって測定した。
【0029】
50mMリン酸カリウム緩衝液(pH7.5)250μl、韓当帰抽出物溶液(デカーシンおよびデカーシノールアンゲレートの最終濃度が1、5、10、17.5、20、50μg/mlになるように50mMリン酸カリウム緩衝液(pH7.5)で薄めて製造した)385μl、キサンチン溶液330μlを混合して反応液を製造した。
【0030】
前記反応液にキサンチン酸化酵素溶液(最終濃度0.4U/ml)を35μl添加し、37℃培養器にて15分間反応させた後、295nmにおいて吸光度(absorbance、Ab)を測定した。
【0031】
また、韓当帰抽出物の各濃度(デカーシンおよびデカーシノールアンゲレートの最終濃度が1μg/ml、5μg/ml、10μg/ml、17.5μg/ml、20μg/ml、50μg/ml)に対してキサンチン酸化酵素溶液を入れていない反応液と、韓当帰抽出物を入れていない溶液に対してキサンチン酸化酵素溶液を入れた場合と入れていない場合の反応液も各々製造し、その時に入れていない韓当帰抽出物およびキサンチン酸化酵素に相応する量だけは50mMリン酸カリウム緩衝液(pH7.5)を添加し、その結果、最終反応液の体積が1mlになるようにした。
【0032】
本発明のキサンチン酸化酵素抑制率は下記の公式によって測定計算し、その結果は表1の通りである。
【0033】
抑制率(%)=(1−B/A)×100
A:組成物不在時の吸光度の変化(Absorbance with enzyme−Absorbance without enzyme)
B:組成物存在時の吸光度の変化(Absorbance with enzyme−Absorbance without enzyme)
【0034】
【表1】

また、韓当帰抽出物と同じ濃度でアロプリノールを標準抑制剤として用いて抑制効果を測定した結果、IC50は38.0μg/mlであった。
【0035】
すなわち、キサンチン酸化酵素抑制剤としてよく知られているアロプリノールのIC50は38.0μg/mlであったが、本発明の韓当帰抽出物のIC50は18.2μg/mlであり、また、既存文献によれば、アロプリノールのIC90は80μg/ml〜100μg/mlと報告されているが、本発明の韓当帰抽出物はIC90が約44.7μg/mlであり、よって、本発明の組成物のキサンチン酸化酵素抑制効果がより優れていると考えられる。
【0036】
前記IC50はキサンチン酸化酵素を50%抑制する地点を意味し、これは、100μg/mlの緑茶抽出物、セイヨウサンザシ抽出物、昆布抽出物、ナツメ(Zizyphus jujuba)抽出物、イチョウの葉抽出物のキサンチン酸化酵素抑制率を測定した結果、各々、92%、85%、68%、64%、78%を示すこと(大韓民国登録特許第10−0492470)と、長生紅プラティコドン(old red platycodon)30μg/mlのキサンチン酸化酵素抑制率が63.6%を示すこと(大韓民国登録特許第10−0662206)と、アッケシソウ(Salicornia herbacea)抽出物のキサンチン酸化酵素抑制率IC50値が21μM(大韓民国登録特許第10−0569244)であることと比較してみる時、他のいずれの物質よりも優れていた。
【0037】

3.痛風誘発動物モデルにおける血中および尿中の尿酸減少実験
本発明の韓当帰抽出物の抗痛風活性を確認するために、尿酸分解酵素抑制剤であるオキソン酸カリウム(potassium oxonate)を投与して高尿酸血症を誘導した後、韓当帰抽出物の血中尿酸減少効果に対する実験を行った。陽性対照群には、尿酸合成抑制剤であるアロプリノール(allopurinol、Sam Il Pharm.)を投与した痛風疾患モデルを利用して比較実験を行った。
【0038】
実験動物は、湿度50±5%、温度24℃〜26℃に維持される飼育場(SPF chamber)で飼育された9週齢の雄SDラット(sprague−dawley rat、male、250g−280g、Samtako,Inc.)を使用し、飼料と水を十分に供給し、1週間実験室の環境に適応させた後に実験に用いた。
【0039】
本実験では、尿酸分解酵素抑制剤であるオキソン酸カリウム(150mg/kg)を試料投与の1日前に腹腔内に投与して高尿酸血症を誘導した。オキソン酸カリウム投与後、高尿酸血症の誘導有無を確認するために、オキソン酸カリウム投与前後の尿酸含量を測定して比較した。
【0040】
オキソン酸カリウムは、0.5% sodium carboxymethylcellulose(CMC−Na、0.5% CMC with 0.1M sodium acetate(pH5))で懸濁して用いた。
【0041】
高尿酸血症が誘発された実験動物を4個のグループに分け、正常対照群(Normal control)、高尿酸血症対照群(Model contorl)、アロプリノール投与群(Positive control)、韓当帰抽出物投与群(Decursin 50)に分けて、各グループ当たり7匹に設定して実験した。
【0042】
高尿酸血症対照群は、韓当帰抽出物の代わりに同量の溶媒で代替して投与し、アロプリノールおよび韓当帰抽出物は、0.1% polyoxyethylene sorbitane monoleateを含む0.01M phosphate buffered salineに懸濁して、高尿酸血症の誘発後、3日間経口投与した。
【0043】
アロプリノール投与群は、市販薬の投与容量である50mg/kgを投与し、韓当帰抽出物も50mg/kgの濃度で3日間経口投与した。最後に経口投与した時点から2時間以内に各々の実験動物の小便(尿)を集め、直ちに解剖して血清を分離し、尿酸濃度を評価するために血液および尿中の尿酸の濃度を測定した(検査装置:DRI−CHEM,FUJIFILM,Model No.3200)。
【0044】
血液および尿中の尿酸濃度は、高尿酸血症対照群(Model contorl)に比べて低い数値を示した(図3参照)。
【0045】
韓当帰抽出物投与群(Decursin 50)の血中および尿中の尿酸濃度は、対照薬物を投与したアロプリノール投与群(Positive control)よりは尿酸減少能力が多少落ちるが、これは、現在市販されているアロプリノールの多様な副作用を考えてみると、非常に有益な効果であると思われる。
【0046】

4.痛風誘発動物モデルの肝細胞における炎症誘発抑制効果実験
本発明の韓当帰抽出物の炎症誘発酵素Cox−2抑制効果を確認するために、尿酸分解酵素抑制剤であるオキソン酸カリウム(potassium oxonate)を投与して高尿酸血症を誘導した後、韓当帰抽出物の血中尿酸降下効果に対する陽性対照群として、尿酸合成抑制剤であるアロプリノールを投与した痛風疾患モデルを利用して比較実験を行った。対照群としてはβ−actinを利用した。
【0047】
実験動物は、湿度50±5%、温度24℃〜26℃に維持される飼育場(SPF chamber)で飼育された9週齢の雄SDラット(sprague−dawley rat,male,250g−280g,Samtako,Inc.)を使用し、飼料と水を十分に供給し、1週間実験室の環境に適応させた後に実験に用いた。
【0048】
本実験では、尿酸分解酵素抑制剤であるオキソン酸カリウム(150mg/kg)を試料投与の1日前に腹腔内に投与して高尿酸血症を誘導した。オキソン酸カリウム投与後、高尿酸血症の誘導有無を確認するために、オキソン酸カリウム投与前後の尿酸含量を測定して比較した。
【0049】
オキソン酸カリウムは、0.5% sodium carboxymethylcellulose(CMC−Na、0.5% CMC with 0.1M sodium acetate(pH5))で懸濁して用いた。高尿酸血症が誘発された実験動物を4個のグループに分け、正常対照群(control)、高尿酸血症対照群(Model contorl)、アロプリノール投与群(powitive control)、韓当帰抽出物投与群(Decursin 50)に分けて、各グループ当たり7匹に設定して実験した。
【0050】
高尿酸血症対照群は、韓当帰抽出物の代わりに同量の溶媒で代替して投与し、アロプリノール投与群および韓当帰抽出物投与群は、アロプリノールおよび韓当帰抽出物を各々0.1% tween 80を含むPBSに懸濁して、高尿酸血症誘発後、3日間経口投与した。アロプリノール投与群は、市販薬の投与容量である50mg/kgを投与し、韓当帰抽出物も50mg/kgの濃度で経口投与した。
【0051】
3日間経口投与した後、実験動物を一晩絶食させた後、ドライアイスで麻酔し開腹して、肝(liver)を摘出して重さを測定した後、急速冷凍をして−80℃で冷凍保管した。全体肝(liver)中の100mgを取り、cell lysis bufferを使ってタンパク質を分離した後、BCA protein assayを利用してタンパク質を測定した。同量のタンパク質を、sodium dodecyl sulfate−polyacrylamide gel electrophoresis(SDS−PAGE)で分離した後、polyvinylidene flluoride membrane(PVDF)にトランスファー(transfer)した。トランスファーが完了したPVDF membraneを、5% non−fat dry milkを含有したPBST(0.01% polyoxyethylene sorbitan monooleate−0.01M phosphate buffered saline)で非特異的タンパク質を遮断するために1時間程度反応させた。その次に、1次抗体(primary antibody)を一晩反応させた後、各抗体に対する2次抗体(secondary antibody)であるanti−goat IgGとanti−rabbit IgGに1時間反応させた。各反応の間、PBSTで5分ずつ5回washingした。最後のwashingが終われば、各抗体に対する対応タンパク質bandは、supersignal west pico chemiluminescent substrate(Pierce,Rockford,IL,USA)を利用して発現させた。
【0052】
その結果、図4に示すように、韓当帰抽出物投与群が、アロプリノール投与群より、肝潮職において、Cox−2タンパク質の発現が抑制されることが確認され、特に陽性対照群であるアロプリノール投与群の場合、高尿酸血症対照群(Model contorl)に比べてCox−2の発現をむしろ増加させており、これは、アロプリノールの副作用中の一部であると判断される。したがって、前記実験結果に基づき、韓当帰抽出物は、痛風による炎症反応を抑制する効果があるということが分かった。
【0053】
また、本発明の実施例では韓当帰抽出物を用いて実験したが、ANGELICA GIGAS JIRI抽出物を用いることができるということは勿論である(図2)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キサンチン酸化酵素(xanthine oxidase)抑制を通じた痛風治療に効果を有する韓当帰抽出物を含む、
痛風治療用組成物。
【請求項2】
韓当帰抽出物は、デカーシンおよびデカーシノールアンゲレートを98重量%以上含むことを特徴とする、
請求項1に記載の痛風治療用組成物。
【請求項3】
キサンチン酸化酵素50%抑制効果(IC50)が18.2μg/mlであり、キサンチン酸化酵素90%抑制効果(IC90)が44.7μg/mlであることを特徴とする、
請求項1に記載の痛風治療用組成物。
【請求項4】
炎症誘発酵素Cox−2を抑制する効果を有する韓当帰抽出物を含む、
痛風における炎症予防用組成物。
【請求項5】
韓当帰抽出物はデカーシンおよびデカーシノールアンゲレートを98重量%以上含むことを特徴とする、
請求項4に記載の痛風における炎症予防用組成物。
【請求項6】
キサンチン酸化酵素(xanthine oxidase)抑制を通じた痛風治療に効果を有するANGELICA GIGAS JIRI抽出物を含む、
痛風治療用組成物。
【請求項7】
ANGELICA GIGAS JIRI抽出物は、デカーシンおよびデカーシノールアンゲレートを98重量%以上含むことを特徴とする、
請求項6に記載の痛風治療用組成物。
【請求項8】
炎症誘発酵素Cox−2を抑制する効果を有するANGELICA GIGAS JIRI抽出物を含む、
痛風における炎症予防用組成物。
【請求項9】
ANGELICA GIGAS JIRI抽出物は、デカーシンおよびデカーシノールアンゲレートを98重量%以上含むことを特徴とする、
請求項8に記載の痛風における炎症予防用組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2012−513458(P2012−513458A)
【公表日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−543420(P2011−543420)
【出願日】平成21年12月16日(2009.12.16)
【国際出願番号】PCT/KR2009/007549
【国際公開番号】WO2010/074453
【国際公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【出願人】(511153194)韓国生命健康株式会社 (1)
【氏名又は名称原語表記】KOREA BIO HEALTH CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】909 In−je University Business Incubator Center Seong−san−gwan
【Fターム(参考)】