キーレスエントリシステム
【課題】構造を複雑にすることなく、セキュリティの信頼性が高められるキーレスエントリシステムを提供する。
【解決手段】このキーレスエントリシステム1は、操作スイッチと、操作スイッチの操作に応じて、指令データを重畳した可視光線の信号波Sを放射する発信素子と、を有する携帯電子キー3と、この発信素子からの信号波Sを受信可能な受信素子を有し、前記指令データを重畳した信号波Sをこの受信素子が受信したときドアの施錠又は解錠を行う車両2と、を備えてなる。
【解決手段】このキーレスエントリシステム1は、操作スイッチと、操作スイッチの操作に応じて、指令データを重畳した可視光線の信号波Sを放射する発信素子と、を有する携帯電子キー3と、この発信素子からの信号波Sを受信可能な受信素子を有し、前記指令データを重畳した信号波Sをこの受信素子が受信したときドアの施錠又は解錠を行う車両2と、を備えてなる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のキーレスエントリシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
今日、車両のドアの施錠及び解錠の指令を携帯電子キーの無線信号により行うキーレスエントリシステムが広く普及している。このキーレスエントリシステムは、携帯電子キーの操作スイッチの僅かな操作だけでドアの施錠及び解錠が可能なので、持っている荷物が多くて両手をふさがれているときや夜間などに非常に便利なものである。キーレスエントリシステムは、無線信号として、一般に、電波や赤外線が用いられており、それらを利用した便利な機能とセキュリティに関するものがこれまでに開発されている。
【0003】
無線信号に電波を用いた電波式のキーレスエントリシステムは、電波の指向性が弱いので、障害物の影響を余り受けない。そのため、車両の位置を気に留めることなく容易にドア鍵の施錠及び解錠を行うことができる。また、ハザードランプ等によるアンサーバックにより、遠方からも容易に自分の車両を見つけることができる。この電波式のキーレスエントリシステムは、車両と携帯電子キーの間で電波により相互に通信を行うことで、携帯電子キーの操作スイッチの操作さえ必要とせず、例えば、車両から離れるだけで施錠、車両に近づくだけで解錠が可能なように高機能化(スマート化)したものもある。このように電波式のキーレスエントリシステムは利便性を高くすることができる。
【0004】
しかし、その反面、電波の指向性が弱いために、セキュリティについて解決すべきいろいろな問題点がある。例えば、一つは、電波が陰で受信され情報がコピーされ易いことである。また、ドア毎の施錠及び解錠が難しいことである。また、携帯電子キーの操作スイッチの予期せぬ押圧によってドアが施錠され携帯電子キーが車中に閉じ込められることが、起こり得ることである。また、紛失等により携帯電子キーが悪意の有る第三者に渡った場合、その第三者はアンサーバックにより容易に携帯電子キーが使える車両を見つけられることなどである。
【0005】
これらの解決策として、これまで多くの提案がなされている。例えば、特許文献1には、指紋データなどで携帯電子キーの使用者が正当か否かを認証するものが記載されている。このようにすると、上記の問題点の幾つかは解決すると思われるが、指紋データなどを適正に識別するための構造等のシステムが複雑になる。
【0006】
これに対し、無線信号に赤外線を用いた赤外線式のキーレスエントリシステムは、赤外線の指向性が電波に比べて強いため、電波式よりも障害物の影響を受け易い。このことを利用して、セキュリティについての上記の問題点の幾つかを解決しようとする提案がなされている。
【0007】
例えば、特許文献2には、赤外線の投光の放射角を狭角とし、車両には受信素子と発信素子がマウントされたユニットセクションが隔壁を介して複数設けられたものが記載されている。このようにすると、所望のドアのみの施錠及び解錠が可能となる、としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2003−178032号公報
【特許文献2】特開2008−248567号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、赤外線の指向性は電波に比べて強いにしても、特許文献2において所望のユニットセクションのみに確実に赤外線を照射できるようにするには、隔壁などの構造が複雑になると考えられる。構造の複雑さは、特許文献1でも同様であるが、システムの動作の不安定性や高価格化を招来し易い。
【0010】
本発明は係る事由に鑑みてなされたものであり、その目的は、構造を複雑にすることなく、セキュリティの信頼性が高められるキーレスエントリシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、請求項1に記載のキーレスエントリシステムは、操作スイッチと、該操作スイッチの操作に応じて、指令データを重畳した可視光線の信号波を放射する発信素子と、を有する携帯電子キーと、該発信素子からの前記信号波を受信可能な受信素子を有し、前記指令データを重畳した前記信号波を該受信素子が受信したときドアの施錠又は解錠を行う車両と、を備えてなることを特徴とする。
【0012】
請求項2に記載のキーレスエントリシステムは、請求項1に記載のキーレスエントリシステムにおいて、前記発信素子は、施錠用の前記操作スイッチが操作されて施錠の指令データを重畳しているときと、解錠用の前記操作スイッチが操作されて解錠の指令データを重畳しているときと、では、異なる色の可視光線の前記信号波を放射することを特徴とする。
【0013】
請求項3に記載のキーレスエントリシステムは、請求項1又は2に記載のキーレスエントリシステムにおいて、前記携帯電子キーは、その一端から延出形成された機械式鍵部を有しており、前記信号波が該機械式鍵部の延出方向に放射されることを特徴とする。
【0014】
請求項4に記載のキーレスエントリシステムは、請求項1〜3のいずれか1項に記載のキーレスエントリシステムにおいて、前記携帯電子キーは、該携帯電子キーから外部への前記信号波の放射範囲が変わるように制御可能であることを特徴とする。
【0015】
請求項5に記載のキーレスエントリシステムは、請求項1〜4のいずれか1項に記載のキーレスエントリシステムにおいて、前記受信素子は、前記車両のドアの外側面に受信面が現れるように設けられ、又は窓ガラスの内側で受信面がその窓ガラスに向かうように設けられていることを特徴とする。
【0016】
請求項6に記載のキーレスエントリシステムは、請求項1〜5のいずれか1項に記載のキーレスエントリシステムにおいて、前記車両は、第2の信号波を発信する第2の発信素子を有しており、前記携帯電子キーは、前記第2の信号波を受信可能な第2の受信素子を有しており、前記携帯電子キーは、チャレンジデータの要求の前記信号波を前記発信素子から放射し、前記車両は、該チャレンジデータの要求の前記信号波を前記受信素子が受信したとき、チャレンジデータを重畳した前記第2の信号波を前記第2の発信素子から放射し、前記携帯電子キーは、該チャレンジデータを重畳した前記第2の信号波を前記第2の受信素子が受信したとき、該チャレンジデータに応じたレスポンスデータ付きの前記指令データを重畳した前記信号波を前記発信素子から放射することを特徴とする。
【0017】
請求項7に記載のキーレスエントリシステムは、請求項6に記載のキーレスエントリシステムにおいて、前記チャレンジデータの要求の前記信号波は、搬送波だけの信号波であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、車両のドアの施錠又は解錠を行うのに、携帯電子キーの発信素子から発信される無線信号として可視光線の信号波を用いるので、構造を複雑にすることなく、セキュリティの信頼性が高められるキーレスエントリシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施形態に係るキーレスエントリシステム1を説明するための模式図である。
【図2】同上のキーレスエントリシステム1の携帯電子キー3の構成図である。
【図3】同上のキーレスエントリシステム1の携帯電子キー3の回路ブロック図である。
【図4】同上のキーレスエントリシステム1の携帯電子キー3の各部の信号波を示す波形図である。
【図5】同上のキーレスエントリシステム1の動作フローを示すフロー図である。
【図6】同上のキーレスエントリシステム1の携帯電子キー3の異なる構造のものの構成図である。
【図7】同上のキーレスエントリシステム1の携帯電子キー3の更に別の異なる構造のものの構成図である。
【図8】同上のキーレスエントリシステム1の車両2の受信回路20の回路ブロック図である。
【図9】同上のキーレスエントリシステム1’を説明するための部分模式図である。
【図10】同上のキーレスエントリシステム1’の携帯電子キー3’の回路ブロック図である。
【図11】同上のキーレスエントリシステム1’の動作フローを示すフロー図である。
【図12】同上のキーレスエントリシステム1’の車両2の受信回路20’の回路ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための好ましい形態について図面を参照しながら説明する。本発明の実施形態に係るキーレスエントリシステム1は、図1に示すように、車両2のドアの施錠及び解錠の指令を携帯電子キー3からの無線信号である信号波Sにより行うものである。そして、注目すべきはこの信号波Sが可視光線であるということである。
【0021】
携帯電子キー3は、図2に示すように、施錠用又は解錠用の操作スイッチ(本実施形態では2個のボタンスイッチ)31、31と、この操作スイッチ31、31の押下げの操作に応じて、指令データを重畳した可視光線の信号波Sを放射する発信素子32を有している。信号波Sは、携帯電子キー3の一端3aから所定の放射角度で放射される。この放射角度は、レンズを用いることによって調整も可能である。なお、本実施形態では操作スイッチの数を施錠用と解錠用の2個とし、施錠の指令データ又は解錠の指令データを重畳した信号波Sを放射しているが、施錠用と解錠用とを兼用して操作スイッチ31の数を1個にすることは容易に可能である。この場合、携帯電子キー3は、1種類の指令データを重畳した信号波Sを放射し、車両2の後述する受信回路20は、車両2の現在のドアの状態に応じて、施錠又は解錠を判断することになる。また、携帯電子キー3の外観は適宜変更可能である。
【0022】
携帯電子キー3は、その内部に電子回路を有しており、それらは、図3に示すように、施錠又は解錠の指令データを操作スイッチ31、31の押下げの操作に応じて生成するデータ生成回路33と、所定の周波数(例えば、10〜100kHz)のパルスpの列(搬送波)を生成する搬送波生成回路34と、データ生成回路33からの指令データを搬送波生成回路34の搬送波に重畳させた信号波を生成する信号波生成回路35と、によって構成することができる。信号波生成回路35で生成された信号波は、発信素子32に入力されて可視光線の信号波Sに変換される。
【0023】
信号波生成回路35は、指令データを搬送波で変調することによって、指令データを搬送波に重畳させる。その変調方式は、パルス位置変調(PPM)、反転パルス位置変調(IPPM)、又はパルス幅変調(PWM)などの方式が可能である。すなわち、信号波生成回路35の信号波は、搬送波が存在する期間(搬送波有期間)Tの位置や幅の違いなどによって、指令データのビットの2値のどちらかが表されることになる。図4は、例として、パルス位置変調の場合におけるビットの変化を示すものであって、(a)は変調前、(b)は変調後、(c)は可視光線の信号波Sに変換後のものを示している。
【0024】
携帯電子キー3は、図5に示すフロー図の左側のフローに従って動作可能である。すなわち、2個の操作スイッチ31、31をいずれかが押下げ操作されると、その操作が有ったことを検出し(S301)、操作されたのが施錠用の操作スイッチ31であるか否かを判別する(S302)。そして、操作されたのが施錠用の操作スイッチ31であれば施錠の指令データ(S303)を、そうでなければ解錠の指令データ(S304)をデータ生成回路33により生成する。そして、発信素子32からその指令データを重畳した信号波Sを放射する(S305)。
【0025】
このようにして、携帯電子キー3は、発信素子32から、指令データを重畳した信号波Sを操作スイッチ31、31の操作に応じて放射する。なお、上記のように操作スイッチ31の数を1個にした場合は、図5におけるステップS302〜S304は、1種類の指令データ生成に置き換えられる。
【0026】
発信素子32は、価格や性能の面から所定の色で発光するLEDを用いるのが好ましい。発光の色については限定されることはないが、赤、橙、黄などの単色を用いれば、自然光との差異が出やすいので、車両2の後述の受信回路20において、受信素子21の受信面21aの外側にカラーフィルタなどを設けることにより、ノイズの混入が少なくなる。
【0027】
発信素子32は、適度な光度が得られれば1つでも構わないが2以上設けることも可能である。その場合、例えば、1つの発信素子32に対して並列に、それとは異なる色の可視光線の信号波Sを放射する別の発信素子32を設けるようにして、施錠用の操作スイッチ31が操作されて施錠の指令データを重畳しているときと、解錠用の操作スイッチ31が操作されて解錠の指令データを重畳しているときと、では、異なる色の可視光線の信号波Sを放射するようにすることも可能である。このようにすると、施錠か解錠のどちらを指令しているのか確認しながら、携帯電子キー3を操作することができる。
【0028】
また、携帯電子キー3の構造は、様々なものが可能である。例えば、携帯電子キー3は、図6に示すように、その一端3aから延出形成された機械式鍵部3Aを有したものとし、かつ、発信素子32からの信号波Sが機械式鍵部3Aの延出方向に放射されるようにする。このようにすると、機械式鍵部3Aをエンジンキー孔に差し込んでエンジンを始動する場合などに、機械式鍵部3Aを照明することが可能になる。なお、照明に機械式鍵部3Aの影ができ難くするように、適宜、発信素子32の位置を変更したり個数を増やしたりすることも可能である。また、図2で示した機械式鍵部を有さない携帯電子キー3の場合でも、発信素子32からの可視光線の信号波Sを照明に用いることは可能である。
【0029】
更に、携帯電子キー3から外部への信号波Sの放射範囲が変わるように制御することも可能である。例えば、図7に示すように、同じ性能の発信素子32を2個設けるとともに、一方の発信素子32に集光レンズ3B、他方の発信素子32に拡散レンズ3Cをそれぞれ組み合わせる。これにより、集光レンズ3Bを通して一方の発信素子32からのものを比較的狭い放射角度にした信号波S1を放射し、拡散レンズ3Cを通して他方の発信素子32からのものを比較的広い放射角度にした信号波S2を放射できるようにする。そして、例えば、スイッチ3Dの状態に応じて2個の発信素子32、32の内どちらかを発信させることにより、信号波Sの放射範囲を制御することができる。所要の放射角度によっては、集光レンズ3B又は拡散レンズ3Cのいずれかを省略することもできる。その他、信号波Sの放射範囲を制御する方法は、様々なものが適用可能である。信号波Sの放射範囲を制御することにより車両2への照射範囲が変わり、例えば、後述の受信回路20の受信素子21を複数設けた場合に信号波Sを1個所だけに照射したり2個所以上に照射したりすることができる。
【0030】
車両2は、図1に示すように、携帯電子キー3の発信素子32からの信号波Sを受信可能な受信回路20、20、・・・を有している。受信回路20は、車両2の仕様に応じて1個又は複数個設けられる。
【0031】
受信回路20は、図8に示すように、入力した信号波Sを電気信号に変換する受信素子21を有する。また、受信回路20は、受信素子21の後続回路として、受信素子21からの電気信号を増幅する増幅回路22と、その出力信号をフィルタリングして信号波Sの搬送波近傍の周波数成分を取り出すバンドパスフィルタ23と、その出力信号を所定の閾値と比較して2値に変換するコンパレータ24と、その出力信号から信号波Sに重畳した施錠の指令データや解錠の指令データを判別してドアの施錠又は解錠の制御を行う錠制御回路25と、を含んで構成することができる。これらの受信素子21やその後続回路の詳細な構成は、それぞれの既知の技術を適用して実現可能である。
【0032】
受信回路20は、図5に示すフロー図の右側に示すフローに従って動作可能である。すなわち、携帯電子キー3から信号波Sを受信すると、それに重畳したデータを変調前の状態に戻し(S201)、データが施錠の指令データ又は解錠の指令データかどうかを錠制御回路25により判別する(S202)。そして、施錠の指令データならばドアの施錠を行い(S203)、解錠の指令データならばドアの解錠を行い(S204)、どちらでもなければそのまま終了する。
【0033】
このようにして、車両2の受信回路20は、指令データを重畳した信号波Sを受信回路20が受信したときドアの施錠又は解錠を行う。なお、上記のように携帯電子キー3の操作スイッチ31の数を1個にして1種類の指令データを重畳した信号波Sを送信するようにした場合は、図5におけるステップS202では、錠制御回路25は車両2の現在のドアの状態を判別することになる。
【0034】
この受信回路20は、様々な場所に設けることが可能である。とりわけ、受信回路20は、車両2のドアの外側面に受信素子21の受信面21aが現れるように設けたり、窓ガラス(サイドガラス、フロントガラス、リアガラスなど)の内側で受信素子21の受信面21aがその窓ガラスに向かうように設けたりすることが好ましい(図1参照)。このようにすると、車両2の外方からの信号波Sだけを入力するので、車中から予期せぬ操作スイッチ31の押圧によってドアが施錠され携帯電子キー3が車中に閉じ込められることを防ぐことができる。
【0035】
このような車両2と携帯電子キー3を備えてなるキーレスエントリシステム1において、可視光線の信号波Sは指向性が強く、かつ、目に見えるため、携帯電子キー3から指令データを重畳した信号波Sが車両2の受信素子21に対して適正に放射されていることを視認できる。このようにすることで、陰で指令データ(特に解錠の指令データ)が受信されコピーされることもない。なお、受信素子21の近傍に、受信素子21が適正に受信していることを示す発光素子を設けてもよい。
【0036】
また、可視光線の信号波Sの指向性が強いために、幾つかの(複数の)ドア毎(例えば、運転席ドア、助手席ドア、バックドアなどのドア毎)に、そのドアの外側面に受信素子21の受信面21aが現れるように設けたり(図1参照)、そのドアの窓ガラスの内側で受信素子21の受信面21aがその窓ガラスに向かうように設けたりして、それらの一部の(場合によっては全部の)ドア毎に個別に施錠及び解錠を行えるような仕様にすることも容易になる。また、全てのドアについて施錠及び解錠を行えるような受信回路20を、いずれかの場所(例えば、フロントガラスの上部近傍やリアガラスの上部近傍)に設けることも可能である(図1参照)。また、信号波Sは目に見えるため、選択的に、2個の受信回路20、20の受信素子21、21に同時に照射したりそれぞれを個別に照射したりできるようにすることも可能である。
【0037】
また、紛失等により携帯電子キー3が悪意の有る第三者に渡った場合、その第三者は車両2を探すために、多くの他の車両に対して試すことになるが、その動作は傍目には明らかに不審なものと映る。
【0038】
このように、キーレスエントリシステム1は、構造を複雑にすることなく、セキュリティの信頼性が高められる。なお、セキュリティの信頼性とのトレードオフとして、遠方から車両2を見つけるというような電波式で可能であった付加機能は、そのままでは容易ではないが、その機能を有するカードを別に設けるなど様々な対処が可能である。
【0039】
以上の可視光線の信号波Sを用いたキーレスエントリシステム1は、電波式又は赤外線式のシステムをミックスすることも可能である。すなわち、電波式とのミックスについては、携帯電子キー3と車両2の受信回路20がそれぞれ更にアンテナを有するようにして、施錠又は解錠の指令データのいずれかを可視光線の信号波Sに重畳させ、その他を電波の信号波に重畳させることも可能である。例えば、解錠の指令データを信号波Sに重畳させ、施錠の指令データを電波の信号波に重畳させた場合、陰で解錠の指令データが受信されコピーされることもなく、ドア毎に解錠を行うことも容易にでき、携帯電子キー3が悪意の有る第三者に渡った場合の盗難も抑制することができる。また、施錠用の操作スイッチ31を操作することで、遠方から車両2を施錠したり見つけたりすることもできる。他方、予期せぬ操作スイッチ31の押圧によってドアが施錠され携帯電子キー3が車中に閉じ込められることに対しては、車中からは施錠できなくしたり予備の解錠方式を設けたりすることになる。
【0040】
また、例えば、施錠の指令データを可視光線の信号波Sに重畳させ、解錠の指令データを電波の信号波に重畳させた場合、予期せぬ操作スイッチ31の押圧によってドアが施錠され携帯電子キー3が車中に閉じ込められることを防ぐことができるが、他方、陰で解錠の指令データが受信されコピーされることやドア毎の解錠や携帯電子キー3が悪意の有る第三者に渡った場合の盗難に対しては他の対策が必要になる。
【0041】
同様に、赤外線式とのミックスについては、携帯電子キー3が赤外線の発信素子を、車両2の受信回路20が赤外線の受信素子を有するようにして、施錠又は解錠の指令データのいずれかを可視光線の信号波Sに重畳させ、その他を赤外線の信号波に重畳させることも可能である。この可視光線と赤外線の2つを用いた場合の効果は、可視光線と電波の2つを用いた上記の場合とほぼ同様である。
【0042】
次に、キーレスエントリシステム1のセキュリティを更に向上させたキーレスエントリシステム1’について、図9〜12に基づいて説明する。上述のキーレスエントリシステム1は携帯電子キー3から車両2に一方的に指令を送るものであるが、このキーレスエントリシステム1’は、図9に示すように、携帯電子キー3’と車両2の受信回路20’との間で双方向の通信を行い、チャレンジ・レスポンス型認証によって安全を確認してから、携帯電子キー3’から車両2に指令を送るものである。
【0043】
携帯電子キー3’から受信回路20’への信号波Sは上記と同様に可視光線であるが、受信回路20’から携帯電子キー3’への送信には、可視光線、赤外線、及び電波などを含めた電磁波或いは音波や超音波のいずれかによる第2の信号波Tを用いることが可能である。特に、第2の信号波Tに赤外線を用いると、受信回路20’における後述の第2の送信素子29の送信面29aから所要の角度範囲に有る携帯電子キー3’に送信できて、しかも、周りの状況に影響せず、また、送信範囲が広すぎないようにするのが容易である。
【0044】
携帯電子キー3’の電子回路は、図10に示すように、図3を用いて説明した上述の回路に加えて、受信回路20からの第2の信号波Tを電気信号に変換する第2の受信素子36と、第2の受信素子36からの電気信号を増幅する増幅回路37と、その出力信号をフィルタリングして第2の信号波Tの後述の搬送波近傍の周波数成分だけを取り出すバンドパスフィルタ38と、その出力信号を所定の閾値と比較して2値に変換するコンパレータ39と、その出力信号から第2の信号波Tに重畳したチャレンジデータを抽出して、前述のデータ生成回路33に出力するチャレンジデータ抽出回路40と、によって構成することができる。これらの第2の受信素子36やその後続回路の詳細な構成は、それぞれの既知の技術を適用して実現可能である。
【0045】
携帯電子キー3’は、図11に示すフロー図の左側に示すフローに従って動作可能である。すなわち、2個の操作スイッチ31、31のいずれかを押下げ操作すると、その操作が有ったことを検出し(S301)、チャレンジデータを受信回路20’に対して要求する信号波Sを発信素子32から放射する(S310)。その後、受信回路20’から送信されたチャレンジデータが重畳した第2の信号波Tを受信し、チャレンジデータ抽出回路40でチャレンジデータを抽出する(S311)。そのチャレンジデータに応じて、データ生成回路33は、操作されたのが施錠用の操作スイッチ31ならば、レスポンスデータ付きの施錠の指令データ(S303’)を、解錠用の操作スイッチ31ならば、レスポンスデータ付きの解錠の指令データ(S304’)を生成する。そして、それらのデータが重畳した信号波Sを発信素子32から放射する(S305)。なお、一般に、チャレンジデータは乱数であり、レスポンスデータはその乱数に応じて予め決められたデータである。
【0046】
ここで、携帯電子キー3’がチャレンジデータを受信回路20’に対して要求するとき、搬送波(上記の所定の周波数のパルスpの列)だけの信号波Sを送信してチャレンジデータの要求としてもよい。こうすることで、チャレンジ・レスポンス型認証に必要な時間を短縮することができる。
【0047】
受信回路20’は、図12に示すように、図8を用いて説明した上述の回路に加えて、チャレンジデータの要求を錠制御回路25が判別したときにチャレンジデータを生成するチャレンジデータ生成回路26と、所定の周波数の搬送波を生成する搬送波生成回路27と、チャレンジデータを搬送波生成回路27の搬送波に重畳させた信号波を生成する信号波生成回路28と、その信号波に応じて第2の信号波Tを送信する第2の発信素子29と、によって構成することができる。第2の発信素子29の送信面29aは、受信素子21の受信面21aの近傍に配置される。
【0048】
受信回路20’は、図11に示すフロー図の右側に示すフローに従って動作可能である。すなわち、携帯電子キー3’からチャレンジデータの要求の信号波Sを受信する(S211)と、チャレンジデータをチャレンジデータ生成回路26で生成し(S212)、それを搬送波に重畳させた第2の信号波Tを第2の発信素子29から送信する。そして、その後、データが重畳された可視光線の信号波Sを受信した後は、図5を用いて説明した上述のフローと同様に動作する。
【0049】
以上、本発明の実施形態に係るキーレスエントリシステムについて説明したが、本発明は、実施形態に記載したものに限られることなく、特許請求の範囲に記載した事項の範囲内でのさまざまな設計変更が可能である。例えば、操作スイッチは、ボタンスイッチに限ることはなく、回動型、感圧型、静電容量型など種々のタイプが可能である。
【符号の説明】
【0050】
1 キーレスエントリシステム
2 車両
20 車両の受信回路
21 受信素子
21a 受信素子の受信面
3 携帯電子キー
31 操作スイッチ
32 発信素子
3A 機械式鍵部
S 可視光線の信号波
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のキーレスエントリシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
今日、車両のドアの施錠及び解錠の指令を携帯電子キーの無線信号により行うキーレスエントリシステムが広く普及している。このキーレスエントリシステムは、携帯電子キーの操作スイッチの僅かな操作だけでドアの施錠及び解錠が可能なので、持っている荷物が多くて両手をふさがれているときや夜間などに非常に便利なものである。キーレスエントリシステムは、無線信号として、一般に、電波や赤外線が用いられており、それらを利用した便利な機能とセキュリティに関するものがこれまでに開発されている。
【0003】
無線信号に電波を用いた電波式のキーレスエントリシステムは、電波の指向性が弱いので、障害物の影響を余り受けない。そのため、車両の位置を気に留めることなく容易にドア鍵の施錠及び解錠を行うことができる。また、ハザードランプ等によるアンサーバックにより、遠方からも容易に自分の車両を見つけることができる。この電波式のキーレスエントリシステムは、車両と携帯電子キーの間で電波により相互に通信を行うことで、携帯電子キーの操作スイッチの操作さえ必要とせず、例えば、車両から離れるだけで施錠、車両に近づくだけで解錠が可能なように高機能化(スマート化)したものもある。このように電波式のキーレスエントリシステムは利便性を高くすることができる。
【0004】
しかし、その反面、電波の指向性が弱いために、セキュリティについて解決すべきいろいろな問題点がある。例えば、一つは、電波が陰で受信され情報がコピーされ易いことである。また、ドア毎の施錠及び解錠が難しいことである。また、携帯電子キーの操作スイッチの予期せぬ押圧によってドアが施錠され携帯電子キーが車中に閉じ込められることが、起こり得ることである。また、紛失等により携帯電子キーが悪意の有る第三者に渡った場合、その第三者はアンサーバックにより容易に携帯電子キーが使える車両を見つけられることなどである。
【0005】
これらの解決策として、これまで多くの提案がなされている。例えば、特許文献1には、指紋データなどで携帯電子キーの使用者が正当か否かを認証するものが記載されている。このようにすると、上記の問題点の幾つかは解決すると思われるが、指紋データなどを適正に識別するための構造等のシステムが複雑になる。
【0006】
これに対し、無線信号に赤外線を用いた赤外線式のキーレスエントリシステムは、赤外線の指向性が電波に比べて強いため、電波式よりも障害物の影響を受け易い。このことを利用して、セキュリティについての上記の問題点の幾つかを解決しようとする提案がなされている。
【0007】
例えば、特許文献2には、赤外線の投光の放射角を狭角とし、車両には受信素子と発信素子がマウントされたユニットセクションが隔壁を介して複数設けられたものが記載されている。このようにすると、所望のドアのみの施錠及び解錠が可能となる、としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2003−178032号公報
【特許文献2】特開2008−248567号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、赤外線の指向性は電波に比べて強いにしても、特許文献2において所望のユニットセクションのみに確実に赤外線を照射できるようにするには、隔壁などの構造が複雑になると考えられる。構造の複雑さは、特許文献1でも同様であるが、システムの動作の不安定性や高価格化を招来し易い。
【0010】
本発明は係る事由に鑑みてなされたものであり、その目的は、構造を複雑にすることなく、セキュリティの信頼性が高められるキーレスエントリシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、請求項1に記載のキーレスエントリシステムは、操作スイッチと、該操作スイッチの操作に応じて、指令データを重畳した可視光線の信号波を放射する発信素子と、を有する携帯電子キーと、該発信素子からの前記信号波を受信可能な受信素子を有し、前記指令データを重畳した前記信号波を該受信素子が受信したときドアの施錠又は解錠を行う車両と、を備えてなることを特徴とする。
【0012】
請求項2に記載のキーレスエントリシステムは、請求項1に記載のキーレスエントリシステムにおいて、前記発信素子は、施錠用の前記操作スイッチが操作されて施錠の指令データを重畳しているときと、解錠用の前記操作スイッチが操作されて解錠の指令データを重畳しているときと、では、異なる色の可視光線の前記信号波を放射することを特徴とする。
【0013】
請求項3に記載のキーレスエントリシステムは、請求項1又は2に記載のキーレスエントリシステムにおいて、前記携帯電子キーは、その一端から延出形成された機械式鍵部を有しており、前記信号波が該機械式鍵部の延出方向に放射されることを特徴とする。
【0014】
請求項4に記載のキーレスエントリシステムは、請求項1〜3のいずれか1項に記載のキーレスエントリシステムにおいて、前記携帯電子キーは、該携帯電子キーから外部への前記信号波の放射範囲が変わるように制御可能であることを特徴とする。
【0015】
請求項5に記載のキーレスエントリシステムは、請求項1〜4のいずれか1項に記載のキーレスエントリシステムにおいて、前記受信素子は、前記車両のドアの外側面に受信面が現れるように設けられ、又は窓ガラスの内側で受信面がその窓ガラスに向かうように設けられていることを特徴とする。
【0016】
請求項6に記載のキーレスエントリシステムは、請求項1〜5のいずれか1項に記載のキーレスエントリシステムにおいて、前記車両は、第2の信号波を発信する第2の発信素子を有しており、前記携帯電子キーは、前記第2の信号波を受信可能な第2の受信素子を有しており、前記携帯電子キーは、チャレンジデータの要求の前記信号波を前記発信素子から放射し、前記車両は、該チャレンジデータの要求の前記信号波を前記受信素子が受信したとき、チャレンジデータを重畳した前記第2の信号波を前記第2の発信素子から放射し、前記携帯電子キーは、該チャレンジデータを重畳した前記第2の信号波を前記第2の受信素子が受信したとき、該チャレンジデータに応じたレスポンスデータ付きの前記指令データを重畳した前記信号波を前記発信素子から放射することを特徴とする。
【0017】
請求項7に記載のキーレスエントリシステムは、請求項6に記載のキーレスエントリシステムにおいて、前記チャレンジデータの要求の前記信号波は、搬送波だけの信号波であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、車両のドアの施錠又は解錠を行うのに、携帯電子キーの発信素子から発信される無線信号として可視光線の信号波を用いるので、構造を複雑にすることなく、セキュリティの信頼性が高められるキーレスエントリシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施形態に係るキーレスエントリシステム1を説明するための模式図である。
【図2】同上のキーレスエントリシステム1の携帯電子キー3の構成図である。
【図3】同上のキーレスエントリシステム1の携帯電子キー3の回路ブロック図である。
【図4】同上のキーレスエントリシステム1の携帯電子キー3の各部の信号波を示す波形図である。
【図5】同上のキーレスエントリシステム1の動作フローを示すフロー図である。
【図6】同上のキーレスエントリシステム1の携帯電子キー3の異なる構造のものの構成図である。
【図7】同上のキーレスエントリシステム1の携帯電子キー3の更に別の異なる構造のものの構成図である。
【図8】同上のキーレスエントリシステム1の車両2の受信回路20の回路ブロック図である。
【図9】同上のキーレスエントリシステム1’を説明するための部分模式図である。
【図10】同上のキーレスエントリシステム1’の携帯電子キー3’の回路ブロック図である。
【図11】同上のキーレスエントリシステム1’の動作フローを示すフロー図である。
【図12】同上のキーレスエントリシステム1’の車両2の受信回路20’の回路ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための好ましい形態について図面を参照しながら説明する。本発明の実施形態に係るキーレスエントリシステム1は、図1に示すように、車両2のドアの施錠及び解錠の指令を携帯電子キー3からの無線信号である信号波Sにより行うものである。そして、注目すべきはこの信号波Sが可視光線であるということである。
【0021】
携帯電子キー3は、図2に示すように、施錠用又は解錠用の操作スイッチ(本実施形態では2個のボタンスイッチ)31、31と、この操作スイッチ31、31の押下げの操作に応じて、指令データを重畳した可視光線の信号波Sを放射する発信素子32を有している。信号波Sは、携帯電子キー3の一端3aから所定の放射角度で放射される。この放射角度は、レンズを用いることによって調整も可能である。なお、本実施形態では操作スイッチの数を施錠用と解錠用の2個とし、施錠の指令データ又は解錠の指令データを重畳した信号波Sを放射しているが、施錠用と解錠用とを兼用して操作スイッチ31の数を1個にすることは容易に可能である。この場合、携帯電子キー3は、1種類の指令データを重畳した信号波Sを放射し、車両2の後述する受信回路20は、車両2の現在のドアの状態に応じて、施錠又は解錠を判断することになる。また、携帯電子キー3の外観は適宜変更可能である。
【0022】
携帯電子キー3は、その内部に電子回路を有しており、それらは、図3に示すように、施錠又は解錠の指令データを操作スイッチ31、31の押下げの操作に応じて生成するデータ生成回路33と、所定の周波数(例えば、10〜100kHz)のパルスpの列(搬送波)を生成する搬送波生成回路34と、データ生成回路33からの指令データを搬送波生成回路34の搬送波に重畳させた信号波を生成する信号波生成回路35と、によって構成することができる。信号波生成回路35で生成された信号波は、発信素子32に入力されて可視光線の信号波Sに変換される。
【0023】
信号波生成回路35は、指令データを搬送波で変調することによって、指令データを搬送波に重畳させる。その変調方式は、パルス位置変調(PPM)、反転パルス位置変調(IPPM)、又はパルス幅変調(PWM)などの方式が可能である。すなわち、信号波生成回路35の信号波は、搬送波が存在する期間(搬送波有期間)Tの位置や幅の違いなどによって、指令データのビットの2値のどちらかが表されることになる。図4は、例として、パルス位置変調の場合におけるビットの変化を示すものであって、(a)は変調前、(b)は変調後、(c)は可視光線の信号波Sに変換後のものを示している。
【0024】
携帯電子キー3は、図5に示すフロー図の左側のフローに従って動作可能である。すなわち、2個の操作スイッチ31、31をいずれかが押下げ操作されると、その操作が有ったことを検出し(S301)、操作されたのが施錠用の操作スイッチ31であるか否かを判別する(S302)。そして、操作されたのが施錠用の操作スイッチ31であれば施錠の指令データ(S303)を、そうでなければ解錠の指令データ(S304)をデータ生成回路33により生成する。そして、発信素子32からその指令データを重畳した信号波Sを放射する(S305)。
【0025】
このようにして、携帯電子キー3は、発信素子32から、指令データを重畳した信号波Sを操作スイッチ31、31の操作に応じて放射する。なお、上記のように操作スイッチ31の数を1個にした場合は、図5におけるステップS302〜S304は、1種類の指令データ生成に置き換えられる。
【0026】
発信素子32は、価格や性能の面から所定の色で発光するLEDを用いるのが好ましい。発光の色については限定されることはないが、赤、橙、黄などの単色を用いれば、自然光との差異が出やすいので、車両2の後述の受信回路20において、受信素子21の受信面21aの外側にカラーフィルタなどを設けることにより、ノイズの混入が少なくなる。
【0027】
発信素子32は、適度な光度が得られれば1つでも構わないが2以上設けることも可能である。その場合、例えば、1つの発信素子32に対して並列に、それとは異なる色の可視光線の信号波Sを放射する別の発信素子32を設けるようにして、施錠用の操作スイッチ31が操作されて施錠の指令データを重畳しているときと、解錠用の操作スイッチ31が操作されて解錠の指令データを重畳しているときと、では、異なる色の可視光線の信号波Sを放射するようにすることも可能である。このようにすると、施錠か解錠のどちらを指令しているのか確認しながら、携帯電子キー3を操作することができる。
【0028】
また、携帯電子キー3の構造は、様々なものが可能である。例えば、携帯電子キー3は、図6に示すように、その一端3aから延出形成された機械式鍵部3Aを有したものとし、かつ、発信素子32からの信号波Sが機械式鍵部3Aの延出方向に放射されるようにする。このようにすると、機械式鍵部3Aをエンジンキー孔に差し込んでエンジンを始動する場合などに、機械式鍵部3Aを照明することが可能になる。なお、照明に機械式鍵部3Aの影ができ難くするように、適宜、発信素子32の位置を変更したり個数を増やしたりすることも可能である。また、図2で示した機械式鍵部を有さない携帯電子キー3の場合でも、発信素子32からの可視光線の信号波Sを照明に用いることは可能である。
【0029】
更に、携帯電子キー3から外部への信号波Sの放射範囲が変わるように制御することも可能である。例えば、図7に示すように、同じ性能の発信素子32を2個設けるとともに、一方の発信素子32に集光レンズ3B、他方の発信素子32に拡散レンズ3Cをそれぞれ組み合わせる。これにより、集光レンズ3Bを通して一方の発信素子32からのものを比較的狭い放射角度にした信号波S1を放射し、拡散レンズ3Cを通して他方の発信素子32からのものを比較的広い放射角度にした信号波S2を放射できるようにする。そして、例えば、スイッチ3Dの状態に応じて2個の発信素子32、32の内どちらかを発信させることにより、信号波Sの放射範囲を制御することができる。所要の放射角度によっては、集光レンズ3B又は拡散レンズ3Cのいずれかを省略することもできる。その他、信号波Sの放射範囲を制御する方法は、様々なものが適用可能である。信号波Sの放射範囲を制御することにより車両2への照射範囲が変わり、例えば、後述の受信回路20の受信素子21を複数設けた場合に信号波Sを1個所だけに照射したり2個所以上に照射したりすることができる。
【0030】
車両2は、図1に示すように、携帯電子キー3の発信素子32からの信号波Sを受信可能な受信回路20、20、・・・を有している。受信回路20は、車両2の仕様に応じて1個又は複数個設けられる。
【0031】
受信回路20は、図8に示すように、入力した信号波Sを電気信号に変換する受信素子21を有する。また、受信回路20は、受信素子21の後続回路として、受信素子21からの電気信号を増幅する増幅回路22と、その出力信号をフィルタリングして信号波Sの搬送波近傍の周波数成分を取り出すバンドパスフィルタ23と、その出力信号を所定の閾値と比較して2値に変換するコンパレータ24と、その出力信号から信号波Sに重畳した施錠の指令データや解錠の指令データを判別してドアの施錠又は解錠の制御を行う錠制御回路25と、を含んで構成することができる。これらの受信素子21やその後続回路の詳細な構成は、それぞれの既知の技術を適用して実現可能である。
【0032】
受信回路20は、図5に示すフロー図の右側に示すフローに従って動作可能である。すなわち、携帯電子キー3から信号波Sを受信すると、それに重畳したデータを変調前の状態に戻し(S201)、データが施錠の指令データ又は解錠の指令データかどうかを錠制御回路25により判別する(S202)。そして、施錠の指令データならばドアの施錠を行い(S203)、解錠の指令データならばドアの解錠を行い(S204)、どちらでもなければそのまま終了する。
【0033】
このようにして、車両2の受信回路20は、指令データを重畳した信号波Sを受信回路20が受信したときドアの施錠又は解錠を行う。なお、上記のように携帯電子キー3の操作スイッチ31の数を1個にして1種類の指令データを重畳した信号波Sを送信するようにした場合は、図5におけるステップS202では、錠制御回路25は車両2の現在のドアの状態を判別することになる。
【0034】
この受信回路20は、様々な場所に設けることが可能である。とりわけ、受信回路20は、車両2のドアの外側面に受信素子21の受信面21aが現れるように設けたり、窓ガラス(サイドガラス、フロントガラス、リアガラスなど)の内側で受信素子21の受信面21aがその窓ガラスに向かうように設けたりすることが好ましい(図1参照)。このようにすると、車両2の外方からの信号波Sだけを入力するので、車中から予期せぬ操作スイッチ31の押圧によってドアが施錠され携帯電子キー3が車中に閉じ込められることを防ぐことができる。
【0035】
このような車両2と携帯電子キー3を備えてなるキーレスエントリシステム1において、可視光線の信号波Sは指向性が強く、かつ、目に見えるため、携帯電子キー3から指令データを重畳した信号波Sが車両2の受信素子21に対して適正に放射されていることを視認できる。このようにすることで、陰で指令データ(特に解錠の指令データ)が受信されコピーされることもない。なお、受信素子21の近傍に、受信素子21が適正に受信していることを示す発光素子を設けてもよい。
【0036】
また、可視光線の信号波Sの指向性が強いために、幾つかの(複数の)ドア毎(例えば、運転席ドア、助手席ドア、バックドアなどのドア毎)に、そのドアの外側面に受信素子21の受信面21aが現れるように設けたり(図1参照)、そのドアの窓ガラスの内側で受信素子21の受信面21aがその窓ガラスに向かうように設けたりして、それらの一部の(場合によっては全部の)ドア毎に個別に施錠及び解錠を行えるような仕様にすることも容易になる。また、全てのドアについて施錠及び解錠を行えるような受信回路20を、いずれかの場所(例えば、フロントガラスの上部近傍やリアガラスの上部近傍)に設けることも可能である(図1参照)。また、信号波Sは目に見えるため、選択的に、2個の受信回路20、20の受信素子21、21に同時に照射したりそれぞれを個別に照射したりできるようにすることも可能である。
【0037】
また、紛失等により携帯電子キー3が悪意の有る第三者に渡った場合、その第三者は車両2を探すために、多くの他の車両に対して試すことになるが、その動作は傍目には明らかに不審なものと映る。
【0038】
このように、キーレスエントリシステム1は、構造を複雑にすることなく、セキュリティの信頼性が高められる。なお、セキュリティの信頼性とのトレードオフとして、遠方から車両2を見つけるというような電波式で可能であった付加機能は、そのままでは容易ではないが、その機能を有するカードを別に設けるなど様々な対処が可能である。
【0039】
以上の可視光線の信号波Sを用いたキーレスエントリシステム1は、電波式又は赤外線式のシステムをミックスすることも可能である。すなわち、電波式とのミックスについては、携帯電子キー3と車両2の受信回路20がそれぞれ更にアンテナを有するようにして、施錠又は解錠の指令データのいずれかを可視光線の信号波Sに重畳させ、その他を電波の信号波に重畳させることも可能である。例えば、解錠の指令データを信号波Sに重畳させ、施錠の指令データを電波の信号波に重畳させた場合、陰で解錠の指令データが受信されコピーされることもなく、ドア毎に解錠を行うことも容易にでき、携帯電子キー3が悪意の有る第三者に渡った場合の盗難も抑制することができる。また、施錠用の操作スイッチ31を操作することで、遠方から車両2を施錠したり見つけたりすることもできる。他方、予期せぬ操作スイッチ31の押圧によってドアが施錠され携帯電子キー3が車中に閉じ込められることに対しては、車中からは施錠できなくしたり予備の解錠方式を設けたりすることになる。
【0040】
また、例えば、施錠の指令データを可視光線の信号波Sに重畳させ、解錠の指令データを電波の信号波に重畳させた場合、予期せぬ操作スイッチ31の押圧によってドアが施錠され携帯電子キー3が車中に閉じ込められることを防ぐことができるが、他方、陰で解錠の指令データが受信されコピーされることやドア毎の解錠や携帯電子キー3が悪意の有る第三者に渡った場合の盗難に対しては他の対策が必要になる。
【0041】
同様に、赤外線式とのミックスについては、携帯電子キー3が赤外線の発信素子を、車両2の受信回路20が赤外線の受信素子を有するようにして、施錠又は解錠の指令データのいずれかを可視光線の信号波Sに重畳させ、その他を赤外線の信号波に重畳させることも可能である。この可視光線と赤外線の2つを用いた場合の効果は、可視光線と電波の2つを用いた上記の場合とほぼ同様である。
【0042】
次に、キーレスエントリシステム1のセキュリティを更に向上させたキーレスエントリシステム1’について、図9〜12に基づいて説明する。上述のキーレスエントリシステム1は携帯電子キー3から車両2に一方的に指令を送るものであるが、このキーレスエントリシステム1’は、図9に示すように、携帯電子キー3’と車両2の受信回路20’との間で双方向の通信を行い、チャレンジ・レスポンス型認証によって安全を確認してから、携帯電子キー3’から車両2に指令を送るものである。
【0043】
携帯電子キー3’から受信回路20’への信号波Sは上記と同様に可視光線であるが、受信回路20’から携帯電子キー3’への送信には、可視光線、赤外線、及び電波などを含めた電磁波或いは音波や超音波のいずれかによる第2の信号波Tを用いることが可能である。特に、第2の信号波Tに赤外線を用いると、受信回路20’における後述の第2の送信素子29の送信面29aから所要の角度範囲に有る携帯電子キー3’に送信できて、しかも、周りの状況に影響せず、また、送信範囲が広すぎないようにするのが容易である。
【0044】
携帯電子キー3’の電子回路は、図10に示すように、図3を用いて説明した上述の回路に加えて、受信回路20からの第2の信号波Tを電気信号に変換する第2の受信素子36と、第2の受信素子36からの電気信号を増幅する増幅回路37と、その出力信号をフィルタリングして第2の信号波Tの後述の搬送波近傍の周波数成分だけを取り出すバンドパスフィルタ38と、その出力信号を所定の閾値と比較して2値に変換するコンパレータ39と、その出力信号から第2の信号波Tに重畳したチャレンジデータを抽出して、前述のデータ生成回路33に出力するチャレンジデータ抽出回路40と、によって構成することができる。これらの第2の受信素子36やその後続回路の詳細な構成は、それぞれの既知の技術を適用して実現可能である。
【0045】
携帯電子キー3’は、図11に示すフロー図の左側に示すフローに従って動作可能である。すなわち、2個の操作スイッチ31、31のいずれかを押下げ操作すると、その操作が有ったことを検出し(S301)、チャレンジデータを受信回路20’に対して要求する信号波Sを発信素子32から放射する(S310)。その後、受信回路20’から送信されたチャレンジデータが重畳した第2の信号波Tを受信し、チャレンジデータ抽出回路40でチャレンジデータを抽出する(S311)。そのチャレンジデータに応じて、データ生成回路33は、操作されたのが施錠用の操作スイッチ31ならば、レスポンスデータ付きの施錠の指令データ(S303’)を、解錠用の操作スイッチ31ならば、レスポンスデータ付きの解錠の指令データ(S304’)を生成する。そして、それらのデータが重畳した信号波Sを発信素子32から放射する(S305)。なお、一般に、チャレンジデータは乱数であり、レスポンスデータはその乱数に応じて予め決められたデータである。
【0046】
ここで、携帯電子キー3’がチャレンジデータを受信回路20’に対して要求するとき、搬送波(上記の所定の周波数のパルスpの列)だけの信号波Sを送信してチャレンジデータの要求としてもよい。こうすることで、チャレンジ・レスポンス型認証に必要な時間を短縮することができる。
【0047】
受信回路20’は、図12に示すように、図8を用いて説明した上述の回路に加えて、チャレンジデータの要求を錠制御回路25が判別したときにチャレンジデータを生成するチャレンジデータ生成回路26と、所定の周波数の搬送波を生成する搬送波生成回路27と、チャレンジデータを搬送波生成回路27の搬送波に重畳させた信号波を生成する信号波生成回路28と、その信号波に応じて第2の信号波Tを送信する第2の発信素子29と、によって構成することができる。第2の発信素子29の送信面29aは、受信素子21の受信面21aの近傍に配置される。
【0048】
受信回路20’は、図11に示すフロー図の右側に示すフローに従って動作可能である。すなわち、携帯電子キー3’からチャレンジデータの要求の信号波Sを受信する(S211)と、チャレンジデータをチャレンジデータ生成回路26で生成し(S212)、それを搬送波に重畳させた第2の信号波Tを第2の発信素子29から送信する。そして、その後、データが重畳された可視光線の信号波Sを受信した後は、図5を用いて説明した上述のフローと同様に動作する。
【0049】
以上、本発明の実施形態に係るキーレスエントリシステムについて説明したが、本発明は、実施形態に記載したものに限られることなく、特許請求の範囲に記載した事項の範囲内でのさまざまな設計変更が可能である。例えば、操作スイッチは、ボタンスイッチに限ることはなく、回動型、感圧型、静電容量型など種々のタイプが可能である。
【符号の説明】
【0050】
1 キーレスエントリシステム
2 車両
20 車両の受信回路
21 受信素子
21a 受信素子の受信面
3 携帯電子キー
31 操作スイッチ
32 発信素子
3A 機械式鍵部
S 可視光線の信号波
【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作スイッチと、該操作スイッチの操作に応じて、指令データを重畳した可視光線の信号波を放射する発信素子と、を有する携帯電子キーと、
該発信素子からの前記信号波を受信可能な受信素子を有し、前記指令データを重畳した前記信号波を該受信素子が受信したときドアの施錠又は解錠を行う車両と、
を備えてなることを特徴とするキーレスエントリシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のキーレスエントリシステムにおいて、
前記発信素子は、施錠用の前記操作スイッチが操作されて施錠の指令データを重畳しているときと、解錠用の前記操作スイッチが操作されて解錠の指令データを重畳しているときと、では、異なる色の可視光線の前記信号波を放射することを特徴とするキーレスエントリシステム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のキーレスエントリシステムにおいて、
前記携帯電子キーは、その一端から延出形成された機械式鍵部を有しており、前記信号波が該機械式鍵部の延出方向に放射されることを特徴とするキーレスエントリシステム。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のキーレスエントリシステムにおいて、
前記携帯電子キーは、該携帯電子キーから外部への前記信号波の放射範囲が変わるように制御可能であることを特徴とするキーレスエントリシステム。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のキーレスエントリシステムにおいて、
前記受信素子は、前記車両のドアの外側面に受信面が現れるように設けられ、又は窓ガラスの内側で受信面がその窓ガラスに向かうように設けられていることを特徴とするキーレスエントリシステム。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載のキーレスエントリシステムにおいて、
前記車両は、第2の信号波を発信する第2の発信素子を有しており、
前記携帯電子キーは、前記第2の信号波を受信可能な第2の受信素子を有しており、
前記携帯電子キーは、チャレンジデータの要求の前記信号波を前記発信素子から放射し、
前記車両は、該チャレンジデータの要求の前記信号波を前記受信素子が受信したとき、チャレンジデータを重畳した前記第2の信号波を前記第2の発信素子から放射し、
前記携帯電子キーは、該チャレンジデータを重畳した前記第2の信号波を前記第2の受信素子が受信したとき、該チャレンジデータに応じたレスポンスデータ付きの前記指令データを重畳した前記信号波を前記発信素子から放射することを特徴とするキーレスエントリシステム。
【請求項7】
請求項6に記載のキーレスエントリシステムにおいて、
前記チャレンジデータの要求の前記信号波は、搬送波だけの信号波であることを特徴とするキーレスエントリシステム。
【請求項1】
操作スイッチと、該操作スイッチの操作に応じて、指令データを重畳した可視光線の信号波を放射する発信素子と、を有する携帯電子キーと、
該発信素子からの前記信号波を受信可能な受信素子を有し、前記指令データを重畳した前記信号波を該受信素子が受信したときドアの施錠又は解錠を行う車両と、
を備えてなることを特徴とするキーレスエントリシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のキーレスエントリシステムにおいて、
前記発信素子は、施錠用の前記操作スイッチが操作されて施錠の指令データを重畳しているときと、解錠用の前記操作スイッチが操作されて解錠の指令データを重畳しているときと、では、異なる色の可視光線の前記信号波を放射することを特徴とするキーレスエントリシステム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のキーレスエントリシステムにおいて、
前記携帯電子キーは、その一端から延出形成された機械式鍵部を有しており、前記信号波が該機械式鍵部の延出方向に放射されることを特徴とするキーレスエントリシステム。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のキーレスエントリシステムにおいて、
前記携帯電子キーは、該携帯電子キーから外部への前記信号波の放射範囲が変わるように制御可能であることを特徴とするキーレスエントリシステム。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のキーレスエントリシステムにおいて、
前記受信素子は、前記車両のドアの外側面に受信面が現れるように設けられ、又は窓ガラスの内側で受信面がその窓ガラスに向かうように設けられていることを特徴とするキーレスエントリシステム。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載のキーレスエントリシステムにおいて、
前記車両は、第2の信号波を発信する第2の発信素子を有しており、
前記携帯電子キーは、前記第2の信号波を受信可能な第2の受信素子を有しており、
前記携帯電子キーは、チャレンジデータの要求の前記信号波を前記発信素子から放射し、
前記車両は、該チャレンジデータの要求の前記信号波を前記受信素子が受信したとき、チャレンジデータを重畳した前記第2の信号波を前記第2の発信素子から放射し、
前記携帯電子キーは、該チャレンジデータを重畳した前記第2の信号波を前記第2の受信素子が受信したとき、該チャレンジデータに応じたレスポンスデータ付きの前記指令データを重畳した前記信号波を前記発信素子から放射することを特徴とするキーレスエントリシステム。
【請求項7】
請求項6に記載のキーレスエントリシステムにおいて、
前記チャレンジデータの要求の前記信号波は、搬送波だけの信号波であることを特徴とするキーレスエントリシステム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−14926(P2013−14926A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−147824(P2011−147824)
【出願日】平成23年7月3日(2011.7.3)
【出願人】(597065329)学校法人 龍谷大学 (120)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月3日(2011.7.3)
【出願人】(597065329)学校法人 龍谷大学 (120)
【Fターム(参考)】
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