説明

ギアボックスの多くのギアの係合を防止するためのギアシフト要素固定装置を備えたギアボックス配置構成

二段クラッチギアボックス配置構成又はパワーシフトギアボックス配置構成などの、自動車両の駆動伝達系用のギアボックス配置構成が、ギアボックス配置構成の少なくとも1つの各ギアを係合するよう及び解除するよう作動され得る、少なくとも1群のギアシフト要素(1、2)を有し、これらは、ギアシフト要素に関連するギアが係合されていない少なくとも1つのニュートラルポジションとギアシフト要素及びギア係合位置に関連するギアが係合された少なくとも1つのギア係合位置との間でギアボックスのハウジングに対して動く。本発明による配置構成は、すべてのギアシフト要素がニュートラルポジションにある場合には解放位置をとり、かつギアシフト要素の1つがギア係合位置の1つに動いた場合には解放位置から安全位置に動き得る、ギアシフト要素に又は1群のギアシフト要素に関連する少なくとも1つの安全装置(210)によって特徴づけられ、この安全装置により、他のギアシフト要素が、ニュートラルポジションからギア係合位置に動くのが防止される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1群のギアシフト要素を有する、自動車やオートバイ等、自動車両のパワートレイン用のギアボックス配置構成、恐らくは二段クラッチギアボックス配置構成又はパワーシフトギアボックス配置構成に関するものであり、このギアシフト要素のそれぞれが、ギアシフト要素に割り当てられたギアが係合されていない少なくとも1つのニュートラルポジションとギアシフト要素に及びギア係合位置に割り当てられたギアが係合された少なくとも1つのギア係合位置との間をギアボックス配置構成のハウジングに対して動くことにより、ギアボックス配置構成の少なくとも1つの固有ギアを係合するよう及び解除するよう作動され得る。この場合、主として、牽引力を中断せずに1つのギアトレインのギアと他のギアトレインのギアとの間をシフトできるよう互いに独立してシフトされ得る2つのギアトレインを備え、かつそれぞれのギアトレインがそれ自身の入力シャフトを有し、これに二段クラッチのクラッチ配置構成(プレートタイプの湿式クラッチ又は摩擦円板タイプの乾式クラッチなど)が割り当てられた、いわゆる二段クラッチギアボックス又はパワーシフトギアボックスを考えているが、これらに限定されるものではない。
【0002】
二段クラッチギアボックスは、基本的に、十分な機能を有する2つのギアボックスからなる並列回路であると考えられ、このそれぞれが、二段クラッチギアボックスの2つのギアトレインの1つを形成する。エンジントルクは、ギアトレイン間の2つのクラッチ(2つのクラッチ配置構成)によって分散され、1つのギアトレインは、偶数のギアをシフトすることを担当し、他のギアトレインは、奇数のギアをシフトすることを担当する。1つのギアから別のギアにシフトすることが牽引力を中断せずに達成され得るので、クラッチトルクが1つのギアトレインから他のギアトレインに伝わる間、1つのギアがそれぞれのギアトレイン内で係合していなければならない。
【0003】
しかし、本発明はまた、ギアをシフトすることが常に牽引力の中断を意味する、簡単なギアシフト機構に関する。
【背景技術】
【0004】
スポーツカーのような運転行動を有し、かつ運転者が危険な運転状況に素早く反応できるようにする、これに対応する車両を提供するためには、ギアボックス配置構成を異なるギア間で切り換えるための短いシフト時間を、少なくとも任意に実現することが望ましい。同じギアボックス入力シャフトに割り当てられた2つのギアが誤って同時に係合される(軸受けを壊す恐れがある)のを防止するために、従来の手法においては、ギアをシフトするのに必要なシフト力は、これらのギアの2つが同時に係合され得ないよう、協調した形でギアシフト要素に働かなければならない。つまり、確実にシフトエラーが発生し得ないようにするためには、ギアシフト時間が所定の最小値未満に減少してはならない。また、アクチュエータ配置構成又はアクチュエータを駆動する制御ユニットなどに欠陥が発生し得ることも除外しないことである。このような欠陥は、同じギアボックス入力シャフトに割り当てられた2つのギアが同時に係合するエラーを引き起こし、したがってギアボックスに悪影響が生じ、また車両の運転上の安全性も減少する。
【0005】
二段クラッチギアボックスの場合には、2つより多いギアによるシフトアップ及びシフトダウンは、始動ギア及び目標ギアの両方が同じギアトレインに割り当てられている場合特に時間制約的であり、したがって、トルクの経路を他のギアトレインを介して一時的に変更しなければならない。このようにマルチギアシフト中に牽引力を中断せずにシフトすることが重要である場合、少なくとも2つの段階がなければならず、このそれぞれの間に、2つのギア(それぞれのギアトレイン内に1つ)が同時に係合される。2つの段階の間に、同じギアトレイン内の1つのギアをできる限り素早く解除し、別の1つを係合することが必要である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような背景において、本発明は、同時に係合してはならない又は係合しない2つ以上のギアが同時に係合されるなどの間違ったシフトの危険が少なくとも減少するギアボックス配置構成を提供すること、及び/又は非常に短いギアシフト時間が可能となるギアボックス配置構成を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題の少なくとも1つを達成するために、本発明に従って、ギアボックス配置構成と合わせて、少なくとも1つの固定装置を設けることが提案され、この固定装置は、
−1群の又は複数の群の1つの、すべてのギアシフト要素にまとめて割り当てられ、
−ギアシフト要素のすべてがニュートラルポジションにある場合には解放状態にあり、
−ギアシフト要素の1つがギア係合位置に又は1つのそのような位置に動くことにより、解放状態から固定状態に動き得るものであり、この固定装置は、固定位置にある場合には、1つの他のギアシフト要素又は複数の他のすべてのギアシフト要素がニュートラルポジションから前記ギア係合位置に又は1つのそのような位置に動くことを防止する。
【0008】
固定装置は、ギアシフト要素の1つがギア係合位置に置かれている場合には、1つの他の又は複数の他のすべてのギアシフト要素がニュートラルポジションからギア係合位置に又は1つのそのような位置に間違って動くことに対抗する。したがって、上記に論じた、間違ってシフトする危険は、全く解消されるわけではないにしても、少なくとも非常に減少する。このため、ギアをシフトするよう働くシフト力の特別な調整が特に重要ではなくなるので、短いシフト時間が間接的に可能となる。
【0009】
固定装置は、解放状態にある場合には、割り当てられたギアシフト要素がニュートラルポジションからギア係合位置に又は1つのそのような位置に動くことを可能にすることが好ましい。特に、固定装置は、解放状態にある場合には、ギアシフト要素の1つのみがギア係合位置に又は1つのそのような位置に動き得るような形で、割り当てられたギアシフト要素がニュートラルポジションからギア係合位置に又は1つのそのような位置に動くことを可能にすることが提案される。
【0010】
特に好ましい実施形態は、1つの他の又は複数の他のすべてのギアシフト要素が、固定状態にある場合には、所与の最大作動力に対してニュートラルポジションからギア係合位置に又は1つのそのような位置に動くことを防止するよう保たれる、好ましくは固定されることを特徴とする。この場合特に、機械的な強い連動を考えている。
【0011】
固定装置は、解放状態にある場合には、所定の最小作動力未満の作動力に基づいて、割り当てられたギアシフト要素がニュートラルポジションからギア係合位置に又は1つのそのような位置に動くのを防止することが非常に望ましい。詳しく述べると、この場合、本装置が解放状態にある場合には、割り当てられたギアシフト要素のすべてが、所定の最小作動力未満の作動力に対してニュートラルポジションからギア係合位置に又は1つのそのような位置に動くのを防止するよう保たれる、好ましくは固定されることが提案される。解放状態においては、個々の割り当てられたギアシフト要素が固定された状態は、最小作動力又は最小作動力より大きい作動力(たとえば、最大作動力に等しい又はほぼ等しい作動力)を働かせることによって解放されることが好ましい。
【0012】
特に好ましい実施形態は、ギアシフト要素の1つがニュートラルポジションからギア係合位置に又は1つのそのような位置に動くことにより、1つの他の又は複数の他のすべてのギアシフト要素に作用する、したがってこれ(ら)をニュートラルポジションに保つ保持力が起動され得る又は増加し得ることを特徴とする。この種の固定装置の設計は特にエラーに強く、したがって、固定装置が機械的に非常に簡単な方法で実現され得る。
【0013】
本明細書においては、特に、ギアシフト要素の1つがニュートラルポジションからギア係合位置に又は1つのそのような位置に動くことにより、1つの他の又は複数の他のすべてのギアシフト要素をニュートラルポジションに固定する固定係合が起動され得る又は増加し得ることを考えている。
【0014】
特に効果的な実施形態によれば、固定装置は、ギアシフト要素に対して弾力的にプレテンションされることが好ましく、かつ個々のギアシフト要素案内面に強く係合する、固定要素装置を備える。ギアシフト要素案内面は、ギアシフト要素の1つがニュートラルポジションからギア係合位置に又は1つのそのような位置に動くことにより、固定要素装置の少なくとも1つの要素が、1つの他の又は複数の他のすべてのギアシフト要素に対して固定要素装置に、より強く張力がかけられるように動くよう設計され得ることが好ましい。この種の特に簡単な機械設計を有する固定装置は、2つのシャフト要素の間に張力がかけられており、かつこの要素がニュートラルポジションにある場合には当該ギアシフト要素案内面の窪み内で強く係合する、バネ付きプランジャ装置又はボール装置を備える。
【0015】
固定装置は、全くプレテンションせずに、又はこのような要素のいくつかではなく、少なくとも1つの強固な非弾性固定要素により、さらに簡単な機械設計を有し得る。この点に関して、また一般的に言っても、固定装置は、移動可能に支持され、かつギアシフト要素がニュートラルポジションにある場合には、ギアシフト要素の少なくとも1つに保持係合する又はし得る、かつギアシフト要素の任意の1つがニュートラルポジションからギア係合位置に又は1つのそのような位置に動き得るような大きさにされた、少なくとも1つの固定要素を有することが提案され、ギアシフト要素の任意の1つがニュートラルポジションからギア係合位置に又は1つのそのような位置に動いた場合には、ニュートラルポジションから動くギアシフト要素により、固定要素が他のギアシフト要素に又は他のすべてのギアシフト要素に保持係合する。固定要素は、たとえば、それ自体は移動不可能な強固なプランジャ又はピン、又はそれ自体は移動不可能な強固な円板であり得る。
【0016】
詳しく述べると、保持係合とは、固定要素の係合端などの係合区間とこれに関連するギアシフト要素の表面の窪みなどの係合区間との強い係合であることが提案される。
【0017】
本明細書においては、たとえば、ギアシフト要素がニュートラルポジションにある場合には、固定要素(たとえば、上述のピン又はプランジャ)が、第1のギアシフト要素との保持係合と第2のギアシフト要素との保持係合との間で正確に一方向に、特に線形に動き得ることを考えている。ピン又はプランジャの場合には、ピン又はプランジャの線形移動はその長手軸の方向である。
【0018】
代替形態として、ギアシフト要素がニュートラルポジションにある場合には、固定要素(たとえば、上述の円板)が、2つより多いギアシフト要素との保持係合の間をいくつかの方向に、特に線形に動き得ることも提案される。円板の場合には、線形移動の方向は円板の平面においてである。
【0019】
別の可能性として、ギアシフト要素がニュートラルポジションにある場合には、固定要素が、第1のギアシフト要素との保持係合と第2のギアシフト要素との保持係合との間で枢転し得ることが特に好ましいこととして提案される。ピボット軸受は、特に低い費用で実現でき、高度な機能信頼性を提供する。
【0020】
上記に「保持係合」について記述してきたが、これは、主として又はさらに、ギアシフト要素がニュートラルポジションにある場合には、少なくともその1つにこれに関連するギアシフト要素が設けられた、固定要素の保持係合は、ギアシフト要素がギア係合位置又は1つのそのような位置の方向に動くことにより克服され得るノンロッキングタイプの係合であり、ニュートラルポジションからギア係合位置に又は1つのそのような位置に動くギアシフト要素の場合には、1つの他のギアシフト要素又は複数の他のすべてのギアシフト要素との1つの固定要素の最小の保持係合は、少なくとも所与の作動力によっては克服され得ず、かつそのニュートラルポジションから動いたギアシフト要素によって固定されるロッキングタイプの係合であることを意味する。
【0021】
1群の1つの他の又は複数の他のギアシフト要素の1つがギア係合位置に又は1つのそのような位置にある間に、ギア係合作動力がニュートラルポジションの1群のギアシフト要素の1つに働き得る場合、その1つのギアシフト要素が、働いたギア係合作動力に対抗する固定装置によりニュートラルポジションに保たれ、他のギアシフト要素が働いたギア解除力の作用でギア係合位置からニュートラルポジションに動くことにより、1つのギアシフト要素が、働いたギア係合作動力の作用でニュートラルポジションからギア係合位置に又は1つのそのような位置に動くことができるよう、固定装置が解放状態に切り換えられ得る、特に短いギアシフト時間が可能である。
【0022】
従来の設計において、ギアシフト要素は、ギアシフトロッドとして設計され得る。その群又は当該の個々の群は、2つのギアシフト要素(恐らくはギアシフトロッド)を有し得る。しかし、その群又は当該の個々の群は、2つより多いギアシフト要素(恐らくはギアシフトロッド)も有し得る。たとえば、3つのギアシフト要素(恐らくはギアシフトロッド)を有し得る。
【0023】
特に二段クラッチギアボックス装置又はパワーシフトギアボックス装置の場合には、互いに独立して作動され得る、少なくとも2つの群のギアシフト要素(恐らくはギアシフトロッド)が設けられる。
【0024】
本明細書においては、特にギアボックス装置の自動シフトを考えている。このため、ギアシフト要素(恐らくはギアシフトロッド)に割り当てられたアクチュエータ装置が設けられ得る。これにより、ギアシフト要素(恐らくはギアシフトロッド)が、自動的に作動され得る。
【0025】
1群の又は少なくとも1群のギアシフト要素(恐らくはギアシフトロッド)のそれぞれが、それ自身のアクチュエータの少なくとも1つを有し、したがって、ギアシフト要素(恐らくはギアシフトロッド)の間で移動方向に作用する作動力が、1群のいくつかのギアシフト要素(恐らくはギアシフトロッド)のそれぞれに同時に働き得ることが好ましい。
【0026】
本発明はまた、駆動装置(恐らくは内燃機関)と、本発明によるギアボックス装置(恐らくは2つの群のギアシフト要素を有する二段クラッチギアボックス装置又はパワーシフトギアボックス装置)と、駆動装置とギアボックス装置との間のトルクの伝達用の、クラッチ装置(恐らくは2つのクラッチ装置を備えた二段クラッチ装置であり、クラッチ装置のそれぞれがそれ自身のギアボックス入力シャフトに、したがってそれ自身の群のギアシフト要素に割り当てられる)とを備えた、自動車両のパワートレインを提供する。
【0027】
本発明はまた、本発明によるギアボックス装置、又は本発明による自動車両のパワートレインのギアボックス装置をシフトするための方法を提供する。本発明による方法は、
ギア係合作動力が、1群の1つの他のギアシフト要素又は複数の他のギアシフト要素の1つがギア係合位置又は1つのそのような位置にある間に、ニュートラルポジションにあるギアシフト要素の1群の又はこれらの要素のこのような1群のギアシフト要素の1つに働き、その1つのギアシフト要素が、他のギアシフト要素が係合位置にある限り、働いたギア係合作動力に対抗する固定装置によりニュートラルポジションに保たれ、
ギア解除作動力が、他のギアシフト要素がギア係合位置からニュートラルポジションに動くよう他のギアシフト要素に働き、固定装置が、他のギアシフト要素がギア係合位置からニュートラルポジションに動くことにより解放状態に切り換えられ、この結果、その1つのギアシフト要素が、働いたギア係合作動力の作用でニュートラルポジションからギア係合位置に又は1つのそのような位置に動く、ギアシフトステップのシーケンスによって特徴づけられる。したがって、非常に短いギアシフト時間が実現され得る。
【0028】
詳しく述べると、二段クラッチギアボックス配置構成又はパワーシフトギアボックス配置構成のシフトに関して、シフトシーケンスが、始動ギアから、始動ギアから数ギア離れた目標ギアへのギアボックス配置構成のマルチギアシフトを含み、始動ギアに割り当てられたギアシフト要素及び目標ギアに割り当てられたギアシフト要素の両方が同じ群のギアシフト要素に属し、始動ギアから目標ギアにシフトする方法中に、ギア係合作動力が1つのギアシフト要素に働き、ギア解除力が他のギアシフト要素に働くことが提案される。シフトステップのシーケンスは、たとえば、マルチギアシフトダウン、特にプルタイプのマルチギアシフトダウンを有し得る。本明細書においては、特に、シフト動作のシーケンスが、1つの始動ギア又は複数の始動ギアの1つと1つの目標ギア又は複数の目標ギアの1つとの間の、少なくとも1つのクロスオーバシフト段階、好ましくは少なくとも2つのクロスオーバシフト段階を有することを考えている。
【0029】
以下、図に示されている例示的実施形態に基づいて、本発明についてより詳細に説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
関連するギアシフトロッドの位置に対するギアの異なる割当て及び追加の制御ユニットの表示を除き、以下の独国特許出願の優先権を主張する独国特許出願第10347203.7号明細書(2003年10月10日出願)について、図1は図15に対応する。即ち、これらの独国特許出願とは、出願番号第10253658.9号(2002年11月18日)、出願番号第10253663.5号(2002年11月18日)、出願番号第10308296.4号(2003年2月26日)、出願番号第10316229.1号(2003年4月9日)であり、そのタイトルは、「圧力媒体及び/又は作業媒体をクラッチ装置に供給するための及び/又はギアボックスに圧力媒体を供給するためのポンプ配置構成と、これに対応するポンプ配置構成と、ギアボックスを作動させるためのこれに対応する作動配置構成とを備えた自動車両のパワートレイン(Motor Vehicle Powertrain with a Pump Arrangement for Supplying a Clutch Device with Pressure Medium and/or Working Medium and/or for Supplying a Gearbox with Pressure Medium, a Corresponding Pump Arrangement, and a Corresponding Actuating Arrangement for Actuating the Gearbox)」である。
【0031】
図1の例示的実施形態によれば、油圧作動二段クラッチ100には、油圧スレーブシリンダ102、104で表されている、2つの多段クラッチ配置構成が設けられ、これは、これに関連する多段クラッチ配置構成を係合する方向に作動させるよう役立つ。3/2ポート方向性圧力制御弁106、108が、2つの油圧スレーブシリンダ102、104のそれぞれに割り当てられて、当該スレーブシリンダに制御された又は調節された圧油又は圧力を供給する。このため、圧力制御弁は、入口側でポンプ配置構成10bの圧油の排出側に、特に圧油ポンプ14bに接続される。圧力制御弁106、108によって調整された油圧は、クラッチを自動的に制御できるようにする(これは特に望ましいことである)圧力センサ110、112によって測定され得る。圧力センサ30は、圧力制御弁106、108で入力側の圧力を検出するよう役立つ。この圧力は、圧油ポンプ14bと平行に接続された、圧力制限弁66により最大限許容しうる圧力に制限される。一般的に制限なく、圧油ポンプ14bは電動機15bによって駆動され、冷却油を供給するポンプ16はパワートレインの内燃機関12によって駆動され得る。
【0032】
冷却油ポンプ16によって提供された冷却油は、冷却油回路150を経由して二段クラッチ100に供給される。冷却油回路は、油冷却器152によって補足され、逃がし弁として役立つ圧力制限弁154がこれに並行に接続される。二段クラッチ100への冷却油の容積流量は、圧力制御弁24のパイロット制御下にある容積制御弁22aによって調整される。
【0033】
ギアボックスを作動させるための圧油が、これもクラッチを作動させるよう役立つ圧油ポンプ14bにより、ギアボックス作動区間160dで利用可能となる。クラッチ装置の作動圧が降下するという危険を回避するために、圧力槽62の形態の油圧槽を設けることが望ましい。
【0034】
例示的実施形態は、7つのギアのギアボックス(即ち、リバースギアを含む8つのギア)に関する。8つのギアは、2つのギアトレインに分割される。奇数のギアは第1のギアトレインによって実現され、偶数のギアは第2のギアトレインによって実現される。2つのギアトレインのそれぞれが、2つのギアシフトロッドを備え、このそれぞれが、(2つのギアのそれぞれに1つずつ)2つのギア係合位置を有し、これらの間にニュートラルポジションがある。ギアボックスの4つのすべてのギアシフトロッド、つまり、2つのギアトレインのそれぞれの2つのギアシフトロッドのそれぞれが、別個の複動スレーブシリンダ、即ち、第1のギアトレインのスレーブシリンダ192−1及び192−2及び第2のギアトレインのスレーブシリンダ194−1及び194−2によって作動され得る。上述の複動スレーブシリンダによりギアシフトロッドを作動させるための圧力は、好ましくは一方向にシフトするための比例制御弁として設計される3/2方圧力制御弁197により、及び好ましくは他の方向にシフトするための比例制御弁として設計される3/2方圧力制御弁199によって提供される。4つのスレーブシリンダ192−1、192−2、194−1、及び194−2は、それぞれそれ自身の4/2方開閉弁210−1、210−2、212−1、及び212−2により、2つの圧力制御弁197及び199と平行に接続される。これらの4/2方弁は、どちらでも作動する必要のあるシリンダに、必要に応じて、それらの上流に圧油を解放する仕事を有する。すべてのシリンダは、同じ方向に動き得るか又は個々に作動され得る。基本的に、個々のシリンダの1つのみを動かすか、又はいくつかのシリンダを動かすことを選ぶことができる。いくつかのシリンダが作動されると、図1において実現される回路の場合には、これらのシリンダが同じ方向に動く必要がある。これも交差接続された油流路を有する4/4方開閉弁が、4/2方開閉弁210−1、210−2、212−1、及び212−2の代わりに使用される場合には、いくつかのシリンダを動かす場合、反対方向に動くようシリンダに圧力をかけることもできる。特定の瞬間にギアシフトロッドのそれぞれが到達する位置を判断するために、距離センサ204−1、204−2、206−1、及び206−2が設けられる。
【0035】
様々な電動弁は、電子制御ユニット200の制御下にある。図1の油圧回路のさらなる詳細及び示されている構成要素の目的については、専門家なら、示されている記号及びラベルから導き出せよう。上述の独国特許出願第10347203.7号及び/又は優先権についてこれに関連する特許出願の内容も参照し得る。
【0036】
図2は、ギアボックスの又はギアボックスのギアトレインの、2つのギアシフトロッド1及び2を示しており、このそれぞれが、2つのギアを係合するよう及び解除するよう役立つ。図2においては、ギアシフトロッド1及び2はニュートラルポジションにあり、ここでは、これらのギアシフトロッドに割り当てられたギアのいずれも係合されていない。ギアシフトロッドに割り当てられた2つのギアのいずれか1つが、一方向又は他の方向に(図2においては左又は右に)軸方向にギアシフトロッド1又は2をギア係合位置に動かすことによって係合され得る。
【0037】
ギアボックスの又はギアトレインの2つのギアが、誤って又は技術的な欠陥により同時に係合されるのを防止するために、バネ付きプランジャ配置構成212によって形成された固定装置210が、2つのギアシフトロッド1、2に割り当てられる。プランジャ配置構成212は、2つのプランジャ212−1及び212−2と、これらの間に設置されたらせん状の圧縮バネ213とを備える。バネは、プランジャ212−1の円筒形の区間上を案内され、それぞれ、ギアシフトロッド1及び2の円周に対して、2つのプランジャ212−1、212−2にバネ荷重を加える。当該ギアシフトロッドがニュートラルポジションにある場合には、プランジャ212−1がギアシフトロッド1内の円周の溝214−1と係合し、又はプランジャ212−2がギアシフトロッド2内の円周の溝214−2と係合し、したがって、プランジャ配置構成とこれに関連するギアシフトロッドとの間に強い係合が作られる。当該円周の溝内の当該プランジャの強い係合は、所定の力閾値より上の作動力によって克服され得る。この力は、1つの移動方向又は他の移動方向に、ギアシフトロッドの1つに作用し得る。円周の溝の区域内のギアシフトロッドの円周面がカム面として働き、これは、ギアシフトロッドの軸方向の移動中に、他のギアシフトロッドの方に、つまり他のギアシフトロッドの半径方向にプランジャを押す。したがって、両ギアシフトロッドが、二重の矢印で示されている2つの軸方向のいずれかに動く、したがって、ニュートラルポジションから選択された2つのギア係合位置のいずれか1つに動くことができる。
【0038】
図2bにおいては、ギアシフトロッド2は、その2つのギア係合位置の1つをとり、これに対して、ギアシフトロッド1は、まだニュートラルポジションにある。したがって、プランジャ212−2は、もはやギアシフトロッド2内の溝214−2内に係合されておらず、代わりに、ギアシフトロッド2の円筒面の区間上に載っている。したがって、図2aの半径方向の位置と比較して、プランジャ212−2は、ギアシフトロッド1のより近くに動き、この結果、バネ213がより強く圧縮される。つまり、プランジャ212−1は、より大きいプレテンション力でギアシフトロッド1の溝214−1内に押される。したがって、所与の作動力に対して、ギアシフトロッド1は、そのニュートラルポジションからその2つのギア係合位置の1つ又は他に動き得ない。したがって、図2bのギアシフトロッド1は、ニュートラルポジションに強く固定される。図2bにおいて可能な唯一の移動は、矢印で示されているように、ニュートラルポジションの方へのギアシフトロッド2の移動である。ギアシフトロッド1は、ギアシフトロッド2がそのニュートラルポジションに戻るまで、そのニュートラルポジションから動き得ない。
【0039】
図2bに示されている状態から始まり、所与の作動力に対して、固定装置210はまた、円周の溝内の両プランジャの強い係合を克服するのに必要なシフト力がニュートラルポジションからギアシフトロッドの1つのみを動かすのに必要な作動力より大きいので、2つのギアシフトロッド1、2がそれらのニュートラルポジションから同時に動くのを防止することを指摘しておきたい。
【0040】
図1の例示的実施形態について、作動シリンダ192−1及び192−2によって作動され得るギアトレイン1のギアシフトロッド、及び作動シリンダ194−1及び194−2によって作動され得るギアトレイン2のギアシフトロッドは、図2のギアシフトロッド1及び2と同じ方法で設計され、図2に対応する固定装置210が、つまりプランジャ配置構成212に対応するプランジャ配置構成が装備される。この結果、ギアシフトロッド1及び2について記述した2つのギアの同時係合を防止する固定機能が、ギアトレイン1のギアについて及びギアトレイン2のギアについても達成される。
【0041】
二段クラッチギアボックスの2つのギアトレインのそれぞれ内に2つのロッドを備えた2対のギアシフトロッドに対するギアの割当てに関して、図3の1連の状態については、図1の例示的実施形態を参照する。第1のギアトレインのギアシフトロッド1及び2及び第2のギアトレインのギアシフトロッド1’及び2’は、それぞれ、図2に示されているように設計され、プランジャ配置構成212、212’が装備され、このそれぞれが、同じギアトレイン内の2つのギアの同時係合を防止するための固定装置210、210’を形成する。図3の(a)、(b)、(c)、及び(d)は、第5のギアによる中間支持による第6のギアから第2のギアへの、プルタイプのマルチギアシフトダウン中に発生する、1連の状態を示している。図4は、このプルタイプのマルチギアシフトダウンが如何に詳細に実行され得るかの一例を示している。
【0042】
図3aは、開始状態を示している。第6のギアが、第2のギアトレインTG2のギアシフトロッド2’上に係合される。図4から分かるように、プルタイプのマルチギアシフトダウンを準備するために、第5のギアが、まず他のギアトレイン(TG1)に係合される(図3b)。これに基づいて、第1のクロスオーバシフト段階がこれに続き、この間に、駆動トルクが牽引力を中断せずに第6のギアから第5のギアに移行され、これと合わせて又はこの後に、ギアシフトロッド2’がニュートラルポジションに動くことにより(図3c)、及びギアシフトロッド1’がニュートラルポジションから第2のギアに割り当てられたギア係合位置に動くことにより(図3d)、第6のギアが解除される。次いで、両ギア2及び5の係合に基づいて、第2のクロスオーバシフト段階がこれに続き、この間に、駆動トルクが牽引力を中断せずに第5のギアから第2のギアに移行される。
【0043】
少なくともスポーツカーのような運転行動が望ましい場合には、マルチギアシフトは、非常に時間制約的であると考えられる。ここで論じている、第5のギアによる支持による第6のギアから第2のギアへのプルタイプのマルチギアシフトダウンの例においては、2つのギアが同時に係合される2つの段階がある。この間に、同じギアトレイン2内でできる限り素早く、1つのギア(ギア6)が解除され、他のギア(ギア2)が係合されるべきである。
【0044】
本発明による固定装置、即ち、この例のプランジャ配置構成212、212’により、目標ギアの係合の準備として、同じギアトレイン内の始動ギアがまだ係合されている間に、当該シフトアクチュエータは、目標ギアに割り当てられたギアシフトロッドに対して当該ギア係合位置の方向に作用するプレテンション力を及ぼすことができる。固定装置は、目標ギアが、余りにも早く、つまり始動ギアが解除される前に係合されるのを防止する。始動ギアに割り当てられたギアシフトロッドがニュートラルポジションに戻った後に始めて、他のギアシフトロッドは、固定装置によって解放され、ニュートラルポジションから目標ギアに割り当てられたギア係合位置へと働いたプレテンション力の作用で動く。図3及び図4に関連して論じた例においては、目標ギア2に割り当てられたギアシフトロッド1’のこのように早いプレテンションが、プルタイプのマルチギアシフトダウンに必要な時間を最小限に抑えるよう利用される。図4から分かるように、下部の2つの図は、それらの位置の表示、即ち、「係合された」、「同期している」、「ニュートラル」、「同期している」、及び「係合された」と共に、ギアシフトロッドが走行するシフト距離、及び第6のギアを解除し第2のギアに係合するのに必要なシフト力曲線を示している。グラフの2つの円の区域は、第6のギアの解除及び第2のギアの係合に関して、特に興味深いものである。第6のギアを解除するためにプレテンション力を働かせることは、図4の二重の矢印Aに見られる時間間隔中に行われ、第2のギアを係合するためにプレテンション力を働かせることは、図4の二重の矢印Bで識別される時間間隔中に行われる。第6のギアの解除が始まる時間は、クラッチのクロスオーバシフトによって判断され、したがって、クラッチのクロスオーバ時間に依存する。第2のギアの係合が始まる時間は、第6のギアが解除された(ニュートラル)状態に到達した時に依存する。したがって、第6のギアの解除への依存のために、第2のギアの係合が始まる時間も、クラッチのクロスオーバシフト、即ちクラッチのクロスオーバ時間に依存する。
【0045】
上記によれば、始動ギア(この例では第6のギア)を解除するためのシフトアクチュエータは、クラッチのクロスオーバ中プレテンションされる(段階1)。このプレテンション力は、とりわけ、クラッチ支持トルク(クラッチによって伝達されるトルク)及び解除されるべきギアに応じて選択される。始動ギアに割り当てられた二段クラッチのクラッチ又はクラッチ配置構成が解放された場合、働いた解除力がギアを保っている保持力より大きくなると直ぐに、始動ギアの解除が始まり、この保持力自体は、働いたクラッチトルク及び存在する摩擦力の結果である。同時に又は恐らくこの前に、プレテンション力が、目標ギアのギア係合位置の方向に、同じギアトレイン内の目標ギアに割り当てられた他のギアシフトロッドに働き得る。本発明による固定装置により、始動ギアが解除される前には、したがって即ち、当該ギアシフトロッドがニュートラルポジションに戻る前には、係合されるべき目標ギアが係合されない。図3について言及すると、図3cは、静止状態ではない、図4のシフトシーケンスの1つの瞬間の停止行動を表していることを指摘しておきたい。ギアシフトロッド1’の前に働いたプレテンションのために、第5のギアに割り当てられたギア係合位置の方へのギアシフトロッド1’の移動は、ギアシフトロッド2’がニュートラルポジションに到達するのとほぼ同じ瞬間に始まる。したがって、始動ギア6に割り当てられたギア係合位置からニュートラルポジションへのギアシフトロッド2’の移動及びニュートラルポジションから目標ギア2に割り当てられたギア係合位置へのギアシフトロッド1’の移動が、言わば一気に発生する。
【0046】
本発明に従ってギアシフト作動機構が平行起動できることにより、最大限可能な速度で、可能な最良のシフト性能を達成することができる。本発明による固定装置により、特に例示的実施形態の場合のギアシフトロッドの機械的な固定により、1つ又は複数のギアボックスは、2つのギアが同時に係合され得る可能性から保護される。たとえ目標ギアに割り当てられたギアシフトロッドが間違って作動された場合にも、始動ギアが係合されている限り、目標ギアは、ギアトレイン内で係合され得ない。
【0047】
本発明は、2つより多いギアシフトロッドを備えたギアボックス又はギアトレインに、これに対応する方法で適用され得る。図5は、3つのギアシフトロッド1、2、及び3の例を示しており、これに、弾性材料からなる要素の形態の固定装置210’’’が共通に割り当てられ、この要素は、図5では上から見てほぼ三角形の形態で見える。要素214’’’は、3つの係合縁を有し、ギアシフトロッドがニュートラルポジションにある場合には、このそれぞれが、当該ギアシフトロッド1、2、及び3の円周の溝214−1、214−2、及び214−3に適合する。これは、図5に示されている位置である。ギアシフトロッドの1つが、円周の溝の区域内のギアシフトロッドの円周面と要素214’’’の縁との間の一種のカムの干渉により、当該ギアシフトロッドの円周の溝から要素214’’’を押すことにより、そのギア係合位置の1つに動き得る。この結果、要素214’’’は、他の2つのギアシフトロッド内の円周の溝とのさらにより強い係合へと押されるので、ニュートラルポジションを出たギアシフトロッドがニュートラルポジションに戻らない限り、これらは、それらのギア係合位置の1つに動くのが防止される。
【0048】
図2〜図5の1つ又は複数の固定要素を、固有の弾性を有する要素として又はバネ押し要素として設計することは必須ではない。好適な大きさを選んだ場合、そうあるべきでない場合にギアシフト要素がニュートラルポジションから1つの又は他のギア係合位置に動くのを防止するよう、プレテンションを受けない、完全に硬くかつ強固な、したがって非弾性的な要素を使用することもできる。
【0049】
図6は、図2のプランジャ配置構成212の代わりに、簡単かつ強固なプランジャ212が設けられ、この係合端が、ギアシフトロッド1の円周の溝214−1又はギアシフトロッド2の円周の溝214−2と係合し得る解決方法を示している。プランジャ212が、円周の溝の1つ内に置かれている場合、プランジャの他の係合端は、他のギアシフトロッド内の円周の溝のすぐ外側にある。つまり、他のギアシフトロッドは、自由に動くことができる。図6aの場合には、ギアシフトロッド1は、プランジャ212の係合端によって、即ちギアシフトロッド2から向きがそれた端部によって妨げられることなく、自由に動くことができる。プランジャ212が係合された円周の溝内のギアシフトロッド、即ち、図6aの例の場合にはギアシフトロッド2も、2つのギアシフトロッドがニュートラルポジションにある限り、自由に動くことができる。しかし、ギアシフトロッド2の移動は、円周の溝の区域内のギアシフトロッドの円周面と接触することにより、他のギアシフトロッドの方に(即ち、図6aの例においてはギアシフトロッド1の方に)プランジャ212を押すという効果を有する。プランジャ212は、図6bに示されているように、ニュートラルポジションから押されたギアシフトロッドの円周面とニュートラルポジションにあるギアシフトロッドの円周の溝内の円周面との間に適合するのにちょうど十分な長さである。ギアシフトロッド2は、ここではニュートラルポジションから動いており、ギアシフトロッド1は、ここでプランジャ212によりニュートラルポジションに保たれる。何故なら、プランジャ212は、ギアシフトロッド2の外周と接触することにより、円周の溝214−1から押され得ないからである。図6のプランジャ212などのプランジャも、そこに示されているプランジャ配置構成212及び212’の代わりに、図3のいくつかの対のギアシフトロッドに使用され得る。
【0050】
2つより多いギアシフトロッドがある場合には、硬くかつ強固な固定要素も使用され得る。図7は、これに対応する例を示している。弾性材料からなる図5の要素の代わりに、同様の形状であるがやや小さい、強固な円板要素214’’’が設けられ、これは、他の2つのギアシフトロッドの溝内に最大限係合されている場合ギアシフトロッドの1つの円周の溝内に適合するのに十分でない大きさにされている。図7において、ギアシフトロッド1及び3だけでなく、ギアシフトロッド2もニュートラルポジションにある場合を想定した場合、3つのギアシフトロッドのいずれも、ニュートラルポジションからギア係合位置へと押され得る。その後、ニュートラルポジションに留まっているギアシフトロッドは、固定要素によりニュートラルポジションに固定される。何故なら、固定要素はどこへも行くことができず、したがって、当該円周の溝から押され得ないからである。図7において、ギアシフトロッド2がギア係合位置にある場合を想定した場合、ギアシフトロッド1及び3が、ニュートラルポジションから動くことが防止される。
【0051】
1つの固定要素が最小限動き得るという、完全に異なる種類の固定要素及び完全に異なる方法を想像することもできる。図8は、本発明による固定装置が、ピボット軸受304に枢転可能に支持された、2つのアームからなるレバー302の形態である例を示している。2つのレバーアーム306a及び306bのそれぞれが、係合端308a、308bを有し、これは、枢転方向においてほぼ接線方向に指す係合縁を有して設計され、ギアシフトロッド1及び2がニュートラルポジションにある場合には、ギアシフトロッド1の円周の溝214−1(次いで、ギアシフトロッド2が解放される)又は他のギアシフトロッド2の円周の溝214−2(次いで、ギアシフトロッド1が解放される)のいずれかに完全に係合し得る。図8については、底部に示されているレバーアーム306bの係合縁が、ギアシフトロッド2の円周の溝214−2内で係合する。次いで、ギアシフトロッド1が、ニュートラルポジションから動き得る。代替形態として、ギアシフトロッド2も、ニュートラルポジションから動き得る。このため、他のレバーアーム306aの係合縁がギアシフトロッド1の円周の溝214−1内で係合するまで、ダブルアームレバー302が枢転する。ギアシフトロッドの1つがニュートラルポジションから動いた場合には、他のギアシフトロッドが、これに関連するレバーアームの係合縁によって固定され、したがって、ニュートラルポジションから動くのが防止される。ダブルアームレバーの代わりに、他の種類の枢転要素又は固定要素を使用することもできよう。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】湿式の油圧作動二段クラッチ装置及び油圧作動二段クラッチギアボックスに割り当てられた油圧系統の一例を示す図であり、この油圧系統は、恐らく、様々な弁を使用することにより油圧系統の動作シリンダを駆動する制御ユニットを備えた、本発明によるパワートレインの一部である。
【図2】2つの異なる動作状態a,bの1群の2つのギアシフトロッドと協働する固定プランジャ配置構成を備えた、1群のギアシフトロッドを示す図である。
【図3】2つの群のギアシフトロッドがとり得る1連の状態をa,b,c,dの順で示す図であり、それぞれの群は、他のギアトレイン内で係合された第5のギアによる支持による、1つのギアトレイン内で係合された第6のギアから同じギアトレイン内で係合された第2のギアへのマルチギアシフトダウン中の、2つのロッドから構成される。
【図4】時間の関数としての、RPM曲線、トルク曲線、シフト距離曲線、及びシフト力曲線を有する、図3に対応する、プルタイプのマルチギアシフトダウンを有する、シフトステップのシーケンスの一例を示す図である。
【図5】ギアシフトロッドにまとめて割り当てられた弾性材料の円板状の固定要素を有する、1群の3つのギアシフトロッドの一例を示す図である。
【図6】ギアシフトロッドと協働する固定プランジャ、即ち、プレテンションがかかっていない強固なプランジャの配置構成の修正形態を示す、図2に対応する図である(a,b)。この修正形態は、図3の例示的実施形態の修正形態であるとも考えられ得る。
【図7】円板状の固定要素の修正形態、即ち、円板状の固定要素の強固な非弾性設計を示す、図6に対応する図である
【図8】2つのギアシフトロッドと協働するダブルアームレバーの形態の固定要素を有する1群の2つのギアシフトロッドの側部を示す横断面図である。
【符号の説明】
【0053】
BPV 逃がし弁
EM 電動機
DBV 圧力制限弁
DRV 圧力制御弁
DS 圧力センサ
FID 圧力フィルタ
FIS 吸込みフィルタ
K クラッチ
KUH 冷却器
PUD 圧力供給ポンプ
PUK 冷却器ポンプ
RSV 逆止め弁
SPE 油圧槽
SV 切換弁
TEM 温度センサ
TG ギアトレイン
VM 内燃機関
VRV 容積流量制御弁
WW 任意選択のルート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1群のギアシフト要素((1、2);(1、2)、(1’、2’);(1、2、3))を有する、自動車両のパワートレイン用のギアボックス配置構成、場合によっては二段クラッチギアボックス配置構成又はパワーシフトギアボックス配置構成であって、ギアシフト要素に割り当てられたギアが係合されていない少なくとも1つのニュートラルポジションと、前記ギアシフト要素に及びギア係合位置に割り当てられたギアが係合されている少なくとも1つのギア係合位置との間をギアボックス配置構成のハウジングに対して動くことにより、前記ギアボックス配置構成の少なくとも1つの固有ギアを係合するよう及び解除するよう前記ギアシフト要素のそれぞれが作動され得る、ギアボックス配置構成において、
−少なくとも1つの固定装置(210;210’;210’’’;300)が、前記1群の又は前記複数の群の1つの、ギアシフト要素(1、2;1’、2’;1、2、3)すべてに共通して割り当てられ、
−前記少なくとも1つの固定装置は、すべての前記ギアシフト要素がニュートラルポジションにある場合には解放状態にあり、
―前記少なくとも1つの固定装置は、前記ギア係合位置又は1つのそのような位置に前記ギアシフト要素の1つが動くことにより、前記解放状態から前記固定状態に動き得、固定位置にある場合には、前記固定装置は、1つの他のギアシフト要素又は複数の他のギアシフト要素すべてが前記ニュートラルポジションから前記ギア係合位置に又は1つのそのような位置に動くのを防止することを特徴とする、ギアボックス配置構成。
【請求項2】
解放状態にある場合には、前記固定装置(210;210’;210’’’;300)により、前記割り当てられたギアシフト要素(1、2;1’、2’;1、2、3)が、前記ニュートラルポジションから前記ギア係合位置に又は1つのそのような位置に動くことができることを特徴とする請求項1に記載のギアボックス配置構成。
【請求項3】
解放状態にある場合には、前記固定装置(210;210’;210’’’;300)により、前記割り当てられたギアシフト要素(1、2;1’、2’;1、2、3)が、前記ギアシフト要素の1つのみが一度に前記ギア係合位置に又は1つのそのような位置に動き得るように、前記ニュートラルポジションから前記ギア係合位置に又は1つのそのような位置に動くことができることを特徴とする請求項1に記載のギアボックス配置構成。
【請求項4】
固定された状態においては、前記1つの他のギアシフト要素又は前記複数の他のギアシフト要素すべてが、所与の最大作動力に対して前記ニュートラルポジションから前記ギア係合位置に又は1つのそのような位置に動くのを防止するよう保たれ、好ましくは固定されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のギアボックス配置構成。
【請求項5】
解放状態にある場合には、前記固定装置(210;210’;210’’’;300)が、前記割り当てられたギアシフト要素(1、2;1’、2’;1、2、3)が所定の最小作動力未満の作動力の作用で前記ニュートラルポジションから前記ギア係合位置に又は1つのそのような位置に動くのを防止する、請求項1〜4のいずれか一項に記載のギアボックス配置構成。
【請求項6】
解放された状態においては、前記割り当てられたギアシフト要素(1、2;1’、2’;1、2、3)すべてが、所定の最小作動力未満の作動力に対して前記ニュートラルポジションから動くのを防止するよう保たれ、好ましくは固定されることを特徴とする請求項5に記載のギアボックス配置構成。
【請求項7】
解放された状態である場合には、個々の割り当てられたギアシフト要素の固定が、前記最小作動力又は前記最小作動力より大きい作動力を働かせることによって克服され得ることを特徴とする、請求項4に関連する、請求項6に記載のギアボックス配置構成。
【請求項8】
前記ギアシフト要素(1、2;1’、2’;1、2、3)の1つが前記ニュートラルポジションから前記ギア係合位置に又は1つのそのような位置に動くことにより、前記1つの他のギアシフト要素又は前記複数の他のギアシフト要素すべてに作用し、かつこの又はこれらの要素を前記ニュートラルポジションに保つ保持力が、起動され得又は増加し得ることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載のギアボックス配置構成。
【請求項9】
前記ギアシフト要素(1、2;1’、2’;1、2、3)の1つが前記ニュートラルポジションから前記ギア係合位置に又は1つのそのような位置に動くことにより、前記1つの他のギアシフト要素又は前記複数の他のギアシフト要素すべてを前記ニュートラルポジションに固定する固定係合が、起動され得又は増加し得ることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載のギアボックス配置構成。
【請求項10】
前記固定装置(210;210’;210’’’)が、前記ギアシフト要素に対して好ましくは弾力的に予張されかつ前記個々のギアシフト要素案内面に確実に作用する固定要素配置構成(212;212’;212’’’)を備えて構成され、前記ギアシフト要素の1つが前記ニュートラルポジションから前記ギア係合位置に又は1つのそのような位置に動くことにより、前記固定要素配置構成の少なくとも1つの要素も同様に動いて、この結果、前記固定要素配置構成に、前記1つの他のギアシフト要素又は前記複数の他のギアシフト要素すべてに対してより強く張力がかけられるよう前記ギアシフト要素案内面はが構成されることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載のギアボックス配置構成。
【請求項11】
バネ付きプランジャ配置構成(212;212’)又はボール配置構成が、2つのギアシフト要素(1、2;1’,2’)の間に張力をかけて設置され、該当のギアシフト要素が前記ニュートラルポジションにある場合には、プランジャ又はボール配置構成が当該ギアシフト要素の前記ギアシフト要素案内面の窪み(214−1;214−2)内で確実に係合することを特徴とする請求項10に記載のギアボックス配置構成。
【請求項12】
前記固定装置(210;210’’’;300)が少なくとも1つの固定要素(212;214’’’;302)を有し、当該少なくとも1つの固定要素は移動可能に支持され、かつ前記ギアシフト要素が前記ニュートラルポジションにある場合には、前記ギアシフト要素の少なくとも1つと保持係合するか又は保持係合し得るような大きさにされ、前記ギアシフト要素のいずれかは、前記ニュートラルポジションから前記ギア係合位置に又は1つのそのような位置に動いて、前記ギアシフト要素の任意の1つが前記ニュートラルポジションから前記ギア係合位置に又は1つのそのような位置に動いた後、前記固定要素が、前記ニュートラルポジションから動いた前記ギアシフト要素によって、前記1つの他のギアシフト要素又は前記複数の他のギアシフト要素すべてと保持係合することを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載のギアボックス配置構成。
【請求項13】
前記保持係合が、前記固定要素(212;214’’’;302)の係合端などの係合区間と、該当のギアシフト要素の表面における窪みなどの係合区間との間の確実係合であることを特徴とする請求項12に記載のギアボックス配置構成。
【請求項14】
前記ギアシフト要素が前記ニュートラルポジションにある場合には、前記固定要素(212)が、第1のギアシフト要素との保持係合と第2のギアシフト要素との保持係合との間で正確に一方向に動き得、特に線形に動き得ることを特徴とする請求項12又は請求項13に記載のギアボックス配置構成。
【請求項15】
前記ギアシフト要素が前記ニュートラルポジションにある場合には、前記固定要素(214’’’)が、2つより多いギアシフト要素との保持係合の間でいくつかの方向に動き得、特に線形に動き得ることを特徴とする請求項12又は請求項13に記載のギアボックス配置構成。
【請求項16】
前記ギアシフト要素が前記ニュートラルポジションにある場合には、前記固定要素(302)が、第1のギアシフト要素との保持係合と第2のギアシフト要素との保持係合の間で枢転し得ることを特徴とする請求項12又は請求項13に記載のギアボックス配置構成。
【請求項17】
前記ギアシフト要素が前記ニュートラルポジションにある場合には、これに関連するギアシフト要素との1つの固定要素(212;214’’’;302)の最小の保持係合は、ノンロッキングタイプの係合であり、当該ノンロッキングタイプの係合は、前記ギアシフト要素が前記ギア係合位置又は1つのそのような位置の方に動くことによって克服され得るものであること;前記ギアシフト要素が前記ニュートラルポジションから前記ギア係合位置に又は1つのそのような位置に動いた後、前記1つの他のギアシフト要素との又は前記複数の他のギアシフト要素すべてとの1つの固定要素(212;214’’’;302)の最小の保持係合は、所与の作動力によっては克服され得ないか、少なくとも克服されず、かつ前記ニュートラルポジションから動いた前記ギアシフト要素によって固定される、ロッキングタイプの係合であることを特徴とする請求項12〜16のいずれか一項に記載のギアボックス配置構成。
【請求項18】
他のギアシフト要素又は1群の他の複数のギアシフト要素の1つが前記ギア係合位置に又は1つのそのような位置にある間に、ギア係合作動力が前記ニュートラルポジションにある前記1群のギアシフト要素の1つに働き、前記固定装置(210;210’;210’’’;300)が、前記働いたギア係合作動力に対して前記1つのギアシフト要素をニュートラルポジションに保つこと;働いたギア解除作動力の作用で前記ギア係合位置から前記ニュートラルポジションに前記他のギアシフト要素が動くことにより、前記固定装置(210;210’;210’’’;300)が解放状態に動き得て、前記働いたギア係合作動力作用で前記ニュートラルポジションから前記ギア係合位置に又は1つのそのような位置に前記1つのギアシフト要素が動き得ることを特徴とする請求項1〜17のいずれか一項に記載のギアボックス配置構成。
【請求項19】
前記ギアシフト要素が、ギアシフトロッド(1、2;1’、2’;1、2、3)として構成されることを特徴とする請求項1〜18のいずれか一項に記載のギアボックス配置構成。
【請求項20】
前記群(又は該当する群)が、2つのギアシフト要素(1、2;1’、2’)を有することを特徴とする請求項1〜19のいずれか一項に記載のギアボックス配置構成。
【請求項21】
前記群(又は該当する群)が、2つより多いギアシフト要素を有することを特徴とする請求項1〜19のいずれか一項に記載のギアボックス配置構成。
【請求項22】
独自に作動可能な少なくとも2群のギアシフト要素が設けられることを特徴とする請求項1〜21のいずれか一項に記載のギアボックス配置構成。
【請求項23】
ギアシフト要素が自動的に作動され得るように、アクチュエータ配置構成(192−1、192−2;194−1、194−2)が前記ギアシフト要素に割り当てられることを特徴とする請求項1〜21のいずれか一項に記載のギアボックス配置構成。
【請求項24】
前記1群の又は少なくとも1群の各ギアシフト要素が、それ自身の少なくとも1つのアクチュエータ(192−1;192−2;194−1;194−2)を備えることで、前記ギアシフト要素の間で移動方向に作用する作動力が、前記群の幾つかのギアシフト要素に同時に作用し得ることを特徴とする請求項23に記載のギアボックス配置構成。
【請求項25】
駆動装置、特に内燃機関と、
請求項1〜24のいずれか一項に記載のギアボックス配置構成、特に2群のギアシフト要素を有する、二段クラッチギアボックス配置構成又はパワーシフトギアボックス配置構成と、
前記駆動装置と前記ギアボックス配置構成との間でトルクを伝達するためのクラッチ装置、特に二段クラッチ装置と
を備えた自動車両のパワートレイン。
【請求項26】
請求項1〜24のいずれか一項に記載のギアボックス配置構成のギアをシフトするための方法であって、
ギア係合作動力が、前記1群の前記1つの他の又は前記複数の他のギアシフト要素すべてがギア係合位置にある間に、前記ニュートラルポジションにあるギアシフト要素の前記1群の又は前記複数の群の1つのギアシフト要素に働き、前記1つのギアシフト要素が、前記固定装置(210;210’;210’’’;300)によって前記ニュートラルポジションに保たれ、したがって、前記他のギアシフト要素が前記ギア係合位置にある限り、前記働いたギア係合作動力によって動かされるのが防止され、
ギア解除力が、前記他のギアシフト要素が前記ギア係合位置から前記ニュートラルポジションに動くよう前記他のギアシフト要素に働き、前記ギア係合位置から前記ニュートラルポジションに前記他のギアシフト要素が動くことにより、前記固定装置が解放状態へと動き、前記1つのギアシフト要素が、前記働いたギア係合力の作用で前記ニュートラルポジションから前記ギア係合位置に又は1つのそのような位置に動く、ギアシフトシーケンスによって特徴づけられる方法。
【請求項27】
請求項1〜24のいずれか一項に記載の二段クラッチギアボックス配置構成又はパワーシフトギアボックス配置構成のギアをシフトするための、請求項26に記載の方法であって、
前記シフトシーケンスが、始動ギアから目標ギアまでの前記ギアボックス配置構成のマルチギアシフトを含み、前記始動ギアに割り当てられたギアシフト要素及び前記目標ギアに割り当てられたギアシフト要素が同じ群のギアシフト要素に属し、前記始動ギアから前記目標ギアにシフトするプロセス中に、ギア係合作動力が前記1つのギアシフト要素に働き、前記ギア解除作動力が前記他のギアシフト要素に働くことを特徴とする方法。
【請求項28】
前記シフトシーケンスが、マルチギアシフトダウン、特にプルタイプのマルチギアシフトダウンであることを特徴とする請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記シフトシーケンスが、始動ギア/前記始動ギアと目標ギア/前記目標ギアとの間の、少なくとも1つのクロスオーバシフト段階、好ましくは少なくとも2つのクロスオーバシフト段階を有することを特徴とする請求項26〜28のいずれか一項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2008−504492(P2008−504492A)
【公表日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−517150(P2007−517150)
【出願日】平成17年6月17日(2005.6.17)
【国際出願番号】PCT/EP2005/006505
【国際公開番号】WO2006/000338
【国際公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【出願人】(504115002)ツェットエフ フリードリッヒスハーフェン アーゲー (23)
【出願人】(506423866)ドクター インジェニーア ハー.ツェー.エフ. ポルシェ アクチエンゲゼルシャフト (1)
【Fターム(参考)】