説明

ギアポンプ

【課題】駆動ギアよりも少ない歯を有する被駆動ギアを備えたギアポンプを提供する。
【解決手段】ギアポンプ20は、駆動手段21に接続されかつ複数の歯30を有する駆動ギア26と、駆動ギア歯30と係合する複数の歯32を有する被駆動ギア28と、をハウジング19内に備える。ギア歯は、接触面40および非接触面42を有する。駆動ギア歯30は、被駆動ギア歯32の接触面42と接触し、被駆動ギア28を回転させる。ギアの回転により、流体が歯間のスペースを通って入口22から出口24へと移動する。被駆動ギア28の直径は、駆動ギア26の直径よりも小さい。駆動ギア歯30は、被駆動ギア歯32よりも歯数が多い。被駆動ギア歯32の面は、ギアの軸から半径方向外側に延びる半径によって画定される中心線に対して非対称である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ギアポンプに関し、特に、駆動ギアよりも少ない歯を備えた被駆動ギアを有するギアポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
周知のギアポンプは、通常、平行の軸を中心に回転するように取付けられた一対のギアを有する。一方のギアは、モータなどの駆動装置により回転する。駆動ギアのギア歯は、被駆動ギアのギア歯に係合して、駆動ギアによって被駆動ギアが回転する。ギア歯間のスペースによってポンプチャンバが形成され、このポンプチャンバによって流体が双方のギアの外周に沿って入口から出口へと移動する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ギアポンプが複数の流体、特に燃料を圧送するために用いられる場合に課題が生じる。ギアポンプを燃料ポンプとして用いる場合、作動時の圧力および温度が、ギアに使用されている材料に問題が生じ得るレベルに達してしまうことがある。
【0004】
通常、接触スライド速度やギアの摩耗を減少させるためには、歯数が多いことが望ましいと考えられている。また、歯数が多いことは、供給ラインおよび吐出ラインにおける圧力リップルを減少させるためにも望ましいと考えられている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
ギアポンプは、動力源に接続され、かつ第1の複数の歯を有する第1のギアを有する。第2のギアは、駆動ギアの歯と係合する第2の複数の歯を有する。駆動ギアの歯は、接触面において第2のギアの歯と接触して、第2のギアを回転させる。第1の複数の歯は、第2の複数の歯よりも多い。
【0006】
本発明の上記および他の特徴は、以下の記載および添付の図面から理解することができる。図面について以下に簡単に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明によるギアポンプの概略図。
【図2】本発明のギアポンプの被駆動ギアの歯の形状を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1は、ギアポンプ20を示しており、このギアポンプ20は、駆動ギア26および被駆動ギア28が設けられたハウジング19を有する。周知のように、駆動ギア26の歯30は、被駆動ギア28の歯32の接触面42と接触し、被駆動ギア28を回転させる。駆動ギア26は、図1に示すように時計回りに回転し、被駆動ギア28は、反時計回りに回転する。ギアの回転により、流体が歯間のスペースを通って入口22から出口24へと移動する。駆動手段21により、駆動ギア26が駆動される。任意選択で、電力の生成や流体の圧送をもたらすように、発電機、つまり遠心ポンプ23などの構成要素を被駆動ギア28に取り付けてもよい。構成要素を駆動する動力はギアの噛合部分を介して伝達されるため、ギア歯間の応力がより高くなる。
【0009】
図1に示すように、駆動ギア26は、第1の歯部(例えば、図では16個)を有し、被駆動ギア28は、より少ない第2の歯部(例えば、図では13個)を有する。各ギアは、上記以外の歯数を有していてもよい。
【0010】
より多くの駆動ギアの歯数によって、被駆動ギアの歯数の減少によるポンプの流量の低下や流れの脈動(flow pulsation)の著しい増加が生じなくなる。
【0011】
図1から分かるように、被駆動ギア28は、駆動ギア26よりも小さい直径を有する。これにより、ポンプの大きさや重量を減少させることができる。
【0012】
本発明では、高速の被駆動ギアに取付けられた高速の発電機やポンプなどの構成要素により、歯の接触による応力が増加する。遠心ポンプおよび発電機は、高速で運転すると、効率が向上するとともに、重量が減少する。独立した駆動部に構成要素を取り付ける場合と異なり、付加的な構成要素をポンプ内に包含することによりさらに重量を低減させることできる。
【0013】
ギア歯の曲率半径を増加させることにより、さらなる耐摩耗性がもたらされる。通常、これは、動力伝達装置に用いられる20°〜25°の圧力角ではなく、運転圧力角を30°とすることにより実現する。運転圧力角を増加させると、歯の頂点の幅およびかみあい率が共に減少する。ポンプの効率を向上させるとともに、鋭い頂点に伴う取り扱い時のダメージを減少させるために、ギア歯の頂点の厚さを最小にすることが望ましい。このため、本発明では、上記の限定を克服するために、非対称のギア歯を採用する。例えば、接触面の圧力角を30°から35°に増加させる。これにより、ギア歯が広くなり、歯の接触側の曲率半径が増加する。被駆動ギア歯を受けるのに必要なスペースを維持するために、ギア歯の非接触面は薄くなければならない。これは、非接触面の圧力角を30°から25°に減少させることにより実現する。
【0014】
図2に示すように、ギア歯30,32の特別な形状は、接触面42を画定するように用いられる相対的により大きい曲率半径を有する第1のインボリュートを含む。接触面42の曲率半径を画定するために用いられる基準円を円34として示す。非接触面40は、基準円36から画定される曲率半径を有するインボリュートによって形成される。接触面により大きい曲率半径を有することにより、ギア歯32は、歯の摩耗やダメージに対する抵抗性が増す。
【0015】
図示するギア歯の頂点46は平坦である。ギア歯32間のスペーサつまりギャップ38は、非接触面40の曲率半径に対応する円36の内側へと半径方向内側に延びているが、このスペースは、接触面42の曲率半径に対応する円34の半径方向外側に位置する。
【0016】
還元すると、被駆動ギアの歯は、ギア歯の軸から半径方向外側に延びる半径により画定される中心線に対して非対称の面を有している。
【0017】
本発明の実施例を開示したが、当業者であれば、本発明の範囲から逸脱することなく修正が加えられることを理解されるであろう。したがって、本発明の内容および範囲を決定するように以下の特許請求の範囲を検討されたい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
動力源に接続され、かつ第1の複数の歯を有する第1のギアと、
第2の複数の歯を有する第2のギアと、
を備え、
第1のギアの歯は、接触面において第2のギアの歯と接触して、第2のギアを回転させ、
第1の複数の歯は、第2の複数の歯よりも多いことを特徴とするギアポンプ。
【請求項2】
第2のギアの外径は、第1のギアの外径よりも小さいことを特徴とする請求項1に記載のギアポンプ。
【請求項3】
第2のギアが駆動すると動力を生じさせるように、第2のギアに対応する構成要素を備えることを特徴とする請求項1に記載のギアポンプ。
【請求項4】
前記ギアの歯の各々は、第2のギアの中心から第2のギアの各歯の頂点へと半径方向外側に延びる半径により画定された中心線に対して非対称の面を有することを特徴とする請求項1に記載のギアポンプ。
【請求項5】
第2のギアの歯は、接触面および非接触面を有し、該接触面は、歯の頂点が効果的により厚くなるように設計されることを特徴とする請求項4に記載のギアポンプ。
【請求項6】
接触面および非接触面の各々は、インボリュートにより画定され、接触面を画定するインボリュートは、非接触面を画定するインボリュートよりも曲率半径が大きいことを特徴とする請求項4に記載のギアポンプ。
【請求項7】
第2の複数の歯における隣接する歯の間にギャップが周方向に沿って画定され、該ギャップは、非接触面を画定するインボリュートに対応する曲率半径を画定する円を超えて半径方向内側に延びることを特徴とする請求項6に記載のギアポンプ。
【請求項8】
接触面の曲率半径を画定する円は、ギャップにおける最も半径方向内側の位置よりも半径方向内側に位置することを特徴とする請求項7に記載のギアポンプ。
【請求項9】
動力源に接続され、かつ第1の複数の歯を有する第1のギアと、
第2の複数の歯を有する第2のギアと、
を備えるギアポンプであって、
第1のギアの歯は、接触面において第2のギアの歯と接触して、第2のギアを回転させ、
第1の複数の歯は、第2の複数の歯よりも多く、
第2のギアの外径は、第1のギアの外径よりも小さく、
前記ギアの面は、第2のギアの中心から第2のギアの各歯の頂点へと半径方向外側に延びる半径により画定された中心線に対して非対称であり、
第2のギアの歯は、接触面および非接触面を有し、該接触面は、歯の頂点が効果的により厚くなるように設計され、
接触面および非接触面の各々は、インボリュートにより画定され、接触面を画定するインボリュートは、非接触面を画定するインボリュートよりも曲率半径が大きく、
第2の複数の歯における隣接する歯の間にギャップが周方向に画定され、該ギャップは、非接触面を画定するインボリュートに対応する曲率半径を画定する円を超えて半径方向内側に延びており、
接触面の曲率半径を画定する円は、ギャップにおける最も半径方向内側の位置より半径方向内側に位置することを特徴とするギアポンプ。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−144715(P2010−144715A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−251574(P2009−251574)
【出願日】平成21年11月2日(2009.11.2)
【出願人】(500107762)ハミルトン・サンドストランド・コーポレイション (165)
【氏名又は名称原語表記】HAMILTON SUNDSTRAND CORPORATION
【住所又は居所原語表記】One Hamilton Road, Windsor Locks, CT 06096−1010, U.S.A.
【Fターム(参考)】