説明

キャッシュレジスタ

【目的】 小規模店舗等で機器を設置するスペースを充分に確保できないところでも、POSシステムを導入して、商品やサービスの管理に関する情報(商品別売上情報、在庫情報、仕入情報など)の処理を行えるようにする。
【構成】 商品の情報を読み取り可能な複数の入力端末27〜29とそれぞれ無線通信可能な無線通信部26と、それによって受信した入力端末からの商品情報によって商品の代金の精算を行う商品精算制御部51〜53と、同じくその商品情報によって商品の管理に関する処理を行う商品管理制御部54〜56と、その商品管理制御部が使用したり処理結果を蓄積するデータベース61〜62を格納するデータベース格納部と、商品精算制御部51〜53による精算情報および商品管理制御部54〜56による商品の管理状況を表示できるディスプレイと、キーボード及びキャッシュドロワとを備えており、POSシステムの商品管理機能を有するキャッシュレジスタ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、商品やサービスの販売時の代金精算機として使用されるキャッシュレジスタ(金銭登録機)に関し、特にPOSシステムにおける商品管理機能を備えたキャッシュレジスタに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、キャッシュレジスタが電子化され、単なる精算機ではなく、コンビニエンスストア(以下コンビニと呼ぶ)や小売店において現金を収納するコンピュータとして使用されるようになった。
また、以前は、顧客の購入商品の精算を行う際、店員がその金額を個別にキーボードから手操作で入力していた。しかし、バーコードスキャナが標準装備され、店員はキーボードで入力することなく、バーコードスキャナによって商品のバーコードを読み取るだけで金額入力ができるようになった(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、店内の商品在庫管理も、バーコードスキャナとキーボード入力装置を備えたハンディターミナルと呼ばれる端末機器にデータを入力することによって行われている。ハンディターミナルによる在庫管理が終わると、店舗内に設置してあるコンピュータに接続し、データを転送する。また、このコンピュータはキャッシュレジスタとも有線接続されており、先の在庫管理も行い店内にPOSシステムをも構成可能になった(例えば、特許文献2,3参照)。
さらに、キャッシュレジスタは、自動釣り銭出力機、携帯電話との情報送受信機、各種カードスキャナ等の付属機器を設置し、多機能レジスタとして構成されるようになってきている。
【0004】
【特許文献1】特開平9−62942号公報
【特許文献2】特開平7−93662号公報
【特許文献3】特開2002−63652号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、キャッシュレジスタが多機能化するということは、それに伴い筐体が大きくなり、スペースを多くとることは避けられない。
大型スーパーマーケットであれば、会計場所を広く取っているので、キャッシュレジスタの多少の大型化はあまり問題にはならない。しかしながら、コンビニや小売店では、小さいスペースで少しでも多くの商品を陳列しようとするので、キャッシュレジスタは小型であればあるほどよい。また、昼時や夕方は、小型店でも多くの客が訪れる。そのため、精算を待たせないために2台以上のキャッシュレジスタを置くところも少なくない。すると、さらに多くのスペースを必要とするという問題があった。
【0006】
また、前述のPOSシステムのためのコンピュータは、キャッシュレジスタより大きなものである。多くの店舗では事務室を個別に設けるほどのスペースはなく、倉庫と続いている場合が多い。ここでも、商品在庫を多く置くために機械類は小型であるのが望ましい。さらに、それらの機器を繋ぐ配線も設置する度に行うのは面倒な作業であり、最小限にするのが望ましい。
【0007】
この発明は上記の問題を解決するためになされたものであり、特にコンビニや小売店などの小規模店舗で機器を設置するスペースを充分に確保できないところでも、POSシステムを導入して、商品やサービスの管理に関する情報(商品別売上情報、在庫情報、仕入情報など)の処理を行えるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明によるキャッシュレジスタは上記の目的を達成するため、商品の情報を光学的に読み取り可能な複数の入力端末とそれぞれ無線通信可能な無線通信部と、その無線通信部によって受信した前記入力端末からの商品情報によって商品の代金の精算を行う商品精算制御部と、上記入力端末からの商品情報によって商品の管理に関する処理を行う商品管理制御部と、その商品管理制御部が商品の管理に関する処理を行う際に使用するデータベースと、その処理結果を蓄積するデータベースとを格納するデータベース格納部と、上記商品精算制御部による精算情報および前記商品管理制御部による商品の管理状況を表示できるディスプレイと、上記商品情報を手で入力するためのキーボードと、現金を収納するキャッシュドロワとを備えており、POSシステムの商品管理機能を有するようにしたものである。
【0009】
そして、上記商品精算制御部には、販売する商品の品名又は品名コードを登録する商品販売登録部と、販売する商品の価格の登録及び入金額に対する釣銭の計算を行う代金入出力管理部を含み、上記商品管理制御部には、商品在庫の管理を行う商品在庫管理部と、商品入荷の管理を行う商品入荷管理部と、商品廃棄の管理を行う商品廃棄管理部を含むことが望ましい。
また、上記商品管理制御部が商品の管理に関する処理を行う際に使用するデータベースは商品の品名コードと品名及び価格を含む商品情報データべースであり、上記商品管理制御部による処理結果を蓄積するデータベースは在庫管理データベース及び売上管理データベースであるとよい。
【0010】
さらに、上記ディスプレイとして、表示画面を顧客側に向けられる小ディスプレイと表示画面を店員側に向けられる大ディスプレイとを備え、その小ディスプレイには上記商品精算制御部による精算情報のみを表示し、上記大ディスプレイには上記商品精算制御部による精算情報と上記商品管理制御部による商品の管理状況とを表示できるようにするとよい。
その場合、上記小ディスプレイを複数設け、上記複数の入力端末のうちの異なる入力端末から個別に入力される商品情報に基づいて上記商品精算制御部によって個別に精算される精算情報を、その複数の小ディスプレイに個別に表示できるようにするとよい。
【0011】
また、上記大ディスプレイの表示画面を分割し、上記複数の入力端末のうちの異なる入力端末から個別に入力される商品情報に基づいて上記商品精算制御部によって個別に精算される精算情報を、上記大ディスプレイの分割した表示画面の複数の領域に個別に表示するようにすることもできる。
あるいは、上記大ディスプレイの表示画面を分割し、上記商品精算制御部によって精算される精算情報と、上記商品管理制御部による商品の管理状況とを、上記大ディスプレイの分割した表示画面の複数の領域に個別に表示するようにしてもよい。
【0012】
上記商品精算制御部と商品管理制御部とをそれぞれ上記複数の入力端末と同数ずつ設け、その各商品精算制御部と商品管理制御部によって、上記複数の入力端末から個別に入力する商品情報に基づいて個別に上記商品の代金の精算及び上記商品の管理に関する処理を行うようにするとよい。
その場合、上記複数の商品管理制御部のうちの1つの商品管理制御部を、それ以外の各部を備えたキャッシュレジスタ本体に対して着脱可能に設けてもよい。
【発明の効果】
【0013】
この発明によるキャッシュレジスタは、コンビニや小売店などにおける、商品販売やサービス提供時の精算作業と、POSシステムによる商品の管理に関する処理を1台のキャッシュレジスタで行うことができる。したがって、従来POSシステムを実現するために必要であった専用のコンピュータを設置する必要がなくなり、代金の清算のために最小限必要なキャッシュレジスタとそれに付随する光学的情報読取装置等の手持ち式端末装置だけで済み、スペースをとらず、ローコストでPOSシステムを導入することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、この発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて具体的に説明する。
〔ハードウェアの構成〕
図2は、この発明によるキャッシュレジスタの一実施例のハードウェア構成を示す図である。
【0015】
このキャッシュレジスタは、複数の入力端末27,28,29を無線接続することが可能であり、全体でPOSシステム10も構成している。
このキャッシュレジスタ1は、キーボード23、キャッシュドロワ25、大ディスプレイ15、2個の小ディスプレイ17,19、プリンタ21、および無線通信部26の各デバイスを備えている。
【0016】
これらの各デバイスは、それぞれキーボード制御回路22、キャッシュドロワ制御回路24、大ディスプレイ制御回路14、小ディスプレイ制御回路16及び小ディスプレイ制御回路18、およびプリンタ制御回路20によって制御され、それらの各制御回路はいずれも、CPU11及びRAM12、ROM13とバス30によって接続されており、そのCPU11とRAM12及びROM13によって構成されるマイクロコンピュータによって統括制御される。
【0017】
ROM13には、このキャッシュレジスタ1が後述する清算作業と管理作業を行うために最小限必要なプログラムと固定データが格納されており、RAM12は入力データやCPU11が処理中のデータなどを一時的に記憶する。CPU11はROM13に格納されたプログラムにしたがって、RAM12をワーキングメモリとして使用しながら、図2によって後述する各部の処理を実行する。
【0018】
キーボード23は、数字キーやファンクションキーを備えたキャッシュレジスタ用のものである。このキーボードは、キーボード制御回路22に接続され、キー入力により発生する電気信号をCPU11へ送る。
現金を収納するキャッシュドロワ25は引き出し式の釣り銭箱とも言われるもので、手前側には小分けされた仕切り部に小銭を種類別に入れ、紙幣を奥の方に収納できるように構成されたタイプのものが多い。お買い上げ商品等の代金計算が終わり、預かり金を入金し、釣り銭が計算されると、その釣り銭を出金するために、このキャッシュドロワ25が機械的に手前に引き出されるようになっている。その機械的な動作はキャッシュドロワ制御部によって駆動制御される。
【0019】
無線通信部26は、複数の入力端末27〜29と個別に通信することができ、各入力端末27〜29によって読み取ったバーコード等の光学的読取情報や、キーボードからの入力情報をそれぞれ受信して、CPU11へ伝送する。
入力端末27〜29は、商品や商品リスト、メニューなどに添付あるいは印刷されたバーコードや二次元コード等の光学的に読み取り可能な情報を、光学的に読み取る入力装置である。
例えば、ハンディスキャナと呼ばれる図3及び図4に示すような形態の光学的情報読取装置である。図3はそのハンディスキャナのバーコード読取状態を示す外観斜視図、図4はその側断面概略図である。
【0020】
このハンディスキャナ3は、ケース31内に、光投射手段としての光源であるLED32、反射ミラー33、スリット34、レンズ等の結像光学系35、光電変換手段である受光素子(CCDイメージセンサ)36、および信号処理部37を設けている。LED32は、ケース31の先端開口部に近い位置に配置されており、直接読み取り対象4の光反射率の異なる部分を有するバーコード記号4aに光を投射する。反射ミラー33はケース31内の折れ曲り部付近に配置されており、LED32による投射光によるバーコード記号4a前方からの反射光を受けて偏向させ、スリット34を通して結像光学系35に入射させる。結像光学系35はバーコード記号4aの像を受光素子36の受光面に結像させる。
【0021】
CCDイメージセンサによる受光素子36は、そのバーコード記号4aの像の濃淡を電気信号に変換して信号処理部37へ入力させる。信号処理部37は、アナログ処理部37aとデジタル処理部37bからなり、受光素子36によって光電変換された電気信号をアナログ処理及びデジタル処理し、バーコード記号を認識してそのコードデータを無線通信部38によって近距離無線通信でキャッシュレジスタ1に伝送する。ケース31の側面に押しボタンスイッチ39が設けられており、これを押すと読み取りを開始する。
【0022】
また、図5に示すようなハンディターミナルと呼ばれる形態のものでもよい。このハンディターミナル40は、ケース41の上面に多数の数字キーやファンクションキーを備えたキーボード42と、液晶表示器43を設け、前方にアンテナ44を突設した公知のもので、入力モードの変更が可能であり、バーコードスキャナし携帯型情報端末を兼ねたようなものである。その内部構成については説明を省略するが、図4に示したようなバーコード記号読取機構も備えている。
【0023】
このような入力端末27〜29とキャッシュレジスタ1内の無線通信部との通信プロトコルは限定する物ではないが、安価な近距離無線通信の規格である、Bluetooth、Zigbee、UWBなどを利用することができる。
ここでは、キャッシュレジスタ1と入力端末27,28,29は、マスタ機とスレーブ機との関係にある。キャッシュレジスタ1内の無線通信部26と各入力端末27,28,29との間でリンクの確立、共有確認コマンドの送受信、スレーブからマスタへのファイルの共有などを行って通信が可能になる。これらの作業は即座に行われることであり、たとい、入力端末27,28,29がそれぞれデータ送信しても、キャッシュレジスタ1内の無線通信部26でそれらを確実に受信して、個別にCPUに伝送することができる。
【0024】
大ディスプレイ15は表示画面を店員(オペレータ)側に向けられ、小ディスプレイ17,19はそれぞれ表示画面を顧客側に向けられる。これらの大ディスプレイ15と小ディスプレイ17,19の表示画面の向きは、調整可能にすることができる。
オペレータが、顧客が購入する商品情報を入力端末27〜29のいずれか若しくはキーボード23によって入力すると、それらの商品情報(品名や価格など)は各小ディスプレイ17又は小ディスプレイ19に表示される。
なお、これらのディスプレイは、キャッシュレジスタ側に設けた端子によって着脱可能にすれば、個数の増減が可能にになる。そして、小ディスプレイを備えず、大ディスプレイのみにしてもよいし、小ディスプレイを3個以上備えることも可能である。
【0025】
大ディスプレイ15では、表示画面が複数に分割され、小ディスプレイ17の表示情報及び小ディスプレイ19の表示情報と同じ情報が、それぞれその分割された領域に表示される。
デフォルトとして、大ディスプレイ15は左右に二分割されており、左半部には小ディスプレイ17と同じ情報が表示され、右半部には小ディスプレイ19と同じ情報が表示されるようになっている。この設定は変更することも可能である。
【0026】
プリンタ21は顧客のために商品購入情報を紙に印字して出力するためのデバイスである。先の小ディスプレイ17又は19に表示された情報が印字されると考えてよい。このプリンタ21はプリンタ制御回路20に接続されて制御されるものである。
なお、図示は省略しているが、このキャッシュレジスタ1内には、さらにハードディスク装置等の大容量の不揮発性メモリや、フレキシブルディスクや光ディスクなどの記録媒体に格納された各種プログラムやデータを取り込むためのディスクドライブ装置なども設けることができる。
【0027】
〔ソフトウェアの構成〕
図1は、上述したキャッシュレジスタ1のソフトウェア構成例を示す機能ブロック図である。
このキャッシュレジスタ1は、顧客が購入する商品を精算するための精算機能、及び店内にある商品の販売状況、在庫や仕入れなどの管理をする管理機能とをを有する。以下の説明において、「商品」には販売する物品だけでなく、レンタルする物品や、飲食店などで提供する料理や飲み物なども含のまれるものとする。
第1〜第3商品精算制御部51〜53が商品の代金の精算機能を実行し、第1〜第3商品管理制御部54〜56が商品の管理機能を実行する。
【0028】
第1商品精算制御部51には、販売する商品の品名又は品名コードを登録する商品販売登録部511、販売する商品の価格の登録及び入金額に対する釣銭の計算を行う代金入出力管理部152、及びそれらの情報を表示するための表示装置管理部513が設けられている。第2,第3商品精算制御部52,53も第1商品精算制御部51と同じ機能構成を有する。
第1商品管理制御部54には、商品在庫の管理を行う商品在庫管理部541、商品入荷の管理を行う商品入荷管理部542、商品廃棄の管理を行う商品廃棄管理部543、及びそれらの管理状況を表示するための表示装置管理部544が設けられている。第2,第3商品管理制御部55,56も第1商品管理制御部54と同じ機能構成を有する。
【0029】
第1〜第3商品精算制御部51〜53及び第1〜第3商品管理制御部54〜56は総合統括部57によって管理され、総合統括部57はそれらで処理された情報によって、商品情報データベース60、在庫管理データベース61及び売上管理データベース62の情報を書き換えることができる。以後「データベース」をDBと称す。商品情報DB60には、店舗で扱える商品のプロパティ(品名及び品名コード、価格、仕入先などの固有情報)が蓄積されている。在庫管理DB61には、商品精算制御部51〜53や商品管理制御部54〜56の情報によって、店舗にどのような商品が入荷し、販売され、保管されているかが記録される。売上管理DB62には、金銭の出し入れが記録され、売上げ状況がリアルタイムで記録される。
【0030】
これらの各データベースは必ずしも最初から保持している必要はなく、これらのデータを格納できるハードディスク等の不揮発性メモリによるデータベース格納部を備えていればよい。そして、商品情報DB60は、外部の記憶媒体から読み込んだり通信回線を介してダウンロードしたりしてもよい。在庫管理DB61と売上管理DB62は、使用の過程で順次蓄積あるいは書き換えていくものである。
上述した総合統括部57と各制御部51〜56,58,59,63は、図2に示したCPU11、RAM12、及びROM13とバス30によって構成されるマイクロコンピュータによって実現される機能である。なお、図2に示した各デバイス及び制御回路は、図1には示していない。
【0031】
入力端末27〜29は先に説明したものであり、後述するように単独で使用されたり、あるいは2つ以上同時に使用される場合がある。その複数の入力端末27〜29のいずれかあるいは複数送信される情報を無線通信部26で受信し、その入力情報を端末切替制御部63によって切り替えて総合統括部57へ送る。そして、その入力情報は、総合統括部57によって各制御部51〜56のうちの必要な制御部へ送られる。その際、メモリ制御部58によって図2に示したRAM12及びROM13に対するデータ書き込み及び又はデータ読み出しの制御を行う。
【0032】
〔販売時の精算作業の処理手順〕
ここで、顧客が購入する商品の精算作業の処理手順について説明する。
キャッシュレジスタ1前に並んだ顧客は、購入したい商品をレジ台の前に置く。例えば、客が120円の缶ジュース(品名コード:1101)と100円のパン(品名コード:1201を購入しようとしたとする。
【0033】
店員は、図3に示したような入力端末27〜29のいずれかを把持し、その各商品のバーコードを走査することによって、商品の品名コードと価格の情報をキャッシュレジスタ1に入力する。端末切替制御部63は、入力端末27〜29のうちのいずれがONになっているかを無線通信部26よって予め認証している。そして、入力端末27からの入力情報であれば、総合統括部57によってそれを第1商品精算制御部51に入力させる。具体的には、第1商品精算制御部51の商品販売登録部511に、品名コード:1101と品名コード:1201が登録され、代金入出力管理部512に120円と100円と合計金額220円が登録される。
【0034】
また同時に、表示制御部59は現在の状況を表示させるディスプレイを選択認証する。この構成では、デフォルトとして、入力端末27は図2に示した小ディスプレイ17を、入力端末28は同じく小ディスプレイ19を表示器として認証することが予め設定されている。また、図2に示した大ディスプレイ15の左半部は小ディスプレイ17と同じ表示、右半部は小ディスプレイ19と同じ表示がなされることも予め設定されている。
【0035】
すなわち、この実施例ではデフォルトにおける入力端末27〜29、小ディスプレイ17,19、および大ディスプレイ15の左半部と右半部の表示の組み合わせを次のように設定している。
入力端末27の情報 → 小ディスプレイ17 → 大ディスプレイ15の左半部
入力端末28の情報 → 小ディスプレイ19 → 大ディスプレイ15の右半部
【0036】
しかし、これはデフォルトの設定であり、使用用途によって変更することは可能であり、入力端末29からの入力情報を小ディスプレイ17,19のいずれかと、大ディスプレイ15の左右のいずれかの半部に表示させるようにすることもできる。
これらの設定情報は、各商品精算制御部51〜53の表示装置管理部513に登録される。
上述した商品販売登録部511に登録された売上品の品名情報及び代金入出力管理部512に登録された価格情報は、入力端末27による入力情報であるため、上記のデフォルト状態では、小ディスプレイ17と大ディスプレイ15の左半部に、図6に示すように表示される。
【0037】
ここで、店員が顧客から300円預かって、その金額を図2に示したキーボード23から入力すると、代金入出力管理部にそれが入力され釣銭が計算されて、預かり金300円と釣り銭80円が登録される。それによって、小ディスプレイ17及び大ディスプレイ15の左半部に、図7に示すように表示される。
この金銭の出し入れは、代金入出力管理部512で管理され、図2に示したキャッシュドロワ制御部24によってキャッシュドロワ25の開閉を駆動制御する。
【0038】
これらと並行して、入力端末28によって入力端末27とは別の顧客の商品精算をすることもできる。例えば、別の顧客が600円の弁当(品名コード:1401)と、150円の飲料水(品名コード:1102)を購入しようとしている場合、予め端末切替制御部63は入力端末28を無線通信部26を通して選択認証する。また、この時点で精算処理は第2商品精算制御部52が担うようにも設定される。第2商品精算制御部52には、第1商品精算制御部51と同様に、商品販売登録部、代金入出力管理部及び表示装置管理部を備えている。
【0039】
そして、入力端末28によって入力された商品の品名情報と価格情報は、第2商品精算制御部52の商品販売登録部と代金入出力管理部にそれぞれ登録される。このとき代金入出力管理部には合計金額も計算されて登録される。
それによって、その登録されてた情報が小ディスプレイ19と大ディスプレイ15の右半部に、図8に示すように表示される。このとき、小ディスプレイ17と大ディスプレイ15の左半部には、入力端末27によって入力して登録した情報が図7に示したのと同じに表示されている。
【0040】
なお、各入力端末27〜29から送信されるデータについては、その受信データを総合統括部57及びメモリ制御部58によって、随時図2に示したRAM12に一時記憶させるように制御をしているので、データ送信が競合してどちらかの入力端末がエラーになって使えなくなるということはない。
【0041】
〔在庫管理作業の処理手順〕
上述した精算処理と同時に商品の在庫管理処理も可能である。ここでは、キャッシュレジスタ1にハンディターミナル等の入力端末27〜29を接続して使用する。入力端末27〜29は、接続の際に無線による認証が行われる。
入荷した製品は添付されているバーコードを例えば入力端末27で走査することによって、入力端末27によって読み取られた商品情報(品名コード、価格など)がキャッシュレジスタ1へ送信され、無線通信部26によって受信される。そして、その商品情報が、第1商品管理制御部54の商品在庫管理部541に入力され、商品在庫管理部541と商品入荷管理部542に登録される。
【0042】
大量に入荷したような場合は、伝票に印刷されたバーコードを走査することによって入力することもできる。また、賞味期限が切れた商品(食品)など廃棄する場合も、その商品のバーコードを走査することによって、その商品情報を無線伝送によって適宜キャッシュレジスタ1に入力し、商品廃棄管理部543に登録する。
その商品の在庫管理状況は、大ディスプレイ15に表示することができる。この場合表示装置管理部544で大ディスプレイ15を三分割表示するように指示する。そして、その三分割した画面のうちの1つの画面に在庫管理状況を表示する。それにより、在庫管理の更新状況をキャッシュレジスタのそばに居ながら把握できる。また、残りの二つの画面には、入力端末28,29で行われている精算作業の状況を表示できる。但し、精算作業で忙しく、在庫管理をチェックする必要がなければ入力端末の操作によって商品の在庫管理状況を表示しないことも可能である。
【0043】
ここでは、精算作業と商品管理作業とを並行して行う例を説明したが、3個の入力端末すべてによって精算作業あるいは商品管理作業だけを行うことも可能である。すべての端末により精算作業を行う場合、顧客向けの小ディスプレイが不足するが、精算作業を妨げるものではない。さらに、ハードウェアの構成は図1に示したものに限定するものではないので、小ディスプレイをもう一台増設することも可能であるし、店員側のディスプレイも1台に限定することはなく、入力端末毎に設けてもかまわない。
【0044】
商品管理における入力端末の種類は、図3、図4に示したハンディスキャナや図5に示したハンディターミナルのようなものでもよいし、バーコード記号等による商品情報を読み取って入力、記憶、および無線送信可能なものであれば、図3乃至図5に示したものに限定されない。
キャッシュレジスタ1に接続する入力端末の数は3個に限るものではなく、4個以上接続できるようにしてもよい。その場合、接続可能な入力端末の数だけキャッシュレジスタ内に商品精算制御部と商品管理制御部を設けるのが望ましい。
【0045】
各入力端末27〜29を無線通信でキャッシュレジスタ1と情報伝送を可能にしているので、各入力端末27〜29をキャッシュレジスタ1のそばで、販売する商品の情報を読み取るために使用するだけでなく、店内や倉庫も含む任意の場所へ移動して、在庫商品や入荷商品、廃棄する商品等の情報を読み取って、それをキャッシュレジスタ1へ送信することができる。
【0046】
次に、この発明によるキャッシュレジスタの他の実施例を図9によって説明する。図9はそのキャッシュレジスタのソフトウェア構成を示す図1と同様な機能ブロック図である。この図9において、図1の各部と同じ部分には同一の符号を付してあり、それらの説明は省略する。
図5に示したようなハンディターミナル40は、図1における第1商品管理制御部54と同等に商品在庫管理部441、商品入荷管理部442、商品廃棄管理部443、及び表示装置管理部444として機能するソフトウエアを備えている。
このソフトウエアは、元々ハンディターミナル40に組み込んでおいてもよいし、キャッシュレジスタ本体1′側からハンディターミナル40へダウンロードさせてもよい。
【0047】
そこで、このハンディターミナル40を、図1に示した第1商品管理制御部54の代わりにキャッシュレジスタ本体1′に着脱可能に設けて、有線又は無線で総合統括部57と情報交換可能に接続する。
このように構成しても、キャッシュレジスタ本体1′とハンディターミナル40及び複数の入力端末27〜29によって、POSシステムを構成することができる。
【0048】
さらに、この発明によるキャッシュレジスタにはカードリーダを備えたり、携帯電話機等のデータ送受信機を備えてもよい。また、キャッシュドロワ25に加えて自動釣り銭出力機の機能を追加することも可能である。
また、各店舗にあるこの発明のキャッシュレジスタによるPOSシステムをネットワークで接続し、チェーン店全体のPOSシステムを構成することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0049】
この発明によるキャッシュレジスタは、販売する商品の精算機能だけでなく、販売に関連する各種の情報(商品情報、在庫管理情報、売上管理情報など)を管理する機能を有するので、複数の入力端末とともにPOSシステムを安価に構成でき、特別なスペースも必要としない。したがって、スーパーマーケット、コンビニ、小売店、量販店等の各種販売店や、レストラン、居酒屋、レンタルショップなどのサービス業も含む広範な取引現場において、有効に利用できる。
また、各店舗におけるこの発明のキャッシュレジスタによるPOSシステムをネットワークで接続し、チェーン店全体のPOSシステムを構成することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】この発明によるキャッシュレジスタの一実施例のソフトウェア構成を示す機能ブロック図である。
【図2】この発明によるキャッシュレジスタの一実施例のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図3】図1及び図2における入力端末の一例を示すハンディスキャナのバーコード読取状態を示す外観斜視図である。
【図4】図3に示したハンディスキャナの側断面概略図である。
【図5】図1及び図2における入力端末の他の例を示すハンディターミナルの外観斜視図である。
【図6】販売時の精算作業中に大ディスプレイ及び小ディスプレイの表示例を示す図である。
【図7】代金を預かって釣銭がある場合の大ディスプレイ及び小ディスプレイの表示例を示す図である。
【図8】2台の入力端末から入力された商品情報及び精算情報を同時に表示する場合の大ディスプレイ及び小ディスプレイの表示例を示す図である。
【図9】この発明によるキャッシュレジスタの他の実施例のソフトウェア構成を示す機能ブロック図である。
【符号の説明】
【0051】
1:キャッシュレジスタ 1′:キャッシュレジスタ本体
3:ハンディスキャナ(入力端末) 10:POSシステム
4:読み取り対象 4a:バーコード記号
11:CPU 12:RAM 13:ROM
14:大ディスプレイ制御回路 15:大ディスプレイ
16,18:小ディスプレイ制御回路 17,19:小ディスプレイ
20:プリンタ制御回路 21:プリンタ
22:キーボード制御回路 23:キーボード
24:キャッシュドロワ制御回路 25:キャッシュドロワ
26:無線通信部 27,28,29:入力端末 30:バス
31:ケース 32:LED 33:反射ミラー 34:スリット 35:結像光学系 36:受光素子(CCDイメージセンサ)37:信号処理部 38:無線通信部
40:ハンディターミナル 41:ケース 42:キーボード
43:液晶表示器 44:アンテナ
【0052】
51:第1商品精算制御部 52:第2商品精算制御部
53:第3商品精算制御部 54:第1商品管理制御部
55:第2商品管理制御部 56:第3商品管理制御部
57:総合統括部 58:メモリ制御部 59:表示制御部
60:商品情報データベース 61:在庫管理データベース
62:売上管理データベース 63:端末切替制御部
511:商品販売登録部 512:代金入出力管理部
513:表示装置管理部 441,541:商品在庫管理部
442,542:商品入荷管理部 443,543:商品廃棄管理部
444,544:表示装置管理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品の情報を光学的に読み取り可能な複数の入力端末とそれぞれ無線通信可能な無線通信部と、
該無線通信部によって受信した前記入力端末からの商品情報によって商品の代金の精算を行う商品精算制御部と、
前記入力端末からの商品情報によって商品の管理に関する処理を行う商品管理制御部と、
該商品管理制御部が商品の管理に関する処理を行う際に使用するデータベースと、その処理結果を蓄積するデータベースとを格納するデータベース格納部と、
前記商品精算制御部による精算情報および前記商品管理制御部による商品の管理状況を表示できるディスプレイと、
前記商品情報を手で入力するためのキーボードと、
現金を収納するキャッシュドロワとを備え、
POSシステムの商品管理機能を有することを特徴とするキャッシュレジスタ。
【請求項2】
請求項1記載のキャッシュレジスタにおいて、
前記商品精算制御部には、販売する商品の品名又は品名コードを登録する商品販売登録部と、販売する商品の価格の登録及び入金額に対する釣銭の計算を行う代金入出力管理部を含み、
前記商品管理制御部には、商品在庫の管理を行う商品在庫管理部と、商品入荷の管理を行う商品入荷管理部と、商品廃棄の管理を行う商品廃棄管理部を含むことを特徴とするキャッシュレジスタ。
【請求項3】
請求項1又は2記載のキャッシュレジスタにおいて、
前記商品管理制御部が商品の管理に関する処理を行う際に使用するデータベースは商品の品名コードと品名及び価格を含む商品情報データべースであり、前記商品管理制御部による処理結果を蓄積するデータベースは在庫管理データベース及び売上管理データベースであることを特徴とするキャッシュレジスタ。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項に記載のキャッシュレジスタにおいて、
前記ディスプレイとして、表示画面を顧客側に向けられる小ディスプレイと表示画面を店員側に向けられる大ディスプレイとを備え、
前記小ディスプレイには前記商品精算制御部による精算情報のみを表示し、前記大ディスプレイには前記商品精算制御部による精算情報と前記商品管理制御部による商品の管理状況とを表示できるようにしたことを特徴とするキャッシュレジスタ。
【請求項5】
請求項4記載のキャッシュレジスタにおいて、
前記小ディスプレイを複数設け、前記複数の入力端末のうちの異なる入力端末から個別に入力される商品情報に基づいて前記商品精算制御部によって個別に精算される精算情報を、前記複数の小ディスプレイに個別に表示できるようにしたことを特徴とするキャッシュレジスタ。
【請求項6】
請求項4又は5記載のキャッシュレジスタにおいて、
前記大ディスプレイの表示画面を分割し、前記複数の入力端末のうちの異なる入力端末から個別に入力される商品情報に基づいて前記商品精算制御部によって個別に精算される精算情報を、前記大ディスプレイの分割した表示画面の複数の領域に個別に表示するようにしたことを特徴とするキャッシュレジスタ。
【請求項7】
請求項4又は5記載のキャッシュレジスタにおいて、
前記大ディスプレイの表示画面を分割し、前記商品精算制御部によって精算される精算情報と、前記商品管理制御部による商品の管理状況とを、前記大ディスプレイの分割した表示画面の複数の領域に個別に表示するようにしたことを特徴とするキャッシュレジスタ。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか一項に記載のキャッシュレジスタにおいて、
前記商品精算制御部と前記商品管理制御部とをそれぞれ前記複数の入力端末と同数ずつ設け、その各商品精算制御部と商品管理制御部によって、前記複数の入力端末から個別に入力する商品情報に基づいて個別に前記商品の代金の精算及び前記商品の管理に関する処理を行うようにしたことを特徴とするキャッシュレジスタ。
【請求項9】
請求項8記載のキャッシュレジスタにおいて、
前記複数の商品管理制御部のうちの1つの商品管理制御部を、それ以外の各部を備えたキャッシュレジスタ本体に対して着脱可能に設けたことを特徴とするキャッシュレジスタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−87194(P2007−87194A)
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−276316(P2005−276316)
【出願日】平成17年9月22日(2005.9.22)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
2.ZIGBEE
【出願人】(391062872)株式会社オプトエレクトロニクス (70)
【Fターム(参考)】