説明

キャブオーバ型トラック

【課題】 本発明は、エンジンルームの上方にキャブを配置してなるキャブオーバ型トラックに関し、ラジエータの小型化を容易,確実に図ることを目的とする。
【解決手段】 エンジンおよびラジエータが収容されるエンジンルームの上方にキャブを配置してなるキャブオーバ型トラックにおいて、エンジンルームの後面に、エンジンルーム内の空気を排気する排気ファンを設けてなることを特徴とする。また、エンジンルーム内の温度を測定する温度センサと、温度センサで測定された温度が予め定められた温度以上の時に排気ファンを作動する制御手段とを有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンルームの上方にキャブを配置してなるキャブオーバ型トラックに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、キャブオーバ型トラックでは、エンジンの冷却は、エンジンの冷却液をエンジンルームの前部に配置されるラジエータに循環させ、ラジエータにおいて冷却液を冷却することにより行われている。また、ラジエータにおける冷却液の冷却は、主にエンジンファンによりラジエータに外部空気を通過させ、外部空気との熱交換により冷却液を冷却することにより行われている。
【0003】
一方、近時、キャブオーバ型トラックでは、エンジンのパワーアップが著しく、これに伴いラジエータが大型化している。
【特許文献1】特開平8−270444号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、キャブオーバ型トラックでは、エンジンルーム内のレイアウト上の制約によりラジエータの大型化にも限界がある。
本発明は、かかる従来の問題を解決するためになされたもので、ラジエータの小型化を容易,確実に図ることができるキャブオーバ型トラックを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1のキャブオーバ型トラックは、エンジンおよびラジエータが収容されるエンジンルームの上方にキャブを配置してなるキャブオーバ型トラックにおいて、前記エンジンルームの後面に、前記エンジンルーム内の空気を排気する排気ファンを設けてなることを特徴とする。
請求項2のキャブオーバ型トラックは、請求項1記載のキャブオーバ型トラックにおいて、前記エンジンルーム内の温度を測定する温度センサと、前記温度センサで測定された温度が予め定められた温度以上の時に前記排気ファンを作動する制御手段とを有することを特徴とする。
【0006】
請求項3のキャブオーバ型トラックは、請求項1または請求項2記載のキャブオーバ型トラックにおいて、前記排気ファンの周囲にカバー部材を配置してなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
請求項1のキャブオーバ型トラックでは、エンジンルームの後面に、エンジンルーム内の空気を排気する排気ファンを設けたので、エンジンルーム内の空気を効率的に排気することが可能になる。これにより、エンジンルーム内に流入する外部空気の流量が増大し、ラジエータを通過する外部空気の量が増大する。従って、ラジエータの単位面積当たりの冷却性能が向上し、ラジエータの小型化を容易,確実に図ることができる。
【0008】
請求項2のキャブオーバ型トラックでは、温度センサによりエンジンルーム内の温度が測定される。そして、制御手段により、温度センサで測定された温度が予め定められた温度以上の時に排気ファンが作動される。従って、排気ファンの作動が必要な時にのみ排気ファンを作動することが可能になり、電力の消費を低減し、また不必要な騒音の発生を低減することができる。
【0009】
請求項3のキャブオーバ型トラックでは、排気ファンの周囲にカバー部材を配置したので、外部空気が侵入することがなくなり、エンジンルーム内の空気を効率的に排気することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を図面を用いて詳細に説明する。
(第1の実施形態)
図1および図2は、本発明のキャブオーバ型トラックの第1の実施形態を示している。
このキャブオーバ型トラックは、エンジンルーム11の上方にキャブ13を有している。
【0011】
エンジンルーム11内にはエンジン15が配置されている。エンジン15はメインフレーム17に支持されている。エンジン15の前方にはエンジンファン19が配置されている。エンジンファン19の前方にはシュラウド21を介してラジエータ23が配置されている。ラジエータ23の前方にはフロントグリル25が開口されている。
エンジンルーム11の天井にはキャブフロア27が位置されている。エンジンルーム11の下端にはアンダーカバー29が配置されている。アンダーカバー29の側方には前輪31が配置されている。アンダーカバー29の前方にはフロントバンパ33が配置されている。
【0012】
そして、エンジンルーム11の後面(背面)には、キャブブリッジ35が配置されている。このキャブブリッジ35の下部は、図2に示すように後部カバー37により覆われている。後部カバー37の上方には、水平方向に間隔を置いて一対の排気ファン39が配置されている。この一対の排気ファン39は電動ファンからなる。排気ファン39の周囲にはカバー部材41が配置されている。
【0013】
一対の排気ファン39はブラケット43を介してキャブブリッジ35に固定されている。そして、排気ファン39の外側には網状部材からなる安全カバー45が配置されている。
上述したキャブオーバ型トラックでは、エンジン15の冷却が、エンジン15の冷却液をエンジンルーム11の前部に配置されるラジエータ23に循環させ、ラジエータ23において冷却液を冷却することにより行われる。また、ラジエータ23における冷却液の冷却が、主にエンジンファン19によりラジエータ23に外部空気を通過させ、外部空気との熱交換により冷却液を冷却することにより行われる。
【0014】
そして、排気ファン39を作動すると、エンジンルーム11内においてエンジン15の上方に滞留している空気がエンジンルーム11の後方に矢符Aで示すように排気される。この排気によりラジエータ23を通過して温度の高くなった外部空気(矢符Bで示す)、およびアンダーカバー29とフロントバンパ33との間から流入した走行風(矢符Cで示す)がエンジン15の上方に向けて円滑に流れるようになる。
【0015】
上述したキャブオーバ型トラックでは、エンジンルーム11の後面に、エンジンルーム11内の空気を排気する排気ファン39を設けたので、エンジンルーム11内の空気を効率的に排気することが可能になる。これにより、エンジンルーム11内に流入する外部空気の流量が増大し、ラジエータ23を通過する外部空気の量が増大する。従って、ラジエータ23の単位面積当たりの冷却性能が向上し、ラジエータ23の小型化を容易,確実に図ることができる。また、アンダーカバー29とフロントバンパ33との間から流入する走行風の量も増大するため、走行風によるエンジン15の冷却効率を向上することができる。
【0016】
また、排気ファン39の周囲にカバー部材41を配置したので、外部空気が侵入することがなくなり、エンジンルーム11内の空気を効率的に排気することができる。
(第2の実施形態)
図3は本発明のキャブオーバ型トラックの第2の実施形態の要部を示している。
なお、この実施形態において第1の実施形態と同一の部材には、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0017】
この実施形態では、エンジンルーム11内のエンジン15(図示せず)の上方に、エンジンルーム11内の温度を測定する温度センサ47が配置されている。そして、温度センサ47で測定された温度が予め定められた温度(例えば100℃)以上の時に排気ファン39のモータ49を駆動する制御手段51が配置されている。
また、排気ファン39の外側には、排気ファン39からの空気を上方に向けて排気するルーバ53が配置されている。そして、排気ファン39が、エンジンルーム11内において可能な限り上方に位置するように配置されている。
【0018】
図4は、上述した制御手段51の動作を示すフローチャートである。この実施形態では、イグニションスイッチのオンにより温度センサ47および制御手段51がオンされる。
先ず、ステップS1において、温度センサ47からの温度信号を入力する。
次に、ステップS2において、温度センサ47からの温度信号の値が100℃以上であるか否かを判断する。そして、100℃以上の時には、ステップS3において排気ファン39のモータ49に通電して排気ファン39を作動する。一方、100℃未満の時には、ステップS4において排気ファン39のモータ49への通電を解除して排気ファン39を停止する。
【0019】
この実施形態では、制御手段51により、温度センサ47で測定された温度が予め定められた温度以上の時に排気ファン39を作動するようにしたので、排気ファン39の作動が必要な時にのみ排気ファン39を作動することが可能になり、電力の消費を低減し、また不必要な騒音の発生を低減することができる。
そして、排気ファン39の外側に排気ファン39からの空気を上方に向けて排気するルーバ53を配置したので、排気された空気を、走行中にキャブ13の天井の後方に形成されるカルマン渦Uに吸引させることが可能になり、排気効率を向上することができる。
(実施形態の補足事項)
以上、本発明を上述した実施形態によって説明してきたが、本発明の技術的範囲は上述した実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下のような形態でも良い。
【0020】
(1)上述した実施形態では、一対の排気ファン39をエンジンルーム11の上部に配置した例について説明したが、例えば、図5に示すように一対の排気ファン39をエンジンルーム11の下部に配置し、その上部をカバー部材41により覆うようにしても良い。
また、図6に示すように一方の排気ファン39をエンジンルームの上部に配置し、他方の排気ファン39を下部に配置し、排気ファン39の間をカバー部材41により覆うようにしても良い。
【0021】
さらに、図7に示すようにエンジンルーム11の上部に一つだけ排気ファン39を配置し、エンジンルーム11の後面をカバー部材41により覆うようにしても良い。
(2)上述した第2の実施形態では、排気ファン39をエンジンルーム11内に収容した例について説明したが、例えば、図8に示すようにキャブブリッジ35から突出して突出部35Aを形成し、この突出部35Aに排気ファン39を配置しても良い。
【0022】
(3)上述した実施形態では、温度センサ47からの温度信号により排気ファン39を作動した例について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、例えばエンジン15の冷却系に配置されるサーモスタットに連動して排気ファン39を作動するようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明のキャブオーバ型トラックの第1の実施形態を示す側面図である。
【図2】図1の背面図である。
【図3】本発明のキャブオーバ型トラックの第2の実施形態の要部を示す説明図である。
【図4】図3の制御手段の動作を示す説明図である。
【図5】排気ファンの他の配置例を示す説明図である。
【図6】排気ファンの他の配置例を示す説明図である。
【図7】排気ファンの他の配置例を示す説明図である。
【図8】排気ファンの他の配置例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0024】
11 エンジンルーム
13 キャブ
15 エンジン
23 ラジエータ
35 キャブブリッジ
39 排気ファン
47 温度センサ
51 制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンおよびラジエータが収容されるエンジンルームの上方にキャブを配置してなるキャブオーバ型トラックにおいて、
前記エンジンルームの後面に、前記エンジンルーム内の空気を排気する排気ファンを設けてなることを特徴とするキャブオーバ型トラック。
【請求項2】
請求項1記載のキャブオーバ型トラックにおいて、
前記エンジンルーム内の温度を測定する温度センサと、
前記温度センサで測定された温度が予め定められた温度以上の時に前記排気ファンを作動する制御手段と、
を有することを特徴とするキャブオーバ型トラック。
【請求項3】
請求項1または請求項2記載のキャブオーバ型トラックにおいて、
前記排気ファンの周囲にカバー部材を配置してなることを特徴とするキャブオーバ型トラック。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−248437(P2006−248437A)
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−69490(P2005−69490)
【出願日】平成17年3月11日(2005.3.11)
【出願人】(000003908)日産ディーゼル工業株式会社 (1,028)
【Fターム(参考)】