説明

キーボードカバー、キーボード装置および情報処理装置

【課題】ユーザに与えるタイプ時の違和感を低減する。
【解決手段】情報処理装置100は、所定のキー配列に従って配列されたパンタグラフ15、ラバードーム16およびキーステージ14と、これらをタイプ可能に収容するベースプレート18およびフレーム17と、可塑性を備えたカバーシート11、および、所定のキー配列に合わせてカバーシート11に設けられたキーキャップ13を有するキーボードカバー10と、を有するキーボード装置1を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キーボードカバー、キーボード装置および情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、防塵や防水等を目的としたキーボードカバーとしては、たとえばキー配列全体を覆うシリコーン製のラバーシートに、キー間の凹凸に合う形状を付けたものが一般的であった(たとえば以下に示す特許文献1参照)。また、たとえば特許文献2には、各キーの構成として個別のラバードームとパンタグラフとを併用する場合において、ラバードームでパンタグラフを覆うことで、キーボードカバーを必要とせずに防塵や防水等を可能にする技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第5021638号明細書
【特許文献2】米国特許第7557313号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のキーボードカバーのように、キー配列に対してラバーシートを被せた場合、ユーザと直接接触する部分近傍がキーの沈み込みとは別に変形する。このため、たとえ非常に薄いキーボードカバーを被せただけであっても、ユーザに与えるタイプ時の感触が大幅に変わってしまう場合があるという問題が存在する。
【0005】
そこで本発明は、ユーザに与えるタイプ時の違和感を低減することが可能なキーボードカバー、キーボード装置および情報処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる目的を達成するために、本発明によるキーボードカバーは、可塑性を備えたカバーシートと、所定のキー配列に合わせて前記カバーシートに設けられたキーキャップと、を備えることを特徴とする。
【0007】
また、本発明によるキーボード装置は、所定のキー配列に従って配列されたキー構成と、前記キー構成をタイプ可能に収容する筐体と、上記のキーボードカバーと、を備えることを特徴とする。
【0008】
さらに、本発明による情報処理装置は、上記のキーボード装置を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、カバーシートとは別体のキーキャップがカバーシートに設けられているため、従来のキーをタイプする際の感触に近い感触をユーザに与えることが可能となり、これにより、ユーザに与えるタイプ時の違和感を低減することが可能なキーボードカバー、キーボード装置および情報処理装置を実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、本発明の一実施の形態による情報処理装置の概略構成を示す斜視図である。
【図2】図2は、本発明の一実施の形態によるキーボード装置の概略構成を示す分解図である。
【図3】図3は、本実施の形態によるキーボードにおける一部のキー配列の一例を示す上視図である。
【図4】図4は、図3に示すA−A断面の概略構成を示す断面図である。
【図5】図5は、本実施の形態におけるキーボードに対するキーボードカバーの着脱を説明するための図である。
【図6】図6は、図3に示すA−A断面と平行な面であってキーボード装置の周端部の概略構成を示す断面図である。
【図7】図7は、本実施の形態の変形例1によるキーボード装置の周端部の概略構成を示す断面図である。
【図8】図8は、図3に示すA−A断面と平行な面であってトラックポイント付近の概略構成を示す断面図である。
【図9】図9は、本実施の形態の変形例2によるトラックポイント付近の概略構成を示す断面図である。
【図10】図10は、図3に示すA−A断面およびキー配列面に対して垂直な面であってボタン部付近の概略構成を示す断面図である。
【図11】図11は、本実施の形態のキーボード装置におけるスペースキーの機械的構成を抜粋して示す概略斜視図である。
【図12】図12は、本実施の形態のキーボード装置におけるスペースキーの概略構成を示す分解図である。
【図13】図13は、本実施の形態の変形例3による各キーの概略構成を示す分解図である。
【図14】図14は、本発明の実施の形態2によるキーボード装置の概略構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための形態を図面と共に詳細に説明する。なお、以下の説明において、各図は本発明の内容を理解でき得る程度に形状、大きさ、および位置関係を概略的に示してあるに過ぎず、従って、本発明は各図で例示された形状、大きさ、および位置関係のみに限定されるものではない。また、各図では、構成の明瞭化のため、断面におけるハッチングの一部が省略されている。さらに、後述において例示する数値は、本発明の好適な例に過ぎず、従って、本発明は例示された数値に限定されるものではない。
【0012】
(実施の形態1)
まず、本発明の実施の形態1によるキーボードカバー、キーボード装置および情報処理装置について、図面を参照して詳細に説明する。図1は、本実施の形態1による情報処理装置の概略構成を示す斜視図である。図1に示すように、情報処理装置100は、ノート型パーソナルコンピュータなどの情報処理装置本体101と、情報処理装置本体101に搭載されたキーボード装置1と、キーボード装置1をカバーするキーボードカバー10と、を備える。キーボードカバー10は、キーボード装置1に対して着脱自在に取り付けられる。情報処理装置本体101の外部筐体とキーボード装置1との間は、つなぎ目やすき間が露出されないように、たとえばキーボードカバー10の周縁部によって覆われる。これにより、キーボード装置1内ならびに情報処理装置100内に液体や埃等が進入することが防止される。
【0013】
ここで、キーボード装置1は、情報処理装置100に対する取り付け仕様が一般的なキーボード装置と同様の仕様となっている。これにより、情報処理装置100の仕様を従来のものから変更することなく、本実施の形態1によるキーボード装置1を容易に搭載することが可能となる。
【0014】
つづいて、本実施の形態1によるキーボード装置1を、図面を用いて詳細に説明する。図2は、本実施の形態1によるキーボード装置の概略構成を示す分解図である。ただし、図2では、説明の簡略化のため、各キーの機械的構成および電気的構成を省略し、各層の要部を抜粋して示す。なお、本説明において、各部材のユーザ側の面を表面とし、表面と反対側の面を裏面とする。
【0015】
図2に示すように、キーボード装置1は、ベースプレート18の実装面側外周にフレーム17が固定された構成を備える。キーボードカバー10は、たとえばフレーム17に対して着脱可能な構成を備える。
【0016】
ベースプレート18は、キーボード装置1の下部筐体であり、たとえばプレス加工されたアルミニウム板や型成形されたプラスチックなどで構成される。このベースプレート18は、アルファベットや数字や記号等のキーが配置されるメインキー配列部18cと、ファンクションキーやその他のキーが配置されるファンクションキー配列部18dと、タッチパッド等のポインティングデバイスのボタン17hが配置されるボタン配置部18bと、を含む。ベースプレート18の底部には、各キーやボタンの電気的構成であるメンブレンシートC(たとえば図4参照)が載置される。メンブレンシートC上には、パンタグラフ15やラバードーム16など(たとえば図4参照)の各キーの機械的構成が配列される。なお、本説明では、メンブレンスイッチ(メンブレンシートCの一部)などの電気的構成とパンタグラフ15やラバードーム16などの機械的構成とをまとめてキー構成という。
【0017】
ベースプレート18上のフレーム17は、キーボード装置1の枠体である。ベースプレート18とフレーム17とは、所定のキー配列に従って配列したキー構成をタイプ可能に収容する筐体を構成する。フレーム17は、たとえば型成形されたプラスチックなどで構成される。このフレーム17は、ベースプレート18のメインキー配列部18cを囲うメインキーフレーム部17fと、ファンクションキー配列部18dを囲うとともにキー間の隙間をカバーするファンクションキーフレーム部17gと、ポインティングデバイスのボタン17hが設けられるボタン部17eと、を含む。さらに、フレーム17の裏面には、複数のポスト状の突起17bが設けられる。この突起17bは、ベースプレート18に設けられた複数の穴18aにそれぞれ差し込まれる。これにより、フレーム17がベースプレート18に固着される。なお、突起17bは穴18aに熱圧着などされてもよい。
【0018】
ベースプレート18とフレーム17とが形成する筐体は、キー構成の収容部分がキーボードカバー10によってカバーされる。具体的には、キーボードカバー10は、メインキーフレーム部17fが囲う領域をカバーするメインキーカバー部11hと、ファンクションキーフレーム部17gが囲う領域をカバーするファンクションキーカバー部11iと、ボタン部17eをカバーするボタンカバー部11gと、を含む。ただし、本実施の形態1によるキーボードカバー10は、メインキーカバー部11hとファンクションキーカバー部11iとボタンカバー部11gとのうち少なくとも1つを含むものであってもよい。
【0019】
キーボードカバー10は、たとえばシリコーンなどの可塑性を備えた材料にて形成される。このキーボードカバー10のたとえば外縁付近の裏面には、複数のポスト状の突起11dが設けられる。この突起11dは、たとえばフレーム17に設けられた複数の穴17aにそれぞれ挿抜自在に差し込まれる。これにより、ベースプレート18とフレーム17とキーボードカバー10とで形成される収容空間が液密に封止される。ただし、たとえばボタン部17eは、ボタンカバー部11gによって封止されていなくともよい。また、キーボードカバー10には、たとえばトラックポイント(登録商標)20のラバーキャップ21をベースプレート18側のポストカバー22に装着するための穴11eが設けられていてもよい。この穴11eは、ラバーキャップ21の装着によって、たとえば液密に封止される。
【0020】
このように本実施の形態1では、キー構成を収容する収容空間を液密に封止することが可能なキーボードカバー10がキーボード装置1に対して着脱可能である。これにより、キーボード装置1内に液体や埃等が進入することを防止できるため、キーボード装置1自体を高衛生且つ長寿命に保つことが可能になる。これに加え、キーボードカバー10を取り外して拭き洗いしたり丸洗いしたりすることが容易であるため、キーボード装置1のユーザが触れる部分をより高衛生に保つことが可能となる。
【0021】
ここで、キーボードカバー10のうち変形可能なカバーシート11(たとえば図4等参照)の材料には、抗菌作用のある材料を用いるとよい。これにより、ユーザが直接的に触れるキーボード部分をより高衛生に保つことが可能となるため、たとえば手術などの高い衛生性が求められるケースでの使用においても、作業時にユーザが汚染されることを低減または防止することが可能となる。なお、抗菌作用のある材料には、たとえばシリコーンに粉末状の銀(Ag)を混ぜたものなど、可塑性のある一般的な材料を用いることが可能である。
【0022】
さらに、本実施の形態1では、カバーシート11のたとえば裏面に、各キーに対応したキーキャップ13がキー配列に合わせて接着される。カバーシート11とは別体のキーキャップ13をカバーシート11に接着して一体化することで、本実施の形態1では、従来のキーをタイプする際の感触に近い感触をユーザに与えることが可能となるため、ユーザが感じるタイプ時の違和感を低減することが可能となる。また、キーキャップ13を、たとえばカバーシート11よりも硬い材料にて形成してもよい。これにより、キーをタイプする際の感触をより従来の感触に近づけることが可能となる。なお、たとえばシリコーン製のカバーシート11よりも硬い材料としては、PET等のプラスチックやアルミニウム等の金属などが存在する。
【0023】
つぎに、キーボード装置1の構成を、以下に図面を参照してより詳細に説明する。図3は、本実施の形態1によるキーボードにおける一部のキー配列の一例を示す上視図である。図4は、図3に示すA−A断面の概略構成を示す断面図である。図5は、本実施の形態1におけるキーボードに対するキーボードカバーの着脱を説明するための図である。なお、図3では、説明の簡略化のため、キーボードカバーを省略する。
【0024】
図3に示すように、本実施の形態1によるキーボード装置1は、キーキャップ13が2次元状に配列した構成を備える。すなわち、キーボード装置1の各キー構成は、一般的なキーボードと同様、2次元配列している。また、キーキャップ13には、後述するキーボードカバー10の裏面に設けられた位置決め用の突起11aが嵌挿される1つ以上の穴13aが設けられている。図3では、例として、キーキャップ13上方から見てキーキャップ13上面の四隅近傍にそれぞれ穴13aが設けられている。
【0025】
つづいて、図4を用いて、キーボード装置1の概略構成を説明する。図4に示すように、キーボード装置1は、下部筐体であるベースプレート18上にメンブレンスイッチがキー配列に合わせて配列されたメンブレンシートCが載置される。メンブレンシートC上には、個々のキーの機械的構成としてのパンタグラフ15およびラバードーム16が配列される。ここで、ラバードーム16は、キー個別のものでなく、複数のキー(たとえばメインキーやキー全体など)に対して一体のシート状のものであってもよい。また、ベースプレート18の裏面には、キーボード装置1内に流れ込んだ液体等がキーボード装置1下の電気回路等へ流れ込むことを防止するためのスピルシート19が貼られている。
【0026】
各キーにおいて、キーステージ14は、図4に示すラバードーム16によって沈み込み可能に支えられている。キーステージ14の上面側から見て対向する一組の側辺には、パンタグラフ15上端側の爪部15aと係合する受部14aが設けられている。パンタグラフ15は、爪部15aと受部14aとが係合された状態で伸縮することで、キーステージ14を略水平に維持しつつ上下方向へ移動させる。なお、パンタグラフ15の足部分である下端には、メンブレンシートCとの摩擦抵抗を低減するために、たとえば丸みを帯びた形状の低摩擦部15bが設けられているとよい。
【0027】
また、本実施の形態1によるキーボードカバー10は、キーステージ14上に個別に被せられるキーキャップ13と、キーボード装置1を略液密にカバーするカバーシート11と、を備える。カバーシート11におけるキーキャップ13間は、キーキャップ13間の凹凸に合わせて変形する変形部11bとなっている。この変形部11bを設けることで、カバーシート11によって生じるタイプ時の感触の変化を低減することが可能である。
【0028】
カバーシート11の裏面には、上述において図3の説明の際に触れたように、キーキャップ13の穴13aに嵌挿される突起11aが設けられている。この突起11aは、穴13aを介してキーキャップ13の裏面側に突出する。キーキャップ13の裏面から突出した部分は、たとえば図5に示すように、キーステージ14に設けられた穴14cに着脱可能に差し込まれる。これにより、個々のキーキャップ13が対応のキーステージ14に対してカバーシート11とともに位置決めされる。なお、突起11aにおけるキーキャップ13の裏面から突出した部分は、キーステージ14の穴14cと着脱可能に係合する鉤形状であって、単に穴14cに単に差し込まれる円筒形状であってもよい。
【0029】
図4に戻り説明する。キーキャップ13は、たとえばシリコーン樹脂などの接着剤12を用いてカバーシート11の裏面に接着される。この際、接着剤12がキーキャップ13の上面上からはみ出さないようにするとよい。これにより、キーキャップ13の側面とカバーシート11の変形部11bとが接着されて変形部11bの機能が低下することを防止できる。
【0030】
ここで、カバーシート11がたとえば透明または半透明な材料で形成されている場合、それぞれのキーが割り持つアルファベットや数字等は、通常のキーボードと同様に、キーキャップ13の上面に印字しておくとよい。この際、カバーシート11とキーキャップ13とを接着する接着剤12にも、透明または半透明な材料が用いられるとよい。一方、カバーシート11が不透明な材料で形成されている場合、それぞれのキーが割り持つアルファベットや数字等は、カバーシート11の表面であって、各キーと対応する位置に印字されるとよい。
【0031】
つづいて、キーボードカバー10の周端部をベースプレート18に固定する構成について、図面を参照して詳細に説明する。図6は、図3に示すA−A断面と平行な面であってキーボード装置の周端部の概略構成を示す断面図である。図6に示すように、キーボードカバー10の周端部には、変形部11bが設けられ、さらにその外側には、複数のポスト状の突起11dが設けられている。この突起11dは、フレーム17に設けられた穴17aに挿抜自在に差し込まれる。これにより、キーボードカバー10がフレーム17に固定される。また、フレーム17の裏面に設けられた複数のポスト状の突起17bは、ベースプレート18に設けられた穴18aに差し込まれる。これにより、キーボードカバー10がフレーム17ごと、ベースプレート18に固定される。ただし、キーボードカバー10はフレーム17に対して着脱自在である。
【0032】
なお、キーボードカバー10の周端部は、フレーム17に対して固定されていなくともよい。たとえば図7に示す変形例1のように、カバーシート111の周端部111dがフレーム171上に載置されているだけであってもよい。図7は、本実施の形態1の変形例1によるキーボード装置の周端部の概略構成を示す断面図である。この場合においても、両者間の密着性を確保できるのであれば、ベースプレート181とフレーム171とカバーシート111とで形成される収容空間を液密に封止することが可能となる。なお、カバーシート111とフレーム171との密着性は、たとえば静電気や磁気などで高めることができる。この場合であっても、フレーム171は、突起171bおよび穴181a等を用いてベースプレート181に固着されているとよい。
【0033】
つづいて、キーボード装置1におけるトラックポイント20付近の構成について、図面を参照して詳細に説明する。図8は、図3に示すA−A断面と平行な面であってトラックポイント付近の概略構成を示す断面図である。ただし、図8では、説明の簡略化のため、トラックポイント20の操作を検知するスイッチ部の構成を省略する。図8に示すように、トラックポイント20は、ベースプレート18に形成された収容部18eからメンブレンシートCを介して突出する操作部であるポスト22aと、ポスト22aのポストメンブレンシートCから突出した部分に装着するポストカバー22と、を備える。ポストカバー22は、カバーシート11の穴11eに通されて表面側に突き出る。この突き出た部分には、上述したように、たとえば上面に凹凸の付いたラバーキャップ21が嵌められる。これにより、カバーシート11の穴11eが液密に封止される。
【0034】
ただし、トラックポイント20のラバーキャップ21は、ユーザが直接触れられる構成でなくてもよい。たとえば図9に示す変形例2のように、カバーシート11によってカバーされる構成であってもよい。図9は、本実施の形態1の変形例2によるトラックポイント付近の概略構成を示す断面図である。
【0035】
つづいて、キーボード装置1におけるボタン部17e付近の構成について、図面を参照して詳細に説明する。図10は、図3に示すA−A断面およびキー配列面に対して垂直な面であってボタン部付近の概略構成を示す断面図である。ただし、図10では、説明の簡略化のため、ボタン部17eのクリックを検知するスイッチ部の構成を省略する。図10に示すように、ボタン部17eは、ボタン17hと、ボタン17hの回転軸17iと、ボタン17hを回転軸17iに掛止する掛部17jと、を含む。このボタン部17eは、カバーシート11におけるたとえばスペースキーなどのキーキャップ23上の部分から延びるボタンカバー部11gによってカバーされる。このボタンカバー部11gは、突起11dなどで固定されていなくともよい。ただし、ボタンカバー部11gは、ボタン17hの先端部分下部まで延在していることが好ましい。これにより、この部分からの液体や埃等の進入を低減することが可能である。
【0036】
つづいて、キーボード装置1におけるスペースキーの構成について、図10ならびに図11および図12を参照して詳細に説明する。図11は、本実施の形態1のキーボード装置におけるスペースキーの機械的構成を抜粋して示す概略斜視図である。図12は、本実施の形態1のキーボード装置におけるスペースキーの概略構成を示す分解図である。
【0037】
図10〜図12に示すように、スペースキーは、他のキーと同じパンタグラフ15およびラバードーム16の他に、スペースキーの大きさに合わせたスタビライザー25を備える。このスタビライザー25は、たとえば剛性の高いアルミニウムなどの棒状部材を矩形状に折り曲げた第1スタビライザー25aと、同じく矩形状に折り曲げられた棒状部材のさらに先端部25b−1を折り曲げた第2スタビライザー25bと、よりなる。また、パンタグラフ15および25ならびにラバードーム16によって支えられるキーステージ24は、キーステージ14と同様の構成に加え、パンタグラフ15の爪部15aが係合される受部14aのさらに外側に、スタビライザー25の第1スタビライザー25aおよび第2スタビライザー25bそれぞれの中央部分を回転可能に保持する保持部24cを備える。第1スタビライザー25aの先端部は、メンブレンシートC側に設けられたストッパ26に当接する。一方、第2スタビライザー25bの折り曲げられた先端部25b−1は、メンブレンシートC側に設けられた係合部27に係合される。このように、パンタグラフ15とは別に、1つ以上のスタビライザー(25aおよび25b)を用いることで、他のキーと比較して幅広なキー(たとえばスペースキー)であっても、これを略水平に維持しつつ上下方向へ移動させることが可能となる。
【0038】
また、図11および図12に示すように、キーステージ24の表面には、1つ以上の穴24bが設けられている。この穴24bには、図12に示すように、カバーシート11に固着されていないキーキャップ23の裏面に設けられた突起23aが挿抜自在に嵌め込まれる。そこで、カバーシート11には、キーキャップの代わりに、キーヘッド23Aが固着される。キーヘッド23Aの裏面には、キーキャップ23の表面に設けられた穴に挿抜自在に嵌め込むことが可能な突起23bが設けられる。ただし、この突起23bは、突起11aと同様のものであってもよい。この場合、キーヘッド23Aには、突起11aが嵌挿される穴が設けられる。
【0039】
なお、上述した実施の形態1では、キーキャップ13の裏面に突出させる突起を全てカバーシート11裏面の突起11dとする場合を例に挙げたが、これに限定されず、たとえば図13に示す変形例3のように、キーキャップ13の裏面に突出させる突起の一部をキーキャップ13と一体の突起13bとし、これをキーステージ14の穴14bに嵌挿させるようにしてもよい。図13は、本実施の形態1の変形例3による各キーの概略構成を示す分解図である。この構成により、カバーシート11とキーキャップ13との間に生じる擦れなどの応力を低減することが可能となるため、キーボードカバー10の耐久性をより向上することが可能となる。
【0040】
以上のように、本実施の形態1では、カバーシート11よりも硬いキーキャップ13をカバーシート11に接着して一体化するため、従来のキーをタイプする際の感触に近い感触をユーザに与えることが可能となる。この結果、ユーザが感じるタイプ時の違和感を低減することが可能となる。
【0041】
(実施の形態2)
つぎに、本発明の実施の形態2によるキーボードカバー、キーボード装置および情報処理装置について、図面を参照して詳細に説明する。上述の実施の形態1では、キーキャップ13がカバーシート11の裏面に接着された場合を例に挙げた。これに対し、本実施の形態2では、キーキャップ13をカバーシート11の表面に接着した場合を例に挙げる。なお、以下の説明において、上述の実施の形態1と同様の構成については、同一の符号を付し、その重複する説明を省略する。
【0042】
図14は、本実施の形態2によるキーボード装置の概略構成を示す断面図である。なお、図14では、図4と対応する断面を示す。図14に示すように、本実施の形態2によるキーボード装置2は、キーステージ14上に直接、カバーシート31が載置される。カバーシート31の裏面には、キーステージ14の穴14cに差し込まれる突起31aが設けられる。また、カバーシート31の上面には、キーキャップ33が接着剤12を用いて接着される。キーキャップ33が接着された部分以外は、変形部11bと同様の変形部31bとして機能する。以上のような構成は、メインキーに限らず、ファンクションキーやその他のキーについても同様とすることが可能である。
【0043】
以上のような構成によっても、上述した実施の形態1と同様に、カバーシート11よりも硬いキーキャップ13をカバーシート11に接着して一体化されているため、従来のキーをタイプする際の感触に近い感触をユーザに与えることが可能となる。この結果、ユーザが感じるタイプ時の違和感を低減することが可能となる。
【0044】
なお、その他の構成は、上述した実施の形態1またはその変形例と同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0045】
また、上記実施の形態およびその変形例は本発明を実施するための例にすぎず、本発明はこれらに限定されるものではなく、仕様等に応じて種々変形することは本発明の範囲内であり、更に本発明の範囲内において、他の様々な実施の形態が可能であることは上記記載から自明である。例えば各実施の形態に対して適宜例示した変形例は、他の実施の形態に対して適用することも可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0046】
1、2 キーボード装置
10 キーボードカバー
11、31、111 カバーシート
11a、11d、13b、17b、23a、23b、31a、171b 突起
11b、31b 変形部
11e、13a、14b、14c、17a、18a、24b、181a 穴
11h メインキーカバー部
11i ファンクションキーカバー部
11g ボタンカバー部
12 接着剤
13、23、33 キーキャップ
14、24 キーステージ
14a 受部
15 パンタグラフ
15a 爪部
15b 低摩擦部
16 ラバードーム
17、171 フレーム
17e ボタン部
17f メインキーフレーム部
17g ファンクションキーフレーム部
17h ボタン
17i 回転軸
17j 掛部
18、181 ベースプレート
18b ボタン配置部
18c メインキー配列部
18d ファンクションキー配列部
18e 収容部
19 スピルシート
20 トラックポイント
21 ラバーキャップ
23A キーヘッド
24c 保持部
25 スタビライザー
25a 第1スタビライザー
25b 第2スタビライザー
25b−1 先端部
26 ストッパ
27 係合部
100 情報処理装置
111d 周端部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可塑性を備えたカバーシートと、
所定のキー配列に合わせて前記カバーシートに設けられたキーキャップと、
を備えることを特徴とするキーボードカバー。
【請求項2】
前記キーキャップは、前記カバーシートよりも硬いことを特徴とする請求項1に記載のキーボードカバー。
【請求項3】
前記キーキャップは、前記カバーシートの裏面または表面に接着されていることを特徴とする請求項1または2に記載のキーボードカバー。
【請求項4】
前記キーキャップの裏面から突出し、前記所定のキー配列に従って配列されたキー構成の上面に設けられた穴と挿抜可能に嵌合できる突起をさらに備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載のキーボードカバー。
【請求項5】
前記カバーシートの裏面から突出し、前記所定のキー配列に従って配列されたキー構成を収容する筐体に設けられた穴と挿抜可能に嵌合できる突起をさらに備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載のキーボードカバー。
【請求項6】
所定のキー配列に従って配列されたキー構成と、
前記キー構成をタイプ可能に収容する筐体と、
請求項1〜5のいずれか一つに記載のキーボードカバーと、
を備えることを特徴とするキーボード装置。
【請求項7】
請求項6に記載のキーボード装置を備えることを特徴とする情報処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−22473(P2012−22473A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−159145(P2010−159145)
【出願日】平成22年7月13日(2010.7.13)
【出願人】(505205731)レノボ・シンガポール・プライベート・リミテッド (292)
【復代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
【Fターム(参考)】