説明

キャリアテープ、電子部品収容体及び電子部品の搬送方法

【課題】キャリアテープを巻き取ったときに、互いに重なり合う下のキャリアテープと上のキャリアテープの夫々の収容部の位置関係に関係なく、当該収容部に収容された電子部品を確実に固定することができ、当該収容部から電子部品が外れてしまうことを防止することができるキャリアテープ及び当該キャリアテープを備えた電子部品収容体を提供することを目的とする。
【解決手段】電子部品100を収容する収容部44が長手方向に複数形成されたキャリアテープ41は、前記収容部44の底面に、複数個の凸部50−1乃至50−3が配設され、また隣り合う前記収容部44の間に設けられた間隔部45の表面が、当該キャリアテープ41の案内部の表面よりも低く形成されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャリアテープ及びキャリアテープを備えた電子部品収容体及び電子部品の搬送方法に関し、半導体装置などの電子部品を収容するキャリアテープ、当該キャリアテープを適用した電子部品収容体、及び当該電子部品収容体を用いての電子部品の搬送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置等の電子部品の搬送手段の一つとして、エンボステープと称されるキャリアテープ内に当該電子部品を個別に収容して搬送する方法が採られている。
【0003】
これは、一つに、当該電子部品を回路基板等へ実装する際に、その高速処理化に有利であるとして採用されている。
【0004】
かかるキャリアテープを適用した従来の電子部品収容体の構成を、図1に示す。
【0005】
図1を参照するに、電子部品収容装体10は、被搬送電子部品を受容するキャリアテープ1と当該キャリアテープ1の上面開口部を覆うカバーテープ2、並びに当該キャリアテープ1が巻き付けられるリール3などから構成される。
【0006】
キャリアテープ1は、例えばポリ塩化ビニール或いはポリエチレン等の樹脂に静電気対策用のカーボン粉末等を混入させた樹脂からなる。
【0007】
当該キャリアテープ1は、エンボス加工(押出し加工)が施されて、前記半導体装置等の電子部品を収容する凹状の収容部4が複数個配設されている。かかる複数個の凹状の収容部4は、間隔部5を介して、キャリアテープ1の長手方向にほぼ等間隔に配設されている。凹状の収容部4は、収容される電子部品の外形に対応して、例えば略矩形の平面形状を有する。
【0008】
当該キャリアテープ1の長手方向の片側、或いは両側の縁部には、搬送用の送り穴6が一定の間隔で配設されている。
【0009】
また、前記カバーテープ2は、例えばPET(Polyethylene Tele Phatarate)樹脂とポリエチレン系樹脂との2層構造、又はオレフィン系樹脂とポリエチレン系樹脂との2層構造から構成され、キャリアテープ1の上面開口部を覆う。また、前記リール3は、例えばポリスチレン樹脂から形成される。
【0010】
半導体装置などの電子部品がキャリアテープ1の収容部4に収容された状態に於いて、カバーテープ2が、熱シール法或いは圧着コテ等を用いた熱圧着等により、当該収容部4上を覆ってキャリアテープ1に貼着され、電子部品が収容部4から脱落することを防止する。
【0011】
複数個の凹状の収容部4それぞれに電子部品が収容され、当該収容部4を連続して被覆するカバーテープ2が装着されたキャリアテープ1は、リール3に巻き取られて電子部品収容装体10が形成される。
【0012】
電子機器の組立工程にあっては、当該部品収容体10は、図示を省略する部品供給装置に装着される。そして、前記キャリアテープ1はリール3から引き出され、前記送り孔6を利用して一定ピッチで部品供給位置へと送られる。この時、前記カバーテープ2の剥離も行われる。
【0013】
部品供給位置に於いて、前記キャリアテープ1の収容部4から半導体装置等の電子部品が取り出され、当該電子部品は、電子機器のマザーボード等の実装用基板に搭載・固着される。
【0014】
図2に、この様な電子部品収容体10に於いて、キャリアテープ1がリール3に巻きとられて保持された状態を示す。同図2は、当該キャリアテープ1の長手方向、即ち巻きとられた方向に平行な方向の断面を示している。
【0015】
此処では巻き取られ保持されたキャリアテープ1に於いて、当該キャリアテープ1の収容部4と、当該収容部4の外側に位置する他の収容部4'とが、巻き取り半径方向にあってほぼ同じ位置にある場合を示している。
【0016】
尚、キャリアテープ1に於ける収容部4(4')には、その底部の側面の近傍に、当該側面に沿ってリブ7が設けられている。そして、個々の収容部4(4')には、半導体装置8等の電子部品が収容される。当該半導体装置8のリード端子9が、前記リブ7に係止されて、半導体装置8は収容部4(4')の底部に接しない状態で支持されている。尚、リブ7は、例えば収容部4(4')の底部が上方に折曲されなどして形成される。
【0017】
図2に示す例にあっては、キャリアテープ1の収容部4と、当該収容部4の上方(外側)に位置する収容部4'とが、巻き取り半径方向に沿って略同じ位置にあるため、収容部4'の下面全面が、カバーテープ2を介してその下に位置する収容部4に収容された半導体装置8を上方から押圧している。
【0018】
この結果、当該半導体装置8の不要な移動が生ぜず、当該半導体装置8のリード端子9に不要な変形等を生じない。
【0019】
なお、底面の周囲に凹溝が備えられた物品収納用のポケットがテープ材の長手方向に沿って間隔部で隔てられて複数形成されてなるエンボスキャリアテープであって、上記間隔部に貫通孔が設けられていることを特徴とするエンボスキャリアテープが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0020】
また、長手方向に沿って複数の収納部が形成されたキャリアテープと、その表面を覆うトップテープとから構成される部品供給テープであって、トップテープには、収納部に対応する位置に収納部の内側に係合して収納部の開口部の少なくとも一部を閉塞する凹部を形成されていることを特徴とする部品供給テープが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0021】
更に、半導体部品を個別に収容する複数のポケットが形成されたキャリアテープと、このキャリアテープの前記ポケットの開口面側を覆うカバーテープとからなり、前記ポケットの配列方向に沿ってこのポケット列の両側にシール部が形成された半導体部品のテーピング構造であって、キャリアテープおよびカバーテープのうち一方のシール部に凸部を設け、他方にこの凸部が着脱自在に嵌入する凹部を設けたことを特徴とする半導体部品のテーピング構造が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【特許文献1】特開平10−157767号公報
【特許文献2】特開2001−261060号公報
【特許文献3】特開2000−229692号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
前述の如き、電子部品収容体に於いて、リール3にキャリアテープ1を巻き込んでいくと、当該キャリアテープ1に於ける一つの収容部4と、当該収容部4の上方(外側)に位置した収容部4'とが、巻き取り半径方向に於いて位置を異にして(ずれて)巻き取られた状態において、次の様な問題が発生する。
【0023】
即ち、リール3にキャリアテープ1を巻き込んでいくと、図3(A)に示される如く、キャリアテープ1の収容部4と、当該収容部4の上方(外側)に位置する収容部4'とが1/2ピッチ、即ち、収容部4の長手方向の寸法の半分の長さ分ずれてキャリアテープ1が巻きかれて保持される状態が生ずる。或いは、図3(B)に示される如く、収容部4と、当該収容部4の上方(外側)に位置する収容部4'とが1/4ピッチ、即ち、収容部4の長手方向の寸法の1/4の長さ分ずれてキャリアテープ1が巻かれて保持される状態が生ずる。或いは、図3(C)に示される如く、収容部4と、当該収容部4の上方(外側)に位置する収容部4'とが1/8ピッチ、即ち収容部4の長手方向の寸法の1/8の長さ分ずれて巻かれて保持される状態などが生ずる。
【0024】
尚、図3は、前記図2と同様、キャリアテープ1の長手方向に沿う断面を示す。
【0025】
図3(A)乃至図3(C)に示される何れの場合も、上(外側)のキャリアテープ1の収容部4'の下面は、図3において点線で示すように、下(内側)のキャリアテープ1の隣り合う収容部4の間に設けられた間隔部5に接触するものの、当該間隔部5を支点として片持ち梁状に浮き上がり、収容部4に収容された半導体装置8の方向に押圧しない。
【0026】
この為、下(内側)に位置する収容部4に収容されている半導体装置8に対し、上方から押圧する部位が実質的に存在しない。
【0027】
従って、当該キャリアテープ1がリール3に巻かれて保持された状態に於いて、半導体装置8を収容部4内に於いて十分に固定することができない。
【0028】
この為、当該電子部品収容体10の輸送の際等に、例えば落下により当該電子部品収容体10に衝撃が加わった場合、前記収容部4内に於いてリブ7に係止されていた半導体装置8のリード端子9が当該リブ7から外れ、半導体装置8がキャリアテープ1の収容部4内に於いて固定されない状態を生ずる場合がある。
【0029】
収容部4内において固定されない状態は、半導体装置8の移動を可とすることから、当該半導体装置8のリード端9と収容部4の内側面との接触を許容する。
【0030】
この結果、当該リード端子9が折曲してしまい、当該半導体装置8を配線基板などへの実装する際に、その実施が困難或いは不可能となる。
【0031】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであって、キャリアテープをリールに巻き取り保持した際に、キャリアテープの重なり合う上下のキャリアテープの収容部の位置に関係なく、当該収容部に収容された電子部品を確実に押圧して、当該収容部内に於いて電子部品が移動することを防止することができるキャリアテープ及び当該キャリアテープを備えた電子部品収容体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0032】
本発明の一観点によれば、電子部品を収容する凹状の収容部が長手方向に複数形成されたキャリアテープであって、前記収容部の底部には、前記底部の外方に向かって突出する複数個の凸部が前記キャリアテープの長手方向に沿って相互に間隔を有して配設され、前記収容部間に設けられた間隔部の表面が、前記キャリアテープの短手方向の両端の端部の表面よりも低い位置に配置されてなることを特徴とするキャリアテープが提供される。
【0033】
本発明の別の観点によれば、電子部品を収容する凹状の収容部が長手方向に複数形成されたキャリアテープと、前記収容部に収容された電子部品と、前記キャリアテープの前記収容部上を覆うカバーテープと、前記キャリアテープを巻き取るリールとを備えた電子部品収容体であって、前記キャリアテープの前記収容部の底部には、前記底部の外方に向かって突出する複数個の凸部が当該キャリアテープの長手方向に沿って相互に間隔を有して形成され、前記収容部の間に設けられた間隔部の表面が、前記キャリアテープの短手方向の両端の端部の表面よりも低い位置に配置されていることを特徴とする電子部品収容体が提供される。
【0034】
本発明の更に別の観点によれば、長手方向に電子部品を収容する収容部が複数形成されたキャリアテープの前記収容部に電子部品を収容する段階と、前記キャリアテープの前記収容部をカバーテープにより被覆する段階と、前記カバーテープにより被覆された前記キャリアテープを、前記収容部が内側となるようにリールに巻き込み、電子部品収容体を形成する段階と、前記電子部品収容体を搬送する段階とを含む電子部品の搬送方法であって、前記キャリアテープの前記収容部の底部には、当該底部の外方に向かって突出する複数個の凸部が当該キャリアテープの長手方向に沿って相互に間隔を有して配設され、前記収容部の間に設けられた間隔部の表面が、前記キャリアテープの短手方向の両端の端部の表面よりも低い位置に配置されていることを特徴とする電子部品の搬送方法が提供される。
【発明の効果】
【0035】
本発明によれば、キャリアテープをリールに巻き取り保持した際に、互いに重なり合う上下(外側・内側)の収容部の位置に関係なく、当該収容部に収容された電子部品を確実に押圧して、当該収容部内に於いて電子部品が移動することを防止することができるキャリアテープ、及び当該キャリアテープを用いて電子部品を収容・保持する電子部品収容体が提供される。
【0036】
更には、当該電子部品収容体を用いての、電子部品の搬送方法が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
以下、本発明の実施の形態について、図4乃至図11を参照して説明する。
【0038】
本発明の実施の形態にかかるキャリアテープを備えた電子部品収容体の概略構成を図4に示す。なお、以下の説明にあっては、実施の形態にかかるキャリアテープを備えた電子部品収容体に収容される電子部品として、QFP(Quad Flat Package)型、或いはLQFP(Low Profile Quad Flat Package)型と称される、四方向にリードが導出された半導体装置を例に挙げて説明する。
【0039】
本発明の実施の形態にかかる電子部品収容体40を、図4に示す。図4を参照するに、本発明の実施の形態にかかる電子部品収容体40は、被搬送電子部品を受容・保持するキャリアテープ41と、当該キャリアテープ41の上面開口部を覆うカバーテープ42、並びに当該キャリアテープ41が巻き取られるリール43から構成される。
【0040】
キャリアテープ41は、例えば、生分解性プラスチックシート、ポリ塩化ビニール或いはポリエチレン等の樹脂に静電気対策用のカーボン粉末等を混入させた樹脂から形成される。
【0041】
当該キャリアテープ41には、エンボス加工(押出し加工)が施され、半導体装置等の電子部品を収容する凹状の収容部44が複数個形成されている。当該収容部44は、間隔部45を介して、キャリアテープ41の長手方向にほぼ等間隔に形成されている。収容部44は、収容される電子部品の外形に対応して、例えば略矩形の平面形状を有する。
【0042】
また、当該キャリアテープ41の長手方向、即ち巻き取られる方向の両側のガイド部46には、搬送用の送り穴47が一定ピッチ(等間隔)で配設されている。尚、当該搬送用の送り穴47は、キャリアテープ41の長手方向の片側のガイド部46に配設されることも可能である。
【0043】
また、当該キャリアテープ41の収容部44の上面を覆って、例えばPET(Polyethylene Tele Phatarate)樹脂とポリエチレン系樹脂の2層構造、又はオレフィン系樹脂とポリエチレン系樹脂の2層構造からなるカバーテープ42が配設される。
【0044】
即ち、半導体装置などの電子部品がキャリアテープ41の収容部44に収容された状態に於いて、カバーテープ42は、熱シール法或いは圧着コテ等を用いた熱圧着等により、当該収容部44上を覆ってキャリアテープ41に貼着され、電子部品が収容部44から脱落することを防止する。
【0045】
また、前記リール43は、例えばポリスチレン樹脂から形成される。
【0046】
複数個の凹状の収容部44のそれぞれに半導体装置などの電子部品が収容され、当該収容部44を連続して被覆するカバーテープ42が装着されたキャリアテープ41がリール43に巻き取られて、電子部品収容体40が形成される。
【0047】
電子機器の組立工程にあっては、当該電子部品収容体40は、図示を省略する部品供給装置に装着される。
【0048】
そして、前記キャリアテープ41はリール43から引き出され、前記送り孔47を利用して一定ピッチで部品供給位置へと送られる。この時、前記カバーテープ42の剥離も行われる。
【0049】
部品供給位置に於いて、前記収容部44から電子部品が取り出され、当該電子部品は、電子機器のマザーボード等の実装用基板に搭載・固着される。
【0050】
(実施の形態)
本発明によるキャリアテープ41の構成について、図5乃至図9を参照して詳述する。当該キャリアテープ41の平面形状を図5に示す。そして、かかる図5に於いて線P−P'における断面を図6に、線Q−Q'における断面を図7に、更に線R−R'における断面を図8に示す。そして、図6に於いて点線で囲んだ部分を、図9に拡大して示す。
【0051】
図5乃至図8を参照するに、キャリアテープ41は、平面形状が矩形状を有する凹状の電子部品収容部44を複数個具備し、個々の収容部44の底部には、4つの側面それぞれの近傍に当該側面に沿ってリブ48が配設されている。
【0052】
当該リブ48は、収容部44の底部が上方に折曲されて形成されている。
【0053】
本実施の形態にあっては、当該キャリアテープ41の収容部44は、所謂QFP(Quad Flat Package)型或いはLQFP(Low Profile Quad Flat Package)型と称される四方向にリードが導出された半導体装置を対象とするものであって、当該半導体装置のリードが、前記リブ48に係止されて、半導体装置の本体部分(樹脂封止部分)は当該収容部44の底部に接しない状態で支持される。
【0054】
かかるキャリアテープ41に於ける特徴的構成として、前記収容部44の底部に、当該底部の外方、即ち収容される半導体装置等の電子部品から離れる方向に、複数個の凸部が所定の間隔、高さ(深さ)をもって突出して配設されている。
【0055】
即ち、当該収容部44の底部のほぼ中央には、第1の凸部50−1が配設され、また当該第1の凸部50−1の両側(前後)には、当該キャリアテープ41の長さ方向(長手方向)に所定の間隔を有して、即ち所定の距離をもって離間されて、第2の凸部50−2、並びに第3の凸部50−3が配設されている。
【0056】
本実施の態様にあっては、第1の凸部50−1は、円形状の平面形状を有する。また第2の凸部50−2及び第3の凸部50−3は当該キャリアテープ41の幅方向、即ちキャリアテープ41の長さ方向(長手方向)に直交する方向を長辺とする略長方形の平面形状を有している。
【0057】
これら、第1の凸部50−1、第2の凸部50−2及び第3の凸部50−3は、収容部44の底部の外方、即ち収容される半導体装置等の電子部品から離れる方向に、当該収容部44の底面から所定の寸法h1突出して形成されている(図9参照。)。
【0058】
図5を参照して、第1の凸部50−1は、キャリアテープ41の長手方向に寸法Xの幅を有し、第2の凸部50−2及び第3の凸部50−3は、キャリアテープ41の長手方向に寸法Yの幅を有する。
【0059】
これら、キャリアテープ41の長手方向に分離して配設された第1の凸部50−1、第2の凸部50−2及び第3の凸部50−3は、キャリアテープ41の長手方向に隣り合う収容部44の間に設けられている間隔部45と相まって、当該キャリアテープ41がリール43などに巻き取られた際に、当該第1の凸部50−1、第2の凸部50−2又は第3の凸部50−3の下(内側)に位置する収容部44に収容されている半導体装置を、カバーテープ42を介して上方から押圧することが可能となる。
【0060】
これらの凸部は、キャリアテープ41の長手方向に分離して配設されていることから、リール43への巻き取りの際に、当該キャリアテープ41の変形に容易に対応・追従して、その何れかが下(内側)に位置する収容部44に収容されている半導体装置を、カバーテープ42を介して上方から押圧することが可能となる。
【0061】
図8に示されるように、収容部44の間に於ける間隔部45の上面は、当該キャリアテープ41搬送用の送り穴47が配設される前記ガイド部46の表面よりも、寸法h2の値分低く設定されている。かかる構成に於いて、キャリアテープ41の幅方向に於ける、第1の凸部50−1の配設長a、並びに第2の凸部50−2及び第3の凸部50−3の配設長bは、収容部44の間に配設された前記間隔部45の幅方向寸法cよりも小とされている(c>a及びc>b)。
【0062】
この様な寸法関係は、一つに、当該キャリアテープ41の巻き取りの際、間隔部45がその上(外側)に巻かれる収容部44に於ける第1の凸部50−1、第2の凸部50−2及び第3の凸部50−3の案内(ガイド)をなし、巻き取り作業を速やかに行うことに寄与する。
【0063】
第1の凸部50−1の配設長a、並びに第2の凸部50−2及び第3の凸部50−3の配設長bが、間隔部45の幅方向寸法cよりも大であると、巻き取られたキャリアテープ41の上(外側)に位置する収容部の第1の凸部50−1、第2の凸部50−2及び第3の凸部50−3が、下(内側)に位置する収容部44上に位置しても、前記ガイド部46により収容部44側への落ち込みが阻止されてしまい、上(外側)の収容部44に於ける第1の凸部50−1、第2の凸部50−2又は第3の凸部50−3は、その下(内側)に位置する収容部44に於ける半導体装置に対して、カバーテープ42を介して実質的に押圧することができない。
【0064】
この様な条件(c>a及びc>b)を満たす範囲に於いて、第1の凸部50−1の配設長a、並びに第2の凸部50−2及び第3の凸部50−3の配設長bを大きくすることにより、キャリアテープ41が巻き取られた際に、第1の凸部50−1、第2の凸部50−2又は第3の凸部50−3の直下(内側)に位置する収容部44に収容された半導体装置を押圧する面積が大きくなる。
【0065】
また、キャリアテープ41の長手方向に沿った収容部44の中心線(図5における一点鎖線P−P')を対称軸として、キャリアテープ41の幅方向の配設長が均等になるように、第1の凸部50−1、第2の凸部50−2及び第3の凸部50−3を形成することが望ましい。これにより、キャリアテープ41が巻き取られた際に、第1の凸部50−1、第2の凸部50−2又は第3の凸部50−3の直下に位置する収容部44に収容されている半導体装置に対して押圧力が均等に作用する。
【0066】
一方、キャリアテープ41の長手方向に於ける、第1の凸部50−1と第2の凸部50−2との間隔と、第1の凸部50−1と第3の凸部50−3との間隔は、互いに等しい寸法αに設定されている。
【0067】
また、本実施の態様にあっては、第2の凸部50−2及び第3の凸部50−3と、前記間隔部45との間の寸法βは、収容部44の底部におけるリブ48の形成領域を確保するために、前記寸法αよりも長く設定されている。
【0068】
但し、寸法αと寸法βは、以下の理由から等しい値に設定されることが望ましい。
【0069】
即ち、第1の凸部50−1と第2の凸部50−2との間の寸法α、第1の凸部50−1と第3の凸部50−3との間の寸法α、第2の凸部50−2と間隔部45との間の寸法β、及び第3の凸部50−3と間隔部45との間の寸法βの何れもが等しい値に設定されていれば、(第1の凸部50−1、第2の凸部50−2、第3の凸部50−3、及び間隔部45が夫々均等な間隔で配設されていれば、)キャリアテープ41がリール43に巻き取られた際に、上(外側)に位置するキャリアテープ43の収容部44とその直下(内側)に位置するキャリアテープ41の収容部44とが長手方向(巻回方向)にどのようにずれても、上(外側)に位置するキャリアテープ41の収容部44は、下(内側)のキャリアテープ41の収容部44に収容された半導体装置に対し、カバーテープ42を介して、第1の凸部50−1、第2の凸部50−2又は第3の凸部50−3の何れかによって確実に押圧することができる。
【0070】
この様に、収容部44内に於ける複数の凸部50相互間、並びに間隔部45との間隔が等しく設定されていれば、収容部44内における当該凸部50の配設数に特に制限はない。
【0071】
また、本実施の態様にあっては、一つの収容部44に3つの凸部50−1、50−2乃至50−3が設けられているが、当該収容部44に於いて、キャリアテープ41の長さ方向に沿う凸部50の配設数を増加させれば、当該キャリアテープ41が巻き取られた際に、当該凸部の直下に位置する収容部44に収容された半導体装置に対する押圧箇所(押圧ポンイト)の数を増加させることができる。
【0072】
尚、第1の凸部50−1のキャリアテープ41の長手方向に沿う寸法Xと、第2の凸部50−2及び第3の凸部50−3のキャリアテープ41の長手方向に沿う寸法Yは、同一の値であってもよい。
【0073】
更に、前記第1の凸部50−1に、貫通孔51を配設することにより、当該収容部44に半導体装置などの電子部品が収容されているか否かを、当該キャリアテープ41の下方に設けたセンサーにより検出することが可能である。
【0074】
次に、図5、図8及び図9を参照して、キャリアテープ43の長手方向に配設された収容部44の間に設けられた間隔部45について説明する。
【0075】
図9に示されるように、収容部44の間に於ける前記間隔部45の上面は、当該キャリアテープ41搬送用の送り穴47が配設される前記ガイド部46の表面よりも、寸法h2の値分低く設定されている。
【0076】
当該寸法h2は、第1の凸部50−1、第2の凸部50−2及び第3の凸部50−3に於ける突出部の突出寸法h1と同じ値、或いは当該突出寸法h1よりも大きな値に設定されている(h2≧h1)。
【0077】
これは、当該間隔部45が設定される表面の位置h2が、第1の凸部50−1、第2の凸部50−2或いは第3の凸部50−3の突出寸法h1よりも小であると、リール43に巻き取られたキャリアテープ41に於いて、上(外側)のキャリアテープ41の第1の凸部50−1、第2の凸部50−2又は第3の凸部50−3の何れかが、下(内側)のキャリアテープ41の間隔部45上に位置した場合、当該間隔部45の上に位置しない第1の凸部50−1、第2の凸部50−2或いは第3の凸部50−3の何れかの、下(内側)のキャリアテープ41の収容部44内への落ち込みが阻止或いは制限されて、当該下(内側)のキャリアテープ41の収容部44内の半導体装置を、カバーテープ42を介して押圧することができなくなってしまうことによる。
【0078】
h2≧h1とすることにより、上(外側)のキャリアテープ41の第1の凸部50−1、第2の凸部50−2又は第3の凸部50−3の何れかが、下(内側)のキャリアテープ41の間隔部45の上に位置する場合であっても、当該間隔部45の上に位置しない第1の凸部50−1、第2の凸部50−2又は第3の凸部50−3の何れかが、その下に位置する収容部44に於ける半導体装置100を、カバーテープ42を介して押圧することができる。
【0079】
また、この様に間隔部45が設定される表面の位置h2が、第1の凸部50−1、第2の凸部50−2或いは第3の凸部50−3に於ける突出高さh1よりも大であることにより、仮に上(外側)のキャリアテープ41の第1の凸部50−1、第2の凸部50−2又は第3の凸部50−3の何れかが当該間隔部45を支点として片持ち梁状に浮き上がりを生じても、その浮き上がり量(高さ)は僅かであり、当該間隔部45から遠い位置にある凸部はその下(内側)に位置する収容部44に収容された半導体装置を容易に押圧する。
【0080】
一方、図5を参照するに、間隔部45を挟んで対向して設けられている2つのリブ48間の距離Zは、第1の凸部50−1の幅X及び第2の凸部50−2又は第3の凸部50−3の幅Yよりも長く設定されている(Z>X(Y))。
【0081】
これは、第1の凸部50−1の幅X及び第2の凸部50−2又は第3の凸部50−3の幅Yが、間隔部45を挟んで対向して設けられている2つのリブ48間の長さZよりも長く設定されていると、巻き取られたキャリアテープ41のうち、上のキャリアテープ41の第1の凸部50−1、第2の凸部50−2又は第3の凸部50−3の何れかが、下のキャリアテープ41の間隔部45の直上に位置する場合に当該間隔部45に接触してしまい、下のキャリアテープ41の収容部44に収容された半導体装置をカバーテープ42を介して十分に押圧することができないからである。
【0082】
Z>X(Y)とすることにより、巻き取られたキャリアテープ41のうち、上方(外側)のキャリアテープ41に於ける第1の凸部50−1、第2の凸部50−2又は第3の凸部50−3が、下方(内側)のキャリアテープ41の間隔部45の上に位置する場合であっても、当該第1の凸部50−1、第2の凸部50−2又は第3の凸部50−3の何れかが、下のキャリアテープ41の収容部44に収容された半導体装置100を、カバーテープ42を介して押圧することができない状態を回避することができる。
【0083】
次に、上述した構造を備え、半導体装置を収容したキャリアテープ41が、リールなどに巻き取られた状態を、図10及び図11を参照して説明する。ここで、図10及び図11は、前記図5乃至図9に示すキャリアテープ41の、長手方向(巻回方向)に沿う断面を示す。
【0084】
図10(A)に、前記キャリアテープ41が巻き取られ、当該キャリアテープ41の第1の収容部44と、前記第1の収容部44の直上(外側)に位置する第2の収容部44'とが、巻き取り半径方向に沿ってほぼ同じ位置にある場合を示す。
【0085】
当該キャリアテープ41の各収容部44には、それぞれQFP(Quad Flat Package)型、或いはLQFP(Low Profile Quad Flat Package)型の半導体装置100が収容されている。
【0086】
キャリアテープ41の第1の収容部44と、当該第1の収容部44の直上(外側)に位置する第2の収容部44'とが、巻き取り半径方向上、略同じ位置にあるため、図10(A)において破線により囲んだ部分(楕円状)に示されるように、上方(外側)に位置する収容部44'a並びに収容部44'bのそれぞれに於ける第1の凸部50'−1、第2の凸部50'−2及び第3の凸部50'−3が、カバーテープ42を介して、その直下(内側)に位置する収容部44に収容された半導体装置100a,100bを押圧している。
【0087】
従って、収容部44に収容された半導体装置100a,100bは、その直上に位置する収容部44'の第1の凸部50'−1、第2の凸部50'−2及び第3の凸部50'−3により、上方から押圧されると共に、そのリード端子101がリブ48により下方から支持されて、当該半導体装置100a,100bは収容部44内に於いて強固に保持される。
【0088】
図10(B)は、キャリアテープ41の第1の収容部44と、当該第1の収容部44の上方(外側)に位置する第2の収容部44'とが1/2ピッチ、即ち、収容部44の長手方向の寸法の半分の長さずれて、キャリアテープ41が巻き取られている状態を示す。
【0089】
かかる状態にあっては、上方(外側)のキャリアテープ41に於ける左側の収容部44'aの第2の凸部50'−2が、その直下(内側)に位置する収容部44aに収容された半導体装置100aを押圧し、また、上方のキャリアテープ41の右側の収容部44'bに於ける第2の凸部50'−2及び第3の凸部50'−3が、夫々その直下に位置する収容部44に収容された半導体装置100b並びに半導体装置100cを押圧している。且つ、当該半導体装置100a,100b,100cは、それぞれの収容部44内に於いて、そのリード端子101がリブ48により下方から支持されて、当該収容部44内に於いて保持される。
【0090】
また、図11(C)は、キャリアテープ43の第1の収容部44と、当該第1の収容部44の上方(外側)に位置する他の収容部44'とが1/4ピッチ、即ち、収容部44の長手方向の寸法の半分の長さずれて、キャリアテープ41が巻き取られている状態を示す。
【0091】
かかる状態にあっては、上方(外側)のキャリアテープ41の左側の収容部44'aに於ける第2の凸部50'−2及び第1の凸部50'−1が、その直下(内側)に位置する収容部44aに収容された半導体装置100aを押圧し、上方のキャリアテープ41の右側の収容部44'bに於ける第1の凸部50'−1が、その直下に位置する収容部44bに収容された半導体装置100bを押圧している。且つ、当該半導体装置100a,100bは、それぞれの収容部44内に於いて、そのリード端子101がリブ48により下方から支持されて、当該収容部44内に於いて保持される。
【0092】
更に、図11(D)は、キャリアテープ41の一の収容部44と、当該第1の収容部44の上方(外側)に位置する他の収容部44'とが1/8ピッチ、即ち、収容部44の長手方向の寸法の1/8の長さずれて、キャリアテープ41が巻き取られている状態を示す。
【0093】
かかる状態にあっては、上方(外側)のキャリアテープ41の左側の収容部44'aに於ける第1の凸部50'−1、第2の凸部50'−2及び第3の凸部50'−3が、その直下(内側)に位置する収容部44aに収容された半導体装置100aを押圧し、上方のキャリアテープ41の右側の収容部44'bに於ける第1の凸部50'−1及び第3の凸部50'−3が、その直下に位置する収容部44bに収容された半導体装置100bを押圧している。且つ、当該半導体装置100a,100bは、それぞれの収容部44内に於いて、そのリード端子101がリブ48により下方から支持されて、当該収容部44内に於いて保持される。
【0094】
この様な巻回状態にあって、間隔部45は、その表面がキャリアテープ41の長手方向の両側の縁部の位置よりもh2だけ下方に配設されているため、当該間隔部45を支点として収容部44が片持ち梁状に浮き上がり下(内側)の収容部44に収容された半導体装置100方向に押圧力を生じないという現象が防止される。
【0095】
このように、キャリアテープ41の第1の収容部44と、当該第1の収容部44の上方(外側)に位置する他の収容部44'とが、当該キャリアテープ41の長手方向にずれて巻き取られた場合であっても、第1の凸部50−1、第2の凸部50−2及び第3の凸部50−3は、キャリアテープ41の長手方向に隣り合う収容部44の間に設けられている間隔部45と相まって、当該第1の凸部50−1、第2の凸部50−2又は第3の凸部50−3の直下(内側)に位置する収容部44に収容されている半導体装置100を上方から有効に押圧する。
【0096】
更に、当該半導体装置100のリード端子101は、リブ48により下方から支持され、当該半導体装置100は収容部44内に於いて固定され、強固に保持される。
【0097】
以上説明したように、本発明によれば、キャリアテープ41をリール43に巻き取った際に、下(内側)に位置するキャリアテープ41に於ける収容部44と、上(外側)に位置するキャリアテープ41に於ける収容部44との位置関係に関わらず、当該収容部44に収容された半導体装置100を、上下方向から相互に確実に固定することができる。
【0098】
よって、かかるキャリアテープ41を備えた電子部品収容体40を輸送する際に、万が一落下等による衝撃が加わっても、収容部44に収容された半導体装置100のリード端子101が、リブ48から外れ、当該半導体装置100が収容部44内において移動可能となることを防止することができる。
【0099】
即ち、当該半導体装置100のリード端子101が収容部44の内側面と接触し、当該リード端子101が折曲してしまうことを防止することができる。従って、前記QFP(Quad Flat Package)型或いはLQFP(Low Profile Quad Flat Package)型等の比較的大型であり、且つ4方向にリード端子が配設された半導体装置であっても、その搬送時に当該リード端子の変形を生ずることがない。
【0100】
これにより、当該半導体装置は、電子機器に於ける実装対象基板に対し、効率よく実装することができる。
【0101】
上記本発明によるキャリアテープが適用され電子部品収容体を用い、電子部品を部品供給装置等へ搬送する際には、次の段階(ステップ)を含む。
【0102】
即ち、長手方向に電子部品を収容する収容部が複数形成されたキャリアテープの当該収容部に電子部品を収容する段階、当該キャリアテープの前記収容部をカバーテープにより被覆する段階、当該カバーテープにより被覆されたキャリアテープを、前記収容部が内側となるようにリールに巻き込み、電子部品収容体を形成する段階、及び当該電子部品収容体を部品供給装置等へ搬送する段階を具備する。
【0103】
この時、本発明思想に従い、前記キャリアテープに於ける電子部品の収容部の底部には、当該底部の外方に向かって突出する複数個の凸部が当該キャリアテープの長手方向に沿って相互に間隔を有して配設され、また前記収容部の間に設けられた間隔部の表面が、当該キャリアテープの案内部よりも低い位置に配置されてなる。
【0104】
この様な電子部品の搬送方法によれば、前記キャリアテープに於ける特徴的構成により、当該キャリアテープの収容部に収容された半導体装置等の電子部品に、そのリード端子の変形等を招来することなく、高い信頼性をもって搬送を実施することができる。
【0105】
もって、当該電子部品を用いての電子機器の製造を、高い作業効率をもって実施することができる。
【0106】
以上、本発明の実施の形態について詳述したが、本発明思想は前記実施形態に限定されるものではなく、種々の変形或いは変更が可能である。
【0107】
例えば、前記実施態様にあっては、第1の凸部50−1は略円形の平面形状を有し、第2の凸部50−2及び第3の凸部50−3は、キャリアテープ41の短手方向に長辺を有する矩形状の平面形状を有している。
【0108】
しかしながら、これらの凸部の形状は、これに限られるものではない。
即ち、当該凸部は、
(1)収容部44の底部の外方、即ち収容される半導体装置等の電子部品から離れる方向に、当該収容部44の底面から所定の寸法h1突出して形成されている。
(2)第1の凸部50−1と第2の凸部50−2との間の間隔αと、第1の凸部50−1と第3の凸部50−3との間の間隔αが、第2の凸部50−2及び第3の凸部50−3と間隔部45との間の間隔βと等しい間隔に設定され(図5において、α=β)、
(3)間隔部45の上面は、キャリアテープ41搬送用の送り穴47が配設されるガイド部46の表面よりも、寸法h2の値分低く設定されている。当該寸法h2は、前記寸法h1と同等以上に設定されている(h2≧h1)、
(4)間隔部45を挟んで対向して設けられている2つのリブ48間の距離Zが、第1の凸部50−1の幅Xならびに第2の凸部50−2及び第3の凸部50−3の幅Yよりも大きく設定され(図5において、Z>X(Y))、
(5)キャリアテープ41の幅方向における、第1の凸部50−1の配設長a、並びに第2の凸部50−2及び第3の凸部50−3の配設長bが、間隔部45の幅cよりも短く設定されている(図5において、c>a(b))。
との条件を満たせばよい。
【0109】
従って、前記第1の凸部50−1、第2の凸部50−2及び第3の凸部50−3の平面形状を、例えば、図12乃至図14に示す形状としてもよい。
【0110】
尚、図12乃至図14にあっては、キャリアテープに於ける一つの収容部を示し、前記図5に示す部位に対応する部位には同じ符号を付してその説明を省略する。
【0111】
図12に示すキャリアテープ141にあっては、収容部144の底部に配設される第1の凸部150−1の平面形状が、第2の凸部150−2及び第3の凸部150−3の平面形状と同様、当該キャリアテープ141の幅方向に長辺を有する略矩形形状とされている。即ち、当該第1の凸部150−1は、キャリアテープ141の長さ方向(長手方向)の寸法が図5に於ける円形形状の直径に相当する長さXに、またキャリアテープ141の幅方向における配設長が、第2の凸部150−2及び第3の凸部150−3の配設長と同じ長さbに設定されている。
【0112】
一方、第2の凸部150−2並びに第3の凸部150−3のキャリアテープ141の長さ方向(長手方向)の寸法は、Yに設定されている。
【0113】
本実施の形態にあっても、図5に示す例と同様に、前記の条件(1)乃至(5)を満たしている。
【0114】
また、図13に示すキャリアテープ241にあっては、図12に示した第1の凸部150−1、第2の凸部150−2及び第3の凸部150−3を、キャリアテープ241の幅方向に沿って、複数個(此処では3個)に分割し、第1の凸部250−1a乃至250−1c、第2の凸部250−2a乃至250−2c、及び第3の凸部250−3a乃至250−3cを配設している。
【0115】
即ち、収容部244の底部には、符号250−1a、250−1b及び250−1cで示す矩形状凸部により第1の凸部250−1が構成され、符号250−2a、250−2b及び250−2cで示す矩形状凸部により第2の凸部250−2が構成され、更に符号250−3a、250−3b及び250−3cで示す矩形状凸部により第3の凸部250−3が構成されている。
【0116】
当該第1の凸部250−1の、キャリアテープ241の長さ方向(長手方向)の寸法はXに、また第2の凸部250−2並びに第3の凸部250−3のキャリアテープ141の長さ方向(長手方向)の寸法はYに設定されている。
【0117】
また、第1の凸部250−1、第2の凸部250−2及び第3の凸部250−3の、キャリアテープ241の幅方向における最大長は、bに設定されている。
【0118】
本実施の形態にあっても、図5に示す例と同様に、前記の条件(1)乃至(5)を満たしている。
【0119】
更に、図14に示すキャリアテープ341例にあっては、前記図13に示した実施の形態に於いては矩形形状を有していた9個の凸部が、円形形状とされている。
【0120】
即ち、収容部344の底部には、符号350−2a、350−2b及び350−2cで示す円形状凸部により第2の凸部350−2が構成され、符号350−3a、350−3b及び350−3cで示す円形状凸部により第3の凸部350−3が構成され、更に符号350−1a及び350−1cで示す円形状凸部間に第1の凸部50−1が配設されている。
【0121】
第1の凸部50−1のキャリアテープ341の長さ方向(長手方向)の寸法はXに、第2の凸部350−2並びに第3の凸部350−3のキャリアテープ341の長さ方向(長手方向)の寸法はYに設定されている。
【0122】
また、第1の凸部350−1、第2の凸部350−2及び第3の凸部350−3の、キャリアテープ341の幅方向における最大長は、bに設定されている。
【0123】
尚、第1の凸部350−1として、貫通孔51を具備した第1の凸部50−1が配設されている。
【0124】
本実施の形態にあっても、図5に示す例と同様に、前記の条件(1)乃至(5)を満たしている。
【0125】
なお、図12乃至図14に示すキャリアテープ141、241、341の収容部144、244、344における線P−P'に沿う断面形状は、前記図6に示される断面形状と同一の形状を有する。
【0126】
図12乃至図14に示される実施態様にあっても、キャリアテープ141、241、341を巻回した際に、互いに重なり合う下のキャリアテープと上のキャリアテープに於ける夫々の収容部の位置に関係することなく、当該収容部に収容された半導体装置等の電子部品を確実に固定して、当該収容部内に於いて電子部品が移動可能な状態となることを防止することができる。
【0127】
尚、前記実施の態様にあっては、被収容電子部品として、QFP(Quad Flat Package)型、或いはLQFP(Low Profile Quad Flat Package)型と称される、四方向にリードが導出された半導体装置を例に挙げたか、本発明によるキャリアテープ、電子部品収容体並びに電子部品の搬送方法は、勿論この様な半導体装置を対象とすることに限定されるものではない。
電子部品のリード導出形態に関わらず、エンボス加工により形成された電子部品収容部を具備するキャリアテープ、当該キャリアテープを適用した電子部品収容体、及び当該電子部品収容体を用いた電子部品の搬送方法に適用することができる。
【0128】
以上の説明に関し、更に以下の項を開示する。
(付記1)
電子部品を収容する凹状の収容部が長手方向に複数形成されたキャリアテープであって、
前記収容部の底部には、前記底部の外方に向かって突出する複数個の凸部が前記キャリアテープの長手方向に沿って相互に間隔を有して配設され、
前記収容部間に設けられた間隔部の表面が、前記キャリアテープの短手方向の両端の端部の表面よりも低い位置に配置されてなることを特徴とするキャリアテープ。
(付記2)
付記1記載のキャリアテープであって、
前記凸部は、前記収容部の中央に形成された第1の凸部と、
前記キャリアテープの長手方向に対して前記第1の凸部の左右に形成された第2の凸部とからなることを特徴とするキャリアテープ。
(付記3)
付記2記載のキャリアテープであって、
前記第1の凸部の前記キャリアテープの幅方向における長さ、及び前記第2の凸部の前記キャリアテープの幅方向における長さは、前記間隔部の前記キャリアテープの幅方向における長さよりも短いことを特徴とするキャリアテープ。
(付記4)
付記2又は3記載のキャリアテープであって、
隣り合う前記第2の凸部の前記キャリアテープの幅方向における長さは略均一であることを特徴とするキャリアテープ。
(付記5)
付記2記載のキャリアテープであって、
隣り合う前記第1及び第2の凸部間の長さと、前記間隔部と前記第2の凸部との長さは、略均一であることを特徴とするキャリアテープ。
(付記6)
付記1に記載のキャリアテープであって、
前記間隔部の、当該キャリアテープの短手方向の両端の縁部よりも下向きに突出している長さは、前記凸部の前記収容部の前記底面から下向きに突出している長さと均一又はこれよりも大きいことを特徴とするキャリアテープ。
(付記7)
付記1乃至6いずれか一項記載のキャリアテープであって、
前記収容部の底面に、前記収容部の4辺の側面に沿って前記収容部の内向きに折曲された凸状のリブ部が形成されていることを特徴とするキャリアテープ。
(付記8)
付記7記載のキャリアテープであって、
一の収容部において当該キャリアテープの短手方向に形成された前記リブと、前記一の収容部の隣に位置する収容部において前記間隔部を介して前記一の収容部の前記リブと対向して形成されたリブとの間の長さは、当該キャリアテープの長手方向における前記凸部の幅の長さよりも長いことを特徴とするキャリアテープ。
(付記9)
電子部品を収容する凹状の収容部が長手方向に複数形成されたキャリアテープと、
前記収容部に収容された電子部品と、
前記キャリアテープの前記収容部上を覆うカバーテープと、
前記キャリアテープを巻き取るリールと
を備えた電子部品収容体であって、
前記キャリアテープの前記収容部の底部には、前記底部の外方に向かって突出する複数個の凸部が当該キャリアテープの長手方向に沿って相互に間隔を有して形成され、
前記収容部の間に設けられた間隔部の表面が、前記キャリアテープの短手方向の両端の端部の表面よりも低い位置に配置されている
ことを特徴とする電子部品収容体。
(付記10)
付記9記載の電子部品収容体であって、
前記凸部は、前記収容部の中央に形成された第1の凸部と、
前記キャリアテープの長手方向に対して前記第1の凸部の左右に形成された第2の凸部とからなることを特徴とする電子部品収容体。
(付記11)
付記10記載の電子部品収容体であって、
前記第1の凸部の前記キャリアテープの幅方向における長さ、及び前記第2の凸部の前記キャリアテープの幅方向における長さは、前記間隔部の前記キャリアテープの幅方向における長さよりも短いことを特徴とする電子部品収容体。
(付記12)
付記10又は11記載の電子部品収容体であって、
隣り合う前記第2の凸部の前記キャリアテープの幅方向における長さは略均一であることを特徴とする電子部品収容体。
(付記13)
付記10記載の電子部品収容体であって、
隣り合う前記第1及び第2の凸部間の長さと、前記間隔部と前記第2の凸部との長さは、略均一であることを特徴とする電子部品収容体。
(付記14)
付記9に記載の電子部品収容体であって、
前記間隔部の、当該キャリアテープの短手方向の両端の縁部よりも下向きに突出している長さは、前記凸部の前記収容部の前記底面から下向きに突出している長さと均一又はこれよりも大きいことを特徴とする電子部品収容体。
(付記15)
付記9乃至14いずれか一項記載の電子部品収容体であって、
前記収容部の底面に、前記収容部の4辺の側面に沿って前記収容部の内向きに折曲された凸状のリブ部が形成されていることを特徴とする電子部品収容体。
(付記16)
付記15記載の電子部品収容体であって、
一の収容部において当該キャリアテープの短手方向に形成された前記リブと、前記一の収容部の隣に位置する収容部において前記間隔部を介して前記一の収容部の前記リブと対向して形成されたリブとの間の長さは、当該キャリアテープの長手方向における前記凸部の幅の長さよりも長いことを特徴とする電子部品収容体。
(付記17)
長手方向に電子部品を収容する収容部が複数形成されたキャリアテープの前記収容部に電子部品を収容する段階と、
前記キャリアテープの前記収容部をカバーテープにより被覆する段階と、
前記カバーテープにより被覆された前記キャリアテープを、前記収容部が内側となるようにリールに巻き込み、電子部品収容体を形成する段階と、
前記電子部品収容体を搬送する段階と
を含む電子部品の搬送方法であって、
前記キャリアテープの前記収容部の底部には、当該底部の外方に向かって突出する複数個の凸部が当該キャリアテープの長手方向に沿って相互に間隔を有して配設され、
前記収容部の間に設けられた間隔部の表面が、前記キャリアテープの短手方向の両端の端部の表面よりも低い位置に配置されていることを特徴とする電子部品の搬送方法。
【図面の簡単な説明】
【0129】
【図1】従来のキャリアテープを備えた電子部品収容体の構成を示す図である。
【図2】図1に示すキャリアテープの巻き取り状態に於けるキャリアテープの長手方向に沿う断面図である。
【図3】図1示すキャリアテープの巻き取り状態に於けるキャリアテープの長手方向に沿う断面図である。
【図4】本発明の実施の形態にかかるキャリアテープを備えた電子部品収容体の構成を示す外観図である。
【図5】図4に示すキャリアテープの部分平面図である。
【図6】図5に示すキャリアテープの線P−P'における断面図である。
【図7】図5に示すキャリアテープの線Q−Q'における断面図である。
【図8】図5に示すキャリアテープの線R−R'における断面図である。
【図9】図6において点線で囲んだ部分の拡大図である。
【図10】図5乃至図9に示すキャリアテープの巻き取り状態に於けるキャリアテープの長手方向に沿う断面図(その1)である。
【図11】図5乃至図9に示すキャリアテープの巻き取り状態に於けるキャリアテープの長手方向に沿う断面図(その2)である。
【図12】図5に示すキャリアテープの第1の変形例にかかるキャリアテープの部分拡大平面図である。
【図13】図5に示すキャリアテープの第2の変形例にかかるキャリアテープの部分拡大平面図である。
【図14】図5に示すキャリアテープの第3の変形例にかかるキャリアテープの部分拡大平面図である。
【符号の説明】
【0130】
1、41 キャリアテープ
2、42 カバーテープ
3、43 リール
4、44 収容部
5、45 間隔部
7、48 リブ
8、100 半導体装置
9、101 リード端子
10、40 電子部品収容体
50−1、50−2、50−3、150−1、150−2、150−3、250−1、250−2、250−3、350−1、350−2、350−3 凸部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品を収容する凹状の収容部が長手方向に複数形成されたキャリアテープであって、
前記収容部の底部には、前記底部の外方に向かって突出する複数個の凸部が前記キャリアテープの長手方向に沿って相互に間隔を有して配設され、
前記収容部間に設けられた間隔部の表面が、前記キャリアテープの短手方向の両端の端部の表面よりも低い位置に配置されてなることを特徴とするキャリアテープ。
【請求項2】
請求項1記載のキャリアテープであって、
前記凸部は、前記収容部の中央に形成された第1の凸部と、
前記キャリアテープの長手方向に対して前記第1の凸部の左右に形成された第2の凸部とからなることを特徴とするキャリアテープ。
【請求項3】
請求項2記載のキャリアテープであって、
前記第1の凸部の前記キャリアテープの幅方向における長さ、及び前記第2の凸部の前記キャリアテープの幅方向における長さは、前記間隔部の前記キャリアテープの幅方向における長さよりも短いことを特徴とするキャリアテープ。
【請求項4】
請求項2又は3記載のキャリアテープであって、
隣り合う前記第2の凸部の前記キャリアテープの幅方向における長さは略均一であることを特徴とするキャリアテープ。
【請求項5】
請求項2記載のキャリアテープであって、
隣り合う前記第1及び第2の凸部間の長さと、前記間隔部と前記第2の凸部との長さは、略均一であることを特徴とするキャリアテープ。
【請求項6】
請求項1に記載のキャリアテープであって、
前記間隔部の、当該キャリアテープの短手方向の両端の縁部よりも下向きに突出している長さは、前記凸部の前記収容部の前記底面から下向きに突出している長さと均一又はこれよりも大きいことを特徴とするキャリアテープ。
【請求項7】
請求項1乃至6いずれか一項記載のキャリアテープであって、
前記収容部の底面に、前記収容部の4辺の側面に沿って前記収容部の内向きに折曲された凸状のリブ部が形成されていることを特徴とするキャリアテープ。
【請求項8】
請求項7記載のキャリアテープであって、
一の収容部において当該キャリアテープの短手方向に形成された前記リブと、前記一の収容部の隣に位置する収容部において前記間隔部を介して前記一の収容部の前記リブと対向して形成されたリブとの間の長さは、当該キャリアテープの長手方向における前記凸部の幅の長さよりも長いことを特徴とするキャリアテープ。
【請求項9】
電子部品を収容する凹状の収容部が長手方向に複数形成されたキャリアテープと、
前記収容部に収容された電子部品と、
前記キャリアテープの前記収容部上を覆うカバーテープと、
前記キャリアテープを巻き取るリールと
を備えた電子部品収容体であって、
前記キャリアテープの前記収容部の底部には、前記底部の外方に向かって突出する複数個の凸部が当該キャリアテープの長手方向に沿って相互に間隔を有して形成され、
前記収容部の間に設けられた間隔部の表面が、前記キャリアテープの短手方向の両端の端部の表面よりも低い位置に配置されている
ことを特徴とする電子部品収容体。
【請求項10】
長手方向に電子部品を収容する収容部が複数形成されたキャリアテープの前記収容部に電子部品を収容する段階と、
前記キャリアテープの前記収容部をカバーテープにより被覆する段階と、
前記カバーテープにより被覆された前記キャリアテープを、前記収容部が内側となるようにリールに巻き込み、電子部品収容体を形成する段階と、
前記電子部品収容体を搬送する段階と
を含む電子部品の搬送方法であって、
前記キャリアテープの前記収容部の底部には、当該底部の外方に向かって突出する複数個の凸部が当該キャリアテープの長手方向に沿って相互に間隔を有して配設され、
前記収容部の間に設けられた間隔部の表面が、前記キャリアテープの短手方向の両端の端部の表面よりも低い位置に配置されていることを特徴とする電子部品の搬送方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2008−207821(P2008−207821A)
【公開日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−44545(P2007−44545)
【出願日】平成19年2月23日(2007.2.23)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】