説明

キメラタンパク質およびその使用

本発明は、TNF/NGFファミリーのレセプターのリガンドを異常に高レベルで発現している細胞を殺すか、または改変できるキメラタンパク質であって、該レセプターの細胞外部分からなる少なくとも1つのポリペプチドのアミノ酸配列を含み、エフェクター分子に結合されたキメラタンパク質を提供する。さらに本発明は、前記キメラタンパク質を含有する医薬組成物およびその使用を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エフェクター分子を、TNF/NGFファミリーのリガンドを発現している細胞に特異的に送達し、それによって前記細胞を選択的に殺すか、または改変するための、組成物および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
サイトカイン類は、通常防御を増強するために働く。しかしながら、過剰に働いた場合、これらは、大きな障害を引き起こし得、これは、病原体が引き起こし得るものに勝るとも劣らない。事実、多くの疾患において、サイトカインの好まれない効果が、主要な病原となる。
【0003】
TNFファミリーのサイトカインは、先天性型および獲得性型両方の、広い範囲の異なる免疫防御機構を調節する。TNF(Genbank ID X01393)、Fasリガンド(TNFSF6、Genbank ID U11821)、CD40リガンド(TNFSF5、Genbank ID X67878)などを含む、数種のサイトカイン類の過剰な機能が、種々の疾患の病因に関連してきた。特に、広範囲の疾患:マラリアおよび敗血症のような感染疾患、リウマチ関節のような自己免疫疾患、炎症性腸疾患および乾癬、および特定の癌において、TNFの主要な病因的役割が広範囲に証明されている。事実、抗−TNF抗体または可溶性TNFレセプターのような手段によって、TNF活性を阻害することによって、このような状態における治療が提供されることがわかった[1][2][3]。関節リウマチおよびクローン病を含むいくつかの病的状態において、多くの有意な割合の患者が、抗−TNF治療に好ましく応答する。しかしながら、これらの方法にはほとんど反応しないような疾患の患者も存在し、治療に対する追加的なアプローチを定義する必要が提起される[4]。
【0004】
サイトカイン−産生細胞によるそれらの分泌に続いて、可溶性タンパク質として単独で働く多くの他のサイトカインとは違い、TNFファミリーのリガンドは(可溶性分泌タンパク質として産生される、リンホトキシン(LTA、Genbank ID X01393)を除いて)、細胞−結合II型膜貫通タンパク質として産生される。これらは、その形態で効果を発揮することができ、リガンド産生細胞に隣接して局在する細胞にのみ影響を与える(ジャクスタクリン調節)。これらの多くは、循環する可溶性分子を形成し流動している。たとえばTNFなど、これらの可溶性リガンドの一部は、可溶性サイトカインとして働き、パラクリン調節物(リガンド産生細胞に比較的近く局在する細胞に影響を与える)およびエンドクリン調節物(遠くの細胞に影響を与える)として働く能力がある。TNFファミリーの他のリガンド、たとえばFasリガンドは、その流動形態(shed form)では効果的に働かず、この形態では、まさに細胞結合形態に対するアンタゴニストとして働き得る[5][6]。
【0005】
産生細胞の表面上での、TNFファミリーのリガンドの存在によって、これらのリガンド産生細胞を特異的に標的化するための潜在的な方法が提供される。そのような方法によって、リガンドが病原的な役割を果たす状況にて、リガンド産生細胞の選択的な抑制または削除さえ可能になり得る。
【0006】
いくつかの観点において、サイトカインを産生する細胞の破壊が、サイトカイン分子の機能の正に直接の抑制よりも、このサイトカインの病原性の効果に対するよい防御を提供するようになり得る。
【0007】
サイトカイン−産生細胞の崩壊により、サイトカインのさらなる合成が防止され、したがって、すでに合成されたサイトカイン分子の効果をただ抑制することによって得られたものよりも、より耐久性のある保護が提供され得る。
【0008】
サイトカインを産生する細胞はしばしば、特定の型の免疫応答を引き出すために一緒に働く他のサイトカインを同時に産生する。よく知られている例は、それぞれ、異なる型の免疫防御を引き出すために働く、異なる群のサイトカインを産生するリンパ球である、Th1−およびTh2型Tリンパ球がある[7]。サイトカインを産生している細胞を破壊することによって、したがって、特定のサイトカインの合成の停止に加えて、その病原性効果において、前者を補助する種々の他のサイトカインの合成も停止させることになる。
【0009】
循環サイトカインの抑制が全身に影響を与える一方、サイトカイン−産生細胞を殺すことは、これらの細胞が存在する体の特定の場所に制限可能であり、したがって、他の場所でのサイトカインの利益ある効果を維持する一方で、特定の部位での、サイトカインの有害な効果が避けられる。
【0010】
クローン病における、抗−TNF治療の効果の研究によって、TNF−産生細胞を殺すことによって、いくつかの病的状況において実際に、単にTNFを阻害することによって得られるよりも、効果的な治療が提供され得ることが示唆されている。この疾患における、抗−TNF抗体の治療効果が、抗体によるTNF−産生細胞の死の早期誘導と相関することがわかった[8][9][10]。したがって、TNF、またはTNFファミリーの他のリガンドを産生する細胞の効果的かつ選択的標的化のための方法を設計する必要がある。
【0011】
細胞表面構成物に結合する標的化分子に連結したサイトトキシンが、強力な細胞殺傷試薬として機能し得る。細胞型特異的表面構成物を認識する標的化部位を選択することによって、インビボにおける特定の細胞の選択的破壊に対して、そのような細胞毒性キメラを適用することが可能である。たとえば、シュードモナスエクソトキシン(PE)またはジフテリア毒素(DT)に融合した癌特異的エピトープに対する抗体からなる融合タンパク質が、癌細胞を特異的に標的化し、殺すことが可能である。毒素が、そのレセプターが特定の腫瘍にて現れる、IL2、IL4またはIL13のようなリガンドまたはホルモンに融合したキメラでも、そのような抗癌効果が得られてきた。同様に、サイトトキシン−含有キメラが、病原体被災細胞に対して標的化されるように設計された。たとえば、HIV−感染細胞を、シュードモナスエクソトキシンに結合した、gp120の保存CD4結合部位に指向する抗−gp120またはCD4からなる免疫毒素を用いて、選択的に破壊することができる[11][12][13]。
【0012】
TNFファミリーのリガンドを発現する細胞に対して、サイトトキシン類または他の調節薬剤を標的化するための可能性ある方法の1つの種類は、これらのリガンドに対する抗体である。実際、CD40リガンドに対する抗体が、CD40リガンド産生細胞に対して毒素を標的化するために適用された(欧州特許第1005372号)。しかしながら、特定のリガンドに対して産生された抗体の一部分のみが、このリガンドの、そしてこれらの細胞結合形態に対して効果的に結合するのみであり、一旦これらがリガンドに結合したならば、一部分のみがレセプター分子(可溶性または細胞関連)と競合可能であり得る。そのような抗体のスクリーニングは、大規模な試みと期間が必要であり得る。通常マウスである抗体の他の不利な点は、これらが、患者における免疫応答を喚起することである。
【0013】
したがって、TNFファミリーのリガンドを産生する細胞を効果的に標的化可能であるタンパク質の産生のための、一般的なアプローチを定義することが望ましい。
【発明の開示】
【0014】
本発明は、異常に高レベルのTNF/NGFファミリーのレセプターのリガンドを発現している細胞を殺すこと、または改変することが可能なキメラタンパク質であって、該レセプターの細胞外部分からなる少なくとも1つのポリペプチドのアミノ酸配列を含むキメラタンパク質、またはそのムテイン、融合タンパク質、機能的誘導体、円順列誘導体または活性画分に関し、該ポリペプチドは、エフェクター分子に連結されている。
【0015】
本発明の1つの実施様態において、前記キメラタンパク質のポリペプチドは、TNFレセプター、CD27、CD30、CD40およびFasの細胞外部分からなる。
【0016】
本発明の他の実施様態において、キメラタンパク質のポリペプチドは、TNF結合タンパク質−1(TBPI)のような、p55 TNFレセプターの細胞外部分からなる。
【0017】
本発明の1つの観点において、キメラタンパク質中のエフェクター分子は、シュードモナスエクソトキシン、ジフテリア毒素、リシン、アブリン、ヤマゴボウ抗ウイルスタンパク質、サポリンおよびゲロニン、またはこれらの断片のような細胞傷害性分子である。
【0018】
本発明の1つの観点において、キメラタンパク質中のエフェクター分子は、配列番号:3のアミノ酸配列に相当する、本明細書でPEと呼ばれる断片のような、シュードモナスエクソトキシンの断片である。
【0019】
さらなる実施様態において、本発明は、本明細書でTBP−PEとして記述される、配列番号:2のアミノ酸配列を持つキメラタンパク質、または変異導入体、融合タンパク質、機能的誘導体、円順列誘導体、その活性断片または塩を提供する。
【0020】
本発明の1つの観点において、キメラタンパク質中のエフェクター分子は、蛍光組成物、放射活性組成物、Bax、Bakのような、哺乳動物細胞死タンパク質、DNA断片化因子40、シクロスポリン含有リポソーム、免疫抑制サイトカインのようなサイトカイン、増殖因子、腫瘍細胞抗原に特異的であり得る抗体、またはBclx、CAD−タンパク質、カスパーゼ、IkBのような細胞内調節タンパク質である。
【0021】
1つの実施様態において、本発明は、本発明のキメラタンパク質をコードする単離DNA配列、たとえば、配列番号:1のヌクレオチド配列、TBP−PEまたはそのムテイン、融合タンパク質、機能的誘導体、円順列誘導体または活性画分をコードするDNAを提供し、任意に、前記単離DNAはさらに、真核細胞中での分泌のための、シグナルペプチドをコードする。
【0022】
さらなる実施様態において、本発明は、前記DNA配列を含む発現ベクターを提供する。
【0023】
また他の実施様態において、本発明は、そのような前記発現ベクターを含む宿主細胞を提供する。宿主細胞は、たとえば、HeLa、CHO、HEK293、THPI、酵母および昆虫細胞のような、真核細胞または原核細胞であり得る。
【0024】
1つの観点において、本発明は、前記発現ベクターを含む前記宿主細胞を培養すること、および産生されたキメラタンパク質を単離すること、を含む、TBP−PEのようなキメラタンパク質、またはそのムテイン、融合タンパク質、機能的誘導体、円順列誘導体または活性画分を産生するための方法を提供する。
【0025】
他の観点において、本発明は、TBP−PEのような本発明のキメラタンパク質、またはそのムテイン、融合タンパク質、機能的誘導体、円順列誘導体、活性画分または塩と、薬学的に許容され得る担体を含む医薬組成物に関する。
【0026】
さらなる観点において、本発明は、共に本発明のキメラタンパク質をコードする前記DNAまたは前記ベクターと、薬学的に許容され得る担体を含む医薬組成物に関する。
【0027】
1つの実施様態において、本発明は、疾患の治療のための医薬品の製造における、TBP−PEのような本発明のキメラタンパク質、またはそのムテイン、融合タンパク質、機能的誘導体、円順列誘導体、活性画分または塩の使用に関する。
【0028】
1つの実施様態において、キメラタンパク質を自己免疫疾患において使用する。
【0029】
本発明の他の実施様態において、キメラタンパク質を、TNFのような、TNF/NGFファミリーのレセプターのリガンドが、疾患、たとえば、敗血性ショック、移植片対宿主疾患、マラリア、感染性肝炎および結核のような急性疾患、または慢性移植片対宿主疾患、関節リウマチ、若年性糖尿病、癌関連悪液質、炎症性腸疾患(IBD)および乾癬のような慢性疾患の発病および/または経過に関与する疾患において使用する。
【0030】
本発明のまた他の実施様態において、キメラタンパク質を癌にて使用し、前記キメラタンパク質が、癌細胞によって発現されたTNF/NGFファミリーのレセプターのリガンドに結合する。たとえば、TNFレセプターの細胞外部分を含むキメラタンパク質を、TNFを発現している乳癌のような上皮由来の癌で使用可能である。
【0031】
また他の実施様態において、本発明はまた、キメラタンパク質が結合するリガンドを発現している有害な細胞を殺すための、自己移植前に癌患者の幹細胞を治療するための、医薬品の製造における、本発明のキメラタンパク質の使用に関する。たとえば、キメラタンパク質を、幹細胞の採取の前に患者に投与してよく、または患者より取り出した細胞を、移植の前に治療するために使用してよい。
【0032】
また他の実施様態において、本発明は、TNFを発現している上皮細胞が、疾患の発病および/または経過に関与する疾患の治療のための医薬品の製造における、TBP−PE、またはそのムテイン、融合タンパク質、機能的誘導体、円順列誘導体、活性画分または塩の使用に関する。たとえば、乳癌、移植片対宿主疾患(GVH)、乾癬、およびクローン病または潰瘍性大腸炎のような炎症性腸疾患(IBDs)においてである。
【0033】
1つの観点において、本発明は、必要としている対象に、治療的に有効量のTBP−PEのような本発明のキメラタンパク質、またはそのムテイン、融合タンパク質、機能的誘導体、円順列誘導体、活性画分または塩を投与することを含む自己免疫疾患の治療方法を提供する。
【0034】
他の観点において、本発明は、必要としている対象に、治療的に有効量のTBP−PEのような本発明のキメラタンパク質、またはそのムテイン、融合タンパク質、機能的誘導体、円順列誘導体、活性画分または塩を投与することを含む、TNF/NGFファミリーのレセプターのリガンド、たとえばTNFの活性が、前記疾患の発病または経過に関与する疾患の治療方法を提供する。たとえば、TNFは、以下の疾患の発病および/または経過に関与する。敗血性ショック、移植片対宿主疾患、マラリア、感染性肝炎および結核のような急性疾患、または、慢性移植片対宿主疾患、関節リウマチ、若年性糖尿病、癌関連悪液質、炎症性腸疾患(IBD)および乾癬のような慢性疾患。
【0035】
1つの実施様態において、本発明は、必要としている対象に、治療的に有効量のTBP−PEのような本発明のキメラタンパク質、またはそのムテイン、融合タンパク質、機能的誘導体、円順列誘導体、活性画分または塩を投与することを含む、癌細胞が、TNF/NGFファミリーのレセプターのリガンド、たとえばTNFを発現しているような、癌の治療方法を提供する。
【0036】
本発明のさらなる実施様態において、前記癌は上皮由来であり、たとえば乳癌である。
【0037】
他の実施様態において、本発明は、必要としている対象に、治療的に有効量の本発明のキメラタンパク質を投与することを含む、自己移植の前に、TNFを発現している有害な骨髄細胞を殺すための方法に関する。たとえば、キメラタンパク質を、骨髄細胞の採取の前に必要としている対象に投与してよい。
【0038】
また他の実施様態において、本発明は、必要としている対象に、治療的に有効量のTBP−PE、またはそのムテイン、融合タンパク質、機能的誘導体、円順列誘導体、活性画分または塩を投与することを含む、TNFを発現している上皮細胞が、前記疾患の発病および/または経過に関与する、乳癌、移植片−対−宿主疾患、乾癬および炎症性腸疾患のような疾患の治療方法を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
本発明は、前記TNF/NGFレセプターの細胞外部分からなる少なくとも1つのポリペプチドのアミノ酸配列を含む、異常に高レベルのTNF/NGFファミリーのレセプターのリガンドを発現している細胞を殺すか、または改変可能であるキメラタンパク質、またはムテイン、融合タンパク質、機能的誘導体、円順列誘導体、または細胞毒性調節およびレセプター分子からなる群から選択されたエフェクター分子に連結されたそれらの活性断片に関する。
【0040】
本発明によって、エフェクター分子を、TNF/NGFファミリーの細胞結合リガンドを発現している細胞に対して標的化(または特異的に送達)可能である。
【0041】
本発明は、エフェクター分子としてp55 TNFレセプター(TBPI)の可溶性形態、シュードモナスエクソトキシンの移行ドメインおよびADP−リボシル化ドメインを含むポリペプチドを含む、配列番号:2(図1D)でのアミノ酸配列に相当する、本明細書でTBP−PEと示される、キメラタンパク質で得られた結果に基づいている。実験結果によって、TBPI−PEが、TBPIと同様のTNF−結合活性を十分に持つこと、これらの細胞においてのみ、タンパク質合成の阻害を引き起こす、細胞表面TNF−αを発現している細胞内へのみ浸透し、細胞死を引き起こすことを示している。
【0042】
p55 TNFレセプター(TBPI)の細胞外部分、シュードモナスエクソトキシンのドメインII、IbおよびIIIからなる、シュードモナスエクソトキシン(PE)の40kDa断片を含む、キメラ遺伝子TBP−PEを、PCR増幅によって調製した。TBP−PEタンパク質を、TBP−PEベクター(pTBP−PE)で形質導入した原核細胞BL21中で産生させた。ほとんどの組換え体タンパク質を含む、封入体を、変性溶液中に溶解し、変性させた。細菌細胞中で産生された折りたたみTBP−PEタンパク質は、57kDaの正しい大きさを持った。
【0043】
再折りたたみTBP−PEをさらに、抗TBP−I架橋でのアフィニティクロマトグラフィーによって精製した。
【0044】
再折りたたみTBP−PEタンパク質のADP−リボシル化活性を、インビトロにて調査した。EF2のADP−リボシル化が、(実施例2の変性封入体からの)再折りたたみTBP−PEタンパク質によって誘導された。再折りたたみタンパク質のEF2 ADP−リボシル化活性が、反応で使用した再折りたたみTBP−PEの量に関連して増加した。
【0045】
再折りたたみTBP−PEの量を、TBPIに対して特異的な抗体を用いて、酵素結合免疫測定吸着法(ELISA)によって推定した。さらに、再折りたたみTBP−PEのTNF結合活性を、CHO細胞において産生される精製TBPIの、TNFへのTNF結合活性と比較した。本発明者らは、ELISAによって推定されたTBP−PEの濃度が、Bradfordによって見られたものと同様であることを発見し、これは、再折りたたみTBP−PEおよびTBPIが、同様の効果で、抗−TBPI抗体によって認識されることを示している。(ELISAによって測定され得たような)同様の量の(原核細胞から精製した)TBPIまたは再折りたたみTBPI−PEの、TNFへの結合を、TNFコートプレートにて調査した。本発明者らは、TBPIの活性を100%TNFとして使用して、少なくとも50%の再折りたたみTBP−PEが、TNF結合活性を持つことを発見した。
【0046】
融合タンパク質TBP−PE(および対照として、可溶性TNFレセプターのみ)の細胞毒性活性を、上皮中、または単球様LPS−処理細胞中で試験した。HeLa−M9細胞は、SV40プロモーターの制御下で、+2の位置でのアルギニンと、+3の位置でのセリンが、スレオニンに置換される、ヒトTNF変異導入cDNAを一貫して発現する、上皮HeLa子宮頸癌のクローンである。これらの変異導入によって、26kDa表面TNの開裂速度が約10倍減少した。細胞を、10% Fes、2mM L−グルタミン、10mg/ml ペニシリン、100mg/ml ストレプトマイシンおよび50mg/ml ゲンタマイシンを含む、RPMI1640培地中で培養する。
【0047】
(膜結合TNFを過剰発現している)HeLa−M9またはHeLa細胞を、96−ウェルプレート中にまき、異なる濃度のTBP−PEまたはTBPIとともにインキュベートし、培養液の生存を、ニュートラルレッド染色を用いて査定した。いくつかのウェルで、TBPIを、TBPI−PEと同時に適用して、膜−結合TNF−αを介して誘導されたTBP−PE活性の特異性を調査するために、TNFに関して競合させた。
【0048】
本発明者らは、600ng/mlのTBP−PEが、その表面上にTNF−αを過剰発現している、HeLa−M9細胞の死を引き起こすが、HeLa細胞には影響を与えなかったことを発見した。TBPIは10倍過剰で適用する時に、TBP−PEの細胞毒性効果を特異的に抑制した。TBPIのみは、76mg/mlまでの濃度で、細胞変性効果を引き起こさなかった。2つの異なるバッチのTBP−PEを試験し、HeLa−M9細胞に対して同様の細胞毒性があることがわかった。TBP−PEは、600ng/mlの濃度で、HeLaM9にて、90%を超える細胞死を引き起こした。TBP−PEのバッチの1つが、非常に活性であり、0.06mg/mlでの濃度でも細胞毒性であり、ほぼ65%のHeLaM9細胞を殺した。
【0049】
TBP−PEは、HeLa−M9におけるタンパク質合成を劇的に抑制するが、HeLa細胞のタンパク質合成においては、阻害効果を欠くことがわかった。TBPIは、10倍過剰で、TBP−PEと一緒に加えたときに、HeLa−M9細胞中で、TBP−PEの効果を抑制することがわかった。TBPIのみは、HeLa−M9内、またはHeLa細胞内で、タンパク質の合成に影響を与えなかった。
【0050】
TBP−PEの効果を、細胞表面TNFを過剰発現している、活性化単球様細胞株(THPI)または活性化初代マクロファージ両方でも探索した。本発明者らは、HeLaM9細胞にて、細胞毒性を引き起こす濃度(60および600ng/ml)で試験したTBP−PEが、活性化THPI株、および活性化初代マクロファージにおける細胞毒性活性を欠き、後者の細胞におけるTNF分泌を阻害しなかったことを発見し、これは、TBP−PEの細胞毒性効果が、細胞結合TNFを過剰発現している上皮細胞に対して特異的であることを示している。
【0051】
本発明の1つの実施様態において、TBP−PEが、HeLaM9のような、膜TNFを過剰発現している上皮腫瘍細胞に対して細胞毒性性であるが、膜TNFを過剰発現している、単球の形をしている活性化細胞株、または初代マクロファージの活性化培養液の両方に対して細胞毒性ではないことが示された。
【0052】
Diebelら(J Trauma.2005 58(5):995-1001)は、腸上皮細胞のアポトーシスが、腸に対する低流速状態の後の腸不全に関与することを示唆した。Diebelらは、細菌と低酸素−再酸素化のような、混合損傷に曝露した後の、上皮Caco2腸細胞株が、TNFを産生し、続いてこれらにおけるアポトーシスを誘導したことを示した。
【0053】
したがって、TBP−PEを、腸炎症疾患(BID)潰瘍性大腸炎およびクローン病のような、腸の条件下でのアポトーシスに関与する、TNFを過剰発現している腸上皮細胞を特異的に殺すために使用し得る。
【0054】
Konourら(Br J Dermatol.2005;152(6):1134-42)は、ケラチノサイト、または腸上皮細胞のアポトーシスが、急性移植片−対−宿主(GVH)疾患のあいだの、器官の障害の重要な病理生態学的機構であることを示唆した。Konourらは、それぞれが、主要組織適合性複合体ミスマッチ白血病培養と混合した、ケラチノサイトまたはヒト皮膚移植培養を含む、GVHのインビトロモデルにおける、GVHでのアポトーシスを誘導することに関するメディエーターを探索した。Konourらによって得られた結果は、ケラチノサイトおよびヒト皮膚移植培養から産生されたIFNガンマおよびTNFが、GVHでのアポトーシスのメディエーターであることを示している。
【0055】
したがって、TBP−PEを、GVHを予防または最小化するために、TNFを産生しているケラチノサイトまたは腸上皮細胞を特異的に殺すために、移植を受ける患者に投与してよい。
【0056】
ケラチノサイトおよびT細胞両方が、乾癬において、十分な量のTNFαを分泌し、この疾患の発病における、1つのこれらの型の細胞の一般的な重要性は明確ではない(Kupper T.S.,Immunologic Targets in_Psoriasis.N.Engl.J.Med.,2003,v.349,pp.1987-1990;Asadullah K.ら,Novel Immunotherapies for psoriasis.TRENDS in Immunology,2002,v.23,No1,pp.47-53)。Hong K.らが、INF−ガンマとは独立して、IL−12が、マウス乾癬様皮膚疾患の発病において、重要な役割を果たすことを示している(J.Immunology,1999,v.162;pp.7480-7491)。Hongらが、インターフェロンガンマ−/−表現系の皮膚由来炎症細胞が、マウスにおいて、多量のTNF−αを分泌したが、抗IL−12の存在下では分泌しなかったことを指摘した。
【0057】
したがって、TBP−PEを、TNFを産生している皮膚由来の炎症細胞を特異的に殺すために、乾癬患者に投与してよい。
【0058】
Stueltenら(J Cell Sci.2005 15;118(Pt10),2143-53)が、乳癌細胞の悪性化可能性を増加させる機構における、腫瘍−間質相互作用を探索した。この目的のために、Stueltenは、繊維芽細胞(たとえば間質細胞)と悪性化の可能性が高いヒト腫瘍乳上皮細胞を含む2D−共培養液を使用した。Stueltenらは、繊維芽細胞における(腫瘍転移を促進することが知られている)MMP−9の発現が、腫瘍によって分泌されるTNF−αおよびTGF−ベータの活性によって誘導されることを示した。
【0059】
したがって、TBP−PEを、腫瘍増殖および転移を予防するために、上皮乳癌、またはTNF−αを産生している上皮由来の他の癌を効果的に殺すために使用してよい。
【0060】
すべてにおいて、膜結合TNFを過剰発現している細胞においてのみ、特定の効果を示している、TBP−PEで得た結果によって、TBP−PEならびに本発明の他のキメラタンパク質が、治療的な目的のために探索可能で活用可能であることが示される。
【0061】
本発明にしたがって、TNFファミリーのリガンドを標的化するための、非常の効果的であり、選択的な一般的方法が、結合するレセプターの細胞外部分によって提供される。これらのリガンドに対するいくつかのレセプターが、細胞結合形態でだけでなく、これらのレセプターの細胞外部分またはドメインに相当する可溶性形態でも、天然に存在する。これらの可溶性形態のいくつかが、それらの細胞表面レセプターとのリガンドの相互作用を阻害させる程度まで、それらのそれぞれのリガンドに対して、効果的に結合することが示されてきた。さらに、TNF/NGFファミリーの特定のレセプター(たとえばOPG(TNFRSF11B、Genbank ID U94332)が、可溶性分子としてのみ産生され、この形態で、相互作用するリガンドの、他の細胞表面のファミリーのレセプターとの結合を効果的に阻害する。
【0062】
TNFレセプター、CD27、CD30、CD40およびFasのような、TNF/NGFレセプターファミリーのレセプターの細胞外部分が、本発明にしたがって企図される。TNFファミリーのレセプターの可溶性形態を含むキメラ分子が、可溶性レセプターの、特異的に細胞結合リガンド分子に標的化する能力を維持するために、他の部位に融合してよい。その上、これらは、可溶性レセプターが融合する部位によって与えられる追加的な活性を持ち得、たとえば、TNFレセプターの可溶性形態の、免疫グロブリンのFc部位またはポリエチレングリコールへの融合が、本来の可溶性レセプター分子のものよりも、より長いクリアランス時間を持って、キメラに寄与し得る。2つの可溶性レセプター分子の、免疫グロブリン分子のFc部分への融合がまた、これらのレセプター分子に、それらのリガンドに結合するより大きな効果を与え得る。
【0063】
「エフェクター分子(effector molecules)」は、標的細胞の近くまたは内に配置したときに、その上に、望む機能的または表現系的変化を強要可能であるタンパク質または化学物質である。細胞内の機能的変化には、限定はしないが、細胞死、およびリガンド発現のダウンレギュレーションが含まれる。表現系変化には、限定はしないが、細胞蛍光および放射活性の変化が含まれる。
【0064】
1つの実施様態において、TNF/NGFレセプターの細胞外部分が、シュードモナスエクソトキシン(PE)、ジフテリア毒素(DT)、リシン、アブリン、ヤマゴボウ抗ウイルスタンパク質、サポリンおよびゲロニンなどのような、天然または改変細胞毒素である、エフェクター物質に融合(または連結)される。
【0065】
他の実施様態において、レセプターの細胞外部分を、哺乳動物細胞−死タンパク質、たとえば、Bcl2−関連タンパク質BaxまたはBak、またはDNA断片化因子40に融合(または連結)可能である[14]。
【0066】
他の実施様態において、エフェクター分子は、薬理学的試薬、または薬理学的試薬を含む賦形剤であってよい。TNF/NGFレセプターの細胞外部分を、たとえば蛍光組成物に連結してよく、これによって、このレセプターが結合するリガンドを産生している細胞のイメージングが可能になる。また、リガンド産生細胞のイメージングのため、またはそれらの分解のために使用してよい、放射活性化合物に連結してもよい。可溶性レセプターを、好ましく活性化T−リンパ球に影響を与える薬物である、リソソーム−含有シクロスポリンに連結することによって、レセプターによって認識されるリガンドを産生するTリンパ球の機能の選択的阻害を可能にし得る。
【0067】
また他の実施様態において、エフェクター分子は、増殖因子またはサイトカインであり得る。たとえば、免疫抑制サイトカインであってよく、レセプターに対するリガンドを発現している細胞へ、このサイトカインを特異的に送達可能である。
【0068】
また他の実施様態において、エフェクター分子は、抗体、たとえば、腫瘍−細胞特異的抗原に対する抗体であり得る。そのような抗体と、TNFに対する可溶性レセプターからなるキメラが、TNF−産生細胞の、腫瘍細胞との相互作用を刺激し、したがって、TNFによる腫瘍細胞の分解を指令する。
【0069】
他の実施様態において、エフェクター分子は、Bclx、CAD−タンパク質、カスパーゼ−8およびIκBのようなカスパーゼのような、細胞内調節タンパク質であり得る。
【0070】
レセプターの可溶性形態の天然の発生が、TNFの2つのレセプター(TNFR55およびTNFR75)、CD27、CD30、Fasおよび他を含む、TNF/NGFファミリーのほとんどすべてのメンバーに関して記述されてきている。キメラタンパク質には、天然に存在するか、または人工いずれかの、このファミリーのレセプターの可溶性形態が含まれ得る。TNF/NGFファミリーの任意の特定のレセプターの全細胞外ドメイン、またはそのムテイン、融合タンパク質、機能性誘導体、円順列誘導体またはその活性画分であり得る。
【0071】
語句「キメラタンパク質(chimeric protein)」および「共役物(conjugate)」は、本明細書内で相互互換的である。
【0072】
本明細書で使用するところの語句「ムテイン(muteins)」は、本来のタンパク質と比較して、得られる産物の活性が著しく変化しないで、天然に存在するタンパク質の成分の、1つまたはそれ以上のアミノ酸残基が、異なるアミノ酸残基によって置換されるか、または欠損するか、または1つまたはそれ以上のアミノ酸残基が、タンパク質の本来の配列に加えられる、タンパク質の類似体を意味する。これらのムテインは、公知の合成によって、および/または部位特異的変異導入技術、または好適な任意の他の公知の技術によって調製される。
【0073】
本発明によるムテインには、DNAまたはRNAのような核酸によってコードされた、ストリンジェントな条件下で、本発明にしたがって、タンパク質をコードする、DNAまたはRNAにハイブリッド形成する、タンパク質が含まれる。語句「ストリンジェントな条件(stringent conditions)」は、ハイブリッド形成と、それに続く洗浄条件を意味し、当業者によって「ストリンジェント」と呼ばれる。Ausubelら,Current Protocols in Molecular Biology,上記、Interscience,N.Y.,§§6.3および6.4(1987、1992)およびSambrookら(Sambrook,J.C.,Fritsch,E.F.,and Maniatis,T.(1989)Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NY)を参照のこと。
【0074】
限定はせずに、ストリンジェントな条件の例には、たとえば2×SSCおよび0.5%SDS、5分間、2×SSCおよび0.1%SDS、15分間、試験ハイブリッドの計算Tmより12°〜20℃下;0.1×SSCおよび0.5%SDS、37℃にて30〜60分間、ついで、0.1×SSCおよび0.5% SDS、68℃、30〜60分間の洗浄条件が含まれる。当業者は、ストリンジェントな条件がまた、DNA配列、(10〜40塩基のような)オリゴヌクレオチドプローブ、または混合オリゴヌクレオチドプローブの長さに依存することを理解する。混合プローブを使用する場合、SSCの代わりに、テトラメチル塩化アンモニア(TMAC)を使用することが好ましい。Ausubel、上記を参照のこと。
【0075】
任意のそのようなムテインは、好ましくは、本発明のタンパク質に対して、本質的に同様の、またはよりよい活性を持つような、本発明の可溶性レセプターのものと本質的に複製的であるアミノ酸の配列を持つ。たとえば、TBPの1つの特徴的な活性は、TNFへの結合のその能力である。TNFの結合を測定するための、ELISA型アッセイを、以下の実施例で記述している。ムテインが、本発明の可溶性レセプターに対する十分な結合活性を持つ限り、本発明の可溶性レセプターに対する、本質的に同様の活性を持つと考えることが可能である。したがって、任意のムテインが、可溶性レセプターと少なくとも本質的に同様の活性を持つかどうかを、そのようなムテインを、たとえば、以下の実施例にてTBPおよびTNFに関して記述したように、そのリガンドに結合するかどうかを決定するために、単純な結合アッセイにかけることを含む、通常の実験方法によって、決定可能である。
【0076】
好ましい実施様態において、任意のそのようなムテインは、TBPのアミノ酸配列と、少なくとも40%同一性または類似性を持つ。より好ましくは、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、またはもっとも好ましくは、少なくとも90%同一性または相同性を持つ。
【0077】
同一性は、配列を比較することによって決定する、2つまたはそれ以上のポリペプチド配列、または2つまたはそれ以上のポリヌクレオチド配列間の相関を反映する。一般的に、同一性は、比較している配列の長さにわたる、それぞれ、2つのポリヌクレオチドまたは2つのポリペプチド配列の、実際のヌクレオチドのヌクレオチドに対する、またはアミノ酸のアミノ酸に対する相関を意味する。
【0078】
実際の相関がない配列に関して、「パーセント同一性(percent identity)」を測定し得る。一般的に、比較すべき2つの配列を、その配列間の最大相関を得るために、並べる。これには、アライメントの程度を増強するために、1つまたは両方の配列いずれかでの、「ギャップ」の挿入が含まれる。パーセント同一性は、同一、または非常に類似の長さの配列に対してとりわけ好適である、比較している配列のそれぞれの全配列にわたり(グローバルアライメントと呼ばれる)、または等しくない長さの配列により好適である、より短い、定義された長さにわたって(ローカルアライメントと呼ばれる)、決定してよい。
【0079】
2つまたはそれ以上の配列の同一性および相同性を比較するための方法が、本発明分野でよく知られている。したがって、たとえば、Wisconsin Sequence Analysis Package,バージョン9.1(Devereux Jら,1984,Nucleic Acids Res.1984 Jan 11;12(1 Pt 1):387-95)にて使用可能なプログラム、たとえばプログラムBESTFITおよびGAPを、2つのポリヌクレオチド間の%同一性、および2つのポリペプチド配列間の%同一性および%相同性を決定するために使用してよい。BESTFITは、SmithおよびWaterman(J Theor Biol.1981 Jul 21;91(2):379-80およびJ Mol Biol.1981 Mar 25;147(1)195-7.1981)の「ローカル相同性」アルゴリズムを使用し、2つの配列間の類似性の最適な単独領域を見つける。配列間の同一性および/または類似性を決定するための他のプログラムもまた、本技術分野で公知であり、たとえば、プログラムのBLASTファミリー(www.ncbi.nlm.nih.govにて、NCBIのホームページを介してアクセス可能、Altschul D Sら,1990 J Mol Biol.1990 Oct 5;215(3)403-10,Proc Natl Acad Sci USA.1990 Jul;87(14):5509-13, Altschul S Fら,Nucleic Acids Res.1997 Sep 1;25(17):3389-402)およびFASTA(Pearson W R,Methods Enzymol.1990;183:63-98.Pearson J Mol Biol.1998 Feb 13;276(1):71-84)がある。
【0080】
本発明にしたがって使用可能である、可溶性レセプターのムテイン、またはそれをコードする核酸には、本明細書で表された教義およびガイダンスに基づいて、必要ない実験なしに、当業者によって通常得ることが可能である、置換ペプチドまたはポリヌクレオチドとして、本質的に相当する配列の限定組が含まれる。
【0081】
本発明にしたがったムテインに関する好ましい変化は、「保存的(conservative)」置換として知られているものである。本発明の可溶性レセプターの保存的アミノ酸置換には、基のメンバー間の置換が、分子の生物学的機能を保存する、十分に類似の生理化学的特性を有する基内の同義アミノ酸が含まれ得る(Grantham Science.1974 Sep 6;185(4154):862−4)。アミノ酸の挿入および欠損がまた、それらの機能を変化することなく、好ましくは挿入または欠損が、数個のアミノ酸、たとえば13以下、好ましくは10以下にのみ関連し、機能的配座に対して必須であるアミノ酸、たとえばシステイン残基を除去または置換しない、以上で定義した配列で実施してよい。そのような欠損および/または挿入によって産生されるタンパク質およびムテインが、本発明の範囲内である。
【0082】
好ましくは、同義アミノ酸基は、表1で定義されたものである。より好ましくは、同義アミノ酸基は、表2で定義されたものであり、もっとも好ましくは、同義アミノ酸基は表3で定義したものである。
【0083】
【表1】

【0084】
【表2】

【0085】
【表3】

【0086】
本発明での使用のための、本発明の可溶性レセプターのムテインを得るために使用可能である、タンパク質内のアミノ酸置換の産生の例には、Markらに付与された米国特許第4,959,314号、第4,588,585号および第4,737,462号、Kothsらに付与された第5,116,943号、Namenらに付与された第4,965,195号、Chongらに付与された第4,879,111号、Leeらに付与された第5,017,691号で表されたような任意の公知の方法段階、および米国特許第4,904,584号(Shawら)にて表されたリジン置換タンパク質が含まれる。
【0087】
本明細書で使用するところの「機能的誘導体(functional derivatives)」は、残基上の側鎖として存在するか、本技術分野で公知の方法によって、N−またはC−末端基への添加物である官能基から調製し、薬理学的許容性を維持する限り、すなわち本発明の可溶性レセプターの活性と本質的に同様のタンパク質の活性を破壊せず、それを含む組成物に毒性特性を与えない限り、本発明に含まれる、本発明の可溶性レセプターの誘導体、およびそれらのムテインをカバーしている。
【0088】
「機能的誘導体」にはまた、変化が、任意の従来の方法によって、可溶性レセプターを作製するアミノ酸の配列内に導入された、可溶性レセプターを作るマルチマーが含まれる。これらの変化には、可溶性レセプター分子の延長または切断、または可溶性レセプターを作製している1つまたはそれ以上のアミノ酸の欠損または置換が含まれ得る。以上の変化のどれもが、可溶性レセプターの結合特性に影響を与えないことが理解される。
【0089】
これらの誘導体には、たとえば、抗原部位をマスクし、体液中の本発明の可溶性レセプターの残余をのばし得る、ポリエチレングリコール側鎖が含まれ得る。他の誘導体には、カルボキシル基の脂肪族エステル、アンモニアまたは一級または二級アミンとの反応によるカルボキシル基のアミド、アシル部位と形成したアミノ酸残基の遊離アミノ基のN−アシル誘導体(たとえばアルカノイルまたはカルボン酸アロイル基)、またはアシル部位と形成される遊離ヒドロキシル基のO−アシル誘導体(たとえばセリルまたはスレオニル基のもの)が含まれる。
【0090】
本発明にしたがった「活性画分(active fraction)」は、たとえば、本発明の可溶性レセプターの断片であり得る。語句断片は、任意の分子のサブセットを意味し、すなわち、より好ましい生物学的活性、たとえばリガンドへの結合を残した、より短いペプチドである。断片は、可溶性レセプター分子のいずれかの末端からアミノ酸を取り除き、TNFへ結合するその特性に関して、得られた断片を試験するために調製し得る。ポリペプチドのN−末端またはC−末端いずれかから、一度に1つのアミノ酸を除去するためのプロテアーゼが知られており、望む生物学的活性を残す、そのようにして決定された断片が、従来の実験のみによって生じる。
【0091】
本発明の可溶性レセプターの活性画分、そのムテインおよび融合タンパク質として、本発明はさらに、画分が、本質的に、本発明の可溶性レセプターと本質的に等しい活性を持つという条件で、単独で、または結合する関連分子または残基、たとえば糖またはリン酸残基と結合した、タンパク質分子のポリペプチド鎖の任意の断片または前駆体、またはそれらによる、タンパク質分子または糖残基の凝集物をさらに、カバーしている。
【0092】
またさらなる実施様態において、本発明にしたがった基質には、免疫グロブリン融合物が含まれ、すなわち、本発明にしたがった分子が、免疫グロブリンのすべてまたは一部に融合する。免疫グロブリン融合タンパク質を作製するための方法は、たとえば、国際公開第01/03737号パンフレットで記述されたもののように、本技術分野でよく知られている。当業者は、得られた本発明の融合タンパク質が、キメラタンパク質の生物学的活性を維持することを理解するであろう。得られた融合タンパク質は、理想的に、体液中の残留時間の延長(半減期)、特定の活性の増加、発現レベルの増加、または融合タンパク質の精製の促進のような、改善された特性を持つ。
【0093】
好ましくは、本発明にしたがった基質は、Ig分子の定常領域に融合する。たとえばヒトIgG1のCH2およびCH3ドメインのような、重鎖領域に融合し得る。たとえば、アイソマーIgG2またはIgG4、またはIgMまたはIgAのような他のIgクラスのような、Ig分子の他のアイソマーもまた、本発明にしたがった融合タンパク質の産生のために好適である。融合タンパク質は、一量体または多量体、ヘテロまたはホモ多量体であり得る。
【0094】
本明細書での語句「塩」は、可溶性レセプター分子またはその類似物の、カルボキシル基の塩、およびアミノ基の酸添加塩両方を意味する。カルボキシル基の塩は、本技術分野で公知の方法によって形成され、たとえばナトリウム、カルシウム、アンモニウム、鉄または亜鉛塩などの無機塩、トリエタノールアミンのような、アミンと形成されたもの、アルギニンまたはリシン、ピペリジン、プロカインなどの有機塩基との塩が含まれる。酸添加塩には、たとえば、塩酸または硫酸のような、ミネラル酸との塩、およびたとえば酢酸またはオキサロ酸のような有機酸との塩が含まれる。もちろん、任意のそのような塩は、TBPの生物学的活性、すなわちTNFに結合する能力を維持しなければならない。
【0095】
本明細書で使用するところの語句「円順列(circularly permuted)」は、末端が、直接またはリンカーを介してのいずれかで互いに結合し、環状分子を形成し、この環状分子が、他の部分で開裂し、本来の分子中の末端からはことなる末端を持つ、新たな直鎖分子を産生する、直鎖分子を意味する。環状置換には、その構造が、環状化し、開裂した分子と等しい分子が含まれる。したがって、環状置換分子は、de novoで、直鎖分子として合成し、環状化および開裂段階を介さなくてよい。分子の特定の環状置換が、そのあいだのペプチド結合が消去されるアミノ酸残基を含むブラケットによって設計される。DNA、RNAおよびタンパク質を含む、環状置換分子は、一本鎖分子であり、しばしばリンカーと結合した、その通常の末端を持ち、他の部位で新規の末端を持つ。両方が本明細書で参考文献によって含まれている、GoldenbergらJ.Mol.Biol.,165:407−413(1983)およびPanらGene 125:111−114(1993)を参照のこと。環状置換は、機能的に、直鎖分子をとること、末端を融合して環状分子を形成すること、ついで環状分子を異なる部位で切断し、異なる末端を持つ、新規の直鎖分子を形成すること、と等価である。環状置換はしたがって、異なる場所にて新規の末端を形成する一方で、タンパク質のアミノ酸の配列と同一性を本質的に保存する効果を持つ。
【0096】
可溶性レセプターを、エフェクター分子にエフェクターするための手順は、後者の化学的構造にしたがって変化し得る。好ましい実施様態において、エフェクター分子は、タンパク質であり、標的化可溶性レセプターに対するその融合(または結合)が、組換え体法によって好ましく実施され得る。2つのタンパク質をコードする遺伝子を、cDNAとして、または当業者に公知の任意のクローニング手順によってゲノムの形態で、単離可能である。可溶性レセプターおよびエフェクタータンパク質はまた、化学的にエフェクター可能である。これは、ピアス ケミカル カンパニー(Pierce Chemical Company)、Rockford IIIから入手可能なもの(たとえば、BS3(ビス[スルホスクシンイミジル]スベレート)のような、二機能性リンカー分子を用いて実施可能である。
【0097】
可溶性レセプターとエフェクター分子間のカップリング(または連結)は、直接、または連結分子および/またはたとえばアミノ酸、ペプチドまたはポリペプチド、スルフィジル基、ポリマーなどのような、任意の種類のリンカーであり得るスペーサーを介してであり得る。
【0098】
リンカーは、キメラの局在化または内部化に際して、破壊され得る分子であり得る。
【0099】
1つの実施様態において、本発明のキメラ分子は、組換え体DNA法を用いて合成(または産生)される。一般的に、これには、キメラタンパク質をコードする、任意に原核細胞内での分泌のためのシグナルペプチドもまたコードする、DNA配列を作製すること、このDNAを特定のプロモーターの制御下で、発現カセット中に入れること、真核細胞(たとえば、HeLa細胞、CHO細胞、HEK293、THPI、酵母細胞および昆虫細胞)、または原核細胞(たとえば大腸菌細胞)のような、組換え体培養宿主細胞内でタンパク質を発現させること、発現したタンパク質を単離すること、および必要であれば、タンパク質を再変性させること、が含まれる。
【0100】
キメラタンパク質をコードする核酸配列は、種々の宿主細胞内で発現させ得る。細胞毒性部位を含むキメラタンパク質の場合、細胞毒性部位の細胞破壊効果に耐性の宿主細胞が選択される。
【0101】
いったん発現したならば、組換え体キメラタンパク質を、硫酸アンモニア沈殿、アフィニティーカラム、カラムクロマトグラフィー、ゲル電気泳動などを含む、本技術分野で標準の手順にしたがって精製可能である。
【0102】
発現および精製の後、キメラは、構成ポリペプチドの天然の配座とは本質的に異なった配座を持ち得る。この場合、ポリペプチドを変性および還元し、ついで、ポリペプチドを好ましい配座に再折りたたみさせる必要があり得る。
【0103】
変性は、組換え体タンパク質を含む未精製物質を、カオトロピック試薬(たとえば尿素<またはグアニジンHCl)、還元剤および高pHの組み合わせに曝露することによって達成する。これらの条件によって通常、封入体内のタンパク質の可溶化および変性が起こる。結果として、タンパク質の透明な溶液が得られる。この段階で、タンパク質は、二次または三次構造を持たずに、完全に開裂する。次の段階は、pH、還元試薬およびカオトロピック試薬の極端な条件を緩やかにし、タンパク質の折りたたみを可能にすることである。タンパク質のその天然の三次構造へ折りたたまれる能力は、その一次構造によって示唆される。したがって、カオトロピックおよび還元試薬濃度を低下させること、pHを下げることが通常十分である。しかしながら、ときおり、条件の適正化が必要となる。
【0104】
本発明は、TBP−PEのような本発明のキメラタンパク質、またはそのムテイン、融合タンパク質、機能的誘導体、円順列誘導体、活性画分または塩と、薬学的に許容され得る担体を含む医薬組成物を提供する。
【0105】
本発明は、TBP−PEのような本発明のキメラタンパク質、またはそのムテイン、融合タンパク質、機能的誘導体、円順列誘導体、活性画分または塩をコードするDNAまたは発現ベクターと、薬学的に許容され得る担体を含む医薬組成物を提供する。
【0106】
組換え体キメラタンパク質、および本発明のキメラタンパク質を含む医薬組成物は、非経口投与、すなわち、皮下、筋肉内または静脈内のためにとりわけ有用である。非経口投与のための組成物は、一般的に、キメラタンパク質の溶液、または許容可能な担体、好ましくは水性担体内に溶解したそのカクテルを含む。種々の水性担体、たとえば、水、緩衝水、0.4%生理食塩水などが使用可能である。
【0107】
基質は、種々の方法にて、必要としている患者に投与可能である。投与経路には、肝臓内、皮内、経皮(たとえば、徐放処方中)、筋肉内、腹腔内、静脈内、皮内、経口、硬膜外、局所および鼻内経路が含まれる。たとえば上皮または内皮組織を介した吸収、またはインビボにてキメラタンパク質が発現し、分泌する、キメラタンパク質をコードするDNA分子を(たとえばベクターを介して)患者に投与する遺伝子治療によっての、任意の他の治療的に効果的な投与経路を使用可能である。さらに、基質を、薬学的に許容され得る界面活性剤、賦形剤、希釈液および担体のような、生物学的に活性な試薬の他の成分と一緒に投与可能である。
【0108】
非経口(たとえば静脈内、皮内、筋肉内)投与のために、キメラタンパク質を、薬学的に許容され得る非経口担体(たとえば水、生理食塩水、デキストロース溶液)および等張性(たとえばマンニトール)または化学安定性(たとえば保存剤および緩衝液)を維持する添加物との組み合わせで、溶液、懸濁液、エマルジョン、または凍結乾燥粉末として処方可能である。処方は、一般的に使用される技術によって滅菌される。
【0109】
「薬学的に許容され得る(pharmaceutically acceptable)」の定義は、活性成分の生物学的活性の効果に干渉せず、投与される宿主に対して毒性でない、任意の担体を含むことを意味する。たとえば、非経口投与のために、基質は、生理食塩水、デキストロース溶液、血清アルブミンおよびリンガー溶液のような賦形剤中で、注射のためのユニット投与形態中に処方可能である。
【0110】
任意に薬学的に許容され得る担体と一緒に、TBP−PEのようなキメラタンパク質、またはそのムテイン、融合タンパク質、機能的誘導体、円順列誘導体、活性画分または塩を、必要としている患者に投与することを含む、疾患を治療するために方法を提供することが、本発明のさらなる目的である。
【0111】
組成物の単独または多重投与を、患者によって必要とされ、認容される用量および頻度に依存して投与し得る。これらの処方中のキメラ分子の濃度が、治療効果を得るために十分な量の分子を、体に送達するように設計される。自己免疫疾患の場合、組成物を、自己免疫疾患の経過および重傷度に影響を与えるのに十分な量のキメラを送達し、患者の状態を改善するように設計し、疾患の減退または緩和を導く。有効量は、投与経路、治療される疾患、患者の状態に依存する。
【0112】
本発明のキメラタンパク質の種々の使用のなかで、タンパク質の毒性活性によって削除され得る、特定のヒト細胞によって引き起こされる疾患または状態のような、疾患の治療のための医薬品の製造においての使用がある。1つのアプローチは、敗血性ショック、移植片−対−宿主疾患(GVHD)、マラリア、感染性肝炎、結核のような急性疾患、ならびに、慢性GVHD、関節リウマチ、若年性糖尿病、癌関連悪液質、炎症性腸疾患および乾癬のような慢性疾患を含む、TNFが病原的役割を果たすか、疾患の経過に関与する疾患の治療である。他のアプローチは、キメラタンパク質が結合するリガンドを発現している悪性細胞によって引き起こされる、癌の治療のためのものである。キメラタンパク質をまた、インビトロまたはインビボで、たとえば、自己移植前に骨髄からまたは自己末梢血細胞からの、有害な細胞の除去のために、使用してよい。
【0113】
本発明が、その特定の実施様態に関して記述されているが、さらなる改変の可能性があることが理解される。本明細書は、一般的に本発明の原理にしたがって、付随する請求項の目的内にしたがって、本発明が属する技術分野内での公知または一般的な実施内にあり、本明細書以上で列記された必須の特徴に適用可能であるように、本開示物からの逸脱を含んで、本発明の任意のバリエーション、使用または適合をカバーする意図がある。
【0114】
雑誌記事または要約、公示されたまたは公示されていない米国または外国特許明細書、付与された米国または外国特許、または他の任意の参考文献を含む、本明細書で引用されたすべての参考文献が、引用された参考文献内で示されたすべてのデータ、表、図および文書を含んで、本明細書で参考文献によってすべてが組み込まれている。さらに、本明細書でで引用された参考文献内にて引用された参考文献のすべての内容もまた、参考文献によってすべてが組み込まれている。
【0115】
公知の方法段階、従来の方法段階、公知の方法または従来の方法に対する参照は、本発明の任意に観点、記述または実施様態が、関連技術分野で開示、教授または指摘された許可ではない。
【0116】
特定の実施様態の以上の記述によって、(本明細書で引用した参考文献の内容を含む)本技術分野内の知識を適用することによって、本発明の一般的なコンセプトから逸脱することなしに、不必要な実験なしに、種々の適用に対して、そのような特定の実施様態を簡単に改変および/または適合可能である、本発明の一般的な特徴を完全に明らかにする。したがって、そのような適合および改変が、本明細書で示された教義およびガイダンスに依存して、開示された実施様態の等価物の範囲の意味の範囲内であることが意図される。本明細書の用語または語法が、記述の目的であり、制限の目的ではなく、本明細書の語法および語句が、当業者の知識と組み合わせで、本明細書で示された教義およびガイダンスに関して、当業者によって解釈されることが理解されるべきである。
【0117】
本発明はここで、以下の非限定実施例および付随する図面にて、より詳細に記述される。
【実施例】
【0118】
実施例1:p55 TNFレセプターの細胞外部分(TBPI)、およびシュードモナスエクソトキシンのドメインII、IbおよびIIIを含む、シュードモナスエクソトキシン40kDa断片を含む、キメラ遺伝子(本明細書でTBP−PEと呼ぶ)の構築
図1Aにて略図的に示したように、キメラTBP−PE遺伝子(図1C、配列番号:1)を調製するために、TBP(p55 TNFレセプターの細胞外部分)およびシュードモナスエクソトキシンのドメインII、IbおよびIIIを含む、PE(シュードモナスエクソトキシンの40kDa断片)をコードする各DNA断片を、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅によって増幅し、融合させた。
【0119】
p55 TNFレセプター(TNFRSF1A、Genbank ID M75866)の可溶性形態のアミノ酸配列は、ヒト尿から単離されたこのレセプターの可溶性形態(TBPI)の主要な種類のもの(米国特許第5,811,261号)に相当し、レセプターの細胞外ドメイン中Asp41〜Asn201まで伸びる(Swiss−Prot−受け入れ番号:P19438)。
【0120】
TBPIを、全長TNFRI(プラスミドpc55)を鋳型として(Nopharら、1990にて記述された、プラスミドpc55)そして以下のプライマーを使用して、(べーリンガーマンハイム(Boehringer Mannheim)からのHigh fidelity Taqポリメラーゼでの)PCR(1)増幅によって単離した。

【0121】
このプライマーは、NdeI制限部位(発現ベクター内にキメラ遺伝子を挿入するために、後に必要である)、続いてTBPIの5’末端と重なる20ヌクレオチドを持つ(コード配列をイタリック体で示す)。

【0122】
このプライマーは、TBPIの通常3’末端と重なる22ヌクレオチドと、続いてHindIII制限部位をコードするヌクレオチド(TBPIをコードするDNAを、PEをコードするDNAにライゲーションするために後に必要である)を持つ。
【0123】
シュードモナス アエルギノーサ(Pseudomonas aeroginosa)エクソトキシンA型遺伝子(受け入れ番号K01397、NCBI Gene Bank)のヌクレオチド1577−2659に相当するPEをコードするDNA(図1E、配列番号:3)を、シュードモナス アエルギノーサのセロタイプ61のゲノムDNA(Leitner G.Kimron Veterinary Institute,Israel)を鋳型として、そして以下のプライマーを使用して(べーリンガーマンハイムからのHigh fidelity Taqポリメラーゼでの)PCR2増幅によって単離した。

【0124】
HindIII制限部位(イタリック体)を含み、6アミノ酸Ala−Ser−Gly−Gly−Pro−Gluのリンカー、およびPEトランスロケートドメインのヌクレオチド1577−1603(太字)をコードする。

【0125】
EcoRI制限部位(イタリック体)、終止コドン(tta)およびPE ADP−リボシル化ドメインのヌクレオチド2659−2679(太字)を含む。
【0126】
1058bpのPCR2産物が得られた。
【0127】
キメラTBP−PE遺伝子を得るために、PEを含むPCR2断片を、HindIII制限部位を介して、TBPIを含むPCR1断片の3’−末端にライゲートした。キメラTBP−PE遺伝子を、NdeIおよびEcoRI部位で、pET5−ベクター内に挿入した。本明細書でpTBP−PEと呼ぶ、キメラTBP−PE遺伝子をコードするベクターを、大腸菌株(DH5α)内に形質導入し、増幅した。
【0128】
実施例2:細菌細胞内でのTBP−PEの産生
TBP−PEベクター(pTBP−PE)を含む、細菌株BL21(DE3)pLysを、0.4%グルコース、1.68mM MgSO4および100μg/ml アンピシリンを含む1リットルのSuperブロス中で、37℃にて培養した。600nmでの吸収が、2.6にn達したときに、組換え体タンパク質発現の誘導を、培養液に、最終濃度1mMで、IPTG(イソプロピル ベータ−D−チオ−ガラクトピラノシド)を、約90分間添加することによって実施した。細菌細胞を、4℃にて10分間、7500×gにて遠心することによって、培養液から回収し、細胞ペレットを、−70℃にて16時間凍結した。
【0129】
凍結した細胞ペレットを、氷上で溶かし、220mlの緩衝液A[カルシウムおよびマグネシウムなしのリン酸緩衝食塩水(PBSw/o)、50mM EDTA、5mM MgSO4、完全プロテアーゼカクテルの4錠(ロッシュ(Roche)、30mg/l DNaseI(シグマ(Sigma))中に再懸濁させた。
【0130】
細胞クランプを絶縁するために、細菌懸濁液を、椎間板18Gニードルを介して通した。細菌溶解物および封入体単離を、以下の方法のいずれかによって実施した。
【0131】
方法I:5000psiで、ついで15000psiにて2回、最初のFrench Press3×35mlの細胞。ついで溶解した細胞を、SS−34ローターを用いて、Sorval遠心上、15,000rpmにて、4℃50分(27,000×g)で遠心した。ペレットを、20mM EDTAを含む160mlの「PBS w/o」中に懸濁し、22mlの20% トリトンを添加し、室温にて5〜10分間インキュベートした。封入体を、27,000×gにて4℃50分間の遠心によって沈殿させた。トリトンでの封入体の洗浄を2回繰り返し、トリトンなしで、20mM EDTAを含む160mlのPBSにて3回洗浄した。
【0132】
方法II:81mg Lysozyme/20ml PBS(20mlのPBS中Lysozymeの405%溶液)を、110mlの細菌細胞に添加した。細胞を30分間室温にて攪拌し、氷に移し、1分間3回超音波処理した。16mlの20%トリトン(3%最終濃度)を添加し、封入体を単離し、方法Iでのように洗浄した。
【0133】
(SDSPAGEおよびADPリボシラーゼ活性によって判断した、それぞれ図2および3)ほとんどの組換え体タンパク質を含む封入体を、5mM 2−メルカプトエタノールを含む、8M 尿素、pH12〜12.8を含む変性溶液中に溶解した。使用した変性溶液の容量は、封入体湿重量の443倍と等しかった。封入体の完全な溶解を促進するために、激しくボルテックスして、超音波処理した。
【0134】
タンパク質を、pH9.5での50mMホウ酸緩衝液で、約10〜20倍希釈し、緩やかに攪拌しながら(200rpm)、4℃にて18〜20時間インキュベートすることによって再変性させた。
【0135】
2.5リットルの再折りたたみタンパク質を、超濾紙PM30(アミコン(Amicon))を介した超遠心によって15倍に濃縮し、濃縮したタンパク質の最終濃度は、約170mlであった。再折りたたみ未精製タンパク質の濃度を、Bradford試薬で推定し、約70μg/mlであった。TBP−PEキメラタンパク質は、(SDS−PAGE中のタンパク質バンドのデンシトメトリーより)再折りたたみ未精製タンパク質の約60%であると推定された。したがって、1リットルの細菌培養液から、約7.65mgのTBP−PEキメラが得られ、または500mg封入体から、3%の再折りたたみ未精製タンパク質がえられ、そのうち60%が、TBP−PEキメラであった。
【0136】
図2Aは、再折りたたみTBP−PEタンパク質が、アミノ酸配列から推測される、約57kDaの正確な大きさをもったことを示している。
【0137】
実施例3:TBP−PEキメラのアフィニティー精製
TBP−PEキメラを、抗TBP−1架橋カラムでのアフィニティークロマトグラフィーによって、実施例2のTBP−PEを含む再折りたたみ未精製抽出物から精製した。
【0138】
抗TBP−I架橋カラムを調製するために、2mls.のタンパク質G−Sepharose(またはウサギ抗体のためにタンパク質A)(アマシャム(Amersham))を、50mlのPBS(pH7.5〜8.0)で3回洗浄した。20ml PBS、pH7.5−8.0中の6mgのモノクローナル抗−TBPI抗体クローン20.11(Engelmann et al.JBC 256(24)14497−504 1990)(400μlのストック 16.7mg/ml)を、洗浄したタンパク質G−Sepharoseに添加し、約22℃にて1.5時間攪拌しながらインキュベートし、10容量の0.2M ホウ酸緩衝液(NaOHにてpH9.0)で2回洗浄した。4mlホウ酸緩衝液中の100μg架橋剤(DMP、PIERCE)(抗体に対して、架橋剤が、30倍モル過剰)を、G−sepharoseと抗体溶液に添加し、30分間インキュベートした。20mlの50mM Tris、pH8.0を、反応を停止するために添加し、溶液を捨てた。20mlの同様の緩衝液を15分間添加し、溶液を捨て、20mlの同一の緩衝液を15分間、氷上で添加した。G−sepharoseを、100mMクエン酸、pH3.5中の100mM NaClで洗浄し、ついで、pH2.0で緩衝液で洗浄し、タンパク質Gに共有的に結合しなかった、抗体を除去した。
【0139】
pH8.8での10mM Trisの溶液を使用して、TBP−PEの精製のためのカラムを保存した。
【0140】
実施例2からのホウ酸緩衝液中の再折りたたみTBP−PEを、アフィニティークロマトグラフィーカラムにのせ、カラムを10倍量の10mM Trisおよび100mM NaClで洗浄した。タンパク質を、100mMクエン酸、pH3.5中の100mM NaClで溶出した。0.5〜1mlの画分を回収し、光学密度を、280nmで測定した。図2Bは、抗TBPIモノクローナル抗体で検出した、溶出画分からの(20ulμl)試料のウェスタンブロット解析を示している。図2Bで要約した結果は、TBPIのアミノ酸配列から予想されたMWは17kDaであるが、TBPIの見かけのMWは、この真核細胞(CHO)中で産生されたTBP−I標準のグリコシル化によって、より高く、約34kDaであったことを示している(図2B、ライン8)。抗TBPI抗体が、アフィニティークロマトグラフィーカラムに対して、再折りたたみTBP−PEタンパク質を認識し、結合すること、およびTBP−PEの実際の分子量が約57kDaであることが示された(図2B、ライン1〜7)。
【0141】
実施例4:インビトロでの、TBP−PEタンパク質のADP−リボシル化活性
実施例を実施することにおいて、再折りたたみTBP−PEが、TBPI抗体によって認識されることが示された。以下の実験は、TBP−PEが、伸張因子II(EF−2)をADP−リボシル化可能であるかどうかを評価するために実施した。シュードモナスエクソトキシンの毒性は、タンパク質合成を阻害するエクソトキシンの能力による。エクソトキシンは、NAD+が存在する条件で、アミノ酸のタンパク質内への取り込みをすばやく阻害する。シュードモナスエクソトキシンの存在において、NAD+の二リン酸アデノシンリボース部位が、伸張因子II(EF−2)との共有結合内に移され、因子の不活性誘導体が産生される。毒素は、この反応において触媒的に働く。
【0142】
NAD++EF−2→ADP−リボース−EF−2+ニコチンアミド+H+(Collier R.J.ら.1971)
TBP−PEキメラのADP−リボシル化活性を調査するために、再折りたたみキメラ、または封入体の分離前後の未精製大腸菌溶解物を含む試料を、200μlのTE−50(Tris、50mM、pH8)および20μlの小麦麦芽からのEF−2(シグマ)を含む溶液中でインキュベートした。ついで10μlのNAD+14Cを添加し、反応混合液を短くボルテックスし、37℃にて20分間インキュベートして、すべてのNAD+14Cを、TBP−PEによって誘導されたEF−2に組み込ませた。20分のインキュベーションに続いて、タンパク質を、0.5mlの10%TCAの添加(ボルテックス)と遠心(4℃にて5分間、3000rpm)によって沈殿させた。上清を捨てたのち、ペレットを1mlの10%TCAで洗浄し、100μlの1M NaOHを10分間添加し、頻繁に混合し(ボルテックス)、ペレットを溶解させた。10分後、0.4mlの0.4M酢酸を添加し、混合した。放射活性ラベルのタンパク質内への組み込みを、ガンマ計数器中で、4mlのシンチレーション溶液中で測定した。
【0143】
図3で示したように、EF2のADP−リボシル化が、10μlの(可溶性タンパク質および封入体を含む)未精製組換え体大腸菌溶解物タンパク質によって誘導され、約半分の活性が、2倍の同様の未精製溶解物を用いて観察された。非常に低いADP−リボシル化活性が、可溶性タンパク質画分(Frenchプレスの後に得た上清)にて観察可能であった。この結果は、ほとんどのキメラタンパク質が、封入体内に存在することを確認した。
【0144】
図3で要約した、得られた結果は、(実施例2の変性封入体からの)再折りたたみTBP−PEタンパク質が、EF2 ADP−リボシル化活性を有することを示している。折りたたみタンパク質のEF2 ADP−リボシル化活性のレベルが、(可溶性タンパク質および封入体両方を含む)未精製溶解物のものと同等であった。しかしながら、未精製溶解物のEF2 ADP−リボシル化活性とは反対に、再折りたたみタンパク質のEF2 ADP−リボシル化活性が、反応中で使用した再折りたたみTBP−PEの量とともに増加した。
【0145】
実施例5:酵素結合免疫測定吸着法(ELISA)による再折りたたみTBP−PEの定量と、再折りたたみTBP−PEのTNFに対する結合活性
未精製TBP−PEの濃度をまず、Bradford試薬で推定し、約70μg/mlであるとわかり(実施例2を参照のこと)、ついでウェスタンブロットのデンシトメトリー解析(図2A)によって、約45μg/mlであるとわかった。
【0146】
TBP−PEの濃度を、ELISAによって測定した。この目的のために、PVCマイクロタイタープレートを、50μlのモノクローナル抗−TBPI抗体(PBS中25μg/ml)クローン20でコートした(Engelmann et al.JBC 265(24)14497−504 1990)。37℃にて2時間のインキュベーションの後、プレートをPBSにて三回洗浄し、0.05% Tween20および1.5%BSAを含むPBSにて、37℃にて2時間ブロックした。TBPIの試料(組換え体CHO細胞から調整、要確認)、またはTBP1−PEの試料を、0.05% Tween20、1%ヘモグロビン、0.65M塩化ナトリウムおよび0.1% NP40を含むPBS中で連続希釈した。50μlの希釈試料をウェルあたりに、三重で適用し、37℃にて1時間インキュベートし、ブロット(0.05% Tween20を含むPBS)で5回洗浄した。1:1000に希釈したポリクローナルウサギ抗TBPI抗体を、37℃にて1時間、または4℃にて一晩、ブロット中に適用し、同様の溶液で5回洗浄した。1:2000希釈した二次抗体、抗−ウサギ−HRPを、37℃にて1時間ウェルに適用し、ウェルをブロットにて5回洗浄した。0.01% H22を含む、100μlの新鮮に調製したABTS溶液(2,2’−アジノ−ビス(3−エチルベンズ−チアゾリン−6−スルホン酸、シグマ、カタログA−1888)をウェルに添加し、37℃にて30分間インキュベートし、発達した緑色の密度を405nmで測定した。
【0147】
得られ、図4Aで要約した結果が、ELISAによって75μg/mlとわかったTBP−PEの濃度が、Bradfordによってわかった、約45μg/mlの濃度と近かったこと、および再折りたたみTBP−PEおよびTBPIが、同様の効果で、抗−TBPI抗体によって認識されたこと、を示している。
【0148】
以下の実験で、TBPIおよびTBPI−PEのTNFコートプレートへの結合を比較した。PVC96−ウェルマイクロタイタープレートを、4℃にて16時間、0.02% NaN3を含む0.1M Na2CO3、pH9.6中の、2μg/mlの純粋なヒトTNF−α(ベイト−ハエメック(Beit−HaEmek)の溶液で、プレートをインキュベーションすることによって、TNFでコートした。ついでプレートをPBSでリンスし、0.2ml/ウェルの、3%BSA、0.02%NaN3(ブロッキング溶液)を含むPBSで、37℃にて3時間インキュベートした。50μlの再折りたたみTBP−PE(45μg/ml)またはヒトTBPI(76μg/ml)の試料を、三重に、ウェルあたり適用し、プレートを37℃にて1時間インキュベートした。必要な場合に、試料を、ブロッキング溶液で希釈した。1時間のインキュベーションの後、プレートをブロッキング溶液で3回洗浄した。ブロッキング溶液中1:1000で希釈した、50μlのウサギ抗−TBPI抗体をウェルに添加し、1時間37℃、または4℃にて一晩、インキュベートし、ブロッキング溶液で3回洗浄した。1:20,000希釈での、50μlの二次抗体、抗−ウサギ−HRPをウェルに添加し、37℃にて1時間インキュベートし、ブロッキング溶液で3回洗浄した。0.01% H22を含む100μlの新鮮に調製した溶液ABTSを添加し、37℃にて30分間インキュベートした。TBP−PEまたはTBPIの、プレートに対する結合を、その強度を405nmにて測定した、緑色の発現によって測定した。
【0149】
図5A〜Bにて要約したTNF−結合アッセイの結果が、20ngの未精製再折りたたみTBP−PEが、5ngのTBPIとほぼ同様の活性であることを示している(図5A)。図5Bは、TNF結合活性を持っている、未精製再折りたたみキメラタンパク質の割合を示している。TBPIの活性を100%TNF結合として使用すると、少なくとも50%の再折りたたみTBP−PEが、TNF結合活性を持つことがわかった。
【0150】
実施例6:その表面上にTNFを過剰発現している細胞株
2つの細胞株を、TBP−PEの細胞毒性効果を探索するために使用した。(a)(German Collection of Microorganisms and Cell Cultureから得た)ヒト急性単球性白血病THPI細胞。これらの細胞の単球性分化を、ホルボールミリスチル酸酢酸(PMA)で誘導可能である。これらの細胞を、10%Fcs、2mM L−グルタミン、1mM Na−ピルビン酸、1% 非必須アミノ酸、9mg/ml インスリン、100mg/ml ペニシリンおよび100mg/ml ストレプトマイシンを含む、RPMI1640培養中、0.3〜1×106/mlの細胞密度範囲で培養する。細胞表面TNF発現を促進するために、(16〜20時間、100ng/ml)PMAにて活性化したこれらの細胞を、LPS(1mkg/ml、1.5時間)で処理し、10μg/ml メタロプロテアーゼ阻害剤GM6001(カルビオケム(Calbiochem))で、試験の前に2時間処理した。
【0151】
b)HeLa−M9細胞、位置+2でのアルギニンおよび位置+3でのセリンが、スレオニンに置換されているヒトTNFムテインcDNAを、SV40プロモーターの制御下で、構成的に発現する、上皮HeLa子宮頸癌のクローン。これらの変異によって、26kDa TNFの開裂速度が、約10倍減少する。細胞を、10% Fcs、2mM L−グルタミン、100mg/ml ペニシリン、100mg/ml ストレプトマイシンおよび50mg/ml ゲンタマイシンを含むRPMI1640培地中で培養する。
【0152】
THPI細胞の細胞表面上のTNF−発現を、TNF−αの削減を防止するために、メタロプロテアーゼGM6001の阻害剤、10mg/ml(カルビオケム)の存在下で、FACSによって査定した。5×105細胞の試料を、インスリン、1mkg/ml、トランスフェリン、1mg/ml、Naセレン、1ng/ml、Naピルビン酸、非必須アミノ酸、グルタミン、PMA50〜100ng/mlを含むFcsを含まないRPMI中で16時間インキュベートした。ついで、LPS大腸菌0111−B4を濃度1mg/mlでGM6001、10mg/mlと一緒に、2時間添加した。細胞表面上でのTNF−発現のFACS解析のために、細胞を、2mg/ml BSA、0.1%アジ化ナトリウムを含む、リン酸緩衝食塩水(PBS)中にて4℃で洗浄し、FITC−抗−ヒトTNF抗体とインキュベートした。解析は、FACScan(ベクトン.ディッキントン(Becton.Dickinson)、Mountain View,CA)によって実施した。少なくとも30%の細胞が、その表面上にTNF−αを発現することがわかった。
【0153】
実施例7:TBP−PEの細胞毒性
キメラタンパク質TBP−PE(および対照として、可溶性TNFレセプターのみ)の細胞毒性活性を、両方が膜結合TNFを過剰発現している、2つの種類の細胞、上皮細胞および単球様細胞で試験した。
【0154】
HeLa−M9細胞は、位置+2でのアルギニンおよび位置+3でのセリンが、スレオニンに置換されているヒトTNFムテインcDNAを、SV40プロモーターの制御下で、構成的に発現する、上皮HeLa子宮頸癌のクローン株である。これらの変異導入によって、26kDa表面TNFの開裂速度が、約10倍減少する。細胞を、10% Fcs、2mM L−グルタミン、100mg/ml ペニシリン、100mg/ml ストレプトマイシンおよび50mg/ml ゲンタマイシンを含むRPMI1640培地中で培養する。
【0155】
HeLa−M9、またはHeLaを、ウェルあたり4×104細胞の密度にて、96−ウェルプレート中にまいた。異なる濃度のTBP−PEまたはTBPIを、3時間ウェルに添加した。いくつかのウェルに、TBPIを、TBPI−PEと同時に適用して、TNFと競合させ、膜TNF−αを介したTBP−PE活性の特異性を試験した。3時間のインキュベーションの後、培地を、組換え体タンパク質なしの培地のみで置換し、細胞を24時間増殖させ、培養液の生存を、ニュートラルレッドを用いて査定した。
【0156】
得られた結果を図6Aにて要約しており、600ng/mlのTBP−PEが、HeLa細胞に対して細胞毒性ではないが、その表面にTNF−αを過剰発現しているHeLa−M9細胞の死亡を引き起こしたことを示している。TBPIは、10倍過剰で適用したときに、TBP−PEの細胞毒性効果を特異的にブロックした。TBPIのみでは、76μg/mlまでの濃度で、細胞変性効果を引き起こさなかった。TBP−PEの2つの異なるバッチを試験し、同様の細胞毒性であることがわかった。図6Aで示した結果が、TBP−PEが、600ng/mlの濃度で、HeLaM9細胞にて、90%を超える細胞死を引き起こしたことを示している。TBP−PEの1つのバッチが、非常に活性であり、0.06mg/mlの低濃度で、細胞毒性であり、およそ65%近くのHeLaM9細胞を殺した。
【0157】
活性化単球様細胞株におけるキメラTBP−PEの細胞毒性を調査するために、THPI(実施例6を参照のこと)を、(単球様表現系およびLPSレセプターの曝露を誘導するために)インスリン、1mkg/ml、トランスフェリン、1mg/ml、Naセレン、1ng/ml、ピルビン酸Na、非必須アミノ酸、グルタミン、PMA50〜100mg/mlを含む、ウシ胎児血清(Fcs)を含まないRPMI中、96−ウェルプレート中、ウェルあたり200,000細胞の密度で、16時間まいた。ついで、大腸菌LPS(0111−B4)を濃度1mg/mlで、10mg/mlの濃度でのGM6001(細胞表面からのTNFの削除を予防するためのメタロプロテイナーゼ阻害剤)と一緒に、1〜1.5時間添加した。得られたPMA−LPS−GM6001−処理THPI細胞が、多量の表面TNFを持つ単球細胞の表現系特性を示している。これらの単球様細胞株を、約20時間、60および600ng/mlの再折りたたみTBP−PEとインキュベートし、生存を見積もるために、ナチュラルレッドで染色した.示唆した時点で、組換え体ヒトTBP−1を、細胞表面TNFへの結合に関して競合するように、再折りたたみキメラタンパク質の直前に添加した。
【0158】
図6Bにて要約した結果で示したように、HeLaM9細胞の細胞毒性を引き起こしている濃度(60および600ng/ml)で使用した、TBP−PEが、活性化THPIの細胞死を引き起こさなかったことがわかった。
【0159】
再折りたたみTBP−PEの活性を、LPS−活性化初代マクロファージ中でも試験した。初代マクロファージの調製のために、メスマウスC57BL/6を、4日間、1.5ml無菌Brewerチオグリコレートブロス(ディフコ(Difco))とともに、腹腔内(i.p.)に注射した。腹腔浸出物(>85%マクロファージ)を4日目に回収し、遠心によって、PBSにて洗浄し、10%熱不活性化Fcsを含むRPMI中、1×100,000マクロファージ/ウェルにて、96−ウェル平底プレート中にまいた。細胞を18時間接着させた。非接着細胞を、暖かい培地で洗浄して除去した。
【0160】
マクロファージ活性化を誘導するために、マクロファージ単層を、図6Cにて示した濃度(1μg/mlおよび10μg/ml)にて1時間、5mg/ml GM6001(カルビオケム)の存在下で、LPS(大腸菌LPS011:B4)で処理した。LPS処理の後、細胞を、6000および15000ng/ml再折りたたみTBP−PEの存在下、または存在しない状態で、2時間以上インキュベートした。次に、培地を、同様の濃度のLPSを含むが、GM6001を含まない、RPMI+10%熱不活性化ウシ胎児血清(HFcs)で置換し、TNF−αの細胞培養培地への分泌を可能にさせた。一晩培養したマクロファージの細胞培養培地を回収して、培地中のTNF−αをバイオアッセイによって測定した(以下および図6Dを参照のこと)。
【0161】
得られ、図6Cで要約した結果は、TBP−PEが、活性化初代マクロファージに対して細胞毒性ではなかったことを示している。
【0162】
TBP−PEで処理した、または未処理のLPS−活性化初代マクロファージの増殖培地中に分泌されたTNFのレベルを査定した(図6D)。活性初代マクロファージの培地を回収し、新鮮な培地で、2、4および8倍(それぞれ0.5、0.25、0.125)希釈し、(96−ウェルプレート上)ウェルあたり、1×105細胞の密度でまいた、TNF感受性細胞(L929)の単層に適用した。バイオアッセイを、10mg/mlシクロヘキシミドの存在下で実施した。L929細胞(マウス結合組織クローンL929 ATCC番号CCL−1)を、活性化マクロファージの条件培地でインキュベートし、20時間インキュベートした。L929細胞毒性のレベルが、条件培地中に存在するTNFの濃度に比例した。
【0163】
図6Dで見られるように、チオグリコレート−処理マウスからのマクロファージが、TNF−αを産生した。たとえば、チオグリコレート処理腹腔マクロファージの2または4倍希釈培地が、40%を超えるTNF−感受性L929細胞の死を引き起こした。しかしながら、LPSによるさらなるマクロファージ活性化が、TNF分泌を増加させた。たとえば、L929細胞死は、LPS活性化マクロファージの細胞を高い(8倍)希釈条件培地に曝露したときに、60%より高かった(図6D)。TBP−PEで処理した活性化初代マクロファージの条件培地が、TBP−PE処理なしでの活性化マクロファージの条件培地と、L929に対して等しい毒性であることがわかった(図6D)。この結果によって、TBP−PEが、初代活性化マクロファージ中のTNF分泌を阻害しないことが示される。
【0164】
これらの結果は、TBP−PEが、活性化初代マクロファージの死を引き起こさず、LPS活性化初代マクロファージにおけるTNF分泌を阻害しないことを示している。
【0165】
すべてにおいて、得られた結果が、TBP−PEが、治療的目的のために使用可能であり、とりわけ、TNFを過剰発現している上皮細胞を特異的に殺すことを示している。
【0166】
実施例8:TBP−PEによって仲介された、HeLa M9細胞中でのタンパク質合成の阻害
HeLa−M9およびHeLa細胞を、ウェルあたり、4×104の密度にて、96−ウェル組織培養液プレート中に、アッセイの1日前にまいた。600ng/mlの濃度でのTBP−PEを、3時間細胞に添加した。いくつかのウェルで、TBPIを、TBPI−PEと同時に適用して、TNF結合に関して競合させた。3時間のインキュベーションの後、培地をDMEM+10%Fcsで置換し、細胞を、16時間さらに増殖させた。細胞をPBSにて1回洗浄し、Met、Cis−を含まないRPMI中で10分間、そして、100mlの35S−Met−含有、Met、Cis−を含まないRPMI(55mcCi/100μlの35S−Met)中で30分間インキュベートした。30分のインキュベーション後、培地を除去し、細胞をMet、Cis−を含まないRPMIにて3回洗浄し、200μl SDS−緩衝液[PBS中1% SDS、20mM 2−メルカプトエタノール、2mM EDTA]中で溶解し、100℃まで前加熱した。細胞溶解物をマイクロチューブに移し、5分間ゆで、5分間遠心した。上清(約100μl容量)中のタンパク質を、TCA沈殿にかけた。
【0167】
TCA沈殿のために、0.5ml 10%の氷冷TCAおよび20μlの3% BSAを、上清を含む試料に添加した。試料を15分間、氷上で沈殿させ、5分間、4℃、3000rpmにて遠心した。TCA沈殿物を、1ml TCAおよび100μlの1M NaOHで洗浄し、10分間インキュベートし、ボルテックスした。ペレットを完全に溶解させるために、0.4mlの0.4Mの酢酸を溶液に添加し、激しく混合した。放射活性を、4mlシンチレーション溶液中で測定し、ベータ−計数器中でモニタした。
【0168】
図7で示したように、600ng/mlほどのTBP−PEが、HeLa−M9細胞中の約70%のタンパク質合成を阻害するが、一方で、同量のTBP−PEが、HeLa細胞内のタンパク質の合成を減じなかった。TBPIが、TBPIをTBP−PEと一緒に10倍過剰で添加した時に、タンパク質合成において、TBP−PEの阻害効果を阻害することがわかった。TBPIのみは、HeLa−M9中またはHeLa細胞中いずれでもタンパク質の合成に影響を与えなかった。
【0169】
実施例9:内部化アッセイ
TNF−α発現細胞(HeLa M9または他)を、0.1mg/mlのBSAを含む培地中で、37℃にて、[125I]−共役物(1μg/ml)で標識化した。ついで細胞をトリプシン処理し、氷冷PBSで洗浄し、PBS中の0.3%プロナーゼ中で再懸濁し、ジブチルフタレートを介する遠心の前に2Cにて40分間維持した。エンドサイトーシス効率を、取り込み30分後の、細胞関連[125I]−共役物のプロナーゼ−耐性割合として表す(Taupiac M-P.ら, 1999から変性された)。
【0170】
実施例10:SDS−PAGEおよび免疫ブロッティング
遠心によって回収した細胞ペレットを、Laemmli緩衝液中に溶解させた。試料を、0.1%SDS、10%アクリルアミドスラブゲルに適用する前に5分間沸騰させた。ゲルをクーマシーブルーによって、または銀染色によって染色可能である。
【0171】
免疫ブロッティングのために、電気泳動後の試料を、ニトロセルロース紙にうつし、続いて、毒素に対する、またはTNFレセプターの可溶性形態に対する抗体と反応させ、ついで(毒素−ヤギ抗−ウサギ抗体のため、可溶性TNFレセプター−ヤギ抗マウス抗体のため)HRPに連結した二次抗体を適用し、染色を、HRP基質で実施した。可溶性TNFレセプターに対するモノクローナル抗体は記述したようである[15][16]。
【0172】
実施例11:動物毒性
6ヵ月齢Balb/cマウスに、0.1μg/マウス〜40μg/マウスの範囲で、種々の用量のキメラタンパク質(および、対照として、キメラタンパク質に組み込まれた毒素および可溶性TNFレセプター)を腹腔内に注射した。マウスの生存を、48時間以降査定した。
【0173】
実施例12:インビボでの、それらの表面上でTNFを発現している腫瘍細胞に対するキメラタンパク質の活性
キメラタンパク質の、(そして対照として、キメラタンパク質に組み込まれた毒素の、および可溶性TNFレセプターの)インビボ細胞殺傷活性を、細胞結合TNFを産生する腫瘍を持つマウス中で査定した。HeLa−M9細胞のコンフルエント培養を、PBS中5mM EDTAで回収し、懸濁して、PBSにて2回洗浄した。Balb/cヌードマウス(7〜8週齢、20〜21g体重)に、HeLa−M9細胞(1×107細胞/0.1ml/マウス)で、フランク領域内で、皮下に移植した。5日後、マウスに、種々の用量の試験したキメラタンパク質を腹腔内に注射し、ついで、毎週1回再び注射した。細胞の移植部位での発生、大きさおよび質量を11週後に査定した。
【0174】
実施例13:関節炎の突発性発達に関するマウスモデルにおける、キメラタンパク質の治療活性
その発現の翻訳調節を提供する、3’非コード領域が、β−グロブリン遺伝子のものとともに発現した[17]、ヒトTNFトランスジーンを発現しているトランスジェニックマウスを使用した。生誕の2週間後、マウスに、種々の用量の試験したキメラタンパク質を腹腔内に注射し(以下を、対照としてマウスに注射するために使用する。毒素のみまたは可溶性TNFレセプターのみ)、ついで、9週間の間隔で、1週間に1回、再び注射した。マウスの後ろ足首関節の腫れを、関節の直径を決定することによって、定期的に査定する。関節構造に関連する損傷/変化:関節鞘、関節空間、滑膜、関節軟骨および軟骨下骨を組織学的に評価した。
【0175】
実施例14:抗原−誘導関節に関するマウスモデルにおける、キメラタンパク質の治療活性
Lewisラットを、完全フロイドアジュバント中の0.5mg メチル化ウシ血清アルブミン(mBSA)で、後ろ脇腹中で免疫した。21日後(0日)、動物に、ピローゲンを含まない生理食塩水中の50μg mBSAを、両後ろ膝関節中に注射した。ラットに、その日、および続く2日間(0、1および2日)、両膝関節中に、試験タンパク質を関節内に注射した(対照として、毒素のみまたは可溶性TNFレセプターのみを注射した)。膝関節幅を、治療に相対して、0〜6日で毎日測定する。6日目に回収した関節の組織病理学実験を実施した。関節構造に関連する損傷/変化:関節鞘、関節空間、滑膜、関節軟骨および軟骨下骨を組織学的に評価した。
【0176】
実施例15:抗原−誘導関節に対するマウスモデルにおけるキメラタンパク質の治療活性
オスDBA/1マウス(8〜12週齢)を、尾の根本での皮内注射によって、FCA内(ディフコ(Difco)、Detroit,MI)で乳化させたII型コラーゲン、100μgで免役した。免疫の時間から開始して、マウスに、臨床的関節炎の開始まで、PBS中の試料タンパク質を、1週間に2回、腹腔内に注射した(対照として、毒素のみまたは可溶性TNFレセプターのみを注射した)。免疫後15日から、マウスを10日間、2つの臨床パラメータ、足のふくらみと臨床スコアを用いて、疾患の開始に関して毎日試験した。足のふくらみは、カリパスで最初に影響を受けた後ろ足の厚さを測定することによって査定した。
【0177】
実施例16:結腸炎に対するマウスモデルにおける、キメラタンパク質の治療活性
Harlan UKにて購入した、IL−10ノックアウトマウスを、IL10遺伝子欠損に関するマウス同型を産生するために交雑し、その尾DNAにて実施したPCRによて同型に関してスクリーンした。4週齢で開始して、マウスに、20週齢まで、PBS中の試験タンパク質を毎週3回腹腔内に注射した(対照として、毒素のみまたは可溶性TNFレセプターのみを注射した)。臨床スコア、腸の組織学的解析、スツール中の炎症性サイトカインの含量を、[18]で示したように評価した。
【0178】
実施例17:p75 TNFレセプターの可溶性形態の共役物の発現に関するプラスミドの構築
共役物内に組み込まれたp75 TNFレセプター(TNFRSF1B、Genbank ID M32315)の可溶性系列の配列は、レセプターの細胞外ドメインの前配列(Leu1からAsp235まで)に相当する。この配列を、PEの配列に融合させ、実施例1で記述したようにpET−ベクター内に挿入した。
【0179】

【図面の簡単な説明】
【0180】
【図1A−B】A〜Bは、TBP−PEキメラタンパク質(A)およびシュードモナスエクソトキシン(B)の略図表を示している。シュードモナスエクソトキシン(B)は、レセプターが仲介するエンドサイトーシスによって細胞内に進入し、細胞プロテアーゼ(フリン−様)によって開裂され、移行活性およびADP−リボシル化活性を含む40kDa断片(PE)を産生する。タンパク質分解の後、PEが、エンドプラスマリチクラムに到達し、細胞質へトランスロケートし、伸張因子2(EF2)のADP−リボシル化によって、タンパク質合成を阻害する。TBP−PEキメラタンパク質(A)には、TBP1またはTNF−結合タンパク質1(p55 TNFレセプターの細胞外部分)、およびシュードモナスエクソトキシンのPE断片が含まれる。
【図1C−D】C〜Dは、キメラTBP−PEタンパク質をコードするDNA配列(C 配列番号:1)、および相当するアミノ酸配列(D、配列番号:2)を示している。
【図1E−F】E〜Fは、PEのDNA配列(E、配列番号:3)、シュードモナスエクソトキシンそのドメインIIおよびIIIをコードする断片、および相当するアミノ酸配列(F、配列番号:4)を示している。
【図1G−H】G〜Hは、TBPIとPE部位を連結しているリンカーペプチドのDNA配列(G、配列番号:5)および相当するアミノ酸配列(H、配列番号:6)を示している。
【図2A−B】A〜Bは、SDS−PAGEにて分解された細菌大腸菌(E.coli)細胞において発現された、キメラタンパク質TBP−PEを示している。大腸菌細胞BL−21 pLysに、pTBP−PE、TBP−PEキメラ遺伝子にライゲートしたpET−5を含む発現ベクターを形質導入した。pTBP−PEの形質導入、およびイソプロピルβ−D−チオ−ガラクトピラノシド(IPTG)での誘導の後、大腸菌形質導入株を溶解し、溶解物(「未精製」)を、実施例2で記述したように可溶性タンパク質と不溶性封入体(「IB」)に画分化した。封入体を、実施例2で示したように、8M尿素(「尿素」)中に溶解し、再折りたたみさせた(「再折りたたみ」)。未精製、IB、尿素および再折りたたみ画分の試料(レーンあたり20μl)(A)を、SDS−PAGE(10%)上で分解し、ゲルをクーマシーブルー溶液で染色した。本図は、主にIB画分で見られる、キメラTBP−PEタンパク質が、およそ57kDa.MW−分子量標準の見かけの分子量で、SDS−PAGE上に移動したことを示している。実施例2の再折りたたみTBP−PEおよびAを、タンパク質G−抗−TBP−I架橋アフィニティークロマトグラフィーカラムにのせた。カラムに結合したTBP−PEを、実施例3で示したように、pHを還元することによって溶出した。溶出した画分を回収し、280nmでの光学密度(OD280)を測定した。TBP−PEを含む溶出した画分の試料(レーンあたり20μl)(B中ライン1〜7)および精製した、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞中で産生された、非キメラTBP−1標準(B中ライン8)を、SDS−PAGE(10%)上にのせ、ウェスタンブロット解析にかけて、抗TBP−Iにて検出した。TBPIのアミノ酸配列から予想されるMVは17kDaであるが、TBPIの見かけのMWは、より高く、約34kDaで観察され(B、ライン8)、これは真核細胞(CHO)中で産生されたこのTBP−I標準のグリコシル化による。抗TBPI抗体はまた、約57kDaの実際の分子量の、キメラTBP−PEを検出した(B、ライン7)。
【図3】図3は、TBP−PEによる、伸張因子2(EF2)のADP−リボシル化を示している。シュードモナスエクソトキシンは、EF2のADP−リボシル化によって仲介されたタンパク質合成の阻害を誘導する。10〜50μlの、キメラタンパク質TBP−PEのADP−リボシル化活性を試験するために、TBP−PEを産生している形質導入大腸菌細胞からの溶解物(「総溶解物」、棒3)、封入体の分離後の細胞溶解物(「可溶性タンパク質」棒2)、再折りたたみTBP−PE(実施例2より、棒4)、または緩衝液(棒1)を、実施例4で示したように、EF−2およびNAD+14Cを含む溶液中でインキュベートした。TBP−PEによって仲介される、NAD+14CのEF−2への組み込みを、実施例4で示したように測定した。この図は、TBP−PEが、EF2のADP−リボシル化を誘導することを示している(棒1と比較して棒3および4を参照のこと)。非常に低いADP−リボシル化活性が、可溶性タンパク質の試料中で観察され(棒2)、これは、ほとんどのTBP−PEが、封入体内に存在することを示唆している。(可溶性タンパク質および封入体両方を含む)総細胞溶解物画分の10μlの試料が、50μlの同様の画分よりも活性を誘導し、これは、未精製細菌溶解物中に、阻害活性が存在することを示唆している。反対に、EF2 ADP−リボシル化活性が、反応液に添加した、再折りたたみTBP−PEの量にともなって増加したことが認められる(棒4、10および50μlの活性を比較)。
【図4A−B】A〜Bは、酵素結合免疫測定吸着法(ELISA)によって実施した、TBPI−PE(A)およびTBPI(B)の定量を示している。モノクローナル抗−TBPIでコートしたマイクロタイタープレートに、連続希釈TBP1(CHO細胞より精製した)または再折りたたみTBPI−PEの試料を三重に適用した。37℃にて1時間のプレートのインキュベーションと、続く未結合タンパク質を取り除くための洗浄の後、結合したTBP−PEまたはTBPIを、ポリクローナルウサギ抗−TBPI、抗−ウサギ−HRP共役物、およびHRP基質を用いて、実施例5で記述したように検出した。TBPI/TBP−PE濃度の指標である、緑色の強度を、405nmにて測定した。Bで示したELISAにしたがって、0.3のO.D.が直線範囲であり、76μg/mlTBPIの濃度に相当し、再折りたたみTBPI−PEの外挿濃度が、約45μg/mlに相当する(A)。図4で要約した結果によって、TBP−PEが正確に再折りたたみされ、抗−TBP抗体が、非キメラTBPIタンパク質を認識するのと同様に、再折りたたみTBP−PEを認識するので、その濃度が、抗TBP抗体を用いるELISAによって定量可能であることが示されている。
【図5A−B】A〜Bは、TBP−1のTNF結合活性に対するTBP−PEのTNF結合活性を示している。示した量の再折りたたみTBP−PE、または非キメラHPLC−精製TBP−1(CHO細胞中で産生された)を、TNFコートプレートにのせ、プレートへの結合を、モノクローナル抗TBP−1抗体で検出した。Bは、TNF結合活性を持つ未精製再折りたたみキメラタンパク質の割合を示している。TBP−1の活性を100%TNF結合として用いると、少なくとも50%の再折りたたみTBP−PEが、TNF結合活性を持つことがわかった。
【図6A】TBP−PEが、膜結合TNFを過剰に発現している細胞、とりわけ、上皮型の膜結合TNFを過剰に発現している細胞に対して細胞傷害性であることを示す。TBP−PEの細胞傷害性活性を、HeLa細胞中、または表面TNFを過剰発現するように遺伝子工学的に改変した(Poscsik ら,1995)HeLa−M9細胞株で試験した。細胞を、96−ウェルプレート中にまき、示した濃度のTBP−PE、またはTBPI(対照として)で試験した。処理24時間後の細胞の増殖と生存性を、実施例7で示したように査定した。いくつかのウェルで、細胞を、TBPIとTBPI−PEの組み合わせで処理して、細胞表面TNF−αの結合を介したTBPI−PE細胞毒性の特異性を査定した。本発明者らは、TBP−PEの60および600ng/mlの2つの異なるバッチが、HeLaM9にて細胞毒性効果を持つこと、細胞毒性が、TBP−1との競合によって完全に阻害されたことから、細胞毒性効果が、膜結合TNF−αを介して特異的に誘導されたことを発見した。
【図6B】TBP−PEが、膜結合TNFを過剰に発現している細胞、とりわけ、上皮型の膜結合TNFを過剰に発現している細胞に対して細胞傷害性であることを示す。TBP−PEの細胞傷害性活性を、HeLa細胞中、または活性化単球様細胞株中で試験した。細胞を、96−ウェルプレート中にまき、示した濃度のTBP−PE、またはTBPI(対照として)で試験した。処理24時間後の細胞の増殖と生存性を、実施例7で示したように査定した。いくつかのウェルで、細胞を、TBPIとTBPI−PEの組み合わせで処理して、細胞表面TNF−αの結合を介したTBPI−PE細胞毒性の特異性を査定した。本発明者らは、上皮細胞株HeLaM9中の細胞毒性を誘導する同様の濃度のTBP−PE(図6A)が、活性化単球様THPI細胞株に関して細胞毒性ではなかったことを発見した。
【図6C】TBP−PEが、膜結合TNFを過剰に発現している細胞、とりわけ、上皮型の膜結合TNFを過剰に発現している細胞に対して細胞傷害性であることを示す。TBP−PEの細胞傷害性活性を、HeLa細胞中、または活性化初代マクロファージ細胞中で試験した。細胞を、96−ウェルプレート中にまき、示した濃度のTBP−PE、またはTBPI(対照として)で試験した。処理24時間後の細胞の増殖と生存性を、実施例7で示したように査定した。いくつかのウェルで、細胞を、TBPIとTBPI−PEの組み合わせで処理して、細胞表面TNF−αの結合を介したTBPI−PE細胞毒性の特異性を査定した。本発明者らは、上皮細胞株HeLaM9中の細胞毒性を誘導する同様の濃度のTBP−PEが(図6A)、1または10ng LPSでの大腸菌の処理によって活性化した初代マクロファージに関して細胞毒性ではなかったことを発見した。
【図6D】TBP−PEが、膜結合TNFを過剰に発現している細胞、とりわけ、上皮型の膜結合TNFを過剰に発現している細胞に対して細胞傷害性であることを示す。活性化マクロファージによるTNFの分泌における、TBP−PEの効果もまた調査した。600および1500ng/mlの濃度でのTBP−PEで処理した、または未処理の活性化マクロファージの培養培地を回収し、2、4および8倍に新鮮な培地で希釈し、L929細胞に適用し、TNF濃度の指標である、細胞のTNF依存死をモニタした。本発明者らは、活性化マクロファージによるTNF分泌が、TBP−PEによって阻害されなかったことを発見した。
【図7】図7は、TBP−PEが、HeLaM9細胞中のタンパク質合成を阻害することを示している。HeLaM9およびHeLa細胞を、(600ng/ml)TBP−PEで処理するか、未処理のまま残し(「緩衝液」)、35S−Metでの放射活性標識にかけた。1つの実験群にて、TBPIを、細胞表面TNFと競合させるために、TBPI−PEと同時に細胞に適用した(「TBP−PE+TBP」)。処理の後、細胞を溶解し、TCA−沈殿タンパク質の放射活性を、実施例8で記述したように測定した。本図は、600ng/mlのTBP−PEが、少なくとも75%細胞に関して、HeLaM9中でのタンパク質合成を阻害するが、HeLa細胞内でのタンパク質合成を減じないことを示している。TBPIは、10倍過剰で添加した時に、HeLa−M9におけるTBP−PEの効果を完全に阻害した。TBPIのみは、HeLa−M9中、またはHeLa細胞中両方で、タンパク質合成に影響を与えなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
TNF/NGFファミリーのレセプターのリガンドを異常に高レベルで発現している細胞を殺すか、または改変できるキメラタンパク質であって、該レセプターの細胞外部分からなる少なくとも1つのポリペプチドのアミノ酸配列を含み、該ポリペプチドが、エフェクター分子に連結されているキメラタンパク質、またはそのムテイン、融合タンパク質、機能的誘導体、円順列誘導体または活性画分。
【請求項2】
前記ポリペプチドが、TNFレセプター、CD27、CD30、CD40およびFasからなる群より選択されるレセプターの細胞外部分からなる請求項1記載のキメラタンパク質。
【請求項3】
前記ポリペプチドが、TNFレセプターの細胞外部分からなる請求項2記載のキメラタンパク質。
【請求項4】
TNFレセプターが、p55 TNFレセプターであり、細胞外部分が、TNF結合タンパク質−1(TBPI)である請求項3記載のキメラタンパク質。
【請求項5】
前記エフェクター分子が、シュードモナスエクソトキシン、ジフテリア毒素、リシン、アブリン、ヤマゴボウ抗ウイルスタンパク質、サポリンおよびゲロニン、またはそれらの断片からなる群より選択される細胞傷害性分子である請求項1〜4のいずれか1項に記載のキメラタンパク質。
【請求項6】
前記エフェクター分子が、シュードモナスエクソトキシンの断片である請求項5記載のキメラタンパク質。
【請求項7】
本明細書でPEと表記する、シュードモナスエクソトキシンの前記断片が、配列番号:3のアミノ酸配列に相当する請求項6記載のキメラタンパク質。
【請求項8】
配列番号:2のアミノ酸配列に相当する、本明細書でTBP−PEと表記する請求項1〜7のいずれか1項に記載のキメラタンパク質、そのムテイン、融合タンパク質、機能的誘導体、円順列誘導体または活性画分または塩。
【請求項9】
前記エフェクター分子が、哺乳動物細胞死タンパク質である請求項1〜4のいずれか1項に記載のキメラタンパク質。
【請求項10】
前記哺乳動物細胞死タンパク質が、Bax、BakおよびDNAフラグメンテーション因子40からなる群より選択される請求項9記載のキメラタンパク質。
【請求項11】
前記エフェクター分子が、蛍光組成物または放射活性組成物である請求項1〜4のいずれか1項に記載のキメラタンパク質。
【請求項12】
前記エフェクター分子が、シクロスポリン含有リポソームである請求項1〜4のいずれか1項に記載のキメラタンパク質。
【請求項13】
前記エフェクター分子がサイトカインである請求項1〜4のいずれか1項に記載のキメラタンパク質。
【請求項14】
前記サイトカインが免疫抑制性である請求項13記載のキメラタンパク質。
【請求項15】
前記エフェクター分子が増殖因子である請求項1〜4のいずれか1項に記載のキメラタンパク質。
【請求項16】
前記エフェクター分子が抗体である請求項1〜4のいずれか1項に記載のキメラタンパク質。
【請求項17】
前記抗体が、腫瘍細胞抗原に対して特異的である請求項16記載のキメラタンパク質。
【請求項18】
前記エフェクター分子が、Bclx、CAD−タンパク質、カスパーゼおよびIκBからなる群より選択された細胞内調節タンパク質である請求項1〜4のいずれか1項に記載のキメラタンパク質。
【請求項19】
請求項1〜18のいずれか1項に記載のキメラタンパク質をコードする単離DNA配列。
【請求項20】
さらに、真核細胞における分泌のためのシグナルペプチドをコードする請求項19記載のDNA配列。
【請求項21】
TBP−PEまたはそのムテイン、融合タンパク質、機能的誘導体、円順列誘導体または活性画分のアミノ酸配列をコードする請求項19または20記載のDNA、。
【請求項22】
配列番号:1のヌクレオチド配列に相当する請求項21記載のDNA。
【請求項23】
請求項19〜22のいずれか1項に記載のDNA配列を含む発現ベクター。
【請求項24】
請求項23記載の発現ベクターを含む宿主細胞。
【請求項25】
前記細胞が真核細胞である請求項24記載の宿主細胞。
【請求項26】
前記真核細胞が、HeLa、CHO、HEK293、THPI、酵母および昆虫細胞からなる群から選択される請求項25記載の宿主細胞。
【請求項27】
前記細胞が原核細胞である請求項24記載の宿主細胞。
【請求項28】
請求項24〜27のいずれか1項に記載の宿主細胞を培養すること、および産生されたキメラタンパク質を単離すること、を含む請求項1〜18のいずれか1項に記載のキメラタンパク質の製造方法。
【請求項29】
産生された前記キメラタンパク質が、TBP−PE、またはそのムテイン、融合タンパク質、機能的誘導体、円順列誘導体または活性画分である請求項28記載の方法。
【請求項30】
請求項1〜18のいずれか1項に記載のキメラタンパク質および薬学的に許容され得る担体を含む医薬組成物。
【請求項31】
前記キメラタンパク質が、TBP−PE、そのムテイン、融合タンパク質、機能的誘導体、円順列誘導体、活性画分または塩である請求項30記載の医薬組成物。
【請求項32】
請求項19〜22のいずれか1項に記載のDNAおよび薬学的に許容され得る担体を含む医薬組成物。
【請求項33】
請求項23に記載のベクターおよび薬学的に許容され得る担体を含む医薬組成物。
【請求項34】
疾患の治療のための医薬品の製造における請求項1〜18のいずれか1項に記載のキメラタンパク質の使用。
【請求項35】
前記疾患が自己免疫疾患である請求項34記載の使用。
【請求項36】
前記キメラタンパク質が、TBP−PE、またはそのムテイン、融合タンパク質、機能的誘導体、円順列誘導体、活性画分または塩からなる請求項35記載の使用。
【請求項37】
TNF/NGFファミリーのレセプターのリガンドが、疾患の発病および/または経過に関与する、疾患の治療のための請求項34記載の使用。
【請求項38】
前記疾患の発病および/または経過に関与する前記リガンドが、TNFである請求項37記載の使用。
【請求項39】
前記疾患が、敗血性ショック、移植片対宿主疾患、マラリア、関節性肝炎および結核からなる群より選択される急性疾患である請求項38記載の使用。
【請求項40】
疾患が、慢性移植片対宿主疾患、関節リウマチ、若年性糖尿病、癌関連悪液質、炎症性腸疾患(IBD)および乾癬からなる群より選択される慢性疾患である請求項38記載の使用。
【請求項41】
キメラタンパク質が、TBP−PE、またはそのムテイン、融合タンパク質、機能的誘導体、円順列誘導体、活性画分または塩からなる請求項37〜40のいずれか1項に記載の使用。
【請求項42】
前記疾患が癌であり、前記キメラタンパク質が、癌細胞によって発現されるTNF/NGFファミリーのレセプターのリガンドに結合する請求項34記載のキメラタンパク質の使用。
【請求項43】
前記リガンドがTNFである請求項42記載の使用。
【請求項44】
前記キメラタンパク質が、TBP−PE、またはそのムテイン、融合タンパク質、機能的誘導体、円順列誘導体、活性画分または塩からなる請求項43記載の使用。
【請求項45】
前記癌が上皮由来である請求項44記載の使用。
【請求項46】
前記癌が乳癌である請求項45記載の使用。
【請求項47】
キメラタンパク質が結合するリガンドを発現している有害な細胞を殺すための、自己移植前に癌患者の幹細胞を治療するための医薬品の製造における請求項1〜18のいずれか1項に記載のキメラタンパク質の使用。
【請求項48】
前記キメラタンパク質が、幹細胞の採取前に患者に投与される請求項47記載の使用。
【請求項49】
TNFを発現している上皮細胞が、疾患の発病および/または経過に関与している疾患の治療のための医薬品の製造における、TBP−PE、またはそのムテイン、融合タンパク質、機能的誘導体、円順列誘導体、活性画分または塩の使用。
【請求項50】
前記疾患が、乳癌、移植片対宿主疾患(GVH)、乾癬および炎症性腸疾患(IBD)からなる群より選択される請求項49記載の使用。
【請求項51】
前記炎症性腸疾患が、クローン病または潰瘍性大腸炎である請求項50記載の使用。
【請求項52】
必要としている対象に、治療的に有効量の、請求項1〜18のいずれか1項に記載のキメラタンパク質を投与することを含む、自己免疫疾患の治療方法。
【請求項53】
前記キメラタンパク質が、TBP−PE、またはそのムテイン、融合タンパク質、機能的誘導体、円順列誘導体、活性画分または塩からなる請求項52記載の方法。
【請求項54】
必要とする対象に、治療的に有効量の、請求項1〜18のいずれか1項に記載のキメラタンパク質を投与することを含む、TNF/NGFファミリーのレセプターのリガンドの活性が、前記疾患の発病、または経過に関与する、疾患の治療方法。
【請求項55】
前記疾患の発病または経過に関与する前記リガンドが、TNFである請求項54記載の方法。
【請求項56】
前記疾患が、敗血性ショック、移植片対宿主疾患、マラリア、感染性肝炎および結核からなる群より選択される急性疾患である請求項55記載の方法。
【請求項57】
疾患が、慢性移植片対宿主疾患、関節リウマチ、若年性糖尿病、癌関連悪液質、炎症性腸疾患(IBD)および乾癬からなる群より選択される慢性疾患である請求項55記載の方法。
【請求項58】
前記キメラタンパク質が、TBP−PE、またはそのムテイン、融合タンパク質、機能的誘導体、円順列誘導体、活性画分または塩からなる請求項54〜57のいずれか1項に記載の方法。
【請求項59】
必要とする対象に、治療的に有効量の請求項1〜18のいずれか1項に記載のキメラタンパク質を投与することを含む、前記癌細胞が、TNF/NGFファミリーのレセプターのリガンドを発現する癌の治療方法。
【請求項60】
前記リガンドがTNFである請求項59記載の方法。
【請求項61】
前記キメラタンパク質が、TBP−PE、またはそのムテイン、融合タンパク質、機能的誘導体、円順列誘導体、活性画分または塩からなる請求項59または60のいずれか1項に記載の方法。
【請求項62】
前記癌が上皮由来である請求項61記載の方法。
【請求項63】
前記癌が乳癌である請求項62記載の方法。
【請求項64】
必要とする対象に、治療的に有効量の請求項1〜18のいずれか1項に記載のキメラタンパク質を投与することを含む、自己移植の前に、TNFを発現している骨髄および/または動員末梢血細胞有害な細胞を殺すための方法。
【請求項65】
前記キメラタンパク質を、骨髄細胞または動員末梢血細胞の採取前に必要な対象に投与する請求項64記載の方法。
【請求項66】
必要な対象に、治療的に有効量のTBP−PE、またはそのムテイン、融合タンパク質、機能的誘導体、円順列誘導体、活性画分または塩を投与することを含む、TNFを発現している上皮細胞が、前記疾患の発病および/または経過に関与する疾患の治療方法。
【請求項67】
前記疾患が、乳癌、移植片対宿主疾患、乾癬および炎症性腸疾患からなる群より選択される請求項66記載の方法。

【図1A−B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図1E】
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【図1F】
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【図1G】
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【図1H】
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【図2A−B】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A−B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図6D】
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【図7】
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【公表番号】特表2008−504810(P2008−504810A)
【公表日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−517654(P2007−517654)
【出願日】平成17年6月28日(2005.6.28)
【国際出願番号】PCT/IL2005/000689
【国際公開番号】WO2006/001023
【国際公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【出願人】(500018608)イエダ リサーチ アンド ディベロップメント カンパニー リミテッド (35)
【Fターム(参考)】