説明

キャスター付き機器、免震用支承装置、免震対象物の変位抑制装置、免震対象物の変位抑制ユニット及び回転慣性付加装置

【課題】相対変位を抑制可能なキャスター付き機器、免震用支承装置、免震対象物の変位抑制装置、免震対象物の変位抑制ユニットの提供。
【解決手段】キャスター付き機器のキャスタ5は、車輪9と、シャフト11を介して車輪を支持するフォーク13と、フォークに連結された旋回部15と、旋回部に固定された取付部17とを有している。車輪9の外周面には第1の面ファスナ23が貼り付けられ、キャスタの載置面7には第2の面ファスナ25が取付けられている。第1の面ファスナ23と第2の面ファスナ25との引き剥がしに対する抵抗力(剥離抵抗)により車輪9の転がりに対する抵抗力(剥離摩擦抵抗)が生じる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャスター付き機器、免震用支承装置、免震対象物の変位抑制装置、免震対象物の変位抑制ユニット及び回転慣性付加装置に関する。
【背景技術】
【0002】
支持構造物に対して水平方向に移動可能に免震対象物を支持する免震装置が知られている(例えば特許文献1)。免震装置が設けられることにより、支持構造物の振動が免震対象物へ伝達されることが抑制され、ひいては、免震対象物に大きな加速度が加えられることが抑制される。また、キャスター付き機器は、床面などの載置面に対して移動可能であるので、免震装置を有する機器と捉えることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−79662号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
免震装置においては、免震対象物と、免震されていないものとの相対変位を抑制する必要性が生じることがあり、そのための方策も種々提案されている。種々の方策は、それぞれ長所及び短所を有していることから、目的に照らして好適な方策を選択できるように、新たな方策の提案がなされて技術の豊富化が図られることが好ましい。
【0005】
本発明の目的は、相対変位を抑制可能なキャスター付き機器、免震用支承装置、免震対象物の変位抑制装置、免震対象物の変位抑制ユニット及び回転慣性付加装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のキャスター付き機器は、所定の載置面を転がり可能な車輪を含むキャスターを有し、前記載置面及び前記車輪の外周面は、当接状態から離間状態への移行に対する抵抗力を発揮可能に構成されている。
【0007】
好適には、前記載置面は第1の面ファスナーにより構成され、前記車輪の外周面は前記第1の面ファスナーに着脱可能な第2の面ファスナーにより構成されている。
【0008】
本発明の免震用支承装置は、所定面を転がり可能な回転体により免震対象物を水平方向に移動可能に支持する免震用支承装置であって、前記所定面及び前記回転体の外周面は、当接状態から離間状態への移行に対する抵抗力を発揮可能に構成されている。
【0009】
好適には、前記所定面は、第1の面ファスナーにより構成され、前記回転体の外周面は前記第1の面ファスナーに着脱可能な第2の面ファスナーにより構成されている。
【0010】
本発明の免震対象物の変位抑制装置は、所定面を転がることにより免震対象物の移動を許容し、転がりの停止により前記免震対象物の移動を規制する回転体を有し、前記所定面及び前記回転体の外周面は、当接状態から離間状態への移行に対する抵抗力を発揮可能に構成されている。
【0011】
本発明の免震対象物の変位抑制ユニットは、所定面を有し、免震対象物及び非免震対象物の一方に固定される第1取付部材と、前記所定面を転がり可能な複数の回転体と、前記複数の回転体を軸支し、前記免震対象物及び前記非免震対象物の他方に固定される第2取付部材と、を有し、前記所定面及び前記回転体の外周面は、当接状態から離間状態への移行に対する抵抗力を発揮可能に構成されている。
【0012】
本発明の回転慣性付加装置は、免震対象物の移動に伴って回転する入力回転体と、前記入力回転体の回転が伝達される回転質量体と、前記入力回転体から前記回転質量体までの回転の伝達経路に設けられ、所定面を転がることにより、前記所定面を転がらないときよりも回転の伝達率を低下させる中継回転体と、を有し、前記所定面及び前記中継回転体の外周面は、当接状態から離間状態への移行に対する抵抗力を発揮可能に構成されている。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、免震対象物の相対変位を好適に抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1(a)及び図1(b)は本発明の第1の実施形態に係るキャスター付き機器を示す模式図。
【図2】図1(a)のキャスター付き機器のキャスター周辺の拡大図。
【図3】図2のキャスターの面ファスナーの一部を拡大して示す模式図。
【図4】本発明の第2の実施形態に係る転がり支承装置を示す断面図。
【図5】本発明の第3の実施形態に係る変位抑制ユニットを示す図。
【図6】図6(a)及び図6(b)は本発明の第4の実施形態の回転慣性付加ユニットを透視して示す上面図及び側面図。
【図7】図7(a)及び図7(b)は図6の回転慣性付加ユニットの回転装置を透視して示す側面図及び上面図。
【図8】図8(a)は図7(a)のVIIIa−VIIIa線における断面図、図8(b)は図8(a)のVIIIb−VIIIb線における断面図。
【図9】図8の剥離摩擦機構の効果を説明する図。
【図10】図10(a)〜図10(c)は剥離摩擦機構の変形例を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<第1の実施形態>
図1(a)及び図1(b)は、本発明の第1の実施形態に係るキャスター付き機器1を示す模式図である。
【0016】
キャスター付き機器1は、例えば、医療用機器、椅子、台車、棚である。図1では医療用機器を模式的に示している。キャスター付き機器1は、機器本体部3と、機器本体部3を支持するキャスター5とを有している。
【0017】
キャスター付き機器1は、載置面7に載置されており、図1(a)及び図1(b)に示すように、載置面7に沿う方向(水平方向)に移動可能である。載置面7は、例えば、支持構造物31の床面である。載置面7の少なくとも一部は、第2の面ファスナー25により構成されている。
【0018】
図2は、キャスター5周辺の拡大図である。
【0019】
キャスター5は、例えば、車輪9と、車輪9をシャフト11を介して支持するフォーク13と、フォーク13に連結された旋回部15と、旋回部15に固定された取付部17とを有している。
【0020】
車輪9とシャフト11とは相対回転可能であり、及び/又は、シャフト11とフォーク13とは相対回転可能であり、車輪9は載置面7を転がることが可能である。旋回部15は、車輪9の回転軸に直交する軸(鉛直軸)回りに回転可能にフォーク13に連結されている。これにより、車輪9は水平方向における向きを変えて、任意の方向へ転がることが可能となっている。取付部17は、旋回部15と一体的に形成されるなどし、旋回部15に固定されている。そして、ネジなどにより機器本体部3に固定されている。
【0021】
車輪9は、概略円盤状に形成された車輪本体部19と、車輪本体部19の外周面に設けられたタイヤ21と、タイヤ21の外周面に設けられた第1の面ファスナー23とを有している。
【0022】
車輪本体部19及びタイヤ21は、一般に市販されている車輪である。車輪9は、その市販の車輪の外周面に第1の面ファスナー23を取り付けることにより構成されている。車輪本体部19は、例えば、金属又は比較的硬質の樹脂により形成されている。タイヤ21は、例えば、ゴム又は比較的軟質の樹脂により形成されている。
【0023】
第1の面ファスナー23は、例えば、シート状(テープ状)部材である。第1の面ファスナー23のタイヤ21の外周面への取り付けは、接着剤、接着剤が塗布された布、ネジ、又は、係合部材などの適宜な固定手段により行われる。
【0024】
第1の面ファスナー23は、載置面7を構成する第2の面ファスナー25に対して着脱可能なものであり、その着脱可能な面を外側に向けてタイヤ21に貼り付けられている。従って、車輪9が第2の面ファスナー25を転がるときには、第1の面ファスナー23と第2の面ファスナー25との引き剥がしに対する抵抗力(剥離抵抗)により、車輪9の転がりに対する抵抗力(剥離摩擦抵抗)が生じる。
【0025】
図3は、第1の面ファスナー23及び第2の面ファスナー25の一部を拡大して示す模式図である。
【0026】
第1の面ファスナー23及び第2の面ファスナー25の一方は、複数のフック27を有し、他方は、複数のループ29を有している。複数のフック27と複数のループ29とが係合することにより、第1の面ファスナー23及び第2の面ファスナー25は互いに固定される。そして、第1の面ファスナー23及び第2の面ファスナー25を引き剥がすときには、複数のフック27と複数のループ29との係合解除に複数のフック27の変形を要し、その結果、剥離抵抗が生じる。
【0027】
フック27は、例えば、樹脂により形成されている。ループ29は、例えば、繊維により形成されている。フック27及びループ29の径は、一般的な面ファスナーと同程度でもよいし、それよりも大きくてもよい。例えば、ループ29は、500〜1000デニールの繊維により構成されるなど、一般的な面ファスナーの繊維よりも太い繊維により構成されてよい。
【0028】
以上の第1の実施形態によれば、地震などにより支持構造物31に振動が加えられると、キャスター付き機器1は、支持構造物31に対して水平方向に相対移動しようとする。振動の加速度が低いときには、第1の面ファスナー23と第2の面ファスナー25との剥離抵抗により、車輪9は転がらず、キャスター付き機器1は相対移動しない。これにより、長周期の地震が生じたときなどに大きな相対変位が生じることが抑制される。一方、振動の加速度が大きいときには、車輪9は転がり、キャスター付き機器1は相対移動する。これにより、キャスター付き機器1に大きな加速度が加えられることが抑制される。なお、キャスター付き機器1が相対移動しているときにも、剥離摩擦抵抗による変位抑制効果は発揮される。
【0029】
また、第1の面ファスナー23及び第2の面ファスナー25の剥離抵抗は、キャスター付き機器1の載置面7に直交する方向(鉛直方向)への運動を規制することにも作用する。従って、地震などにより支持構造物31に振動が加えられたときや人為的にキャスター付き機器1に水平方向の荷重が加えられたときなどにおいて、キャスター付き機器1の転倒が抑制される。
【0030】
<第2の実施形態>
図4は、本発明の第2の実施形態に係る転がり支承装置(免震装置)51を示す断面図である。
【0031】
支承装置51は、支持構造物53に対して免震対象物55を水平方向に移動可能に支持する装置である。支持構造物53及び免震対象物55は、例えば、基盤及び基盤に支持される建築物、又は、建築物及び建築物に支持される家具である。
【0032】
支承装置51は、支持構造物53に固定された下プレート57Aと、免震対象物55に固定された上プレート57Bと、下プレート57A及び上プレート57Bの間に介在する球体59とを有している。なお、以下では、下プレート57A及び上プレート57Bを単に「プレート57」といい、両者を区別しないことがある。
【0033】
2つのプレート57は、鉛直方向において互いに対向して配置されている。プレート57の対向面57aは、例えば、凹状に形成されている。なお、対向面57aは、水平方向の任意の方向から見た断面において凹状に形成されている。球体59は、対向面57aを水平方向の任意の方向へ転がり可能である。
【0034】
従って、地震などにより支持構造物53に振動が加えられたときには、球体59が対向面57aを転がる。これにより、免震対象物55は支持構造物53に対して水平方向に移動し、免震対象物55に加速度が加えられることが抑制される。また、対向面57aが凹状に形成されていることにより、免震対象物55の運動エネルギーは免震対象物55の位置エネルギーに変換される。これにより、免震対象物55の水平方向の相対変位が抑制されるとともに、支持構造物53の振動終了後、免震対象物55は凹部の最下部に復帰する。
【0035】
プレート57は、プレート本体61と、対向面57aを構成する第2の面ファスナー67を有している。また、球体59は、球体本体63と、球体59の外周面を構成する第1の面ファスナー65とを有している。
【0036】
プレート本体61及び球体本体63は、例えば、金属により形成されている。免震対象物55が家具等の軽量のものである場合には、プレート本体61及び球体本体63は、樹脂により形成されていてもよい。
【0037】
第1の面ファスナー65及び第2の面ファスナー67は、互いに着脱可能なものであり、その着脱可能な面を外側に向けて球体本体63及びプレート本体61に貼り付けられている。第1の面ファスナー65は、球体本体63の全面を覆い、第2の面ファスナー67は、対向面57aの全面を覆っている。なお、第1の面ファスナー65及び第2の面ファスナー67の概略構成や貼り付け方法は、第1の実施形態と同様である。
【0038】
以上の第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の変位抑制効果が得られる。すなわち、振動の加速度が低いときには、第1の面ファスナー65及び第2の面ファスナー67の剥離抵抗により、球体59は転がらず、免震対象物55は支持構造物53に対して相対移動しない。これにより、長周期の地震が生じたときなどに大きな相対変位が生じることが抑制される。一方、振動の加速度が大きいときには、球体59は転がり、免震対象物55は相対移動する。これにより、免震対象物55に大きな加速度が加えられることが抑制される。なお、球体59が転がっているときにも、剥離摩擦抵抗による変位抑制効果は発揮される。
【0039】
<第3の実施形態>
図5は、第3の実施形態に係る変位抑制ユニット101を示す図である。
【0040】
変位抑制ユニット101は、非免震対象物103及び免震対象物105の相対変位を抑制するためのものである。非免震対象物103及び免震対象物105は、例えば、基盤及び基盤に支持される建築物、又は、建築物及び建築物に支持される家具である。
【0041】
変位抑制ユニット101は、非免震対象物103及び免震対象物105の一方に固定される第1取付部材107と、非免震対象物103及び免震対象物105の他方に固定される第2取付部材109とを有している。第1取付部材107又は第2取付部材109の非免震対象物103又は免震対象物105に対する固定は、ネジや接着剤などの適宜な方法により行われる。
【0042】
第1取付部材107は、例えば、概略板状に形成されており、第2取付部材109に対向する転動面113を有している。転動面113は、例えば、平面状に構成されている。第2取付部材109は、複数の車輪111を軸支している。複数の車輪111は、転動面113を転がり可能である。
【0043】
複数の車輪111は、車輪本体115と、車輪本体115の外周面に設けられた第1の面ファスナー119とを有している。また、第1取付部材107は、部材本体117と、転動面113の少なくとも一部を構成する第2の面ファスナー121とを有している。
【0044】
車輪本体115及び部材本体117は、金属や樹脂などの適宜な材料により形成されている。第1の面ファスナー119及び第2の面ファスナー121は、互いに着脱可能なものである。なお、第1の面ファスナー119及び第2の面ファスナー121の概略構成や貼り付け方法は、第1の実施形態と同様である。
【0045】
以上の第3の実施形態によれば、第1及び第2の実施形態と同様の変位抑制効果が得られる。
【0046】
なお、変位抑制ユニット101は、非免震対象物103に対して免震対象物105を支持する機能を有していてもよいし、有していなくてもよい。例えば、非免震対象物103及び免震対象物105が、建築物及び建築物に支持される家具である場合に、変位抑制ユニット101は、床面と家具との間に配置されて、家具を支持する転がり支承装置として機能してもよいし、壁面と免震された家具との間に配置されて、支承装置として機能せず、変位抑制機能のみを発揮してもよい。換言すれば、図5は、平面図と捉えられてもよいし、側面図と捉えられてもよい。
【0047】
<第4の実施形態>
図6(a)は、本発明の第4の実施形態の回転慣性付加ユニット201を透視して示す上面図である。図6(b)は回転慣性付加ユニット201を透視して示す側面図である。
【0048】
回転慣性付加ユニット201は、複数(本実施形態では4つを例示)の回転慣性付加装置203A〜203D(以下、A〜Dを省略することがある。)を有している。回転慣性付加装置203は、支持構造物151(図6(b))と、支持構造物151に水平方向に移動可能に支持される免震対象物153(図6(b))との相対移動を回転慣性の回転運動に変換するものである。
【0049】
ただし、回転慣性付加装置203は、免震対象物153を支持構造物151に対して水平方向へ移動可能に支持する支承機構としても機能している。換言すれば、回転慣性付加装置203は、支承機構を含む免震装置としても機能する。なお、回転慣性付加装置203を組み合わせた回転慣性付加ユニット201も、回転慣性付加装置として機能するとともに、免震装置として機能する。
【0050】
回転慣性付加装置203は、免震対象物153に連結され、免震対象物153と共に振動する可動部材205と、可動部材205の振動によって回転軸RA回りに回転されるアーム207と、アーム207を支持構造物151に対して軸支するコネクタ209と、支持構造物151に設けられ、コネクタ209から入力された回転を回転慣性の回転運動に変換する回転装置211とを有している。
【0051】
可動部材205は、例えば、概ね円柱状に形成されており、鉛直方向を円柱の軸方向にして配置されている。可動部材205は、免震対象物153に固定されており、免震対象物153と一体的に水平方向に移動可能である。
【0052】
アーム207は、例えば、回転軸RAが鉛直軸となるように設けられるとともに、回転軸RAから水平方向に直線状に延びている。アーム207は、回転軸RAを中心とする円の半径方向において可動部材205と相対移動可能、且つ、回転軸RAを中心とする円の接線方向において可動部材205と係合可能(相対移動不可能)に構成されている。
【0053】
具体的には、アーム207には、可動部材205が摺動可能に挿入される溝部207a(図6(a))が形成されている。溝部207aは、アーム207の長手方向に沿ってコネクタ209側からアーム207の先端側(半径方向外側)へ延びている。可動部材205は、免震対象物153が振動していないときは、例えば、溝部207aの長手方向中央に配置されている。可動部材205には、可動部材205の溝部207aからの抜けを防止するための鍔部等が適宜に設けられている。
【0054】
コネクタ209は、例えば、概ね円柱状に形成されており、アーム207の回転軸RA側の端部に固定されている。コネクタ209は、回転装置211を介して支持構造物151に回転軸RA回りに回転可能に軸支されており、アーム207とともに回転可能である。
【0055】
また、コネクタ209は、上面に設けられた被滑動面209a(図6(b))により、免震対象物153の下面に設けられた滑動面151aを支持している。滑動面151aは、概ね水平であるとともに、被滑動面209aよりも広い。被滑動面209a及び滑動面151aは、静摩擦係数が比較的低く形成されており、互いに摺動可能である。被滑動面209a及び滑動面151aの静摩擦係数は、例えば、0.2未満である。回転慣性付加装置203は、被滑動面209aにより免震対象物153を支持することにより、支承機構として機能する。
【0056】
回転慣性付加ユニット201に設けられた複数の回転慣性付加装置203は、免震対象物153が振動していないときにおいて、アーム207の長手方向が互いに異なる向きになるように配置されている。例えば、4つの回転慣性付加装置203は、2つはアーム207が一方向(x方向)に、他の2つが当該一方向に直交する方向(y方向)に沿って配置されている。また、互いに同一方向にアーム207が沿う回転慣性付加装置203は、コネクタ209からアーム207の先端側への方向が互いに逆方向になるように配置されている。
【0057】
図7(a)は、回転装置211を透視して示す側面図である。図7(b)は、回転装置211を透視して示す上面図である。なお、図7(a)及び図7(b)は、概念的なものであり、歯車の歯数や歯の大きさは精緻なものではない。
【0058】
回転装置211は、コネクタ209(図7(a))に固定され、コネクタ209とともに回転軸RA回りに支持構造物151に対して回転可能な回転筐体225と、回転筐体225の回転を増速する歯車機構227と、歯車機構227により増速された回転が伝達される回転質量体229とを有している。
【0059】
回転筐体225は、例えば、回転軸RAを軸とする概ね筒状に形成されている。回転筐体225は、支持構造物151に対して回転軸RA回りに回転可能に軸支されている。例えば、回転装置211は、図7(a)に示すように、支持構造物151に固定された下板231と、下板231に立設された柱部材233と、柱部材233に支持された上板235と、下板231及び上板235に軸支されたメイン軸部材237とを有しており、回転筐体225は、メイン軸部材237が回転筐体225に回転可能に挿通されることにより、回転軸RA回りに回転可能となっている。また、回転筐体225は、図7(a)に示すように、外周面部の下部側の縁部がベアリング239を介して下板231に支持されることにより、回転軸RA回りに回転可能となっている。なお、コネクタ209は、回転筐体225を介して支持構造物151に軸支されている。
【0060】
歯車機構227は、回転筐体225に収容されている。具体的には、歯車機構227は、下板231及び上板235の間に配置されている。歯車機構227は、回転筐体225の外周面部の内側面に形成された入力ギヤ部225a(図7(b))と、入力ギヤ部225aに噛合する第1ギヤ241と、第1ギヤ241と噛合する小径ギヤ243a及び小径ギヤ243aよりも大径の大径ギヤ243bを有する第2ギヤ243と、第2ギヤ243の大径ギヤ243bと噛合する第3ギヤ245とを有している。
【0061】
第1ギヤ241及び第2ギヤ243は、それぞれ、下板231及び上板235に支持された軸部材を介して支持構造物151に対して回転軸RAに平行な回転軸回りに回転自在に支持されている。第3ギヤ245は、メイン軸部材237に固定されている。メイン軸部材237には、回転質量体229が固定されている。従って、回転筐体225の回転は、入力ギヤ部225a、第1ギヤ241及び第2ギヤ243を介して第3ギヤ245に伝達され、回転質量体229は第3ギヤ245とともに一体的に回転する。
【0062】
第1ギヤ241の歯数は、入力ギヤ部225aの歯数よりも少なく、第1ギヤ241は回転筐体225よりも高速で回転する。第2ギヤ243の小径ギヤ243aの歯数は、第1ギヤ241の歯数よりも少なく、第2ギヤ243は第1ギヤ241よりも高速で回転する。第3ギヤ245の歯数は、第2ギヤの大径ギヤ243bの歯数よりも少なく、第3ギヤ245は第2ギヤ243よりも高速で回転する。従って、歯車機構227により回転筐体225の回転が増速されて回転質量体229に伝達される。
【0063】
回転質量体229は、回転筐体225に収容されている。具体的には、回転質量体229は、回転筐体225の上方側の端面と、上板235との間に配置されている。回転質量体229は、メイン軸部材237に固定されることにより、支持構造物151に対して軸支されている。回転質量体229は、例えば、歯車機構227に含まれるギヤよりも回転慣性が大きくなるように、金属等の密度の高い材質により形成されるとともに、外径が大きく設定されている。
【0064】
コネクタ209は、アーム207に固定される第1スライダ213と、回転筐体225に固定される第2スライダ215とを有している。第1スライダ213及び第2スライダ215は、回転の加速度が大きいときには互いに相対回転し、回転の加速度が小さいときには一体的に回転するように構成されている。具体的には、以下のとおりである。
【0065】
図8(a)は、図7(a)のVIIIa−VIIIa線における断面図である。図8(b)は、図8(a)のVIIIb−VIIIb線における断面図である。
【0066】
第1スライダ213は、第2スライダ215側に突出する突部213aを有している。突部213aは、回転軸RAと同軸であり、また、突部213aの平面形状(回転軸RA方向に見た形状)は、円形である。
【0067】
一方、第2スライダ215は、突部213aが収容される凹部215aを有している。凹部215a内においては、突部213aの周囲において第1スライダ213側へ突出する軸部215bと、軸部215bに軸支された複数の車輪251が設けられている。複数の車輪251の外周面は、突部213aの外周面213bに当接している。
【0068】
従って、第1スライダ213と、第2スライダ215とは、複数の車輪251が突部213aの外周面213bを転がることにより、回転軸RA回りに相対回転可能である。
【0069】
車輪251の外周面は、第1の面ファスナー253により構成されている。突部213aの外周面213bは、第2の面ファスナー255により構成されている。第1の面ファスナー253及び第2の面ファスナー255は、互いに着脱可能なものである。第1の面ファスナー253及び第2の面ファスナー255の概略構成や貼り付け方法は、第1の実施形態と同様である。
【0070】
以上の第1スライダ213及び第2スライダ215の構成によれば、第1スライダ213に伝達される回転の加速度が小さいときには、第1の面ファスナー253及び第2の面ファスナー255の剥離摩擦抵抗により、複数の車輪251の突部213aの外周面213bに対する転がりが規制される。その結果、第1スライダ213及び第2スライダ215は、相対回転が規制され、一体的に回転する。
【0071】
一方、第1スライダ213に伝達される回転の加速度が大きいときには、複数の車輪251は突部213aの外周面213bを転がる。その結果、第1スライダ213及び第2スライダ215は相対回転する。すなわち、第1スライダ213から第2スライダ215への回転の伝達率は低下する。なお、第1スライダ213及び第2スライダ215が相対回転しているときにも、剥離摩擦抵抗により、第1スライダ213から第2スライダ215へ回転は伝達され、第2スライダ215は回転する。
【0072】
次に、回転慣性付加ユニット201の動作を説明する。
【0073】
図6(a)において、免震対象物153が支持構造物151に対してy方向に移動する場合を考える。この場合、回転慣性付加装置203B及び203Dにおいては、アーム207が可動部材205から免震対象物153の移動方向(y方向)の力を受けて回転する。一方、回転慣性付加装置203A及び203Cにおいては、可動部材205は、溝部207aに沿って移動するだけであり、アーム207は回転しない。
【0074】
アーム207が回転する回転慣性付加装置203B及び203Dにおいては、アーム207が回転することにより、第1スライダ213が回転する。なお、第1スライダ213の回転の加速度は、免震対象物153の支持構造物151に対する振動の加速度に比例する。
【0075】
第1スライダ213の回転の加速度が小さい場合、第1スライダ213と第2スライダ215とは相対回転せず、第1スライダ213の回転は、全て第2スライダ215に伝達される。そして、第2スライダ215の回転は、歯車機構227を介して回転質量体229に伝達される。その結果、振動の一部は回転質量体229の運動エネルギーに変換され、免震対象物153の支持構造物151に対する変位が抑制される。
【0076】
一方、第1スライダ213の回転の加速度が大きい場合、第1スライダ213と第2スライダ215とは相対回転する。その結果、免震対象物153に大きな加速度が加えられることが抑制される。また、第1スライダ213の回転エネルギーの少なくとも一部は、剥離摩擦抵抗により消費される。
【0077】
このように、第1スライダ213及び第2スライダ215は、加速度に応じて、相対変位抑制効果が期待される状態と、加速度の抑制効果が期待される状態とを切り換える。
【0078】
振動終了後、免震対象物153は、支持構造物151に対して、振動前の位置(原点)からずれた位置において停止し得る。すなわち、残留変位が生じ得る。例えば、免震対象物153は、振動後、アーム207がy軸に傾斜した状態で停止する。そこで、免震対象物153に力を加えて、免震対象物153を原点に復帰させる。
【0079】
このとき、回転慣性付加装置203は、免震対象物153が支持構造物151に対して振動しているときと同様に動作する。ただし、免震対象物153には、静的荷重が加えられるから、回転慣性付加装置203は、加速度が低い振動が生じているときと同様に動作する。
【0080】
すなわち、第1スライダ213及び第2スライダ215は相対回転せず、免震対象物153の支持構造物151に対する移動は、回転質量体229の回転に変換される。免震対象物153を支持する被滑動面209aの摩擦抵抗は低く、また、低い加速度で回転されるときの回転質量体229の生じる抵抗は小さいことから、小さい荷重で免震対象物153は原点に復帰される。
【0081】
第4の実施形態によれば、第1〜第3の実施形態と類似した変位抑制効果が得られる。すなわち、振動の加速度が低いときには、剥離摩擦抵抗により、第1スライダ213及び第2スライダ215は相対回転せず、回転質量体229の回転による変位抑制が期待される。一方、振動の加速度が大きいときには、第1スライダ213及び第2スライダ215は相対回転する。これにより、免震対象物153に大きな加速度が加えられることが抑制される。
【0082】
第1スライダ213と第2スライダ215との間においては、剥離摩擦抵抗により、力の伝達が行われる。従って、第1スライダ213と第2スライダ215との間において、通常の摩擦抵抗により力を伝達する場合に比較して、好適に変位を抑制することができる。具体的には、以下のとおりである。
【0083】
図9は、第1スライダ213及び第2スライダ215の剥離摩擦機構の効果を説明する図である。横軸は振動の加速度、縦軸は第1スライダ213と第2スライダ215との間で伝達される力を示している。実線L1は、本実施形態のように剥離摩擦抵抗により力の伝達を行った場合の力の変化を示している。実線L2は、本実施形態とは異なり、通常の摩擦抵抗により力の伝達を行った場合の力の変化を示している。
【0084】
通常の摩擦抵抗により力の伝達を行った場合、加速度が小さいときは、力の伝達は静止摩擦力によりなされる。この間、振動の加速度が上昇するにつれ、伝達される力は徐々に上昇する。加速度が大きく、荷重が最大摩擦力を超えると(加速度a1)、力の伝達は動摩擦力により行われる。そして、伝達される力は最大摩擦力よりも低下するとともに、加速度の変化によらず、概ね一定の値となる。
【0085】
従って、通常の摩擦抵抗により力の伝達を行った場合、静止摩擦力から動摩擦力に切り換えられるときに、免震対象物153に衝撃が加えられるおそれがある。また、以下に述べるように、エネルギーの消費効率が低い。第1スライダ213と第2スライダ215との間で伝達される力の最大値は、免震対象物153の水平設計震度(後述)に応じて設定される。そして、摩擦機構は、最大摩擦力が、その最大値を超えないように設定される。従って、加速度a1以上の加速度のときに、摩擦力により消費されるエネルギーは、上記の最大値に対して小さい動摩擦力によるものであり、エネルギーの消費効率が低い。さらに、通常の摩擦抵抗は、垂直荷重によって大きさが変動することから、設計を複雑化させる。
【0086】
一方、本実施形態のように、剥離摩擦抵抗により力の伝達を行った場合は、伝達される力は、振動の加速度が上昇するにつれ大きくなる。そして、加速度が大きいときは、伝達される力は、概ね一定の値になる。従って、上述した通常の摩擦抵抗を利用する場合に比較して、滑らかに変位抑制が期待される状態と加速度抑制が期待される状態との遷移が行われ、且つ、加速度抑制が期待される状態への遷移後の、剥離摩擦抵抗によるエネルギーの消費効率もよい。また、剥離摩擦抵抗は、垂直荷重の影響を殆ど受けないことから、設計が容易化される。
【0087】
なお、第4の実施形態において、アーム207又は第1スライダ213は本発明の入力回転体の一例であり、車輪251は本発明の中継回転体の一例であり、突部213aの外周面213bは本発明の所定面の一例である。
【0088】
本発明は、以上の実施形態に限定されず、種々の態様で実施されてよい。
【0089】
当接状態から離間状態への移行に対する抵抗力を発揮する回転体の外周面及び所定面は、面ファスナーにより構成されるものに限定されない。
【0090】
例えば、図10(a)に示すように、回転体301の外周面に粘着性が付与され、所定面303は通常の床面などにより構成されてもよい。この場合、粘着により抵抗力が生じる。なお、粘着性は、外周面に接着剤305が塗布されたり、粘着性の材料によりタイヤが形成されることにより付与される。
【0091】
また、例えば、図10(b)に示すように、回転体311の外周面に複数の吸盤315が設けられ、所定面313は通常の床面などにより構成されてもよい。この場合、吸盤315の所定面313に対する吸着により抵抗力が生じる。
【0092】
また、例えば、図10(c)に示すように、回転体321の外周面及び所定面323の一方に複数の突部325が設けられ、他方に突部325が嵌合する凹部327が設けられてもよい。この場合、突部325が凹部327から引き抜かれるときに、突部325と凹部327との隙間が一時的に真空となり、抵抗力が生じる。
【0093】
面ファスナーは、互いに係合可能な複数の係合部(フック)及び被係合部(ループ)が設けられることにより着脱可能であればよく、実施形態に例示したものに限定されない。例えば、面ファスナーは、マッシュルーム型の係合部が用いられるものであってもよい。また、第1の面ファスナー及び第2の面ファスナーの少なくとも一方は、係合部及び被係合部の双方が設けられるものであってもよい。
【0094】
キャスターは、車輪が鉛直軸回りに回転可能な旋回キャスターに限定されず、車輪が鉛直軸回りに回転不可能な固定キャスターであってもよい。また、キャスターの車輪は、市販の車輪に面ファスナーを貼り付けた構成に限定されず、外周面を面ファスナーで構成する車輪が最初から設計されてもよい。車輪のタイヤは省略されてもよい。
【0095】
支承装置において、回転体が転がる所定面を構成するのは、レールであってもよい。また、支承装置の回転体は、球体に限定されず、車輪であってもよい。回転体は2つの所定面に挟まれるのではなく、シャフトにより軸支された車輪が一の所定面を転がってもよい。回転体が2つの所定面により挟まれる場合、離間に対する抵抗力を生じるのは、一方の所定面のみであってもよい。
【0096】
第1〜第3の実施形態は、いずれも、所定面を転がることにより免震対象物の移動を許容し、転がりの停止により免震対象物の移動を規制する回転体を有する変位抑制装置と捉えることができる。
【0097】
変位抑制装置は、免震対象物及び非免震対象物の少なくとも一方に対して転がるものに限定されない。例えば、第4の実施形態において、回転装置211が省略され、第2スライダ215が支持構造物151に固定されているときには、車輪251の突部213aの外周面213bに対する転がり又はその停止により、免震対象物153の相対変位が許容又は規制される。
【0098】
離間に対する抵抗力により生じる摩擦抵抗(実施形態では剥離摩擦抵抗)の大きさは、適宜に設定されてよい。例えば、以下のように設定されてよい。一般に、免震対象物(ビル、住宅、PCラック、医療機器など)は、適宜に水平設計震度(設計水平震度)が設定され、その水平設計震度に耐えうる強度となるように設計される。水平設計震度は、免震対象物の自重(重力加速度)に対する水平荷重(水平方向の加速度)の比で表わされ、例えば、自重相当の水平荷重は1で表わされる。水平設計震度は、免震対象物の種類、免震対象物が設置される地域などの種々の事情を考慮して設定され、一般には、0.2〜0.4である。
【0099】
ここで、免震対象物の加速度を抑制する効果が期待される状態(第1〜第3の実施形態では免震対象物が移動する状態、第4の実施形態では第1スライダ213及び第2スライダ215が相対回転する状態)は、少なくとも、免震対象物において水平設計震度以上の振動が生じているときには生じていることが好ましい。そこで、剥離摩擦抵抗等は、免震対象物において水平設計震度よりも小さい振動が生じているときに離間が生じるように設定されてよい。
【符号の説明】
【0100】
1…キャスター付き機器、5…キャスター、9…車輪、23…第1の面ファスナー、25…第2の面ファスナー。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の載置面を転がり可能な車輪を含むキャスターを有し、
前記載置面及び前記車輪の外周面は、当接状態から離間状態への移行に対する抵抗力を発揮可能に構成されている
キャスター付き機器。
【請求項2】
前記載置面は第1の面ファスナーにより構成され、
前記車輪の外周面は前記第1の面ファスナーに着脱可能な第2の面ファスナーにより構成されている
請求項1に記載のキャスター付き機器。
【請求項3】
所定面を転がり可能な回転体により免震対象物を水平方向に移動可能に支持する免震用支承装置であって、
前記所定面及び前記回転体の外周面は、当接状態から離間状態への移行に対する抵抗力を発揮可能に構成されている
免震用支承装置。
【請求項4】
前記所定面は、第1の面ファスナーにより構成され、
前記回転体の外周面は前記第1の面ファスナーに着脱可能な第2の面ファスナーにより構成されている
請求項3に記載の免震用支承装置。
【請求項5】
所定面を転がることにより免震対象物の移動を許容し、転がりの停止により前記免震対象物の移動を規制する回転体を有し、
前記所定面及び前記回転体の外周面は、当接状態から離間状態への移行に対する抵抗力を発揮可能に構成されている
免震対象物の変位抑制装置。
【請求項6】
所定面を有し、免震対象物及び非免震対象物の一方に固定される第1取付部材と、
前記所定面を転がり可能な複数の回転体と、
前記複数の回転体を軸支し、前記免震対象物及び前記非免震対象物の他方に固定される第2取付部材と、
を有し、
前記所定面及び前記回転体の外周面は、当接状態から離間状態への移行に対する抵抗力を発揮可能に構成されている
免震対象物の変位抑制ユニット。
【請求項7】
免震対象物の移動に伴って回転する入力回転体と、
前記入力回転体の回転が伝達される回転質量体と、
前記入力回転体から前記回転質量体までの回転の伝達経路に設けられ、所定面を転がることにより、前記所定面を転がらないときよりも回転の伝達率を低下させる中継回転体と、
を有し、
前記所定面及び前記中継回転体の外周面は、当接状態から離間状態への移行に対する抵抗力を発揮可能に構成されている
回転慣性付加装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−158080(P2011−158080A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−22770(P2010−22770)
【出願日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【出願人】(504190548)国立大学法人埼玉大学 (292)
【Fターム(参考)】