説明

キャップシール検査方法

【課題】 キャップシールの良否を、減圧吸収に伴う壜体の接地部もしくは高さの変化により判定することにより、キャップシールの良否を簡単にかつ確実にそして安全に検査することを目的とする。
【解決手段】 キャップ12で密封した壜本体内に発生した減圧を、壜体1の底部5の外方への突出状態から内方への陥没変位により吸収する壜体1のキャップシール検査方法であって、壜体1の接地機能部に変化がない場合は、また被検査体である壜体1の上端の高さ位置が、適正に減圧吸収変形した壜体1の上端の高さレベルよりも上に位置している場合は、その壜体1のキャップシールが不良であると判断し、キャップシールを、壜本体に対する機械的な外力の作用を要することなく、安全にかつ簡単に達成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部が減圧状態になった際に、この減圧を底部の陥没変位により吸収するようにした合成樹脂製丸形壜体における、キャップシール検査方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、ポリエチレンテレフタレート(以下PETと記す。)樹脂製の二軸延伸ブロー成形壜体、所謂PETボトルは、優れた透明性、機械強度、耐熱性、ガスバリア性等を有し、各種飲料用の容器として広く利用されている。また従来から、殺菌を必要とするたとえば果汁飲料、お茶等の内容液のPETボトルへの充填方法として、所謂、高温充填と呼ばれる方法があり、90℃前後の温度で内容液を壜体に充填し、キャップをして密封後、冷却するものであり、壜体内がかなりの減圧状態となる。
【0003】
このキャップによる密封保持、すなわちシールは、内容液の品質保持の点から確実に達成維持する必要があり、このためキャップによりシール状態を検査するキャップシール検査方法として種々の方法が提案されている。キャップシール検査方法の従来技術の代表的なものは、特開2010−078453号公報に示されている技術のように、非検査体である容器に、外部から一定の押圧力を作用させ、この押圧力の作用によりシール部分にリークが発生するか否かを検査するものである。
【0004】
この従来技術は、検査後の容器に「リーク」と云う具体的な不良状態が発生するので、キャップシールの良、不良が明確に現出させることができ、信頼性の高い検査結果を得ることができる、と云う利点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−078453号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記した従来技術にあっては、容器に機械的な接触により外力を作用させるので、商品である容器の表面に接触による傷が付く恐れがあり、この傷が付くと商品価値が大幅に低減してしまう、と云う問題がある。
【0007】
また、共通して一定した外力を容器に作用させるべく、各容器を一定した状態に保持する必要があり、このため検査装置の構造が複雑となると共に、設備の規模が大きくなり、このことと容器に対して押圧力を衝撃的に作用させてはならないので、検査の高速化に大幅な制限が加わる、と云う問題があった。
【0008】
さらに、シール検査が「良」と判定された容器であっても、消費者が購入する前に不正に開封された場合、この不正に開封されたことを消費者が識別し難い、と云う問題があった。
【0009】
そこで本発明は、上記した従来技術における問題点を解消すべく創案されたもので、キャップシールの良否を、壜体の接地部の変化、または減圧吸収に伴う壜体の高さ変化により判定することを技術的課題とし、もってキャップシールの良否を簡単にかつ確実にそして安全に検査することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するための手段のうち、本発明の第1の主たる構成は、
円筒状の胴部の下端に連設した底部の底壁を、周端部に位置して接地部として機能できる周縁部と、この周縁部よりも下方に突出して接地部として機能する周突条を有する陥没変形部とから構成し、この陥没変形部が周縁部よりも上位の内方に陥没変位して、内容液を熱充填することにより発生する減圧を吸収する2軸延伸ブロー成形された合成樹脂製丸型壜体のキャップによるシール検査方法であること、
載置面に正立姿勢で起立させた壜体の周突条が接地部として機能している場合は、キャップによるシールが適正に達成維持されていないと判断すること、
にある。
【0011】
内容液を熱充填してキャップにより密封し、内部に発生した減圧を底部の陥没変形部の陥没変位により吸収した壜体は、減圧吸収前は、陥没変位していない陥没変形部の周突条を接地部として機能させていた状態から、周縁部を接地部として機能させる状態へと変化する。
【0012】
それゆえ、載置面に正立姿勢で起立している壜体を見て、壜体の接地部が陥没変形部の周突条である場合には、その壜体のキャップによるシールが不完全である、もしくはその壜体が既に開封されたことのあるものである、と判断することができる。
【0013】
このように、本発明による第1のキャップシール検査方法は、載置面上の壜体の接地部が何処であるかを観察するものであるので、壜本体に機械的外力を作用させるとか、壜体を一定状態に保持するとかの処理は、全く不要である。
【0014】
上記課題を解決するための手段のうち、本発明の第2の主たる構成は、
円筒状の胴部の下端に連設した底部の底壁を、周端部に位置して接地部として機能できる周縁部と、この周縁部よりも下方に突出して接地部として機能する周突条を有する陥没変形部とから構成し、この陥没変形部が周縁部よりも上位の内方に陥没変位して、内容液を熱充填することにより発生する減圧を吸収する2軸延伸ブロー成形された合成樹脂製丸型壜体のキャップによるシール検査方法であること、
載置面に正立姿勢で起立させた壜体の上端が、キャップによるシールが適正である壜体の上端の高さ位置である良品高さレベルよりも上に位置している場合は、キャップによるシール不良と判断すること、
にある。
【0015】
内容液を熱充填してキャップにより密封し、内部に発生した減圧を底部の陥没変形部の陥没変位により吸収した壜体は、陥没変形部の下方への突出分だけその高さが低くなるので、この減圧吸収状態の壜体、すなわちキャップシールが適正に達成されている壜体である良品を、高さを検出する基準面を提供する載置面に正立姿勢で載置すると、その上端は、上記した低くなった高さレベルよりも上位に位置することはない。
【0016】
これに対して、キャップによる密封が不完全である壜体である不良品は、内部に発生した減圧により外気を内部に吸引してしまい、このため底部の陥没変形部の陥没変位が充分に発生しない、もしくは全く発生しないため、高さの減少変化が殆ど起こらない。このため、このキャップシールが不適正である壜体である不良品を、高さを検出する基準面を提供する載置面に正立姿勢で載置すると、その上端は、キャップシールが適正に達成されている壜体である良品の上端の高さレベルに比べて、上位に位置することになる。
【0017】
それゆえ、載置面上に位置した壜体の上端の高さレベルを検出して、その検出結果が、キャップシールが適正に達成されている壜体である良品の上端の高さレベルよりも上位である場合には、その壜体のキャップによるシールが不完全である、と判断することができる。
【0018】
このように、キャップシール検査方法は、載置面上の壜体上端の高さレベルの検出であるので、壜本体に機械的に外力を作用させるとか、壜体を一定状態に保持するとかの処理は、全く不要となる。
【0019】
本発明の他の構成は、上記した第2の主たる構成に、載置面上の壜体の上端を高さ検出装置で検出し、この高さ検出装置を壜体の側方に位置させるべく載置面の上方に配置し、高さ検出装置に設定される検出高さレベルを、良品高さレベルと不良品高さレベルとの間の高さ差の範囲内に設定し、不良品高さレベルを、キャップによるシールが不適正で陥没変形部が下方に突出したままである壜体の上端の高さ位置とした、ことを加えたものである。
【0020】
検出高さレベルを、良品の上端の高さレベルである良品高さレベルと、不良品の上端の高さレベルである不良品高さレベルとの間の高さ差の範囲内に設定した高さ検出装置により、載置面上の壜体の上端を検出するものにあっては、高さ検出装置が、キャップによるシールが不適正な壜体である不良品を直接検出することになる。
【0021】
また、本発明の他の構成は、上記した第2の主たる構成に加えた高さ検出装置を、載置面の上方に配置されたゲージ部材を有するものとし、このゲージ部材の下端縁を検出レベルに位置させ、ゲージ部材と壜体とを載置面と平行に相対移動させる、ようにしたものである。
【0022】
高さ検出装置を、ゲージ部材を有する構成としたものにあっては、キャップによるシールが不適正な壜体である不良品の検出を、ゲージ部材の壜体上端に対する突き当りにより達成でき、これによりゲージ部材と壜体の相対移動を利用して、ゲージ部材から不良品に外力を作用させることが可能となる。
【0023】
また、本発明の他の構成は、上記した第2の主たる構成に加えた高さ検出装置のゲージ部材を、載置面と平行な直線状の下端縁を有するものとした、ものである。
【0024】
高さ検出装置のゲージ部材を、載置面と平行な直線状の下端縁を有する構成としたものにあっては、ゲージ部材と載置面上の壜体との上下方向に沿った位置合せを行う必要がなく、ゲージ部材は必ず載置面上の壜体に対向した状態となる。
【0025】
また、本発明の他の構成は、上記した第2の主たる構成に加えた高さ検出装置を、載置面の上方に配置され、検出光を載置面と平行に照射する投受光器を有する構成とし、この投受光器の検出光を検出高さレベルに位置させ、投受光器と壜体とを載置面と平行に相対移動させる、ようにしたものである。
【0026】
高さ検出装置を、投受光器を有する構成としたものにあっては、受光器による検出光の不受光により、キャップによるシールが不適正な壜体である不良品の検出データを、無接触で得ることができる。
【0027】
また、本発明の他の構成は、上記した第2の主たる構成に、載置面を、壜体を搬送する搬送路の搬送路面とした、ことを加えたものである。
【0028】
載置面を壜体の搬送路の搬送路面としたものにあっては、壜体の搬送動作を利用して、キャップシールの検査を実施することが可能となる。
【発明の効果】
【0029】
本発明の合成樹脂製壜体は、上記した構成となっているので、以下に示す効果を奏する。
本発明の第1の主たる構成にあっては、載置面上の壜体の接地部が何処であるかの識別によりキャップシールの良否を判別するので、一瞥でシールの良否を判断することができ、これにより商品としての壜体に高いバージン性を発揮させることができる。
【0030】
本発明の第2の主たる構成にあっては、載置面上の壜体上端の高さレベルの検出であるので、壜本体に機械的に外力を作用させるとか、壜体を一定状態に保持するとかの処理は、全く不要となるので、簡単な構成で容易にかつ安全にそして安価に実施することができ、さらに基本的には非接触であるので、検出動作の高速化が容易である。
【0031】
検出高さレベルを、良品高さレベルと不良品高さレベルとの間の高さ差の範囲内に設定した高さ検出装置により、載置面上の壜体の上端を検出するものにあっては、高さ検出装置が、不良品を直接検出することになるので、不良品に対する処理を施すことが可能となる。
【0032】
高さ検出装置を、ゲージ部材を有する構成としたものにあっては、ゲージ部材と壜体の相対移動を利用して、ゲージ部材から壜体の上端に外力を作用させることが可能となるので、この外力を利用して不良品を倒す等して、良品と不良品とを、簡単に選別して分別することが可能となる。
【0033】
高さ検出装置のゲージ部材を、載置面と平行な直線状の下端縁を有する構成としたものにあっては、ゲージ部材が必ず載置面上の壜体に対向した状態となるので、載置面に対する壜体の位置出ししながらの載置処理が不要となり、これにより検査時の壜体の取扱いが簡潔となる。
【0034】
高さ検出装置を、投受光器を有する構成としたものにあっては、不良品の検出データを、無接触で得ることができるので、この検出データにより、良品と不良品とを簡単に選別して分別することが可能となる。
【0035】
載置面を壜体の搬送路面としたものにあっては、壜体の搬送動作を利用して、キャップシールの検査を実施することが可能となるので、既存の壜体搬送設備を利用して簡単に実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明が適用される壜本体の実施例を示す、要部を縦断した全体正面図である。
【図2】図1で縦断した壜本体の要部の、拡大説明図である。
【図3】本発明方法における、キャップシールが適正な壜体と、キャップシールが不適正な壜体との、接地部および高さレベルの違いを示す、説明図である。
【図4】本発明の第2の方法における高さ検出装置による、壜体の高さ検出動作を説明する説明図である。
【図5】本発明の第2の方法における、高さ検出装置であるゲージ部材による検出動作説明図である。
【図6】本発明の第2の方法における、高さ検出装置である投受光器による検出動作説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明の実施の形態の実施例を、図面を参照しながら説明する。
図1と図2は、本発明方法が適用される合成樹脂製丸型壜本体の構成例を示すもので、図1は底部5だけを破断状に縦断した正面図、図2は縦断した底部5の拡大図である。この壜本体は、口筒部2、円筒状の胴部3そして底部5を有し、胴部3の最大径が66mm、全高さが134mm、容量が280mlの丸形壜体で、PET樹脂製の2軸延伸ブロー成形品である。
【0038】
胴部3には、台形状の角溝である周溝4が3ケ周設されており、この周溝4の溝深さは5mm、開口幅は5mm、底幅は1.75mm、そして溝側壁の傾斜角度は20°である。
【0039】
胴部3の下端には底部5が連設されているが、この底部5の底壁6(以下、図2参照)は、周端に位置する環状平坦状となった周縁部7と、この周縁部7の内側に位置する陥没変形部8とから構成され、陥没変形部8は、下面を周縁部7よりも下方に高さ分H(図2参照)だけ突出させて接地部として機能する周突条10と、周突条10の内側を基端とし、縮径状に形成された段部を介して内部方向に陥没させて形成した陥没凹部11とから構成されている。また、周縁部7の内周縁と周突条10の外周縁の境界部分には底面壁を内部方向に段差状に陥没させて形成した溝状凹部9が形成されている。
【0040】
上記のような構成となっている壜本体では、高温充填工程後にキャップ12により密封した状態で冷却することにより壜体1内が減圧状態となった際には、底部5の陥没変形部8が陥没変位して発生した減圧を吸収する。この際、周溝4の周リブ的な作用効果により胴部3が局部的に反転変形することなく、その円筒状の形状が保持される。
【0041】
また、減圧により陥没変形部8が陥没状に上方変位した状態では、周突条10の代わりに周縁部7が接地部としての機能を発揮するので、減圧状態でも壜体1の自立性は保持される。ここで、周縁部7の内周縁と周突条10の外周縁の境界部分に溝状凹部9を配設することにより、この溝状凹部9を起点として減圧状態における陥没変形部8の陥没状の上方変位をスムーズに進展させることができると共に、周縁部7における歪な変形を抑制して周縁部7の接地部としての機能をより安定して発揮させることができる。
【0042】
このように、陥没変形部8の陥没変位は、壜本体内に発生する減圧により行われるのであるが、壜本体内に減圧が発生するには、キャップ12によるシールが適正に達成されていることが必要である。それゆえ、キャップ12によるシールが適正に達成されている壜体1、すなわち良品の場合は、陥没変形部8が陥没変位して、周縁部7が接地部として機能(図3の左側の壜体1を参照)するが、キャップ12によるシールが適正に達成されていない壜体1、すなわち不良品の場合は、陥没変形部8は陥没変位せず、周突条10が接地部として機能(図3の右側の壜体1を参照)したままである。
【0043】
このため、載置面16上に正立姿勢で起立させた壜体1を観察すると、良品の場合は、周縁部7が接地部として機能(図3の左側壜体を参照)しているのに対して、不良品の場合は、周突条10が接地部として機能(図3の右側壜体を参照)しているので、この接地部機能部分の識別により、キャップシールの良否を目視で判断することができる。
【0044】
また、良品と不良品を、同一載置面16上に正立姿勢で起立させると、良品の上端までの高さ寸法である良品高さレベルL1(図3参照)と、不良品の上端までの高さ寸法である不良品高さレベルL2(図3参照)との間には、周突条10の下方への突出高さ分Hと同じ寸法の高さ差H(図3参照)が生じることになり、不良品の上端の高さ位置は必ず良品高さレベルL1よりも上に位置することになる。それゆえ、載置面16上の壜体1の上端の高さ位置を検出し、この検出位置が良品高さレベルL1よりも上である場合には、その壜体1が不良品であると判定することができる。
【0045】
図4は、載置面16上に載置された壜体1の上端の高さ位置を、高さ検出装置13で検出する、基本的な配置構成を示すもので、壜体1を載置した載置面16の上方の、壜体1の側方に高さ位置検出装置13を配置し、この高さ位置検出装置13の検出高さレベルL3(図5および図6参照)を、高さ差Hの範囲内(図4、図5、図6参照)に設定する。高さ位置検出装置13の検出高さレベルL3を高さ差Hの範囲内に設定することにより、高さ位置検出装置13は、良品である壜体1(図4において、左側)を検出しないが、必ず不良品である壜体1(図4において、右側)を検出することになる。
【0046】
図5は、ゲージ部材14を有する高さ位置検出装置13で、不良品である壜体1を検出する場合の説明図で、ゲージ部材14は、載置面16と平行な直線状の下端縁を有しており、平板状、直線棒状、さらには張設された針金状の部材で構成され、その下端縁は、高さ差Hの範囲内に位置して検出高さレベルL3を設定している。高さ位置検出装置13の検出部分をゲージ部材14で構成した場合には、ゲージ部材14と壜体1との相対的な平行移動によりゲージ部材14の下端縁が壜体1の上端部分に突き当り、この突き当り動作により不良品である壜体1を検出することになる。
【0047】
図6は、投受光器15を有する高さ位置検出装置13で、不良品である壜体1を検出する場合の説明図で、投受光器15は、載置面16上の壜体1の両側に、検出光を載置面16と平行に照射するように対向配置された投光器と受光器とから構成されており、検出光は、高さ差Hの範囲内に位置して検出高さレベルL3を設定している。高さ位置検出装置13の検出部分を投受光器15で構成した場合には、投受光器15と壜体1との相対的な平行移動により、投光器から受光器への検出光が壜体1の上端部分で遮光され、この遮光により不良品である壜体1を検出することになる。
【0048】
高さ位置検出装置13と壜体1との、載置面16と平行な相対移動は、壜体1を移動させるのが容易であるが、この場合、製品である壜体1の搬送装置の一部である搬送路の搬送路面を載置面16とすることにより、その実施が簡単かつ都合よく実施できることになる。すなわち、壜体1の搬送動作を利用して不良品となった壜体1を検出することができる。
【0049】
また、一定方向に走行移動する搬送路の搬送路面を載置面16として利用する場合、高さ検出装置13のゲージ部材14の下端縁を、搬送方向に交差する姿勢とすることにより、搬送移動してくる不良品である壜体1を、その上端がゲージ部材14に突き当ることにより倒れるようにすると、不良品の選り分けが容易となる。なお、この場合、載置面16を形成する搬送路面に対し、ゲージ部材14を斜めに横切る姿勢に配置することにより、ゲージ部材14から壜体1に斜め横方向に作用する突き当り力を作用させて、壜体1を斜め横方向に倒すので、これを利用して倒れた不良品である壜体1を、そのまま搬送路上から側方に転落させて、選別取出しすることが可能である。
【0050】
なお、本発明方法の検出対象となる壜体1は、図示実施例に特定されることはなく、減圧吸収により壜体1の接地機能部が変化する、または高さ寸法が減縮する構成となった丸型壜体の全てに適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明のキャップシール検査方法は、キャップシールしたはずの壜体の接地部が変化するか否か、または上端高さ位置が、予め設定した高さレベルを越えるか否かによりシールの良否を判定するので、良品である壜体に不要な外力を作用させる必要のないものであり、外力が加わることによる傷付きを嫌う商品としての壜体の取扱い手段として、幅広い用途展開を期待することができる。
【符号の説明】
【0052】
1 ;壜体
2 ;口筒部
3 ;胴部
4 ;周溝
5 ;底部
6 ;底壁
7 ;周縁部
8 ;陥没変形部
9 ;溝状凹部
10;周突条
11;陥没凹部
12;キャップ
13;高さ検出装置
14;ゲージ部材
15;投受光器
16;載置面
L1;良品高さレベル
L2;不良品高さレベル
L3;検出高さレベル
H ;高さ差

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状の胴部(3)の下端に連設した底部(5)の底壁(6)を、周端部に位置して接地部として機能できる周縁部(7)と、該周縁部(7)よりも下方に突出して接地部として機能する周突条(10)を有する陥没変形部(8)とから構成し、該陥没変形部(8)が周縁部(7)よりも上位の内方に陥没変位して、内容液を熱充填することにより発生する減圧を吸収する2軸延伸ブロー成形された合成樹脂製丸型壜体(1)のキャップ(12)によるシール検査方法であって、載置面(16)に正立姿勢で起立させた前記壜体(1)の周突条(10)が接地部として機能している場合は、前記キャップ(12)によるシールが適正に達成維持されていないと判断するキャップシール検査方法。
【請求項2】
円筒状の胴部(3)の下端に連設した底部(5)の底壁(6)を、周端部に位置して接地部として機能できる周縁部(7)と、該周縁部(7)よりも下方に突出して接地部として機能する周突条(10)を有する陥没変形部(8)とから構成し、該陥没変形部(8)が周縁部(7)よりも上位の内方に陥没変位して、内容液を熱充填することにより発生する減圧を吸収する2軸延伸ブロー成形された合成樹脂製丸型壜体(1)のキャップ(12)によるシール検査方法であって、載置面(16)に正立姿勢で起立させた前記壜体(1)の上端が、前記キャップ(12)によるシールが適正である壜体(1)の上端の高さ位置である良品高さレベル(L1)よりも上に位置している場合は、前記キャップ(12)によるシール不良と判断するキャップシール検査方法。
【請求項3】
載置面(16)上の壜体(1)の上端を高さ検出装置(13)で検出し、該高さ検出装置(13)を壜体(1)の側方に位置させるべく載置面(16)の上方に配置し、前記高さ検出装置(13)に設定される検出高さレベル(L3)を、良品高さレベル(L1)と不良品高さレベル(L2)との間の高さ差(H)の範囲内に設定し、前記不良品高さレベル(L2)を、キャップ(12)によるシールが不適正で陥没変形部(8)が下方に突出したままである壜体(1)の上端の高さ位置とした請求項2に記載のキャップシール検査方法。
【請求項4】
高さ検出装置(13)を、載置面(16)の上方に配置されたゲージ部材(14)を有するものとし、該ゲージ部材(14)の下端縁を検出レベル(L3)に位置させ、前記ゲージ部材(14)と壜体(1)とを載置面(16)と平行に相対移動させる請求項3に記載のキャップシール検査方法。
【請求項5】
高さ検出装置(13)のゲージ部材(14)を、載置面(16)と平行な直線状の下端縁を有するものとした請求項4に記載のキャップシール検査方法。
【請求項6】
高さ検出装置(13)を、載置面(16)の上方に配置され、検出光を前記載置面(16)と平行に照射する投受光器(15)を有する構成とし、該投受光器(15)の検出光を検出高さレベル(L3)に位置させ、前記投受光器(15)と壜体(1)とを載置面(16)と平行に相対移動させる請求項3に記載のキャップシール検査方法。
【請求項7】
載置面(16)を、壜体(1)を搬送する搬送路の搬送路面とした請求項2〜6のいずれか1項に記載のキャップシール検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−159365(P2012−159365A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−18508(P2011−18508)
【出願日】平成23年1月31日(2011.1.31)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】