説明

キーレスエントリー機能を備えたタイヤ状態監視装置

【課題】構成の簡素化及び低コスト化を図りつつ、キーレスエントリー装置としての機能とタイヤ状態監視装置としての機能との双方をより効果的に発揮することができるようにする。
【解決手段】装置は、RF信号を送受信可能なキーレスエントリー用携帯通信機2と、ホイール5に設けられてタイヤ状態データ信号をRF信号として送信するセンサユニット3と、ホイール5にそれぞれ対応するように配置された車室外アンテナ31と、車体に設置された制御ユニット4とを備える。制御ユニット4は、携帯通信機2との間での車室外アンテナ31を通じたRF信号の送受信に基づきキーレスエントリー機能を実行する一方、センサユニット3に車室外アンテナ31を通じて、RF信号よりなる指令信号を送信する。センサユニット3は、指令信号の受信に応答して、同指令信号中の指令内容に応じた動作を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キーレスエントリー機能を備えたタイヤ状態監視装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、キーレスエントリー装置とタイヤ状態監視装置とを一体化して車両に搭載したシステムが開示されている。この特許文献1に記載されたシステムは、車体に設けられた制御ユニットと、高周波信号を送信するキーレスエントリー用携帯通信機と、車両のホイールにそれぞれ設けられて同ホイールに装着されたタイヤの空気圧データを含む高周波信号を送信するセンサユニットとを備えている。制御ユニットには、前記ホイールにそれぞれ対応するように車体に配置されたアンテナが接続されている。
【0003】
上記特許文献1のシステムでは、車両のイグニッションスイッチがオンされると、前記制御ユニットはタイヤ空気圧モニタの動作モードに切り替えられ、前記センサユニットからの高周波信号を前記アンテナを通じて受信して、タイヤの空気圧を把握する。一方、イグニッションキーがオフされると、前記制御ユニットはキーレスエントリーの動作モードに切り替えられ、前記携帯通信機からの高周波信号を前記アンテナを通じて受信することに基づき車両ドアのロック・アンロック等の制御を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−81059号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1には、キーレスエントリー装置とタイヤ状態監視装置とを一体化することにより、システム全体の小型化及び低コスト化を図ることができる旨、記載されている。しかしながら、同引用文献1には、携帯通信機が高周波信号を送信することは記載されているものの、制御ユニットから携帯通信機に対して信号を送信することについては一切記載されていない。すなわち、通常、キーレスエントリー機能の実行に際しては、単に携帯通信機から制御ユニットに対して信号が送信されるだけでなく、制御ユニットから携帯通信機に対しても信号が送信されて、両者の間で信号の送受信が行われるのが一般であるが、引用文献1には、そのような両者間での信号の送受信に関する構成について一切記載されていない。
【0006】
加えて、同引用文献1には、車両のイグニッションスイッチのオン・オフに応じて制御ユニット自体がタイヤ空気圧モニタの動作モードとキーレスエントリーの動作モードとの間で切り替えられることは記載されているものの、センサユニットがどのような態様で空気圧データを含む高周波信号を送信するのかについては一切記載されていない。
【0007】
以上のように、上記引用文献1には、キーレスエントリー装置としての機能とタイヤ状態監視装置としての機能との双方を十分効果的に発揮させるための構成が記載されていない。
【0008】
本発明の目的は、構成の簡素化及び低コスト化を図りつつ、キーレスエントリー装置としての機能とタイヤ状態監視装置としての機能との双方をより効果的に発揮することができる、キーレスエントリー機能を備えたタイヤ状態監視装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本願発明は、高周波信号を送受信可能なキーレスエントリー用携帯通信機と、車両のホイールにそれぞれ設けられ、同ホイールに装着されたタイヤの状態を検出して、同検出されたタイヤの状態を示すデータを含む状態データ信号を高周波信号として送信するセンサユニットであって、高周波信号よりなる指令信号の受信に応答して、同指令信号中の指令内容に応じた動作を行う前記センサユニットと、前記ホイールにそれぞれ対応するように車体に配置されたアンテナと、前記車体に設置されるとともに前記アンテナに接続された制御ユニットであって、前記携帯通信機との間での前記アンテナの少なくとも一つを通じた高周波信号の送受信に基づきキーレスエントリー機能を実行する一方、前記センサユニットに前記アンテナを通じて前記指令信号を送信するとともに前記センサユニットから前記アンテナを通じて受信された前記状態データ信号を処理する前記制御ユニットと、を備える、キーレスエントリー機能を備えたタイヤ状態監視装置を提供する。
【0010】
上記構成によれば、アンテナが車両のホイールにそれぞれ対応するように車体に配置され、制御ユニットはこれらのアンテナを通じて、携帯通信機との間で高周波信号の送受信を行うとともに、センサユニットとの間で高周波信号の送受信を行う。すなわち、車両のホイールにそれぞれ対応するように配置されたアンテナが、携帯通信機及びセンサユニットからそれぞれ送信される信号を受信するためだけではなく、携帯通信機及びセンサユニットに対して信号をそれぞれ送信するためにも使用される。そのため、携帯通信機と制御ユニットとの間での信号の送受信、及びセンサユニットと制御ユニットとの間での信号の送受信を、極力少ない数のアンテナで実現することができ、構成の簡素化及び低コスト化を図ることができる。しかも、携帯通信機及びセンサユニットから制御ユニットに対して送信される信号、並びに制御ユニットから携帯通信機及びセンサユニットに対して送信される信号として、いずれも高周波信号が使用されている。よって、二つの機器間で送受信される信号として例えば一方に高周波信号を用いるとともに他方に低周波信号を用いる構成と比較して、信号の送受信に係る構成を簡素化して低コスト化を図ることができる。
【0011】
加えて、制御ユニットは、携帯通信機との間でのアンテナの少なくとも一つを通じた高周波信号の送受信に基づきキーレスエントリー機能を実行する一方、センサユニットにアンテナを通じて指令信号を送信する。そして、センサユニットは、その指令信号の受信に応答して、同指令信号中の指令内容に応じた動作を行う。よって、センサユニットが制御ユニットを搭載した車両の状況に応じた動作を行うよう、制御ユニットがセンサユニットの動作を制御することが可能となる。従って、キーレスエントリー装置としての機能とタイヤ状態監視装置としての機能との双方をより効果的に発揮することができる。
【0012】
本発明の一態様において、前記携帯通信機、前記センサユニット及び前記制御ユニットは、互いに同一の搬送周波数を有する高周波信号を送信するように構成されている。この構成によれば、信号の送受信に係る構成を一層簡素化して低コスト化を図ることができる。
【0013】
本発明の一態様において、前記制御ユニットは、前記アンテナを通じてそれぞれアンテナ毎に互いに異なる識別コードを含む前記指令信号を送信し、前記各センサユニットは、対応するアンテナから受信した前記指令信号に含まれる識別コードを含む前記状態データ信号を、対応するアンテナに対して送信する。
【0014】
上記構成によれば、制御ユニットは、自身が送信した指令信号に含まれる識別コードを含む状態データ信号を受信することによって、受信された状態データ信号が、自身が送信した指令信号に応答して送信されたものであることを確実に判断できる。よって、各センサユニットに予め識別コードを記憶させておくとともに、各センサユニットの識別コード
を制御ユニットに登録するといった対応は不要となる。
【0015】
本発明の一態様において、前記制御ユニットは、前記各アンテナを通じて前記指令信号を送信する度に、同指令信号に含まれる識別コードを変更する。
制御ユニットが各アンテナを通じて常に同一の識別コードを含む指令信号を送信するように構成した場合、識別コードが第三者によって知られるのを防ぐため、及び識別コードが他の車両から送信される指令信号や状態データ信号に含まれる識別コードと同じにならないようにするためには、識別コードのビット数を比較的多くする必要がある。これに対し、上記構成のように、各アンテナを通じて指令信号を送信する度に同指令信号に含まれる識別コードを変更するようにすれば、識別コードのビット数を比較的少なくしても、識別コードが第三者によって知られる可能性を少なくすることができるとともに、識別コードが他の車両から同時期に送信される指令信号や状態データ信号に含まれる識別コードと一致する可能性を少なくすることができる。
【0016】
本発明の一態様において、前記アンテナは車室外アンテナであり、前記タイヤ状態監視装置はさらに、前記制御ユニットに接続された車室内アンテナを備える。前記制御ユニットは、前記携帯通信機との間での前記車室外アンテナの少なくとも一つを通じた高周波信号の送受信が成立したときに、前記携帯通信機が車室外に存在すると判断する一方、前記携帯通信機との間での前記車室内アンテナを通じた高周波信号の送受信が成立したときに、前記携帯通信機が車室内に存在すると判断する。この構成によれば、携帯通信機が車室外に存在するか車室内に存在するかを的確に判断することができる。
【0017】
なお、上記構成において、各車室外アンテナを通じて送信される高周波信号の電界強度は、同高周波信号が各車室外アンテナに対応するホイールを含む所定の車室外範囲に及ぶ程度となるように調整されるのが好ましい。一方、車室内アンテナを通じて送信される高周波信号の電界強度は、同高周波信号が車室内には及ぶが車室外には及ばない程度となるように調整されるのが好ましい。
【0018】
しかしながら、状況によっては、車室外に存在する携帯通信機と車室内アンテナとの間で高周波信号の送受信が成立したり、車室内に存在する携帯通信機と車室外アンテナとの間で高周波信号の送受信が成立したりするといった事態が生じる可能性もある。そして、このような場合には、携帯通信機の存在場所が誤判断されることになる。
【0019】
そこで、本発明の一態様では、前記制御ユニットは、高周波信号よりなる第1のリクエスト信号を前記各車室外アンテナを通じて送信する一方、それと同時に高周波信号よりなる第2のリクエスト信号を前記車室内アンテナを通じて送信し、前記携帯通信機は、前記第1のリクエスト信号の受信に応答して、高周波信号よりなる第1の応答信号を送信する一方、前記第2のリクエスト信号の受信に応答して、高周波信号よりなる第2の応答信号を送信する。前記制御ユニットは、前記車室外アンテナの少なくとも一つ又は前記車室内アンテナを通じて受信された高周波信号が前記第1の応答信号であるか前記第2の応答信号であるかに基づき、前記携帯通信機が車室外に存在するか車室内に存在するかを判断する。
【0020】
上記構成において、例えば携帯通信機が車室外に存在する状態で、第1のリクエスト信号が各車室外アンテナから送信されるとともに、それと同時に第2のリクエスト信号が車室内アンテナから送信されたとする。この場合、車室外においては、第1のリクエスト信号の電界強度の方が第2のリクエスト信号の電界強度よりも大きいので、第1のリクエスト信号は第2のリクエスト信号を大きく妨害して、同第2のリクエスト信号が車室外に存在する携帯通信機で受信されるのを阻止する。また、車室外においては、第1のリクエスト信号に対する第2のリクエスト信号の妨害の程度は比較的小さい。よって、車室外に存
在する携帯通信機は、車室外アンテナからの第1のリクエスト信号を確実に受信して、第1の応答信号を送信することができる。
【0021】
逆に、携帯通信機が車室内に存在する場合、車室内においては、第2のリクエスト信号の電界強度の方が第1のリクエスト信号の電界強度よりも大きいので、第2のリクエスト信号は第1のリクエスト信号を大きく妨害して、同第1のリクエスト信号が車室内の携帯通信機で受信されるのを阻止する。また、車室内においては、第2のリクエスト信号に対する第1のリクエスト信号の妨害の程度は比較的小さい。よって、車室内に存在する携帯通信機は、車室内アンテナからの第2のリクエスト信号を確実に受信して、第2の応答信号を送信することができる。
【0022】
以上により、制御ユニットは、携帯通信機が車室外に存在するか車室内に存在するかを一層正確に判断することができる。
本発明の一態様において、前記のような車室内アンテナを備える構成に代えて、前記制御ユニットは、前記携帯通信機から前記アンテナを通じて受信された高周波信号の強度に基づき、前記携帯通信機が車室外に存在するか車室内に存在するかを判断するようにしてもよい。このようにすれば、アンテナの数を極力削減して、構成の簡素化を図ることができる。
【0023】
本発明の一態様において、前記指令信号は起動信号及び停止信号を含み、前記制御ユニットは、前記車両に設けられたイグニッションスイッチがオンされたときに前記起動信号を前記アンテナを通じて送信し、同イグニッションスイッチがオフされたときに前記停止信号を前記アンテナを通じて送信する。また、前記各センサユニットは、前記起動信号の受信に応答して、前記状態データ信号を送信する送信モードに切り替えられる一方、前記停止信号の受信に応答して、前記状態データ信号の送信を行わない停止モードに切り替えられる。
【0024】
上記構成によれば、イグニッションスイッチがオンされたとき、すなわち、携帯通信機の所有者(運転者)が車両に搭乗して同車両のエンジンを始動させたとき、各センサユニットは状態データ信号を送信する送信モードに切り替えられる。そのため、運転者は自身が搭乗した車両のタイヤの状態を、車両のエンジンが始動された際に的確に把握することが可能となる。一方、イグニッションスイッチがオフされたとき、すなわち、運転者が車両のエンジンを停止させたとき、各センサユニットは状態データ信号の送信を行わない停止モードに切り替えられる。すなわち、車両の停止時等、運転者がタイヤの状態を把握する必要性が低い場合には、各センサユニットは送信動作を行わない。一般的に、タイヤの内部に配置されるセンサユニットは電池によって駆動されるので、必要性が低い場合に送信動作を停止させる構成は、電池の長寿命化を図る上で有効である。
【0025】
本発明の一態様において、前記各センサユニットは、前記送信モードに切り替えられたとき、前記状態データ信号を所定の時間間隔で定期送信する。この構成によれば、車両の運転者は、車両走行時において、タイヤの状態を定期的に把握することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の一実施形態に係るキーレスエントリー機能を備えたタイヤ状態監視装置が搭載された車両を示す概略構成図。
【図2】図1の携帯通信機の回路構成を示すブロック図。
【図3】図1のセンサユニットの回路構成を示すブロック図。
【図4】図1の装置の動作態様の一例を示すタイミングチャート。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に、本発明を具体化した一実施形態について、図面を参照して説明する。
図1には、キーレスエントリー機能を備えたタイヤ状態監視装置を搭載した車両1が示されている。タイヤ状態監視装置は、車両1の所有者(運転者)が携帯するキーレスエントリー用携帯通信機2と、車両1の4つのホイール5にそれぞれ取り付けられる4つのセンサユニット3と、車両1の車体に設置される制御ユニット4とを備えている。
【0028】
前記携帯通信機2は、前記制御ユニット4に対して高周波信号(以下、RF信号と記す)を送信するとともに、前記制御ユニット4からRF信号を受信するように構成されている。図2に示すように、携帯通信機2は、ロックスイッチ11、アンロックスイッチ12、携帯通信機コントローラ13、RF送信回路14、及びRF受信回路15を備えており、同携帯通信機2に内蔵された電池16から供給される電力によって動作する。
【0029】
前記ロックスイッチ11は、車両1のドアを遠隔操作でロックする際に、車両1の所有者によって押圧操作される。前記アンロックスイッチ12は、車両1のドアを遠隔操作でアンロックする際に、車両1の所有者によって押圧操作される。前記携帯通信機コントローラ13は、CPU、RAM及びROMを含むマイクロコンピュータ等よりなり、ROMには固有の識別情報であるIDコード(識別コード)が登録されている。このIDコードは、携帯通信機2を前記制御ユニット4において識別するために使用される情報である。
【0030】
前記携帯通信機コントローラ13は、前記ロックスイッチ11が押圧操作されたとき、前記IDコードを含むロック信号を生成する一方、前記アンロックスイッチ12が押圧操作されたとき、前記IDコードを含むアンロック信号を生成する。前記RF送信回路14は、携帯通信機コントローラ13で生成されたロック信号及びアンロック信号を所定の搬送周波数を有するRF信号に変調して、同RF信号をアンテナ17から無線送信させる。
【0031】
前記RF受信回路15は、前記制御ユニット4から前記アンテナ17を通じて受信されたRF信号(例えば、後述するリクエスト信号)を復調して、携帯通信機コントローラ13に送る。携帯通信機コントローラ13は、制御ユニット4からのリクエスト信号を受信するのに応答して、前記IDコードを含む応答信号を生成する。前記RF送信回路14は、携帯通信機コントローラ13で生成された応答信号を所定の搬送周波数を有するRF信号に変調して、同RF信号をアンテナ17から無線送信させる。なお本実施形態において、RF送信回路14は、ロック信号、アンロック信号及び応答信号を周波数偏移変調(FSK)方式により、いずれも同じ搬変周波数を有するRF信号に変調するように構成されている。
【0032】
図1に示すように、前記各センサユニット3は、タイヤ6の内部に配置されるように、そのタイヤ6が装着されたホイール5に対して固定されている。各センサユニット3は、対応するタイヤ6の状態(内部空気圧及び内部温度等)を検出して、検出されたタイヤ状態を示すデータを含む信号、即ちタイヤ状態データ信号を無線送信する。
【0033】
図3に示すように、前記各センサユニット3は、圧力センサ21、温度センサ22、センサユニットコントローラ23、RF送信回路24、及びRF受信回路25を備えており、センサユニット3に内蔵された電池26から供給される電力によって動作する。
【0034】
前記圧力センサ21は、対応するタイヤ6の内部空気圧を計測して、その計測によって得られた空気圧データをセンサユニットコントローラ23に出力する。温度センサ22は、対応するタイヤ6の内部温度を計測して、その計測によって得られた温度データをセンサユニットコントローラ23に出力する。センサユニットコントローラ23は、CPU、RAM及びROMを含むマイクロコンピュータ等よりなり、ROMには固有の識別情報であるIDコード(識別コード)が登録されている。このIDコードは、センサユニット3
を前記制御ユニット4において識別するために使用される情報である。
【0035】
前記センサユニットコントローラ23は、空気圧データ、温度データ及びIDコードを含むタイヤ状態データ信号を生成して、同タイヤ状態データ信号を前記RF送信回路24に出力する。RF送信回路24は、センサユニットコントローラ23からのタイヤ状態データ信号を所定の搬送周波数を有するRF信号に変調して、同RF信号をアンテナ27から無線送信させる。本実施形態において、RF送信回路24はタイヤ状態データ信号を周波数偏移変調(FSK)方式により、前記携帯通信機2から送信されるFR信号と同一の搬送周波数を有するRF信号に変調するように構成されている。
【0036】
前記RF受信回路25は、前記制御ユニット4から前記アンテナ27を通じて受信されたRF信号(例えば、後述する指令信号)を復調して、センサユニットコントローラ23に送る。センサユニットコントローラ23は、制御ユニット4からの指令信号を受信するのに応答して、同指令信号中の指令内容に応じた動作をセンサユニット3に行わせる。具体的には、制御ユニット4から送信される指令信号は、起動信号及び停止信号を含む。センサユニットコントローラ23は、制御ユニット4からの起動信号の受信に応答して、センサユニット3の動作モードを、タイヤ状態データ信号を送信する送信モードに切り替える。一方、センサユニットコントローラ23は、制御ユニット4からの停止信号の受信に応答して、センサユニット3の動作モードを、前記タイヤ状態データ信号の送信を行わない停止モードに切り替える。このように、センサユニットコントローラ23は、制御ユニット4からの指令信号を受信するのに応答して、前記タイヤ状態データ信号の送信態様を切り替える。
【0037】
前記送信モードに切り替えられたとき、各センサユニット3は、タイヤ状態の計測動作を第1の所定時間間隔(例えば、15秒間隔)で定期的に行う一方、タイヤ状態データ信号の送信動作を前記第1の所定時間間隔よりも長い第2の所定時間間隔(例えば、1分間隔)で定期的に行う。但し、計測されたタイヤ状態が異常を示す場合(例えば、タイヤ6の内部圧力の異常低下、タイヤ6の内部圧力の急変等)、センサユニット3は定期的な送信動作とは関係無く、直ちに送信動作を行う。一方、前記停止モードに切り替えられたとき、各センサユニット3は、タイヤ状態データ信号の送信動作を行わないが、タイヤ状態の定期的な計測動作については送信モード時と同様に行っても良いし、或いは行わなくても良い。
【0038】
図1に示すように、前記制御ユニット4は、車体の所定箇所に設置され、例えば車両1のバッテリ(図示せず)からの電力によって動作する。制御ユニット4には、前記ホイール5の近傍にそれぞれ位置するように車体に配置された4つの車室外アンテナ31と、車両の室内の任意の箇所に配置された1つの車室内アンテナ32とが接続されている。制御ユニット4は、前記携帯通信機2との間での前記アンテナ31,32を通じたRF信号の送受信に基づきキーレスエントリー機能を実行する。制御ユニット4はまた、前記各センサユニット3に車室外アンテナ31を通じて前記指令信号を送信するとともに、前記各センサユニット3から車室外アンテナ31を通じて前記タイヤ状態データ信号を受信して、同タイヤ状態データ信号を処理する。
【0039】
制御ユニット4は、ユニットコントローラ33、RF送信回路34、RF受信回路35、切替回路36、警報器37、及び表示器38を備えている。前記アンテナ31,32は切替回路36に接続されており、同切替回路36は前記RF送信回路34及び前記RF受信回路35に対するアンテナ31,32の接続態様を切り替えるように動作する。前記ユニットコントローラ33はCPU、ROM及びRAMを含むマイクロコンピュータ等よりなり、前記リクエスト信号と前記指令信号(起動信号及び停止信号)とを生成する。RF送信回路34は、リクエスト信号及び指令信号の各々を所定の搬送周波数を有するRF信
号に変調して、同RF信号を切替回路36に出力する。切替回路36は、リクエスト信号を前記車室外アンテナ31及び前記車室内アンテナ32から無線送信させる一方、指令信号を車室外アンテナ31から無線送信させる。本実施形態において、RF送信回路34はリクエスト信号及び指令信号を周波数偏移変調(FSK)方式により、前記携帯通信機2から送信されるFR信号と同一の搬送周波数を有するRF信号に変調するように構成されている。
【0040】
前記RF送信回路34はまた、前記各車室外アンテナ31を通じて車室外に送信されるRF信号(リクエスト信号及び指令信号)の電界強度を、同RF信号が各車室外アンテナ31に対応するホイール5を含む所定の車室外範囲に及ぶ程度となるように調整している。一方、RF送信回路34は、前記車室内アンテナ32を通じて車室内に送信されるRF信号(リクエスト信号)の電界強度を、同RF信号が車室外に及ばない程度となるように調整している。
【0041】
ユニットコントローラ33は、前記リクエスト信号を所定時間間隔(例えば200ms)で生成する。またユニットコントローラ33には、車両に搭載されたエンジンの始動及び停止を行うために運転者によって操作されるイグニッションスイッチ41が接続されている。ユニットコントローラ33は、エンジンを始動すべくイグニッションスイッチ41がオンされたときに前記起動信号を生成し、エンジンを停止すべく同イグニッションスイッチ41がオフされたときに前記停止信号を生成する。
【0042】
前記RF受信回路35は、前記携帯通信機2から前記アンテナ31,32及び切替回路36を通じて受信されたRF信号(応答信号、ロック信号及びアンロック信号)を復調して、ユニットコントローラ33に送る。ユニットコントローラ33は、RF信号を受け取った場合、同RF信号に含まれるIDコードが、ユニットコントローラ33に予め記憶されたIDコードと一致するか否か判定し、一致する場合には、RF信号の発信元が正規の携帯通信機2であると判断する。ユニットコントローラ33はまた、車室外アンテナ31の少なくとも一つを通じて応答信号を受信した場合、携帯通信機2が車室外で且つ車両1の近辺に存在すると判断する。一方、ユニットコントローラ33は車室内アンテナ32を通じて応答信号を受信した場合、携帯通信機2が車室内に存在すると判断する。ユニットコントローラ33は、車室内アンテナ32を通じて正規の携帯通信機2から応答信号を受信している場合に限り、イグニッションスイッチ41のオンに伴うエンジンの始動を許容する。
【0043】
ユニットコントローラ33には、車両1のドアのロック・アンロックを行うためのドアロック機構42が接続されている。ユニットコントローラ33は、車室外アンテナ31の少なくとも一つを通じて正規の携帯通信機2から応答信号を受信している状態で、例えば車両1のドアに設けられたドアハンドルに人が触れたとき、ドアロック機構42を作動させて、ドアをロック状態からアンロック状態に、又はアンロック状態からロック状態に切り替える。或いは、ユニットコントローラ33は、車室外アンテナ31の少なくとも一つを通じて正規の携帯通信機2からロック信号を受信した場合にドアロック機構42にドアのロックを行わせる一方、車室外アンテナ31の少なくとも一つを通じて正規の携帯通信機2からアンロック信号を受信した場合にドアロック機構42にドアのアンロックを行わせる。
【0044】
前記RF受信回路35は、前記各センサユニット3から対応する車室外アンテナ31及び切替回路36を通じて受信されたRF信号(タイヤ状態データ信号)を復調して、ユニットコントローラ33に送る。ユニットコントローラ33は、RF受信回路35からのタイヤ状態データ信号に基づき、発信元のセンサユニット3に対応するタイヤ6の内部空気圧及び内部温度を把握する。
【0045】
ユニットコントローラ33はまた、前記内部空気圧及び内部温度に関する情報等を前記表示器38に表示させる。表示器38は、車室内等、車両1の搭乗者の視認範囲に配置される。ユニットコントローラ33はさらに、内部空気圧及び内部温度の異常を前記警報器(報知器)37にて報知させる。警報器37としては、例えば、異常を音によって報知する装置や、異常を光によって報知する装置が適用される。なお、タイヤ6の内部空気圧及び内部温度の異常を、報知器としての表示器38に表示させてもよい。
【0046】
以下に、本実施形態の装置の動作態様の一例を図4に従って説明する。
図4に示すように、携帯通信機2を携帯している車両1の所有者が車外におり、車両1が停止している状態では、制御ユニット4は各車室外アンテナ31及び車室内アンテナ32を通じてリクエスト信号を所定時間間隔(例えば200ms)で送信している。携帯通信機2を携帯している所有者が車両1に近づいて、携帯通信機2が少なくとも一つの車室外アンテナ31からのリクエスト信号を受信すると、携帯通信機2は応答信号を送信する(時刻t1)。この応答信号が少なくとも一つの車室外アンテナ31で受信されると、制御ユニット4は応答信号に含まれるIDコードを自身に予め記憶されたIDコードと照合し、両IDコードが一致する場合には、応答信号の発信元が正規の携帯通信機2であると判断する。なお、リクエスト信号と応答信号とのやり取りは、携帯通信機2が車室外アンテナ31又は車室内アンテナ32からのリクエスト信号の受信可能範囲内に存在する間継続される。この状態で、所有者が車両1のドアハンドルに触れると、ドアロック機構42が作動してドアがアンロックされる。
【0047】
その後、所有者がドアを開けて車両1に搭乗すると(時刻t2)、携帯通信機2は車室内アンテナ32からのリクエスト信号を受信するのに応答して、応答信号を送信する。この応答信号が車室内アンテナ32で受信されると、制御ユニット4は所有者が車室内に入ったと判断して、各車室外アンテナ31からのリクエスト信号の送信を停止する。
【0048】
続いて、イグニッションスイッチ41がオンされると、制御ユニット4は各車室外アンテナ31を通じて起動信号を送信する(時刻t3)。すると、各センサユニット3が、対応する車室外アンテナ31からの起動信号の受信に応答して送信モードに切り替えられ、タイヤ状態データ信号の定期送信を開始する。各センサユニット3から送信されるタイヤ状態データ信号は、対応する車室外アンテナ31で受信され、これにより、制御ユニット4は発信元のセンサユニット3に対応するタイヤ6の内部空気圧及び内部温度を把握する。
【0049】
その後、イグニッションスイッチ41がオフされると、制御ユニット4は各車室外アンテナ31を通じて停止信号を送信する(時刻t4)。すると、各センサユニット3が、対応する車室外アンテナ31からの停止信号の受信に応答して停止モードに切り替えられ、タイヤ状態データ信号の定期送信を停止する。同時に、制御ユニット4は、各車室外アンテナ31からのリクエスト信号の送信を再開する。
【0050】
その後、所有者が車両1から降りて同車両1のドアハンドルに触れると、ドアロック機構42が作動してドアがロックされる。そして、所有者が車両1から離れて、携帯通信機2が車室外アンテナ31からのリクエスト信号の受信可能範囲外に出ると、携帯通信機2は応答信号の送信を行わなくなる(時刻t5)。
【0051】
以上詳述した本実施形態は、下記の利点を有する。
(1)本実施形態では、車室外アンテナ31が車両1のホイール5にそれぞれ対応するように車体に配置され、制御ユニット4はこれらの車室外アンテナ31を通じて、携帯通信機2との間でRF信号の送受信を行うとともに、センサユニット3との間でRF信号の
送受信を行う。すなわち、車両1のホイール5にそれぞれ対応するように配置された車室外アンテナ31が、携帯通信機2及びセンサユニット3からそれぞれ送信される信号を受信するためだけではなく、携帯通信機2及びセンサユニット3に対して信号をそれぞれ送信するためにも使用される。そのため、携帯通信機2と制御ユニット4との間での信号の送受信、及びセンサユニット3と制御ユニット4との間での信号の送受信を、極力少ない数のアンテナで実現することができ、構成の簡素化及び低コスト化を図ることができる。しかも、携帯通信機2及びセンサユニット3から制御ユニット4に対して送信される信号、並びに制御ユニット4から携帯通信機2及びセンサユニット3に対して送信される信号として、いずれもRF信号が使用されている。よって、二つの機器間で送受信される信号として例えば一方にRF信号を用いるとともに他方にLF信号(低周波信号)を用いる構成と比較して、信号の送受信に係る構成を簡素化して低コスト化を図ることができる。
【0052】
加えて、制御ユニット4は、携帯通信機2との間での車室外アンテナ31の少なくとも一つを通じたRF信号の送受信に基づきキーレスエントリー機能を実行する一方、センサユニット3に、対応する車室外アンテナ31を通じて指令信号(起動信号及び停止信号)を送信する。そして、センサユニット3は、その指令信号の受信に応答して、同指令信号中の指令内容に応じた動作を行う。よって、センサユニット3が制御ユニット4を搭載した車両1の状況に応じた動作を行うよう、制御ユニット4がセンサユニット3の動作を制御することが可能となる。従って、キーレスエントリー装置としての機能とタイヤ状態監視装置としての機能との双方をより効果的に発揮することができる。
【0053】
(2)携帯通信機2、センサユニット3及び制御ユニット4は、互いに同一の搬送周波数を有するRF信号を送信するように構成されている。そのため、信号の送受信に係る構成を一層簡素化して低コスト化を図ることができる。
【0054】
(3)制御ユニット4には、車室内アンテナ32が接続されている。前記制御ユニット4は、携帯通信機2との間での車室外アンテナ31の少なくとも一つを通じたRF信号(リクエスト信号及び応答信号)の送受信が成立したときに、携帯通信機2が車室外に存在すると判断する。一方、制御ユニット4は、携帯通信機2との間での車室内アンテナ32を通じたRF信号(リクエスト信号及び応答信号)の送受信が成立したときに、携帯通信機2が車室内に存在すると判断する。そのため、携帯通信機2が車室外に存在するか車室内に存在するかを的確に判断することができる。
【0055】
(4)イグニッションスイッチ41がオンされたとき、すなわち、携帯通信機2の所有者(運転者)が車両1に搭乗して同車両1のエンジンを始動させたとき、各センサユニット3はタイヤ状態データ信号を送信する送信モードに切り替えられる。そのため、運転者は自身が搭乗した車両1のタイヤ6の状態を、車両1のエンジンが始動された際に的確に把握することが可能となる。一方、イグニッションスイッチ41がオフされたとき、すなわち、運転者が車両1のエンジンを停止させたとき、各センサユニット3はタイヤ状態データ信号の送信を行わない停止モードに切り替えられる。すなわち、車両1の停止時等、運転者がタイヤ6の状態を把握する必要性が低い場合には、各センサユニット3は送信動作を行わない。タイヤ6の内部に配置されるセンサユニット3は電池26によって駆動されるので、必要性が低い場合に送信動作を停止させる構成は、電池26の長寿命化を図る上で有効である。
【0056】
(5)各センサユニット3は、送信モードに切り替えられたとき、タイヤ状態データ信号を所定の時間間隔で定期送信する。そのため、車両1の運転者は、車両1の走行時において、タイヤ6の状態を定期的に把握することが可能となる。
【0057】
(6)イグニッションスイッチ41が少なくともオンされてからオフされるまでの間、
すなわち、各センサユニット3が少なくとも送信モードに切り替えられている間、各車室外アンテナ31からのリクエスト信号の送信は停止されている。そのため、各センサユニット3が送信モードに切り替えられている間、各センサユニット3から送信されるタイヤ状態データ信号を、対応する車室外アンテナ31にて確実に受信することができる。
【0058】
なお、上記実施形態は以下のように変更することも可能である。
・上記実施形態において、各車室外アンテナ31からのリクエスト信号の送信の停止タイミングは、携帯通信機2の所有者が車室内に入ったタイミング(図4の時刻t2)でなくともよく、イグニッションスイッチ41がオンされるタイミング(図4の時刻t3)でもよい。また、各車室外アンテナ31からのリクエスト信号の送信の再開タイミングは、イグニッションスイッチ41がオフされるタイミング(図4の時刻t4)でなくともよく、携帯通信機2の所有者が車室外に出たタイミング、つまり車室内アンテナ32で携帯通信機2からの応答信号が受信できなくなったタイミングでもよい。すなわち、各車室外アンテナ31からのリクエスト信号の送信は、イグニッションスイッチ41が少なくともオンされてからオフされるまでの間、言い換えれば、各センサユニット3が少なくとも送信モードに切り替えられている間、停止されていればよい。
【0059】
・前述したように、各車室外アンテナ31を通じて送信されるRF信号の電界強度は、同RF信号が各車室外アンテナ31に対応するホイール5を含む所定の車室外範囲に及ぶ程度となるように調整される。一方、車室内アンテナ32を通じて送信されるRF信号の電界強度は、同RF信号が車室内には及ぶが車室外には及ばない程度となるように調整される。しかしながら、状況によっては、車室外に存在する携帯通信機2と車室内アンテナ32との間でRF信号の送受信が成立したり、車室内に存在する携帯通信機2と車室外アンテナ31との間でRF信号の送受信が成立したりするといった事態が生じる可能性もある。そして、このような場合には、携帯通信機2の存在場所が誤判断されることになる。
【0060】
そこで、上記のような誤判断を防止するために、以下のような構成を採用しても良い。すなわち、制御ユニット4は、RF信号よりなる第1のリクエスト信号を各車室外アンテナ31を通じて送信する一方、それと同時にRF信号よりなる第2のリクエスト信号を車室内アンテナ32を通じて送信するように構成される。第1及び第2のリクエスト信号は、互いに区別可能なように構成される。携帯通信機2は、前記第1のリクエスト信号の受信に応答して、RF信号よりなる第1の応答信号を送信する一方、前記第2のリクエスト信号の受信に応答して、RF信号よりなる第2の応答信号を送信するように構成される。第1及び第2の応答信号は、互いに区別可能なように構成される。そして、制御ユニット4は、車室外アンテナ31の少なくとも一つを通じて第1の応答信号を受信した場合には携帯通信機2が車室外に存在すると判断し、車室内アンテナ32を通じて第2の応答信号を受信した場合には携帯通信機2が車室内に存在すると判断する。
【0061】
上記のような構成において、例えば携帯通信機2が車室外に存在する状態で、第1のリクエスト信号が各車室外アンテナ31から送信されるとともに、それと同時に第2のリクエスト信号が車室内アンテナ32から送信されたとする。この場合、車室外においては、第1のリクエスト信号の電界強度の方が第2のリクエスト信号の電界強度よりも大きいので、第1のリクエスト信号は第2のリクエスト信号を大きく妨害して、同第2のリクエスト信号が車室外に存在する携帯通信機2で受信されるのを阻止する。また、車室外においては、第1のリクエスト信号に対する第2のリクエスト信号の妨害の程度は比較的小さい。よって、車室外に存在する携帯通信機2は、車室外アンテナ31からの第1のリクエスト信号を確実に受信して、第1の応答信号を送信することができる。
【0062】
逆に、携帯通信機2が車室内に存在する場合、車室内においては、第2のリクエスト信号の電界強度の方が第1のリクエスト信号の電界強度よりも大きいので、第2のリクエス
ト信号は第1のリクエスト信号を大きく妨害して、同第1のリクエスト信号が車室内の携帯通信機2で受信されるのを阻止する。また、車室内においては、第2のリクエスト信号に対する第1のリクエスト信号の妨害の程度は比較的小さい。よって、車室内に存在する携帯通信機2は、車室内アンテナ32からの第2のリクエスト信号を確実に受信して、第2の応答信号を送信することができる。
【0063】
以上により、制御ユニット4は、携帯通信機2が車室外に存在するか車室内に存在するかを一層正確に判断することができる。なお、上記の構成においても、各車室外アンテナ31からの第1のリクエスト信号の送信は、イグニッションスイッチ41が少なくともオンされてからオフされるまでの間、停止されるようにするのが好ましい。
【0064】
・一般には、車両1の4つのホイール5にそれぞれ取り付けられる4つのセンサユニット3のIDコードは、所定の登録作業を通じて、ホイール5の位置と関連付けられた状態で制御ユニット4に登録される。制御ユニット4は、各センサユニット3からタイヤ状態データ信号を受信したとき、同タイヤ状態データ信号に含まれるIDコードに基づき、発信元のセンサユニット3を識別するとともに、同センサユニット3が取り付けられているホイール5の位置を識別する。しかしながら、制御ユニット4に対するIDコードの登録作業は、例えばホイール5の位置を変更したり、センサユニット3自体を交換したりする度に行わなければならないので、非常に面倒である。
【0065】
そこで、上記のようなIDコードの登録作業を不要とするために、以下のような構成を採用しても良い。すなわち、制御ユニット4は、車室外アンテナ31を通じてそれぞれ車室外アンテナ31毎に互いに異なるIDコードを含む指令信号を送信するように構成される。そして、各センサユニット3は、対応する車室外アンテナ31から受信した指令信号に含まれるIDコードを含むタイヤ状態データ信号を、対応する車室外アンテナ31に送信するように構成される。なお、各センサユニット3は、受信した指令信号に含まれるIDコードを、自身が有するメモリに記憶する。
【0066】
上記構成によれば、制御ユニット4は、自身が送信した指令信号に含まれるIDコードを含むタイヤ状態データ信号を受信することによって、受信されたタイヤ状態データ信号が、自身が送信した指令信号に応答して送信されたものであることを確実に判断できる。例えば、図1の右前ホイール5に対応する車室外アンテナ31から指令信号が送信された場合、その右前ホイール5に取り付けられたセンサユニット3が、その指令信号に含まれるIDコードを含むタイヤ状態データ信号を、右前ホイール5に対応する車室外アンテナ31に送信する。その結果、制御ユニット4は、その車室外アンテナ31を通じて受信されたタイヤ状態データ信号に含まれるIDコードに基づき、受信されたタイヤ状態データ信号が右前ホイール5に取り付けられたセンサユニット3から送信されたものであることを判断できる。よって、各センサユニット3に予めIDコードを記憶させておくとともに、各センサユニット3のIDコードを制御ユニット4に登録するといった対応は不要となる。
【0067】
・また、上記構成において、制御ユニット4は、各車室外アンテナ31を通じて指令信号を送信する度に、同指令信号に含まれるIDコードを変更するように構成されてもよい。この場合、各センサユニット3は、新たなIDコードを含む指令信号を受信する度に、メモリ内のIDコードを新たなものに更新する。
【0068】
制御ユニット4が各車室外アンテナ31を通じて常に同一のIDコードを含む指令信号を送信するように構成した場合、IDコードが第三者によって知られるのを防ぐため、及びIDコードが他の車両から送信される指令信号やタイヤ状態データ信号に含まれるIDコードと同じにならないようにするためには、IDコードのビット数を比較的多くする必
要がある。これに対し、上記構成のように、各車室外アンテナ31を通じて指令信号を送信する度に同指令信号に含まれるIDコードを変更するようにすれば、IDコードのビット数を比較的少なくしても、IDコードが第三者によって知られる可能性を少なくすることができるとともに、IDコードが他の車両から同時期に送信される指令信号やタイヤ状態データ信号に含まれるIDコードと一致する可能性を少なくすることができる。これにより、信号の送信時間を短縮することができて、特にセンサユニット3の電池26の長寿命化(或いは小型化)を図ることができる。
【0069】
・センサユニット3は、制御ユニット4からの指令信号を受信するのに応答して、同指令信号中の指令内容に応じた動作を行うように構成されていればよく、その指令内容は適宜変更することができる。例えば、指令信号として上述した起動信号を受信した場合、センサユニット3は定期送信を行う送信モードではなく、その起動信号の受信直後にのみ、1回或いは複数回の送信動作を行う動作モードに切り替えられても良い。
【0070】
・車室内アンテナ32を省略してもよい。この場合、制御ユニット4は、携帯通信機2から各車室外アンテナ31を通じて受信されたRF信号(応答信号)の強度に基づき、携帯通信機2が車室外に存在するか車室内に存在するかを判断するようにすればよい。このようにすれば、アンテナの総数を極力削減して、構成の更なる簡素化を図ることができる。なおこの場合、各車室外アンテナ31からのリクエスト信号の送信は、携帯通信機2が車室外に存在するか車室内に存在するかに関係なく、常に継続されることになる。
【0071】
・上記実施形態では、信号の変調方式として周波数偏移変調(FSK)方式を採用したが、振幅偏移変調(ASK)方式や位相偏移変調(PSK)方式等、その他の変調方式を採用することも可能である。
【符号の説明】
【0072】
1…車両、2…携帯通信機、3…センサユニット、4…制御ユニット、5…ホイール、6…タイヤ、31…車室外アンテナ、32…車室内アンテナ、41…イグニッションスイッチ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高周波信号を送受信可能なキーレスエントリー用携帯通信機と、
車両のホイールにそれぞれ設けられ、同ホイールに装着されたタイヤの状態を検出して、同検出されたタイヤの状態を示すデータを含む状態データ信号を高周波信号として送信するセンサユニットであって、高周波信号よりなる指令信号の受信に応答して、同指令信号中の指令内容に応じた動作を行う前記センサユニットと、
前記ホイールにそれぞれ対応するように車体に配置されたアンテナと、
前記車体に設置されるとともに前記アンテナに接続された制御ユニットであって、前記携帯通信機との間での前記アンテナの少なくとも一つを通じた高周波信号の送受信に基づきキーレスエントリー機能を実行する一方、前記センサユニットに前記アンテナを通じて前記指令信号を送信するとともに前記センサユニットから前記アンテナを通じて受信された前記状態データ信号を処理する前記制御ユニットと、
を備える、キーレスエントリー機能を備えたタイヤ状態監視装置。
【請求項2】
前記携帯通信機、前記センサユニット及び前記制御ユニットは、互いに同一の搬送周波数を有する高周波信号を送信するように構成されている、請求項1に記載のキーレスエントリー機能を備えたタイヤ状態監視装置。
【請求項3】
前記制御ユニットは、前記アンテナを通じてそれぞれアンテナ毎に互いに異なる識別コードを含む前記指令信号を送信し、前記各センサユニットは、対応するアンテナから受信した前記指令信号に含まれる識別コードを含む前記状態データ信号を、対応するアンテナに対して送信する、請求項1又は2に記載のキーレスエントリー機能を備えたタイヤ状態監視装置。
【請求項4】
前記制御ユニットは、前記各アンテナを通じて前記指令信号を送信する度に、同指令信号に含まれる識別コードを変更する、請求項3に記載のキーレスエントリー機能を備えたタイヤ状態監視装置。
【請求項5】
前記アンテナは車室外アンテナであり、前記タイヤ状態監視装置は前記制御ユニットに接続された車室内アンテナをさらに備え、
前記制御ユニットは、前記携帯通信機との間での前記車室外アンテナの少なくとも一つを通じた高周波信号の送受信が成立したときに、前記携帯通信機が車室外に存在すると判断する一方、前記携帯通信機との間での前記車室内アンテナを通じた高周波信号の送受信が成立したときに、前記携帯通信機が車室内に存在すると判断する、請求項1〜4の何れか一項に記載のキーレスエントリー機能を備えたタイヤ状態監視装置。
【請求項6】
前記制御ユニットは、高周波信号よりなる第1のリクエスト信号を前記各車室外アンテナを通じて送信する一方、それと同時に高周波信号よりなる第2のリクエスト信号を前記車室内アンテナを通じて送信し、
前記携帯通信機は、前記第1のリクエスト信号の受信に応答して、高周波信号よりなる第1の応答信号を送信する一方、前記第2のリクエスト信号の受信に応答して、高周波信号よりなる第2の応答信号を送信し、
前記制御ユニットは、前記車室外アンテナの少なくとも一つ又は前記車室内アンテナを通じて受信された高周波信号が前記第1の応答信号であるか前記第2の応答信号であるかに基づき、前記携帯通信機が車室外に存在するか車室内に存在するかを判断する、請求項5に記載のキーレスエントリー機能を備えたタイヤ状態監視装置。
【請求項7】
前記制御ユニットは、前記携帯通信機から前記アンテナを通じて受信された高周波信号の強度に基づき、前記携帯通信機が車室外に存在するか車室内に存在するかを判断する、
請求項1〜4の何れか一項に記載のキーレスエントリー機能を備えたタイヤ状態監視装置。
【請求項8】
前記指令信号は起動信号及び停止信号を含み、前記制御ユニットは、前記車両に設けられたイグニッションスイッチがオンされたときに前記起動信号を前記アンテナを通じて送信し、同イグニッションスイッチがオフされたときに前記停止信号を前記アンテナを通じて送信し、
前記各センサユニットは、前記起動信号の受信に応答して、前記状態データ信号を送信する送信モードに切り替えられる一方、前記停止信号の受信に応答して、前記状態データ信号の送信を行わない停止モードに切り替えられる、請求項1〜7の何れか一項に記載のキーレスエントリー機能を備えたタイヤ状態監視装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−126461(P2011−126461A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−288168(P2009−288168)
【出願日】平成21年12月18日(2009.12.18)
【出願人】(000204033)太平洋工業株式会社 (143)
【Fターム(参考)】