説明

キーボタン構造

【課題】タイルキーによる操作性の良さを具備しつつ、隣接するキートップの位置規制と構造的独立を実現して、キー操作による隣接キーへの影響を無くし、デザインの自由度を高め、めくれも防止する。
【解決手段】ベースラバー42の縦横方向に複数形成されたキーボタン部42a・42bの周囲を囲むとともに各キーボタン部42a・42b間を仕切る形状をなして、ベースラバー42上に重ねられる中フレーム43を備える。中フレーム43には、ベースラバー42上に重ねた状態で複数のキートップ44・44bの斜め方向間に位置する部分に小突部43cが設けられている。キーボタン部42a・42bにそれぞれ接着されるキートップ44・44bの表面と、中フレーム43の小突部43cの表面とがほぼ面一に形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キートップが隣接して並ぶキーボタン構造に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯端末機、特に携帯電話機において、操作性を向上させるためにキートップの面積を大きく取って、隣接するキートップ間にケース(パネル)が存在しないタイルキーがある(非特許文献1参照)。
【非特許文献1】KDDI au:機能別製品ラインアップ>INFOBAR[平成16年11月10日検索]インターネット<URL:http://www.au.kddi.com/seihin/kinobetsu/seihin/infobar/index.html>
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、この種タイルキーは、キートップ同士が隣接するために位置規制が困難であり、構造的に独立していないためにキー操作が隣接する他のキーに影響を与えやすく、このため、キートップの形状について制約を受けるなどデザインの自由度も低く、また、簡単にめくれてしまうなどの問題があった。
【0004】
本発明の課題は、タイルキーによる操作性の良さを具備しつつ、隣接するキートップの位置規制と構造的独立を実現して、キー操作による隣接キーへの影響を無くし、デザインの自由度を高め、めくれも防止することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以上の課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、例えば図1、図3から図6に示すように、突部状のキーボタン部42a・42bが縦横方向に複数形成されたベースラバー42と、このベースラバー42の前記複数のキーボタン部42a・42bにそれぞれ接着され、縦横方向に互いに隣接して配設される複数のキートップ44・44bとを備えるキーボタン構造であって、前記縦横方向に複数形成されたキーボタン部42a・42bの周囲を囲むとともに各キーボタン部42a・42b間を仕切る形状をなして、前記ベースラバー42上に重ねられる中フレーム43を備えることを特徴とする。
【0006】
請求項1に記載の発明によれば、ベースラバーのキーボタン部に接着して縦横方向に互いに隣接する複数のキートップを備えることで、タイルキーによる操作性の良さを具備しながら、隣接するキートップの位置規制と構造的独立を実現できる。
すなわち、ベースラバー上には、その縦横方向複数のキーボタン部の周囲を囲むとともに各キーボタン部間を仕切る形状をなす中フレームが重ねられているので、中フレームによりベースラバー自体が押えられるとともに各キーボタン部が独立してそれぞれ位置規制される。これにより、キートップ間にケース(パネル)が存在しないタイルキーでありながら、キー操作による隣接キーへの影響を無くして、めくれも防止できる。
しかも、ベースラバーとキートップの間に中フレームを設けるだけなので、キートップ形状についてデザインの自由度も高められる。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のキーボタン構造であって、例えば図2、図3及び図6に示すように、前記中フレーム43には、前記ベースラバー42上に重ねた状態で前記複数のキートップ44・44bの斜め方向間に位置する部分に小突部43cが設けられていることを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明によれば、キートップの斜め方向間に、中フレームに設けた小突部が位置するので、タイルキーのキートップをコーナー部で小突部により互いに干渉させずに独立させられるとともに、中フレームに設けた小突部の形状によりタイルキー全体としてのデザインの自由度を高められる。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のキーボタン構造であって、例えば図2、図3及び図6に示すように、前記キートップ44・44bの表面と、前記中フレーム43の前記小突部43cの表面とがほぼ面一に形成されていることを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明によれば、中フレームの小突部表面がキートップ表面とほぼ面一になるので、外観上、タイルキーとして違和感の無い一体感が得られる。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項2または3に記載のキーボタン構造であって、例えば図4から図6に示すように、前記縦横方向に互いに隣接して配置される前記複数のキートップ44・44bの周囲を囲む開口部12aが形成されたケース12を備え、このケース12の表面と、前記キートップ44・44bの表面と、前記中フレーム43の前記小突部43cの表面とがほぼ面一に形成されていることを特徴とする。
【0012】
請求項4に記載の発明によれば、中フレームの小突部表面が、キートップ表面及びその周囲を囲むケースの表面とほぼ面一になるので、外観上、周囲のケースを含みタイルキーとして違和感の無い一体感が得られる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、タイルキーによる操作性の良さを具備しつつ、中フレームによりベースラバー自体を押えるとともに各キーボタン部を独立してそれぞれ位置規制できるため、キー操作による隣接キーへの影響を無くして、めくれも防止でき、キートップ形状についてデザインの自由度も高められるといった利点が得られる。
さらには、中フレームに設ける小突部によって、タイルキーのキートップをコーナー部で互いに干渉させずに独立させられるとともに、その小突部形状によりタイルキー全体としてのデザインの自由度を高められるようにもなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図を参照して本発明を実施するための最良の形態を詳細に説明する。
本発明を適用する携帯電話機は、図1に示すように、本体部1と蓋部2をヒンジ部3により結合した折り畳み式のもので、本体部1に操作部4が備えられ、蓋部2に表示部5が備えられている。
【0015】
本体部1は、図2に示すように、組み合わされて筐体をなす樹脂製の下ケース11及び上ケース12内に、回路部であるユニットアッシー6の他、タイルキー41、マイク71、バイブレータ72、マクロノブ73、マクロノブホルダ74、ライトレンズホルダ75等の各種部品を組み込んだものである。下ケース11には、バッテリーカバー13、インターフェイスキャップ14、イヤホンキャップ15、SDカードスロットキャップ16が取り付けられる。
ユニットアッシー6は、回路基板61にキー基板62等の各種電子部品を組み付けたものであり、キー基板62上にはスイッチ接点部62a・62b・62cが設けられている。
【0016】
タイルキー41は、図3に示すように、キー基板62上に重ねられるベースラバー42、その上に重ねられる中フレーム43及びキートップ44から構成されている。
ベースラバー42は、キー基板62上のスイッチ接点部62aに対応する、縦横方向3個×5個のキーボタン部42a・42bを一段高い突部状に形成して、その一端側に平坦部42dを形成したものである。図示例において、キーボタン部42a・42bは、四角形のコーナー部を面取りしてR形状とした形状のものとなっており、また、平坦部42d側の中央のキーボタン部42bが他のキーボタン部42aより小さいものとなっている。
これらのキーボタン部42a・42b上に、四角形のコーナー部を面取りしてR形状とした形状をなす樹脂製のキートップ44・44bが接着して取り付けられる。
【0017】
中フレーム43は、ベースラバー42上に重ねられる樹脂製のもので、キーボタン部42a・42bの周囲を囲む外枠部43aと、各キーボタン部42a・42b間を仕切る仕切り枠部43bとを一体に形成してなる。
そして、仕切り枠部43bの交差部上には小突部43cが一体に形成されている。この小突部43cは、図示例では菱形をなしている。
【0018】
また、上ケース12には、タイルキー41の周囲を囲む形状の開口部12aが形成されるとともに、十字キー組込孔12b及びその両側2個ずつのキー組込孔12cが形成されている。
十字キー45及びその両側2個ずつのキー46は、キー基板62上のスイッチ接点部62b・62cにそれぞれ対応するもので、ベースラバー42の空所部42e内に配置される。
【0019】
次に、タイルキー41の組付手順を説明する。
図3(a)に示した上ケース12、ベースラバー42、中フレーム43、キートップ44、十字キー45、キー46、キー基板62において、まず、図3(b)に示すように、ベースラバー42上に中フレーム43を重ねる。
すなわち、縦横のキーボタン部42a・42bの全体を外枠部43aで囲むと同時に、その内方の各キーボタン部42a・42bの間を仕切り枠部43bにより縦横方向にそれぞれ仕切った状態にする。この時、仕切り枠部43bの交差部上において、小突部43cが、図示のように、各キーボタン部42a・42bの斜め方向間に小島のように位置した状態となっている。
【0020】
その後、図3(c)に示すように、各キーボタン部42a・42b上にキートップ44・44bを紫外線照射により硬化接着させてそれぞれ取り付けるとともに、平坦部42dに十字キー45及びその両側2個ずつのキー46を一体化する。
これにより、ベースラバー42と各キートップ44・44bとの間に中フレーム43が挟み込まれた状態でタイルキー41が、十字キー45及びキー46と一体化して組み上げられる。この時、各キートップ44・44bの斜め方向間に、図示のように、小突部43cが小島のように位置した状態となっている。
【0021】
以上のタイルキー41と十字キー45及びキー46は、上ケース12の開口部12aと十字キー組込孔12b及びキー組込孔12cにそれぞれ位置させて、ベースラバー42を上ケース12の内側面に密着させて組み付ける。この組付状態を図4(a)に示した。
【0022】
その後、上ケース12に下方からキー基板62を介し前述した回路基板61を含むユニットアッシー6を重ねる。そして、図4(b)から図4(c)に示したように、上ケース12に下ケース11を組み合わせ、インターフェイスキャップ14、イヤホンキャップ15及びSDカードスロットキャップ16等を装着することで、本体部1の組立を完了する。
【0023】
以上のタイルキー41を備える携帯電話機の使用状態を図5に示しており、そのタイルキー41部分の縦断面構造を図6に示している。製品状態において、図示されるように、上ケース12の表面と、キートップ44(44b)の表面と、中フレーム43の小突部43cの表面がほぼ面一となるように設定されている。
【0024】
なお、図6に示すように、キーボタン部42a(42b)の下面には突起状の接点押し部42cが形成されている。すなわち、キートップ44(44b)を介してキーボタン部42a(42b)が押されるとその下面の接点押し部42cがスイッチ接点部62aに接触して所定のキーがONになる。
また、縦3列のうち両側のキートップ44には、図6に示すように、上ケース12の開口部12aの周側縁下に係止する小突片44dが形成されている。この小突片44dにより両側のキートップ44が開口部12aの内方位置に規制されている。
【0025】
以上の構成によるタイルキー41としたので、その操作性の良さを具備しながら、隣接するキートップ44・44bを位置規制して構造的に独立できる。
すなわち、ベースラバー42とキートップ44・44bとの間に中フレーム43を挟み込むようにした構造のため、中フレーム43の外枠部43a及び仕切り枠部43bにより、ベースラバー42それ自体が押えられるとともに、キーボタン部42a・42bが独立してそれぞれ位置規制される。
従って、キートップ44・44b間に上ケース12が存在しないタイルキー41でありながら、従来のようなキー操作による隣接キーへの影響解消とめくれ防止も達成できる。
しかも、中フレーム43を設けるだけのため、キートップ形状について、例えば図示例のように、四角形のコーナー部を面取りしてR形状とした形状のキートップ44・44bを採用できる等デザインの自由度も向上できる。
【0026】
さらに、キートップ44・44bの斜め方向間に、中フレーム43に設けた小突部43cが小島のように位置するため、タイルキー41のキートップ44・44bをコーナー部においても、小突部43cにより互いに干渉させずに独立させることができる。
そして、その小島のような小突部43cの存在によって、例えばブラインドタッチの際の指先による確認など操作性を向上できるとともに、タイルキー全体としてのデザインの自由度を向上できるものとなっている。
【0027】
また、上ケース12の表面と、キートップ44・44bの表面と、中フレーム43の小突部43cの表面がほぼ面一になっているため、外観上、上ケース12を含みタイルキー41として違和感の無い良好な一体感が得られるといった利点もある。
【0028】
なお、以上の実施形態においては、携帯電話機のタイルキー(キーボタン構造)としたが、本発明はこれに限定されるものではなく、PDAなど他の携帯端末機に適用しても良い。
また、タイルキーのデザイン、例えばキーボタンの数やキートップ及び小突部の形状等も任意である。例えばキートップや小突部の形状としては、四角形のコーナー部を面取りしてR形状とした形状のものや菱形のものの他、円形のものや三角形や五角形のコーナー部を面取りしてR形状とした形状のもの等を採用しても良い。
さらに、ケース、中フレーム、キートップについては、樹脂製に限らず金属製でも良く、その他、具体的な細部構造等についても適宜に変更可能であることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明を適用した一実施形態の構成を示すもので、携帯端末機の一例を示した正面図(a)、側面図(b)及び背面図(c)である。
【図2】携帯端末機の部品構成を示した分解斜視図である。
【図3】キーボタン構造部の組立方を示すもので、上ケース、キートップ、中フレーム、ベースラバー、キー基板の分解斜視図(a)、中フレームをベースラバーに重ねた状態の分解斜視図(b)、キートップを接着した状態の分解斜視図(c)である。
【図4】上ケースに組み付けた状態の分解斜視図(a)、キー基板を組み付けた状態の斜視図(b)、下ケースを組み付けた組立状態の斜視図(c)である。
【図5】図1の携帯端末機の使用状態を示した斜視図である。
【図6】キーボタン部の拡大縦断面図である。
【符号の説明】
【0030】
12 ケース
12a 開口部
41 タイルキー
42 ベースラバー
42a・42b キーボタン部
42c 接点押し部
42d 平坦部
43 中フレーム
43a 外枠部
43b 仕切り枠部
43c 小突部
44・44b キートップ
44d 小突片
62 キー基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
突部状のキーボタン部が縦横方向に複数形成されたベースラバーと、
このベースラバーの前記複数のキーボタン部にそれぞれ接着され、縦横方向に互いに隣接して配設される複数のキートップとを備えるキーボタン構造であって、
前記縦横方向に複数形成されたキーボタン部の周囲を囲むとともに各キーボタン部間を仕切る形状をなして、前記ベースラバー上に重ねられる中フレームを備えることを特徴とするキーボタン構造。
【請求項2】
前記中フレームには、前記ベースラバー上に重ねた状態で前記複数のキートップの斜め方向間に位置する部分に小突部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のキーボタン構造。
【請求項3】
前記キートップの表面と、前記中フレームの前記小突部の表面とがほぼ面一に形成されていることを特徴とする請求項2に記載のキーボタン構造。
【請求項4】
前記縦横方向に互いに隣接して配置される前記複数のキートップの周囲を囲む開口部が形成されたケースを備え、
このケースの表面と、前記キートップの表面と、前記中フレームの前記小突部の表面とがほぼ面一に形成されていることを特徴とする請求項2または3に記載のキーボタン構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−147292(P2006−147292A)
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−334687(P2004−334687)
【出願日】平成16年11月18日(2004.11.18)
【出願人】(504149100)株式会社カシオ日立モバイルコミュニケーションズ (893)
【Fターム(参考)】