説明

キバナオウギ抽出物を含む組成物による特発性血小板減少性紫斑病の治療

本発明はキバナオウギ(Astragalus membranaceus)の抽出物を含む組成物の調製及び使用に関する。この抽出物はキバナオウギから調製され、例えば、約3.5:1から約5.0:1のアラビノース:ガラクトース比、約5%から約10%のラムノース、約15%から約20%のガラクトース、及び約10%から約15%のグルコースを有する、酸修飾されたアラビノガラクタンタンパク質組成物を含む。この組成物は、特発性血小板減少性紫斑病の治療及びそのような治療のための医薬品の製剤化に用いることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2008年12月15日に出願された特許文献1の関連出願を主張するものであり、その全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、キバナオウギ(Astragalus membranaceus)の抽出物を含む組成物の調製及び使用に関するものである。
【背景技術】
【0003】
血小板または巨核球の数の減少は、血小板減少として知られる状態であり、これは、いくつかの疾患、ならびに骨髄機能を抑制するか、造血を抑制するか、または血小板数もしくは巨核球の低下を引き起こす治療において経験される状態である。例えば、癌患者は、化学療法または放射線療法による治療を受けて、血小板減少を経験することが多く、患者の出血のリスクが増加し、場合によっては化学療法剤の投与を制限する。
血小板減少を引き起こすメカニズムは少なくとも2つあり、これらは、(1)巨核球または血小板の産生を低下させるメカニズムと、(2)血小板を破壊するかまたは血小板を血液循環から取り除くように働くメカニズムである。
【0004】
第2のメカニズムが用いられる疾患の一例は、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)である。ITPは、血液中の血小板を破壊して血小板数を異常に少なくする、免疫系からの攻撃を特徴とする自己免疫血液病である。血小板の破壊は、患者自身の血小板に対する抗体である抗血小板自己抗体の存在が原因である。この血小板数の少なさのせいで、あざができやすくなり、歯茎からの出血が起こり、また、頻度は少ないが、重度の内出血が生じることがある。鼻、歯茎、消化管または尿路からの出血も起こる場合があり、脳内出血は稀ではあるが、恐れられている合併症である。
【0005】
現在、米国では約200,000人がITPに罹患しており、知られている治療法がない。全症例の約半数は、原因が不明であることを意味する「特発性」として分類される。「血小板減少」という用語は、血小板の減少を指し、「紫斑」という用語は、血小板の減少が原因で出血が起こっている皮膚や粘膜(例えば、口腔粘膜)の紫色がかった部分を指す。「免疫性血小板減少性紫斑病」という用語は、この疾患の免疫に関わる性質を明確に規定しているという理由で、この状態を説明するのによく用いられ、この用語には、原因が分かっている症例だけでなく、原因不明の症例も含まれる。
【0006】
ITPは、薬物により誘発されるか、または感染症、妊娠、もしくは免疫障害(例えば、全身性エリテマトーデス)と関連することがある。急性ITPは、幼児に起こることが最も多い。男女の差なく病気にかかり、ウイルス感染の後に症状が出ることが多い。約85%の子供は1年以内に回復し、この問題は再発しない。6カ月よりも長く続く場合、ITPは慢性とみなされ、慢性ITPの発症はどの年代でも起こり得る。ITPは成人期でピークに達し、女性は男性よりも2〜3倍病気にかかりやすい。残念なことに、けがによる出血を防ぐために、ライフスタイルの変更が求められることが多い。
【0007】
いくつかの実施形態では、標準的なITP治療には、高用量のコルチコステロイドが用いられる。患者は高用量のコルチコステロイドに応答するが、この応答は長続きせず、治療は耐容性が低く、重大な副作用を伴う。また、脾臓は血小板破壊の主要部位であり、この血小板破壊は当然さらなる合併症を引き起こすので、コルチコステロイドの失敗またはコルチコステロイドへの不耐容は、脾臓摘出を選択させることになる可能性がある。いくつかの実施形態では、治療は、プレドニゾン及び/またはIV免疫グロブリンの投与を含むことができる。ビンクリスチン、アザチオプリン(イムラン)、ダナゾール、シクロホスファミド、及びシクロスポリンなどの他の薬物を用いることもできる。
【0008】
当業者であれば、異常に少ない血小板数が、化学療法薬による治療または放射線治療によって生じることが知られていることを理解する。これらの治療は、骨髄機能を抑制し、巨核球の産生を低下させ、ひいては血小板数を低下させるという点で、上記の第1のメカニズムを提供する。対照的に、ITPの異常に少ない血小板数は、血小板に結合する抗体の生成を通じて血小板を血液循環から取り除く第2のメカニズムによって生じる。したがって、当業者であれば、血液循環中で巨核球もしくは血小板を生成する生物学的プロセスの損傷によるか、または抗体を介するITPのメカニズムによるかにかかわらず、血小板減少を治療することができる組成物を理解する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国仮特許出願61/122,586
【特許文献2】米国特許6,991,817
【特許文献3】WO200100682号
【特許文献4】米国特許6,991,817
【0010】
【非特許文献1】Martin,E.W.Remington’s Pharmaceutical Sciences
【非特許文献2】Alfonso AR:Remington’s Pharmaceutical Sciences,第17版,Mack Publishing Company,Easton Pa.,1985
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、一般に、キバナオウギの抽出物を含む組成物の調製及び使用に関するものである。
いくつかの実施形態では、キバナオウギの高収率抽出物を含む組成物、ここで、この抽出物は、約3.5:1を超えるアラビノース:ガラクトース比;約5%から約10%のラムノース;約15%から約20%のガラクトース;約10%から約20%のガラクツロン酸;及び約10%から約15%のグルコースを含む。これらの実施形態では、高収率抽出物は、粗抽出物をキバナオウギから単離することと、粗抽出物を酸で穏やかに処理することとを含む第1のプロセスを用いて調製され、穏やかに処理することは、約0.05Mから約0.5Mの濃度で、約15℃から25℃の温度で、約1時間から約24時間の間、酸を粗抽出物に適用することを含む。酸を適用する温度及び時間は、このアラビノース:ガラクトース比、このガラクトース含有量、このグルコース含有量、及び高収率を得るように選択される。高収率は、3.5:1未満のアラビノース:ガラクトース比、20%から35%のガラクトース、及び約10%未満のグルコースを得るように選択される温度及び時間で、酸を粗抽出物に適用することを含む第2のプロセスを用いて生成されるキバナオウギの抽出物の収率よりも実質的に高い。いくつかの実施形態では、酸処理で用いられる酸は、トリクロロ酢酸または塩酸である。
【0012】
いくつかの実施形態では、抽出物はキバナオウギの根から単離される。これらの実施形態では、キバナオウギは、マメ科ナイモウオウギ(A.membranaceus Bge.var.mongholicus(Bge.)Hsiao)またはマメ科キバナオウギ(A.membranaceus(Fisch.)Bge)であることができる。いくつかの実施形態では、キバナオウギは、中華人民共和国の内モンゴル自治区または山西省で生育したものである。さらに、いくつかの実施形態では、根は、約2年もののキバナオウギ植物に由来するものであることができる。
【0013】
抽出物の組成物は様々であることができ、いくつかの実施形態では、抽出物は、少なくとも100キロダルトンの重量平均分子量を有するか、少なくとも80重量%の炭水化物と2重量%以下のタンパク質を有するか、約4.0:1から約4.5:1のアラビノース:ガラクトース比を有するか、水溶液中、約4.5から約6.5のpHを有するか、または任意のその組合せである。
【0014】
抽出物を含む組成物はさらに、造血を刺激する薬剤を含むことができるかまたは造血を刺激する薬剤と組み合わせて投与されることができる。いくつかの実施形態では、薬剤は、顆粒球コロニー刺激因子、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子、エリスロポエチン及び赤血球生成促進因子、トロンボポエチン、インターロイキン−3、及びそれらの誘導体からなる群から選択されることができる。いくつかの実施形態では、組成物は、治療的有効量の組成物と水性注射用賦形剤とを含む水性注射用製剤中にあることができる。
【0015】
いくつかの実施形態では、抽出物は、約1.5:1から約3:1のアラビノース:ガラクトース比;約5%から約15%のアラビノース;約1.5%未満のラムノース;約3%から約7%のガラクトース;約4%未満のガラクツロン酸;及び約70%から約90%のグルコースを含む。これらの実施形態では、抽出物は、約20キロダルトンから約60キロダルトンの重量平均分子量、水溶液中、約4.5から約6.5のpH、またはそれらの組合せを有することができる。
【0016】
本発明は、哺乳動物の造血系を刺激する方法も含む。本方法は、本明細書に示された抽出物を含む有効量の組成物を哺乳動物に投与することを含む。いくつかの実施形態では、刺激することは、血小板数を増加させること、白血球数を増加させること、リンパ球数を増加させること、またはそれらの組合せを含む。
【0017】
いくつかの実施形態では、本方法は、第2の活性剤の共投与をさらに含む。これらの実施形態では、第2の活性剤は造血剤であることができる。第2の活性剤は、顆粒球コロニー刺激因子、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子、エリスロポエチン及び赤血球生成促進因子、トロンボポエチン、インターロイキン−3、及びそれらの誘導体からなる群から選択され得る。
【0018】
哺乳動物は、実験目的のためであれ、治療目的のためであれ、組成物が投与される任意の哺乳動物であることができる。いくつかの実施形態では、哺乳動物はヒトであり、いくつかの実施形態では、ヒトは骨髄抑制に苦しんでいる。骨髄抑制は化学療法または放射線療法の結果であることがある。
【0019】
本発明はまた、抽出物を調製する方法を提供する。本方法は、粗抽出物をキバナオウギから単離することと、粗抽出物を酸で穏やかに処理することとを含む。穏やかに処理することは、約0.05Mから約0.5Mの濃度で、約15℃から25℃の温度で、約1時間から約24時間の間、酸を粗抽出物に適用することを含む。酸を適用する温度及び時間は、約3.5:1を超えるアラビノース:ガラクトース比;約5%から約10%のラムノース;約15%から約20%のガラクトース;約10%から約20%のガラクツロン酸;約10%から約15%のグルコース;及び高収率を得るように選択される。高収率は、3.5:1未満のアラビノース:ガラクトース比、20%から35%のガラクトース、及び約10%未満のグルコースを得るように選択される温度及び時間で、酸を粗抽出物に適用することを含む第2のプロセスを用いて生成されるキバナオウギの抽出物の収率よりも実質的に高い。いくつかの実施形態では、アラビノース:ガラクトース比を、約4.0:1から約4.5:1、約3.75:1から約4.5:1、約3.8:1から約4.25:1、またはその中の任意の範囲内にまで低下させることができる。
【0020】
本発明はまた、特発性血小板減少性紫斑病を治療する方法であって、有効量の本明細書に示された抽出物を、特発性血小板減少性紫斑病を有する対象に投与することを含む方法を提供する。いくつかの実施形態では、酸修飾されたアラビノガラクタンタンパク質組成物は第2の活性剤と組み合わせて投与される。いくつかの実施形態では、第2の活性剤は、顆粒球コロニー刺激因子、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子、エリスロポエチン及び赤血球生成促進因子、トロンボポエチン、インターロイキン−3、及びそれらの誘導体からなる群から選択されることができる。また、いくつかの実施形態では、組成物を、治療的有効量で医薬品を投与することにより哺乳動物における特発性血小板減少性紫斑病を治療するための医薬品の製造に用いることができる。
【0021】
以下の教示を読んだ当業者であれば、これらの概念が、特許請求の範囲の文字通りの解釈、特許請求の範囲に記載された発明、及び特許請求の範囲に記載された用語を超えたさらなる実施形態にまで及ぶことができることを理解する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】いくつかの実施形態に従って致死線量に近い放射線を投与した後の高収率抽出物に対する、BALB/cマウスにおける血小板レベルの応答を示すグラフ
【図2】いくつかの実施形態に従ってBALB/cマウスに注射した7日後のマイトマイシン誘導性の血小板減少を示すグラフ
【図3】いくつかの実施形態に従って高収率抽出物を投与した後の放射線照射BALB/cマウスにおける白血球の回復を示すグラフ
【図4】いくつかの実施形態に従って高収率抽出物とG−CSFを共注射したときの放射線照射BALB/cマウスにおける血小板数の回復速度を示すグラフ
【図5】いくつかの実施形態に従って高収率抽出物とG−CSFを共注射したときの放射線照射BALB/cマウスにおける白血球数の回復速度を示すグラフ
【図6】台湾での臨床試験のフローチャート。なお、この臨床試験では、米国血液学会(ASH)のガイドラインに従って、患者が慢性特発性血小板減少症を有すると診断された。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明は、一般に、キバナオウギの抽出物を含む組成物の調製及び使用に関するものである。
いくつかの実施形態では、本抽出物は、骨髄抑制において造血を刺激し、IL−1β、IL−6、TNF−α、IFN−γ、GM−CSF、またはG−CSFの産生を刺激し、白血球の産生または作用を刺激し、好中球減少症、白血球減少症、単球減少症、貧血、または血小板減少症を有する哺乳動物の免疫系及び/または造血系を刺激するために用いることができる。本抽出物は、例えば、偶発的なものであれ、治療プログラムの一部としてであれ、細胞毒性薬または放射線への曝露によって引き起こされる状態を治療するのに用いることができ、この状態としては、骨髄抑制または免疫応答の結果としての、造血細胞の損傷、抑制、または除去が挙げられるが、これらに限定されない。症状は、本明細書に提供される治療を用いて改善させることができ、この症状としては、例えば、悪液質、嘔吐、及び薬物離脱症状を挙げることができる。このような抽出物の例は、例えば、特許文献2〜3に見出すことができ、その各々は、全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0024】
本抽出物は造血活性を刺激し、ひいては血球産生を増加させる。本抽出物は、例えば、血小板数を増加させることができ、癌治療を受けている患者に見られることが最も多い状態である血小板減少を治療するのに有効である。しかしながら、免疫障害やウイルス性障害などの、血小板減少の他の原因も数多く存在する。免疫障害の一例は、ITPであり、ウイルス性障害の一例は、HIVまたは慢性肝炎である。薬物の投与も血小板減少を引き起こすことがあり、その場合、血小板数低下は、薬物に対する有害反応、または骨髄機能を抑制する薬物の結果と理解することができる。抗炎症薬、心臓の薬、抗生物質は、血小板減少の原因として特定されている。肥大した脾臓などの身体状態が血小板減少を引き起こすことがあるが、それは、肥大した脾臓が血小板を捕捉して破壊することが理由である。ループスやリウマチ様疾患などの、免疫系の病気も血小板減少を引き起こすことがある。
【0025】
したがって、本抽出物を、例えば、免疫障害が原因であるか、骨髄抑制が原因であるかを問わず、血小板減少を治療するのに用いることができる。本抽出物を用いて、白血球の産生を刺激することもできる。本明細書に記載の組成物及び方法は、造血を刺激し、巨核球、及び他の白血球の増殖または成熟を誘導する。本明細書に記載の組成物及び方法は、血小板、巨核球、及び他の白血球の産生、増殖、及び成熟を刺激するだけでなく、それらの産生が抑制されるか、またはそれらが疾患もしくは他の治療により破壊されて、血液循環から取り除かれた後に、それらの回復を加速させる。当業者であれば、提供された教示を概観した後に、特許請求の範囲をより良く理解する。
【0026】
本明細書に提供される抽出物は、感染に対するまたは免疫抑制状態における免疫応答を回復させ、B型肝炎において肝細胞を保護するのに役立つことができる。また、本抽出物は、より成熟した造血細胞の始原造血前駆体の増殖や活性を刺激することが当然予想される。さらに、本抽出物は、患者における造血を刺激し、治療の投与を遅らせるか、または治療の強度を低下させることになる感染を阻止することによって、感染に対する患者の抵抗性を強化することにより、実行中の治療プログラム(例えば、化学療法)の効力を改善するのに役立つことができる。
【0027】
約1.5:1から約3:1のAra:Gal及び約20Kダルトンから約60Kダルトンの平均分子量を有するキバナオウギの抽出物(「精製抽出物」)の調製:
【0028】
本発明では、抽出物をキバナオウギから単離精製する方法が記載されている。いくつかの実施形態では、2年もののキバナオウギ植物の根は、組成物の良好な供給源を提供する。多くの実施形態では、根は、例えば、マメ科ナイモウオウギ;マメ科キバナオウギ;または中華人民共和国の内モンゴル自治区もしくは山西省で生育したキバナオウギに由来するものであることができる。
【0029】
キバナオウギ由来の抽出物は、通常、加工してチップまたは切片にした滅菌乾燥根から得られる。調製は、乾燥根をトリミングすることと、それを限外濾過(UF)水でこすり洗いすることと、それを70%エタノールなどの消毒溶液で浄化することとを含む。根を薄切りにし、滅菌条件で乾燥させて、本明細書では「クリーンチップ」とも呼ばれる、「飲用チップ」を産生する。この抽出物は、アラビノガラクタンタンパク質と、少なくとも80〜100℃の温度を有する水性抽出溶媒を適用することを含むプロセスを用いて飲用チップから単離される関連多糖類とから構成される。
【0030】
抽出溶媒は水であることができ、任意でアルカリ金属塩などの共抽出剤を含むことができる。アルカリ金属塩としては、例えば、リン酸二水素カリウムまたはリン酸二水素ナトリウムを挙げることができる。共抽出剤は、例えば、濃度0.5MのKHPO(pH約4.5)であることができる。
【0031】
根から抽出物を単離するのに必要な時間、温度で、及び根から抽出物を単離するのに必要な抽出サイクルと同じだけ、抽出溶媒を飲用チップに適用する。典型的なプロセスは、3回の抽出サイクルを含み、各サイクルは約3時間持続し、約100℃の温度を有する抽出溶媒を適用する。いくつかの実施形態では、飲用チップを、最初の熱い水性塩洗浄液を用いて(例えば、pH4.5、温度約100℃で0.5MのKHPO中で)約30分間、抽出する。いくつかの実施形態では、飲用チップの調製後の全工程を、滅菌器具と滅菌試薬の使用を含む無菌条件下で行なう。
【0032】
その後、抽出溶媒を濃縮し、これを、真空下、約60〜70℃の温度で行なって、飲用チップ1kg当たり約1Lの濃度を達成することができる。この濃度は、限外濾過、例えば、100キロダルトンの分子量カットオフのフィルターを用いる限外濾過を用いて達成することもできる。
【0033】
その後、抽出物を、低級アルカノールを用いて濃縮抽出溶媒から沈殿させる。低級アルカノールは、例えば、エタノールであることができる。いくつかの実施形態では、エタノールを、約室温で約70%エタノールの濃度になるまで溶媒に添加して、沈殿物を生成させることができる。いくつかの実施形態では、まず、第1の沈殿工程で、より低い濃度の約35%エタノールを用いて、その後、第2の沈殿工程で、より高い濃度の約70%エタノールを用いて、沈殿を行なう。沈殿に用いられる低級アルカノールの濃度は、例えば、20〜30%、30〜40%、40〜50%、50〜60%、60〜70%、70〜80%、80〜90%、またはその中の任意の濃度であることができる。
【0034】
さらなる精製のためにアルカノール洗浄を繰り返すことができる。例えば、沈殿物をもっと多くの低級アルカノールで洗浄することができ、その場合、典型的な洗浄としては、例えば、95%エタノールによる3回の洗浄を挙げることができる。その後、沈殿物を、さらなる処理に好適な濃度、例えば、約18〜20%重量/容量で水に懸濁する。この水に低級アルカノールを再添加することによる再沈殿を用いて、水に溶けないさらなる物質を除去することができる。上清をより高い濃度の低級アルカノールで沈殿させることができる。より高い濃度の低級アルカノールは、アラビノガラクタンタンパク質と関連多糖類とを含有する粗抽出物沈殿物を生成させるために、例えば、40〜80%エタノール、及びいくつかの実施形態では、60〜70%エタノールであることができる。
【0035】
粗抽出物を水に再溶解させ、乾燥させる。好適な乾燥プロセスとしては、過度の加熱を避ける、当業者に公知の任意のプロセスを挙げることができ、例えば、噴霧乾燥、真空乾燥、フリーズドライ、臨界点乾燥、溶媒交換などを挙げることができる。粗抽出物を、水または水溶液に再溶解させることもでき、その場合、粗抽出物を限外濾過に好適な濃度にする。いくつかの実施形態では、限外濾過に好適な濃度は約2%である。その後、粗抽出物を限外濾過して、低分子量物質をさらに除去し、溶液の容量を減らすことができ、その場合、限外濾過系は、例えば、5キロダルトンの分子量カットオフを有することができる。
【0036】
いくつかの実施形態では、粗抽出物は、白色からオフホワイト色の粉末、または淡黄色の粉末として現われることがあり、少なくとも約100mg/mLまで水に溶ける。いくつかの実施形態では、粉末は、少なくとも約200mg/mLまで水に溶ける。粉末は、乾燥させると、約15%未満の重量損失を示し、約0.5EU/mg未満の内毒素含有量を有し、いくつかの実施形態では、約0.3EU/mg未満の内毒素含有量を有する。
【0037】
粗抽出物をイオン交換クロマトグラフィーでさらに精製することができる。組成物を水溶液に再溶解させ、限外濾過に好適な濃度、通常、約2%の濃度にする。その後、再溶解した組成物を限外濾過して、低分子量物質をさらに除去し、溶液の容量を減らすことができる。上記5キロダルトンの分子量カットオフの限外濾過系を用いることができる。限外濾過の保持液を、20mMのNaOAc緩衝液(pH5.20)で平衡化したSPセファロース陽イオン交換カラムなどの陽イオン交換カラムに通して溶出させる。陽イオン交換カラムからの溶出液を、同じNaOAc緩衝液で平衡化したQセファロース陰イオン交換カラムなどの陰イオン交換カラムに通して溶出させる。
【0038】
陰イオン交換カラムからの溶出液を、(1)本明細書に示されている他の形態の抽出物の調製に直接用いるか、(2)濃縮し、乾燥させて、精製抽出物の調製に好適な中間体として保持することができる粗抽出物を形成させるか、または(3)精製抽出物の調製に直接用いることができる。
【0039】
精製抽出物の調製では、粗抽出物を0.1μmフィルターなどの好適な静菌フィルターに通して精密濾過し、限外濾過して、溶液を脱塩し、再度その容量を減らしてもよい。いくつかの実施形態では、8キロダルトンの分子量カットオフの限外濾過を用いてもよい。限外濾過からの保持液を濃縮し、屈折計を用いて濃度パーセントを決定することができる。いくつかの実施形態では、保持液を50〜60℃で約20〜26%の濃度まで濃縮する。その後、濃縮した保持液を低級アルカノールで沈殿させる。いくつかの実施形態では、低級アルカノールは、約80〜90%の濃度まで添加されるエタノールであることができる。沈殿物をさらに洗浄してもよく、その場合、典型的な洗浄としては、無水エタノールによる3回の洗浄を挙げることができる。その後、沈殿物を乾燥させて精製抽出物を得る。いくつかの実施形態では、沈殿物の乾燥を、例えば、60〜70℃の温度の真空オーブンを用いて行なうことができる。
【0040】
このプロセスから得られる抽出物がバッチ毎に変動するのを減らすために、抽出プロセスの1つまたは複数の段階で材料を混ぜ合わせることができる。いくつかの実施形態では、このプロセスには、プロセスにおける原材料の混合、「飲用チップ」の混合、他の中間体の混合、またはそれらの組合せが含まれる。
【0041】
精製抽出物の組成を、当業者に公知の標準的な分析技術を用いて、メタノール化した組成物抽出物のトリメチルシリル誘導体のガス液体クロマトグラフィーによって決定することができる。いくつかの実施形態では、精製抽出物は、約5〜15%、約5〜12%、約5〜10%、約10〜15%、またはその中の任意の範囲の量のAra;約1〜1.5%未満の量のRha;約4%未満の量のGalA;約3〜7%、約3〜5%、約4〜6%、またはその中の任意の範囲の量のGal;約70〜90%、約70〜85%、約75〜80%、約85〜90%、またはその中の任意の範囲の量のGlcを含有する。パーセントは全てmol%として表す。
【0042】
精製抽出物中のAra:Gal比は、約1.5:1から約3:1である。いくつかの実施形態では、Ara:Gal比は、約1.5:1から約1.75:1、約1.75:1から約3:1、またはその中の任意の範囲である。
【0043】
精製抽出物は、約20〜60キロダルトンの重量平均分子量を有する。いくつかの実施形態では、分子量は、約25〜40キロダルトン、約27〜35キロダルトン、またはその中の任意の範囲である。
【0044】
さらに、精製抽出物は、約2重量%未満の灰含有量、約10重量ppm未満の重金属含有量、及び約0.1%未満のヒドロキシプロリン含有量を有する。いくつかの実施形態では、ヒドロキシプロリン含有量は、約0.05%未満、約0.03%未満、またはその中の任意の範囲である。
【0045】
精製抽出物は内毒素を実質的に含まず、Endospecy(生化学工業株式会社、東京、日本)で決定した場合、内毒素含有量は、1.0EU/mg未満である。いくつかの実施形態では、内毒素含有量は、0.5EU/mg未満、0.3EU/mg未満、またはその中の任意の範囲である。また、精製抽出物は、少なくとも20mg/mlまで水に溶け、水溶液中、約4.5〜6.5のpHを有する。
【0046】
いくつかの実施形態では、抽出物は、約1.5:1から約3:1のアラビノース:ガラクトース比;約5〜15%のアラビノース;約1.5%未満のラムノース;約3〜7%のガラクトース;約4%未満のガラクツロン酸;及び約70〜90%のグルコースを含む。これらの実施形態では、抽出物は、約20〜60キロダルトンの重量平均分子量、水溶液中、約4.5〜6.5のpH、またはそれらの組合せを有することができる。
【0047】
約2:1から約4:1のAra:Gal及び約100Kダルトンを超える平均分子量を有するキバナオウギの抽出物(「高MW抽出物」)の調製:
【0048】
一般的に言って、本実施例の抽出物は、より高分子量の形態の精製抽出物であり、抽出物は少なくとも100キロダルトンの重量平均分子量を有する。他の利点として、これらの抽出物は容量がより小さい。これらのより高分子量の抽出物は、通常、精製抽出物を調製するための方法を用いて調製され、その場合、陰イオン交換カラムからの溶出液、粗抽出物、または精製抽出物が直接用いられてもよい(「精製抽出物またはその中間体」)。
【0049】
100Kの分子量カットオフの限外濾過系を用いて、精製抽出物またはその中間体から高MW抽出物を調製する。例えば、陰イオン交換カラムからの溶出液を100Kの分子量カットオフの限外濾過系に直接適用することができ、保持液を濃縮し、沈殿させ、任意でさらに洗浄し、乾燥させ、各工程を、精製抽出物の調製において上で記載した方法を用いて遂行することができる。
【0050】
いくつかの実施形態では、高MW抽出物は、約45〜75%、約50〜75%、約50〜65%、約55〜60%、またはその中の任意の範囲の量のAra;約2〜4%、約2〜3%、またはその中の任意の範囲の量のRha;約4〜6%、約4〜5%、またはその中の任意の範囲の量のGalA;約8〜25%、約10〜20%、約12〜18%、またはその中の任意の範囲の量のGal;約5〜25%、約7〜20%、約10〜15%、またはその中の任意の範囲の量のGlcを含有する。パーセントは全てmol%として表す。
【0051】
高MW抽出物中のAra:Gal比は約2:1から約4:1である。いくつかの実施形態では、Ara:Gal比は、約2:1から約3.75:1、約2.5:1から約3.5:1、約2.5:1から約3:1、約3:1から約4:1、またはその中の任意の範囲である。
【0052】
高MW抽出物は、100キロダルトンを超える重量平均分子量を有する。いくつかの実施形態では、高MW抽出物は、約100〜350キロダルトンの重量平均分子量を有する。いくつかの実施形態では、分子量は、約100〜300キロダルトン、約125〜275キロダルトン、約150〜250キロダルトン、約200〜275キロダルトン、またはその中の任意の範囲である。
【0053】
さらに、高MW抽出物は、約2重量%未満の灰含有量、約20重量ppm未満未満の重金属含有量、及び約0.2%を上回り、いくつかの実施形態では、約0.2〜0.3%であるヒドロキシプロリン含有量を有する。
【0054】
高MW抽出物は内毒素を実質的に含まず、Endospecy(生化学工業株式会社、東京、日本)で決定した場合、内毒素含有量は、1.0EU/mg未満である。いくつかの実施形態では、内毒素含有量は、0.5EU/mg未満、0.3EU/mg未満、またはその中の任意の範囲である。また、精製抽出物は、少なくとも10mg/mlまで水に溶け、水溶液中、約4.5〜6.5のpHを有する。
【0055】
高MW抽出物は、約95%の炭水化物(アラビノガラクタンタンパク質のタンパク質コアをグリコシル化する炭水化物を含む)と約5%のタンパク質とを含有し、その場合、ヒドロキシプロリンは、全アミノ酸含有量の約20%を占める。
【0056】
高収率、約3.5:1から約5.0:1のAra:Gal、及び約100Kダルトンを超える平均分子量を有するキバナオウギの抽出物(「高収率抽出物」)の調製:
【0057】
酸修飾された抽出物は、特許文献4に示されている。一般的に言って、本実施例の抽出物は、少なくとも、実質的により高収率の形態の活性抽出物を提供するという理由でより優れたものである。いくつかの実施形態では、本実施例に記載される穏やかな酸処理を含む、高MW抽出物を調製する方法を用いて、高収率抽出物を調製することができる。
【0058】
このプロセスは、粗抽出物を単離することと、粗抽出物を酸で穏やかに処理することとを含み、穏やかに処理することは、酸を粗抽出物に約0.05〜0.5M、約0.01〜1.0M、約0.05〜0.1M、またはその中の任意の範囲の濃度で適用することを含む。このプロセスでは、約15〜25℃の処理温度及び約1〜24時間の処理時間が用いられる。処理を、24時間を超えて、いくつかの実施形態では、好ましい加水分解技術の実行に必要とされる時間まで増加させることができる。酸を適用する温度及び時間は、3.5:1を超えるアラビノース:ガラクトース比、ならびに約15〜20%のガラクトース含有量、約10〜15%のグルコース含有量、及び高収率などの他の組成特性を得るように選択される。
【0059】
収率は、3.5:1未満のアラビノース:ガラクトース比、20〜35%のガラクトース、及び約10%未満のグルコースを得るように選択される温度及び時間で、酸を粗抽出物に適用することを含む異なるプロセスを用いて生成されるキバナオウギの抽出物の収率よりも実質的に高い。高収率抽出物の収率は、3〜30%超、5〜25%超、10〜20%超、10〜15%超、15〜20%超、20〜30%超、またはその中の任意の範囲であることができる。高収率抽出プロセスによって、約3.5:1から約5.0:1のアラビノース:ガラクトース比が得られ、3.5:1以下のアラビノース:ガラクトース比を有する抽出物を生じる本明細書に示される他の抽出物調製プロセスを用いて得られる収率よりも高い収率が得られる。
【0060】
穏やかな酸処理は、例えば、十分な加水分解を確保して、所望の精製及び高収率を達成すると同時に、多糖鎖を保持するように選択される。いくつかの実施形態では、酸は、鉱酸、有機酸、またはそれらの組合せを含むことができる。いくつかの実施形態では、有機酸は、弱い有機酸である。いくつかの実施形態では、酸は、トリクロロ酢酸、塩酸、またはそれらの組合せを含む。いくつかの実施形態では、酸は、ギ酸、酢酸、クエン酸、またはそれらの組合せを含む。いくつかの実施形態では、酸は、ホウ酸、リン酸、フッ化水素酸、またはそれらの組合せを含む。
【0061】
いくつかの実施形態では、穏やかな酸処理は、約0.01〜0.5Mの範囲の塩酸を含むことができる。いくつかの実施形態では、塩酸を、過塩素酸、ヨウ化水素酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、もしくはその組合せと置き換えるか、またはこれらの酸と組み合わせて用いることができる。いくつかの実施形態では、酸は、ジクロロ酢酸、マレイン酸、シュウ酸、サリチル酸、トリクロロ酢酸、メタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、ベンゼンスルホン酸、またはそれらの組合せからなる群から選択される有機酸を含むことができる。当業者は、適切な濃度及び条件を容易に選択することができる。
【0062】
いくつかの実施形態では、酸濃度は、約1.0M以下、約0.5M以下、約0.3M以下、約0.2M以下、約0.1M以下、約0.05M以下、約0.01M以下、またはその中の任意の範囲であることができる。いくつかの実施形態では、酸濃度は、約0.1〜0.5M、約0.2〜0.4M、約0.2〜0.3M、またはその中の任意の範囲であることができる。いくつかの実施形態では、保持時間は、約0.5〜10時間、約1〜8時間、約2〜7時間、約2〜5時間、約2〜3時間、またはその中の任意の範囲であることができる。
【0063】
次に、高収率抽出物を、上記の限外濾過とイオン交換の方法を用いてさらに精製することができる。さらなる精製は、もっと多くの塩及び低分子量物質を除去すること、ならびに溶液の容量を減らすことを含む。
【0064】
いくつかの実施形態では、高収率抽出物は、約35〜65%、約50〜65%、約50〜60%、約40〜60%、またはその中の任意の範囲の量のAra;約5〜10%、約5〜8%、約6〜9%、またはその中の任意の範囲の量のRha;約10〜20%、約10〜18%、約12〜16%、またはその中の任意の範囲の量のGalA;約15〜25%、約15〜20%、約18〜21%、またはその中の任意の範囲の量のGal;約10%未満、約1〜8%、約2〜6%、またはその中の任意の範囲の量のGlcを含有する。パーセントは全てmol%として表す。
【0065】
高収率抽出物中のAra:Gal比は約3.5:1を超える。いくつかの実施形態では、Ara:Gal比は、約3.5:1から約4.5:1、約4.0:1から約4.5:1、約3.5:1から約4:1、約3.75:1から約4.5:1、またはその中の任意の範囲である。
【0066】
高収率抽出物は、100キロダルトンを超える重量平均分子量を有する。いくつかの実施形態では、分子量は、約100〜350キロダルトンの範囲であり、いくつかの実施形態では、分子量は、約100〜300キロダルトン、約125〜275キロダルトン、約150〜250キロダルトン、約200〜275キロダルトン、またはその中の任意の範囲である。
【0067】
さらに、高収率抽出物は、約2重量%未満の灰含有量、約20重量ppm未満の重金属含有量、及び約1.0%未満のヒドロキシプロリン含有量を有する。
【0068】
高収率抽出物は内毒素を実質的に含まず、Endospecy(生化学工業株式会社、東京、日本)で決定した場合、内毒素含有量は、1.0EU/mg未満である。いくつかの実施形態では、内毒素含有量は、0.5EU/mg未満、0.3EU/mg未満、またはその中の任意の範囲である。また、精製抽出物は、少なくとも10mg/mlまで水に溶け、水溶液中、約4.5〜6.5のpHを有する。
【0069】
グリカンは抽出物の約80%を構成することができ、タンパク質、及び場合によって、微量の脂質がその残りに含まれる。いくつかの実施形態では、プルランサイジングと比較して、約350キロダルトンのピーク分子量を有する抽出物の部分がより大きい分子量に相当し、一方、約75キロダルトンのピーク分子量を有する抽出物の部分がより小さい分子量に相当する。より大きい分子量を有する部分の重量平均分子量は約260キロダルトンであることができ、より小さい分子量を有する部分は約120キロダルトンであることができる。多分散度は、例えば、約1〜5、約1.5〜3.5、またはその中の任意の範囲であることができる。
【0070】
いくつかの実施形態では、抽出物は、約3.5:1を超えるアラビノース:ガラクトース比;約5〜10%のラムノース;約15〜20%のガラクトース;約10〜20%のガラクツロン酸;及び約10〜15%のグルコースを含む。
【0071】
当業者であれば、同じまたは同様の結果が得られるように抽出物の調製において上で示された工程の順序を変更し得ることを理解するであろう。いくつかの実施形態では、連続的なイオン交換クロマトグラフィー工程を用いることができる。いくつかの実施形態では、イオン交換クロマトグラフィーを、同じまたは同様のイオン交換樹脂を用いるバッチ法で行なうことができる。別々の陰イオン樹脂と陽イオン樹脂の使用を、陰イオン交換と陽イオン交換の両方の機能を有する混合床樹脂の使用に置き換えることができる。いくつかの実施形態では、イオン交換精製を、穏やかな酸処理の前後を含む、このプロセスの様々な時点で行なうことができ、限外濾過膜の分子量カットオフサイズの選択は、様々に異なることができる。
【0072】
本明細書に示される抽出物のいずれかを含む組成物はさらに、造血を刺激する薬剤を含むことができるかまたは造血を刺激する薬剤と組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態では、薬剤は、顆粒球コロニー刺激因子、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子、エリスロポエチン及び赤血球生成促進因子、トロンボポエチン、インターロイキン−3、及びそれらの誘導体からなる群から選択されることができる。いくつかの実施形態では、組成物は、治療的有効量の組成物と水性注射用賦形剤とを含む水性注射用製剤中にあることができる。
【0073】
使用及び投与方法:
【0074】
組成物は、対象における疾患の治療、または疾患の1以上の症状の改善において治療的及び/または予防的効果を提供することができる。「対象」及び「患者」という用語は互換的に用いられ、動物、例えば、限定するものではないが、非霊長類(例えば、ウシ、ブタ、ウマ、ネコ、イヌ、ラット及びマウス)と霊長類(例えば、サルまたはヒト)とを含む、哺乳動物を指す。
【0075】
本明細書に提供される組成物を、例えば、造血の刺激;巨核球の増殖または成熟の誘導;IL−1β、IL−6、TNF−α、IFN−γ、GM−CSF、またはG−CSFの産生の刺激;白血球、好中球の産生または作用の刺激、好中球減少症、白血球減少症、単球減少症、貧血、または血小板減少症の治療を含む、本明細書に記載の種々の治療のために投与することができる。本組成物は、偶発性または非治療的曝露、及び治療的曝露を含む、細胞毒性薬または放射線への曝露からの回復を加速させるのにも役立ち得る。
【0076】
本発明は、哺乳動物の造血系を刺激する方法も含む。本方法は、哺乳動物に本明細書に示された抽出物を含む有効量の組成物を投与することを含む。いくつかの実施形態では、刺激することは、血小板数を増加させること、白血球数を増加させること、リンパ球数を増加させること、またはそれらの組合せを含む。
【0077】
いくつかの実施形態では、本方法は、第2の活性剤の共投与をさらに含む。これらの実施形態では、第2の活性剤は造血剤であることができる。第2の活性剤は、顆粒球コロニー刺激因子、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子、エリスロポエチン及び赤血球生成促進因子、トロンボポエチン、インターロイキン−3、及びそれらの誘導体からなる群から選択され得る。
【0078】
多くの実施形態では、哺乳動物は、実験目的のためであれ、治療目的のためであれ、組成物が投与される任意の哺乳動物であることができる。いくつかの実施形態では、哺乳動物はヒトであり、いくつかの実施形態では、ヒトは骨髄抑制に苦しんでいる。骨髄抑制は化学療法または放射線療法の結果であることがある。
【0079】
本発明はまた、特発性血小板減少性紫斑病を治療する方法であって、有効量の本明細書に示された抽出物を、特発性血小板減少性紫斑病を有する対象に投与することを含む方法を提供する。いくつかの実施形態では、酸修飾されたアラビノガラクタンタンパク質組成物は第2の活性剤と組み合わせて投与される。いくつかの実施形態では、第2の活性剤は、顆粒球コロニー刺激因子、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子、エリスロポエチン及び赤血球生成促進因子、トロンボポエチン、インターロイキン−3、及びそれらの誘導体からなる群から選択されることができる。
【0080】
本発明は、疾患の予防、治療、及び/または疾患の症状の改善において治療的及び/または予防的な量の抽出物を含む薬学的組成物も含む。
【0081】
組成物中で用いられる抽出物の量は、疾患の種類、対象の年齢、性別、及び体重などの因子によって様々であることができる。投薬レジメンを、治療応答を最適化するように調整してもよい。いくつかの実施形態では、当業者に公知の治療的状況及び要因の要件が示すように、単回ボーラスが投与されてもよいし、複数回分割用量が時間をかけて投与されてもよいし、用量を比例的に減少させても増加させてもよいし、または任意のその組合せであってもよい。投薬量の値は、緩和される状態の重症度によって変わり得ることに留意すべきである。個別の必要性や組成物の投与を施すかまたは監督する人の専門的判断によって、投薬レジメンを経時的に調整してもよく、また、本明細書に示される投薬量の範囲は単に例示的なものであって、医師が選択し得る投薬量の範囲を制限するものではない。
【0082】
「投与」または「投与すること」という用語は、疾患を診断するか、予防するか、治療するか、または疾患の症状を改善するために、インビボまたはエクスビボのいずれかで、対象の細胞または組織に組成物を取り込ませる方法を指す。一例では、化合物をインビボで非経口的に対象に投与することができる。別の例では、限定するものではないが、組成物の有用性及び効力を決定するためのアッセイを含む目的のために、化合物と対象由来の細胞または組織とをエクスビボで組み合わせることにより、化合物を対象に投与することができる。化合物を1以上の活性剤と組み合わせて対象に取り込ませる場合、「投与」または「投与すること」という用語は、例えば、上記の任意の薬剤などの他の薬剤とともに化合物を連続的にまたは同時に取り込ませることを含むことができる。本発明の薬学的組成物を、その意図される投与経路と適合するように製剤化する。投与経路の例としては、非経口(例えば、静脈内、皮内、筋肉内、及び皮下)注射;経口;吸入;鼻腔内;経皮;経粘膜;ならびに直腸投与が挙げられるが、これらに限定されない。
【0083】
本発明の化合物の「有効量」は、治療的有効量または予防的有効量を説明するために用いられることができる。有効量は、疾患の症状を改善する量であることもできる。「治療的有効量」は、所望の治療結果を達成するのに必要な投薬量及び期間で有効な量を指し、また、研究者、獣医、医師、または他の臨床医により求められる、組織、システム、または対象における何らかの生物学的または医学的応答を誘発する活性化合物、プロドラッグまたは薬学的薬剤の量を指す場合もあり、これらの活性化合物、プロドラッグまたは薬学的薬剤は、所望の効果をもたらす治療計画の一部でもあり得る。いくつかの実施形態では、治療的有効量は、障害の1以上の症状の改善、障害の進行の予防、または障害の退行をもたらすのに十分な量で投与される必要があり得る。炎症性障害または炎症を特徴とする自己免疫障害の治療の一例では、治療的有効量は、好ましくは、組成物の所望の作用の少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも100%の測定可能な応答を提供する治療剤の量を指す。「治療すること」という用語は、本明細書に示される1以上の治療的または予防的薬剤を指す。
【0084】
「予防的有効量」は、血小板または白血球数の降下の重症度を予防もしく阻止すること、または降下の最下点を軽減することなどの、所望の予防結果を達成するのに必要な投薬量及び期間で有効な量を指す。通常、予防的用量は、疾患または疾患の症状の発症を予防または阻止するために、疾患の発症前に、または疾患の発症の早い段階で対象に用いられる。予防的有効量は、治療的有効量より少なくても、治療的有効量より多くても、または治療的有効量と同じであってもよい。
【0085】
いくつかの実施形態では、投与は経口的なものであることができる。他の実施形態では、投与は、皮下注射であることができる。他の実施形態では、投与は、滅菌等張水性緩衝液を用いた静脈内注射であることができる。別の実施形態では、投与は、注射部位での不快感を和らげるために可溶化剤及び局所麻酔薬(例えば、リグノカイン)を含むことができる。他の実施形態では、投与は、例えば、投与のしやすさ及び均一性を得るために、非経口的なものであってもよい。
【0086】
化合物を投薬単位で投与することができる。「投薬単位」という用語は、単一の投薬として対象に投与することができる化合物の個別的な所定量を指す。活性化合物の所定量を、所望の治療効果をもたらすように選択することができ、薬学的に許容される担体とともに投与することができる。各々の単位投薬における所定量は、限定するものではないが、(a)活性化合物の特有の特徴及び達成されるべき特定の治療効果、ならびに(b)そのような投薬単位を作製及び投与する技術分野に固有の限界を含む要因によって決まることがある。
【0087】
「薬学的に許容される担体」は、それと一緒に組成物を投与する希釈剤、アジュバント、賦形剤、またはビヒクルである。担体は、対象における使用について、州もしくは連邦政府の監督官庁による承認、または米国薬局方もしくは他の一般に認められた情報源における記載に準拠して、薬学的に許容されているものである。
【0088】
薬学的担体には、任意の及び全ての生理的に適合する溶媒、分散媒体、コーティング、抗菌剤及び抗真菌剤、等張剤及び吸収遅延剤などが含まれる。薬学的担体の例としては、水、油及び脂質(例えば、リン脂質や糖脂質)などの滅菌液が挙げられるが、これらに限定されない。これらの滅菌液としては、ペトロリアム、動物、植物または合成起源から得られるもの(例えば、ピーナツ油、大豆油、鉱油、ゴマ油など)が挙げられるが、これらに限定されない。水は、静脈内投与のための好ましい担体であることができる。生理食塩水溶液、水性デキストロース及びグリセロール溶液も、特に注射溶液用の液体担体であることができる。
【0089】
好適な薬学的賦形剤としては、デンプン、糖類、不活性ポリマー、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、モルト、米、小麦粉、胡粉、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセロール、タルク、塩化ナトリウム、乾燥脱脂粉乳、グリセロール、プロピレングリコール、水、エタノールなどが挙げられるが、これらに限定されない。組成物は、微量の湿潤剤、乳化剤、pH緩衝剤、またはそれらの組合せを含有することもできる。組成物は、溶液、懸濁液、エマルジョン、錠剤、丸薬、カプセル、粉末、持続放出製剤などの形態をとることができる。経口製剤は、例えば、薬学的等級のマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、セルロース、炭酸マグネシウムなどの標準的な担体を含むことができる。非特許文献1を参照されたい。補助的な活性化合物を組成物に組み入れることもできる。
【0090】
いくつかの実施形態では、担体は、非経口投与に好適である。他の実施形態では、担体は、静脈内、腹腔内、筋肉内、舌下または経口投与に好適であることができる。他の実施形態では、薬学的に許容される担体は、薬学的に許容される塩を含み得る。
【0091】
非経口投与のための薬学的製剤としてはリポソームを挙げることができる。リポソーム及びエマルジョンは、疎水性の薬物に特に有用な送達ビヒクルまたは担体である。治療試薬の生物学的安定性に応じて、タンパク質安定化のためのさらなる戦略を利用し得る。さらに、例えば、標的特異的抗体でコーティングしたリポソームなどの、標的薬物送達系に入れて薬物を投与し得る。リポソームは、標的タンパク質に結合し、標的タンパク質を発現する細胞によって選択的に取り込まれる。
【0092】
治療的組成物は、通常、製造及び保存の条件下で滅菌及び安定でなければならない。組成物を溶液、マイクロエマルジョン、リポソーム、または高い薬物濃度に好適な他の秩序ある構造として製剤化することができる。いくつかの実施形態では、担体は、限定するものではないが、水;エタノール;ポリオール、例えば、グリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングルコールなど;及びそれらの組合せを含む、溶媒または分散媒体であることができる。例えば、レシチンなどのコーティングを用いること、分散液中で所要の粒径を維持すること、及び界面活性剤を用いることなどの、種々の方法で適切な流動性を維持することができる。
【0093】
いくつかの実施形態では、例えば、糖類;限定するものではないが、マンニトール、ソルビトール、グリセロール、及びそれらの組合せを含むポリアルコール類;ならびに塩化ナトリウムなどの、等張剤を用いることができる。例えば、モノステアリン酸塩、ゼラチン、及び徐放性ポリマーなどの、吸収を遅延させる薬剤を含めることによって、持続吸収特性を組成物に導入することができる。活性化合物が速やかに放出されるのに防ぐために担体を用いることができ、そのような担体としては、インプラント及びマイクロカプセル化送達系中の制御放出製剤が挙げられるが、これらに限定されない。例えば、エチレンビニルアセテート、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、ポリ乳酸、ポリカプロラクトン、ポリグリコール酸コポリマー(PLG)などの、生体分解性かつ生体適合性のポリマーを用いることができる。このような製剤は、通常、当業者に公知の方法を用いることにより調製することができる。
【0094】
化合物を、例えば、注射用油懸濁液などの懸濁液として投与し得る。親油性溶媒またはビヒクルとしては、例えば、ゴマ油などの脂肪油;オレイン酸エチルまたはトリグリセリドなどの合成脂肪酸エステル;及びリポソームが挙げられるが、これらに限定されない。注射に用いることができる懸濁液は、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトール、またはデキストランなどの、懸濁液の粘稠度を増加させる物質も含有し得る。場合により、懸濁液は、安定剤または化合物の溶解度を増加させて高濃縮溶液の調製を可能にする薬剤を含み得る。
【0095】
一実施形態では、有効量の活性化合物を、上記の所望の追加成分のいずれか1つまたはいずれかの組合せとともに溶媒中に組み入れ、濾過した後に、溶液を安定化することによって、滅菌注射溶液を調製することができる。別の実施形態では、活性化合物を、分散媒体と上記の所望の追加成分のいずれか1つまたはいずれかの組合せとを含有する滅菌ビヒクルに組み入れることによって、分散液を調製することができる。真空乾燥、フリーズドライ、またはそれらの組合せにより、活性成分及び任意の所望の追加成分から構成されることができる粉末を生じさせることによって、滅菌注射溶液で用いるための滅菌粉末を調製することができる。さらに、追加成分は、別々に調製された滅菌濾過溶液に由来するものであることができる。別の実施形態では、抽出物の溶解度を高める1以上の追加の化合物と組み合わせて抽出物を調製し得る。
【0096】
いくつかの実施形態では、化合物を、例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素、またはそれらの組合せなどの、好適な高圧ガスを含み得るエアロゾルスプレーまたはネブライザーからの吸入により投与することができる。一例では、加圧エアロゾル用の投薬単位を定量バルブから送達し得る。別の実施形態では、ゼラチンのカプセル及びカートリッジを、例えば、吸入器中で用い得るし、また、化合物と例えば、デンプンまたはラクトースなどの好適な粉末基剤との粉末化混合物を含有するように製剤化することができる。
【0097】
いくつかの実施形態では、組成物の治療的または予防的有効量は、濃度が約0.001nM〜0.10M;約0.001nM〜0.5M;約0.01nM〜150μM;約0.01nM〜500μM;約0.01nM〜1000μM、またはその中の任意の範囲であり得る。いくつかの実施形態では、組成物を、約0.001mg/kg〜500mg/kg;約0.005mg/kg〜400mg/kg;約0.01mg/kg〜300mg/kg;約0.01mg/kg〜250mg/kg;約0.1mg/kg〜200mg/kg;約0.2mg/kg〜150mg/kg;約0.4mg/kg〜120mg/kg;約0.15mg/kg〜100mg/kg、約0.15mg/kg〜50mg/kg、約0.5mg/kg〜10mg/kg、またはその中の任意の範囲の量で投与し得るが、その場合、ヒト対象は平均約70kgと仮定されている。
【0098】
本発明は、1以上の薬剤を投与するための持続放出製剤を包含する。いくつかの実施形態では、持続放出製剤は、そのような薬剤を対象に投与する投薬量及び/または頻度を減らすことができる。
【0099】
いくつかの実施形態では、本発明の抽出物の有効量は、平均体重のヒトの場合、例えば、約10〜1000mg/日、約50〜500mg/日、約100〜250mg/日、またはその中の任意の範囲であることができる。悪液質、嘔吐、もしくは薬物離脱症状を治療するために、または生物学的応答を修飾するかもしくはB型肝炎において肝細胞を保護するために、同様の量が治療的に有効となるであろう。当業者であれば、過度の実験をすることなく、その技能と本開示とを考慮して、所与の疾患についての本発明の組成物の治療的有効量を決定することができるであろう。
【0100】
組成物を注射により薬学的製剤として投与することができる。いくつかの実施形態では、製剤は、水性注射用賦形剤と組み合わせた抽出物を含むことができる。好適な水性注射用賦形剤の例は当業者に周知であり、これらの例、及び製剤を製剤化する方法を、非特許文献2のような標準的な参考文献に見出し得る。好適な水性注射用賦形剤としては、酸修飾されたアラビノガラクタンタンパク質組成物のための溶解促進剤、例えば、3〜10%のマンニトールまたは他の糖類、3〜10%のグリシンまたは他のアミノ酸を任意で含有する、水、水性生理食塩水溶液、水性デキストロース溶液などが挙げられる。
【0101】
通常、造血剤として投与するとき、皮下、筋肉内、腹腔内、または静脈内に注射することによって抽出物を投与することができる。いくつかの実施形態では、静脈内投与を用い、これは、約15分などの、数分から1時間またはそれより長い間の連続的な静脈内注入であることができる。投与される量は、製剤の種類、単位投薬量のサイズ、賦形剤の種類、及び当業者に周知の他の因子によって様々に異なり得る。製剤は、例えば、約0.001〜10%(w/w)、約0.01〜1%、約0.1〜0.8%、またはその中の任意の範囲を構成し、残りが賦形剤(単数または複数)を構成し得る。
【0102】
いくつかの実施形態では、治療される疾患状態のための少なくとも1つの他の治療剤、特に、例えば、エリスロポエチン、トロンボポエチン、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)、IL−3などの、造血を刺激することができる別の薬剤とともに、抽出物を投与することができる。いくつかの実施形態では、治療的または予防的有効量の抽出物を、約0.001mg/kgから約500mg/kg;約0.005〜400mg/kg;約0.01〜300mg/kg;約0.01〜250mg/kg;約0.1〜200mg/kg;約0.2〜150mg/kg;約0.4〜120mg/kg;約0.15〜100mg/kg、約0.25〜75mg/kg、約0.5〜50mg/kg、またはその中の任意の範囲の量で投与し得るが、その場合、ヒト対象は平均約70kgと仮定されている。
【0103】
抽出物を互いにまたは他の薬剤と組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態では、薬剤を約15分、30分、1時間、2時間、4時間、8時間、12時間、18時間、24時間、48時間または1週間だけ時間が異なる時点で投与することができる。いくつかの実施形態では、薬剤のうちの少なくとも1つは、造血系を刺激する薬剤である。他の実施形態では、薬剤としては、抗増殖剤、抗新生物剤、抗有糸分裂剤、抗炎症剤、抗血小板剤、抗凝固剤、抗フィブリン剤、抗トロンビン剤、抗生物質、抗アレルギー剤、抗酸化剤、及び任意のプロドラッグ、コドラッグ、代謝体、類似体、相同体、同族体、誘導体、塩、ならびにそれらの組合せを挙げることができる。
【0104】
本明細書に示された抽出物を、例えば、治療的有効量で投与される造血剤と組み合わせて投与することができる。造血剤は造血を刺激する分子である。造血剤の例としては、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、エリスロポエチン及び赤血球生成促進因子、トロンボポエチン、インターロイキン−3、ならびにそれらの誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。G−CSFの例としては、フィルグラスチム(ニューポジェン)、及びその誘導体(例えば、ペグフィルグラスチム)が挙げられるが、これらに限定されない。GM−CSFの例としては、サルグラモスチム(リューカイン)が挙げられる。エリスロポエチンの一例は、エポエチンα(エプレックス)である。赤血球生成促進因子の一例は、ダルベポエチンα(ネスプ、アラネスプ)である。
【0105】
造血剤を本明細書に示された抽出物と組み合わせて投与することができ、また、例えば、30分間、1時間、2時間、4時間、8時間、12時間、18時間、1日間、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、7日間、8日間、9日間、10日間、2週間、3週間、4週間、6週間、3カ月間、6カ月間、1年間、任意のその組合せ、または当業者が必要と考える任意の量の時間、投与することができる。薬剤を、同時に、連続的に、または周期的に対象に投与することができる。サイクリング療法は、第1の薬剤を所定の時間投与し、第2の薬剤を第2の所定の時間投与し、このサイクリングを、例えば、治療効力の増強などの、任意の所望の目的のために繰り返すことを含む。薬剤を同時的に投与することもできる。「同時的に」という用語は、ちょうど同じ時に薬剤を投与することに限定されるものではなく、むしろ、薬剤が一緒に作用して付加的な利益を生じることができるような順序や時間間隔で薬剤を投与することができることを意味する。各々の薬剤を、薬剤(1つまたは複数)を投与する任意の適当な手段を用いて別々にまたは任意の適当な形態で一緒に投与することができる。
【0106】
いくつかの実施形態では、当業者が有効であると知っている任意の量、時間、及び投与方法を用いて、本明細書に示される抽出物と組み合わせてG−CSFを投与する。G−CSFは、例えば、約0.1〜1mg/kg、約0.5〜500μg/kg、約1〜250μg/kg、約1〜100μg/kg、約1〜50μg/kg、またはその中の任意の範囲の量で投与されるニューポジェンであることができる。
【0107】
製造品:
【0108】
本発明は、完成し、包装され、ラベルが付された薬学的製品を包含する製造品を提供する。製造品は、例えば、密封されたガラスバイアルまたは他の容器などの、適当な入れ物または容器中に適当な単位投薬形態を含む。非経口投与に好適な投薬形態の場合、活性成分、例えば、本明細書に示される抽出物を含む1以上の薬剤は滅菌されており、微粒子を含まない溶液としての投与に好適である。言い換えれば、本発明は、各々滅菌された非経口溶液と凍結乾燥粉末の両方を包含し、後者は、注射前の再構成に好適である。あるいは、単位投薬形態は、経口、経皮、局所または粘膜送達に好適な固体であってもよい。
【0109】
いくつかの実施形態では、単位投薬形態は、静脈内、筋肉内、局所または皮下送達に好適である。したがって、本発明は、好ましくは滅菌され、各々の送達経路に好適な溶液を包含する。送達される薬剤の濃度及び量は本明細書に記載の通りに含まれる。
【0110】
全ての薬学的製品について、包装材料及び容器は、保存及び輸送時の製品の安定性を保護するように設計される。さらに、製造品は、例えば、医師、技術者または患者などの利用者に、懸念される疾患の予防的、治療的、または改善的治療として組成物を適切に投与する方法について助言することができる使用説明書または他の情報的資料を含むことができる。いくつかの実施形態では、説明書は、限定するものではないが、実際の用量及びモニタリング方法を含む、投与レジメンを指示するかまたは提案することができる。
【0111】
他の実施形態では、説明書は、組成物の投与が、限定するものではないが、例えば、アナフィラキシーなどのアレルギー反応を含む有害反応を引き起こすことがあることを表示する情報的資料を含むことができる。情報的資料は、アレルギー反応が単に軽度の掻痒性皮疹として示される可能性があるかまたはアレルギー反応が重症であって、紅皮症、血管炎、アナフィラキシー、スティーブン・ジョンソン症候群などを含む可能性があることを表示することができる。情報的資料は、アナフィラキシーが致命的であることがあり、何であれ異種タンパク質が体内に導入されたときに生じる可能性があることを表示すべきである。情報的資料は、これらのアレルギー反応が、それ自体はじんましんまたは皮疹として現われて、致死的な全身反応へと発展し、曝露した後すぐに、例えば、10分以内に生じることがあることを表示すべきである。情報的資料は、アレルギー反応が、錯感覚、低血圧、喉頭水腫、精神状態の変化、顔面または咽頭の血管性浮腫、気道閉塞、気管支痙攣、じんましん及び掻痒、血清病、関節炎、アレルギー性腎炎、糸球体腎炎、側頭部関節炎、好酸球増加、またはそれらの組合せを対象に経験させる可能性があることをさらに表示することができる。
【0112】
いくつかの実施形態では、製造品は、例えば、箱、瓶、チューブ、バイアル、容器、噴霧器、吸入器、静脈内(I.V.)バッグ、薬包紙などの1以上の包装材料と、この包装材料中に本明細書に示される抽出物を含む少なくとも1つの単位投薬形態の薬剤とを含むことができる。他の実施形態では、製造品は、懸念される疾患の予防的、治療的、または改善的治療として組成物を用いるための説明書も含み得る。
【0113】
他の実施形態では、製造品は、例えば、箱、瓶、チューブ、バイアル、容器、噴霧器、吸入器、静脈内(I.V.)バッグ、薬包紙などの1以上の包装材料と、この包装材料中に本明細書に示される抽出物を含む少なくとも1つの単位投薬形態の薬剤を含む第1の組成物とを、例えば、グリコサミノグリカン、リン脂質、ポリ(アルキレングリコール)、本明細書に示される任意の他の生体活性剤、または任意のプロドラッグ、コドラッグ、代謝体、類似体、相同体、同族体、誘導体、塩、及びそれらの組合せなどの、第2の薬剤を含む第2の組成物とともに含むことができる。他の実施形態では、製造品は、懸念される疾患の診断的、予防的、治療的、または改善的治療として組成物を用いるための説明書も含み得る。
【0114】
任意の理論または作用機序に限定することを意図するものではないが、本明細書に示された教示をさらに説明するために以下の実施例を提供する。当業者に企図されるいくつかのバリエーションがあること、及び本実施例が、特許請求の範囲を限定するものとみなされることを意図するものではないことが理解されるべきである。
【実施例】
【0115】
実施例1.約1.5:1から約3:1のAra:Gal及び約20Kダルトンから約60Kダルトンの平均分子量を有するキバナオウギの抽出物(「精製抽出物」またはEP011)の調製:
【0116】
精製抽出物は、20〜60キロダルトンのMW及び70〜90%のグルコース組成物を有する。
【0117】
精製抽出物を、内モンゴル自治区から入手したキバナオウギの根のチップから調製した。乾燥根(300kg)を、脱イオン水、次に限外濾過水で浄化して、チップへと加工した。汚染した表面の部分を取り除き、根を切って厚さ2〜5mmのチップにした。その後、このチップを滅菌して、乾燥させた。
【0118】
チップ(200kg)を、3トンの水性抽出器中、100℃で3時間、3回抽出した。得られた水性抽出物を合わせ、その後、減圧下60〜70℃で30〜40倍に濃縮した。得られた水抽出物を、70%エタノールで2回、35%エタノールで1回沈殿させた。エタノール沈殿物を水に溶解させ、噴霧乾燥させて、多糖中間体を生成させた。
【0119】
多糖中間体(3.0kg)を水に溶解させ、精密濾過し、限外濾過し、その後、まず陽イオン交換カラムで、次に陰イオン交換カラムで連続的に精製した。最終的な濃縮の前に、所望の溶出液を精密濾過し、限外濾過した。最後に、濃縮液をバルクで凍結乾燥させて、混合した後に精製抽出物を得た。
【0120】
精製抽出物は、グルカン、ラムノガラクツロナン(RG)、アラビノガラクタン(AG)の多糖類と、重量平均分子量が20,000〜60,000ダルトンのアラビノガラクタンタンパク質(AGP)の糖タンパク質とからなる。原薬は、無臭で、白色に近い非晶質粉末である。これは、pH4.5〜6.5の水や生理食塩水によく溶け、低濃度のエタノールにわずかに溶け、アセトンのような有機溶媒には溶けない。
【0121】
精製抽出物中に存在する多糖類及び糖タンパク質の構造を特徴解析し、TMS−GLCによるグリコシル残基組成と、GLC−MSのメチル化によるグリコシル結合組成と、H−NMRスペクトロスコピーと、AA分析装置によるアミノ酸組成と、サイズ排除HPLCによるMW分布の組合せにより解明した。糖組成分析によって決定された主要なグリコシル残基は、グルコシル(60〜85モル%)、アラビノシル(5〜20モル%)、及びガラクトシル(5〜15モル%)残基である。少量(2〜5モル%)のガラクツロン酸及びラムノースもこの生成物中に存在する。グリコシル結合分析は、グルコシル残基の主なグリコシル結合が、末端、4−、6−、及び4,6−結合であり、アラビノシル残基の主なグリコシル結合が、末端、5−、3−、及び3,5−結合であり、ガラクトシル残基の主なグリコシル結合が、末端、3−、6−、及び3,6−結合であり、ガラクツロン酸の主なグリコシル結合が4−結合であり、ラムノシル残基の主なグリコシル結合が2−結合であることを示している。アミノ酸組成分析は、この生成物中に存在する糖タンパク質が、Hyp、Asp、Thr、Ser、Glu、Pro、Gly、Ala、Val、及びLys残基に富むことを示した。
【0122】
精製抽出物の分析:
【0123】
グリコシル残基組成分析を表1に示す。精製抽出物中の多糖類は主に、グルコシル、アラビノシル、及びガラクトシル残基を含有する。ラムノース及びガラクツロン酸は、精製抽出物中にわずかな量しか存在しない。GLCによるper−O−トリメチルシリル化メチルグリコシドの分析により、精製抽出物のグリコシル残基組成を決定した。HP−5890ガスクロマトグラフを用いて、J&WサイエンティフィックDB−1カラム(0.25mm×30m)中で誘導体を分離した。
【0124】
【表1】

【0125】
表2に示すグリコシル結合組成、及び1H−nmrスペクトロメトリー分析に基づくと、この生成物中の主要な多糖は、骨格残基の6位に、ある程度の分岐を有する1,4−結合グルカンである。精製抽出物中に存在する他の多糖類は、互いに架橋しているアラビノガラクタン及びラムノガラクツロナンである。グリコシル結合をメチル化分析により決定した。MeSO中の試料をブチルリチウム及びヨードメタンでメチル化した。メチル化した試料をSepPak C18カートリッジを用いて精製し、ウロノシル残基のカルボキシメチル基を重水素化トリエチルホウ素リチウムで還元した。次に、部分メチル化アルドトールを調製し、HP 5971 MSD−5890 GLC(複合GLC−MS)で分析した。
【0126】
【表2】

【0127】
下記の表3に示すアミノ酸組成分析は、Hyp、Asp、Thr、Ser、Glu、Gly、Ala、及びLysが、精製抽出物中のタンパク質の主なアミノ酸残基であることを示している。精製抽出物のアミノ酸組成を、コラーゲン加水分解物分析法を用いて、ベックマン6300アミノ酸分析装置で分析した。試料を、110℃で24時間、6N HCLにより加水分解し、希釈した後、HPLCシステムに注入した。
【0128】
【表3】

【0129】
生成物の投与経路は注射によるものであるので、内毒素の除去は精製抽出物の生成に極めて重要である。この生成物の多糖類のいくつかは、内毒素LPSと構造が似ている。したがって、内毒素を製造期間中に取り除くよりもむしろ、最初からこのプロセスに入り込ませないことが重要である。
【0130】
実施例2.高収率、約3.5:1から約5.0:1のAra:Gal、及び約100Kダルトンを超える平均分子量を有するキバナオウギの抽出物(「高収率抽出物」またはEP011AM)の調製:
【0131】
より穏やかな酸条件を用いると、3.5を超えるAra:Gal比及び本明細書に示された精製抽出物または高分子量抽出物よりもはるかに多い収率の抽出物が得られる。いくつかの実施形態では、Ara:Gal比は、高収率の5.0未満に維持される。
【0132】
高収率抽出物を内モンゴル自治区から入手したキバナオウギの根のチップから調製した。根を、脱イオン水、次に限外濾過水で浄化して、チップへと加工した。汚染した表面の部分を取り除き、根を切って厚さ2〜5mmのチップにした。その後、このチップを滅菌して、乾燥させた。
【0133】
チップをまず、100℃、3時間の0.5M KHPO抽出で抽出し、次に、100℃の水で3時間抽出し、これを繰り返した。プールした抽出物を遠心分離し、限外濾過した。得られた溶液を濃縮し、まず35%エタノールで、次に80%エタノールで沈殿させた。この80%エタノール沈殿物を水に溶解させ、噴霧乾燥させて、粗抽出物を得た。
【0134】
粗抽出物をまずSP陽イオン交換クロマトグラフィーカラムに、次にQ陰イオン交換クロマトグラフィーカラムに通した。溶出液を限外濾過した。
【0135】
濃縮後、得られた溶出液を塩酸(濃度0.3M)を用いて22℃で、3時間加水分解した。中和、限外濾過及び凍結乾燥の後に、高収率抽出物が、粗抽出物ベースにして収率3.3%で得られる。
【0136】
高収率抽出物の分析:
【0137】
グリコシル残基組成をTMS−メチルグリコシド誘導体のGLCで決定した。Ara、Gal、GalA、及びGlcは原薬中の主な糖残基である。グリコシル残基組成の結果を下記の表4に示す。
【0138】
【表4】

【0139】
Ara:Gal比が4.35であることに留意されたい。タンパク質含有量をBCAタンパク質マイクロアッセイを用いて決定した。高収率抽出物のタンパク質含有量を下記の表5に示す。
【0140】
【表5】

【0141】
高収率抽出物のヒドロキシプロリン含有量を比色定量アッセイで決定した。これを下記の表6に示す。
【0142】
【表6】

【0143】
実施例3.より穏やかな酸条件で抽出することにより収率を増加させる:
【0144】
本実施例は、より穏やかな酸条件を用いて、有用な抽出物の収率を増加させることができることを示す。第1の抽出物を、0.5MのHCl、6時間の加水分解時間、22℃という条件を用いて生成させ、第1の抽出物の収率を、0.3MのHCl、3時間の加水分解時間、22℃というより穏やかな酸条件を用いて生成された第2の抽出物及び第3の抽出物の収率と比較する。表7は、より穏やかな条件を用いた場合の収率の実質的な増加を示す。
【0145】
【表7】

【0146】
実施例4.致死量に近い放射線照射を受けた哺乳動物に精製抽出物を投与することにより血小板レベルを増加させる:
【0147】
本実施例は、精製抽出物が致死線量に近いX線を受けた哺乳動物において血小板レベルを刺激することを示す。BALB/cマウスを本実験で用い、マウスの一部に致死線量に近い500cGyのX線を0日目に受けさせて、血小板レベルの減少及び血小板減少を引き起こした。血小板レベルを、(a)放射線照射または精製抽出物の投与のどちらも受けていない、正常マウス;(b)X線を受けると同時に、生理食塩水のみを腹腔内投与された対照マウス;(c)X線を受けると同時に、放射線照射の0日目から実験の14日目まで続けて、週5回の注射の割合で生理食塩水中250mg/kgの精製抽出物の注射を10回受けた実験マウス;及び(d)X線を受けると同時に、放射線照射の0日目から実験の25日目まで毎日続けて、100mg/kg/日の精製抽出物を投与された実験マウスで測定した。
【0148】
放射線照射の0日目から実験の14日目まで続けて、週5回の注射の割合で生理食塩水中250mg/kgの精製抽出物の皮下注射を10回受けたマウスでは、致死線量に近いX線によって、血小板レベルの減少(これは10日目に最初に測定された)が引き起こされた。対照群と放射線照射の0日目から実験の25日目まで続けて、100mg/kg/日の精製抽出物を投与された実験マウスとを比較した場合、精製抽出物は、14日目の血液中の血小板レベルの増加を示し、対照群と比べてEP011処理マウスの血液中に見られる低レベルの血小板の差は、14日目以降に増加し、25日目まで明白であり続けた。したがって、精製抽出物は、致死量に近い放射線照射を受けたマウスの血液中の血小板レベルを増加させ、放射線処理からの血小板レベルの回復を高めた。
【0149】
実施例5.致死量に近い放射線照射を受けた哺乳動物に、高収率抽出物を、単独で及び造血剤単独と比較して、投与することにより血小板レベルを増加させる:
【0150】
本実施例は、高収率抽出物が、致死線量に近い500cGyのX線を受けた哺乳動物において血小板レベルを刺激することを示す。BALB/cマウスを本実験で用い、マウスの一部に致死線量に近い500cGyのX線を0日目に受けさせた。血小板レベルを、(a)放射線照射または高収率抽出物の投与のどちらも受けていない、正常マウス;(b)X線を受けると同時に、生理食塩水のみを腹腔内投与された対照マウス;(c)X線を受けると同時に、生理食塩水中250mg/kgの高収率抽出物を投与された実験マウス;(d)X線を受けると同時に、100mg/kg/日の高収率抽出物を投与された実験マウス;(e)X線を受けると同時に、50mg/kg/日の高収率抽出物を投与された実験マウス;及び(f)X線を受けると同時に、G−CSF処理された実験マウスで測定した。高収率抽出物を、0日目から4日目までは毎日皮下投与し、その後、次の3週間は3回/週で、高収率抽出物を7日目から9日目と、14日目から16日目と、21日目から23日目に投与した。
【0151】
図1は、いくつかの実施形態に従って致死線量に近い放射線を投与した後の高収率抽出物に対するBALB/cマウスにおける血小板レベルの応答を示す。図1から分かるように、X線は、血小板レベルの減少を引き起こし、放射線照射した約10日後に血小板レベルの減少及び血小板減少を引き起こした。高収率抽出物による処理を、0日目から週5回の注射で、生理食塩水中250mg/kgの10回の注射として施した。高収率抽出物は、生理食塩水対照群よりも約3〜5日早く正常血小板数の50%を回復させるのに有効であり、したがって、この処理は、致死量に近い放射線照射を受けたマウスの血液中の血小板量を増加させ、放射線照射処理後の血小板回復を高めた。比較目的で、G−CSF(ニューポジェン)の効果を図1に示した。
【0152】
実施例6.化学療法を受けた哺乳動物に、高収率抽出物を、単独で及び造血剤と組み合わせて、投与することにより血小板レベルを増加させる:
【0153】
本実施例は、高収率抽出物の投与が血小板レベルの刺激によって化学療法からの回復を加速させ、したがって、化学療法によって引き起こされる血小板減少症を治療することを示す。
【0154】
血小板レベルを、(a)化学療法または高収率抽出物の投与のどちらも受けていない、正常マウス;(b)静注による化学療法を受けると同時に、生理食塩水のみの腹腔内投与を受けた対照マウス;(c)化学療法を受けると同時に、生理食塩水中200mg/kgの高収率抽出物を皮下投与された実験マウス;(d)化学療法を受けると同時に、生理食塩水中250mg/kg/日の高収率抽出物を皮下投与された実験マウス;(e)化学療法を受けると同時に、生理食塩水中400mg/kg/日の高収率抽出物を皮下投与された実験マウス;(f)化学療法を受けると同時に、生理食塩水中200μgのG−CSFを投与された実験マウス;及び(g)化学療法を受けると同時に、生理食塩水中250mg/kg/日の高収率抽出物の皮下投与と、生理食塩水中200μgのG−CSFの投与を受けた実験マウスで測定した。
【0155】
使用したマウスはBALB/cマウスであり、これに4mg/kgのマイトマイシンC(MMC)を2回(「−1」日目に1回と0日目に1回)静脈内注射した。マウスは、0日目から6日目まで7日間、250mg/kg/日の高収率抽出物の皮下注射を毎日受けた。
【0156】
図2は、いくつかの実施形態に従ってBALB/cマウスに注射した7日後のマイトマイシン誘導性の血小板減少を示す。生理食塩水のみで処理した対照マウスは、26日目の実験の最後までに、正常血小板数の60%、すなわち、約300×10/μLにまで回復したのに対し、高収率抽出物で処理した実験マウスは、約10日目までに正常血小板数の60%、及び約19日目までに正常血小板数の100%に達した(これらの場合、正常血小板数は約500×10/μLであった)。したがって、高収率抽出物は、化学療法誘導性の血小板減少において血小板回復を誘導した。
【0157】
高収率抽出物は、化学療法に曝露した後の血小板または巨核球の回復を加速させる。図2は、上記の化学療法及び抽出物量を用いた同様の結果を強調するものであるが、図示されていないデータにより、MMC処理が通常3日目に血小板数を減少させ、約10日目までに基礎血小板数レベルの25%という最下点に達することが示された。生理食塩水のみで処理した対照マウスは、24日目までに基礎血小板数レベルの約50%にまで回復したのに対し、200〜400mg/kg/日の高収率抽出物で処理した実験マウスは、10日目までに基礎血小板数レベルの約40〜50%にまで増加回復し、それ以後、血小板数を回復し続けた。400mg/kg/日の高収率抽出物で処理したマウスでは、血小板数は、21日目までに基礎血小板数レベルの100%に達したのに対し、生理食塩水のみを投与された対照マウスは、基礎血小板数レベルの約50%にとどまっていた。高収率抽出物によって、血小板減少の持続時間が、生理食塩水のみを投与された対照マウスでの6日から、高収率抽出物を投与された実験マウスでの0日に減った。
【0158】
図2では、G−CSF(ニューポジェン)を投与されたマウスは、生理食塩水中200μgのニューポジェンを0日目から7回注射されたか、生理食塩水中250mg/kgの高収率抽出物と200μgのニューポジェンを0日目から7回皮下注射されたかのいずれかである。結果は、高収率抽出物とニューポジェンとの組合せが、どちらかの単独処理を受けたマウスと比較した場合、血小板の回復を加速させ、この併用療法によって、10日目までに、正常な対照血小板レベルが速やかに得られたことを示す。特に興味深い発見は、高収率抽出物と併用療法が両方とも、G−CSF単独投与よりも優れていたことであり、このG−CSF単独投与では、26日目以降、実験の最後までに、正常な血小板レベルに達することができなかった。しかしながら、G−CSFと高収率抽出物との組合せでは、高収率抽出物の単独投与によるものよりも約9日早く正常な血小板数が得られた。
【0159】
したがって、化学療法誘導性の血小板減少を有する哺乳動物への高収率抽出物の投与は、少なくとも(1)200×10−9/L未満の血小板数として定義される、重度の血小板減少を消失させ、(2)血小板減少状態の血小板最下点の重症度を軽減し、(3)血小板減少状態の持続期間を短縮し、(4)血小板回復を用量依存的に加速させ、(5)G−CSFの共投与により血小板回復を顕著に高める。
【0160】
実施例7.致死量に近い放射線照射を受けた哺乳動物に高収率抽出物を投与することにより、白血球の産生を刺激する:
【0161】
本実施例は、高収率抽出物を用いて、骨髄機能または造血を抑制する放射線に曝露された哺乳動物において白血球の回復を刺激することができることを示す。したがって、この抽出物は、別の形で白血球レベルが低下して、哺乳動物が感染症に罹りやすくなることがある場合に役立つ可能性がある。
【0162】
本実施例は、高収率抽出物が致死線量に近いX線を受けた哺乳動物において白血球の回復を刺激することを示す。BALB/cマウスを本実験で用い、マウスの一部に致死線量に近い500cGyのX線を0日目に受けさせた。細胞数を、(a)放射線照射または高収率抽出物の投与のどちらも受けていない、正常マウス;(b)X線を受けると同時に、生理食塩水のみを腹腔内投与された対照マウス;(c)X線を受けると同時に、放射線照射の0日目から実験の14日目まで続けて、週5回の注射の割合で生理食塩水中250mg/kgの精製抽出物の注射を10回受けた実験マウス;及び(d)X線を受けると同時に、放射線照射の0日目から実験26日目まで続けて、生理食塩水中200μgのG−CSFを投与された実験マウスで測定した。
【0163】
図3は、いくつかの実施形態に従って高収率抽出物を投与した後の放射線照射BALB/cマウスにおける白血球の回復を示す。重度の白血球減少は放射線照射後7〜10日で見られ、その場合、マウスは約600〜1000/μlの白血球数を示した。高収率抽出物は、約21〜25日で白血球の回復を誘導し、生理食塩水のみで処理した対照マウスの白血球数は、実験の最後まで回復しなかった。白血球数の差は、高収率抽出物がリンパ球の回復も誘導することを示した。
【0164】
したがって、図3を図2と比較すると、高収率抽出物が、致死線量に近いX線を受けたBALB/cマウスにおいて、血小板数を増加させるだけでなく、白血球の回復を加速させ、白血球減少の持続期間を短縮することも分かる。
【0165】
実施例8.高収率抽出物と造血を刺激する薬剤とを共投与することにより、放射線誘導性の血小板減少に苦しんでいる哺乳動物における血小板回復を高める:
【0166】
本実施例は、高収率抽出物とG−CSFとの共投与が、致死量に近い放射線照射を受けたBALB/cマウスにおいて血小板産生を刺激することができることを示す。
【0167】
BALB/cマウスを本実験で用いた。マウスの一部に致死線量に近い500cGyのX線を0日目に受けさせた。血小板レベルを、(a)放射線照射または高収率抽出物の投与のどちらも受けていない、正常マウス;(b)X線を受けると同時に、生理食塩水のみを腹腔内投与された対照マウス;(c)X線を受けると同時に、放射線照射の0日目から7日間、生理食塩水中250mg/kg/日の高収率抽出物の皮下注射を毎日受けた実験マウス;(d)X線を受けると同時に、放射線照射の0日目から7日間、生理食塩水中250mg/kg/日の高収率抽出物と1μg/kgのG−CSFを毎日皮下に共注射された実験マウス;(f)X線を受けると同時に、放射線照射の0日目から7日間、生理食塩水中250mg/kg/日の高収率抽出物と100μg/kgのG−CSFを毎日皮下に共注射された実験マウスで測定した。
【0168】
図4は、いくつかの実施形態に従って高収率抽出物とG−CSFを共注射したときの放射線照射BALB/cマウスの血小板数の回復速度を示す。回復速度は、マウスに高収率抽出物と1μg/kgのG−CSFを共注射した場合と、高収率抽出物と100μg/kgのG−CSFを共注射した場合とで、ほぼ同じであった。両方の群において、マウスは、15日目までに正常血小板数の約50%にまで回復し、一方、高収率抽出物のみを投与されたマウスは、18日目までに正常血小板数の約50%にまで回復した。対照的に、対照マウスでは、正常血小板数の約50%に達するのに約22日目までかかった。
【0169】
実施例9.高収率抽出物と造血を刺激する薬剤とを共投与することにより、致死線量に近いX線による放射線照射を受けた哺乳動物における白血球回復を高める:
【0170】
本実施例は、高収率抽出物とG−CSFとの共投与が、致死量に近い放射線照射を受けたBALB/cマウスにおいて白血球産生を刺激することができることを示す。
【0171】
BALB/cマウスを本実験で用いた。マウスの一部に致死線量に近い500cGyのX線を0日目に受けさせた。血小板レベルを、(a)放射線照射または高収率抽出物の投与のどちらも受けていない、正常マウス;(b)X線を受けると同時に、生理食塩水のみを腹腔内投与された対照マウス;(c)X線を受けると同時に、放射線照射の0日目から実験の14日目まで続けて、週5回の注射の割合で生理食塩水中250mg/kgの高収率抽出物の注射を10回受けた実験マウス;(d)X線を受けると同時に、放射線照射の0日目から実験の14日目まで続けて、週5回の注射の割合で生理食塩水中250mg/kgの高収率抽出物と100μg/kgのG−CSFの皮下への共注射を10回受けた実験マウス;及び(e)X線を受けると同時に、放射線照射の0日目から実験の14日目まで続けて、週5回の注射の割合で生理食塩水中250mg/kgの高収率抽出物と1μg/kgのG−CSFの皮下への共注射を10回受けた実験マウスで測定した。
【0172】
図5は、いくつかの実施形態に従って高収率抽出物とG−CSFを共注射したときの放射線照射BALB/cマウスの白血球数の回復速度を示す。放射線は、白血球の著しい低下を引き起こした。高収率抽出物を単独で注射すると、ゆっくりとした速度の白血球回復が誘導された。また、図5には示していないが、回復速度は、マウスに高収率抽出物と100μg/kgのG−CSFを共注射した場合と、高収率抽出物と1μg/kgのG−CSFを共注射した場合とで、やはりほぼ同じであった。この共注射によって、15日目に正常白血球数の一時的な急増がもたらされたのに対し、高収率抽出物単独では、正常数の50%への回復が誘導された。18日目から実験の最後まで、共注射と高収率抽出物単独投与の間にほとんど差はなかった。両処理とも正常数の60%を示し、29日目までに正常数を完全に回復した。生理食塩水のみを投与された対照マウスは、29日目に正常白血球数の40%を示した。
【0173】
実施例10.台湾でのITP患者の治療:
【0174】
2つの並行研究群を用いた現在進行中の非盲検多施設用量設定試験でヒトを治療するために、本明細書に示される精製抽出物を用いた。この抽出物を用いた治療の安全性と有効性を、慢性特発性血小板減少症を有する対象で評価した。本試験は、台湾有数の2つの医療施設で行なわれた。
【0175】
図6は、台湾での臨床試験のフローチャートを示す。この臨床試験では、米国血液学会(ASH)のガイドラインに従って、患者が慢性特発性血小板減少症を有すると診断された。図6に示すように、ASHガイドラインは、選択/除外基準を用いた少なくとも6カ月間のスクリーニング605を含む。また、6週間の研究期間中、全ての患者に、本研究の前に設定されていたコルチコステロイドまたは他の治療薬を服用させた。本研究はさらに、4つの研究群のうちの1つへの患者の無作為割当て610を含んだ。
【0176】
本研究はさらに、最初の2週間の、2つのレジメンのうちの1つによる精製抽出物の投与615を含んだ。(レジメン1)週に連続5日、約3時間(2.5〜3.5時間)、抽出物500mgをIV注入;または(レジメン2)週に3日、約3時間(2.5〜3.5時間)、抽出物500mgをIV注入。次の工程は、応答の評価620を含んだ。(1)患者の血小板数が、15日目までに75×10/L以上に改善するが、450×10/L未満である場合、治療は、次の2週間の抽出物の投与中止620を含み、(2)患者の血小板数が、15日目までに75×10/L以上に改善しないが、450×10/L未満である場合、治療は、さらに2週間続けられる抽出物の投与の継続を含んだ。
【0177】
研究の第5週目と第6週目に、抽出物の不投与625のまま、患者を経過観察した。研究期間中のどの時点であっても、血小板数が450×10/L以上に上昇した場合は、患者にそれ以上抽出物を投与することを止め、患者を研究の終了630までモニタリングした。重度の出血の場合、IVIG、ステロイドまたは血小板輸血を含むように救援治療が設計され、使用され、記録された。非ITP関連の医学的状態に必要と思われる他の治療が認められた。
【0178】
本研究結果に基づくと、抽出物は、ITP患者で血小板数を増加させるのに安全でかつ有効であるように思われる。
【0179】
実施例11.中国でのITP患者の治療:
【0180】
精製抽出物を、中国での慢性難治性ITP症例の研究に用いた。患者は、数年来ITPと診断されており、脾臓摘出を含めて有効な治療がなかった。患者は、数年間、血小板数を維持するためにプレドニゾロンまたはトリアムシノロンによる治療を受け、数回の出血事象が記録された。治療期間の最後に、患者は、2週間毎日、抽出物(250mg/日)と組み合わせたトリアムシノロンによる治療を受けた。表8に示すように、2週間の治療の後、患者の血小板数は、44×10/Lから110×10/Lにまで回復した。
【0181】
【表8】

【0182】
この結果は、従来のステロイド療法の使用をはるかに上回る回復を示し、抽出物の投与後3カ月を超えた持続的な効果も示した。血小板数が正常に近づいた場合に、さらに2週間、抽出物の追加投与を施した。次の3カ月間は、この抽出物が、血小板数の増えすぎに対する制御として自己フィードバック機構を働かせるように思われるので、血小板数が増えすぎることはなかった。これは重要なことである。
【0183】
実施例11.ITP患者の治療−個別研究:
【0184】
本研究の目的は、慢性特発性血小板減少症(ITP)を有する個々の患者における精製抽出物の有効性と安全性を評価することにあり、患者には、維持ITP治療を受けて6カ月以上この状態を有する患者が含まれた。本研究は、2つの研究コホートを用いた、非盲検無作為化研究であった。主要評価項目は血小板数応答であった。
【0185】
ある女性患者(R01001)は、10年余り前からITPであると診断され、プレドニゾロン(10mg QD)を用いて治療されていた。この患者に精製抽出物を5日/週で4週間投与した。結果を表9に示す。
【0186】
【表9】

【0187】
精製抽出物による治療後、治療に対する応答を示すものとして、血小板数がベースラインの2倍になり、23,000にまで回復したことが評価されるべきである。有害事象は発生しなかった。
【0188】
46歳のある女性患者(R02001)は、5年余り前からITPであると診断され、プレドニゾロン(20mg QD)を用いて治療されていた。この患者に精製抽出物を5日/週で3週間投与した。結果を表10に示す。
【0189】
【表10】

【0190】
精製抽出物による治療後、血小板数が11,000にまで回復したことが評価されるべきである。有害事象は発生しなかった。
【0191】
61歳のある男性患者(R01002)は、10年余り前からITPであると診断され、プレドニゾロン(10mg QD)を用いて治療されていた。この患者に精製抽出物を3日/週で2週間投与した。結果を表11に示す。
【0192】
【表11】

【0193】
精製抽出物による治療後、治療に対する応答を示すものとして、血小板数が37,000から84,000にまで回復したことが評価されるべきである。有害事象は発生しなかった。
【0194】
最後に、60歳のある女性患者(R02002)は、約4年前にITPであると診断され、プレドニゾロン(15mg QD)を用いて治療されていた。この患者に精製抽出物を3日/週で3週間投与した(治療は現在進行中である)。結果を表11に示す。
【0195】
【表12】

【0196】
精製抽出物による治療後、治療に対する応答を示すものとして、血小板数が8,000から54,000にまで回復したことが評価される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キバナオウギ(Astragalus membranaceus)の高収率抽出物を含む組成物であって、その抽出物が、
約3.5:1を超えるアラビノース:ガラクトース比;
約5%から約10%のラムノース;
約15%から約20%のガラクトース;
約10%から約20%のガラクツロン酸;
約10%から約15%のグルコース;を含み、
高収率抽出物が、キバナオウギから粗抽出物を単離することと、粗抽出物を酸で穏やかに処理することとを含む第1のプロセスを用いて調製され、その穏やかに処理することが、約0.05Mから約0.5Mの濃度で、約15℃から25℃の温度で、約1時間から約24時間の間、酸を粗抽出物に適用することを含み、酸を適用する温度及び時間が、前記のアラビノース:ガラクトース比、ガラクトース含有量、グルコース含有量、及び高収率を得るように選択され、かつ、
高収率が、3.5:1未満のアラビノース:ガラクトース比、20%から35%のガラクトース、及び約10%未満のグルコースを得るように選択される温度及び時間で、酸を粗抽出物に適用することを含む第2のプロセスを用いて生成されるキバナオウギの抽出物の収率よりも実質的に高い
ことを特徴とする組成物。
【請求項2】
抽出物が、キバナオウギの根から単離されたものである
請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
キバナオウギが、マメ科ナイモウオウギ(A.membranaceus Bge.var.mongholicus(Bge.)Hsiao)またはマメ科キバナオウギ(A.membranaceus(Fisch.)Bge)である
請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
キバナオウギが、中華人民共和国の内モンゴル自治区または山西省で生育したものである
請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
根が、約2年もののキバナオウギ植物に由来するものである
請求項2に記載の組成物。
【請求項6】
少なくとも100キロダルトンの重量平均分子量を有する
請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
少なくとも80重量%の炭水化物と2重量%以下のタンパク質とを有する
請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
約4.0:1から約5.0:1のアラビノース:ガラクトース比を有する
請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
酸が、トリクロロ酢酸または塩酸である
請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
水溶液中、約4.5から約6.5のpHを有する
請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
造血を刺激する薬剤を含む
請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
顆粒球コロニー刺激因子、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子、エリスロポエチン及び赤血球生成促進因子、トロンボポエチン、インターロイキン−3、及びそれらの誘導体からなる群から選択される薬剤を含む
請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
治療的有効量の請求項1に記載の組成物と水性注射用賦形剤とを含む
ことを特徴とする水性注射用製剤。
【請求項14】
キバナオウギの抽出物を含む組成物であって、その抽出物が、
約1.5:1から約3:1のアラビノース:ガラクトース比;
約5%から約15%のアラビノース;
約1.5%未満のラムノース;
約3%から約7%のガラクトース;
約4%未満のガラクツロン酸;
約70%から約90%のグルコース;を含む
ことを特徴とする組成物。
【請求項15】
抽出物が、キバナオウギの根から単離されたものである
請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
キバナオウギが、マメ科ナイモウオウギまたはマメ科キバナオウギである
請求項14に記載の組成物。
【請求項17】
キバナオウギが、中華人民共和国の内モンゴル自治区または山西省で生育したものである
請求項14に記載の組成物。
【請求項18】
根が、約2年もののキバナオウギ植物に由来するものである
請求項15に記載の組成物。
【請求項19】
約20キロダルトンから約60キロダルトンの重量平均分子量を有する
請求項14に記載の組成物。
【請求項20】
水溶液中、約4.5から約6.5のpHを有する
請求項14に記載の組成物。
【請求項21】
造血を刺激する薬剤を含む
請求項14に記載の組成物。
【請求項22】
顆粒球コロニー刺激因子、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子、エリスロポエチン及び赤血球生成促進因子、トロンボポエチン、インターロイキン−3、及びそれらの誘導体からなる群から選択される薬剤を含む
請求項14に記載の組成物。
【請求項23】
哺乳動物の造血系を刺激する方法であって、哺乳動物に有効量の請求項1に記載の組成物を投与することを含む
ことを特徴とする方法。
【請求項24】
刺激することが血小板数を増加させることを含む
請求項23に記載の方法。
【請求項25】
刺激することが白血球数を増加させることを含む
請求項23に記載の方法。
【請求項26】
刺激することがリンパ球数を増加させることを含む
請求項23に記載の方法。
【請求項27】
第2の活性剤の共投与をさらに含む
請求項23に記載の方法。
【請求項28】
第2の活性剤が造血剤である
請求項27に記載の方法。
【請求項29】
第2の活性剤が、顆粒球コロニー刺激因子、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子、エリスロポエチン及び赤血球生成促進因子、トロンボポエチン、インターロイキン−3、及びそれらの誘導体からなる群から選択される
請求項27に記載の方法。
【請求項30】
第2の活性剤が顆粒球コロニー刺激因子である
請求項27に記載の方法。
【請求項31】
哺乳動物がヒトである
請求項23に記載の方法。
【請求項32】
ヒトが骨髄抑制を受けている
請求項31に記載の方法。
【請求項33】
骨髄抑制が化学療法または放射線療法の結果である
請求項32に記載の方法。
【請求項34】
哺乳動物の造血系を刺激する方法であって、哺乳動物に有効量の請求項14に記載の組成物を投与することを含む
ことを特徴とする方法。
【請求項35】
刺激することが血小板数を増加させることを含む
請求項34に記載の方法。
【請求項36】
刺激することが白血球数を増加させることを含む
請求項34に記載の方法。
【請求項37】
刺激することがリンパ球数を増加させることを含む
請求項34に記載の方法。
【請求項38】
第2の活性剤の共投与を含む
請求項34に記載の方法。
【請求項39】
第2の活性剤が造血剤である
請求項38に記載の方法。
【請求項40】
第2の活性剤が、顆粒球コロニー刺激因子、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子、エリスロポエチン及び赤血球生成促進因子、トロンボポエチン、インターロイキン−3、及びそれらの誘導体からなる群から選択される
請求項38に記載の方法。
【請求項41】
第2の活性剤が顆粒球コロニー刺激因子である
請求項38に記載の方法。
【請求項42】
哺乳動物がヒトである
請求項34に記載の方法。
【請求項43】
ヒトが骨髄抑制を受けている
請求項42に記載の方法。
【請求項44】
骨髄抑制が化学療法または放射線療法の結果である
請求項43に記載の方法。
【請求項45】
キバナオウギから抽出されたアラビノガラクタンタンパク質組成物を調製する方法であって、
粗抽出物をキバナオウギから単離することと、粗抽出物を酸で穏やかに処理することとを含み;
穏やかに処理することが、約0.05Mから約0.5Mの濃度で、約15℃から25℃の温度で、約1時間から約24時間の間、酸を粗抽出物に適用することを含み、酸を適用する温度及び時間が、約3.5:1を超えるアラビノース:ガラクトース比;約5%から約10%のラムノース;約15%から約20%のガラクトース;約10%から約20%のガラクツロン酸;約10%から約15%のグルコース;及び高収率を得るように選択され、
高収率が、3.5:1未満のアラビノース:ガラクトース比、20%から35%のガラクトース、及び約10%未満のグルコースを得るように選択される温度及び時間で、酸を前記粗抽出物に適用することを含む第2のプロセスを用いて生成されるキバナオウギの抽出物の収率よりも実質的に高い
ことを特徴とする方法。
【請求項46】
アラビノース:ガラクトース比を約4.0:1から約5.0:1の範囲内にまで低下させる
請求項45に記載の方法。
【請求項47】
アラビノース:ガラクトース比を約3.75:1から約4.5:1の範囲内にまで低下させる
請求項45に記載の方法。
【請求項48】
特発性血小板減少性紫斑病を治療する方法であって、キバナオウギから抽出された有効量のアラビノガラクタンタンパク質組成物を、特発性血小板減少性紫斑病を有する対象に投与することを含む
ことを特徴とする方法。
【請求項49】
酸修飾されたアラビノガラクタンタンパク質組成物を第2の活性剤と組み合わせて投与する
請求項48に記載の方法。
【請求項50】
第2の活性剤が、顆粒球コロニー刺激因子、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子、エリスロポエチン及び赤血球生成促進因子、トロンボポエチン、インターロイキン−3、及びそれらの誘導体からなる群から選択される
請求項49に記載の方法。
【請求項51】
第2の活性剤が顆粒球コロニー刺激因子である
請求項49に記載の方法。
【請求項52】
アラビノガラクタンタンパク質組成物が少なくとも100キロダルトンの重量平均分子量を有する
請求項48に記載の方法。
【請求項53】
アラビノガラクタンタンパク質組成物が、
約1.5:1から約3:1のアラビノース:ガラクトース比;
約5%から約15%のアラビノース;
約1.5%未満のラムノース;
約3%から約7%のガラクトース;
約4%未満のガラクツロン酸;
約70%から約90%のグルコース;を含むように精製されている
請求項48に記載の方法。
【請求項54】
アラビノガラクタンタンパク質組成物が約20キロダルトンから約60キロダルトンの重量平均分子量を有する
請求項53に記載の方法。
【請求項55】
酸修飾されたアラビノガラクタンタンパク質組成物を第2の活性剤と組み合わせて投与する
請求項53に記載の方法。
【請求項56】
第2の活性剤が、顆粒球コロニー刺激因子、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子、エリスロポエチン及び赤血球生成促進因子、トロンボポエチン、インターロイキン−3、及びそれらの誘導体からなる群から選択される
請求項55に記載の方法。
【請求項57】
第2の活性剤が顆粒球コロニー刺激因子である
請求項55に記載の方法。
【請求項58】
アラビノガラクタンタンパク質組成物が、
約2.0:1超から約4.0:1超のアラビノース:ガラクトース比;
約5%から約15%のアラビノース;
約2%から約4.0%のラムノース;
約8%から約25%のガラクトース;
約5%から約25%のグルコース;を含むように精製されている
請求項48に記載の方法。
【請求項59】
アラビノガラクタンタンパク質組成物が約100キロダルトンを超える重量平均分子量を有する
請求項58に記載の方法。
【請求項60】
酸修飾されたアラビノガラクタンタンパク質組成物を第2の活性剤と組み合わせて投与する
請求項58に記載の方法。
【請求項61】
第2の活性剤が、顆粒球コロニー刺激因子、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子、エリスロポエチン及び赤血球生成促進因子、トロンボポエチン、インターロイキン−3、及びそれらの誘導体からなる群から選択される
請求項60に記載の方法。
【請求項62】
第2の活性剤が顆粒球コロニー刺激因子である
請求項60に記載の方法。
【請求項63】
アラビノガラクタンタンパク質組成物が、
約3.5:1を超えるアラビノース:ガラクトース比;
約5%から約10%のラムノース;
約15%から約20%のガラクトース;
約10%から約20%のガラクツロン酸;
約10%から約15%のグルコース;を含むように酸で修飾されている
請求項48に記載の方法。
【請求項64】
酸修飾されたアラビノガラクタンタンパク質が約4.0:1から約4.5:1のアラビノース:ガラクトース比を有する
請求項63に記載の方法。
【請求項65】
酸修飾されたアラビノガラクタンタンパク質が約100キロダルトンを超える分子量を有する
請求項63に記載の方法。
【請求項66】
酸修飾されたアラビノガラクタンタンパク質組成物を第2の活性剤と組み合わせて投与する
請求項63に記載の方法。
【請求項67】
第2の活性剤が、顆粒球コロニー刺激因子、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子、エリスロポエチン及び赤血球生成促進因子、トロンボポエチン、インターロイキン−3、及びそれらの誘導体からなる群から選択される
請求項66に記載の方法。
【請求項68】
第2の活性剤が顆粒球コロニー刺激因子である
請求項66に記載の方法。
【請求項69】
キバナオウギの高収率抽出物を含む組成物であって、その抽出物が、
約3.5:1を超えるアラビノース:ガラクトース比;
約5%から約10%のラムノース;
約15%から約20%のガラクトース;
約10%から約20%のガラクツロン酸;
約10%から約15%のグルコース;を含む
ことを特徴とする組成物。
【請求項70】
組成物が、治療的有効量で医薬品を投与することにより哺乳動物における特発性血小板減少性紫斑病を治療する医薬品の製造に用いられる
請求項69に記載の組成物。
【請求項71】
組成物が、治療的有効量で医薬品を投与することにより哺乳動物における特発性血小板減少性紫斑病を治療する医薬品の製造に用いられる
請求項14に記載の組成物。
【請求項72】
組成物が、治療的有効量で医薬品を投与することにより哺乳動物における特発性血小板減少性紫斑病を治療する医薬品の製造に用いられる
請求項69に記載の組成物。
【請求項73】
キバナオウギの高分子量抽出物を含む組成物であって、
その抽出物が、
約2.0:1超から約4.0:1超のアラビノース:ガラクトース比;
約5%から約15%のアラビノース;
約2%から約4.0%のラムノース;
約8%から約25%のガラクトース;
約5%から約25%のグルコース;を含み、
組成物が、治療的有効量で前記医薬品を投与することにより、哺乳動物における特発性血小板減少性紫斑病を治療するための医薬品の製造に用いられる
ことを特徴とする組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2012−512176(P2012−512176A)
【公表日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−540971(P2011−540971)
【出願日】平成21年12月15日(2009.12.15)
【国際出願番号】PCT/US2009/068062
【国際公開番号】WO2010/077867
【国際公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【出願人】(511131893)エコファーム、エルエルシー (1)
【氏名又は名称原語表記】ECOPHARM,LLC
【住所又は居所原語表記】303 Twin Dolphin Drive,Suite 600,Redwood City,CA 94065 United States of America
【Fターム(参考)】