説明

キャリアテープ

【課題】物品収納凹部に収納した収納物品が物品収納凹部内を動き難く、しかも、収納物品が物品収納凹部内を動いた場合でも、収納物品の電極端子が支持部に当たるおそれの少ないキャリアテープを提供する。
【解決手段】キャリアテープ1の物品収納凹部2は、夫々、内周壁21、22、23と底壁25との境界部に、収納物品としての電子部品100の底面の周縁103を支持する支持部26a、26bを備えている。支持部26a、26bは、内周壁21、22、23と底壁25に行くに従い漸次高さが低くなるように、且つ、内周壁21、22、23と底壁25にかけて下方側に窪ませるようにして形成された断面円弧状に構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置のチップ・サイズ・パッケージ(CSP)等の電子部品等の物品を収納するのに最適なキャリアテープに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、キャリアテープに、底壁と内周壁とで形成した複数の物品収納凹部を設け、これらの物品収納凹部に、例えば電子部品を収納するようにしている。しかし、チップ搭載基板の底面やチップモールド部の底面に配列された複数のハンダボールやハンダバンプなどの電極端子を有する半導体パッケージを、キャリアテープの物品収納凹部に収納して搬送すると、電極端子が物品収納凹部の底壁に直接接触し電極端子の汚染等を招くおそれがある。
【0003】
そこで、物品収納凹部の内周壁を底壁に対して略垂直に形成し、電子部品の底面周縁部を支持するテーパ面を内周壁の下方に形成するとともに、物品収納凹部の内周壁角部を底壁と略垂直に形成して、電子部品の底面角部と前記テーパ面との干渉を防止するようにしたキャリアテープが提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−327025号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1のように、収納物品である電子部品の底面周縁部を支持する支持部を、テーパ面から構成すると、物品収納凹部に電子部品を収納したキャリアテープが搬送される際等に電子部品が物品収納凹部内を滑り動きやすくなってしまう。
【0006】
又、例えば図5に示すように、電子部品100の底面102の周縁103がテーパ面110(2点鎖線で示す)の上端まで動くと、電子部品100の電極端子としてのボール端子101がテーパ面110に当たり易くなる。
【0007】
本発明は、物品収納凹部に収納した収納物品が物品収納凹部内を滑り動き難くできるものであって、しかも、収納物品が物品収納凹部内を動いた場合でも、収納物品の電極端子が支持部に当たるおそれの少ないキャリアテープの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、本発明の請求項1は、底壁とその底壁の全周に配設された内周壁とを有する物品収納凹部を複数、配設し、その物品収納凹部に収納物品を収納するようにしたキャリアテープであって、前記物品収納凹部は、夫々、前記内周壁と底壁との境界部に、前記収納物品の底面の周縁を支持する支持部を備え、前記支持部は、前記内周壁から底壁に行くに従い漸次高さが低くなるように、且つ、外周側に膨らませるようにして形成された断面円弧状に構成されていることを特徴とするキャリアテープを提供する。
【0009】
請求項2は、請求項1のキャリアテープにおいて、前記物品収納凹部は、夫々、四角形状の収納物品を収納し得るように、前後左右の各内周壁によって四角形状に区画形成され、前記支持部は、前記前後左右の各内周壁夫々と底壁との境界部に形成された前支持部、後支持部、左支持部、及び右支持部を備え、前記前支持部と左支持部との端部同士間、前記前支持部と右支持部との端部同士間、前記左支持部と後支持部との端部同士間、及び前記右支持部と後支持部との端部同士間の夫々に、前記収納物品の底面の角部がそれらの前後左右の支持部に当たらないようにそれらの前後左右の支持部夫々から下方側に凹ませるようにして形成された角逃がし凹部が設けられていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の請求項1によれば、物品収納凹部は、夫々、内周壁と底壁との境界部に、収納物品の底面の周縁を支持する支持部を備え、支持部は、内周壁から底壁に行くに従い漸次高さが低くなるように、且つ、外周側に膨らませるようにして形成された断面円弧状に構成されている。
【0011】
これにより、電子部品を収納した後、キャリアテープの搬送時等の取り扱い時に、収納した電子部品の底面の周縁が、従来のテーパ面からなる支持部に較べて滑り動き難いものにできる。
【0012】
また、収納した電子部品が移動した場合でも、電子部品の電極端子が、従来のテーパ面からなるものに較べて支持部に当接し難いものにできる。
【0013】
請求項2によれば、前支持部と左支持部との端部同士間、前記前支持部と右支持部との端部同士間、前記左支持部と後支持部との端部同士間、及び前記右支持部と後支持部との端部同士間の夫々に、前記収納物品の底面の角部がそれらの前後左右の支持部に当たらないようにそれらの前後左右の支持部夫々から下方側に凹ませるようにして形成された角逃がし凹部が設けられている。
【0014】
これにより、電子部品が移動した際、電子部品の底面の角部が支持部の一部を削り取ってその削り粉によって電子部品を汚染するようなことを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明のキャリアテープの一実施形態の一部の平面図である。
【図2】図1のII−II線の拡大断面図である。
【図3】物品収納凹部の拡大平面図である。
【図4】物品収納凹部の支持部に電子部品を支持した状態の要部拡大断面図である。
【図5】物品収納凹部の支持部に支持した電子部品が支持部の上端に移動した状態の要部拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態のキャリアテープの一部の平面図、図2は、図1のII−II線拡大断面図、図3は、図1の物品収納凹部の拡大した平面図である。
【0017】
この実施形態のキャリアテープ1は、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリエチレン等の合成樹脂から、図1に示すように長尺状に形成されている。又、この実施形態では、長手方向に直交する前後方向(幅方向)の長さは、8mm程度とされている。
【0018】
このキャリアテープ1は、図1に示すように前後方向のほぼ中央部に、収納物品としての電子部品100(図2に図示)を収納するための複数の物品収納凹部2を備え、後端側に、複数の送り穴4を備えている。
【0019】
物品収納凹部2は、長手方向に沿って等間隔で配設されている。又、図2、図3に示すように物品収納凹部2は、底壁25とその底壁25の全周に渡って形成された内周壁21〜24とを備えている。この実施形態の内周壁21〜24は、右内周壁21と、左内周壁22と、後内周壁23と、前内周壁24とを備え、これらによって、物品収納凹部2が、平面視で四角形状を呈するものとされている。
【0020】
又、この実施形態では、底壁25の左右方向の長さL1は、1.3mm程度で、底壁25の前後方向の長さL2は、1.7mm程度とされている。
【0021】
又、物品収納凹部2の上面側には、図2に示すように四角形状の開口部20が設けられており、この開口部20から内部に略直方体形状の電子部品100を出し入れできるようになっている。
【0022】
又、物品収納凹部2は、夫々、電子部品100の底面の周縁を支持する支持部26a〜26dと、電子部品100の底面102の角部104を逃がす角逃がし部27とを備えている。
【0023】
支持部26a〜26dは、この実施形態では、右支持部26aと、左支持部26bと、後支持部26cと、前支持部26dとの4つを備えている。右支持部26aは、図2、及び図4に示すように、右内周壁21と底壁25との境界部に、前後方向に沿って所定長さで形成されている。
【0024】
又、この右支持部26aは、右内周壁21から底壁25にいくに従い漸次高さが低くなり、且つ、外周側(物品収納凹部2の斜め下外方側)に膨らませるようにして形成された断面円弧状に構成されている。より詳しくは、右支持部26aは、図4に示すように、その断面形状が、物品収納凹部2内の点を円弧中心Oにした曲率半径Rが0.5mm程度の円弧状のものとされている。
【0025】
左支持部26bは、左内周壁22と底壁25との境界部に、上記右支持部26aと左右対称形状に形成され、又、後支持部26cは、後内周壁23と底壁25との境界部に、左右方向に沿って所定長さで形成されている。また、前支持部26dは、前内周壁23と底壁25との境界部に、後支持部26cと前後対称形状に形成されている。
【0026】
角逃がし部27は、物品収納凹部2内の角部の4箇所であって、後支持部26cと右支持部26aとの端部同士間、後支持部26cと左支持部26bとの端部同士間、右支持部26aと前支持部26dとの端部同士間、及び左支持部26bと前支持部26dとの端部同士間との4箇所、夫々に配設されている。
【0027】
この角逃がし部27は、夫々、右支持部26a、左支持部26b、前支持部26d、後支持部26c夫々から窪まされるようにして、それらの支持部26a〜26d夫々よりも高さが低くなるように形成されている。
【0028】
この実施形態では、各角逃がし部27は、それらの支持部26a〜26dと同程度の曲率半径を有する断面円弧状に、それらの支持部26a〜26dよりも低くなるように形成されている。
【0029】
又、この実施形態の物品収納凹部2の底壁25には、図1、図2に示すように吸引用穴25aが設けられており、電子部品100を物品収納凹部2に収納する際に、この吸引用穴25aから電子部品100を物品収納凹部2内に吸引できるようになっている。尚、この吸引用穴25aは、必要に応じて設ければ良く、適宜変更できる。
【0030】
送り穴4は、例えば物品収納凹部2に電子部品100を収納する際に、物品収納凹部2を機械的に順次間欠的に送るためのもので、図1に示すように長手方向に沿って、一列にほぼ等間隔(この実施形態で4mmのピッチ)で形成されている。
【0031】
又、この実施形態では、図1、図2に示すように隣接する2つの物品収納凹部2の間には、テープ成形加工用凹部3が設けられている。このテープ成形加工用凹部3は、このキャリアテープ1を、所定幅に成形加工する幅成形加工、或いは、上記送り穴4の穴あけ加工を行なう際に位置決め及び加工送りをするためのものである。
【0032】
このテープ成形加工用凹部3は、この実施形態では、成形加工時に位置決め及び加工送り用の二股状のガイドピンが挿入できるように前後一対のものから構成されている。尚、テープ成形加工用凹部3についても、必要に応じて設ければ良く、適宜変更できる。
【0033】
又、物品収納凹部2に電子部品100が収納された後は、図示しないが、シート状部材がキャリアテープ1の上面にシールされ、物品収納凹部2の開口部20が閉鎖される。
【0034】
以上のように構成されることにより、例えば図4に示すように、底面102から下方に突設された電極端子としてのボール端子101を有する電子部品100におけるその底面102の周縁103を、物品収納凹部2の支持部26a〜26d(図4では、電子部品100の右周縁103を右支持部26aが支持している状態を表している)で、そのボール端子101が物品収納凹部2の底壁25に当たることなく、下方から支持することができる。
【0035】
又、その際、例えば図5に示すように、支持部をテーパ面110(2点鎖線で示す)から構成すると、電子部品100を収納した後、キャリアテープ1の搬送時等の取り扱い時に、収納した電子部品100の底面102の周縁103がテーパ面110を滑り動き易いが、本発明においては、物品収納凹部2の支持部26a〜26dを断面円弧状にしているため、テーパ面110よりも滑り動きにくいものにできる。
【0036】
また、支持部をテーパ面110から構成した場合、収納した電子部品100の底面102の周縁103がテーパ面110の上端まで移動して、電子部品100のボール端子101がテーパ面110に当接する場合でも、本発明においては、物品収納凹部2の支持部26a〜26dを断面円弧状(円弧面)で形成しているため、ボール端子101が支持部26a〜26dに当接しないものにできる。
【0037】
従って、電子部品100を収納した後に、収納した電子部品100が移動した場合でも、ボール端子101が支持部26a〜26dに当接し難いものにできる。尚、このボール端子101は、模式的に表したものである。
【0038】
一方、図2に示すように電子部品100の底面102の角部104を、角逃がし部27によって支持部26a〜26dに当たらないように逃がすことができるため、例えば電子部品100が移動した際、電子部品100の角部104が支持部26の一部を削り取ってその削り粉によって電子部品100を汚染するようなことを防止できる。
【0039】
尚、上記実施形態では、支持部26a〜26dを0.5mm程度の曲率半径の断面円弧状にしているが、この形態のものに限らず、適宜変更できる。例えば0.3mm程度〜0.7mm程度の曲率半径を有する断面円弧状であれば、収納した電子部品100を移動させ難くでき、また、移動した場合でも、ボール端子101が支持部26a〜26dに当接し難いものにでき、好ましい。
【0040】
又、上記実施形態では、角逃がし凹部27を、全体が断面円弧状になるように形成したが、角逃がし凹部27は、右支持部26a、左支持部26b、前支持部26d、後支持部26c夫々よりも高さ位置が低く、収納物品としての電子部品100の底面102の周縁がそれらの支持部26a〜26dに支持された際に、その底面102の角部103が当たらない形態のものであればよい。
【0041】
例えば、図4中に2点鎖線で示すように、角逃がし凹部270を、物品収納凹部2の底壁25及び右内周壁21夫々から延長した直線部と、それらの直線部と連結され右支持部26aよりも小さい曲率半径の円弧面から構成する。或いは、角逃がし凹部の全体を、右支持部26aよりも小さい又は大きい曲率半径の円弧面から構成するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0042】
1 キャリアテープ
2 物品収納凹部
26a、26b、26c、26d 支持部
100 電子部品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
底壁とその底壁の全周に配設された内周壁とを有する物品収納凹部を複数、配設し、その物品収納凹部に収納物品を収納するようにしたキャリアテープであって、
前記物品収納凹部は、夫々、前記内周壁と底壁との境界部に、前記収納物品の底面の周縁を支持する支持部を備え、
前記支持部は、前記内周壁から底壁に行くに従い漸次高さが低くなるように、且つ、外周側に膨らませるようにして形成された断面円弧状に構成されていることを特徴とするキャリアテープ。
【請求項2】
前記物品収納凹部は、夫々、四角形状の収納物品を収納し得るように、前後左右の各内周壁によって四角形状に区画形成され、
前記支持部は、前記前後左右の各内周壁夫々と底壁との境界部に形成された前支持部、後支持部、左支持部、及び右支持部を備え、
前記前支持部と左支持部との端部同士間、前記前支持部と右支持部との端部同士間、前記左支持部と後支持部との端部同士間、及び前記右支持部と後支持部との端部同士間の夫々に、前記収納物品の底面の角部がそれらの前後左右の支持部に当たらないようにそれらの前後左右の支持部夫々から下方側に凹ませるようにして形成された角逃がし凹部が設けられていることを特徴とする請求項1記載のキャリアテープ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−184020(P2012−184020A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−48055(P2011−48055)
【出願日】平成23年3月4日(2011.3.4)
【出願人】(399120785)石井産業株式会社 (9)
【Fターム(参考)】