説明

キサントン化合物

【課題】
中枢又は末梢における神経再生促進剤、神経障害性疾患、神経変性疾患及び虚血障害を伴う神経性疾患、特に緑内障の予防・治療剤として有用なセマフォリン阻害活性を有する化合物を提供する。
【解決手段】
式(1):


[式中、R1及びR2は独立して、水素原子、カルボキシル基、アミド基、エステル基を表す。]で表されるキサントン化合物又はその薬学上許容される塩。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なキサントン化合物、並びに、それらを有効成分として含有するセマフォリン阻害剤、中枢又は末梢における神経再生促進剤、神経障害性疾患、神経変性疾患及び虚血障害を伴う神経性疾患の予防・治療剤に関する。
【背景技術】
【0002】
セマフォリンは、神経成長円錐を退縮させ軸索の伸長を抑制する因子として同定された内因性のタンパク質であり、これまでに約20種の分子種が知られているが、最も良く研究されているのがクラス3型と呼ばれるサブファミリーの遺伝子群である。これらの遺伝子がコードする蛋白質はインビトロで強い神経突起伸長抑制活性、成長円錐退縮活性を有していることが知られている。中でも最も良く研究されているのがセマフォリン3A(Sema3A)(非特許文献1及び2を参照)であり、この蛋白質は10pMという低濃度で短時間のうちに培養神経細胞の成長円錐退縮を誘発する。
セマフォリンの機能を阻害する物質としては、ペニシリウム・エスピー(Penicillium sp.)SPF-3059株(独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター受託番号:FERM BP-7663)の培養物から得られる一連のキサントン化合物(特許文献1又は2を参照)及び前記キサントン化合物を化学的に修飾した誘導体(特許文献3を参照)が知られており、当該化合物はインビボで神経再生促進作用を有する。また、前記物質として抗セマフォリン3A抗体が知られており、網膜神経細胞の細胞死(アポトーシス)を抑制すること等が報告されている(非特許文献3を参照)。しかしながら、前記キサントン化合物やその誘導体が、虚血時の細胞死(アポトーシス)、例えば網膜神経細胞死や脳における神経細胞死を抑制し、虚血障害に有効な治療剤又は予防剤として優れた効果を示すことは知られていなかった。
【特許文献1】国際公開第02/09756号パンフレット、
【特許文献2】国際公開第03/062243号パンフレット
【特許文献3】国際公開第03/062440号パンフレット
【非特許文献1】Cell, 75, p217 (1993)
【非特許文献2】Cell, 75, p1389 (1993)
【非特許文献3】Journal of Biological Chemistry,277,p49799(2002)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の課題は、セマフォリン阻害剤や、かかるセマフォリン阻害剤を有効成分として含有する、末梢あるいは中枢における神経再生促進剤や、かかる神経再生促進剤を含有する脊髄損傷等の神経変性を伴う神経性疾患の予防剤や治療剤、又は虚血障害を伴う神経性疾患の予防剤や治療剤等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者らは、鋭意検討を行った結果、ペニシリウム・エスピー(Penicillium sp.)SPF−3059株(独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター受託番号FERM BP−7663)の培養物中に見出される化合物を化学的に修飾した新規誘導体が、セマフォリン阻害活性を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち本発明は、
〔1〕 式(1):
【0005】
【化1】

[式中、R1及びR2は独立して、水素原子、カルボキシル基、式(2):
【0006】
【化2】

(式中R7は水素原子又はC1−C6アルキル基を表し、R8は水素原子、置換もしくは無置換のC1−C6アルキル基、置換もしくは無置換のC2−C6アルケニル基、置換もしくは無置換のC2−C6アルキニル基、置換もしくは無置換のC3−C7シクロアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のヘテロアリール基又は4〜7員の置換もしくは無置換の飽和ヘテロ環基を表すか、あるいはR7及びR8は結合して、置換もしくは無置換の4〜7員の飽和含窒素へテロ環を形成していてもよい。)
で表される基、又は式(3):
【0007】
【化3】

(式中R9は、置換もしくは無置換のC1−C6アルキル基、置換もしくは無置換のC2−C6アルケニル基、置換もしくは無置換のC2−C6アルキニル基、置換もしくは無置換のC3−C7シクロアルキル基又は置換もしくは無置換のアリール基を表す。)
で表される基を表し、R1及びR2の少なくとも1つが前記式(2)又は前記式(3)で表される基であり、
3、R4、R5及びR6は独立して、水素原子、水酸基、置換もしくは無置換のC1−C6アルコキシ基、置換もしくは無置換のC2−C6アルケニルオキシ基、置換もしくは無置換のC2−C6アルキニルオキシ基、置換もしくは無置換のC3−C7シクロアルコキシ基、置換もしくは無置換のC2−C7アルカノイルオキシ基、置換もしくは無置換のC3−C7シクロアルカノイルオキシ基、置換もしくは無置換のアロイルオキシ基、置換もしくは無置換のアリールオキシ基、置換もしくは無置換のヘテロアロイルオキシ基又は置換もしくは無置換のヘテロアリールオキシ基を表す。]
で表される、キサントン化合物又はその薬学上許容される塩;
〔2〕 R3、R4、R5及びR6が独立して、水素原子、水酸基又は置換もしくは無置換のC1−C6アルコキシ基である、〔1〕に記載のキサントン化合物又はその薬学上許容される塩;
〔3〕 R1及びR2が独立して、水素原子、カルボキシル基又は式(3)で表される基を表し、式(3)におけるR9がC1-6アルキル基を表す、〔1〕又は〔2〕に記載のキサントン化合物又はその薬学上許容される塩;
〔4〕 R1及びR2が独立して、水素原子、カルボキシル基又は式(2)で表される基を表し、式(2)におけるR8が置換もしくは無置換のC1-6アルキル基を表す、〔1〕又は〔2〕に記載のキサントン化合物又はその薬学上許容される塩;
〔5〕 R8が置換C1-6アルキル基を表す場合の置換C1-6アルキル基における置換基が、置換もしくは無置換のアミノ基、置換もしくは無置換のアリール基又は置換もしくは無置換のヘテロアリール基である、〔4〕に記載のキサントン化合物又はその薬学上許容される塩;
〔6〕 〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載のキサントン化合物又はその薬学上許容される塩を有効成分として含有するセマフォリン阻害剤;
〔7〕 〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載のキサントン化合物又はその薬学上許容される塩を有効成分として含有する神経再生促進剤;
〔8〕 〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載のキサントン化合物又はその薬学上許容される塩を有効成分として含有する虚血性神経障害治療剤又は予防剤;
〔9〕 虚血性神経障害が緑内障である、〔8〕に記載の治療剤又は予防剤。
に関するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、セマフォリン阻害活性を有する新規なキサントン化合物を提供することが可能になった。当該化合物は、末梢あるいは中枢における神経再生促進剤や、かかる神経再生促進剤を含有する神経障害性疾患・神経変性疾患に対する予防剤や治療剤として、又は虚血障害を伴う神経性疾患の予防剤や治療剤として有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明のキサントン化合物における置換基を、以下に説明する。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子が挙げられ、好ましくはフッ素原子又は塩素原子を挙げることができる。
1−C6アルキル基とは、直鎖もしくは分枝の炭素数1ないし6のアルキル基を意味し、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、2−プロピル基(イソプロピル基)、ブチル基、2−メチルプロピル基、3−メチルプロピル基(イソブチル基)、t−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基等を挙げることができる。
2−C6アルケニル基とは、直鎖もしくは分枝の炭素数2ないし6のアルケニル基を意味し、具体的にはビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、1−メチルビニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、1−エチルビニル基、1−メチル−1−プロペニル基、1−メチル−2−プロペニル基、2−メチルー1−プロペニル基、2−メチル−2−プロペニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、3−ペンテニル基、4−ペンテニル基、1−プロピルビニル基、1−エチル−2−プロペニル基、1−メチル−3−ブテニル基、1,3−ブタジエニル基、1−メチル−1−ブテニル基、1−エチル−3−メチルビニル基、1−メチル−1−プロペニル基、1−へキセニル基、2−へキセニル基、3−へキセニル基等を挙げることができる。好ましくは、ビニル基(エテニル基)、シス−1−プロペニル基、トランス−1−プロペニル基、アリル基(2−プロペニル基)、イソプロペニル基(1−メチルビニル基)等を挙げることができる。
2−C6アルキニル基とは、直鎖もしくは分枝の炭素数2ないし6のアルキニル基を意味し、具体的には、エチニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基、1−ブチニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基、1−メチル−2−プロピニル基、1−ペンチニル基、2−ペンチニル基、3−ペンチニル基、4−ペンチニル基、1−ヘキシニル基、5−ヘキシニル基等を挙げることができる。好ましくは、エチニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基等を挙げることができる。
【0010】
3−C7シクロアルキル基とは3〜7員のシクロアルキル基を意味し、具体的には、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基又はシクロヘプチル基等を挙げることができる。
アリール基とは、単環もしくは二環の6〜10員の芳香族炭化水素基を意味し、具体的にはフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基等を挙げることができる。
ヘテロアリール基としては、単環もしくは二環の0〜4個の窒素原子、0〜1個の酸素原子及び0〜1個の硫黄原子から選択される、1〜4個のヘテロ原子を含む5〜10員のヘテロアリール基が挙げられる。具体的には、ピロリル基、ピリジル(窒素原子がオキシド化されていてもよい)基、ピリミジル基、チエニル基、フリル基、イミダゾリル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基、インドリル基、キノリル基、プリル基、キナゾリニル基、ベンズイミダゾリル基又はベンズチアゾリル基等を挙げることができる。
4〜7員の飽和ヘテロ環としては、0〜3個の窒素原子、0〜1個の酸素原子及び0〜1個の硫黄原子から選択される1〜4個のヘテロ原子を含む4〜7員の飽和へテロ環が挙げられる。具体的には、アゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、オキシラン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,4−ジオキサン、エチレンスルフィド、テトラヒドロチオフェン、ペンタメチレンスルフィド又は1,4−チオキサン等が挙げられる。
【0011】
7及びR8が結合して形成する4〜7員の飽和含窒素ヘテロ環としては、1〜3個の窒素原子、0〜4個の酸素原子及び0〜1個の硫黄原子から選択される1〜4個のヘテロ原子を含む4〜7員の飽和含窒素へテロ環が挙げられる。該飽和含窒素へテロ環としては、アゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、チオモルホリン、チオモルホリンオキシド、チオモルホリンジオキシド又はパーヒドロアゼピン等が挙げられる。
【0012】
1−C6アルコキシ基とは、直鎖もしくは分枝の炭素数1ないし6のアルキルオキシ基を意味し、具体的にはメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、t−ブトキシ基、ペントキシ基、ヘキシルオキシ基等を挙げることができる。
2−C6アルケニルオキシ基とは、直鎖もしくは分枝の炭素数2ないし6のアルケニルオキシ基を意味し、具体的にはビニルオキシ基(エテニルオキシ基)、シス−1−プロペニルオキシ基、トランス−1−プロペニルオキシ基、アリルオキシ基(2−プロペニルオキシ基)、イソプロペニルオキシ基(1−メチルビニルオキシ基)等を挙げることができる。
2−C6アルケニルオキシカルボニル基とは、前記C2−C6アルケニルオキシ基にカルボニルが結合した基を表す。
2−C6アルキニルオキシ基とは、直鎖もしくは分枝の炭素数2ないし6のアルキニルオキシ基を意味し、具体的にはエチニルオキシ基、1−プロピニルオキシ基、2−プロピニルオキシ基等を挙げることができる。
2−C6アルキニルオキシカルボニル基とは、前記C2−C6アルキニルオキシ基にカルボニルが結合した基を表す。
3−C7シクロアルコキシ基としては、3〜7員のシクロアルコキシ基が挙げられ、具体的にはシクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、シクロへプチルオキシ基を挙げることができる。
2−C7アルカノイル基とは、直鎖もしくは分枝の炭素数2ないし7のアルカノイル基を意味し、具体的には、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基(ブタノイル基)、イソブチリル基(2-メチルプロパノイル基)、バレリル基(ペンタノイル基)、イソバレリル基(3-メチルブタノイル基)、ピバロイル基又はヘキサノイル基が挙げられる。
2−C7アルカノイルオキシ基とは、直鎖もしくは分枝の炭素数2ないし7のアルカノイルオキシ基を意味し、具体的にはアセトキシ基、プロピオニルオキシ基、ブチリルオキシ基、イソブチリルオキシ基、バレリルオキシ基、イソバレリルオキシ基、ピバロイルオキシ基又はヘキサノイルオキシ基等を挙げることができる。
3−C7シクロアルカノイルオキシ基としては、3〜7員のシクロアルカノイルオキシ基が挙げられ、具体的にはシクロプロピルカルボニルオキシ基、シクロブチルカルボニルオキシ基、シクロペンチルカルボニルオキシ基、シクロヘキシルカルボニルオキシ基、シクロへプチルカルボニルオキシ基を挙げることができる。
アロイル基としては、具体的にはベンゾイル基、1−ナフトイル基、2−ナフトイル基等を挙げることができる。
アロイルオキシ基としては、具体的にはベンゾイルオキシ基、1−ナフトイルオキシ基、2−ナフトイルオキシ基等を挙げることができる。
アリールオキシ基としては、具体的にはフェノキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基等を挙げることができる。
ヘテロアロイル基としては、前記ヘテロアリール基上の炭素原子にカルボニル基が結合した基を表し、具体的には、ピロリルカルボニル基(例えば2−ピロリルカルボニル基等)、ピリジルカルボニル(窒素原子がオキシド化されていてもよい)基(例えば、2−ピリジルカルボニル基、4−ピリジルカルボニル基等)、ピリミジニルカルボニル基(例えば、4−ピリミジニルカルボニル基等)、チエニルカルボニル基(例えば、2−チエニルカルボニル基、3−チエニルカルボニル基等)、フリルカルボニル基(例えば、2−フリルカルボニル基、3−フリルカルボニル基等)、イミダゾリルカルボニル基(例えば4−イミダゾリルカルボニル基等)、キノリルカルボニル基(2−キノリルカルボニル基等)、プリニルカルボニル基(2−プリニルカルボニル基等)、キナゾリニルカルボニル基(6−キナゾリニルカルボニル基等)、ベンズイミダゾリルカルボニル基(2−ベンズイミダゾリルカルボニル基等)又はベンズチアゾリルカルボニル基(2−ベンズチアゾリルカルボニル基等)等を挙げることができる。
ヘテロアロイルオキシ基としては、前記ヘテロアリール基上の炭素原子にカルボニルオキシ基が結合した基を表し、具体的には、ピロリルカルボニルオキシ基(例えば2−ピロリルカルボニルオキシ基等)、ピリジルカルボニルオキシ(窒素原子がオキシド化されていてもよい)基(例えば、2−ピリジルカルボニルオキシ基、4−ピリジルカルボニルオキシ基等)、ピリミジニルカルボニルオキシ基(例えば、4−ピリミジルカルボニルオキシ基等)、チエニルカルボニルオキシ基(例えば、2-チエニルカルボニルオキシ基、3-チエニルカルボニルオキシ基等)、フリルカルボニルオキシ基(例えば、2-フリルカルボニルオキシ基、3-フリルカルボニルオキシ基等)、イミダゾリルカルボニルオキシ基(例えば4-イミダゾリルカルボニルオキシ基等)、キノリルカルボニルオキシ基(2−キノリルカルボニルオキシ基等)、プリニルカルボニルオキシ基(2−プリニルカルボニルオキシ基等)、キナゾリニルカルボニルオキシ基(6-キナゾリニルカルボニルオキシ基等)、ベンズイミダゾリルカルボニルオキシ基(2−ベンズイミダゾリルカルボニルオキシ基等)又はベンズチアゾリルカルボニルオキシ基(2-ベンズチアゾリルカルボニルオキシ基等)等を挙げることができる。
ヘテロアリールオキシ基としては、前記ヘテロアリール基上の炭素原子に酸素原子が結合した基を表し、具体的には、前記ヘテロアリール基上の炭素原子にカルボニルオキシ基が結合した基を表し、具体的には、ピロリルオキシ基(例えば2−ピロリルオキシ基等)、ピリジルオキシ(窒素原子がオキシド化されていてもよい)基(例えば、2−ピリジルオキシ基、4−ピリジルオキシ基等)、ピリミジニルオキシ基(例えば、4−ピリミジニルオキシ基等)、チエニルオキシ基(例えば、2-チエニルオキシ基、3-チエニルオキシ基等)、フリルオキシ基(例えば、2-フリルオキシ基、3-フリルオキシ基等)、イミダゾリルオキシ基(例えば4-イミダゾリルオキシ基等)、キノリルオキシ基(2−キノリルオキシ基等)、プリニルオキシ基(2−プリニルオキシ基等)、キナゾリニルオキシ基(6-キナゾリニルオキシ基等)、ベンズイミダゾリルオキシ基(2−ベンズイミダゾリルオキシ基等)又はベンズチアゾリルオキシ基(2-ベンズチアゾリルオキシ基等)等を挙げることができる。
【0013】
1−C6アルキルチオ基とは、直鎖もしくは分枝の炭素数1ないし6のアルキルチオ基を意味し、具体的にはメチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、イソプロピルチオ基、ブチルチオ基、t−ブチルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基等を挙げることができる。
2−C7アルキルチオカルボニル基、C2−C7アルキルチオカルボニルオキシ基、C2−C7アルキルスルフィニル基及びC2−C7アルキルスルホニル基における「アルキル」としては、前記アルキル基と同じものが挙げられる。
2−C7アルコキシカルボニル基及びC2−C7アルコキシチオカルボニル基における「アルコキシ」としては、前記アルコキシ基と同じものが挙げられる。
【0014】
本明細書において、C1−C6アルキル基、C2−C6アルケニル基及びC2−C6アルキニル基が置換されている場合、1又は複数、好ましくは1〜5個の置換基で置換されていてもよい。当該置換基としては、ハロゲン原子、水酸基、置換もしくは無置換のC1−C6アルコキシ基、置換もしくは無置換のC1−C6アルキルチオ基、置換もしくは無置換のC2−C7アルカノイル基、置換もしくは無置換のC2−C7アルカノイルオキシ基、置換もしくは無置換のC2−C7アルキルチオカルボニルオキシ基、置換もしくは無置換のC2−C7アルコキシカルボニル基、置換もしくは無置換のC2−C7アルコキシチオカルボニル基、置換もしくは無置換のC2−C7アルキルチオカルボニル基、置換もしくは無置換のC2−C7アルキルスルフィニル基、置換もしくは無置換のC2−C7アルキルスルホニル基、置換もしくは無置換のC3−C7シクロアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のヘテロアリール基、置換もしくは無置換の4〜7員の飽和ヘテロ環基、置換もしくは無置換のアミノ基又は置換もしくは無置換のカルバモイル基を挙げることができる。
本明細書において、C1−C6アルコキシ基、C1−C6アルケニルオキシ基、C1−C6アルキニルオキシ基、C1−C6アルキルチオ基、C2−C7アルカノイル基、C2−C7アルカノイルオキシ基、C2−C7アルキルチオカルボニルオキシ基、C2−C7アルコキシカルボニル基、C2−C7アルコキシチオカルボニル基、C2−C7アルキルチオカルボニル基、C2−C7アルキルスルフィニル基及びC2−C7アルキルスルホニル基が置換されている場合、1又は複数、好ましくは1〜5個の置換基で置換されていてもよい。当該置換基としては、ハロゲン原子、水酸基、C1−C6アルコキシ基、C1−C6アルキルチオ基、C2−C7アルカノイル基、C2−C7アルカノイルオキシ基、C2−C7アルキルチオカルボニルオキシ基、C2−C7アルコキシカルボニル基、C2−C7アルコキシチオカルボニル基、C2−C7アルキルチオカルボニル基、C2−C7アルキルスルフィニル基及びC2−C7アルキルスルホニル基、アミノ基、C1−C6アルキルアミノ基、ジC1−C6アルキルアミノ基、C2−C7アルカノイルアミノ基、C1−C6アルコキシカルボニルアミノ基、C1−C6アルキルスルフィニルアミノ基、C1−C6アルキルスルホニルアミノ基、カルバモイル基、C1−C6アルキルカルバモイル基、ジC1−C6アルキルカルバモイル基、置換もしくは無置換のシクロアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のヘテロアリール基又は置換もしくは無置換の4〜7員の飽和ヘテロ環基等が挙げられる。
尚本明細書において、ジC1−C6アルキルアミノ基及びジC1−C6アルキルカルバモイル基における2個のアルキル基は上記「アルキル基」と同義であり、同一又は異なっていてもよい。
【0015】
本明細書において、アミノ基が置換されている場合の置換基としては、置換もしくは無置換のC1−C6アルキル基、置換もしくは無置換のC1−C6アルケニル基、置換もしくは無置換のC1−C6アルキニル基、置換もしくは無置換のC1−C6アルカノイル基、置換もしくは無置換のアロイル基、置換もしくは無置換のヘテロアロイル基、置換もしくは無置換のC1−C6アルキルスルフィニル基、置換もしくは無置換のアリールスルフィニル基、置換もしくは無置換のC1−C6アルキルスルホニル基、置換もしくは無置換のアリールスルホニル基、置換もしくは無置換のC1−C6アルコキシカルボニル基、置換もしくは無置換のC1−C6アルケニルオキシカルボニル基、置換もしくは無置換のC1−C6アルキニルオキシカルボニル基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のシクロアルキル基、置換もしくは無置換のヘテロアリール基又は置換もしくは無置換の4〜7員の飽和ヘテロ環基等が挙げられ、同一又は異なる1もしくは2の置換基で置換されていてもよい。
【0016】
前記アミノ基の置換基が、置換C1−C6アルキル基、置換C1−C6アルケニル基、置換C1−C6アルキニル基、置換C1−C6アルカノイル基、置換C1−C6アルキルスルフィニル基、置換C1−C6アルキルスルホニル基、置換C1−C6アルコキシカルボニル基、置換C1−C6アルケニルオキシカルボニル基又は置換C1−C6アルキニルオキシカルボニル基を表す場合、1又は複数、好ましくは1〜5個の置換基で置換されていてもよい。当該置換基としては、ハロゲン原子、水酸基、カルボキシル基、C1−C6アルキル基、C1−C6アルコキシ基、C1−C6アルキルチオ基、C2−C7アルカノイル基、C2−C7アルコキシカルボニル基、C3−C7シクロアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のヘテロアリール基、置換もしくは無置換の4〜7員の飽和へテロ環基、置換もしくは無置換のアロイル基又は置換もしくは無置換のヘテロアロイル基等が挙げられる。
【0017】
本明細書において、カルバモイル基が置換されている場合の置換基としては、1もしくは2の同一又は異なるC1−C6アルキル基、C1−C6アルケニル基、C1−C6アルキニル基、置換もしくは無置換のアリール基又は置換もしくは無置換のシクロアルキル基等が挙げられ、同一又は異なる1もしくは2の置換基で置換されていてもよい。
【0018】
本明細書において、シクロアルキル基、シクロアルコキシ基、又はシクロアルカノイルオキシ基が置換されている場合、1又は複数、好ましくは1〜5個の置換基で置換されていてもよい。当該置換基としては、ハロゲン原子、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、C1−C6アルキル基、C1−C6アルコキシ基、C1−C6アルキルアミノ基、ジC1−C6アルキルアミノ基、C2−C7アルコキシカルボニル基等が挙げられる。
本明細書において、4〜7員の飽和へテロ環基又は4〜7員の飽和含窒素へテロ環が置換されている場合、安定な化学構造を維持する範囲で任意の炭素原子もしくは窒素原子上で、1又は複数、好ましくは1〜5個の置換基で置換されていてもよい。当該置換基としては、ハロゲン原子、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、C1−C6アルキル基、C1−C6アルコキシ基、C1−C6アルキルアミノ基、ジC1−C6アルキルアミノ基、C2−C7アルコキシカルボニル基、C1−C6アルキルスルホニル基等が挙げられる。
本明細書においてアリール基、アリールオキシ基、アリールスルフィニル基、アリールスルホニル基、アロイル基、アロイルオキシ基、ヘテロアリール基、ヘテロアリールオキシ基、ヘテロアロイル基、又はヘテロアロイルオキシ基が置換されている場合、1又は複数、好ましくは1〜5個の置換基で置換されていてもよい。当該置換基としては、ハロゲン原子、水酸基、ニトロ基、シアノ基、カルボキシル基、アミノ基、C1−C6アルキル基、C1−C6アルコキシ基、C1−C6アルキルチオ基、C2−C7アルカノイル基、C2−C7アルカノイルオキシ基、C2−C7アルキルチオカルボニルオキシ基、C2−C7アルコキシカルボニル基、C2−C7アルコキシチオカルボニル基、C2−C7アルキルチオカルボニル基、C2−C7アルキルスルフィニル基及びC2−C7アルキルスルホニル基、C1−C6アルキルアミノ基、ジC1−C6アルキルアミノ基、C1−C6アルキルカルバモイル基又はジC1−C6アルキルカルバモイル基等が挙げられる。
【0019】
3、R4、R5及びR6として、好ましくは水素原子、水酸基、C1−C3アルコキシ基又はC1−C3アルカノイルオキシ基が挙げられる。また、R3、R4、R5及びR6の少なくとも1つは水酸基、C1−C3アルコキシ基又はC1−C3アルカノイルオキシ基であることが好ましい。更に、R3、R4、R5及びR6のうち2個以上の基、好ましくは3個以上の基、更に好ましくは全ての基は、水酸基、C1−C3アルコキシ基及びC1−C3アルカノイルオキシから選択される1又は複数の基を表す。特に好ましくは、R3、R4、R5及びR6は水酸基を表す。
7として、好ましくは水素原子、メチル基、エチル基又はプロピル基等が挙げられる。
8として、好ましくは、水素原子又は置換もしくは無置換のC1−C6アルキル基が挙げられる。前記C1−C6アルキル基の置換基として、具体的には、アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、メチルエチルアミノ基、ジエチルアミノ基、プロピルアミノ基、ジプロピルアミノ基等のC1−C6アルキルアミノ基又はジC1−C6アルキルアミノ基、1−ピロリジニル基、ピペリジノ基、モルホリノ基、ピペラジノ基、フェニル基もしくはピリジル基(当該フェニル基もしくはピリジル基)はアミノ基、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基等で置換されていてもよい)等が挙げられる。
9として、好ましくはC1−C4アルキル基、更に好ましくはメチル基又はエチル基が挙げられる。
【0020】
本発明のキサントン誘導体は、ペニシリウム・エスピー(Penicillium sp.)SPF−3059株、すなわち大阪府内土壌より分離したペニシリウム属に属するカビSPF−3059株[本菌株は、特許手続上の微生物の寄託の国際的承認に関するブタペスト条約に基づき、2001年7月13日に経済産業省独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター(〒305-8566 茨城県つくば市東1-1-1 中央第6 ) に受託番号FERM BP−7663として寄託されている。]の培養物から得られる化合物を原料として用いて製造することができる。例えば以下の製法[A]〜[E]、又はこれらに準じる方法によって製造することができる。
尚、原料化合物については、国際公開第02/09756号パンフレットを参照して製造することができる。

製法[A]
式(4):
【0021】
【化4】

[式中、R1'及びR2'は、水素原子又はカルボキシル基を表し、R1'及びR2'の少なくとも1個はカルボキシル基を表し、R3、R4、R5及びR6は前記と同義である。]
で表される化合物のカルボキシル基をエステル化することにより、前記式(1)においてR1'又はR2'が式(3):
【0022】
【化5】

(式中R9は、前記と同義である。)
で表されるで本発明のキサントン化合物を得ることができる。
カルボキシル基のエステル化の具体的な方法としては、例えばメタノール、エタノール、イソプロピルアルコールのようなアルコール系溶媒中、過剰量のジアゾメタンまたはトリメチルシリルジアゾメタンを滴下して作用させる方法、例えばメタノール、エタノール、イソプロピルアルコールのようなアルコール中、例えば塩酸、硫酸等の無機酸、または、例えばメタンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、カンファースルホン酸等の有機酸の存在下で加熱する方法、例えばジメチルホルムアミド(DMF)、N−メチルピペリジノン(NMP)のような高極性非プロトン性溶媒中、必要に応じて例えばジメチルアミノピリジン(DMAP)、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン等の塩基の存在下、必要に応じて例えば1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBT)、1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾール(HOAT)等の添加剤の共存下に、例えば1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド・塩酸塩(EDC、EDCIあるいはWSC・HCl)、1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)等の縮合剤を用いて種々のアルコールと縮合させる方法、例えば、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル等の溶媒中、必要に応じて例えばジメチルアミノピリジン(DMAP)、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン等の塩基の存在下、ピバロイルクロリド等のアシルクロリド、クロロ炭酸イソプロピル等のクロロ炭酸エステル、メタンスルフォニルクロリド等のスルフォニルクロリド、ジメチルスルファモイルクロリド等のスルファモイルクロリド等を作用させて混合酸無水物を経由して種々のアルコールと縮合させる混合酸無水物法等を例示することができる。

製法[B]
前記式(4)で表される化合物のカルボキシル基をアミド化することにより、式(1)においてR1又はR2が式(2):
【0023】
【化6】

(式中R7及びR8は前記と同義である。)
で表される本発明のキサントン化合物を得ることができる。
【0024】
カルボキシル基のアミド化の具体的な方法としては、例えばジメチルホルムアミド(DMF)、N−メチルピペリジノン(NMP)のような高極性非プロトン性溶媒中、必要に応じて例えばジメチルアミノピリジン(DMAP)、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン等の塩基の存在下、必要に応じて例えば1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBT)、1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾール(HOAT)等の添加剤の共存下に、例えば1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド・塩酸塩(EDC、EDCIあるいはWSC・HCl)、1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)等の縮合剤を用いて種々のアミンまたはその塩と縮合させる方法、例えば、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル等の溶媒中、必要に応じて例えばジメチルアミノピリジン(DMAP)、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン等の塩基の存在下、ピバロイルクロリド、クロロ炭酸イソプロピル、メタンスルフォニルクロリド、ジメチルスルファモイルクロリド等を作用させ混合酸無水物を経由して種々のアミンまたはその塩と縮合させる混合酸無水物法等を例示することができる。

製法[C]
上記式(4)で表される化合物に、塩基の存在下、アルキル化剤を作用させることにより、式(1)においてR1又はR2が上記式(3)で表される本発明のキサントン化合物を得ることができる。
反応溶媒としては、例えばジメチルホルムアミド(DMF)、N−メチルピペリジノン(NMP)のような高極性非プロトン性溶媒が好ましく、用いる塩基としては、炭酸セシウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸リチウム、リン酸カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸水素二ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム等の無機塩基、及び、ピリジン、ルチジン、コリジン、ジメチルアミノピリジン(DMAP)、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、イミダゾール,ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、t−ブトキシカリウム等の有機塩基が挙げられる。
本合成方法に適用可能なアルキル化剤としては、ジメチル硫酸、例えばヨウ化メチル、臭化メチル、ヨウ化エチル、臭化エチルのようなハロゲン化アルキル、例えば臭化ベンジル、臭化2−フルオロベンジル、臭化3−フルオロベンジル、臭化4−フルオロベンジル、臭化3−メトキシベンジルのような置換基を有するハロゲン化アルキル、例えばヨウ化アリル、臭化アリルのようなハロゲン化アルケニル等々が挙げられるが、これらに限られるわけではない。
なお、ハロゲン化アルキル等の試剤におけるハロゲン原子が臭素原子または塩素原子である時は、必要に応じヨウ化テトラブチルアンモニウム、ヨウ化ベンジルトリブチルアンモニウム等の相間移動触媒を共存させてもよい。

製法[D]
上記式(1)で表される化合物において、R3、R4、R5及び/又はR6が水酸基を表す化合物の水酸基を修飾することにより、式(1)においてR3、R4、R5及び/又はR6が水素原子もしくは水酸基以外の基を表す本発明のキサントン化合物を製造することができる。
かかる水酸基のアルキル化は、前述の製法[C]の方法により行うことができる。この際、反応溶媒として前述の高極性非プロトン性溶媒に加えて、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等のハロゲン系溶媒を用いることもできる。
また、かかる水酸基のアシル化は、例えばジメチルホルムアミド(DMF)、N−メチルピペリジノン(NMP)のような高極性非プロトン性溶媒、または、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等のハロゲン系溶媒中、ピリジン、ルチジン、コリジン、ジメチルアミノピリジン(DMAP)、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、イミダゾール,ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、t−ブトキシカリウム等の有機塩基または炭酸セシウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸リチウム、リン酸カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸水素二ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム等の無機塩基存在下、アシル化剤を反応させることにより合成できる。
本合成方法に適用可能なアシル化剤としては、例えば無水酢酸、無水トリフルオロ酢酸のような酸無水物、例えば塩化アセチル、塩化プロピオニル、塩化ブチリル、塩化ベンゾイル、塩化2−フルオロベンゾイル、塩化3−フルオロベンゾイル、塩化4−フルオロベンゾイル、塩化4−メトキシベンゾイルのような酸塩化物等を例示することができるが、勿論この限りではない。
あるいは、かかる水酸基のアシル化は、前述の製法[A]に記載した方法、すなわち水酸基と種々カルボン酸の縮合反応によっても実施することができる。

製法[E]
上記式(1)においてR1又はR2が上記式(3)で表される本発明のキサントン化合物のエステルを、選択的に加水分解し、必要に応じて他のエステル(式(3)で表される基)やアミド(式(2)で表される基)に変換することができる。
かかるエステル基の加水分解方法としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール系溶媒、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン等のエーテル系溶媒あるいはこれらの混合溶媒中、当量ないしは大過剰量の水の存在下、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、炭酸セシウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム等の塩基を作用させることにより合成できる。ただし、一部のアシル基等のように水酸基上の保護基がこの方法によって同時に加水分解される場合には、この方法を適用することはできない。

本発明のキサントン化合物を製造するにあたり、式(1)の化合物におけるカルボキシル基、水酸基、アミノ基等の反応性の官能基は適宜保護基により保護される。ここで用いられる保護基及びその保護/脱保護方法については、「Protective Groups in Organic Synthesis, Second edition」( Theodora W. Greene and Peter G.M. Wuts 編;John Wiley & Sons, Inc., 1991 )等を参照することができる。
例えば、カルボキシル基の一時的な保護基としてトリ(C1−C6アルキル/フェニル)シリルオキシカルボニル基を用いる場合、シリル化剤として例えば塩化トリメチルシラン、塩化トリエチルシラン、塩化t−ブチルジメチルシラン等を用いることができる。脱保護には、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール系溶媒、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン等のエーテル系溶媒あるいはこれらの混合溶媒中、当量ないしは過剰量の水の存在下、塩酸、硫酸、リン酸、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、ピリジニウムパラトルエンスルホナート(PPTS)、カンファースルホン酸等を作用させるか、または、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、炭酸セシウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム等の塩基を作用させることにより合成できる。あるいは、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール系溶媒、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン等のエーテル系溶媒あるいはこれらの混合溶媒中、当量ないしは過剰量の水の存在下、フッ化水素酸、フッ化水素−ピリジン錯体、フッ化テトラブチルアンモニウム等を作用させることによっても合成が可能である。水酸基の保護基が同様に(C1−C6アルキル/フェニル)シリル基である場合でも、試薬の種類、濃度、反応温度等のコントロールにより選択的な加水分解は可能であるが、一部のアシル基やトリ(C1−C6アルキル/フェニル)シリル基において水酸基上の保護基がこの方法によって同時に加水分解される場合には、この方法を適用することはできない。
得られたカルボン酸のエステル化、アミド化は、例えば上述の製法[A]、[B]または[C]に記載の方法により行うことができる。
なお、上述の製法[C]または[D]に記載の方法によりアルキル化またはアシル化を行うに際し、使用する反応試剤の種類、使用する反応試剤の当量、反応温度、反応時間等を適宜コントロールすることにより、一部の水酸基が修飾されず水酸基のまま残存する誘導体を得ることも可能であり、このような誘導体もまた、本発明化合物に包含される。
更に、このような誘導体を更に製法[C]または[D]に記載の方法によりアルキル化またはアシル化することによって得られる誘導体もまた、本発明化合物に包含される。
上述の各反応における反応温度は、氷冷下から溶媒の沸点の範囲内で適宜選択して行うことができる。各反応の反応時間は、反応温度および反応試剤の種類により大きく異なるが、概ね30分ないし2〜3日の間である。
上述の方法により合成される本発明の化合物を反応液から単離・精製するには、反応生成物の単離・精製において通常使用される手段を用いることができる。すなわち、反応混合物から目的物を単離・精製する場合は、反応混合物からの通常の単離・精製法、例えば溶媒抽出、イオン交換樹脂、吸着クロマトグラフィー、分配クロマトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、薄層クロマトグラフィー等を用いることができ、これらの単離・精製法は単独又は組み合わせて行うことができる。
本発明の化合物においては、それらの塩、好ましくは医薬的又は獣医薬的に許容される塩も本発明の範疇に含まれる。ここで、塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、アルミニウム塩、アンモニウム塩等の無機塩基塩や、トリエチルアンモニウム塩、トリエタノールアンモニウム塩、ピリジニウム塩、ジイソプロピルアンモニウム塩等の有機塩基塩や、アルギニン、リジン等の塩基性アミノ酸塩などを挙げることができる。これらの塩は、水、メタノール、エタノール、アセトン、酢酸エチル、クロロホルム、エーテル等の適当な溶媒中、塩基を作用させることによって調製することができる。
本発明の脊髄神経の損傷、末梢神経の損傷及び/又は虚血性神経障害を伴う疾患を含む神経障害疾患及び/又は神経変性疾患の予防若しくは治療剤、又は虚血性神経障害治療剤又は予防剤は、神経伸長反発因子阻害剤、特に上記セマフォリン阻害剤を有効成分として含有するものであるが、薬学的に許容される通常の担体、結合剤、安定化剤、賦形剤、希釈剤、pH緩衝剤、崩壊剤、可溶化剤、溶解補助剤、等張剤などの各種調剤用配合成分を添加することができる。
またこれら予防もしくは治療剤は、経口的又は非経口的に投与することができる。すなわち経口的には、通常用いられる投与形態、例えば錠剤、丸剤、粉末、顆粒、カプセル剤、シロップ剤、乳剤、懸濁液等の剤型で投与することができる。また、非経口的には、例えば、静脈内注射用製剤(点滴剤)、筋注射剤、皮下注射剤、点眼剤、眼軟膏剤、塗布剤(軟膏剤、ローション、クリーム剤等)点鼻剤(鼻孔投与用スプレー剤)等の形態の製剤とすることができる。液体の製剤の場合には、適宜溶液、乳化液、懸濁液等とすることができる。
錠剤のような固体製剤は有効成分を乳糖、ショ糖、トウモロコシ澱粉などの通常の薬理的に許容しうる担体または賦形剤、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプルピルメチルセルロースなどの結合剤、カルボキシメチルセルロースナトリウムや澱粉グリコール酸ナトリウムなどの崩壊剤、ステアリン酸やステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤、あるいは保存剤等と混合して調製される。
非経口投与には、有効成分は水、生理食塩水、油、ブドウ糖水溶液などの生理的に許容しうる担体に溶解または懸濁し、これは補助剤として乳化剤、安定化剤、浸透圧調整用塩または緩衝剤を必要に応じて含有してもよい。点眼剤の添加物として、グリセリンや塩化ナトリウムなどの等張化剤、リン酸やクエン酸などの緩衝剤、塩酸や水酸化ナトリウムなどのpH調節剤、ヒドロキシプルピルメチルセルロースやポリビニルアルコールなどの増粘剤、塩化ベンゼトニウムなどの保存剤、あるいは可溶化剤を必要に応じて含有してもよい。また、眼軟膏剤の添加剤としては、ワセリン、ポリエチレングリコール、精製ラノリン、流動パラフィン等が例示される。
投与量及び投与回数は、投与法と患者の年齢、体重、病状等によって異なるが、病床部位に局所的に投与する方法が好ましい。また、1日あたり1回又は2回以上投与することが好ましい。2回以上投与するときは連日あるいは適当な間隔をおいて繰り返し投与することが望ましい。神経の再生には通常数日から数ヶ月以上の期間を要するので、その間セマフォリンの活性を抑制するために継続的に投与することが望ましい。2回以上投与するときは連日あるいは適当な間隔をおいて繰り返し投与することが望ましい。
投与量は成人患者一人一回当たり有効成分の量として数百μg〜2g、好ましくは5〜百mg、更に好ましくは数十mg以下を用いることができ、一日一回または数回にわけて投与することができる。投与回数を減らすために徐放性製剤を用いたり、オスモティックポンプなどで長期間にわたって少量ずつ投与することもできる。非経口投与では、成人患者一人あたり0.1〜100mg/日、さらに好ましくは0.3〜50mg/日の投与量が挙げられ、一日一回または数回に分けて投与することができる。投与回数を減らすために徐放性製剤を用いることもできる。
点眼剤として用いる場合には、有効成分の量として、成人患者一人あたり0.01〜10w/v%、好ましくは0.05〜5w/v%を用いることができ、症状に応じて1回量1〜数滴を1日1〜6回投与することが望ましい。また、眼軟膏剤として用いる場合には、有効成分の量として、0.01〜10w/w%、好ましくは0.1〜5w/w%を用いることができ、症状に応じて1日1〜6回投与することが望ましい。
これらのいずれの投与方法においても、作用部位においてセマフォリンの活性を充分に阻害する濃度になるような投与経路、投与方法を採用することが好ましい。

上記脊髄神経の損傷及び/又は末梢神経の損傷を伴う疾患を含む神経障害疾患及び/又は神経変性疾患としては、末梢神経や中枢神経の傷害、変性疾患、すなわち老化等に起因する嗅覚異常症、脊髄損傷などの外傷による嗅覚以外の神経傷害、脳梗塞などに起因する神経障害、顔面神経麻痺、糖尿病性神経症、緑内障、網膜色素変性症、アルツハイマー病やパーキンソン病、ALSといった神経変性疾患、筋発育不全性側索硬化症、筋萎縮性側索硬化症、ハンチントン病、脳梗塞、外傷性神経変性疾患などを挙げることができる。さらに、受容体がニューロピリンである点が共通であるVEGF165が関与する血管新生を伴う疾患も、対象となる。
また、セマフォリン阻害活性を有する本発明の化合物は、虚血性障害による神経細胞死の抑制作用を示したことから、虚血性神経疾患治療剤又は予防剤として使用しうる。ここでいう虚血性神経疾患としては、虚血による網膜神経障害または虚血性脳血管障害が挙げられる。ここでいう網膜神経障害としては、例えば緑内障、網膜中心動脈閉塞症、網膜中心動脈分枝閉塞症、網膜中心静脈閉塞症、網膜中心静脈分枝閉塞症、虚血性視神経症、糖尿病性網膜症、黄班変性症、未熟児網膜症等が挙げられ、中でも糖尿病性網膜症が好ましい。また虚血性脳血管障害としては、例えば、脳塞栓症、一過性脳虚血、鎖骨下動脈盗血症候群、Wallenberg症候群(延髄外側症候群)、脳血栓症、ラクナ梗塞、可逆性虚血性神経障害、脳梗塞、もやもや病(ウィリス動脈輪閉塞症)、低酸素性脳症、静脈洞血栓症、または術後脊髄虚血などが挙げられる。本発明の化合物は網膜神経保護作用を有しており、特に、虚血による網膜神経障害の治療又は予防に有効である。
また、本発明のセマフォリン阻害剤は、末梢神経である嗅神経の再生や、脳や脊髄の中の嗅球、大脳皮質、海馬、線条体、視床、間脳、中脳、小脳、橋、延髄、精髄、網膜などにあって脳脊髄関門で区切られた領域である中枢内での神経の再生を促進する。
また、本発明の治療剤又は予防剤の用途は、神経障害疾患及び/又は神経変性疾患の予防若しくは治療剤等の医薬品に限定されることなく、動物薬、さらにはセマフォリンシグナルの阻害剤として産業上重要な実験試薬としても利用が可能である。

実施例
以下、製造例および実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明の技術的範囲はこれら実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0025】
【化7】

5,7−ジアセチル−6−(5−カルボキシ−6,7−ジヒドロキシ−4−オキソ−4H−クロメン−3−イル)−2,3−ジヒドロキシ−9−オキソ−9H−キサンテン−1−カルボン酸(150mg,0.26mmol)のテトラヒドロフラン(10mL)溶液に氷冷下、トリメチルシリルジアゾメタン(2.0Mのへキサン溶液(0.26mL)を加え、同温にて攪拌した。1.5時間後、反応液を酢酸エチルにて希釈し、0.5N塩酸水溶液にて洗浄した。得られた有機層を無水硫酸ナトリウムにて乾燥し、溶媒を減圧留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール=30/1,20/1,15/1)にて精製し、メチル 5,7−ジアセチル−6−[6,7−ジヒドロキシ−5−(メトキシカルボニル)−4−オキソ−4H−クロメン−3−イル]−2,3−ジヒドロキシ−9−オキソ−9H−キサンテン−1−カルボキシレート(23mg)を得た。
1H−NMR (DMSO-d6, 300 MHz) δ; 8.56 (s, 1H), 8.19 (s, 1H), 7.42 (s, 1H), 6.95 (s, 1H), 4.04 (s, 3H), 3.87 (s, 3H), 2.62 (s, 3H), 2.56 (s, 3H)
【実施例2】
【0026】
下記のいずれかの構造式で表される化合物の合成
【0027】
【化8】

5,7−ジアセチル−6−(6,7−ジヒドロキシ−4−オキソ−5−{[(2−フェニルエチル)アミノ]カルボニル}−4H−クロメン−3−イル)−2,3−ジヒドロキシ−9−オキソ−9H−キサンテン−1−カルボン酸
【0028】
【化9】

3−(2,4−ジアセチル−6,7−ジヒドロキシ−9−オキソ−8−{[(2−フェニルエチル)アミノ]カルボニル}−9H−キサンテン−3−イル)−6,7−ジヒドロキシ−4−オキソ−4H−クロメン−5−カルボン酸

5,7−ジアセチル−6−(5−カルボキシ−6,7−ジヒドロキシ−4−オキソ−4H−クロメン−3−イル)−2,3−ジヒドロキシ−9−オキソ−9H−キサンテン−1−カルボン酸(58mg,0.10mmol)のアセトニトリル(1mL)とテトラヒドロフラン(3mL)の混合溶媒溶液に氷冷下、塩酸トリメチルアミン(9.6mg)、ジメチルスルファモイルクロリド(0.011mL)を加え、次いで、氷冷攪拌下、別途調整したフェネチルアミン(0.125mL)、トリエチルアミン(0.028mL)、4−ジメチルアミノピリジン(5mg)のアセトニトリル(1mL)溶液を加え、45℃にて2時間攪拌した。反応終了確認後、反応液に水を加え、酢酸エチルにて洗浄した。得られた水層を6N塩酸水溶液にて酸性とし、さらに水を加えて攪拌した。析出物をろ取、乾燥し、上記どちらかの構造を有する化合物(25mg)を得た。
1H−NMR (DMSO-d6, 300 MHz) δ; 9.28 (s, 1H), 8.84 (s, 1H), 7.20-7.35 (m, 5H), 7.00 (s, 1H), 6.30 (s, 1H), 2.25 (s, 3H)
【実施例3】
【0029】
下記のいずれかの構造式で表される化合物の合成
【0030】
【化10】

5,7−ジアセチル−6−[5−({[2−(ジメチルアミノ)エチル]アミノ}カルボニル)−6,7−ジヒドロキシ−4−オキソ−4H−クロメン−3−イル]−2,3−ジヒドロキシ−9−オキソ−9H−キサンテン−1−カルボン酸 塩酸塩
【0031】
【化11】

3−[2,4−ジアセチル−8−({[2−(ジメチルアミノ)エチル]アミノ}カルボニル)−6,7−ジヒドロキシ−9−オキソ−9H−キサンテン−3−イル]−6,7−ジヒドロキシ−4−オキソ−4H−クロメン−5−カルボン酸 塩酸塩

5,7−ジアセチル−6−(5−カルボキシ−6,7−ジヒドロキシ−4−オキソ−4H−クロメン−3−イル)−2,3−ジヒドロキシ−9−オキソ−9H−キサンテン−1−カルボン酸(58mg,0.10mmol)のアセトニトリル(5mL)とテトラヒドロフラン(100mL)の混合溶媒溶液に氷冷下、塩酸トリメチルアミン(9.6mg)、ジメチルスルファモイルクロリド(0.011mL)を加え、次いで、氷冷攪拌下、別途調整したフェネチルアミン(0.125mL)、トリエチルアミン(0.028mL)、4−ジメチルアミノピリジン(5mg)のアセトニトリル(5mL)溶液を加え、50℃にて1時間攪拌した。反応系にジメチルホルムアミド(10mL)を加え、さらに50℃にて1時間攪拌した。反応終了確認後、反応液に水を加え、酢酸エチルにて洗浄した。得られた水層を濃縮し、残渣をODS〔COSMOSIL(登録商標)C18−OPN〕カラムクロマトグラフィー(水/メタノール=100/0,100/5,10/1,80/20,75/25)にて精製した。得られた精製物に過剰の6N塩酸水溶液を加えて濃縮・乾燥し、上記どちらかの構造を有する化合物(26mg)を得た。
1H−NMR (DMSO-d6, 300 MHz) δ; 12.21 (s, 1H), 9.43 (s, 1H), 8.51 (s, 1H), 7.27 (s, 1H), 6.37 (s, 1H), 2.95 (s, 3H), 2.83 (s, 3H), 2.27 (s, 3H)
【実施例4】
【0032】
下記のいずれかの構造式で表される化合物の合成
実施例3と同様にして実施例4から実施例5の化合物を合成した。
【0033】
【化12】

5,7−ジアセチル−6−(6,7−ジヒドロキシ−4−オキソ−5−{[(2−ピペリジン−1−イルエチル)アミノ]カルボニル}−4H−クロメン−3−イル)−2,3−ジヒドロキシ−9−オキソ−9H−キサンテン−1−カルボン酸 塩酸塩
【0034】
【化13】

3−(2,4−ジアセチル−6,7−ジヒドロキシ−9−オキソ−8−{[(2−ピペリジン−1−イルエチル)アミノ]カルボニル}−9H−キサンテン−3−イル)−6,7−ジヒドロキシ−4−オキソ−4H−クロメン−5−カルボン酸 塩酸塩

1H−NMR (DMSO-d6, 300 MHz) δ; 12.13 (s, 1H), 9.43 (s, 1H), 8.51 (s, 1H), 7.22 (s, 1H), 6.34 (s, 1H), 2.27 (s, 3H), 1.75-1.93 (brm, 6H)
【実施例5】
【0035】
下記のいずれかの構造式で表される化合物の合成
【0036】
【化14】

5,7−ジアセチル−6−{6,7−ジヒドロキシ−4−オキソ−5−[(プロピルアミノ)カルボニル]−4H−クロメン−3−イル}−2,3−ジヒドロキシ−9−オキソ−9H−キサンテン−1−カルボン酸
【0037】
【化15】

3−{2,4−ジアセチル−6,7−ジヒドロキシ−9−オキソ−8−[(プロピルアミノ)カルボニル]−9H−キサンテン−3−イル}−6,7−ジヒドロキシ−4−オキソ−4H−クロメン−5−カルボン酸

1H−NMR (DMSO-d6, 300 MHz) δ; 9.27 (s, 1H), 8.67 (s, 1H), 6.77 (s, 1H), 6.29 (s, 1H), 3.22-3.30 (brm, 2H), 2.23 (s, 3H), 1.88-1.98 (brm, 2H), 1.03 (t, 3H)
【実施例6】
【0038】
試験例1:眼圧上昇モデルに対する薬理効果
網膜神経は、網膜外顆粒層、網膜内顆粒細胞および神経節細胞層から構成されており、網膜内顆粒細胞および神経節細胞層は網膜中心動脈から、血液の供給を受けている。前房に圧力をかけると強膜に被われていない篩状板に負荷がかかり、この領域を通過して伸展する網膜中心動脈は閉塞され、その結果、網膜内顆粒細胞および神経節細胞層が虚血状態となり、細胞死を起こす。
網膜内顆粒細胞の障害は、細胞数の変化を「内顆粒細胞層(INL: inner nuclear layer) の厚さ」として容易に評価できる。また、眼圧上昇によって各神経細胞間のシナプスである内網状層も障害を受け薄層化することから、内網状層(IPL: inner plexus layer)の厚さも障害の程度を知る指標となる。今回、特に虚血障害がより強く現れる内網状層の厚さをパラメーターとして実施例1の化合物の緑内障に対する網膜神経保護作用を検討した。

[試験方法]
(1)実験動物
SD系ラット6週齢を20匹使用し、以下の群で実験を行った。
Shamオペレーション(以下Sham-opeと略する場合がある。):4匹(うち解析4例)
IOP(Intra Ocular pressure)処置+PBS (2μl硝子体内投与):4匹(うち解析4例)
IOP(Intra Ocular pressure)処置+実施例1の化合物 (2μl硝子体内投与):4匹(うち解析4例)

(2)実験方法
以下のように、眼圧上昇モデル動物を作成し、薬剤(評価化合物)の投与を行った。
(i)ラットを麻酔下で、脳固定装置に固定した。
(ii)ラットの頭部を固定し、眼球に血圧測定装置をつないだチューブの先に26 Gの針を装着し、ラット前房室内に刺入し、前房室内圧140〜160mmHgの圧で負荷をかけた。
(iii)1時間眼圧上昇を維持し、眼圧負荷後ラットを脳固定装置から解除した。
(iv)眼圧上昇負荷終了15分後に薬剤あるいはPBSを硝子体内投与した。1週間通常飼育を行った。
(v)炭酸ガスによる窒息死後、眼球を摘出した。
(vi)テクノビット包埋後、眼球の矢状切片を作成し、クレシルバイオレットで染色した。
(vii)視神経乳頭より880μmの位置(網膜上方)の組織像を撮影し、外顆粒細胞層(ONL:outer nuclear layer)、内顆粒細胞層(INL:inner nuclear layer)、内網状層(IPL:inner plexus layer)の厚さを測定した。

(3)薬剤の調整および投与方法
被験物質として実施例1の化合物をPBSに1.8mg/mlの濃度で溶解し、2μlを30G二重針にて、ラット左眼硝子体内に投与した。対照としてPBSを同量投与した。

(4)有意差検定
PBS群に対する実施例1の化合物投与群の外顆粒細胞層、内網状層の厚さの変化をStudent'st-testおよびWelch&F-testにて有意差検定を行った。

[薬理評価]
各処置群のラット網膜を用いて、外顆粒細胞層、内網状層それぞれの層の厚さを測定し、細胞保護効果を評価した。以下、表1〔外顆粒細胞層(ONL:outer nuclear layer)〕、表2〔内網状層(IPL)〕に、測定値を示した。
【0039】
【表1】

【0040】
【表2】

外顆粒細胞は脈絡層からの血液供給を受けており、眼圧上昇による眼動脈虚血障害を受けないことがわかっているが、本実施例でも外顆粒細胞層の厚さは、眼圧上昇による影響を受けないことが示された。以上のことから、本実験で作成した切片は適切に作成されていることが確認できる。
一方、内網状層は、内顆粒細胞と神経節細胞間のシナプス形成がなされている層であり、細胞体から進展している軸索のみが存在する層である。内顆粒細胞が眼圧上昇による眼動脈虚血障害を受けることから、その軸索である内網状が退縮し、内網状層の薄層化が起こることが知られている。本実施例によってもこの現象が再現され、眼圧上昇による内網状層の薄層化が観察された(表2を参照)。さらに実施例1の化合物投与によって、薄層化の抑制傾向が観察され、内顆粒細胞死に対する細胞障害に対して抑制効果が考察された。以上の結果から、眼疾患において、内顆粒細胞の虚血性障害を伴う糖尿病性網膜症、神経節細胞の障害が報告される緑内障等に対し、実施例1の化合物が有効な治療薬となりうることがわかった。

【実施例7】
【0041】
試験例2:ラット中大脳動脈閉塞モデルにおける薬理試験例
脳神経細胞の障害は、永久中大脳動脈閉塞または中大脳動脈閉塞−再開通によって生じる脳梗塞巣の大きさとして評価できる、また脳梗塞巣に存在する神経線維の数、再生神経線維の数、あるいは健常部より梗塞部へと進入する線維の数についても定量化でき、障害の程度を知る指標となる。これらのパラメーターを指標として抑制効果を有する虚血性脳血管障害治療剤または予防剤の薬理作用を確認できる。
[試験方法]
(1)薬剤投与
被験物質として実施例1の化合物を、ミニ浸透圧ポンプ(Alza)にて、脳梗塞部へ直接投与する。被験物質は0.1mg/mlにPBSにて希釈し、ポンプのリザーバーへ充填する。対照はPBSを充填する。ポンプは手術2日前より37℃の生理食塩水内にインキュベートし、動作を安定させる。
(2)手術
被験物質の薬効は、脳卒中易発症ラット(SHRSPラット)を使った永久中大脳動脈閉塞モデル、およびWistarラットを使った中大脳動脈閉塞−再開通モデルにて評価する。いずれも被験物質投与のための大脳皮質実質へのカニューレ埋め込み手術後に行う。
カニューレ埋め込み手術
(i)ラットをハロセン麻酔し、脳定位固定器に固定する。
(ii)頭部皮膚を切開し、頭蓋骨を露出する。
(iii)ドリルにて左頭蓋骨に穴を開け、左大脳皮質実質内に薬剤を充填したミニ浸透圧ポンプに接続したカニューレを刺入する。
(iv)カニューレを歯科用セメントにて頭蓋に固定、ポンプを背側皮下に挿入する。創部を縫合する。
永久中大脳動脈閉塞モデル
SHRSPラットに対し、以下の方法で永久中大脳動脈閉塞を作成する。
(i)左側頭部の筋肉を除去、ドリルにて側頭骨に穴をあけ、中大脳動脈を露出する。
(ii)中大脳動脈を bipolar coagulator(両極性焼灼器)にて焼灼し、血液を途絶させる。
(iii)ラットの創部を縫合し、体温を維持しつつ回復させる。
中大脳動脈閉塞−再開通モデル
Wistar ラットに対し、以下の方法で永久中大脳動脈閉塞−再開通を作成する。
(i)頸部皮膚を切開し、頚動脈を露出する。
(ii)外頚動脈を絹糸で結紮する。
(iii)外頚動脈と内頚動脈を結ぶ細い血管を焼灼切断する。総頚動脈を結紮する。
(iv)内頚動脈の血流を一時的に途絶させ、外頚動脈との分岐部に穴を開け、栓子(ナイロン糸にシリコンを塗ったもの)を挿入する。
(v)翼状口蓋動脈に栓子が行かないように注意しつつ、さらに奥へ挿入する。
(vi)栓子を血管と結紮し固定する。
(vii)創部を縫合し、体温を維持しつつ回復させる。

(3)組織学的評価
薬効評価としてTTC(2,3,5-triphenyltetrazolium chloreideの略)染色による梗塞巣の大きさの測定および、免疫染色による脳梗塞巣に存在する神経線維の数、再生神経線維の数を測定する。
TTC染色による評価
(i)手術1週間後にラットは麻酔下で経心的に生理食塩水にて灌流を行う。
(ii)脳を摘出し、ブレインスライサーにて2 mm厚の切片を作成、カバーグラスに瞬間接着剤にて貼り付ける。
(iii)カバーグラスに貼り付けた切片を0.8% TCC/PBS溶液に37℃で10分間浸し染色を行う。
(iv)4℃の10% ホルマリン緩衝液中に移し、染色を停止する。
(v)実体顕微鏡写真を撮影、コンピューターにてデジタルファイル化し、画像解析ソフトにて脳梗塞巣の大きさを測定する。
免疫染色による評価
(i)手術1週間後にラットは麻酔下で経心的にPBSにて灌流を行い、つづいて4% パラフォルムアルデヒド/PBS溶液にて灌流固定を行う。
(ii)脳を摘出し、同固定液にて1晩の後固定を行い、30%シュクロース/PBS溶液中で4℃にて浸漬保存する。
(iii)クリオスタットにて40μmの凍結切片を作成し、TBS中に浮遊切片として採取する。
(iv)ABC法にて免疫染色を行い、プレパラートを作成する。抗体は、神経線維の指標として抗ニューロフィラメント抗体、再生神経線維の指標として抗GAP-43抗体を用いる。
(v)顕微鏡で梗塞部の写真を撮影、コンピューターにてデジタルファイル化し、画像解析ソフトにて梗塞巣に含まれる神経線維および再生神経線維の数、あるいは、健常部より梗塞部へと進入する線維の数を定量化する。
【実施例8】
【0042】
試験例3:Sema3Aのコラプス活性に対する阻害活性
ポリリジンを塗布した96ウェルプレート(住友ベークライト)にさらにラミニン塗布(20μg/mlのラミニン、室温1時間)を行った。各ウェルに100μlの培地(10%の牛胎仔血清、20ng/mlのNGF、100ユニット/mlのペニシリン、100μg/mlのストレプトマイシンを含むF12培地)を入れ、ここに7日齢ニワトリ胚から摘出した後根神経節を接種し、16〜20時間5%CO2、37℃の条件下で培養する。その後、対象化合物を種々の濃度で培地に添加し1時間培養後、2ユニット/mlのマウスセマフォリン3A(Sema3A)を添加し、更に1時間培養した。1時間経過後、速やかに最終濃度1%になるようにグルタルアルデヒドを添加し、室温に15分間放置して組織片を固定した後、顕微鏡下で退縮した成長円錐の割合を測定した。結果を図1に示した。
上記の結果から、化合物が濃度依存的に、成長円錐の退縮を抑制することがわかった。
【実施例9】
【0043】
試験例4:セマフォリン3Aの神経伸長阻害活性の阻害剤による抑制
Sema3A発現COS7細胞塊と7〜8日齢ニワトリ胚後根神経節のコラーゲンゲル共培養(Neuroprotocols 4, 116, 1994)により、対象化合物(実施例1〜5の化合物)が、Sema3Aに対する持続的阻害作用を示すかどうかを検討できる。Sema3A発現COS7細胞塊は以下の方法で作製する。一夜培養したCOS7細胞(100000細胞/35mm培養皿)にFuGENE6トランスフェクション試薬(ロッシュ)を用いて1μgのSema3A発現プラスミドを導入する。トランスフェクション開始2.5時間経過後、トリプシンを用いてCOS7細胞を培養皿から剥離し、遠心分離により集め、200μlの培地に再懸濁する。細胞懸濁液20μlを培養皿の蓋(内側)に載置し、この蓋を反転させ20時間培養する(ハンギングドロップカルチャー)(Cell 78, 425, 1994)。培養後、凝集したCOS7細胞(塊)を培地に回収し、0.5mm径の大きさにトリミングする。このSema3A発現COS7細胞塊と上記後根神経節を0.5〜1mmの距離を隔てて0.2%のコラーゲンゲル内に並置し、このコラーゲンゲルを上記化合物を種々の濃度で含む培地内で2日間5%CO2、37℃の条件下に培養する。その後、速やかに最終濃度が1%になるようにグルタルアルデヒドを添加し、室温に1時間放置して組織片を固定した後、顕微鏡下で神経突起伸長の様子を観察する。
上記コラーゲンゲル内では、Sema3A発現プラスミドを導入したCOS7細胞塊からSema3Aが分泌され濃度勾配が形成される(COS7細胞塊に近い方が高濃度)。被験化合物を含まない培地を用いた場合、神経突起はSema3A濃度が高いCOS7細胞塊が存在する方向には伸長できず、反対方向のみに伸長するが、実施例1〜5の化合物を培地に添加した場合の、Sema3A発現COS7細胞塊方向への神経突起伸長を観測する。
【実施例10】
【0044】
試験例5:インビボにおける嗅神経切断に対する神経再生促進作用
雄性Wistar 系ラット(6.5週齢)を、専用飼育室で自由摂餌、摂水下で飼育する。実施例1〜5の化合物を1mg/mlになるようにPBSにて希釈したものをサンプル液とし、浸透圧ポンプ(alzet 2004, ALZA co., USA)に充填する。なお、対照としてPBSを充填したものを用いる。ラットをペントバルビタール(50mg/kg、腹腔内投与)で麻酔し、脳定位固定装置に頭部を固定する。嗅神経を切断し、頭蓋嗅球上の開口に、カニューレ先端が切断部位付近に位置するよう、L型カニューレを外科用瞬間接着剤、歯科用セメントで固定する。サンプル排出量は6μl(6μg)/日に設定する。ポンプを背首部皮下に挿入、創部を縫合し、動物を回復させる。
術後2週間及び3週間にペントバルビタールで麻酔したラットを仰向けに置き、マイクロシリンジを用いて鼻腔内に100μlの1%のWGA−HRP/PBS(TOYOBO)を投与する。HRP投与24時間後、再度ペントバルビタール(50mg/kg、腹腔内投与)で麻酔し、胸部を切開して左心室よりPBSを灌流した後、200mlの4%のパラホルムアルデヒドを含むPBSを灌流する。嗅球を摘出し、30%のシュークロースを含むPBSに入れ、4℃で一夜浸漬後、ドライアイスで凍結する。嗅球をドライアイス上でOTCコンパウンドに包埋後、クリオスタットで30μmの切片を作製し、トリス緩衝液(TBS)中に分取した(3枚おきに1枚)。TBSにて洗浄後、0.48%のDAB、0.096%のNiCl、0.036%のH2Oを含む0.1MのTBSを添加し、15分間反応させた。TBSにて洗浄後、切片をスライドグラス上に乗せ、乾燥後に封入した。顕微鏡下で観察し、嗅球外側部の糸球体のHRP反応を観察する。
頭頂より何枚目の嗅球の水平切片からHRP陽性の糸球体が現れるかで嗅神経の再生を定量評価できる。
【実施例11】
【0045】
試験例6:Sema3Aのレセプター結合に対する阻害活性
本発明の化合物がSema3Aとそのレセプター複合体の構成成分であるニューロピリン−1への結合を阻害するかどうかをレセプター結合実験により調べた。現在、Sema3Aレセプターの構成成分にはニューロピリン−1とプレキシンA1が知られているが、Sema3Aの結合には主にニューロピリン‐1の寄与が大きいことがわかっている。レセプター結合実験のリガンドにはアルカリホスファターゼ(ヒト由来:熱耐性)融合Sema3A(Sema3A−AP)を用い、そのレセプターへの結合量はアルカリホスファターゼ活性を指標に検出した。Sema3Aはマウス由来のものを用いた。当該Sema3Aの758番目のアミノ酸からC末端側にアルカリホスファターゼを融合した組換え遺伝子を作製し、これをCOS7細胞に導入し発現分泌させることでSema3A−APを調製した。
レセプター結合実験は以下に記載する方法で行った。ニューロピリン−1発現プラスミド(pUCSRα‐ニューロピリン‐1)をCOS7細胞に導入し、24時間培養した。この細胞はニューロピリン−1を細胞表面に発現する。細胞をHBH緩衝液(20 mM HEPES[pH7.2], 0.5 mg/mlウシ血清アルブミンを含むハンクス平衡塩緩衝液)で1回洗浄した後、Sema3A−APを含むHBH緩衝液と10μMの実施例1の化合物を同時に添加した。振とうしながら1時間室温に放置することでSema3A−APをニューロピリン−1発現細胞に結合させた後、上清を除き、過剰のSema3A−APを除くため牛胎児血清(1%)を含むHBH緩衝液で細胞を6回洗浄した。その後、10 mM Tris-HCl[pH8.0], 1% Triton X-100溶液で細胞に結合したSema3A−APを可溶化した(細胞抽出液)。遠心により細胞抽出液中の不溶物を除いた後、65℃で1時間処理することにより細胞自身が持つアルカリホスファターゼを失活させた。この細胞抽出液中のSema3A−AP由来のアルカリホスファターゼ活性(=Sema3A−AP結合量)を測定した。一定量の細胞抽出液をSEAP緩衝液(1 M diethanolamine, 0.5 mM MgCl2, 10 mM L-homoarginine)、発色基質(10 mM p-nitirophenyl phosphate)と混合し37℃で保温した後、溶液の405nmの吸光度(p-nitrophenol:p-nitirophenyl phosphateからアルカリホスファターゼにより生成)を測定した。その結果、Sema3A−APの結合量が実施例2の化合物の作用により、コントロール(PBS)に比較して25%に減少した。このことから実施例2の化合物がSema3Aのレセプター結合を阻害することがわかった(図2を参照)。
【実施例12】
【0046】
製剤例1
100ml中、以下の組成物を滅菌精製水中に懸濁し、涙液と等張となる濃度でpH7.0に調製することにより、点眼剤を調製することができる。
実施例1の化合物 50mg
リン酸二水素カリウム 適量
リン酸水素二ナトリウム 適量
食塩 適量
塩化ベンゼトニウム 10mg
滅菌精製水 適量
【実施例13】
【0047】
製剤例2
100ml中、以下の組成物を滅菌精製水中に懸濁し、涙液と等張となる濃度でpH7.0に調製することにより、点眼剤を調製することができる。
実施例2の化合物 50mg
リン酸二水素カリウム 適量
リン酸水素二ナトリウム 適量
食塩 適量
塩化ベンゼトニウム 10mg
滅菌精製水 適量
【実施例14】
【0048】
製剤例3
眼軟膏剤常法に従い、次の処方で眼軟膏剤を調整することができる。
実施例1の化合物 50mg
流動パラフィン 10g
白色ワセリン 適量
【実施例15】
【0049】
製剤例4
眼軟膏剤常法に従い、次の処方で眼軟膏剤を調整することができる。
実施例2の化合物 50mg
流動パラフィン 10g
白色ワセリン 適量
【実施例16】
【0050】
参考例1:原料化合物の製造について
グルコース2%、ショ糖5%、綿実粉2%、硝酸ナトリウム0.1%、L−ヒスチジン0.1%、リン酸2カリウム0.05%、塩化カリウム0.07%、硫酸マグネシウム7水和物0.0014%を含み、pH7.0に調整した培地75mlを500ml容の坂口フラスコに分注しオートクレーブで滅菌した。これに斜面培養したペニシリウム・エスピーSPF−3059株(FERM BP−7663)を1白金耳接種し、27℃、130rpmにて5日間振盪培養して前培養とした。2リットル容坂口フラスコ10本に上記と同じ組成の培地を300mlずつ分注しオートクレーブで滅菌した後、上記の前培養液を6mlずつ添加し、27℃、110rpmにて7日間振盪培養した。
培養終了後、培養液を4℃、10,000rpmにて10分間遠心分離して上清液と菌体に分離し、上清液画分を3リットルの酢酸エチル−蟻酸(99:1)で抽出した。菌体画分は3リットルのアセトンで抽出し、濾過、濃縮後、水溶液となったところで1リットルの酢酸エチル−蟻酸(99:1)で抽出した。両抽出液を混合し、減圧濃縮して粗抽出物10.4gを得た。これを100mlのメタノールに溶解し、SephadexTM LH−20(アマシャムファルマシアバイオテク社)を用いるカラムクロマトグラフィーに付し、メタノールで溶出した。活性画分を集め、溶媒を減圧留去し、粗精製物2.6gを得た。これを100mlのメタノールに溶解し、TSKgelTM TOYOPERL HW−40F(東ソー)を用いるカラムクロマトグラフィーに付し、メタノールで溶出した。活性画分を集め、溶媒を減圧留去し、粗精製物1.6gを得た。これを50mgずつ1mlのジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解し、逆相HPLCに付した。逆相HPLCの条件は、カラム:Wakopak−Wakosil(登録商標)−II5C18RS(20×50mmと20×250mmを連結、和光純薬工業製)、溶出液A:1%蟻酸水溶液、溶出液B:メタノール、グラジエント:B液割合35%から65%へ90分間の直線的グラジエント、流速:5ml/分、検出:260nmにおける吸光度、とした。保持時間59分、74分、81分の溶出画分を集め、減圧下に溶媒を留去することによって、それぞれ化合物SPF−3059−5(34.2mg)、SPF−3059−1(64.1mg)、SPF−3059−2(12.0mg)を得た。得られた化合物の物理化学的性状はそれぞれ次のとおりである。

化合物SPF−3059−2
・性状:クリーム色粉末
・高分解能高速電子衝撃質量スペクトル(HRFAB−MS)m/z(M+H)+
実測値:533.0710
計算値:533.0721
・分子式:C271612
・紫外可視吸収スペクトルλmax(メタノール中)nm(ε):
209(40,600)、236(42,600)、283(28,500)、323(25,400)
赤外吸収スペクトルνmax(KBr)cm-1
3266、1678、1654、1623、1562、1471、1296
1H―NMR(DMSO−d6)δppm:
2.53(6H,s)、6.93(1H,s)、6.95(1H,s)、7.47(1H,s)、8.15(1H,s)、8.54(1H,s)、9.38(1H,brs)、9.89(1H,brs)、10.78(1H,brs)、11.37(1H,brs)、12.68(1H,brs)
13C―NMR(DMSO−d6)δppm:
29.1、32.1、102.3、103.1、108.7、112.5、113.5、119.6、119.8、120.9、126.2、132.4、133.6、136.1、141.7、144.5、150.71、150.74、152.49、152.54、152.7、154.4、167.4、172.9、173.4、199.2、201.2
これらから化合物SPF−3059−2の構造式を次式:
【0051】
【化16】

と決定した。

化合物SPF−3059−5
・性状:クリーム色粉末
・高分解能高速電子衝撃質量スペクトル(HRFAB−MS)m/z(M+H)+
実測値:577.0615
計算値:577.0619
・分子式:C281614
・紫外可視吸収スペクトルλmax(メタノール中)nm(ε):
229(35,800)、284(22,600)、322(21,000)
・赤外吸収スペクトルνmax(KBr)cm-1
3260、1684、1626、1567、1467、1288
1H―NMR(DMSO−d6)δppm:
2.53(3H,s)、2.55(3H,s)、6.93(1H,s)、6.96(1H,s)、8.17(1H,s)、8.53(1H,s)、9.5〜13.0(6H)
13C―NMR(DMSO−d6)δppm:
29.1、32.1、102.26、102.32、109.9、112.4、119.6、119.8、120.3、120.9、126.3、132.5、133.4、136.2、141.2、141.7、150.4、150.8、152.1、152.68、152.73、154.5、167.4、167.5、172.5、172.9、199.1、201.1

これらから化合物SPF−3059−5の構造式を次式:
【0052】
【化17】

と決定した。
【実施例17】
【0053】
参考例2:原料化合物の製造
グルコース2%、ショ糖5%、綿実粉2%、硝酸ナトリウム0.1%、L−ヒスチジン0.1%、リン酸2カリウム0.05%、塩化カリウム0.07%、硫酸マグネシウム7水和物0.0014%を含み、pH7.0に調整した培地10mlを50ml容の三角フラスコに分注しオートクレーブで滅菌した。これに斜面培養したペニシリウム・エスピーSPF−3059株(FERM BP−7663)を1白金耳接種し、27℃、180rpmにて4日間回転振盪培養して前々培養とした。500ml容三角フラスコ5本に上記と同じ組成の培地を125mlずつ分注しオートクレーブで滅菌した後、上記の前々培養液を4mlずつ添加し、27℃、180rpmにて4日間回転振盪培養して前培養とした。50リットル容ジャーファーメンターに、グルコース1.43%、ショ糖3.57%、綿実粉1.43%、硝酸ナトリウム0.07%、L−ヒスチジン0.07%、リン酸2カリウム0.036%、塩化カリウム0.05%、硫酸マグネシウム7水和物0.001%、アデカノールLG−295S(旭電化製消泡剤)0.01%を含み、pH7.0に調整した培地を30リットル分注し、高圧蒸気滅菌(121℃、20分)した後、上記の前培養液を500ml添加し、27℃、400rpm、通気量15リットル/分にて9日間通気攪拌培養した。
培養終了後、培養液を10,000rpmにて10分間遠心分離して上清液と菌体に分離し、上清液画分を20リットルの酢酸エチル−蟻酸(99:1)で2回抽出した。菌体画分は30リットルのアセトンで抽出し、濾過、濃縮後、水溶液となったところで10リットルの酢酸エチル−蟻酸(99:1)で抽出した。両抽出液を混合し、減圧濃縮して粗抽出物224gを得た。粗抽出物100gを500mlのメタノールに溶解し、Sephadex(登録商標)LH−20(アマシャムファルマシアバイオテク社)を用いるカラムクロマトグラフィーに付し、メタノールで溶出した。活性画分を集め、溶媒を減圧留去し、油状物48.8gを得た。これを400mlのメタノールに溶解し、TSKgel TOYOPERL HW−40F(東ソー)を用いるカラムクロマトグラフィーに付し、メタノールで溶出した。活性画分を集め、溶媒を減圧留去し、粗精製物21.8gを得た。これを200mgずつ2mlのジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解し、分取逆相HPLCに付した。分取逆相HPLCの条件は、カラム:Wakopak−Wakosil(登録商標)−II5C18HGprep(φ5×10cmとφ5×25cmを連結、和光純薬工業製)、溶出液A:1%蟻酸水溶液、溶出液B:メタノール、グラジエント:B液割合45%から75%へ2時間の直線的グラジエント、流速:25ml/分、検出:260nmにおける吸光度、とし、溶出液を1分ずつ分取した。
上記分取した画分を分析用HPLCで分析した。分析用HPLCの条件は、カラム:Wakopak−Wakosil(登録商標)−II5C18RS(φ4.6×150mm、和光純薬工業製)、溶出液A:1%蟻酸水溶液、溶出液B:メタノール、グラジエント:B液割合20%から67%へ71.1分間の直線的グラジエント、流速:1.3ml/分、検出:260nmにおける吸光度、とした。この分析用HPLCにおける保持時間を指標に分取用HPLCの溶出画分を集め、減圧下に溶媒を留去した後、再度分取用HPLCに付して上記と同様に精製し、さらにTSKgel TOYOPERL HW−40F(東ソー)を用いるカラムクロマトグラフィーに付して上記と同様に精製し、溶媒を減圧留去、乾燥することにより、原料化合物の精製品を得た。
得られた化合物の物理化学的性状は次の通り。

SPF−3059−4
外観:クリーム色粉末
分子量:560
分子式:C281613
高速電子衝撃質量スペクトル(FAB−MS)m/z(positive):561(M+H)+
高速電子衝撃質量スペクトル(FAB−MS)m/z(negative):559(M−H)-
高分解能高速電子衝撃質量スペクトル(HRFAB−MS)m/z(M+H)+
実測値:561.0667
計算値:561.0670(C281713
紫外可視吸収スペクトルλmax(メタノール中)nm(ε):
221(35,600)、250(38,100)、276sh(25,800)、323(24,300)
赤外吸収スペクトルνmax(KBr)cm-1
3412、1665、1619、1563、1465、1427、1263
1H―NMR(DMSO−d6)δppm:
2.53(3H,s)、2.56(3H,s)、6.84(1H,d,2.1)、6.95(1H,s)、6.96(1H,d,2.1)、8.17(1H,s)、8.52(1H,s)、10.10〜11.40(3H,brs) 、12.71(1H,brs)、13.26(1H,brs)
13C―NMR(DMSO−d6)δppm:
29.2、32.1、102.3、103.2、110.1、112.4、112.8、119.6、120.3、120.8、126.3、133.1、133.4、136.7、137.5、141.7、150.8、152.3、152.7、152.8、157.2、163.9、167.4、169.3、172.2、172.9、199.3、201.0
溶解性:水、ヘキサンに不溶、メタノール、DMSOに可溶
これらからSPF−3059−4の構造式を次式と決定した。
【0054】
【化18】

SPF−3059−12
外観:クリーム色粉末
分子量:560
分子式:C281613
高速電子衝撃質量スペクトル(FAB−MS)m/z(positive):561(M+H)+
高速電子衝撃質量スペクトル(FAB−MS)m/z(negative):559(M−H)-
高分解能高速電子衝撃質量スペクトル(HRFAB−MS)m/z(M+H)+
実測値:561.0680
計算値:561.0670(C281713
紫外可視吸収スペクトルλmax(メタノール中)nm(ε):
232(37,400)、250sh(34,800)、285(28,000)、308sh(23,200)、360sh(9,000)
赤外吸収スペクトルνmax(KBr)cm-1
3080、1698、1608、1468、1291
1H―NMR(DMSO−d6)δppm:
2.54(3H,s)、2.55(3H,s)、6.82(1H,d,2.1)、6.87(1H,s)、6.95(1H,d,2.1)、8.22(1H,s)、8.55(1H,s)、9.50〜13.50(5H,brs)
13C―NMR(DMSO−d6)δppm:
29.1、32.2、102.1、103.0、109.4、112.1、113.5、119.8、120.0、121.7、126.6、132.0、133.3、135.9、136.7、141.7、150.6、152.1、153.0、155.4、157.6、162.4、167.4、167.6、172.2、172.9、199.1、201.1
溶解性:水、ヘキサンに不溶、メタノール、DMSOに可溶
これらからSPF−3059−12の構造式を次式と決定した。
【0055】
【化19】

(SPF−3059−24)
外観:クリーム色粉末
分子量:532
分子式:C271612
高速電子衝撃質量スペクトル(FAB−MS)m/z(positive):533(M+H)+
高速電子衝撃質量スペクトル(FAB−MS)m/z(negative):531(M−H)-
高分解能高速電子衝撃質量スペクトル(HRFAB−MS)m/z(M+H)+
実測値:531.0621
計算値:531.0564(C271712
紫外可視吸収スペクトルλmax(メタノール中)nm(ε):
212(36,900)、229sh(34,500)、283(26,300)、323(21,700)
赤外吸収スペクトルνmax(KBr)cm-1
3447、1697、1629、1578、1470、1290
1H―NMR(DMSO−d6)δppm:
2.52(3H,s)、2.54(3H,s)、6.92(1H,s)、6.93(1H,s)、7.28(1H,s)、8.13(1H,s)、8.54(1H,s)、9.50〜13.00(5H,brs)
13C―NMR(DMSO−d6)δppm:
29.1、32.3、102.3、102.9、107.9、110.0、115.8、119.8、120.4、120.7、126.5、133.0、133.3、136.0、141.2、145.0、150.4、151.1、152.2、152.9、153.0、154.3、167.5、172.6、173.6、199.1、201.1
溶解性:水、ヘキサンに不溶、メタノール、DMSOに可溶
これらからSPF−3059−24の構造式を次式と決定した。
【0056】
【化20】

SPF−3059−25
外観:クリーム色粉末
分子式:C271611
高速電子衝撃質量スペクトル(FAB−MS)m/z(positive):517(M+H)+
高速電子衝撃質量スペクトル(FAB−MS)m/z(negative):515(M−H)-
高分解能高速電子衝撃質量スペクトル(HRFAB−MS)m/z(M+H)+
実測値:517.0778
計算値:517.0771(C271711
紫外可視吸収スペクトルλmax(メタノール中)nm(ε):
215(35,000)、253(35,100)、276sh(25,200)、323(23,400)
赤外吸収スペクトルνmax(KBr)cm-1
3417、1691、1625、1471、1293
1H―NMR(DMSO−d6)δppm:
2.54(6H,s)、6.82(1H,brs)、6.92(2H,brs)、7.27(1H,s)、8.14(1H,s)、8.53(1H,s)、9.5〜14.0(4H,brs)
13C―NMR(DMSO−d6)δppm:
29.2、32.3、102.9、103.0、107.8、109.9、113.0、115.7、120.4、120.6、126.4、133.3、133.4、136.4(2C)、145.0、151.2、152.3、152.98、153.01、157.3、164.2、169.4、172.6、173.6、199.2、201.0
溶解性:水、ヘキサンに不溶、メタノール、DMSOに可溶
これらからSPF−3059−25の構造式を次式と決定した。
【0057】
【化21】

SPF−3059−26
外観:クリーム色粉末
分子量:488
分子式:C261610
高速電子衝撃質量スペクトル(FAB−MS)m/z(positive):489(M+H)+
高速電子衝撃質量スペクトル(FAB−MS)m/z(negative):487(M−H)-
高分解能高速電子衝撃質量スペクトル(HRFAB−MS)m/z(M+H)+
実測値:489.0823
計算値:489.0822(C261710
紫外可視吸収スペクトルλmax(メタノール中)nm(ε):
212(31,500)、235(30,900)、284(23,900)、324(19,500)
赤外吸収スペクトルνmax(KBr)cm-1
3454、1694、1625、1517、1471、1293
1H―NMR(DMSO−d6)δppm:
2.53(3H,s)、2.54(3H,s)、6.91(1H,s)、6.92(1H,s)、7.27(1H,s)、7.47(1H,s)、8.11(1H,s)、8.57(1H,s)
13C―NMR(DMSO−d6)δppm:
29.1、32.2、102.9、103.0、107.9、108.5、113.3、115.7、119.8、120.7、126.3、132.7、133.5、135.8、144.6、145.0、150.8、151.1、152.5、152.9(2C)、154.7、173.3、173.6、199.1、201.2
溶解性:水、ヘキサンに不溶、メタノール、DMSOに可溶
これらからSPF−3059−26の構造式を次式と決定した。
【0058】
【化22】

【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明のキサントン化合物又はその薬学上許容される塩は、セマフォリン阻害活性を有し、末梢あるいは中枢における神経再生促進剤や、かかる神経再生促進剤を含有する神経障害性疾患・神経変性疾患に対する予防剤や治療剤として、又は虚血障害を伴う神経性疾患の予防剤や治療剤として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】実施例8(試験例3)のコラプスアッセイの結果を示すグラフである。縦軸は退縮する神経円錐の量を示す。横軸は、化合物濃度を示す。
【図2】実施例11(試験例6)のSema3Aレセプター結合アッセイの結果を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1):
【化1】

[式中、R1及びR2は独立して、水素原子、カルボキシル基、式(2):
【化2】

(式中R7は水素原子又はC1−C6アルキル基を表し、R8は水素原子、置換もしくは無置換のC1−C6アルキル基、置換もしくは無置換のC2−C6アルケニル基、置換もしくは無置換のC2−C6アルキニル基、置換もしくは無置換のC3−C7シクロアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のヘテロアリール基又は4〜7員の置換もしくは無置換の飽和ヘテロ環基を表すか、あるいはR7及びR8は結合して、置換もしくは無置換の4〜7員の飽和含窒素へテロ環を形成していてもよい。)
で表される基、又は式(3):
【化3】

(式中R9は、置換もしくは無置換のC1−C6アルキル基、置換もしくは無置換のC2−C6アルケニル基、置換もしくは無置換のC2−C6アルキニル基、置換もしくは無置換のC3−C7シクロアルキル基又は置換もしくは無置換のアリール基を表す。)
で表される基を表し、R1及びR2の少なくとも1つが前記式(2)又は前記式(3)で表される基であり、
3、R4、R5及びR6は独立して、水素原子、水酸基、置換もしくは無置換のC1−C6アルコキシ基、置換もしくは無置換のC2−C6アルケニルオキシ基、置換もしくは無置換のC2−C6アルキニルオキシ基、置換もしくは無置換のC3−C7シクロアルコキシ基、置換もしくは無置換のC2−C7アルカノイルオキシ基、置換もしくは無置換のC3−C7シクロアルカノイルオキシ基、置換もしくは無置換のアロイルオキシ基、置換もしくは無置換のアリールオキシ基、置換もしくは無置換のヘテロアロイルオキシ基又は置換もしくは無置換のヘテロアリールオキシ基を表す。]
で表される、キサントン化合物又はその薬学上許容される塩。
【請求項2】
3、R4、R5及びR6が独立して、水素原子、水酸基又は置換もしくは無置換のC1−C6アルコキシ基である、請求項1に記載のキサントン化合物又はその薬学上許容される塩。
【請求項3】
1及びR2が独立して、水素原子、カルボキシル基又は式(3)で表される基を表し、式(3)におけるR9がC1-6アルキル基を表す、請求項1又は2に記載のキサントン化合物又はその薬学上許容される塩。
【請求項4】
1及びR2が独立して、水素原子、カルボキシル基又は式(2)で表される基を表し、式(2)におけるR8が置換もしくは無置換のC1-6アルキル基を表す、請求項1又は2に記載のキサントン化合物又はその薬学上許容される塩。
【請求項5】
8が置換C1-6アルキル基を表す場合の置換C1-6アルキル基における置換基が、置換もしくは無置換のアミノ基、置換もしくは無置換のアリール基又は置換もしくは無置換のヘテロアリール基である、請求項4に記載のキサントン化合物又はその薬学上許容される塩。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載のキサントン化合物又はその薬学上許容される塩を有効成分として含有するセマフォリン阻害剤。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれかに記載のキサントン化合物又はその薬学上許容される塩を有効成分として含有する神経再生促進剤。
【請求項8】
請求項1〜5のいずれかに記載のキサントン化合物又はその薬学上許容される塩を有効成分として含有する虚血性神経障害治療剤又は予防剤。
【請求項9】
虚血性神経障害が緑内障である、請求項8に記載の治療剤又は予防剤。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−335683(P2006−335683A)
【公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−162344(P2005−162344)
【出願日】平成17年6月2日(2005.6.2)
【出願人】(000002912)大日本住友製薬株式会社 (332)
【Fターム(参考)】