説明

キャリヤ及び現像剤組成物

【課題】帯電レベル又は電気伝導度の良好なキャリヤ混合物または現像剤組成物を提供する。
【解決手段】トナーと、被覆物の無い無被覆キャリヤコア粒子と被覆キャリヤ粒子とを含む混合物とを含み、無被覆キャリヤコア粒子が約50重量%から約90重量%の量で存在し、被覆キャリヤ粒子が約50重量%から約90重量%の量で存在し、無被覆キャリヤコア粒子と被覆キャリヤ粒子との全量が約100%である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的には現像剤組成物を目的とし、更に詳しくは、本発明はキャリヤ混合物を含有する現像剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、コア、ポリマーを含有するその多数の孔、及びそれを覆う被覆物から成るキャリヤを開示する。引用により、その全体を本明細書に援用する。
【0003】
特許文献2は、例えばカラートナー粒子、無被覆キャリヤコア粒子及び被覆キャリヤ粒子を含む現像剤組成物を開示し、ここで、カラートナー粒子は赤色色材粒子(colorant particles)、青色色材粒子、又は緑色色材粒子を含み、無被覆キャリヤコア粒子(bare carrier core particles)及び被覆キャリヤ粒子の全重量を基準にして、無被覆キャリヤコア粒子は青色色材粒子又は赤色色材粒子を含む現像剤組成物に関しては10重量%から約40重量%の範囲の量で存在し、かつ無被覆キャリヤコア粒子は緑色色材粒子を含む現像剤組成物に関しては約10重量%から約20重量%の範囲の量で存在する。
【0004】
【特許文献1】米国特許第6,528,225号明細書
【特許文献2】米国特許第5,336,579号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
カーボンブラックの様な導電性の成分を含有する被覆キャリヤを伴う現像剤組成物は既知である。これらのキャリヤに随伴する不利益は、カーボンブラックはポリマーマトリックスの脆性を増大させ得るために、被覆物がコアから分離する原因となり、それによってトナー及び現像剤を汚染して、例えば、ゼログラフィの筐体(xerographic housing)中における現像剤の保存時間(developer age)、及び印刷ページの平均トナー被覆領域(average toner area coverage)等の多数の因子の関数である現像剤の帯電レベル(charging level)の不安定性、又は現像剤一式の色域(color gamut)の不安定性の原因となることであろう。更に、カーボンブラックに関しては、キャリヤ電気伝導度(carrier conductivity)を調整する、又は事前に選択する(tune, or preselect)ことが困難である。これら及び他の不利益は、本発明の態様におけるキャリヤでは避けることができ、又は最小化することができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、トナーと、被覆物の無い無被覆キャリヤコア粒子と被覆キャリヤ粒子とを含む混合物と、を含む現像剤組成物であって、前記無被覆キャリヤコア粒子が約50重量%から約90重量%の量で存在し、前記被覆キャリヤ粒子が約50重量%から約90重量%の量で存在し、前記無被覆キャリヤコア粒子と前記被覆キャリヤ粒子との全量が約100%である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明のいくつかの態様において、キャリヤ粒子は、例えば無被覆コア(uncoated core)、即ち、カナダのヘガネース(Hoeganaes)社から入手でき、噴霧鋼粉末(atomized steel powder)と呼ぶことができる粗いコア(rough core)を含む鉄粉コアの様な、無被覆キャリヤコア(bare carrier core)と呼ばれ被覆物が無いキャリヤコアを含む第一のキャリヤと、被覆がポリマー又はポリマーの混合物であって良い被覆コアを含む第二のキャリヤと、を含み、これらの態様において、各コアは直径が同様の大きさで、例えばポリマー、色材及びマグネタイトを含む磁性トナーであり得る。本発明の態様において、無被覆キャリヤコア(bare carrier core)は、少なくとも約50重量%、好ましくは約50重量%から約90重量%、更に好ましくは約55重量%から約75重量%の量で存在し、第二の被覆コアは、少なくとも約50重量%、好ましくは約50重量%から約90重量%、更に好ましくは約55重量%から約75重量%の量で存在し、この場合に、第一の無被覆コア(bare core)と第二の被覆コアの全量は約100%である。具体的なキャリヤ混合物の一つは、約50%の第一の無被覆コアと約50%の第二の被覆コアとを含む。本発明の態様において、現像剤組成物は、無被覆キャリヤコア粒子(bare carrier core particles)と被覆キャリヤ粒子(coated carrier particles)を磁性トナー粒子に添加することにより調製できる。
【0008】
本発明の態様において、キャリヤ混合物は、電気伝導度が少なくとも約10−8から約10−7S/cm、好ましくは約10−2から10−8S/cm、より具体的には約10−3から10−7S/cmである様な優れた伝導度特性(conductivity characteristics)を可能にする。更に具体的には、キャリヤ混合物及び現像剤の電気伝導度は、引用によってその全体を本明細書に援用する特許文献2に記載のキャリヤ混合物の電気伝導度と比べて、約1000倍(factor)改良されている。これらの電気伝導度は、磁気ブラシセル(magnetic brush cell)中、10Vで決定するというような、既知の方法で測定できる。本発明のキャリヤ及び現像剤に関連する更なる利点としては、例えば、それが含有されている現像剤のDMA現像性特性(DMA developability characteristics)とほぼ同じ倍率(factor)の、得られるベタ画像(solid image)の卓越した光学濃度(optical density)の増加があり、また、テキストのページ全体に対応する、低い、例えば約5重量%の面積被覆率(area coverage)において、低スループットエージング(例えば、100サイクル、更に好ましくは約100から約1,000サイクル、延長された)における現像安定性の改良を可能にする。ドナーロール現像システム(donor−roll development system)におけるキャリヤ及びトナーを含む現像剤の電気伝導度は、ドナーロール上に十分なトナーを再装填するために、少なくとも約10−6から約10−9S/cmに維持されることが好ましい。不十分な再装填(deficient reload)は、大きなベタ面積画像(solid area images)を印刷する際、ドナーロールが完全に一回転した後に(after one full revolution)、ベタ領域が次第に薄くなる(fading of the solid)、又は網点領域(half−tone area)の様に現れる。一般に、3以下の明度(L)の増加は、再装填されたベタ領域において許容される。3を超えるLの変化は肉眼で判別でき、従って、印刷物の欠陥となる。更に、本発明の態様におけるキャリヤ混合物は、キャリヤの摩擦電気の帯電及び電気伝導度(triboelectric charge and conductivity)、均一な混合物の形成、キャリヤ被覆(carrier coating)の優れた密着性(adherence)、安定した帯電特性、キャリヤ設計の柔軟性及び自由度、経済的なキャリヤ形成、更に高い現像性、低スループットエージングに対する現像安定性、約10−10から約10−8という高レベルの現像剤電気伝導度、優れて安定した帯電特性等の制御及び事前選択を可能にする。
【0009】
本発明のキャリヤ混合物は、マグネタイト又は樹脂の磁性トナー、色材、及び随意のトナー添加剤、より具体的には、既知のエマルジョン/凝集法(emulsion/aggregation processes)で産生されたトナーと混合可能であり、その場合に、トナーの体積平均直径を変えることができる。例えば、当該直径は約2から約25μm、好ましくは約4から約7μm、及び更に好ましくは約5から約6μmであって良く、静電写真法(electrostatographic)、特にゼログラフィ法の画像形成システム(imaging systems)、印刷工程、デジタルシステムにおける画像の現像、より具体的には、例えば引用によりその全体を本明細書に援用する米国特許第5,032,872号に記載されたハイブリッド現像に対して選択できる現像剤を提供する。
【0010】
本発明の態様におけるキャリヤとしては、例えば、適切な無被覆のキャリヤ(carrier bare or uncoated)、即ち、例えばそれを覆う被覆物が無い、本明細書に記載した様なキャリヤコアと、コアとそれを覆う、ポリメタクリル酸メチル(polymethylmethacrylate、PMMA)、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合体、ポリスチレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニル、ポリアクリル酸ブチル、アクリル酸ブチル−メタクリル酸共重合体(copolybutylacrylate methacrylate)、ポリメタクリル酸トリフルオロエチル、ポリウレタン、及びこれらの混合物、特に2種のポリマーの混合物等のポリマーを含む第二のキャリヤ;コアと、それを覆うポリマーと、ポリマー被覆物中に分散された導電性カーボンブラックの様な導電性成分とを含む第二のキャリヤを含むキャリヤが挙げられる。
【0011】
画像形成方法、特にMICR及びデジタルを包含するゼログラフィ的イメージング及び印刷(xerographic imaging and printing)方法も、本発明の範囲に包含される。より詳しくは、本発明の現像剤は、例えば、電子写真的イメージング方法(electrophotographic imaging processes)、特に、帯電した潜像を適切な荷電極性(charge polarity)のトナー組成物で可視化するゼログラフィ的イメージング及び印刷方法、カラーゼログラフィック用途(color xerographic applications)、特には高速カラーコピー及び印刷方法、及び好ましくは、磁気イメージング方法であってトナーが磁性成分を含有するMICR、を包含する種々の既知のイメージング及び印刷方法に対して選択できる。
【0012】
本願の発明では、その態様において、得られるキャリヤ粒子の電気伝導度は、実質的により高く、かつ一定であり、また、更に、摩擦電気の値(triboelectric value)は、被覆プロセスに影響する様に選択されたポリマー混合物に依存して、例えば約80μC/g(microcoulombs per gram)未満から約−80μC/gを超えて非常に顕著に変化する様に選択できる。
【0013】
本明細書に記載した多くの利点を伴うトナー及び現像剤組成物、その場合にそのキャリヤは、優れた及び高い伝導度特性(conductivity characteristics)を可能にするキャリヤの混合物から産生でき、また、そのキャリヤ混合物は既知のハイブリッドジャンピング現像(hybrid jumping development、HJD)方法及び装置の為に選択できるトナー及び現像剤組成物を提供することが本発明の一形態である。
【0014】
本発明の更に別の形態において、事前選択された電気伝導度、及び事前選択された摩擦電気の帯電値を有するキャリヤ粒子混合物を産生する方法を提供する。
【0015】
本発明の更に別の形態は、種々の比率での混合が可能で、選択された所望の電気伝導度を有するキャリヤ混合物を達成する導電性のキャリヤ粒子混合物を提供することである。
【0016】
本発明の更なる形態において、モノマー、又は例えば、摩擦電気系列(triboelectric series)において近接していない複数のモノマー、例えば摩擦電気系列において異なる位置に由来する複数のモノマーの混合物から産生でき、その場合に、得られる被覆物は随意に、その中に組み込まれた、もしくはその中又はその上に存在する、カボット(Cabot)社から入手できるVULCAN(商標)カーボンブラックなどの導電性カーボンブラックのような導電性成分を有する導電性のキャリヤ被覆物が提供される。
【0017】
本発明の更に別の形態において、機械的特性が改良されたキャリヤ粒子、例えば混合物中の被覆キャリヤの濃度又は量を調節することにより、その電気伝導度が調整できるキャリヤ、及び被覆物がコアに密着して、コアからのポリマー被覆物の剥離が最小であるか又は無いキャリヤ、が提供される。
【0018】
更に、本発明のもう一つの形態において、既知のファラデーケージ技法(Faraday Cage technique)で決定した同じ被覆重量(the same coating weight)で、キャリヤの摩擦電気帯電値が約25から約70μC/gであるキャリヤ粒子が提供される。
【0019】
本発明の態様は、磁性トナーと被覆していない無被覆キャリヤコア粒子及び被覆キャリヤ粒子とを含む混合物とを含み、上記無被覆キャリヤコア粒子は約50重量%から約90重量%の量で存在し、上記被覆キャリヤ粒子は約50重量%から約90重量%の量で存在し、それらの合計が約100%である混合物、を含む現像剤組成物;無被覆キャリヤコア粒子及び被覆キャリヤコア粒子を含み、上記無被覆キャリヤコア粒子が、無被覆及び被覆キャリヤ粒子混合物の全重量に基づいて約50重量%から約75重量%の量で存在するキャリヤ組成物;現像剤組成物トナーと、被覆キャリヤ成分が約50重量%から約90重量%の量で存在し、被覆及び無被覆キャリヤの合計が100%であり、但し、少なくとも一つの上記キャリヤが約50%の量で存在する、被覆及び無被覆キャリヤ成分の混合物との摩擦電気の帯電値(triboelectric charging value)A、及び/又は電気伝導度の値を増大させる方法;帯電部材、光導電性部材、現像部材、転写部材及び定着部材を含み、上記現像部材は磁性トナーと、被覆物が無い無被覆キャリヤコア粒子及び被覆キャリヤ粒子を含む混合物と、を含む現像剤組成物であって、無被覆キャリヤコア粒子は約50重量%から約90重量%の量で存在し、被覆キャリヤコア粒子は約50重量%から約90重量%の量で存在し、それらの合計が約100%である混合物とを含む現像剤組成物、を含有するゼログラフィック装置(xerographic device);無被覆のキャリヤ粒子及び被覆キャリヤ粒子の混合物を含むキャリヤ組成物;上記組成物が均質な混合物(homogenous mixture)であるキャリヤ;上記被覆キャリヤがポリマー又はポリマーの混合物で被覆されているキャリヤ混合物;第二のキャリヤコアとそれを覆う約2種から約7種のポリマーを含有するキャリヤ混合物;窪み(dimple)と突起(protrusion)の両者が、例えば約1から約15μmの大きさである突起と窪み、即ち、粗い形態構造(rough morphology)を有する不規則な形状を持つ(irregularly shaped)粒子からなる、例えば鋼のコアを伴う第一の無被覆キャリヤと、第二の被覆キャリヤとを含むキャリヤ組成物であり、米国特許第5,290,654号、米国特許第5,278,020号、米国特許第5,308,734号等に記載された、エマルジョン/凝集法により産生されるマグネタイトトナーを含む磁性トナーと混合できる組成物;電気伝導度(conductivity)が約10−10から約10−8(ohm・cm)−1であるキャリヤ混合物;第一の無被覆キャリヤの電気伝導度(conductivity)が約10−5から約10−8(ohm・cm)−1であり、得られるキャリヤ混合物の電気伝導度が約10−5から約10−9(ohm・cm)−1であるキャリヤ混合物;無被覆キャリヤと、ポリメタクリル酸メチル、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、アクリル酸ブチル−メタクリル酸共重合体(copolybutylacrylate methacrylate)、メタクリル酸パーフルオロオクチルエチル−メタクリル酸共重合体(copolyperfluorooctylethyl methacrylate methylmethacrylate)、又はポリスチレンのポリマー被覆物であって、随意に導電性のフィラー成分を含有する被覆物を有するキャリヤ混合物;上記導電性成分が、随意に約20から約70重量%の量で存在する導電性のカーボンブラックである、もしくは上記導電性成分が金属酸化物、金属、導電性ポリマー、又は半導体成分であるキャリヤ;上記ポリマーがポリメタクリル酸メチルであり、かつ上記コアが粉末化された鉄であるキャリヤ;約50から約75%の無被覆キャリヤと、約50から約75%の被覆キャリヤを含有し、これらの全量が約100%である、又は混合物中に約60から約80%の無被覆キャリヤと、約40から約20%の被覆キャリヤが存在し、その全量が約100%である、キャリヤ混合物;上記混合物中に、約55から約75%の鋼のコア(steel core)の様な無被覆キャリヤ、及び約45から約25%の被覆キャリヤコアが存在し、かつその全量が約100%であり、並びに上記被覆キャリヤ又はキャリヤ類がポリマーで被覆されたコアを含有し、かつ上記ポリマーが上記コアの約75から約100%を包み込んでいる(encompass)キャリヤ;上記ポリマーキャリヤ被覆物を形成するためのモノマーが、アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2−クロロエチル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸オクチル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル及びアクリルアミド;マレイン酸、マレイン酸モノブチル、マレイン酸ジブチル;塩化ビニル、臭化ビニル、フッ化ビニル、酢酸ビニル及び安息香酸ビニル;塩化ビニリデン;ペンタフルオロスチレン、アリルペンタフルオロベンゼン、N−ビニルピロール、及びトリフルオロエチルメタクリレート;及びそれらの混合物からなる群から選択され、及び上記モノマーがキャリヤコアの約1から約5重量%の量で存在し、もしくは上記モノマーがメタクリル酸メチル、スチレン、トリフルオロエチルメタクリレート、又はこれらの混合物であり、上記モノマーが上記キャリヤコアの約0.5から約10重量%、又は約1から約5重量%の量で存在し、ならびに上記モノマーの重合開始剤がアゾ化合物、過酸化物及びこれらの混合物からなる群から選択され、上記開始剤の量が上記モノマー混合物の約0.1から約20重量%、又は約0.5から約10重量%である方法;上記被覆キャリヤが直径約30から約100μmのコアを含有するキャリヤ混合物;上記被覆ポリマーがポリフッ化ビニリデン、ポリエチレン、ポリメタクリル酸メチル、ポリトリフルオロエチルメタクリレート、エチレン−酢酸ビニル共重合体、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合体、ポリスチレン、テトラフルオロエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、又はこれらの混合物であり、及び随意に、上記被覆物が導電性のフィラー成分を含有するキャリヤ;マルベルン(Malvern)レーザー回折計で測定した各コアの直径が約30から約100μmであるキャリヤ組成物;上記コアが鉄、鋼、又は鉄フェライト、ストロンチウムフェライト等のフェライトであるキャリヤ組成物;鋼のコア及び被覆コアから成り、上記ポリマー被覆物が約0.5から約99重量%の量で存在し、及び選択されたときは、上記導電性成分が上記ポリマー被覆物の約10から約70重量%の量で存在し、好ましくは上記導電性成分が上記ポリマー被覆物の約20から約50重量%の量で存在するキャリヤ混合物;無被覆キャリヤコアと、モノマーと開始剤、連鎖移動剤とを含み形成されたポリマーを含有する被覆キャリヤとを混合し、次いで加熱により上記モノマーを重合させてポリマー及び乾燥をもたらすことを含むキャリヤの作成方法;モノマー混合物を約50℃から約95℃、又は約60℃から約85℃に加熱する方法;上記モノマー混合物を約30分から約5時間、又は約30分から約3時間の間加熱する方法;上記モノマーがスチレン、α−メチルスチレン、p−クロロスチレン、モノカルボン酸及びこれらの誘導体、二重結合を持つジカルボン酸及びこれらの誘導体、ビニルケトン、ビニルナフタレン、不飽和モノオレフィン、ハロゲン化ビニリデン、N−ビニル化合物、フッ化ビニル化合物及びこれらの混合物からなる群から選択される方法;上記モノマーが、アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2−クロロエチル、アクリル酸フェニル、α−クロロアクリル酸メチル、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸オクチル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル及びアクリルアミド;マレイン酸、マレイン酸モノブチル、マレイン酸ジブチル;塩化ビニル、臭化ビニル、フッ化ビニル、酢酸ビニル及び安息香酸ビニル;塩化ビニリデン;ペンタフルオロスチレン、アリルペンタフルオロベンゼン、N−ビニルピロール、トリフルオロエチルメタクリレート、及びこれらの混合物からなる群から選択される方法;上記モノマーがメタクリル酸メチル、スチレン、トリフルオロエチルメタクリレート、又はこれらの混合物であり、上記導電性添加剤がカーボンブラックであり、上記導電性添加剤の量が約10から約70重量%、又は約20から約50重量%である方法;上記開始剤がアゾ化合物、過酸化物、及びこれらの混合物からなる群から選択され、かつ上記開始剤の量が上記モノマー混合物の約0.1から約20重量%、又は約0.5から約10重量%である方法;上記開始剤が2,2’−アゾジメチルバレロニトリル、2,2’−アゾイソブチロニトリル、アゾビスシクロヘキサンニトリル、2−メチルブチロニトリル、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウリル、1−1−(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ジ−(t−ブチルパーオキシ)バリレート、過酸化ジクミル、及びこれらの混合物からなる群から選択される方法;上記連鎖移動剤がメルカプタン及びハロゲン化炭化水素からなる群から選択され、その場合に上記連鎖移動剤が上記モノマー混合物の約0.01から約1重量%、又は約0.05から約0.5重量%の量で選択される方法;上記連鎖移動剤がラウリルメルカプタン、ブチルメルカプタン、四塩化炭素、四臭化炭素、及びこれらの混合物からなる群から選択される方法;ならびに導電性キャリヤ混合物及びトナーを有する現像剤、に関する。
【0020】
上記被覆キャリヤ粒子のコアと無被覆コア粒子は、同一の、又は異なる材料から成って良い。適切なキャリヤコア粒子の代表的な例は、粒状のジルコン、鋼、ニッケル、鉄、Cu/Zn/Niフェライトの様なフェライト、鉄−シリコン、鉄−アルミニウム−シリコン、鉄−ニッケル、鉄−コバルトの様な鉄の合金及びこれらの混合物を含む。なお、フェライトは、鉄を主金属成分とし、随意にマグネシウム、マンガン、コバルト、ニッケル、亜鉛、銅及びこれらの混合物を含む第二の金属成分を含有する一群の磁性酸化物を含む。他の適切なキャリヤ粒子は、米国特許第3,847,604号に開示されているニッケル粒キャリヤ(nickel berry carriers)を包含し、この開示の全体を引用により本明細書に援用する。更に詳しくは、上記被覆キャリヤ粒子のコア及び上記無被覆コア粒子は、ヘガネース社から入手できるヘガネースアンカースチールコア(Hoeganaes Anchor Steel Core)、又はイタリア、マエルネ(Maerne)、メタルールジカ トニオロ(Metallurgica Toniolo S.p.A)から入手できるトニオロスチールコア(Toniolo Steel Core)を含む。両者共、随意に酸化されていない鉄、鉄合金、スチール、フェライト、マグネタイト、ニッケル、及びこれらの混合物を含んでもよい。本明細書に示した通り、任意の適切な被覆材料を用いて選択したコア粒子を被覆し、上記被覆キャリヤ粒子を得ることができる。適切な被覆材料の例は、ポリスチレンホモポリマー、コポリマー及びターポリマーの様な樹脂、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、塩化三フッ化エチレン、塩化ビニル/塩化三フッ化エチレン共重合体、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、塩化三フッ化エチレンポリマー、及び種々の既知の塩化ビニルターポリマーの様なハロゲン含有エチレンのポリマーを包含する。ポリメタクリル酸メチルに代表されるアクリル酸ポリマー及びコポリマー、ならびにシロキサンポリマーも、有用なキャリヤ被覆物であり、特に、負に荷電させるトナーが望まれる時に有用である。好ましくは、キャリヤ被覆物は無被覆キャリヤ粒子の約0.1から約1重量%の量で存在するが、本発明の目的が達成されるなら、他の量も適切である。被覆及び無被覆のキャリヤ粒子は、一般的に、例えば約25から約1,000μm、好ましくは約40から約150μmの直径を持って良く、これにより、これらの粒子に、現像工程の間に静電画像に付着することを回避するのに十分な密度と慣性を持たせることができる。利用できる多数の代表的なキャリヤが米国特許第2,618,441;2,638,522;3,533,835;3,526,533;3,590,000;3,847,604;3,767,598;4,233,387;4,935,326,及び4,937,166号に記載されており、引用によりこれらの開示の全てを援用する。
【0021】
キャリヤ粒子の被覆は、例えば、本明細書に記載した被覆材料の乾燥粉末をキャリヤ粒子の表面に付与し、加熱してそれをコアに融着させる粉末被覆法、被覆材料を溶媒に溶かし、回転により、得られた溶液をキャリヤ表面に付与する溶液法、又は空気流によりキャリヤ粒子を空気中に吹き込み、被覆材料と溶媒を含む噴霧化した溶液を、所望の重量が達成されるまで、空気中に浮遊するキャリヤ粒子に繰り返し吹き付ける流動床被覆法等の、任意の適切な方法による。
【0022】
本発明の態様に従って、2−探針電流−電圧直流法(2−probe current−voltage DC method)で測定した電気伝導度が、およそ30から100gのキャリヤを含有する磁性ローラー上に形成された磁性ブラシにほぼ0.1cmの電極間ギャップで印加した、例えば約10Vの電圧で、例えば約10−15から約10−2(ohm・cm)−1、約10−10から約10−7(ohm・cm)−1の、比較的一定の電気伝導度を有するキャリヤ粒子が得られ、その場合に、上記キャリヤ粒子は、ファラデーケージで測定した摩擦電気の帯電値が、約−80から約80μC/g、好ましくは1グラム当たり約−60から約60μC/gであり、又は種々の態様において、例えば米国特許第5,336,579号の現像剤と比較して、現像剤の電気伝導度が1,000倍改良される。これらのパラメータは選択したキャリヤ被覆物、使用した各ポリマーの割合、及び導電性ポリマーに依存する。
【0023】
トナーと上記キャリヤとを混合して現像剤を産生することができる。トナー樹脂の一種として、米国特許第3,590,000号に記載された、ジカルボン酸とジフェノールを含むジオールとのエステル化産物、米国特許第5,227,460号に記載された様な反応性押出ポリエステルを選択できる。具体的なトナー樹脂は、スチレン/メタクリレート共重合体、スチレン/ブタジエン共重合体、ビスフェノールAとプロピレンオキサイドの反応から得られるポリエステル樹脂、ならびに、テレフタル酸ジメチル、1,3−ブタンジオール、1,2−プロパンジオール、及びペンタエリスリトールの反応から得られる分岐ポリエステル樹脂を包含する。他のトナー樹脂は、上に挙げた特許文献の幾つかを含む、多数の米国特許に記載されている。
【0024】
一般的に、約1から約5重量部のトナーと約10から約300重量部のキャリヤ粒子を混合する。他の態様として、現像剤中のトナーは、キャリア混合物の総重量に基づいて約0.5から約8重量%含有する。
【0025】
トナー用色材として、顔料や染料の様な、多くの周知の適切な色材を選択できる。例えば、シアン、マゼンタ、黄、赤、青、カーボンブラック、ニグロシン染料、油煙(lamp black)、鉄酸化物、マグネタイト、及びこれらの混合物が挙げられる。上記色材は、カーボンブラックであって良いが、トナー組成物を高度に着色させるために十分な量で存在しなければならない。斯くして、上記色材粒子は、トナー組成物の全重量に基づいて約3重量%から約20重量%、好ましくは約3重量%から約12重量%の量で存在できる。しかしながら、より少ない、又はより多い色材粒子量を選択してもよい。色材は、顔料、染料、これらの混合物、顔料の混合物、染料の混合物、等を包含する。
【0026】
上記色材粒子がマグネタイトを含むとき、鉄の酸化物の混合物(FeO・Fe)である好ましい色材は、マピコブラック(MAPICO BLACK)(登録商標)の様な市販されている物を含み、これらは、通常、トナー組成物中に約10重量%から約70重量%の量、好ましくは約20重量%から約50重量%の量で存在する。ある態様として、マグネタイトは、約40から約65重量%の酸化鉄を含み、さらに別の態様として、マグネタイトは、約40から約55重量%の酸化鉄を含む。
【0027】
樹脂粒子は、十分な、しかし有効な量存在し、斯くして、カーボンブラックの様な顔料、即ち色材がその中に10重量%含有される場合には、約90重量%の樹脂が選択される。一般的に、上記トナー組成物は約85%から約97重量%のトナー樹脂粒子、及び約3重量%から約15重量%の色材粒子を含む。
【0028】
前記現像剤組成物は、熱可塑性樹脂粒子を含むことができ、本明細書に記載したキャリヤ混合物、及び色材としてのマゼンタ、シアン、及び/又は黄粒子、及びこれらの混合物から成る。更に具体的には、マゼンタの実例は、カラーインデックスにCI60720、CIディスパーストレッド15として収録されている1,9−ジメチル−置換キナクリドン及びアントラキノン染料、カラーインデックスにCI26050、CIソルベントレッド19として収録されているジアゾ染料、等を包含する。シアンの例は、銅テトラ−4(オクタデシルスルホンアミド)フタロシアニン、カラーインデックスにCI74160、CIピグメントブルーとして収録されているX−銅フタロシアニン顔料、カラーインデックスにCI69810、スペシャルブルーX−2137として収録されているアントラトレンブルー、等を包含する。一方、黄の実例は、ジアリーライドイエロー3,3−ジクロロベンジジンアセトアセトアニリド、カラーインデックスにCI12700、CIソルベントイエロー16として収録されているモノアゾ顔料、カラーインデックスにファロンイエローSE/GLN、CIディスパーストイエロー33、2,5−ジメトキシ−4−スルホンアニリドフェニルアゾ−4’−クロロ−2,5−ジメトキシアセト−アセトアニリド、パーマネントイエローFGLとして収録されているニトロフェニルアミンスルホンアミド、等である。顔料、顔料の混合物、染料、染料の混合物、染料と顔料の混合物、等を包含する色材は、一般的に、トナー組成物中に、トナー樹脂粒子の重量に基づいて、約1重量%から約15重量%の量で存在する。
【0029】
本明細書に記載された現像剤組成物の正の帯電特性を更に向上させるために、また、随意の成分として、米国特許第4,298,672号に記載のアルキルピリジニウムハライド及び米国特許第4,338,390号に記載の有機サルフェート又はサルフォネート組成物、ジステアリルジメチルアンモニウムサルフェイト、金属錯体、E−88(商標)、ナフタレンサルフォネート、四級アンモニウム化合物、及び他の類似する既知の帯電向上添加剤を含む、既知の帯電向上添加剤を含有させることができる。これらの添加剤は、通常、トナー又はキャリヤ被覆物中に約0.1重量%から約20重量%、好ましくは約1重量%から約7重量%の量で添加できる。
【0030】
本明細書に記載された画像形成方法用に選択される画像形成部材の例は、セレン、セレン合金、及びその中にハロゲンの様な添加剤又はドーパントを含有するセレン又はセレン合金である。更に、有機感光体(organic photoreceptor)を選択可能であり、実例としては、引用によりその全体を本明細書に援用する米国特許第4,265,990号、4,585,884号、4,584,253号、及び4,563,406号に記載された輸送層と光発生層とを含む層状光応答装置(layered photoresponsive device)、及び他の類似の層状応答装置を包含する。光発生層の例は、三方晶セレン、金属フタロシアニン、ペリレン、チタニルフタロシアニン、金属を含まない(metal free)フタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニン、及びバナジルフタロシアニンである。電荷輸送分子としては、例えば、4,265,990号特許に開示されたアリールジアミンを選択できる。更に、光発生顔料として、スクアレン化合物、チアピリリウム材料、ヒドロキシガリウムフタロシアニン、等を選択できる。これらの層状部材は、従来負に帯電し、従って、通常正に帯電したトナーを必要とする。
【0031】
更に、本発明の現像剤組成物は、静電写真的磁気的イメージング方法及び装置において特に有用であり、その場合に、移動する輸送手段及び移動する帯電手段が選択され、ならびに引用によりその全体を本明細書に援用する米国特許第4,394,429号及び4,368,970号に記載された偏向した可撓性層(flexible layered)イメージング部材、ならびに黒以外の色、イメージング及びデジタルシステム、及び処理機器が選択される。本発明の態様の現像剤組成物を用いて得られたイメージは、満足できるベタ、優れた中間調、及び望ましい線解像力を持ち、背景の沈着物(background deposits)は許容できる範囲か、実質的に無かった。
【0032】
以下の実施例は、本発明を更に説明するために提供される。これらの実施例の意図は本発明を説明することであり、その範囲を限定することではないと認められる。部及び割合は、他に説明が無い限り、重量である。
【実施例】
【0033】
各キャリヤ混合物が55重量%のスチレンメタクリレート及び45%のマグネタイトを含有する、50重量%の被覆キャリヤと50重量%の無被覆キャリヤコア、30重量%の被覆キャリヤと80重量%の無被覆キャリヤコア、25重量%の被覆キャリヤと75重量%の無被覆キャリヤコア、及び30重量%の被覆キャリヤと70重量%の無被覆キャリヤコアを混合して、複数の現像剤を調製した。無被覆キャリヤコアは、既知の篩測定で決定した直径が131μmの酸化されていないヘガネーススチールコアから成り、及び被覆キャリヤは、既知の篩測定で決定した直径が131μmの酸化されていないヘガネーススチールコアとそれを覆うポリメタクリル酸メチル(PMMA)の被覆物を含んでいた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナーと、
被覆物の無い無被覆キャリヤコア粒子と被覆キャリヤ粒子とを含む混合物と、
を含む現像剤組成物であって、
前記無被覆キャリヤコア粒子が約50重量%から約90重量%の量で存在し、
前記被覆キャリヤ粒子が約50重量%から約90重量%の量で存在し、
前記無被覆キャリヤコア粒子と前記被覆キャリヤ粒子との全量が約100%である現像剤組成物。
【請求項2】
請求項1に記載の現像剤組成物であって、
電気伝導度が、無被覆キャリヤコア又は被覆キャリヤコアの一のみを有する現像剤と比較して、(ohm・cm)−1単位で約200から約700倍、または約400から約800倍、または約1000倍大きく、約10−3から10−7S/cmである、現像剤組成物。
【請求項3】
現像剤組成物トナーと被覆キャリヤ成分及び無被覆キャリヤ成分の混合物とを含む現像剤の摩擦電気の帯電値Aと、
現像剤組成物トナーと被覆キャリヤ成分及び無被覆キャリヤ成分の混合物とを含む現像剤の電気伝導度値と、
の少なくとも一方を増大させる方法であって、
前記被覆キャリヤ成分が約50重量%から約90重量%の量で存在し、
被覆キャリヤ及び無被覆キャリヤの合計が100%であり、
前記被覆キャリヤ及び前記無被覆キャリヤのうち少なくとも一方が約50%の量で存在する、方法。
【請求項4】
前記トナーが磁性トナーであって、
キャリヤ混合物が約10−5から約10−7(ohm・cm)−1より高い電気伝導度を持ち、
前記被覆ポリマーの重量が約1重量%から約4重量%である請求項1に記載の現像剤組成物。
【請求項5】
前記トナーが磁性トナーであって、
キャリヤ混合物が約10−5から約10−7(ohm・cm)−1より高い電気伝導度を持ち、
前記被覆ポリマー重量が約0.05重量%から約2重量%である請求項1に記載の現像剤組成物。

【公開番号】特開2006−251797(P2006−251797A)
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−57360(P2006−57360)
【出願日】平成18年3月3日(2006.3.3)
【出願人】(596170170)ゼロックス コーポレイション (1,961)
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
【Fターム(参考)】