説明

キラル化合物、液晶組成物およびそれらから誘導されるポリマー網状構造

液晶組成物およびそれらから誘導されるポリマー網状構造に加えて、キラル性を有するイソマンニド−ベースの化合物が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、あるゆる目的のために本明細書の一部として全体をこの参照により援用される、2007年8月15日出願の、米国仮特許出願第60/955,934号明細書の優先権を主張するものである。
【0002】
本発明は、キラルモノマーの化学合成、これらのキラルモノマーを含む液晶組成物、および有用なコレステリック光学的性質をポリマー網状構造に提供するためのこれらの液晶組成物の重合に関する。
【背景技術】
【0003】
サーモトロピック液晶は一般に、形状がかなり異方性の結晶化合物である。すなわち、分子レベルで、それらは棒状または円盤状構造で特徴づけられる。加熱されるとき、それらは典型的には段階的に溶融し、結晶から最終等方相への1つまたはそれ以上の熱転移を示す。メソフェースとして知られる中間相は、分子が概して層に限定されているスメクチック相と、分子がロングレンジの位置秩序なしに互いに平行に整列しているネマチック相との幾つかのタイプを含むことができる。液晶相は、加熱サイクルで達成することができるか、または等方相からの冷却で達することができる。一般に液晶、および特にねじれネマチック液晶の構造の包括的な説明は、非特許文献1に与えられている。
【0004】
ネマチック相の重要な変形は、キラル部分がそこに存在する、ねじれネマチック、キラルネマチックまたはコレステリック相と言われるものである。この事例では、分子はネマチック相でのように互いに平行であるが、分子のディレクター(棒状分子の平均方向)は、層の厚さによって方向を変えてネマチック分子の螺旋状充填を生成する。螺旋のピッチは分子の長軸と垂直である。異方性分子の螺旋状充填は、円偏光二色性、高度の回転力、および紫外、可視、および近赤外光を含む光の選択的反射をはじめとする、ねじれネマチック相の重要な、そして特徴的な光学的性質につながる。可視領域での反射は鮮明な色調の層につながる。螺旋の方向は右回りか左回りかのどちらかであることができ、回転方向は材料の重要な特性である。キラル部分は、例えば、コレステリルエステルでのように液晶分子それ自体中に存在してもよいか、コレステリック相の誘導と共に、ドーパントとしてネマチック相に添加することができるかのどちらかである。この現象は、例えば、非特許文献2に議論されているように、十分に文書化されている。
【0005】
一定のコレステリック光学的性質を示す安定なポリマー層を、合成、重合および他の方法によって製造するための方法にかなりの努力が注ぎ込まれてきた。一アプローチは、溶融するとコレステリック相を示す一官能性および/または多官能性の反応性モノマーを合成し、低融点の液晶組成物を調合し、そして液晶組成物をそのコレステリック相で重合させてコレステリック相の安定な光学的性質を示すポリマー網状構造を生成することであった。特許文献1に開示されているように、コレステリックモノマー単独の使用は、所望の光学的性質のコレステリック層をもたらしたが、ポリマー層は比較的弱い機械的特性を有した。
【0006】
ポリマー網状構造を生成するために架橋重合可能であるねじれネマチックモノマー相を調合することによる物理的特性および熱安定性を改善するために多くの努力が行われてきた。しかしながら、重合性ネマチック液晶での良好な相の相溶性および高い螺旋ねじれ力(HTP)を有する重合性キラルモノマーに対する必要性は依然としてある。高いHTPは、所望のピッチを誘導するためにねじれネマチック調合物に使用されるべき高価なキラル成分のより少ない量の使用を可能にする。良好な相の相溶性は、ねじれネマチック調合物からのキラルモノマーの早過ぎる結晶化または相分離を防ぐために必要とされる。イソソルビドキラル基をベースとする、高いHTPおよび良好な相の相溶性の架橋キラルモノマーは、特許文献2に開示されている。しかしながら、イソソルビド部分をベースとするキラルモノマーは、とりわけ記載されているように、右旋円偏光(RHCPL)を一般に反射する。
【0007】
多くの光学的用途向けには、両コレステリックねじれ方向、すなわちRHCPLを反射するねじれネマチック相および左旋円偏光(LHCPL)を反射するねじれネマチック相が必要とされる。イソソルビトール、イソマニトールおよびイディトールをベースとする重合性キラル化合物、ならびにコレステリック液晶組成物を製造するためのキラルドーパントとしてのそれらの使用に関する特許文献3の開示にもかかわらず、LHCPLを反射するコレステリック液晶組成物に対する、および特に、特有の反射バンド内で光の公称100%反射を与えるために組み合わせることができる、反対のねじれ方向の、2つのねじれネマチック相から誘導される光学フィルムに対する必要性は依然としてある。従って、重合性ネマチック相と良好な相の相溶性を有し、高いHTPを示し、かつ、LHCPLを反射するねじれネマチック相を誘導する能力を有するキラルモノマーが必要とされる。コレステリック光学的性質を示し、かつ、LHCPLを反射する、これらのキラルモノマーから誘導されるポリマー網状構造に対する必要性もまたある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第4,637,896号明細書
【特許文献2】米国特許第6,723,395号明細書
【特許文献3】米国特許第6,468,444号明細書
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】P.G.de Gennes、J.Prost著、“The Physics of Liquid Crystals”、Oxford University Press、1995年
【非特許文献2】H.BasslerおよびM.M.Labes、J.Chem.Phys.52(1970)、631ページ
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本明細書に開示される本発明の一実施形態は、次式(I):
R(S(S−D−S(B(A (I)
[式中、Dはイソマンニド:
【化1】

から誘導される二価部分であり;
およびSは、−O−、−OC(O)−、および−OC(O)O−からなる群からそれぞれ独立して選択される連結基であり;
、S、S、およびSは、共有結合、−O−、−S−、−C(O)−、−OC(O)−、−C(O)O−、−OC(O)O−、−OC(O)NR−、−NRC(O)O−、−SC(O)−、および−C(O)S−からなる群からそれぞれ独立して選択される連結基であり;
は、水素またはC〜Cアルキルであり;
各BおよびBは、1〜16個の炭素原子を有する;場合により1つまたはそれ以上の縮合環を有するおよび場合によりLで一置換もしくは多置換された脂肪族および芳香族炭素環および複素環基からなる群から独立して選択される二価基であり;
Lは、置換基F、Cl、−CN、および−NO;ならびに1つまたはそれ以上の炭素原子が場合によりFまたはClで置換されている、1〜8個の炭素原子を有する、アルキル、アルコキシ、アルキルカルボニル、およびアルコキシカルボニル基からなる群から選択され;
は、群−O−、−S−、−C(O)−、−OC(O)−および−C(O)O−から選択される連結基で場合により中断される、2〜20個の炭素原子を有する二価の直鎖もしくは分枝鎖アルキルであり;
は、群−O−、−S−、−C(O)−、−OC(O)−および−C(O)O−から選択される連結基で場合により中断される、3〜20個の炭素原子を有する二価の直鎖もしくは分枝鎖アルキルであり;
Rは、水素、F、Cl、−CN、−NO、および群−O−、−S−、−C(O)−、−OC(O)−または−C(O)O−から選択される連結基で場合により中断される、1〜20個の炭素原子を有する一価の直鎖もしくは分枝鎖アルキルからなる群から選択され;
は重合性基であり;
pおよびqはそれぞれ独立して1または2の整数であり;
rおよびtはそれぞれ独立して0または1の整数であり;
ただし、Rが水素原子、F、Cl、−CN、または−NOであり、rが1であるとき、Sは共有結合であり;Rが水素原子、F、Cl、−CN、または−NOであり、rが0であるとき、Sは共有結合である]
の構造で表される化合物である。
【0011】
本発明の別の実施形態は、上に定義されたような式(I)の少なくとも1種の化合物を含む重合性液晶組成物である。さらなる実施形態は、上に定義されたような式(I)の少なくとも1種の化合物を含む液晶組成物の重合から誘導されるポリマー網状構造;より具体的には、LHCPLを反射するポリマー網状構造である。別の実施形態は、上に定義されたようなポリマー網状構造を含む光学素子である。
【0012】
用語(メタ)アクリレート塩、(メタ)アクリレートエステル、(メタ)アクリレート酸などは、特に具体的に明示されない限り;メタクリレート(式中、Rはメチルである);アクリレート(式中、Rは水素である);クロロアクリレート(式中、RはClである);およびフルオロアクリレート(式中、RはFである)をはじめとする、基CH=C(R)−C(O)−O−を含む材料および部分を本明細書では包含する。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書ではコレステリック相またはキラルネマチック相とも言われる、ねじれネマチック相の赤外、可視または紫外領域の光を選択的に反射する能力は、多くの用途で有用である。平面偏光または非偏光の伝搬方向がねじれネマチック層の螺旋軸に沿っているとき、最大反射の波長λは、方程式λ=np[ここで、nはnおよびnの平均であり、そしてnおよびnはそれぞれ、伝搬方向に測定されたねじれネマチック相の普通のおよび異常な屈折率と定義され、そしてpは螺旋のピッチ(螺旋がそれ自体繰り返すために取る距離)である]によって決定される。λの近辺外の光は、本質的に透過率で影響を受けない。波長λの近辺の波長の光に対して、ねじれネマチック相は、反射されたビームおよび透過されたビームの両方が実質的に円偏光して、おおよそ50%の光が反射され、おおよそ50%の光が透過されるように光の選択的反射を示す。ピッチpは、キラルドーパントの量、ドーパントのねじれ力およびネマチック材料の選択を操作することによって効果的に調整することができる。ピッチは、温度、温度の変化での巻き戻しまたは締め付けに;そして電場、ドーパント、および他の環境的配慮に敏感である。このように、ねじれネマチック相で、ピッチ、従って最大反射の波長の操作は、多種多様なツールで成し遂げることができる。
【0014】
ねじれネマチック物質の螺旋性の固有の回転方向、すなわち、それが右回りであるか左回りであるかに依存して、透過される光は、右旋円偏光(RHCPL)か左旋円偏光(LHCPL)かのどちらかである。一般慣例に従うために、ねじれネマチック液晶物質は、およそλの波長領域で反射される光の種類によって本明細書で以下に特定される。コレステリックまたはねじれネマチック層が右回りであると言われるとき、それはRHCPLを反射することを意味し、層が左回りであると言われるとき、それはLHCPLを反射することを意味する。右回りネマチック液晶層は、λで、LHCPLを本質的に完全に透過するが、同じ層はRHCPLをほとんど完全に反射する。これは、勿論、コレステリックまたはねじれネマチック層が平面配向に最適に整列していることを仮定している。逆に、左回りネマチック液晶層は、λで、RHCPLを本質的に完全に透過するが、同じ層はLHCPLをほとんど完全に反射する。平面偏光または非偏光は等量のRHCPLおよびLHCPを含有するので、ねじれネマチック層は、これらの光源に対してλでおおよそ50パーセント透過性である。これは、勿論、コレステリックまたはねじれネマチック層が平面配向に最適に整列していることを仮定している。
【0015】
ある種の光学的用途、例えばソーラーコントロール用途では、同じ波長の光は実質的に全て反射されることが好ましい。これは、各偏光面回転特性の少なくとも1つの層、すなわち、RHCPLを反射する層とLHCPLを反射する層とが存在することを必要とする。λの近辺の光の実質的に全てを反射する一方法は、類似のλの2つのねじれネマチック層、1つの右回りと1つの左回りを使用することである。第1層で透過されたおよそλの光は第2層で反射され、λの近辺の波長の入射光の実質的に全てが反射されるという結果となる。理論的には、これは、調和のとれたねじれネマチック層において反対のキラリティの鏡像異性キラルドーパントを使用することによって成し遂げられ得る。しかしながら、ほとんどの場合には、この対の1つまたは両方のキラルドーパントは、通常非常に高価であるか、または入手可能ではない。従って、ネマチック相と良好な相溶性を有し、高いHTPを有し、かつ、右回りネマチック層および左回りネマチック層の形成のために使用し得る好適なキラルドーパントを探し出すことが必要である。RHCPLを反射するキラルネマチック相を誘導するためのイソソルビドベースのエステルの好適性、およびLHCPLを反射するキラルネマチック相を誘導するためのイソマンニドベースのエステルの好適性は、Strohrieglら、Adv.Mater.(2000)、12、(22)1698−1670ページ;米国特許第5,788,880号明細書、および同第6,723,395号明細書などの情報源において議論されているが;高いHTPを有し、重合性ネマチック相と良好な相の相溶性を有し、かつ、RHCPLまたはLHCPLを反射するねじれネマチック相を誘導する能力を有するキラルモノマーの架橋に対する必要性は依然としてある。
【0016】
本明細書に開示される本発明の一実施形態は、次式(I):
R(S(S−D−S(B(A (I)
[式中、Dはイソマンニド:
【化2】

から誘導される二価部分であり;
およびSは、−O−、−OC(O)−、および−OC(O)O−からなる群からそれぞれ独立して選択される連結基であり;
、S、S、およびSは、共有結合、−O−、−S−、−C(O)−、−OC(O)−、−C(O)O−、−OC(O)O−、−OC(O)NR−、−NRC(O)O−、−SC(O)−、および−C(O)S−からなる群からそれぞれ独立して選択される連結基であり;
は、水素またはC〜Cアルキルであり;
各BおよびBは、1〜16個の炭素原子を有する;場合により1つまたはそれ以上の縮合環を有するおよび場合によりLで一置換もしくは多置換された脂肪族および芳香族炭素環および複素環基からなる群から独立して選択される二価基であり;
Lは,置換基F、Cl、−CN、および−NO;ならびに1つまたはそれ以上の炭素原子が場合によりFまたはClで置換されている、1〜8個の炭素原子を有する、アルキル、アルコキシ、アルキルカルボニル、およびアルコキシカルボニル基からなる群から選択され;
は、群−O−、−S−、−C(O)−、−OC(O)−および−C(O)O−から選択される連結基で場合により中断される、2〜20個の炭素原子を有する二価の直鎖もしくは分枝鎖アルキルであり;
は、群−O−、−S−、−C(O)−、−OC(O)−および−C(O)O−から選択される連結基で場合により中断される、3〜20個の炭素原子を有する二価の直鎖もしくは分枝鎖アルキルであり;
Rは、水素、F、Cl、−CN、−NO、および群−O−、−S−、−C(O)−、−OC(O)−または−C(O)O−から選択される連結基で場合により中断される、1〜20個の炭素原子を有する一価の直鎖もしくは分枝鎖アルキルからなる群から選択され;
は重合性基であり;
pおよびqはそれぞれ独立して1または2の整数であり;
rおよびtはそれぞれ独立して0または1の整数であり;
ただし、Rが水素原子、F、Cl、−CN、または−NOであり、rが1であるとき、Sは共有結合であり;Rが水素原子、F、Cl、−CN、または−NOであり、rが0であるとき、Sは共有結合である]
の構造で表される化合物である。
【0017】
式(I)において、SおよびSについて表記される式の左側は、イソマンニド基に連結されている。好ましい実施形態では、SおよびSは−OC(O)−である。用語「群−O−、−S−、−C(O)−、−OC(O)−または−C(O)O−から選択される連結基で場合により中断される」は、A、A、およびRが、前記連結基の1個以上を、そして存在する場合には、好ましくは1〜3個の前記連結基を有するアルキル基を含むこと;ただし、連結基S、S、S、およびSをはじめとする、ただ1個の連結基が任意の1個のアルキル炭素原子に結合し、かつ、互いに結合している連結基が全くないことを意味する。1個以上の連結基を含有する好適なAおよびA二価基の例は、式−(CHCHO)CHCH−(式中、mは1〜9の整数である)の、ポリオキシアルキレン鎖である。1個以上の連結基を含有する好適なR一価基の例は、式RO−
(CHCHO)CHCH−(式中、mは1〜8の整数であり、RはC〜Cアルキルである)のモノアルコキシ終端ポリ(エチレングリコール)基である。
【0018】
一実施形態では、−Rは、CH=C(R)−(式中、Rは水素、Cl、F、CN、またはCHである)、グリシジルエーテル、プロペニルエーテル、オキセタン、ならびに1,2−、1,3−、および1,4−置換スチリルおよびアルキル置換スチリル基からなる群から選択される。好ましくは−RはCH=C(R)−であり、Rは水素またはCHである。好ましい実施形態は、t=0であり、基−S−RがCH=C(R)−C(O)−O−であり、Rが水素または−CHである。別の好ましい実施形態は、t=1であり、基−S−RがCH=C(R)−C(O)−O−であり、Rが水素または−CHである。
【0019】
用語「各BおよびBは、群から独立して選択される二価基である」は、p=2であるとき、2つのB単位が独立して選択されること、すなわちそれらが同じものか異なるものであってもよく;q=2であるとき、2つのB単位が独立して選択されること、すなわちそれらが同じものか異なるものであってもよいことを意味する。好ましくはBおよびBは、
【化3】

(式中、Xは、群:−O−、−(CHC−、および−(CFC−から選択される二価基であり、Lは上に定義された通りである)
からなる群から選択される。
【0020】
好ましい実施形態では、BおよびBはそれぞれ独立して、1,4−シクロヘキシル、2,6−ナフチル、4,4’−ビフェニル、およびR11−置換−1,4−フェニル(ここで、R11はH、−CHまたは−OCHである)からなる群から選択される二価基である。用語「R11−置換−1,4−フェニル」は、基
【化4】

(ここで、R11は、4個の利用可能な炭素原子のいずれか1個に結合することができる)
を意味する。特に好ましい実施形態は、BおよびBがそれぞれ独立して二価基R11−置換−1,4−フェニルである。
【0021】
別の実施形態は、式(I)について言及すると、SおよびSがそれぞれ−OC(O)−であり;pおよびqがそれぞれ1の整数であり;BおよびBがそれぞれR11−置換−1,4−フェニルであり;Sが共有結合または−O−であり;tおよびrがそれぞれ0であり;Sが−OC(O)−であり;−RがCH=C(R)−であり;Rが直鎖もしくは分枝鎖C〜C20アルキルである化合物である。この好ましい群の化合物は、式(II):
【化5】

(式中、kは0または1であり;R11およびRは上記の通りである)
で表される。
【0022】
式(II)の化合物は、スキーム1に概説される合成経路によって製造することができる:
【化6】

【0023】
化合物1は先ず、4−置換塩化ベンゾイルでアシル化されて式(II−1)のエステルを生成し、引き続き接触水素化でのベンジル基の脱保護で式(II−2)のアルコールを生成する。カルボジイミドカップリング剤および塩基の存在下での、式(II−2)のアルコールと、場合によりR11で置換された4−(2−テトラヒドロピラニルオキシ)安息香酸とのカップリングは、式(II−3)の化合物を生成する。式(II−3)の化合物は弱酸処理で脱保護されて式(II−4)のフェノール類を生成する。フェノール類は、塩基の存在下に塩化メタ(アクリロイル)でアシル化されて式(II)の所望の化合物を生成することができる。合成のための具体的な条件は周知であり、本明細書の実施例に
例示される。表1は、式(II)の幾つかの好ましい組成物をリストする。
【0024】
【表1】

【0025】
別の実施形態は、式(I)について言及すると、SおよびSがそれぞれ−OC(O)−であり;pおよびqがそれぞれ1の整数であり;BおよびBがそれぞれR11−置換−1,4−フェニルであり;Sが共有結合または−O−であり;rが0であり;tが1であり;SおよびSがそれぞれ−OC(O)−であり;Aが二価の直鎖もしくは分枝鎖C〜C20アルキレンであり;−RがCH=C(R)−であり;Rが直鎖もしくは分枝鎖C〜C20アルキルであり;RがCH=C(R)−である化合物である。この好ましい群の化合物は、式(III):
【化7】

(式中、kは0または1であり、nは3〜20の整数であり、R11およびRは上記の通りである)
で表される。
【0026】
式(III)の化合物は、スキーム2に概説される合成経路によって製造することができる:
【化8】

【0027】
式(II−4)のフェノール類は先ず、塩基の存在下にオメガ−ブロモアルキル酸塩化物でアシル化されて式(III−1)の臭化物を生成し、引き続きメタ(アクリル酸)カリウムおよび相間移動触媒での処理で式(III)の所望のメタ(アクリレート)を生成する。合成のための具体的な条件は、本明細書の実施例に例示される。表2は、式(III)の幾つかの具体的な好ましい化合物をリストする。
【0028】
【表2】

【0029】
別の実施形態は、式(I)について言及すると、SおよびSがそれぞれ−OC(O)−であり;pが1であり、qが2であり;BおよびBがそれぞれR11−置換−1,4−フェニルであり;Sが共有結合または−O−であり;tおよびrがそれぞれ0であり;Sが−OC(O)−であり;−RがCH=C(R)−であり;Rが直鎖もしくは分枝鎖C〜C20アルキルである化合物である。この好ましい群の化合物は、式(IV):
【化9】

(式中、kは0または1であり、R11、およびRは、上記の通りである)
で表される。
【0030】
式(IV)の化合物は、スキーム3に概説される合成経路によって製造することができる:
【化10】

【0031】
カルボジイミドカップリング剤および塩基の存在下、式(II−4)のフェノール類と、場合によりR11で置換された4−(2−テトラヒドロピラニルオキシ)安息香酸とのカップリングは、式(IV−1)の化合物を生成する。式(IV−1)の化合物は弱酸処理で脱保護されて式(IV−2)のフェノール類を生成する。フェノール類(IV−2)は、塩基の存在下に塩化メタ(アクリロイル)でアシル化されて式(IV)の所望の化合物を生成することができる。合成のための一般的な条件は周知であり、本明細書の実施例に例示される。表3は、式(IV)の幾つかの化合物をリストする。
【0032】
【表3】

【0033】
別の実施形態は、式(I)について言及すると、SおよびSがそれぞれ−OC(O)−であり;pが1であり、qが2であり;BおよびBがそれぞれR11−置換−1,4−フェニルであり;Sが共有結合または−O−であり;rが0であり;tが1であり;SおよびSがそれぞれ−OC(O)−であり;Aが二価の直鎖もしくは分枝鎖C〜C20アルキレンであり;Sが−OC(O)−であり、−RがCH=C(R)−であり、Rが直鎖もしくは分枝鎖C〜C20アルキルである化合物である。この好ましい群の化合物は、kが0または1であり、nが3〜20の整数であり、R11およびRが、上記の通りであるスキーム4の式(V)で表される:
【化11】

【0034】
式(V)の化合物は、スキーム4に概説される合成経路によって製造することができる。式(II−4)のフェノール類は、塩基の存在下に酸塩化物(V−1)でアシル化されて式(V)の所望のメタ(アクリレート)を生成する。合成のための具体的な条件は、本明細書の実施例に例示される。表4は、式(V)の幾つかの化合物をリストする。
【0035】
【表4】

【0036】
別の実施形態は、式(I)について言及すると、SおよびSがそれぞれ−OC(O)−であり;pが2であり、qが1であり;BおよびBがそれぞれR11−置換−1,4−フェニルであり;Sが共有結合または−O−であり;tおよびrがそれぞれ0であり;Sが−OC(O)−であり;−RがCH=C(R)−であり、Rが直鎖もしくは分枝鎖C〜C20アルキルである化合物である。この好ましい群の化合物は式(VI):
【化12】

(式中、kは0または1であり、R11およびRは、上記の通りである)
で表される。式(VI)の化合物は、スキーム3に概説されるものと類似の合成法を用いて化合物1から合成によって製造することができる。
【0037】
式(I)の化合物は、また本発明の、重合性液晶組成物に有用である。式(I)の化合物は、ねじれネマチック相を提供するためのネマチック相のキラルティを誘導するためのキラルドーパントとして有用である。有用なねじれネマチック相は、全ネマチック混合物を基準として約0.5〜約30重量%でキラルドーパントを混合することによって生成することができる。好ましい実施形態は、式(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)の少なくとも1種の化合物;またはそれらの組み合わせを含む重合性液晶組成物である。
【0038】
Makromol.Chem.190(1989年)、2255−2268ページ、Macromolecules、31(1988年)、5940ページ、Makromol.Chem.192(1991年)、59−74ページ、J.Polym.Sci.:Part A:Polym.Chem.、37巻(1999年)、3929−3935ページ、およびMakromol.Chem.190(1989年)、3201−3215ページに開示されているものをはじめとする、多種多様な重合性および非重合性液晶を、本発明の重合性液晶組成物に使用することができる。液晶組成物に有用な追加の重合性モノマーは、参照により本明細書によって援用される、米国特許第5,833,880号明細書、独国特許第4,408,170号明細書、欧州特許第261,712号明細書、欧州特許第331,233 B1号明細書、欧州特許第397,263 B1号明細書、および国際公開第1998/047979号パンフレットに開示されている。本発明の重合性液晶組成物のための好ましい群の重合性モノマーは式(VII):
【化13】

[式中、
は、群:H、F、Cl、およびCHから独立して選択され;
n1およびn2は、独立して、整数3〜20であり;
uおよびvは、独立して、整数0、1または2であり;
Aは群:
【化14】

(式中、
〜R10は、群:H、C〜C直鎖もしくは分岐鎖アルキル、C〜C直鎖もしくは分岐鎖アルキルオキシ、F、Cl、フェニル、−C(O)CH、CN、およびCFから独立して選択され;
は、群:−O−、−(CHC−、および−(CFC−から選択される二価基である)
から選択される二価基であり;
各BおよびBは、群:2,6−ナフチル、4,4’−ビフェニル、およびR11−置換−1,4−フェニル(ここで、R11はH、−CHまたは−OCHである)から独立して選択される二価基であり;
ただし、u+vの合計が3または4に等しいとき、BおよびBの少なくとも2つはR11−置換−1,4−フェニルである]
のものである。
【0039】
好ましい実施形態は、式(VII)に言及すると、uが1であり、vが0であり、式’(VII)が式(VIIa):
【化15】

[式中、Rは独立してHまたはCHであり;R〜Rは独立してHまたは−CHであり;n1およびn2は独立して3〜20の整数であり;BはR11−置換−1,4−フェニル(ここで、R11はH、−CHまたは−OCHである)である]
である、重合性モノマーを含む本発明の重合性液晶組成物である。
【0040】
別の好ましい実施形態は、式(VII)に言及すると、uおよびvが1であり、式(VII)が式(IXa):
【化16】

[式中、Rは独立してHまたはCHであり;R〜Rは独立してHまたは−CHであり;n1およびn2は独立して3〜20の整数であり;BおよびBはR11−置換−1,4−フェニル(ここで、R11はH、−CHまたは−OCHである)である]である、重合性モノマーを含む本発明の重合性液晶組成物である。別の好ましい実施形態は、式(VIIIa)と(IXa)との重合性モノマーの混合物を含む本発明の重合性液晶組成物である。
【0041】
式(VII)、(VIIIa)および(IXa)の化合物、ならびにそれらの液晶混合物の合成は、あらゆる目的のために本明細書の一部として全体を援用される、係属米国特許出願第11/731,289号明細書に開示されている。以下に開示される、化合物25、26および27の合成は、重合性液晶組成物の調製を例示する実施例に使用される式(IXa)および(VIIIa)のモノマーの具体的な例である。本発明の好ましい重合性液晶組成物は、120℃より下でねじれネマチック相を有する。
【0042】
本発明の液晶組成物は、ねじれネマチックポリマー網状構造の一定の光学特性を示すポリマー網状構造を製造するのに有用である。本発明のポリマー網状構造は、パターン化、非パターン化、可変および非可変の光学特性を含む;重合したフィルム、コーティング、キャスチングおよび印刷物を含む;例えば、米国特許第4,637,896号明細書、同第6,010,643号明細書および同第6,410,130号明細書に開示されているような多種多様な方法によって製造することができる液晶組成物を含む1つまたはそれ以上の重合層である。
【0043】
特に、ポリマー網状構造を製造するための好ましい一方法は、重合開始剤、好ましくはラジカル開始剤入りの、ねじれネマチック相または等方性相の形態での、重合性ねじれネマチック混合物を提供する工程と;場合により配向層を含む、1つまたはそれ以上の基材にねじれネマチック混合物を塗布してねじれネマチック混合物の層を提供する工程と;場合によりこの層を処理して所望のねじれネマチック相を提供する工程と;好ましくはねじれネマチック相を化学線に露光させることによって、ねじれネマチック相を重合させる工程とを含む。
【0044】
本発明の様々な実施形態の液晶組成物は、ラジカル開始剤を含むことができ、好ましくはこのラジカル開始剤は、光化学重合を行うのに有用な光開始剤である。電子ビームによる硬化のためには、かかる開始剤は必要とされない。好適な光開始剤の例は、イソブチルベンゾインエーテル、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)フラン−1−オン、ベンゾフェノンと1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンとの混合物、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、パーフッ素化ジフェニルチタノセン、2−メチル−1−(4−[メチルチオ]フェニル)−2−(4−モルホリニル)−1−プロパノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル2−ヒドロキシ−2−プロピルケトン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルスルフィド、4−(ジメチルアミノ)安息香酸エチル、2−イソプロピルチオキサントンと4−イソプロピルチオキサントンとの混合物、安息香酸2−(ジメチルアミノ)エチル、d,l−カンファーキノン、エチル−d,l−カンファーキノン、ベンゾフェノンと4−メチルベンゾフェノンとの混合物、ベンゾフェノン、4,4’−ビスジメチルアミノベンゾフェノン、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェートまたはトリフェニルスルホニウム塩の混合物である。好ましくは光開始剤は、重合性液晶混合物の約0.1重量%〜3重量%のレベルで存在する。
【0045】
基材として、例えば、プラスチックフィルムもしくはシートだけでなく、ガラスまたは石英シートを使用することができる。重合の前に、重合中におよび/または重合後に、コートされた混合物のトップ上に第2基材を置くこともまた可能である。基材は場合により重合後に除去することができる。化学線による硬化の場合に2つの基材を使用するとき、少なくとも1つの基材は、重合のために透過性であるべきである。等方性または複屈折性基材を使用することができる。基材が重合後に重合フィルムから除去されない場合には、好ましくは等方性基材が使用される。
【0046】
好ましくは少なくとも1つの基材はプラスチック基材、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)などのポリエステルの、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリカーボネート(PC)またはトリアセチルセルロース(TAC)のフィルム、特に好ましくはPETフィルムまたはTACフィルムである。複屈折性基材として、例えば、一軸延伸プラスチックフィルムを使用することができる。好ましくは基材は、キラルネマチック相の整列を高めるためにバフ研磨クロスでバフ研磨される。
【0047】
ねじれネマチック混合物の塗布は、一様な層、または必要ならば、パターン化もしくは非一様な層を与える任意の方法によって成し遂げることができる。ロッド−コーティング、押出コーティング、グラビアコーティング、スロットダイコーティングおよびスピン−コーティングをはじめとするコーティング、吹き付け、印刷、ブレーディング、へら付け、または方法の組み合わせを用いることができる。
【0048】
好ましくは重合性液晶混合物は、基材上にまたは基材間に薄層としてコートされ、分子螺旋の軸が層に対して横に伸びる、平面配向へとそのキラルメソ相で整列させられる。平面配向は、例えば、ドクターブレードを用いて、例えば、混合物を剪断することによって達成することができる。コートされた材料のトップ上に第2基材を置くこともまた可能である。この場合には、2つの基材を一緒に置くことによってもたらされる剪断は、良好な整列を与えるのに十分である。あるいはまた、平面配向を誘導するかまたは高めるために、配向層、例えば、研磨ポリイミドもしくはスパッタリングされたSiOの層を、基材の少なくとも1つのトップ上に塗布すること、またはコートされた混合物に電場もしくは磁場をかけることが可能である。有用なポリイミド配向層は米国特許第6,887,455号明細書に開示されている。希薄な液晶混合物のコーティングによるねじれネマチック相の配列は、米国特許第6,410,130号明細書に開示されている。平面配向は、重合性混合物への1種以上の界面活性化合物の添加によって誘導してもまたは高めてもよい。
【0049】
所望の液晶相を生成するための液晶層の処理は、例えば所望の相または光学的性質を達成するために、液晶層を冷却するかまたは加熱する工程;例えば、液晶層へのナイフ刃の適用による液晶層への機械的剪断の適用または液晶層が間に置かれている2つ以上の基材を剪断する工程、または基材への振動、超音波処理もしくは他の形態のかき混ぜを含むことができる。
【0050】
ポリマー網状構造の別の製造方法は、重合性液晶混合物、重合開始剤、好ましくは光開始剤、およびキャリア溶剤を含む等方性溶液を提供する工程と、好ましくは配向層を含む、1つまたはそれ以上の基材に該等方性溶液を塗布して等方性層を提供する工程と、キャリア溶剤を除去する工程と、場合により、所望の液晶相を生成するために該層を処理する工程と、好ましくは液晶相を化学線に露光させることによって、液晶相を重合させる工程とを含む。米国特許第6,010,643号明細書および同第4,637,896号明細書は、セルを形成するために2つの基材を使用する液晶層の製造を例示している。米国特許第4,637,896号明細書および同第6,410,130号明細書は、等方性溶液からの液晶層の製造、引き続く重合を例示している。
【0051】
キャリア溶剤が液晶組成物で使用される場合、コーティングおよび吹き付けは、等方性溶液の好ましい塗布方法である。キャリア溶剤の除去は、加熱および/または真空の適用ありまたはなしで、キャリア溶剤を蒸発させることによって根し遂げることができる。キャリア溶剤の蒸発はまた、上記のように、液晶層への機械的剪断の適用に同伴されてもおよび/またはフォローされてもよい。キャリア溶剤の例は、直鎖もしくは分枝鎖エステル、特に酢酸エステル、環式エーテルおよびエステル、アルコール、ラクトン、トルエン、キシレンおよびシクロヘキサンなどの脂肪族および芳香族炭化水素、ジクロロメタン、1,1,2,2−テトラクロロエタンなどの塩素化炭化水素、そしてまたケトン、アミド、N−アルキルピロリドン、特にN−メチルピロリドンである。有用な溶剤の追加の例には、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン、メチルエチルケトン(MEK)、およびプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートが挙げられる。
【0052】
本発明の液晶組成物は、例えば、2−エトキシエチルアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、テトラエチレングリコージメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレートおよびエトキシル化ペンタエリスリトールテトラアクリレートをはじめとする、少量の重合性希釈剤をさらに含んでもよい。
【0053】
本発明の液晶組成物は、少量の界面活性剤、均染剤、粘度調整剤、湿潤剤、脱泡剤、ならびにUVおよびラジカル安定剤をさらに含んでもよい。選択はしばしば、観察されるコーティングおよび整列品質ならびに基材および他の層への最終ポリマー網状構造の所望の接着性に基づくであろう。典型的な界面活性剤は、シロキシ−、フルオリール−、アルキル−およびアルキニル−置換界面活性剤を含む。これらには、商品名BYK(Byk Chemie(Wesel,Germany))、ZONYL(DuPont)、TRITON(Dow Chemical Co.(Midland、MI))、SURFUNOLおよびDYNOL(Air Products,Inc.(Allentown.PA))で販売されている界面活性剤が含まれる。安定剤が、例えば、組成物の貯蔵中の、望ましくない自然発生重合を防ぐために使用されてもよい。多種多様な安定剤がこの目的のために使用されてもよい。安定剤についての典型的な例は、4−エトキシフェノール、4−メトキシフェノール、メチルヒドロキノン、およびブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)である。
【0054】
化学線への液晶相の露光は、熱、マイクロ波放射線、UVおよび可視光、ならびに電子ビームおよび他の放射線をはじめとする、様々な手段によって行うことができる。放射線源には、Hgアーク灯、キセノン灯、レーザー光源などが含まれ得る。露光は、そうすることが必要ならば、選択的に行うことができ、マスク、またはコンピューター制御走査システムの使用が含まれてもよい。重合性メソゲン化合物のその場重合の詳細な説明は、例えば、D.J.Broerら、Makromolekulare Chemie 190(1989年)、2255ページに見いだすことができる。
【0055】
重合は好ましくは、不活性ガスの雰囲気下に、好ましくは窒素雰囲気下に実施される。重合は、室温、室温より下、またはそうすることが必要ならば室温より上で行うことができる。ねじれネマチック液晶相の光学特性、特に反射の波長は、相の温度を調節することによって、ある程度、調整することができる。好ましい実施形態では、重合は、室温(約25℃)より上で、好ましくは約40℃〜液晶組成物の等方点より約10℃下で行われる。重合を行うための好ましい温度範囲は、これが液晶組成物の等方点より下であるという条件で、約50℃〜約90℃である。室温より上の重合は一般に、目視観察によって測定されるように、室温での重合で生成するものより低いヘーズのポリマー網状構造を生成する。
【0056】
本発明のポリマー網状構造は、架橋に依存して可撓性か脆いかのどちらかにすることができる。脆いフィルムは、薄片にすることができ、薄片は、化粧品および自動車ペイントでの使用のための様々なインクまたはペイント中の顔料として使用することができる。フィルムは、反射光の輝度を高める役割を果たす他の顔料または顔料層、例えば黒色層と組み合わせることができる。
【0057】
本発明のポリマー網状構造は、光学素子または光学素子の構成要素として有用である。光学素子は、光の特性を修正するために使用される任意のフィルム、コーティングまたは造形物体である。光学素子によって生み出される修正には、透過率または反射率の変化による光の強度の変化、波長または波長分布の変化、偏光の状態の変化、光の一部または全ての伝播方向の変化、または、例えば、光の焦点化、照射、もしくは拡散による強度の空間分布の変化が含まれる。光学素子の例には、直線偏光子、円偏光子、レンズ、鏡、コリメータ、拡散器、反射器などが挙げられる。光学素子の一具体例は、窓構造において用いられる、λの近く内の光を反射する本発明のコレステリックポリマー網状構造の層である。
【0058】
本発明のキラルモノマーの特に有益な特質は、LHCPLを反射するねじれネマチック相を誘導するそれらの能力である。反射光の偏光面回転特性は、W.A.Shurcliff、「Polarized Light:Production and Use」、Harvard University Press、(1962年)に記載されている周知の手順に従って測定することができる。式(I)のイソマンニド化合物をベースとするキラルドーパントを組み込んだ本発明のポリマー網状構造は、LHCPLを反射した。従って、本発明の別の実施形態は、LHCPLを反射するポリマー網状構造である。別の実施形態は、LHCPLを反射し、約280nm〜約2000nmの範囲に;より好ましくは約700nm〜約1200nmの範囲に最大反射の波長を有するポリマー網状構造でる。
【実施例】
【0059】
本発明は以下の実施例でさらに明確にされる。これらの実施例は、本発明の好ましい実施形態を示唆するが、例示のみの目的で与えられることが理解されるべきである。それらについて本発明を例示するために以下に述べられる実施形態の選択は、これらの実施例に記載されない材料、成分、反応剤、原料、条件またはデザインがこれらの発明を実施するために好適ではないこと、またはこれらの実施例に記載されない主題が添付の特許請求の範囲およびそれらの同等物の範囲から排除されることを示唆しない。
【0060】
本実施例で、熱転移は℃単位で与えられる。以下の表記法を、観察される相を記載するために用いる:K=結晶、N=ネマチック、S=スメクチック、TN=ねじれネマチック、X=未確認相、I=等方性、P=重合した。熱転移および相割り当ては、示差走査熱量測定および高温光学顕微鏡法で行った。特に記載のない限り、相挙動は第一加熱に関して報告する。以下の省略形を本実施例では用いる。
DCM=ジクロロメタン、
DMAc=ジメチルアセトアミド、
DMAP=4−ジメチルアミノピリジン、
DI水=脱イオン水、
EDC=1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩、
IPA=イソプロピルアルコール、
mp=融点、
pTSA=p−トルエンスルホン酸、
PPTS=ピリジニウムp−トルエンスルホネート、
THF=テトラヒドロフラン、
TEA=トリエチルアミン、
THP=テトラヒドロピラニル、
RT=室温。
【0061】
実施例のために、下記の化合物を先ず製造した。
【0062】
化合物1
【化17】

機械撹拌機を備えたフラスコ中のイソマンニド(200g)、AgO(159g)、およびトルエン(2.0L)の混合物に、臭化ベンジル(179mL)を滴加した。RTで16時間撹拌した後、混合物を濾過し、濾液を濃縮し、水で洗浄し、ヘキサ/エチルエーテルで再結晶して化合物1(102g)を生成した:mp 91〜92℃;H NMR(DMSO−d,500MHz)δ 3.39(t,J=8.5Hz,1H),3.51(t,J=8.4Hz,1H),3.82(dd,J=8.2,6.9Hz,1H),3.89(dd,J=8.4,6.9Hz,1H),4.03−4.15(br m,2H),4.30(t,J=4.8Hz,1H),4.48(d,J=11.7Hz,1H),4.53(t,J=4.7,1H),4.62(d,J=11.7Hz,1H),4.73(d,J=6.9Hz,1H),7.23−7.42(br m,5H)。
【0063】
化合物4
【化18】

DCM(80mL)中のp−ヒドロキシ安息香酸(20.1g)、PPTS(0.12g)の混合物に、3,4−ジヒドロ−2H−ピラン(14.6mL)を加えた。反応混合物をRTで一晩撹拌するに任せた。溶液混合物を濾過し、エチルエーテルで洗浄し、乾燥させて化合物4(19.0g)を生成した:H NMR(CDCl,500MHz)δ 1.62(m,1H),1.70(m,2H),1.89(m,2H),2.01(m,1H),3.63(m,1H),3.86(m,1H),5.52(t,J=3.1Hz,1H),7.10(m,2H),8.06(m,2H),10.1(br s,1H)。
【0064】
化合物25、26および27は、本発明の様々な実施形態の液晶混合物の調合に使用した液晶モノマーである。これらのモノマーの合成は、あらゆる目的のために本明細書の一部として全体を援用される、係属米国特許出願第11/731,289号明細書に開示されており、以下のスキーム5〜7に例示される。
【0065】
化合物25
【化19】

4−ヒドロキシ安息香酸(240.0g)、メチルヒドロキノン(100.2g)、pTSA(6g)、およびキシレン(1.5L)の混合物を、Dean−Starkトラップ、冷却器および機械撹拌機を備えたフラスコ中で窒素雰囲気下に計26時間加熱して還流させた。追加のpTSA(6.0g部分)を、8および18時間後に反応混合物をRTに冷却した後に加えた。最終反応混合物をRTに冷却し、固形分を集め、ヘキサンで洗浄した。固形分を熱アセトン(600mL)でスラリー化し、RTに冷却し、集め、乾燥させて化合物25Aを生成した。H NMR(DMSO−d,500MHz):δ 2.16(s,3H),6.93(d,J=8.8Hz,2H),6.95(d,J=8.8Hz,2H),7.13(m,1H),7.23(m,2H),7.99(d,J=8.8Hz,2H),8.02(d,J=8.8Hz,2H),10.51(s,2H)。
【0066】
化合物25A(100g)、THF(750mL)、およびTEA(165mL)の混合物を0℃に冷却した。THF(400mL)中の塩化6−ブロモヘキサノイル(126.0g)の混合物を約0.75時間にわたって加えた。混合物を0℃で2時間撹拌し、RTに暖まるに任せ、2時間撹拌した。混合物を水(1.5L)に注ぎ込み、塩酸(37%)を、混合物がpH6になるまで加えた。混合物を15分間撹拌し、固形分を集めた。固形分を水、メタノールでリンスし、次に乾燥させて化合物25Bを生成した。H NMR(CDCl,500MHz):δ 1.60(m,4H),1.81(m,4H),1.95(m,4H),2.25(s,3H),2.62(t,J=7.4Hz,2H),2.63(t,J=7.4Hz,2H),3.45(t,J=6.8Hz,4H),7.10(dd,J=8.6,2.7Hz,1H),7.14(d,J=2.7,1H),7.19(d,J=8.6Hz,1H),7.24(d,J=8.7Hz,2H),7.25(d,J=8.7Hz,2H),8.22(d,J=8.7Hz,2H),8.25(d,J=8.7Hz,2H)。
【0067】
化合物25B(20.0g)、炭酸水素カリウム(25.1g)、ヨウ化テトラブチルアンモニウム(5.14g)、2,6−ジ−第三ブチル−4−メチルフェノール(1.04g)、およびTHF(350mL)の混合物に、アクリル酸(5.73mL)を加えた。混合物を65℃で9時間加熱し、次に一晩RTで撹拌するに任せた。混合物をエチルエーテル/水に分配させ、エーテル層を数部分の水で洗浄した。エーテル層を乾燥させ、溶媒を除去し、生成物をイソプロパノールから再結晶して化合物25(17.25g)を生成した。H NMR(CDCl,500MHz):δ 1.54(m=4H),1.77(m,4H),1.83(m,4H),2.25(s,3H),2.624(t,J=7.4Hz,2H),2.629(t,J=7.4Hz,2H),4.21(t,J=6.6,4H),5.82(dd,J=10.4,1.3Hz,2H),6.13(dd,J=17.3,10.4Hz,2H),6.40(dd,J=17.3,1.3Hz,2H),7.10(dd,J=8.7,2.7Hz,1H),7.15(d,J=2.7Hz,1H),7.19(d,J=8.7Hz,1H),7.24(d,J=8.6Hz,2H),7.25(d,J=8.6Hz,2H),8.22(d,J=8.6Hz,2H),8.25(d,J=8.6Hz,2H)。
【0068】
化合物26
【化20】

化合物25Bについて用いたものと類似の手順を用いて、化合物25Aを塩化4−ブロモブチロイルでアシル化して化合物26Aを生成し、引き続きアクリレートで臭化物を置換して化合物26を生成した:H NMR(CDCl,500MHz)δ 2.17(m,4H),2.26(s,3H),2.73(t,J=7.3Hz,2H),2.74(t,J=7.3Hz,2H),4.308(t,J=6.2Hz,2H),4.310(t,J=6.2Hz,2H),5.858(dd,J=10.5,1.4Hz,1H),5.860(dd,J=10.5,1.4Hz,1H),6.144(dd,J=17.4,10.5Hz,1H),6.146(dd,J=17.4,10.5Hz,1H),6.434(dd,J=17.4,1.4Hz,1H),6.437(dd,J=17.4,1.4Hz,1H),7.10(dd,J=8.6,2.8Hz,1H),7.15(d,J=2.6,1H),7.19(d,J=8.8Hz,1H),7.25(d,J=8.8Hz,2H),7.27(d,J=8.8Hz,2H),8.23(d,J=8.8Hz,2H),8.26(d,J=8.8Hz,2H)。
【0069】
化合物27
【化21】

4−ヒドロキシ安息香酸(80g)、ヒドロキノン(64g)、pTSA(2g)、キシレン(500mL)の混合物を、約10mLの水が集められるまで、ディーン−スタークトラップ(Dean−Stark trap)、冷却器および機械撹拌機を備えたフラスコ中で加熱して還流させた。室温に冷却した後、固形分を濾別し、ヘキサンで洗浄し、乾燥させた。固形分を600mLの沸騰アセトン中へ入れ、30分間撹拌した。混合物を熱時濾過して微量の不溶性物質を排除した。RTに冷却した後、DI水(1500mL)をゆっくり加えて生成物を沈澱させた。沈澱した生成物を濾別し、乾燥させて化合物27Aを生成した。H NMR(CDCl,500MHz):δ 6.78(d,8.9Hz,2H),6.90(d,J=8.8Hz,2H),7.00(d,J=8.9Hz,2H),7.94(d,J=8.8Hz,2H),9.42(s,1H),10.44(s,1H)。
【0070】
化合物27Bを、化合物25Bの合成について上に記載されたものと類似の手順を用いて製造した。H NMR(CDCl,500MHz):δ 1.59(m,4H),1.80(m,4H),1.94(m,4H),2.59(t,J=7.4Hz,2H),2.63(t,J=7.4Jz,2H),3.441(t,J=6.7Hz,2H),3.446(t,J=6.7Hz,2H),7.14(d,J=9.0Hz,2H),7.22(d,9.0Hz,2H),7.24(d,8.8Hz,2H),8.22(d,8.8Hz,2H)。
【0071】
化合物27を、化合物25の合成について上に記載されたものと類似の手順を用いて製造した。H NMR(CDCl,500MHz):δ 1.52(m,4H),1.76(m,4H),1.78(m,4H),2.59(t,J=7.4Hz,2H),2.62(t,J=7.4Hz,2H),4.19(t,J=6.6Hz,2H),4.20(t,J=6.6Hz,2H),5.823(dd,1H),5.826(dd,1H),6.122(dd,1H),6.127(dd,1H),6.404(dd,1H),6.407(dd,1H),7.13(d,J=8.6Hz,2H),7.21(d,J=8.6Hz,2H),7.23(d,J=8.6Hz,2H),8.21(d,J=8.6Hz,2H)。
【0072】
実施例1
本実施例は、スキーム8に従った化合物7の合成を例示する:
【化22】

【0073】
化合物1(18.6g)、DMAP(9.62g)、およびピリジン(100mL)の混合物を氷浴で0℃に冷却し、引き続き塩化p−メトキシベンゾイル(11.7mL)を加えた。0℃で30分間、RTで1時間撹拌した後、混合物を80℃に5時間加熱した。RTに冷却した後、混合物を濃縮し、0.5MのHCl溶液で酸性化し、DCMで抽出した。組み合わせた有機層を0.1MのNaOH溶液、水で洗浄し、無水MgSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。粗混合物をヘキサンで再結晶して化合物2(23.6g)を生成した:H NMR(CDCl,500MHz)δ 3.69(t,J=8.8Hz,1H),3.85(s,3H),3.92(dd,J=8.5,6.9Hz,1H),4.07(m,1H),4.11(d,J=5.8Hz,2H),4.53(t,J=4.0Hz,1H),4.59(d,J=11.9Hz,1H),4.77(d,J=11.9Hz,1H),4.81(t,J=5.2Hz,1H),5.33(dt,J=5.8,5.8Hz,1H),6.91(m,2H),7.27−7.42(br m,5Hz),8.02(m,2H)。
【0074】
化合物2(40.0g)をTHF/IPA(1:1、250mL)に溶解させ、引き続きPd(OH)/活性炭(乾燥基準で20重量%のPd)(4.0g)を加えた。反応混合物をH下にRTで4時間(1.7気圧で)撹拌した。混合物を濾過し、濃縮して化合物3(29.6g)を生成した:H NMR(CDCl,500MHz)δ 2.67(d,J=8.6Hz,1H),3.61(dd,J=9.2Hz,7.2Hz,1H),3.86(s,3H),3.97(dd,J=9.2,6.3Hz,1H),4.01(dd,J=9.5Hz,6.1Hz,1H),4.20(dd,J=9.6,6.2Hz,1H),4.30(おおよそqui,J=6.4Hz,1H),4.53(t,J=5.3Hz,1H),4.81(t,J=5.3Hz,1H),5.37(dt,J=5.9,5.6Hz,1H),6.92(m,2H),8.03(m,2H)。
【0075】
DCM(500mL)中の化合物4(14.5g)、DMAP(4.62g)、およびEDC(21.8g)の混合物に、窒素下に、DCM(200mL)中の化合物3(10.6g)の溶液をゆっくり加えた。反応混合物をRTで一晩撹拌するに任せた。溶液混合物を濃縮し、0.1MのHCl溶液、0.1MのNaOH溶液、および水で洗浄した。有機層を乾燥させ、濾過し、濃縮して化合物5(18.8g)を生成した:H NMR(CDCl,500MHz)δ 1.60(m,1H),1.70(m,2H),1.88(m,2H),2.00(m,1H),3.61(dt,J=11.2,4.0Hz,1H),3.84(m,1H),3.86(s,3H),3.99(m,2H),4.13(dd,J=9.4,6.4Hz,2H),4.86(m,2H),5.31(m,2H),5.50(t,J=3.1Hz,1H),6.93(m,2H),7.08(m,2H),8.03(m,2H),8.05(m,2H)。
【0076】
THF/メタノール(1:1、800mL)中の化合物5(28.2g)とpTSA(5.64g)との混合物をRTで一晩撹拌した。反応混合物を濃縮し、水で沈澱させ、濾過し、乾燥させて化合物6(19.3g)を得た:H NMR(CDCl,500MHz)δ 3.86(s,3H),4.01(dd,J=9.4,6.8Hz,2H),4.14(m,2H),4.88(m,2H),5.33(m,2H),6.08(br s,1H),6.85(m,2H),6.92(m,2H),7.98(m,2H),8.05(m,2H)。
【0077】
THF(180mL)中の化合物6(5.00g)とTEA(7.0mL)との混合物を0℃に冷却した。THF(25mL)中の塩化アクリロイル(2.03mL)の混合物を滴加した。反応混合物を0℃で30分間、RTで1時間撹拌するに任せた。反応混合物を濾過し、0.5MのHCl溶液で酸性化し、DCMで抽出した。組み合わせた有機層を水で洗浄し、無水MgSOで乾燥させ、濾過し、濃縮して化合物7(4.57g)を生成した:mp 95〜96℃;H NMR(CDCl,500MHz)δ 3.87(s,3H),4.00(m,2H),4.14(dd,J=9.4,6.3Hz,2H),4.87(m,2H),5.30−5.36(br m,2H),6.06(dd,J=10.4,1.2Hz,1H),6.33(dd,J=17.3,10.5Hz,1H),6.63(dd,17.3,1.2Hz,1H),6.93(m,2H),7.24(m,2H),8.05(m,2H),8.14(m,2H)。
【0078】
実施例2
本実施例は、スキーム9に従った化合物12の合成を例示する:
【化23】

【0079】
化合物1(4.67g)、DMAP(1.94g)およびピリジン(40mL)の混合物を、窒素雰囲気下に、氷浴で0℃に冷却し、引き続き塩化4−ヘキシルオキシベンゾイル(5.0mL)を加えた。0℃で30分間、RTで1時間撹拌した後、混合物を80℃に6時間加熱した。RTに冷却した後、混合物を濃縮し、0.5MのHCl溶液で酸性化し、DCMで抽出した。組み合わせた有機層を0.1MのNaOH溶液、水で洗浄し、無水MgSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。粗混合物をヘキサンで沈澱させて化合物8
(7.41g)を生成した:H NMR(CDCl,500MHz)δ 0.91(t,J=7.1Hz,3H),1.34(m,4H),1.46(m,2H),1.79(m,2H),3.69(t,J=8.7Hz,1H),3.92(dd,J=8.5,6.9Hz,1H),4.00(t,J=6.6Hz,2H),4.07(m,1H),4.11(d,J=5.8Hz,2H),4.53(t,J=4.9Hz,1H),4.59(d,11.8Hz,1H),4.77(d,11.8Hz,1H),4.81(t,J=5.3Hz,1H),5.33(q,J=5.8Hz,1H),6.89(m,2H),7.27−7.41(br m,5H),8.01(m,2H)。
【0080】
化合物8(4.20g)をTHF/IPA(1:1、7mL)に溶解させ、引き続きPd(OH)/活性炭(乾燥基準で20重量%のPd)(0.63g)を加えた。混合物をH下にRTで2時間撹拌した。溶液混合物を濾過し、濃縮して化合物9(2.47g)を生成した:H NMR(CDCl,500MHz)δ 0.91(t,J=7.0Hz,3H),1.34(m,4H),1.46(m,2H),1.80(m,2H),2.63(br d,J=7.5Hz,1H),3.61(dd,J=9.1,7.2Hz,1H),3.98(m,2H),4.01(t,J=6.5Hz,2H),4.20(dd,J=9.5,6.2Hz,1H),4.31(おおよそqui,J=6.1Hz,1H),4.53(t,J=5.3Hz,1H),4.81(t,J=5.2Hz,1H),5.37(dt,J=6.1,5.7Hz,1H),6.91(m,2H),8.01(m,2H)。
【0081】
窒素下のDCM(30mL)中の化合物4(1.01g)と化合物9(1.00g)との混合物に、DCM(5mL)中のEDC(1.70g)とDMAP(0.35g)との混合物をゆっくり加えた。混合物をRTで一晩撹拌するに任せた。混合物を0.1MのHCl溶液、0.1MのNaOH溶液、および水で洗浄した。有機層を無水MgSOで乾燥させ、濾過し、濃縮して粗生成物を生成した。粗物質を、ヘキサン中の酢酸エチル(10%〜50%勾配)の混合物で溶出させるシリカフラッシュクロマトグラフィーによって精製して化合物10(0.96g)を生成した:H NMR(CDCl,500MHz)δ 0.91(t,J=8.0Hz,3H),1.34(m,4H),1.47(m,2H),1.61(m,1H),1.70(m,2H),1.80(m,2H),1.88(m,2H),2.01(m,1H),3.62(m,1H),3.85(m,1H),3.98(m,2H),4.01(t,J=6.4Hz,2H),4.13(dd,J=11.4,8.3Hz,2H),4.86(m,2H),5.31(m,2H),5.51(t,J=3.9Hz,2H),6.91(m,2H),7.08(m,2H),8.02(m,2H),8.04(m,2H)。
【0082】
THF/メタノール(1:1、25mL)中の化合物10(0.96g)とpTSA(0.19g)との溶液混合物をRTで一晩撹拌した。混合物を濃縮し、水で沈澱させ、濾過し、乾燥させて化合物11(0.73g)を得た:H NMR(CDCl,500MHz)δ 0.91(t,J=7.0Hz,3H),1.34(m,4H),1.47(m,2H),1.80(m,2H),4.00(m,2H),4.01(t,J=6.5Hz,2H),4.14(dt,J=9.4,6.6Hz,2H),4.87(m,2H),5.32(m,2H),6.86(m,2H),6.91(m,2H),7.99(m,2H),8.03(m,2H)。
【0083】
THF(15mL)中の化合物11(0.50g)とTEA(0.59mL)との混合物を0℃に冷却した。THF(5mL)中の塩化アクリロイル(0.17mL)の混合物を滴加した。反応混合物を0℃で30分間、RTで2時間撹拌するに任せた。反応混合物を濾過し、希HClで酸性化し、DCMで抽出した。組み合わせた有機層を水で洗浄し、乾燥させ、濾過し、濃縮し、ヘキサンで沈澱させて化合物12(0.41g)を生成した:mp 83〜84℃;H NMR(CDCl,500MHz)δ 0.91(t,J=7.0Hz,3H),1.34(br m,4H),1.47(m,2H),1.80(m,2H),3.99(m,2H),4.01(t,J=6.7Hz,2H),4.14(dd,J=9.4,6.4Hz,2H),4.87(m,2H),5.32(m,2H),6.05(dd,J=10.5,1.1Hz,1H),6.33(dd,J=17.3,10.5Hz,1H),6.63(dd,J=17.3Hz,1.1Hz,1H),6.91(m,2H),7.24(m,2H),8.03(m,2H),8.14(m,2H)。
【0084】
実施例3
本実施例は、スキーム10に従った化合物17の合成を例示する:
【化24】

【0085】
化合物13〜17を、化合物8〜12と類似の方法で、しかし塩化4−ヘキシルオキシベンゾイルを塩化4−ヘキシルベンゾイルで置き換えて製造した。
【0086】
化合物13(7.57g):H NMR(CDCl,500MHz)δ 0.88(t,J=6.9Hz,3H),1.30(m,6H),1.62(m,2H),2.65(t,J=7.7Hz,2H),3.69(t,J=8.7Hz,1H),3.92(dd,J=8.5,6.9Hz,1H),4.07(m,1H),4.12(d,J=5.8Hz,2H),4.54(t,J=4.9Hz,1H),4.59(d,J=11.9Hz,1H),4.77(d,J=11.9Hz,1H),4.82(t,J=5.3Hz,1H),5.35(dt,J=5.8,5.7Hz,1H),7.23(m,2H),7.27−7.40(br m,5H),7.98(m,2H)。
【0087】
化合物13(7.57g)を5時間水素化して化合物14(4.91g)を生成した。H NMR(CDCl,500MHz)δ 0.88(t,J=6.9Hz,3H),1.30(m,6H),1.62(m,2H),2.62(br s,1H),2.66(t,J=7.7Hz,2H),3.61(dd,J=9.1,7.2Hz,1H),3.97(dd,J=9.2,6.3Hz,1H),4.02(dd,J=9.6,6.1Hz,1H),4.20(dd,J=9.6,6.2Hz,1H),4.32(おおよそqui,J=6.6Hz,1H),4.53(t,J=5.3Hz,1H),4.82(t,J=5.3Hz,1H),5.38(dt,J=6.1,6.0Hz,1H),7.25(m,2H),7.99(m,2H)。
【0088】
窒素下のDCM(70mL)中の化合物4(2.94g)と化合物14(2.00g)との混合物に、DCM(5mL)中のEDC(4.00g)、DMAP(0.73g)の混合物をゆっくり加えた。混合物を化合物10について上に記載された通り処理して化合物15(2.31g)を生成した:H NMR(CDCl,500MHz)δ 0.88(t,J=7.0Hz,3H),1.31(m,6H),1.63(m,3H),1.70(m,2H),1.88(m,2H),2.01(m,1H),2.66(t,J=7.7Hz,2H),3.62(dt,J=11.2,4.8Hz,1H),3.85(dt,J=10.7,3.1Hz,1H),3.99(m,2H),4.13(m,2H),4.86(m,2H),5.32(m,2H),5.51(t,J=3.1Hz,1H),7.08(m,2H),7.25(m,2H),8.00(m,2H),8.03(m,2H)。
【0089】
THF/MeOH(1:1、50mL)中の化合物15(2.31g)およびpTSA(0.46g)を、化合物11について上に記載された通り処理して化合物16(1.79g)を生成した:H NMR(CDCl,500MHz)δ 0.88(t,J=6.9Hz,3H),1.31(m,6H),1.62(qui,J=7.5Hz,2H),2.66(t,J=7.7Hz,2H),4.01(m,2H),4.15(m,2H),4.88(m,2H),5.23(br s,1H),5.33(m,2H),6.85(m,2H),7.25(m,2H),7.98(m,2H),8.00(m,2H)。
【0090】
THF(15mL)中の化合物16(0.50g)、TEA(0.61mL)の混合物を0℃に冷却し、化合物12について上に記載された通り、THF(5mL)中の塩化アクリロイル(0.18mL)で処理して化合物17(0.54g)を生成した:mp 96〜98℃;H NMR(CDCl,500MHz)δ 0.88(t,J=6.9Hz,3H),1.31(br m,6H),1.63(m,2H),2.67(t,J=7.6Hz,2H),4.00(m,2H),4.14(dd,J=9.5,6.4Hz,2H),4.88(m,2H),5.33(m,2H),6.05(dd,J=10.5,1.2Hz,1H),6.33(dd,J=17.3,10.5Hz,1H),6.64(dd,J=17.3,1.1Hz,1H),7.24(m,2H),7.26(m,2H),8.00(m,2H),8.14(m,2H)。
【0091】
実施例4
本実施例は、スキーム11に従った化合物19の合成を例示する:
【化25】

【0092】
THF(15mL)中の化合物6(2.00g)とTEA(1.53mL)との混合物を0℃に冷却した。THF(10mL)中の塩化6−ブロモヘキサノイル(0.84mL)の混合物を滴加した。反応混合物を0℃で45分間、RTで2.5時間撹拌するに任せた。反応混合物を濾過し、希HClで酸性化し、DCMで抽出した。組み合わせた有機層を水で洗浄し、乾燥させ、濾過し、濃縮し、メタノールで沈澱させて化合物18(2.50g)を生成した:H NMR(CDCl,500MHz)δ 1.59(m,2H),1.80(qui,J=7.6,2H),1.94(qui,J=7.1Hz,2H),2.61(t,J=7.4Hz,2H),3.44(t,J=6.7Hz,2H),3.87(s,3H),3.99(m,2H),4.41(dd,J=9.4,6.4Hz,2H),4.87(m,2H),5.32(m,2H),6.93(m,2H),7.18(m,2H),8.05(m,2H),8.12(m,2H)。
【0093】
化合物18(1.00g)、炭酸水素カリウム(0.69g)、ヨウ化テトラブチルアンモニウム(TBAI、0.13g)、2,6−ジ−第三ブチル−4−メチルフェノール(BHT)(0.03g)、およびTHF(25mL)の混合物に、アクリル酸(0.18mL)を加えた。混合物を4時間加熱して還流させた。反応混合物に水を加え、0.1MのHClで酸性化し、ジエチルエーテルで抽出した。組み合わせた有機層を乾燥させ、濾過し、濃縮した。粗物質をシリカフラッシュクロマトグラフィーによって精製して化合物19(0.83g)を生成した:mp 49〜51℃;H NMR(CDCl,500MHz)δ 1.52(m,2H),1.75(m,2H),1.81(m,2H),2.60(t,J=7.5Hz,2H),3.87(s,3H),3.99(m,2H),4.14(dd,J=9.4,6.4Hz,2H),4.20(t,6.6Hz,2H),4.87(m,2H),5.32(m,2H),5.82(dd,J=10.5,1.5Hz,1H),6.12(dd,J=17.3,10.4Hz,1H),6.40(dd,J=17.4,1.5Hz,1H),6.93(m,2H),7.18(m,2H),8.05(m,2H),8.12(m,2H)。
【0094】
実施例5
本実施例は、スキーム12に従った化合物21の合成を例示する:
【化26】

【0095】
先ず、PCT/JP2005/004389号に報告されている手順に従って化合物20の合成を行った。6−ヒドロキシヘキサン酸は、カプロラクトンの塩基加水分解によって合成した。カプロラクトン(100g)を、水酸化カリウム(145g)、メタノール(110mL)、およびTHF(390mL)の混合物に加えた。生じた混合物を一晩室温で撹拌した。溶液を次にHClで酸性化し、酢酸エチルで抽出した。組み合わせた有機層を水で洗浄し、乾燥させ、濾過し、濃縮して6−ヒドロキシヘキサン酸を得た。H NMR(CDCl,500MHz):δ 1.44(m,2H),1.60(m,2H),1.68(m,2H),2.37(t,J=7.5Hz,2H),3.66(t,J=6.5Hz,2H),5.80(br,1H)。
【0096】
6−ヒドロキシヘキサン酸を次に6−アクリロイルオキシヘキサン酸へ変換した。6−ヒドロキシヘキサン酸(10g)、2,6−ジ−第三ブチル−4−メチルフェノール(0.5g)、およびDMA(57mL)の混合物を0℃に冷却した。塩化アクリロイル(17.2g)を次に滴加した。3.5時間撹拌した後、ピリジン(12mL)および水(12mL)をゆっくり加えた。もう2時間撹拌した後、溶液を希HClで酸性化し、酢酸エチルで抽出した。組み合わせた有機層を水で洗浄し、乾燥させ、濾過し、濃縮して6−アクリロイルオキシヘキサン酸を生成した。H NMR(CDCl,500MHz):δ 1.46(m,2H),1.70(m,4H),2.37(t,J=7.3Hz,2H),4.17(t,J=6.4Hz,2H),5.82(d,J=10.4Hz,1H),6.12(dd,J=17.3,10.5Hz,1H),6.39(d,J=17.3Hz,1H),11.59(br,1H)。
【0097】
化合物20は、4−ヒドロキシ安息香酸での6−アクリロイルオキシヘキサン酸のエステル化によって得られた。6−アクリロイルオキシヘキサン酸(5.0g)、THF(20mL)、およびDMF(5滴)の混合物を0℃に冷却した。塩化オキサリル(1.70mL)およびTHF(25mL)を次に滴加した。0℃で30分間、RTで4時間撹拌した後、溶媒を除去し、生じた酸塩化物をTHF(20mL)に再溶解させた。0℃に冷却したTHF(75mL)中の4−ヒドロキシ安息香酸(2.04g)、TEA(3.74mL)、DMAP(0.16g)の混合物に、DCM(25mL)中の6−アクリロイルオキシヘキサン酸塩化物を滴加した。0℃で20分間、RTで12時間撹拌した後、水を希HClで酸性化し、DCMで抽出し、洗浄し、乾燥させ、濾過し、濃縮した。粗混合物を、イソプロパノールとヘキサンとの混合物で洗浄することによって精製して化合物20(3.20g)を得た。H NMR(CDCl,500MHz)δ 1.53(m,2H),1.76(m,2H),1.82(m,2H),2.61(t,J=7.5Hz,2H),4.20(t,J=3.2Hz,2H),5.82(dd,J=10.5,1.4Hz,1H),6.13(dd,J=17.3,10.4Hz,1H),6.41(dd,J=17.3Hz,1.5Hz,1H),7.20(m,2H),8.14(m,2H)。
【0098】
化合物20(0.3g)、THF(15mL)、およびDMF(3滴)の混合物を0℃に冷却した。THF(10mL)中の塩化オキサリル(0.12mL)を次に滴加した。0℃で30分間、RTで3.5時間撹拌した後、溶媒を除去し、酸塩化物をDCM(10mL)に溶解させた。0℃に冷却した化合物6(0.37g)、TEA(0.26mL)およびDCM(20mL)の混合物に、DCM(10mL)中の化合物20の酸塩化物を滴加した。0℃で30分間、RTで4時間撹拌した後、混合物を0.1MのHCl溶液で酸性化し、DCMで抽出し、水で洗浄し、無水MgSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。粗混合物を、イソプロパノールとヘキサンとの混合物で洗浄することによって精製して化合物21(0.22g)を得た:mp 101〜102℃;H NMR(CDCl,500MHz)δ 1.54(m,2H),1.77(m,2H),1.83(m,2H),2.63(t,J=7.4Hz,2H),3.87(s,3H),4.01(m,2H),4.15(dd,J=9.5,6.3Hz,2H),4.20(t,J=6.6Hz,2H),4.88(m,2H),5.30−5.38(br m,2H),5.83(dd,J=10.5,1.4Hz,1H),6.13(dd,J=17.3,10.5Hz,1H),6.41(dd,J=17.4,1.4Hz,1H),6.93(m,2H),7.25(m,2H),7.32(m,2H),8.05(m,2H),8.18(m,2H),8.23(m,2H)。
【0099】
実施例6
本実施例は、混合物1の調製および液晶ポリマー網状構造の製造を例示する。
【0100】
混合物1:
化合物7(0.037g)、化合物25(0.157g)、化合物26(0.078g)、化合物27(0.059g)およびIRGACURE 184光開始剤(Ciba Specialty Chemicals(Ardsley New York))(0.006g)を組み合わせ、DCMに溶解させた。溶液を濾過し(0.45ミクロンフィルター)、DCMを除去して混合物1を生成した:相挙動:第一加熱:X−30.4TN78.2I;第一冷却:I70.2TN−39.3X;第二加熱:X−28.5TN80.1I。
【0101】
ポリエチレンテレフタレートフィルムをYoshikawa YA−20−R研磨クロス(Yoshikawa Chemical Company(日本、大阪))で手動研磨した。混合物1をキシレンに溶解させて30重量%溶液を生成した。この溶液を、Wire Size 20 Wire Wound Lab Rod(Paul N.Gardner Company(Pompano Beach,Florida))を用いて手動によりコートした。湿潤コーティングを60℃で5分間加熱して溶媒蒸発および液晶組成物の配列を可能にした。コートしたフィルムを、BLAK−RAY長波UV水銀ランプ(35mW/cmの電力の、モデルB−100AP,UVP Inc.(Upland,California))の下方5.5cmに置き、窒素雰囲気下に5分間に露光させて架橋ポリマー網状構造を生成した。架橋フィルムは、711nmで反射の波長を示した。
【0102】
実施例7
混合物2:
化合物12(0.030g)、化合物25(0.157g)、化合物26(0.078g)、化合物27(0.059g)、およびIRGACURE 184光開始剤(0.006g)を組み合わせ、DCMに溶解させた。溶液を濾過し(0.45ミクロンフィルター)、溶媒を除去して混合物2を生成した:相挙動:第一加熱:X−38.4TN80.7I;第一冷却:I80.3TN−33.7;第二加熱:X−31.4TN84.0I。混合物2から誘導されるフィルムのコーティングおよび重合は、実施例6に記載されたものと類似の手順に従って行い架橋ポリマー網状構造を生成した:反射の波長=830nm。
【0103】
実施例8
混合物3:
化合物17(0.030g)、化合物25(0.157g)、化合物26(0.078g)、化合物27(0.059g)、およびIRGACURE 184光開始剤(0.006g)を組み合わせ、DCMに溶解させた。溶液を濾過し(0.45ミクロンフィルター)、溶媒を除去して混合物3を生成した:相挙動:第一加熱:X−36.4TN63.1I;第一冷却:I78.3TN−32.6;第二加熱:X−31.9TN82.8I。混合物2から誘導されるフィルムのコーティングおよび重合は、実施例6に記載されたものと類似の手順に従って行い架橋ポリマー網状構造を生成した:反射の波長=981nm。
【0104】
実施例9
混合物4:
化合物19(0.037g)、化合物25(0.157g)、化合物26(0.078g)、化合物27(0.059g)、およびIRGACURE 184光開始剤(0.006g)を組み合わせ、DCMに溶解させた。溶液を濾過し(0.45ミクロンフィルター)、溶媒を除去して混合物4を生成した:相挙動:第一加熱:X−35.9TN81.8I;第一冷却:I81.5TN−33.7;第二加熱:X−30.9TN85.9I。混合物4の架橋ポリマー網状構造は、実施例6に記載されたものと類似の手順に従って製造した:反射の波長=785nm。
【0105】
実施例10
混合物5:
化合物21(0.037g)、化合物25(0.157g)、化合物26(0.078g)、化合物27(0.059g)、およびIRGACURE 184光開始剤(0.006g)を組み合わせ、DCMに溶解させた。溶液を濾過し(0.45ミクロンフィルター)、DCMを除去して混合物5を生成した:相挙動:第一加熱:X−34.6TN71.4I;第一冷却:I86.7TN−31.9;第二加熱:X−29.2TN91.5I。
【0106】
混合物5の架橋ポリマー網状構造は、実施例6に記載されたものと類似の手順に従って製造した:反射の波長=717nm。
【0107】
比較例A
国際公開第2006/128091号パンフレットに開示されているものと類似の、比較例Aは、イソソルビド含有エステルで誘導されるねじれネマチック層をベースとするポリマー網状構造の形成を例示する。化合物26(22.7部)、化合物25(53.4部)、化合物27(15部)、化合物D(以下に示されるイソソルビドエステル、6.9部)およびIRGACURE 184光開始剤のブレンドを調製し、キシレン中の33.3w/v%溶液としてコートし、実施例6と類似の方法で硬化させた。
【化27】

【0108】
実施例11
反射される円偏光の偏光面回転特性は、W.A.Shurcliff、「Polarized Light:Production and Use」,Harvard University Press(1962年)に記載されている周知の手順に従って、実施例7の硬化フィルムおよび比較例Aの硬化フィルムを検討することによって決定した。この手順に従って、4分の1波長板を、試験されるべきサンプルフィルムと直線偏光子との間に配置した。4分の1波長板を直線偏光子の電場に対して−45度に遅軸で向けた(oriented with the slow axis)。サンプルからの反射光が直線偏光子を透過した場合、これは、反射光が右旋円偏光(RHCPL)であることの指標であった。逆に、4分の1波長板を直線偏光子の電場に対して+45度に遅軸で向けたとき、サンプルからの反射光が直線偏光子を透過するという観察は、反射光がLHCPLであることを示唆した。イソソルビド部分をベースとするキラルドーパントを組み込んだ、比較例Aで生成したポリマー網状構造はRHCPLを反射した。イソマンニド部分をベースとするキラルドーパントを組み込んだ実施例7はLHCPLを反射した。
【0109】
実施例12
混合物7:
化合物7(0.15g)、化合物25(0.415g)、化合物26(0.415g)、およびIrgacure 184(0.02g)を組み合わせ、DCMに溶解させた。溶液を濾過し(0.45ミクロンフィルター)、DCMを除去して混合物7を生成した。混合物7をキシレンに溶解させて30%溶液を生成した。この溶液を、実施例6に記載されたものと類似の手順に従ってコートし、RTで硬化させて架橋ポリマー網状構造12Aを生成した:反射の波長=499nm。
【0110】
別の硬化実験では、混合物7溶液を実施例6に記載されるようにコートし、乾燥させ、サンプルを60℃で窒素雰囲気でパージし、60℃で硬化させて架橋ポリマー網状構造12Bを生成する:464nmでの反射の波長。60℃で硬化させた12Bサンプルは、RTで硬化させた12Aサンプルより少ないヘーズを示した。
【0111】
本明細書に示される式のそれぞれは、(1)他の可変の基、置換基または数係数の全てが一定に保持されながら可変の基、置換基または数係数の1つについて規定範囲内からの選択、および(2)他のものが一定に保持されながら他の可変の基、置換基または数係数のそれぞれについて規定範囲内からの同じ選択を順繰りに行うことによって当該式中に組み合わせることができる別個の個々の化合物のそれぞれおよび全てを表現する。範囲で規定される群のメンバーのたったの1つの可変の基、置換基または数係数のいずれかについての規定範囲内で行われる選択に加えて、複数の化合物は、2つ以上だが基、置換基または数係数の全体群の数の全て未満を選択することによって表現されてもよい。可変の基、置換基または数係数のいずれかについて規定範囲内で行われる選択が(i)該範囲によって記載される全体群のただ1つのメンバー、または(ii)該全体群の2つ以上だが全て未満のメンバーを含有する亜群であるとき、被選択メンバーは、亜群を形成するために選択されない全体群のそれらのメンバーを除外することによって選択される。化合物、または複数の化合物は、かかる事象では、当該変数についての規定範囲の全群について言及するが、亜群を形成するために除外されたメンバーが全群に存在しない、可変の基、置換基または数係数の1つまたはそれ以上の定義によって特徴づけられてもよい。
【0112】
本明細書では、本明細書の主題の実施形態がある種の特徴または要素を含む、包含する、含有する、有する、それらからなるまたはそれらによって構成されるもしくはそれらを構成するとして述べられるかまたは記載される場合、特に明確に述べられない限りまたは用法の前後関係によって反対を示唆されない限り、明確に述べられるかまたは記載されるものに加えて1つまたはそれ以上の特徴または要素が実施形態に存在してもよい。しかしながら、本明細書の主題の代わりの実施形態は、ある種の特徴または要素から本質的になるとして述べられてもまたは記載されてもよく、その実施形態では、操作の原理または実施形態の際立った特性を実質的に変えるであろう特徴または要素はそれらの中に存在しない。本明細書の主題のさらなる代わりの実施形態は、ある種の特徴または要素からなるとして述べられてもまたは記載されてもよく、その実施形態では、またはそれの実体のない変形では、具体的に述べられるまたは記載される特徴または要素が存在するに過ぎない。
【0113】
本明細書に引用される全ての特許および特許出願は、参照により本明細書の一部として本明細書によって援用される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
R(S(S−D−S(B(A (I)
[式中、Dはイソマンニド:
【化1】

から誘導される二価部分であり;
およびSは、−O−、−OC(O)−、および−OC(O)O−からなる群からそれぞれ独立して選択される連結基であり;
、S、S、およびSは、共有結合、−O−、−S−、−C(O)−、−OC(O)−、−C(O)O−、−OC(O)O−、−OC(O)NR−、−NRC(O)O−、−SC(O)−、および−C(O)S−からなる群からそれぞれ独立して選択される連結基であり;
は、水素またはC〜Cアルキルであり;
各BおよびBは、1〜16個の炭素原子を有する;場合により1つまたはそれ以上の縮合環を有するおよび場合によりLで一置換もしくは多置換された脂肪族および芳香族炭素環および複素環基からなる群から独立して選択される二価基であり;
Lは、置換基F、Cl、−CN、および−NO;ならびに1つまたはそれ以上の炭素原子が場合によりFまたはClで置換されている、1〜8個の炭素原子を有する、アルキル、アルコキシ、アルキルカルボニル、およびアルコキシカルボニル基からなる群から選択され;
は、群−O−、−S−、−C(O)−、−OC(O)−および−C(O)O−から選択される連結基で場合により中断される、2〜20個の炭素原子を有する二価の直鎖もしくは分枝鎖アルキルであり;
は、群−O−、−S−、−C(O)−、−OC(O)−および−C(O)O−から選択される連結基で場合により中断される、3〜20個の炭素原子を有する二価の直鎖もしくは分枝鎖アルキルであり;
Rは、水素、F、Cl、−CN、−NO、および群−O−、−S−、−C(O)−、−OC(O)−または−C(O)O−から選択される連結基で場合により中断される、1〜20個の炭素原子を有する一価の直鎖もしくは分枝鎖アルキルからなる群から選択され;
は重合性基であり;
pおよびqはそれぞれ独立して1または2の整数であり;
rおよびtはそれぞれ独立して0または1の整数であり;
ただし、Rが水素原子、F、Cl、−CN、または−NOであり、rが1であるとき、Sは共有結合であり;Rが水素原子、F、Cl、−CN、または−NOであり、rが0であるとき、Sは共有結合である]
の構造で表される化合物。
【請求項2】
−RがCH=C(R)−、グリシジルエーテル、プロペニルエーテル、オキセタン、ならびに1,2−、1,3−、および1,4−置換スチリルおよびアルキル置換スチリル基からなる群から選択され、Rが水素、Cl、F、またはCHである請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
t=0であり、基−S−RがCH=C(R)−C(O)−O−であり、Rが水素または−CHである請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
t=1であり、基−S−RがCH=C(R)−C(O)−O−であり、Rが水素または−CHである請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
およびSが−OC(O)−である請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
およびBがそれぞれ独立して、1,4−シクロヘキシル、2,6−ナフチル、4,4’−ビフェニル、およびR11−置換−1,4−フェニル(ここで、R11はH、−CHまたは−OCHである)からなる群から選択される二価基である請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
式(I)が式(II):
【化2】

(式中、kは0または1であり;Rは直鎖もしくは分枝鎖C〜C20アルキルであり;R11はH、−CHまたは−OCHであり;Rは水素、Cl、F、またはCHである)
である請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
式(I)が式(III):
【化3】

(式中、kは0または1であり;nは3〜20の整数であり;Rは直鎖もしくは分枝鎖C〜C20アルキルであり;R11はH、−CHまたは−OCHであり;Rは水素、Cl、F、またはCHである)
である請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
式(I)が式(IV):
【化4】

(式中、kは0または1であり;Rは直鎖もしくは分枝鎖C〜C20アルキルであり;R11はH、−CHまたは−OCHであり;Rは水素、Cl、F、またはCHである)
である請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
式(I)が式(V):
【化5】

(式中、kは0または1であり;nは3〜20の整数であり;Rは直鎖もしくは分枝鎖C〜C20アルキルであり;R11はH、−CHまたは−OCHであり;Rは水素、Cl、F、またはCHである)
である請求項1に記載の化合物。
【請求項11】
式(I)が式(VI):
【化6】

(式中、kは0または1であり、Rは直鎖もしくは分枝鎖C〜C20アルキルであり;R11はH、−CHまたは−OCHであり;Rは水素、Cl、F、またはCHである)
である請求項1に記載の化合物。
【請求項12】
請求項1に記載の少なくとも1種の化合物を含む重合性液晶組成物。
【請求項13】
式(VII):
【化7】

[式中、
は、群:H、F、Cl、およびCHから独立して選択され;
n1およびn2は、独立して、整数3〜20であり;
uおよびvは、独立して、整数0、1または2であり;
Aは、群:
【化8】

(式中、
〜R10は、群:H、C〜C直鎖もしくは分岐鎖アルキル、C〜C直鎖もしくは分岐鎖アルキルオキシ、F、Cl、フェニル、−C(O)CH、CN、およびCFから独立して選択され;
は、群:−O−、−(CHC−、および−(CFC−から選択される二価基である)
から選択される二価基であり;
各BおよびBは、群:2,6−ナフチル、4,4’−ビフェニル、およびR11−置換−1,4−フェニル(ここで、R11はH、−CHまたは−OCHである)から独立して選択される二価基であり;
ただし、u+vの合計が3または4に等しいとき、BおよびBの少なくとも1つはR11−置換−1,4−フェニルである]
の化合物をさらに含む請求項12に記載の重合性液晶組成物。
【請求項14】
式(VII)中で、uが1であり、vが0であり、式(VII)が式(VIIIa):
【化9】

[式中、Rは独立してHまたはCHであり;R〜Rは独立してHまたは−CHであり;BはR11−置換−1,4−フェニル(ここで、R11はH、−CHまたは−OCHである)である]
である請求項12に記載の重合性液晶組成物。
【請求項15】
式(VII)中で、uおよびvが1であり、式(VII)が式(IXa):
【化10】

[式中、Rは独立してHまたはCHであり;R〜Rは独立してHまたは−CHであり;BおよびRはR11−置換−1,4−フェニル(ここで、R11はH、−CHまたは−OCHである)である]
である請求項12に記載の重合性液晶組成物。
【請求項16】
請求項12または13に記載の組成物のポリマーを含むポリマー網状構造。
【請求項17】
LHCPLを反射する請求項16に記載のポリマー網状構造。
【請求項18】
最大反射の波長を約280〜約2000nmの範囲に有する請求項17に記載のポリマー網状構造。
【請求項19】
最大反射の波長を700〜約1200nmの範囲に有する請求項17に記載のポリマー網状構造。
【請求項20】
光学素子である請求項16に記載のポリマー網状構造。

【公表番号】特表2010−536782(P2010−536782A)
【公表日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−521171(P2010−521171)
【出願日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際出願番号】PCT/US2008/073111
【国際公開番号】WO2009/023759
【国際公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】