説明

ギヤ変速装置の従動アセンブリ

本発明に従うギヤ変速装置の従動アセンブリは、長手方向に沿って外周面に少なくとも1つ以上のスリットが形成され、上記スリットの延長線上に少なくとも1つ以上のラチェット設置部が形成された従動シャフト、上記スリットに挿入されて上記ラチェット設置部まで長手方向に沿ってスライディング可能なスライディング部材、上記従動シャフト上に結合され、内周面に複数の結合溝が形成された複数の従動ベベルギヤ、及び上記従動シャフトのラチェット設置部と各々の従動ベベルギヤの結合溝との間に弾性復原力を持つように設けられ、上記スライディング部材との接触に従い回転運動して上記結合溝に全部または一部が挟まれて噛み合う複数のラチェットを含むことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ギヤ変速装置の従動アセンブリに関し、より詳しくは、互いに異なる歯形数を持つ複数の駆動ベベルギヤが同心円形状で配列されている駆動アセンブリと、各駆動ベベルギヤと噛み合うように複数個の従動ベベルギヤが従動シャフト上に設けられている従動アセンブリを含んで構成されたギヤ変速装置の従動アセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、自転車のような運送手段はペダルを通じて伝えられた駆動力を用いて移動するようになるが、この際、ペダルを用いた駆動力はチェーンを通じて後輪に伝えられる。しかしながら、このような構造の自転車は動力伝達過程でチェーンが反復される弛緩状態が維持されるので、動力伝達効率が低下する一方、これによってチェーンが離脱する問題点が発生する。
【0003】
これを鑑みて、本発明の出願人により特許出願された‘自転車用駆動装置’(韓国公開特許公報10−2004−0026785)が公開されたことがある。
【0004】
一方、本発明の出願人は互いに異なる歯形数を持つ駆動ベベルギヤを同心円形態で配列した駆動アセンブリにギヤ変速が可能な従動アセンブリ22を結合させて動力伝達過程での動力損失とその部品数を最小化できる構造の自転車用‘ギヤ変速装置’(韓国登録特許公報第10−0688611号)を特許出願して公開されたことがある。
【0005】
上記のような従来技術でのギヤ変速装置は、図1に示すように、従動シャフト22a上で移動するピン22bが従動シャフト22aに軸設された従動ベベルギヤに形成された溝に挟まれて離脱することによって、ギヤを変速するように従動アセンブリ22を構成した。
【0006】
ところが、このようなピン動きの動力は人の手によりなされるようになっている。
【0007】
したがって、一側の駆動ベベルギヤに噛み合って従動シャフト22aと一緒に回転する従動ベベルギヤ22bを他側の駆動ベベルギヤと噛み合うようにするためにギヤ変速をするには相当な力がかかるようになる問題点が発生する。
【0008】
結局、高速走行など、駆動ベベルギヤが速い速度で回転している間にはギヤ変速が容易でないという問題点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、上記の問題点を解消するために案出したものであって、スライディング部材をして従動ベベルギヤを直接回転させるか、回転を中止させず、ラチェットを用いて間接的な方法により回転させるようにすることで、駆動ベベルギヤの高速回転時に容易にギヤ変速できるようにしたギヤ変速装置の従動アセンブリを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するために、本発明の一実施形態に従うギヤ変速装置の従動アセンブリは、長手方向に沿って外周面に少なくとも1つ以上のスリットが形成され、上記スリットの延長線上に少なくとも1つ以上のラチェット設置部が形成された従動シャフト、上記スリットに挿入されて上記ラチェット設置部まで長手方向に沿ってスライディング可能なスライディング部材、上記従動シャフト上に結合され、内周面に複数の結合溝が形成された複数の従動ベベルギヤ、及び上記従動シャフトのラチェット設置部と各々の従動ベベルギヤの結合溝との間に弾性復原力を持つように設けられ、上記スライディング部材との接触に従い回転運動して上記結合溝に全部または一部が挟まれて噛み合う複数のラチェットを含むことを特徴とする。
【0011】
本発明の一実施形態によれば、上記スライディング部材の端部に突起が形成されており、底部は端部へ行くほど厚みが薄くなる形態で傾斜して形成されることを特徴とする。
【0012】
本発明の一実施形態によれば、各々のラチェットの底部にスライディング部材の突起が挿入されれば、上記ラチェットの一側が従動ベベルギヤの結合溝に係止され、他側の従動シャフトのラチェット設置部に位置してスライディング部材の突起が位置した側の従動ベベルギヤと従動シャフトとが一緒に駆動するように構成されたことを特徴とする。
【0013】
本発明の他の実施形態に従うギヤ変速装置の従動アセンブリは、長手方向に沿って外周面に少なくとも1つ以上のスリットが形成され、上記スリットの延長線上のうちの一部に少なくとも1つ以上のラチェット係止部が形成された従動シャフト、上記スリットに挿入されて上記ラチェット係止部まで長手方向に沿ってスライディング可能なスライディング部材、上記従動シャフト上に結合され、内周面に複数の結合溝が形成された複数の従動ベベルギヤ、及び上記従動ベベルギヤの結合溝に弾性復原力を持つように挿設され、上記スライディング部材との接触に従い回転運動して上記結合溝に全部または一部が挿入されて噛み合う複数のラチェットを含むことを特徴とする。
【0014】
本発明の他の実施形態によれば、上記ラチェット係止部は複数のラチェットの一部が係止できるように凹んでいる凹部で形成されることを特徴とする。
【0015】
本発明の他の実施形態によれば、上記スリットは上記ラチェット係止部の凹んでいる凹部まで延びて形成されることを特徴とする。
【0016】
本発明の他の実施形態によれば、上記結合溝は溝の浅部と深部とに分けられ、浅部と深部全てに結合溝の内側に補強部(excess metal)が突設されることを特徴とする。
【0017】
本発明の他の実施形態によれば、上記ラチェットは上記結合溝に対応する形状を持つように薄肉部と厚肉部を備え、上記ラチェットの厚肉部は上記結合溝の深部に係止されるように段部が形成され、上記ラチェットの一側上部または他側上部に凹溝が形成されることを特徴とする。
【0018】
本発明の他の実施形態によれば、上記ラチェットの凹溝には弾性復原力のために環状スプリングが挿設されることを特徴とする。
【0019】
本発明の他の実施形態によれば、上記ラチェットの薄肉部は上記結合溝の浅部に結合され、上記ラチェットの厚肉部は上記結合溝の深部に結合されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明に従うギヤ変速装置の従動アセンブリによれば、スライディング部材をして従動ベベルギヤを直接回転させるか、回転を中止させず、ラチェットやラチェットと同等な装置を用いて従動ベベルギヤを間接的な方法により回転させるようにすることで、駆動ベベルギヤの回転時に容易にギヤ変速できる長所がある。
【0021】
より具体的に、ラチェットが従動シャフトのラチェット設置部に内側に弾性復原力を持つように設けられて、操作前には従動ベベルギヤと従動シャフトとが噛み合わないので従動ベベルギヤが空回転し、スライディング部材が移動してラチェットが従動シャフト外周面の外側に突出する時には、ラチェットが従動ベベルギヤ内周面の結合溝に係止されて従動ベベルギヤと従動シャフトとが一緒に回転するようにすることで、従来のギヤ変速装置に比べてスライディング部材の移動にかかる力が少ないので、容易にギヤ変速が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】従来の従動アセンブリを示す分解斜視図である。
【図2】本発明の第1実施形態に従うギヤ変速装置の従動アセンブリが自転車に設けられた状態を示す使用状態図である。
【図3】本発明の第1実施形態に従うギヤ変速装置の従動アセンブリが駆動アセンブリと噛み合って設けられた状態を示す概略図である。
【図4】本発明の第1実施形態に従うギヤ変速装置の従動アセンブリを示す分解斜視図である。
【図5】図4の結合図である。
【図6】図4でラチェットを詳細に示す拡大斜視図である。
【図7】図4でスライディング部材を詳細に示す図である。
【図8】図7のスライディング部材が駆動部材と結合された状態を示す斜視図である。
【図9】図4で従動シャフトを詳細に示す拡大斜視図である。
【図10】図9の従動シャフトにラチェットと環状スプリングが設けられた状態を示す斜視図である。
【図11】本発明の第1実施形態に従うスライディング部材及びラチェットの作動状態を示す斜視図である。
【図12】本発明の第1実施形態において、スライディング部材の突起がラチェットを押し上げる前の状態を示す従動アセンブリの断面図である。
【図13】本発明の第1実施形態において、スライディング部材の突起がラチェットを押し上げた時の従動アセンブリの断面図である。
【図14】本発明の第2実施形態に従う従動アセンブリにおいて、従動シャフトに複数個の従動ベベルギヤが設けられた状態を示す斜視図である。
【図15】図14の分解斜視図である。
【図16】図14を他の角度から見た斜視図である。
【図17】図16の従動ベベルギヤの結合溝にラチェットが設けられた状態を拡大して示す図である。
【図18】本発明の第2実施形態に従う従動アセンブリにおいて、スライディング部材の移動に従いラチェットが突出する状態を示す概略図である。
【図19】本発明の第2実施形態に従う従動アセンブリにおいて、スライディング部材の位置に従い従動ベベルギヤの回転方向を示す概略図である。
【図20】本発明の第2実施形態に従う従動アセンブリの作動を示すために従動ベベルギヤにラチェットが設けられた状態を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の多様な実施形態に従うギヤ変速装置の従動アセンブリに対し、添付された図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0024】
図2及び図3は、本発明の従動アセンブリが適用できる例を示すものである。
【0025】
図面に示すように、自転車10のペダル11はクランク12と連結され、上記クランク12は複数個の駆動ベベルギヤ25が同心円形状で配列されている駆動アセンブリ21と連結される。また、上記駆動アセンブリ21の各駆動ベベルギヤ25と噛み合うように複数個の従動ベベルギヤ300が従動シャフト100上に設けられている従動アセンブリ22を構成している。
【0026】
このような駆動アセンブリ21と従動アセンブリ22とを含み、かつ韓国登録特許第10−0688611号‘自転車用ギヤ変速装置’に記載されたように、ベアリング、ピニオンアセンブリ、ラックアセンブリ、移動板などを含んで1つのギヤ変速装置20をなすようになる。
【0027】
図3を参照すれば、駆動アセンブリ21の駆動ベベルギヤ25は同心円形状で複数個が配列されており、従動アセンブリ22の従動ベベルギヤ300は各駆動ベベルギヤ25と噛み合うように従動シャフト100上に設けられている。
【0028】
このような図2及び図3のような構成は、本発明の従動アセンブリが設けられる好ましい1つの例を図示したものであって、これに本発明の技術的思想が限定されることを意味するのではない。
【0029】
図4及び図5に示すように、本発明の第1実施形態に従う従動アセンブリ22は、従動シャフト100、上記従動シャフト100上に結合される複数の従動ベベルギヤ300、上記従動シャフト100の内部に縦軸方向にスライディング可能に挿入されるスライディング部材200、及び上記従動シャフト100の外周面上に設けられる複数のラチェット400を含んで構成される。
【0030】
より具体的に説明すれば、上記従動シャフト100の外周面に長手方向に沿って少なくとも1つ以上のスリット110が形成されており、上記従動シャフト100に形成されたスリット110の延長線上のうちの一部分に少なくとも1つ以上のラチェット設置部120が形成されている。上記ラチェット設置部120は、複数のラチェット400が設置できるように凹んでいる凹部で形成される。上記スリット110とラチェット設置部120は、複数個で形成される場合に、互いに一定の間隔を持つように設けられることが好ましい。上記スリット110はラチェット設置部120まで上記従動シャフト100の全体長手方向に沿って形成されている。
【0031】
上記各々の従動ベベルギヤ300の内周面には上記ラチェット400が離脱可能に挿入できる少なくとも1つ以上の結合溝310が形成されている。上記結合溝310に上記ラチェット400の一部が挿入されれば、上記従動シャフト100と上記従動ベベルギヤ300は一緒に回転するようになり、上記結合溝310から上記ラチェット400が離脱されれば、上記従動シャフト100は上記従動ベベルギヤ300と連動できないので空回転するようになる。
【0032】
また、上記ラチェット設置部120が形成された従動シャフト100の他側の外周面には円周方向に複数の環状溝130が形成されており、上記各々の環状溝130には上記ラチェット400が上記ラチェット設置部120に弾性復原力を持って設置できるように環状スプリング420が設けられる。
【0033】
上記ラチェット400は、上記ラチェット設置部120に従動シャフト100の長手方向に沿って複数個が設けられる。図6に示すように、上記ラチェット400の形状は一側が丸い弧形をなし、他側は内側に凹んでいるように形成して、休止符のような形状で形成する。また、上記ラチェット400の上部面には、上記環状スプリング420が挿入されるように凹溝410が形成されている。即ち、上記ラチェット400が上記ラチェット設置部120に設けられた状態で上記環状溝130と上記ラチェット400の凹溝410が同一円周上に位置するようにした状態で上記環状スプリング420を上記環状溝130と凹溝410に挿入するようになる。
【0034】
上記環状スプリング420が上記環状溝130と凹溝410に挟まれて設けられることによって、上記ラチェット400は従動シャフト100に向かって弾性復原力を持つようになる。このような環状スプリング420の設置方法は最も効果的で、かつ単純な方法である。
【0035】
しかしながら、上記ラチェット400をして弾性復原力を持つようにする技術は、上記のような実施形態に限定されるのではなく、多様な弾性体及び多様なスプリングなどを通じてこれを具現することができる。
【0036】
このように弾性復原力を持つラチェット400は、その内側にスライディング部材200の突起210が挿入されながら一側に回転して突出した形態を持つようになる。
【0037】
図7に示すように、上記スライディング部材200は、一端部にテーパー部230が形成されている傾斜した形態を取ることが良い。例えば、一端部の高さ(A)は他端部の高さ(B)とテーパー部230の高さ(C)との和と等しいことが好ましくて、テーパー部230の高さ(C)は突起210の高さ(D)と等しく形成してスライディング部材200自体の弾性を用いて突起210によるラチェット400の突出高さとテーパー部230の高さ(C)が均衡をなすようにすることが良い。
【0038】
上記スライディング部材200が上記従動シャフト100のスリット110を経由して上記ラチェット設置部120にスライディングするにつれて、上記スライディング部材200の突起210が上記ラチェット400の底部のうち、凹んでいる部分を押し出すことによって、上記ラチェット400の凹んでいる部分が上記従動ベベルギヤ300の結合溝310に係止されるようになる。勿論、上記スライディング部材200がその状態で左右側にスライディングされれば、ラチェット400の凹んでいる部分を押していた突起210がその位置から外れることによって、上記ラチェット400は環状スプリング420の復原力により元の状態に復帰し、従動シャフト100は従動ベベルギヤ300に対して空回転するようになる。
【0039】
図8に示すように、上記スライディング部材200は駆動部材500により移動するようになり、駆動部材500はワイヤーまたは外部伝達装置などを通じて使用者の操作に従い移動するようになっている。
【0040】
上記駆動部材500は内側に係止溝510が形成されており、上記スライディング部材200の一側には上記係止溝510に係止されるように係止突起220が形成されている。したがって、上記駆動部材500の移動に従い上記スライディング部材200は上記従動シャフト100線上をスライディングするようになる。
【0041】
図9は上記ラチェット400が上記ラチェット設置部120に設けられていない状態の従動シャフト100を示すものであり、図10は上記ラチェット400が上記ラチェット設置部120に設けられた状態の従動シャフト100を示すものである。ラチェット400は環状スプリング420により上記ラチェット設置部120に設けられ、上記スライディング部材200は上記スリット110にスライディングされて挿入されるようになる。図10に示すように、上記ラチェット400はスライディング部材200と接触しない場合に、上記環状スプリング420によりラチェット設置部120に安着して上記従動シャフト100の外周面と一致して同心円になるように位置する。
【0042】
図11は本発明の第1実施形態に従うスライディング部材200及びラチェット400の作動状態を示すものであって、上記スライディング部材200が任意のラチェット400の底部までスライディングされて突起210がラチェット400の凹んでいる部分を押し出す構造を見ることができる。
【0043】
図12は本発明の第1実施形態において、スライディング部材の突起がラチェットを押し上げる前の状態を示す従動アセンブリの断面図であり、図13は本発明の第2実施形態において、スライディング部材の突起がラチェットを押し上げた時の従動アセンブリの断面図である。
【0044】
図12に示すように、スライディング部材200の突起210がラチェット400に到達できなくて接触しないようになれば、ラチェット400は元の位置から動かないようになり、結局、従動シャフト100は上記従動ベベルギヤ300に対し空回転するようになる。
【0045】
しかしながら、図13に示すように、スライディング部材200の突起210がラチェット400の凹んでいる部分を押すようになれば、ラチェット400の凹んでいる部分を従動ベベルギヤ300の結合溝310に係止されるようになり、ラチェット400の弧形部分は従動シャフト100のラチェット設置部120に挿入された状態にあるので、従動シャフト100と従動ベベルギヤ300とは噛み合った状態で一緒に回転するようになる。
【0046】
前述したように、本発明の第1実施形態に従う従動アセンブリ22の作動を再度説明すると、次の通りである。
【0047】
使用者がワイヤーまたは外部伝達装置(図示せず)等を通じて上記駆動部材500を駆動させれば、スライディング部材200が従動シャフト100の内部でスライディングするようになる。この際、スライディング部材200の突起210が使用者が必要とする変速位置で止めるようになれば、上記突起210がラチェット400の凹んでいる部分を自然に押し上げるようになり、それによって、ラチェット400の凹んでいる部分が従動ベベルギヤ300の係止溝310に係止されるようになって、従動シャフト100と従動ベベルギヤ300とが一緒に回転するようになる。
【0048】
逆に、駆動部材500の操作によりスライディング部材200が他の位置にスライディングされれば、上記突起210が押していたラチェット400から離脱するようになり、上記ラチェット400は環状スプリング420の復原力により元の位置のラチェット設置部120に復帰するようになり、従動シャフト100は従動ベベルギヤ300に対し空回転するようになる。
【0049】
以下、本発明の第2実施形態に従うギヤ変速装置の従動アセンブリに対し、添付された図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0050】
図14は本発明の第2実施形態に従う従動アセンブリにおいて、従動シャフトに複数個の従動ベベルギヤが設けられた状態を示す斜視図であり、図15は図14の分解斜視図であり、図16は従動ベベルギヤに複数のラチェットが設けられた状態を示す図であり、図17は図16の従動ベベルギヤの結合溝にラチェットが設けられた状態を拡大して示す図である。
【0051】
図14及び図15に示すように、本発明の他の実施形態に従う従動アセンブリ22aは、従動シャフト100a、上記従動シャフト100a上に結合される複数の従動ベベルギヤ300a、上記従動シャフト100aの内部に縦軸方向にスライディング可能に挿入されるスライディング部材200a、及び上記従動シャフト100aの外周面と上記従動ベベルギヤ300aの内周面上に設けられる複数のラチェット400aを含んで構成される。
【0052】
より具体的に説明すれば、上記従動シャフト100aの外周面に長手方向に沿って少なくとも1つ以上のスリット110aが形成されており、上記従動シャフト100に形成された上記スリット110aの延長線上のうちの一部に少なくとも1つ以上のラチェット係止部120aが形成されている。上記ラチェット係止部120aは複数のラチェット400aの一部が係止できるように凹んでいる凹部で形成される。上記スリット110aとラチェット係止部120aは、複数個で形成される場合に、互いに一定の間隔を持つように設けられることが好ましい。上記スリット110aは上記ラチェット係止部120aの凹んでいる凹部まで延びて形成される。
【0053】
上記各々の従動ベベルギヤ300aの内周面には少なくとも1つ以上の結合溝310aが形成されており、上記結合溝310aに上記ラチェット400aの一側部が設けられ、上記ラチェット400aの他側部は上記ラチェット係止部120aに係止されるようになる。
【0054】
図16及び図17に示すように、上記結合溝310aは溝の浅部313aと深部315aとに分けられるが、浅部313aと深部315a全てに溝の内側に補強部322a、324aが突設される。
【0055】
また、上記ラチェット400aは上記結合溝310aに対応する形状を有するが、薄肉部433aと厚肉部435aとに分けられ、上記ラチェット400aの一側上部には環状スプリング420aが設置できるように凹溝410aが形成されている。
【0056】
したがって、上記ラチェット400aの薄肉部433aは、上記結合溝310aの浅部313aに結合され、上記ラチェット400aの厚肉部435aは上記結合溝310aの深部315aに結合される。この際、上記ラチェット400aの厚肉部435aは上記結合溝310aの深部315aに係止されるように段部440aが形成されたものが好ましい。
【0057】
上記ラチェット400aは、上記結合溝310aに結合された状態から見れば、上記薄肉部433aは上記結合溝310aに挿入された状態であり、上記厚肉部435aは上部が上記結合溝310aに挿入され、下部は上記従動ベベルギヤ300aの中心部側に突出した状態である。結局、このように突出したラチェット400aの厚肉部435aは上記従動シャフト100aが上記従動ベベルギヤ300aに結合されれば、上記従動シャフト100aの上記ラチェット係止部120aに係止されるようになる。
【0058】
上記従動ベベルギヤ300aの内周面には複数の結合溝310aが形成され、上記各々の結合溝310aには1つのラチェット400aが設けられる。本発明では6個の結合溝310aに6個のラチェット400aが設けられることを図示しており、これを実施形態に説明するが、これは本発明を限定しようとするのではない。
【0059】
上記ラチェット400aに形成される凹溝410aは互いに対応して一側上部に形成されることもでき、他側上部に形成されることができる。
【0060】
したがって、上記ラチェット400aが上記結合溝310aに設けられる場合に、上記凹溝410aの設置方向に従って互いに異なる形状のラチェット400aを互いに交互に設置することができ、上記凹溝410aには環状スプリング420aが挿入されて上記ラチェット400aの厚肉部435aの一部が上記結合溝310aから弾性復原力により離脱できるようにする。
【0061】
上記スライディング部材200aは、上記スリット110aに挿入されて上記ラチェット400aの厚肉部435aを押し出すことができるように設けられる。上記スライディング部材200aは、幅が一定の長さを持つものであって、駆動部材500aにより移動するようになり、駆動部材500aはワイヤーまたは外部伝達装置などを介して使用者の操作に従い移動するようになっている。即ち、上記駆動部材500aの作動は一般的に公知された技術であって、本発明ではこれ以上具体的に説明しない。
【0062】
上記スライディング部材200aが上記ラチェット係止部120aのスリット110aに挿入されていない状態では、従動シャフト100aのラチェット係止部120aと従動ベベルギヤ300aの結合溝310aが上記ラチェット400aにより連結されているので、上記従動シャフト100aと従動ベベルギヤ300aは一緒に回転するようになる。
【0063】
逆に、上記スライディング部材200aのスライディングにより上記スライディング部材200aが上記ラチェット400aの厚肉部435aに接触して押すようになれば、上記ラチェット400aは上記結合溝310aに完全に挿入され、上記従動シャフト100aは上記従動ベベルギヤ300aに対して空回転するようになる。
【0064】
図18は本発明の第2実施形態に従う従動アセンブリにおいて、スライディング部材の移動に従いラチェットが突出する状態を示す概略図であり、図19は本発明の第2実施形態に従う従動アセンブリにおいて、スライディング部材の位置に従い従動ベベルギヤの回転方向を示す概略図である。
【0065】
図18及び図19に示すように、上記スライディング部材200aが上記従動シャフト100aのスリット110aを経由して上記ラチェット係止部120aにスライディングするにつれて、上記スライディング部材200aが上記ラチェット400aの厚肉部435aを上記結合溝310aに押し出すことによって、上記ラチェット400aが上記従動ベベルギヤ300aの結合溝310aに完全に挿入される。このような状態で従動シャフト100aは上記従動ベベルギヤ300aとの結合関係がなくなって空回転する(図19のA部分参照)。
【0066】
その後、上記ラチェット400aの厚肉部435aを押していたスライディング部材200aがその位置から外れれば、上記ラチェット400aは環状スプリング420aの復原力により元の状態に復帰する。即ち、上記ラチェット400aの厚肉部435aの一部が結合溝310aから離脱されて上記従動シャフト100aのラチェット係止部120aに係止されることにより、上記従動シャフト100aは従動ベベルギヤ300aとまた結合関係を持つようになることによって一緒に回転するようになる(図19のB部分参照)。
【0067】
図20は本発明の第2実施形態に従う従動アセンブリの作動を表すために従動ベベルギヤにラチェットが設けられた状態を示す概略図であって、(A)はラチェットが従動ベベルギヤの結合溝と従動シャフトのラチェット係止部に係止されている状態を示す概略図であり、(B)はラチェットが従動ベベルギヤの結合溝に完全に挿入された状態を示す概略図である。
【0068】
上記スライディング部材200aがスリット110aに挿入された状態でスライディングされて上記従動ベベルギヤ300aの下部に位置するようになれば、上記スライディング部材200aがラチェット400aの厚肉部435aを上部に押し上げるようになって、上記ラチェット400aが上記従動ベベルギヤ300aの結合溝310aに完全に挿入される。したがって、上記従動ベベルギヤ300aの内周面が円形をなすようになって上記従動ベベルギヤ300aは、上記従動シャフト100aを軸に空回転するようになる。
【0069】
一方、上記スライディング部材200aが従動ベベルギヤ300aの下部に到達しない状態では、上記ラチェット400aの厚肉部435aの一部が環状スプリング420aの弾性復原力により従動シャフト100aのラチェット係止部120a側に係止された状態となる。この際、上記ラチェット400aが上記結合溝310aとラチェット係止部120aに全て係止されることによって、上記従動シャフト100aと従動ベベルギヤ300aとが一緒に回転するようになる。
【0070】
このように、ラチェット400aを用いた従動アセンブリの構成は、スライディング部材200aが端部の従動ベベルギヤ300aの底部まで位置してラチェット400aを結合溝310aに押すれば、全体従動ベベルギヤ300aが空回転するようになる。この状態で、上記スライディング部材200aが従動ベベルギヤ300aの底部から元の位置(図面の右側方向)に移動するようになれば、スライディング部材200aが離脱された位置の従動ベベルギヤ300aは従動シャフト100aと一緒に回転するようになる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数個の駆動ベベルギヤ25が同心円形状で配列されている駆動アセンブリ21と、前記駆動アセンブリ21の各駆動ベベルギヤ25と噛み合うように複数個の従動ベベルギヤ300が従動シャフト100上に設けられている従動アセンブリ22を含んで構成されたギヤ変速装置の従動アセンブリであって、
長手方向に沿って外周面に少なくとも1つ以上のスリット110が形成され、前記スリット110の延長線上に少なくとも1つ以上のラチェット設置部120が形成された従動シャフト100と、
前記スリット110に挿入されて前記ラチェット設置部120までその長手方向に沿ってスライディング可能なスライディング部材200と、
前記従動シャフト100上に結合され、その内周面に複数の結合溝310が形成された複数の従動ベベルギヤ300と、
前記従動シャフト100の前記ラチェット設置部120と前記従動ベベルギヤ300の各々の結合溝310の間に弾性復原力を持つように設けられ、前記スライディング部材200との接触に従って回転運動して、前記結合溝310に全部または一部が挟まれて噛み合う複数のラチェット400と、
を含むことを特徴とするギヤ変速装置の従動アセンブリ。
【請求項2】
前記スライディング部材200の端部に突起210が形成されており、前記スライディング部材の底部は端部へ行くほど厚みが薄くなる形態で傾斜して形成されることを特徴とする請求項1に記載のギヤ変速装置の従動アセンブリ。
【請求項3】
前記ラチェット400の各々の底部にスライディング部材200の前記突起210が挿入されれば、前記ラチェット400の一側が前記従動ベベルギヤ300の前記結合溝310に係止され、他側の前記従動シャフト100の前記ラチェット設置部120に位置して前記スライディング部材200の前記突起210が位置した側の前記従動ベベルギヤ300と前記従動シャフト100が一緒に駆動するように構成されたことを特徴とする請求項2に記載のギヤ変速装置の従動アセンブリ。
【請求項4】
前記ラチェット400の上部面の中央部を横切って凹溝410が形成されたことを特徴とする請求項1に記載のギヤ変速装置の従動アセンブリ。
【請求項5】
前記ラチェット設置部120が形成された前記従動シャフト100の外周面に複数の環状溝130を形成し、各々の環状溝130と前記ラチェット400の凹溝410を同一円周上に一致させた後、環状スプリング420を挿入することを特徴とする請求項4に記載のギヤ変速装置の従動アセンブリ。
【請求項6】
複数個の駆動ベベルギヤ25aが同心円形状で配列されている駆動アセンブリ21aと、前記駆動アセンブリ21aの各駆動ベベルギヤ25aと噛み合うように複数個の従動ベベルギヤ300aが従動シャフト100a上に設けられている従動アセンブリ22aを含んで構成されたギヤ変速装置の従動アセンブリであって、
その長手方向に沿って外周面に少なくとも1つ以上のスリット110aが形成され、前記スリット110aの延長線上のうちの一部に少なくとも1つ以上のラチェット係止部120aが形成された従動シャフト100aと、
前記スリット110aに挿入されて前記ラチェット係止部120aまでその長手方向に沿ってスライディング可能なスライディング部材200aと、
前記従動シャフト100a上に結合され、内周面に複数の結合溝310aが形成された複数の従動ベベルギヤ300aと、
前記従動ベベルギヤ300aの結合溝310aに弾性復原力を持つように挿設され、前記スライディング部材200aとの接触に従い回転運動して、前記結合溝310aに全部または一部が挿入されて噛み合う複数のラチェット400aと、
を含むことを特徴とするギヤ変速装置の従動アセンブリ。
【請求項7】
前記ラチェット係止部120aは、前記複数のラチェット400aの一部が係止できるように凹んでいる凹部で形成されることを特徴とする請求項6に記載のギヤ変速装置の従動アセンブリ。
【請求項8】
前記スリット110aは、前記ラチェット係止部120aの凹んでいる凹部まで延びて形成されることを特徴とする請求項7に記載のギヤ変速装置の従動アセンブリ。
【請求項9】
前記結合溝310aは溝の浅部313aと深部315aとに分けられ、浅部313aと深部315aには前記結合溝310aの内側に向けて補強部322a、324aが突設されることを特徴とする請求項6に記載のギヤ変速装置の従動アセンブリ。
【請求項10】
前記ラチェット400aは、前記結合溝310aに対応する形状を持つように薄肉部433aと厚肉部435aとを備え、前記ラチェット400aの厚肉部435aは前記結合溝310aの深部315aに係止されるように段部440aが形成され、前記ラチェット400aの一側上部または他側上部に凹溝410aが形成されることを特徴とする請求項9に記載のギヤ変速装置の従動アセンブリ。
【請求項11】
前記ラチェット400aの凹溝410aには、弾性復原力のために環状スプリング420aが挿設されることを特徴とする請求項10に記載のギヤ変速装置の従動アセンブリ。
【請求項12】
前記スライディング部材200aは、幅が一定の長さを持つことを特徴とする請求項6に記載のギヤ変速装置の従動アセンブリ。
【請求項13】
前記ラチェット400aの薄肉部433aは前記結合溝310aの浅部313aに結合され、前記ラチェット400aの厚肉部435aは前記結合溝310aの深部315aに結合されることを特徴とする請求項10に記載のギヤ変速装置の従動アセンブリ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公表番号】特表2010−526267(P2010−526267A)
【公表日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−507311(P2010−507311)
【出願日】平成20年3月4日(2008.3.4)
【国際出願番号】PCT/KR2008/001227
【国際公開番号】WO2009/066835
【国際公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【出願人】(509114206)
【Fターム(参考)】