説明

キーボード

【課題】 低背タイプのキーボードの軽量化を実現することを目的とする。
【解決手段】 ベース11と、このベース11上に配置されるキートップ20と、互いに連動してキートップ20をベース11上で昇降方向へ案内支持する一対のリンク部材30,40と、メンブレン50とを有する。ベース11は、平均直径が100nm以下で、アスペクト比(長さ/直径)が500以下で、多層の構造であるカーボンナノファイバを、所定のwt%混合したアルミニウム板製である。カーボンナノファイバを混合したことによってアルミニウム板は剛性が向上しており、ベース11の板厚tは従来よりも薄い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はキーボードに係り、特に低背タイプのキーボードに関する。
【背景技術】
【0002】
低背タイプのキーボードは、ノート型のコンピュータに使用されており、剛性は維持しつつ、軽量化が求められている。
【0003】
従来の低背タイプのキーボードは、ベースにアルミニウムの板を使用している構成である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
低背タイプのキーボードにおいて、アルミニウム板製のベースがキーボードの重量の多くをしめており、ベースの軽量化が求められている。
【0005】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたキーボードを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、ベースと、該ベース上のメンブレンと、並んでいる複数のキートップと、各キートップを該ベース上で昇降方向へ案内支持するキートップ支持部材とを有するキーボードにおいて、
前記ベースを、基材である金属に、カーボンナノファイバを所定のwt%添加してなる金属材料製としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、基材である金属にカーボンナノファイバを所定のwt%添加したことによって、ベースの剛性が高められ、その分、ベースの板厚を薄くすることが可能となり、ベースの軽量化が図られ、最終的には、剛性を維持して、キーボードの軽量化が図られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
次に本発明の実施の形態について説明する。
【実施例1】
【0009】
図1は本発明の実施例1になる低背タイプのキーボード1である。キーボード1は図2及び図3に示すキースイッチ装置10が並んで集合している構成である。
【0010】
図2はキースイッチ装置10を分解して示す。Y2側が正面である。図3(A)、(B)はキースイッチ装置10の正面図及び側面図であり、図3(C)はキースイッチ装置10を操作した状態の正面図である。
【0011】
キースイッチ装置10は、ベース11と、このベース11上に配置されるキートップ20と、互いに連動してキートップ20をベース11上で昇降方向へ案内支持する一対のリンク部材30,40と、メンブレン50とを有する。メンブレン50にはキートップ20の昇降動作に対応して電気回路の接点を開閉するスイッチ機構(図示せず)及びドーム部51が形成してある。キートップ20の下面には、回動軸受け部21、22が形成してある。ベース11には、摺動軸受け部12,13が切り起こして形成してある。リンク部材30は、二つの腕部31と、二つの腕部31間を連結する連結部32と、腕部31の一端側の歯部33及び回動ピン34と、腕部31の他端側の摺動ピン35とを有する。リンク部材40は、二つの腕部41と、二つの腕部41間を連結する連結部42と、腕部41の一端側の歯部43及び回動ピン44と、腕部41の他端側の摺動ピン45とを有する。
【0012】
図3(A)、(B)に示すように、リンク部材30、40は、歯部33、44を噛み合わせて、回動ピン34、44が夫々回動軸受け部21、22に回動可能に嵌合してあり、摺動ピン35、45が夫々摺動軸受け部12,13に摺動可能に嵌合してある。
【0013】
キートップ20は、ドーム部51上に位置しており、通常は、図3(A)、(B)に示すように、高い位置H1に位置している。リンク部材30、40は逆V字形状を形成している。
【0014】
指先でキートップ20をたたくと、キートップ20は、リンク部材30、40の動きをともなって、下降して、図3(C)に示す低い位置H2に到り、ドーム部51がつぶされ、スイッチ機構(図示せず)の接点が閉じられる。キートップ20の下降に伴って、リンク部材30、40は、歯部33と歯部43とがかみ合ったまま、回動ピン34、44が夫々回動軸受け部21、22内で回動し、摺動ピン35が摺動軸受け部12内をX1方向に摺動し、摺動ピン45が摺動軸受け部13内をX2方向に摺動して、山形状が平坦になる方向に動かされる。
【0015】
指先をキートップ20から離すと、キートップ20は、ドーム部51が復元力によって上方に高い位置H1まで移動される。
【0016】
次に、上記キースイッチ装置10を構成する各部品について説明する。
【0017】
ベース11:
ベース11は、キーボード1の底面全体に対応する大きさであり、平均直径が100nm以下で、アスペクト比(長さ/直径)が500以下で、多層の構造であるカーボンナノファイバを、所定のwt%混合したアルミニウム板製である。カーボンナノファイバを混合したことによってアルミニウム板は剛性が向上したものとなっている。よって、ベース11の板厚tは従来よりも薄くしてあり、これによって、キーボード1は従来に比較して軽量である。
【0018】
なお、ベース11の板厚を従来と同じとした場合には、ベース11の剛性が従来に比べて向上しており、キーボード1は従来に比較して高い剛性を有している。
【0019】
また、カーボンナノファイバを混合したことによって、アルミニウム板は熱伝導度が良くなっている。よって、これによって、キーボード1は従来に比較して放熱効果が優れたものとなっている。
【0020】
キートップ20:
キートップ20の材料は、基材がABS(Acrylonitrie Butadiene Styyrene polymer)であり、このABSに、平均直径が100nm以下で、アスペクト比(長さ/直径)が500以下で、多層の構造であるカーボンナノファイバを、所定のwt%混合したものである。カーボンナノファイバを混合したことによって、キートップ20は従来よりも強度(剛性)が向上しており、回動軸受け部21、22を回動ピン34、44に嵌合させたり、回動軸受け部21、22を回動ピン34、44から外したりするキートップ20の着脱時に回動軸受け部21、22が破損することが起き難い。
【0021】
リンク部材30,40:
リンク部材30,40の材料は、基材がPOM(Polyoxymethylene、通称:ポリアセタール)であり、このPOMに、平均直径が100nm以下で、アスペクト比(長さ/直径)が500以下で、多層の構造であるカーボンナノファイバを、所定のwt%混合したものである。カーボンナノファイバを混合したことによって、リンク部材30,40は従来よりも強度(剛性)が向上しており、キースイッチ装置10は従来よりも強度(剛性)が向上したものとなっている。
【0022】
カーボンナノファイバを混合したことによって、リンク部材30,40は摺動性が向上しており、回動ピン34、44の回動軸受け部21、22内での回動、及び摺動ピン35、45の摺動軸受け部12,13内での摺動が円滑となって、キースイッチ装置10は従来よりもキー入力操作が円滑になされる。
【0023】
メンブレン50:
メンブレン50の材料は、基材がシリコンゴムであり、このシリコンゴムに、平均直径が100nm以下で、アスペクト比(長さ/直径)が500以下で、多層の構造であるカーボンナノファイバを、所定のwt%混合したものである。カーボンナノファイバを混合したことによって、強くなって、割れたり切れたりしにくくなり、キースイッチ装置10は従来よりも寿命(耐久性)が向上したものとなっている。
【実施例2】
【0024】
図4(A)は本発明の実施例2になる低背タイプのキースイッチ装置10Aを分解して示す。図4(B)、(C)はキースイッチ装置10Aの正面図及び側面図であり、図4(D)はキースイッチ装置10Aを操作した状態の正面図である。
【0025】
キースイッチ装置10Aは、図2及び図3(A)乃至(C)に示すキースイッチ装置10とは、ベース11Aが相違し、ベース11Aと、キートップ20と、一対のリンク部材30,40と、メンブレン50とを有する。
【0026】
ベース11Aは、樹脂成形部品であり、略半円柱形状の摺動軸受け部12A,13Aを有する。
【0027】
次に、ベース11Aの材質等について説明する。
【0028】
ベース11Aの材料は、基材がABSであり、このABSに、平均直径が100nm以下で、アスペクト比(長さ/直径)が500以下で、多層の構造であるカーボンナノファイバを、所定のwt%混合したものである。カーボンナノファイバを混合したことによって、樹脂成形部品は、剛性が向上しており、且つ、導電性を有している。
【0029】
よって、樹脂成形部品であるベース11Aは、適度の板厚t1でもって十分な剛性を有しており、しかも、アルミニウム板製である前記のベース11に比較して、かなり軽量である。よって、キースイッチ装置10Aを備えたキーボードは、アルミニウム板製のベースを備えている従来のキーボードに比較して、かなり軽量となる。
【0030】
また、ベース11Aは、アルミニウム板と同じく、導電性を有している。よって、キーボードをパーソナルコンピュータに組み込んだ場合に、ベース11Aを電気的にグランドに接続することで、ベース11Aは、アルミニウム板製のベースと同様に、外部からの静電気からパーソナルコンピュータ内部を保護するシールド板として機能する。
【実施例3】
【0031】
図5(A)は本発明の実施例3になる低背タイプのキースイッチ装置10Bを分解して示す。図5(B)、(C)はキースイッチ装置10Bの正面図及び側面図であり、図5(D)はキースイッチ装置10Bを操作した状態の正面図である。
【0032】
キースイッチ装置10Bは、図1及び図2(A)乃至(C)に示すキースイッチ装置10とは、新たにスイッチパネル60を有し、且つ、ベース11に代えてベース11Bを有する構成である。
【0033】
スイッチパネル60は、樹脂成形部品であり、摺動軸受け部61,62を有する。ベース11Bには摺動軸受け部は形成されていない。メンブレン50がベース11Bとスイッチパネル60との間に挟まれており、摺動ピン35、45が摺動軸受け部61,62とメンブレン50との間に摺動可能に収まっている。
【0034】
ベース11Bは、平均直径が100nm以下で、アスペクト比(長さ/直径)が500以下で、多層の構造であるカーボンナノファイバを、所定のwt%混合したアルミニウム板製である。
【0035】
スイッチパネル60は、の材料は、基材がABSであり、このABSに、平均直径が100nm以下で、アスペクト比(長さ/直径)が500以下で、多層の構造であるカーボンナノファイバを、所定のwt%混合したものである。
【実施例4】
【0036】
図6は本発明の実施例4になるリレー100を示す。リレー100は、リレー本体101がケース102で覆われている構成である。
【0037】
ケース102は、ケースであり、中空の四角柱状であり、樹脂成形部品である。
【0038】
ケース102の材料は、基材がPC(Polycarbonate、ポリカーボネイト)、PBT(Polybutylene terephthalate、ポリブチレンテレフタレート)、或いはLCP(Liquid clystal polymer、リキッドクリスタルポリマー)であり、これに、平均直径が100nm以下で、アスペクト比(長さ/直径)が500以下で、多層の構造であるカーボンナノファイバを、4〜20wt%、望ましくは、8〜14wt%、更に望ましくは、10〜12wt%混合したものである。
【0039】
カーボンナノファイバが混合されていることによって、ケース102は剛性が高められている。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の実施例1になる低背タイプのキーボードの斜視図である。
【図2】キースイッチ装置の分解斜視図である。
【図3】キースイッチ装置を示す図である。
【図4】本発明の実施例2になるキースイッチ装置を示す図である。
【図5】本発明の実施例3になるキースイッチ装置を示す図である。
【図6】本発明の実施例4になるリレーを示す図である。
【符号の説明】
【0041】
1 低背タイプのキーボード
10 キースイッチ装置
11、11A ベース
20 キートップ
30,40 リンク部材
50 メンブレン
100 リレー
101 リレー本体
102 ケース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースと、該ベース上のメンブレンと、並んでいる複数のキートップと、各キートップを該ベース上で昇降方向へ案内支持するキートップ支持部材とを有するキーボードにおいて、
前記ベースを、基材である金属に、カーボンナノファイバを所定のwt%添加してなる金属材料製としたことを特徴とするキーボード。
【請求項2】
ベースと、該ベース上のメンブレンと、並んでいる複数のキートップと、各キートップを該ベース上で昇降方向へ案内支持するキートップ支持部材とを有するキーボードにおいて、
前記ベースを、基材である合成樹脂に、カーボンナノファイバを所定のwt%添加してなる合成樹脂製としたことを特徴とするキーボード。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のキーボードにおいて、
前記キートップ支持部材を、基材である合成樹脂に、カーボンナノファイバを所定のwt%添加してなる合成樹脂製としたことを特徴とするキーボード。
【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載のキーボードにおいて、
前記キートップを、基材である合成樹脂に、カーボンナノファイバを所定のwt%添加してなる合成樹脂製としたことを特徴とするキーボード。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−72595(P2007−72595A)
【公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−256662(P2005−256662)
【出願日】平成17年9月5日(2005.9.5)
【出願人】(501398606)富士通コンポーネント株式会社 (848)
【Fターム(参考)】