ギヤ伝動装置の組立及びバックラッシュ測定設備
【課題】ギヤケースに第1及び第2ギヤ等の伝動部品を組み込む組立作業と,第1及び第2ギヤ間のバックラッシュの測定とを一連のコンベア上で行うことを可能にする。
【解決手段】ギヤケース1に,互いに噛合する第1及び第2ギヤを含む伝動部品を組み込む組立作業を行う第1コンベア31と,それの下流端に,第1コンベア31と平行に配列される第3コンベア33を第2コンベア32を介して接続し,第1及び第3コンベア31,33間に,所定の測定位置Cで第1及び第2ギヤ間のバックラッシュを自動的に測定し得るバックラッシュ測定装置35を配設し,このバックラッシュ測定装置35の測定位置と第3コンベア33上の移載位置との間には,伝動部品組み込み済みのギヤケース1の受け渡しを可能にするワーク受け渡し手段を設けた。
【解決手段】ギヤケース1に,互いに噛合する第1及び第2ギヤを含む伝動部品を組み込む組立作業を行う第1コンベア31と,それの下流端に,第1コンベア31と平行に配列される第3コンベア33を第2コンベア32を介して接続し,第1及び第3コンベア31,33間に,所定の測定位置Cで第1及び第2ギヤ間のバックラッシュを自動的に測定し得るバックラッシュ測定装置35を配設し,このバックラッシュ測定装置35の測定位置と第3コンベア33上の移載位置との間には,伝動部品組み込み済みのギヤケース1の受け渡しを可能にするワーク受け渡し手段を設けた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,ギヤケースに,互いに噛合する第1及び第2ギヤを含む伝動部品を組み込む組立作業と,前記第1及び第2ギヤ間のバックラッシュの測定とを行う,ギヤ伝動装置の組立及びバックラッシュ測定設備に関する。
【背景技術】
【0002】
従来,ギヤケースに,互いに噛合する第1及び第2ギヤを含む伝動部品を組み込む組立作業は組立用コンベアで行い,その後,組立用コンベアから下ろした伝動部品組み込み状態のギヤケースを,バックラッシュ装置(特許文献1参照)を設置した別の場所に移して前記第1及び第2ギヤ間のバックラッシュの測定を行っていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−52705号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように,ギヤケースに第1及び第2ギヤ等を組み込む組立作業と,第1及び第2ギヤ間のバックラッシュの測定を別の場所で行うことは,作業能率を低下させるのみならず,組立コンベア及びバックラッシュ測定装置の設置のためのスペース効率が悪く,これらは製品コストの低減の障害となる。
【0005】
本発明は,かゝる事情に鑑みてなされたもので,ギヤケースに第1及び第2ギヤ等の伝動部品を組み込む組立作業と,第1及び第2ギヤ間のバックラッシュの測定とを一連のコンベア上で行うことを可能にして,作業能率の向上を図り,しかも組立コンベア及びバックラッシュ測定装置の設置のためのスペース効率の向上をも図ることができるようにしたギヤ伝動装置の組立及びバックラッシュ測定設備を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために,本発明のギヤ伝動装置の組立及びバックラッシュ測定設備は,ギヤケースに,互いに噛合する第1及び第2ギヤを含む伝動部品を組み込む組立作業を行う第1コンベアと,この第1コンベアの下流端に,この第1コンベアと平行に配列される第3コンベアを第2コンベアを介して接続して,前記第1コンベアで前記伝動部品を組み込まれたギヤケースが第2コンベアを介して第3コンベアに移送されるようにし,前記第1及び第3コンベア間に,所定の測定位置で前記第1及び第2ギヤ間のバックラッシュを自動的に測定し得るバックラッシュ測定装置を配設し,このバックラッシュ測定装置の前記測定位置と前記第3コンベア上の移載位置との間には,前記伝動部品組み込み済みのギヤケースの受け渡しを可能にするワーク受け渡し手段を設けたことを第1の特徴とする。
【0007】
また本発明は,第1の特徴に加えて,前記ギヤケースを載置して第1コンベアから第3コンベアへと移動し得るパレットを備え,前記ワーク受け渡し手段は,前記測定位置と前記移載位置との間を移動するワーク保持体と,このワーク保持体に設けられ,ワーク保持体の前記移載位置では,第3コンベアに待機するパレット上の,前記伝動部品組み込み済みのギヤケースを所定位置に保持してパレットから受け取り,ワーク保持体の前記測定位置では,前記バックラッシュ測定装置による前記バックラッシュの測定中,前記ギヤケースを保持続けるワーククランプ機構とを備えることを第2の特徴とする。
【0008】
さらに本発明は,第2の特徴に加えて,前記ワーククランプ機構は,前記バックラッシュの測定後,前記ワーク保持体が移載位置に戻ったとき,前記ギヤケースを解放して,前記第3コンベアで待機する空のパレットに移載し得るようにしたことを第3の特徴とする。
【0009】
さらにまた本発明は,第2の特徴に加えて,前記ワーク保持体の移載位置及び測定位置間にはワーク確認位置を設け,前記ワーク保持体がこのワーク確認位置に来たとき,ワーク保持体上のギヤケースの保持状態が適正が否かを判定するワーク保持状態判定機構を備えることを第4の特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の第1の特徴によれば,第1コンベア上でギヤケースに,互いに噛合する第1及び第2ギヤを含む伝動部品を組み込む組立作業を行い,伝動部品組み込み状態のギヤケースが第2コンベアを介して第3コンベアまで移送されたとき,そのギヤケースは,移載手段によりバックラッシュ測定装置へ移され,第1及び第2ギヤ間のバックラッシュの測定後,再び移載手段により第3コンベアに戻されるので,ギヤケースに第1及び第2ギヤ等を組み込む組立作業と,第1及び第2ギヤ間のバックラッシュの測定とを一連のコンベア上で行うことになり,ギヤケースの移動に無駄が無く,作業能率の向上を図ることができる。しかも,第1及び第3コンベアは,平行に配置されと共に,この両コンベア間にバックラッシュ測定装置が配設されるので,スペース効率が良く,比較的狭隘なスペースに第1〜第3コンベア及びバックラッシュ測定装置を設置することができる。
【0011】
本発明の第2の特徴によれば,ギヤケースを載置するパレットの使用により,第1コンベアにおいてギヤケースへの伝動部品の組み込み作業を容易に行う得ることは勿論,第3コンベアにおいては,ワーク保持体へのギヤケースの位置決め移載をワーククランプ機構により容易,的確に行うことができる。しかもワーク保持体は,ワーククランプ機構によりギヤケースが保持した状態で測定位置へと移動し,バックラッシュ測定装置によるバックラッシュの測定が行われるので,バックラッシュの測定精度を高めることができる。
【0012】
本発明の第3の特徴によれば,バックラッシュの測定を終えたギヤケースをワーク保持体から,第3コンベアで待機する空のパレットに簡単に移載することができ,したがってそのギヤケースを第3コンベアの下流端から搬出することができる。
【0013】
本発明の第4の特徴によれば,伝動部品組み込み状態のギヤケースを保持したワーク保持体が測定位置に到達する前に,ワーク保持状態判定機構により,ワーク保持体上のギヤケースの保持状態が適正が否かを判定されるので,その保持状態が適正な場合のみ,ワーク保持体は測定位置へと送られることになり,バックラッシュの測定を正確に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明のギヤ伝動装置の組立及びバックラッシュ測定設備により組み立てられ,またギヤのバックラッシュが測定される,船外機用ギヤ伝動装置の縦断側面図。
【図2】本発明のギヤ伝動装置の組立及びバックラッシュ測定設備の平面図。
【図3】図2中のバックラッシュ測定装置周りの拡大平面図。
【図4】図3の4−4矢視図。
【図5】図4の5矢視図。挨拶
【図6】図5の要部拡大図。
【図7】図6の7矢視図。
【図8】図3のワーククランプ機構部の拡大図で,該機構の作動状態を示す。
【図9】上記クランプ機構の不作動状態を示す,図8との対応図。
【図10】図4の10矢視拡大図で,シフト切換駆動機構を示す。
【図11】図10の11−11線断面図。
【図12】図3の12−12線断面図で,正逆転駆動機構を示す。
【図13】図12の13−13線断面図。
【図14】図2の14矢視図で,制御タワーを示す。
【図15】駆動ギヤ及び従動ギヤ間のバックラッシュ測定説明図。
【図16】ギヤのバックラッシュ測定時,電子制御ユニットのモニタに表示される駆動ギヤの逆転位置及びトルクの関係線図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施の形態を添付図面に基づいて以下に説明する。
【0016】
先ず,図1により,本発明方法によりバックラッシュが測定されるギヤを備えた船外機の前後進伝動装置について説明する。
【0017】
船外機のケーシングの下部を構成するギヤケース1は,垂直方向の縦ケース部1aと,その下端から後方(図示しない船体の後方を指す。)へ突出する横ケース部1bとよりなっており,縦ケース部1aには,エンジン2より駆動される垂直姿勢のドライブ軸3の上部と下部とが複列アンギュラコンタクトローラベアリング4とニードルベアリング5とを介して支承され,またその前方位置で図示しない前後進切換操作装置6により回動操作される垂直姿勢のシフト軸7が支承される。横ケース部1bには,その後端から中間部に亙りプロペラ軸ホルダ8が嵌装され,その後端部が横ケース部1bの後端にボルト9により固着される。このプロペラ軸ホルダ8には,後端にプロペラ14が装着される水平姿勢のプロペラ軸10の中間部と後端部とがスラストニードルベアリング11とラジアルニードルベアリング12とをそれぞれ介して支承される。
【0018】
プロペラ軸10は,ドライブ軸3の直下を横切るようにプロペラ軸ホルダ8から前方へ延びており,このプロペラ軸10と前記ドライブ軸3との間に,その間の伝動を行うと共にその伝動方向を切り換え得る前後進切換装置15が設けられる。この前後進切換装置15は,ドライブ軸3の下端部にスプライン嵌合して固定されるベベル型の駆動ギヤ16と,この駆動ギヤ16の前部及び後部にそれぞれ噛合する,何れもベベル型の前進用従動ギヤ17及び後進用従動ギヤ18と,これら両従動ギヤ17,18間においてプロペラ軸10に摺動自在にスプライン嵌合されるドグクラッチ部材19とを備えており,上記前進用従動ギヤ17は,そのハブ17aがアンギュラコンタクトローラベアリング20を介してギヤケース1に支持されると共に,ニードルベアリング21を介してプロペラ軸10の前端部を支持するように配置され,後進用従動ギヤ18は,そのハブ18aがプロペラ軸ホルダ8の前端部に複列のボールベアリング23を介して支承されると共に,ニードルベアリング22を介してプロペラ軸10を支持するように配置される。これら前進用及び後進用従動ギヤ17,18のハブ17a,18aは,それぞれの内端にドグクラッチ部材19の両端に対向するドグ17b,18bを備えている。而して,ドグクラッチ部材19は,前記シフト軸7の回転操作により中立位置,その前方の前進位置,中立位置の後方の後進位置の三位置に切り換えし得るようになっており,その中立位置では,両従動ギヤ17,18のドグ17b,18bの何れとも係合しないので,両従動ギヤ17,18をプロペラ軸10に対して自由にしてドライブ軸3及びプロペラ軸10間の伝動を遮断する。前進位置では,ドグクラッチ部材19は,前進用従動ギヤ17のドグ17bに係合して前進用従動ギヤ17をプロペラ軸10に連結するので,ドライブ軸3の回転をプロペラ軸10に前進方向の回転として伝達することになり,また後進位置では,ドグクラッチ部材19は,後進用従動ギヤ18のドグ18bに係合して後進用従動ギヤ18をプロペラ軸10に連結するので,ドライブ軸3の回転をプロペラ軸10に前進方向の回転として伝達することになる。
【0019】
このような駆動ギヤ16と,前進用及び後進用従動ギヤ17,18との各間の伝動が効率良くスムーズに行われるよう,それら各ギヤ間のバックラッシュを適正に調整するために,予め厚み選定された第1シム24・第2シム25・第3シム26が,前記複列アンギュラコンタクトローラベアリング4のインナレースの下端とドライブ軸3に形成されたフランジ3aとの間・前記アンギュラコンタクトベアリング20のアウタレースとギヤケース1との相対向するスラスト面間・前記複列ボールベアリング23のアウタレースとプロペラ軸ホルダ8との相対向するスラスト面間にそれぞれ介装される。
【0020】
バックラッシュ測定装置は,上記第1〜第3シム24〜26により調整された駆動ギヤ16と前進用及び後進用従動ギヤ17,18との各間のバックラッシュが適正な否かを判定するために使用されるもので,次にそのバックラッシュ測定装置を含む組立設備について,図2により説明する。
【0021】
図2中,参照符号30は,前記ギヤケース1に前記駆動ギヤ16,前進用及び後進用従動ギヤ17,18等の内装部品を組み込む組立用のコンベアであって,一端部の搬入口31aから延びる第1コンベア31と,この第1コンベア31の下流端から直角に屈曲する,第1コンベア31より短い第2コンベア32と,この第2コンベア32の下流端から第1コンベア31と平行に延びて搬出口33aに至る第3コンベア33と,搬入口31a及び搬出口33a間を接続する第4コンベア34とよりなっており,平面視で長方形をなしいる。上記第1及び第3コンベア31,33間の床上にバックラッシュ測定装置35が設置される。
【0022】
第1コンベア31では,第1作業員M1が搬入口31aから搬入されたギヤケース1をパレット36に載置し,そのギヤケース1に前記ドライブ軸3やプロペラ軸10,前後進切換装置15等の内装部品を組み込んだ後,その内装済みギヤケース1を第2コンベア32を経て第3コンベア33に移行させる。第3コンベア33では,先ず第2作業員M2ががパレット36上で内装済みギヤケース1の姿勢を変えて,ドライブ軸3を水平に,プロペラ軸10の後端を上向きにさせる。次に第3作業員M3がバックラッシュ測定装置35におけるワーク保持体40を第3コンベア33上まで張り出させ,このワーク保持体40上に姿勢変更した内装済みギヤケース1を移載して位置決め固定し,そしてワーク保持体40を第3コンベア33内側のワーク確認位置,測定位置へと順次移動させ,ワーク確認位置では内装済みギヤケース1の機種を判定し,測定位置においてバックラッシュ測定装置35の作動により内装済みギヤケース1内の駆動ギヤ16と前進用及び後進用従動ギヤ17,18との各間のバックラッシュを自動的に測定すると共に,その測定値の適否が判定され,その適否に対応するマーキングが測定後の内装済みギヤケース1に付される。その後,内装済みギヤケース1は,ワーク保持体40により再び第3コンベア33に戻され,第4作業員M4が内装済みギヤケース1をワーク保持体40からパレット36に移載した後,搬出口33aへと搬送し,そこでギヤケース1をパレット36から外し,適正と判定されたものは,次の更なる組立行程へ搬送し,不適と判定されたものは,バックラッシュ再調整行程へ搬送する。
【0023】
第3コンベア33で空になったパレット36は,第4コンベア34を介して第1コンベア31へ移送され,再びギヤケース1内部の組立作業に供される。
【0024】
上記のように,ギヤケース1に駆動ギヤ16,前進用及び後進用従動ギヤ17,18等の伝動部品を組み込む組立作業と,第1及び第2ギヤ間のバックラッシュの測定とは,第1〜第3コンベア31〜33よりなる一連のコンベア上で行うことになり,ギヤケース1の移動に無駄が無く,作業能率の向上を図ることができる。しかも,第1及び第3コンベア31,33は,平行に配置されと共に,この両コンベア間にバックラッシュ測定装置35が配設されるので,スペース効率が良く,比較的狭隘なスペースに第1〜第3コンベア及びバックラッシュ測定装置35を設置することができる。
【0025】
次に,ギヤのバックラッシュ測定装置35について詳細に説明する。
【0026】
図3〜図5において,ギヤのバックラッシュ測定装置35は,第3コンベア33上のワーク移載位置Aと,中間のワーク確認位置Bを経て測定位置Cとの間を移動し得る前記ワーク保持体40と,このワーク保持体40上で,ドライブ軸3を水平に,プロペラ軸10の後端を上向きにしたギヤケース1を位置決め保持するワーククランプ機構41と,このワーククランプ機構41によりワーク保持体40に位置決め保持されたギヤケース1の端面位置及びそのプロペラ軸10の端面位置を検出してそのギヤケース1の保持状態の適否を判定するワーク保持状態判定機構42と,ワーク保持体40の測定位置Cでプロペラ軸10にスラスト荷重を加えて前記アンギュラコンタクトローラベアリング20に負荷を付与し得るスラスト荷重付与機構43と,シフト軸7を切換操作し得る切換駆動機構44と,ギヤケース1内の駆動ギヤ16と前進用及び後進用従動ギヤ17,18との各間のバックラッシュを検出すべくドライブ軸3を正逆転し得る正逆転駆動機構45と,この正逆転駆動機構45で検出されたバックラッシュの値を表示すると共に,その値の適否を判定する電子制御ユニット46を備える制御タワー47とより構成され,それらの詳細を順次説明する。
【0027】
先ず,図3〜6及び図8に示すように,ワーク保持体40は,床に設置される固定台38に前記測定位置C及びワーク移載位置A間を摺動可能に支持され,固定台38には,ワーク保持体40を移動させる駆動手段37が設けられる。ワーク保持体40は,水平壁板40aと,この水平壁板40aの,第3コンベア33の下流側側端より起立する垂直壁板40bとよりなっており,その垂直壁板40bには,その中央部まで内装済みギヤケース1のドライブ軸3を受け入れるスリット52が設けられる。また垂直壁板40bの外側面には,内装済みギヤケース1の上端面1Eに植設された一対の位置決めピン(図1参照)が嵌合する一対の位置決め孔51a,51a;51b,51bが複数機種分,設けられる。而して,内装済みギヤケース1の上端面1Eは,位置決めピン50,50を位置決め孔51a,51a又は51b,51bに嵌合させつゝ垂直壁板40bに当接させるようになっている。尚,複数機種に対応する位置決め孔51a,51a;51b,51bは,それにより位置決めされる各機種の内装済みギヤケース1のドライブ軸3の位置を常に一定にするように配置される。
【0028】
図8及び図9に示すように,ギヤケース1の外周には,ドライブ軸3と直交する水平方向に突出するスタビライザフィン1Fが形成されており,前記ワーククランプ機構41は,垂直壁板40bの内側面側から垂直壁板40bを貫通してスタビライザフィン1Fを垂直壁板40bに対しクランプする閉じ位置D(図8参照)及び,スタビライザフィン1Fに対するクランプを解放する開き位置E(図9参照)間を作動し得る一対のクランプアーム53,53を備える。これらクランプアーム53,53は,垂直壁板40bに軸支される回転板54,54にリンク55,55を介して連結されると共に,リンク機構56を介して単一の操作レバー57に連結され,この操作レバー57の往復回動操作により,クランプアーム53,53を上記のように開閉作動することができる。クランプアーム53,53の,スタビライザフィン1Fに対するの押え部には弾性部材58が付設され,スタビライザフィン1Fの傷つきを防ぐようになっている。
【0029】
再び図4〜図6において,前記スラスト荷重付与機構43は,床に設置される固定台59に第3コンベア33の流れ方向と直交する水平方向に移動可能に支持されるタワー60と,このタワー60を動かすタワー駆動手段61と,タワー60に昇降可能に支持される昇降板62と,この昇降板62を駆動すべくタワー60に取り付けられる昇降板駆動手段63と,昇降板62に第3コンベア33の流れ方向と平行な水平方向に移動可能に支持される支持台64と,この支持台64を駆動すべく昇降板62に取り付けられる支持台駆動手段65と,支持台64に上下摺動可能に支持されるスラスト軸66と,このスラスト軸66を上下駆動すべく支持台64に取り付けられるスラスト軸駆動手段67とよりなっている。スラスト軸66は,下端部に円錐状の押え部66aを備えており,この押え部66aを,内装済みギヤケース1の後端より突出するプロペラ軸10先端面の円錐状のセンタ孔68に係合,押圧することによりプロペラ軸10にスラスト荷重を付与して,前進用従動ギヤ17及びアンギュラコンタクトローラベアリング20に負荷をかけ得るようになっている。
【0030】
また支持台64の下端部には,スラスト軸66の下方延長軸線を囲んで放射状に進退し得る複数のフック69(図6には,その1個のみを示す。)が設けられ,スラスト軸66がプロペラ軸10を押圧するとき,これらフック69は内装済みギヤケース1の前記プロペラ軸ホルダ8の内向き肩部8a(図1参照)に係合して内装済みギヤケース1を引き上げ,スラスト軸66の押圧力による内装済みギヤケース1の無用な動きを防ぐようになっている。
【0031】
図6及び図7に示すように,ワーク保持状態判定機構42は,前記支持台64の第3コンベア33側端部に昇降可能に支持される支持板70と,この支持板70を駆動すべく前記支持台64に取り付けられる支持板駆動手段71と,支持板70に開閉可能に支持される一対のプロペラ軸挟み腕72,72と,これらプロペラ軸挟み腕72,72を開閉駆動する挟み腕駆動手段73と,プロペラ軸挟み腕72,72の上方で支持板70に固着されるブラケット74と,このブラケット74に取り付けられるレーザ式のプロペラ軸センサ75及びギヤケースセンサ76とで構成される。
【0032】
而して,ギヤケース1を位置決め保持したワーク保持体40が第3コンベア33及び測定位置間の中間部にワーク確認位置Bが設定されており,ワーク保持体40がそのワーク判別位置Bに達すると,支持板70を規定の高さに保持した状態で挟み腕駆動手段73を作動して,一対のプロペラ軸挟み腕72,72の把持によりプロペラ軸10を固定し,この状態でプロペラ軸センサ75及びギヤケースセンサ76からプロペラ軸10及びギヤケース1の各端面にレーザビームを照射し,それぞれの反射ビームを感受してプロペラ軸10及びギヤケース1の各端面までの距離を検出信号として電子制御ユニット46に入力し,電子制御ユニット46は,その信号に基づいてギヤケース1のワーク保持体40への保持状態の適否を判定するようになっている。
【0033】
図10及び図11において,前記切換駆動機構44は,前記ワーク保持体40の水平壁板40a上に立設される第2の垂直壁板40cに昇降可能に支持されるギヤボックス78と,このギヤボックス78を昇降させるべく水平壁板40aに取り付けられるギヤボックス駆動手段77と,ギヤボックス78に回転自在に支持されて互いに平行に配置されるモータ軸79及びシフト駆動軸80と,これらモータ軸79及びシフト駆動軸80間を連結する伝動ギヤ列81と,モータ軸79を駆動する正逆転可能なシフト駆動モータ82とを備えている。第2の垂直壁板40cには,ギヤボックス78と共に昇降する部材89を受け止めてギヤボックス78の昇降限界を規制する上下一対のストッパボルト90,90′が調節可能に設けられる。
【0034】
シフト駆動軸80のギヤボックス78外に突出した部分には,前記シフト軸7先端の角軸部7aに嵌合可能な連結孔84を先端に有する筒軸85が摺動自在に嵌合される。筒軸85の周壁には軸方向の長孔86が設けられており,この長孔86に摺動自在に係合する連結ピン87がシフト駆動軸80に固着され,ギヤボックス78と筒軸85との間には,筒軸85を前方,即ちシフト軸7側に付勢するコイルばね88が縮設される。
【0035】
また前記連結ピン87には,筒軸85の外周を囲繞するセンサリング87aが連結ピン87に固着され,このセンサリング87aに対応する一対の第1及び第2位置センサ91,92がギヤボックス78に固定されるステー93に取り付けられる。
【0036】
シフト駆動軸80は,その後端部もギヤボックス78外に突出させており,その後端部に円板94が固着され,この円板94には,その中心を挟んで水平方向で対称的に並ぶ一対の第1接続ピン95,95が固設され,これら第1接続ピン95,95と,ギヤボックス78に固着されるステー96に固設されて,第1接続ピン95,95の上方に配置される一対の第2接続ピン96,96との各間に,同一ばね強さの一対のバランスばね98,98が接続される。シフト駆動モータ82の不作動状態では,両バランスばね98,98の付勢力の均衡作用により円板94を介してシフト駆動モータ82を正逆中立状態に保持するようになっている。
【0037】
而して,中立位置のシフト軸7の角軸部7aの位相が一定しており,シフト駆動モータ82の正逆中立状態では,筒軸85の連結孔84は,上記角軸部7aと位相と一致するようになっている。そこで,中立位置のシフト軸7の角軸部7aに連結孔84を嵌合する際には,先ず筒軸85がシフト軸7との同軸位置に来るようにギヤボックス78を移動した後,ギヤボックス78をシフト軸7に向かって所定距離,前進させれば,連結孔84を角軸部7aに嵌合することになる。その際,もし角軸部7a及び連結孔84間に僅かな位相ずれがあれば,筒軸85はシフト軸7の先端面に当接して止まるが,シフト駆動軸80はコイルばね123,123…を圧縮しながらギヤボックス78と共に所定位置まで前進する。そこで,シフト駆動モータ82を僅かに正転又は逆転させれば,角軸部7a及び連結孔84の位相が一致したとき,コイルばね88の付勢力により筒軸85が前進して連結孔84を角軸部7aに嵌合させることができる。この嵌合後,シフト駆動モータ82の作動を停止すれば,両バランスばね98,98の付勢力の均衡作用によりシフト駆動モータ82を正逆中立状態に戻すことができる。
【0038】
ギヤボックス78が所定距離前進して,筒軸85の連結孔84がシフト軸7の角軸部7aに適正に嵌合すると,第1位置センサ91又は第2位置センサ92がセンサリング87aの位置を検出して,その適正嵌合状態を検出信号として前記電子制御ユニット46に入力するようになっており,電子制御ユニット46は,その検出信号から測定対応の機種のシフト軸7へのシフト駆動軸80の連結を確認することができる。そしてシフト駆動モータ82を所定角度,正転又は逆転させることにより,シフト軸7を中立位置から前進切換位置又は後進切換位置へと回転させることができる。
【0039】
図12及び図13において,前記正逆転駆動機構45は,床に設置される固定台100上に,第3コンベア33の流れ方向に沿う水平方向に移動可能に支持される支持台101と,この支持台101を駆動すべく固定台100に取り付けられる支持台駆動手段102と,支持台101の起立した支持壁101aに調心ベアリング104及びそれに囲繞されるボールベアリング105を介して支承される正逆転軸106とを備えている。この正逆転軸106の後端部には,互いに直列に並ぶ回転位置センサ99,トルクセンサ107,トルクリミッタ108及びジョイント109を介して正逆駆動モータ110が連結される。この正逆駆動モータ110は,後述する支持筒111に取り付けられる。回転位置センサ99には,例えばロータリエンコーダが使用される。
【0040】
正逆転軸106の前端には大フランジ106aが一体に形成されており,これにチャック112が設けられる。このチャック112は,大フランジ106aに取り付けられるチャック駆動部112aと,それに支持されて開閉駆動され,前記ドライブ軸3の先端部を把持し得る一対のチャック爪112b,112bとで構成される。
【0041】
前記調心ベアリング104のインナレースと,ボールベアリング105のアウタレースとは,その間に介在される中間レース113を介して連結される。その中間レース113の後端面には,前記トルクセンサ107,トルクリミッタ108及びジョイント109を囲繞する支持筒111の前端フランジ111aが第1フランジ板114を挟んでボルト115により固着され,この支持筒111の後端部で前記正逆駆動モータ110が支持される。
【0042】
上記支持筒111は,調心機構116を介して前記支持壁101aに支持される。この調心機構116は,支持壁101aの外周面に突設されて調心ベアリング104の半径線に沿って延びるガイド軸117と,第1フランジ板114に固着されていて,ガイド軸117が摺動自在に貫通する長孔118を持った連結腕119とで構成される。したがって,支持筒111は,その軸線周りの回転を阻止されながら,正逆転軸106と共に首振りが可能である。
【0043】
この支持筒111を通常,水平状態に保持する弾性保持機構120が前記支持壁101a及び第1フランジ板114間に設けられる。この弾性保持機構120は,第1フランジ板114に環状配列して固設される多数の円筒状のばね座121,121…と,支持壁101aの一側面に立設されて上記ばね座121,121…を貫通する多数の支持ボルト122,122…と,各支持ボルト122の頭部及びばね座121間に縮設されるコイルばね123とで構成される。而して,環状配列の多数のコイルばね123,123…の弾発力により支持筒111は,通常水平状態に保持される。その際,コイルばね123,123…のセット荷重が第1フランジ板114の上方に行くにつれて増加するように,支持ボルト122,122…の締め込み度合が調節され,これにより支持筒111は重力に抗して水平に保持される。
【0044】
前記中間レース113の前端面には,前記大フランジ106aに対向する第2フランジ板125が固着され,これら大フランジ106a及び第2フランジ板125間に,正逆転軸106の回転に適度な回転抵抗を付与する摩擦機構126が設けられる。この摩擦機構126は,大フランジ106aの外周部に,これを軸方向に貫通するようにして螺合固着される1個又は複数個のシリンダ127(図示例では大フランジ106aの直径線上で対称的に2個のシリンダ127が配置される。)と,このシリンダ127に摺動自在に嵌合して先端の球面部を第2フランジ板125に当接させるプランジャ128と,シリンダ127内に収容されてプランジャ128を第2フランジ板125との当接方向に付勢するばね129とで構成される。而して,正逆転軸106の回転時には,ばね129の付勢力を受けるプランジャ128と第2フランジ板125との当接部に,正逆転軸106の回転に適度な抵抗を与える摩擦が発生し,これにより正逆転軸106の妄動を防ぐようになっている。
【0045】
正逆駆動モータ110の作動による正逆転軸106の回転時,前記回転位置センサ99は,正逆転軸106の回転角度を検出し,前記トルクセンサ107は正逆転軸106のトルクを検出し,それぞれ検出信号を前記電子制御ユニット46に入力する。またトルクリミッタ108は,正逆駆動モータ110から正逆転軸106への駆動トルクがトルクセンサ107の許容値以上になると,スリップしてトルクセンサ107を保護するように働くと共に,そのスリップ状態を信号として前記電子制御ユニット46に入力する。
【0046】
図14に示すように,前記電子制御ユニット46は,複数の機種の駆動ギヤ16と,前進用及び後進用従動ギヤ17,18との各間のバックラッシュの適正値データが入力されていると共に,電源スイッチ130,バックラッシュ測定対象機種を表示する機種表示器131,ワーク保持体40におけるギヤケース1の保持状態の適・否を示す保持状態適・否ランプ137,138,前記ワーク保持状態判定機構42,スラスト荷重付与機構43及び正逆転駆動機構45を自動的に逐次作動する電子制御回路(図示せず),バックラッシュ測定中のトルク波形を表示するモニタ132,測定したバックラッシュ値を表示する数値表示器133,測定したバックラッシュ値の適・否を表示する合格・不合格ランプ135,136等を備えている。
【0047】
次に,内装済みギヤケース1内のギヤのバックラッシュの測定要領について説明する。
【0048】
先ず,バックラッシュ測定対象機種を船外機の機種を電子制御ユニット46に入力して,対応する機種表示器131を点灯しておく。次にククランプ機構41によりギヤケース1を保持したワーク保持体40を第3コンベア33からワーク確認位置Bに移動する。このワーク確認位置Bでは,ワーク保持状態判定機構42が前述のように作動する。即ち,一対のプロペラ軸挟み腕72,72の把持によりプロペラ軸10を固定し,この状態でプロペラ軸センサ75及びギヤケースセンサ76からプロペラ軸10及びギヤケース1の各端面にレーザビームを照射し,それぞれの反射ビームを感受してプロペラ軸10及びギヤケース1の各端面までの距離を検出信号として電子制御ユニット46に入力し,電子制御ユニット46は,それに基づいてワーク保持体40におけるギヤケース1の保持状態の適・否を判定し,それに対応する保持状態適・否ランプ137,138の何れを点灯する。
【0049】
上記判定後は,プロペラ軸挟み腕72,72を開いてワーク保持状態判定機構42を一旦上昇させ,適正判定時には,ワーク保持体40を測定位置Cへと進め,不適性判定時には,ワーク保持体40を移載位置Aまで戻して,ワーククランプ機構41によりギヤケース1の位置決め保持をやり直す。
【0050】
ワーク保持体40を測定位置Cへと進めたときは,最初に,切換駆動機構44の筒軸85を前述のようにシフト軸7に連結して,バランスばね98,98の付勢力の均衡によりシフト軸7を中立位置に保持し,それによりドグクラッチ部材19を中立位置に保持する。次いでスラスト荷重付与機構43の作動して,スラスト軸66によりプロペラ軸10を押圧し,前進用従動ギヤ17を介してアンギュラコンタクトローラベアリング20に負荷を与える。このとき,前述のように,フック69をギヤケース1の前記プロペラ軸ホルダ8の内向き肩部8aに係合してギヤケース1を引き上げ,スラスト軸66の押圧力によるギヤケース1の無用な動きを防いでおく。
【0051】
この状態で正逆転駆動機構45を作動して,チャック112によりドライブ軸3を把持し,正逆転軸106をドライブ軸3に直結させる。このとき,ドライブ軸3と正逆転軸106との間に軸心ずれが存在すれば,調心ベアリング104及び調心機構116の働きにより正逆転軸106の軸線の傾きが許容され,正逆転軸106によるドライブ軸3のスムーズな駆動を可能にする。
【0052】
次いで正逆駆動モータ110により正逆転軸106を数回転,正転又は逆転させることにより,ドライブ軸3を介して駆動ギヤ16を数回転,正転又は逆転させる。これに伴ない駆動ギヤ16が前進用及び後進用従動ギヤ17,18を駆動するが,特に,前進用従動ギヤ17を介してスラスト荷重を受けているアンギュラコンタクトローラベアリング20に馴染み回転を与える。この間に,正逆駆動モータ110から正逆転軸106にトルクセンサ107の許容トルク以上の過度のトルクが伝達されると,トルクリミッタ108の作用により,トルクセンサ107への所定値以上のトルク伝達がカットされ,トルクセンサ107を保護することができる。
【0053】
馴染み回転後は,正逆転軸106によりドライブ軸3を,両ギヤ16,17間の想定されるバックラッシュに対応する角度以上,例えば駆動ギヤ166のピッチ角以上の所定角度,静かに正転させて,図15に示すように,駆動ギヤ16の1つの歯G1を,それに対向する前進用従動ギヤ17の一方の歯G2に当接させ,正逆駆動モータ110の作動を停止する。このとき,正逆転軸106は,摩擦機構126の作用により即座に回転を停止され,慣性回転が阻止される。
【0054】
次いで,正逆駆動モータ110の作動により正逆転軸106及びドライブ軸3を介して駆動ギヤ16を両ギヤ16,17間の想定されるバックラッシュに対応する角度以上の所定角度θ図(16参照),静かに逆転させていく。駆動ギヤ16が回転すると,それに噛合している前進用及び後進用従動ギヤ17,18が同時に駆動されるが,前進用従動ギヤ17を支持するアンギュラコンタクトローラベアリング20が前述のように負荷状態にあるのに対して,後進用従動ギヤ18を支持するボールベアリング23は無負荷状態にあるので,前進用従動ギヤ17の回転トルクの方が後進用従動ギヤ18の回転トルクより遥かに大となっている。したがって,駆動ギヤ16の逆転時,正逆転軸106上のトルクセンサ107が検出するトルクは,前進用従動ギヤ17の回転トルクに依存したものとなる。
【0055】
而して,駆動ギヤ16が,その歯G1の前進用従動ギヤ17の一方の歯G1との当接位置から逆転を開始すると,駆動ギヤ16の歯G1が前進用従動ギヤ17の他方の歯G3に向かって移動し,バックラッシュの区間を移動する間,駆動ギヤ16には負荷がかゝらないが,上記歯G1が他方の歯G3に当接するや否や,それを駆動するようになるので,正逆転軸106のトルクが急増することになり,前進用従動ギヤ17は,前記スラスト荷重に抗して駆動ギヤ16に従動する。
【0056】
上記正逆転軸106の正転,停止及び逆転の間,正逆転軸106の回転位置が回転位置センサ99により,またトルクがトルクセンサ107によりそれぞれ検出され,それぞれの検出信号が電子制御ユニット46に入力されると,電子制御ユニット46では,トルクセンサ107からの検出信号から正逆転軸106のトルクを演算し,また回転位置センサ99からの検出信号から,正逆転軸106の逆転開始時からトルクの急増時期までの正逆転軸106の回転角度を演算し,さらにその回転角度から駆動ギヤ16及び前進用従動ギヤ17間のバックラッシュ値を演算する。そしてモニタ132に正逆転軸106の回転角度及びトルクの関係線図(図16参照)が表示され,数値表示器133にバックラッシュ値が表示され,そのバックラッシュ値が許容範囲内の値であるときは,合格ランプ135を点灯させ,許容範囲外であるときは,不合格ランプ136を点灯させる。
【0057】
このような正逆転軸106の正転,停止及び逆転によるバックラッシュの測定を,駆動ギヤ16を例えば90°位相を変えた箇所で行えば,駆動ギヤ16及び前進用従動ギヤ17間のバックラッシュの適否を,より正確に判定することができる。
【0058】
また正逆転軸106の逆転中,ドライブ軸3に何らかの理由により前記スラスト荷重以上の過負荷が作用した場合には,トルクリミッタ108のスリップ作用によりトルクセンサ107への過負荷の伝達を遮断すると共に,その過負荷状態を信号として電子制御ユニット46に入力する。すると,電子制御ユニット46では,それまでトルクセンサ107及び回転位置センサ99から入力された信号を無効にして,バックラッシュ値の演算を中止する。こうすることで,過負荷による前記歯G1,G3の弾性変形に起因したバックラッシュの測定誤差を排除することができる。
【0059】
次に,駆動ギヤ16及び後進用従動ギヤ18間のバックラッシュの測定に移る。この場合は,先ずスラスト荷重付与機構43を不作動状態に戻して,プロペラ軸10を自由にする。次いで,切換駆動機構44を作動して,シフト駆動軸80によりシフト軸7を介してドグクラッチ部材19を後進位置に保持する。この状態で上記と同様に正逆転軸106の正転,停止及び逆転を行うのであるが,この場合,ドグクラッチ部材19により後進用従動ギヤ18がプロペラ軸10に連結されているのに対して,前進用従動ギヤ17は自由状態になっているので,正逆転軸106の回転時には,プロペラ軸10がスラスト荷重付与機構43から解放されていても,後進用従動ギヤ18及び正逆転軸106には,プロペラ軸10の静止慣性力が負荷として作用することになる。したがって,駆動ギヤ16の逆転時,正逆転軸106上のトルクセンサ107が検出するトルクは,後進用従動ギヤ18の回転トルクに依存したものとなる。
【0060】
尚,この場合,もし,プロペラ軸10の静止慣性力のみでは,後進用従動ギヤ18及び正逆転軸106に作用する負荷が不足するときは,前記機種判別機構42のプロペラ軸挟み腕72,72を利用してプロペラ軸10を軽く挟みつけて,後進用従動ギヤ18及び正逆転軸106に対する負荷を,過負荷とならないよう,適度に増加させることは有効である。
【0061】
而して,前述の駆動ギヤ16及び前進用従動ギヤ17間のバックラッシュの測定時と同様に,正逆転軸106を正転,停止及び逆転させ,回転位置センサ99及びトルクセンサ107の検出信号を電子制御ユニット46に入力することにより,駆動ギヤ16及び後進用従動ギヤ18間のバックラッシュ値を得ると共に,その適否を判定することができる。
【0062】
また前述と同様に,正逆転軸106の正転,停止及び逆転によるバックラッシュの測定を,駆動ギヤ16を例えば90°位相を変えた複数箇所で行えば,駆動ギヤ16及び後進用従動ギヤ18間のバックラッシュの適否を,より正確に判定することができる。
【0063】
かくして,ギヤケース1に組み込まれた駆動ギヤ16と,前進用及び後進用従動ギヤ17,18との各間のバックラッシュを,特別な熟練を要することなく容易,的確に測定することができる。
【0064】
しかも駆動ギヤ16及び前進用従動ギヤ17間,並びに駆動ギヤ16及び後進用従動ギヤ18間の何れのバックラッシュ測定時でも,各従動ギヤ17,18には最小限の負荷が加わることになり,したがって正逆転駆動機構45の回転トルクは比較的小さくて足りるので,測定中,各ギヤ16,17,18に弾性変形が生じることを防ぎ,バックラッシュを正確に測定することができる。
【0065】
また駆動ギヤ16及び前進用従動ギヤ17間のバックラッシュの測定時,プロペラ軸10にスラスト荷重を付与して前進用従動ギヤ17及びアンギュラコンタクトローラベアリング20に負荷をかけた状態は,船外機の実際の運転中,プロペラが発生する推力がプロペラ軸10に作用した状態と同様になり,アンギュラコンタクトローラベアリング20のスラスト方向のガタを排除した状態で上記バックラッシュを正確に測定することになる。
【0066】
さらにギヤケース1は,プロペラ軸10を垂直垂直姿勢に,ドライブ軸3を水平姿勢にしながらワーク保持体40に位置決め保持されるので,ワーク保持体40においてギヤケース1が占めるスペースを最小にすることができ,バックラッシュ測定装置35のコンパクト化に寄与し得る他,ギヤケース1を固定し,安定させ易く,バックラッシュの測定精度を高めることができる。
【0067】
さらにまたワーク保持体40には,複数機種のギヤケース1の位置決めピン50,50に対応した複数の位置決め孔51a,51a;51b,51bが設けられることで,同一のワーク保持体40を,複数の機種のギヤケース1の位置決め保持に使用可能となり,バックラッシュ測定装置35に汎用性を与えることができる。
【0068】
さらにまたチャック112を介して正逆転軸106をドライブ軸3に連結したとき,正逆転軸106及びドライブ軸3間に軸心ずれが生じても,調心ベアリング104及び調心機構116が協働してその軸心ずれを吸収し,正逆駆動モータ110により,正逆転軸106及びドライブ軸3をスムーズに正逆転させることができ,バックラッシュの正確な測定に貢献することができる。
【0069】
さらにまた正逆転駆動機構45において,支持台101及び正逆転軸106間に,その正逆転軸106の回転に摩擦抵抗を与える摩擦機構126が設けられるので,バックラッシュの測定の際,正逆転軸106の回転を正転から逆転に転じるため,正逆転軸106の正転を停止したとき,正逆転軸106の慣性により過回転を摩擦機構126の作用により防ぐことができ,したがって次の逆転によりバックラッシュを正確に測定することができる。
【0070】
またギヤケース1を載置するパレット36の使用により,第1コンベア31においてギヤケース1への伝動部品の組み込み作業を容易に行う得ることは勿論,第3コンベア33においては,ワーク保持体40へのギヤケース1の位置決め移載をワーククランプ機構41により容易,的確に行うことができる。しかもワーク保持体40は,ワーククランプ機構41によりギヤケース1が保持した状態で測定位置Cへと移動し,バックラッシュ測定装置35によるバックラッシュの測定が行われるので,バックラッシュの測定精度を高めることができる。またバックラッシュの測定を終えたギヤケース1をワーク保持体40から,第3コンベア33で待機する空のパレット36に簡単に移載することができ,したがってそのギヤケース1を第3コンベア33の下流端から搬出することができる。
【0071】
さらに駆動ギヤ16,前進用及び後進用従動ギヤ17,18等を組み込んだギヤケース1を保持したワーク保持体40は,測定位置C手前のワーク確認位置Bにおいて,ワーク保持状態判定機構42により,ワーク保持体40上のギヤケース1の保持状態の適否が判定されるので,その保持状態が適正な場合のみ,ワーク保持体40は測定位置Cへと送られることになり,バックラッシュの測定を正確に行うことができる。
【0072】
本発明は上記実施例に限定されるものではなく,その要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更が可能である。例えば,本発明は,船外機以外の装置のギヤケース内のギヤのバックラッシュの測定にも適用することができる。またワーク保持体40にギヤケース1を位置決め保持する際,プロペラ軸10を水平姿勢,ドライブ軸3を垂直姿勢とすることもできる。ギヤのバックラッシュは,駆動ギヤ16の正転後の逆転時,従動ギヤ17,18の回転遅れより演算することもできる。また船外機においては,アンギュラコンタクトローラベアリング20に代えて,アンギュラコンタクトボールベアリングを使用することもある。
【符号の説明】
【0073】
1・・・・・ギヤケース
16・・・・第1ギヤ(駆動ギヤ)
17・・・・第2ギヤ(前進用従動ギヤ)
18・・・・第2ギヤ(後進用従動ギヤ)
31・・・・第1コンベア
32・・・・第2コンベア
33・・・・第3コンベア
35・・・・バックラッシュ測定装置
36・・・・パレット
40・・・・ワーク保持体
41・・・・ワーククランプ機構
42・・・・ワーク保持状態判定機構
【技術分野】
【0001】
本発明は,ギヤケースに,互いに噛合する第1及び第2ギヤを含む伝動部品を組み込む組立作業と,前記第1及び第2ギヤ間のバックラッシュの測定とを行う,ギヤ伝動装置の組立及びバックラッシュ測定設備に関する。
【背景技術】
【0002】
従来,ギヤケースに,互いに噛合する第1及び第2ギヤを含む伝動部品を組み込む組立作業は組立用コンベアで行い,その後,組立用コンベアから下ろした伝動部品組み込み状態のギヤケースを,バックラッシュ装置(特許文献1参照)を設置した別の場所に移して前記第1及び第2ギヤ間のバックラッシュの測定を行っていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−52705号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように,ギヤケースに第1及び第2ギヤ等を組み込む組立作業と,第1及び第2ギヤ間のバックラッシュの測定を別の場所で行うことは,作業能率を低下させるのみならず,組立コンベア及びバックラッシュ測定装置の設置のためのスペース効率が悪く,これらは製品コストの低減の障害となる。
【0005】
本発明は,かゝる事情に鑑みてなされたもので,ギヤケースに第1及び第2ギヤ等の伝動部品を組み込む組立作業と,第1及び第2ギヤ間のバックラッシュの測定とを一連のコンベア上で行うことを可能にして,作業能率の向上を図り,しかも組立コンベア及びバックラッシュ測定装置の設置のためのスペース効率の向上をも図ることができるようにしたギヤ伝動装置の組立及びバックラッシュ測定設備を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために,本発明のギヤ伝動装置の組立及びバックラッシュ測定設備は,ギヤケースに,互いに噛合する第1及び第2ギヤを含む伝動部品を組み込む組立作業を行う第1コンベアと,この第1コンベアの下流端に,この第1コンベアと平行に配列される第3コンベアを第2コンベアを介して接続して,前記第1コンベアで前記伝動部品を組み込まれたギヤケースが第2コンベアを介して第3コンベアに移送されるようにし,前記第1及び第3コンベア間に,所定の測定位置で前記第1及び第2ギヤ間のバックラッシュを自動的に測定し得るバックラッシュ測定装置を配設し,このバックラッシュ測定装置の前記測定位置と前記第3コンベア上の移載位置との間には,前記伝動部品組み込み済みのギヤケースの受け渡しを可能にするワーク受け渡し手段を設けたことを第1の特徴とする。
【0007】
また本発明は,第1の特徴に加えて,前記ギヤケースを載置して第1コンベアから第3コンベアへと移動し得るパレットを備え,前記ワーク受け渡し手段は,前記測定位置と前記移載位置との間を移動するワーク保持体と,このワーク保持体に設けられ,ワーク保持体の前記移載位置では,第3コンベアに待機するパレット上の,前記伝動部品組み込み済みのギヤケースを所定位置に保持してパレットから受け取り,ワーク保持体の前記測定位置では,前記バックラッシュ測定装置による前記バックラッシュの測定中,前記ギヤケースを保持続けるワーククランプ機構とを備えることを第2の特徴とする。
【0008】
さらに本発明は,第2の特徴に加えて,前記ワーククランプ機構は,前記バックラッシュの測定後,前記ワーク保持体が移載位置に戻ったとき,前記ギヤケースを解放して,前記第3コンベアで待機する空のパレットに移載し得るようにしたことを第3の特徴とする。
【0009】
さらにまた本発明は,第2の特徴に加えて,前記ワーク保持体の移載位置及び測定位置間にはワーク確認位置を設け,前記ワーク保持体がこのワーク確認位置に来たとき,ワーク保持体上のギヤケースの保持状態が適正が否かを判定するワーク保持状態判定機構を備えることを第4の特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の第1の特徴によれば,第1コンベア上でギヤケースに,互いに噛合する第1及び第2ギヤを含む伝動部品を組み込む組立作業を行い,伝動部品組み込み状態のギヤケースが第2コンベアを介して第3コンベアまで移送されたとき,そのギヤケースは,移載手段によりバックラッシュ測定装置へ移され,第1及び第2ギヤ間のバックラッシュの測定後,再び移載手段により第3コンベアに戻されるので,ギヤケースに第1及び第2ギヤ等を組み込む組立作業と,第1及び第2ギヤ間のバックラッシュの測定とを一連のコンベア上で行うことになり,ギヤケースの移動に無駄が無く,作業能率の向上を図ることができる。しかも,第1及び第3コンベアは,平行に配置されと共に,この両コンベア間にバックラッシュ測定装置が配設されるので,スペース効率が良く,比較的狭隘なスペースに第1〜第3コンベア及びバックラッシュ測定装置を設置することができる。
【0011】
本発明の第2の特徴によれば,ギヤケースを載置するパレットの使用により,第1コンベアにおいてギヤケースへの伝動部品の組み込み作業を容易に行う得ることは勿論,第3コンベアにおいては,ワーク保持体へのギヤケースの位置決め移載をワーククランプ機構により容易,的確に行うことができる。しかもワーク保持体は,ワーククランプ機構によりギヤケースが保持した状態で測定位置へと移動し,バックラッシュ測定装置によるバックラッシュの測定が行われるので,バックラッシュの測定精度を高めることができる。
【0012】
本発明の第3の特徴によれば,バックラッシュの測定を終えたギヤケースをワーク保持体から,第3コンベアで待機する空のパレットに簡単に移載することができ,したがってそのギヤケースを第3コンベアの下流端から搬出することができる。
【0013】
本発明の第4の特徴によれば,伝動部品組み込み状態のギヤケースを保持したワーク保持体が測定位置に到達する前に,ワーク保持状態判定機構により,ワーク保持体上のギヤケースの保持状態が適正が否かを判定されるので,その保持状態が適正な場合のみ,ワーク保持体は測定位置へと送られることになり,バックラッシュの測定を正確に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明のギヤ伝動装置の組立及びバックラッシュ測定設備により組み立てられ,またギヤのバックラッシュが測定される,船外機用ギヤ伝動装置の縦断側面図。
【図2】本発明のギヤ伝動装置の組立及びバックラッシュ測定設備の平面図。
【図3】図2中のバックラッシュ測定装置周りの拡大平面図。
【図4】図3の4−4矢視図。
【図5】図4の5矢視図。挨拶
【図6】図5の要部拡大図。
【図7】図6の7矢視図。
【図8】図3のワーククランプ機構部の拡大図で,該機構の作動状態を示す。
【図9】上記クランプ機構の不作動状態を示す,図8との対応図。
【図10】図4の10矢視拡大図で,シフト切換駆動機構を示す。
【図11】図10の11−11線断面図。
【図12】図3の12−12線断面図で,正逆転駆動機構を示す。
【図13】図12の13−13線断面図。
【図14】図2の14矢視図で,制御タワーを示す。
【図15】駆動ギヤ及び従動ギヤ間のバックラッシュ測定説明図。
【図16】ギヤのバックラッシュ測定時,電子制御ユニットのモニタに表示される駆動ギヤの逆転位置及びトルクの関係線図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施の形態を添付図面に基づいて以下に説明する。
【0016】
先ず,図1により,本発明方法によりバックラッシュが測定されるギヤを備えた船外機の前後進伝動装置について説明する。
【0017】
船外機のケーシングの下部を構成するギヤケース1は,垂直方向の縦ケース部1aと,その下端から後方(図示しない船体の後方を指す。)へ突出する横ケース部1bとよりなっており,縦ケース部1aには,エンジン2より駆動される垂直姿勢のドライブ軸3の上部と下部とが複列アンギュラコンタクトローラベアリング4とニードルベアリング5とを介して支承され,またその前方位置で図示しない前後進切換操作装置6により回動操作される垂直姿勢のシフト軸7が支承される。横ケース部1bには,その後端から中間部に亙りプロペラ軸ホルダ8が嵌装され,その後端部が横ケース部1bの後端にボルト9により固着される。このプロペラ軸ホルダ8には,後端にプロペラ14が装着される水平姿勢のプロペラ軸10の中間部と後端部とがスラストニードルベアリング11とラジアルニードルベアリング12とをそれぞれ介して支承される。
【0018】
プロペラ軸10は,ドライブ軸3の直下を横切るようにプロペラ軸ホルダ8から前方へ延びており,このプロペラ軸10と前記ドライブ軸3との間に,その間の伝動を行うと共にその伝動方向を切り換え得る前後進切換装置15が設けられる。この前後進切換装置15は,ドライブ軸3の下端部にスプライン嵌合して固定されるベベル型の駆動ギヤ16と,この駆動ギヤ16の前部及び後部にそれぞれ噛合する,何れもベベル型の前進用従動ギヤ17及び後進用従動ギヤ18と,これら両従動ギヤ17,18間においてプロペラ軸10に摺動自在にスプライン嵌合されるドグクラッチ部材19とを備えており,上記前進用従動ギヤ17は,そのハブ17aがアンギュラコンタクトローラベアリング20を介してギヤケース1に支持されると共に,ニードルベアリング21を介してプロペラ軸10の前端部を支持するように配置され,後進用従動ギヤ18は,そのハブ18aがプロペラ軸ホルダ8の前端部に複列のボールベアリング23を介して支承されると共に,ニードルベアリング22を介してプロペラ軸10を支持するように配置される。これら前進用及び後進用従動ギヤ17,18のハブ17a,18aは,それぞれの内端にドグクラッチ部材19の両端に対向するドグ17b,18bを備えている。而して,ドグクラッチ部材19は,前記シフト軸7の回転操作により中立位置,その前方の前進位置,中立位置の後方の後進位置の三位置に切り換えし得るようになっており,その中立位置では,両従動ギヤ17,18のドグ17b,18bの何れとも係合しないので,両従動ギヤ17,18をプロペラ軸10に対して自由にしてドライブ軸3及びプロペラ軸10間の伝動を遮断する。前進位置では,ドグクラッチ部材19は,前進用従動ギヤ17のドグ17bに係合して前進用従動ギヤ17をプロペラ軸10に連結するので,ドライブ軸3の回転をプロペラ軸10に前進方向の回転として伝達することになり,また後進位置では,ドグクラッチ部材19は,後進用従動ギヤ18のドグ18bに係合して後進用従動ギヤ18をプロペラ軸10に連結するので,ドライブ軸3の回転をプロペラ軸10に前進方向の回転として伝達することになる。
【0019】
このような駆動ギヤ16と,前進用及び後進用従動ギヤ17,18との各間の伝動が効率良くスムーズに行われるよう,それら各ギヤ間のバックラッシュを適正に調整するために,予め厚み選定された第1シム24・第2シム25・第3シム26が,前記複列アンギュラコンタクトローラベアリング4のインナレースの下端とドライブ軸3に形成されたフランジ3aとの間・前記アンギュラコンタクトベアリング20のアウタレースとギヤケース1との相対向するスラスト面間・前記複列ボールベアリング23のアウタレースとプロペラ軸ホルダ8との相対向するスラスト面間にそれぞれ介装される。
【0020】
バックラッシュ測定装置は,上記第1〜第3シム24〜26により調整された駆動ギヤ16と前進用及び後進用従動ギヤ17,18との各間のバックラッシュが適正な否かを判定するために使用されるもので,次にそのバックラッシュ測定装置を含む組立設備について,図2により説明する。
【0021】
図2中,参照符号30は,前記ギヤケース1に前記駆動ギヤ16,前進用及び後進用従動ギヤ17,18等の内装部品を組み込む組立用のコンベアであって,一端部の搬入口31aから延びる第1コンベア31と,この第1コンベア31の下流端から直角に屈曲する,第1コンベア31より短い第2コンベア32と,この第2コンベア32の下流端から第1コンベア31と平行に延びて搬出口33aに至る第3コンベア33と,搬入口31a及び搬出口33a間を接続する第4コンベア34とよりなっており,平面視で長方形をなしいる。上記第1及び第3コンベア31,33間の床上にバックラッシュ測定装置35が設置される。
【0022】
第1コンベア31では,第1作業員M1が搬入口31aから搬入されたギヤケース1をパレット36に載置し,そのギヤケース1に前記ドライブ軸3やプロペラ軸10,前後進切換装置15等の内装部品を組み込んだ後,その内装済みギヤケース1を第2コンベア32を経て第3コンベア33に移行させる。第3コンベア33では,先ず第2作業員M2ががパレット36上で内装済みギヤケース1の姿勢を変えて,ドライブ軸3を水平に,プロペラ軸10の後端を上向きにさせる。次に第3作業員M3がバックラッシュ測定装置35におけるワーク保持体40を第3コンベア33上まで張り出させ,このワーク保持体40上に姿勢変更した内装済みギヤケース1を移載して位置決め固定し,そしてワーク保持体40を第3コンベア33内側のワーク確認位置,測定位置へと順次移動させ,ワーク確認位置では内装済みギヤケース1の機種を判定し,測定位置においてバックラッシュ測定装置35の作動により内装済みギヤケース1内の駆動ギヤ16と前進用及び後進用従動ギヤ17,18との各間のバックラッシュを自動的に測定すると共に,その測定値の適否が判定され,その適否に対応するマーキングが測定後の内装済みギヤケース1に付される。その後,内装済みギヤケース1は,ワーク保持体40により再び第3コンベア33に戻され,第4作業員M4が内装済みギヤケース1をワーク保持体40からパレット36に移載した後,搬出口33aへと搬送し,そこでギヤケース1をパレット36から外し,適正と判定されたものは,次の更なる組立行程へ搬送し,不適と判定されたものは,バックラッシュ再調整行程へ搬送する。
【0023】
第3コンベア33で空になったパレット36は,第4コンベア34を介して第1コンベア31へ移送され,再びギヤケース1内部の組立作業に供される。
【0024】
上記のように,ギヤケース1に駆動ギヤ16,前進用及び後進用従動ギヤ17,18等の伝動部品を組み込む組立作業と,第1及び第2ギヤ間のバックラッシュの測定とは,第1〜第3コンベア31〜33よりなる一連のコンベア上で行うことになり,ギヤケース1の移動に無駄が無く,作業能率の向上を図ることができる。しかも,第1及び第3コンベア31,33は,平行に配置されと共に,この両コンベア間にバックラッシュ測定装置35が配設されるので,スペース効率が良く,比較的狭隘なスペースに第1〜第3コンベア及びバックラッシュ測定装置35を設置することができる。
【0025】
次に,ギヤのバックラッシュ測定装置35について詳細に説明する。
【0026】
図3〜図5において,ギヤのバックラッシュ測定装置35は,第3コンベア33上のワーク移載位置Aと,中間のワーク確認位置Bを経て測定位置Cとの間を移動し得る前記ワーク保持体40と,このワーク保持体40上で,ドライブ軸3を水平に,プロペラ軸10の後端を上向きにしたギヤケース1を位置決め保持するワーククランプ機構41と,このワーククランプ機構41によりワーク保持体40に位置決め保持されたギヤケース1の端面位置及びそのプロペラ軸10の端面位置を検出してそのギヤケース1の保持状態の適否を判定するワーク保持状態判定機構42と,ワーク保持体40の測定位置Cでプロペラ軸10にスラスト荷重を加えて前記アンギュラコンタクトローラベアリング20に負荷を付与し得るスラスト荷重付与機構43と,シフト軸7を切換操作し得る切換駆動機構44と,ギヤケース1内の駆動ギヤ16と前進用及び後進用従動ギヤ17,18との各間のバックラッシュを検出すべくドライブ軸3を正逆転し得る正逆転駆動機構45と,この正逆転駆動機構45で検出されたバックラッシュの値を表示すると共に,その値の適否を判定する電子制御ユニット46を備える制御タワー47とより構成され,それらの詳細を順次説明する。
【0027】
先ず,図3〜6及び図8に示すように,ワーク保持体40は,床に設置される固定台38に前記測定位置C及びワーク移載位置A間を摺動可能に支持され,固定台38には,ワーク保持体40を移動させる駆動手段37が設けられる。ワーク保持体40は,水平壁板40aと,この水平壁板40aの,第3コンベア33の下流側側端より起立する垂直壁板40bとよりなっており,その垂直壁板40bには,その中央部まで内装済みギヤケース1のドライブ軸3を受け入れるスリット52が設けられる。また垂直壁板40bの外側面には,内装済みギヤケース1の上端面1Eに植設された一対の位置決めピン(図1参照)が嵌合する一対の位置決め孔51a,51a;51b,51bが複数機種分,設けられる。而して,内装済みギヤケース1の上端面1Eは,位置決めピン50,50を位置決め孔51a,51a又は51b,51bに嵌合させつゝ垂直壁板40bに当接させるようになっている。尚,複数機種に対応する位置決め孔51a,51a;51b,51bは,それにより位置決めされる各機種の内装済みギヤケース1のドライブ軸3の位置を常に一定にするように配置される。
【0028】
図8及び図9に示すように,ギヤケース1の外周には,ドライブ軸3と直交する水平方向に突出するスタビライザフィン1Fが形成されており,前記ワーククランプ機構41は,垂直壁板40bの内側面側から垂直壁板40bを貫通してスタビライザフィン1Fを垂直壁板40bに対しクランプする閉じ位置D(図8参照)及び,スタビライザフィン1Fに対するクランプを解放する開き位置E(図9参照)間を作動し得る一対のクランプアーム53,53を備える。これらクランプアーム53,53は,垂直壁板40bに軸支される回転板54,54にリンク55,55を介して連結されると共に,リンク機構56を介して単一の操作レバー57に連結され,この操作レバー57の往復回動操作により,クランプアーム53,53を上記のように開閉作動することができる。クランプアーム53,53の,スタビライザフィン1Fに対するの押え部には弾性部材58が付設され,スタビライザフィン1Fの傷つきを防ぐようになっている。
【0029】
再び図4〜図6において,前記スラスト荷重付与機構43は,床に設置される固定台59に第3コンベア33の流れ方向と直交する水平方向に移動可能に支持されるタワー60と,このタワー60を動かすタワー駆動手段61と,タワー60に昇降可能に支持される昇降板62と,この昇降板62を駆動すべくタワー60に取り付けられる昇降板駆動手段63と,昇降板62に第3コンベア33の流れ方向と平行な水平方向に移動可能に支持される支持台64と,この支持台64を駆動すべく昇降板62に取り付けられる支持台駆動手段65と,支持台64に上下摺動可能に支持されるスラスト軸66と,このスラスト軸66を上下駆動すべく支持台64に取り付けられるスラスト軸駆動手段67とよりなっている。スラスト軸66は,下端部に円錐状の押え部66aを備えており,この押え部66aを,内装済みギヤケース1の後端より突出するプロペラ軸10先端面の円錐状のセンタ孔68に係合,押圧することによりプロペラ軸10にスラスト荷重を付与して,前進用従動ギヤ17及びアンギュラコンタクトローラベアリング20に負荷をかけ得るようになっている。
【0030】
また支持台64の下端部には,スラスト軸66の下方延長軸線を囲んで放射状に進退し得る複数のフック69(図6には,その1個のみを示す。)が設けられ,スラスト軸66がプロペラ軸10を押圧するとき,これらフック69は内装済みギヤケース1の前記プロペラ軸ホルダ8の内向き肩部8a(図1参照)に係合して内装済みギヤケース1を引き上げ,スラスト軸66の押圧力による内装済みギヤケース1の無用な動きを防ぐようになっている。
【0031】
図6及び図7に示すように,ワーク保持状態判定機構42は,前記支持台64の第3コンベア33側端部に昇降可能に支持される支持板70と,この支持板70を駆動すべく前記支持台64に取り付けられる支持板駆動手段71と,支持板70に開閉可能に支持される一対のプロペラ軸挟み腕72,72と,これらプロペラ軸挟み腕72,72を開閉駆動する挟み腕駆動手段73と,プロペラ軸挟み腕72,72の上方で支持板70に固着されるブラケット74と,このブラケット74に取り付けられるレーザ式のプロペラ軸センサ75及びギヤケースセンサ76とで構成される。
【0032】
而して,ギヤケース1を位置決め保持したワーク保持体40が第3コンベア33及び測定位置間の中間部にワーク確認位置Bが設定されており,ワーク保持体40がそのワーク判別位置Bに達すると,支持板70を規定の高さに保持した状態で挟み腕駆動手段73を作動して,一対のプロペラ軸挟み腕72,72の把持によりプロペラ軸10を固定し,この状態でプロペラ軸センサ75及びギヤケースセンサ76からプロペラ軸10及びギヤケース1の各端面にレーザビームを照射し,それぞれの反射ビームを感受してプロペラ軸10及びギヤケース1の各端面までの距離を検出信号として電子制御ユニット46に入力し,電子制御ユニット46は,その信号に基づいてギヤケース1のワーク保持体40への保持状態の適否を判定するようになっている。
【0033】
図10及び図11において,前記切換駆動機構44は,前記ワーク保持体40の水平壁板40a上に立設される第2の垂直壁板40cに昇降可能に支持されるギヤボックス78と,このギヤボックス78を昇降させるべく水平壁板40aに取り付けられるギヤボックス駆動手段77と,ギヤボックス78に回転自在に支持されて互いに平行に配置されるモータ軸79及びシフト駆動軸80と,これらモータ軸79及びシフト駆動軸80間を連結する伝動ギヤ列81と,モータ軸79を駆動する正逆転可能なシフト駆動モータ82とを備えている。第2の垂直壁板40cには,ギヤボックス78と共に昇降する部材89を受け止めてギヤボックス78の昇降限界を規制する上下一対のストッパボルト90,90′が調節可能に設けられる。
【0034】
シフト駆動軸80のギヤボックス78外に突出した部分には,前記シフト軸7先端の角軸部7aに嵌合可能な連結孔84を先端に有する筒軸85が摺動自在に嵌合される。筒軸85の周壁には軸方向の長孔86が設けられており,この長孔86に摺動自在に係合する連結ピン87がシフト駆動軸80に固着され,ギヤボックス78と筒軸85との間には,筒軸85を前方,即ちシフト軸7側に付勢するコイルばね88が縮設される。
【0035】
また前記連結ピン87には,筒軸85の外周を囲繞するセンサリング87aが連結ピン87に固着され,このセンサリング87aに対応する一対の第1及び第2位置センサ91,92がギヤボックス78に固定されるステー93に取り付けられる。
【0036】
シフト駆動軸80は,その後端部もギヤボックス78外に突出させており,その後端部に円板94が固着され,この円板94には,その中心を挟んで水平方向で対称的に並ぶ一対の第1接続ピン95,95が固設され,これら第1接続ピン95,95と,ギヤボックス78に固着されるステー96に固設されて,第1接続ピン95,95の上方に配置される一対の第2接続ピン96,96との各間に,同一ばね強さの一対のバランスばね98,98が接続される。シフト駆動モータ82の不作動状態では,両バランスばね98,98の付勢力の均衡作用により円板94を介してシフト駆動モータ82を正逆中立状態に保持するようになっている。
【0037】
而して,中立位置のシフト軸7の角軸部7aの位相が一定しており,シフト駆動モータ82の正逆中立状態では,筒軸85の連結孔84は,上記角軸部7aと位相と一致するようになっている。そこで,中立位置のシフト軸7の角軸部7aに連結孔84を嵌合する際には,先ず筒軸85がシフト軸7との同軸位置に来るようにギヤボックス78を移動した後,ギヤボックス78をシフト軸7に向かって所定距離,前進させれば,連結孔84を角軸部7aに嵌合することになる。その際,もし角軸部7a及び連結孔84間に僅かな位相ずれがあれば,筒軸85はシフト軸7の先端面に当接して止まるが,シフト駆動軸80はコイルばね123,123…を圧縮しながらギヤボックス78と共に所定位置まで前進する。そこで,シフト駆動モータ82を僅かに正転又は逆転させれば,角軸部7a及び連結孔84の位相が一致したとき,コイルばね88の付勢力により筒軸85が前進して連結孔84を角軸部7aに嵌合させることができる。この嵌合後,シフト駆動モータ82の作動を停止すれば,両バランスばね98,98の付勢力の均衡作用によりシフト駆動モータ82を正逆中立状態に戻すことができる。
【0038】
ギヤボックス78が所定距離前進して,筒軸85の連結孔84がシフト軸7の角軸部7aに適正に嵌合すると,第1位置センサ91又は第2位置センサ92がセンサリング87aの位置を検出して,その適正嵌合状態を検出信号として前記電子制御ユニット46に入力するようになっており,電子制御ユニット46は,その検出信号から測定対応の機種のシフト軸7へのシフト駆動軸80の連結を確認することができる。そしてシフト駆動モータ82を所定角度,正転又は逆転させることにより,シフト軸7を中立位置から前進切換位置又は後進切換位置へと回転させることができる。
【0039】
図12及び図13において,前記正逆転駆動機構45は,床に設置される固定台100上に,第3コンベア33の流れ方向に沿う水平方向に移動可能に支持される支持台101と,この支持台101を駆動すべく固定台100に取り付けられる支持台駆動手段102と,支持台101の起立した支持壁101aに調心ベアリング104及びそれに囲繞されるボールベアリング105を介して支承される正逆転軸106とを備えている。この正逆転軸106の後端部には,互いに直列に並ぶ回転位置センサ99,トルクセンサ107,トルクリミッタ108及びジョイント109を介して正逆駆動モータ110が連結される。この正逆駆動モータ110は,後述する支持筒111に取り付けられる。回転位置センサ99には,例えばロータリエンコーダが使用される。
【0040】
正逆転軸106の前端には大フランジ106aが一体に形成されており,これにチャック112が設けられる。このチャック112は,大フランジ106aに取り付けられるチャック駆動部112aと,それに支持されて開閉駆動され,前記ドライブ軸3の先端部を把持し得る一対のチャック爪112b,112bとで構成される。
【0041】
前記調心ベアリング104のインナレースと,ボールベアリング105のアウタレースとは,その間に介在される中間レース113を介して連結される。その中間レース113の後端面には,前記トルクセンサ107,トルクリミッタ108及びジョイント109を囲繞する支持筒111の前端フランジ111aが第1フランジ板114を挟んでボルト115により固着され,この支持筒111の後端部で前記正逆駆動モータ110が支持される。
【0042】
上記支持筒111は,調心機構116を介して前記支持壁101aに支持される。この調心機構116は,支持壁101aの外周面に突設されて調心ベアリング104の半径線に沿って延びるガイド軸117と,第1フランジ板114に固着されていて,ガイド軸117が摺動自在に貫通する長孔118を持った連結腕119とで構成される。したがって,支持筒111は,その軸線周りの回転を阻止されながら,正逆転軸106と共に首振りが可能である。
【0043】
この支持筒111を通常,水平状態に保持する弾性保持機構120が前記支持壁101a及び第1フランジ板114間に設けられる。この弾性保持機構120は,第1フランジ板114に環状配列して固設される多数の円筒状のばね座121,121…と,支持壁101aの一側面に立設されて上記ばね座121,121…を貫通する多数の支持ボルト122,122…と,各支持ボルト122の頭部及びばね座121間に縮設されるコイルばね123とで構成される。而して,環状配列の多数のコイルばね123,123…の弾発力により支持筒111は,通常水平状態に保持される。その際,コイルばね123,123…のセット荷重が第1フランジ板114の上方に行くにつれて増加するように,支持ボルト122,122…の締め込み度合が調節され,これにより支持筒111は重力に抗して水平に保持される。
【0044】
前記中間レース113の前端面には,前記大フランジ106aに対向する第2フランジ板125が固着され,これら大フランジ106a及び第2フランジ板125間に,正逆転軸106の回転に適度な回転抵抗を付与する摩擦機構126が設けられる。この摩擦機構126は,大フランジ106aの外周部に,これを軸方向に貫通するようにして螺合固着される1個又は複数個のシリンダ127(図示例では大フランジ106aの直径線上で対称的に2個のシリンダ127が配置される。)と,このシリンダ127に摺動自在に嵌合して先端の球面部を第2フランジ板125に当接させるプランジャ128と,シリンダ127内に収容されてプランジャ128を第2フランジ板125との当接方向に付勢するばね129とで構成される。而して,正逆転軸106の回転時には,ばね129の付勢力を受けるプランジャ128と第2フランジ板125との当接部に,正逆転軸106の回転に適度な抵抗を与える摩擦が発生し,これにより正逆転軸106の妄動を防ぐようになっている。
【0045】
正逆駆動モータ110の作動による正逆転軸106の回転時,前記回転位置センサ99は,正逆転軸106の回転角度を検出し,前記トルクセンサ107は正逆転軸106のトルクを検出し,それぞれ検出信号を前記電子制御ユニット46に入力する。またトルクリミッタ108は,正逆駆動モータ110から正逆転軸106への駆動トルクがトルクセンサ107の許容値以上になると,スリップしてトルクセンサ107を保護するように働くと共に,そのスリップ状態を信号として前記電子制御ユニット46に入力する。
【0046】
図14に示すように,前記電子制御ユニット46は,複数の機種の駆動ギヤ16と,前進用及び後進用従動ギヤ17,18との各間のバックラッシュの適正値データが入力されていると共に,電源スイッチ130,バックラッシュ測定対象機種を表示する機種表示器131,ワーク保持体40におけるギヤケース1の保持状態の適・否を示す保持状態適・否ランプ137,138,前記ワーク保持状態判定機構42,スラスト荷重付与機構43及び正逆転駆動機構45を自動的に逐次作動する電子制御回路(図示せず),バックラッシュ測定中のトルク波形を表示するモニタ132,測定したバックラッシュ値を表示する数値表示器133,測定したバックラッシュ値の適・否を表示する合格・不合格ランプ135,136等を備えている。
【0047】
次に,内装済みギヤケース1内のギヤのバックラッシュの測定要領について説明する。
【0048】
先ず,バックラッシュ測定対象機種を船外機の機種を電子制御ユニット46に入力して,対応する機種表示器131を点灯しておく。次にククランプ機構41によりギヤケース1を保持したワーク保持体40を第3コンベア33からワーク確認位置Bに移動する。このワーク確認位置Bでは,ワーク保持状態判定機構42が前述のように作動する。即ち,一対のプロペラ軸挟み腕72,72の把持によりプロペラ軸10を固定し,この状態でプロペラ軸センサ75及びギヤケースセンサ76からプロペラ軸10及びギヤケース1の各端面にレーザビームを照射し,それぞれの反射ビームを感受してプロペラ軸10及びギヤケース1の各端面までの距離を検出信号として電子制御ユニット46に入力し,電子制御ユニット46は,それに基づいてワーク保持体40におけるギヤケース1の保持状態の適・否を判定し,それに対応する保持状態適・否ランプ137,138の何れを点灯する。
【0049】
上記判定後は,プロペラ軸挟み腕72,72を開いてワーク保持状態判定機構42を一旦上昇させ,適正判定時には,ワーク保持体40を測定位置Cへと進め,不適性判定時には,ワーク保持体40を移載位置Aまで戻して,ワーククランプ機構41によりギヤケース1の位置決め保持をやり直す。
【0050】
ワーク保持体40を測定位置Cへと進めたときは,最初に,切換駆動機構44の筒軸85を前述のようにシフト軸7に連結して,バランスばね98,98の付勢力の均衡によりシフト軸7を中立位置に保持し,それによりドグクラッチ部材19を中立位置に保持する。次いでスラスト荷重付与機構43の作動して,スラスト軸66によりプロペラ軸10を押圧し,前進用従動ギヤ17を介してアンギュラコンタクトローラベアリング20に負荷を与える。このとき,前述のように,フック69をギヤケース1の前記プロペラ軸ホルダ8の内向き肩部8aに係合してギヤケース1を引き上げ,スラスト軸66の押圧力によるギヤケース1の無用な動きを防いでおく。
【0051】
この状態で正逆転駆動機構45を作動して,チャック112によりドライブ軸3を把持し,正逆転軸106をドライブ軸3に直結させる。このとき,ドライブ軸3と正逆転軸106との間に軸心ずれが存在すれば,調心ベアリング104及び調心機構116の働きにより正逆転軸106の軸線の傾きが許容され,正逆転軸106によるドライブ軸3のスムーズな駆動を可能にする。
【0052】
次いで正逆駆動モータ110により正逆転軸106を数回転,正転又は逆転させることにより,ドライブ軸3を介して駆動ギヤ16を数回転,正転又は逆転させる。これに伴ない駆動ギヤ16が前進用及び後進用従動ギヤ17,18を駆動するが,特に,前進用従動ギヤ17を介してスラスト荷重を受けているアンギュラコンタクトローラベアリング20に馴染み回転を与える。この間に,正逆駆動モータ110から正逆転軸106にトルクセンサ107の許容トルク以上の過度のトルクが伝達されると,トルクリミッタ108の作用により,トルクセンサ107への所定値以上のトルク伝達がカットされ,トルクセンサ107を保護することができる。
【0053】
馴染み回転後は,正逆転軸106によりドライブ軸3を,両ギヤ16,17間の想定されるバックラッシュに対応する角度以上,例えば駆動ギヤ166のピッチ角以上の所定角度,静かに正転させて,図15に示すように,駆動ギヤ16の1つの歯G1を,それに対向する前進用従動ギヤ17の一方の歯G2に当接させ,正逆駆動モータ110の作動を停止する。このとき,正逆転軸106は,摩擦機構126の作用により即座に回転を停止され,慣性回転が阻止される。
【0054】
次いで,正逆駆動モータ110の作動により正逆転軸106及びドライブ軸3を介して駆動ギヤ16を両ギヤ16,17間の想定されるバックラッシュに対応する角度以上の所定角度θ図(16参照),静かに逆転させていく。駆動ギヤ16が回転すると,それに噛合している前進用及び後進用従動ギヤ17,18が同時に駆動されるが,前進用従動ギヤ17を支持するアンギュラコンタクトローラベアリング20が前述のように負荷状態にあるのに対して,後進用従動ギヤ18を支持するボールベアリング23は無負荷状態にあるので,前進用従動ギヤ17の回転トルクの方が後進用従動ギヤ18の回転トルクより遥かに大となっている。したがって,駆動ギヤ16の逆転時,正逆転軸106上のトルクセンサ107が検出するトルクは,前進用従動ギヤ17の回転トルクに依存したものとなる。
【0055】
而して,駆動ギヤ16が,その歯G1の前進用従動ギヤ17の一方の歯G1との当接位置から逆転を開始すると,駆動ギヤ16の歯G1が前進用従動ギヤ17の他方の歯G3に向かって移動し,バックラッシュの区間を移動する間,駆動ギヤ16には負荷がかゝらないが,上記歯G1が他方の歯G3に当接するや否や,それを駆動するようになるので,正逆転軸106のトルクが急増することになり,前進用従動ギヤ17は,前記スラスト荷重に抗して駆動ギヤ16に従動する。
【0056】
上記正逆転軸106の正転,停止及び逆転の間,正逆転軸106の回転位置が回転位置センサ99により,またトルクがトルクセンサ107によりそれぞれ検出され,それぞれの検出信号が電子制御ユニット46に入力されると,電子制御ユニット46では,トルクセンサ107からの検出信号から正逆転軸106のトルクを演算し,また回転位置センサ99からの検出信号から,正逆転軸106の逆転開始時からトルクの急増時期までの正逆転軸106の回転角度を演算し,さらにその回転角度から駆動ギヤ16及び前進用従動ギヤ17間のバックラッシュ値を演算する。そしてモニタ132に正逆転軸106の回転角度及びトルクの関係線図(図16参照)が表示され,数値表示器133にバックラッシュ値が表示され,そのバックラッシュ値が許容範囲内の値であるときは,合格ランプ135を点灯させ,許容範囲外であるときは,不合格ランプ136を点灯させる。
【0057】
このような正逆転軸106の正転,停止及び逆転によるバックラッシュの測定を,駆動ギヤ16を例えば90°位相を変えた箇所で行えば,駆動ギヤ16及び前進用従動ギヤ17間のバックラッシュの適否を,より正確に判定することができる。
【0058】
また正逆転軸106の逆転中,ドライブ軸3に何らかの理由により前記スラスト荷重以上の過負荷が作用した場合には,トルクリミッタ108のスリップ作用によりトルクセンサ107への過負荷の伝達を遮断すると共に,その過負荷状態を信号として電子制御ユニット46に入力する。すると,電子制御ユニット46では,それまでトルクセンサ107及び回転位置センサ99から入力された信号を無効にして,バックラッシュ値の演算を中止する。こうすることで,過負荷による前記歯G1,G3の弾性変形に起因したバックラッシュの測定誤差を排除することができる。
【0059】
次に,駆動ギヤ16及び後進用従動ギヤ18間のバックラッシュの測定に移る。この場合は,先ずスラスト荷重付与機構43を不作動状態に戻して,プロペラ軸10を自由にする。次いで,切換駆動機構44を作動して,シフト駆動軸80によりシフト軸7を介してドグクラッチ部材19を後進位置に保持する。この状態で上記と同様に正逆転軸106の正転,停止及び逆転を行うのであるが,この場合,ドグクラッチ部材19により後進用従動ギヤ18がプロペラ軸10に連結されているのに対して,前進用従動ギヤ17は自由状態になっているので,正逆転軸106の回転時には,プロペラ軸10がスラスト荷重付与機構43から解放されていても,後進用従動ギヤ18及び正逆転軸106には,プロペラ軸10の静止慣性力が負荷として作用することになる。したがって,駆動ギヤ16の逆転時,正逆転軸106上のトルクセンサ107が検出するトルクは,後進用従動ギヤ18の回転トルクに依存したものとなる。
【0060】
尚,この場合,もし,プロペラ軸10の静止慣性力のみでは,後進用従動ギヤ18及び正逆転軸106に作用する負荷が不足するときは,前記機種判別機構42のプロペラ軸挟み腕72,72を利用してプロペラ軸10を軽く挟みつけて,後進用従動ギヤ18及び正逆転軸106に対する負荷を,過負荷とならないよう,適度に増加させることは有効である。
【0061】
而して,前述の駆動ギヤ16及び前進用従動ギヤ17間のバックラッシュの測定時と同様に,正逆転軸106を正転,停止及び逆転させ,回転位置センサ99及びトルクセンサ107の検出信号を電子制御ユニット46に入力することにより,駆動ギヤ16及び後進用従動ギヤ18間のバックラッシュ値を得ると共に,その適否を判定することができる。
【0062】
また前述と同様に,正逆転軸106の正転,停止及び逆転によるバックラッシュの測定を,駆動ギヤ16を例えば90°位相を変えた複数箇所で行えば,駆動ギヤ16及び後進用従動ギヤ18間のバックラッシュの適否を,より正確に判定することができる。
【0063】
かくして,ギヤケース1に組み込まれた駆動ギヤ16と,前進用及び後進用従動ギヤ17,18との各間のバックラッシュを,特別な熟練を要することなく容易,的確に測定することができる。
【0064】
しかも駆動ギヤ16及び前進用従動ギヤ17間,並びに駆動ギヤ16及び後進用従動ギヤ18間の何れのバックラッシュ測定時でも,各従動ギヤ17,18には最小限の負荷が加わることになり,したがって正逆転駆動機構45の回転トルクは比較的小さくて足りるので,測定中,各ギヤ16,17,18に弾性変形が生じることを防ぎ,バックラッシュを正確に測定することができる。
【0065】
また駆動ギヤ16及び前進用従動ギヤ17間のバックラッシュの測定時,プロペラ軸10にスラスト荷重を付与して前進用従動ギヤ17及びアンギュラコンタクトローラベアリング20に負荷をかけた状態は,船外機の実際の運転中,プロペラが発生する推力がプロペラ軸10に作用した状態と同様になり,アンギュラコンタクトローラベアリング20のスラスト方向のガタを排除した状態で上記バックラッシュを正確に測定することになる。
【0066】
さらにギヤケース1は,プロペラ軸10を垂直垂直姿勢に,ドライブ軸3を水平姿勢にしながらワーク保持体40に位置決め保持されるので,ワーク保持体40においてギヤケース1が占めるスペースを最小にすることができ,バックラッシュ測定装置35のコンパクト化に寄与し得る他,ギヤケース1を固定し,安定させ易く,バックラッシュの測定精度を高めることができる。
【0067】
さらにまたワーク保持体40には,複数機種のギヤケース1の位置決めピン50,50に対応した複数の位置決め孔51a,51a;51b,51bが設けられることで,同一のワーク保持体40を,複数の機種のギヤケース1の位置決め保持に使用可能となり,バックラッシュ測定装置35に汎用性を与えることができる。
【0068】
さらにまたチャック112を介して正逆転軸106をドライブ軸3に連結したとき,正逆転軸106及びドライブ軸3間に軸心ずれが生じても,調心ベアリング104及び調心機構116が協働してその軸心ずれを吸収し,正逆駆動モータ110により,正逆転軸106及びドライブ軸3をスムーズに正逆転させることができ,バックラッシュの正確な測定に貢献することができる。
【0069】
さらにまた正逆転駆動機構45において,支持台101及び正逆転軸106間に,その正逆転軸106の回転に摩擦抵抗を与える摩擦機構126が設けられるので,バックラッシュの測定の際,正逆転軸106の回転を正転から逆転に転じるため,正逆転軸106の正転を停止したとき,正逆転軸106の慣性により過回転を摩擦機構126の作用により防ぐことができ,したがって次の逆転によりバックラッシュを正確に測定することができる。
【0070】
またギヤケース1を載置するパレット36の使用により,第1コンベア31においてギヤケース1への伝動部品の組み込み作業を容易に行う得ることは勿論,第3コンベア33においては,ワーク保持体40へのギヤケース1の位置決め移載をワーククランプ機構41により容易,的確に行うことができる。しかもワーク保持体40は,ワーククランプ機構41によりギヤケース1が保持した状態で測定位置Cへと移動し,バックラッシュ測定装置35によるバックラッシュの測定が行われるので,バックラッシュの測定精度を高めることができる。またバックラッシュの測定を終えたギヤケース1をワーク保持体40から,第3コンベア33で待機する空のパレット36に簡単に移載することができ,したがってそのギヤケース1を第3コンベア33の下流端から搬出することができる。
【0071】
さらに駆動ギヤ16,前進用及び後進用従動ギヤ17,18等を組み込んだギヤケース1を保持したワーク保持体40は,測定位置C手前のワーク確認位置Bにおいて,ワーク保持状態判定機構42により,ワーク保持体40上のギヤケース1の保持状態の適否が判定されるので,その保持状態が適正な場合のみ,ワーク保持体40は測定位置Cへと送られることになり,バックラッシュの測定を正確に行うことができる。
【0072】
本発明は上記実施例に限定されるものではなく,その要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更が可能である。例えば,本発明は,船外機以外の装置のギヤケース内のギヤのバックラッシュの測定にも適用することができる。またワーク保持体40にギヤケース1を位置決め保持する際,プロペラ軸10を水平姿勢,ドライブ軸3を垂直姿勢とすることもできる。ギヤのバックラッシュは,駆動ギヤ16の正転後の逆転時,従動ギヤ17,18の回転遅れより演算することもできる。また船外機においては,アンギュラコンタクトローラベアリング20に代えて,アンギュラコンタクトボールベアリングを使用することもある。
【符号の説明】
【0073】
1・・・・・ギヤケース
16・・・・第1ギヤ(駆動ギヤ)
17・・・・第2ギヤ(前進用従動ギヤ)
18・・・・第2ギヤ(後進用従動ギヤ)
31・・・・第1コンベア
32・・・・第2コンベア
33・・・・第3コンベア
35・・・・バックラッシュ測定装置
36・・・・パレット
40・・・・ワーク保持体
41・・・・ワーククランプ機構
42・・・・ワーク保持状態判定機構
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ギヤケース(1)に,互いに噛合する第1及び第2ギヤ(16;17,18)を含む伝動部品を組み込む組立作業を行う第1コンベア(31)と,この第1コンベア(31)の下流端に,この第1コンベア(31)と平行に配列される第3コンベア(33)を第2コンベア(32)を介して接続して,前記第1コンベア(31)で前記伝動部品を組み込まれたギヤケース(1)が第2コンベア(32)を介して第3コンベア(33)に移送されるようにし,前記第1及び第3コンベア(31,33)間に,所定の測定位置(C)で前記第1及び第2ギヤ(16;17,18)間のバックラッシュを自動的に測定し得るバックラッシュ測定装置(35)を配設し,このバックラッシュ測定装置(35)の前記測定位置(C)と前記第3コンベア(33)上の移載位置(A)との間には,前記伝動部品組み込み済みのギヤケース(1)の受け渡しを可能にするワーク受け渡し手段を設けたことを特徴とする,ギヤ伝動装置の組立及びバックラッシュ測定設備。
【請求項2】
請求項1記載のギヤ伝動装置の組立及びバックラッシュ測定設備において,
前記ギヤケース(1)を載置して第1コンベア(31)から第3コンベア(33)へと移動し得るパレット(36)を備え,前記ワーク受け渡し手段は,前記測定位置(C)と前記移載位置(A)との間を移動するワーク保持体(40)と,このワーク保持体(40)に設けられ,ワーク保持体(40)の前記移載位置(A)では,第3コンベア(33)に待機するパレット(36)上の,前記伝動部品組み込み済みのギヤケース(1)を所定位置に保持してパレット(36)から受け取り,ワーク保持体(40)の前記測定位置(C)では,前記バックラッシュ測定装置(35)による前記バックラッシュの測定中,前記ギヤケース(1)を保持続けるワーククランプ機構(41)とを備えることを特徴とする,ギヤ伝動装置の組立及びバックラッシュ測定設備。
【請求項3】
請求項2記載のギヤ伝動装置の組立及びバックラッシュ測定設備において,
前記ワーククランプ機構(41)は,前記バックラッシュの測定後,前記ワーク保持体(40)が移載位置(A)に戻ったとき,前記ギヤケース(1)を解放して,前記第3コンベア(33)で待機する空のパレット(36)に移載し得るようにしたことを特徴とする,ギヤ伝動装置の組立及びバックラッシュ測定設備。
【請求項4】
請求項2記載のギヤ伝動装置の組立及びバックラッシュ測定設備において,
前記ワーク保持体(40)の移載位置(A)及び測定位置(C)間にはワーク確認位置(B)を設け,前記ワーク保持体(40)がこのワーク確認位置(B)に来たとき,ワーク保持体(40)上のギヤケース(1)の保持状態が適正が否かを判定するワーク保持状態判定機構(42)を備えることを特徴とする,ギヤ伝動装置の組立及びバックラッシュ測定設備。
【請求項1】
ギヤケース(1)に,互いに噛合する第1及び第2ギヤ(16;17,18)を含む伝動部品を組み込む組立作業を行う第1コンベア(31)と,この第1コンベア(31)の下流端に,この第1コンベア(31)と平行に配列される第3コンベア(33)を第2コンベア(32)を介して接続して,前記第1コンベア(31)で前記伝動部品を組み込まれたギヤケース(1)が第2コンベア(32)を介して第3コンベア(33)に移送されるようにし,前記第1及び第3コンベア(31,33)間に,所定の測定位置(C)で前記第1及び第2ギヤ(16;17,18)間のバックラッシュを自動的に測定し得るバックラッシュ測定装置(35)を配設し,このバックラッシュ測定装置(35)の前記測定位置(C)と前記第3コンベア(33)上の移載位置(A)との間には,前記伝動部品組み込み済みのギヤケース(1)の受け渡しを可能にするワーク受け渡し手段を設けたことを特徴とする,ギヤ伝動装置の組立及びバックラッシュ測定設備。
【請求項2】
請求項1記載のギヤ伝動装置の組立及びバックラッシュ測定設備において,
前記ギヤケース(1)を載置して第1コンベア(31)から第3コンベア(33)へと移動し得るパレット(36)を備え,前記ワーク受け渡し手段は,前記測定位置(C)と前記移載位置(A)との間を移動するワーク保持体(40)と,このワーク保持体(40)に設けられ,ワーク保持体(40)の前記移載位置(A)では,第3コンベア(33)に待機するパレット(36)上の,前記伝動部品組み込み済みのギヤケース(1)を所定位置に保持してパレット(36)から受け取り,ワーク保持体(40)の前記測定位置(C)では,前記バックラッシュ測定装置(35)による前記バックラッシュの測定中,前記ギヤケース(1)を保持続けるワーククランプ機構(41)とを備えることを特徴とする,ギヤ伝動装置の組立及びバックラッシュ測定設備。
【請求項3】
請求項2記載のギヤ伝動装置の組立及びバックラッシュ測定設備において,
前記ワーククランプ機構(41)は,前記バックラッシュの測定後,前記ワーク保持体(40)が移載位置(A)に戻ったとき,前記ギヤケース(1)を解放して,前記第3コンベア(33)で待機する空のパレット(36)に移載し得るようにしたことを特徴とする,ギヤ伝動装置の組立及びバックラッシュ測定設備。
【請求項4】
請求項2記載のギヤ伝動装置の組立及びバックラッシュ測定設備において,
前記ワーク保持体(40)の移載位置(A)及び測定位置(C)間にはワーク確認位置(B)を設け,前記ワーク保持体(40)がこのワーク確認位置(B)に来たとき,ワーク保持体(40)上のギヤケース(1)の保持状態が適正が否かを判定するワーク保持状態判定機構(42)を備えることを特徴とする,ギヤ伝動装置の組立及びバックラッシュ測定設備。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2012−148358(P2012−148358A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−7193(P2011−7193)
【出願日】平成23年1月17日(2011.1.17)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年1月17日(2011.1.17)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]